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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-02-20
(45)【発行日】2025-03-03
(54)【発明の名称】原子炉炉心シュラウド固定装置
(51)【国際特許分類】
   G21C 19/02 20060101AFI20250221BHJP
   G21C 5/10 20060101ALI20250221BHJP
【FI】
G21C19/02 050
G21C5/10
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2021568609
(86)(22)【出願日】2020-05-14
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-07-21
(86)【国際出願番号】 US2020032998
(87)【国際公開番号】W WO2020232310
(87)【国際公開日】2020-11-19
【審査請求日】2023-04-14
(31)【優先権主張番号】16/414,233
(32)【優先日】2019-05-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】514228804
【氏名又は名称】フラマトム インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100080447
【弁理士】
【氏名又は名称】太田 恵一
(72)【発明者】
【氏名】マーカム,ケネス ウェード
(72)【発明者】
【氏名】ペッカム,デイヴィッド ジョン
【審査官】大門 清
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-255394(JP,A)
【文献】特開平08-043573(JP,A)
【文献】特開平07-270570(JP,A)
【文献】米国特許第05623525(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G21C 19/02
G21C 5/10
G21C 13/024
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
原子炉炉心シュラウドの外側円周表面上に、かつ原子炉圧力容器の内側円周表面と接触して、設置するための固定装置であって、該固定装置が、
原子炉炉心シュラウドの外側円周表面と接触するように構成される基部(48)と、
アクチュエータ(62)、基部(48)に固定される据え置き支持部分(58)および可動接触部分(60)を含む半径方向の拡張装置(56)
とを含み、半径方向の拡張装置(56)が、可動接触部分(60)を圧力容器の内側円周表面に半径方向に押し込むために、アクチュエータ(62)によって、可動接触部分(60)が据え置き支持部分(58)に沿って移動できるように構成され、
半径方向の拡張装置(56)が、アクチュエータ(62)の軸方向の動きが可動接触部分(60)を半径方向に動かすように構成され、
可動接触部分(60)が、その中に形成される細長い穴(87)を含み、アクチュエータ(62)が可動接触部分(60)を半径方向に動かすにつれて、アクチュエータ(62)が細長い穴(87)の中で半径方向に移動でき
細長い穴(87)が、半径方向に細長いスロットであり、
細長いスロットの半径方向の長さがアクチュエータ(62)の胴部の直径より大きいため、アクチュエータ(62)が細長いスロットの中で半径方向に移動でき、
据え置き支持部分(58)が、その中に形成される軸方向に延在する穴(84)を含み、可動接触部分(60)を半径方向に動かすために、アクチュエータ(62)がその軸方向に延在する穴(84)の中で移動でき、
アクチュエータ(62)が、固定装置の半径方向の広がりを変化させるために、据え置き支持部分(58)の軸方向に延在する穴(84)の中で軸方向に、また細長いスロットの中で半径方向に移動する、固定装置。
【請求項2】
基部(48)を通り抜けて原子炉炉心シュラウドの中に入り込むための複数の締め具をさらに含む、請求項1に記載の固定装置
【請求項3】
据え置き支持部分(58)が第一のウェッジ部(51)を含み、可動接触部分(60)が第二のウェッジ部(89)を含み、可動接触部分(60)を圧力容器の内側円周表面に半径方向に押し込むために、アクチュエータ(62)によって、第一のウェッジ部(51)が第二のウェッジ部(89)に沿ってスライド可能である、請求項1または2に記載の固定装置。
【請求項4】
第一のウェッジ部(51)が第一の傾斜表面(64)を含み、第二のウェッジ部(89)が第一の傾斜表面(64)に相補的な第二の傾斜表面(66)を含む、請求項に記載の固定装置。
【請求項5】
アクチュエータ(62)が、可動接触部分(60)を通り抜けて据え置き支持部分(58)を通り抜けて延在するボルトである、請求項1からのいずれか一つに記載の固定装置。
【請求項6】
基部(48)が、原子炉炉心シュラウドの第一の外側円周表面部分と半径方向に接触するように構成される接触表面を有する第一の半径方向接触部分(50)と、原子炉炉心シュラウドの第二の外側円周表面部分と半径方向に接触するように構成される接触表面を有する第二の半径方向接触部分(52)とを含み、第一の半径方向接触部分(50)が第二の半径方向接触部分(52)から半径方向にオフセットされる、請求項1からのいずれか一つに記載の固定装置。
【請求項7】
据え置き支持部分(58)と可動接触部分(60)とが、アクチュエータ(62)によって合わせて接続される、請求項1からのいずれか一つに記載の固定装置。
【請求項8】
原子炉炉心シュラウドの外側円周表面上に、かつ圧力容器の内側円周表面と接触して固定装置を設置するための方法であって、該方法が、
原子炉炉心シュラウドの外側円周表面に固定装置の基部(48)を固定することと、
可動接触部分(60)を圧力容器の内側円周表面に半径方向に押し込むために、固定装置の据え置き支持部分(58)に沿って固定装置の可動接触部分(60)を押し進めるように固定装置のアクチュエータ(62)を動かすこと、
可動接触部分(60)が、その中に細長い穴(87)を含み、アクチュエータ(62)の移動が、細長い穴(87)の中で半径方向にアクチュエータ(62)を移動させること、を含み、
細長い穴(87)が、半径方向に細長いスロットであり、
細長いスロットの半径方向の長さがアクチュエータ(62)の胴部の直径より大きいため、アクチュエータ(62)が細長いスロットの中で半径方向に移動でき、
据え置き支持部分(58)が、軸方向に延在する穴(84)を含み、アクチュエータ(62)の移動が、軸方向に延在する穴(84)の中で軸方向にアクチュエータ(62)を移動させ、
アクチュエータ(62)が、固定装置の半径方向の広がりを変化させるために、据え置き支持部分(58)の軸方向に延在する穴(84)の中で軸方向に、また細長いスロットの中で半径方向に移動する、方法。
【請求項9】
原子炉炉心シュラウドの外側円周表面への基部(48)の固定が、シュラウドの中に止まり穴を機械加工すること、そして基部を通り抜けて止まり穴の中に締め具を設置することを含む、請求項に記載の方法。
【請求項10】
据え置き支持部分(58)が、第一のウェッジ部(50)を含み、可動接触部分が、第二のウェッジ部(52)を含み、アクチュエータ(62)の移動が、アクチュエータ(62)によって、第一のウェッジ部(50)に沿って第二のウェッジ部(52)をスライドさせることを含む、請求項またはに記載の方法
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、一般に原子炉に関するものであり、より詳細には原子炉内の炉心シュラウドを固定ための装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
沸騰水型原子炉は、設備が安全に停止することができるように、燃料を、制御棒駆動機構と適切に整列した状態に保つ炉心シュラウドを有する。炉心シュラウドは、整列を維持するためにシュラウドのシリンダを合わせた状態に保つ円周溶接部を有する。これらの円周溶接部の中には、継続する安全運転を可能にするために何らかの修理を必要とする兆候を示すものがある。
【0003】
米国特許第5402570号明細書は、シュラウドに垂直の圧縮力を加える複数のタイロッドを使って沸騰水型原子炉シュラウドを修理するための方法を開示している。米国特許第5809100号明細書は、原子炉炉心シュラウドに力を加えるタイロッドにかけられる予荷重を測定するための方法および道具を開示している。
【0004】
図1は、より小さいシュラウドシリンダ112よりも上側に位置決めされるより大きいシュラウドシリンダ114を含むシュラウドの斜視図を示している。シュラウドは、溶接部H2および溶接部H3と従来名づけられている2つの円周溶接を通じて大きい方のシュラウドシリンダ114を小さい方のシュラウドシリンダ112に接続する円板部分(中間部リング)をさらに含む。図1は、小さい方のシュラウドシリンダ112と大きい方のシュラウドシリンダ114とを互いに対して固定するために、H2溶接部とH3溶接部とを横切ってボルトで留められる複数のブロック110をそのうえ示している。これらの修理は、(i)多数の、例えばおおよそ12個のこれらのブロックと、(ii)シリンダ112、114を完全に通過してシリンダ112、114にブロック110を固定するボルト116とを含む。特徴(i)と(ii)の両方とも、運転中のシュラウドシリンダのための軸方向また半径方向の支持を達成するために必要とされる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】米国特許第5402570号明細書
【文献】米国特許第5809100号明細書
【発明の概要】
【0006】
固定装置は、原子炉炉心シュラウドの外側円周表面上に、かつ圧力容器の内側円周表面と接触して、設置されるように提供される。固定装置は、原子炉炉心シュラウドの外側円周表面と接触するように構成される基部を含む。固定装置は、アクチュエータと、基部に固定される据え置き支持部分と、可動接触部分とを含む、半径方向の拡張装置もまた含む。半径方向の拡張装置は、可動接触部分を圧力容器の内側円周表面に半径方向に押し込むために、アクチュエータによって、可動接触部分が据え置き支持部分に沿って移動できるように構成される。
【0007】
固定装置を原子炉炉心シュラウドの外側円周表面上に、かつ圧力容器の内側円周表面と接触して、設置するための方法が提供される。該方法は、原子炉炉心シュラウドの外側円周表面に固定装置の基部を固定することと、可動接触部分を圧力容器の内側円周表面に半径方向に押し込むために、固定装置の据え置き支持部分に沿って固定装置の可動接触部分を押し進めるように固定装置のアクチュエータを動かすこととを含む。
【0008】
本発明は、次のような図面を参照することにより以下に記述される。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】原子炉炉心シュラウドの固定部分についての互いに対する従来の配置の斜視図を示している。
図2】原子炉炉心シュラウドアセンブリを示している。
図3】シュラウドの外側円周表面上に設置された、本発明の実施形態による固定装置の斜視図を示している。
図4】シュラウドの外側円周表面上に設置された、本発明の実施形態による固定装置の斜視図を示している。
図5a図3および図4で示される固定装置の分解組立図を示している。
図5b図3および図4で示される固定装置の分解組立図を示している。
図6】据え置き部分と可動部分とがアクチュエータによって合わせて接続された固定装置の平面図を示している。
図7a-7d】固定装置の半径方向の広がりを変化させるために、どのようにアクチュエータが軸方向に動くのかを示している。
【発明を実施するための形態】
【0010】
〔詳細な説明〕
従来技術に伴う問題の一つは、それらの技術が、設置に必要な時間が長すぎることと、修理のために製造すべきハードウェアの費用がかかることが原因で、実践するのにコストが非常に高いことである。図1で示されている従来技術に伴う別の問題は、シュラウドシリンダ内の通り穴がシュラウドの堅固さに影響を与えること、またシュラウドシリンダの内部に現れるボルトがシュラウドシリンダの内部の流体の流れに影響を与えることである。
【0011】
本開示は、安全運転のための固定装置を提供するのに必要とされる修理の数を減らすために、固定装置に横方向の支持を提供する。本開示の固定装置は、止まり穴の水中ねじ切り加工を利用して、固定装置の基部が通り穴を作ることなく炉心シュラウドに向けられてボルトで留められることを可能にし、シュラウドの壁を完全に通り抜ける修理箇所と関連している炉心シュラウドの内部のバイパス流量を削減する。
【0012】
本開示の固定装置の利点は、以下のとおりであることができる。
-炉心シュラウド上の溶接部のための軸方向および半径方向の支持を、最低限の数の固定装置の設置をもって提供すること(90度の増分で円周方向に間隔を空けられる本開示の4つの固定装置だけであることが可能であり、それに対して図1で示されているのはおおよそ12個である)、
-本開示の固定装置をシュラウドに取り付けることが、シュラウド内のバイパス流量を増加させないこと、および
-本開示の固定装置の先細のウェッジ形は、固定装置の横方向の支持が、圧力容器に対する最適な適合のために設置の間中調整されることを可能にし、運転の間中の熱膨張を許容すること(ベルビルワッシャーが、横方向のサポートにコンプライアンスを与えるために利用されてもよい)。
【0013】
図2は、原子炉内の原子炉圧力容器で取り囲まれる原子炉炉心シュラウドアセンブリ10を概略的に示している。シュラウドアセンブリ10は、垂直に伸びる長手方向中心軸CAを中心としている。本明細書中に使用されているとおり、円周方向、半径方向、軸方向の用語およびそれらの派生語は、別段の定めがない限り、中心軸との関係において定義されている。シュラウドアセンブリ10は、シュラウド12と圧力容器との間に放射状にある円環状のダウンカマとして知られている円環状の空間内に提供される複数のジェットポンプアセンブリ14で取り囲まれかつ核燃料集合体を取り囲む、シュラウド12を含む。各ジェットポンプアセンブリ14は、2つのジェットポンプ16を含み、2つのジェットポンプは、ビーム20によってライザーパイプ18に連結している。水は、ライザーパイプ18に入り、ビーム20を通過し、そして次に駆動ノズル24によってインレットミキサ22の中へ下向きに運ばれる。
【0014】
図3および図4は、ジェットポンプアセンブリ14よりも上側のシュラウド12の外側円周表面32上に設置された、本発明の実施形態による固定装置30の斜視図を示している。図4は、固定装置30が、どのようにシュラウド12の外側円周表面32と圧力容器36の内側円周表面34との間に半径方向に留められるのかを示している。
【0015】
図3および図4で示されているように、シュラウド12は、第一の円筒形部分38と、第一の円筒形部分38より小さい外径を有する第二の円筒形部分40とを含む。第一の円筒形部分38は、第二の円筒形部分40よりも上側に位置決めされる。シュラウド12は、第一の円筒形部分38を第二の円筒形部分40に接続する円板部分42をさらに含む。円板部分42は、第一の円筒形部分38から第二の円筒形部分40に半径方向に内側へ向けて延在する。部分38、40、42は共に、シュラウド12の外側円周表面32を画定し、ここで部分38は第一の外側円周表面部分32aを画定し、部分40は第二の外側円周表面部分32bを画定し、そして円板部分42は第三の外側円周表面部分32cを画定する。部分38、42は、同じ外径を有し、それは部分40の外径より大きい。
【0016】
円板部分42は、H2溶接部として知られている第一の溶接部44によって第一の円筒形部分38に固定され、またH3溶接部として知られている第二の溶接部46によって第二の円筒形部分40に固定される。時がたつにつれて、溶接部44、46は、シュラウド12の継続する安全運転を可能にするために何らかの修理を必要とする兆候を示す。固定装置30は、部分38、40、42を互いに対して半径方向に固定するようにシュラウド12に適用されて、シュラウド12の継続する運転を可能にする。
【0017】
図3および図4中に示されているように、固定装置30は、シュラウド12の外側円周表面32と接触するように構成される段のある基部48を含む。基部48は、第一の外側円周表面部分32aと半径方向に接触するように、かつ第三の外側円周表面部分32cと半径方向に接触するように構成される接触表面50aを有する第一の半径方向接触部分50を含む。基部48は、第二の外側円周表面部分32bと半径方向に接触するように構成される接触表面52aを有する、第一の半径方向接触部分50から半径方向にオフセットされる第二の半径方向接触部分52もまた含む。基部48は、円板部分42の下側の半径方向に延在する表面42aと軸方向に接触するように構成される接触表面54aを有する、半径方向接触部分50、52を接続する、軸方向接触部分54をさらに含む。
【0018】
固定装置30は、固定装置30をシュラウド12の外側円周表面32と圧力容器36の内側円周表面34との間に半径方向に留めるために、圧力容器36の内側円周表面34を圧迫するように構成される、半径方向の拡張装置56をさらに含む。半径方向の拡張装置56は、基部48に強固に固定される据え置き支持部分58の形をとる第一の部分と、半径方向の拡張装置56のアクチュエータ62によって基部48に対して半径方向に移動できる可動接触部分60の形をとる第二の部分とを含む。以下にさらに記述されるように、据え置き支持部分58は、傾斜表面64を含み(図5a、5b)、また可動接触部分60は、傾斜表面66を含む(図5a、5b)。部分58、60は、アクチュエータ62による可動接触部分60の軸方向の動きが、可動接触部分58を、基部48と据え置き支持部分58とに対して半径方向に動かすように構成される。可動接触部分60の軸方向の動きは、基部48の接触表面50aと半径方向の拡張装置56の接触表面56aとの間の半径方向の距離を変化させる。
【0019】
基部48は、基部を半径方向に通過する複数の穴50b、52bを含む。より具体的には、第一の半径方向接触部分50は、それを半径方向に通過する2つの穴50bを含み、また第二の半径方向接触部分52は、それを半径方向に通過する2つの穴52bを含む。穴50bは、第一の半径方向接触部分50の接触表面50aから外側表面50cを通り、また穴52bは、第二の半径方向接触部分50の接触表面52aから外側表面52cを通る。各穴50b、52bは、固定装置30をシュラウド12に据え付けるための、好ましい実施形態においてボルトである、各々の締め具68、70を受ける。各締め具68、70は、各々のねじ胴部68a、70aを含み(図5a、5b)、各々のねじ胴部は、固定装置30をシュラウド12に固定するために、胴部68a、68bのねじ山と穴72、74のねじ山とが互いにかみ合うようにシュラウド12の中に形成される複数のねじ切りされた止まり穴72、74のうちの各々の一つの中に、各穴50b、52bを通り抜けて延在する。とりわけ、第一の円筒形部分38は、その中に形成される、部分38の内側円周表面38aを破ることなく外側円周表面部分32aから第一の円筒形部分38の中に延在する、2つのねじ穴72を含み、また第二の円筒形部分40は、その中に形成される、部分40の内側円周表面40aを破ることなく外側円周表面部分32bから第二の円筒形部分40の中に延在する、2つのねじ穴74を含む。
【0020】
図5a、5bは、固定装置30の分解組立図を示している。図5a、5bで示されているように、基部48は、据え置き支持部分58を備えた単一部品として一体化して形成される。据え置き支持部分58は、第一の半径方向接触部分50の外側表面50cから半径方向に突き出ており、そして可動接触部分60の第一の端部60aを受けるように構成される入れ物82を画定する、外側表面50cから延在する3つの壁76、78、80を含む、第一のウェッジ部51を形成している。第一と第二の壁76、78は、支持部分58の同一の側壁を画定し、また第三の壁80は、底壁を画定する。第三の壁80は、アクチュエータ62の一部を受けるように構成される、軸方向に完全に通過する、軸方向に延在するねじ穴84を含む。壁76、78はそれぞれ、先細の不規則な角柱形を有し、壁76、78が底壁80に向かって下方へ延在するにつれて壁76、78が半径方向に次第に幅が広くなるようになっている。壁76、78、80は共に、支持部分58の傾斜表面64を形成する。とりわけ各壁76、78は、各々の傾斜表面部分76a、78aを含み、それは表面部分76a、78aが下方へ延在するにつれて第一の半径方向接触部分50からさらに離れて延在する。図5a、5b中に示される実施形態において、壁80もまた、表面部分76a、78aと一致し同一の広がりをもつ、傾斜表面部分80aを含む。しかしながら別の実施形態において、表面部分80aは、異なる形を有し得る。
【0021】
可動接触部分60は、入れ物82内を軸方向にかつ垂直に動くための第一の端部60aと、接触表面56aによって圧力容器36の内側円周表面34と接触するように構成される第二の端部60bとを含む。第一の端部60aは、入れ物82内で、側壁76、78の間で、底壁80に近づいたり離れたりして軸方向にスライド可能な挿入部分86を含む。挿入部分86は、挿入部分を軸方向に通過する、アクチュエータ62を受けるように構成される半径方向に細長いスロット87を含む。挿入部分86は、第二のウェッジ部89に、傾斜表面66を形成する、第二のウェッジ部89の側壁88、90間で側面に沿って接続される。壁88、90はそれぞれ、傾斜表面66を形成する傾斜表面部分88a、90aを含む。壁88、90は、傾斜表面66が傾斜表面64に相補的な形状を有するように成形されており、可動接触部分60がアクチュエータ62によって軸方向かつ半径方向に動いている間ずっと、傾斜表面64が傾斜表面66との接触を保つようになっている。接触部分60は、ウェッジ部89から、固定装置30の半径方向の最も外側の表面を画定する接触表面56aを含む第二の端部60bに設けられる止め具94まで、半径方向に延在するアーム92をさらに含む。
【0022】
アクチュエータ62は、ヘッド96とねじ胴部98とを含むボルトとして形成される。アクチュエータ62は、ワッシャー100によって、壁88、90間の挿入部分86で中心に置かれる。ワッシャー100は、アクチュエータ62が細長いスロット87の半径方向の端部間で移動している最中に、壁88、90の横表面と接触してスライドするように構成される正方形の基部102を含む。アクチュエータ62は、スロット87の半径方向の長さが胴部98の直径より大きいため、細長いスロット87の中で軸方向に移動できる。基部102は、アクチュエータ62が、アクチュエータ62の半径方向に最も外側の位置にあるとき、ウェッジ部89の外壁104の半径方向に内側の表面と接触する。外壁104は、側壁88、90間で横に延在する。アクチュエータ62の軸方向の動きの間中、基部102は、壁88、90に沿って半径方向に、外壁104に近づいたり離れたりして動く。ワッシャー100は、アクチュエータ62を調整するためのヘッド96を受けるように構成される、基部102から軸方向に上向きに延在する、円筒形センタリング壁106をさらに含む。
【0023】
図6は、部分58、60がアクチュエータ62によって合わせて接続された固定装置30の平面図を示している。図6において、アクチュエータ62は、アクチュエータ62の半径方向に最も内側の位置にあり、挿入部分86の半径方向に最も内側の接触表面86aは、第一の半径方向接触部分50の外側表面50cと接触するようになっている。図6中において示されているように、ウェッジ部89は、ウェッジ部51と半径方向に重なっている。
【0024】
図7a~7dは、アクチュエータ62が、固定装置30の半径方向の広がりを変化させるために、穴84の中で軸方向に、また細長いスロット87の中で半径方向にどのように動くのかを示している。図7aおよび7bは、固定装置30が半径方向に収縮した位置にある第一の位置のアクチュエータ62を示しており、図7aは固定装置30の側面図を示しており、また図7bは固定装置30の垂直断面図を示している。図7a、7b中で示されている位置において、第二のウェッジ部89は、ウェッジ部51の最上部に位置しており、胴部98の底部が穴84の中にあり、また胴部98の最上部が、細長い穴87内で、細長い穴87の半径方向に内側の縁87aと半径方向に外側の縁87bとの両方から離れて配置されて位置しているような位置にアクチュエータ62がある。
【0025】
図7cおよび7dは、固定装置30が半径方向に拡張した位置にある第二の位置のアクチュエータ62を示しており、図7cは固定装置30の側面図を示しており、また図7dは固定装置30の垂直断面図を示している。図7c、7d中で示されている位置において、第二のウェッジ部89は、ウェッジ部51の底部の近くに位置しており、胴部98の底部が穴84より下にあり、また胴部98の最上部が、細長い穴87内で、半径方向に内側の縁87aと接触して位置しているような位置にアクチュエータ62がある。
【0026】
固定装置30が最小半径方向長さL1を有する、図7a、7b中の位置から、固定装置30が最大半径方向長さL2を有する、図7c、7d中の位置に移動するために、アクチュエータ62は、胴部98が胴部98の螺旋状ねじ山と穴84の螺旋状ねじ山との噛み合いによって穴84の中を軸方向に下方へ動くように、回転する。アクチュエータ62が軸方向に下方へ移動するにつれて、可動接触部分60の傾斜表面66は、据え置き支持部分58の傾斜表面64に沿ってスライドし、可動接触部分60は、基部48から半径方向に外側へ離れて移動するようになる。基部48から半径方向に外側へ離れる可動接触部分60の動きは、止め具94の接触表面56aが、圧力容器36の内側円周表面34を圧迫することを可能にし、第一の半径方向接触部分50の接触表面50aは、シュラウド12の第一の外側円周表面部分32aに半径方向に押し付けられ、また第二の半径方向接触部分52の接触表面52aは、シュラウド12の第二の外側円周表面部分32bに半径方向に押し付けられる。
【0027】
シュラウド12への固定装置30の設置方法はまず、シュラウド12にねじ穴72、74を機械加工することを含む。該方法はそれから、基部48の穴50b、52bをシュラウドの各々の穴72、74と整列させること、そして基部48がシュラウド12に固定されるように、締め具68、70を、各々の穴50b、52bを通して各々の穴72、74の中に設置することを含む。次に、可動接触部分60の傾斜表面66が据え置き支持部分58の傾斜表面64に沿って動いて、可動接触部分60が圧力容器36の内側円周表面34に半径方向に外側へ向けて押し付けられるように、アクチュエータ62が軸方向に下方へ動作する。複数の固定装置30は、シュラウド12上で円周方向に互いに一定間隔に配置されて、シュラウド12の部分38、40、42の、互いに対するおよび容器36に対する整列を支持する。
【0028】
シュラウド12と圧力容器36の熱膨張は、アクチュエータ62上の、可動接触部分60より下か可動接触部分60より上のいずれかにあることができる一連のベルビルワッシャーを用いて相殺し得る。ワッシャーの位置は、熱解析が完了して異なる成長特性が分かるにつれて決定することができる。
【0029】
上記明細書において、本発明は、その特定の典型的な実施形態および実施例に関して記述されている。しかしながら、下記の特許請求の範囲において明記されるような、発明のより広い趣旨および範囲から逸脱することなく、さまざまな修正や変更がそこへ成され得ることは明白である。明細書および図面はしたがって、限定的意味というよりむしろ例証的とされるべきである。とりわけ沸騰水型原子炉シュラウドにおいて、円板部分と溶接線によって組み立てられる2つのシュラウドシリンダのいかなる結び付きも、本発明のセキュリティ装置および方法を利用することによって確保することができる。
【符号の説明】
【0030】
10 シュラウドアセンブリ
12 シュラウド
30 固定装置
32 シュラウドの外側円周表面
34 圧力容器の内側円周表面
36 圧力容器
38 第一の円筒形部分
40 第二の円筒形部分
42 円板部分
48 基部
50 第一の半径方向接触部分
51 第一のウェッジ部
52 第二の半径方向接触部分
54 軸方向接触部分
56 拡張装置
58 据え置き支持部分
60 可動接触部分
62 アクチュエータ
89 第二のウェッジ部
100 ワッシャー
図1
図2
図3
図4
図5a
図5b
図6
図7a
図7b
図7c
図7d