(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-02-20
(45)【発行日】2025-03-03
(54)【発明の名称】レスベラトロールのグリコレート及びタルトレート誘導体の可溶化
(51)【国際特許分類】
C07C 67/48 20060101AFI20250221BHJP
C07C 69/675 20060101ALI20250221BHJP
A61K 8/37 20060101ALN20250221BHJP
A61Q 19/00 20060101ALN20250221BHJP
【FI】
C07C67/48
C07C69/675
A61K8/37
A61Q19/00
(21)【出願番号】P 2022576409
(86)(22)【出願日】2020-06-11
(86)【国際出願番号】 US2020037323
(87)【国際公開番号】W WO2021251977
(87)【国際公開日】2021-12-16
【審査請求日】2023-02-03
(32)【優先日】2020-06-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】513161449
【氏名又は名称】イーエルシー マネージメント エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】110002572
【氏名又は名称】弁理士法人平木国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】モハマディ,ファテメー
(72)【発明者】
【氏名】クザーノタ,アナ
【審査官】増永 淳司
(56)【参考文献】
【文献】特表2019-512483(JP,A)
【文献】国際公開第2014/103475(WO,A1)
【文献】特開2012-025746(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0210694(US,A1)
【文献】特開2015-164903(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07C 67/48
C07C 69/675
A61K 8/37
A61Q 19/00
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
グリコール酸レスベラトロール化合物を可溶化する方法であって、
(a)グリコール酸レスベラトロール化合物を加熱するステップ、及び
(b)グリコール酸レスベラトロール化合物と少なくとも1種のグリコール溶媒とを室温で10分~120分間混合するステップ、ここで、少なくとも1種のグリコール溶媒は、ペンチレングリコール及びブチレングリコールを1:1~1:50の比で含む、
を含む方法。
【請求項2】
グリコール酸レスベラトロールが、溶液の0.1重量%~30重量%存在する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
加熱するステップが45℃以下の温度で実施される、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
グリコール酸レスベラトロールが、次式:
【化1】
(式中、各Rは
(i)-OH又は
(ii)
【化2】
又は
(iii)
【化3】
から独立して選択され、
ここで、3つすべてのR基が同時に-OHとなることはできない)
を含む、請求項1に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2018年8月31日に出願された米国特許出願(Non-Provisional Patent Application)番号16/081,842号のCIPであり、これは、2017年3月6日に出願された国際出願番号PCT/US17/20923の国内段階出願であり、これは、2016年3月7日に出願された米国仮出願(Provisional Application)番号62/304541の優先権の利益を主張し、当該出願の全内容は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0002】
本発明は、レスベラトロール誘導体化合物及び組成物、並びにそれを合成する方法の分野に属する。
【背景技術】
【0003】
レスベラトロールは、3,5,4'-トリヒドロキシスチルベンとも称され、一般式:
【0004】
【化1】
を有するポリヒドロキシ置換化合物である。
【0005】
これは、赤ブドウ、ラズベリー、ブルーベリー、及びある種の他の植物の液果又は抽出物中に存在する。レスベラトロールは、強力な抗酸化剤であり、他の抗老化、抗がん、及び抗ウイルス作用を有することが知られている。レスベラトロールは、若返り特性が認識されているため、スキンクリームなどの多様な化粧品配合物に組み込まれている。しかしながら、レスベラトロールは、やや不安定であることから、変色しやすい。加えて、安定性、活性、及び皮膚に対する有益な作用などの特性についてのレスベラトロールの有効性を最大化するために、レスベラトロールを他の化合物と反応させて、レスベラトロール誘導体を生成することが最も望ましい。
【0006】
アルファヒドロキシ酸又はAHAは、皮膚の処置におけるその有効性で知られている。化合物のカルボン酸基は、死滅した皮膚細胞及び破片を皮膚表面から除去する皮膚剥離を助ける。AHAは、年齢に関係する皮膚の変化、例えば線、しわ、年齢による染み、斑点形成、黄変、及び皮膚のたるみの出現を減少させるとも言われる。しかしながら、AHAはまた、過敏な皮膚を有する者において皮膚の刺激、発赤、又は乾燥を引き起こし得る。
【0007】
特に有効なAHAは、グリコール酸及び酒石酸である。グリコール酸は、以下の式を有する:
【0008】
【0009】
また、酒石酸は、以下の式:
【0010】
【0011】
レスベラトロールのグリコール酸又は酒石酸によるエステル化は、ヒドロキシル基において一、二又は三置換されたエステルであり得るレスベラトロール誘導体をもたらして、それぞれ、モノ-、ジ-若しくはトリグリコール酸レスベラトロール若しくはそれらの混合物、又は一、二若しくは三酒石酸レスベラトロール若しくはそれらの混合物を形成する。そのような誘導体は、コラーゲン又はフィブリリンの合成を刺激すること、皮膚を剥離すること、皮膚を美白すること、ざ瘡又は他の皮膚病変を処置すること、及びコラーゲンを分解するマトリックスメタロプロテイナーゼを阻害することなどの有益な作用をもたらすために、化粧品組成物に組み込むことができる。
【発明の概要】
【0012】
本明細書に記載する実施形態は、式:
【0013】
【化4】
(式中、各Rは、独立して、
(i)-OH、又は
(ii)
【0014】
【0015】
【化6】
から選択されるが、ただし、3つすべてのRが同時に-OHとなることはできない)
の化合物を対象とする。
【0016】
本発明はまた、レスベラトロール及びグリコール酸のエステルを合成する方法であって、
a)塩基と反応させることによってレスベラトロールを脱プロトン化すること、
b)(i)グリコール酸のアルファヒドロキシル基を、保護供与体基(protecting donor group)を有する化合物と反応させて、保護されたアルファヒドロキシグリコール酸を形成すること、
(ii)(i)をハロゲン供与体化合物(halogen donor compound)と反応させて、反応性アルファヒドロキシルアシルハライドを形成すること
によって、アルファヒドロキシルが保護されたグリコール酸を調製すること、
c)(a)及び(b)を反応させて、アルファヒドロキシルが保護されたグリコール酸レスベラトロールを形成すること、並びに
d)保護されたアルファヒドロキシル基を脱保護して、グリコール酸レスベラトロールを形成すること
による方法を対象とする。
【0017】
本発明はまた、酒石酸レスベラトロールを合成する方法であって、
(a)塩基と反応させることによってレスベラトロールを脱プロトン化するステップ、
(b)(i)酒石酸を脱水して、反応性酒石酸無水物を形成すること、
(ii)同時に、アルファヒドロキシル基を、保護供与体基を有する化合物と反応させて、保護された酒石酸無水物を形成すること
によって、アルファヒドロキシルが保護された酒石酸無水物を調製するステップ、
(c)(a)及び(b)を反応させて、アルファヒドロキシルが保護された酒石酸レスベラトロールを形成するステップ、並びに
(d)保護されたアルファヒドロキシル基を脱保護して、酒石酸レスベラトロールを形成するステップ
を含む方法を対象とする。
【0018】
本発明はまた、式:の化合物を含む局所用組成物を対象とする。
【0019】
本明細書に記載する実施形態はまた、式:
【0020】
【化7】
(式中、各Rは、独立して、
(i)-OH、又は
(ii)
【0021】
【0022】
【化9】
から選択されるが、ただし、3つすべてのRが同時に-OHとなることはできない)
の化合物を対象とする。
【0023】
本発明はまた、グリコール酸レスベラトロールを可溶化する方法(method or process)であって、
(a)グリコール酸レスベラトロール化合物を加熱すること、及び
(b)グリコール酸レスベラトロール化合物と少なくとも1種のグリコール溶媒とを室温で約10分~約120分間混合すること
による方法を対象とする。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】4℃でのグリコール酸レスベラトロール(1%)のHPLCクロマトグラムを示す図である。
【
図2】4℃でのモノグリコール酸レスベラトロール(1%)のHPLCクロマトグラムを示す図である。
【
図3】4℃でのジグリコール酸レスベラトロール(1%)のHPLCクロマトグラムを示す図である。
【
図4】50℃でのグリコール酸レスベラトロール(1%)のHPLCクロマトグラムを示す図である。
【
図5】50℃でのモノグリコール酸レスベラトロール(1%)のHPLCクロマトグラムを示す図である。
【
図6】50℃でのジグリコール酸レスベラトロール(1%)のHPLCクロマトグラムを示す図である。
【
図7】4℃及び50℃のそれぞれでのペンチレングリコール及びブチレングリコール中のグリコール酸レスベラトロールのHPLCクロマトグラムを示す図である。
【
図8】4℃及び50℃のそれぞれでのペンチレングリコール及びブチレングリコール中のモノグリコール酸レスベラトロールのHPLCクロマトグラムを示す図である。
【
図9】4℃及び50℃のそれぞれでのペンチレングリコール及びブチレングリコール中のジグリコール酸レスベラトロールのHPLCクロマトグラムを示す図である。
【
図10】4℃及び50℃でのそれぞれの配合物中に溶解したグリコール酸レスベラトロール(1%)の安定性を示す図である。
【
図11】4℃及び50℃でのそれぞれの配合物中に溶解したモノ及びジグリコール酸レスベラトロール(10%)の安定性を示す図である。
【
図12】4℃及び50℃でのそれぞれの配合物中に溶解したモノ及びジグリコール酸レスベラトロール(20%)の安定性を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
グリコール酸レスベラトロール(レスベラトロールグリコレート)
レスベラトロール及びグリコール酸のエステルは、以下のように作製され得る:
a)塩基と反応させることによってレスベラトロールを脱プロトン化し、
b)(i)グリコール酸のアルファヒドロキシル基を、保護供与体基を有する化合物と反応させて、保護されたアルファヒドロキシグリコール酸を形成し、
(ii)(i)をハロゲン供与体化合物と反応させて、反応性アルファヒドロキシルアシルハライドを形成し
によって、アルファヒドロキシルが保護されたグリコール酸を調製し、
c)(a)及び(b)を反応させて、アルファヒドロキシルが保護されたグリコール酸レスベラトロールを形成し、並びに
d)保護されたアルファヒドロキシル基を脱保護して、グリコール酸レスベラトロールを形成する。
【0026】
レスベラトロールを脱プロトン化するための好適な塩基には、例えばナトリウム、カリウム、マグネシウム、リチウムなどのアルカリ又はアルカリ土類金属水素化物が含まれる。好ましくは、約0.5から2モル、最も好ましくは1モルのレスベラトロールを、約2から10モルの金属水素化物、好ましくは水素化ナトリウムと反応させる。加えて、反応条件は、無水アルゴンガス及びテトラヒドロフランの存在下、室温(25℃)である。反応条件は、1から10時間、最も好ましくは2から6時間の範囲とすることができ、これにより、レスベラトロールの3つのヒドロキシル基から3つすべての水素が除去された脱プロトン化されたレスベラトロールが得られる。
【0027】
別個に、グリコール酸を、保護供与体基を有する化合物と反応させる。複素環式非芳香族環であるピラン化合物、特にモノ-、ジ-、トリ-又はテトラヒドロピラン(モノ-、ジ-、トリ-及びテトラ-は、ピラン環から除去される水素原子の数を指す)並びにアルキルが短鎖アルキル、例えばメチル、エチル、プロピルであり、ハロゲンが塩素、フッ素、臭素等である、短鎖モノ-、ジ-又はトリアルキルハロゲンが最も好ましい。塩化ジメチルが最も好ましい。反応は、ピリジン、p-トルエンスルホン酸の存在下で行われてもよく、好ましくは、室温で3~12時間の範囲の期間である。保護供与体基を有する化合物がジヒドロピランであり、ハロゲン化アルキルがジメチルハロゲン、特に塩化ジメチルである場合がより好ましい。約1.5モルのジヒドロピランを1モルのグリコール酸と反応させて、テトラヒドロピランで保護されたアルファヒドロキシルグリコレートを得る。その後、SOCl2、ジメチルホルムアミド、及び塩化ジメチルの存在下、還流条件下で4から6時間反応を継続して、アルファヒドロキシル基がテトラヒドロピランで保護されたグリコール酸アシルクロリドを得る。最終ステップは、保護されたアルファヒドロキシルアシルを脱保護することである。
【0028】
別法として、グリコール酸を脱プロトン化した後、ヒドロキシル基は、トリチルハロゲン、例えば塩化トリチル(トリフェニルメチルクロリド)と反応させることによって保護することができ、この場合、アルファヒドロキシル基は、トリフェニルメチル基で置換される。その後、保護された化合物をSOCl2、ジメチルホルムアミド、及び塩化ジメチルと還流条件下で約4~6時間反応させて、トリチル保護されたアルファヒドロキシルクロリド基を有する化合物を得る。次いで、化合物のトリチル保護されたハロゲン化アシル形態を脱プロトン化されたレスベラトロールと反応させて、グリコール酸のアルファヒドロキシル基がトリチル基で保護されたままであるグリコール酸レスベラトロールを形成する。トリフルオロ酢酸、エタンジオール、硫化ジメチル及び塩化ジメチルのうち1つ以上との反応によってトリチル保護基を除去して、グリコール酸レスベラトロールを形成する。
【0029】
別の代替法は、市販の2-ヒドロキシアセチルクロリドを購入し、脱プロトン化されたレスベラトロールと反応させて、グリコール酸レスベラトロールを形成することである。この反応は、トリエチルアミン及びテトラヒドロフランのうち1つ以上の存在下、室温で12から72時間行われる。最終産物は、グリコール酸レスベラトロールである。使用される反応条件及び反応物濃度に応じて、グリコール酸レスベラトロールは、グリコール酸で一、二若しくは三置換されているか、又は一、二若しくは三置換エステルの混合物の形態であり得る。この場合、種々の化合物には、3-グリコレート-5-4'-ジヒドロキシスチルベン、5-グリコレート-3,4'ジヒドロキシスチルベン、4'-グリコレート-3,5-ジヒドロキシスチルベン、3,5-ジグリコレート-4'-ヒドロキシスチルベン、3,4'-ジグリコレート-5-ヒドロキシスチルベン、3,4'-ジグリコレート-5-ヒドロキシスチルベン、4'5-ジグリコレート-3-ヒドロキシスチルベン、及び3,5,4'-トリグリコレートスチルベンが含まれる。
【0030】
酒石酸レスベラトロール(レスベラトロールタルトレート)
レスベラトロールの酒石酸エステルは、最初に、上記のグリコール酸レスベラトロールの合成に記述したように、同じ反応条件下で、レスベラトロールを脱プロトン化することによって合成され得る。別個に、酒石酸を無水酢酸、酢酸、又はピリジンの存在下、室温で12~48時間反応させて、アセチル保護された酒石酸無水物、O,O'-ジアセチル-L-酒石酸無水物を得る。あるいは、この化合物は、市販品として購入することができる。
【0031】
その後、1モルの脱プロトン化されたレスベラトロールを3モルのO,O'-ジアセチル-L-酒石酸無水物と反応させて、アセチル保護された酒石酸レスベラトロールを形成する。炭酸カリウム(10モル)及びメタノールと室温で1~6時間反応させることによって保護基を除去して、酒石酸レスベラトロールを得る。使用される反応条件及び反応物の量に応じて、レスベラトロールは、酒石酸で一、二若しくは三置換され得るか、又は一、二及び三置換された酒石酸置換レスベラトロールの混合物の形態であり得る。この場合、種々の化合物には、3-タルトレート-5-4'-ジヒドロキシスチルベン、5-タルトレート-3,4'ジヒドロキシスチルベン、4'-タルトレート-3,5-ジヒドロキシスチルベン、3,5-ジタルトレート-4'-ヒドロキシスチルベン、3,4'-ジタルトレート-5-ヒドロキシスチルベン、3,4'-ジタルトレート-5-ヒドロキシスチルベン、4'5-ジタルトレート-3-ヒドロキシスチルベン、及び3,5,4'-トリタルトレートスチルベンが含まれる。
【0032】
化粧品組成物
レスベラトロールエステルは、クリーム、ローション、セラム、溶液、分散体などの形態であり得る局所用化粧品組成物に組み込むことができる。組成物は、油中水型又は水中油型のいずれかのエマルションの配合物の状態であり得る。好適なエマルションは、約1から90%の水及び10~90%の他の成分、例えば油を含有する。そのような追加の成分には、以下が含まれるがこれらに限定されない。
【0033】
油
好適な油には、本明細書に記載したものを含むがこれらに限定されないシリコーン、エステル、植物油、合成油が含まれる。油は、揮発性であっても不揮発性であってもよく、好ましくは、室温で注流可能な液体の形態である。存在する場合、油は、全組成物の約0.5から85重量%、好ましくは約1~75重量%、より好ましくは約5~65重量%の範囲であり得る。
【0034】
環状及び直鎖状揮発性シリコーンは、Dow Corning Corporation及びGeneral Electricを含む様々な商業的供給者から入手可能である。Dow Corningの直鎖状揮発性シリコーンは、商品名Dow Corning 244、245、344、及び200 fluidで販売されている。これらの流体には、ヘキサメチルジシロキサン(粘度0.65センチストークス(略号cst))、オクタメチルトリシロキサン(1.0cst)、デカメチルテトラシロキサン(1.5cst)、ドデカメチルペンタシロキサン(2cst)及びそれらの混合物が含まれ、粘度測定値はすべて、25℃でのものである。
【0035】
好適な分岐状揮発性シリコーンには、アルキルトリメチコン、例えばメチルトリメチコン、一般式:
【0036】
【化10】
を有する分岐状揮発性シリコーンが含まれる。メチルトリメチコンは、例えば、Shin-Etsu Siliconesから商品名TMF-1.5で購入され、これは、25℃で1.5センチストークスの粘度を有する。
【0037】
5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、又は20個の炭素原子、より好ましくは8から16個の炭素原子を有する様々な直鎖又は分岐鎖のパラフィン系炭化水素もまた好適である。好適な炭化水素には、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、デカン、ドデカン、テトラデカン、トリデカン、及びC8~20イソパラフィンが含まれる。好適なC12イソパラフィンは、Permethyl Corporationによって商品名Permethyl 99Aで製造されている。市販の様々なC16イソパラフィン、例えばイソヘキサデカン(商品名がPermethyl(登録商標)である)もまた好適である。
【0038】
カルボン酸及びアルコールの反応によって形成されるエステルもまた好適である。アルコール及びカルボン酸は、いずれも脂肪(C6~30)鎖を有し得る。例には、ラウリン酸ヘキシル、イソステアリン酸ブチル、イソステアリン酸ヘキサデシル、パルミチン酸セチル、ネオペンタン酸イソステアリル、ヘプタン酸ステアリル、イソノナン酸イソステアリル、乳酸ステアリル、オクタン酸ステアリル、ステアリン酸ステアリル、イソノナン酸イソノニルなどが含まれる。
【0039】
エステルはまた、ダイマー又はトリマーの形態であり得る。そのようなエステルの例には、リンゴ酸ジイソステアリル(diisotearyl)、ジオクタン酸ネオペンチルグリコール、セバシン酸ジブチル、ダイマージリノール酸ジセテアリル、アジピン酸ジセチル、アジピン酸ジイソセチル、アジピン酸ジイソノニル、ダイマージリノール酸ジイソステアリル、フマル酸ジイソステアリル、リンゴ酸ジイソステアリル、リンゴ酸ジオクチルなどが含まれる。
【0040】
他の種類のエステルの例には、アラキドン酸、クエン酸、又はベヘン酸由来のもの、例えばトリアラキジン、クエン酸トリブチル、クエン酸トリイソステアリル、クエン酸トリアルキル(C12~13)、トリカプリリン、クエン酸トリカプリリル、ベヘン酸トリデシル、クエン酸トリオクチルドデシル、ベヘン酸トリデシル、又はヤシ油脂肪酸トリデシル、イソノナン酸トリデシルなどが含まれる。
【0041】
合成の又は天然に存在する脂肪酸のグリセリルエステル、又はトリグリセリドもまた、組成物における使用に好適である。植物源及び動物源の両方が使用され得る。そのような油の例には、ヒマシ油、ラノリン油、C10~18トリグリセリド、カプリル酸/カプリン酸/トリグリセリド、アーモンド油、アンズ核油、ゴマ油、アマナズナ(camelina sativa)油、テリハボク種子油、ヤシ油、トウモロコシ油、綿実油、アマニ油、インクオイル(ink oil)、オリーブ油、パーム油、イリペ脂、アブラナ種子油、ダイズ油、ブドウ種子油、ヒマワリ種子油、クルミ油などが含まれる。
【0042】
合成又は半合成のグリセリルエステル、例えば改質された天然油脂である脂肪酸モノ-、ジ-及びトリグリセリド、例えば、グリセリンなどのポリオールのモノ-、ジ-又はトリエステルもまた好適である。一例では、脂肪(C12~22)カルボン酸を、1つ以上の繰り返しグリセリル基と反応させる。ステアリン酸グリセリル、ジイソステアリン酸(diiosostearate)ジグリセリル、イソステアリン酸ポリグリセリル-3、イソステアリン酸ポリグリセリル-4、リシノレイン酸ポリグリセリル-6、ジオレイン酸グリセリル、ジイソステアリン酸(diisotearate)グリセリル、テトライソステアリン酸グリセリル、トリオクタン酸グリセリル、ジステアリン酸ジグリセリル、リノール酸グリセリル、ミリスチン酸グリセリル、イソステアリン酸グリセリル、PEGヒマシ油、オレイン酸PEGグリセリル、ステアリン酸PEGグリセリル、牛脂脂肪酸PEGグリセリルなどである。
【0043】
水溶性及び水不溶性の両方の不揮発性シリコーン油もまた、組成物における使用に好適である。そのようなシリコーンは、好ましくは、25℃で約5超から800,000cst、好ましくは20から200,000cstの範囲の粘度を有する。好適な水不溶性シリコーンには、アモジメチコンなどのアミン官能性シリコーンが含まれる。例には、ジメチコン、フェニルジメチコン、ジフェニルジメチコン、フェニルトリメチコン、又はトリメチルシロキシフェニルジメチコンが含まれる。他の例には、アルキルジメチコン、例えばセチルジメチコン、ステアリルジメチコン(dimethcone)、ベヘニルジメチコンなどが含まれる。
【0044】
界面活性剤
組成物は、とりわけエマルション形態である場合、1種以上の界面活性剤を含有し得る。しかしながら、そのような界面活性剤は、組成物が無水である場合にも使用することができ、極性を有する成分、例えば、顔料を分散させるのに役立つ。そのような界面活性剤は、シリコーン系又は有機系であり得る。界面活性剤は、油中水型又は水中油型のいずれかの安定なエマルションの形成を助ける。存在する場合、界面活性剤は、全組成物の約0.001から30重量%、好ましくは約0.005から25重量%、より好ましくは約0.1から20重量%の範囲であり得る。
【0045】
シリコーン界面活性剤は、ジメチコンコポリオール又はアルキルジメチコンコポリオールと総称され得る。一部の場合、ポリマー中の繰り返しエチレンオキシド又はプロピレンオキシド単位の数もまた特定され、例えばPEG-15/PPG-10ジメチコンとも称されるジメチコンコポリオールであり、これは、シロキサン骨格上に15個のエチレングリコール単位及び10個のプロピレングリコール単位を含有する置換基を有するジメチコンを指す。上記の一般構造中のメチル基のうち1つ以上を、より長鎖のアルキル(例えば、エチル、プロピル、ブチル等)又はエーテル、例えばメチルエーテル、エチルエーテル、プロピルエーテル、ブチルエーテルなどで置換することも可能である。
【0046】
シリコーン界面活性剤の例は、CTFA名がシクロテトラシロキサン(及び)シクロペンタシロキサン(及び)PEG/PPG-18ジメチコンであるDow Corningによって商品名Dow Corning 3225C Formulation Aidで販売されているもの;又はCTFA名がシクロペンタシロキサン(及び)PEG/PPG-18/18ジメチコンである5225C Formulation Aid;又はCTFA名がPEG/PPG-18/18ジメチコンであるDow Coming 190 Surfactant;又はDow Corning 193 Fluid、CTFA名がラウリルPEG/PPG-18/18メチコンであるDow Corning 5200;又はCTFA名がセチルPEG/PPG-14/14ジメチコンであるGoldschmidtによって販売されているAbil EM 90;又はCTFA名がビス-セチルPEG/PPG-14/14ジメチコンであるGoldschmidtによって販売されているAbil EM 97;又はCTFA名がセチルPEG/PPG-10/1ジメチコンであるイソステアリン酸ポリグリセリル-4及びラウリン酸ヘキシルも含有する混合物の状態のAbil WE 09;又はCTFA名がPEG-11メチルエーテルジメチコンであるShin-Etsu Siliconesによって販売されているKF-6011;CTFA名がPEG/PPG-20/22ブチルエーテルジメチコンであるShin-Etsu Siliconesによって販売されているKF-6012;又はCTFA名がPEG-9ジメチコンであるShin-Etsu Siliconesによって販売されているKF-6013;又はCTFA名がPEG-3ジメチコンであるShin-Etsu Siliconesによって販売されているKF-6015;又はCTFA名がPEG-9メチルエーテルジメチコンであるShin-Etsu Siliconesによって販売されているKF-6016;又はCTFA名がPEG-10ジメチコンであるShin-Etsu Siliconesによって販売されているKF-6017;又はCTFA名がラウリルPEG-9ポリジメチルシロキシエチルジメチコンであるShin-Etsu Siliconesによって販売されているKF-6038である。
【0047】
少なくとも1つの親水性部分、例えばポリオキシアルキレン化基を含有する、乳化エラストマーと多くの場合称される様々な種類の架橋シリコーン界面活性剤もまた好適である。本発明の少なくとも1つの実施形態で使用され得るポリオキシアルキレン化シリコーンエラストマーには、Shin-Etsu Siliconesによって名称KSG-21、KSG-20、KSG-30、KSG-31、KSG-32、KSG-33で販売されているもの;ジメチコンに分散させたジメチコン/PEG-10/15クロスポリマーであるKSG-210;PEG-15ラウリルジメチコンクロスポリマーであるKSG-310;イソドデカンに分散させたPEG-15ラウリルジメチコンクロスポリマーであるKSG-320;KSG-330(トリエチルヘキサノインに分散させた前述のもの)、PEG-10ラウリルジメチコンクロスポリマー及びPEG-15ラウリルジメチコンクロスポリマーの混合物であるKSG-340が含まれる。
【0048】
PCT/WO 2004/024798に開示されているものなどのポリグリセロール化シリコーンエラストマーもまた好適であり、同文献は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。そのようなエラストマーには、Shin-EtsuのKSGシリーズ、例えば、ジメチコンに分散させたジメチコン/ポリグリセリン-3クロスポリマーであるKSG-710;又はShin-Etsuの商品名KSG-810、KSG-820、KSG-830、若しくはKSG-840で販売されている、イソドデカン、ジメチコン、トリエチルヘキサノインなどの多様な溶媒に分散させたラウリルジメチコン/ポリグリセリン-3クロスポリマーが含まれる。Dow Corningによって商品名9010及びDC9011で販売されているシリコーンもまた好適である。
【0049】
組成物は、1種以上の非イオン性有機界面活性剤を含み得る。好適な非イオン性界面活性剤には、アルコールとアルキレンオキシド、通常はエチレン又はプロピレンオキシドとの反応によって形成される、アルコキシル化アルコール、又はエーテルが含まれる。好ましくは、アルコールは、6から30個の炭素原子を有する脂肪アルコールのいずれかである。そのような成分の例には、ステアリルアルコール及びエチレンオキシドの反応によって形成され、エチレンオキシド単位の数が2から100の範囲であるステアレス2~100;ベヘニルアルコール及びエチレンオキシドの反応によって形成され、繰り返しエチレンオキシド単位の数が5から30であるベヘネス5~30;セチル及びステアリルアルコールの混合物とエチレンオキシドとの反応によって形成され、分子中の繰り返しエチレンオキシド単位の数が2から100であるセテアレス2~100;セチルアルコール及びエチレンオキシドの反応によって形成され、繰り返しエチレンオキシド単位の数が1から45であるセテス1~45などが含まれる。単位についての言及はすべて、その範囲の間のすべての整数を含む。
【0050】
他のアルコキシル化アルコールは、脂肪酸及び一価、二価又は多価アルコールとアルキレンオキシドとの反応によって形成される。例えば、C6~30脂肪カルボン酸及び多価アルコール(単糖、例えばグルコース、ガラクトース、メチルグルコースなどである)とアルコキシル化アルコールとの反応生成物である。例には、グリセリル脂肪酸エステルと反応させたポリマーアルキレングリコール、例えばオレイン酸PEGグリセリル、ステアリン酸PEGグリセリル;又はポリヒドロキシアルカン酸PEG、例えばジポリヒドロキシステアリン酸PEGであって、繰り返しエチレングリコール単位の数が3から1000の範囲であるものが含まれる。
【0051】
他の好適な非イオン性界面活性剤には、アルコキシル化ソルビタン及びアルコキシル化ソルビタン誘導体が含まれる。例えば、ソルビタンのアルコキシル化、特にエトキシル化は、ポリアルコキシル化ソルビタン誘導体をもたらす。ポリアルコキシル化ソルビタンのエステル化は、ポリソルベートなどのソルビタンエステルをもたらす。例えば、ポリアルコキシル化(polyalkyoxylated)ソルビタンは、C6~30、好ましくはC12~22脂肪酸でエステル化することができる。そのような成分の例には、ポリソルベート20~85、オレイン酸ソルビタン、セスキオレイン酸ソルビタン、パルミチン酸ソルビタン、セスキイソステアリン酸ソルビタン、ステアリン酸ソルビタンなどが含まれる。
【0052】
保湿剤
組成物に1種以上の保湿剤を含めることもまた望ましい場合がある。存在する場合、そのような保湿剤は、全組成物の約0.001から25重量%、好ましくは約0.005から20重量%、より好ましくは約0.1から15重量%の範囲であり得る。好適な保湿剤の例には、グリコール、糖などが含まれる。好適なグリコールは、モノマー又はポリマーの形態であり、これには、ポリエチレン及びポリプロピレングリコール、例えば4から200個の繰り返しエチレンオキシド単位を有するポリエチレングリコールであるPEG 4~200;並びにC1~6アルキレングリコール、例えばプロピレングリコール、ブチレングリコール、ペンチレングリコールなどが含まれる。一部は多価アルコールでもある好適な糖もまた、好適な保湿剤である。そのような糖の例には、グルコース、フルクトース、ハチミツ、水添ハチミツ、イノシトール、マルトース、マンニトール、マルチトール、ソルビトール、スクロース、キシリトール、キシロースなどが含まれる。尿素もまた好適である。好ましくは、本発明の組成物において使用される保湿剤は、C1~6、好ましくはC2~4アルキレングリコール、最も特定するとブチレングリコールである。
【0053】
植物抽出物
組成物に1種以上の植物抽出物を含めることが望ましい場合がある。その場合、提案される範囲は、全組成物の約0.0001から10重量%、好ましくは約0.0005から8重量%、より好ましくは約0.001から5重量%である。好適な植物抽出物には、例えば花、果実、野菜などの植物(草本、根、花、果実、種子)からの抽出物、例えば、酵母発酵抽出物、パディナ・パボニカ(Padina Pavonica)抽出物、サーマス・サーモフィルス(thermus thermophilis)発酵抽出物、アマナズナ種子油、ボスウェリア・セラタ(boswellia serrata)抽出物、オリーブ抽出物、シロイヌナズナ(Aribodopsis Thaliana)抽出物、ミモザアカシア(Acacia Dealbata)抽出物、ギンヨウカエデ(Acer Saccharinum)(サトウカエデ)、アシドフィルス(acidopholus)、ショウブ属(acorus)、トチノキ属(aesculus)、ハラタケ属(agaricus)、リュウゼツラン属(agave)、キンミズヒキ属(agrimonia)、藻類、アロエ属(aloe)、柑橘類、アブラナ属(brassica)、桂皮、オレンジ、リンゴ、ブルーベリー、クランベリー、モモ、セイヨウナシ、レモン、ライム、エンドウ、海藻、カフェイン、緑茶、カモミール、ヤナギ樹皮、クワの実、ケシ、及びCTFA Cosmetic Ingredient Handbook、第8版、第2巻の1646ページから1660ページまでに記載されているものが含まれる。さらなる具体例には、カンゾウ(Glycyrrhiza glabra)、サリックス・ニグラ(Salix nigra)、オオウキモ(Macrocycstis pyrifera)、リンゴ(Pyrus malus)、ユキノシタ(Saxifraga sarmentosa)、ブドウ(Vitis vinifera)、クロミグワ(Morus nigra)、オウゴン(Scutellaria baicalensis)、ローマカミツレ(Anthemis nobilis)、オニサルビア(Salvia sclarea)、ローズマリー(Rosmarinus officianalis)、レモン(Citrus medica limonum)、オタネニンジン(Panax ginseng)、ツクシメナモミ(Siegesbeckia orientalis)、ウバイ(Fructus mume)、アスコフィルム・ノドスム(Ascophyllum nodosum)、ビフィズス菌(Bifida)発酵溶解質、ダイズ(Glycine soja)抽出物、ビート(Beta vulgaris)、ハベルレア・ロドペンシス(Haberlea rhodopensis)、イタドリ(Polygonum cuspidatum)、オレンジ(Citrus aurantium dulcis)、ブドウ、イワヒバ(Selaginella tamariscina)、ホップ(Humulus lupulus)、マンダリンオレンジ(Citrus reticulata)果皮、ザクロ(Punica granatum)、アスパラゴプシス・アルマタ(Asparagopsis armata)、ウコン(Curcuma longa)、ミツガシワ(Menyanthes trifoliata)、ヒマワリ(Helianthus annuus)、オオムギ(Hordeum vulgare)、キュウリ(Cucumis sativus)、ツノマタゴケ(Evernia prunastri)、エベルニア・フルフラセア(Evernia furfuracea)、及びそれらの混合物が含まれるがこれらに限定されない。
【0054】
微粒子状材料
本発明の組成物は、顔料、不活性微粒子、又はそれらの混合物の形態の微粒子状材料を含有し得る。存在する場合、提案される範囲は、全組成物の約0.01~75重量%、好ましくは約0.5~70重量%、より好ましくは約0.1~65重量%である。組成物が顔料及び粉末の混合物を含み得る場合、好適な範囲には、全組成物の重量に対する重量で、約0.01~75%の顔料及び0.1~75%の粉末が含まれる。
【0055】
微粒子状物質は、着色又は非着色粉末であり得る。好適な非顔料着色粉末には、オキシ塩化ビスマス、マイカチタン、ヒュームドシリカ、球状シリカ、ポリメタクリル酸メチル、微粉化teflon、窒化ホウ素、アクリレートコポリマー、ケイ酸アルミニウム、オクテニルコハク酸デンプンアルミニウム、ベントナイト、ケイ酸カルシウム、セルロース、白亜、トウモロコシデンプン、ケイソウ土、フラー土、グリセリルデンプン、ヘクトライト、含水シリカ、カオリン、ケイ酸アルミニウムマグネシウム、三ケイ酸マグネシウム、マルトデキストリン、モンモリロナイト、微結晶セルロース、コメデンプン、シリカ、タルク、マイカ、二酸化チタン、ラウリン酸亜鉛、ミリスチン酸亜鉛、ロジン酸亜鉛、アルミナ、アタパルジャイト、炭酸カルシウム、ケイ酸カルシウム、デキストラン、カオリン、ナイロン、シリル化シリカ、シルク粉末、セリサイト、ダイズ粉、酸化スズ、水酸化チタン、リン酸三マグネシウム、クルミ殻粉末、又はそれらの混合物が含まれる。上述の粉末は、レシチン、アミノ酸、鉱油、シリコーン、又は様々な他の作用物質で単独で又は組み合わせて表面処理することができ、これらは、粉末表面を被覆し、粒子をより親油性の性質にする。
【0056】
好適な顔料は、有機又は無機である。有機顔料は、一般に、D&C及びFD&Cブルー、ブラウン、グリーン、オレンジ、レッド、イエロー等と呼ばれるアゾ、インジゴイド、トリフェニルメタン、アントラキノン(anthroquinone)、及びキサンチン染料を含む様々な芳香族種である。有機顔料は、一般に、レーキと称される認可された着色添加物の不溶性金属塩からなる。無機顔料には、酸化鉄、ウルトラマリン、クロム、水酸化クロム着色料、及びそれらの混合物が含まれる。赤色、青色、黄色、茶色、黒色の酸化鉄、及びそれらの混合物が好適である。
【0057】
ビタミン及び抗酸化剤
本発明の組成物は、ビタミン及び/又は補酵素、並びに抗酸化剤を含有し得る。その場合、全組成物の0.001~10重量%、好ましくは0.01~8重量%、より好ましくは0.05~5重量%が提案される。好適なビタミンには、アスコルビン酸及びその誘導体、例えばパルミチン酸アスコルビル、アスコルビン酸テトラヘキシルデシル(tetrahexydecyl)など;ビタミンB、例えばチアミン、リボフラビン、ピリドキシンなど、並びに補酵素、例えばチアミンピロリン酸(pyrophoshate)、フラビンアデニンジヌクレオチド、葉酸、リン酸ピリドキサール、テトラヒドロ葉酸などが含まれる。ビタミンA及びその誘導体もまた好適である。例は、パルミチン酸レチニル、レチノール、レチノイン酸、及びベータカロテンの形態のビタミンAである。ビタミンE及びその誘導体、例えばビタミンE酢酸エステル、ニコチン酸エステル、又はその他のエステルもまた好適である。加えて、ビタミンD及びKが好適である。
【0058】
本発明は、トリ-又はテトラペプチド、少なくとも1種のペンタ-又はヘキサペプチド、少なくとも1種のラミナリア(Laminaria)属からの抽出物、及びホエイタンパク質を含む組成物を局所適用することによって、皮膚を処置してコラーゲン合成を刺激することをさらに含む。該組成物は、スキンケアレジメンの一部として、本明細書に記述した形態で適用され得る。例えば、該組成物は、昼寝又は睡眠などの身体休息期間の前に皮膚に適用するナイトクリーム又はクリームとして皮膚に適用され得る。該組成物は、1日に2回、朝及び晩に、皮膚を洗浄した後に適用され得る。該組成物は、ファンデーション又は他の着色化粧品の形態で、スキンケア製品の上から皮膚に適用され得る。
【0059】
溶解性
典型的には、原料としてのグリコール酸レスベラトロールは固体物質であり、配合することが非常に困難である。元の原料形態で、グリコール酸レスベラトロールは硬い質感を有する岩様の固体物質であり、配合物における使用のために粉砕することが困難な場合がある。さらに、グリコール酸レスベラトロールは溶液中で凝集塊を形成することがある。したがって、レスベラトロールは可溶化又は配合することが困難であり、原料を取り扱うことも非常に困難である。
【0060】
過去に、グリコール酸レスベラトロールを油、アルコールに又は乳化剤を使用して可溶化する実験が実施されている。しかしながら、そのような溶媒はヒトの皮膚に対して強刺激性であるため化粧用途に不適切であり、したがって、そのような溶媒の化粧用途への使用は不適切と判明した。ヒトの皮膚への局所適用を意図した配合物は皮膚に優しいものでなければならない。また、そのような配合物は、凝集すること又は混濁した混合物を形成することなく混合が容易であるべきである。さらに、局所適用の場合、可溶化形態の活性成分(有効成分)を含む製品は、皮膚上で、分散した活性成分を含む製品よりも増加した利用能を示すことが多い。グリコール酸レスベラトロールの溶解性の改善は材料の配合の容易性を改善する。さらに、グリコール酸レスベラトロールが元の固体形態ではなく可溶化形態で提供された場合、予め可溶化したグリコール酸レスベラトロールをさらに加工することなく配合物に直接添加することができる。
【0061】
固体形態のレスベラトロールの取り扱いの困難性及び強刺激でなく皮膚に優しい溶媒の必要性を考慮すると、局所化粧用途に有用及び適合可能な様式でレスベラトロールを可溶化することができる溶媒を決定することが必要である。様々な実験を行ってグリコール酸レスベラトロールの溶解性を決定し、その例を下記の表1~4に示す。
【0062】
本発明は、グリコール酸レスベラトロールを水相(水性相、aqueous phase)に溶液の全割合に対して約0.01%~約30%の濃度で可溶化する方法(method or process)を提供する。本発明によるグリコール酸レスベラトロールを可溶化する方法は、グリコール酸レスベラトロールを45℃以下の温度で加熱するステップ、及びグリコール酸レスベラトロールとグリコール溶媒とを室温でプロペラミキサーにおいて約10~約120分間混合するステップを含む。好ましい実施形態では、本発明によるグリコール酸レスベラトロールを可溶化する方法は、グリコール酸レスベラトロールを45℃以下の温度で加熱するステップ、及びグリコール酸レスベラトロールとグリコール共溶媒とを室温でプロペラミキサーにおいて約10~約120分間混合するステップを含む。好ましい実施形態では、出発原料は混合の前に約40℃に加温される。可溶化の時間(すなわち、グリコール酸レスベラトロールが溶解し、溶液が澄明になる時間)の長さ及び溶液の外観は約1分~約120分の範囲である。
【0063】
驚くべきことに、本出願人らは、グリコール溶媒、特に少なくとも2種のグリコール共溶媒の組合せがグリコール酸レスベラトロールの水相への溶解性を増加させることを有効に実証した。グリコール溶媒の中で、例示的なものはブチレングリコール、ペンチレングリコール、イソプレングリコール、プロパンジオール、ブチレングリコール、フェノキシエタノール、エトキシジグリコール、ブトキシジグリコール、カプリル酸プロピレングリコール、ポリエチレングリコール(PEG)及びそれらの混合物又は組合せである。好ましい実施形態では、用いられるグリコール共溶媒はブチレングリコールである。別の好ましい実施形態では、組み合わせて用いられる共溶媒はペンチレングリコール及びブチレングリコールである。本発明による共溶媒の比は約1:1~約1:100である。好ましい実施形態では、ペンチレングリコール及びブチレングリコールは約1:5~約1:50の比で利用される。グリコール酸レスベラトロールはグリセリンに限られた溶解性を有することにも留意しなければならない。
【0064】
グリコール酸レスベラトロールを可溶化して得られたグリコール酸レスベラトロール溶液は、適切な温度で配合物/組成物中に直接添加することができ、又は他の成分(例えば、上記に列挙した植物性物質(botanical)、微粒子及び活性材料)を組み込むための副相(sub-phase)として使用することができる。例示的な組成物はクリーム、ローション、セラム、溶液、分散体などの形態であり得る局所化粧組成物を含む。組成物はエマルション、例えば油中水型又は水中油型エマルションの形態であり得る。
【0065】
さらに、グリコール酸レスベラトロールの有効性は、溶液として提供された場合又は適切な形態に配合された場合に同じままであり、悪影響を受けない。
【0066】
グリコール酸レスベラトロール溶液は4℃で約1~2年間、50℃で最大1か月間安定である。化粧用途において、50℃での安定性は最も過酷な条件であると考えられ、したがって、50℃での好ましい安定性は、当業者によれば、製品の約2又は3年の貯蔵寿命(shelf life)と一般的に言い換えられる。
【0067】
本発明を、例示の目的でのみ記載される以下の実施例に関連してさらに説明する。
【実施例】
【0068】
[実施例1]
レスベラトロールのグリコール酸エステルは、アルゴンガス流中、テトラヒドロフラン、非プロトン性溶媒の存在下、レスベラトロール(1モル濃度)をNaH(6モル濃度)と室温(25℃)で2~6時間反応させて、脱プロトン化されたレスベラトロールを形成することによって調製される。
【0069】
【0070】
次いで、グリコール酸をジヒドロピラン(1.5モル濃度)、p-トルエンスルホン酸、ピリジン、塩化ジメチルの混合物とOC~RTで3から12時間反応させて、末端ヒドロキシル基がテトラヒドロピランで保護されているグリコール酸を形成する。次いで、保護されたグリコール酸をSOCl2(5モル濃度)、ジメチルホルムアミド(触媒)及び塩化ジメチルの混合物と還流条件下で4~6時間反応させて、テトラヒドロピランで保護されたグリコール酸アシルクロリドを形成する。
【0071】
【0072】
次いで、ステップ(A)において形成された脱プロトン化されたレスベラトロールを保護されたグリコール酸アシルクロリド(B)と反応させて、中間体であるアルファヒドロキシルが保護されたグリコール酸レスベラトロールを形成し、次いで、これを弱酸(mild acid)(これな何の酸か?)と反応させることによって脱保護して、モノ-、ジ-及びトリエステル形態の混合物の形態であるグリコール酸レスベラトロールを形成する。
【0073】
【0074】
[実施例2]
グリコール酸レスベラトロールを、上記のステップ(A)と同様に、レスベラトロールを脱プロトン化することによって調製する。別個に、グリコール酸をN,N,-ジイソプロピルエチルアミン(DIEA)中で塩化トリチル(1.5モル濃度)と反応させて、ヒドロキシル基が塩化トリチルで保護されたグリコール酸を形成する。次いで、塩化トリチルで保護されたグリコール酸をSOCl2(5モル濃度)、ジメチルホルムアミド(DMF)、塩化ジメチル(DMC)と還流条件において4~6時間さらに反応させて、塩化トリチルで保護されたグリコール酸アシルクロリドを形成する。
【0075】
【0076】
次いで、1モルの(A)を3モルの(C)と混合し、トリエチルアミン、テトラヒドロフランと室温(25℃)で12~72時間反応させて、塩化トリチルで保護されたグリコール酸レスベラトロールを形成し、その後、これをトリフルオロ酢酸、1,2-エタンジオール、硫化ジメチル及び塩化ジメチルで処理して保護基を除去して、グリコール酸レスベラトロールを得る。
【0077】
【0078】
[実施例3]
グリコール酸レスベラトロールを、トリエチルアミン及びテトラヒドロフランの存在下、実施例1のステップ1(A)において得られた脱プロトン化されたレスベラトロールを市販のグリコール酸アシルクロリドと室温で12~72時間反応させて、グリコール酸レスベラトロールを形成することによって調製する。
【0079】
【0080】
[実施例4]
レスベラトロールの酒石酸エステルを、実施例1、ステップ1(A)に記載したのと同様に、レスベラトロールを脱プロトン化することによって調製する。次いで、L-酒石酸を酢酸、無水酢酸及びピリジンの混合物と室温で12~48時間反応させて、+-O-O'-ジアセチル-L-酒石酸無水物を形成する。
【0081】
【0082】
次いで、トリメチルアミン及びテトラヒドロフランの存在下、1モルのAを3モルのBと室温で12~72時間反応させて、アシル保護された酒石酸を形成し、次いで、これをK2CO3(10モル濃度)、メタノールとOC~RTで1時間反応させて、酒石酸レスベラトロールを形成する。
【0083】
「OT~RT」という用語は、摂氏0度~室温を意味する。
【0084】
【0085】
[実施例5]
グリコール酸レスベラトロール及び酒石酸レスベラトロールを含有するエマルション組成物を、以下のように作製する:
【0086】
【0087】
成分を合わせ、十分に混合して、乳化してローションとすることによって、組成物を調製する。
【0088】
[実施例6]
無水組成物を、以下のように調製する:
【0089】
【0090】
成分を合わせ、十分に混合して、セラムを形成することによって、組成物を調製する。
【0091】
[実施例7]
グリコール酸レスベラトロールの溶解性:
下記の実験を実施してグリコール酸レスベラトロールのグリコール溶媒への溶解性を決定した。本発明に記載する通り、グリコール又はグリコール共溶媒はグリコール酸レスベラトロールの溶解性を改善する。加えて、グリコール酸レスベラトロール原料又は混合物を加熱することもまた、グリコール酸レスベラトロールの溶解性を改善することができる。加熱するステップは45℃以下の温度で実施してもよい。表1中の配合物の各々は、グリコール酸レスベラトロールサンプルを約40℃に加熱し、その後、加熱したグリコール酸レスベラトロールとそれぞれのグリコール溶媒とを室温でプロペラミキサーを使用して10~120分間混合することによって調製した。可溶化する(すなわち、グリコール酸レスベラトロールが溶解し、溶液が澄明になる)時間の長さ及び溶液の外観を記録した。
【0092】
表1、配合物2に示す通り、グリコール酸レスベラトロールはグリセリンに比較的低い溶解性を有する。表2は、様々な量のグリコール酸レスベラトロールのプロパンジオールへの可溶化の例を示す。
【0093】
【0094】
表2は、様々な量のグリコール酸レスベラトロールのプロパンジオールへの可溶化の例を示す。表2中の配合物もまた、上記の通り、それぞれの量のグリコール酸レスベラトロールとプロパンジオールとを室温でプロペラミキサーを使用して10~120分間加熱及び混合することによって調製した。可溶化する(すなわち、グリコール酸レスベラトロールが溶解し、溶液が澄明になる)時間の長さ及び溶液の外観を記録した。
【0095】
【0096】
上記の表1及び表2に示す通り、プロパンジオールは室温でプロペラ混合により最大25%のグリコール酸レスベラトロールを可溶化することができる。グリコールの組合せ及び/又は加熱もまた、グリコール酸レスベラトロールの溶解性を増加させ、それにより、グリコール酸レスベラトロールの配合の容易性を改善することができる。
【0097】
表3~5は、グリコール共溶媒の組合せを使用してグリコール酸レスベラトロールを可溶化した結果を示す。サンプルを4℃において3か月間、50℃において1か月間保存し、その後、サンプルを取り出し、下記の実験的分析まで周囲条件において保存した。下記の表3は、代表的な配合物及び関連する説明を保存温度とともに示す。
【0098】
【0099】
【0100】
表4は、表3に対応する配合物中のグリコール酸レスベラトロールの可溶化を示す。さらなる実験において、1%の配合物1~4、6、8及び9を水中に導入して、水相中でグリコール酸レスベラトロールの沈殿が発生するか否かを決定した。配合物の各々の安定性を4℃及び50℃でも試験して、低温及び高温(4℃及び50℃)における結晶化、沈殿又は変色が発生するか否かを決定した。表4に見られる通り、分析の直後に目視可能な固体粒子は観察されなかった。4℃において4週間後に、沈殿は観察されず、澄明な溶液が得られた。安定性実験を下記の実施例8に記載する。
【0101】
[実施例8]
グリコール共溶媒中のグリコール酸レスベラトロールの安定性:
グリコール酸レスベラトロールのグリコール溶媒への溶解性を決定することに加えて、サンプル中のグリコール酸(モノ及びジグリコール酸)レスベラトロールの安定性及び量もまた決定した。HPLCを使用して実験を実施し、結果をLC-MSにより分析した。HPLCクロマトグラムによって得られた安定性データを
図1~9に示す。モノ及びジグリコール酸レスベラトロールについてのHPLCクロマトグラムの結果を
図10~12に示す。
【0102】
図1は、4℃でのグリコール酸レスベラトロール(1%)のHPLCクロマトグラムを示す。
図2は、4℃でのモノグリコール酸レスベラトロール(1%)のHPLCクロマトグラムを示す。
図3は、4℃でのジグリコール酸レスベラトロール(1%)のHPLCクロマトグラムを示す。
【0103】
図4は、50℃でのグリコール酸レスベラトロール(1%)のHPLCクロマトグラムを示す。
図5は、50℃でのモノグリコール酸レスベラトロール(1%)のHPLCクロマトグラムを示す。
図6は、50℃でのジグリコール酸レスベラトロール(1%)のHPLCクロマトグラムを示す。
【0104】
図7は、4℃及び50℃のそれぞれでのペンチレングリコール及びブチレングリコール中のグリコール酸レスベラトロール(1%、配合物番号1及び10%、配合物番号3のそれぞれ)のHPLCクロマトグラムを示す。
図8は、4℃及び50℃のそれぞれでのペンチレングリコール及びブチレングリコール中のモノグリコール酸レスベラトロール(1、配合物番号1及び10%、配合物番号3のそれぞれ)のHPLCクロマトグラムを示す。
図9は、4℃及び50℃のそれぞれでのペンチレングリコール及びブチレングリコール中のジグリコール酸レスベラトロール(1%、配合物番号1及び10%、配合物番号3のそれぞれ)のHPLCクロマトグラムを示す。
【0105】
図10は、4℃及び50℃でのそれぞれの配合物中に溶解したグリコール酸レスベラトロール(1%)の安定性を示す。
図11は、4℃及び50℃でのそれぞれの配合物中に溶解したモノ及びジグリコール酸レスベラトロール(10%)の安定性を示す。
図12は、4℃及び50℃でのそれぞれの配合物中に溶解したモノ及びジグリコール酸レスベラトロール(20%)の安定性を示す。
【0106】
実験結果は、ペンチレングリコール/ブチレングリコール共溶媒の組合せがプロパンジオール/ブチレングリコール又はイソプロペングリコール共溶媒と比較してより安定であることを示す。さらに、10%グリコール酸レスベラトロール及び20%グリコール酸レスベラトロール溶液(
図11~12に示す)が高温保存条件で1%グリコール酸レスベラトロール溶液と比較してより高度な分解を示すことも観察された。
【0107】
図10に示す通り、4℃で、配合物1は配合物2と比較した場合に約21%より安定であり、配合物1は配合物6よりも約23%より安定である。同様に、50℃で、配合物1は配合物6と比較した場合に約24%より安定であり、配合物1は配合物6よりも約30%より安定である。
【0108】
図11に示す通り、4℃での配合物3は50℃でよりも約55%より安定であり、4℃での配合物7は50℃でよりも約21%より安定である。
【0109】
図12に示す通り、配合物4は50℃でよりも4℃で約48%より安定である。
【0110】
[実施例9]
重量による、無水配合物としてのグリコール酸レスベラトロールを含有する組成物:
【0111】
【0112】
成分を合わせ、十分に混合して無水配合物を形成することによって組成物を調製する。グリコール酸レスベラトロール、ブチレングリコール及びペンチレングリコールの比がそれぞれの欄に示され、これらを溶液中で最初に合わせ、次いで配合物の相中に導入する。
【0113】
[実施例10]
重量による、セラム/ゲル配合物としてのグリコール酸レスベラトロールを含有する組成物:
【0114】
【0115】
成分を合わせ、十分に混合してセラム/ゲル用の配合物を形成することによって組成物を調製する。グリコール酸レスベラトロール、ブチレングリコール及びペンチレングリコールの比がそれぞれの欄に示され、これらを溶液中で最初に合わせ、次いで配合物の相中に導入する。
【0116】
[実施例11]
重量による、クリーム/ローション配合物としてのグリコール酸レスベラトロールを含有する組成物:
【0117】
【0118】
成分を合わせ、十分に混合してクリーム/ローション用の配合物を形成することによって組成物を調製する。グリコール酸レスベラトロール、ブチレングリコール及びペンチレングリコールの比がそれぞれの欄に示され、これらを溶液中で最初に合わせ、次いで配合物の相中に導入する。
【0119】
本発明を好ましい実施形態に関連して説明してきたが、本発明の範囲を記載された特定の形態に限定することは意図しておらず、反対に、添付の特許請求の範囲によって規定される本発明の趣旨及び範囲内に含まれ得る代替物、改変物、及び均等物を網羅することを意図している。
いくつかの実施形態を以下に示す。
項1
グリコール酸レスベラトロール化合物を可溶化する方法であって、
(a)グリコール酸レスベラトロール化合物を加熱するステップ、及び
(b)グリコール酸レスベラトロール化合物と少なくとも1種のグリコール溶媒とを室温で約10分~約120分間混合するステップ
を含む方法。
項2
グリコール酸レスベラトロールが、溶液の約0.1重量%~約30重量%存在する、項1に記載の方法。
項3
少なくとも1種のグリコール溶媒が、プロパンジオール、フェノキシエタノール、ブチレングリコール、ペンチレングリコール、イソプロペングリコール、カプリル酸プロピレングリコール、エトキシジグリコール、ブトキシジグリコール、グリセリン及びそれらの組合せ又は混合物からなる群から選択される、項2に記載の方法。
項4
加熱するステップが45℃以下の温度で実施される、項1に記載の方法。
項5
少なくとも1種のグリコール溶媒がブチレングリコールである、項3に記載の方法。
項6
少なくとも1種のグリコール溶媒がペンチレングリコール及びブチレングリコールの組合せである、項3に記載の方法。
項7
ペンチレングリコール及びブチレングリコールの比が約1:1~約1:50の範囲内である、項6に記載の方法。
項8
グリコール酸レスベラトロールが、次式:
【化19】
(式中、各Rは
(i)-OH又は
(ii)
【化20】
又は
(iii)
【化21】
から独立して選択され、
ここで、3つすべてのR基が同時に-OHとなることはできない)
を含む、項1に記載の方法。
項9
項1に記載の方法によって得られる製品。