(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-02-20
(45)【発行日】2025-03-03
(54)【発明の名称】椅子
(51)【国際特許分類】
A47C 1/026 20060101AFI20250221BHJP
A47C 7/46 20060101ALI20250221BHJP
【FI】
A47C1/026
A47C7/46
(21)【出願番号】P 2021090731
(22)【出願日】2021-05-31
【審査請求日】2024-04-17
(73)【特許権者】
【識別番号】000001351
【氏名又は名称】コクヨ株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000108627
【氏名又は名称】タカノ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100085338
【氏名又は名称】赤澤 一博
(72)【発明者】
【氏名】市川 智昭
(72)【発明者】
【氏名】野溝 渉
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼橋 泰崇
(72)【発明者】
【氏名】林 克明
【審査官】丸山 裕樹
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-057639(JP,A)
【文献】特開平10-295487(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2010/0194161(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47C 1/00 - 16/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
支持基部に対して背支持体を介して後傾動作可能に支持された背凭れを有し、当該背凭れの後傾度合いを二以上の複数の中から選択し得る後傾度合設定機構を設けた椅子であって、
前記後傾度合設定機構が、前記背支持体又は前記支持基部の何れか一方に回転可能に支持された操作レバーと、この操作レバーに対して一体的に回転可能に取り付けられ複数の前記後傾度合いに対応した複数の当たり面が回転方向に間隔を空けて配設された回転部材と、前記背支持体又は前記支持基部の他方に配設され前記複数の当たり面における特定の当たり面が選択的に当接し得るダンパー部材とを備えたものであり、
複数の前記後傾度合いの何れもが、前記当たり面が前記ダンパー部材に当接することによって規定されている
ものであり、
前記操作レバーが、左右方向に延びてなり軸孔に枢支されるレバー軸部と、このレバー軸部の一端部に取り付けられたハンドル部とを備えたものであり、
前記回転部材が、前記レバー軸部が挿通される挿通孔が形成された基端部と、前記基端部と一体に設けられ前記複数の当たり面を有した回転部材本体を備えたものであり、
複数の前記後傾度合いが、第一、第二、第三、及び、第四の後傾度合いであり、
前記複数の当たり面が、前記第一、第二、第三、及び、第四の後傾度合いに対応させて、前記回転部材本体に設けられた第一、第二、第三、第四の当たり面であり、
前記第一の当たり面が、前記第二の当たり面よりも前記基端部から離れた位置に設けられたものであり、
前記第二の当たり面が、前記第三の当たり面よりも前記基端部から離れた位置に設けられたものであり、
前記第三の当たり面が、前記第四の当たり面よりも前記基端部から離れた位置に設けられたものであって、
前記第一の当たり面が前記ダンパー部材に当たる場合には、前記背凭れが殆ど後傾しない前記第一の後傾度合いに設定されているものであり、
前記回転部材本体が、側面視において略矩形状をなし前記ダンパー部材に当接する場合に下方を向く略矩形状をなす前記第一の当たり面が設けられた四角柱状部分と、側面視において略三角形状をなし前記ダンパー部材に当接する場合に下方を向く略矩形状をなす前記第二の当たり面が設けられた第一の山形状部分と、側面視において略三角形状をなし前記ダンパー部材に当接する場合に下方を向く略矩形状をなす前記第三の当たり面が設けられた第二の山形状部分と、側面視において略三角形状をなし前記ダンパー部材に当接する場合に下方を向く略矩形状をなす前記第四の当たり面が設けられた第三の山形状部分を備えたものである椅子。
【請求項2】
前記操作レバーが前記背支持体に支持されたものであり、前記ダンパー部材が前記支持基部に配設されたものである請求項1記載の椅子。
【請求項3】
前記第一の当たり面、前記第二の当たり面、前記第三の当たり面、及び、第四の当たり面が、前記ダンパー部材に対して略同じ当たり角度で当接し得るように前記四角柱状部分、前記第一の山形状部分、前記第二の山形状部分、及び、前記第三の山形状部分の各形状が設定されている請求項
1又は2記載の椅子。
【請求項4】
前記回転部材本体が、左右に対をなして配設されたものであり、
前記ダンパー部材が、前記回転部材本体の対応する位置に左右に対をなして配設されたものである請求項1、2
又は3記載の椅子。
【請求項5】
前記左右の回転部材本体同士が、前記基端部から延設された連結壁により連結されている請求項
4記載の椅子。
【請求項6】
前記操作レバーが前記背支持体に支持されたものであり、前記ダンパー部材が前記支持基部に配設されたものであって、
前記支持基部が、合成樹脂により一体に形成された支持基部本体と、この支持基部本体とは別体をなし当該支持基部本体の後端部に取り付けられた前記ダンパー部材とを備えたものである請求項1、2、3、4
又は5記載の椅子。
【請求項7】
前記回転部材を複数の前記後傾度合いに対応する複数の回動位置の何れかに節度係止させるための節度機構を備えている請求項1、2、3、4、5
又は6記載の椅子。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、椅子に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、支持基部に対して背支持体を介して後傾動作可能に支持された背凭れを有してなる椅子が知られている(例えば、特許文献1を参照)。
【0003】
この種の椅子においては、背凭れの後傾度合いを二以上の複数の中から選択し得る後傾度合設定機構を設けたものが検討されている。
【0004】
ところが、従来のものは、背凭れにおける後傾の限界位置を規定するための背凭れ側の係合箇所及び支持基部側の係合箇所が、それぞれ二箇所以上に散在したものとなっていたため、それぞれの後傾度合いにおいて使用者に与え得る底付き感が異なるものとなっていた。
【0005】
従来の椅子における典型的な例(第一、第二の後傾度合が設定された背凭れを有する椅子)を挙げれば次の通りである。
【0006】
すなわち、第一の後傾度合いの設定状態では、背凭れ側に設けたロック体が、支持基部側に設けたロック体係合部に係合することよって後傾の限界位置が規定されていた。ところが、第二の後傾度合いの設定状態では、前述したロック体とロック体係合部とを係合させることなく、背凭れ側及び支持基部側における他の部分同士を係合させることによって後傾の限界位置が規定されていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、以上のような事情に着目してなされたものであり、少なくとも、選択された何れの後傾度合いにおいても、着座者に対して共通的な底付感を与え得るものとなり、着座者の快適な使用に資する背凭れを有した椅子を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
すなわち、本発明は次の構成をなしている。
【0010】
請求項1に記載の発明は、支持基部に対して背支持体を介して後傾動作可能に支持された背凭れを有し、当該背凭れの後傾度合いを二以上の複数の中から選択し得る後傾度合設定機構を設けた椅子であって、前記後傾度合設定機構が、前記背支持体又は前記支持基部の何れか一方に回転可能に支持された操作レバーと、この操作レバーに対して一体的に回転可能に取り付けられ複数の前記後傾度合いに対応した複数の当たり面が回転方向に間隔を空けて配設された回転部材と、前記背支持体又は前記支持基部の他方に配設され前記複数の当たり面における特定の当たり面が選択的に当接し得るダンパー部材とを備えたものであり、複数の前記後傾度合いの何れもが、前記当たり面が前記ダンパー部材に当接することによって規定されているものであり、前記操作レバーが、左右方向に延びてなり軸孔に枢支されるレバー軸部と、このレバー軸部の一端部に取り付けられたハンドル部とを備えたものであり、前記回転部材が、前記レバー軸部が挿通される挿通孔が形成された基端部と、前記基端部と一体に設けられ前記複数の当たり面を有した回転部材本体を備えたものであり、複数の前記後傾度合いが、第一、第二、第三、及び、第四の後傾度合いであり、前記複数の当たり面が、前記第一、第二、第三、及び、第四の後傾度合いに対応させて、前記回転部材本体に設けられた第一、第二、第三、第四の当たり面であり、前記第一の当たり面が、前記第二の当たり面よりも前記基端部から離れた位置に設けられたものであり、前記第二の当たり面が、前記第三の当たり面よりも前記基端部から離れた位置に設けられたものであり、前記第三の当たり面が、前記第四の当たり面よりも前記基端部から離れた位置に設けられたものであって、前記第一の当たり面が前記ダンパー部材に当たる場合には、前記背凭れが殆ど後傾しない前記第一の後傾度合いに設定されているものであり、前記回転部材本体が、側面視において略矩形状をなし前記ダンパー部材に当接する場合に下方を向く略矩形状をなす前記第一の当たり面が設けられた四角柱状部分と、側面視において略三角形状をなし前記ダンパー部材に当接する場合に下方を向く略矩形状をなす前記第二の当たり面が設けられた第一の山形状部分と、側面視において略三角形状をなし前記ダンパー部材に当接する場合に下方を向く略矩形状をなす前記第三の当たり面が設けられた第二の山形状部分と、側面視において略三角形状をなし前記ダンパー部材に当接する場合に下方を向く略矩形状をなす前記第四の当たり面が設けられた第三の山形状部分を備えたものである椅子である。
【0011】
請求項2に記載の発明は、前記操作レバーが前記背支持体に支持されたものであり、前記ダンパー部材が前記支持基部に配設されたものである請求項1記載の椅子である。
【0016】
請求項3に記載の発明は、前記第一の当たり面、前記第二の当たり面、前記第三の当たり面、及び、第四の当たり面が、前記ダンパー部材に対して略同じ当たり角度で当接し得るように前記四角柱状部分、前記第一の山形状部分、前記第二の山形状部分、及び、前記第三の山形状部分の各形状が設定されている請求項1又は2記載の椅子である。
【0017】
請求項4に記載の発明は、前記回転部材本体が、左右に対をなして配設されたものであり、前記ダンパー部材が、前記回転部材本体の対応する位置に左右に対をなして配設されたものである請求項1、2又は3記載の椅子である。
【0018】
請求項5に記載の発明は、前記左右の回転部材本体同士が、前記基端部から延設された連結壁により連結されている請求項4記載の椅子である。
【0019】
請求項6に記載の発明は、前記操作レバーが前記背支持体に支持されたものであり、前記ダンパー部材が前記支持基部に配設されたものであって、前記支持基部が、合成樹脂により一体に形成された支持基部本体と、この支持基部本体とは別体をなし当該支持基部本体の後端部に取り付けられた前記ダンパー部材とを備えたものである請求項1、2、3、4又は5記載の椅子である。
【0020】
請求項7に記載の発明は、前記回転部材を複数の前記後傾度合いに対応する複数の回動位置の何れかに節度係止させるための節度機構を備えている請求項1、2、3、4、5又は6記載の椅子である。
【発明の効果】
【0021】
以上説明したように本発明によれば、少なくとも選択された何れの後傾度合いにおいても、着座者に対して共通的な底付感を与え得るものとなり、着座者の快適な使用に資する背凭れを有した椅子を提供することができるものとなる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図12】同実施形態における調整レバー(反力調整レバー)の平面図。
【
図51】同実施形態における支持基部本体の斜視図。
【
図52】同実施形態における支持基部本体の正面図。
【
図53】同実施形態における支持基部本体の背面図。
【
図54】同実施形態における支持基部本体の右側面図。
【
図55】同実施形態における支持基部本体の左側面図。
【
図56】同実施形態における支持基部本体の平面図。
【
図57】同実施形態における支持基部本体の底面図。
【
図61】同実施形態における支持基部及び背支持体等を示す斜視図。
【
図76】同実施形態における後傾度合設定機構の要部中央断面図。
【
図77】同実施形態における後傾度合設定機構の要部中央断面図。
【
図78】同実施形態における後傾度合設定機構の要部中央断面図。
【
図79】同実施形態における後傾度合設定機構の要部中央断面図。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の一実施形態を、
図1~79を参照して説明する。
【0024】
この実施形態は、本発明を、オフィス等において好適に使用される事務用の回転椅子(以下、単に「椅子」という。)に適用したものである。
【0025】
椅子は、脚Aと、脚Aに対して旋回可能に支持された支持部材である支持基部Bと、支持基部Bの上に配された座Cと、支持基部Bに対して背支持体Dを介して後傾動作可能に支持された背凭れEと、背凭れEに対して取り付けられたランバーサポートRと、背凭れEに対して選択的に装着されるオプションである背凭れ面拡張部材F及びハンガーGを備えたものである。
【0026】
椅子は、支持基部Bと背支持体Dとの間に、背凭れEの後傾度合いを設定し得る後傾度合設定機構Xが設けられている。
【0027】
この実施形態の椅子には、背凭れEの後傾動作に伴わせて座Cを上動及び後方移動させるいわゆる体重感知式のロッキング機構Vが設けられている。
【0028】
<<脚A>>
脚Aは、先端にキャスタa11を有し放射状に配置された複数本の脚羽根a1と、脚羽根a1の基端部に立設された脚支柱a2とを備えたものである。
【0029】
脚支柱a2は、上下方向に伸縮可能に構成されている。脚支柱a2は、図示しないガススプリングにより支持基部Bを上下位置変更可能に支持し得るものとなっている。
【0030】
<<支持基部B>>
支持基部Bは、合成樹脂により一体に形成された支持基部本体1を主体に構成されたものである。支持基部Bは、脚Aの上に取り付けられている。
【0031】
<支持基部本体1>
支持基部本体1は、合成樹脂により一体に成型されたものである。支持基部本体1は、内部に収容空間spを有し上方に開放されたボックス状をなしている。支持基部本体1は、別部材のカバー体により被覆されない仕様のものとなっている。
【0032】
支持基部本体1は、座Cや背凭れEを支持するという本体機能を発揮し得るだけでなくそれ自体で美観を損なわないカバーを兼ねたような意匠性を発揮し得るものとなっている。
【0033】
支持基部本体1における少なくとも一部の外表面、すなわち、基礎底部構造体11における一部の下向面11s、傾斜底壁12の下向面12s、前底壁13の下向面13s、左右の側壁14における一部の外向面14sは外部に露出しており、使用者に対して直接的に視認され得るものとなっている。
【0034】
支持基部本体1は、下向面11sを有し脚支柱a2に取り付けられた基礎底部構造体11と、斜め後下方を向く下向面12sを有し基礎底部構造体11の前端部から斜め下前方に向かって延設された後傾姿勢をなす傾斜底壁12と、下向面13sを有し傾斜底壁12の前端部から前方に延設され前方に向かうに連れて漸次上方に位置するように傾斜した姿勢をなす前底壁13と、基礎底部構造体11、傾斜底壁12、及び、外向面14sを有し前底壁13の左右両端部からそれぞれ上方に延設された起立姿勢をなす左右の側壁14と、前向面15sを有し左右の側壁14の前端部間を繋ぐ起立姿勢をなす前壁15を備えている。
【0035】
支持基部本体1は、基礎底部構造体11、傾斜底壁12、前底壁13、左右の側壁14、及び、前壁15より囲まれており、反力発生部HGや当該反力発生部HGに係合する受け軸d4や当該受け軸d4を支持する受け軸支持部材d3と、反力調整レバーKのレバー基軸部k3が収容される収容空間spを備えている。
【0036】
[基礎底部構造体11]
基礎底部構造体11は、下向面11sを有した底壁部111と、底壁部111に立設されたボス部112と、底壁部111に立設されボス部112よりも後に位置し当該ボス部112に沿って湾曲した起立壁状をなす後湾曲壁113と、底壁部111に立設され前後方向に延びてなりボス部112と左右の側壁14との間に位置してなる起立壁状をなす側起立壁114と、底壁部111に立設されるとともにボス部112における後部の左右方向中央部と後湾曲壁113の左右方向中央部との間を繋ぐ前後方向に延びた後連結壁115と、底壁部111に立設されるとともにボス部112における側部と側起立壁114との間を繋ぐ平面視において傾斜姿勢をなした側連結壁116と、底壁部111に立設されるとともにボス部112における前部と側起立壁114との間を繋ぐ平面視において傾斜姿勢をなした前連結壁117と、底壁部111に立設されるとともに側起立壁114と左右の側壁14との間を繋ぐ平面視において傾斜姿勢をなした外連結壁118と、底壁部111に立設されるとともに側起立壁114と左右の側壁14との間を繋ぎ軸孔1bに挿入された主軸jk1の下に配設された軸下連結部119とを備えたものである。
【0037】
軸下連結部119には、上部に主軸jk1を保持し得る軸保持部JHを構成する軸保持凹部1eを備えている。軸保持部JHについては後で詳述する。
【0038】
基礎底部構造体11は、底壁部111及びボス部112に貫通するように設けられ脚支柱a2に外嵌するための接続部である嵌合孔11aを備えている。
【0039】
底壁部111の後端部には、後傾度合設定レバーHに取り付けられた回転部材Reに係合し得る緩衝用のアタッチメントであるダンパー部材XMを取り付けるための取付座111aが設けられている。取付座111aは隔壁111dを挟んで左右に対をなして設けられている。取付座111aには、上下方向に貫通するアタッチメントであるダンパー部材XMの取付用の孔111bが設けられている。取付座111aに対応する底壁部111の下面側には凹陥部111cが形成されている。
【0040】
ボス部112には、座受c1に配された操作片Lに対する操作力が伝達されて動作し得る図示しないガススプリング操作機構を取り付けるためのナット部n7が配設されている。
【0041】
[傾斜底壁12]
傾斜底壁12は、斜め後下方を向く下向面12sを有し基礎底部構造体11における底壁部111の前端部から斜め下前方に向かって延設された後傾姿勢をなしている。傾斜底壁12の内面には、前後方向に延びてなり基礎底部構造体11の前部及び前底壁13の後部に接続された左右一対の中間連結壁121が立設されている。
【0042】
傾斜底壁12には、基礎底部構造体11の側起立壁114に連続させて前後方向に延びた起立壁状をなした側起立壁122が立設されている。すなわち、側起立壁122は、左右の側壁14の内側に設けられている。
【0043】
[前底壁13]
前底壁13は、下向面13sを有し傾斜底壁12の前端部から前方に延設され前方に向かうに連れて漸次上方に位置するように傾斜した姿勢をなしている。
【0044】
前底壁13には、傾斜底壁12の側起立壁122に連続させて前後方向に延びた起立壁状をなした側起立壁131が立設されている。すなわち、側起立壁131は、左右の側壁14の内側に設けられている。また、前底壁13には、側起立壁131と左右の側壁14との間を繋ぐ複数の連結壁132が立設されている。
【0045】
前底壁13の前部には、反力調整レバーKのレバー基軸部k3に設けられた複数の被保持軸部分k31a、k31b、k31cを受ける複数の軸受部133a、133b、133c、すなわち、一方側たる右側の軸受部133a、中央の軸受部133b、及び、他方側たる左側の軸受部133cが設けられている。
【0046】
右側の軸受部133aの曲率半径よりも中央の軸受部133bの曲率半径の方が大きく設定されており、中央の軸受部133bの曲率半径よりも左側の軸受部133cの曲率半径の方が大きく設定されている。
【0047】
右側の軸受部133a及び左側の軸受部133cはそれぞれ上向きに開放された姿勢をなしている。右側の軸受部133a及び左側の軸受部133cは、側起立壁131の上部に設けられている。右側の軸受部133a及び左側の軸受部133cには、凹み面にグリース保持溝1jが設けられている。
【0048】
中央の軸受部133bは後方に開放された姿勢をなしている。中央の軸受部133bは、前底壁13の左右方向中央部に立設され反力発生部HGにより常時押圧されている反力調整レバーKを裏側から支えるバックサポート部13aに設けられている。中央の軸受部133bにも凹み面にグリース保持溝1jが設けられている。
【0049】
[左右の側壁14]
左右の側壁14は、外側方を向く外向面14aを有し基礎底部構造体11の底壁部111、傾斜底壁12、及び、前底壁13の左右両端部からそれぞれ上方に延設された起立姿勢をなしたものである。
【0050】
左右の側壁14は、基礎底部構造体11における底壁部111の前部に対応する前後方向の位置に設けられ軸である主軸jk1を回転可能に保持し得る左右方向に貫通した軸孔1bと、軸孔1bの周縁部に設けられ当該側壁14の厚み方向に凹ませた凹部1aと、前端部に設けられ座Cの前部を支持するための前軸jk2を前後移動可能に保持し得る左右方向に貫通した長孔1cと、側面視において軸孔1bの開口縁を囲むように外側方に突設された環状突起141と、左の側壁14における長孔1cの後側に設けられ反力調整レバーKが挿通されるレバー挿通孔142を備えている。
【0051】
軸孔1bは、背支持体Dの左右のアームd1間に架設された主軸jk1を回転可能に支持し得るものである。この実施形態では、左右の側壁14に設けられた軸孔1bは、合成樹脂製の支持基部本体1において主軸jk1を好適に保持させるための軸保持部JHを構成する部分になっている。
【0052】
すなわち、軸保持部JHは、左右の側壁14に設けられ主軸jk1の大きさに対応して形成された貫通孔である軸孔1bと、左右の側壁14における内側部側に連設され基礎底部構造体11における側起立壁114及び軸下連結部119の上部に設けられた軸保持凹部1eとによって構成されている。
【0053】
軸保持凹部1eは軸孔1bに対応した位置に形成されている。軸保持凹部1eは、上向きに開放されている。軸保持凹部1eは、軸孔1bにおける下部の内周面に連続した凹み面1fが形成されたものである。
【0054】
軸保持凹部1eは、主軸jk1の下部を回転可能に保持し得るように凹んだ形状をなしている。軸保持凹部1eには、凹み面1fに沿って前後方向に延びてなるグリース保持溝1gが左右方向に離間させて複数設けられている。
【0055】
凹部1aは、軸孔1bの周縁部、より具体的に言えば、軸孔1bの下に形成されている。凹部1aは、軸孔1bの略直下に設けられている。凹部1aは、左右の側壁14における外面側に設けられている。凹部1aは、外側方に開放された略四角柱状の空間seを形成したものとなっている。
【0056】
凹部1aと軸孔1bとの間には樹脂肉部分JNが介在している。樹脂肉部分JNの上下寸法w4は、軸孔1bの直径w2よりも短く設定されている。なお、樹脂肉部分JNは、左右の側壁14における軸孔1bの下の部分と基礎底部構造体11の軸下連結部119とによって構成されている。
【0057】
凹部1aにおける前後方向の内法寸法w1は、軸孔1bの直径w2と略等しい寸法又はそれよりも短い寸法に設定されている。凹部1aにおける上下方向の内法寸法w3は、軸孔1bの直径w2よりも短い寸法に設定されている。凹部1aは、側面視において座Cの座受c1に覆い隠されたものとなっている。
【0058】
長孔1cは、側面視において下端部側が上端部側よりも前に位置するように斜め方向に延びてなるものである。長孔1cには、前軸jk2に対して滑りやすい素材により作られたスリーブ部材SLが内嵌されている。前軸jk2は、スリーブ部材SLを介して長孔1cに支持されたものとなっている。
【0059】
環状突起141は、外側方を向く突出端面が背支持体Dにおける左右のアームd1の内面に接し得るように構成されている。
【0060】
[前壁15]
前壁15は、前向面s15を有し左右の側壁14の前端部間を繋ぐ起立姿勢をなしたものである。前壁15の上部には、リブである左右方向に延びた横延突壁151と、横延突壁151の上に配設され左右方向に間隔を空けて複数設けられた上下方向に延びてなる縦延突壁152とを備えている。
【0061】
支持基部本体1の内部すなわち収容空間spには、後傾動作し得る背凭れEの反力を生じさせるための反力発生部HGが配設されている。反力発生部HGは、支持基部Bに枢支された反力調整レバーKと支持基部Bに枢支されるとともに背凭れEに連結された背支持体Dとの間に介設されたものである。反力発生部HGは、ばね材であるコイルスプリングHG1を主体に構成されている。
【0062】
支持基部Bには、背凭れEの反力を調整するための調整レバーたる反力調整レバーKが回転可能に支持されている。反力調整レバーKは、支持基部本体1と、反力調整レバーKにおけるレバー基軸部k3の上側を覆い支持基部本体1に対してねじv8により取り付けられたカバー体Baとの間で回転可能に保持されている。なお、カバー体Baに設けられた図示しないねじ挿通孔を挿通したねじv8は、前底壁13に設けられたナット部n8に螺着されるものとなっている。
【0063】
<<反力調整レバーK>>
反力調整レバーKは、支持基部1に対して回転可能に支持されている。反力調整レバーKは、左右方向に長手をなすように支持基部1に枢支されている。反力調整レバーKは、使用者の手によって回転操作され、回転に伴わせて反力発生部HGを構成するばね材であるコイルスプリングHG1の圧縮度合いを調整し得るものである。
【0064】
反力調整レバーKは、一端部たる先端部に設けられ使用者により把持されて回転操作力が加えられる操作部k1と、操作部k1に軸心jsを合致させて連設され操作部k1から離れるにつれて外径寸法が短くなる形状をなす中間連結部k2と、中間連結部k2に軸心jsを合致させて連設され支持基部本体1に対して軸支される部位である複数すなわち左右及び中央の被保持軸部分k31a、k31b、k31cが設けられたレバー基軸部k3とを備えたものである。
【0065】
反力調整レバーKを構成する操作部k1、中間連結部k2、及び、レバー基軸部k3は合成樹脂により一体に形成されている。
【0066】
<操作部k1>
操作部k1は、外方に開放された略円筒状をなす操作部本体k11と、操作部本体k11の端部に設けられ操作部本体k11の中心部に向かって延びる目印部である突出部k12とを備えたものである。突出部k12は、操作部本体k11の内周面から当該操作部本体k11の中心部に向かって突設された単一のものである。
【0067】
[操作部本体k11]
操作部本体k11は、内部に略円柱状の空間部s1を形成し得るものである。操作部本体k11は、その先端部分k111の外周面が先端に向かうに連れて漸次相寄る方向に位置するように構成されている。また、操作部本体k11における先端部分k111の外周面には、軸心jsに沿って指滑り防止用の複数の溝k112が設けられている。
【0068】
突出部k12に対応する操作部本体k11の先端部分k111における外周面には、突出部k12の厚み寸法と略同じ幅寸法に設定された目印用の凹み部k114が形成されている。すなわち、凹み部k114は、突出部k12が突設された操作部本体k11における内周面の真裏側に位置する先端部分k111の外周面に設けられている。
【0069】
[突出部k12]
突出部k12は、操作部本体k11の内周面から軸心jsに向かって突設されている。突出部k12は、反力調整レバーKの長手方向に沿って延びてなる起立壁状をなしている。突出部k12は、軸心js方向から見た場合に、軸心jsに向かって漸次幅狭になる形状部分たる先端部k121を備えている。この実施形態では、漸次幅狭になる形状部分は突出部k12の先端部k121にのみ有している。より具体的に言えば、突出部k12の先端部k121は、側面視において半円弧状をなしている。
【0070】
突出部k12は、操作部本体k11における外方を向く端縁、すなわち、操作部本体k11の開口縁k113よりも外側に、外方を向く目印用の端面k122を備えている。
【0071】
<中間連結部k2>
中間連結部k2は、操作部k1を有する側からレバー基軸部k3を有する側に向かって漸次外径寸法が短くなる形状をなしている。すなわち、中間連結部k2は、操作部k1とレバー基軸部k3との間に介設された部分円錐状の形状をなしたものである。
【0072】
中間連結部k2の内部には、操作部本体k11の円柱状の空間部s1に連続する略円錐状の奥空間部s2を形成している。中間連結部k2における先端側部分の内周面すなわち操作部k1側の内周面には操作部本体k11に設けられた突出部k12が連設されている。
【0073】
<レバー基軸部k3>
レバー基軸部k3は、中間連結部k2に軸心jsを合致させて連設され支持基部Bに対して軸支される部位である複数の被保持軸部分k31a、k31b、k31cと、支持基部Bのカバー体Baに設けられた図示しない回転範囲規制用の突起に係合し得る係合凸部k32と、支持基部Bの内部に配された反力発生部HGに対して係合し得るカム部分k33とを備えている。
【0074】
被保持軸部分k31a、k31b、k31cは、レバー基軸部k3に複数配設されている。レバー基軸部k3に配された左右及び中央の被保持軸部分k31a、k31b、k31cの内、基端(右)の被保持軸部分k31aの径が最も小さく、左の被保持軸部分k31cすなわち先端側(操作部k1側)の被保持軸部分k31cが最も大きく設定されている。
【0075】
換言すれば、レバー基軸部k3は、基端から先端側に向かって径の大きさの異なる複数の被保持軸部分k31a、k31b、k31cが配設されており、先端側の方が基端側の方よりも径が大きく設定されている。より具体的に言えば、右の被保持軸部分k31aの径よりも中央の被保持軸部分k31bの径の方が大きく設定されており、中央の被保持軸部分k31bの径よりも左の被保持軸部分k31cの径の方が大きく設定されている。
【0076】
係合凸部k32は、レバー基軸部k3の左右二箇所に離間して配設されている。係合凸部k32は、支持基部Bのカバー体Baに設けられた図示しない回転範囲規制用の突起に係合することにより、使用者の操作力を受ける反力調整レバーKの軸心js回りの回転可能範囲を規制し得るものとなっている。
【0077】
カム部分k31は、レバー基軸部k3の左右二箇所に離間して配設されている。
【0078】
<<座C>>
座Cは、支持基部Bの上に配されている。座Cは、アウターシェルとも称される座受c1と、座面を有し座受c1上に前後位置を変更可能に設けられた座本体c2とを備えたものである。
【0079】
すなわち、座Cは、座受c1に対して座本体c2を前位置(i1)と後位置(i2)との間で前後方向にスライド移動可能に支持させたものである。座本体c2は、インナーシェルとも称される合成樹脂製の支持部材c21を有している。
【0080】
座Cは、合成樹脂により形成されたシェル状をなす座受c1と、座受c1の上に配され当該座受c1に対して前後方向にスライド移動可能に支持された座本体c2と、座本体c2に対して上位置と下位置との間で上下動可能に支持され上位置にあるときに座本体c2を前後方向にスライド移動可能な状態にさせ得る操作部材ctを備えている。
【0081】
<座受c1>
座受c1は、上部において座本体c2を支持し得る大きさを有したシェル状の形態をなしている。座受c1は、底面視において後部が後方に凸をなすように湾曲した形状を有しつつ四つの角部が丸みを帯びたものであり、全体として略矩形状をなしたものである。
【0082】
座受c1は、底面視において座本体c2の前部が座受c1の前端縁よりも前に大きく迫り出した前位置(i1)と当該前位置(i1)よりも後に位置した後位置(i2)との間で、座本体c2を前後方向にスライド移動可能に支持し得るものである。
【0083】
座受c1の前部は、前軸jk2と係わり合っている。つまり、座受c1の前部は、前軸jk2を介して支持基部Bに支持されている。また、座受c1の前後方向中央部は、後軸jk3と係り合っている。つまり、座受c1の前後方向中央部は、後軸jk3を有した背支持体Dを介して支持基部Bに支持されている。
【0084】
座受c1は、上部において座本体c2を支持し得るシェル形状の主要部を構成する座受本体caと、座受本体caから上向きに突設された略T字状をなす四本の抜止突起cbとを備えている。座受本体caと抜止突起cbは合成樹脂により一体に形成されている。
【0085】
[座受本体ca]
座受本体caは、上面に支持部材本体c211の下面に添接し得る下受け領域c13が形成された座受ベースc10と、座受ベースc10における下面側の前部における左右方向中央部に設けられた前の下延壁c11と、座受ベースc10における下面側の左右方向中央部に左右に対をなして下方に延設されるとともに前の下延壁c11の両端部から後方に向かって延設された左右の下延壁c12と、座受ベースc10における下面側の後部における左右方向中央部に設けられるとともに左右の下延壁c12の後部間を繋ぐように設けられた後の下延壁c14とを備えている。
【0086】
座受ベースc10は、上面側に剛性を確保するための前後方向及び左右方向に延びてなる図示しない複数のリブが露出して設けられている。座受ベースc10には、上面側に立設された各リブの上端部によって、支持部材c21における支持部材本体c211の下面に添接及び摺接し得る下受け領域c13が形成されている。
【0087】
座受ベースc10の下受け領域c13には、支持部材本体c211の下面が添接し得るものとなっている。また、下受け領域c13には、座本体c2が前後方向にスライド移動する際には、支持部材本体c211の下面が摺接し得るようになっている。下受け領域c13は、正面視及び背面視において外側部よりも中央部が下に位置するように湾曲した形状をなしている。
【0088】
座受本体caの両側端縁、すなわち、座受ベースc10の両側端縁は、前後方向に略直線状に延びている。座受ベースc10の両側端縁における上端部c101は、座受本体caにおいて最も上に位置する部分を構成している。
【0089】
座本体c2が後位置(i2)にある場合には、座受ベースc10における両側端縁の上端部c101の略全域が、支持部材c21における左右の周縁壁部c213及び空間srを臨む位置に配設されている。
【0090】
一方で、座本体c2が前位置(i1)にある場合には、座受ベースc10における両側端縁の上端部c101の後部が、底面視において、支持部材c21の後部における左右両側部分c21pに位置しているサポート壁c214と交差する位置に配設されている。
【0091】
なお、交差する位置に対応する座クッションc22の垂設部c221には、座受ベースc10の上端部c101を避けるための切欠部c221kが設けられている。すなわち、座クッションc22の後部における左右両側部分c22pに位置するとともに支持部材c21のサポート壁c214に近接して配設された垂設部c221は、座本体c2が前位置(i1)にある場合に、座受c1と干渉しないように底部が切り欠かれた形状をなしている。
【0092】
座受ベースc10における前部の左側部には、上下方向に貫通し操作部材ctが配設される前後方向に延びた座受スリットca1が設けられている。また、座受ベースc10における下面の左右両側部には、図示しない肘掛けをねじ止めするためのねじ挿通孔h7が形成された肘掛け取付部ca2が設けられている。
【0093】
座受ベースc10における後部下面の左右方向中央部には、背凭れEの下枠材4との干渉を避けるための凹み部ca6が設けられている。座受ベースc10の下部には、図示しないガススプリングに作用し、脚支柱a2を上下方向に伸縮操作し得る操作片Lがフラップ動作可能に枢支されている。
【0094】
座受ベースc10における下面側の前後方向中央部には、後軸jk3を保持し得る後軸保持部ca3が設けられている。後軸保持部ca3は底面視において、座受ベースc10における左右の下延壁c12の間に位置する部分に設けられている。
【0095】
前の下延壁c11は、起立壁状のものである。前の下延壁c11は、座受ベースc10から下方に垂下するように延設されたものである。前の下延壁c11は、支持基部本体1における前部の上部を覆い得るものとなっている。前の下延壁c11の前面は外部に露出し、使用者に視認され得る部分をなしている。
【0096】
左右の下延壁c12は、起立壁状のものである。左右の下延壁c12は、左右に対をなして座受ベースc10から下方に垂下するように延設されたものである。左右の下延壁c12は、支持基部本体1における左右両側部の上部を覆い得るものとなっている。左右の下延壁c12の外側面は外部に露出し、使用者に視認され得る部分をなしている。
【0097】
左右の下延壁c12は、側面視において、支持基部本体1の外面側に設けられた凹部1aを覆い隠し得るものとなっている。
【0098】
左右の下延壁c12における前部には、前軸jk2を保持し得る前軸保持部ca4が設けられている。左右の下延壁c12は、支持基部本体1に設けられた外方に開放された凹部1aを外側から覆い隠すようになっている。また、左右の下延壁c12の内、左の下延壁c12には、支持基部本体1から突設された反力調整レバーKを避けるように切欠部c121が形成されている。
【0099】
後の下延壁c14は、起立壁状のものである。後の下延壁c14は、左右の下延壁c12における後部間に配設されている。後の下延壁c14における左右両側部には、背支持体Dにおける左右のアーム本体d11との干渉を避けるための上下方向に延びてなるとともに下方に開放されたスリットca5が左右に対をなして設けられている。
【0100】
[抜止突起cb]
抜止突起cbは、座受本体caに立設された正面視において略T字状の外観をなしたものである。抜止突起cbは、座本体c2の支持部材c21に設けられた案内スリットc211bと係わり合うことにより座本体c2を座受c1に対して離脱不能に支持し得るとともに座本体c2を座受c1に対して前後スライド可能に位置決めし得るものとなっている。
【0101】
<座本体c2>
座本体c2は、座受c1に対して前後方向にスライド移動し得るように構成されている。座本体c2は、座受c1よりも前後方向及び左右方向の寸法が大きく設定されたシェル状をなす支持部材c21と、支持部材c21に支持され当該支持部材c21よりも前後方向及び左右方向の寸法が大きく設定された座クッションc22と、座クッションc22及び支持部材c21の周縁部を外側から被覆する座張地c23とを備えたものである。
【0102】
座本体c2が後位置(i2)にある場合には、底面視において、座受c1の全周縁部が、支持部材c21の全周縁部よりも内側に位置するものとなっている。
【0103】
座本体c2が前位置(i1)にある場合には、底面視において、座受c1の後部が、支持部材c21の後部よりも後に位置するものとなっている。換言すれば、座本体c2における支持部材c21の後端部c21tは、前位置(i1)において、座受c1の後端部c1tよりも前に位置し得るものとなっている。
【0104】
[支持部材c21]
支持部材c21は、合成樹脂製のものである。支持部材c1は、座クッションc22の下面に添着され着座者の荷重を均等に支持する役割を担っている。
【0105】
支持部材c21は、正面視及び背面視において外側部よりも中央部が下に位置するように湾曲した形状をなしている。支持部材c21は、底面視において後部が後方に凸をなすように湾曲した形状を有しつつ全体として略矩形状をなしたものである。底面視における支持部材c21の外縁形状は、座受c1の外縁形状と近似した形状をなしている。
【0106】
支持部材c21は、前後方向及び左右方向の中央部に配設された支持部材本体c211と、支持部材本体c211の周縁部に段部c212を介して外側方に延設され下面が支持部材本体c211の下面よりも上側に位置する周縁壁部c213と、周縁壁部c213における外周端縁の全周に下方に突出するように設けられたサポート壁c214とを備えたものである。
【0107】
支持部材本体c211は、前後方向中央部に前後方向に延びるように設けられ座クッションc22の凹部c222に対応させて左右方向に複数設けられた座中央部スリットc211aと、座受c1に設けられた抜止突起cbが係合し得る前後方向に延びた案内スリットc211bと、上下方向に貫設され操作部材ctを上下動可能且つ下方に抜け出し不能に支持し得る操作部材保持孔c211cを備えている。
【0108】
周縁壁部c213は、支持部材本体c211よりも外側に位置し、当該支持部材本体c211よりも上に配設されている。支持部材本体c211と周縁壁部c213との間に介設された段部c212は、支持部材本体c211よりも周縁壁部c213を上に位置させるためのものである。この実施形態では、段部c212は、支持部材本体c211の外周端縁に立設された壁部分を主体に構成されている。
【0109】
周縁壁部c213は、底面視において支持部材本体c211の外側を囲むように配設されている。周縁壁部c213の下、すなわち、周縁壁部c213の下面側には、座張地c23の端縁c23eが配設されるようになっている。
【0110】
換言すれば、支持部材c21には、周縁壁部c213、段部c212、及び、サポート壁c214により略下向きコ字状に囲まれてなり、座張地c23の端縁c23eを収容し得る下方に開放された空間srが形成されている。
【0111】
なお、周縁壁部c213における四つの角部分、及び、周縁壁部c213における前部及び後部の左右方向中央部には、座張地c23の端縁c23eを引っ掛けるための引っ掛け片c21hが設けられている。
【0112】
サポート壁c214は、支持部材c21における外周端縁の全周に設けられた下方に突出する形状をなしたものである。サポート壁c214は、周縁壁部c213の外周端縁から下方に向かって延設された壁状をなしている。サポート壁c214は、座クッションc22の周縁部c22eを座張地c23と協働して安定的に保持させる役割を担うものであり、外側面c21sが座クッションc22の内面たる垂設部c221の内側面c22sに添接し得るものとなっている。
【0113】
この実施形態では、支持部材c21の後部に位置するサポート壁c214が座受c1に対して干渉しない上下寸法に設定されている。より具体的に言えば、支持部材c21の後部における左右両側部分c21pに形成されたサポート壁c214の上下寸法が、他の部分のサポート壁c214の上下寸法よりも短く設定されている。なお、他の部分のサポート壁c214とは、より具体的に言えば、支持部材c21の前部及び後部における左右方向中央部分に位置しているサポート壁c214や、支持部材c21の左右の両側部における前後方向中央部分に位置しているサポート壁c214を挙げることができる。
【0114】
支持部材c21の後部における左右両側部分c21p(すなわち、支持部材c21の後部における左右の角部分)は、背面視において、座受本体caの両側端部に合致する左右方向の位置に設定されている。座受本体caの両側端部における上端部c101は、座受本体caにおいて最も上に位置する部分を構成している。
【0115】
つまり、支持部材c21のサポート壁c214は、座クッションc22の周縁部c22eを座張地c23との協働によって安定的に保持させるために全体として上下方向に延びたものとなっているが、座本体c2が前後方向にスライド移動する際に、座受本体caの両側端部における上端部c101に対して干渉しないようにするため、後部における左右両側部分c21pに位置する部分のみ、上下寸法が極端に短く設定されたものとなっている。
【0116】
なお、左右両側部分c21pに位置し他の箇所と比較して相対的に上下寸法が短く設定されたサポート壁c214の高さは、支持部材c21の左右の両側部における前後方向中央部分に向かって漸次高くなるようになだらかに復帰するとともに支持部材c21の後部における左右方向中央部分に向って漸次高くなるようになだらかに復帰するものとなっている。
【0117】
このため、着座者が座Cに着座した状態で座本体c2を前後方向にスライド移動させるような場合であっても、サポート壁c214は座本体c2のスライド移動に支障を来たし難いものとなる。また、左右両側部分c21pに位置してなり全体としてなだらかに切り欠かれた領域に対応するサポート壁c214が座受c1に対して滑らかに当接し得るものとなっているため、着座者の荷重を受けている座本体c2が座受c1によって好適に支持され得るものとなっている。
【0118】
[座クッションc22]
座クッションc22は、発泡材であるウレタンフォーム材を主体に作られたものである。座クッションc22の下面には、シェル状の部材である支持部材c21が取り付けられている。底面視において、座クッションc22の外縁形状は、支持部材c21の外縁形状と近似した形状をなしている。
【0119】
座クッションc22は、支持部材c21に対して上側から外嵌し得るような形状をなしている。
【0120】
座クッションc22は、底面視において、支持部材c21よりも大きな形状をなしている。換言すれば、座クッションc22における前後方向及び左右方向の寸法は、支持部材c21の前後方向及び左右方向の寸法よりも長く設定されている。
【0121】
座クッションc22における周縁部には、サポート壁c214の外側面に添接し得る内面である内側面c22sを有した垂設部c221が設けられている。垂設部c221は、座クッションc22の周縁部において下方に垂下するような形態をなす部位である。垂設部c221は、サポート壁c214よりも外側に配設されている。
【0122】
なお、座クッションc22における垂設部c221を含む周縁部c22eは、支持部材c21よりも外側方に迫り出した形状をなしている。換言すれば、座クッションc22における周縁部c22eは支持部材c21に対してオーバーハングしたものとなっている。
【0123】
また、座クッションc22の下面側における前後方向中央部には、支持部材c21に設けられた座中央部スリットc211aに対応させて下向きに開放された複数の凹部c222が設けられている。
【0124】
座クッションc22における周縁部c22eの後部すなわち座クッションc22における左右両側部分c22pを含んだ後部は、座受ベースc10の後部及び上端部c101との干渉を避けるために、座クッションc22における周縁部c22eの前部と比較して上方に控えた形状をなしている。すなわち、左右両側部分c22pを含んだ座クッションc22の後部も、支持部材c21と同様に座受c1との干渉を避けた好適な形状に設定されている。
【0125】
[座張地c23]
座張地c23は、伸縮性のある生地を主体に構成されたものである。座張地c23は、座クッションc22における上面、外側面、及び、周縁部c22eの下面(垂設部c221の下面)を外側から被覆し得るとともに支持部材c21の周端縁に垂下するように設けられたサポート壁c214を空間sr側から被覆し得るものとなっている。
【0126】
座張地c23は、座クッションc22、及び、支持部材c21における周縁部の下面側をくるんだ状態で、端縁c23eが図示しない紐部材により絞り込まれることにより、全体が緊張された状態で座クッションc22及び支持部材c21に取り付けられている。
【0127】
すなわち、座張地c23の端縁c23eは、当該端縁c23eにより形成された開口が小さくなる方向(小径化する方向)に絞り込まれるようになっている。作業者による絞り込み作業が終了した後の座張地c23の端縁c23eは、支持部材c21の周縁壁部c213の下に配設され、引っ掛け片c21hに引っ掛けられるようになっている。
【0128】
座クッションc22の周縁部c22e、特に、サポート壁c214の外側に位置している座クッションc22の垂設部c221は、緊張された座張地c23による端縁c23e方向への引っ張り力を受けてサポート壁c214に対して安定的に支持されたものとなっている。
【0129】
<操作部材ct>
操作部材ctは、座本体c2に対して上位置と下位置との間で上下動可能に支持されている。操作部材ctの操作端である下端部は、座受スリットca1を通じて座受c1の下に露出したものとなっている。
【0130】
操作部材ctは、無負荷時においては、座クッションc22の付勢力を受けて下位置に位置するようになっている。操作部材ctは、使用者の操作力を受けて座クッションc22の付勢力に抗して上位置に位置変更し得るものとなっている。
【0131】
操作部材ctは、下位置にあるときに座本体c2を座受c1の所定の位置に位置決めし得るものとなっている。一方で、操作部材ctは、上位置にあるときに座受c1との前後方向への移動規制状態が解かれ座本体c2を座受c1に対して前後方向にスライド移動可能な状態にし得るものとなっている。
【0132】
<<背支持体D>>
背支持体Dは、支持基部Bと背凭れEの間、及び、支持基部Bと座Cとの間に介設されている。背支持体Dは、座Cの座受c1に設けられた図示しない軸受部に係わり合う左右方向に延びた後軸jk3を備えている。換言すれば、背支持体Dは、座Cを支持基部Bに支持させるために介設された座支持体の機能を兼ねたものである。
【0133】
背支持体Dには、背凭れEの後傾度合いを選択的に設定し得る後傾度合設定レバーHが回転可能に支持されている。
【0134】
背支持体Dは、合成樹脂により一体形成されたカバー体Iにより覆い隠されたものとなっている。
【0135】
背支持体Dは、前後方向に延びてなる起立板状をなし軸である主軸jk1を介して支持基部Bの支持基部本体1に枢支された左右一対のアームd1と、左右一対のアームd1における後部間を結合する起立板状をなす結合部材d2と、左右一対のアームd1における主軸挿通孔d13よりも前側の部位に支持された左右方向に延びてなる後軸jk3と、左右一対のアームd1よりも内側すなわち左右方向中央部側に配設され上部が後軸jk3に連結された左右一対の受け軸支持部材d3と、左右一対の受け軸支持部材d3の下部間に連結された受け軸d4を備えたものである。
【0136】
<左右のアームd1>
左右のアームd1は、金属製のものである。左右のアームd1は、前後方向に延びてなる部位である左右のアーム本体d11を有した起立壁状をなしている。左右のアームd1は、支持基部本体d1における左右の側壁14よりも外側に配設されている。
【0137】
左右のアームd1は、前後方向に延びてなり前端部において主軸jk1を支持し得る左右のアーム本体d11と、左右のアーム本体d11の前端部から斜め前上方に一体に延設され上端部において座Cに係合する後軸jk3を支持する左右の前アーム部d12と、左右のアーム本体d11と左右の前アーム部d12との間に設けられ主軸jk1を保持し得る左右方向に貫通した主軸挿通孔d13とを備えている。
【0138】
[左右のアーム本体d11]
左右のアーム本体d11は、前後方向に略直線状に延びてなるものである。左右のアーム本体d11の後部間は、結合部材d2により連結されている。左右のアームd11の後端部は、結合部材d2よりも後に突出したものとなっており、その突出部分d111が背凭れEの下枠材4における背支持体連結部41に内嵌し得るものとなっている。
【0139】
左右のアーム本体d11における結合部材d2が止着した部分よりも前に位置する部分には左右方向に貫通した軸孔d112が設けられている。軸孔d112には、複数タイプに設定された背凭れ5の後傾度合いの中から一の後傾度合いを選択的に設定し得る後傾度合設定レバーHが回転可能に支持されている。
【0140】
[左右の前アーム部d12]
左右の前アーム部d12は、左右のアーム本体d11の前端部から斜め前上方に向かって一体に延設されたものである。左右の前アーム部d12の先端部には、座Cに係合し得る左右方向に延びた後軸jk3が剛結されている。
【0141】
[主軸挿通孔d13]
主軸挿通孔d13は、主軸jk1が貫装されるものである。主軸挿通孔d13は、左右のアーム本体d11の前端部、及び、左右の前アーム部d12の基端部が位置する箇所、すなわち、左右のアームd1におけるくの字状に屈曲した部分に設けられている。
【0142】
<結合部材d2>
結合部材d2は、金属製のものである。結合部材d2は、左右方向に延びてなる起立板状をなしたものである。結合部材d2の左右両端部は、左右のアームd1の内側部に対して溶接により剛結されている。
【0143】
結合部材d2には、背凭れEを取り付けるためのねじv6が螺着されるナット部n6が設けられている。換言すれば、背支持体Dの後部には、背凭れEが取り付けられる背凭れ取付部daが設けられている。
【0144】
背凭れ取付部daは、左右のアームd1の後部、及び、当該左右のアームd1の後部間を繋ぐ結合部材d2によって平面視又は底面視においてH字状に構成された部分により構成されている。
【0145】
<後軸jk3>
後軸jk3は、左右方向に延びてなり左右のアームd1の前端部すなわち左右の前アーム部d12の上端部に連結されたものである。後軸jk3は、支持基部本体1よりも上に位置しており、且つ、支持基部本体1の両側部よりも外側に延びたものである。
【0146】
<左右の受け軸支持部材d3>
左右の受け軸支持部材d3は、反力発生部HGに押圧される受け軸d4を支持するものである。左右の受け軸支持部材d3は、下端部において受け軸d4の両端部を剛結させている。
【0147】
左右の受け軸支持部材d3は、板状をなし互いに平行をなして配されている。左右の受け軸支持部材d3は、左右のアームd1よりも内側であり、且つ、支持基部本体1の側壁14よりも内側に配されている。すなわち、左右の受け軸支持部材d3は、支持基部本体1における左右の側壁14よりも左右方向中央部側に配されている。
【0148】
左右の受け軸支持部材d3の上部は、後軸jk3の左右方向中央部に連結されている。また、左右の受け軸支持部材d3の上部よりも下に位置している左右の受け軸支持部材d3の後部には、主軸jk1が挿通し得る主軸挿通孔d31が設けられている。つまり、左右の受け軸支持部材d3の後部は主軸jk1に係合したものとなっている。
【0149】
<受け軸d4>
受け軸d4は、左右方向に延びたものであり支持基部本体1の内部に配設されている。受け軸d4は、支持基部Bに配設された反力発生部HGに連結され、反力発生部HGにより生ずる背凭れEを通常姿勢の方向に付勢するための付勢力を受けるものである。この実施形態では、受け軸d4は、後軸jk3の略真下に位置するように受け軸支持部材d3に支持されたものとなっている。
【0150】
以上に述べた背支持体Dは、左右の受け軸支持部材d3の下端部に受け軸d4が支持されており、上端部において後軸jk3に連結するとともに後端部において主軸jk1に係合したものとなっている。このため、背支持体Dは、反力発生部HGから受け軸d4に対して伝達された付勢力が、上向きに開放された支持基部本体1との干渉を避けつつ、左右の受け軸支持部材d3及び後軸jk3を経由して、主軸jk1回りに回転する左右のアームd1に対して無理なく伝達され得る構成を備えたものとなっている。
【0151】
<<主軸jk1>>
主軸jk1は、支持基部本体1の軸保持部JHに保持されるものである。主軸jk1は左右方向に延びてなる主軸本体jk11と、主軸本体jk11の一端部に一体に設けられ背支持体Dにおける左右のアームd1の何れか一方の外面に係合し得る鍔部jk12と、主軸本体jk11の他端部に取り付けられ左右のアームd1の他方の外面に係合し得る抜け止め部材たる抜け止めリングjk13とを備えたものである。
【0152】
<<後傾度合設定機構X>>
後傾度合設定機構Xは、支持基部Bに対して背支持体Dを介して後傾動作可能に支持された背凭れEの後傾度合いを、使用者の操作によって二以上の複数の中から選択し得るものである。
【0153】
この実施形態では、後傾動作設定機構Xにより、背凭れEの後傾度合いを四つの異なる後傾度合い、すなわち、第一、第二、第三、第四の後傾度合い(x1)、(x2)、(x3)、(x4)に設定し得るものとなっている。
【0154】
なお、第一の後傾度合い(x1)は、背凭れEが基本姿勢に維持され殆ど後傾しないものとなっている。第二の後傾度合い(x2)は、背凭れEが基本姿勢から主軸jk1回りに回転することにより一定の範囲内で後傾し得るものとなっている。第三の後傾度合い(x3)は、背凭れEが基本姿勢から主軸jk1回りに回転することにより第二の後傾度合い(x2)よりも広い範囲内で後傾し得るものとなっている。第四の後傾度合い(x4)は、背凭れEが基本姿勢から主軸jk1回りに回転することにより第三の後傾度合い(x3)よりも広い範囲内で後傾し得るものとなっている。
【0155】
換言すれば、後傾度合設定機構Xは、背凭れEの後傾度合いが最も小さな第一の後傾度合い(x1)から、第二、第三、第四の後傾度合い(x2)、(x3)、(x4)の順に、背凭れEの後傾度合いが段階的に大きくなるように設定可能な構成をなしている。すなわち、第四の後傾度合い(x4)が最も広範に後傾し得るものとなっている。
【0156】
後傾度合設定機構Xは、背支持体Dに回転可能に支持された操作レバーたる後傾度合設定レバーHと、後傾度合設定レバーHに対して一体的に回転可能に取り付けられ第一、第二、第三、第四の後傾度合い(x1)、(x2)、(x3)、(x4)に対応した複数の当たり面すなわち第一、第二、第三、第四の当たり面at1、at2、at3、at4が回転方向に間隔を空けて配設された回転部材Reと、支持基部Bに配設され第一、第二、第三、第四の当たり面at1、at2、at3、at4の内における特定の当たり面が選択的に当接し得るダンパー部材XMと、回転部材Reを第一、第二、第三、第四の後傾度合い(x1)、(x2)、(x3)、(x4)に対応する複数の回動位置の何れかに節度係止させるための節度機構XDを備えたものである。
【0157】
本実施形態における後傾度合設定機構Xは、第一、第二、第三、第四の後傾度合い(x1)、(x2)、(x3)、(x4)の何れもが、第一、第二、第三、第四の当たり面at1、at2、at3、at4が共通の当たり部材であるダンパー部材XMに当接することによって規定されている。
【0158】
後傾度合設定機構Xは、後傾度合設定レバーHにおける操作端部以外の部位が、カバー体Iにより覆われている。すなわち、後傾度合設定機構Xの殆どの部分は、カバー体Iにより覆われており、外部から視認されないものとなっている。
【0159】
<後傾度合設定レバーH>
後傾度合設定レバーHは、左右方向に延びてなり背支持体Dを構成する左右のアームd1に設けられた軸孔d112に枢支されるレバー軸部haと、レバー軸部haの一端部たる右端部に取り付けられたハンドル部hbとを備えたものである。
【0160】
[レバー軸部ha]
レバー軸部haは金属製のものである。レバー軸部haにおける左右のアームd1間に位置する部分の左右方向中央部には、軸心に対して直交する方向に突出する一対の突片hatが形成されている。レバー軸部haに設けられた突片hatは、回転部材Reの基端部e1に設けられた溝部e12に係合し得るものとなっている。レバー軸部haの突片hatと回転部材Reの溝部e12とが係わり合うことにより、回転部材Reの全体が後傾度合設定レバーHと一体的に回転し得るようになっている。
【0161】
レバー軸部haの先端部には、左のアームd1の外側に配された抜け止め部材hanが取り付けられている。これによりレバー軸部haは、左右のアームd1に対して抜け止めされている。
【0162】
[ハンドル部hb]
ハンドル部hbは、合成樹脂製のものである。ハンドル部hbは、レバー軸部haに外嵌される円筒状の軸接続部hb1と、軸接続部hb1から片持ち的に突出したレバー片hb2とを備えたものである。
【0163】
<回転部材Re>
回転部材Reは、後傾度合設定レバーHと一体的に回転し得るように構成された合成樹脂製のものである。回転部材Reは、レバー軸部haが挿通される挿通孔e11が形成された基端部e1と、基端部e1と一体に設けられ左右に対をなして設けられ複数の当たり面である第一、第二、第三、第四の当たり面at1、at2、at3、at4を有した左右の回転部材本体e2と、基端部e1から壁状に延設されたものであり左右の回転部材本体e2同士を連結する連結壁e3と、基端部e1における長手方向に直交する方向に延設され外側端部に係合突起e41が形成された節度係合部e4とを備えたものである。
【0164】
[基端部e1]
基端部e1は、後傾度合設定レバーHのレバー軸部haに連結する部位をなしている。基端部e1は、回転部材Reをレバー軸部haと一体的に回転させ得るとともに回転部材Reをレバー軸部haに対して当該レバー軸部haの長手方向すなわち軸心方向に相対移動可能に支持させ得る形状をなしている。基端部e1における挿通孔e11の左右方向中央部には、左右方向に延びてなりレバー軸部haの突片hatが係合し得る溝部e12が設けられている。
【0165】
基端部e1の一端部である左端部には、他の部位よりも大径筒状をなし内部に付勢ばねであるコイルスプリングxd2を収容し得るばね収容部e13が設けられている。ばね収容部e13は、レバー軸部haに巻装され回転部材Reを右のアームd1方向に付勢し得るコイルスプリングxd2の一部を収容し得るものとなっている。
【0166】
コイルスプリングxd2の外側端部は、左のアームd1における内側面に弾性的に接しており、コイルスプリングxd2の内側端部は、ばね収容部e13の内部に形成された図示しないばね受け部に弾性的に接している。
【0167】
[回転部材本体e2]
回転部材本体e2は、基端部e1から片持ち的に突設されたブロック状のものである。回転部材本体e2は、一定の間隔を空けて左右に対をなして配設されている。
【0168】
回転部材本体e2は、側面視において略矩形状をなし支持基部Bのダンパー部材XMに当接する四角柱状部分e20と、四角柱状部分e20よりも基端部e1に近い位置に設けられ側面視において略三角形状をなし支持基部Bのダンパー部材XMに当接する第一の山形状部分e21と、第一の山形状部分e21よりも基端部e1に近い位置に設けられ側面視において略三角形状をなし支持基部Bのダンパー部材XMに当接する第二の山形状部分e22と、第二の山形状部分e21よりも基端部e1に近い位置に設けられ側面視において略三角形状をなし支持基部Bのダンパー部材XMに当接する第三の山形状部分e23を備えている。
【0169】
四角柱状部分e20は、支持基部本体1に取り付けられたダンパー部材XMに当接する場合に下方を向く略矩形状をなす第一の当たり面at1が設けられている。
【0170】
第一の山形状部分e21は、支持基部本体1に取り付けられたダンパー部材XMに当接する場合に下方を向く略矩形状をなす第二の当たり面at2が設けられている。
【0171】
第二の山形状部分e22は、支持基部本体1に取り付けられたダンパー部材XMに当接する場合に下方を向く略矩形状をなす第三の当たり面at3が設けられている。
【0172】
第三の山形状部分e23は、支持基部本体1に取り付けられたダンパー部材XMに当接する場合に下方を向く略矩形状をなす第四の当たり面at4が設けられている。
【0173】
第一、第二、第三、第四の当たり面at1、at2、at3、at4は、第一、第二、第三、及び、第四の後傾度合い(x1)、(x2)、(x3)、(x4)に対応させて、回転部材本体e2に設けられている。
【0174】
第一の当たり面at1は、第二の当たり面at2よりも基端部e1から離れた位置に設けられている。第二の当たり面at2は、第三の当たり面at3よりも基端部e1から離れた位置に設けられている。第三の当たり面at3は、第四の当たり面at4よりも基端部e1から離れた位置に設けられている。
【0175】
なお、第一の当たり面at1がダンパー部材XMに当たる場合には、背凭れEが殆ど後傾しない第一の後傾度合い(x1)に設定されている。
【0176】
[連結壁e3]
連結壁e3は左右の回転部材本体e2を繋ぐものである。連結壁e3は、回転部材e1全体の剛性を高める役割を担っている。連結壁e3は、基端部e1から延びるとともに左右の回転部材本体e2における基端部e1に近い部分間同士を結合したものとなっている。
【0177】
[節度係合部e4]
節度係合部e4は、左右のアームd1の一方である右のアームd1に取り付けられたアダプターxd1の係合凹部xd11に係合し得る係合突起e41を有したものである。
【0178】
なお、節度係合部e4と右側の回転部材本体e1との間は、基端部e1から連結壁e3と同じ方向に延びてなる補強壁e5により連結されている。
【0179】
<ダンパー部材XM>
ダンパー部材XMは、支持基部本体1よりも軟質な合成樹脂により形成されたものである。ダンパー部材XMは、固定側の部位である支持基部Bの後部に左右に対をなして配設されたものである。換言すれば、支持基部Bは、合成樹脂により一体に形成された支持基部本体1と、支持基部本体1とは別体をなし当該支持基部本体1の後端部に取り付けられた左右のダンパー部材XMとを備えたものである。
【0180】
ダンパー部材XMは、ブロック状をなし底面が支持基部本体1の取付座111aに取り付けられたダンパー部材本体xm1と、ダンパー部材本体xm1から下方に向けて突設され取付座111aに設けられた孔111bに挿入される取付用突起xm2とを備えたものである。
【0181】
ダンパー部材XMは、背凭れEの後傾動作に伴って連動しない部位となっている。
【0182】
[ダンパー部材本体xm1]
ダンパー部材本体xm1は、略四角ブロック状をなしている。ダンパー部材本体xm1の上面は曲面状に形成されている。すなわち、ダンパー部材本体xm1の上向面は、左右方向中央部が左右方向両端部よりも上に位置するように湾曲した形状をなしている。
【0183】
[取付用突起xm2]
取付用突起xm2は、ダンパー部材本体xm1と一体に設けられている。取付用突起xm2の突出端である下端部近傍には、鍔部xm3が形成されている。取付用突起xm2は、鍔部xm3が支持基部本体1に引っ掛かることによって、孔111bから抜け出し難いように構成されている。
【0184】
<節度機構XD>
節度機構XDは、背凭れEに対する第一、第二、第三、第四の後傾度合い(x1)、(x2)、(x3)、(x4)を設定するために行われる使用者による後傾度合設定レバーHの操作を好適に行わせるためのものである。
【0185】
節度機構XDは、後傾度合設定レバーHに一体的に回転可能に支持された回転部材Reの一端部たる右端部に設けられた節度係合部e4と、左右のアームd1における右のアームd1に取り付けられ節度係合部e4が節度係合し得る複数すなわち四つの凹部xd11が設けられた合成樹脂製のアダプターxd1と、節度係合部e4をアダプターed1方向に付勢するコイルスプリングxd2とを主体に構成されたものである。
【0186】
左右のアームd1には、アダプターxd1に設けられ取付用の突起x12が嵌合し得る嵌合孔d113が形成されている。この実施形態では、アダプターxd1の突起xd2は、右のアームd1の嵌合孔d113に嵌合したものとなっている。
【0187】
<<背凭れE>>
背凭れEは、ねじ挿通孔h6を有し背支持体Dの背凭れ取付部daにねじv2により取り付けられた背凭れ基部である背フレームMと、背フレームMに対して着脱可能に取り付けられ背フレームMにおける下枠材4に形成された凹所Uの収容空間sdを覆い得る隠蔽部材たる背フレームキャップTと、背フレームMに張り設けられたメッシュ状の張り部材Pとを備えてなる。
【0188】
背凭れEは、メッシュ状の生地を主体にして構成された張り部材Pにより、着座者の背中を後方から受け止める背凭れ面pmが構成されたものとなっている。
【0189】
この実施形態の椅子は、背凭れEの上枠材3に対して、オプションである背凭れ面拡張部材FやハンガーGを選択的に取り付け可能に構成されている。
【0190】
この実施形態の椅子は、背凭れEにおける左右の側枠材2に対して、着座者の腰部を後側から支持し得るランバーサポートRが架設されている。
【0191】
<背フレームM>
背フレームMは、外側方に開口した張り部材取付溝mzを有した左右の側枠材2と、上方に開口した張り部材取付溝mzを有し左右の側枠材2の上部間を連結する上枠材3と、左右の側枠材2の下部間を連結する下枠材4と、下方に開口した張り部材取付溝mzを有し上枠材3との間に上の空洞saを形成するとともに下枠材4との間に下の空洞sbを形成した状態で左右の側枠材2同士を連結する中間連結枠材5とを有したものである。
【0192】
左右の側枠材2、上枠材3、及び、下枠材4は、合成樹脂により一体に成型されている。中間連結枠材5は、左右の側枠材2に対してねじv5により取り付けられるものとなっている。
【0193】
背フレームMは、左右の側枠材2と上枠材3と中間連結枠材5とによって内部に上の空洞saを形成した上の枠状部w1と、左右の側枠材2と下枠材4と中間連結枠材5とによって内部に下の空洞sbを形成した下の枠状部w2とを備えている。
【0194】
この実施形態における背凭れEは、背フレームMに設けられた枠状部たる上の枠状部w1に対して背凭れ面pmを構成し得る張り部材Pが張設されたものとなっている。
【0195】
下の枠状部w2には、張り部材Pが張設されていないものとなっている。換言すれば、下枠材4と横架材である中間連結枠材5との間には、張り部材Pが張設されていない空洞sbが形成されている。
【0196】
[左右の側枠材2]
左右の側枠材2は上下方向に延びてなるものである。左右の側枠材2の外側面には、当該側枠材2の上端から中間連結枠材5の下縁に略対応する高さ位置まで連続する張り部材取付溝mzが形成されている。上下方向に延びてなる左右の側枠材2間には、張り部材Pが張設されている。
【0197】
左右の側枠材2のそれぞれには、互いに相寄る方向に延設され中間連結枠材5を連結させるための延設部23を備えている。延設部23は、内側方に向かって柱状に延びてなる基端部231と、基端部231の延出端から内側方に向かって延びてなり起立板状をなし当該基端部231よりも前後方向の厚み寸法が短く設定された先端部232とを備えている。
【0198】
先端部232の前面は、基端部231の前面と略面一をなしている。一方で、先端部232の背面は、基端部321の背面よりも前に位置している。換言すれば、延設部23の先部における背面側には、前方に凹んだ凹み部233が形成されている。凹み部233には、中間連結枠材5を取り付ける際に当該中間連結枠材5の側端部が配設されるようになっている。
【0199】
先端部232は、前後方向に貫通するねじ挿通孔h5aを有するとともに前面側にナットn5を配設するための矩形状の凹陥部232aが形成されている。
【0200】
左右の側枠材2は、外側方に開放された張り部材取付溝mzを有する外枠部分21と、外枠部分21の内側に位置し前部を外枠部分21における前部よりも後方に位置させた内枠部分22とを備えている。
【0201】
左右の側枠材2の外側面には、当該側枠材2の上端から延設部23の基端部231の上縁に略対応する高さ位置まで連続する張り部材取付溝mzが形成されている。
【0202】
また、左右の側枠材2の前面には、張り部材取付溝mzの下端部付近から内方に略水平に延びる段部2aが形成されている。段部2aは、側枠材2における延設部23の上縁に略対応した高さ位置の前面部分に形成されている。段部2aは、下部側が上部側よりも前に出た形態をなし、その段差寸法は、張り部材Pの厚み寸法に略対応したものとなっている。
【0203】
左右の側枠材2の上下方向中間部、より具体的に言えば、着座者の腰部に対応する高さ位置である左右の側枠材2における内枠部分22の上下方向中間部には、ランバーサポートRを上下位置変更可能に保持し得るランバーサポート保持部Nが配設されている。
【0204】
ランバーサポート保持部Nは、左右の側枠材2における側面視において前方に凸をなすように屈曲した部位(側面視においてくの字状に曲がった部位)に設けられている。
【0205】
ランバーサポート保持部Nは、ランバーサポートRの左右両端部に設けられた被保持部r22を保持し得るものである。ランバーサポート保持部Nは、ランバーサポートRの被保持部r22に備えた複数すなわち二つの突出部分である上突出部分r221及び下突出部分r222が収容され上下方向に延びてなるとともに前方に開放された収容溝221と、収容溝22の前に配設され上突出部分r221及び下突出部分r222の前方への移動を規制し得る前規制部q1を有した保持部材Qとを備えたものである。
【0206】
収容溝221は、被保持部r22に係わり合う奥の溝形成壁221a及び側部の溝形成壁221bを主体に形成されている。収容溝221は、上突出部分r221及び下突出部分r222の後側に位置する奥の溝形成壁221aと、奥の溝形成壁221aの内側部から前方に延設され上突出部分r221及び下突出部分r222の内側に位置する側部の溝形成壁221bとを備えたものである。
【0207】
奥の溝形成壁221aの前面は、上突出部分r221及び下突出部分r222の突出端に接する当接部をなしている。奥の溝形成壁221aの当接部たる前面は、内側が外側よりも後に位置するように傾斜した姿勢をなしている。
【0208】
側部の溝形成壁221bの内面すなわち奥の溝形成壁221aの前面側を臨む面は、上突出部分r221及び下突出部分r222の内側部に接する当接部をなしている。収容溝221を形成し得る側部の溝形成壁221bには、ランバーサポートRを背凭れEに対して着脱操作する場合に上突出部分r221及び下突出部分r222を通過させ得る切欠部である上切欠部221c及び下切欠部221dが設けられている。
【0209】
すなわち、側部の溝形成壁221bには、ランバーサポートRを背凭れEに対して装着及び離脱する場合に、上突出部分r221を通過させ得る上切欠部221cを有するとともに下突出部分r222を通過させ得る下切欠部221dを有している。上切欠部221c及び下切欠部221dは側部の溝形成壁221bにおける上下に離間して形成されている。また、上切欠部221c及び下切欠部221dは側部の溝形成壁221bにおける前半部に設けられている。
【0210】
上切欠部221cの形状は、ランバーサポートRの上突出部分r221を通過させ得るように当該上突出部分r221に対応した形状に設定されている。なお、上切欠部221cには、上突出部分r221の形状に対応させて上下方向中央部に突起221eが突設されている。
【0211】
下切欠部221dの形状は、ランバーサポートRの下突出部分r222を通過させ得るように当該下突出部分r222に対応した形状に設定されている。なお、ランバーサポートRにおける上突出部分r221の形状と下突出部分r222の形状とは異なったものとなっている。
【0212】
上突出部分r221に対応する上切欠部221cの形状と下突出部分r222に対応する下切欠部221dの形状を異ならせることにより、使用者は、ランバーサポートRの上下位置を容易に把握することができるものとなっている。換言すれば、この実施形態の椅子は、使用者がランバーサポートRの上下を間違えて背凭れEに装着することができない工夫がなされている。
【0213】
保持部材Qは、合成樹脂により形成されたものであり、左右の側枠材2とは別の部材により構成されている。すなわち、保持部材Qは、左右の側枠材2とは別体をなしている。保持部材Qは、左右の側枠材2のそれぞれに取り付けられている。保持部材Qは、ねじv3を介して左右の側枠材2における内枠部分22に取り付けられている。
【0214】
保持部材Qは、上下方向に延びてなり、収容溝221の前に配設されランバーサポートRの上突出部分r221及び下突出部分r222に対して当接することにより当該上突出部分r221及び下突出部分r222の前方への移動を規制し得る前規制部q1と、前規制部q1の上端部及び下端部に連設され前後方向に貫通するねじ挿通孔h3が形成された取付部q2と、前規制部q1の外側部から後方すなわち内枠部分22方向に向かって延設され収容溝221と外枠部分21との間に配される位置決め壁q3とを備えている。
【0215】
前規制部q1は、上下方向に延びたレール状をなしている。前規制部q1は、収容溝221を形成し得る奥の溝形成壁221aとの協働によって上突出部分r221及び下突出部分r222を前後方向に挟み得るものとなっている。
【0216】
保持部材Qの前規制部q1と収容溝221における側部の溝形成壁221との間には、先端に上突出部分r221、下突出部分r222、及び、突出部220を設けたランバーサポートRにおける左右のアーム材r2の被保持部r22が連通し得る上下方向に延びた連通空間scが形成されている。
【0217】
換言すれば、保持部材Qは、左右の側枠材2と協働することにより、上突出部分r221及び下突出部分r222を挟んで保持し得るものとなっている。このため、ランバーサポートRは、左右の側枠材2における前向き面と保持部材Qにおける後向き面とによって前後方向に挟圧されることになり、収容溝221内において重力により下方に滑り落ちることなく所定の上下位置に適切に保持され得るものとなっている。
【0218】
取付部q2には、保持部材Qを左右の側枠材2の内枠部分22に取り付けるためのねじ挿通孔h3が形成されている。また、取付部q2には、左右の側枠材2における内枠部分22に突設されたナット部n3の周縁部に外嵌し得る外嵌壁q21が突設されている。
【0219】
保持部材Qは、ねじ挿通孔h3に挿通されたねじv3を左右の側枠材2に設けられたナット部n3に螺着することにより、左右の側枠材2における内枠部分22に取り付けられている。
【0220】
[上枠材3]
上枠材3は左右方向に延びてなるものである。上枠材3は、張り部材Pを取り付けるための上方に開放された張り部材取付溝mzが形成された外枠部分31と、外枠部分31の下に配された内枠部分32とを備えている。上枠材3には、詳しくは後述するように、オプションを取り付けるためのナット部材Jが保持され得るナット保持凹所ntが設けられている。
【0221】
外枠部分31は、上枠材3の上部分を構成するものである。外枠部分31の前面は、張り部材Pの背面に添接する部分すなわち張り部材Pの裏当てをする部分をなしている。
【0222】
内枠部分32は、上枠材3の下部分を構成するものである。内枠部分32は、外枠部分31よりも内側に位置している。すなわち、内枠部分32は、正面視において張り部材Pにより覆われる箇所に設けられている。
【0223】
内枠部分32は、外枠部分31の後部から下方に垂下するように設けられた垂下壁321と、垂下壁321の下端部から前方に延設された下端壁322と、下端壁322と外枠部分31との間、及び、下端壁322と垂下壁321との間を繋ぐ起立壁状をなす複数の連結壁323を備えている。
【0224】
垂下壁321の背面は、外枠部分31の背面と略面一をなしている。下端壁322は、外枠部分31に対して上下方向に離間して設けられている。連結壁323は、下端壁322と外枠部分31との連結強度を高めるためのものであり、左右方向に一定の間隔を空けて複数設けられている。
【0225】
内枠部分32には、上方に開放された上開放部kh1、下方に開放された下開放部kh2、及び、前方に開放された前開放部kh3が形成されてなりナット部材Jを保持し得るナット保持凹所ntが設けられている。ナット保持凹所ntは、内枠部分32の複数箇所に設けられている。
【0226】
ナット保持凹所ntは、内枠部分32の下端壁322に設けられている。ナット保持凹所ntは左右の起立壁状部nt1と、左右の起立壁状部nt1の後部間を繋ぐ後の起立壁状部nt2とを有したものである。ナット保持凹所ntは、底面視において前方に開放された略U字孔状をなしている。
【0227】
ナット保持凹所ntは、左右の起立壁状部nt1、及び、後の起立壁状部nt2によって、上方に開放された上開放部kh1、下方に開放された下開放部kh2、及び、前方に開放された前開放部kh3が形成されたものとなっている。
【0228】
また、ナット保持凹所ntは、左右の起立壁状部nt1の上端縁、及び、後の起立壁状部nt2の上端縁によって、上開放部kh1を形成し得る部分をなしているとともにナット部材Jの鍔部j2の下面と係合し得る部分である鍔部係合部分nt3をなしている。
【0229】
ナット保持凹所ntは、外枠部分31との間にナット部材Jの鍔部j2を収容し得る隙間skが形成されている。
【0230】
この実施形態では、内枠部分32には、左右方向に間隔を空けて四ケ所にナット保持凹所ntが設けられている。左右の両外側に位置する一対のナット保持凹所ntは背凭れ面pmを拡張するための背凭れ面拡張部材Fを取り付ける場合に使用されるものであり、左右の両内側に位置する一対のナット保持凹所ntは、被服を掛けるためのハンガーGを取り付ける場合に使用されるものとなっている。
【0231】
ナット保持凹所ntに保持されるナット部材Jは、金属製のものである。ナット部材Jは、ナット保持凹所ntにおける囲まれた空間内に収容され内周面にねじ溝j11が設けられたボス部j1と、ボス部j1の上に連設され下面が上開放部kh1を形成する部分たる鍔部係合部分nt3に係合し得る鍔部j2とを備えたものである。
【0232】
ナット部材Jは、略T字状の形態をなしている。すなわち、鍔部j2は、略円筒状をなすボス部j1の上端部から左右方向外側に長手をなすように延設されたものとなっている。
【0233】
なお、背凭れEに設けられたナット保持凹所ntにナット部材Jを保持させて、オプションである背凭れ面拡張部材F、及び、オプションであるハンガーGを取り付ける方法については、後で詳述するものとする。
【0234】
[下枠材4]
下枠材4は、左右の側枠材2の下部間を繋ぐとともに背支持体Dに連結する部分を有している。下枠材4には、背支持体Dに設けられた背凭れ取付部daに外嵌して連結するための前方に開放された凹陥状の背支持体連結部41が設けられている。
【0235】
下枠材4の背面側には、背支持体Dに対して背フレームMを連結するためのねじv6の頭部v61を収容し得る収容空間sdが形成された凹所Uを備えている。凹所Uは、後方に開口しつつ内部に収容空間sdが形成され得るように窪んだ形態をなしている。すなわち、凹所Uには、収容空間sdが形成されているとともに後方に開放された開口部ukを備えている。
【0236】
下枠材4には、ねじv6が挿通されるねじ挿通孔h6が前後方向に貫通するように設けられている。ねじ挿通孔h6は、左右に対をなして設けられている。ねじ挿通孔h6は、後方に開放された凹所Uと前方に開放された背支持体連結部41との間を連通し得るように貫設されたものとなっている。
【0237】
凹所Uは、ねじ挿通孔h6が穿設されているとともにねじv6の頭部61が係合し得る奥壁であるねじ係合壁u1と、ねじ係合壁u1よりも後側であり且つ開口部ukよりも前側に位置した手前壁である起立壁u2と、前後方向に延びてなり内面側が収容空間sdを臨む周壁u3と、前後方向に延びてなり収容空間sdを臨む面を有するとともに起立壁u2の外側端部とねじ係合壁u1の内側端部との間を繋ぐ中間壁u4を備えたものである。
【0238】
ねじ係合壁u1は、左右に対をなして設けられている。ねじ係合壁u1は、背面視において円形をなしており、その中心部にねじ挿通孔h6が形成されている。なお、ねじ係合壁u1の反対面である前向面は、背支持体Dにおける結合部材d2の背面に当接するものとなっている。つまり、ねじ係合壁u1は、背支持体Dの結合部材d2との係合壁を兼ねたものとなっている。
【0239】
起立壁u2は、背面視において左右に設けられたねじ係合壁u1の内側に設けられている。起立壁u2は、左右方向に長手をなしねじ係合壁u1と略平行をなす姿勢で配されている。起立壁u2は、背フレームキャップTの外れ止め突部t3に形成された係止突起t31が係合し得る係合部たる窓孔u21を有している。窓孔u21は、略矩形状をなし左右に対をなして設けられている。
【0240】
周壁u3は、前後方向に対して略直交する方向を向く内周面u31を有しており、当該周壁u3における後端部の内周面u31により開口部ukが形成されている。つまり、開口部ukには、背フレームキャップTのキャップ本体t1が奥方に進行し過ぎないように規制し得る部位が設けられていない。
【0241】
すなわち、開口部ukは、キャップ本体t1の奥方への進行を許容し得る形状をなしており、段部や突出部やリブ等により形成され得る奥行方向への移動を禁止し得る部位が設けられていないものとなっている。
【0242】
<背フレームキャップT>
背フレームキャップTは、下枠材4に対して着脱可能に取り付けられ凹所Uの収容空間sdを覆い得るものである。この実施形態では、背フレームキャップTの下枠材4に対する相対位置に基づいて、ねじv6に関する確認を行うことができるものとなっている。
【0243】
背フレームキャップTは、凹所Uの開口部ukに配設され収容空間sdを外部から隠し得る隠蔽部材本体たるキャップ本体t1と、キャップ本体t1から突設され先端t21がねじv6の頭部v61に当接し得るねじ頭当接突部t2と、キャップ本体t1から突設され凹所Uに係合することにより背フレームMからの背フレームキャップTの離脱を抑制する外れ止め突部t3とを備えている。
【0244】
[キャップ本体t1]
キャップ本体t1は、左右方向に長手をなす起立板状をなしたものである。すなわち、キャップ本体t1は、フラットな外面4aを有し全体として起立姿勢をなした横長板状の形態をなしている。キャップ本体t1の左右両側部は背面視において半円状に形成されている。
【0245】
[ねじ頭当接突部t2]
ねじ頭当接突部t2は、キャップ本体t1から前方に向かって突設されたものである。ねじ頭当接突部t2は、左右のねじ挿通孔h6に対応させて左右に対をなして設けられている。ねじ頭当接突部t2は、キャップ本体t1における左右両端部から前方に向かって突設されている。
【0246】
ねじ頭当接突部t2の突出寸法は、ねじv6が背支持体Dのナット部n6に適切に螺着し終えた場合(つまり、ねじv6の頭部v61がねじ係合壁u1に当接することにより、それ以上前方に進行できなくなった場合。)の頭部v61に先端t21が係合したときに、キャップ本体t1の外面t11が凹所Uにおける周縁部の外面4aと略面一をなす長さに設定されている。
【0247】
[外れ止め突部t3]
外れ止め突部t3は、キャップ本体t1から前方に向かって突設されたものである。外れ止め突部t3は、左右に対をなして設けられている。左右一対の外れ止め突部t3は、左右に対をなして設けられたねじ頭当接突部t2の間に配されている。
【0248】
外れ止め突部t3は、側面視において略矢印形状をなしている。外れ止め突部t3は、その先端近傍部において上方向及び下方向にそれぞれ突出した係止突起t31を備えている。外れ止め突部t3は、係止突起t31以外の部分が窓孔u21を前後方向に通過し得る大きさに設定されている。
【0249】
外れ止め突部t3の係止突起t31は、凹所Uの起立壁u2に設けられた窓孔u21に対して係合することにより、背フレームキャップTの後方への移動のみが規制されている。係止突起t31が窓孔u21に対して係合し、後方への移動が規制されている状態では、キャップ本体t1の外面t11が凹所Uにおける周縁部の外面4aと略面一をなしている。
【0250】
[背フレームキャップTの位置によるねじv6に関する確認機能]
この実施形態の椅子は、背フレームキャップTの下枠材4に対する相対位置に基づいて、ねじv6に関する確認を行うことができるものとなっている。
【0251】
より具体的に言えば、背フレームキャップTの外面t11と下枠材4の外面4aとの相対位置に基づいて、ねじv6が所期の通りに適切に螺合しているか否か、及び、ねじv6を付け忘れがないか否かを確認できるように構成されている。
【0252】
背フレームキャップTは、ねじv6が、ねじ挿通孔h6に挿入されるとともに背支持体Dに設けられたナット部n6に対する螺合進入を完了した場合、すなわち、正常なねじv6の取り付けが実行された場合にのみ、キャップ本体t1の外面t11が、凹所Uにおける周縁部の外面4aと略面一をなし得るように構成されている。
【0253】
[ねじv6が正常に取り付けられた場合]
図44に示すように、背フレームキャップTは、ねじ頭当接突部t2の先端t21が、ねじv6の頭部v61に当接することにより、それ以上の前方への移動が規制されたものとなっている。
【0254】
これに加えて、背フレームキャップTは、外れ止め突部t3の係止突起t31が凹所Uにおける起立壁u2の窓孔u21に係合しているため、後方への移動が規制されたものとなっている。
【0255】
この状態では、背フレームキャップTにおけるキャップ本体t1の外面t11が、凹所Uにおける周縁部の外面4aと略面一をなしているため、組み立て作業者は、各外面t11、4aが略面一になっている状態を見て、背凭れEを背支持体Dに対してねじv6を用いて正常に取り付けられていることを確認することができるものとなっている。
【0256】
[ねじv6の螺着状態が異常(螺合進入が未完了)な場合]
図45に示すように、背フレームキャップTは、ねじ頭当接突部t2の先端t21が、ねじv6の頭部v61に当接することにより、それ以上の前方への移動が規制されたものとなっている。
【0257】
ところが、
図45に示されたものは、ねじv6の螺合進入が未完了(ねじv6の締め付けが不十分な状態・ねじ止めが甘い状態)であるため、この状態では、背フレームキャップTにおけるキャップ本体t1の外面t11が、凹所Uにおける周縁部の外面4aよりも外側に位置することになる。
【0258】
このため、組み立て作業者は、各外面t11、4aの位置が略面一になっていない状態を見て、背凭れEを背支持体Dに対して正常にねじ止めされていないことを確認することができるものとなっている。
【0259】
[ねじv6が装着されていなかった場合]
図46に示すように、背支持体Dの背凭れ取付部daを構成する突出部分d111に対して、背凭れEの背支持体連結部41が外嵌することにより仮支持されている状態を経て、その後、作業者がねじv6により螺着する作業を忘れるという場合があり得る。
【0260】
この場合、ねじv6の頭部v61が凹所U内に配設されていないので、背フレームキャップTにおけるねじ頭当接突部t2の先端t21が、ねじv6の頭部v61に当接することができないことになる。さらに、背フレームキャップTは、外れ止め突部t3の係止突起t31が凹所Uにおける起立壁u2の窓孔u21を通過してさらに前進を続けることになる。
【0261】
このとき、外れ止め突部t3の係止突起t31は、所定の位置においてのみ、窓孔u21と係合して後方への移動のみを規制し得る一方で、前方への移動は規制することができないものとなっている。
【0262】
図46に示すように、仮に、背凭れEを背支持体Dに取り付けるためのねじv6が、ねじ挿通孔h6に挿入されていなかった場合には、キャップ本体t1の外面t11が、凹所Uにおける周縁部の外面4aと略面一をなさないように、背フレームキャップTが凹所Uの奥方に入り込むものとなっている。
【0263】
外れ止め突部t3は、窓孔u21内を前方に進入し続ける結果、凹所Uを形成し得る奥壁であるねじ係合壁u1に背フレームキャップTのねじ頭当接突部t2の先端t21が突き当たることにより、漸く、背フレームキャップTにおける奥方への移動が規制されることになる。
【0264】
背フレームキャップTは、少なくともその状態において、キャップ本体t1の外面t11が凹所Uにおける周縁部の外面4aよりも奥に位置するように構成されているため、組み立て作業者は、各外面t11、4aの位置が略面一になっていない状態を見て、背凭れEを背支持体Dに対して正常にねじ止めされていない(ねじv6が無い)ことを確認することができるものとなっている。
【0265】
[中間連結枠材5]
横架材である中間連結枠材5は、左右方向に延びてなるものである。中間連結枠材5は、左右の側枠材2における側面視において前傾した部位間に架設されている。中間連結枠材5は、背フレームMを構成する他の枠材すなわち左右の側枠材2、上枠材3、及び、下枠材4とは別体をなしている。
【0266】
この実施形態では、中間連結枠材5は、左右の側枠材2に対してねじv5を介して着脱可能に構成されている。中間連結枠材5の左右両端部は、それぞれ左右の側枠材2に対してねじ止めされるようになっている。中間連結枠材5は、平面視において後方に向けて凸をなすように湾曲した形状をなしている。中間連結枠材5には、下方に開口した張り部材取付溝mzが形成されている。
【0267】
中間連結枠材5は、張り部材Pの下部を支持し得るものである。中間連結枠材5は、下方に開放された張り部材取付溝5を設けた起立板状をなす中間連結枠材本体51と、中間連結枠材本体51の両端部に配され前後方向に貫通するねじ挿通孔h5bを有した取付部52とを備えたものである。
【0268】
中間連結枠材5を構成する中間連結枠材本体51には、下方に開放された張り部材取付溝mzを備えている。張り部材取付溝mzには、張り部材Pにおける下部の端部分peが取り付けられている。
【0269】
左右の取付部52は、ねじ挿通孔h5bが形成されたものであり、左右の側枠材2に設けられた延設部23に対してねじv5により取り付けられるようになっている。つまり、中間連結枠材5は、ねじ挿通孔h5b、h5aに挿通されたねじv5を延設部23のナットn5に螺着することにより、左右の側枠材2に対して取り付けられるようになっている。
【0270】
左右の取付部52は、中間連結枠材本体51よりも前後方向の厚み寸法が短く設定されている。取付部52の後面は、中間連結枠材本体51の後面と略面一をなしている。一方で、取付部52の前面は、中間連結枠材本体51の前面よりも後に位置している。換言すれば、中間連結枠材5の両端部における前面側には、後方に凹んだ凹み部53が形成されている。凹み部53には、延設部23の先端部232が配設されるようになっている。
【0271】
この実施形態では、張り部材Pは、
図50に示すように、中間連結枠材5の背面を被覆し得るように当該中間連結枠材5に巻回支持されている。より具体的に言えば、張り部材Pは、下部の端部分pe側から背面、上面、前面、底面、背面の順に、中間連結枠材5に巻回されている。このため、中間連結枠材5の背面側には、張り部材Pが前後二層に配設されたものとなっている。
【0272】
<張り部材P>
張り部材Pは、背凭れ面pmを形成し得るメッシュ状の生地を主体に構成されたものである。
【0273】
張り部材Pは、その周縁部が背フレームMにおける上の枠状部w1に設けられた張り部材取付溝mzに取り付けられるものとなっている。張り部材Pは、背フレームMにおける上の枠状部w1の前面側に張設されている。
【0274】
上の枠状部w1に取り付けられる張り部材Pの端部分peには、張り部材取付溝mz内に張り部材Pとともに挿入される被挿入部材psが縫着されている。なお、端部分peの被挿入部材psは、組み付け時において上の枠状部w1の張り部材取付溝mz内に圧入され得る大きさのものであり、例えば、合成樹脂により作られた帯状のものである。
【0275】
張り部材Pにおける下縁部の端部分peは、中間連結枠材5の張り部材取付溝mzに取り付けられるものとなっている。張り部材Pは、
図50に示すように、下部の端部分pe側から背面、上面、前面、底面、背面の順に、中間連結枠材5に巻回されている。
【0276】
張り部材Pが巻き付けられた状態の中間連結枠材5を左右の側枠材2における延設部23に取り付ける場合の一例は次の通りである。
【0277】
まず、張り部材Pにおける取付部52の回りを巻回している部分を一時的に中間連結枠材本体51側に押圧して移動させ、外部に露出した取付部52を延設部23に対してねじv5により止着する。
【0278】
次に、一時的に中間連結枠材本体51側に押圧して移動させていた部分を取付部52及び延設部23を巻回し得る位置までずらすようにして移動させる。これにより、中間連結枠材5を左右の側枠材2に取り付けるためのねじv5は、背面視において張り部材Pにより二重に被覆されたものとなり、好適な外観を提供し得るものとなる。
【0279】
その後、張り部材Pの上部及び左右両側部の端部分peを上枠材3及び左右の側枠材2の各張り部材取付溝mzに取り付けて、背フレームMに対する張り部材Pの装着は完了する。
【0280】
なお、上述した取付手順は一例に過ぎない。例えば、中間連結枠材5が左右の側枠材2にねじ止めされている状態で、当該中間連結枠材5に対して張り部材Pを巻回させるようにしてもよい。
【0281】
<<ランバーサポートR>>
ランバーサポートRは、左右の側枠材2間に架設されている。ランバーサポートRは、張り部材Pの後に位置し、着座者の腰部を支持し得るものである。ランバーサポートRは、背凭れEにおける左右の側枠材2に対して上下方向に位置変更可能であり、且つ、ねじ等の止着具を着脱させることなく着脱可能に設けられている。
【0282】
つまり、この実施形態のランバーサポートRは、背凭れEに対して後付け装着する場合であっても、背凭れEから離脱させる場合であっても、ねじ等の止着具を使わずにランバーサポートRを一時的に撓ませてランバーサポート保持部Nに対して被保持部r22を挿脱することにより実行できるようになっている。
【0283】
ランバーサポートRは、左右方向に延びてなるランバーサポート本体r1と、ランバーサポート本体r1に支持された左右のアーム材r2とを備えたものである。左右のアーム材r2は、ランバーサポート本体r1に対して左右方向に移動可能に支持されている。
【0284】
<ランバーサポート本体r1>
ランバーサポート本体r1は、前本体部材r11と、前本体部材r11と略同じ大きさをなし前本体部材r11の背面側に取り付けられた後本体部材r12とを備えたものである。
【0285】
[前本体部材r11]
前本体部材r11は、左右方向に延びた板状をなす合成樹脂製の前本体ベースr111と、前本体ベースr111の前面及び周縁部を被覆する前表皮材r112とを備えたものである。
【0286】
前本体ベースr111は、一時的に厚み方向に撓み得るものとなっている。前本体ベースr111は、全体として起立姿勢をなした横長板状の形態をなしている。前本体ベースr111の左右両側部は正面視において半円状に形成されている。
【0287】
前本体ベースr111には、複数箇所に後本体部材r12の後本体ベースr121に設けられた係合爪r123を受ける爪受け部r113が配設されている。
【0288】
前本体ベースr111における左右方向及び上下方向中央部には、後本体部材r12の後本体ベースr121に設けられた嵌合凹部r124に嵌合し得る三角柱状をなす位置決め突部r114が後方に向かって突設されている。
【0289】
前本体ベースr111の左右にはそれぞれ左右のアーム材r2を構成するアーム基部r21の外縁と係わり合い、ランバーサポート本体r1に対する左右のアーム材r2の左右方向の移動をガイドし得る外向きコ字状をなすガイド壁r115が設けられている。
【0290】
[後本体部材r12]
後本体部材r12は、左右方向に延びた板状をなす合成樹脂製の後本体ベースr121と、後本体ベースr121の後面及び周縁部を被覆する後表皮材r122とを備えたものである。
【0291】
後本体ベースr121には、複数箇所に前本体部材r11の前本体ベースr111に設けられた爪受け部r113に係合し得る係合爪r123が配設されている。
【0292】
後本体ベースr121における左右方向及び上下方向中央部には、前本体部材r11の前本体ベースr111に設けられた三角柱状をなす位置決め突部r114が嵌合し得る嵌合凹部r124が形成されている。
【0293】
後本体ベースr121の左右にはそれぞれ左右のアーム材r2を構成するアーム基部r21の外縁と係わり合い、ランバーサポート本体r1に対する左右のアーム材r2の左右方向の移動をガイドし得る外向きコ字状をなすガイド壁r125が設けられている。
【0294】
後本体ベースr121のガイド壁r125に囲まれた内側の領域には、前方すなわち前本体ベースr111方向に向かって第一の係合部である上の凸状部分r126及び下の凸状部分r127が配設されている。
【0295】
なお、上の凸状部分r126及び下の凸状部分r127は、左右のアーム材r2における内板状部分r211に設けられた第二の係合部である横長の長孔状をなす上の係合孔r213及び下の係合孔r214に係合し得るものとなっている。
【0296】
<左右のアーム材r2>
左右のアーム材r2は、前本体部材r11と後本体部材r12との間に挟持されたものである。左右のアーム材r2の外側端部には、背凭れEに設けられたランバーサポート保持部Nに保持される被保持部r22が設けられている。左右のアーム材r2はそれぞれ合成樹脂により一体に形成されている。
【0297】
左右のアーム材r2は、左右方向に延びた矩形板状の部分を有するアーム基部r21と、アーム基部r21の外側端部に連設され背凭れEのランバーサポート保持部Nに保持される被保持部r22とを備えたものである。
【0298】
左のアーム材r2を構成するアーム基部r21と被保持部r22とは合成樹脂により一体に形成されており、右のアーム材r2を構成するアーム基部r21と被保持部r22とは合成樹脂により一体に形成されている。
【0299】
[アーム基部r21]
アーム基部r21は、左右方向に延びた矩形状をなしランバーサポート本体r1内に位置する内板状部分r211と、内板状部分r211の外側端縁から斜め前外方に延出した部分を有した板状をなす外板状部分r212とを備えている。
【0300】
内板状部分r211は、上端縁と下端縁とが略平行をなす略長方形状をなしている。内板状部分r211の内側端部における上部及び下部には、それぞれ左右方向に延びた長孔状をなす第二の係合部たる上の係合孔r213及び下の係合孔r214が設けられている。また、内板状部分r211の左右方向中央部には、ねじ挿通孔h4を有したボス部r128を回避するための長孔状の干渉回避孔r215、及び、前本体部材r11と後本体部材r12とを連結するための連結機構である係合爪r123及び爪受け部r113を回避するための矩形孔状の干渉回避孔r216が設けられている。
【0301】
ランバーサポート本体r1に設けられた第一の係合部である上の凸状部分r126及び下の凸状部分r127が、左右のアーム材r2における内板状部分r211に設けられた第二の係合部である上の係合孔r213及び下の係合孔r214に係合することによって、左右のアーム材r2がランバーサポート本体r1に対して左右方向に移動可能に構成されている。上の係合孔r213及び下の係合孔r214は、上の凸状部分r126及び下の凸状部分r127よりも幅方向に長い寸法に設定されている。
【0302】
外板状部分r212は、ランバーサポート本体r1よりも外側に配設されている。外板状部分r212は、内板状部分r211の外側端縁から斜め前外方に延出した傾斜延出板部r217と、傾斜延出板部r217の延出端から外側方に延びた横延板部r218とを備えている。
【0303】
[被保持部r22]
被保持部r22は、後方に突出し、上下方向に間隔を空けて配された上突出部分r221及び下突出部分r222を備えている。
【0304】
上突出部分r221及び下突出部分r222は、アーム基部r21を構成する外板状部分r212の外縁部、すなわち、外板状部分r212における横延板部r218の外側端部から後方に向かって突設されている。上突出部分r221及び下突出部分r222は、アーム基部r21の外端部分から斜め外後方に向かって膨出した形態をなしている。
【0305】
上突出部分r221及び下突出部分r222の各前端部には、前方を向きランバーサポート保持部Nを構成する保持部材Qの前規制部q1に係合し得る前係合部たる前向係合面r223、r227が設けられている。
【0306】
上突出部分r221及び下突出部分r222の各後端部には、後方を向きランバーサポート保持部Nを構成する収容溝221の奥の溝形成壁221aに係合し得る後係合部たる後向係合面r224、r228が設けられている。
【0307】
上突出部分r221及び下突出部分r222の各内側端部には、内側方を向きランバーサポート保持部Nを構成する収容溝221の側部の溝形成壁221bに係合し得る側係合部たる横向係合面r225、r226が設けられている。
【0308】
なお、この実施形態では、上突出部分r221の形状が、下突出部分r222の形状と異なったものに設定されている。より具体的に言えば、上突出部分r221は、突出端部である後端部の上下方向中間部に切欠部r226が設けられているが、下突出部分r222には同様の切欠部が設けられていないものとなっている。また、上突出部分r221の上下寸法は、下突出部分r222の上下寸法よりも短く設定されている。
【0309】
この実施形態の椅子は、使用者がランバーサポートRの上下を間違えて背凭れEに装着することができない工夫がなされている。ランバーサポート保持部Nの収容溝221に形成された上切欠部221cは、ランバーサポートRの上突出部分r221の形状に対応したものとなっている。すなわち、上切欠部221cには、上突出部分r221の切欠部r226に通過し得る突起221eが突設されている。
【0310】
ランバーサポートRの被保持部r22には、上突出部分r221と下突出部分r222との間を繋ぐとともにアーム基部r21の外側端(すなわち外板状部分r212における横延板部r218の外側端)から外側方に向かって突出した庇状の突出部r220が設けられている。
【0311】
なお、上突出部分r221と下突出部分r222とを通過させ得る上切欠部や下切欠部は、左右の側枠材2に設けられたものに限られるものではなく、例えば、保持部材Qにおける前規制部q1に設けられたものであってもよい。
【0312】
<<背凭れ面拡張部材F>>
背凭れ面拡張部材Fは、背凭れEによって形成された背凭れ面pmの上に、別途、使用者に当接し得る当接面たる拡張背凭れ面fmを設けるためのものである。この実施形態の背凭れ面拡張部材Fは、拡張背凭れ面fmに対して主に使用者の肩部が当接し得るため、「ショルダーサポート」と称される。
【0313】
背凭れ面拡張部材Fは、前面を使用者に当接し得る当接面である拡張背凭れ面fmとしたパッド体f1と、パッド体f1を支持し得るベース体f2とを備えたものである。
【0314】
背凭れ面拡張部材Fは、ベース体f2の下部とパッド体f1の下端部との間に、前方及び左右両側方に開放された上枠材配設凹部fuが形成されている。
【0315】
背凭れ面拡張部材Fには、上枠材配設凹部fuを臨む位置に、背凭れEにおける上枠材3の後側に位置し当該上枠材3の後部と係合することにより前方への移動を規制し得る移動規制部ksが設けられている。
【0316】
<パッド体f1>
パッド体f1は、ベース体f2に設けられたパッド体取付部f6に対して取り付けられるパッド体本体f3と、パッド体本体f3の前面部及び周縁部を被覆する前表皮材f4とを備えている。
【0317】
パッド体f1は、正面視において左右方向に長手をなした略矩形状をなしている。パッド体f1は、正面視において左右に略対称の形状をなしている。パッド体f1の左右両側部の端縁は正面視において外側方に向かって凸をなすように緩やかに湾曲したものとなっている。パッド体f1の前面である拡張背凭れ面fmは、張り部材Pにより構成された背凭れ面pmと略面一をなすように設定されている。
【0318】
パッド体f1における上下方向の寸法は、ベース体f2における上下方向の寸法よりも短くなっている。パッド体f1における上縁部の位置は、ベース体f2における上縁部の位置と略合致させてある。パッド体f1の正面視における側縁部の形状は、ベース体f2における同一高さ位置の側縁部の形状と略合致させてある。パッド体f1における下端縁は、上枠材3に対して略当接する位置に設定されている。
【0319】
[パッド体本体f3]
パッド体本体f3は、合成樹脂により形成された略起立板状をなすパッドベースf31と、パッドベースf31の前面に取り付けられた発泡ウレタン製のクッションf32とを備えたものである。
【0320】
パッドベースf31における背面側の上下方向中央部には、左右方向に離間させて一対の係合部たるフック係合部f311が設けられている。フック係合部f311は、上下方向に開放された係合孔f314を形成したものである。
【0321】
フック係合部f311は、後方に突設された左右の突出壁f312と、左右の突出壁f312の後部間を繋ぐ連結壁f313によって、上下方向に貫通した係合孔f314を形成している。フック係合部f311は、ベース体f2のパッド体取付部f6に突設された係合部たるフックf61が、係合孔f314内に挿入されることによりベース体f2に対して係合し得るものとなっている。
【0322】
パッドベースf31における背面側の下部には、左右及び中央部の三箇所に係合部たる左右の嵌合突起f315及び中央の嵌合突起f316が設けられている。各嵌合突起f315、f316は、後方に突設された略矢印形状のものである。各嵌合突起f315、f316は、ベース体f2のパッド体取付部f6に設けられた係合部たる突起嵌合部f62に係合し得るものとなっている。 なお、左右の嵌合突起f315の姿勢は、中央の嵌合突起f316の姿勢と異なった姿勢に設定されている。より具体的に言えば、左右の嵌合突起f315の姿勢は、中央の嵌合突起f316の姿勢に対して背面視において90度回転した姿勢に設定されている。
【0323】
[前表皮材f4]
前表皮材f4は、パッド体本体f3の前面部よりも大きな面積を有する生地により構成されている。前表皮材f4の端縁部分f4eは、パッド体本体f3とベース体f2との間に、外部から視認されないように収容され得るものとなっている。前表皮材f4は、張り部材Pの背凭れ面pmの上に設けられる拡張背凭れ面fmを構成し得るものである。
【0324】
<ベース体f2>
ベース体f2は、略起立板状をなすベース板状部f5と、ベース板状部f5の前面側に設けられパッド体f1が取り付けられるパッド体取付部f6と、パッド体取付部f6よりも下に設けられ上枠材3に対して止着具であるねじv1を用いて取り付けられる上枠材取付部f7と、ベース板状部f5の周縁部及び後面部を被覆する後表皮材f9とを備えたものである。
【0325】
ベース体f2を構成しているベース板状部f5、パッド体取付部f6、及び、上枠材取付部f7は、合成樹脂により一体に形成されている。
【0326】
なお、この実施形態における背凭れ面拡張部材Fは、背面視において、ベース体f2のベース板状部f5を被覆する後表皮材f9のみが視認され得るように構成されている。つまり、背凭れ面拡張部材Fは、背面視において後表皮材f9以外の部材が視認されないように構成されている。
【0327】
[ベース板状部f5]
ベース板状部f5は、背面視において左右方向に長手をなした略矩形状をなしている。ベース板状部f5の左右両側部の端縁は背面視おいて外側方に向かって凸をなすように緩やかに湾曲したものとなっている。ベース板状部f5の後面部は、後表皮材f9により覆われるようになっている。
【0328】
ベース板状部f5の前面側には、先端部がパッドベースf31の背面に当接し得る左右方向に延びた上の横リブf52と、先端部がパッドベースf31の背面に当接し得る上下方向に延びた複数の縦リブf53とを備えている。複数の縦リブf53は、左右方向に間隔を空けて配されている。ベース板状部f5における前面側の下部には先端部が背凭れEの上枠材3に当接し得る左右方向に延びた下の横リブf54が設けられている。
【0329】
この実施形態では、上枠材3の後に位置する部材、すなわち、下の横リブf54の先端部、及び、下の横リブf54の下に位置する縦リブf53の先端部を主体として、上枠材3の背面と係合することにより背凭れ面拡張部材Fの前方への移動を規制し得る移動規制部ksを構成している。
【0330】
[パッド体取付部f6]
パッド体取付部f6は、パッドベースf31のフック係合部f311に対応する位置に突設されたフックf61と、パッドベースf31の左右及び中央の嵌合突起f316に対応する位置に突設された突起嵌合部f62とを備えている。
【0331】
パッド体f1は、パッド体取付部f6に設けられたフックf61に対してフック係合部f311を係わり合わせた上で、左右及び中央の嵌合突起f315、f316をパッド体取付部f6に設けられた突起嵌合部f62に嵌合させることにより、ベース体f2に対して取り付けられるようになっている。
【0332】
[上枠材取付部f7]
上枠材取付部f7は、ベース板状部f5の下端部から前方に突出した部分を主体に構成されている。上枠材取付部f7は、左右方向に延びてなり上枠材3の取付台座面となる上向面f71を有している。
【0333】
上枠材取付部f7には、左右の二箇所に上下方向に貫通したねじ挿通孔h1が設けられている。背凭れ面拡張部材Fは、ねじ挿通孔h1に挿通されたねじv1を上枠材3におけるナット保持凹所ntに配設されたナット部材Jに螺着することにより、上枠材3に対して取り付けられるように構成されている。
【0334】
上枠材取付部f7は、ねじ挿通孔h1が形成された部分に対応する前部の上端部に、上枠材3に設けられたナット保持凹所ntの前開放部kh3に位置し得る凸壁部f72が設けられている。
【0335】
ベース体f2の下部、すなわち、上枠材取付部f7とベース板状部f5の間には、下方及び外側方に開放され、後表皮材f9の端縁部分f9eを収容し得る収容溝f8が形成されている。上枠材取付部f7における両側部の後端部には、ベース板状部f5の周縁部との間に収容溝f8を形成するための溝形成壁f73が立設されている。
【0336】
なお、溝形成壁f73の前面は、上枠材3の背面に当接し得るものであり、背凭れ面拡張部材Fの前方への移動を規制し得る移動規制部ksを兼ねたものとなっている。
【0337】
[後表皮材f9]
後表皮材f9は、ベース板状部f5の後面部よりも大きな面積を有する生地により構成されている。後表皮材f9の端縁部分f9eは、ベース板状部f5とパッド体f1との間に収容され得るとともにベース板状部f5における下部の周縁部と上枠材取付部f7との間に設けられた収容溝f8に収容され得るものとなっている。
【0338】
<<ハンガーG>>
ハンガーGは、使用者の被服等を掛け留めるためのものである。ハンガーGは、背フレームMの上枠材3に取り付けられている。
【0339】
ハンガーGは、被服等を掛けるための左右方向に延びたハンガー本体g1と、ハンガー本体g1の下面から下方に延びるとともに下部において前方に延びてなる左右一対のハンガー脚g2と、左右のハンガー脚g2の下端部間を繋ぐとともに上枠材3に取り付けられる上枠材取付部g7が設けられたベース部g3とを備えたものである。
【0340】
ベース部gは、上枠材取付部g7が設けられたベース部本体g4と、ベース部本体g4の後部に立設され上枠材3の背面に係合し得る移動規制部ksたる起立壁g5とを備えている。
【0341】
上枠材取付部g7は、左右方向に延びてなり上枠材3の取付台座面となる上向面g71を有している。
【0342】
上枠材取付部g7には、左右の二箇所に上下方向に貫通したねじ挿通孔h2が設けられている。ハンガーGは、ねじ挿通孔h2に挿通されたねじv2を上枠材3におけるナット保持凹所ntに配設されたナット部材Jに螺着することにより、上枠材3に対して取り付けられるように構成されている。
【0343】
上枠材取付部g7は、ねじ挿通孔h2が形成された部分に対応する前部の上端部に、上枠材3に設けられたナット保持凹所ntの前開放部kh3に位置し得る凸壁部g72が設けられている。
【0344】
<<オプション(背凭れ面拡張部材F)の取り付け方法>>
本実施形態の椅子は、背凭れEに対して、オプションを取り付け易い取付構造が適用されている。以下、背凭れEの上枠材3に対するオプションの取り付け方法について、背凭れ面拡張部材Fを具体例にして説明する。
【0345】
まず、上枠材3に設けられた前方に開放されたナット保持凹所ntに対してナット部材Jを保持させるようにする。背フレームMにおける上の枠状部w1の前面側には、あらかじめ張り部材Pが張り設けられている。
【0346】
作業者は、略T字状をなすナット部材Jを、上の枠状部w1に囲われた上側の空洞saを後側から前側に向かって通過させた後に、当該ナット部材Jを前方に開放されたナット保持凹所ntに保持させる作業を行う。
【0347】
ナット部材Jのボス部j1は、前開放部kh3を通じてナット保持凹所nt内に収容されるものとなっている。ナット部材Jの鍔部j2はナット保持凹所ntと外枠部分31との間の隙間skに収容されるものとなっている。ナット部材Jの鍔部j2は、ナット保持凹所ntにおける上開放部kh1を形成する部分である鍔部係合部分nt3に係わり合い、下方に移動できないことになる。つまり、ナット部材Jは、ボス部j1がナット保持凹所nt内に収容されるとともに鍔部j2が隙間skに配されることにより、上枠材3に対して仮配置されるものとなる。
【0348】
次いで、背凭れ面拡張部材Fを後方から前方に移動させて、上枠材配設凹部fuが上枠材3を囲む位置に配設する。
【0349】
その後、背凭れ面拡張部材Fの上枠材取付部f7に設けられたねじ挿通孔h1に下側から上側に向かってねじv1を挿通し、そのねじv1をナット部材Jのボス部j1に対して螺着する。ねじv1をナット部材Jに螺合させることにより、背凭れ面拡張部材Fの上枠材取付部f7と上枠材3の内枠部分32とが緊締されることになる。
【0350】
以上の取り付け方法により、背凭れEの上枠材3に対して背凭れ面拡張部材Fを取り付け得るものとなっている。
【0351】
上枠材3に設けられたナット保持凹所ntは前方及び上下方向に開放された形状をなしているため、作業者によってナット部材Jを装着し易い(仮配置しやすい)形状をなしている。作業者は、張り部材Pにより覆われて視認し難い状態のナット保持凹所ntを緻密に確認しなくても、背凭れEの背面側から上枠材3の内枠部分32を手探りするだけで、ナット部材Jを当該ナット保持凹所ntに対して適切に保持させることができるものとなっている。
【0352】
また、背凭れ面拡張部材Fには、前方への移動を規制し得る移動規制部ksが設けられている。このため、仮に、背凭れ面拡張部材Fが前方に押圧された場合であっても、ナット部材Jが、前側に開放されたナット保持凹所ntから前方に移動し得ないものとなっている。
【0353】
<<ロッキング機構V>>
ロッキング機構Vは、背凭れEの傾動に対応させて座Cを一定の比率で移動させるためのものである。
【0354】
この実施形態のロッキング機構Vは、着座者の体重に相応して背凭れEを好適に傾動させることが可能ないわゆる体重感知式の構成を備えている。すなわち、ロッキング機構Vは、背凭れEの後傾動作に伴わせて座Cを後方に移動させつつ着座者の荷重に抗して座Cを持ち上げるように構成したものである。
【0355】
つまり、ロッキング機構Vは、座Cを着座者の荷重に抗して上方に持ち上げる仕組みが含まれているため、背凭れEを後傾させるために着座者の体重に比例した後傾荷重を要する構成をなしている。
【0356】
ロッキング機構Vは、支持基部Bの前端部に前軸jk2を介して座受c1の前部を前後移動可能に支持させるとともに、座Cの前後方向中間部を前アーム部d12に連結された後軸jk3に枢支させたものである。
【0357】
後軸jk3は、左右のアームd1における主軸jk1よりも前及び上に位置する部位に配設されている。この実施形態においては、後軸jk3は、受け軸支持部材d3を介して支持基部本体1の収容空間sp内に配された受け軸d4にも連結されている。
【0358】
上述した実施形態であれば、複雑化が抑制された略円筒状の外形の操作部本体k11を有しつつ、突出部k12によって回転姿勢を指標するインジケーター機能を好適に発揮し得る反力調整レバーKを有してなる椅子を提供することができる。
【0359】
また、上述した実施形態であれば、上下及び前方に開放されたナット保持凹所ntにナット部材Jを保持させることができるので背凭れEに対して背凭れ面拡張部材F等のオプションを取り付け得る好適な構成を有した椅子を提供することができるものとなる。
【0360】
また、上述した実施形態であれば、背凭れEの上枠材3に背凭れ面拡張部材Fが取り付けられている。背凭れ面拡張部材Fは、背面視において、ベース板状部f5を被覆する後表皮材f9のみが視認され得るように構成されているため、後表皮材f9に基づいた背面視における好適な外観を発揮し得るものとなっている。
【0361】
また、上述した実施形態であれば、着座者の腰部を支持し得るランバーサポートRを、背凭れEに対して上下方向に位置変更可能、且つ、止着具を着脱させることなく着脱可能に設け得る好適な構成を備えた椅子を提供することができるものとなっている。
【0362】
また、上述した実施形態であれば、張り部材Pが横架材である中間連結枠材5に巻回支持されているため、中間連結枠材5の背面が外部に露出してしまうことを好適に抑制し得るだけでなく背フレームMに対して張り部材Pを好適な張り具合で張設させ得る柔軟性に優れた椅子を提供することができるものとなっている。
【0363】
また、上述した実施形態であれば、ねじv6の頭部v61にねじ頭当接突部t2の先端t21が係合し得るものであるため、好適な外観を得るために背凭れEを取り付けるためのねじv6を覆い隠し得るだけでなく、ねじv6が背凭れEに対して適切に取り付けられているかどうかを隠蔽部材たる背フレームキャップTの位置に基づいて確認し得る構成を有した椅子を提供することができるものとなっている。
【0364】
また、上述した実施形態であれば、少なくとも、基礎底部構造体11と左右の側壁14とが合成樹脂により一体に成型された支持基部本体1を備えており、当該支持基部本体1における左右の側壁14に、側壁14の厚み方向に凹ませた凹部1aが形成されているものとなっているため、左右の側壁14の成型時の異変形を好適に抑制し得るものとなり、合成樹脂製の支持基部本体1における左右の側壁14に対して軸である主軸jk1を支持させ得る好適な構成を備えた椅子を提供することができるものとなっている。
【0365】
また、左右の側壁14に凹部1aが形成されているため、その凹部1aを利用して組み立て時や分解時において支持基部本体1を好適に位置決めさせ得るものとなっている。したがって、この実施形態であれば、支持基部本体1のデザイン性を向上させたり強度を向上させたりするために、曲面等を有する好適な外形を、組み立てや分解の工程における位置決めのし辛さを気にすることなく、無理なく設計することができるものとなっている。
【0366】
また、上述した実施形態であれば、座受c1に対して座本体c2を好適に前後方向にスライド移動することができ、且つ、支持部材c21よりも大きな座クッションc22を安定的に設けた座本体c2を得るための設計の自由度に優れた椅子を提供することができるものとなっている。
【0367】
また、上述した実施形態であれば、背凭れEの後傾度合いを二以上の複数の中から選択的に設定し得るものであり、複数の後傾度合いである第一、第二、第三、第四の後傾度合い(x1)、(x2)、(x3)、(x4)の何れもが、当たり面である第一、第二、第三、第四の当たり面at1、at2、at3、at4がダンパー部材XMに当接することによって規定されている。このため、選択された何れの後傾度合いにおいても、着座者に対して共通的な底付感を与え得るものとなり、着座者の快適な使用に資する背凭れEを有した椅子を提供することができるものとなる。
【0368】
以上説明したように、本実施形態に係る椅子は、支持基部Bに対して背支持体Dを介して後傾動作可能に支持された背凭れEを有し、当該背凭れEの後傾度合いを二以上の複数の中、すなわち、第一、第二、第三、第四の後傾度合い(x1)、(x2)、(x3)、(x4)から選択し得る後傾度合設定機構Xを設けたものである。
【0369】
そして、後傾度合設定機構が、背支持体Dに回転可能に支持された操作レバーたる後傾度合設定レバーHと、後傾度合設定レバーHに対して一体的に回転可能に取り付けられ第一、第二、第三、第四の後傾度合い(x1)、(x2)、(x3)、(x4)に対応した複数の当たり面である第一、第二、第三、第四の当たり面at1、at2、at3、at4が回転方向に間隔を空けて配設された回転部材Reと、支持基部Bに配設され第一、第二、第三、第四の当たり面at1、at2、at3、at4における一の特定の当たり面が選択的に当接し得るダンパー部材XMを備えたものである。
【0370】
椅子は、第一、第二、第三、第四の後傾度合い(x1)、(x2)、(x3)、(x4)の何れもが、第一、第二、第三、第四の当たり面at1、at2、at3、at4がダンパー部材XMに当接することによって規定されている。
【0371】
このため、本実施形態であれば、少なくとも選択された第一、第二、第三、第四の後傾度合い(x1)、(x2)、(x3)、(x4)の何れの後傾度合いにおいても、ダンパー部材XMに当接することによって着座者に対して共通的な底付感を与え得るものとなり、着座者の快適な使用に資する背凭れEを有した椅子を提供することができるものとなる。
【0372】
つまり、本実施形態のものであれば、背凭れEにおける後傾の限界位置を規定するための可動側である背凭れE側の部材が回転部材Reであり、不動側である支持基部B側の部材がダンパー部材XMとなっている。そのため、従来のように、背凭れEにおける後傾の限界位置を規定するための部材が二箇所以上に散在したものとならないため、使用者に与え得る底付き感を共通させやすいものとなっている。
【0373】
後傾度合設定レバーHが、左右方向に延びてなり背支持体Dに設けられた軸孔d112に枢支されるレバー軸部haと、レバー軸部haの一端部に取り付けられたハンドル部hbとを備えたものである。
【0374】
そして、回転部材Reが、レバー軸部haが挿通される挿通孔e11が形成された基端部e1と、基端部e1と一体に設けられ複数の当たり面である第一、第二、第三、第四の当たり面at1、at2、at3、at4を有した回転部材本体e2を備えたものである。
【0375】
このため、後傾度合い設定機構Xは、第一、第二、第三、第四の当たり面at1、at2、at3、at4をダンパー部材XMに対して選択的に当接させ得るための好適な構成をなしたものとなっている。
【0376】
第一、第二、第三、及び、第四の後傾度合い(x1)、(x2)、(x3)、(x4)に対応させて、回転部材本体e2に第一、第二、第三、第四の当たり面at1、at2、at3、at4が設けられている。
【0377】
このため、使用者は、後傾度合設定レバーHを回転操作することにより回転部材Reを回転させて、第一、第二、第三、及び、第四の後傾度合い(x1)、(x2)、(x3)、(x4)の内から選択可能な一の後傾度合いを柔軟に設定し得るものとなっている。
【0378】
第一の当たり面at1が、第二の当たり面at2よりも基端部e1から離れた位置に設けられたものであり、第二の当たり面at2が、第三の当たり面at3よりも基端部e1から離れた位置に設けられたものであり、第三の当たり面at3が、第四の当たり面at4よりも基端部e1から離れた位置に設けられたものであって、第一の当たり面at1がダンパー部材XMに当たる場合には、背凭れEが殆ど後傾しない第一の後傾度合い(x1)に設定されている。
【0379】
このため、回転部材Reは、基端部e1からの距離を異ならせた第一、第二、第三、第四の当たり面at1、at2、at3、at4によって、所定の後傾度合いを好適に設定し得るものとなっている。
【0380】
回転部材本体e2が、側面視において略矩形状をなしダンパー部材XMに当接する場合に下方を向く略矩形状をなす第一の当たり面at1が設けられた四角柱状部分e20と、側面視において略三角形状をなしダンパー部材XMに当接する場合に下方を向く略矩形状をなす第二の当たり面at2が設けられた第一の山形状部分e21と、側面視において略三角形状をなしダンパー部材XMに当接する場合に下方を向く略矩形状をなす第三の当たり面at3が設けられた第二の山形状部分e22と、側面視において略三角形状をなしダンパー部材XMに当接する場合に下方を向く略矩形状をなす第四の当たり面at4が設けられた第三の山形状部分e23を備えたものである。
【0381】
このため、回転部材本体e2は、ダンパー部材XMに対して第一、第二、第三、第四の当たり面at1、at2、at3、at4を当接させ得る好適な形態をなしたものとなっている。
【0382】
第一の当たり面at1、第二の当たり面at2、第三の当たり面at3、及び、第四の当たり面at4が、ダンパー部材XMに対して略同じ当たり角度で当接し得るように四角柱状部分e20、第一の山形状部分e21、第二の山形状部分e22、及び、第三の山形状部分e23の各形状が設定されている。
【0383】
すなわち、各当たり面at1、at2、at3、at4は、共通のダンパー部材XMの上面に対してそれぞれ同じ方向から面的に接し得るように、回転部材本体e2の形状が設定されている。
【0384】
このため、背凭れEに及んだ着座者の後傾荷重が、回転部材Reの各当たり面at1、at2、at3、at4を通じてダンパー部材XMに対して好適に伝達されるため、第一~第四の後傾度合い(x1)~(x4)の何れの状態であっても使用者に対して共通の底付感を与え易いものとなっている。
【0385】
回転部材本体e2が、左右に対をなして配設されたものであり、ダンパー部材XMが、支持基部Bの後部に左右に対をなして配設されたものである。
【0386】
このため、背凭れEの後傾姿勢を、左右に対をなす回転部材本体e2及び左右に対をなすダンパー部材XMによって、バランス良く受け止めることができるようになっている。
【0387】
対をなして配された左右の回転部材本体e2同士が、基端部e1から延設された連結壁e3により連結されている。
【0388】
このため、回転部材Reは、左右に対をなす回転部材本体e2を基端部e1に対して強度に優れた態様で支持し得るものとなっている。
【0389】
支持基部Bが、合成樹脂により一体に形成された支持基部本体1と、支持基部本体1とは別体をなし支持基部本体1の後端部に取り付けられたダンパー部材XMとを備えたものである。
【0390】
このため、ダンパー部材XMに対して好適な緩衝性を付与し得る設計の自由度に優れたものとなるだけでなく、合成樹脂製の支持基部本体1に取り付ける構成をなしているため、ダンパー部材XMを支持基部本体1に対して取り付けるための構成を柔軟に設計し得るものとなっている。
【0391】
回転部材Reを複数の後傾度合いである第一、第二、第三、及び、第四の後傾度合い(x1)、(x2)、(x3)、(x4)に対応する四つの回動位置の何れかに節度係止させるための節度機構XDを備えている。
【0392】
このため、使用者は、節度機構XDを利用して、回転部材Reを所定の回動位置に簡単に設定し得るものとなっている。
【0393】
なお、本発明は、以上に詳述した実施形態に限られるものではない。
【0395】
操作レバーの具体的な構成は、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、種々設定可能であることは言うまでもない。
【0396】
上述した実施形態では、後傾度合設定機構を構成する操作レバーが背支持体に支持されたものであり、ダンパー部材が支持基部に配設されたものを示したが、このようなものに限られるものでない。すなわち、操作レバーが支持基部に支持されたものであり、ダンパー部材が背支持体に配設されたものであってもよい。
【0397】
回転部材は、種々の形状のものを採用し得るものであり、その具体的な形状は、上述した実施形態に示されたものに限られるものではない。例えば、回転部材本体は、左右に対をなしたものでなくてもよく、単一又は三以上の複数設けられたものであってもよい。
【0398】
また、回転部材には、適宜の箇所に補強用のリブや補強用の壁体を設けてよいのはもちろんことである。
【0399】
ダンパー部材の材質や形状は、種々のものを採用し得るものであり、上述した実施形態に示されたものに限られるものではない。
【0400】
その他、各部の具体的構成についても上記実施形態に限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形が可能である。
【符号の説明】
【0401】
E…背凭れ
B…支持基部
D…背支持体
X…後傾度合設定機構
H…後傾度合設定レバー(操作レバー)
Re…回転部材
at1、at2、at3、at4…第一、第二、第三、第四の当たり面(当たり面)
XM…ダンパー部材
x1、x2、x3、x4…第一、第二、第三、第四の後傾度合い(後傾度合い)