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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-02-20
(45)【発行日】2025-03-03
(54)【発明の名称】エアロゾル発生装置及びその制御方法
(51)【国際特許分類】
   A24F 40/465 20200101AFI20250221BHJP
   A24F 40/20 20200101ALI20250221BHJP
   A24F 40/50 20200101ALI20250221BHJP
【FI】
A24F40/465
A24F40/20
A24F40/50
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2023534233
(86)(22)【出願日】2021-12-08
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-12-20
(86)【国際出願番号】 CN2021136481
(87)【国際公開番号】W WO2022121946
(87)【国際公開日】2022-06-16
【審査請求日】2023-08-03
(31)【優先権主張番号】202011442673.4
(32)【優先日】2020-12-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】517075997
【氏名又は名称】深▲せん▼市合元科技有限公司
【氏名又は名称原語表記】SHENZHEN FIRST UNION TECHNOLOGY CO.,LTD
【住所又は居所原語表記】Bldg C, Tangwei High-Tech Park, Fuyong Str, Baoan Dist, Shenzhen, Guangdong, China
(74)【代理人】
【識別番号】110001139
【氏名又は名称】SK弁理士法人
(74)【代理人】
【識別番号】100130328
【弁理士】
【氏名又は名称】奥野 彰彦
(74)【代理人】
【識別番号】100130672
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 寛之
(72)【発明者】
【氏名】李新軍
(72)【発明者】
【氏名】徐中立
(72)【発明者】
【氏名】李永海
【審査官】杉浦 貴之
(56)【参考文献】
【文献】特表2020-512662(JP,A)
【文献】特開2007-026906(JP,A)
【文献】国際公開第2020/182731(WO,A1)
【文献】特開2013-125066(JP,A)
【文献】特開昭58-201285(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A24F 40/465
A24F 40/20
A24F 40/50
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
エアロゾル発生製品を加熱して喫煙用エアロゾルを発生させるように構成されたエアロゾル発生装置であって、
変動磁場により貫通されて発熱して、エアロゾル発生製品を加熱するように構成されたサセプタと、
誘導コイルを有する直列LC発振器又は直列LCC発振器であって、変動電流が前記誘導コイルを流れるように導いて、前記誘導コイルを駆動して変動磁場を発生させるように構成された直列LC発振器又は直列LCC発振器と、
前記直列LC発振器又は直列LCC発振器の発振電圧変動率の2回の第1ジャンプの間隔時間に基づいて前記直列LC発振器又は直列LCC発振器の発振周波数を決定するように構成された回路であって、前記第1ジャンプは前記発振電圧変動率が所定閾値よりも小さい状態から所定閾値より大きい状態に変わることである、回路と、を含むことを特徴とする、エアロゾル発生装置。
【請求項2】
前記回路は、
前記直列LC発振器又は直列LCC発振器の発振電圧変動率を検出し、前記発振電圧変動率が所定閾値よりも大きい場合にハイレベル信号を出力するように構成された能動型微分ユニットと、
前記ハイレベル信号の間隔時間に基づいて前記直列LC発振器又は直列LCC発振器の発振周波数を決定するように構成されたコントローラと、を含むことを特徴とする、請求項1に記載のエアロゾル発生装置。
【請求項3】
前記能動型微分ユニットは能動型微分モジュール及びコンパレータを含み、
前記能動型微分モジュールは前記直列LC発振器又は直列LCC発振器の発振電圧変動率を検出するように構成され、
コンパレータは前記発振電圧変動率と所定閾値を比較演算を行い、前記発振電圧変動率が所定閾値よりも大きい場合に前記コントローラにハイレベル信号を出力するように構成されることを特徴とする、請求項2に記載のエアロゾル発生装置。
【請求項4】
前記能動型微分モジュールは第1コンデンサ、第1抵抗、第2コンデンサ、第2抵抗及びオペアンプを含み、
前記第1コンデンサは第1端が前記直列LC発振器又は直列LCC発振器に接続され、第2端が第1抵抗の第1端に接続され、
前記オペアンプは第1入力端が前記第1抵抗の第2端に接続され、出力端が前記コンパレータに接続され、
前記第2コンデンサは第1端が前記第1抵抗の第2端に接続され、第2端が前記オペアンプの出力端に接続され、
前記第2抵抗は第1端が前記第1抵抗の第2端に接続され、第2端が前記オペアンプの出力端に接続されることを特徴とする、請求項3に記載のエアロゾル発生装置。
【請求項5】
前記能動型微分ユニットは、
第1ダイオード、第3抵抗及び第4抵抗を含むアクセスモジュールであって、
前記第1ダイオードは第1端が前記直列LC発振器又は直列LCC発振器に接続され、第2端が前記第3抵抗の第1端に接続され、前記直列LC発振器又は直列LCC発振器から前記第3抵抗へのみ電流が流れ得るように構成され、
前記第3抵抗の第2端が前記能動型微分モジュールに接続され、
前記第4抵抗の第1端が前記第3抵抗の第2端に接続され、第2端が接地される前記アクセスモジュールをさらに含むことを特徴とする、請求項3に記載のエアロゾル発生装置。
【請求項6】
前記アクセスモジュールは第1端が前記第3抵抗の第2端に接続され、第2端が前記第4抵抗の第2端に接続される定電圧放電管をさらに含むことを特徴とする、請求項5に記載のエアロゾル発生装置。
【請求項7】
前記所定閾値は前記発振電圧変動率が0である時の前記能動型微分モジュールの出力値であることを特徴とする、請求項3から6のいずれか1項に記載のエアロゾル発生装置。
【請求項8】
前記コントローラは前記直列LC発振器又は直列LCC発振器の発振周波数を調整することで、前記直列LC発振器又は直列LCC発振器の発振周波数を所定周波数と同じ又はほぼ同じにするように構成されることを特徴とする、請求項2から6のいずれか1項に記載のエアロゾル発生装置。
【請求項9】
変動磁場により貫通されて発熱して、エアロゾル発生製品を加熱するように構成されたサセプタと、
誘導コイルを有する直列LC発振器又は直列LCC発振器であって、変動電流が前記誘導コイルを流れるように導いて、前記誘導コイルを駆動して変動磁場を発生させるように構成された直列LC発振器又は直列LCC発振器と、を含むエアロゾル発生装置の制御方法であって、
前記LCC発振器又は直列LC発振器の発振電圧変動率を検出するステップと、
前記発振電圧変動率が所定値よりも高い場合にハイレベル信号を生成するステップと、
前記ハイレベル信号の間隔時間に基づいて前記LCC発振器又は直列LC発振器の発振周波数を決定するステップと、を含むことを特徴とする、エアロゾル発生装置の制御方法。
【請求項10】
前記直列LC発振器又は直列LCC発振器の発振周波数を調整することで、前記直列LC発振器又は直列LCC発振器の発振周波数を所定周波数と同じ又はほぼ同じにするステップをさらに含むことを特徴とする、請求項9に記載のエアロゾル発生装置の制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は2020年12月8日に中国特許局へ出願された、出願番号202011442673.4、発明名称「エアロゾル発生装置及び制御方法」の中国特許の優先権を主張し、その全ての内容が引用によって本出願に組み込まれる。
【0002】
本出願の実施例は加熱非燃焼型低温喫煙具の技術分野に関し、特に、エアロゾル発生装置及びその制御方法に関する。
【背景技術】
【0003】
タバコ製品(例えば、紙巻タバコ、葉巻タバコ等)は使用中にタバコを燃焼させてタバコの煙を発生させるものである。タバコを燃焼させるこれらの製品の代替として、燃焼せずに化合物を放出する製品を製造する努力が試みられていた。
【0004】
そのような製品の一例は加熱装置であり、それは材料を燃焼ではなく加熱することで化合物を放出させる。例えば、該材料はタバコ又は他の非タバコ製品であり得、これらの非タバコ製品はニコチンを含有してもしなくてもよい。公知の装置では、電磁誘導によって発熱するヒータは、タバコ製品を加熱して喫煙用エアロゾルを発生させる。以上の加熱装置の1つの従来技術に係る実施例において、201580007754.2号特許には、特製シガレット製品を電磁誘導によって加熱する誘導加熱装置が提案されており、具体的には、1つの誘導コイルと1つのコンデンサを直列又は並列してLC発振を構成する方式で交流を形成し、それにより、コイルに交番磁場を発生させてサセプタを誘導して発熱させてシガレット製品を加熱する。上記した公知の加熱装置では、通常は、オペアンプを用いてLC発振の発振電圧を同期出力するか又はゼロクロスコンパレータによって発振電圧のゼロクロス時間を検出し、その後、制御チップは上記結果をサンプリングしてLC発振の周波数を算出する。実施において、LC発振の周波数は約200~400KHzと非常に高いため、制御チップは上記コンパレータ及びアンプが結果を瞬時に出力した時にサンプリングできることが求められ、コンパレータ又はアンプが瞬時に出力した結果信号を逃さないように、制御チップは数十MHz程度のサンプリング速度が必要であるので、このような方式でLC発振の周波数を追跡することは望ましくない。
【発明の概要】
【0005】
本出願の実施例は、エアロゾル発生製品を加熱して喫煙用エアロゾルを発生させるように構成されたエアロゾル発生装置であって、
変動磁場により貫通されて発熱して、エアロゾル発生製品を加熱するように構成されたサセプタと、
誘導コイルを有する直列LC発振器又は直列LCC発振器であって、変動電流が前記誘導コイルを流れるように導いて、前記誘導コイルを駆動して変動磁場を発生させるように構成された直列LC発振器又は直列LCC発振器と、
前記直列LC発振器又は直列LCC発振器の発振電圧変動率に基づいて前記直列LC発振器又は直列LCC発振器の発振周波数を決定するように構成された回路と、を含む、エアロゾル発生装置を提供する。上記したエアロゾル発生装置は、発振電圧変動率に基づいて発振周波数を決定する。
【0006】
好ましい実施形態において、前記回路は、
前記直列LC発振器又は直列LCC発振器の発振電圧変動率を検出し、前記発振電圧変動率が所定閾値よりも大きい場合にハイレベル信号を出力するように構成された能動型微分ユニットと、
前記ハイレベル信号の間隔時間に基づいて前記直列LC発振器又は直列LCC発振器の発振周波数を決定するように構成されたコントローラと、を含む。
【0007】
好ましい実施形態において、前記能動型微分ユニットは能動型微分モジュール及びコンパレータを含み、
前記能動型微分モジュールは前記直列LC発振器又は直列LCC発振器の発振電圧変動率を検出するように構成され、
コンパレータは前記発振電圧変動率と所定閾値を比較演算を行い、前記発振電圧変動率が所定閾値よりも大きい場合に前記コントローラにハイレベル信号を出力するように構成される。
【0008】
好ましい実施形態において、前記能動型微分モジュールは第1コンデンサ、第1抵抗、第2コンデンサ、第2抵抗及びオペアンプを含み、
前記第1コンデンサは第1端が前記直列LC発振器又は直列LCC発振器に接続され、第2端が第1抵抗の第1端に接続され、
前記オペアンプは第1入力端が前記第1抵抗の第2端に接続され、出力端が前記コンパレータに接続され、
前記第2コンデンサは第1端が前記第1抵抗の第2端に接続され、第2端が前記オペアンプの出力端に接続され、
前記第2抵抗は第1端が前記第1抵抗の第2端に接続され、第2端が前記オペアンプの出力端に接続される。
【0009】
好ましい実施形態において、前記能動型微分ユニットは、
第1ダイオード、第3抵抗及び第4抵抗を含むアクセスモジュールであって、
前記第1ダイオードの第1端が前記直列LC発振器又は直列LCC発振器に接続され、第2端が前記第3抵抗の第1端に接続され、前記直列LC発振器又は直列LCC発振器から前記第3抵抗へのみ電流が流れ得るように構成され、
前記第3抵抗の第2端が前記能動型微分モジュールに接続され、
前記第4抵抗の第1端が前記第3抵抗の第2端に接続され、第2端が接地される前記アクセスモジュールをさらに含む。
【0010】
好ましい実施形態において、前記アクセスモジュールは第1端が前記第3抵抗の第2端に接続され、第2端が前記第4抵抗の第2端に接続される定電圧放電管をさらに含む。
【0011】
好ましい実施形態において、前記所定閾値は前記発振電圧変動率が0である時の前記能動型微分モジュールの出力値である。
【0012】
好ましい実施形態において、前記コントローラは前記直列LC発振器又は直列LCC発振器の発振周波数を調整することで、前記直列LC発振器又は直列LCC発振器の発振周波数を所定周波数と同じ又はほぼ同じにするように構成される。
【0013】
本出願のさらなる実施例は、
変動磁場により貫通されて発熱して、エアロゾル発生製品を加熱するように構成されたサセプタと、
誘導コイルを有する直列LC発振器又は直列LCC発振器であって、変動電流が前記誘導コイルを流れるように導いて、前記誘導コイルを駆動して変動磁場を発生させるように構成された直列LC発振器又は直列LCC発振器と、を含むエアロゾル発生装置の制御方法であって、
前記LCC発振器又は直列LC発振器の発振電圧変動率を検出するステップと、
前記発振電圧変動率が所定値よりも高い場合にハイレベル信号を生成するステップと、
前記ハイレベル信号の間隔時間に基づいて前記LCC発振器又は直列LC発振器の発振周波数を決定するステップと、を含む、エアロゾル発生装置の制御方法をさらに提供する。
【0014】
好ましい実施形態において、
前記直列LC発振器又は直列LCC発振器の発振周波数を調整することで、前記直列LC発振器又は直列LCC発振器の発振周波数を所定周波数と同じ又はほぼ同じにするステップをさらに含む。
【図面の簡単な説明】
【0015】
1つ又は複数の実施例についてはそれに対応する添付図面中の図によって例示的に説明するが、これらの例示的説明は実施例を限定するものではなく、図面において同じ参照用数字符号を付けた素子は類似的な素子であることを示し、特に断らない限り、添付図面中の図は比例を制限するものではない。
図1】本出願の一実施例で提供されるエアロゾル発生装置の構造模式図である。
図2図1における回路の一実施例の構造ブロック図である。
図3図2における回路の一実施例の基本コンポーネントの模式図である。
図4図3におけるLCC発振器の一段階における順方向電流の模式図である。
図5図3におけるLCC発振器の一段階における逆方向電流の模式図である。
図6図3における直列LCC発振器の共振電流の模式図である。
図7図3における直列LCC発振器にて測定された共振電流と共振電圧変動の模式図である。
図8】能動型微分ユニットの3つの段階における信号変動の模式図である。
図9】一実施例によるエアロゾル発生装置の制御方法の模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本出願を容易に理解するために、以下において図面及び具体的な実施形態を参照しながら、本出願をより詳細に説明する。
【0017】
本出願の一実施例はエアロゾル発生装置を提案し、その構造は図1に示すように、
エアロゾル発生製品Aが取り除き可能に受け入れられるキャビティと、
交番電流下で変動磁場を発生させるための誘導コイルLと、
少なくとも一部がキャビティ内を延在するサセプタ30であって、誘導コイルLに誘導結合され、変動磁場により貫通されて発熱して、シガレットのようなエアロゾル発生製品Aを加熱し、エアロゾル発生製品Aの少なくとも1つの成分を揮発させ、喫煙用エアロゾルを形成するように構成されたサセプタ30と、
充電可能な直流電池セルであり、直流電流を出力可能である電池セル10と、
充電可能な電池セル10に適切に電気的に接続されることにより、電池セル10から出力された直流電流を、適切な周波数を有する交番電流に変換してから誘導コイルLに供給するための回路20と、を含む。
【0018】
製品の使用における設定に応じて、誘導コイルLは、図1に示すように、螺旋状に巻かれた円筒形誘導コイルを含んでもよい。螺旋状に巻かれた円筒形誘導コイルLは、約5mmから約10mmの範囲内にある半径rを有してもよく、そして、特に半径rは約7mmであってもよい。螺旋状に巻かれた円筒形誘導コイルLの長さは、約8mmから約14mmの範囲内であってもよく、誘導コイルLの巻き数は、約8ターンから15ターンの範囲内である。それに応じて、内体積は約0.15cmから約1.10cmの範囲内であり得る。
【0019】
より好ましい実施形態において、回路20から誘導コイルLに供給されている交番電流の周波数は80KHz~400KHzにあり、より具体的には、前記周波数は約200KHzから300KHzの範囲であってもよい。
【0020】
好ましい一実施例において、電池セル10により提供される直流給電電圧は、約2.5Vから約9.0Vの範囲内にあり、電池セル10により提供可能な直流電流のアンペア数は、約2.5Aから約20Aの範囲内である。
【0021】
好ましい一実施例において、サセプタ30は、ほぼピン状又はブレード状であり、これにより、エアロゾル発生製品Aへの挿入に有利である。また、サセプタ30は、約12ミリメートルの長さ、約4ミリメートルの幅及び約0.5ミリメートルの厚さを有してもよく、且つグレード430のステンレス鋼(SS430)で製造されてもよい。代替的な実施例として、サセプタ30は、約12ミリメートルの長さ、約5ミリメートルの幅及び約0.5ミリメートルの厚さを有してもよく、且つグレード430のステンレス鋼(SS430)で製造されてもよい。他の変形実施例において、サセプタ30はさらに、円筒状又は管状に構成されてもよい。使用時に、その内部空間はエアロゾル発生製品Aを受け入れるためのキャビティを形成し、そして、エアロゾル発生製品Aの外周を加熱する方式で、喫煙用エアロゾルを発生させる。これらのサセプタはさらに、グレード420のステンレス鋼(SS420)、及び鉄ニッケル含有合金材料(例えば、パーマロイ)で製造されてもよい。
【0022】
図1に示す実施例において、エアロゾル発生装置は、誘導コイルL及びサセプタ30を配置するためのホルダ40をさらに含み、当該ホルダ40の材質は、PEEK又はセラミック等のような、高温に耐える非金属材料を含んでもよい。実施において、誘導コイルLはホルダ40の外壁に巻き付けられて固定されている。また、図1に示すように、当該ホルダ40は中空の管状形状であり、その管状の中空部分の空間は、エアロゾル発生製品Aを受け入れるための上記キャビティを形成する。
【0023】
選択的な実施形態において、サセプタ30は、以上の感受性の材質で製造されるか、又はセラミック等の耐熱性の基材の外面に電気めっき、堆積等を施すことで感受性材料コーティングを形成してなる。
【0024】
以上の回路20の好ましい一実施形態における構造及び基本コンポーネントは、図2から図3に示すように、次のLCC発振器24、ハーフブリッジ23、及びハーフブリッジドライバ22を含んでもよい。
LCC発振器24は、以上の誘導コイルL、第1コンデンサC1及び第2コンデンサC2からなる。LCC発振器24は、発振の過程において誘導コイルLを流れる交番電流を形成することで、誘導コイルLに交番磁場を発生させてサセプタ30を誘導して発熱させるために用いられる。
ハーフブリッジ23は、トランジスタスイッチからなるハーフブリッジ回路であり、交互にオン・オフ切り替わることでLCC発振器24を発振させるためのスイッチトランジスタQ1とスイッチトランジスタQ2を含む。
ハーフブリッジドライバ22は、MCUコントローラ21の制御信号に基づいてハーフブリッジ23のスイッチトランジスタQ1とスイッチトランジスタQ2が交互にオン・オフするように制御するために用いられる。
【0025】
以上の実施例におけるLCC発振器24の完全な接続方式及び詳細な発振過程は図3に示され、具体的には、
接続について、第1コンデンサC1は第1端が電池セル10の正極に接続され、第2端が第2コンデンサC2の第1端に接続される。第2コンデンサC2は第2端が抵抗R1を介して接地される。
ハーフブリッジ23のスイッチトランジスタQ1は第1端が電池セル10の正極に接続され、第2端がスイッチトランジスタQ2の第1端に接続され、スイッチトランジスタQ2は第2端が抵抗R1を介して接地される。当然ながら、スイッチトランジスタQ1及びスイッチトランジスタQ2の被制御端はいずれもハーフブリッジドライバ22に接続され、ハーフブリッジドライバ22の駆動によってオン・オフされる。
誘導コイルLは第1端がスイッチトランジスタQ1の第2端に接続され、第2端が第1コンデンサC1の第2端に接続される。また、LCC発振器24のハードウェアの選択について、第1コンデンサC1及び第2コンデンサC2の最大電圧値が電池セル10の出力電圧値を大きく上回っているものとする。例えば、通常の実施において、使用される電池セル10の出力電圧はほとんど約4Vであるが、使用される第1コンデンサC1及び第2コンデンサC2の最大電圧は30~80Vである。
【0026】
上記構造のLCC発振器24では、スイッチトランジスタQ1とスイッチトランジスタQ2の切替状態において、第1コンデンサC1及び第2コンデンサC2と誘導コイルLとの接続状態が変化している。具体的には、図3において、スイッチトランジスタQ1がオンになって、スイッチトランジスタQ2がオフになると、第1コンデンサC1と誘導コイルLは閉じた直列LC回路を共同で形成するが、第2コンデンサC2と誘導コイルLは両端がそれぞれ電池セル10の正負極に接続された直列LC回路を形成する。一方、スイッチトランジスタQ1がオフになって、スイッチトランジスタQ2がオンになると、構成された回路は上記状態とは逆であり、第1コンデンサC1と誘導コイルLは両端がそれぞれ電池セル10の正負極に接続された直列LC回路を形成するが、第2コンデンサC2と誘導コイルLは閉じた直列LC回路を共同で形成する。それぞれの異なる状態において、第1コンデンサC1及び第2コンデンサC2はいずれも誘導コイルLとそれぞれのLC回路を形成することができる。しかし、それぞれのLC回路の発振過程において、発生された誘導コイルLを流れる電流の方向及び周期は同じであり、誘導コイルLを流れる交番電流を共同で形成する。
【0027】
具体的には、上記LCC発振器24を有する発振過程の制御ステップは、一般的な直列又は並列のLC発振器とは異なる。さらに、本出願の好ましい実施形態において、スイッチトランジスタQ1とスイッチトランジスタQ2の切替動作によってLCC発振器24の完全な発振過程を説明し、以下を含む。
【0028】
S10では、スイッチトランジスタQ1をオンにし、スイッチトランジスタQ2をオフ状態に維持し、この状態でLCC発振器24は具体的に次の2つの過程を完了する。
【0029】
S11では、図4に示すように、スイッチトランジスタQ1がオンになって、スイッチトランジスタQ2がオフになると、電池セル10は電流i1によって第2コンデンサC2を充電するとともに、第1コンデンサC1は電流i2によって放電し、当該過程において図4に示す誘導コイルLを左から右へ流れる電流が形成され、正方向の電流とすることができる。この段階S11では、第1コンデンサC1は、スイッチトランジスタQ1がオンになった時から放電を開始し、両端の電圧差が0になるまで放電を完了し、そして第2コンデンサC2は、両端の電圧が電池セル10の出力電圧と等しくなるまで増加した時に、充電を停止し、この時、誘導コイルLの電流は共振ピークが最大になる。
【0030】
S12では、段階S11が完了した後もスイッチトランジスタQ1がオンになり、スイッチトランジスタQ2がオフになった状態を維持し続け、誘導コイルLは図1における電流i2と同じ方向で放電して第1コンデンサC1を充電し、それにより、誘導コイルLを正方向に流れる電流は、誘導コイルLの放電によって電流が0になるまで、徐々に小さくなる。この段階では、段階S11において第1コンデンサC1は完全に放電したため、誘導コイルLと、スイッチトランジスタQ1を介して第1コンデンサC1と形成される回路とはインピーダンスがほとんどなく、従って、この段階S12では、誘導コイルLは主に放電して第1コンデンサC1を充電し、放電過程において誘導コイルLを流れる電流は段階S11における電流i2と同じである。第2コンデンサC2は段階S11において実質的に電池セル10と同じ出力電圧に充電されており、この段階S12では、誘導コイルLは第2コンデンサC2に対してごく僅かに補償するが、基本的には無視される程度のものである。
【0031】
段階S11及び段階S12からなる完全な過程において、誘導コイルLを流れる総電流は、0から最大まで正方向に増加してから、誘導コイルLの放電によって0まで徐々に低下し、誘導コイルLを流れる電流の方向は常に左から右への正方向である。
【0032】
S20では、ステップS10が完了した後、スイッチトランジスタQ1をオフにし、スイッチトランジスタQ2をオンにする。具体的には、次の2段階の過程を完了する。
【0033】
S21では、スイッチトランジスタQ2がオンになった時から、LCC発振器24内に図5に示す電流i3及び電流i4の回路が形成される。図5に示す電流経路によれば、電流i3は電池セル10の正極から順に第1コンデンサC1、誘導コイルL、スイッチトランジスタQ2を経てから接地によって電池セル10の負極に戻って回路を形成する。また、電流i4は、第2コンデンサC2の正端から図に示す反時計回り方向に順に誘導コイルL、スイッチトランジスタQ2を経てから第2コンデンサC2の負端に戻って回路を形成する。当該過程において、図5に示す誘導コイルLを右から左へ流れる電流が形成され、図4における電流方向とは逆であり、負方向の電流とすることができる。
【0034】
段階S21は第1コンデンサC1の充電、及び第2コンデンサC2の放電の両方をも含む。第1コンデンサC1の電圧が電池セル10の出力電圧と等しくなるまで増大した場合、及び第2コンデンサC2両端の電圧差が0になった場合に、誘導コイルLの電流は共振ピークが最大になる。
【0035】
S22では、段階S21が完了した後もスイッチトランジスタQ2のオンを維持し続け、誘導コイルLは第2コンデンサC2を逆方向に充電し、それにより、誘導コイルLを負方向に流れる電流は、誘導コイルLの放電によって電流が0になるまで、徐々に小さくなる。
【0036】
当該ステップS20の段階S21及び段階S22からなる完全な過程において、誘導コイルLを流れる総電流は同様に、0から最大まで逆方向に増加してから、誘導コイルLの放電によって0まで徐々に低下する。
【0037】
従って、上記したLCC発振器24の発振過程において、誘導コイルLを流れる電流の変動は、図6に示すように、1つの完全な電流周期は、図6において以上の段階S11/S12/S21/S22にそれぞれ対応する4つの部分を含む。以上のステップS10及びステップ20では、スイッチトランジスタQ1とスイッチトランジスタQ2のオン・オフ状態を交互に循環的に切り替え、これにより、LCC発振器24内に以上の段階S11/S12/S21/S22の発振過程を循環的に発生させて、誘導コイルLを流れる交番電流を形成することができる。
【0038】
従って、以上の制御過程から分かるように、本出願のLCC発振器24は、従来のLC発振器のZVS(ゼロ電圧スイッチング)インバータトポロジーと異なるZCS(ゼロ電流スイッチング)インバータトポロジーによって逆変換が発生する。そして、スイッチトランジスタQ1及びスイッチトランジスタQ2は、誘導コイルLを流れる電流が0である時にオン/オフの切替が行われるように構成される。
【0039】
図3に示す好ましい実施形態において、第1コンデンサC1及び第2コンデンサC2の数はいずれも1つである。他の選択的な実施形態において、第1コンデンサC1又は第2コンデンサC2のそれぞれは、互いに並列に接続された2つや3つの相対容量値がより小さいコンデンサからなるものであってもよい。例えば、第1コンデンサC1について、本来必要とされる相対的に大きなコンデンサの代わりに複数の小さなコンデンサを使用する場合、それらの容量は同じ又はほぼ同じであるため、それぞれはLCC発振器24の発振周波数の変化に伴って、単一コンデンサの場合に比べて大幅に低下した、変化しているESR(等価抵抗値)を示すことができ、具体的には、低周波数の場合にESRは相対的に高く、高周波数の場合にESRは相対的に低く、スパイクパルスの防止に有利であり得る。また、本来必要とされる相対的に大きなコンデンサの代わりに複数の小さなコンデンサを使用すると、LCC発振器24の共振周波数の低下に有利である。
【0040】
上記LCC発振器24を用いた回路20は、実施においてZCS技術によって逆変換を形成し、従来の単一コンデンサによるLC直列/並列発振に比べてほぼ半分の共振周波数を有する。通常、LC直列/並列発振の周波数が約380Hzである場合、上記LCC発振器24の発振周波数は約190KHzであり、同期検出及びMCUコントローラ21の制御の両方にも有利である。
【0041】
また、以上の発振過程において、検出によって得られたLCC発振器24の共振電圧及び電流の変動は図7に示され、共振電圧は共振電流よりも約周期の1/4進んでおり、LCC発振器24全体は弱い誘導性を示している。「容量性」、「誘導性」は電子デバイスの直並列回路(例えば、LC発振器又は上記LCC発振器24)に関する電気用語である。直並列回路の容量性リアクタンスが誘導性リアクタンスよりも大きい場合、回路は「容量性」であり、誘導性リアクタンスが容量性リアクタンスよりも大きい場合、回路は誘導性である。「弱い誘導性」の状態は、誘導性リアクタンスと容量性リアクタンスとが実質的に近く、且つ誘導性リアクタンスが容量性リアクタンスよりもはるかに大きいのではなく僅かに大きい状態である。
【0042】
さらに、図3に示す実施例を参照すると、ハーフブリッジドライバ22が採用するのは、一般的な型番FD2204のスイッチトランジスタドライバであり、MCUコントローラ21によってPWM方式で制御され、PWMのパルス幅に応じてそれぞれ第3と第10のI/Oポートによってハイレベル/ローレベルを交互に出し、スイッチトランジスタQ1、スイッチトランジスタQ2のオン時間を駆動して、LCC発振器24の発振を制御する。
【0043】
以上の詳細な制御ステップから分かるように、LCC逆変換の過程は対称的なものであり、これに応じてMCUコントローラ21はデューティサイクル50%のPWM制御信号をハーフブリッジドライバ22に送信すれば、ハーフブリッジ23がこの方式で切り替わるように駆動することができる。
【0044】
さらに図2を参照すると、上記LCC発振器24の発振周波数を正確に検出するために、回路20は能動型微分ユニット25をさらに含み、当該能動型微分ユニット25による検出プロセスは、
発振電圧が徐々に最大になると共に、電流が0になるという特徴に基づいて、まずLCC発振器24の発振電圧変動率を検出し/導関数を求めるステップと、
電圧の変動率又は導関数を所定閾値と比較し、所定閾値よりも大きい場合にパルス状の割り込み信号をMCUコントローラ21に出力するステップと、
MCUコントローラ21によって、受信された割り込み信号の時間間隔に基づいてLCC発振器24の発振周波数を取得するステップと、を含む。
【0045】
具体的には、上記プロセスは図3に示す能動型微分ユニット25の3つのサブモジュールによって実施され、具体的には、信号アクセスモジュール、能動型微分モジュール、及び比較出力モジュールを含む。
【0046】
信号アクセスモジュールは、ダイオードD1、抵抗R2、抵抗R3、及び定電圧放電管Zからなる。ダイオードD1はLCC発振器24の正の半波形電圧の印加が可能であるが、負の半波形電圧がフィルタリングによって除去され、その後、抵抗R2と抵抗R3は電圧を分割する。Zは定電圧放電管であり、入力電圧が過大となるのを防止し、後段回路を保護するものである。
【0047】
能動型微分モジュールは、図3では標準的な基本デバイスを備えた一般的な能動型微分回路を使用し、オペアンプU1、コンデンサC3、抵抗R4、抵抗R5、抵抗R6、コンデンサC4及び抵抗R7からなる。オペアンプU1、コンデンサC3、抵抗R4は能動型微分モジュールを構成する必須な基本構成要素である。抵抗R4と抵抗R7との比率は1であり、出力のスパイクを回避し、回路に最も平坦な振幅周波数応答を持たせてQ値を低下させるためのものである。コンデンサC4は電圧の安定化を目的とし、オペアンプの自励発振を回避するものである。
【0048】
【0049】
比較出力モジュールは、図3では主にコンパレータU2である。能動型微分モジュールから出力されたVoutが所定閾値よりも大きい場合にハイレベルを出力する。
【0050】
当業者が理解しやすくするために、図8は一実施例において測定された能動型微分ユニット25の3つの段階における信号変動の模式図を示し、図において、
信号1は信号アクセスモジュールの抵抗R2と抵抗R3の間の部位における電圧信号のグラフであり、
信号2は能動型微分モジュールのオペアンプU1から出力される電圧信号Voutのグラフであり、
信号3はコンパレータU2から比較出力されるパルス状の方形波のグラフである。
【0051】
説明すべきこととして、上記した出力される電圧信号Voutの計算式によれば、図8の信号2は信号1と負の相関があり、つまり、信号1が上がっていると、信号2の出力は負であり、信号1がピークに達すると、信号2は0であり、信号1がピークから下り始めると、信号2の出力は正であるが、能動型微分モジュールが負の信号を出力することができないため、信号2の出力が常に正であるように演算の結果に基準値が加算される。コンパレータU2は当該基準値を比較の基準とし、信号2が当該基準値を超え始めた後に増大し続けると、信号1がピークから下り始める過程にあることを表し、下がり終った後にローレベルを出力する。以上より、式は信号1がピークになった時、即ち、電圧変動率が0になった時に出力される信号値をコンパレータU2の基準入力端の基準値とし、つまり、R6*2.5/(R5+R6)である。
【0052】
以上より、実施においてMCUコントローラ21はLCC発振器24の発振周波数を取得するために、能動的に高周波でサンプリングする必要がなく、信号3のパルス状の方形波を割り込み信号としてMCUコントローラ21に送信し、MCUコントローラ21は当該信号を受信した後に隣接する方形波同士の間隔時間(即ち、周期)を計算して周波数を取得するだけでよい。ここで、電気用語「割り込み信号」とはチップやシングルチップマイコン類似デバイスの1つの制御方法であり、具体的には、CPU又は受信プロセスが当該「割り込み信号」を受信する時に、他のプロセス又はタスクを一時的に停止し、適切なタイミングで「割り込み信号」に対応する機能又はプロセスを完了した後に、元のプロセス又はタスクに戻るものを意味する。
【0053】
以上によって、能動型微分モジュール25はLCC発振器24の電圧変動率又は導関数を検出し、比較演算して同じ周波数を有する方形波を生成し、当該方形波を割り込み信号としてMCUコントローラ21に送信するため、MCUコントローラ21は当該信号を受信した後に隣接する方形波同士の間隔時間(即ち、周期)を計算して周波数を取得する。
【0054】
さらなる変形実施例において、上記LCC発振器24は同じ対称共振の直列LC発振器に置き換えるか又はそれを同等に使用してもよく、それらの共振過程はいずれも50%のデューティサイクルで行われ、対称正弦又は余弦の変動電圧又は電流が出力され、また、それらのスイッチング切替はゼロ電流トポロジー技術で行われる。能動型微分ユニット25を用いて直列LC発振器の周波数を追跡して、制御及び調整を容易にすることができる。
【0055】
本出願のさらなる実施例はエアロゾル発生装置の制御方法をさらに提供し、ここでエアロゾル発生装置は上記LCC発振器24又は類似した直列LC発振器によってサセプタ30を駆動して加熱させるものである。方法のステップは図9に示すように、次のステップS200~ステップS400を含む。
ステップS100で、LCC発振器24又は直列LC発振器の発振電圧変動率を検出する。
ステップS200で、発振電圧変動率を所定値と比較し、所定値よりも高い場合にハイレベル信号を生成する。
ステップS300で、ハイレベル信号の間隔時間を検出することでLCC発振器24又は直列LC発振器の発振周波数を計算して検出する。
ステップS400で、さらに、MCUコントローラ21によってLCC発振器24又は直列LC発振器の発振周波数をさらに調整することで、所定周波数と同じ又はほぼ同じにすることができる。
【0056】
周波数を追跡検出してリアルタイムに調整することで、発振周波数を所定周波数と同じ又はほぼ同じにし、これにより、効率を最大限向上させる。
【0057】
説明すべきことは、本出願の明細書及び図面には本出願の好ましい実施例が示されたが、本出願は本明細書に説明した実施例に限定されず、さらに、当業者であれば、上記説明に基づいて改良や変換を加えることができ、これらの改良や変換は全て本出願の添付する特許請求の範囲の保護範囲に属するものとする点である。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9