(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-02-20
(45)【発行日】2025-03-03
(54)【発明の名称】制御装置、ゴミ焼却設備、制御方法およびプログラム
(51)【国際特許分類】
F23G 5/50 20060101AFI20250221BHJP
【FI】
F23G5/50 L ZAB
F23G5/50 C
F23G5/50 H
F23G5/50 N
F23G5/50 G
(21)【出願番号】P 2021091154
(22)【出願日】2021-05-31
【審査請求日】2024-01-19
(73)【特許権者】
【識別番号】000006208
【氏名又は名称】三菱重工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100162868
【氏名又は名称】伊藤 英輔
(74)【代理人】
【識別番号】100161702
【氏名又は名称】橋本 宏之
(74)【代理人】
【識別番号】100189348
【氏名又は名称】古都 智
(74)【代理人】
【識別番号】100196689
【氏名又は名称】鎌田 康一郎
(72)【発明者】
【氏名】広江 隆治
(72)【発明者】
【氏名】佐瀬 遼
(72)【発明者】
【氏名】森山 慧
【審査官】小川 悟史
(56)【参考文献】
【文献】特開平07-269835(JP,A)
【文献】特開平08-100916(JP,A)
【文献】特開平05-180426(JP,A)
【文献】特開2005-195225(JP,A)
【文献】特開平03-028617(JP,A)
【文献】特開2022-183711(JP,A)
【文献】特開2017-096517(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2019/0234611(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F23G 5/50
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ゴミ焼却設備が備えるセンサが計測した計測値を取得するデータ取得部と、
前記計測値を用いて、前記ゴミ焼却設備の焼却炉における燃焼速度を推定する燃焼速度推定部と、
前記燃焼速度に基づいて、ゴミの供給量または前記焼却炉に供給する燃焼空気の流量を制御する制御部と、
を備
え、
前記燃焼速度推定部は、前記燃焼速度の推定に用いる前記計測値の分散共分散行列を特異値分解して得る最大特異値に対応する最大特異ベクトルに前記計測値を乗じて前記燃焼速度を推定する、
制御装置。
【請求項2】
ゴミ焼却設備が備えるセンサが計測した計測値を取得するデータ取得部と、
前記計測値を用いて、前記ゴミ焼却設備の焼却炉における燃焼速度を推定する燃焼速度推定部と、
前記燃焼速度に基づいて、ゴミの供給量または前記焼却炉に供給する燃焼空気の流量を制御する制御部と、
を備
え、
前記制御部は、ゴミ焼却設備が出力する蒸気流量の目標値と蒸気流量の前記計測値との偏差を補償するゴミ供給量を算出するフィードバック制御器について、前記フィードバック制御器のゲインの大きさを前記燃焼速度に基づいて調整する、
制御装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記燃焼速度が所定の閾値より小さい場合、前記ゲインに1より小さい値を乗じる、
請求項
2に記載の制御装置。
【請求項4】
ゴミ焼却設備が備えるセンサが計測した計測値を取得するデータ取得部と、
前記計測値を用いて、前記ゴミ焼却設備の焼却炉における燃焼速度を推定する燃焼速度推定部と、
前記燃焼速度に基づいて、ゴミの供給量または前記焼却炉に供給する燃焼空気の流量を制御する制御部と、
を備
え、
前記制御部は、前記焼却炉のうちのゴミを焼却する空間である1次燃焼室へ供給する1次燃焼空気の流量を制御する1次燃焼空気バルブの開度を、前記燃焼速度の大きさに応じて、前記燃焼速度が所定の閾値よりも大きいときには前記1次燃焼空気バルブの開度を基準値よりも小さくなるよう制御し、前記燃焼速度が所定の閾値よりも小さいときには前記1次燃焼空気バルブの開度を基準値よりも大きくなるよう制御する、
制御装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記燃焼速度が所定の閾値よりも小さい場合、前記1次燃焼室におけるゴミの投入口に近い位置に供給される前記1次燃焼空気を所定の基準値よりも増加させ、前記燃焼速度が所定の閾値よりも大きい場合、前記1次燃焼室におけるゴミの投入口に近い位置に供給される前記1次燃焼空気を所定の基準値よりも減少させる、
請求項
4に記載の制御装置。
【請求項6】
ゴミ焼却設備が備えるセンサが計測した計測値を取得するデータ取得部と、
前記計測値を用いて、前記ゴミ焼却設備の焼却炉における燃焼速度を推定する燃焼速度推定部と、
前記燃焼速度に基づいて、ゴミの供給量または前記焼却炉に供給する燃焼空気の流量を制御する制御部と、
を備
え、
前記制御部は、前記焼却炉のうちのゴミの焼却により生じた燃焼ガスを燃焼させる空間である2次燃焼室へ供給する燃焼空気の流量を制御する2次燃焼空気バルブの開度を、前記燃焼速度の大きさに応じて、前記燃焼速度が所定の閾値よりも大きいときには前記2次燃焼空気バルブの開度を基準値よりも大きくなるよう制御し、前記燃焼速度が所定の閾値よりも小さいときには前記2次燃焼空気バルブの開度を基準値よりも小さくなるよう制御する、
制御装置。
【請求項7】
ゴミ焼却設備が備えるセンサが計測した計測値を取得するデータ取得部と、
前記計測値を用いて、前記ゴミ焼却設備の焼却炉における燃焼速度を推定する燃焼速度推定部と、
前記燃焼速度に基づいて、ゴミの供給量または前記焼却炉に供給する燃焼空気の流量を制御する制御部と、
を備
え、
前記制御部は、前記燃焼速度の分散が所定の閾値以上の場合、前記燃焼空気の流量を増大させる、
制御装置。
【請求項8】
ゴミ焼却設備が備えるセンサが計測した計測値を取得するデータ取得部と、
前記計測値を用いて、前記ゴミ焼却設備の焼却炉における燃焼速度を推定する燃焼速度推定部と、
前記燃焼速度に基づいて、ゴミの供給量または前記焼却炉に供給する燃焼空気の流量を制御する制御部と、
を備
え、
前記制御部は、ゴミ焼却設備が出力する蒸気流量の目標値と蒸気流量の前記計測値との偏差を補償する前記燃焼速度の指令値を算出し、前記指令値に基づいて、前記燃焼速度推定部が推定した前記燃焼速度を補正する、
制御装置。
【請求項9】
ゴミを焼却する焼却炉と、
前記焼却炉にゴミを供給する給じん装置と、
前記焼却炉に燃焼空気を供給する送風機と、
前記送風機から前記焼却炉へ供給する燃焼空気の流量を制御する燃焼空気バルブと、
請求項1から請求項
8の何れか1項に記載の制御装置と、
を備えるゴミ焼却設備。
【請求項10】
ゴミ焼却設備が備えるセンサが計測した計測値を取得するステップと、
前記計測値を用いて、前記ゴミ焼却設備の焼却炉における燃焼速度を推定するステップと、
前記燃焼速度に基づいて、ゴミの供給量または前記焼却炉に供給する燃焼空気の流量を制御するステップと、
を有
し、
前記燃焼速度を推定するステップでは、前記燃焼速度の推定に用いる前記計測値の分散共分散行列を特異値分解して得る最大特異値に対応する最大特異ベクトルに前記計測値を乗じて前記燃焼速度を推定する、
制御方法。
【請求項11】
コンピュータに、
ゴミ焼却設備が備えるセンサが計測した計測値を取得するステップと、
前記計測値を用いて、前記ゴミ焼却設備の焼却炉における燃焼速度を推定するステップと、
前記燃焼速度に基づいて、ゴミの供給量または前記焼却炉に供給する燃焼空気の流量を制御するステップと、
を有し、
前記燃焼速度を推定するステップでは、前記燃焼速度の推定に用いる前記計測値の分散共分散行列を特異値分解して得る最大特異値に対応する最大特異ベクトルに前記計測値を乗じて前記燃焼速度を推定する処理、
を実行させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ゴミ焼却設備の制御装置、ゴミ焼却設備、制御方法およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
ゴミ焼却設備にボイラを設置し、ゴミ焼却の際に発生する熱を回収し、発生した蒸気により発電を行なうゴミ発電は、ゴミを単に廃棄物としてではなく、ゴミに燃料としての付加価値を生じせしめる点で経済的に重要である。ゴミの燃料としての付加価値を向上するには、発生する蒸気量を安定化させ、計画したとおりの発電ができるようにすることが最も効果的である。
【0003】
一般に、都市ゴミや産業廃棄物等を焼却処理する焼却炉にはホッパが付設され、ゴミ等はクレーンで掴み上げられてそのホッパ内に投入され、このホッパ内のゴミはシュートを経てその下部に配される給じん装置により、順次焼却炉に供給されるようになっている。給じん装置としては種々の形式のものがあるが、往復動によりゴミを焼却炉へ向けて押し出すプッシャ式のものが多く用いられている。プッシャはホッパおよびシュートの下方に位置しており、プッシャが伸びるときにその周囲にあるゴミを焼却炉に押し出す。プッシャのストロークには限度があり、伸び切るとそれ以上ゴミを押し出すことができない。このため、プッシャが伸び切った後は、一度引込んで再び伸びるという動作をする。
【0004】
プッシャ式によりゴミを焼却炉に供給する方式については種々の形式がある。例えば、特許文献1には、単位時間あたりに焼却炉に供給するゴミ量を、単位時間当たりのプッシャの往復動作の回数で調節する制御方法が開示されている。特許文献1に記載の制御方法では、廃棄物の水分率の変動に応じて単位時間あたりのプッシャの往復動作の回数を増減して蒸気流量の変動を抑制する。蒸気流量は、供給されるゴミの嵩あたりの発熱量によって変動する性質がある。特許文献1の方法は、発熱量の変動原因としてゴミの水分に注目するが、実際に発熱量を変えるのは水分だけではない。例えば、ゴミの合成樹脂の含有率などは水分と同様に発熱量に影響する。
【0005】
また、特許文献1の方法には、水分計測用のセンサが必要である。さらに、特許文献1に記載の方法の場合、水分を多く含むゴミを検出すると、それが焼却炉に供給されて起こる燃焼の活発化または不活発化を予測してフィードフォワード補償をする。しかし、水分を検出して実際に炉に供給されるまでの時間を正確に管理することはできないから、フィードフォワード補償には誤差がある。
【0006】
特許文献2には、廃棄物量当りの推算発熱量を算出する廃棄物の燃焼制御方法が開示されている。特許文献2の燃焼制御方法の場合、廃棄物の単位供給量当たりの発熱量の推算を基にボイラ蒸発量を算出する。しかし、以下で述べるように、廃棄物の単位供給量当たりの発熱量の推算には、数時間のデータが必要であり、推算した値は数時間を平均化した値であるため、特に廃棄物の性質が時間的に変動する場合には、現時点での「廃棄物の単位時間当たりの発熱量」をタイムリーに推算することができない。このため、ゴミ送りや1次燃焼空気の調節に使う推定ボイラ蒸発量は不正確であり、ボイラ蒸発量の変動は避けられない。また、特許文献3には、段落0013において、ゴミを水分、可燃分、灰分から構成されるものとしてそのうちの灰分比率及びごみの可燃分成分組成比を一定と仮定し、可燃分の低位発熱量のみを長時間の物質収支に基づいて求め、その他必要なプロセス値については数分から60分程度の平均値を用いて物質・熱収支の計算を行い、ゴミの低位発熱量を推定することが記載されている。しかし、高位発熱量または低位発熱量を、例えば1分程度の短時間で推定することは困難である。低位発熱量や高位発熱量は、単位質量当たりの発熱量[J/kg]であり、供給するごみについて、原理的には次の式(1)で計算される。以下の説明は、低位発熱量と高位発熱量に共通であるので、低位発熱量に統一する。
【0007】
【0008】
式(1)の分母は、時刻t1から時刻t2の間に供給したごみの質量[kg]である。分子は、時刻t1から時刻t2の間に供給したごみの発熱量[J]を表している。分母の積分区間、始点t1と終点t2の時間差は例えば1分以下であってもよい。しかし、分子の積分区間、始点t1と終点t3の時間差は必ずしもそのように扱うことができない。微粉炭や石油、可燃ガスは、炉に供給するとすぐに燃え尽きるので分子の積分区間の終点t3は分母の積分区間の終点であるt2と同程度でよく、したがって、低位発熱量を遅滞なく、例えば1分以内に計算することができる。供給してすぐに燃え尽きるのであれば、分子の計算において、いつ供給したゴミによる発熱かを区別することも重要ではないからt3=t2として、単純に時刻t1から時刻t2の全発熱を、同時刻に供給したゴミによる発熱量とすることが許される。しかし、ごみは微粉炭などと違い、燃え尽きるまでに1時間以上を要するので、発熱量の積分の終点であるt3はt2よりも少なくとも1時間くらいは長くしなければならない。このため、式(1)の分子の計算には、少なくとも燃え尽きるまでの時間(例えば1時間程度)の長期のデータが必要となる。しかしながら、計算でわかるのは、1時間前に供給したごみの低位発熱量である。1時間も前の低位発熱量が分かったとしても、リアルタイムの制御にはあまり役立たない。
【0009】
実際には、遅れは1時間にとどまらない。以下、この時間遅れについて説明する。時刻t1から時刻t3の発熱量には、時刻t1以前に供給されてすでに炉内にあるゴミの発熱量と、時刻t2以降に供給したゴミの発熱量が含まれる為、式(1)の分子の計算では、ゴミの発熱のなかから時刻t1と時刻t2の間に供給したごみによる発熱だけを分けて計算しなければならないが、これは困難である。したがって、単純に発熱量を積分してしまうと、分母の発熱量は時刻t1から時刻t3までの全発熱量であるのに対し、分子の供給量は時刻t1からt2の供給量に限定されるので低位発熱量は過大になる。たとえば、t1=0,t2=1分とし、燃え尽きるまでに60分かかるとして、t3=61分とした場合、単純に発熱量を積分すると低位発熱量は実際の約60倍の値となる。これを防ぐために、分母の積分区間をごみが燃え尽きるまでの時間の数倍に長くし、t2とt3の値を近づけることは有効である。たとえば、t1=0、t2=300分、t3=360分であれば、低位発熱量は実際の値の1.2倍であり、良い近似になる可能性がある。しかし、この方法で得る低位発熱量の値は、さらに時間的に遅れ、長時間の発熱量を平均化したものであり、その時々のタイムリーな発熱量ではない。このように、低位発熱量の推定値は原理的に何時間もの遅れと平均化を伴うので、燃焼状態が急変したときの運転操作には役立たない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【文献】特開2019-178850号公報
【文献】特許第5996762号公報
【文献】特許第3822328号公報
【文献】実開昭63-61621号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
ゴミ焼却炉の燃焼の変動を早期に検出し、その変動を抑制する制御方法を提供する。
【0012】
本開示は、上記課題を解決することができる制御装置、ゴミ焼却設備、制御方法およびプログラムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本開示の制御装置は、ゴミ焼却設備が備えるセンサが計測した計測値を取得するデータ取得部と、前記計測値を用いて、前記ゴミ焼却設備の焼却炉における燃焼速度を推定する燃焼速度推定部と、前記燃焼速度に基づいて、ゴミの供給量または前記焼却炉に供給する燃焼空気の流量を制御する制御部と、を備え、前記燃焼速度推定部は、前記燃焼速度の推定に用いる前記計測値の分散共分散行列を特異値分解して得る最大特異値に対応する最大特異ベクトルに前記計測値を乗じて前記燃焼速度を推定する。
【0014】
また、本開示の制御方法は、ゴミ焼却設備が備えるセンサが計測した計測値を取得するステップと、前記計測値を用いて、前記ゴミ焼却設備の焼却炉における燃焼速度を推定するステップと、前記燃焼速度に基づいて、ゴミの供給量または前記焼却炉に供給する燃焼空気の流量を制御するステップと、を有し、前記燃焼速度を推定するステップでは、前記燃焼速度の推定に用いる前記計測値の分散共分散行列を特異値分解して得る最大特異値に対応する最大特異ベクトルに前記計測値を乗じて前記燃焼速度を推定する。
【0015】
また、本開示のゴミ焼却設備は、ゴミを焼却する焼却炉と、前記焼却炉にゴミを供給する給じん装置と、前記焼却炉に燃焼空気を供給する送風機と、前記送風機から前記焼却炉へ供給する燃焼空気の流量を制御する燃焼空気バルブと、上記の制御装置と、を備える。
【0016】
また、本開示のプログラムは、コンピュータに、ゴミ焼却設備が備えるセンサが計測した計測値を取得するステップと、前記計測値を用いて、前記ゴミ焼却設備の焼却炉における燃焼速度を推定するステップと、前記燃焼速度に基づいて、ゴミの供給量または前記焼却炉に供給する燃焼空気の流量を制御するステップと、を有し、前記燃焼速度を推定するステップでは、前記燃焼速度の推定に用いる前記計測値の分散共分散行列を特異値分解して得る最大特異値に対応する最大特異ベクトルに前記計測値を乗じて前記燃焼速度を推定する処理を実行させる。
【発明の効果】
【0017】
上述の制御装置、ゴミ焼却設備、制御方法およびプログラムによれば、ゴミ焼却設備の燃焼の変動を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】各実施形態に係るゴミ焼却設備の一例を示す図である。
【
図2】第一実施形態に係る制御装置の要部の機能構成の一例を示す図である。
【
図3】第一実施形態に係る制御装置の動作の一例を示す図である。
【
図4】第二実施形態に係る制御装置の要部の機能構成の一例を示す図である。
【
図5】第二実施形態に係る制御装置の動作の一例を示す図である。
【
図6】第三実施形態に係る制御装置の要部の機能構成の一例を示す図である。
【
図7】第三実施形態に係る制御装置の動作の一例を示す図である。
【
図8】第四実施形態に係る制御装置の要部の機能構成の一例を示す図である。
【
図9】第五実施形態に係る制御装置の要部の機能構成の一例を示す図である。
【
図10】第五実施形態に係る制御装置の動作の一例を示す図である。
【
図11】第六実施形態に係る制御装置の要部の機能構成の一例を示す図である。
【
図12】第六実施形態に係る制御装置の動作の一例を示す図である。
【
図13】各実施形態に係る制御装置のハードウェア構成の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、実施形態のゴミ焼却設備を、図面を参照して説明する。以下の説明では、同一または類似の機能を有する構成に同一の符号を付す。そして、それら構成の重複する説明は省略する場合がある。「XXまたはYY」とは、XXとYYのうちいずれか一方の場合に限定されず、XXとYYの両方の場合も含み得る。これは選択的要素が3つ以上の場合も同様である。「XX」および「YY」は、任意の要素(例えば任意の情報)である。
【0020】
(システム構成)
図1は、各実施形態に係るゴミ焼却設備の一例を示す図である。
ゴミ焼却設備100は、ゴミが投入されるホッパ1と、ホッパ1に投入されたゴミを下部へ導くシュート2と、シュート2を通じて供給されたゴミを燃焼室6内に供給するプッシャ10と、プッシャ10によって供給されたゴミを受けて、ゴミを移送しながら乾燥と燃焼を行う火格子3と、ゴミを燃焼する燃焼室6と、灰を排出する灰出口7と、空気を供給する送風機4と、送風機4によって供給された空気を火格子3の各部へ導く複数の風箱5A~5Eと、送風機4によって供給された空気を燃焼室6へ直接的に供給する管路14と、ボイラ9と、を備える。
【0021】
プッシャ10は、矢印αの方向に移動して、シュート2を通じて供給されたゴミを押し出すことにより、ゴミを火格子3へ供給する給じん装置である。火格子3は、シュート2及び燃焼室6の底部に設けられゴミを搬送する。火格子3は、プッシャ10によって供給されたゴミの水分を蒸発させて乾燥させる乾燥域3Aと、乾燥域3Aの後流に位置し、乾燥したゴミを燃焼させる燃焼域3Bと、燃焼域3Bの後流に位置し、燃焼されずに通過してきた固定炭素分等の未燃分を灰になるまで燃焼させる後燃焼域3Cとを備えている。制御装置20からの制御信号を受け、火格子3の動作速度が制御される。
【0022】
送風機4は、火格子3の下方に設けられ、風箱5A~5Eを介して、空気を火格子3の各部に供給する。送風機4か送る空気を風箱5A~5Eへ導く管路8Fには、管路8Fと風箱5A~5Eのそれぞれを接続する枝管が接続され、枝管には各々バルブ8A~8Eが設けられ、バルブ8A~8Eの開度を調節することにより、風箱5A~5Eへ供給される燃焼空気の流量を調節することができる。制御装置20からの制御信号を受け、送風機4の送風量、バルブ8A~8Eの開度が制御される。バルブ8A~8Eを総称して1次燃焼空気バルブと記載する場合がある。
【0023】
燃焼室6は、火格子3の上方に、1次燃焼室6Aと2次燃焼室6Bとからなり、ボイラ9は、燃焼室6の後流に配設されている。1次燃焼室6Aは、火格子3の上方に設けられ、1次燃焼室6Aのさらに上方に2次燃焼室6Bが設けられている。1次燃焼室6Aでは、ゴミから生じた熱分解ガスを燃焼させ、1次燃焼室6Aで燃え残った未燃分の熱分解ガスは、2次燃焼室6Bに送られ、2次燃焼室で2次燃焼空気と混合されて未燃成分も燃焼させる。燃焼室6の2次燃焼室6Bには、送風機4と2次燃焼室6Bを接続する管路14が接続されていて、管路14に設けられたバルブ14Aの開閉により、燃焼室6に空気を供給することができる。制御装置20からの制御信号を受け、バルブ14Aの開度が制御される。バルブ14Aを2次燃焼空気バルブと記載する場合がある。ボイラ9は、燃焼室6から送られた排ガスとボイラ9内を循環する水と熱交換して蒸気を発生させる。蒸気は管路13を通じて図示しない発電用のタービンへ供給される。管路13には、蒸気の流量を検出する蒸気流量センサ11が設けられている。蒸気流量センサ11は制御装置20と接続されていて、蒸気流量センサ11が計測した計測値は、制御装置20へ送信される。
【0024】
ボイラ9の排ガス出口には、煙道12が接続されていて、ボイラ9で熱回収された排ガスは煙道12を通過して不図示の排ガス処理設備を通過後、外部に排出される。
【0025】
煙道12には、排ガスの酸素濃度を検出する酸素濃度センサ15が設けられている。酸素濃度センサ15は制御装置20と接続されていて、酸素濃度センサ15が計測した計測値は、制御装置20へ送信される。ボイラ2パス目には2パスの温度を計測する温度センサ17Aが設けられ、煙道12には、排ガスのCO濃度を計測するCO濃度センサ17Bと、排ガスのNOx濃度を検出するNOx濃度センサ17Cと、が設けられている。これらのセンサ17A~17Cの各々は制御装置20と接続されていて、センサ17A~17Cが計測した計測値は、制御装置20へ送信される。また、管路8Fには、風箱5A~5Eを通じて1次燃焼室6Aへ供給される1次燃焼空気の流量を検出する流量センサ17Dが設けられ、管路14には、2次燃焼室6Bへ供給される2次燃焼空気の流量を検出する流量センサ17Eが設けられている。これらのセンサ17D~17Eは制御装置20と接続されていて、流量センサ17D~17Eが計測した計測値は、制御装置20へ送信される。燃焼室6には、燃焼室6内の温度を計測する温度センサ16が設けられている。温度センサ16は制御装置20と接続されていて、温度センサ16が計測した計測値は、制御装置20へ送信される。これらのセンサは、一般的なゴミ焼却発電プラントにおいて設けられているものである。
【0026】
制御装置20は、データ取得部21と、燃焼速度推定部22と、制御部23と、記憶部24と、を備える。
データ取得部21は、各センサ11、15、16、17A~17Dが計測した計測値、ユーザの指示値など各種データを取得する。例えば、データ取得部21は、蒸気流量センサ11が計測した蒸気流量の計測値を取得する。
【0027】
燃焼速度推定部22は、燃焼室6(以下、炉と記載する場合がある。)におけるゴミの燃焼速度を算出する。特許文献4に開示があるように、炉での発熱量が低下する原因には、(a)燃焼するごみが炉内に少なくなった場合(燃料不足)、(b)供給するゴミにより、炎が鎮火する場合(燃料過剰)の相反する原因がある。発熱量が低下すると、蒸気流量センサ11が計測する蒸気流量も低下するので、蒸気流量の低下も(a)と(b)の相反する原因による。従来の燃焼制御では、(a)の燃料不足に対する補償をするため、原因が(b)であると連続的にごみ供給を続けることになり、ますます発熱量を下げることになる(逆応答)場合がある。そこで、従来方式のプラントでは、発熱量低下の時間がある程度長期にわたり継続するとアラームを発し、操作員による原因の推定と原因を解消するための復帰操作を行うなどの対応を行っている。これに対し、本開示では、燃焼速度推定部22によって、炉全体としてのゴミの燃え難さ、即ち、炉内で起きる単位時間当たりの燃焼、言い換えれば燃焼速度を、蒸気流量、燃焼室温度、排気ガス中の酸素濃度などの“既設の”センサ(順に、蒸気流量センサ11、温度センサ16、酸素濃度センサ15)に基づきリアルタイムに推定し、推定した燃焼速度を燃焼空気の供給量やゴミの供給量の算出に用いる。後述するように、本開示のゴミ供給量の制御では、フィードバック制御により蒸気流量の変動を抑制するようにゴミ供給量を決定する。その際、ゴミ供給量を指令するフィードバック制御器の設定値を、推定した燃焼速度に適応させる。具体的には、例えば、ごみが燃え難い場合(燃焼速度が小)は(b)に該当するので、フィードバックゲインを下げて過剰供給を回避する。それ以外であれば、(a)に該当するのでフィードバックゲインを平常値とする。これにより、(a)、(b)それぞれの発熱量の低下に適切に対処することができる。
【0028】
燃焼速度の推定結果を意図通りに機能させるためには、ゴミの燃焼速度をいかに早く推定するかが重要となる。特許文献2、3を用いて説明したように、ゴミの単位供給量当たりの発熱量(低位発熱量)の推定には原理的な課題がある。そこで、本開示では低位発熱量に代えて燃焼速度を指標とする。低位発熱量が供給されるゴミの単位質量あたりの発熱量であるのに対し、燃焼速度は、炉全体の発熱を表し、炉内にあるゴミの質量は問わない。また、燃焼速度には、炉内のゴミの燃焼に限らず熱分解ガスの燃焼も含まれる。前述のとおり、ゴミ焼却設備100では、ゴミは投入されて燃え尽きるまでには時間が掛かるので、炉内には大量のゴミの蓄積がある。その蓄積の燃焼速度は、炉全体としては、ほぼ一定値であるものの時間的に変動し、その結果が、蒸気流量センサ11が計測する蒸気流量の変動となる。燃焼速度の変動の原因は、新たに供給されたゴミが水分を多く含んでおり周囲の燃焼を妨げること、ゴミ層の崩壊などにより燃焼空気の供給が変わること等、多様である。燃焼速度の変動は、蒸気流量以外にも、ゴミ焼却設備100の計測値(上述の燃焼室温度、排気ガス中の酸素濃度など)にも表れる。本開示では、既存のセンサによる計測値から炉内の燃焼速度をリアルタイムに推定する。
【0029】
(燃焼速度の推定手順)
ゴミ焼却設備100では、ゴミの燃焼速度は絶えず変動することが避けられない。ゴミ焼却設備100では、供給したゴミの一部が瞬時に燃えることはあっても、大部分は可燃物として炉の火格子3の上に蓄積し、乾燥した部分から順に燃える。例えば、乾燥が済んだゴミの塊があり、その表面が燃焼しているとする。そのとき、火格子3が動くなどしてゴミの塊が割れ、新規に燃焼空気に触れる表面が発生すれば、そこから新たに燃焼が始まり、炉全体の燃焼速度は増える。逆に、その表面に湿分を多く含んだゴミが被さり温度が下がる、または、燃焼空気の供給が途絶えるなどすれば、燃焼が阻害され、炉全体としての燃焼速度は減る。ゴミ焼却設備100では、このような燃焼速度の変動が絶えず起きている。これとは対照的に微粉炭の燃焼や、石油または天然ガスは、炉に供給されると瞬時に燃え尽きるので、供給流量が一定であれば燃焼速度も一定である。
【0030】
燃焼速度qの変動により、ゴミ焼却設備100の計測値yも変動する。両者の変動を式(2)のように1次式で近似する。
y=c1×q ・・・(2)
以下では、具体的に、計測値yは蒸気流量、燃焼室温度、排気ガスの酸素濃度であるとして説明する。これらは一例であり、ボイラの2パス温度や排ガスのNOx濃度、排ガスのCO濃度、1次燃焼空気流量、2次燃焼空気流量などであってもよい。式(2)のc1は3行1列の係数ベクトルである。c1は、燃焼速度が増加したときの計測値y、すなわち蒸気流量、燃焼室温度、排気ガスの酸素濃度の変動を表している。燃焼量が増加すれば、蒸気流量は増加し、燃焼室温度は増加し、排ガスの酸素濃度は減少する。c1は増加や減少を定量化する係数ベクトルである。
【0031】
式(2)は、燃焼速度qの変動から計測値yの変動を与えるが、このままでは燃焼速度qを逆算することはできない。以下では、計測値yの変動から燃焼速度を推定する方法について述べる。まず、蒸気流量、燃焼室温度、排気ガスの酸素濃度などの計測値を列要素とする計測値ベクトルyを構成し、分散共分散行列Q0を式(3)のように求める。Var(y)はベクトルyの分散共分散行列を表す。
□Q0=Var(y)・・・(3)
次に、分散共分散行列Q0を特異値分解し、式(4)の特異ベクトルui(i=1、2、3)と特異値σ2
i(i=1,2,3)を求める。ここに特異値分解の慣例に従って特異値は大きさの順にソートする。すなわちσ2
1が最大特異値、σ2
3が最小特異値である。右肩の記号Tは、行列またはベクトルの転置を表す。
【0032】
【0033】
次に、未知の外乱ρがあるものとして、以下の式(5)のように、計測値yの変動を特異ベクトルuと未知の外乱ρとで表す。未知の外乱ρは、成分として式(2)の燃焼速度の変動qを含んでいるが、まだ実態はわからない。両者の関係は以下で説明する。uは計測値ベクトルyの分散共分散行列Q0を特異値分解することにより値が決まる。計測値ベクトルyは、未知の外乱ρにより変動するとして、式(5)のように、計測値ベクトルyをρの線形結合で表す。ρの要素をρi(i=1,2,3)と表している。
【0034】
【0035】
分散共分散行列Q0の対称性から、特異ベクトルuには、式(6)の性質がある。
【0036】
【0037】
従って、式(5)と式(6)から、ρは式(5A)のように陽に値が決まる。
【0038】
【0039】
ρの分散共分散行列は式(7)のようになる。
【0040】
【0041】
未知の外乱の第1要素であるρ1の分散は、式(7)が示すように、最大特異値σ1
2だから、計測値ベクトルyの変動主にρ1に起因する。なぜなら、特異値の性質から、
Var(y1)+Var(y2)+Var(y3)= σ1
2+σ2
2+σ3
2
・・・(8)
が成り立ち、特にσ1
2>>σ2
2+σ3
2であるならば、次式(8A)のように近似されるからである。
【0042】
【0043】
式(8A)は計測値ベクトルyの変動はρ1で支配されることを表している。一方、ゴミ焼却設備100の計測値の変動は、燃焼速度の変動によることが分かっているので、ρ1を燃焼焼速度qの推定値とすることは合理的である。式(5A)から、ρ1の計算に関係する部分を取り出すと、燃焼速度の変動の推定式として式(9)を得る。式(9)によれば、計測値yに基づいて、少ない計算量で迅速に燃焼速度qの推定値を計算することができる。
【0044】
【0045】
上述のように、燃焼焼速度qの推定には、燃焼室温度、排ガスの酸素濃度、蒸気流量に代えて/加えて、ボイラ2パス温度、排ガスのCO濃度、排ガスのNOx濃度、1次燃焼空気流量、2次燃焼空気流量などを用いてもよい。
【0046】
上記した燃焼速度qの推定方法は一例であってこれに限定されない。例えば、ニューラルネットや深層学習などの手法を使って燃焼速度qを推定する推定モデルを作成してもよい。
【0047】
制御部23は、ゴミ焼却設備100の動作を制御する。例えば、蒸気流量センサ11が計測する蒸気流量等を監視しながら、燃焼室6へのゴミの供給量、燃焼室6への燃焼空気の供給量を算出し、これらを調整することにより、ゴミの燃焼制御を行う。具体的には、制御部23は、送風機4の回転数やバルブ8A~8E、バルブ14Aの開度制御により、所望の量の燃焼空気を燃焼室6へ供給し、プッシャ10の制御により、所望の量のゴミを燃焼室6へ供給する。例えば、蒸気流量の計測値と設定値の偏差に基づいてゴミの供給量を算出し、蒸気流量の設定値に基づいて燃焼空気の供給量を算出する。本開示では、これに加えて、さらに燃焼速度推定部22が推定したリアルタイムな燃焼速度qを加味して、ゴミの供給量や燃焼空気の供給量を算出する(第一実施形態~第六実施形態)。
【0048】
記憶部24は、データ取得部21が取得した情報や、制御に必要な情報、例えば、蒸気流量設定値SVなどを記憶する。
【0049】
<第一実施形態>
図2を用いて第一実施形態のゴミ焼却設備100の制御について説明する。
(構成)
図2は、第一実施形態に係る制御装置の要部の機能構成の一例を示す図である。
図2に制御装置20のうち、燃焼速度推定部22と制御部23の要部の構成を示す。燃焼速度推定部22は、上述の手順により、燃焼速度qを推定する。制御部23は、係数算出テーブル231と、PI制御器232と、を備える。記憶部24には、蒸気流量の設定値SVが記録されている。ゴミ焼却設備100は、蒸気流量センサ11が計測する蒸気流量が設定値SVとなるように運転される。
【0050】
制御部23は、燃焼速度qに応じて給じん制御の強さを変える。例えば、ゴミ供給量の調節にPI制御器が使用されているならば、比例ゲインの値を燃焼速度qに従って変更する。
図2の係数算出テーブル231に示すように、ゲイン可変化係数βを、燃焼速度qの関数として予め設定しておく。制御部23は、燃焼速度qに基づいて、係数算出テーブル231を参照し、燃焼速度qに対応する係数βを取得する。PI制御器232は、例えば、蒸気流量(t/h)の設定値(目標値)SVと、蒸気流量センサ11による計測値PVと、を入力し、その偏差をPI演算(比例積分演算)してゴミ供給量(m
3/h)をMVとして出力する。その際、次式(10)のようにPI制御の比例ゲインK
Pにゲイン可変化係数βを乗じることにより変更する。
【0051】
【0052】
変更の仕方としては、燃焼速度qが小さいとき、すなわち燃え難い場合(上記の(b))には、炉内にゴミが燃えずに残っているのでさらにゴミを追加する必要はない。したがって、蒸気流量偏差に比例してゴミ供給量を増やす比例ゲインを、例えば、通常の半分にする。PI制御器232の比例ゲインを運転中に変更する場合、制御器は速度型のアルゴリズムで実装することが一般的である。PI制御器232は比例ゲインの他、積分時定数TIも調整定数である。積分時定数TIについても、比例ゲインと同様に燃焼速度qに従って変更しても良い。制御部23は、PI制御器232が出力したMVに基づいてプッシャ10の押出量を制御する。
【0053】
(動作)
次に、
図3を参照して、第一実施形態に係る処理(ゴミ供給量制御)の流れについて説明する。
図3は、第一実施形態に係る制御装置の動作の一例を示す図である。
データ取得部21と、燃焼速度推定部22と、制御部23は、所定の時間間隔で、以下の処理を実行する。
【0054】
データ取得部21は、蒸気流量センサ11が計測した蒸気流量PV、酸素濃度センサ15が計測したO2濃度、温度センサ16が計測した燃焼室6の温度、温度センサ17Aが計測したボイラ2パスの温度、CO濃度センサ17Bが計測した排ガスのCO濃度、NOx濃度センサ17Cが計測した排ガスのNOx濃度、流量センサ17Dが計測した1次燃焼空気流量、流量センサ17Eが計測した2次燃焼空気流量を取得し(ステップS1)、これらの値を燃焼速度推定部22と制御部23へ出力する。
【0055】
燃焼速度推定部22は、蒸気流量PV、酸素濃度、燃焼室温度、ボイラ2パスの温度、CO濃度センサ、NOx濃度、1次燃焼空気流量、2次燃焼空気流量のうちの好ましくは複数個(1個でもよい。)の計測値yを用いて、式(9)により、燃焼速度qを推定する(ステップS2)。燃焼速度推定部22は、燃焼速度qを制御部23へ出力する。
【0056】
次に制御部23は、燃焼速度qと係数算出テーブル231とに基づいて、係数βを算出する。次に制御部23は、記憶部24が記憶する蒸気流量の設定値SVを読み出して、算出した係数βと、蒸気流量の設定値SVと、データ取得部21が取得した蒸気流量PVと、式(10)とに基づいて、ゴミ供給量MVを算出する(ステップS3)。制御部23は、ゴミ供給量MVを炉内へ供給できるようにプッシャ10の移動量(押出量)を制御する。
【0057】
本実施形態によれば、蒸気流量、燃焼室温度、排気ガスの酸素濃度などのゴミ焼却設備100に既設のセンサの計測値に基づいて、炉全体としてのゴミの燃焼速度を推定し、蒸気流量の設定値と計測値の偏差をゴミ供給にフィードバックするPI制御器232の設定値(ゲイン)を変更する。これにより、タービンへの蒸気流量を均一化して、発電量を増加させ、安定化することができる。また、燃焼室6の燃焼の安定化により、NOxやCOなどの排出を抑制することができる。
【0058】
また、本実施形態によれば、(E1)蒸気流量、燃焼室温度、排気ガスの酸素濃度などのゴミ焼却設備100に既設のセンサ(燃焼速度の変動を反映するセンサ)の計測値に基づいて、ゴミの燃焼速度qを推定する為、新たなセンサの追加を必要としない。(E2)ゴミ供給量に依存する発熱量を指標として、発熱量の変動原因としてゴミの水分など特定の要素に注目するのではなく、ゴミ供給量に依存しない燃焼速度を指標とすることで、注目した特定の要素に効果が限定されることなく、様々な要因で燃焼状態が変動した場合でも、その変動を検出し、制御に結び付けることができる(効果が限定されない)。(E3)制御の指標をゴミ供給量に対する発熱量とすると、ゴミが供給されてから燃焼するまでの時間差によって発熱量の推定に誤差が生じるが、本開示では、発熱量に代えて、燃焼速度を指標とする。発熱量が供給されるゴミの単位質量あたりの発熱量であるのに対し、燃焼速度は、炉全体の発熱を表し、炉内にあるゴミの質量には依存しない。これにより、発熱量を制御指標とした場合のような誤差の発生を生じることが無い。といった効果が得られる。
【0059】
<第二実施形態>
図4、
図5を用いて第二実施形態のゴミ焼却設備100の制御について説明する。
(構成)
図4は、第二実施形態に係る制御装置の要部の機能構成の一例を示す図である。
図4に制御装置20のうち、燃焼速度推定部22と制御部23Aの要部の構成を示す。燃焼速度推定部22は、上述の手順により、燃焼速度qを推定する。制御部23Aは、1次燃焼空気バルブの調整量算出テーブル233と、加算器234と、を備える。記憶部24には、蒸気流量の設定値SVおよび設定値SVに対するバルブ8A~8Eおよびバルブ14Aの基準となる開度が記録されている。
【0060】
第二実施形態は、主に、炉内の燃焼が過度に活発なとき、すなわち燃焼速度qが大きいときに有効である。ゴミ焼却設備100には、送風機4により燃焼空気が供給される。その空気の一部は、1次燃焼空気として風箱5A~5Eを経由して、火格子3の上に堆積したごみ層を下から上に貫いた後に燃焼室6に流入する。1次燃焼空気がゴミ層を貫くとき、1次燃焼空気の一部は、ゴミ層内部での燃焼に使われ、その発熱によってゴミ層内で発生する可燃性の熱分解ガスは、1次燃焼空気に同伴して燃焼室6に運ばれ、燃焼室6内で燃える。このように、ゴミ層は1次燃焼空気を供給することにより熱分解ガスの発生器として機能する。したがって、1次燃焼空気を制限すれば、熱分解ガスの発生が減り、炉内の燃焼速度を減じることができる。1次燃焼空気の調節による炉内の発熱調節は、特に燃焼速度qが大きいときに有効である。そのような状況では、炉内には充分な量のゴミがあり、ゴミの供給を完全に止めても燃焼が過剰な場合がある。そのときには、炉内にあるゴミの燃焼を制限しなければならない。そのためには、1次燃焼空気の制限が効果的である。逆に炉内の燃焼が不足したとき、すなわち燃焼速度qが小さいときには1次燃焼空気を増やして熱分解ガスの発生を増やすことが有効である。その結果、燃焼室6への熱分解ガスの供給が増え燃焼速度qは増加する。このように、第二実施形態に係る制御は、燃焼速度qの変動を抑制するように作用する。
【0061】
1次燃焼空気バルブの開度は、蒸気流量の設定値SVなどに応じて基準値が定められる。1次燃焼空気バルブの調整量算出テーブル233には、
図4に示すように、燃焼速度qと、設定値SVに基づく1次燃焼空気バルブ開度の基準値に対する補正量Δγ1との関係が定められている。制御部23は、燃焼速度qと調整量算出テーブル233とに基づいて、1次燃焼空気のバルブ開度の調整量Δγ1を算出する。調整量Δγ1の値は、燃焼速度qの値が小さいときには大きく、qの値が小さいときには大きくなるように設定されている。制御部23は、加算器244を用いて、調整量Δγ1を1次燃焼空気バルブの開度の基準値に加算して1次燃焼空気バルブ開度を調整する。制御部23は、調整後の1次燃焼空気バルブ開度に基づいてバルブ8A~8Eを制御する。
【0062】
(動作)
次に、
図5を参照して、第二実施形態に係る処理(1次燃焼空気の流量制御)の流れについて説明する。
図5は、第二実施形態に係る制御装置の動作の一例を示す図である。
データ取得部21と、燃焼速度推定部22と、制御部23Aは、所定の時間間隔で、以下の処理を実行する。
【0063】
データ取得部21は、蒸気流量PV、O2濃度、燃焼室温度、ボイラ2パスの温度、CO濃度、NOx濃度、1次燃焼空気流量、2次燃焼空気流量を取得し(ステップS1)、これらの計測値を燃焼速度推定部22と制御部23Aへ出力する。
【0064】
燃焼速度推定部22は、蒸気流量PV、O2濃度、燃焼室温度、ボイラ2パスの温度、CO濃度センサ、NOx濃度、1次燃焼空気流量、2次燃焼空気流量のうちの複数個の計測値yを用いて、式(9)により、燃焼速度qを推定する(ステップS2)。燃焼速度推定部22は、推定した燃焼速度qを制御部23Aへ出力する。
【0065】
次に制御部23Aは、燃焼速度qと調整量算出テーブル233とに基づいて、1次燃焼空気のバルブ開度の調整量Δγ1を算出する。次に制御部23Aは、加算器234を使って、記憶部24が記憶する蒸気流量の設定値SVに対応する1次燃焼空気のバルブ開度の基準値と調整量Δγ1を加算して、1次燃焼空気のバルブ開度を算出する(ステップS4)。制御部23Aは、バルブ8A~8Eの開度が、調整後の1次燃焼空気のバルブ開度となるよう制御する。
【0066】
本実施形態によれば、蒸気流量、燃焼室温度、排気ガスの酸素濃度などのゴミ焼却設備100に既設のセンサが計測する計測値に基づいて、ゴミの燃焼速度qを推定し、燃焼速度qに基づき、1次燃焼空気流量を調整する。これにより、燃焼速度qの変動を抑制することができる。また、第一実施形態と同様にして、(E1)~(E3)の効果を得ることができる。なお、第二実施形態は、第一実施形態と組み合わせることが可能である。
【0067】
また、
図4では、一例として、1次燃焼空気を1次燃焼空気のバルブ開度を調整することにより調節することとしたが、これ以外の方法として、指令値により1次燃焼空気流量の流量制御をしているならば、1次燃焼空気流量の指令値を調節してもよい。または、1次燃焼空気の元圧(上流側の圧力)を調整してもよい。
【0068】
<第三実施形態>
図6、
図7を用いて第三実施形態のゴミ焼却設備100の制御について説明する。
(構成)
図6は、第三実施形態に係る制御装置の要部の機能構成の一例を示す図である。
図6に制御装置20のうち、燃焼速度推定部22と制御部23Bの要部の構成を示す。燃焼速度推定部22は、上述の手順により、燃焼速度qを推定する。制御部23Bは、1次燃焼空気バルブの調整量算出テーブル233と、加算器234と、2次燃焼空気バルブの調整量算出テーブル235と、加算器236と、を備える。記憶部24には、蒸気流量の設定値SVおよび設定値SVに対するバルブ8A~8Eおよびバルブ14Aの基準となる開度が記録されている。
【0069】
第三実施形態は、第二実施形態で説明した1次燃焼空気バルブの開度制御に加え、さらに2次燃焼空気バルブの開度制御を実施するものである。ゴミの燃焼速度qが一時的に過剰になったとする。このとき、炉内では熱分解ガスの発生は一時的に過剰であり、結果として、ゴミ焼却設備100の排出ガスのO2濃度は一時的に不足する。排出ガスのO2濃度が不足すると、COなどの有害物質の排出リスクが高まる。そこで、第三実施形態では、燃焼速度qに基づいて1次燃焼空気を調節するのと同時に2次燃焼空気も調節し、O2濃度の不足を補う。例えば、燃焼速度qが過剰なときは1次燃焼空気を減じて熱分解ガスの発生を抑制するとともに、過剰に発生した熱分解ガスを燃焼させるために2次燃焼空気を増やす。逆に、燃焼速度qが過少なときは1次燃焼空気を増やして熱分解ガスの発生を促進する。2次燃焼空気は、熱分解ガスの発生量に対して過剰であるので減じる。これはNOxの発生回避にも役立つ。
【0070】
2次燃焼空気バルブの調整量算出テーブル235には、
図6に示すように、燃焼速度qと、2次燃焼空気バルブ開度の基準値に対する補正量Δγ2との関係が定められている。制御部23Bは、燃焼速度qと調整量算出テーブル235とに基づいて、2次燃焼空気のバルブ開度の調整量Δγ2を算出する。調整量Δγ2の値は、燃焼速度qの値が小さいときには小さく、燃焼速度qの値が大きいときには大きくなるように設定されている。制御部23Bは、加算器245を用いて、調整量Δγ2を2次燃焼空気バルブ開度の基準値に加算して2次燃焼空気バルブ開度を調整する。制御部23Bは、調整後の2次燃焼空気バルブ開度に基づいてバルブ14Aを制御する。
【0071】
(動作)
次に、
図7を参照して、第三実施形態に係る処理(1次燃焼空気および2次燃焼空気の流量制御)の流れについて説明する。
図7は、第三実施形態に係る制御装置の動作の一例を示す図である。
データ取得部21と、燃焼速度推定部22と、制御部23Bは、所定の時間間隔で、以下の処理を実行する。
【0072】
データ取得部21は、蒸気流量PVなどの計測値を取得し(ステップS1)、燃焼速度推定部22と制御部23Bへ出力する。次に燃焼速度推定部22は、燃焼速度qを推定する(ステップS2)。燃焼速度推定部22は、燃焼速度qを制御部23Bへ出力する。
【0073】
次に制御部23Bは、燃焼速度qと調整量算出テーブル233とに基づいて、1次燃焼空気バルブ開度の調整量Δγ1を算出する。次に制御部23は、加算器234を用いて、記憶部24が記憶する蒸気流量の設定値SVに対応する1次燃焼空気バルブ開度の基準値と調整量Δγ1を加算して、1次燃焼空気バルブ開度を算出する(ステップS4)。制御部23は、バルブ8A~8Eの開度が、調整後の1次燃焼空気のバルブ開度となるよう制御する。
【0074】
また、制御部23Bは、燃焼速度qと調整量算出テーブル235とに基づいて、2次燃焼空気バルブ開度の調整量Δγ2を算出する。次に制御部23は、加算器236を用いて、記憶部24が記憶する蒸気流量の設定値SVに対応する2次燃焼空気バルブ開度の基準値と調整量Δγ2を加算して、2次燃焼空気のバルブ開度を算出する(ステップS5)。制御部23は、バルブ14Aの開度が、調整後の2次燃焼空気のバルブ開度となるよう制御する。ステップS4~S5の処理順は任意でよく、例えば、制御部23Bは、ステップS4~S5の処理を同時に並行して実施してもよい。
【0075】
本実施形態によれば、蒸気流量、燃焼室温度、排気ガスの酸素濃度などのゴミ焼却設備100に既設のセンサの計測値に基づいて、ゴミの燃焼速度qを推定し、ゴミの燃焼速度qに基づいて、1次燃焼空気流量と2次燃焼空気流量を調整する。これにより、熱分解ガス発生量に応じて2次燃焼空気を調節し、熱分解ガスの完全燃焼を助け、COやNOxなどの有害物質の排出を抑制することができる。また、第一実施形態と同様にして、(E1)~(E3)の効果を得ることができる。第三実施形態は、第一実施形態と組み合わせることが可能である。
【0076】
<第四実施形態>
図8を用いて第四実施形態のゴミ焼却発電設備100の制御について説明する。
(構成)
図8は、第四実施形態に係る制御装置の要部の機能構成の一例を示す図である。
図8に制御装置20のうち、燃焼速度推定部22と制御部23Cの要部の構成を示す。燃焼速度推定部22は、上述の手順により、燃焼速度qを推定する。制御部23Cは、風箱配分調整開度算出テーブル237と、加算器238と、減算器239と、を備える。記憶部24には、蒸気流量の設定値SVに対するバルブ8A~8Eの基準となる開度が記録されている。
【0077】
第四実施形態では、燃焼速度qの変動を抑制するために、燃焼室6におけるゴミの燃焼傾向を考慮して、1次燃焼空気バルブの開度制御において、風箱5A~5Eに供給する燃焼空気の量に差を設ける。ゴミ層は、熱分解ガスの発生器としての側面がある。熱分解ガスの発生能力の大小は風箱5A~5Eの位置に依存する。プッシャ10に近い風箱5A、5Bは熱分解前のゴミ層が厚いので熱分解ガスの発生能力が高い。一方、風箱5C,5D,5Eとゴミが火格子3を進むにつれ、熱分解後のゴミと熾の割合が増え、熱分解ガスの発生能力は下がる。そこで、推定した燃焼速度qが小さいとき、すなわちゴミが燃え難いときは熱分解ガスの発生能力が高いプッシャ10に近い風箱5A等に1次燃焼空気を多く配分し、逆に燃焼速度の推定値qが大きいとき、すなわちゴミが燃え易いときは、熱分解ガスの発生能力が高い風箱5A等への1次燃焼空気の配分を減らして、燃焼を抑制する。
【0078】
図8に、風箱Aと風箱Bを熱分解ガスの発生能力が高いグループとして分類し、風箱Cと風箱D、風箱Eを熱分解ガスの発生能力が低いグループとして分類した場合の構成を示す。風箱配分調整開度算出テーブル237には、
図8に示すように、燃焼速度qと、風箱5A~5B、風箱5C~5Eのバルブ開度の基準値に対する補正量Δγ
ABCDEとの関係が定められている。制御部23Cは、燃焼速度qと風箱配分調整開度算出テーブル237とに基づいて、バルブ8A~8Eの開度の調整量Δγ
ABCDEを算出する。調整量Δγ
ABCDEの値は、燃焼速度qが小さいときには大きく、燃焼速度qが大きいときには小さくなるように設定されている。制御部23Cは、加算器238を用いて、調整量Δγ
ABCDEを、バルブ8A~8Bの開度の基準値に加算する。制御部23Cは、減算器239を用いて、調整量Δγ
ABCDEを、バルブ8C~8Eの開度の基準値から減算する。制御部23Bは、調整後のバルブ開度に基づいてバルブ8A~8Eを制御する。
【0079】
なお、
図8では、風箱5A~5Bを1つのグループ、風箱5C~5Eを1つのグループとして設定しているが、これは一例に過ぎない。風箱5A~5Eをグループ化せずに、一つ一つの風箱に対して風箱配分調整開度算出テーブル237を設け、バルブ8A~8Eの開度を調節しても良いし、グループの分け方を、例えば、風箱5A~5Cと風箱5D~5Eのように変更してもよい。また、分類するグループの数を3つとし、各グループの分類を風箱5A~5Bと、風箱5C~5Dと、風箱5Eのように設定してもよい。
【0080】
(動作)
第二実施形態の
図5を参照して、第四実施形態に係る処理の流れについて説明する。
データ取得部21と、燃焼速度推定部22と、制御部23Cは、所定の時間間隔で、以下の処理を実行する。
【0081】
データ取得部21は、蒸気流量PVなどの計測値を取得し(ステップS1)、燃焼速度推定部22と制御部23Cへ出力する。次に燃焼速度推定部22は、燃焼速度qを推定する(ステップS2)。燃焼速度推定部22は、燃焼速度qを制御部23Cへ出力する。
【0082】
次に制御部23Cは、燃焼速度qと風箱配分調整開度算出テーブル237とに基づいて、調整量Δγ
ABCDEを算出する。次に制御部23は、記憶部24が記憶する蒸気流量の設定値SVに対応するバルブ8A~8Eのバルブ開度の基準値と調整量Δγ
ABCDEを加減算して、1次燃焼空気のバルブ開度を算出する(ステップS4)。
図8の構成例の場合、制御部23は、バルブ8A~8Bの開度については、基準値に調整量Δγ
ABCDEを加算する。制御部23は、バルブ8C~8Eの開度については、基準値から調整量Δγ
ABCDEを減算する。制御部23は、バルブ8A~8Eの開度が、調整後の各バルブ開度となるよう制御する。
【0083】
第四実施形態によれば、蒸気流量、燃焼室温度、排気ガスの酸素濃度などのゴミ焼却設備100に既設のセンサの計測値に基づいて、ゴミの燃焼速度qを推定し、推定したゴミの燃焼速度qに基づいて、1次燃焼空気を風箱に分配する流量の比率を調整する。これにより、燃焼速度qの変動を精度よく抑制することができる。また、第一実施形態と同様にして、(E1)~(E3)の効果を得ることができる。第四実施形態は、第一実施形態や第三実施形態と組み合わせることができる。
【0084】
<第五実施形態>
図9、
図10を用いて第五実施形態のゴミ焼却発電設備100の制御について説明する。
(構成)
図9は、第五実施形態に係る制御装置の要部の機能構成の一例を示す図である。
図9に制御装置20のうち、燃焼速度推定部22と制御部23Dの要部の構成を示す。 燃焼速度推定部22は、上述の手順により、燃焼速度qを推定する。制御部23Dは、分散計算器240と、酸素濃度調整量算出テーブル241と、酸素濃度制御器242と、加算器243~245と、減算器246と、を備える。記憶部24には、蒸気流量の設定値SVに対するバルブ8A~8Eおよびバルブ14Aの基準となる開度、O2濃度の設定値SV_O2が記録されている。
【0085】
上述した第三実施形態では、ゴミの燃焼速度qに基づいて、1次燃焼空気流量と同時に2次燃焼空気流量を調整する。2次燃焼空気を調整する理由の一つは、燃焼室6のCO濃度を低下させることである。例えば、1次燃焼空気を減じるよう調整した場合、ゴミ層内に燃焼空気が欠乏し、熱分解ガス中のCO濃度が増加する。そこで、2次燃焼空気を増やし、燃焼室6でCOを完全燃焼させることでCO濃度を低下させる。しかし、ゴミの燃焼速度が時間的に急激に増加する場合には、1次燃焼空気と2次燃焼空気の調節が時間的に間に合わず、一時的にCOが排出されるおそれがある。このような燃焼速度の急増は、供給されるゴミの性質に依存すると考えられている。燃焼速度の急増が一度発生すると、短期間に集中的に発生することが経験上知られている。そこで、第五実施形態では、燃焼速度qの変動が発生したときに、予め2次燃焼空気または1次燃焼空気の流量を増やし、排ガスのO2濃度を高く維持し、燃焼速度qが増加しても燃焼空気の不足を回避してCOの排出を防止する。
【0086】
分散計算器240は、燃焼速度推定部22が推定した燃焼速度qの直前の所定時間における分散σ
q
2を計算する。酸素濃度調整量算出テーブル241には、
図9に示すように、分散σ
q
2と、酸素濃度調整量Δγ
SVO2との関係が定められている。調整量Δγ
SVO2の値は、分散σ
q
2の値が閾値未満では0、閾値以上となると分散σ
q
2の値が大きくなるにつれ、所定値を上限として、その上限値までは大きくなるように設定されている。酸素濃度制御器242は、調整後のO2濃度設定値SV_O2とO2濃度の計測値PV_O2濃度の偏差に基づき、1次燃焼空気バルブ調整開度と2次燃焼空気バルブ調整開度を算出する。例えば、酸素濃度制御器242は、この偏差が大きいほど、1次燃焼空気バルブ調整開度と2次燃焼空気バルブ調整開度のそれぞれに対して、より開度を増加させるよう要求する調整開度を算出する。
【0087】
(動作)
図10を参照して、第五実施形態に係る処理の流れについて説明する。
データ取得部21と、燃焼速度推定部22と、制御部23Dは、所定の時間間隔で、以下の処理を実行する。
【0088】
データ取得部21は、蒸気流量PVなどの計測値を取得し(ステップS1)、燃焼速度推定部22と制御部23Dへ出力する。次に燃焼速度推定部22は、燃焼速度qを推定する(ステップS2)。燃焼速度推定部22は、燃焼速度qを制御部23Dへ出力する。
【0089】
次に制御部23Dは、分散計算器240を使って、燃焼速度qの分散σq
2を計算する(ステップS6)。制御部23Dは、分散σq
2の大きさに応じて、02濃度を補償する1次燃焼空気バルブ開度、2次燃焼空気バルブ開度を算出する(ステップS7)。まず、制御部23Dは、分散σq
2と酸素濃度調整量算出テーブル241とに基づいて、O2濃度の調整量ΔγSVO2を算出する。次に、加算器243が、O2濃度の設定値SV_O2に、O2濃度の調整量ΔγSVO2を加算する。次に、減算器246が、調整後のSV_O2から、酸素濃度センサ15が計測した計測値PV_O2を減算する。次に酸素濃度制御器242が、調整後のO2濃度設定値SV_O2とO2濃度の計測値PV_O2濃度の偏差に基づいて1次燃焼空気バルブ調整開度と2次燃焼空気バルブ調整開度を算出する。次に制御部23Dは、加算器244を使って、蒸気流量の設定値SVに対応する1次燃焼空気のバルブ開度の基準値と1次燃焼空気バルブ調整開度を加算して、1次燃焼空気のバルブ開度を算出する。また、制御部23Dは、バルブ8A~8Eの開度が算出した開度となるよう制御する。次に制御部23Dは、加算器245を使って、蒸気流量の設定値SVに対応する2次燃焼空気のバルブ開度の基準値と2次燃焼空気バルブ調整開度を加算して、2次燃焼空気のバルブ開度を算出する。制御部23Dは、バルブ14Aの開度が算出した開度となるよう制御する。
【0090】
本実施形態によれば、蒸気流量、燃焼室温度、排気ガスの酸素濃度などのゴミ焼却設備100に既設のセンサの計測値に基づいて、ゴミの燃焼速度qを推定し、燃焼速度qの分散に基づいて排ガスにおけるO2濃度の設定値を補正し、その設定値に応じて1次燃焼空気流量と2次燃焼空気を調整する。これにより、COガスの排出を抑制することができる。また、第一実施形態と同様にして、(E1)~(E3)の効果を得ることができる。第五実施形態は、第一実施形態~第四実施形態と組み合わせることができる。
【0091】
<第六実施形態>
次に
図11を参照して、第六実施形態のゴミ焼却発電設備100の制御について説明する。
図11は、第六実施形態に係る制御装置の要部の機能構成の一例を示す図である。
図11に制御装置20のうち、燃焼速度推定部22と制御部23Eの要部の構成を示す。燃焼速度推定部22は、上述の手順により、燃焼速度qを推定する。制御部23Eは、燃焼速度指令器247と、燃焼速度制御器248と、減算器249と、1次燃焼空気バルブの調整量算出テーブル233と、加算器234と、2次燃焼空気バルブの調整量算出テーブル235と、加算器236と、を備える。
図11に例示する構成は、第三実施形態の制御部23B(1次燃焼空気バルブの調整量算出テーブル233、加算器234、2次燃焼空気バルブの調整量算出テーブル235、加算器236)と組み合わせた場合の構成である。
【0092】
燃焼速度指令器247は、蒸気流量の設定値SVと蒸気流量の計測値PVの偏差(SV-PV)に基づいて、燃焼速度推定部22が推定した燃焼速度qを調整する指令値qsvを算出する。指令値qsvは、蒸気流量の計測値PVを蒸気流量の目標値である設定値SVに一致させるようにするためのゴミの燃焼速度を指令するものである。この指令値qsvに応じた燃焼速度とすることで、蒸気流量PVを精度よく目標値SVに制御することができる。例えば、燃焼速度指令器247は、蒸気流量の偏差(SV-PV)と燃焼速度qの調整量の対応テーブルを備えていて、この対応テーブルに基づいて燃焼速度qを調整する燃焼速度指令値qsvを算出する。燃焼速度制御器248は、燃焼速度指令値qsvと燃焼速度推定部22が推定した燃焼速度qを取得して、例えば、以下の式(11)により、燃焼速度qを補正し、補正後の燃焼速度q~を出力する。
q~=q+Kq(qsv-q) ・・・(11)
ここで、Kqは任意の値の係数である。
補正された燃焼速度q~は、例えば、第三実施形態と同様にして、1次燃焼空気と2次燃焼空気の調整に用いられる。例えば、制御部23Eは、補正後の燃焼速度q~と1次燃焼空気バルブの調整量算出テーブル233とに基づいて調整量Δγ1を算出し、補正後の燃焼速度q~と2次燃焼空気バルブの調整量算出テーブル235とに基づいて調整量Δγ2を算出する。
【0093】
(動作)
図12を参照して、第六実施形態に係る処理の流れについて説明する。
データ取得部21と、燃焼速度推定部22と、制御部23Dは、所定の時間間隔で、以下の処理を実行する。
【0094】
データ取得部21は、蒸気流量PVなどの計測値を取得し(ステップS1)、燃焼速度推定部22と制御部23Eへ出力する。次に燃焼速度推定部22は、燃焼速度qを推定する(ステップS2)。燃焼速度推定部22は、燃焼速度qを制御部23Eへ出力する。
【0095】
次に制御部23Eは、燃焼速度qを補正する(ステップS8)。具体的には、制御部23Eは、減算器249を使って、蒸気流量の設定値SVから計測値PVを減算する。制御部23Eは、設定値SVと計測値PVの偏差(SV-PV)を燃焼速度指令器247に入力する。燃焼速度指令器247は、燃焼速度指令値qsvを算出する。制御部23Eは、燃焼速度指令値qsvと、燃焼速度qを燃焼速度制御器248へ入力する。燃焼速度制御器248は、式(11)により、補正後の燃焼速度q~を算出する。制御部23Eは、補正後の燃焼速度q~を用いて、ゴミ供給量の算出(第一実施形態)、1次燃焼空気バルブ開度や2次燃焼空気バルブ開度の算出(第二実施形態~第五実施形態)等により、ゴミ焼却発電設備100の燃焼制御を行う。
【0096】
本実施形態によれば、蒸気流量、燃焼室温度、排気ガスの酸素濃度などのゴミ焼却設備100に既設のセンサの計測値に基づいて、ゴミの燃焼速度qを推定し、ゴミの燃焼速度の指令値を計算し、ゴミの燃焼速度qを指令値と一致させる。これにより、燃焼速度qの変動を抑制しつつ、精度よく蒸気流量PVを設定値SVへ制御することができる。第六実施形態は、第一実施形態~第五実施形態と組み合わせることができる。
【0097】
図13は、各実施形態に係る制御装置のハードウェア構成の一例を示す図である。
コンピュータ900は、CPU901、主記憶装置902、補助記憶装置903、入出力インタフェース904、通信インタフェース905を備える。
上述の制御装置20は、コンピュータ900に実装される。そして、上述した各機能は、プログラムの形式で補助記憶装置903に記憶されている。CPU901は、プログラムを補助記憶装置903から読み出して主記憶装置902に展開し、当該プログラムに従って上記処理を実行する。また、CPU901は、プログラムに従って、記憶領域を主記憶装置902に確保する。また、CPU901は、プログラムに従って、処理中のデータを記憶する記憶領域を補助記憶装置903に確保する。
【0098】
なお、制御装置20の全部または一部の機能を実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することにより各機能部による処理を行ってもよい。ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものとする。また、「コンピュータシステム」は、WWWシステムを利用している場合であれば、ホームページ提供環境(あるいは表示環境)も含むものとする。また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、CD、DVD、USB等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。また、このプログラムが通信回線によってコンピュータ900に配信される場合、配信を受けたコンピュータ900が当該プログラムを主記憶装置902に展開し、上記処理を実行しても良い。また、上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであっても良く、さらに前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるものであってもよい。
【0099】
以上のとおり、本開示に係るいくつかの実施形態を説明したが、これら全ての実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することを意図していない。これらの実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これらの実施形態及びその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【0100】
<付記>
各実施形態に記載の制御装置20、ゴミ焼却設備100、制御方法およびプログラムは、例えば以下のように把握される。
【0101】
(1)第1の態様に係る制御装置20は、ゴミ焼却設備が備えるセンサが計測した計測値を取得するデータ取得部21と、前記計測値を用いて、前記ゴミ焼却設備の焼却炉(燃焼室6)における燃焼速度qを推定する燃焼速度推定部22と、前記燃焼速度に基づいて、ゴミの供給量または前記焼却炉に供給する燃焼空気の流量を制御する制御部23と、を備える。
これにより、ゴミ焼却炉全体としての燃焼の変動を燃焼速度として検出し、燃焼速度に応じた制御を行うことができるので、燃焼速度の変動を抑制し安定した運転を実現することができる。例えば、一定の蒸気流量を発電用のタービンに供給することで、発電量の安定化、発電量の増大に貢献することができる。また、燃焼の安定化により、NOxやCOなどの排出を抑制することができる。
【0102】
(2)第2の態様に係る制御装置20は、(1)の制御装置20であって、前記燃焼速度推定部は、前記燃焼速度の推定に用いる前記計測値の分散共分散行列を特異値分解して得る最大特異値に対応する最大特異ベクトルに前記計測値を乗じて前記燃焼速度を推定する(式(9))。
これにより少ない計算負荷で燃焼速度qを算出することができるので、計測値を取得してすぐに現在の燃焼速度qを推定することができる。
【0103】
(3)第3の態様に係る制御装置20は、(1)~(2)の制御装置20であって、前記制御部は、ゴミ焼却設備が出力する蒸気流量の目標値と蒸気流量の前記計測値との偏差を補償するゴミ供給量を算出するフィードバック制御器について、前記フィードバック制御器のゲインの大きさを前記燃焼速度に基づいて調整する。
ゴミ供給量を制御することによって、燃焼速度の変動を抑制することができる(第一実施形態)。
【0104】
(4)第4の態様に係る制御装置20は、(1)~(3)の制御装置20であって、 前記制御部は、前記燃焼速度が所定の閾値より小さい場合、前記ゲインに1より小さい値を乗じる。
ゴミ供給量過剰で燃焼速度が低下している時には、ゴミ供給量を控えめにすることで、燃焼速度を回復させることができる(第一実施形態)。
【0105】
(5)第5の態様に係る制御装置20は、(1)~(4)の制御装置20であって、前記制御部は、前記焼却炉のうちのゴミを焼却する空間である1次燃焼室へ供給する1次燃焼空気の流量を制御する1次燃焼空気バルブの開度を、前記燃焼速度の大きさに応じて、前記燃焼速度が所定の閾値よりも大きいときには前記1次燃焼空気バルブの開度を基準値よりも小さくなるよう制御し、前記燃焼速度が所定の閾値よりも小さいときには前記1次燃焼空気バルブの開度を基準値よりも大きくなるよう制御する。
例えば、燃焼が盛んなときには1次燃焼空気の供給量を少なくし、燃焼が低下している時には1次燃焼空気の供給量を多くすることによって、燃焼室6でのゴミの燃焼を安定化することができる(第二実施形態)。
【0106】
(6)第6の態様に係る制御装置20は、(5)の制御装置20であって、前記制御部は、前記燃焼速度が所定の閾値よりも小さい場合、前記1次燃焼室におけるゴミの投入口に近い位置に供給される前記1次燃焼空気を所定の基準値よりも増加させ、前記燃焼速度が所定の閾値よりも大きい場合、前記1次燃焼室におけるゴミの投入口に近い位置に供給される前記1次燃焼空気を所定の基準値よりも減少させる。
熱分解ガスの発生能力に応じて、風箱ごとに1次燃焼空気の供給量を調節することで、より効果的に燃焼速度を安定化させることができる(第四実施形態)。
【0107】
(7)第7の態様に係る制御装置20は、(1)~(6)の制御装置20であって、前記制御部は、前記焼却炉のうちのゴミの焼却により生じた燃焼ガスを燃焼させる空間である2次燃焼室へ供給する燃焼空気の流量を制御する2次燃焼空気バルブの開度を、前記燃焼速度の大きさに応じて、前記燃焼速度が所定の閾値よりも大きいときには前記2次燃焼空気バルブの開度を基準値よりも大きくなるよう制御し、前記燃焼速度が所定の閾値よりも小さいときには前記2次燃焼空気バルブの開度を基準値よりも小さくなるよう制御する。
CO、Noxなどの排出リスクを低下させることができる(第三実施形態)。
【0108】
(8)第8の態様に係る制御装置20は、(1)~(7)の制御装置20であって、前記制御部は、前記燃焼速度の分散が所定の閾値以上の場合、前記燃焼空気の流量を増大させる。
排ガスにおけるO2濃度を高く維持し、燃焼速度が増加しても燃焼空気の不足を回避して、COの排出を抑制することができる(第五実施形態)。
【0109】
(9)第9の態様に係る制御装置20は、(1)~(8)の制御装置20であって、前記制御部は、ゴミ焼却設備が出力する蒸気流量の目標値と蒸気流量の前記計測値との偏差を補償する前記燃焼速度の指令値を算出し、前記指令値に基づいて、前記燃焼速度推定部が推定した前記燃焼速度を補正する。
これにより、燃焼速度の変動を抑制しつつ、ゴミ焼却設備が出力する蒸気流量が目標値となるよう制御するという制御目的をより正確に達成することができる。
【0110】
(10)第10の態様に係るゴミ焼却設備は、ゴミを焼却する焼却炉(燃焼室6)と、前記焼却炉にゴミを供給する給じん装置(プッシャ10)と、前記焼却炉に燃焼空気を供給する送風機4と、前記送風機から前記焼却炉のうちゴミを焼却する焼却炉へ供給する燃焼空気の流量を制御する燃焼空気バルブ(8A~8E、14E)と、(1)~(9)に記載の制御装置と、を備える。
【0111】
(11)第11の態様に係る制御方法は、ゴミ焼却設備が備えるセンサが計測した計測値を取得するステップと、前記計測値を用いて、前記ゴミ焼却設備の焼却炉における燃焼速度を推定するステップと、前記燃焼速度に基づいて、ゴミの供給量または前記焼却炉に供給する燃焼空気の流量を制御するステップと、を有する。
【0112】
(12)第12の態様に係るプログラムは、コンピュータに、ゴミ焼却設備が備えるセンサが計測した計測値を取得するステップと、前記計測値を用いて、前記ゴミ焼却設備の焼却炉における燃焼速度を推定するステップと、前記燃焼速度に基づいて、ゴミの供給量または前記焼却炉に供給する燃焼空気の流量を制御するステップと、を実行させる。
【符号の説明】
【0113】
100・・・ゴミ焼却設備、1・・・ホッパ、2・・・シュート、3・・・火格子、3A・・・乾燥域、3B・・・燃焼域、3C・・・後燃焼域、4・・・送風機、
5A~5E・・・風箱、6・・・燃焼室、6A・・・1次燃焼室、6B・・・2次燃焼室、7・・・灰出口、8A~8E、14A・・・バルブ、9・・・ボイラ、10・・・プッシャ、11・・・蒸気流量センサ、12・・・煙道、13、14・・・管路、15・・・酸素濃度センサ、16、17A・・・温度センサ、17B・・・CO濃度センサ、17C・・・NOx濃度センサ、17D・・・流量センサ、17E・・・流量センサ、20・・・制御装置、21・・・データ取得部、22・・・燃焼速度推定部、23、23A、23B、23C、23D、23E・・・制御部、24・・・記憶部、900・・・コンピュータ、901・・・CPU、902・・・主記憶装置、903・・・補助記憶装置、904・・・入出力インタフェース、905・・・通信インタフェース