(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-02-20
(45)【発行日】2025-03-03
(54)【発明の名称】サーマルプリンタ
(51)【国際特許分類】
B41J 11/04 20060101AFI20250221BHJP
B65H 27/00 20060101ALI20250221BHJP
B41J 2/32 20060101ALI20250221BHJP
【FI】
B41J11/04
B65H27/00 A
B41J2/32 Z
(21)【出願番号】P 2021044750
(22)【出願日】2021-03-18
【審査請求日】2024-01-15
(73)【特許権者】
【識別番号】000003562
【氏名又は名称】東芝テック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】眞田 強
【審査官】大山 広人
(56)【参考文献】
【文献】特開平07-144449(JP,A)
【文献】実開平06-079551(JP,U)
【文献】特開2016-050073(JP,A)
【文献】実開平03-085352(JP,U)
【文献】特開平06-099621(JP,A)
【文献】特開2002-307580(JP,A)
【文献】国際公開第01/094121(WO,A2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 11/04
B65H 27/00
B41J 2/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転可能な円柱形状であって、回転軸方向の中央部を基準として種々の幅の印字媒体を外周部に接触させて搬送するプラテンと、
前記プラテンに沿って対向配置されるとともに前記外周部に押圧され、前記印字媒体に熱を印加して印字を行う印字ヘッドと、
を備え、
前記プラテンは、前記回転軸を構成するシャフトと、前記シャフトの外周に設けられた前記外周部を有するラバーとを備えるとともに、前記中央部を中心とした第1領域と前記第1領域より前記回転軸方向の両外側の第2領域を有し、
前記第1領域における前記プラテンの径と前記第2領域における前記プラテンの径は同一であって、かつ
前記第1領域における前記シャフトの径を前記第2領域における前記シャフトの径より大きくし、
前記第1領域は、搬送する最も幅が短い前記印字媒体の幅に略一致する長さである、
ことを特徴とするサーマルプリンタ。
【請求項2】
前記シャフトは金属で構成されている、
ことを特徴とする請求項1に記載のサーマルプリンタ。
【請求項3】
前記第1領域は、搬送する最も幅が短い前記印字媒体の幅より前記両外側に多少長い、
ことを特徴とする請求項1
または2に記載のサーマルプリンタ。
【請求項4】
前記第1領域と前記第2領域との境界部において前記シャフトの径を段違いに形成した、
ことを特徴とする請求項1
または2に記載のサーマルプリンタ。
【請求項5】
前記第2領域において前記シャフトの径を前記プラテンの前記外側に向かうに連れて小さくなるように複数段階に段違いに形成した、
ことを特徴とする請求項
1または2に記載のサーマルプリンタ。
【請求項6】
前記第2領域において前記シャフトの径を前記プラテンの前記外側に向かうに連れて連続的に小さくなるように形成した、
ことを特徴とする請求項1
または2に記載のサーマルプリンタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、サーマルプリンタに関する。
【背景技術】
【0002】
ラベルプやレシート等の用紙を搬送して印字するサーマルプリンタでは、発熱素子が略1列に配列された印字ヘッドとプラテンとを有する印字部によって用紙に印字を行う。
【0003】
このようなサーマルプリンタは、用途に応じた種々のサイズの用紙を使用して、印字ヘッドとプラテンで用紙を挟持して、プラテンを回転させて用紙を搬送しながら用紙に印字を行う。
【0004】
このようなサーマルプリンタは、大きなサイズの用紙でも印字できるように、幅広の印字ヘッドとプラテンを使用している。そのため幅が狭い用紙に印字する場合は、印字部の中央付近で印字を行うことから、印字ヘッドの両端部には用紙は存在せず、回転するプラテンが印字ヘッドと直接接触する。
【0005】
このとき、印字ヘッドとプラテンとの間に生じる摩擦抵抗によって用紙を搬送する際に負荷となり、用紙の搬送の弊害となっていた。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明が解決しようとする課題は、摩擦抵抗による用紙搬送の負荷を低減することが可能なサーマルプリンタを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
実施形態のサーマルプリンタは、回転可能な円柱形状であって、回転軸方向の中央部を基準として種々の幅の印字媒体を外周部に接触させて搬送するプラテンと、前記プラテンに沿って対向配置されるとともに前記外周部に押圧され、前記印字媒体に熱を印加して印字を行う印字ヘッドと、を備え、前記プラテンは、前記回転軸を構成するシャフトと、前記シャフトの外周に設けられた前記外周部を有するラバーとを備えるとともに、前記中央部を中心とした第1領域と前記第1領域より前記回転軸方向の両外側の第2領域を有し、
前記第1領域における前記プラテンの径と前記第2領域における前記プラテンの径は同一であって、かつ前記第1領域における前記シャフトの径を前記第2領域における前記シャフトの径より大きくし、前記第1領域は、搬送する最も幅が短い前記印字媒体の幅に略一致する長さである。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、本実施形態のプリンタの外観斜視図である。
【
図2】
図2は、プリンタの内部の構成を示す概略側断面図である。
【
図3】
図3は、プラテンの構造の一例を示す説明図である。
【
図4】
図4は、プラテンの構造の第1変形例を示す説明図である。
【
図5】
図5は、プラテンの構造の第2変形例を示す説明図である。
【
図6】
図6は、プラテンの構造の第3変形例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、実施形態に係るサーマルプリンタを詳細に説明する。なお、実施形態では、感熱紙で構成されたラベルを印字媒体の一例として説明する。なお、以下に説明する実施形態により、この発明が限定されるものではない。
【0010】
図1は、本実施形態のサーマルプリンタ1の外観斜視図である。
図1に示すように、サーマルプリンタ1は、左側のケース2と、ヒンジ7でケース2の右側に連結されたケース8とを備えている。ケース2のフロントパネル3は、表示部4と、操作部5とを備えている。表示部4は、バックライト付きの液晶ディスプレイで構成されるが、その他のタイプの表示デバイスを用いてもよい。
【0011】
右側のケース8は、ヒンジ7を中心に上方に回動することで筐体(即ち、ケース2、8)の内部を側面側から大きく開放できる構造となっている。
図2で後述するが、サーマルプリンタ1は筐体内部に、ロール状に巻装されたラベル用紙20と、ラベル201(印字媒体)に印字する印字部23とを有している。ヒンジ7を中心にしてケース8を上方に回動することで、ラベル用紙20の交換、あるいは内部のメンテナンスを容易にできる構造となっている。ケース8のフロントパネル9には、ラベル発行口10が設けられている。サーマルプリンタ1は、印字後のラベルをラベル発行口10から発行する。
【0012】
図2は、サーマルプリンタ1の内部の構成を示す概略側断面図である。
図2に示すように、サーマルプリンタ1はその筐体内部に、用紙保持部21、印字部23、フレーム26を主に備えている。
【0013】
用紙保持部21は、台紙とともにロール状に巻回されたラベル用紙20を保持する軸である。ラベル用紙20は、複数のラベル201を搬送方向に沿って配列している。ラベル用紙20は、用紙保持部21から引き出され、印字部23でラベル201に印字された後、ラベル発行口10から排出される。
【0014】
搬送経路24は、用紙保持部21から引き出されたラベル用紙20が後述する印字ヘッド32とプラテン31の位置まで搬送する経路である。また、搬送経路24は、引き出されたラベル201を検知する用紙検知部57を有している。用紙検知部57は、搬送経路24中であって、ラベル201が引き出された位置と後述する印字ヘッド32とプラテン31との間に位置する。
【0015】
また、搬送経路24において、印字部23よりの搬送方向の下流側には、ラベル剥離板25が設けられている。ラベル剥離板25は、搬送中のラベル用紙20の台紙を鋭角的に屈曲させて、ラベル201と台紙とを剥離する。台紙は、図示しない巻取軸に巻き取られる一方、台紙から剥離されたラベル201は、ラベル発行口10から発行される。
【0016】
印字部23は、ラベル201の搬送方向と略直交する方向(すなわち、ラベル201の幅方向)に発熱素子を一列に配置したサーマルヘッドで構成された印字ヘッド32を主に備えている。円柱状に構成されたプラテン31は、フレーム26に回転可能に取り付けられており、図示しないプラテンモータが駆動することで回転する。
【0017】
印字ヘッド32は、図示しないフレームに回動可能に取り付けられたヘッド保持部35に固定されている。印字ヘッド32は、ヘッド保持部35の回動動作に従い、プラテン31に対して押圧する方向に付勢されており、プラテン31に対して当接および離反する。サーマルプリンタ1は、印字ヘッド32をヘッドアップさせるためのヘッドアップ機構と、印字ヘッド32をプラテン31に当接させるためのヘッド当接機構とを有している(共に図示せず)。ヘッドアップ機構が動作すれば印字ヘッド32はプラテン31から離間し、ヘッド当接機構が動作すれば印字ヘッド32はプラテン31方向に付勢(押圧)されて当接する。
【0018】
ここからは、プラテン31について説明する。
図3は、プラテン31の内部構造の一例を示す説明図である。
図3に示すように、プラテン31と印字ヘッド32は対向して配置されている。印字ヘッド32は、発熱素子(図示せず)が印字ヘッド32に沿って(すなわちプラテン31の回転軸K方向に)一列に配列され、発熱素子が選択的に発熱することで、ラベル201上に文字や図形等を印字する。プラテン31と印字ヘッド32との間には、ラベル201(正確には、ラベル201と、ラベル201が貼付された台紙(図示せず))が挟持される。
【0019】
プラテン31は、後述するように、第1領域311と第2領域312を有する。第1領域311は、中央部Tを中心としてプラテン31の中央部に位置し、点線102から点線103間の長さA(mm)の部分である。第2領域312は、第1領域311の両端部に接続しており、点線101と点線102の間の長さB(mm)の部分と、点線103と点線104の間の長さBの部分である。
【0020】
プラテン31は、回転軸Kを中心に回転可能なシャフト33、シャフト33の外周に形成されたラバー34、歯車H等を備える。シャフト33は、アルミニウム等の金属で構成されている。シャフト33は、中央部Tを含む第1領域331と、第1領域331の回転軸K方向の両外側の第2領域332を有する。シャフト33の第1領域331は、シャフト33の回転軸K方向の中央部Tを中心として両側に点線102から点線103の間の長さA(mm)である。長さAは、サーマルプリンタ1が印字できる最小のラベル201の幅と略一致している。また、シャフト33の第2領域332は、第1領域331の両端部に接続しており、点線101と点線102の間の長さB(mm)の部分と、点線103と点線104の間の長さBの部分である。プラテン31の回転軸K方向の長さは、A+2×Bである。
【0021】
シャフト33の第1領域331における直径の長さはM(ミリメートル(mm))であり、シャフト33の第2領域332における直径の長さはMより小さい径J(mm)である。なお、シャフト33において、第1領域331と第2領域332との境界(点線102と点線103の位置)において、4か所の段違い部Gに略45°の傾斜を設けた。そのため、シャフト33を成形する際の製造工程を1工程省くことができる。
【0022】
ラバー34は、シャフト33を円柱状の中心部に位置させた状態で例えば溶融したシリコンゴムを型に流し込んで固めて形成される。ラバー34は形成後に正確な径を有するように研磨されて外周部310を有する円柱状に形成される。ラバー34は、第1領域341と第2領域342を有する。第1領域341は第1領域331と同じ長さの領域であり、点線102から点線103の間の長さA(mm)である。第2領域342は第2領域332と同じ領域であり、点線101と点線102の間の長さB(mm)の部分と、点線103と点線104の間の長さBの部分である。第1領域341におけるラバー34の厚さはN(mm)であり、第2領域342におけるラバー34の厚さは、厚さNより厚い厚さF(mm)である。すなわち、第1領域341におけるラバー34の厚さは第2領域342におけるラバー34の厚さより薄い。
【0023】
シャフト33の第1領域331とラバー34の第1領域341がプラテン31の第1領域311である。シャフト33の第2領域332とラバー34の第2領域342がプラテン31の第2領域312である。なお、プラテン31の第1領域311および第2領域312の直径はともにR(mm)である。そのため、第1領域311において、M+N=Rである。また、第2領域312において、J+F=Rである。
【0024】
実施形態のプラテン31には1種類のラバー34が使用されているため、ラバー34の硬度はどの箇所でも同じである。しかしながら、ラバー34は、厚さが薄いと外周部310を押圧した時の見かけ上の硬度は高くなり、厚さが厚いと外周部310を押圧した時の見かけ上の硬度は低くなる。すなわち、プラテン31のラバー34は、第1領域341の厚さがNに対して第2領域342の厚さはFである。そして、N<Fであることから、第1領域341における見かけ上の硬度は第2領域342における見かけ上の硬度より高い。そのため、外周部310を押圧した場合の第1領域341におけるラバー34の変形量は第2領域342におけるラバー34の変形量より少ない。
【0025】
また、歯車Hはシャフト33に固定される。プラテン31は、シャフト33がフレーム26にはめ込まれて回転可能に取り付けられる。プラテンモータから歯車Hに回転力を伝えることで、プラテン31のシャフト33は回転軸Kを中心に回転する。シャフト33が回転することでプラテン31が回転する。プラテン31が回転すると、ラバー34とラベル201との間の摩擦力によって、印字ヘッド32との間に挟持したラベル201が搬送される。
【0026】
プラテン31は、周面に外周部310を有する。外周部310には、挟持されたラベル201(正確には台紙)が当接する。プラテン31は、中央部T(点線Tで示す位置)を基準位置としてラベル201を搬送する。すなわち、プラテン31は、搬送するラベル201の搬送方向と直行する方向の長さ(ラベル201の幅、正確には台紙の幅、以降「ラベルの幅」という)が長いラベル201であっても短いラベル201であっても、ラベル201の幅の中央部が中央部Tに位置するように搬送する。すなわちプラテン31は、中央基準でラベル201を搬送する。
【0027】
このような実施形態において、プラテン31を回転させて、プラテン31と印字ヘッド32との間にラベルの幅が最も短いラベル201を挟持して搬送した場合、点線102と点線103の間(第1領域311)にはラベル201が介在して搬送される。しかしながら、点線101と点線102の間(第2領域312)および点線103と点線104の間(第2領域312)にはラベル201が存在しない。印字ヘッド32は、プラテン31方向に付勢されているため、点線101と点線102の間の位置および点線103と点線104の間の位置では、ラベル201の両端部付近の位置を除いて印字ヘッド32とプラテン31が直に接触する。しかしながら、第1領域311におけるラバー34厚さNは薄いため、ラバー34の第1領域341における外周部310の見かけの硬度は高い。そのため、印字ヘッド32による押圧力がかかっても第1領域341においてラバー34はさほど潰れることなく(すなわち、第1領域341におけるラバー34があまり変形せずに)ラベル201を挟持する。
【0028】
第1領域341のラバー34がさほど潰れない場合、ラベル201を挟んでプラテン31と印字ヘッド32との距離が保てる。そのため、プラテン31の第2領域312において、印字ヘッド32がラバー34の第2領域342に接触はするものの、印字ヘッド32から受ける押圧力は高くない。したがって、印字ヘッド32の押圧力によってラバー34の第2領域342が変形する変形量が少ないため、印字ヘッド32と第2領域342の接触面積は小さい。そのため、印字ヘッド32と第2領域342との間の摩擦抵抗を小さく抑えることができる。
【0029】
なお、印字ヘッド32の押圧によるプラテン31の撓みを防止するために、シャフト33の径はある程度の太さが必要である。そのため、シャフト33の第2領域332の径を基準の太さとして、第1領域331の径を基準より太くするようにシャフト33を形成することが望ましい。しかしながら、例えば大きさが大きなプラテン31については、第1領域331の径を基準の太さとして、第2領域332の径を基準の径より細くするようにしてもよい。
【0030】
ここからは実施形態の第1変形例について説明する。
図4は、プラテン31の構造の第1変形例を示す説明図である。ラベル201両端部の領域は、ラベル201の紙厚の影響で印字ヘッド32とプラテン31が直に接触しにくい。そのため、第1変形例では、第1領域311(すなわち、第1領域331と第1領域341)を実施形態よりプラテン31の両端側に少し広げた。具体的には、第1変形例は、第1領域311を両端側にE(mm)広げて長さCとした(C=A+2×E(Aはラベル201の幅の長さ))。すなわち、ラバー34の第1領域341が実施形態に比べて2×Eだけ長くなる。そのため、ラバー34の第1領域341における厚さがNの領域が実施形態より広がる。そのため、第1領域341におけるラバー34の見かけの硬度が実施形態より高くなり、第1領域341におけるラバー34の変形量が実施形態より小さくなる。すると、プラテン31の第2領域312において、印字ヘッド32がラバー34の第2領域342に接触はするものの、印字ヘッド32から受ける押圧力は実施形態より高くない。そのため、印字ヘッド32の押圧力によってラバー34の第2領域342が変形する変形量が少ないため、印字ヘッド32と第2領域342の接触面積は小さい。そのため、印字ヘッド32と第2領域342との間の摩擦抵抗を小さく抑えることができる。
【0031】
ここからは実施形態の第2変形例について説明する。
図5は、プラテン31の構造の第2変形例を示す説明図である。実施形態および第1変形例では、プラテン31の第2領域312におけるシャフト33の第2領域332の径はすべて径Jであり、ラバー34の第2領域342の厚さはすべて厚さFであった。すなわち、実施形態および第1変形例では、第2領域312におけるシャフト33の第2領域332の太さとラバー34の第2領域342の厚さは同じで合った。
図5に示すように、第2変形例は、プラテン31の第2領域312において、シャフト33の第2領域332の太さとラバー34の第2領域342の厚さを段階的に異ならせた。
【0032】
すなわち、第2変形例において、第2領域312における点線102と点線107の間は、シャフト33の第2領域332の径は径Jであり、ラバー34の第2領域342の厚さは厚さFである。同様に、第2領域312における点線103と点線108の間は、シャフト33の第2領域332の径は径Jであり、ラバー34の第2領域342の厚さは厚さFである。しかしながら、第2領域312における点線107と点線101の間は、シャフト33の第2領域332の径は径P(<径J)であり、ラバー34の第2領域342の厚さは厚さQ(>厚さF)である。同様に、第2領域312における点線108と点線104の間は、シャフト33の第2領域332の径は径P(<径J)であり、ラバー34の第2領域342の厚さは厚さQ(>厚さF)である。
【0033】
このような第2変形例においても、第1領域341のラバー34がさほど潰れない場合、プラテン31とは、ラベル201を挟んで位置する印字ヘッド32との距離が保てる。そのため、プラテン31の第2領域312において、印字ヘッド32がラバー34の第2領域342に接触はするものの、印字ヘッド32から受ける押圧力は高くない。そのため、印字ヘッド32の押圧力によってラバー34の第2領域342が変形する変形量が少ないため、印字ヘッド32と第2領域342の接触面積は小さい。したがって、印字ヘッド32と第2領域342との間の摩擦抵抗を小さく抑えることができる。さらに、第2変形例では、実施形態に比べてより段階的にラバー34の厚さを異ならせるため、ラベル201をより安定的に搬送することができる。
【0034】
ここからは実施形態の第3変形例について説明する。
図6は、プラテン31の構造の第3変形例を示す説明図である。
図6に示すように、第3変形例は、プラテン31の第2領域312において、シャフト33の第2領域332の太さとラバー34の第2領域342の厚さを連続的に異ならせた。すなわち、第3変形例では、第1領域311ではシャフト33の第1領域331の径は径Mであるが、第2領域312では第2領域332の径は、両端に向かうに連れて径Mから徐々に小さくなる。また、第1領域311ではラバーの第1領域341の厚さはNであるが、第2領域312では第2領域342の厚さは、両端に向かうに連れてNから徐々に厚くなる。
【0035】
このような第3変形例においても、第1領域341のラバー34がさほど潰れない場合、プラテン31とは、ラベル201を挟んで位置する印字ヘッド32との距離が保てる。そのため、プラテン31の第2領域312において、印字ヘッド32がラバー34の第2領域342に接触はするものの、印字ヘッド32から受ける押圧力は高くない。そのため、印字ヘッド32の押圧力によってラバー34の第2領域342が変形する変形量が少なく、印字ヘッド32と第2領域342の接触面積は小さい。したがって、印字ヘッド32と第2領域342との間の摩擦抵抗を小さく抑えることができる。さらに、第3変形例では、実施形態に比べてより連続的にラバー34の厚さを異ならせるため、ラベル201をより安定的に搬送することができる。
【0036】
以上説明したように、実施形態のサーマルプリンタ1は、回転可能な円柱形状であって、回転軸K方向の中央部Tを基準として種々の幅のラベル201を外周部310に接触させて搬送するプラテン31と、プラテン31に沿って対向配置されるとともに外周部310に押圧され、ラベル201に熱を印加して印字を行う印字ヘッド32と、を備え、プラテン31は、回転軸Kを構成するシャフト33と、シャフト33の外周に設けられた外周部310を有するラバー34とを備えるとともに、中央部Tを中心とした第1領域311と第1領域311より回転軸K方向の両外側の第2領域312を有し、第1領域311におけるプラテン31の径と第2領域312におけるプラテン31の径は同一であって、かつ第1領域311におけるラバー34の厚さを、第2領域312におけるラバー34の厚さより薄くした、ことを特徴とする。
【0037】
このような構成の実施形態のサーマルプリンタ1は、第2領域312において、印字ヘッド32とプラテン31との接触面積を減らすことができる。そのため、印字ヘッド32とプラテン31との間の摩擦抵抗による用紙搬送の負荷を低減することが可能となる。
【0038】
以上、本発明の実施形態および変形例を説明したが、この実施形態および変形例は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。この新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。この実施形態および変形例は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【0039】
例えば、実施形態では、印字媒体としてラベル201を用いて説明した。しかしながらこれに限らず、印字媒体は、例えば、ライナレスのラベル、レシート用紙、また単票用紙、等であってもよい。
【0040】
また、実施形態では、シャフト33において第1領域331と第2領域332との間の段違い部Gに傾斜を設けたが、この傾斜は必須の構成ではない。
【符号の説明】
【0041】
1 サーマルプリンタ
10 ラベル発行口
20 ラベル用紙
23 印字部
25 ラベル剥離板
26 フレーム
31 プラテン
32 印字ヘッド
33 シャフト
34 ラバー
201 ラベル
310 外周部
311 第1領域
312 第2領域
331 第1領域
332 第2領域
341 第1領域
342 第2領域
【先行技術文献】
【特許文献】
【0042】