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特許7638162接続部を有する長さ調節可能な組立体、およびその組立体の製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-02-20
(45)【発行日】2025-03-03
(54)【発明の名称】接続部を有する長さ調節可能な組立体、およびその組立体の製造方法
(51)【国際特許分類】
   F16B 9/00 20060101AFI20250221BHJP
   F16F 9/54 20060101ALI20250221BHJP
   F16B 4/00 20060101ALI20250221BHJP
【FI】
F16B9/00
F16F9/54
F16B4/00 E
【請求項の数】 11
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021096335
(22)【出願日】2021-06-09
(65)【公開番号】P2021196056
(43)【公開日】2021-12-27
【審査請求日】2024-02-09
(31)【優先権主張番号】10 2020 115 326.0
(32)【優先日】2020-06-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】514062655
【氏名又は名称】スタビラス ゲ―エムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】110000442
【氏名又は名称】弁理士法人武和国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ジョナタン ケスラー
【審査官】大谷 謙仁
(56)【参考文献】
【文献】特開平10-325442(JP,A)
【文献】特開2018-40491(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16B 9/00
F16F 9/54
F16B 4/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
縦軸(LA)に沿って長さ調節可能な組立体(100)であって、
a)引張負荷および圧縮負荷を受けることができるように、前記組立体(100)を部品に対し接続する少なくとも1つの接続部(210)が設けられ、
b)前記少なくとも1つの接続部(210)は、前記組立体(100)の前記縦軸(LA)の方向の端部(110)に嵌め込まれ、
c)前記少なくとも1つの接続部(210)は、前記少なくとも1つの接続部(210)を前記端部(110)に嵌め込んで取り付ける構成において、前記縦軸(LA)に対して外方向に弾性的な屈曲が可能な少なくとも1つの嵌合アーム(211)を備え、
d)前記少なくとも1つの嵌合アーム(211)は、少なくとも1つの嵌合部(212)を備え、
e)前記端部(110)は、前記少なくとも1つの嵌合部(212)と相補的な形状を有する少なくとも1つの被嵌合部(112)を備え、
f)前記少なくとも1つの嵌合部(212)は、前記組立体(100)の動作構成において、前記縦軸(LA)に沿って前記少なくとも1つの被嵌合部(112)と確実に協働するように構成され、
g)前記組立体(100)は、少なくとも1つの固定部(120)を備え、
h)前記固定部(120)は、前記組立体(100)の前記動作構成において、前記少なくとも1つの接続部(210)の前記少なくとも1つの嵌合アーム(211)が、前記縦軸(LA)に対して外方向に屈曲することを防止するように構成され、
上記の通り構成された前記組立体(100)において、
i)前記縦軸(LA)に沿って作用する少なくとも1つのばね部が設けられ、
j)前記組立体(100)の前記動作構成において、前記ばね部は、前記接続部(210)に対して、前記少なくとも1つの固定部(120)を前記縦軸(LA)に沿って付勢する、
ことを特徴とする組立体。
【請求項2】
接続部(210)は一体として設けられ、弾性的に変形可能な繊維強化プラスチックからなる、
ことを特徴とする請求項1に記載の長さ調節が可能な組立体。
【請求項3】
a)ボールソケット、ボールピン、アイ、またはボルトから選択される、前記部品の結合部に結合するための結合領域(213)が設けられ、
b)前記結合部は、前記結合領域(213)と相補的な形状を有し、ボールソケット、ボールピン、アイまたはボルトから選択され、
c)結合接続部は、引張及び圧縮状態で負荷を受けることが可能であり、少なくとも1つの回転軸を中心として回転可能である、
ことを特徴とする請求項1または2に記載の組立体(100)。
【請求項4】
前記少なくとも1つの嵌合部(212)は、前記組立体(100)の前記動作構成において、前記縦軸(LA)を中心として回転可能に、前記少なくとも1つの被嵌合部(112)と協働する、
ことを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の組立体(100)。
【請求項5】
前記少なくとも1つの嵌合部(212)は、前記縦軸(LA)を中心として延在する環状溝として構成される前記被嵌合部(112)に嵌合するための突起を備える、
ことを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の組立体(100)。
【請求項6】
a)前記動作構成において、前記少なくとも1つの固定部(120)は、前記縦軸(LA)に対して径方向であって、前記少なくとも1つの嵌合アーム(211)の外側で、前記縦軸(LA)に沿って、前記少なくとも1つの接続部(210)に嵌合されるか、または前記縦軸(LA)に沿って前記接続部(210)内に挿入され、
b)前記少なくとも1つの固定部(120)および前記少なくとも1つの接続部(210)は、前記動作構成において、前記縦軸(LA)に沿って摩擦係止された状態で協働する、
ことを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の組立体(100)。
【請求項7】
前記少なくとも1つの接続部(210)は、前記動作構成において、前記縦軸(LA)に対して径方向であって、前記少なくとも1つの固定部(120)の外側に配置され、前記少なくとも1つの固定部(120)を保護する少なくとも1つの保護部(220)を備え、
前記少なくとも1つの保護部(220)は、前記少なくとも1つの固定部(120)を縦軸(LA)に沿って摩擦により保持する、
ことを特徴とする請求項6に記載の組立体(100)。
【請求項8】
前記少なくとも1つの固定部(120)および前記少なくとも1つの保護部(220)は、それぞれほぼ中空の円筒形である、
ことを特徴とする請求項7に記載の組立体(100)。
【請求項9】
a)前記少なくとも1つのばね部において前記少なくとも1つの固定部(120)を支持するための少なくとも1つの支持部(130)を設け、
b)前記少なくとも1つの支持部(130)は、環状円板形状で、および/または前記縦軸(LA)に対して同軸に配置され、および/または前記少なくとも1つの固定部(120)よりも前記縦軸(LA)に対して径方向に長い幅を有する、
ことを特徴とする請求項1から8のいずれか1項に記載の組立体(100)。
【請求項10】
請求項1から9のいずれか1項に記載の組立体(100)の製造方法であって、
a)前記組立体(100)の前記端部(110)を設ける工程と、
b)前記端部(110)に少なくとも1つの被嵌合部(112)を形成する工程と、
c)前記組立体(100)の前記縦軸(LA)に沿って、前記組立体(100)の前記接続部(210)を前記端部(110)に嵌め込む工程と、
d)前記接続部(210)の前記少なくとも1つの嵌合アーム(211)が、前記嵌め込み工程中に、前記縦軸(LA)に対して外方に屈曲される工程と、
e)前記少なくとも1つの嵌合アーム(211)の前記少なくとも1つの嵌合部(212)が、前記縦軸(LA)に沿って前記少なくとも1つの被嵌合部(112)と確実に協働するように、前記嵌め込み工程の最後に、前記少なくとも1つの嵌合アーム(211)が前記縦軸(LA)に向かって戻るように弾性変形する工程と、
f)前記少なくとも1つの固定部(120)は、前記少なくとも1つの嵌合アーム(211)が前記縦軸(LA)に対して外方へ屈曲することを防止するように、前記接続部(210)に取り付けられる工程と、
g)前記組立体(100)の前記動作構成において、前記縦軸(LA)に沿って作用する前記ばね部を、前記少なくとも1つの固定部(120)を前記接続部(210)に対して前記縦軸(LA)に沿って付勢するように、前記組立体(100)に取り付ける工程と、
を含むことを特徴とする製造方法。
【請求項11】
前記少なくとも1つの固定部(120)の取り付け工程には、前記縦軸(LA)に沿って、前記固定部(120)を前記接続部(210)に差し込む工程、または前記固定部(120)を前記接続部(210)に嵌め込む工程を含む、
ことを特徴とする請求項10にかかる組立体の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、長さ調節可能な組立体に関する。この組立体は、引張負荷および圧縮負荷を受けることができるように、組立体を部品に対して接続する接続部を備える。接続部は、組立体の縦軸方向の端部に対して、縦軸方向に沿って嵌め込まれる。本願発明は、さらに、このように構成された組立体の製造方法に関する。
【0002】
上述の接続部を有する組立体は、スピンドル駆動装置/リニア駆動装置、スプリングストラット、流体ダンパ、およびガス圧スプリング等の形態で使用される。特に、自動車においては、テールゲート、ドア、エンジンボンネット等の開放、保持および/または閉鎖に用いられる。
【背景技術】
【0003】
独国特許出願公開第102012201174号明細書にて公知の組立体は、外管からなる外側部材を備える。外管の取付端部には、接続部が配置されている。外管の取付部は円周方向の溝を有し、この溝に円周方向のウェブが係合することで、接続部が外管上に回転可能に保持される。外管の円周溝および接続部の円周溝に配置されたスナップリングによって、接続部は外管上に回転可能に保持される。しかしながら、この組立体の製造工程は、複雑で時間がかかるため、改善の余地が残る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】独国特許出願公開第102012201174号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そこで、本願発明の課題は、上述した構成の組立体であって、簡易かつ迅速な組み立てと接続の安定性の実現を可能にする組立体を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前述の技術的課題は、本願発明の請求項1に記載の組立体、さらに、請求項10に記載の方法にて解決される。有効な実施形態は、従属項に記載されている。
【0007】
本願発明に係る接続部は、引張負荷および圧縮負荷を受けることができるように、縦軸に沿って長さ調節可能な組立体を、車両本体やフラップ等の部品に対して接続する。長さ調節可能な組立体は、例えばガス圧スプリング、流体ダンパ、リニアアクチュエータ、特にスピンドルアクチュエータ、またはスプリングストラットである。
【0008】
接続部は、組立体の縦軸方向の端部に、縦軸に沿って嵌め込まれるように設計される。端部は、例えば管状であり、特に、円筒状および/または縦軸と同軸でもよい。
【0009】
接続部を端部に嵌め込んで取り付ける構成において、接続部は、縦軸に対して外方に弾性的な屈曲が可能な少なくとも1つの嵌合アームを備える。嵌合アームは、少なくとも1つの嵌合部を備える。端部に嵌め込まれた接続部の動作構成において、この嵌合部は、嵌合部と相補的な形状を有して端部に設けられた少なくとも1つの被嵌合部と、縦軸に沿って確実に協働する構成とされる。
【0010】
嵌合部および被嵌合部を用いることにより、接続部の組立を著しく容易にすることが可能である。嵌合アームおよび/または嵌合部は、取り付け構成において、(縦軸に対して)径方向外側に弾性的に変形するように設計されることで、被嵌合部に嵌合可能となる。さらに、嵌合アームおよび/または嵌合部は、動作構成において、(縦軸に対して)径方向外側に弾性的に変形可能ではなく、嵌合部に(確実に)嵌合されたままでいる構成とされてもよい。上記動作構成は、例えば、嵌合後に取り付けられる追加の構成要素によっても実現可能である。
【0011】
好ましくは、接続部は、車両のフラップ駆動に典型的な力の引張負荷および圧縮負荷を受けることができる。
【0012】
接続部は、1から6つ、またはそれ以上の嵌合アームを含むことができる。好ましくは、少なくとも2つ、特に4つの嵌合アームを含み、そのそれぞれが少なくとも1つの嵌合部を有する。嵌合アームが多く使用されるほど、接続部を組立体に嵌め込む作業が容易になり、接続部が組立体により偏りなく保持される。一方、嵌合アームが多く使用されると、製造労力および嵌合アームの破損の危険性が増大することから、嵌合アームを4つ用いる構成が妥当といえる。
【0013】
組立体において、接続部が有する嵌合部と、被嵌合部とが同数である必要はない。複数の嵌合部、特にすべての嵌合部が、共通の被嵌合部(例えば、縦軸を中心として延在する環状溝)で嵌合してもよいし、あるいはその逆も可能である。
【0014】
接続部を組立体の端部に押し込む際の破損リスクを可能な限り低減させるために、嵌合アームの径方向の屈曲性は十分に大きくする必要がある。嵌合アームは、少なくとも1mm、好ましくは少なくとも10mm、径方向に(すなわち、縦軸に垂直に)弾性的に変形可能であることが好ましい。また、嵌合アームは、嵌合部の少なくとも径方向の厚さ分、径方向に(すなわち、縦軸に垂直に)弾性的に変形可能であることが好ましい。嵌合部の径方向の厚さは、例えば、嵌合アームが変形していない状態で、嵌合部が嵌合アームから径方向に(特に、縦軸に向かって内側に)突出する分の長さである。嵌合部は必ずしも嵌合アームの軸方向端部に配置されるとは限らないため、嵌合部の径方向厚さよりも著しく高い(例えば、径方向外方に1.5倍から2倍の)嵌合アームの弾性的変形能が必要とされる場合もある。
【0015】
このように、本願発明に係る接続部によれば、組立体への取り付けを容易且つ複雑さを伴わずに行うことができる。しかも、縦軸に沿った引張負荷または圧縮負荷に対して、組立体への接続部の接続を極めて安定させることができる。
【0016】
好適な実施形態において、接続部は一体として設けられ、好ましくは、弾性的に変形可能な繊維強化プラスチックからなる。特に好ましくは、接続部はガラス繊維強化ポリアミドからなる。このようなプラスチックは、製造が容易で複雑さを伴わない(例えば、射出成形にて製造される)。繊維強化プラスチックは、繊維方向の高い引張負荷と圧縮負荷に耐える一方、繊維方向に対して横方向は柔軟なままである。
【0017】
さらなる実施形態において、接続部は、引張負荷および圧縮負荷を受けることができ、好ましくは、少なくとも1つの回転軸を中心として回転可能に設けられた結合領域を有する。この結合領域は、好ましくは、ボールソケット、ボールピン、アイ、またはボルトである。部品の結合領域は、接続部の結合領域と相補的な形状を有し、好ましくはボールソケット、ボールピン、アイ、またはボルトである。これにより、単一の(好ましくは一体の)接続部を有する部品(例えばテールゲート)に対し、結合領域を介して組立体を接続することが可能になる。このように、本願発明に係る組立体は、個別の部品をほとんど含まないことから、簡易かつ安価に製造できる。
【0018】
本願発明に係る組立体は、縦軸に沿って長さ調節可能であり、例えばガス圧スプリング、油圧ダンパ、リニア駆動装置、特にスピンドル駆動装置、またはスプリング支柱として設計できる。
【0019】
組立体は、少なくとも1つの接続部を備える。特に、本願発明に係る接続部は、引張負荷および圧縮負荷を受けることができるように、組立体を車両本体やフラップ等の部品に対し接続する。
【0020】
接続部は、組立体の縦軸方向の端部に嵌め込まれる。接続部は、接続部を端部に嵌め込む取り付け構成において、縦軸に対して外方へ弾性的な屈曲が可能な少なくとも1つの嵌合アームを備える。端部は例えば管状であり、特に、円筒状および/または縦軸と同軸であってもよい。
【0021】
嵌合アームは、少なくとも1つの嵌合部を備え、端部は、嵌合部と相補的な形状の少なくとも1つの被嵌合部を備える。嵌合部と被嵌合部とは、組立体の動作構成において、縦軸に沿って確実に協働する。
【0022】
本願発明に係る接続部につき、上述した利点および設計オプションは、本願発明に係る組立体の設計に起因するものである。
【0023】
好ましくは、組立体の動作構成において、嵌合部は、縦軸を中心として回転可能に被嵌合部と協働する。そのため、被嵌合部は、例えば縦軸を中心とした回転対称性を有する。好ましくは、嵌合部および被嵌合部は、縦軸を中心として互いに360°回転可能に構成される。例えば、被嵌合部が、嵌合部が嵌合する円周方向環状溝として形成されることにより、接続部は端部(または組立体の残りの部分)に対し相対的に回転可能になる。
【0024】
好適な実施形態において、嵌合部は、より好ましくは縦軸を中心とした環状溝として設計された凹部である被嵌合部に嵌合する突起を備える。本実施形態により、簡易な組立体が実現可能であると共に、嵌合部と被嵌合部との相対的な回転が複雑さを伴わずに実現される。さらに、通常、端部における材料の厚さおよび配置スペースは、嵌合アームに比べて大きくできるため、凹部を接続部ではなく端部に形成することで、より安全で、省スペースで、容易な構成が実現可能となる。
【0025】
好ましくは、前記組立体は、少なくとも1つの固定部を備える。この固定部は、組立体の動作構成において、接続部の嵌合アームが、縦軸に対して外方に屈曲することを防止するように配置される。ここで「防止する」とは、動作構成において、嵌合アームの屈曲限度を、縦軸に沿った嵌合部と被嵌合部との確実な接続が維持される程度とすることを意味する。
【0026】
一実施形態として、固定部は、動作構成において、縦軸に対して径方向であって、嵌合アームの外側で、好ましくは縦軸に沿って接続部に嵌合または挿入される。好ましくは、縦軸LAに沿った動作構成において、固定部と接続部とは、摩擦係止状態で、および/または縦軸LAに対して径方向に緊密に嵌合しながら、相互に作用する。これにより、接続部を端部に装着する取り付け構成において、嵌合アームを弾性的に曲げて開くことができる。動作構成、すなわち固定部が位置に収まっている状態では、嵌合アームを開くことはできない。よって、嵌合アームは、嵌合部と被嵌合部との間の分離に対して固定される。
【0027】
接続部は、少なくとも1つの保護部を備えることが好ましい。動作構成において、保護部は、縦軸に対して径方向であって、固定部の外側に配置される。保護部は、縦軸に沿って固定部を保護し、好ましくは摩擦により保持する構成とされている。これにより、動作構成において、接続部での固定部の緊密な嵌合が実現する。また、動作構成において、嵌合アームが取り付け構成の径方向外方に弾性的な屈曲をする空間は、固定部にて占有される。
【0028】
好ましくは、固定部および保護部は、それぞれがほぼ中空円筒形であり、および/または縦軸と同軸に配置される。また、好ましくは、固定部および保護部は中空円筒形であり、および縦軸に対して同軸に配置される。このように構成することで、容易な製造が可能となり、また、縦軸を中心とした回転対称性により、容易で安定した組み立てが可能ととなる。
【0029】
一実施形態において、組立体は、縦軸に沿って作用する少なくとも1つのばね部を備える。組立体の動作構成において、ばね部は、接続部に対して固定部を縦軸に沿って付勢する。好ましくは、ばね部は圧縮コイルばねである。また、好ましくは、ばね部は組立体に既に存在するばね部とできる。
【0030】
好ましくは、組立体は、少なくとも1つの支持部を備える。好ましくは、支持部は固定部に取り付けられ、または固定部と一体として形成され、端部および/またはばね部において固定部を支持する。支持部は好ましくは環状円板形状で、および/または縦軸に対して同軸に配置され、および/または固定部に比べて縦軸に対して径方向により長い幅を有する。支持部は、固定部を縦軸に沿って接続部内または接続部上に挿入するためのガイド補助として機能する。環状円板形状は製造が容易であり、また、環状円板形状により偏りのない安定性を得ることができる。支持部は、固定部に比べて縦軸に対して径方向により長い幅を有して形成されるため、ばね部の軸受面として機能する。このようにして、ばね部の安定性が実現し、組み立て中および作動中の滑りが防止される。
【0031】
本願発明に係る組立体を製造するための方法であって、以下の工程を、特に上述の順序で含む:
a)前記組立体の前記端部を設ける工程、
b)前記端部上に少なくとも1つの被嵌合部を形成する工程、
c)前記組立体の前記縦軸に沿って、前記組立体の前記接続部を前記端部に嵌め込む工程、
d)前記接続部の前記少なくとも1つの嵌合アームが、前記嵌め込み工程中に、前記縦軸に対して外方に屈曲される工程、
e)前記少なくとも1つの嵌合アームの前記少なくとも1つの嵌合部が、前記縦軸に沿って前記少なくとも1つの被嵌合部と緊密に嵌合した状態で協働するように、前記嵌め込み工程の最後に、前記少なくとも1つの嵌合アームが縦軸に向かって戻るように弾性変形する工程。
【0032】
例えば、組立体の縦軸を中心として環状溝として形成される被嵌合部の形成工程は、好ましくは、冷間成形等による端部の形成、特にビーディング工程を含む。
【0033】
好ましくは、固定部は、嵌合アームの縦軸に対する外方への屈曲を防止するように、接続部に取り付けられる。固定部を取り付けることにより、組立体は取り付け構成から動作構成へ移行する。
【0034】
固定部の取り付け工程には、固定部を縦軸に沿って接続部へ挿入する工程、または固定部を縦軸に沿って接続部と嵌合させる工程が含まれることが好ましい。例えば、固定部は、接続部において嵌合アームの径方向外側であって、保護部(存在する場合)の径方向内側に設けられた凹部内に挿入できる。保護部が設けられていない場合、固定部は、好ましくは、接続部に嵌合される。
【0035】
上述以外の本願発明の利点、目的、特性を、本願発明の実施例を示す以下の記載および添付の図面を参照して説明する。図面において、本願発明を構成する機能に少なくとも実質的に対応する特徴に同じ参照符号を付した。よって、すべての図面について、各特徴へのあらためての付番や、繰り返しの説明は行わない。
【図面の簡単な説明】
【0036】
図1】本願発明に係る組立体の縦断面図である。
図2】本願発明に係る接続部の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0037】
図1は、本願発明に係る組立体100の縦軸LAを中心とした縦断面図であり、例えば、スピンドル駆動装置を示す。
【0038】
組立体100は、接続部210を備える。接続部210は、引張負荷および圧縮負荷を受けることができるように、組立体100を車両の車体(図示せず)等の部品に対して接続する。
【0039】
また、組立体100は、ボールソケット等の結合領域213を含む。結合領域213は、引張負荷および圧縮負荷を受けられるように設けられ、好ましくは、少なくとも1つの回転軸、例えば、縦軸LAに対して、横方向に回転可能である。結合領域213は、本領域213と相補的な形状を有するボールスタッド等の結合部(不図示)を含む。
【0040】
接続部210は、組立体100の縦軸LA方向の端部110上に嵌め込んで接続される。例えば、端部110は縦軸LAと同軸の略円筒管として構成される。
【0041】
接続部210は、接続部210を端部110に嵌め込んで取り付けた構成(図示せず)において、縦軸LAに対して外方へ弾性的な屈曲が可能に設けられた少なくとも1つの嵌合アーム211を備える。この嵌合アーム211は、嵌合ノーズ等の少なくとも1つの嵌合部212を備える。
【0042】
端部110は少なくとも1つの被嵌合部112を備える。被嵌合部112は、縦軸LAを中心として延在する環状溝等、嵌合部212と相補的な形状を有する。
【0043】
図1に示す組立体100の縦軸LAに沿った動作構成において、嵌合部212は、被嵌合部112と緊密に嵌合した状態で協働する。嵌合部212と被嵌合部112とは、好ましくは、縦軸LAを中心として回転可能に協働する。
【0044】
接続部210は、さらに固定部120を備える。固定部120は、組立体100の動作構成において、接続部210の嵌合アーム211が、縦軸LAに対して外方に屈曲することを防ぐように構成される。
【0045】
円筒状スリーブ等として構成される固定部120は、図示された動作構成では、縦軸LAに対して径方向であって、嵌合アーム111の外側で、特に、縦軸LAと同軸に接続部210に挿入される。縦軸LAに沿った動作構成において、固定部120と接続部210とは、例えば、摩擦係止した状態で、縦軸LAに対して径方向に嵌合しながら相互に作用する。
【0046】
接続部210は、さらに保護部220を備える。保護部220は、動作構成において、縦軸LAに対して径方向であって、固定部120の外側に配置される。保護部220は、縦軸LAに沿って固定部120を保護する構成とされている。好ましくは、保護部220は摩擦により固定部120を保持する。
【0047】
組立体100は、端部110において固定部120を支持する支持部130を備える。支持部130は、好ましくは環状であって、縦軸LAと同軸に配置され、固定部120に比べて縦軸LAに対して径方向により長い幅を有する。
【0048】
図2は、本願発明に係る接続部210の、縦軸LAに対する横方向の断面を示す。
【0049】
接続部210は、例えば、図1に示す接続部210と同様に設計される。
【0050】
接続部210は、例えば、縦軸LAを中心として均等に分散して配置された4つの嵌合アーム211と、そのそれぞれに設けられた嵌合部212とを備える。
【0051】
接続部210は、例えば円筒状であって、嵌合アーム211の外側に縦軸LAと同軸に配置された保護部220を備える。
【符号の説明】
【0052】
100 組立体
110 端部
112 被嵌合部
120 固定部
130 支持部
210 接続部
211 嵌合アーム
212 嵌合部
213 結合領域
220 保護部
LA 縦軸
図1
図2