(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-02-20
(45)【発行日】2025-03-03
(54)【発明の名称】吹込み用セルローズファイバー断熱材
(51)【国際特許分類】
E04B 1/78 20060101AFI20250221BHJP
E04B 1/76 20060101ALI20250221BHJP
【FI】
E04B1/78 Z
E04B1/76 400G
(21)【出願番号】P 2024157504
(22)【出願日】2024-09-11
【審査請求日】2024-10-01
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】524341214
【氏名又は名称】株式会社KAKUDO
(74)【代理人】
【識別番号】100189865
【氏名又は名称】下田 正寛
(74)【代理人】
【識別番号】100094215
【氏名又は名称】安倍 逸郎
(72)【発明者】
【氏名】笠原 健彦
【審査官】吉村 庄太郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2022-141631(JP,A)
【文献】特開2009-133041(JP,A)
【文献】特開2019-209291(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04B 1/78
E04B 1/76
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
故紙を粉砕した第1のパルプ材料と、紙オムツ、紙ナプキン、尿漏れ吸収パッドから抽出した綿状の第2のパルプ材料とを所定割合で混合し、これらを一次粉砕し、ホウ酸および硼砂を加えて混合物を撹拌し、これを二次粉砕するとともに、圧縮成形して製造された
吹込み用セルローズファイバー断熱材であって、
上記第1のパルプ材料を50重量%、上記第2のパルプ材料を30重量%、上記ホウ酸および硼砂を20重量%の割合で含む吹込み用セルローズファイバー断熱材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は吹込み用セルローズファイバー断熱材、詳しくは紙オムツのリサイクルを利用した吹込み用セルローズファイバー断熱材に関する。
【背景技術】
【0002】
寒冷地の住宅においては、例えば屋根裏、天井、外壁内面などの住宅用の断熱材が設備される。例えば住宅の天井裏に設けた断熱層は、無機繊維マット等の断熱材料を破砕した多数の小塊状の吹込み用断熱材を空気流によって天井裏に吹き込み、一定厚さに堆積させて形成する。
【0003】
従来、吹込み用断熱材は、グラスウール、ロックウール等の無機繊維マットを多数の小さな塊状の綿に破砕することで製造され、その後、ビニ-ル袋などに圧縮梱包して供給されている。これは、以下に示す特許文献1に記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来の吹込み用断熱材は、天井裏に吹き込んで断熱層を形成したとき空隙が多く、破砕前の無機繊維マットよりも密度が低く、または密度ばらつきが大きいという問題があった。熱伝導率は密度に比例する。密度が低いと熱伝導率が大となり、断熱性能が低下する。また、密度むらが大きいと熱伝導率のばらつきも大きくなり、低密度部分は熱的な欠点となる。
【0006】
さらに、上記方法で製造した吹込み用断熱材には次の問題点もあった。
すなわち、小塊状綿同士が絡み合いやすく、また小塊状綿が天井裏面などに引っ掛かりやすい。また、破砕した小塊状綿を圧縮梱包して供給する際、小塊状綿同士が絡み合って大きい塊になることが多く、吹込み用断熱材を、攪拌機を備えたホッパーに供給し、個々の小塊状綿に分離しながら空気輸送用のホースに送りこんでも、確実には小塊状綿に分解できず、かなり大きい塊のままで搬送ホースに送り込まれ、詰りが起きやすい。
【0007】
一方、近年の高齢化、要介護者の増加により、紙おむつの使用量が増加している。それに伴って使用済紙おむつの廃棄に関わる自治体負担が大きな社会問題となっている。
使用済紙おむつは一般廃棄物排出総量の4%以上を占め、今後増加が見込まれる。これは、水分を多く含んで、焼却処理での発熱量は可燃ごみの3分の1程度と生ごみと同等で、焼却しづらい。焼却コストやCO2排出量が増加する。
そこで、紙オムツのリサイクルが望まれるが、このリサイクルでは、RPF(燃料)等に加工してサーマルリサイクルが主流である。よって、使用済み紙オムツのマテリアルリサイクルが切望されている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1に記載の発明は、故紙を粉砕した第1のパルプ材料と、紙オムツ、紙ナプキン、尿漏れ吸収パッドから抽出した綿状の第2のパルプ材料とを所定割合で混合し、これらを一次粉砕し、ホウ酸および硼砂を加えて撹拌し、二次粉砕するとともに、圧縮成形することにより製造された圧縮成形して製造された吹込み用セルローズファイバー断熱材であって、上記第1のパルプ材料を50重量%、上記第2のパルプ材料を30重量%、上記ホウ酸および硼砂を20重量%の割合で含む吹込み用セルローズファイバー断熱材である。
例えば、回収新聞紙、段ボール、古紙(故紙)などを再生した再生パルプ材料と、使用済みの紙オムツ等(紙ナプキン、尿漏れパッドなど液体吸収材料を含む)を原材料とした再生セルローズファイバー(再生パルプ材料)と、これらに加えて適量のホウ酸、硼砂を含む吹込み用セルローズファイバー断熱材である。なお、紙オムツは吸水材(SAP)の他に綿状パルプを含み、この綿状パルプを再生パルプ材料とすることとなる。
セルローズファイバーは一般的にパルプ(木質繊維)を水中でほぐし、解繊することで製造される。その断熱性能は住宅用グラスウール24k,32k相当で、熱伝導率は0.038W/mk 前後となる。
【0009】
この場合のセルローズファイバー断熱材の吹込みは、この断熱材に接着剤、水を混入し、スプレーガンで構造体や壁(隙間)に吹き付け、自然乾燥させる。施工は短時間、乾燥に所要時間、また一度での施工厚みに限度がある。余剰分はそぎ落とし、再度使用できる。粉塵は発生しない。
いわゆる吹込み(ブローイング)工法である。この他にも、セルローズファイバー断熱材を吹込み装置で、天井の空間にこれを積もらせるように吹込む工法と、屋根・壁・床など、最初に専用シートを張り、充填する空間をつくり、この閉鎖された空間に断熱材を吹込む工法がある。吹込み工法のメリットは、小さな隙間にもセルローズファイバー断熱材をしっかりと充填できることである。設計された断熱性能を、現場施工において実現できる。
【0010】
このセルローズファイバー断熱材の特徴は以下の通りである。
1)吸放湿性能
セルローズファイバーの最大の特長は、木質繊維が持つ吸放湿性である。換気やエアコンに頼らず、快適な室内環境をつくりだす。
木の繊維は、常にわずかな湿り気を要求する。十分に乾燥した木でも湿度を調整する調湿機能がある。日本特有の高温多湿の環境における住宅の湿度調整には、木材が最適である。
2)結露防止性能
断熱材に小さな隙間があると、その部分だけ冷やされたり暖められたりします。この室内との温度差が、結露の原因である。セルローズファイバーは隙間なく施工することができ、かつ、セルローズが透湿性・吸放湿性を持つ、結露に強い断熱材である。セルローズファイバーは隙間無くセルローズを充填できるので断熱材として高い性能を発揮し、同時に結露を発生させない効果が十分に期待できる。
また、繊維状のセルローズを吹き込み充填する施工方法で細かな箇所まで隙間無く施工できるため、結露、カビの原因となる湿気対策には最適な断熱材である。
3)防カビ・防虫性能
セルローズファイバーには、ホウ酸が添加されている。ホウ酸の毒性は低く、人体への蓄積・残留は、ほとんどない。ホウ酸は優れた木材保存材である。すなわち、哺乳類に対する急性促成は微弱であり、下等動物や微生物に有効で無色無臭である。また、難注入材を中心部まで処理でき(濡れた木材中を拡散し)、金属を腐食しない。
4)吸音・遮音性能
セルローズファイバーは、繊維ひとつひとつに空気を含み、この厚い空気の層が、音を吸収し、伝えにくくする。また、隙間無く高密度で充填施工されるので、家は密封状態で、高い吸音・遮音性能が発揮される。
【0011】
5)断熱性能
セルローズファイバーは天然の木質繊維です。木の繊維は、たくさんの空気を内包している。空気が、セルローズファイバーの断熱性能を生み出している。断熱材は空気を閉じ込め熱の移動を抑え、熱伝導率が0.06W/(m・k)以下の建材である。
セルローズファイバーを隙間無く施工することで、夏に日射熱の侵入を抑え、冬に暖められた熱の逃げを抑える。
6)耐火性能
セルローズファイバーは、主原料が新聞紙などであるが、ホウ酸・硼砂を添加することで、火災時も炎が燃え広がることはない。また、木(新聞紙)から生まれた自然素材のため、火災時に有害なガスを発生させず、断熱材が熱で溶けることもない。
7)省エネ・エコロジー
「古紙断熱材」であるセルローズファイバーは、グラスウールやロックウールなどの鉱物系繊維に比べて、生産時の製造エネルギーが掛からない。環境にやさしい、エコな断熱材である。
具体的には、新聞紙原料となるパルプは木からできている。木材を細かく砕き、水に薬品を加えて溶かし、その中からセルローズ、ヘルセルローズを取り出すと紙の原料であるパルプになる。紙は常温の水の中でリサイクルをはじめるので多くのエネルギーを必要としない。これに対して、金属類やプラスチック類のリサイクルはその物質の融点以上の加熱を必要とし、膨大なエネルギーが投入されることとなる。
8)施工性
断熱材は、熱欠損を防ぐために隙間なく施工する。セルローズファイバー断熱材は、専用吹込み機を使い、内壁の透湿シートで覆った範囲に、隙間なく吹き込むことができる。
完璧な断熱施工によって、光熱費のランニングコストは小さくなる。セルローズファイバーは接着剤を使用しない吹き込み施工なので、細かい隙間まで高密度に施工できる。
【0012】
この吹込み用セルローズファーバー断熱材は、ホウ酸を添加しており難燃性(製造工程での発火防止)である。また、ホウ酸添加により防虫作用がある。また、ホウ酸を添加による撥水性があり、過剰な吸湿を抑えることができる。ホウ酸にてカビ発生が防止できる。また、水蒸気を透過するため、壁内結露の原因とはならない。セルローズファイバー自体に調湿作用(吸湿性)がある。断熱性能を出すために高密度に施工されるので重量があり(16Kのグラスウールの3倍以上)、副次効果として防音効果がきわめて高い。硬質石膏ボード2枚と10cm厚のセルローズファイバーで構成された壁で-60dBの防音効果がある。
断熱材の吹込みによる壁施工では、コンセント、筋交いがあっても、隙間なく施工できる。配管、配線、ダウンライトなどがある天井でも、天井にセルローズファイバーを隙間なく降り積もらせて施工することにより、高い気密性と防音性をもたせることができる。これにより気密テープと接着剤の使用量を減らすことができる。皮膚への刺激作用がなく、施工時に皮膚や口腔の違和感が少ない。結露しないので、防湿シートや防湿層が不要である
【0013】
断熱材の添加物である硼砂では、その水溶液は弱アルカリ性となり、洗浄作用・消毒作用があり防腐剤効果(防カビ)を発揮する。
【0014】
上記第1のパルプ材料は、古紙からの再生パルプであり、紙オムツから再生した綿状パルプが第2のパルプ材料とされる。後者の含有する割合を大きくする(例えば第1、第2のパルプ材料を共に40重量%とする)と、熱伝導率が大きくなる傾向が確認されている。
【発明の効果】
【0015】
請求項1に記載の発明によれば、吹込み用断熱材として適切な密度での施工が可能となる。また、紙オムツのマテリアルリサイクルを促進することができる。もちろん住宅用断熱材として優れた断熱効果を発揮することができる。さらに、施工後の住宅では、その防湿、吸湿機能を高めることができる。よって、結露防止、カビ防止、害虫予防、高防音性、高防水性を達成することができる。
【0016】
また、上記発明によれば、上記効果に加えて、断熱材として好適とされる既定の熱伝導率(λ=0.035~0.040)をクリアすることができる。さらには、断熱材の製造過程で圧縮して梱包することで現場への持ち運びなど取り扱いが容易となる。
追記すれば、施工により、結露やカビを防止できる。家屋、住宅の耐久性が増す。劣化を抑えることができる。シロアリなどの害虫予防が可能である。高い防音性能で静かな家を実現できる。高い防火性能も達成でき、火事に強い住宅となる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】この発明の実施例1に係る吹込み用セルローズファイバー断熱材(試験体)を写真にて示す斜視図である。
【
図2】この発明の実施例1に係る吹込み用セルローズファイバー断熱材(試験体)の内部構造を示す断面図である。
【
図3】この発明の実施例1に係る吹込み用セルローズファイバー断熱材(試験体)の熱伝導率の測定装置の構成を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、この発明に係る吹込み用セルローズファイバー断熱材の実施例を、図面を参照して具体的に説明する。
【実施例】
【0019】
以下、
図1~
図3を使用して、この発明の実施例1に係る吹込み用セルローズファイバー断熱材を説明する。
まず、この実施例に係る吹込み用セローズファイバー断熱材は、以下のプロセスにて製造される。
すなわち、第1のパルプ材料(故紙から再生したパルプ)を準備するステップA、第2のパルプ材料(紙オムツ由来の綿状パルプ)を準備するステップB、第1のパルプ材料と第2のパルプ材料とを所定割合で混合するステップC、この混合物を一次粉砕するステップD、この粉砕混合物に対してホウ酸と硼砂とを付加するステップE、この添加後の混合物を撹拌するステップF、撹拌された混合物を二次粉砕するステップG、この粉砕物を圧縮するステップH、圧縮された粉砕物を梱包するステップIを含んで製造される。
【0020】
ステップAでの第1のパルプ材料は、主に古新聞、段ボールなどを原料に製造される。原料は廃品回収品に限られず、市場には流通しなかった余剰品などが用いられる。
ステップBでは、例えば、収集された使用済み紙オムツを水と分解剤と共に攪拌して (水中で紙オムツを撹拌して汚物を除去し)、紙オムツを構成する表面材、吸水材SAP、その他に分解し、分離したパルプを含む排水を取り出し、排水をロータリースクリーンにより水分とパルプとに選別し、パルプをスクリュー脱水機で脱水して再生パルプを生成するなどである。
なお、紙オムツに替えてまたはその一部に替えて紙ナプキンの綿状パルプを使用することもできる。
なお、混合されたセルローズ原料(パルプ材料の混合物)を裁断・攪拌し、さらに難燃剤としてホウ酸や硫酸アンモニウムを添加したうえでこの断熱材は製造される。これにより混合物の粉砕時の摩擦熱の発生を防止する。
また、これらの製造装置、例えば粉砕装置、撹拌機、圧縮プレス、梱包機などは市販品を使用する。さらにまた、ホウ酸および硼砂は市販品とする。
【0021】
以上の工程で製造された吹込み用セルローズファイバー断熱材(第1の材料である故紙再生パルプ50重量%、第2の材料である再生綿状パルプ30重量%、ホウ酸および硼砂20重量%)は、以下に示す試験にてその熱伝導率が既定の基準値を満たすことを確認した。
【0022】
試験方法は、一般財団法人日本建築総合試験所での試験(JIS A9523:2023「吹込み用繊維質断熱材」6.3熱伝導率)による。なお、測定方法は、JIS A 1412-2:1999「熱絶縁材の熱抵抗及び熱伝導率の測定方法―第2部:熱計流法(HFM法)による。試験装置の概要は
図3に示す。
また、試験体は、
図1(試験体の斜視図)、
図2(その断面図)に示す。
図3における装置での試験体の熱伝導率λ、熱抵抗率Rの算出は次式による。
λ=q×d/ΔT,R=ΔT/q
λ:熱伝導率,R:熱抵抗,q:熱流密度,d:試験体の厚さ,ΔT:試験体温度差(Θ1―Θ2),Θ1:試験体高温度側表面温度,Θ2:試験体低温側表面温度となる。
なお、装置型式:試験体1枚・対称構成方式,校正用標準板の種類:押出法ポリスチレンフォーム,試験体姿勢:水平,熱流方向:上向き とする。
【0023】
製造された断熱材は、運ばれた現場にて吹込み工法または吹付け工法にて施工される。例えば断熱材はその梱包を解き、水を加えて撹拌し、例えば壁内壁面にブローイングする。
その結果、高い断熱効果により、夏は涼しく冬は暖かい家を実現することができる。また、この断熱材は地球にまた人にやさしいエコロジー資源となる。さらに、施工後の断熱材壁は湿気を吸うことで快適な室内温度をキープすることが可能である。
追記すれば、施工により、結露やカビを防止できる。家屋、住宅の耐久性が増す。劣化を抑えることができる。シロアリなどの害虫予防が可能である。高い防音性能で静かな家を実現できる。高い防火性能も達成でき、火事に強い住宅となる。
【0024】
セルローズファイバー断熱材の熱伝導率(0.038W/mk前後)の特徴として、吹込み密度による影響はほとんどない。セルローズファイバー断熱材の主原料は新聞等の古紙および紙オムツ由来の綿状パルプである。ホウ素系化合物を適量添加し難燃処理してある。繊維の中にたくさんの空気胞があり、それに加えて繊維同士が絡み合って空気の層を保持するセルローズファイバー断熱材は、優れた吸音性を発揮する。共同住宅の界壁の遮音、家の外からの騒音をやわらげるなど防音効果をもたらす。セルローズファイバー断熱材は、木質繊維特有の吸放湿性がある。気温や湿度の変化に応じてセルローズファイバー断熱材が吸放湿することで壁体内の結露発生を抑止し、室内の温湿度環境を良くする。
リサイクル材を主に使用した断熱材では、その製造時の消費エネルギーが非常に少ない。この「セルローズファイバー断熱材」は、製造、施工、居住、解体まで、低炭素化社会の実現に確実な成果をもたらす。確実な施工により断熱欠損を防ぐことで、居住時の冷暖房エネルギー削減や建物の長寿命化に大きく貢献できる。
【0025】
特に、この吹込み用セルローズファイバー断熱材を施工すると、以下の効果が顕著となる。
(吸放湿性能)
セルローズファイバーの最大の特長は、木質繊維が持つ吸放湿性であり、湿度を調整する機能がある。
(結露防止性能)
セルローズファイバーは隙間なく施工することはもちろん、セルローズが透湿性・吸放湿性を持つ、結露に強い断熱材である。セルローズファイバーは隙間無くセルローズを充填できるので、断熱効果と同時に結露を発生さない効果も十分に期待できる。
(防カビ・防虫性能)
セルローズファイバーには、ホウ酸が添加されており、ホウ酸は優れた木材保存材として機能する。
(吸音・遮音性能)
セルローズファイバーは、繊維ひとつひとつに空気を含んでいて、この厚い空気の層が、音を吸収し、伝えにくくする。また、隙間無く高密度で充填施工されると、家は密封された状態となり、高い吸音・遮音性能が発揮される。
(断熱性能)
セルローズファイバーは天然の木質繊維で、木質繊維は、多くの空気を内包している。空気は最大の断熱材で、セルローズファイバーの断熱性能を生み出しています。
(耐火性能)
ホウ酸・硼砂を添加することで、着火しても炎が燃え広がることがない。
(省エネ・エコロジー)
「古紙断熱材」であるセルローズファイバーは、生産時の製造エネルギーが掛かりません。環境にやさしい、エコな断熱材である。
(施工性)
セルローズファイバーは、専用の機械を使い、透湿シートで覆った範囲に、隙間なく吹き込むことができます。
【産業上の利用可能性】
【0026】
この発明は、住宅などに使用される吹込み用セルローズファイバー断熱材の技術としてきわめて有用である。
【要約】
【課題】再生パルプ材料が枯渇している。また、紙おむつのマテリアルリサイクルが推奨されている。セルローズファイバーを用いた吹込み用住宅断熱材が所望されている。
【解決手段】回収新聞紙、古紙などのパルプ材料、再生セルローズファイバー、ホウ酸、硼砂を含むセルローズファイバーを用いた住宅用断熱材である。故紙からの再生パルプ材料を50重量%、紙オムツ抽出の綿状パルプ材料を30重量%、ホウ素系化合物を20重量%とする。セルローズファイバー断熱材は、新聞紙等の古紙を原料に薬品処理により難燃・はっ水・防かび性能等を付加した多機能な綿状の天然木質繊維系断熱材である。天然の木質繊維の絡み合いが空気の層をつくるとともに、1本1本の繊維の中にも自然の空気胞が存在し、よりいっそう熱や音を伝えにくくする。さらに木質繊維特有の吸放湿性で、適度な湿度を保ち快適な暮らしをもたらす。
【選択図】
図1