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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-02-20
(45)【発行日】2025-03-03
(54)【発明の名称】パーティションとパーティション構造
(51)【国際特許分類】
   E04B 1/00 20060101AFI20250221BHJP
   E04B 2/82 20060101ALI20250221BHJP
   E04B 2/72 20060101ALI20250221BHJP
【FI】
E04B1/00 502N
E04B2/82 521A
E04B2/72 A
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2021037322
(22)【出願日】2021-03-09
(65)【公開番号】P2022137702
(43)【公開日】2022-09-22
【審査請求日】2024-01-11
(73)【特許権者】
【識別番号】000150615
【氏名又は名称】株式会社長谷工コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100097515
【弁理士】
【氏名又は名称】堀田 実
(74)【代理人】
【識別番号】100136700
【弁理士】
【氏名又は名称】野村 俊博
(72)【発明者】
【氏名】木村 郁夫
(72)【発明者】
【氏名】中條 広隆
(72)【発明者】
【氏名】川端 宏紀
(72)【発明者】
【氏名】黒田 健吾
(72)【発明者】
【氏名】亀谷 智裕
【審査官】吉村 庄太郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-265829(JP,A)
【文献】特開2019-194400(JP,A)
【文献】特開2002-115317(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0047263(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04B 1/00
E04B 2/82
E04B 2/72
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
バルコニーにおいて隣戸間を仕切るためのパーティションであって、
前記パーティションにおける横方向先端側に位置する先端側パネルと、
前記先端側パネルが取り付けられたフレーム構造と、を備え、
前記先端側パネルは、光を透過させるように不透明又は半透明に形成されており、
前記先端側パネルの横方向先端縁は、高さ方向の所定位置から前記パーティションの上端部まで、高さ方向から横方向奥側へ傾いた斜め方向に直線状または曲線状に延びている、パーティション。
【請求項2】
バルコニーにおいて隣戸間を仕切るためのパーティションであって、
前記パーティションにおける横方向先端側に位置する先端側パネルと、
前記先端側パネルが取り付けられたフレーム構造と、を備え、
前記先端側パネルは、光を透過させるように不透明又は半透明に形成されており、
前記先端側パネルよりも横方向後端側に位置する後端側パネルを備え、
前記先端側パネルと前記後端側パネルは、横方向に配列されており、
前記フレーム構造は、前記先端側パネルと前記後端側パネルとの間に位置する中間縦枠部を含み、該中間縦枠部は、高さ方向である縦方向に延びており、
前記先端側パネルと前記後端側パネルは、前記中間縦枠部に取り付けられており、
前記先端側パネルと前記後端側パネルは、前記パーティションの上側部分を構成し、
前記パーティションの下側部分を構成する下側パネルを備え、
前記下側パネルは、前記パーティションの横方向先端部から横方向後端部まで延びており、
前記フレーム構造は、前記先端側パネルおよび前記後端側パネルと前記下側パネルとの間に位置する中間横枠部を含み、
前記先端側パネルと前記後端側パネルと前記下側パネルは、前記中間横枠部に取り付けられている、パーティション。
【請求項3】
バルコニーにおいて隣戸間を仕切るためのパーティションであって、
前記パーティションにおける横方向先端側に位置する先端側パネルと、
前記先端側パネルが取り付けられたフレーム構造と、を備え、
前記先端側パネルは、光を透過させるように不透明又は半透明に形成されており、
前記先端側パネルは、前記パーティションが有する複数のパネルのうち最も横方向先端側に位置する、パーティション。
【請求項4】
前記先端側パネルは、
前記パーティションの上側部分における横方向先端側に設けられ、又は、
前記パーティションの下側部分における横方向先端側に設けられ、又は、
前記パーティションの上側部分と下側部分の各々における横方向先端側に設けられ、又は、
前記パーティションの横方向先端側において、前記パーティションの下端部から上端部まで連続的に延びている、請求項1又は3に記載のパーティション。
【請求項5】
前記先端側パネルは、高さ方向寸法が横方向寸法よりも大きい、請求項1~4のいずれか一項に記載のパーティション。
【請求項6】
前記先端側パネルよりも横方向後端側に位置する後端側パネルを備え、
前記先端側パネルと前記後端側パネルは、横方向に配列されており、
前記フレーム構造は、前記先端側パネルと前記後端側パネルとの間に位置する中間縦枠部を含み、該中間縦枠部は、高さ方向である縦方向に延びており、
前記先端側パネルと前記後端側パネルは、前記中間縦枠部に取り付けられている、請求項1、3、及び4のいずれか一項に記載のパーティション。
【請求項7】
前記先端側パネルの横方向寸法は、前記後端側パネルの横方向寸法以下である、請求項2又は6に記載のパーティション。
【請求項8】
前記先端側パネルは、前記パーティションの横方向先端側において高さ方向に細長く延びている、請求項1~のいずれか一項に記載のパーティション。
【請求項9】
建物のバルコニーにおいて隣戸間を仕切るパーティション構造であって、
請求項1~8のいずれか一項に記載のパーティションを備え、
前記パーティションは、前記バルコニーにおいて、前記先端側パネルが前記バルコニーの奥行方向先端側に位置するように前記建物に固定されている、パーティション構造。
【請求項10】
前記バルコニーの床部の奥行方向先端部には、前記バルコニーの床面から立ち上がる先端壁、又はフェンスが設けられており、
前記先端側パネルは、高さ方向において、前記先端壁又はフェンスの上端と同じ高さから、又は、当該上端よりも低い高さから、当該上端よりも上方の位置まで延びている、請求項9に記載のパーティション構造。
【請求項11】
前記パーティションは、前記バルコニーの天井面の近傍まで高さ方向に延びている、請求項9又は10に記載パーティション構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、集合住宅のバルコニーにおいて隣戸間を仕切るためのパーティションに関する。また、本発明は、集合住宅のバルコニーに設けられたパーティション構造に関する。
【背景技術】
【0002】
マンション等の集合住宅に設けられたバルコニーには、パーティションが設けられる。パーティションにより、バルコニーにおいて隣接する住戸間を仕切っている。
【0003】
パーティションは、外周枠と中間枠(中残)を有するフレーム内にパネルを嵌め込んだものである。このパネルとして、フレキシブルボードやケイ素酸カルシウム板等の乾式ボードが用いられている。このようなパーティションは、例えば特許文献1に記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2002-364064号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、従来のパーティションは、バルコニーの方位によっては、パーティションが日光を遮る時間が長くなる。その結果、バルコニーに面する居室のアメニティ(快適性)に悪影響が生じる。
【0006】
一方、日光を透過させる透明パネルでパーティションを構成した場合、隣戸に対するプライバシー性が低下する。
【0007】
そこで、本発明の目的は、集合住宅のバルコニーにおいて隣戸間を仕切るためのパーティションを設ける場合に、隣戸に対するプライバシーを確保しつつ、パーティションを通してバルコニー又はバルコニーに面する居室へ日光が取り込まれる時間を増やせるようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述の目的を達成するため、本発明によると、バルコニーにおいて隣戸間を仕切るためのパーティションは、パーティションにおける横方向先端側に位置する先端側パネルと、前記先端側パネルが取り付けられたフレーム構造とを備える。前記先端側パネルは、光を透過させるように不透明又は半透明に形成されている。
【発明の効果】
【0009】
本発明によると、パーティションにおける横方向先端側に位置する先端側パネルは、光を透過させるように形成されている。したがって、先端側パネルがバルコニーの奥行方向先端側に位置するようにパーティションをバルコニーに配置することにより、先端側パネルを通して日光が取り入れられる時間帯を得ることが可能になる。したがって、その分、パーティションを通してバルコニー又はバルコニーに面する居室へ日光が取り込まれる時間を増やすことが可能になる。これにより、住戸のアメニティ性を高め、その結果、住戸の商品価値を向上させることができる。
【0010】
また、光を透過させる先端側パネルは、不透明又は半透明に形成されているので、隣戸に対するプライバシーを確保することができる。しかも、光を透過させる先端側パネルは、パーティションの先端側に位置しているので、バルコニーにいる人は、プライバシー性が確保されている感覚を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の実施形態によるパーティションの構成例を示す。
図2】本発明の実施形態によるパーティション構造を示す。
図3図2のIII-III断面図である。
図4図2のIV-IV断面図である。
図5】本発明の変更例によるパーティションを示す。
図6】本発明の別の変更例によるパーティションを示す。
図7】本発明の別の変更例によるパーティションを示す。
図8】本発明の別の変更例によるパーティションを示す。
図9】本発明の別の変更例によるパーティションを示す。
【0012】
本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。なお、各図において共通する部分には同一の符号を付し、重複した説明を省略する。
【0013】
(パーティションの構成)
図1は、本発明の実施形態によるパーティション10の構成例を示す。図1は、全体として略板状のパーティション10をその厚み方向から見た図である。図1において、紙面と垂直な方向が、パーティション10の厚み方向である。
【0014】
パーティション10は、マンション等の集合住宅のバルコニーにおいて隣接する住戸(以下で単に隣戸ともいう)間を仕切るようにバルコニーに設置されるものである(例えば後述の図2)。パーティション10は、例えば、その厚み方向から見た場合に矩形であってよい。パーティション10は、隣戸間の境界となるとともに、隣接する住戸に対する目隠しとして機能する。
【0015】
パーティション10は、先端側パネル1と後端側パネル3と下側パネル5とフレーム構造7とを備える。
【0016】
先端側パネル1と後端側パネル3は、パーティション10の上側部分10aを構成する。先端側パネル1と後端側パネル3は、パーティション10の横方向(以下で単に横方向ともいう)に配列されている。横方向は、図1における左右方向である。
【0017】
先端側パネル1は、パーティション10の上側部分10aの横方向先端側に位置する。すなわち、先端側パネル1は、上側部分10aの横方向先端側を構成する。横方向先端側は、図1における左側である。先端側パネル1は、入射する日光の少なくとも一部を透過させるように不透明又は半透明に形成されている。したがって、先端側パネル1を通して日光を取り入ることができ、その一方で、先端側パネル1を通して向こう側が、はっきりと見えない。ここで、「はっきりと見えない」とは、ぼやけて見える、又は、ほとんど若しくは全く見えないことを意味してよい。
【0018】
先端側パネル1は、例えばガラス又はプラスチックにより形成されていてよい。先端側パネル1は、例えば乳白色であってよい。先端側パネル1は、合わせガラスであってもよい。合わせガラスは、2枚のガラス板の間に中間膜を挟んだ状態で、これらを一体化したものある。ここで、各ガラス板は、透明であり、中間膜は、乳白色等の不透明又は半透明な膜であってよい。中間膜は、合成樹脂で形成されていてよい。
【0019】
後端側パネル3は、先端側パネル1よりも横方向後端側に位置する。後端側パネル3は、先端側パネル1と共に、パーティション10の上側部分10aを構成する。後端側パネル3の透明度は、先端側パネル1の透明度よりも低い。例えば、後端側パネル3は、光を透過させないように形成されていてよい。後端側パネル3は、フレキシブルボードまたはケイ酸カルシウム板等の乾式ボードであってよいが、これらに限定されない。
【0020】
先端側パネル1は、上側部分10aにおいて、パーティション10の横方向先端部(後述の第1の外側縦枠部7a)から横方向中間部(後述の中間縦枠部7e)まで横方向に延びている。後端側パネル3は、上側部分10aにおいて、パーティション10の横方向中間部(中間縦枠部7e)から横方向後端部(後述の第2の外側縦枠部7b)まで横方向に延びている。また、先端側パネル1と後端側パネル3は、パーティション10の高さ方向中間部(後述の中間横枠部7f)からパーティション10の上端部(第1の外側横枠部7c)まで高さ方向に延びている。
【0021】
先端側パネル1の横方向寸法は、後端側パネル3の横方向寸法以下であってよい。例えば、先端側パネル1の横方向寸法は、後端側パネル3の横方向寸法の1/2以下、1/3以下、または1/4以下であってよい。この場合、先端側パネル1の横方向寸法は、後端側パネル3の横方向寸法の1/5以上、1/6以上、又は1/8以上であってよい。先端側パネル1は、その高さ方向寸法がその横方向寸法よりも大きい。例えば、先端側パネル1は、パーティション10の横方向先端側において高さ方向(図1の上下方向)に細長く延びていてよい。
【0022】
下側パネル5は、パーティション10の下側部分10bを構成する。下側パネル5は、パーティション10の横方向先端部(第1の外側縦枠部7a)から横方向後端部(第2の外側縦枠部7b)まで横方向に延びている。また、下側パネル5は、パーティション10の下端部(第2の外側横枠部7d)から高さ方向の中間部(中間横枠部7f)まで高さ方向に延びている。
【0023】
下側パネル5の透明度は、先端側パネル1の透明度よりも低い。例えば、下側パネル5は、光を透過させないように形成されていてよい。下側パネル5は、フレキシブルボードまたはケイ酸カルシウム板等の乾式ボードであってよいが、これらに限定されない。
【0024】
なお、先端側パネル1と後端側パネル3と下側パネル5の各々は、その厚み方向から見た場合、図1のように矩形であってよいが、本発明は、これに限定されない。例えば、先端側パネル1は、後述の変更例1、2のように他の形状を有していてもよい。
【0025】
フレーム構造7には、先端側パネル1と後端側パネル3と下側パネル5の各々の外周縁部が取り付けられている。フレーム構造7は、第1および第2の外側縦枠部7a,7bと、第1および第2の外側横枠部7c,7dと、中間縦枠部7eと、および中間横枠部を7f有する。第1および第2の外側縦枠部7a,7bと、第1および第2の外側横枠部7c,7dと、中間縦枠部7eと、および中間横枠部7fの各々は、1つの部材(棒状の部材)であってよい。この場合、これらの枠部7a~7fは、適宜の手段で互いに結合されて一体化されている。
【0026】
第1および第2の外側縦枠部7a,7bは、それぞれ、パーティション10の横方向両端に位置し、パーティション10の下端部から上端部まで延びている。第1および第2の外側横枠部7c,7dは、それぞれ、パーティション10の上端と下端に位置し、パーティション10の横方向先端部から横方向後端部まで延びている。第1および第2の外側縦枠部7a,7bのそれぞれの上端部は、それぞれ、第1の外側横枠部7cの横方向両端部に結合されている。第1および第2の外側縦枠部7a,7bのそれぞれの下端部は、それぞれ、第2の外側横枠部7dの横方向両端部に結合されている。
【0027】
中間縦枠部7eは、先端側パネル1と後端側パネル3との間に位置する。中間縦枠部7eは、高さ方向である縦方向に延びている。本実施形態では、中間縦枠部7eは、上側部分10aの下端部から上側部分10aの上端部まで延びている。先端側パネル1と後端側パネル3は、中間縦枠部7eに取り付けられている。中間縦枠部7eの上端部と下端部は、それぞれ、第1の外側横枠部7cと中間横枠部7fに結合されている。
【0028】
中間横枠部7fは、先端側パネル1および後端側パネル3と下側パネル5との間に位置する。中間横枠部7fは、パーティション10の横方向先端部から横方向後端部まで延びている。中間横枠部7fの横方向先端部と横方向後端部は、それぞれ、第1および第2の外側縦枠部7a,7bに結合されている。
【0029】
先端側パネル1の外周縁部は、第1の外側縦枠部7aと第1の外側横枠部7cと中間縦枠部7eと中間横枠部7fに取り付けられている。後端側パネル3の外周縁部は、中間縦枠部7eと第1の外側横枠部7cと第2の外側縦枠部7bと中間横枠部7fに取り付けられている。下側パネル5の外周縁部は、第1の外側縦枠部7aと中間横枠部7fと第2の外側縦枠部7bと第2の外側横枠部7dに取り付けられている。
【0030】
(パーティション構造)
図2は、建物のバルコニーにおいて隣戸間を仕切るパーティション構造20を示す。図2において、左右方向は、バルコニーの奥行方向であり、右側が建物の躯体側(住戸の居室側)である。バルコニーの床部21は、その奥行方向に建物の躯体壁23(居室側)から突出するようにバルコニー先端まで延びている。床部21の奥行方向先端部には、上方に立ち上がる先端壁、又はフェンス25(図2の例ではフェンス25)が設けられている。また、図2において、バルコニーとフェンス25(又は上記先端壁)は、図2の紙面と垂直な方向に、複数の住戸にわたって延びている。
【0031】
図2において、フェンス25は、柱25aとパネル25bと手摺25cと下端枠部25dを有する。柱25aは、床部21の先端部に適宜の手段で固定される。柱25aは、図2の紙面と垂直な方向に間隔をおいて複数設けられている。パネル25bは、手摺25cと下端枠部25dに取り付けられている。手摺25cと下端枠部25dは、柱25aに結合されている。パネル25bと手摺25cと下端枠部25dは、図2の紙面と垂直な方向に延びている。
【0032】
パーティション構造20は、上述のパーティション10を備える。パーティション10は、バルコニーにおいて隣戸間を図2の紙面と垂直な方向に仕切っている。
【0033】
パーティション10は、先端側パネル1がバルコニーの奥行方向先端側に位置するように建物に固定されている。また、先端側パネル1は、図2のように、高さ方向において、フェンス25(又はバルコニーの上記先端壁)の上端と同じ高さから、又は、当該上端よりも低い高さから、当該上端よりも上方の位置(例えばパーティション10の上端部)まで延びている。
【0034】
また、パーティション10は、図2のように、バルコニーの床面21aの近傍からバルコニーの天井面27aの近傍まで高さ方向に延びている。例えば、パーティション10の下端と、バルコニーの床面21aとの高さ方向距離(最小距離)は、10cm以下であってよい。また、パーティション10の上端と、バルコニーの天井面27aとの高さ方向距離(最小距離)は、10cm以下であってよい。
【0035】
パーティション10のフレーム構造7における複数箇所が、建物に固定されていてよい。例えば、図2のように、第1の外側縦枠部7aがバルコニーのフェンス25(又は上述の先端壁)とバルコニーの天井部27に固定され、第2の外側縦枠部7bが、躯体壁23に固定される。これらの固定は、適宜のブラケット31,39や連結部材35(図3)等を介してなされてよい。図2では、連結部材35の図示を省略している。なお、天井部27は、上階におけるバルコニーの床部21であってよい。なお、床部21、天井部27、および躯体壁23は、コンクリートで形成されていてよい。
【0036】
フレーム構造7の建物への固定手段の一例を、図2図4を参照して説明する。ただし、他の固定手段により、フレーム構造7を建物に固定してもよい。図2図4の例では、フレーム構造7において、第1の外側縦枠部7aが柱25aと天井部27に固定され、第2の外側縦枠部7bが躯体壁23に固定されている。
【0037】
図3は、図2のIII-III断面図である。図3では、手摺25cを透過して図示しており、手摺25cの外形を2点鎖線で示している。図3のように、第1の外側縦枠部7aは、ブラケット31を介してフェンス25の柱25aに固定されている。ブラケット31の一端側部は、フェンス25の柱25aにネジ32等により結合され、ブラケット31の他端側部は、ボルト33とナット34等により第1の外側縦枠部7aに結合される。ブラケット31による柱25aと第1の外側縦枠部7aとの結合は、高さ方向における複数箇所(図2では、柱25aの上端部と下端部)でなされてよい。
【0038】
また、図3のように、第2の外側縦枠部7bは、連結部材35を介して躯体壁23に固定されている。連結部材35(図3では2つの連結部材35の一端側部は、ボルト36とナット37等により第2の外側縦枠部7bに結合され、連結部材35(図3では一方の連結部材35)の他端側部は、アンカーボルト38等により躯体壁23に結合される。また、図3では、他方の連結部材35における躯体壁23側先端は、躯体壁23に接している。連結部材35は、図2では図示を省略しているが、第2の外側縦枠部7bに沿って、第2の外側縦枠部7bの全長にわたって延びていてよい。この場合、アンカーボルト38は、高さ方向における複数箇所(図2では、4箇所)に設けられてよい。
【0039】
図4は、図2のIV-IV断面図である。図4のように、第1の外側縦枠部7aは、ブラケット39を介して天井部27に固定されている。ブラケット39の下端側部は、第1の外側縦枠部7aにボルト41とナット42等により結合され、ブラケット39の上端部は、アンカーボルト43等により天井部27に結合される。
【0040】
(実施形態による効果)
パーティション10の上側部分10aの横方向先端側を構成する先端側パネル1は、光を透過させるように形成されている。したがって、先端側パネル1がバルコニーの奥行方向先端側に位置するようにパーティション10をバルコニーに配置することにより、先端側パネル1を通して日光が取り入れられる時間帯を得ることが可能になる。したがって、その分、パーティション10を通してバルコニー又はバルコニーに面する居室へ日光が取り込まれる時間を増やすことが可能になる。これにより、住戸のアメニティ性を高め、その結果、住戸の商品価値を向上させることができる。
【0041】
また、光を透過させる先端側パネル1は、不透明又は半透明に形成されているので、隣戸に対するプライバシーを確保することができる。しかも、本実施形態では、パーティション10において、光を透過させるパネル(先端側パネル1)が、パーティション10の先端側に限られて位置しているので、バルコニーにいる人は、プライバシー性確保の感覚を心理的に得ることができる。また、先端側パネル1の横方向寸法が、後端側パネル3の横方向寸法以下であることにより、プライバシー性確保の感覚が得られやすくなる。
【0042】
パーティション10の上側部分10aは、2枚のパネル(先端側パネル1と後端側パネル3)で構成されているので、各パネルの面積が減少する。その結果、パーティション10の耐風圧性能が向上する。更に、先端側パネル1を合わせガラスとすることで、先端側パネル1自体の耐風圧性や、強風発生時の飛来物に対する耐衝撃性も確保できる。
【0043】
また、フレーム構造7は、先端側パネル1と後端側パネル3との間に設けた中間縦枠部7eを有する。これにより、フレーム構造7の強化も図られる。
【0044】
特に、パーティション10がバルコニーの天井面27aの近傍まで高さ方向に延びている場合には、パーティション10において風圧を受ける面積が大きくなるので、耐風圧性能を向上させることが望まれる。これに対し、本実施形態では、上述のように、上側部分10aを2枚のパネル(端側パネルと後端側パネル3)で構成し、両者の間に中間縦枠部7eを設けることで、パーティション10の耐風圧性能を向上させることができる。
【0045】
先端側パネル1を光透過性パネルとすることで、居住する人が受ける圧迫感や閉塞感を低減できる。この場合、先端側パネル1を半透明に形成することで、視線の透過性が確保され、圧迫感や閉塞感を更に低減できる
【0046】
また、先端側パネル1は、建物の外側から見えやすい上側部分10aの先端側に位置し、この先端側パネル1を光透過性パネル(例えば、高さ方向に細長く延びるガラス板)とすることで、従来のパーティション10には無い意匠性を実現できる。例えば、先端側パネル1の材質とフェンス25のパネル25bの材質とを同じにし、フレーム構造7(例えば第1の外側縦枠部7aと中間縦枠部7e)の材質とフェンス25の手摺25c(および柱25aと下端枠部25d)の材質とを同じにすることで、優れた意匠性を実現できる。
【0047】
本発明は上述した実施の形態に限定されず、本発明の技術的思想の範囲内で種々変更を加え得ることは勿論である。
【0048】
例えば、本発明の実施形態によるパーティション10又はパーティション構造20は、上述した複数の事項の全て有していなくてもよく、上述した複数の事項のうち一部のみを有していてもよい。
【0049】
また、以下の変更例1~6のいずれかを採用してもよいし、以下の変更例1~6の2つ以上を、矛盾が生じないように組み合わせて採用してもよい。この場合、以下で述べない点は、上述と同様であってよい。
【0050】
(変更例1)
図5は、本発明の変更例1によるパーティション10を、その厚み方向から見た図である。パーティション10において、先端側パネル1の横方向先端縁は、図5のように、高さ方向の所定位置(例えば先端側パネル1の下端)からパーティション10の上端部(先端側パネル1の上端部)まで、高さ方向から横方向奥側へ傾いた斜め方向に直線状に延びていてもよい。これにより、パーティション10において風圧を受ける面積を減らしつつ、パーティション10の意匠性を高めることができる。なお、この場合、第1の外側縦枠部7aは、図5のように先端側パネル1の横方向先端縁に沿って延びていてよい。
【0051】
(変更例2)
図6は、本発明の変更例2によるパーティション10を、その厚み方向から見た図である。パーティション10において、先端側パネル1の横方向先端縁は、図6のように、高さ方向の所定位置(例えば先端側パネル1の中間位置)からパーティション10の上端部(先端側パネル1の上端部)まで、高さ方向から横方向奥側へ傾いた斜め上方に曲線状(図6では、円弧状)に延びていてもよい。これにより、パーティション10において風圧を受ける面積を減らしつつ、パーティション10の意匠性を高めることができる。なお、この場合、第1の外側縦枠部7aは、図6のように先端側パネル1の横方向先端縁に沿って延びていてよい。
【0052】
(変更例3)
図7は、本発明の変更例3によるパーティション10を、その厚み方向から見た図である。パーティション10において、先端側パネル1は、図7のように、パーティション10の上側部分10aと下側部分10bの各々における横方向先端側に設けられてもよい。
【0053】
この場合、フレーム構造7は、下側部分10bにおいて第2の中間縦枠部7gを更に有する。第2の中間縦枠部7gは、中間横枠7fとの結合箇所から第2の外側横枠部7dとの結合箇所まで高さ方向に延びている。下側部分10bに設けた先端側パネル1は、第1の外側縦枠部7a、中間横枠7f、第2の中間縦枠部7g、及び第2の外側横枠部7dに取り付けられ、これらの枠部に囲まれた領域を占めている。なお、この変更例3では、下側パネル5は、下側部分10bの先端側パネル1よりも横方向後端側に位置する第2の後端側パネルとなっている。すなわち、下側部分10bにおいて、先端側パネル1と下側パネル5は、横方向に配列されている。下側パネル5は、第2の外側縦枠部7b、中間横枠7f、第2の中間縦枠部7g、及び第2の外側横枠部7dに取り付けられ、これらの枠部に囲まれた領域を占めていてよい。上側部分10aに設けた先端側パネル1等の構成は、上述と同じである。
【0054】
中間縦枠部7eと第2の中間縦枠部7gは、図7の例では横方向において同じ位置にあるが、横方向に互いにずれていてもよい。すなわち、中間縦枠部7eと第2の中間縦枠部7gは、横方向位置が別々に設定されて中間横枠7fに結合されてもよい。したがって、上側の先端側パネル1と下側の先端側パネル1の横方向寸法は、上述のようにプライバシー性が確保される範囲内で、別々に上述のように設定されてよい。このような各先端側パネル1の横方向寸法は、上述のように、当該先端側パネル1と横方向に整列される後端側パネル3又は下側パネル5の横方向寸法以下であってよい。例えば、各先端側パネル1の横方向寸法は、当該先端側パネル1と横方向に整列される後端側パネル3又は下側パネル5の横方向寸法の1/2以下、1/3以下、または1/4以下であってよい。この場合、各先端側パネル1の横方向寸法は、当該先端側パネル1と横方向に整列される後端側パネル3又は下側パネル5の横方向寸法の1/5以上、1/6以上、又は1/8以上であってよい。
【0055】
(変更例4)
図8は、本発明の変更例4によるパーティション10を、その厚み方向から見た図である。先端側パネル1は、図8のように、パーティション10の横方向先端側において、パーティション10の下端部から上端部まで連続的に延びていてもよい。
【0056】
この場合、中間縦枠部7eは、第1の外側横枠部7cとの結合箇所から第2の外側横枠部7dとの結合箇所まで高さ方向に延びていてよく、中間横枠7fは、中間縦枠部7eとの結合箇所から第2の外側縦枠部7bとの結合箇所まで横方向に延びていてよい。先端側パネル1は、第1の外側縦枠部7a、第1の外側横枠部7c、中間縦枠部7e、及び第2の外側横枠部7dに取り付けられ、これらの枠部に囲まれた領域を占めている。
【0057】
(変更例5)
図9は、本発明の変更例5によるパーティション10を、その厚み方向から見た図である。パーティション10において、先端側パネル1は、図9のように、パーティション10の上側部分10aにおける横方向先端側には設けられず、パーティション10の下側部分10bにおける横方向先端側に設けられてもよい。
【0058】
この場合、中間縦枠部7eは、中間横枠7fとの結合箇所から第2の外側横枠部7dとの結合箇所まで高さ方向に延びている。下側部分10bに設けた先端側パネル1は、第1の外側縦枠部7a、中間横枠7f、中間縦枠部7e、及び第2の外側横枠部7dに取り付けられ、これらの枠部に囲まれた領域を占めている。
【0059】
また、後端側パネル3は、下側部分10bにおいて、中間横枠7f、第2の外側縦枠部7b、第2の外側横枠部7d、及び中間縦枠部7eに取り付けられ、これらの枠部に囲まれた領域を占めている。
【0060】
上側部分10aには、上側パネル6が設けられる。上側パネル6は、第1の外側縦枠部7a、第1の外側横枠部7c、第2の外側縦枠部7b、及び中間横枠7fに取り付けられ、これらの枠部に囲まれた領域を占めていてよい。上側パネル6の透明度は、先端側パネル1の透明度よりも低い。例えば、上側パネル6は、光を透過させないように形成されていてよい。上側パネル6は、フレキシブルボードまたはケイ酸カルシウム板等の乾式ボードであってよいが、これらに限定されない。
【0061】
(変更例6)
本発明によるパーティションにおいて、先端側パネル1は、パーティションの横方向先端側に設けられていれば、その高さ方向の存在範囲は、上述や各図の例に限定されず、任意に設定されてよい。この場合にも、図示を省略するが、先端側パネル1よりも横方向後端側には、後端側パネルが設けられ、当該先端側パネル1と当該後端側パネルは、横方向に配列されていてよい。また、当該先端側パネル1と当該後端側パネルは、、両者の間に位置し高さ方向に延びる中間縦枠部に取り付けられてよい。この中間縦枠部は、パーティションのフレーム構造を構成する。
【0062】
(バルコニー)
本願において、バルコニーは、複数の住戸を有する集合住宅としての建物において、当該建物の躯体壁(上述では躯体壁23)から外側に延びており(例えば張り出しており)人が歩行可能な床部(上述では床部21)上のスペースであればよい。このスペースと当該躯体壁側の居室との間で当該躯体壁の開口(窓枠)を通して人が出入り可能である。
【0063】
このようなバルコニーは、ベランダやルーフバルコニーを含んでもよい。上述では、パーティション10の上端部は天井部27に結合されていたが、ベランダやルーフバルコニーの場合、本発明のパーティションの上端部は、建物の構造部に結合されていなくてもよいし、建物における適宜の構造部に結合されていてもよい。
【符号の説明】
【0064】
1 先端側パネル、3 後端側パネル、5 下側パネル、6 上側パネル、7 フレーム構造、7a 第1の外側縦枠部、7b 第2の外側縦枠部、7c 第1の外側横枠部、7d 第2の外側横枠部、7e 中間縦枠部、7f 中間横枠部、7g 第2の中間縦枠部、10 パーティション、10a パーティションの上側部分、10b パーティションの下側部分、20 パーティション構造、21 床部、23 躯体壁、25 フェンス、25a 柱、25b パネル、25c 手摺、25d 下端枠部、27 天井部、31 ブラケット、32 ネジ、33 ボルト、34 ナット、35 連結部材、36 ボルト、37 ナット、38 アンカーボルト、39 ブラケット、41 ボルト、42 ナット、43 アンカーボルト
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9