IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ グーグル インコーポレイテッドの特許一覧

特許7638402液体冷却のためのモジュール式液体冷却アーキテクチャ
<>
  • 特許-液体冷却のためのモジュール式液体冷却アーキテクチャ 図1
  • 特許-液体冷却のためのモジュール式液体冷却アーキテクチャ 図2
  • 特許-液体冷却のためのモジュール式液体冷却アーキテクチャ 図3
  • 特許-液体冷却のためのモジュール式液体冷却アーキテクチャ 図4
  • 特許-液体冷却のためのモジュール式液体冷却アーキテクチャ 図5
  • 特許-液体冷却のためのモジュール式液体冷却アーキテクチャ 図6
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-02-20
(45)【発行日】2025-03-03
(54)【発明の名称】液体冷却のためのモジュール式液体冷却アーキテクチャ
(51)【国際特許分類】
   G06F 1/20 20060101AFI20250221BHJP
【FI】
G06F1/20 C
G06F1/20 A
G06F1/20 B
【請求項の数】 19
(21)【出願番号】P 2023571625
(86)(22)【出願日】2022-11-17
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2024-05-21
(86)【国際出願番号】 US2022050249
(87)【国際公開番号】W WO2023091571
(87)【国際公開日】2023-05-25
【審査請求日】2023-11-17
(31)【優先権主張番号】17/532,031
(32)【優先日】2021-11-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】502208397
【氏名又は名称】グーグル エルエルシー
【氏名又は名称原語表記】Google LLC
【住所又は居所原語表記】1600 Amphitheatre Parkway 94043 Mountain View, CA U.S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】チウ,ジェリー
(72)【発明者】
【氏名】イエンガー,マドゥスダン・ケイ
【審査官】漆原 孝治
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-060884(JP,A)
【文献】特表2016-509278(JP,A)
【文献】国際公開第2020/061305(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 1/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンピュータハードウェアのための格納および冷却システムであって、
対流空気冷却システムおよびインフラストラクチャモジュールによって格納されたコンピュータ機器を冷却するための液体を搬送するための1つまたは複数の導管によって接続された金属板の装置のうちのいずれかまたは両方を具備している、コンピュータハードウェアを格納し、かつプログラマブル論理制御装置(「PLC」)を格納するように構成されたインフラストラクチャモジュールと、
前記PLCによって管理されかつ前記インフラストラクチャモジュールの外側に配置されている浸漬冷却システムを含むペイロードモジュールと、を含み、
前記インフラストラクチャモジュールは、インフラストラクチャバスバーを含み、前記ペイロードモジュールは、前記インフラストラクチャバスバーに電気的に接続されたペイロードバスバーを含む、格納および冷却システム。
【請求項2】
前記インフラストラクチャモジュールは、第1の電力消費レベルを有するコンピューティングハードウェアの1つまたは複数のラックを含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記ペイロードモジュールは、第2の電力消費レベルを有するコンピューティングハードウェアを含み、前記第2の電力消費レベルは前記第1の電力消費レベルよりも高い、請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
前記ペイロードモジュールは、1つのEIA-310標準サーバラックまたは2つまたは3つの隣接するEIA-310標準サーバラックの寸法を有する、請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記対流空気冷却システムは、液体-空気熱交換器を含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
コンピュータハードウェアのための格納および冷却システムであって、
対流空気冷却システムおよびインフラストラクチャモジュールによって格納されたコンピュータ機器を冷却するための液体を搬送するための1つまたは複数の導管によって接続された金属板の装置のうちのいずれかまたは両方を具備している、コンピュータハードウェアを格納し、かつプログラマブル論理制御装置(「PLC」)を格納するように構成されたインフラストラクチャモジュールと、
前記PLCによって管理されかつ前記インフラストラクチャモジュールの外側に配置されている浸漬冷却システムを含むペイロードモジュールと、を含み、
前記対流空気冷却システムは、液体-空気熱交換器を含み、
前記インフラストラクチャモジュールの前記熱交換器または導管は、前記ペイロードモジュールのコンデンサに流体接続されている、格納および冷却システム。
【請求項7】
前記格納および冷却システムを通る冷却流体の流路は、前記コンデンサに到達する前に前記インフラストラクチャモジュールの冷却装置を通過している、請求項6に記載のシステム。
【請求項8】
前記ペイロードモジュールは、第1のペイロードモジュールであり、前記システムは、浸漬冷却システムを含む第2のペイロードモジュールを含み、前記第1のペイロードモジュールおよび前記第2のペイロードモジュールの前記浸漬冷却システムは、前記インフラストラクチャモジュール内に格納された中央流体マネジメントシステムを介して前記PLCによって管理されている、請求項1から7のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項9】
コンピュータハードウェアのための格納および冷却システムであって、
対流空気冷却システムおよびインフラストラクチャモジュールによって格納されたコンピュータ機器を冷却するための液体を搬送するための1つまたは複数の導管によって接続された金属板の装置のうちのいずれかまたは両方を具備している、コンピュータハードウェアを格納し、かつプログラマブル論理制御装置(「PLC」)を格納するように構成されたインフラストラクチャモジュールと、
前記PLCによって管理されかつ前記インフラストラクチャモジュールの外側に配置されている浸漬冷却システムを含むペイロードモジュールと、を含み、
前記インフラストラクチャモジュールおよび前記ペイロードモジュールは各々、それぞれのバスバーを含み、前記ペイロードモジュールの前記バスバーは、前記インフラストラクチャモジュールの前記バスバーに接続されており、前記インフラストラクチャモジュールの前記バスバーには、外部電源から電力を受け取るためのコネクタが設けられている、格納および冷却システム。
【請求項10】
コンピュータハードウェアのための格納および冷却システムであって、
対流空気冷却システムおよびインフラストラクチャモジュールによって格納されたコンピュータ機器を冷却するための液体を搬送するための1つまたは複数の導管によって接続された金属板の装置のうちのいずれかまたは両方を具備している、コンピュータハードウェアを格納し、かつプログラマブル論理制御装置(「PLC」)を格納するように構成されたインフラストラクチャモジュールと、
前記PLCによって管理されかつ前記インフラストラクチャモジュールの外側に配置されている浸漬冷却システムを含むペイロードモジュールと、を含み、
前記ペイロードモジュールは、第1のペイロードモジュールであり、前記第1のペイロードモジュールの前記浸漬冷却システムは、第1のコンデンサを含み、前記システムは、第2のペイロードモジュールを含み、前記第2のペイロードモジュールは、前記PLCによって管理される浸漬冷却システムを含みかつ第2のコンデンサを含み、前記第1のコンデンサおよび前記第2のコンデンサは、冷却流体の流路に沿って直列に接続されている、格納および冷却システム。
【請求項11】
前記システムは、さらに、
前記インフラストラクチャモジュールおよび前記ペイロードモジュールを通じて冷却液を循環させる分配システムと、
前記分配システムが通過する乾式冷却器と、を含み、前記乾式冷却器は、前記冷却液からの熱を周囲空気と交換するように構成されている、請求項1から7のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項12】
前記インフラストラクチャモジュールおよび前記ペイロードモジュールは、前記分配システムに直列に接続されている、請求項11に記載のシステム。
【請求項13】
コンピュータハードウェアを格納および冷却する方法であって、
(「PLC」)も格納するインフラストラクチャモジュールに第1のコンピュータハードウェアを格納するステップと、
ペイロードモジュールによって格納された二相浸漬冷却システム内の蒸発可能な液体に第2のコンピュータハードウェアを浸漬するステップと、を含み、前記ペイロードモジュールは、前記インフラストラクチャモジュールの外側に配置されており、前記浸漬冷却システムは、前記PLCによって管理され、
前記インフラストラクチャモジュールは、インフラストラクチャバスバーを含み、前記ペイロードモジュールは、前記インフラストラクチャバスバーに電気的に接続されたペイロードバスバーを含む、コンピュータハードウェアを格納および冷却する方法。
【請求項14】
前記方法は、前記インフラストラクチャモジュールによって含まれる冷却装置によって前記第1のコンピュータハードウェアを冷却するステップを含み、前記インフラストラクチャモジュールの前記冷却装置は、液体-空気熱交換器および液体を搬送するための1つまたは複数の導管によって接続された金属板の装置のうちの少なくとも一方を含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記方法は、前記インフラストラクチャモジュールの前記冷却装置および前記二相浸漬冷却システムのコンデンサを並列に液体供給部に接続するステップを含む、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記方法は、前記インフラストラクチャモジュールの前記冷却装置およびコンデンサを直列に液体供給部に接続するステップを含む、請求項14に記載の方法。
【請求項17】
前記方法は、液体が前記液体供給部によって前記インフラストラクチャモジュールの前記冷却装置へ供給されかつ前記コンデンサから前記液体供給部へ戻されるように、前記インフラストラクチャモジュールの前記冷却装置および前記コンデンサを前記液体供給部に接続するステップを含む、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記方法は、前記インフラストラクチャモジュールを通じて前記ペイロードモジュールおよび前記第2のコンピュータハードウェアに電力を供給するステップを含む、請求項13から17のいずれか1項に記載の方法。
【請求項19】
前記ペイロードモジュールは、第1のペイロードモジュールであり、前記方法は、二相浸漬冷却システムを含む第2のペイロードモジュールによって格納されたタンク内の蒸発可能な液体に第3のコンピュータハードウェアを浸漬するステップを含み、前記第2のペイロードモジュールの前記二相浸漬冷却システムは、前記PLCによって管理されている、請求項13から17のいずれか1項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
関連出願の相互参照
本願は、その開示が参照により本明細書に組み込まれる、2021年11月22日に出願された米国特許出願第17/532,031号の継続出願である。
【0002】
背景
コンピュータハードウェアは、動作中に熱を発生し、冷却されるとより良く動作しかつより低い率で故障する傾向がある。この理由から、コンピュータハードウェアのための冷却システムが開発されてきた。様々な冷却システムを個々のデータセンタにおいて見ることができ、データセンタは、しばしば、異なる冷却需要を有する複数のタイプのコンピュータハードウェアを格納している。ハードウェアのための個々のサーバラックまたはその他のキャビネット式ハウジングは、液体-空気熱交換器などの対流式空気冷却システム、またはコールドプレートシステムを有してもよく、このコールドプレートシステムでは、液体導管がその中を通って延びている伝導エレメントが、冷却される構成要素と接触して配置されている。センタの他の場所では、浸漬式冷却システムが、蒸発可能な液体にコンピュータハードウェアが浸漬させられていてもよいタンクと、タンクの上方に位置付けられたコンデンサとを含んでもよい。これらのソリューションは、センタにおける異なる位置に分散させられたハードウェアにアクセスする際に伴う追加的な労力のために、完全に異なる冷却需要を有するハードウェアのためにデータセンタを使用する顧客にとって不便である可能性がある。異なる冷却需要を有するハードウェア間で直接通信が望まれる場合、さらなる問題が生じる可能性がある。例えば、比較的小さい熱を生じる構成要素は、構成要素間の直接通信が不要である場合に浸漬冷却されなければならない構成要素と一緒にタンク内に配置される場合があり、不要な出費およびタンクの混雑を生じる。幾つかの構成要素はいかなる場合にも浸漬冷却することができないので、このような構成要素を浸漬冷却される構成要素と通信して配置することは著しい困難を伴う可能性がある。
【発明の概要】
【0003】
簡単な概要
本開示の態様は、液体-空気交換器またはコールドプレート装置などの、より低い冷却能力のモジュールと協働する浸漬およびコンデンサ冷却モジュールを実現することができるモジュール式液体冷却システムに関する。ラックは、より優れた柔軟性および利用のために、1つまたは複数のインフラストラクチャモジュールおよび1つまたは複数のペイロードモジュールに分解することができる。低電力空冷式情報技術(「IT」)またはその他のコンピューティング機器を含むインフラストラクチャモジュールは、熱が局所的に設備水へ伝達される低インピーダンスリアドア型熱交換器またはコールドプレートに依存していてもよい。高電力ITまたはその他のコンピューティング機器を含むペイロードモジュールは、熱を即座に設備水へ伝達するために二相浸漬冷却に依存していてもよい。
【0004】
インフラストラクチャモジュールは、各モジュールの冷却機能を管理するプログラマブル論理制御装置(「PLC」)を格納していてもよい。これにより、PLCは、インフラストラクチャモジュールの熱交換器および各ペイロードモジュールの浸漬冷却システムの態様を管理してもよい。ペイロードモジュールおよびペイロードモジュールによって格納されたコンピューティング機器の幾つかまたは全ての機能のための電力は、インフラストラクチャモジュールを通じて伝送されてもよい。冷却流体は、直列または並列に全てのモジュールへ供給されるか、またはまずインフラストラクチャモジュールへ、次いで並列に各ペイロードモジュールへ供給されてもよい。
【0005】
別の態様において、コンピュータハードウェアのためのハウジングおよび冷却システムは、コンピュータハードウェアを格納するために構成されたインフラストラクチャモジュールを含んでもよい。インフラストラクチャモジュールは、対流空気冷却システム、およびインフラストラクチャモジュールによって格納されたコンピュータ機器を冷却するための液体を搬送するための1つまたは複数の導管によって接続された金属板の装置のうちのいずれかまたは両方を具備していてもよい。インフラストラクチャモジュールは、PLCを格納していてもよい。システムは、PLCによって管理されかつインフラストラクチャモジュールの外側に配置された浸漬冷却システムを含むペイロードモジュールも含んでもよい。ペイロードモジュールの浸漬冷却システムの管理は、浸漬冷却システムのメンテナンスおよび動作を単純化することができる。浸漬冷却システムへのアクセスは、蒸気の逃げ出しを防止するためにこのようなシステムは通常は閉鎖されているため、困難であり浸漬冷却システムにおけるハードウェアの動作および冷却にとって支障となる可能性がある。したがって、そのハウジングが単純なサーバキャビネットまたは類似のものであってもよいインフラストラクチャモジュールにおけるPLCにアクセスすることは、比較的容易である場合がある。
【0006】
前記のいずれかによる別のアレンジメントにおいて、インフラストラクチャモジュールは、第1の電力消費レベルを有するコンピューティングハードウェアの1つまたは複数のラックを含んでもよい。
【0007】
前記のいずれかによる別のアレンジメントにおいて、ペイロードモジュールは、第2の電力消費レベルを有するコンピューティングハードウェアを含んでもよく、第2の電力消費レベルは第1の電力消費レベルよりも大きい。
【0008】
前記のいずれかによる別のアレンジメントにおいて、ペイロードモジュールは、1つのEIA-310標準サーバラックまたは2つもしくは3つの隣接するEIA-310標準サーバラックの寸法を有してもよい。
【0009】
前記のいずれかによる別のアレンジメントにおいて、対流空気冷却システムは、液体-空気熱交換器を含む。
【0010】
前記のいずれかによる別のアレンジメントにおいて、熱交換器またはインフラストラクチャモジュールの導管は、ペイロードモジュールのコンデンサに流体接続されていてもよい。
【0011】
前記のいずれかによる別のアレンジメントにおいて、ハウジングおよび冷却システムを通る冷却流体の流路は、コンデンサに到達する前にインフラストラクチャモジュールの冷却装置を通過していてもよい。
【0012】
前記のいずれかによる別のアレンジメントにおいて、ペイロードモジュールは第1のペイロードモジュールであってもよく、浸漬冷却システムを含む第2のペイロードモジュールを備え、第1および第2のペイロードモジュールの浸漬冷却システムは、インフラストラクチャモジュール内に格納された中央流体マネジメントシステムを通じてPLCによって管理される。
【0013】
前記のいずれかによる別のアレンジメントにおいて、インフラストラクチャモジュールは、インフラストラクチャバスバーを含んでもよく、ペイロードモジュールは、インフラストラクチャバスバーに電気的に接続されたペイロードバスバーを含む。
【0014】
前記のいずれかによる別のアレンジメントにおいて、インフラストラクチャモジュールおよびペイロードモジュールは各々、それぞれのバスバーを含んでもよく、ペイロードモジュールのバスバーは、インフラストラクチャモジュールのバスバーに接続されており、インフラストラクチャモジュールのバスバーには、外部電源から電力を受け取るためのコネクタが設けられている。
【0015】
前記のいずれかによる別のアレンジメントにおいて、ペイロードモジュールは、第1のペイロードモジュールであってもよい。第1のペイロードモジュールの浸漬冷却システムは、第1のコンデンサを含んでもよい。ハウジングおよび冷却システムは、第2のペイロードモジュールも含んでもよく、第2のペイロードモジュールは、PLCによって管理されかつ第2のコンデンサを含む浸漬冷却システムを含んでもよい。第1のコンデンサおよび第2のコンデンサは、冷却流体の流路に沿って直列に接続されていてもよい。例えば、冷却剤供給部から冷却剤戻り部への流路は、代わりに、直列に、まずインフラストラクチャモジュールを通り、次いで、第2のペイロードモジュール内のコンデンサシステムを通り、最後に、第1のペイロードモジュールのコンデンサシステムを通る。したがって、第1のペイロードモジュールは、第2のペイロードモジュールによって冷却のために既に使用された冷却剤のみを受け取る。したがって、各モジュールにおいて冷却されるハードウェアは、冷却剤における効率およびエネルギ利用を最適化するために、冷却剤の流路を考慮して選択されてもよい。例えば、冷却剤の単位体積当たり、使用された冷却剤に付与された単位熱当たり、ならびにシステムおよびシステムによって冷却されるハードウェアを作動させるために必要な単位電力当たりの出費が、異なるモジュールの中でハードウェアの最も経済的な分配を見つける際に考慮されてもよい。
【0016】
前記のいずれかによる別の例において、ハウジングおよび冷却システムは、インフラストラクチャおよびペイロードシステムを通って冷却液を循環させる分配システムも含んでもよい。ハウジングおよび冷却システムは、分配システムが通過するドライクーラも含んでもよく、ドライクーラは、冷却液からの熱を周囲空気と交換するように構成されている。
【0017】
前記のいずれかによる別のアレンジメントにおいて、インフラストラクチャおよびペイロードモジュールは、分配システムに直列に接続されていてもよい。
【0018】
別の態様において、コンピュータハードウェアを格納および冷却する方法は、(「PLC」)も格納するインフラストラクチャモジュールに第1のコンピュータハードウェアを格納することを含んでもよい。方法は、ペイロードモジュールによって格納された二相浸漬冷却システム内の蒸発可能な液体に第2のコンピュータハードウェアを浸漬させることも含んでもよい。ペイロードモジュールは、PLCによって管理されているインフラストラクチャモジュールおよび浸漬冷却システムの外側に配置されていてもよい。
【0019】
前記のいずれかによる別のアレンジメントにおいて、方法は、インフラストラクチャモジュールによって含まれる冷却装置によって第1のコンピュータハードウェアを冷却するステップを含んでよく、インフラストラクチャモジュールの冷却装置は、液体-空気熱交換器および液体を搬送するための1つまたは複数の導管によって接続された金属板の装置のうちのいずれかまたは両方である。
【0020】
前記のいずれかによる別の態様において、方法は、インフラストラクチャモジュールの冷却装置および二相浸漬冷却システムのコンデンサを並列にビルディング液体供給部に接続するステップを含んでよい。モジュールは並列に冷却流体を受け取るので、いずれか一方のモジュールにおいてハードウェアによって発生されかつハードウェアから除去される熱は、いずれか他方のモジュールにおけるハードウェアの冷却にほとんどまたは全く影響を有さない。したがって、システム全体効率は、構成要素が直列に接続されているシステムの効率よりも、どちらのペイロードモジュールが特定のハードウェアを格納および冷却するかの選択に依存することが少なくなる。
【0021】
前記のいずれかによる別の態様において、方法は、インフラストラクチャモジュールの冷却装置およびコンデンサを直列にビルディング液体供給部に接続するステップを含んでよい。
【0022】
前記のいずれかによる別の態様において、方法は、液体がビルディング液体供給部によってインフラストラクチャモジュールの冷却装置へ供給されかつコンデンサからビルディング液体供給部に戻されるように、インフラストラクチャモジュールの冷却装置およびコンデンサをビルディング液体供給部に接続するステップを含んでよい。
【0023】
前記のいずれかによる別の態様において、方法は、インフラストラクチャモジュールを通じて電力をペイロードモジュールおよび第2のコンピュータハードウェアに供給するステップを含んでよい。
【0024】
前記のいずれかによる別の態様において、ペイロードモジュールは、第1のペイロードモジュールであってよく、二相浸漬冷却システムを含む第2のペイロードモジュールによって格納されたタンクにおける蒸発可能な液体に第3のコンピュータハードウェアを浸漬させるステップを含んでよい。第2のペイロードモジュールの二相浸漬冷却システムは、PLCによって管理されてよい。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】第1のアレンジメントによるモジュール式冷却システムの概略図である。
図2】第2のアレンジメントによるモジュール式冷却システムの概略図である。
図3】第3のアレンジメントによるモジュール式冷却システムの概略図である。
図4】第4のアレンジメントによるモジュール式冷却システムの概略図である。
図5】第5のアレンジメントによるモジュール式冷却システムの概略図である。
図6図1図5に示されたモジュール式冷却システムのいずれかを備える電子機器を格納および冷却する方法のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0026】
詳細な説明
図1は、情報技術(「IT」)機器、その他のコンピュータハードウェア、または冷却される必要があるその他のアイテムのために使用されてよいモジュール式冷却システム100を示す。システム100は、インフラストラクチャモジュール110および第1のペイロードモジュール120を含む。例示されたアレンジメントのシステム100は、第2のペイロードモジュール130も含むが、システム100は、その他のアレンジメントにおいて1つのペイロードモジュールまたは任意の複数のペイロードモジュールを有してよい。
【0027】
インフラストラクチャモジュール110は、情報技術(「IT」)機器またはその他の電子ハードウェアのためのハウジングを含む。インフラストラクチャモジュール110は、インフラストラクチャハードウェア113を格納しており、インフラストラクチャハードウェア113は、例えば、コンピュータ構成要素、サーバ、その他の種類のIT機器またはその他の電子機器の1つまたは複数のラックであってよく、インフラストラクチャモジュール110のハウジングによって格納されている。インフラストラクチャは、プログラマブル論理制御装置(「PLC」)112と、インフラストラクチャモジュール110の、インフラストラクチャモジュール110内のまたはインフラストラクチャモジュール110に接続された構成要素に電力を供給するためのインフラストラクチャバスバー114とを含み、選択的に格納している。PLC112自体は、選択的にインフラストラクチャハードウェア113によって含まれていてもよい。
【0028】
インフラストラクチャモジュール110は、選択的に、例示された例に示されているように熱交換器111も含んでいてよい。熱交換器111は、例えば、インフラストラクチャハードウェア113およびPLC112のいずれかまたは両方の対流冷却のための空気を冷却するために冷却流体の供給を利用する液体-空気熱交換器であってよい。インフラストラクチャハードウェア113およびPLC112のいずれかまたは両方によって加熱された空気は、インフラストラクチャモジュール110から排気される前またはインフラストラクチャモジュール内で再循環される前に冷却するために、熱交換器111へ推進されてよい。その他の例において、外部からまたはインフラストラクチャモジュール110内で熱交換器111内へ受け取られた空気は、インフラストラクチャハードウェア113およびPLC112のいずれかまたは両方を横切って推進される前にまず熱交換器111によって冷却されてよい。このような液体-空気熱交換器は、例えば、リアドアまたはフロントドアなどの、インフラストラクチャモジュール110のハウジングの任意の壁部または外面にマウントされていてよい。
【0029】
その他の例において、熱交換器111は、アルミニウム、銅、その他の金属、または所定のセラミックもしくはポリマー、またはそれらの任意の組合せなどの、伝導性材料の1つまたは複数のプレートを含む接触式コールドプレートシステムであってもよい。したがって、幾つかの実施形態において、コールドプレートは、金属プレートに対応してよい。各々のプレートは、コールドプレートから熱を除去するように冷却流体を方向付けるために、プレートに沿ってまたはプレートを通って延びている少なくとも1つの導管を有する。したがって、インフラストラクチャハードウェア113およびPLC112のいずれかまたは両方は、コールドプレートのうちのいずれかと接触して配置されることによって冷却することができる。
【0030】
液体-空気熱交換器およびコールドプレートシステムは、熱交換器111の例として提示されているが、熱交換器111は、類似の能力および作動ニーズを有する別のタイプの熱交換器であることができる。
【0031】
システム100は、第1のペイロードモジュール120も含む。第1のペイロードモジュール120は、電子ハードウェアのためのハウジング、ペイロードバスバー124および大容量冷却システムを含む。ペイロードバスバー124は、第1のペイロードモジュール120の、第1のペイロードモジュール120内のまたは第1のペイロードモジュール120に接続された構成要素に電力を供給するように構成されている。大容量冷却システムは、例えば、電子機器またはその他のハードウェアのための二相浸漬冷却システムであってよい。このような浸漬冷却システムは、蒸発可能な液体のためのタンクと、コンデンサシステム121とを含み、コンデンサシステム121は、タンクの上方、またはタンクからの蒸気がコンデンサシステム121へ移動し、次いで、液体に凝縮した後にタンクへ戻るその他の位置に位置決めされている。適切な蒸発可能な液体の例は、特にコンピュータハードウェアの浸漬冷却のために設計された、複数の市販の誘電性流体のうちのいずれかを含むが、幾つかの用途、特に、蒸発可能な流体の導電性が問題とならない場合には水が使用されてよい。コンデンサシステム121は、任意の公知のタイプのコンデンサであってよいが、幾つかの例において、コンデンサシステム121は、タンク内の蒸発可能な液体から上昇する蒸気を凝縮させるために適した温度にチューブを減じる冷却流体を搬送する1つまたは複数のチューブを含む。浸漬冷却システムはまた、コンデンサシステム121またはその他のものを介してインフラストラクチャモジュール120内の湿度を監視および調整するための湿度制御システム122と、タンク内の蒸発可能な液体のレベルを制御するための流体管理システム125とを含む。流体管理システム125は、例えば、第1のペイロードモジュール120の浸漬冷却システムのタンク内の蒸発可能な流体のためのポンプ、フィルタおよび流体レベルモニタのうちのいずれか1つまたは任意の組合せを含んでいてよい。
【0032】
ペイロードハードウェア123は、第1のペイロードモジュール120の浸漬冷却システム内の蒸発可能な液体のタンクに浸漬された電子機器の1つまたは複数のラックであってよい。ペイロードモジュール120は大容量冷却システムを有するので、ペイロードモジュール120によって格納および冷却されるペイロードハードウェア123は、インフラストラクチャハードウェア113よりも大きな冷却ニーズを有しかつ幾つかの場合においてより大きな電力消費レベルを有するハードウェアであってよい。幾つかの例において、ペイロードハードウェア123は体積もまたインフラストラクチャハードウェア113よりも大きくてよい。例えば、インフラストラクチャハードウェア113が12のラックユニット(「RU」)を占めている場合、ペイロードハードウェア123は、24RUを占めていてよいが、任意の他の体積ならびにインフラストラクチャハードウェア113およびペイロードハードウェア123の体積間の比が可能である。
【0033】
インフラストラクチャモジュール110は、例示された例において複数の点において第1のペイロードモジュール120に動作可能に接続されている。冷却剤供給部146は、コンデンサシステム121に到達する前にインフラストラクチャモジュール110を通って送られ、コンデンサシステム121を通過した後、冷却剤戻り部149を通じてシステム100から流出し、冷却剤戻り部149は、冷却剤供給部146のために冷却剤を案内してリサイクルするかさもなければ冷却剤を廃棄する。冷却剤供給部146の冷却流体は、例えば、水、グリコールおよび水溶液などの液体、またはフッ化炭素などの誘電性流体、またはその他の液体、または例えば空気、二酸化炭素またはその他のガスなどのガスであることができる。インフラストラクチャモジュール110が熱交換器111を含んでいる例において、冷却剤供給部146は、コンデンサシステム121に到達しかつコンデンサシステム121のための冷却剤として作用する前に、熱交換器111を通過しかつ熱交換器111のための冷却剤として作用してよい。冷却剤供給部146および冷却剤戻り部149は両方とも、モジュール110、120、130および全体としてのシステム100のそれぞれの内部冷却システムを通じて冷却剤を循環させる流体冷却剤分配システムの一部である。分配システムは、タップシステム、別のタイプのビルディング液体供給システム、または冷却剤としての使用に適した液体またはガスの任意の他のソースによって提供されてよい。冷却剤供給部146は比較的低い温度であり、冷却剤が分配システムの流路を通って流れると、モジュール110、120、130が熱を冷却剤に伝達するので、冷却剤戻り部149は比較的高い温度である。冷却剤戻り部149の下流でかつ冷却剤供給部146の上流において、分配システムは、冷却剤を冷却するかまたは加熱された冷却剤を廃棄してより低い温度の新たな冷却剤を獲得する。
【0034】
PLC112は、コンデンサシステム121、湿度制御システム122および流体マネジメントシステム125と電子通信している。PLC112と、湿度制御システム122と、流体マネジメントシステム125との間のこの電子接続により、PLC112は、湿度制御システム122および流体マネジメントシステム125を制御し、これにより、第1のペイロードモジュール120の浸漬冷却システムを管理する。様々な例において、PLC112は、浸漬冷却システムの電力をオンまたはオフにする、浸漬冷却システムによって維持される温度を調整する、浸漬冷却システム内の流量を調整する、または前記の任意の組合せを行うことができてよい。インフラストラクチャモジュール110のPLC112による第1のペイロードモジュール120の浸漬冷却システムの管理は、浸漬冷却システムのメンテナンスおよび動作を単純化することができる。浸漬冷却システムへのアクセスは、蒸気の逃げ出しを防止するためにこのようなシステムは通常は閉鎖されているため、困難であり浸漬冷却システムにおけるハードウェアの動作および冷却にとって支障となる可能性がある。したがって、そのハウジングが単純なサーバキャビネットまたは類似のものであってよいインフラストラクチャモジュール110におけるPLC112にアクセスすることは、比較的容易であってよい。
【0035】
PLC112は、ビルディングマネジメントシステムまたはデータネットワークなどの、マネジメントシステム147と電子通信していてもよい。PLC112とマネジメントシステム147との間の接続により、PLC112および第1のペイロードモジュール120の浸漬冷却システムは、遠隔のオペレータによってまたはその他のシステムと共同で制御されることができる。例示された例において、インフラストラクチャハードウェア113およびペイロードハードウェア123も互いに電子通信しているが、その他の例において、インフラストラクチャハードウェア113およびペイロードハードウェア123は、互いに通信していなくてもよい。
【0036】
電力およびネットワーク接続部148も、第1のペイロードモジュール120に到達する前にインフラストラクチャモジュール110を通過させられてよい。電力およびネットワーク接続部148の電力態様は、例えば、ビルディング電力供給、系統電力供給または電池であってよい。電力およびネットワーク接続部148のネットワーク態様は、例えば、インターネット、電話、ローカルエリアネットワークまたはその他の電子通信ネットワークであってよい。例示された例において、電力はインフラストラクチャハードウェア113とインフラストラクチャバスバー114との間で通信され、インフラストラクチャバスバー114はペイロードバスバー124に接続されている。したがって、ペイロードモジュール120は、それ自体のためおよびペイロードハードウェア123のための一部または全ての動作電力をインフラストラクチャモジュール110への接続部から受け取ってよい。しかしながら、ペイロードモジュール120およびペイロードハードウェア123は、その他のソースから電力を取得してもよく、その他の例において、ペイロードモジュール120およびペイロードハードウェア123のうちのいずれかまたは両方は、全ての必要な電力をインフラストラクチャモジュール110およびインフラストラクチャハードウェア113以外のソースから取得してよい。
【0037】
インフラストラクチャモジュール110と、第1のペイロードモジュール120の特徴を有する唯一のペイロードモジュールとを含むシステムが存在してもよい。しかしながら、例示された例のシステム100は、第2のペイロードモジュール130も含み、第2のペイロードモジュール130は、上述の第1のペイロードモジュール120の全ての詳細に関して第1のペイロードモジュール120と同じである。インフラストラクチャモジュール110と第1のペイロードモジュール120との間の全ての接続は、また、冷却剤供給部146および冷却剤戻り部149からの冷却剤の流路を除き、インフラストラクチャモジュール110と第2のペイロードモジュール130との間で並列に延びている。冷却剤供給部146から冷却剤戻り部149への流路は、代わりに、まずインフラストラクチャモジュール110を通り、次いで、第2のペイロードモジュール130内のコンデンサシステムを通り、最後に第1のペイロードモジュール120のコンデンサシステム121を通って直列に通過する。したがって、第1のペイロードモジュール120は、第2のペイロードモジュール130による冷却のために既に使用された冷却剤のみを受け取る。したがって、各モジュール110、120、130における冷却されるハードウェアは、冷却剤およびエネルギ利用の効率を最適化するように冷却剤の流路を考慮して選択されてよい。例えば、冷却剤の単位体積当たりの出費、使用される冷却剤に付与される単位熱当たりの出費、およびシステム100およびシステム100によって冷却されるハードウェアを作動させるために必要な単位電力当たりの出費は、モジュール110、120、130内でのハードウェアの最も経済的な分配を見つける際に考慮されてよい。
【0038】
インフラストラクチャモジュール110は、選択的に、典型的なサーバラックまたはキャビネットのもののような、比較的小さなフォームファクタのものであってよい。例えば、インフラストラクチャモジュール110は、EIA-310標準サーバラックの形状および寸法、または少なくともこのようなラックの中でのインフラストラクチャモジュール110の設置を容易にするのに十分な類似の寸法を有してよい。
【0039】
ペイロードモジュール120、130は、選択的に、典型的なサーバラックまたはキャビネットの中での設置のために適応させられていてよい。例えば、ペイロードモジュール120、130は、1、2または3以上の隣接するEIA-310標準サーバラックと同じまたはほぼ同じ形状および寸法を有し、ペイロードモジュール120、130をこのようなラックの中で設置することができるようになっている。そのように構成されているペイロードモジュール120、130は、サーバラックを保管するためにセットアップされているデータセンタの領域においてインフラストラクチャモジュール110に隣接してまたはインフラストラクチャモジュール110の近くに設置されてよい。したがって、システム100は、さもなければそれらの異なる冷却ニーズによりデータセンタを横断してまたは複数の異なる施設の中で分散させられ得るハードウェアのタイプが、1つの位置において保管されかつ作動させられることを可能にする。さらに、システム100は、熱交換器111によって有効に冷却することができる低温作動ハードウェアが、低温作動ハードウェアが浸漬冷却システムにおけるスペースを占めかつリソースを無駄にすることなく、浸漬冷却されなければならないハードウェアの近くに設置されるべき浸漬冷却の必要なしに浸漬冷却されなければならないハードウェアの近くに設置されることを可能にする。インフラストラクチャモジュール110の近くでのペイロードモジュール120、130の設置は、それらのオーナまたは技術者によるモジュール110、120、130へのアクセスまたはそれらの動作も容易にする。インフラストラクチャモジュール110の近くでのペイロードモジュール120、130の設置は、インフラストラクチャハードウェア113と、ペイロードハードウェア123と、第2のペイロードモジュール130によって格納されたハードウェアとの間の電子接続も単純化する。
【0040】
システム100における第1のペイロードモジュール120および第2のペイロードモジュール130のみの存在は、例として示されており、その他の数のペイロードモジュールを有するシステムが作成されてもよい。幾つかの例において、第2のペイロードモジュール130は完全に省略されてもよく、これにより、冷却剤流路は、冷却剤戻り部149を通じてシステム100から出る前に、インフラストラクチャモジュール110から第1のペイロードモジュール120のみへ直接延びている。その他の例において、システム100は、インフラストラクチャモジュール110と第1のペイロードモジュール120との間の冷却剤流路に沿って直列に接続された任意の複数のペイロードモジュールを含んでよい。全てのこのような追加的なモジュールは、第1のペイロードモジュール120および第2のペイロードモジュール130と同じ形式での電子通信および電力の伝送のためにインフラストラクチャモジュール110に接続されていてよい。
【0041】
図2は、要素が概してシステム100の同じ番号の要素と同様であるシステム200を示す。例えば、特に例示または説明されている相違点を除いて、インフラストラクチャモジュール210はインフラストラクチャモジュール110と同じであり、第1のペイロードモジュール220は第1のペイロードモジュール120と同じであり、第2のペイロードモジュール230は第2のペイロードモジュール130と同じである、などである。この理由から、図2におけるある番号は、本明細書では具体的に言及されなくてよい。さらに、システム100の要素に対する全ての上述の可能な変形は、システム100の特徴とは異なるシステム200の特徴と矛盾する範囲までを除き、システム200の要素に等しく可能である。
【0042】
システム200は、冷却剤が並列に各々のモジュール210、220、230に供給されるという点でシステム100とは異なる。したがって、第1の冷却剤供給部246aからの冷却剤は、第1の冷却剤戻り部249aを通ってシステム200から出る前に熱交換器211を通って流れ、第2の冷却剤供給部246bからの冷却剤は、第2の冷却剤戻り部249bを通ってシステム200から出る前に第1のペイロードモジュール220のコンデンサシステム221を通って流れ、第3の冷却剤供給部246cからの冷却剤は、第3の冷却剤戻り部249cを通ってシステム200から出る前に第2のペイロードモジュール230のコンデンサシステムを通って流れる。インフラストラクチャモジュール210が熱交換器211を欠くその他の例において、インフラストラクチャモジュール210は、いかなる冷却剤供給部または冷却剤戻り部も有さなくてよい。
【0043】
例示された例における第1のペイロードモジュール220および第2のペイロードモジュール230のみの存在は、システム200の1つの構成であるが、その他の例において、システム200は、第2のペイロードモジュール230を省略してもよく、さらに他の例では、システム200は、独立した並列の冷却剤供給部および戻り部接続を有するあらゆる数のペイロードモジュールを含んでよい。
【0044】
システム100と同様に、システム200は、1つまたは複数のペイロードモジュール220、230の間に設置されるインフラストラクチャモジュール210が、PLC212における浸漬冷却の管理への容易なアクセスを提供することおよび1つの位置において異なる冷却ニーズのハードウェアを格納しかつ作動させることを可能にする。しかしながら、モジュール210、220、230が並列に冷却流体を受け取るので、いずれか1つのモジュール210、220、230においてハードウェアによって発生されかつハードウェアから除去される熱は、いずれの他のモジュール210、220、230においてハードウェアの冷却にほとんどまたは全く影響しない。したがって、システム200の全体的な効率は、システム100の効率よりも、どちらのペイロードモジュール220、230が特定のハードウェアを格納および冷却するかの選択により依存しない。
【0045】
図3は、要素が、システム100および200の同じ番号の要素と概して同じであるシステム300を示す。例えば、特に例示または説明されている相違点を除き、インフラストラクチャモジュール310はインフラストラクチャモジュール110および210と同じであり、第1のペイロードモジュール320は第1のペイロードモジュール120および220と同じであり、第2のペイロード330は第2のペイロードモジュール130および230と同じである、などである。この理由から、図3におけるある番号は、本明細書では特に言及されなくてよい。さらに、システム100および200の要素に対する全ての上述の可能な変形は、システム100または200の特徴とは異なるシステム300の特徴と矛盾する程度までを除き、システム300の要素のために等しく可能である。
【0046】
システム300において、冷却剤は、インフラストラクチャモジュール310を通じて各々のペイロードモジュール320、330に並列に供給される。したがって、冷却剤供給部346からの冷却剤は、別々の流路に分割される前に熱交換器311を通って流れる。分割後の流路のうちの一方は、第1の冷却剤戻り部349aを通じてシステム300から出る前に第1のペイロードモジュール320のコンデンサシステム321を通って延びているのに対し、分割後の別の流路は、第2の冷却剤戻り部349bを通じてシステム300から出る前に第2のペイロードモジュール330のコンデンサシステムを通って延びている。
【0047】
例示された例における第1のペイロードモジュール320および第2のペイロードモジュール330のみの存在は、システム300の1つの構成であるが、その他の例において、システム300は、第2のペイロードモジュール330を省略してもよく、さらに他の例において、システム300は、冷却剤が熱交換器311を通過した後でかつ冷却剤がそれぞれの冷却剤戻り部を通じてシステム300から出る前に互いに並列に冷却剤を受け取る任意の数のペイロードモジュールを含んでよい。
【0048】
システム300は、システム200がシステム100と共有する全ての能力を有する。システム200のように、システム300は、他のいずれかのペイロードモジュールに進入する冷却剤の温度に、あるとしてもほとんど影響しないように、いずれか1つのペイロードモジュール内の加熱および冷却を生じるように構成されている。まず全ての冷却剤をインフラストラクチャモジュール310に通過させることは、幾つかの場合、システム300の設置を単純化することができる一方、システム200に示されているように全てのモジュールを並列に接続することは、その他の状況においてより単純であり得る。幾つかの例におけるインフラストラクチャハードウェア313は、比較的低い熱負荷を示すが、ペイロードモジュール320、330の冷却は、インフラストラクチャモジュール310の下流へのそれらの配置によって著しくは影響されない場合がある。しかしながら、熱交換器311が、熱交換器311内の異なる熱負荷を有すると予測される別々のチャネルに冷却剤を分割し、これらの別々のチャネルが異なるペイロードモジュール320、330へ流れるならば、熱交換器311内の異なる熱負荷は、システム300の冷却効率を最適化するために特定のハードウェアのためのペイロードモジュール320、330を選択するときに考慮されてよい。その他の点において、システム200と同様に、システム300における特定のハードウェアのためのペイロードモジュール320、330の選択は、システム300の冷却性能に比較的小さな影響を有する。
【0049】
図4は、要素が概してシステム300の同じ番号の要素と類似しているシステム400を示す。例えば、特に例示または記載された相違点を除き、インフラストラクチャモジュール410はインフラストラクチャモジュール310と同じであり、第1のペイロードモジュール420は第1のペイロードモジュール320と同じであり、第2のペイロードモジュール430は第2のペイロードモジュール330と同じである、などである。この理由から、図4におけるある番号は、本明細書では特に言及されない場合がある。さらに、システム100、200および300の要素における全ての上述の可能な変形は、システム100、200または300の特徴とは異なるシステム400の特徴と矛盾する範囲までを除き、システム400の要素のために等しく可能である。
【0050】
システム400において、冷却剤は、システム300がインフラストラクチャモジュール310を通じてペイロードモジュール320、330に並列に冷却剤を分配するのと同じ形式でインフラストラクチャモジュール410を通じて各々のペイロードモジュール420、430に並列に供給される。したがって、冷却剤供給部446からの冷却剤は、別々の流路に分割される前に熱交換器411を通って流れ、流路のうちの一方は、第1の冷却剤戻り部449aを通じてシステム400から出る前に第1のペイロードモジュール420のコンデンサシステム421を通って延びているのに対し、別の流路は、第2の冷却剤戻り部449bを通じてシステム400から出る前に第2のペイロードモジュール430のコンデンサシステムを通って延びている。
【0051】
システム400は、システム300がシステム100および200と共有する全ての能力、ならびにシステム300をシステム100および200から差別化する能力のほとんどを有する。しかしながら、システム400は、インフラストラクチャモジュール410内の中央流体マネジメントシステム415の位置によってシステム300とは異なる。中央流体マネジメントシステム415は、各々のペイロードモジュール420、430における浸漬冷却システムのタンクにおける液体レベルを管理し、これにより、個々のペイロードモジュール420、430は、自己の液体レベルを管理するための専用の回路または制御装置を含む必要がない。中央流体マネジメントシステム415は、PLC412と電子通信しており、システム100、200、300における分配された流体マネジメントシステムの管理と類似の形式でPLC412によって管理されてよい。インフラストラクチャモジュール410内への中央流体マネジメントシステム415の配置は、ペイロードモジュール420、430におけるスペースを占めることなくPLC412のために提供されているように中央流体マネジメントシステム415へのアクセスの同じ容易さを提供する。
【0052】
例示された例における第1のペイロードモジュール420および第2のペイロードモジュール430のみの存在は、システム400の1つの構成であるが、その他の例において、システム400は、第2のペイロードモジュール430を省略してもよく、さらに他の例において、システム400は、中央流体マネジメントシステム415によって管理される浸漬冷却システムを有する任意の数のペイロードモジュールを含んでよい。
【0053】
図5は、要素がシステム100、200および300の同じ番号の要素と概して類似であるシステム500を示す。例えば、特に例示または記載された相違点を除き、インフラストラクチャモジュール510はインフラストラクチャモジュール110、210および310と同じであり、ペイロードモジュール520はペイロードモジュール120、220および320と同じである、などである。この理由から、図5におけるある番号は、本明細書では特に言及されなくてよい。さらに、システム100、200、300および400の要素における全ての上述の可能な変形は、システム100、200、300および400の特徴とは異なるシステム500の特徴と矛盾する程度までを除き、システム500の要素のために等しく可能である。
【0054】
システム500は、冷却剤を直列にインフラストラクチャモジュール510へ、次いでペイロードモジュール520へ直列に供給する独立型冷却器550を含む。冷却剤戻り部549においてペイロードモジュール520から出た冷却剤は、供給温度に戻されるために独立型冷却器550へ戻り、冷却剤供給部546を通じてインフラストラクチャモジュール510へ再供給される。したがって、独立型冷却器550は、コンデンサ524およびペイロードモジュール520の下流であるが、熱交換器511およびインフラストラクチャモジュール510の上流の位置においてシステム500を通って延びる冷却剤分配システムの流路に沿って直列に接続されている。
【0055】
冷却剤として使用されてもよい流体のビルディングまたは自治体供給部ではなく、独立型冷却器550は、システム500によって使用される冷却剤のための自給式冷却システムである。独立型冷却器550は、例えば、乾式冷却塔または別のタイプの乾式冷却器などの低エネルギまたは受動的冷却器であってよく、熱を冷却剤から周囲空気へ放散する熱交換器など、システム500のために使用される冷却剤から熱を抽出するための別の冷却液体を必要としないことができる冷却器を意味する。このような受動的または低エネルギタイプの独立型冷却器550は、電力およびその他のユーティリティが制限されている遠隔位置においてシステム500を実現するために特に有効である。インフラストラクチャモジュール310。
【0056】
前記モジュール式システム100、200、300、400、500は各々、共有された概念における異なる変形を示しているが、その他の例によるモジュール式システムは、これらの異なる変形をいかなる方法で組み合わせてもよい。例えば、独立型冷却器550は、モジュール式システム100、200、300、400の流路のうちのいずれかを含む、任意の数のペイロードモジュールおよびモジュールの間の任意の流路を有するシステムのための冷却剤を供給および冷却するために使用することができる。中央流体マネジメントシステム415は、モジュール式システム100、200、300、500のうちのいずれかの別々の流体マネジメントシステム、またはこれらのモジュール式システムにおけるあらゆる変形と置き換えられてもよい。その他の例によるモジュール式システムは、モジュール式システム100に示されているような互いに直列に接続されたペイロードモジュール、モジュール式システム200に示されているようなインフラストラクチャモジュールを通過していない冷却剤を受け取るペイロードモジュール、およびモジュール式システム300および400に示されているような他のペイロードモジュールと並列にインフラストラクチャモジュールを通過した冷却剤を受け取るペイロードモジュールの任意の組合せを含んでよい。
【0057】
図6に示したように、上記に記載のシステム100、200、300、400、500のうちのいずれかを備える電子機器を格納および冷却するプロセス1000は、セットアップフェーズ1010、保管フェーズ1020および作動フェーズ1030を含む。プロセス1000は、例としてシステム100の要素を参照して以下に説明されるが、システム100のあらゆる要素への以下の各々の参照は、システム200、300、400、500のうちのいずれかまたはシステム100、200、300、400、500におけるあらゆる可能な変形の対応する要素に等しく適用可能である。
【0058】
セットアップフェーズ1010は、冷却剤接続1011およびモジュール相互接続1012を含み、そのうちいずれかが、他方の前、間または後に実行されてよい。冷却剤接続1011の間、モジュール110、120、130は、流体冷却剤のための利用可能な分配システムに接続される。モジュール110、120、130は、並列または直列にかつ任意の順序で接続されてよい。モジュール相互接続1012の間、モジュールは、電気的、電子的またはその両方で互いに接続される。例えば、相互接続1012は、バスバー114、124の間に電気接続を確立し、PLC112を湿度制御システム122および流体マネジメントシステム125に接続し、それを通じてコンピュータハードウェア113、123が任意の他のモジュールにおけるコンピュータハードウェア113、123と電子的に通信することができるモジュール110、120、130の間のワイヤまたはケーブルなどの電子コネクタを延長させることを含んでよい。モジュール110、120、130の間の流体接続の確立は、冷却剤接続1011およびモジュール相互接続1012のいずれかまたは両方の一部と考えられてよい。
【0059】
セットアップフェーズ1011の後、インフラストラクチャ設置1021および浸漬1022を含む保管フェーズ1020が続く。インフラストラクチャ設置1021および浸漬1022のいずれかは、他方の前、間または後に実行されてよい。インフラストラクチャ設置1021は、インフラストラクチャハードウェア113がバスバー114からの電力によって動作し得るようにインフラストラクチャモジュール110内へのインフラストラクチャハードウェア113の配置を含む。浸漬1022は、ペイロードモジュール120、130の浸漬冷却システムにおける蒸発可能な液体にペイロードハードウェア123を浸漬させることを含む。保管フェーズ1020の最後に、インフラストラクチャハードウェア113およびペイロードハードウェア123は、それぞれのモジュール110、120、130内に格納および保管され、動作しかつ適切に冷却されるように準備される。
【0060】
作動フェーズ1030は、保管1020の後に続き、同時に実行されてもよい冷却1031およびコンピューティング1032を含む。冷却1031は、インフラストラクチャハードウェア113を冷却するために熱交換器1011を運転し、ペイロードハードウェア123を冷却するためにペイロードモジュール120、130のうちの1つ、幾つかまたは全ての浸漬冷却システムを運転することを含む。冷却1031は、モジュール110、120、130の間で冷却剤を循環させることも含んでよい。コンピューティングステップ1032は、インフラストラクチャハードウェア113およびペイロードハードウェア123を作動させることを含む。コンピューティング1032は、任意のモジュール110、120、130における任意の他のコンピューティング構成要素の作動も含んでよい。したがって、湿度制御システム122および流体マネジメントシステム125などによって、浸漬冷却システムを管理するためにPLC112を作動させることは、冷却1031、コンピューティング1032またはその両方の一部であると考えられてよい。
【0061】
プロセス1000に対する追加およびプロセス1000における変形が可能である。例えば、セットアップフェーズ1010は、設置フェーズ1020と重なってよいまたは設置フェーズ1020に続いてよい。また、追加のインフラストラクチャ設置1021および浸漬1022が、ハードウェア113、123がシステム100に追加されるかまたは交換されるときに作動フェーズ1030の間または後に行われてよい。
【0062】
本明細書における概念は、特定の例を参照しながら説明されているが、これらの例は単に、本発明の概念の原理および適用を例示しているだけであることが理解されるべきである。したがって、添付の請求の範囲によって規定されているような本発明の概念の趣旨および範囲から逸脱することなく、例示的な例に対して多くの変更が行われてよく、また、その他のアレンジメントが考案されてよいことが理解されるべきである。
図1
図2
図3
図4
図5
図6