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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-02-20
(45)【発行日】2025-03-03
(54)【発明の名称】基板処理方法および基板処理装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/308 20060101AFI20250221BHJP
   H01L 21/306 20060101ALI20250221BHJP
【FI】
H01L21/308 E
H01L21/306 D
【請求項の数】 26
(21)【出願番号】P 2021041310
(22)【出願日】2021-03-15
(65)【公開番号】P2022141138
(43)【公開日】2022-09-29
【審査請求日】2023-12-18
(73)【特許権者】
【識別番号】000207551
【氏名又は名称】株式会社SCREENホールディングス
(74)【代理人】
【識別番号】100093056
【弁理士】
【氏名又は名称】杉谷 勉
(74)【代理人】
【識別番号】100142930
【弁理士】
【氏名又は名称】戸高 弘幸
(74)【代理人】
【識別番号】100175020
【弁理士】
【氏名又は名称】杉谷 知彦
(74)【代理人】
【識別番号】100180596
【弁理士】
【氏名又は名称】栗原 要
(74)【代理人】
【識別番号】100195349
【弁理士】
【氏名又は名称】青野 信喜
(72)【発明者】
【氏名】塙 洋祐
(72)【発明者】
【氏名】上田 大
(72)【発明者】
【氏名】春本 晶子
【審査官】長谷川 直也
(56)【参考文献】
【文献】特開平01-184281(JP,A)
【文献】特開平08-241873(JP,A)
【文献】特開2003-277956(JP,A)
【文献】特開2008-252025(JP,A)
【文献】特表2020-515047(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/308
H01L 21/306
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板を処理する基板処理方法であって、
添加剤が溶解された第1処理液に含まれるヨウ化物イオン(I)が減少することを抑制する調整工程と、
前記調整工程によって調整された前記第1処理液、および、基板をエッチングするための第1エッチング液を基板に供給する供給工程と、
を備え
前記調整工程は、前記第1処理液の溶存酸素の濃度を低下させる
基板処理方法。
【請求項2】
請求項1に記載の基板処理方法において、
前記調整工程は、前記第1処理液中に不活性ガスを供給し、前記第1処理液中に気泡を生成する
基板処理方法。
【請求項3】
基板を処理する基板処理方法であって、
添加剤が溶解された第1処理液に含まれるヨウ化物イオン(I)が減少することを抑制する調整工程と、
前記調整工程によって調整された前記第1処理液、および、基板をエッチングするための第1エッチング液を基板に供給する供給工程と、
を備え
前記調整工程は、前記第1処理液を脱気する
基板処理方法。
【請求項4】
請求項3に記載の基板処理方法において、
前記調整工程は、気液分離部によって前記第1処理液を濾過して、前記第1処理液を脱気する
基板処理方法。
【請求項5】
基板を処理する基板処理方法であって、
添加剤が溶解された第1処理液に含まれるヨウ化物イオン(I)が減少することを抑制する調整工程と、
前記調整工程によって調整された前記第1処理液、および、基板をエッチングするための第1エッチング液を基板に供給する供給工程と、
を備え
前記調整工程では、前記ヨウ化物イオン(I )がヨウ素分子(I )および三ヨウ化物イオン(I )の少なくともいずれかになることを抑制する
基板処理方法。
【請求項6】
請求項1から5のいずれかに記載の基板処理方法において、
前記供給工程は、前記調整工程によって調整された前記第1処理液前記第1エッチング液に加えた混合液を基板に供給する
基板処理方法。
【請求項7】
請求項1から6のいずれかに記載の基板処理方法において、
前記第1処理液は、前記添加剤が純水に溶解した水溶液である
基板処理方法。
【請求項8】
基板を処理する基板処理方法であって、
添加剤が溶解された第1処理液に含まれるヨウ化物イオン(I)が減少することを抑制する調整工程と、
前記調整工程によって調整された第1処理液を基板に供給する供給工程と、
を備え、
前記第1処理液は、さらに、基板をエッチングするための第2エッチング液を含み、
前記調整工程は、前記第1処理液の溶存酸素の濃度を低下させる
基板処理方法。
【請求項9】
請求項8に記載の基板処理方法において、
前記調整工程は、前記第1処理液中に不活性ガスを供給し、前記第1処理液中に気泡を生成する
基板処理方法。
【請求項10】
基板を処理する基板処理方法であって、
添加剤が溶解された第1処理液に含まれるヨウ化物イオン(I)が減少することを抑制する調整工程と、
前記調整工程によって調整された第1処理液を基板に供給する供給工程と、
を備え、
前記第1処理液は、さらに、基板をエッチングするための第2エッチング液を含み、
前記調整工程は、前記第1処理液を脱気する
基板処理方法。
【請求項11】
請求項10に記載の基板処理方法において、
前記調整工程は、気液分離部によって前記第1処理液を濾過して、前記第1処理液を脱気する
基板処理方法。
【請求項12】
基板を処理する基板処理方法であって、
添加剤が溶解された第1処理液に含まれるヨウ化物イオン(I)が減少することを抑制する調整工程と、
前記調整工程によって調整された第1処理液を基板に供給する供給工程と、
を備え、
前記第1処理液は、さらに、基板をエッチングするための第2エッチング液を含み、
前記調整工程では、前記ヨウ化物イオン(I )がヨウ素分子(I )および三ヨウ化物イオン(I )の少なくともいずれかになることを抑制する
基板処理方法。
【請求項13】
請求項1から12のいずれかに記載の基板処理方法において、
前記添加剤は、前記添加剤から前記第1処理液中に前記ヨウ化物イオン(I)を遊離させる
基板処理方法。
【請求項14】
請求項1から13のいずれかに記載の基板処理方法において、
前記添加剤は、
テトラメチルアンモニウムヨージド(TMAI)、
テトラエチルアンモニウムヨージド(TEAI)、
テトラプロピルアンモニウムヨージド(TPAI)、
テトラブチルアンモニウムヨージド、
ヨウ化アンモニウム、および、
ヨウ化水素
の少なくともいずれかを含む
基板処理方法。
【請求項15】
請求項1から14のいずれかに記載の基板処理方法において、
前記調整工程は、前記第1処理液中の前記ヨウ化物イオン(I)の濃度、前記第1処理液の酸化還元電位、および、前記第1処理液の溶存酸素の濃度の少なくともいずれかを検出する
基板処理方法。
【請求項16】
請求項15に記載の基板処理方法において、
前記第1処理液中の前記ヨウ化物イオン(I)の濃度の検出結果、前記第1処理液の酸化還元電位の検出結果、および、前記第1処理液の溶存酸素の濃度の検出結果の少なくともいずれかに基づいて、前記調整工程は、開始し、かつ、終了する
基板処理方法。
【請求項17】
請求項15または16に記載の基板処理方法において、
前記第1処理液中の前記ヨウ化物イオン(I)の濃度の検出結果、前記第1処理液の酸化還元電位の検出結果、および、前記第1処理液の溶存酸素の濃度の検出結果の少なくともいずれかに基づいて、前記添加剤および前記添加剤の溶媒の少なくともいずれかを前記第1処理液に補充する
基板処理方法。
【請求項18】
基板処理装置であって、
添加剤が溶解され、かつ、ヨウ化物イオン(I)を含む第1処理液から、前記第1処理液の溶存酸素を除去する調整部と、
前記調整部によって調整された前記第1処理液、および、基板をエッチングするための第1エッチング液を基板に供給する供給部と、
を備える基板処理装置。
【請求項19】
請求項18の記載の基板処理装置において、
前記供給部は、前記調整部によって調整された前記第1処理液前記第1エッチング液に加えた混合液を基板に供給する
基板処理装置。
【請求項20】
請求項18または19に記載の基板処理装置において、
前記第1処理液は、前記添加剤が純水に溶解した水溶液である
基板処理装置。
【請求項21】
基板処理装置であって、
添加剤が溶解され、かつ、ヨウ化物イオン(I)を含む第1処理液から、前記第1処理液の溶存酸素を除去する調整部と、
前記調整部によって調整された前記第1処理液を、基板に供給する供給部と、
を備え、
前記第1処理液は、基板をエッチングするための第2エッチング液を含む
基板処理装置。
【請求項22】
請求項18から21のいずれかに記載の基板処理装置において、
前記第1処理液中の前記ヨウ化物イオン(I)の濃度を検出する第1センサと、
前記第1センサの検出結果を取得する制御部と、
を備える
基板処理装置。
【請求項23】
請求項22に記載の基板処理装置において、
前記制御部は、前記第1センサの検出結果に基づいて、前記調整部を制御する
基板処理装置。
【請求項24】
請求項22または23に記載の基板処理装置において、
前記添加剤の溶媒を前記第1処理液に補充する第1補充部と、
を備え、
前記制御部は、前記第1センサの検出結果に基づいて、前記第1補充部によって前記第1処理液に前記溶媒を補充させる
基板処理装置。
【請求項25】
請求項18から24のいずれかに記載の基板処理装置において、
前記調整部は、前記第1処理液中に不活性ガスを供給し、前記第1処理液中に気泡を生成する気泡生成部を備える
基板処理装置。
【請求項26】
請求項18から25のいずれかに記載の基板処理装置において、
前記調整部は、前記第1処理液を濾過して、前記第1処理液を脱気する気液分離部を備える
基板処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、基板に処理を行う基板処理方法および基板処理装置に関する。基板は、例えば、半導体ウエハ、液晶ディスプレイ用基板、有機EL(Electroluminescence)用基板、FPD(Flat Panel Display)用基板、光ディスプレイ用基板、磁気ディスク用基板、光ディスク用基板、光磁気ディスク用基板、フォトマスク用基板、太陽電池用基板である。
【背景技術】
【0002】
特許文献1、2の基板処理装置は、基板にエッチング液を供給して、基板をエッチングする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開平9-22891号公報
【文献】特開平9-115875号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年、基板の表面に形成されるパターンは、微細化している。パターンは、複数の凸部(構造体)と、複数の凹部(空間)を含む。凸部は、例えば、シリコン酸化膜(SiO2)やシリコン窒化膜(SiN)やポリシリコン膜で構成される。凹部は、凸部に隣接する。凸部は、凹部を区画する壁に相当する。パターンが微細になるにしたがって、凹部は狭小になる。例えば、隣り合う2つの凸部の間の離隔距離が、数十ナノメール以下になる場合がある。例えば、凹部は、たった、数十ナノメール以下の幅しか有しない場合がある。
【0005】
このため、エッチング処理では、狭小な凹部に対してエッチング液を供給する場合がある。エッチング液は、狭小な凹部において基板をエッチングする場合がある。しかしながら、エッチング処理の品質が、凹部のサイズによって、低下する場合があった。例えば、凹部が狭小である場合、基板を適切にエッチングできない場合があった。例えば、凹部が狭小である場合、エッチング機能が低下する場合があった。
【0006】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、基板上の凹部のサイズに関係無く、基板を適切にエッチングできる基板処理方法および基板処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者は、上記の課題を解決するために鋭意研究した。まず、本発明者らは、ヨウ化物イオン(I)に注目した。ヨウ化物イオン(I)は、疎水性を有する。基板上の凸部も、疎水性を有する。このため、ヨウ化物イオン(I)と凸部の間の相性は、水分子と凸部の間の相性に比べて、良好である。
【0008】
そこで、本発明者らは、ヨウ化物イオン(I)を含むエッチング液を基板に供給することを検討した。エッチング液中のヨウ化物イオン(I)は、基板上の凹部に容易に入る。凹部に対するヨウ化物イオン(I)の入り易さは、凹部のサイズに依存しない。仮に凹部が狭小であっても、ヨウ化物イオン(I)は凹部に容易に入る。
【0009】
ここで、ヨウ化物イオン(I)は、アニオンである。より詳しくは、ヨウ化物イオン(I)は、1つのヨウ素原子からなる1価の単原子アニオンである。エッチング液は、水素イオン(H)を含む。水素イオン(H)は、カチオンである。このため、ヨウ化物イオン(I)は、処理液に含まれる水素イオン(H)を引き連れて、移動可能である。言い換えれば、ヨウ化物イオン(I)は、水素イオン(H)の移動を促進可能である。このため、凹部のサイズに関係無く、水素イオン(H)も、容易に凹部に入る。
【0010】
水素イオン(H)は、基板をエッチングするイオンの1つである。このため、凹部のサイズに関係無く、基板を適切にエッチングできる。
【0011】
しかしながら、本発明者らは、新たな問題を知見した。新たな問題は、ヨウ化物イオン(I)を含むエッチング液を使用しても、エッチング機能がばらつく場合やエッチング機能が低下する場合があることである。そこで、本発明者らは、新たな問題について、さらに検討した。
【0012】
本発明は、これらの知見に基づいて、さらに鋭意検討することによって得られたものであり、次のような構成をとる。すなわち、本発明は、基板を処理する基板処理方法であって、添加剤が溶解された第1処理液に含まれるヨウ化物イオン(I)が減少することを抑制する調整工程と、前記調整工程によって調整された前記第1処理液、および、基板をエッチングするための第1エッチング液を基板に供給する供給工程と、を備える基板処理方法である。
【0013】
添加剤は第1処理液に溶解される。第1処理液は、ヨウ化物イオン(I)を含む。基板処理方法は、調整工程と供給工程を備える。調整工程は、第1処理液に含まれるヨウ化物イオン(I)が減少することを抑制する。このため、第1処理液は十分なヨウ化物イオン(I)を含む。供給工程は、前記調整工程によって調整された第1処理液を基板に供給する。さらに、供給工程は、第1エッチング液を基板に供給する。上述の通り、前記調整工程によって調整された第1処理液は、十分なヨウ化物イオン(I)を含む。このため、基板上の凹部のサイズに関係無く、ヨウ化物イオン(I)は、凹部に容易に入る。凹部のサイズに関係無く、第1エッチング液中の水素イオン(H)も、ヨウ化物イオン(I)とともに、凹部に容易に入る。その結果、凹部のサイズに関係無く、基板を適切にエッチングできる。
【0014】
以上の通り、本発明の基板処理方法によれば、基板上の凹部のサイズに関係無く、基板を適切にエッチングできる。
【0015】
上述した基板処理方法において、前記供給工程は、前記調整工程によって調整された前記第1処理液前記第1エッチング液に加えた混合液を基板に供給することが好ましい。供給工程は、混合液を基板に供給する。ここで、混合液は、調整工程によって調整された第1処理液を、第1エッチング液に加えたものである。すなわち、混合液は、第1処理液と第1エッチング液を含む。このため、混合液を供給することは、第1処理液および第1エッチング液を供給することに相当する。さらに、混合液が第1処理液と第1エッチング液を含むことは、混合液がヨウ化物イオン(I)と水素イオン(H)を含むことに相当する。このため、混合液が基板に供給された直後から、ヨウ化物イオン(I)は水素イオン(H)の移動を好適に促進できる。よって、基板を一層適切にエッチングできる。
【0016】
上述した基板処理方法において、前記第1処理液は、前記添加剤が純水に溶解した水溶液であることが好ましい。このため、調整工程は、第1処理液に含まれるヨウ化物イオン(I)が減少することを容易に抑制できる。
【0017】
本発明は、基板を処理する基板処理方法であって、添加剤が溶解された第1処理液に含まれるヨウ化物イオン(I)が減少することを抑制する調整工程と、前記調整工程によって調整された第1処理液を基板に供給する供給工程と、を備え、前記第1処理液は、さらに、基板をエッチングするための第2エッチング液を含む基板処理方法である。
【0018】
添加剤は第1処理液に溶解される。第1処理液は、ヨウ化物イオン(I)を含む。基板処理方法は、調整工程と供給工程を備える。調整工程は、第1処理液に含まれるヨウ化物イオン(I)が減少することを抑制する。このため、第1処理液は十分なヨウ化物イオン(I)を含む。第1処理液は、さらに、第2エッチング液を含む。すなわち、第1処理液は、水素イオン(H)を含む。供給工程は、調整工程によって調整された第1処理液を基板に供給する。上述の通り、調整工程によって調整された第1処理液は十分なヨウ化物イオン(I)を含む。第1処理液は、さらに、水素イオン(H)を含む。このため、基板上の凹部のサイズに関係無く、ヨウ化物イオン(I)は、水素イオン(H)を引き連れて、容易に凹部に入る。第1処理液が基板に供給された直後から、水素イオン(H)は、ヨウ化物イオン(I)とともに、凹部に容易に入る。その結果、凹部のサイズに関係無く、基板を適切にエッチングできる。
【0019】
以上の通り、本発明の基板処理方法によれば、基板上の凹部のサイズに関係無く、基板を適切にエッチングできる。
【0020】
上述した基板処理方法において、前記添加剤は、前記添加剤から前記第1処理液中に前記ヨウ化物イオン(I)を遊離させることが好ましい。第1処理液は、ヨウ化物イオン(I)を好適に含むことができる。
【0021】
上述した基板処理方法において、前記添加剤は、テトラメチルアンモニウムヨージド(TMAI)、テトラエチルアンモニウムヨージド(TEAI)、テトラプロピルアンモニウムヨージド(TPAI)、テトラブチルアンモニウムヨージド、ヨウ化アンモニウム、および、ヨウ化水素の少なくともいずれかを含むことが好ましい。第1処理液は、ヨウ化物イオン(I)を好適に含むことができる。
【0022】
上述した基板処理方法において、前記調整工程は、前記第1処理液の溶存酸素の濃度を低下させることが好ましい。調整工程は、第1処理液に含まれるヨウ化物イオン(I)が減少することを好適に抑制できる。
【0023】
上述した基板処理方法において、前記調整工程は、前記第1処理液中に不活性ガスを供給し、前記第1処理液中に気泡を生成することが好ましい。調整工程は、第1処理液の溶存酸素の濃度を好適に低下させることができる。
【0024】
上述した基板処理方法において、前記調整工程は、前記第1処理液を脱気することが好ましい。調整工程は、第1処理液に含まれるヨウ化物イオン(I)が減少することを好適に抑制できる。
【0025】
上述した基板処理方法において、前記調整工程は、気液分離部によって前記第1処理液を濾過して、前記第1処理液を脱気することが好ましい。調整工程は、第1処理液を好適に脱気できる。
【0026】
上述した基板処理方法において、前記調整工程は、前記第1処理液中の前記ヨウ化物イオン(I)の濃度、前記第1処理液の酸化還元電位、および、前記第1処理液の溶存酸素の濃度の少なくともいずれかを検出することが好ましい。第1処理液中のヨウ化物イオン(I)の濃度を検出する場合、調整工程は、第1処理液中のヨウ化物イオン(I)の濃度を好適に把握できる。第1処理液の酸化還元電位を検出する場合、調整工程は、第1処理液中のヨウ化物イオン(I)の濃度を好適に推測できる。第1処理液の溶存酸素の濃度を検出する場合、調整工程は、第1処理液中のヨウ化物イオン(I)の濃度を好適に推測できる。
【0027】
上述した基板処理方法において、前記第1処理液中の前記ヨウ化物イオン(I)の濃度の検出結果、前記第1処理液の酸化還元電位の検出結果、および、前記第1処理液の溶存酸素の濃度の検出結果の少なくともいずれかに基づいて、前記調整工程は、開始し、かつ、終了することが好ましい。調整工程を、適切なタイミングで開始できる。調整工程を、適切なタイミングで終了できる。
【0028】
上述した基板処理方法において、前記第1処理液中の前記ヨウ化物イオン(I)の濃度の検出結果、前記第1処理液の酸化還元電位の検出結果、および、前記第1処理液の溶存酸素の濃度の検出結果の少なくともいずれかに基づいて、前記添加剤および前記添加剤の溶媒の少なくともいずれかを前記第1処理液に補充することが好ましい。第1処理液中のヨウ化物イオン(I)の濃度を、好適に調整できる。
【0029】
上述した基板処理方法において、基板は凹部を有することが好ましい。基板が凹部を有する場合であっても、基板上の凹部のサイズに関係無く、基板を適切にエッチングできる。
【0030】
本発明は、基板処理装置であって、添加剤が溶解され、かつ、ヨウ化物イオン(I)を含む第1処理液から、前記第1処理液の溶存酸素を除去する調整部と、前記調整部によって調整された前記第1処理液、および、基板をエッチングするための第1エッチング液を基板に供給する供給部と、を備える基板処理装置である。
【0031】
添加剤は、第1処理液に溶解される。第1処理液は、ヨウ化物イオン(I)を含む。基板処理装置は、調整部と供給部を備える。調整部は、第1処理液の溶存酸素を第1処理液から除去する。これにより、第1処理液に含まれるヨウ化物イオン(I)の減少が抑制される。よって、調整部によって調整された第1処理液は、十分なヨウ化物イオン(I)を含む。供給部は、調整部によって調整された第1処理液、および、第1エッチング液を、基板に供給する。上述の通り、調整部によって調整された第1処理液は、十分なヨウ化物イオン(I)を含む。このため、基板上の凹部のサイズに関係無く、ヨウ化物イオン(I)は、凹部に容易に入る。凹部のサイズに関係無く、第1エッチング液中の水素イオン(H)も、ヨウ化物イオン(I)とともに、凹部に容易に入る。その結果、凹部のサイズに関係無く、基板を適切にエッチングできる。
【0032】
以上の通り、本発明の基板処理装置によれば、基板上の凹部のサイズに関係無く、基板を適切にエッチングできる。
【0033】
上述した基板処理装置において、前記供給部は、前記調整部によって調整された前記第1処理液前記第1エッチング液に加えた混合液を基板に供給することが好ましい。液供給部は、混合液を供給する。ここで、混合液は、調整部によって調整された第1処理液を、第1エッチング液に加えたものである。すなわち、混合液は、第1処理液と第1エッチング液を含む。このため、混合液を供給することは、第1処理液および第1エッチング液を供給することに相当する。さらに、混合液が第1処理液と第1エッチング液を含むことは、混合液がヨウ化物イオン(I)と水素イオン(H)を含むことに相当する。このため、混合液が基板に供給された直後から、ヨウ化物イオン(I)は水素イオン(H)の移動を好適に促進できる。よって、基板を一層適切にエッチングできる。
【0034】
上述した基板処理装置において、前記第1処理液は、前記添加剤が純水に溶解した水溶液であることが好ましい。このため、調整部は、第1処理液に含まれるヨウ化物イオン(I)が減少することを容易に抑制できる。
【0035】
本発明は、基板処理装置であって、添加剤が溶解され、かつ、ヨウ化物イオン(I)を含む第1処理液から、前記第1処理液の溶存酸素を除去する調整部と、前記調整部によって調整された前記第1処理液を、基板に供給する供給部と、を備え、前記第1処理液は、基板をエッチングするための第2エッチング液を含む基板処理装置である。
【0036】
添加剤は、第1処理液に溶解される。第1処理液は、ヨウ化物イオン(I)を含む。基板処理装置は、調整部と供給部を備える。調整部は、第1処理液の溶存酸素を第1処理液から除去する。このため、第1処理液に含まれるヨウ化物イオン(I)の減少が抑制される。よって、調整部によって調整された第1処理液は、十分なヨウ化物イオン(I)を含む。第1処理液は、さらに、第2エッチング液を含む。すなわち、第1処理液は、水素イオン(H)を含む。供給部は、調整部によって調整された第1処理液を、基板に供給する。上述の通り、調整部によって調整された第1処理液は、十分なヨウ化物イオン(I)を含む。第1処理液は、さらに、水素イオン(H)を含む。このため、基板上の凹部のサイズに関係無く、ヨウ化物イオン(I)は、水素イオン(H)を引き連れて、凹部に容易に入る。第1処理液が基板に供給された直後から、水素イオン(H)は、ヨウ化物イオン(I)とともに、凹部に容易に入る。その結果、凹部のサイズに関係無く、基板を適切にエッチングできる。
【0037】
以上の通り、本発明の基板処理装置によれば、基板上の凹部のサイズに関係無く、基板を適切にエッチングできる。
【0038】
上述した基板処理装置において、前記第1処理液中の前記ヨウ化物イオン(I)の濃度を検出する第1センサと、前記第1センサの検出結果を取得する制御部と、を備えることが好ましい。制御部は、第1処理液中のヨウ化物イオン(I)の濃度を好適に監視できる。
【0039】
上述した基板処理装置において、前記制御部は、前記第1センサの検出結果に基づいて、前記調整部を制御することが好ましい。制御部は、調整部を適切に制御できる。
【0040】
上述した基板処理装置において、前記添加剤の溶媒を前記第1処理液に補充する第1補充部と、を備え、前記制御部は、前記第1センサの検出結果に基づいて、前記第1補充部によって前記第1処理液に前記溶媒を補充させることが好ましい。制御部は、第1処理液を好適に希釈できる。
【0041】
上述した基板処理装置において、前記調整部は、前記第1処理液中に不活性ガスを供給し、前記第1処理液中に気泡を生成する気泡生成部を備えることが好ましい。調整部は、気泡発生部を備える。よって、調整部は、第1処理液の溶存酸素の濃度を好適に低下させることができる。
【0042】
上述した基板処理装置において、前記調整部は、前記第1処理液を濾過して、前記第1処理液を脱気する気液分離部を備えることが好ましい。調整部は、気液分離部を備える。このため、調整部は、第1処理液を好適に脱気できる。よって、調整部は、第1処理液の溶存酸素の濃度を好適に低下させることができる。
【0043】
上述した基板処理装置において、基板は凹部を有することが好ましい。基板が凹部を有する場合であっても、基板上の凹部のサイズに関係無く、基板を適切にエッチングできる。
【発明の効果】
【0044】
本発明の基板処理方法および基板処理装置によれば、基板上の凹部のサイズに関係無く、基板を適切にエッチングできる。
【図面の簡単な説明】
【0045】
図1】基板をエッチングする動作を模式的に示す図である。
図2】基板をエッチングする動作を模式的に示す図である。
図3】基板をエッチングする動作を模式的に示す図である。
図4】基板処理装置の内部を示す平面図である。
図5】基板処理装置の制御ブロック図である。
図6】第1実施形態の処理ユニットおよび処理液調整ユニットの構成を示す図である。
図7】第2実施形態の処理ユニットおよび処理液調整ユニットの構成を示す図である。
図8】第3実施形態の処理ユニットおよび処理液調整ユニットの構成を示す図である。
図9】第4実施形態の処理ユニットおよび処理液調整ユニットの構成を示す図である。
図10】変形実施形態の処理ユニットおよび処理液調整ユニットの構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0046】
<1.ヨウ化物イオン(I)を用いたエッチング処理の原理>
ヨウ化物イオン(I)を用いたときにエッチング機能がばらつくメカニズムを、本発明者らは、以下のように推察した。
【0047】
図1、2、3はそれぞれ、基板Wをエッチングする動作を模式的に示す図である。基板Wは、例えば、半導体ウエハ、液晶ディスプレイ用基板、有機EL(Electroluminescence)用基板、FPD(Flat Panel Display)用基板、光ディスプレイ用基板、磁気ディスク用基板、光ディスク用基板、光磁気ディスク用基板、フォトマスク用基板、太陽電池用基板である。基板Wは、薄い平板形状を有する。基板Wは、平面視で略円形状を有する。
【0048】
図1を参照する。基板Wは、パターン形成面W1を有する。パターン形成面W1は、例えば、シリコン酸化膜(SiO2)やシリコン窒化膜(SiN)やポリシリコン膜で構成される。パターン形成面W1は、凸部W2と凹部Aを有する。凸部W2は、基板Wの一部である。凸部W2は、構造体である。凸部W2も、熱酸化膜(SiO2)で構成される。凹部Aは、空間である。凹部Aは、凸部W2に隣接する。凸部W2は、凹部Aを区画する壁に相当する。凸部W2は、疎水性を有する。
【0049】
処理液は、基板Wのパターン形成面W1に供給される。処理液は、エッチング液とヨウ化物イオン(I)を含む。処理液がエッチング液を含むので、処理液は水素イオン(H)を含む。水素イオン(H)は、基板Wをエッチングするイオンの1つである。水素イオン(H)は、カチオンである。ヨウ化物イオン(I)は、アニオンである。より詳しくは、ヨウ化物イオン(I)は、1価の単原子アニオンである。ヨウ化物イオン(I)は、疎水性を有する。
【0050】
凸部W2とヨウ化物イオン(I)はともに、疎水性である。このため、凸部W2とヨウ化物イオン(I)の間の相性は、凸部W2と水分子の間の相性よりも、良好である。よって、エッチング液中のヨウ化物イオン(I)は、凹部Aに容易に入る。凹部Aに対するヨウ化物イオン(I)の入り易さは、凹部Aのサイズに依存しない。凹部Aは、凸部W2に隣接するからである。仮に凹部Aが狭小であっても、ヨウ化物イオン(I)は凹部Aに容易に入る。
【0051】
ヨウ化物イオン(I)はアニオンであり、水素イオン(H)はカチオンである。このため、ヨウ化物イオン(I)と水素イオン(H)は、互いに引き合う。ヨウ化物イオン(I)は、水素イオン(H)を引き連れて、移動可能である。言い換えれば、ヨウ化物イオン(I)は、水素イオン(H)の移動を促進可能である。よって、凹部Aのサイズに関係無く、水素イオン(H)も、容易に凹部Aに入る。その結果、凹部Aにおける水素イオン(H)の濃度は、低くならない。
【0052】
水素イオン(H)は、基板をエッチングするイオンの1つである。このため、凹部のサイズに関係無く、基板Wを適切にエッチングできる。
【0053】
図2を参照する。2つのヨウ化物イオン(I)は、ヨウ素分子(I)になる場合がある。
2I → I+2e
これにより、ヨウ化物イオン(I)は減少する。ヨウ素分子(I)は増える。
【0054】
ヨウ素分子(I)は、電気的に中性である。このため、ヨウ素分子(I)と水素イオン(H)は、互いに引き合わない。ヨウ素分子(I)は、水素イオン(H)を引き連れて、移動しない。言い換えれば、ヨウ素分子(I)は、水素イオン(H)の移動を促進しない。よって、ヨウ素分子(I)は、水素イオン(H)を引き連れずに、凹部Aに入る。ヨウ素分子(I)が凹部Aに入っても、水素イオン(H)は凹部Aに容易に入らない。その結果、凹部Aにおける水素イオン(H)の濃度は、低くなる。したがって、基板Wを適切にエッチングできない。すなわち、エッチング機能が低下する。
【0055】
さらに、ヨウ素分子(I)は、不純物またはゴミとして、基板Wに付着する場合がある。この場合、エッチング処理の品質が著しく低下する。
【0056】
図3を参照する。ヨウ化物イオン(I)は、三ヨウ化物イオン(I )になる場合がある。
+ I → I
これにより、ヨウ化物イオン(I)は減少する。三ヨウ化物イオン(I )は増える。
【0057】
三ヨウ化物イオン(I )は、アニオンである。このため、三ヨウ化物イオン(I )と水素イオン(H)は、互いに引き合う。三ヨウ化物イオン(I )は、水素イオン(H)を引き連れて、移動可能である。言い換えれば、三ヨウ化物イオン(I )は、水素イオン(H)の移動を促進可能である。よって、三ヨウ化物イオン(I )は、水素イオン(H)を引き連れて、凹部Aに入る。但し、三ヨウ化物イオン(I )は、3つのヨウ素原子からなる1価の多原子アニオンである。このため、三ヨウ化物イオン(I )は、水素イオン(H)の移動を効率良く促進できない。例えば、3つのヨウ化物イオン(I)は3つの水素イオン(H)を引き連れることができるのに対し、1つの三ヨウ化物イオン(I )はたった1つの水素イオン(H)を引き連れるに過ぎない。その結果、凹部Aにおける水素イオン(H)の濃度は、低くなる。したがって、基板Wを適切にエッチングできない。すなわち、エッチング機能が低下する。
【0058】
上述の通り、エッチング機能が低下する原因がヨウ化物イオン(I)の減少であると、本発明者らは知見した。言い換えれば、エッチング機能が低下する原因がヨウ化物イオン(I)の組成変化であると、本発明者らは知見した。そこで、ヨウ化物イオン(I)の減少を抑制するための工程および手段を、本発明者らはさらに検討した。以下、複数の実施形態を説明する。
【0059】
<2.第1実施形態>
<2-1.基板処理装置の概要>
図4は、基板処理装置1の内部を示す平面図である。基板処理装置1は、基板Wに処理を行う。処理は、エッチング処理を含む。処理は、常温の環境の下で行われる。常温は、例えば、5℃から35℃の範囲内の温度である。
【0060】
基板処理装置1は、インデクサ部3と処理ブロック7を備える。処理ブロック7はインデクサ部3に接続される。インデクサ部3は、処理ブロック7に基板Wを供給する。処理ブロック7は、基板Wに処理を行う。インデクサ部3は、処理ブロック7から基板Wを回収する。
【0061】
本明細書では、便宜上、インデクサ部3と処理ブロック7が並ぶ方向を、「前後方向X」と呼ぶ。前後方向Xは水平である。前後方向Xのうち、処理ブロック7からインデクサ部3に向かう方向を「前方」と呼ぶ。前方と反対の方向を「後方」と呼ぶ。前後方向Xと直交する水平方向を、「幅方向Y」と呼ぶ。「幅方向Y」の一方向を適宜に「右方」と呼ぶ。右方とは反対の方向を「左方」と呼ぶ。水平方向に対して垂直な方向を「鉛直方向Z」と呼ぶ。各図では、参考として、前、後、右、左、上、下を適宜に示す。
【0062】
インデクサ部3は、複数(例えば、4つ)のキャリア載置部4を備える。各キャリア載置部4はそれぞれ、1つのキャリアCを載置する。キャリアCは、複数枚の基板Wを収容する。キャリアCは、例えば、FOUP(Front Opening Unified Pod)、SMIF(Standard Mechanical Interface)、OC(Open Cassette)である。
【0063】
インデクサ部3は、搬送機構5を備える。搬送機構5は、キャリア載置部4の後方に配置される。搬送機構5は、基板Wを搬送する。搬送機構5は、キャリア載置部4に載置されるキャリアCにアクセス可能である。搬送機構5はハンド5aとハンド駆動部5bを備える。ハンド5aは、基板Wを支持する。ハンド駆動部5bは、ハンド5aに連結される。ハンド駆動部5bは、ハンド5aを移動させる。ハンド駆動部5bは、例えば、前後方向X、幅方向Yおよび鉛直方向Zにハンド5aを移動させる。ハンド駆動部5bは、例えば、水平面内においてハンド5aを回転させる。
【0064】
処理ブロック7は、搬送機構8を備える。搬送機構8は、基板Wを搬送する。搬送機構8と搬送機構5は、相互に、基板Wを受け渡し可能である。搬送機構8は、ハンド8aとハンド駆動部8bを備える。ハンド8aは、基板Wを支持する。ハンド駆動部8bは、ハンド8aに連結される。ハンド駆動部8bは、ハンド8aを移動させる。ハンド駆動部8bは、例えば、前後方向X、幅方向Yおよび鉛直方向Zにハンド8aを移動させる。ハンド駆動部8bは、例えば、水平面内においてハンド8aを回転させる。
【0065】
処理ブロック7は、複数の処理ユニット11を備える。処理ユニット11は、搬送機構8の側方に配置される。各処理ユニット11は、基板Wに処理を行う。
【0066】
処理ユニット11は、基板保持部13を備える。基板保持部13は、基板Wを保持する。
【0067】
搬送機構8は、各処理ユニット11にアクセス可能である。搬送機構8は、基板保持部13に基板Wを渡すことができる。搬送機構8は、基板保持部13から基板Wを取ることができる。
【0068】
図5は、基板処理装置1の制御ブロック図である。基板処理装置1は、制御部10を備える。制御部10は、搬送機構5、8と処理ユニット11を制御する。
【0069】
制御部10は、各種処理を実行する中央演算処理装置(CPU)、演算処理の作業領域となるRAM(Random-Access Memory)、固定ディスク等の記憶媒体等によって実現されている。制御部10は、記憶媒体に予め格納される各種の情報を有する。制御部10が有する情報は、例えば、搬送機構5、8を制御するための搬送情報である。制御部10が有する情報は、例えば、処理ユニット11を制御するための処理情報である。処理情報は、処理レシピとも呼ばれる。
【0070】
基板処理装置1の動作例を簡単に説明する。
【0071】
インデクサ部3は、処理ブロック7に基板Wを供給する。具体的には、搬送機構5は、キャリアCから処理ブロック7の搬送機構8に基板Wを渡す。
【0072】
処理ブロック7は、インデクサ部3から、処理ユニット11に基板Wを分配する。具体的には、搬送機構8は、搬送機構5から、各処理ユニット11の基板保持部13に基板Wを搬送する。
【0073】
処理ユニット11は、基板保持部13に保持された基板Wを処理する。処理ユニット11は、例えば、基板Wをエッチングする。
【0074】
処理ユニット11が基板Wを処理した後、処理ブロック7は、処理ユニット11からインデクサ部3に基板Wを戻す。具体的には、搬送機構8は、基板保持部13から搬送機構5に基板Wを搬送する。
【0075】
インデクサ部3は、処理ブロック7から基板Wを回収する。具体的には、搬送機構5は、搬送機構8からキャリアCに基板Wを搬送する。
【0076】
<2-2.処理ユニット11の構成>
図6は、処理ユニット11の構成を示す図である。各処理ユニット11は、同一の構造を有する。処理ユニット11は、枚葉式に分類される。すなわち、各処理ユニット11は、一度に1枚の基板Wのみを処理する。
【0077】
基板保持部13は、1枚の基板Wを保持する。基板保持部13は、基板Wを水平姿勢で保持する。基板保持部13は、基板Wの周縁部または基板Wの下面を保持する。基板Wが基板保持部13に保持されるとき、基板Wのパターン形成面W1は上方を向く。基板Wが基板保持部13に保持されるとき、基板Wのパターン形成面W1は基板Wの上面に位置する。
【0078】
処理ユニット11は、回転駆動部14を備える。回転駆動部14は、基板保持部13に連結される。回転駆動部14は、基板保持部13を回転させる。基板保持部13に保持される基板Wは、基板保持部13と一体に回転する。基板保持部13に保持される基板Wは、回転軸線B回りに回転する。回転軸線Bは、例えば、基板Wの中心を通り、鉛直方向Zに延びる。
【0079】
処理ユニット11は、第1ノズル15aと第2ノズル15bと第3ノズル15cを備える。以下では、第1-第3ノズル15a―15cを区別しない場合には、単に、「ノズル15」と呼ぶ。各ノズル15はそれぞれ、液体または気体を基板Wに吐出する。各ノズル15はそれぞれ、処理位置と待機位置に移動可能である。処理位置は、例えば、基板保持部13に保持される基板Wの上方の位置である。待機位置は、例えば、基板保持部13に保持される基板Wの上方から外れた位置である。
【0080】
処理ユニット11は、筐体16を備える。筐体16は、略箱形状を有する。筐体16は、筐体の16の内部に、基板保持部13と回転駆動部14とノズル15を収容する。
【0081】
処理ユニット11は、さらに、不図示のカップを備えてもよい。カップは、筐体16の内部に設置される。カップは、基板保持部13の周囲に配置される。カップは、基板保持部13に保持される基板Wから飛散した液体を受け止める。
【0082】
処理ユニット11は、配管17a、17b、17cと弁18a、18b、18cを備える。配管17a-17cはそれぞれ、第1-第3ノズル15a-15cに接続される。弁18a-18cはそれぞれ、配管17a-17cに設けられる。配管17aの少なくとも一部は、筐体16の外部に設けられてもよい。配管17b、17cも、配管17aと同様に配置されてもよい。弁18aは、筐体16の外部に設けられてもよい。弁18b、18cも、弁18aと同様に配置されてもよい。
【0083】
基板処理装置1は、処理液調整ユニット20を備える。処理液調整ユニット20は、配管17aに接続される。処理液調整ユニット20は、第1ノズル15aに連通接続される。
【0084】
処理液調整ユニット20は、処理液を第1ノズル15aに送る。第1ノズル15aは、処理液を吐出する。処理液調整ユニット20は、複数の処理ユニット11に対して、処理液を供給してもよい。
【0085】
第1ノズル15aは、本発明における供給部の例である。
【0086】
配管17bは、リンス液供給源19bに接続される。リンス液供給源19bは、第2ノズル15bに連通接続される。リンス液供給源19bは、リンス液を第2ノズル15bに送る。第2ノズル15bは、リンス液を吐出する。リンス液は、例えば、純水である。
【0087】
配管17cは、気体供給源19cに接続される。気体供給源19cは、第3ノズル15cに連通接続される。気体供給源19cは、気体を第3ノズル15cに送る。第3ノズル15cは、気体を吐出する。第3ノズル15cは、気体を吹き出す。気体は、例えば、不活性ガスである。気体は、例えば、窒素である。
【0088】
リンス液供給源19bは、基板処理装置1の要素であってもよい。あるいは、リンス液供給源19bは、基板処理装置1の要素でなくてもよい。例えば、リンス液供給源19bは、基板処理装置1の外部に設置されるユーティリティ設備であってもよい。同様に、気体供給源19cは、基板処理装置1の要素であってもよいし、基板処理装置の要素でなくてもよい。
【0089】
図5を参照する。制御部10は、回転駆動部14と、弁18a-18cを制御する。
【0090】
<2-3.処理液調整ユニット20の構成>
図6を、参照する。第1実施形態では、処理液調整ユニット20は、調整された第1処理液を第1ノズル15aに供給する。さらに、処理液調整ユニット20は、第1エッチング液を第1ノズル15aに供給する。
【0091】
処理液調整ユニット20は、第1槽21を備える。第1槽21は、第1処理液を貯留する。
【0092】
第1処理液は、添加剤を含む。添加剤は、第1処理液に溶解される。第1処理液は、ヨウ化物イオン(I)を含む。
【0093】
添加剤は、添加剤から第1処理液中にヨウ化物イオン(I)を遊離させる。添加剤は、例えば、以下の列挙する化合物a1)-a6)の少なくとも1つを含む。
a1) テトラメチルアンモニウムヨージド(TMAI)
a2) テトラエチルアンモニウムヨージド(TEAI)
a3) テトラプロピルアンモニウムヨージド(TPAI)
a4) テトラブチルアンモニウムヨージド
a5) ヨウ化アンモニウム
a6) ヨウ化水素
【0094】
第1処理液は、添加剤が純水に溶解した水溶液である。純水は、添加剤の溶媒に相当する。
【0095】
第1処理液は、エッチング液を含まない。第1処理液は、添加剤と純水のみからなる。
【0096】
処理液調整ユニット20は、調整部23を備える。調整部23は、第1槽21に連通接続される。
【0097】
調整部23は、第1処理液に含まれるヨウ化物イオン(I)が減少することを抑制する。具体的には、調整部23は、第1処理液から、第1処理液の溶存酸素を除去する。これにより、第1処理液中のヨウ化物イオン(I)の減少は、抑制される。
【0098】
調整部23は、気泡生成部24を備える。気泡生成部24は、第1処理液中に不活性ガスを供給し、第1処理液中に気泡を生成する。すなわち、気泡生成部24は、第1処理液を不活性ガスでバブリングする。これにより、第1処理液の溶存酸素は、不活性ガスに置換され、第1処理液から除去される。具体的には、気泡生成部24は、第1槽21内の第1処理液中に不活性ガスを供給する。不活性ガスは、例えば、窒素ガスである。
【0099】
気泡生成部24は、配管24aと弁24bを備える。配管24aは、第1槽21に連通接続される。配管24aは、第1槽21の第1処理液中に配置される第1端を有する。配管24aの第1端は、第1槽21の第1処理液の液面よりも低い位置に配置される。配管24aは、不活性ガス供給源25に接続される第2端を有する。弁24bは、配管24aに設けられる。弁24bが開くとき、配管24aは、配管24aの第1端から第1槽21の第1処理液中に、不活性ガスを吹き出す。
【0100】
処理液調整ユニット20は、排気部27を備える。排気部27は、第1槽21内の気体を、第1槽21の外部に排出する。
【0101】
排気部27は、排気管27aと弁27bを備える。排気管27aは、第1槽21に連通接続される。排気管27aは、第1槽21の上部に配置される第1端を有する。排気管27aの第1端は、第1槽21の第1処理液の液面よりも高い位置に配置される。排気管27aは、第1槽21の外部に開放される第2端を有する。弁27bは、排気管27aに設けられる。弁27bが開くとき、第1槽21の内部は第1槽21の外部に開放される。
【0102】
処理液調整ユニット20は、第1補充部28を備える。第1補充部28は、添加剤の溶媒を、第1処理液に補充する。具体的には、第1補充部28は、第1槽21に添加剤の溶媒(すなわち、純水)を補充する。
【0103】
第1補充部28は、配管28aと弁28bを備える。配管28aは、第1槽21に連通接続される。配管28aは、さらに、純水供給源29に連通接続される。弁28bは、配管28aに設けられる。弁28bが開くとき、配管28aは第1槽21に純水を供給する。
【0104】
処理液調整ユニット20は、循環配管36とポンプ37を備える。循環配管36は、第1処理液を循環させる。循環配管36は、第1槽21の外部において、第1処理液を循環させる。循環配管36は、上流端36aと下流端36bを有する。上流端36aと下流端36bはそれぞれ、第1槽21に連通接続される。ポンプ37は循環配管36に設けられる。ポンプ37は、循環配管36の上流端36aから循環配管36の下流端36bに、第1処理液を送る。ポンプ37が運転するとき、第1処理液は、第1槽21から、循環配管36の上流端36aを通じて、循環配管36に流出する。さらに、第1処理液は、循環配管36から、循環配管36の下流端36bを通じて、第1槽21に戻る。
【0105】
処理液調整ユニット20は、フィルタ38を備える。フィルタ38は第1処理液を濾過する。フィルタ38は、第1処理液から異物を除去する。フィルタ38は循環配管36に設けられる。フィルタ38はポンプ37の下流に配置される。フィルタ38は、循環配管36を流れる第1処理液を濾過する。
【0106】
処理液調整ユニット20は、第1センサ41を備える。第1センサ41は、第1処理液中のヨウ化物イオン(I)の濃度を検出する。第1センサ41は、例えば、吸光光度法によって、第1処理液中のヨウ化物イオン(I)の濃度を検出する。第1センサ41は、例えば、紫外吸光光度検出器、または、紫外/可視吸光光度検出器である。第1センサ41は、循環配管36に設けられる。第1センサ41は、フィルタ38の下流に配置される。第1センサ41は、循環配管36を流れる第1処理液中のヨウ化物イオン(I)の濃度を検出する。
【0107】
処理液調整ユニット20は、第2センサ42を備える。第2センサ42は、第1処理液の溶存酸素の濃度を検出する。第2センサ42は、例えば、電気化学分析法(隔膜電極法)によって、第1処理液の溶存酸素の濃度を検出する。第2センサ42は、循環配管36に設けられる。第2センサ42は、フィルタ38の下流に配置される。第2センサ42は、循環配管36を流れる第1処理液の溶存酸素の濃度を検出する。
【0108】
処理液調整ユニット20は、第3センサ43を備える。第3センサ43は、第1槽21に貯留される第1処理液の量を検出する。第3センサ43は、例えば、液面センサである。第3センサ43は、例えば、第1槽21に貯留される第1処理液の液面の高さ位置を検出する。第3センサ43は、第1槽21に取り付けられる。
【0109】
処理液調整ユニット20は、第2槽51を備える。第2槽51は、基板Wをエッチングするための第1エッチング液を貯留する。第1エッチング液は、水素イオン(H)を含む。第1エッチング液は、調整部23によって調整されない。
【0110】
第1エッチング液は、フッ化水素酸(HF)およびバッファードフッ酸(BHF)の少なくともいずれかを含む。
【0111】
第1エッチング液は、さらに、アルコールを含んでもよい。第1エッチング液は、例えば、以下に列挙するアルコールb1)-b7)の少なくとも1つを含んでもよい。
b1) メチルアルコール
b2) エチルアルコール
b3) 2-プロパノール
b4) n-ブチルアルコール
b5) tert-ブチルアルコール
b6) シクロヘキサノール
b7) エチレングリコール
【0112】
第1エッチング液は、さらに、以下に列挙する酸c1)-c7)の少なくとも1つを含んでもよい。
c1) 塩酸
c2) 硫酸
c3) 硝酸
c4) 酢酸
c5) リン酸
c6) 過酸化水素
c7) クエン酸
【0113】
処理液調整ユニット20は、循環配管52とポンプ53を備える。循環配管52は、第1エッチング液を循環させる。循環配管52は、第2槽51の外部で、第1エッチング液を循環させる。循環配管52は、上流端52aと下流端52bを有する。上流端52aと下流端52bはそれぞれ、第2槽51に連通接続される。ポンプ53は循環配管52に設けられる。ポンプ53は、循環配管52の上流端52aから循環配管52の下流端52bに、第1エッチング液を送る。ポンプ53が運転するとき、第1エッチング液は、第2槽51から、循環配管52の上流端52aを通じて、循環配管52に流出する。さらに、第1エッチング液は、循環配管52から、循環配管52の下流端52bを通じて、第2槽51に戻る。
【0114】
処理液調整ユニット20は、フィルタ54を備える。フィルタ54は第1エッチング液を濾過する。フィルタ54は、第1エッチング液から異物を除去する。フィルタ54は循環配管52に設けられる。フィルタ54はポンプ53の下流に配置される。フィルタ54は、循環配管52を流れる第1エッチング液を濾過する。
【0115】
処理液調整ユニット20は、送液部56を備える。送液部56は、第1処理液および第1エッチング液を第1ノズル15aに送る。
【0116】
送液部56は、配管57aと弁57bを備える。配管57aは、循環配管36から分岐する。配管57aは、循環配管36に接続される。配管57aと循環配管36の接続位置は、フィルタ38の下流である。配管57aと循環配管36の接続位置は、第1センサ41および第2センサ42よりも上流である。弁57bは、配管57aに設けられる。
【0117】
送液部56は、配管58aと弁58bを備える。配管58aは、循環配管52から分岐する。配管58aは、循環配管52に接続される。配管58aと循環配管52の接続位置は、フィルタ54の下流である。弁58bは、配管58aに設けられる。
【0118】
送液部56は、継ぎ手59を備える。継ぎ手59は、配管17a、57a、58aに接続される。継ぎ手59は、例えば、三方継ぎ手である。配管17a、57a、58aは互いに、継ぎ手59を介して、連通する。
【0119】
図5を参照する。制御部10は、処理液調整ユニット20を制御する。制御部10は、処理液調整ユニット20と、通信可能に電気的に接続される。
【0120】
制御部10は、第1-第3センサ41-43の検出結果を取得する。
【0121】
制御部10は、調整部23を制御する。制御部10は、気泡生成部24を制御する。制御部10は、弁24bを制御する。
【0122】
制御部10は、排気部27を制御する。制御部10は、弁27bを制御する。
【0123】
制御部10は、第1補充部28を制御する。制御部10は、弁28bを制御する。
【0124】
制御部10は、ポンプ37、53を制御する。
【0125】
制御部10は、送液部56を制御する。制御部10は、弁57b、58bを制御する。
【0126】
制御部10は、処理液調整ユニット20を制御するための調整情報を有する。調整情報は、制御部10の記憶媒体に予め記憶されている。
【0127】
<2-4.処理液調整ユニット20および処理ユニット11の動作例>
図6を参照する。まず、処理液調整ユニット20の動作例を説明する。制御部10の制御にしたがって、処理液調整ユニット20は動作する。
【0128】
処理液調整ユニット20は、調整工程を実行する。調整工程では、弁24bは開く。調整工程では、気泡生成部24は、第1処理液中に不活性ガスを供給し、第1処理液中に気泡を生成する。このため、調整工程は、第1処理液の溶存酸素を第1処理液から除去する。すなわち、調整工程は、第1処理液の溶存酸素の濃度を低下させる。その結果、調整工程は、第1処理液に含まれるヨウ化物イオン(I)の減少を抑制する。
【0129】
調整工程の実行中、弁27bは開く。排気部27は、第1槽21内の気体を、第1槽21の外部に排出する。排気部27は、第1処理液から除去された酸素ガスを、第1槽21の外部に排出する。
【0130】
調整工程の実行中、ポンプ37は運転する。このため、第1処理液は、循環配管36を循環する。フィルタ38は、第1処理液を濾過する。第1センサ41は、第1処理液中のヨウ化物イオン(I)の濃度を検出する。第2センサ42は、第1処理液の溶存酸素の濃度を検出する。第3センサ43は、第1槽21に貯留される第1処理液の量を検出する。制御部10は、第1-第3センサ41-43の検出結果を監視する。
【0131】
ここで、調整工程の実行期間は、第1センサ41の検出結果および第2センサ42の検出結果と無関係でもよい。例えば、処理液調整ユニット20が第1ノズル15aに処理液を送るときを除いて、調整工程は、常に、実行されてもよい。
【0132】
あるいは、調整工程の実行期間は、第1センサ41の検出結果および第2センサ42の検出結果の少なくともいずれかに依存してもよい。
【0133】
例えば、第1センサ41の検出結果および第2センサ42の検出結果の少なくともいずれかに基づいて、調整工程は開始してもよい。例えば、第1処理液中のヨウ化物イオン(I)の濃度が低いとき、調整工程は開始してもよい。例えば、第1処理液の溶存酸素の濃度が高いとき、調整工程は開始してもよい。ここで、第1処理液中のヨウ化物イオン(I)の濃度が低いか否かは、制御部10によって、判定される。第1処理液の溶存酸素の濃度が高いか否かも、制御部10によって、判定される。制御部10がこれらの判定を行う時、制御部10は調整情報を適宜に参照してもよい。調整情報は、これらの判定に使用する目標値、閾値、または、基準値を含むことが好ましい。制御部10は、第1センサ41の検出結果および第2センサ42の検出結果の少なくともいずれかに基づいて、調整工程を開始するタイミングを決定する。
【0134】
例えば、調整工程は、第1センサ41の検出結果および第2センサ42の検出結果の少なくともいずれかに基づいて、調整工程は終了してもよい。例えば、第1処理液中のヨウ化物イオン(I)の濃度が高いとき、調整工程は終了してもよい。例えば、第1処理液の溶存酸素の濃度が低いとき、調整工程は終了してもよい。ここで、第1処理液中のヨウ化物イオン(I)の濃度が高いか否かは、制御部10によって、判定される。第1処理液の溶存酸素の濃度が低いか否かも、制御部10によって、判定される。制御部10は、第1センサ41の検出結果および第2センサ42の検出結果の少なくともいずれかに基づいて、調整工程を終了するタイミングを決定する。
【0135】
調整工程が実行されていないときであっても、ポンプ37は運転することが好ましい。
【0136】
第1補充部28は、制御部10の制御にしたがって、第1槽21に純水を補充する。
【0137】
例えば、第1センサ41の検出結果に基づいて、第1補充部28は第1槽21に純水を補充してもよい。具体的には、第1処理液中のヨウ化物イオン(I)の濃度が過度に高いとき、第1補充部28は第1槽21に純水を補充してもよい。第1処理液中のヨウ化物イオン(I)の濃度が過度に高いか否かは、制御部10によって、判定される。制御部10は、第1センサ41に基づいて、第1補充部28を制御する。
【0138】
例えば、第3センサ43の検出結果に基づいて、第1補充部28は第1槽21に純水を補充してもよい。具体的には、第1槽21の第1処理液の量が少ないとき、第1補充部28は第1槽21に純水を補充してもよい。第1槽21の第1処理液の量が少ないか否かは、制御部10によって、判定される。制御部10は、第3センサ43に基づいて、第1補充部28を制御する。
【0139】
第1補充部28が第1槽21に純水を補充するとき、調整工程は実行されていてもよいし、調整工程は実行されていなくてもよい。第1補充部28が第1槽21に純水を補充するとき、排気部27は第1槽21の内部を第1槽21の外部に開放することが好ましい。第1補充部28が第1槽21に純水を補充するであっても、ポンプ37は運転することが好ましい。
【0140】
調整工程の実行中、送液部56は第1処理液を第1配管17aに送らないことが好ましい。弁24bが開いているとき、弁57bは閉じていることが好ましい。
【0141】
以上の通り、調整工程(調整部23)は第1処理液を調整する。調整工程(調整部23)によって調整された第1処理液は、十分なヨウ化物イオン(I)を含む。
【0142】
他方、第2槽51においては、ポンプ53は運転する。このため、第1エッチング液は、循環配管52を循環する。フィルタ54は、第1エッチング液を濾過する。
【0143】
送液部56は、調整工程(調整部23)によって調整された第1処理液を、第1エッチング液とともに、第1ノズル15aに送る。具体的には、ポンプ37、53が運転している状態で、弁57b、58bは、開く。第1処理液は、循環配管36から配管57aに流れる。第1エッチング液は、循環配管52から配管58aに流れる。第1処理液と第1エッチング液は、継ぎ手59において、合流する。第1処理液は、第1エッチング液に加えられる。第1処理液と第1エッチング液の混合液は、継ぎ手59から配管17aに流れる。
【0144】
送液部56が第1処理液を第1配管17aに送るとき、調整工程は実行されていないことが好ましい。具体的には、送液部56が第1処理液を第1配管17aに送るとき、気泡生成部24は第1処理液中に気泡を生成しないことが好ましい。弁24bが閉じた後、弁57bは開くことが好ましい。
【0145】
弁18aが開くとき、供給工程が実行される。供給工程では、第1ノズル15aは、第1処理液と第1エッチング液を基板Wに吐出する。第1ノズル15aは、第1処理液と第1エッチング液の混合液を基板Wに供給する。
【0146】
次に、処理ユニット11の動作例を簡単に説明する。制御部10の制御にしたがって、処理ユニット11は動作する。
【0147】
基板保持部13は、基板Wを保持する。回転駆動部14は、基板保持部13に保持される基板Wを回転させる。
【0148】
基板Wを洗浄する。弁18bが開く。第2ノズル15bは、基板保持部13に保持される基板Wにリンス液を吐出する。リンス液は、パターン形成面W1に供給される。基板Wは、リンス液によって、洗浄される。そして、弁18bが閉じる。第2ノズル15bは、リンス液の吐出を停止する。
【0149】
基板Wをエッチングする。供給工程が開始する。具体的には、弁18aが開く。第1ノズル15aは、調整工程によって調整された第1処理液と、第1エッチング液を、基板Wに吐出する。具体的には、第1ノズル15aは、調整工程によって調整された第1処理液を、第1エッチング液に加えた混合液を、基板保持部13に保持される基板Wに吐出する。混合液は、パターン形成面W1に供給される。基板Wは、混合液によって、エッチングされる。
【0150】
そして、供給工程が終了する。具体的には、弁18aが閉じる。第1ノズル15aは、混合液の吐出を停止する。
【0151】
基板Wを洗浄する。弁18bが開く。第2ノズル15bは、基板保持部13に保持される基板Wにリンス液を吐出する。リンス液は、パターン形成面W1に供給される。基板Wは、リンス液によって、洗浄される。そして、弁18bが閉じる。第2ノズル15bは、リンス液の吐出を停止する。
【0152】
基板Wを乾燥する。弁18cが開く。第3ノズル15cは、基板保持部13に保持される基板Wに気体を吐出する。気体は、パターン形成面W1に供給される。基板Wは、乾燥する。そして、弁18cが閉じる。第3ノズル15cは、気体の吐出を停止する。
【0153】
回転駆動部14は、基板Wの回転を停止する。基板Wは、静止する。処理ユニット11は、基板Wに対する処理を終了する。
【0154】
<2-5.第1実施形態の効果>
添加剤は第1処理液に溶解される。第1処理液は、ヨウ化物イオン(I)を含む。第1実施形態の基板処理方法は、調整工程と供給工程を備える。調整工程は、第1処理液に含まれるヨウ化物イオン(I)が減少することを抑制する。例えば、調整工程は、ヨウ化物イオン(I)がヨウ素分子(I)になることを抑制する。例えば、調整工程は、ヨウ化物イオン(I)が三ヨウ化物イオン(I )になることを抑制する。このため、第1処理液は十分なヨウ化物イオン(I)を含む。供給工程は、調整工程によって調整された第1処理液を基板に供給する。さらに、供給工程は、第1エッチング液を基板に供給する。上述の通り、調整工程によって調整された第1処理液は、十分なヨウ化物イオン(I)を含む。このため、基板W上の凹部Aのサイズに関係無く、ヨウ化物イオン(I)は、凹部Aに容易に入る。凹部Aのサイズに関係無く、第1エッチング液中の水素イオン(H)も、ヨウ化物イオン(I)とともに、凹部Aに容易に入る。その結果、凹部Aのサイズに関係無く、基板Wを適切にエッチングできる。
【0155】
以上の通り、基板処理方法によれば、基板W上の凹部Aのサイズに関係無く、基板Wを適切にエッチングできる。
【0156】
供給工程は、混合液を基板Wに供給する。ここで、混合液は、調整工程によって調整された第1処理液を、第1エッチング液に加えたものである。すなわち、混合液は、第1処理液と第1エッチング液を含む。このため、混合液を供給することは、第1処理液および第1エッチング液を供給することに相当する。さらに、混合液が第1処理液と第1エッチング液を含むことは、混合液がヨウ化物イオン(I)と水素イオン(H)を含むことに相当する。このため、混合液が基板Wに供給された直後から、ヨウ化物イオン(I)は水素イオン(H)の移動を好適に促進できる。よって、基板Wを一層適切にエッチングできる。
【0157】
第1処理液は、添加剤が純水に溶解した水溶液である。このため、調整工程は、第1処理液に含まれるヨウ化物イオン(I)が減少することを容易に抑制できる。
【0158】
第1処理液は、添加剤と純水のみからなる。このため、調整工程は、第1処理液に含まれるヨウ化物イオン(I)が減少することを容易に抑制できる。
【0159】
第1処理液は、エッチング液を含まない。このため、調整工程は、第1処理液に含まれるヨウ化物イオン(I)が減少することを容易に抑制できる。
【0160】
添加剤は、添加剤から第1処理液中にヨウ化物イオン(I)を遊離させる。このため、第1処理液は、ヨウ化物イオン(I)を好適に含むことができる。
【0161】
添加剤は、上述した化合物a1)-a6)の少なくとも1つを含む。このため、第1処理液は、ヨウ化物イオン(I)を好適に含むことができる。
【0162】
調整工程は、第1処理液の溶存酸素の濃度を低下させる。このため、調整工程は、第1処理液に含まれるヨウ化物イオン(I)が減少することを好適に抑制できる。
【0163】
調整工程は、第1処理液中に不活性ガスを供給し、第1処理液中に気泡を生成する。このため、調整工程は、第1処理液の溶存酸素の濃度を好適に低下させることができる。
【0164】
調整工程は、第1処理液中のヨウ化物イオン(I)の濃度を検出する。このため、調整工程は、第1処理液中のヨウ化物イオン(I)の濃度を好適に把握できる。
【0165】
調整工程は、第1処理液の溶存酸素の濃度を検出する。このため、調整工程は、第1処理液中のヨウ化物イオン(I)の濃度を好適に推測できる。第1処理液の溶存酸素とヨウ化物イオン(I)の組成変化との間に一定の関係があることを、本発明者が知見したからである。例えば、第1処理液の溶存酸素の濃度が低いほど、ヨウ化物イオン(I)はヨウ素分子(I)または三ヨウ化物イオン(I )に組成変化し難い。
【0166】
第1処理液中のヨウ化物イオン(I)の濃度の検出結果、および、第1処理液の溶存酸素の濃度の検出結果の少なくともいずれかに基づいて、調整工程は開始する。このため、調整工程を、適切なタイミングで開始できる。
【0167】
第1処理液中のヨウ化物イオン(I)の濃度の検出結果、および、第1処理液の溶存酸素の濃度の検出結果の少なくともいずれかに基づいて、調整工程は終了する。このため、調整工程を、適切なタイミングで終了できる。
【0168】
第1処理液中のヨウ化物イオン(I)の濃度の検出結果に基づいて、添加剤の溶媒(すなわち、純水)を第1処理液に補充する。このため、第1処理液を好適に希釈できる。
【0169】
第1エッチング液は、水素イオン(H)を含む。このため、基板Wを好適にエッチングできる。
【0170】
第1エッチング液は、フッ化水素酸(HF)およびバッファードフッ酸(BHF)の少なくともいずれかを含む。このため、基板Wを好適にエッチングできる。
【0171】
第1エッチング液は、アルコールを含む。このため、基板Wを一層好適にエッチングできる。
【0172】
第1エッチング液は、上述したアルコールb1)-b7)の少なくとも1つを含む。このため、基板Wを一層好適にエッチングできる。
【0173】
第1エッチング液は、上述した酸c1)-c7)の少なくとも1つを含む。このため、基板Wを一層好適にエッチングできる。
【0174】
基板処理装置1は、調整部23を備える。調整部23は、第1処理液の溶存酸素を第1処理液から除去する。これにより、第1処理液に含まれるヨウ化物イオン(I)の減少が抑制される。よって、調整部23によって調整された第1処理液は、十分なヨウ化物イオン(I)を含む。基板処理装置1は、第1ノズル15aを備える。第1ノズル15aは、調整部23によって調整された第1処理液を、基板Wに供給する。さらに、第1ノズル15aは、第1エッチング液を基板Wに供給する。上述の通り、調整部23によって調整された第1処理液は、十分なヨウ化物イオン(I)を含む。このため、基板W上の凹部Aのサイズに関係無く、ヨウ化物イオン(I)は、凹部Aに容易に入る。凹部Aのサイズに関係無く、第1エッチング液中の水素イオン(H)も、ヨウ化物イオン(I)とともに、凹部Aに容易に入る。その結果、凹部Aのサイズに関係無く、基板Wを適切にエッチングできる。
【0175】
以上の通り、基板処理装置1によれば、基板W上の凹部Aのサイズに関係無く、基板Wを適切にエッチングできる。
【0176】
第1ノズル15aは、混合液を供給する。ここで、混合液は、調整部23によって調整された第1処理液を、第1エッチング液に加えたものである。すなわち、混合液は、第1処理液と第1エッチング液を含む。このため、混合液を供給することは、第1処理液および第1エッチング液を供給することに相当する。さらに、混合液が第1処理液と第1エッチング液を含むことは、混合液がヨウ化物イオン(I)と水素イオン(H)を含むことに相当する。このため、混合液が基板Wに供給された直後から、ヨウ化物イオン(I)は水素イオン(H)の移動を好適に促進できる。よって、基板Wを一層適切にエッチングできる。
【0177】
第1処理液は、添加剤が純水に溶解した水溶液である。このため、調整部23は、第1処理液に含まれるヨウ化物イオン(I)が減少することを容易に抑制できる。
【0178】
第1処理液は、添加剤と純水のみからなる。このため、調整部23は、第1処理液に含まれるヨウ化物イオン(I)が減少することを容易に抑制できる。
【0179】
第1処理液は、エッチング液を含まない。このため、調整部23は、第1処理液に含まれるヨウ化物イオン(I)が減少することを容易に抑制できる。
【0180】
基板処理装置1は、第1センサ41と制御部10を備える。第1センサ41は、第1処理液のヨウ化物イオン(I)の濃度を検出する。制御部10は、第1センサ41の検出結果を取得する。このため、制御部10は、第1処理液中のヨウ化物イオン(I)の濃度を好適に監視できる。
【0181】
制御部10は、第1センサ41の検出結果に基づいて、調整部23を制御する。このため、制御部10は、調整部23を適切に制御できる。
【0182】
基板処理装置1は、第1補充部28を備える。第1補充部28は、添加剤の溶媒(すなわち、純水)を第1処理液に補充する。制御部10は、第1センサ41の検出結果に基づいて、第1補充部28によって第1処理液に添加剤の溶媒(すなわち、純水)を補充させる。このため、制御部10は、第1処理液を適切に希釈できる。
【0183】
基板処理装置1は、第2センサ42を備える。第2センサ42は、第1処理液の溶存酸素の濃度を検出する。制御部10は、第2センサ42の検出結果を取得する。このため、制御部10は、第1処理液の溶存酸素の濃度を好適に監視できる。
【0184】
制御部10は、第2センサ42の検出結果に基づいて、調整部23を制御する。このため、制御部10は、調整部23を適切に制御できる。
【0185】
基板処理装置1は、第3センサ43を備える。第3センサ43は、第1槽21に貯留される第1処理液の量を検出する。制御部10は、第2センサ42の検出結果を取得する。このため、制御部10は、第1槽21に貯留される第1処理液の量を好適に監視できる。
【0186】
制御部10は、第3センサ43の検出結果に基づいて、第1補充部28を制御する。このため、制御部10は、第1槽21に貯留される第1処理液の量を適切に保つことができる。例えば、調整部23が第1処理液から第1処理液の溶存酸素を除去するとき、第1処理液(例えば純水)が蒸発し、第1槽21に貯留される第1処理液の量が減る場合がある。このような場合であっても、制御部10は、第1槽21に貯留される第1処理液の量を適切に保つことができる。
【0187】
調整部23は、気泡生成部24を備える。気泡生成部24は、第1処理液中に不活性ガスを供給し、第1処理液中に気泡を生成する。よって、調整部23は、第1処理液の溶存酸素の濃度を好適に低下させることができる。
【0188】
調整部23は、気泡生成部24を備える。このため、調整部23を安価に実現できる。
【0189】
基板処理装置1は、排気部27を備える。排気部27は、第1処理液から除去された酸素ガスを、第1槽21の外部に排出する。よって、調整部23は、第1処理液の溶存酸素の濃度を効果的に低下させることができる。
【0190】
基板処理装置1は、継ぎ手59を備える。継ぎ手59は、調整部23によって調整された第1処理液を、第1エッチング液に加える。よって、第1処理液と第1エッチング液の混合液を、第1ノズル15aに送ることができる。
【0191】
<3.第2実施形態>
図面を参照して、第2実施形態の基板処理装置1を説明する。なお、第1実施形態と同じ構成については同符号を付すことで詳細な説明を省略する。
【0192】
第2実施形態は、基板処理装置1の概要および処理ユニット11の構成に関しては、第1実施形態と略同じである。以下では、第2実施形態の処理液調整ユニット20の構成を説明する。
【0193】
<3-1.処理液調整ユニット20の構成>
図7は、第2実施形態の処理ユニット11および処理液調整ユニット20の構成を示す図である。第2実施形態では、処理液調整ユニット20は、調整された第1処理液を第1ノズル15aに供給する。さらに、処理液調整ユニット20は、第1エッチング液を第1ノズル15aに供給する。第2実施形態の処理液調整ユニット20は、第1実施形態の処理液調整ユニット20と、調整部23の構成において異なる。
【0194】
第1槽21は、第1処理液を貯留する。
【0195】
第2実施形態の第1処理液は、第1実施形態の第1処理液と実質的に同じである。すなわち、第1処理液は、添加剤を含む。添加剤は、第1処理液に溶解される。第1処理液は、ヨウ化物イオン(I)を含む。第1処理液は、添加剤が純水に溶解した水溶液である。第1処理液は、エッチング液を含まない。第1処理液は、添加剤と純水のみからなる。
【0196】
調整部23は、第1処理液に含まれるヨウ化物イオン(I)が減少することを抑制する。具体的には、調整部23は、第1処理液を脱気する。言い換えれば、調整部23は、第1処理液の溶存ガスを、第1処理液から除去する。これにより、第1処理液中のヨウ化物イオン(I)の減少は、抑制される。
【0197】
調整部23は、気液分離部26を備える。気液分離部26は、第1処理液を濾過して、第1処理液を脱気する。気液分離部26は、循環配管36に設けられる。気液分離部26は、循環配管36を流れる第1処理液を、脱気する。
【0198】
気液分離部26は、脱気フィルタ26aと排気管26bを備える。脱気フィルタ26aは、例えば、中空糸膜(不図示)を含む。脱気フィルタ26aは、循環配管36に連通接続される。排気管26bは、脱気フィルタ26aに連通接続される。排気管26bは、第1処理液から除去された気体を、脱気フィルタ26aの外部に排出する。
【0199】
<3-2.処理液調整ユニット20の動作例>
制御部10の制御にしたがって、処理液調整ユニット20は動作する。
【0200】
処理液調整ユニット20は、調整工程を実行する。調整工程では、ポンプ37は運転する。このため、第1処理液は、循環配管36を循環する。気液分離部26は、循環配管36を流れる第1処理液を脱気する。脱気された第1処理液は、第1槽21に戻る。
【0201】
以上の通り、調整工程では、調整工程(調整部23)は第1処理液を調整する。調整工程(調整部23)によって調整された第1処理液は、十分なヨウ化物イオン(I)を含む。
【0202】
送液部56は、調整工程(調整部23)によって調整された第1処理液を、第1エッチング液とともに、第1ノズル15aに送る。具体的には、ポンプ37、53が運転している状態で、弁57b、58bは、開く。このため、送液部56が第1処理液を第1ノズル15aに送るときであっても、調整工程は実行される。具体的には、送液部56が第1処理液を第1ノズル15aに送るときであっても、気液分離部26は循環配管36を流れる第1処理液を脱気する。
【0203】
<3-3.第2実施形態の効果>
第2実施形態においても、第1実施形態と同様な効果を奏する。例えば、第2実施形態の基板処理方法および基板処理装置1によっても、第1処理液に含まれるヨウ化物イオン(I)が減少することを好適に抑制できる。よって、基板W上の凹部Aのサイズに関係無く、基板Wを適切にエッチングできる。
【0204】
さらに、第2実施形態の基板処理方法では、調整工程は、第1処理液を脱気する。このため、調整工程は、第1処理液に含まれるヨウ化物イオン(I)が減少することを好適に抑制できる。
【0205】
調整工程は、気液分離部26によって第1処理液を濾過して、第1処理液を脱気する。このため、調整工程は、第1処理液を好適に脱気できる。
【0206】
第2実施形態の調整部23は、気液分離部26を備える。このため、調整部23は、第1処理液を好適に脱気できる。よって、調整部23は、第1処理液の溶存酸素の濃度を好適に低下させることができる。
【0207】
さらに、気液分離部26は、第1処理液(例えば純水)を蒸発させずに、第1処理液を脱気できる。よって、調整部23は、第1槽21に貯留される第1処理液の減少を抑制しつつ、第1処理液の溶存酸素の濃度を好適に低下させることができる。
【0208】
<4.第3実施形態>
図面を参照して、第3実施形態の基板処理装置1を説明する。なお、第1実施形態と同じ構成については同符号を付すことで詳細な説明を省略する。
【0209】
第3実施形態は、基板処理装置の概要および処理ユニットの構成に関しては、第1実施形態と略同じである。以下では、第3実施形態の処理液調整ユニット20の構成を説明する。
【0210】
<4-1.処理液調整ユニット20の構成>
図8は、第3実施形態の処理ユニット11および処理液調整ユニット20の構成を示す図である。第3実施形態では、処理液調整ユニット20は、調整された第1処理液を第1ノズル15aに供給する。第3実施形態の第1処理液は、第1実施形態の第1処理液と部分的に異なる。
【0211】
第1槽21は、第1処理液を貯留する。
【0212】
第1処理液は、添加剤を含む。添加剤は、第1処理液に溶解される。第1処理液は、ヨウ化物イオン(I)を含む。第1処理液は、さらに、基板Wをエッチングするための第2エッチング液を含む。このため、第2エッチング液は、調整部23によって調整される。第2エッチング液は、水素イオン(H)を含む。
【0213】
第2エッチング液は、フッ化水素酸(HF)およびバッファードフッ酸(BHF)の少なくともいずれかを含む。
【0214】
第1処理液は、さらに、アルコールを含んでもよい。第1処理液は、例えば、上述したアルコールb1)-b7)の少なくとも1つを含んでもよい。第1処理液は、さらに、上述した酸c1)-c7)の少なくとも1つを含んでもよい。
【0215】
処理液調整ユニット20は、第2補充部31を備える。第2補充部31は、第1処理液に第2エッチング液を補充する。具体的には、第2補充部31は、第1槽21に第2エッチング液を補充する。
【0216】
第2補充部31は、配管31aと弁31bを備える。配管31aは、第1槽21に連通接続される。配管31aは、さらに、エッチング液供給源32に連通接続される。弁31bは、配管31aに設けられる。弁31bが開くとき、配管31aは第1槽21に第2エッチング液を供給する。
【0217】
処理液調整ユニット20は、第4センサ44を備える。第4センサ44は、例えば、第1処理液の水素イオン濃度を検出する。第4センサ44は、例えば、第1処理液のpHを検出する。第4センサ44は、例えば、pH計である。
【0218】
図示を省略するが、制御部10は、第4センサ44の検出結果を取得する。制御部10は、第2補充部31を制御する。制御部10は、弁31bを制御する。
【0219】
<4-2.処理液調整ユニット20の動作例>
制御部10の制御にしたがって、処理液調整ユニット20は動作する。
【0220】
処理液調整ユニット20は、調整工程を実行する。調整工程では、弁24bは開く。調整工程では、気泡生成部24は、第1処理液中に不活性ガスを供給し、第1処理液中に気泡を生成する。その結果、調整工程は、第1処理液に含まれるヨウ化物イオン(I)の減少を抑制する。
【0221】
調整工程の実行中、ポンプ37は運転する。このため、第1処理液は、循環配管36を循環する。第2センサ42は、第1処理液の溶存酸素の濃度を検出する。第4センサ44は、第1処理液の水素イオン濃度を検出する。制御部10は、第2センサ42の検出結果および第4センサ44の検出結果を監視する。
【0222】
第1、第2補充部28、31はそれぞれ、制御部10の制御にしたがって、第1槽21に、純水および第2エッチング液を補充する。
【0223】
例えば、第4センサ44の検出結果に基づいて、第1補充部28は第1槽21に純水を補充してもよい。具体的には、第1処理液の水素イオン濃度が高い(すなわち、第1処理液のpHが低い)とき、第1補充部28は第1槽21に純水を補充してもよい。ここで、第1処理液の水素イオン濃度が高いか否かは、制御部10によって、判定される。第1処理液のpHが低いか否かも、制御部10によって、判定される。制御部10は、第4センサ44の検出結果に基づいて、第1補充部28を制御する。
【0224】
例えば、第4センサ44の検出結果に基づいて、第2補充部31は第1槽21に第2エッチング液を補充してもよい。具体的には、第1処理液の水素イオン濃度が低い(すなわち、第1処理液のpHが高い)とき、第2補充部31は第1槽21に第2エッチング液を補充してもよい。ここで、第1処理液の水素イオン濃度が低いか否かは、制御部10によって、判定される。第1処理液のpHが高いか否かも、制御部10によって、判定される。制御部10は、第4センサ44の検出結果に基づいて、第2補充部31を制御する。
【0225】
例えば、第3センサ43の検出結果に基づいて、第1補充部28および第2補充部31はそれぞれ、純水および第2エッチング液を、第1槽21に補充してもよい。具体的には、第1槽21の第1処理液の量が少ないとき、第1補充部28および第2補充部31はそれぞれ、純水および第2エッチング液を、第1槽21に補充してもよい。制御部10は、第3センサ43の検出結果に基づいて、第1補充部28および第2補充部31を制御する。
【0226】
第2補充部31が第1槽21に第2エッチング液を補充するとき、調整工程は実行されていてもよいし、調整工程は実行されていなくてもよい。第2補充部31が第1槽21に第2エッチング液を補充するとき、排気部27は第1槽21の内部を第1槽21の外部に開放することが好ましい。第2補充部31が第1槽21に第2エッチング液を補充する場合であっても、ポンプ37は運転することが好ましい。
【0227】
以上の通り、調整工程(調整部23)は第1処理液を調整する。調整工程(調整部23)によって調整された第1処理液は、十分なヨウ化物イオン(I)を含む。さらに、調整工程(調整部23)によって調整された第1処理液は、第2エッチング液を含む。
【0228】
送液部56は、調整工程(調整部23)によって調整された第1処理液を、第1ノズル15aに送る。具体的には、ポンプ37が運転している状態で、弁57bは開く。第1処理液は、循環配管36から配管57aに流れる。送液部56は、第1処理液を、配管17aに送る。
【0229】
弁18aが開くとき、供給工程が実行される。供給工程では、第1ノズル15aは、第1処理液を基板Wに吐出する。
【0230】
<4-3.第3実施形態の効果>
第3実施形態においても、第1実施形態と同様な効果を奏する。
【0231】
添加剤は第1処理液に溶解される。第1処理液は、ヨウ化物イオン(I)を含む。第3実施形態の基板処理方法は、調整工程と供給工程を備える。調整工程は、第1処理液に含まれるヨウ化物イオン(I)が減少することを抑制する。このため、第1処理液は十分なヨウ化物イオン(I)を含む。第1処理液は、さらに、第2エッチング液を含む。すなわち、第1処理液は、水素イオン(H)を含む。供給工程は、調整工程によって調整された第1処理液を基板に供給する。上述の通り、調整工程によって調整された第1処理液は、十分なヨウ化物イオン(I)を含む。第1処理液は、さらに、水素イオン(H)を含む。このため、基板W上の凹部Aのサイズに関係無く、ヨウ化物イオン(I)は、水素イオン(H)を引き連れて、容易に凹部Aに入る。第1処理液が基板Wに供給された直後から、水素イオン(H)は、ヨウ化物イオン(I)とともに、凹部Aに容易に入る。その結果、凹部Aのサイズに関係無く、基板Wを適切にエッチングできる。
【0232】
以上の通り、第3実施形態の基板処理方法によれば、基板W上の凹部Aのサイズに関係無く、基板Wを適切にエッチングできる。
【0233】
第2エッチング液は、水素イオン(H)を含む。このため、基板Wを好適にエッチングできる。
【0234】
第2エッチング液は、フッ化水素酸(HF)およびバッファードフッ酸(BHF)の少なくともいずれかを含む。このため、基板Wを好適にエッチングできる。
【0235】
第1処理液は、アルコールを含む。このため、基板Wを一層好適にエッチングできる。
【0236】
第1処理液は、上述したアルコールb1)-b7)の少なくとも1つを含む。このため、基板Wを一層好適にエッチングできる。
【0237】
第1処理液は、上述した酸c1)-c7)の少なくとも1つを含む。このため、基板Wを一層好適にエッチングできる。
【0238】
調整部23は、第1処理液の溶存酸素を第1処理液から除去する。このため、第1処理液に含まれるヨウ化物イオン(I)の減少が抑制される。よって、調整部23によって調整された第1処理液は、十分なヨウ化物イオン(I)を含む。第1処理液は、さらに、第2エッチング液を含む。すなわち、第1処理液は、水素イオン(H)を含む。第1ノズル15aは、調整部23によって調整された第1処理液を、基板Wに供給する。上述の通り、調整部23によって調整された第1処理液は、十分なヨウ化物イオン(I)を含む。第1処理液は、さらに、水素イオン(H)を含む。このため、基板W上の凹部Aのサイズに関係無く、ヨウ化物イオン(I)は、水素イオン(H)を引き連れて、凹部Aに容易に入る。第1処理液が基板Wに供給された直後から、水素イオン(H)は、ヨウ化物イオン(I)とともに、凹部Aに容易に入る。その結果、凹部Aのサイズに関係無く、基板Wを適切にエッチングできる。
【0239】
以上の通り、第3実施形態の基板処理装置1によれば、基板W上の凹部Aのサイズに関係無く、基板Wを適切にエッチングできる。
【0240】
基板処理装置1は、第4センサ44を備える。第4センサ44は、第1処理液の水素イオン濃度を検出する。制御部10は、第4センサ44の検出結果を取得する。このため、制御部10は、第1処理液の水素イオン濃度を好適に監視できる。
【0241】
基板処理装置1は、第1補充部28と第2補充部31を備える。第1補充部28は、純水を第1処理液に補充する。第2補充部31は、第2エッチング液を第1処理液に補充する。制御部10は、第4センサ44の検出結果に基づいて、第1補充部28と第2補充部31を制御する。このため、制御部10は、第1処理液における第2エッチング液の濃度を適切に保つことができる。
【0242】
基板処理装置1は、第3センサ43を備える。制御部10は、第3センサ43の検出結果に基づいて、第1補充部28と第2補充部31を制御する。このため、制御部10は、第1処理液における第2エッチング液の濃度を適切に保ちつつ、純水と第2エッチング液を第1槽21に補充できる。例えば、調整部23が第1処理液から第1処理液の溶存酸素を除去するとき、第1処理液が蒸発し、第1槽21に貯留される第1処理液の量が減る場合がある。このような場合であっても、制御部10は、第1槽21に貯留される第1処理液の量を適切に保つことができる。
【0243】
<5.第4実施形態>
図面を参照して、第4実施形態の基板処理装置1を説明する。なお、第1実施形態と同じ構成については同符号を付すことで詳細な説明を省略する。
【0244】
第4実施形態は、基板処理装置の概要および処理ユニットの構成に関しては、第1実施形態と略同じである。以下では、第4実施形態の処理液調整ユニット20の構成を説明する。
【0245】
<5-1.処理液調整ユニット20の構成>
図9は、第4実施形態の処理ユニット11および処理液調整ユニット20の構成を示す図である。第4実施形態では、処理液調整ユニット20は、調整された第1処理液を第1ノズル15aに供給する。第4実施形態の処理液調整ユニット20は、第3実施形態の処理液調整ユニット20と、調整部23の構成において異なる。
【0246】
第1槽21は、第1処理液を貯留する。
【0247】
第4実施形態の第1処理液は、第3実施形態の第1処理液と実質的に同じである。第1処理液は、添加剤を含む。添加剤は、第1処理液に溶解される。第1処理液は、ヨウ化物イオン(I)を含む。第1処理液は、さらに、基板Wをエッチングするための第2エッチング液を含む。第2エッチング液は、調整部23によって調整される。
【0248】
調整部23は、第1処理液を脱気する。これにより、調整部23は、第1処理液に含まれるヨウ化物イオン(I)が減少することを抑制する。具体的には、調整部23は、気液分離部26を備える。気液分離部26は、循環配管36に設けられる。気液分離部26は、第2実施形態において、既に説明される。
【0249】
<5-2.処理液調整ユニット20の動作例>
制御部10の制御にしたがって、処理液調整ユニット20は動作する。
【0250】
処理液調整ユニット20は、調整工程を実行する。調整工程では、ポンプ37は運転する。第1処理液は、循環配管36を循環する。気液分離部26は、循環配管36を流れる第1処理液を脱気する。脱気された第1処理液は、第1槽21に戻る。
【0251】
以上の通り、調整工程(調整部23)は第1処理液を調整する。調整工程(調整部23)によって調整された第1処理液は、十分なヨウ化物イオン(I)を含む。さらに、調整工程(調整部23)によって調整された第1処理液は、第2エッチング液を含む。
【0252】
送液部56は、調整工程(調整部23)によって調整された第1処理液を、第1ノズル15aに送る。具体的には、ポンプ37が運転している状態で、弁57bは、開く。このため、送液部56が第1処理液を第1ノズル15aに送るときであっても、調整工程は実行される。
【0253】
<5-4.第4実施形態の効果>
第4実施形態においても、第1実施形態と同様な効果を奏する。
【0254】
さらに、第4実施形態の基板処理方法では、調整工程は、第1処理液を脱気する。このため、調整工程は、第1処理液に含まれるヨウ化物イオン(I)が減少することを好適に抑制できる。
【0255】
調整工程は、気液分離部26によって第1処理液を濾過して、第1処理液を脱気する。このため、調整工程は、第1処理液を好適に脱気できる。
【0256】
調整部23は、気液分離部26を備える。このため、調整部23は、第1処理液を好適に脱気できる。よって、調整部23は、第1処理液の溶存酸素の濃度を好適に低下させることができる。
【0257】
さらに、気液分離部26は、第1処理液(例えば純水)を蒸発させずに、第1処理液を脱気できる。よって、調整部23は、第1槽21に貯留される第1処理液の減少を抑制しつつ、第1処理液の溶存酸素の濃度を好適に低下させることができる。
【0258】
本発明は、実施形態に限られることはなく、下記のように変形実施することができる。
【0259】
(1)第1、第2実施形態では、第1処理液は、添加剤が純水に溶解した水溶液であった。但し、これに限られない。例えば、第1処理液は、さらに、第2エッチング液を含んでもよい。例えば、第1処理液は、上述したアルコールb1)-b7)の少なくとも1つを含んでもよい。例えば、第1処理液は、上述した酸c1)-c7)の少なくとも1つを含んでもよい。
【0260】
(2)第1、2実施形態では、供給工程は、第1処理液と第1エッチング液の混合液を基板Wに供給する。但し、これに限られない。供給工程は、第1処理液と第1エッチング液を個別に、基板Wに供給してもよい。
【0261】
図10は、変形実施形態の処理ユニット11および処理液調整ユニット20の構成を示す図である。なお、第1実施形態と同じ構成については同符号を付すことで詳細な説明を省略する。処理ユニット11は、第1ノズル15aに加えて、第4ノズル15dを備える。なお、図10は、第2-第3ノズル15b-15cの図示を省略する。
【0262】
送液部56の配管57aは、第1ノズル15aに接続される。送液部56の配管58aは、第4ノズル15dに接続される。配管57aは、配管58aに接続されない。配管57aは、第4ノズル15dに接続されない。配管58aは、第1ノズル15aに接続されない。このため、送液部56は、第1処理液を第1ノズル15aに送る。送液部56は、第1エッチング液を第1ノズル15aに送らない。送液部56は、第1エッチング液を第4ノズル15dに送る。送液部56は、第1処理液を第4ノズル15dに送らない。
【0263】
その結果、第1ノズル15aは、基板保持部13に保持される基板Wに、第1処理液を吐出する。第4ノズル15dは、基板保持部13に保持される基板Wに、第1エッチング液を吐出する。第1ノズル15aおよび第4ノズル15dがそれぞれ第1処理液および第1エッチング液を吐出した後、第1処理液は第1エッチング液に加えられる。第1処理液は、基板W(パターン形成面W1)上において、第1エッチング液に加えられる。本変形実施形態によっても、基板Wを適切にエッチングできる。
【0264】
第1ノズル15aおよび第4ノズル15dはともに、本発明における供給部の例である。
【0265】
(3)第1-第4実施形態では、処理ユニット11は、枚葉式に分類された。但し、これに限られない。例えば、処理ユニット11は、バッチ式に分類されてもよい。すなわち、処理ユニット11は、一度に複数の基板Wを処理してもよい。
【0266】
図示を省略するが、処理ユニット11は、処理槽と基板保持機構を備える。処理槽は、処理液を貯留する。処理液は、例えば、第1処理液と第1エッチング液の混合液である。あるいは、処理液は、例えば、第2エッチング液を含む第1処理液である。基板保持機構は、処理槽内において、複数の基板Wを保持する。基板保持機構は、処理槽に貯留される処理液中に、複数の基板Wを浸漬する。
【0267】
ここで、処理ユニット11の処理槽は、処理液調整ユニット20の第1槽21および第2槽51とは別に、設けられてもよい。あるいは、処理液調整ユニット20の第1槽21または第2槽51を、処理ユニット11の処理槽として、使用してもよい。
【0268】
処理槽は、本発明における供給部の例である。
【0269】
(4)第1-第4実施形態では、調整部23は、気泡生成部24および気液分離部26のいずれか1つを備える。但し、これに限られない。調整部23は、気泡生成部24および気液分離部26の両方を備えてもよい。
【0270】
(5)第1、第2実施形態では、第1、第2センサ41、42は、循環配管36に設けられた。但し、これに限られない。例えば、第1、第2センサ41、42の少なくともいずれかを、第1槽21に設けてもよい。例えば、第1センサ41は、第1槽21内の第1処理液のヨウ化物イオン(I)の濃度を検出してもよい。例えば、第2センサ42は、第1槽21内の第1処理液の溶存酸素の濃度を検出してもよい。
【0271】
(6)第3、第4実施形態では、基板処理装置1は、第1センサ41を備えなかった。但し、これに限られない。第3、第4実施形態において、基板処理装置1は、第1センサ41を備えてもよい。
【0272】
(7)第1-第4実施形態において、第1処理液の酸化還元電位を検出してもよい。
【0273】
図10を参照する。変形実施形態の処理液調整ユニット20は、第5センサ45を備える。第5センサ45は、第1処理液の酸化還元電位を検出する。具体的には、第5センサ45は、第1槽21内の第1処理液の酸化還元電位を検出する。第5センサは、例えば、酸化還元電位計である。
【0274】
図示を省略するが、制御部10は、第5センサ45の検出結果を取得する。制御部10は、例えば、第5センサ45の検出結果を監視する。
【0275】
本変形実施形態では、調整工程は、第1処理液の酸化還元電位を検出する。このため、調整工程は、第1処理液中のヨウ化物イオン(I)の濃度を好適に推測できる。第1処理液の酸化還元電位とヨウ化物イオン(I)の組成変化との間に一定の関係があることを、本発明者が知見したからである。例えば、酸化還元電位が所定値以下であるあるとき、ヨウ化物イオン(I)はヨウ素分子(I)または三ヨウ化物イオン(I )に組成変化し難い。
【0276】
調整工程は、第1処理液中のヨウ化物イオン(I)の濃度、第1処理液の酸化還元電位、および、第1処理液の溶存酸素の濃度の少なくともいずれかを検出してもよい。
【0277】
例えば、第5センサ45の検出結果に基づいて、調整工程は開始してもよい。例えば、第1処理液の酸化還元電位が高いとき、調整工程は開始してもよい。ここで、第1処理液の酸化還元電位が高いか否かは、制御部10によって、判定される。制御部10は、第5センサ45の検出結果に基づいて、調整工程を開始するタイミングを決定する。
【0278】
例えば、第5センサ45の検出結果に基づいて、調整工程は終了してもよい。例えば、第1処理液の酸化還元電位が低いとき、調整工程は終了してもよい。ここで、第1処理液の酸化還元電位が低いか否かは、制御部10によって、判定される。制御部10は、第5センサ45の検出結果に基づいて、調整工程を終了するタイミングを決定する。
【0279】
例えば、第1処理液中のヨウ化物イオン(I)の濃度の検出結果、第1処理液の酸化還元電位の検出結果、および、第1処理液の溶存酸素の濃度の検出結果の少なくともいずれかに基づいて、調整工程は、開始してもよい。例えば、第1処理液中のヨウ化物イオン(I)の濃度の検出結果、第1処理液の酸化還元電位の検出結果、および、第1処理液の溶存酸素の濃度の検出結果の少なくともいずれかに基づいて、調整工程は、終了してもよい。
【0280】
例えば、調整工程は、第5センサ45の検出結果に基づいて、添加剤の溶媒(すなわち、純水)を第1処理液に補充してもよい。例えば、第5センサ45の検出結果に基づいて、第1補充部28は第1槽21に純水を補充してもよい。例えば、制御部10は、第5センサ45の検出結果に基づいて、第1補充部28を制御してもよい。
【0281】
例えば、第1処理液中のヨウ化物イオン(I)の濃度の検出結果、第1処理液の酸化還元電位の検出結果、および、第1処理液の溶存酸素の濃度の検出結果の少なくともいずれかに基づいて、添加剤の溶媒(すなわち、溶媒)を第1処理液に補充してもよい。
【0282】
(8)第1-第4実施形態において、基板処理装置1は、さらに、添加剤を第1処理液に補充する構成を備えてもよい。
【0283】
図10を参照する。処理液調整ユニット20は、第3補充部33を備える。第3補充部33は、第1処理液に、添加剤を補充する。具体的には、第3補充部33は、第1槽21に添加剤を補充する。
【0284】
第3補充部33は、配管33aと弁33bを備える。配管33aは、第1槽21に連通接続される。配管33aは、さらに、添加剤供給源34に連通接続される。弁33bは、配管33aに設けられる。弁33bが開くとき、配管33aは第1槽21に添加剤を供給する。
【0285】
制御部10は、第3補充部33を制御する。
【0286】
調整工程は、第1処理液中のヨウ化物イオン(I)の濃度の検出結果、第1処理液の酸化還元電位の検出結果、および、第1処理液の溶存酸素の濃度の検出結果の少なくともいずれかに基づいて、添加剤および添加剤の溶媒(純水)の少なくともいずれかを第1処理液に補充してもよい。制御部10は、第1センサ41、第2センサ42、および、第5センサ45の少なくともいずれかに基づいて、第1補充部28および第3補充部33の少なくともいずれかを制御してもよい。本変形実施形態によれば、第1処理液中のヨウ化物イオン(I)の濃度を、好適に調整できる。
【0287】
(9)第1、第3実施形態では、調整工程は、第1処理液中に不活性ガスを供給し、第1処理液中に気泡を生成した。第2、第4実施形態では、調整工程は、第1処理液を脱気した。但し、これに限られない。第1-第4実施形態において、調整工程は、第1処理液中に不活性ガスを供給し、第1処理液中に気泡を生成し、かつ、第1処理液を脱気してもよい。第1-第4実施形態において、調整工程は、第1処理液中に不活性ガスを供給し、第1処理液中に気泡を生成すること、および、第1処理液を脱気することの少なくともいずれかを実行してもよい。調整部23は、気泡生成部24と気液分離部26の両方を備えてもよい。調整部23は、気泡生成部24と気液分離部26の少なくともいずれかを備えてもよい。
【0288】
(10)第1、第2実施形態では、第1処理液は、継ぎ手59において、第1エッチング液に加えられた。但し、これに限られない。送液部56は、第1処理液と第1エッチング液を混合するためのミキサーやミキシングバルブを備えてもよい。
【0289】
(11)第1-第4実施形態では、配管57aは、循環配管36に接続される。このため、送液部56は、循環配管36を流れる第1処理液を、第1ノズル15aに送る。但し、これに限られない。送液部56の配管57aは、第1槽21に接続されてもよい。送液部56は、第1槽21内の第1処理液を、第1ノズル15aに送ってもよい。第1―第2実施形態における送液部56の配管58aも、同様に変更してもよい。
【0290】
(12)第1-第4実施形態および上記(1)から(11)で説明した各変形実施形態については、さらに各構成を他の変形実施形態の構成に置換または組み合わせるなどして適宜に変更してもよい。
【符号の説明】
【0291】
1 … 基板処理装置
10 … 制御部
11 … 処理ユニット
13 … 基板保持部
15a … 第1ノズル(供給部)
15b … 第2ノズル
15c … 第3ノズル
15d … 第4ノズル(供給部)
20 … 処理液調整ユニット
21 … 第1槽
23 … 調整部
24 … 気泡生成部
24a … 配管
24b … 弁
26 … 気液分離部
26a … 脱気フィルタ
26b … 排気管
27 … 排気部
28 … 第1補充部(添加剤の溶媒(純水))
31 … 第2補充部(第2エッチング液)
33 … 第3補充部(添加剤)
41 … 第1センサ(ヨウ化物イオンの濃度)
42 … 第2センサ(溶存酸素の濃度)
43 … 第3センサ(液面センサ)
44 … 第4センサ(pH計)
45 … 第5センサ(酸化還元電位計)
51 … 第2槽
56 … 送液部
59 … 継ぎ手
A … 凹部
W … 基板
W1 … パターン形成面
W2 … 凸部
X … 前後方向
Y … 幅方向
Z … 鉛直方向
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10