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特許7638420境界線抽出装置、境界線抽出方法及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-02-20
(45)【発行日】2025-03-03
(54)【発明の名称】境界線抽出装置、境界線抽出方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06T 7/11 20170101AFI20250221BHJP
   G06T 7/00 20170101ALI20250221BHJP
   G09B 29/00 20060101ALI20250221BHJP
【FI】
G06T7/11
G06T7/00 350B
G09B29/00 Z
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2024064363
(22)【出願日】2024-04-12
【審査請求日】2024-04-12
(73)【特許権者】
【識別番号】000135771
【氏名又は名称】株式会社パスコ
(74)【代理人】
【識別番号】110001254
【氏名又は名称】弁理士法人光陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】青木 亮祐
(72)【発明者】
【氏名】小平 肇
【審査官】小池 正彦
(56)【参考文献】
【文献】特許第6893307(JP,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06T 7/11
G06T 7/00
G09B 29/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
微地形表現図を解析して所定の地形的特徴が現れている領域の境界線を抽出する境界線抽出装置であって、
前記微地形表現図の入力に対し、当該微地形表現図において前記地形的特徴が現れている領域の境界線の線幅を拡張した境界領域を出力するように予め学習された学習済モデルを記憶する記憶手段と、
解析対象の微地形表現図を前記学習済モデルに入力して、当該学習済モデルから出力される前記境界領域を取得する取得手段と、
前記取得手段が取得した前記境界領域を細線化して前記解析対象の微地形表現図において前記地形的特徴が現れている領域の境界線を抽出する抽出手段と、
を備える境界線抽出装置。
【請求項2】
前記抽出手段は、前記取得手段が取得した前記境界領域を細線化して得られる線画像に沿ったベクトル形式の前記境界線を抽出する、
請求項1記載の境界線抽出装置。
【請求項3】
前記学習に用いる複数の学習用微地形表現図と、前記学習用微地形表現図のそれぞれにおいて前記地形的特徴が現れている領域の境界線を示す学習用境界線とを記憶する学習データ記憶手段と、
前記学習用境界線のそれぞれに対して当該学習用境界線の線幅を拡張する処理を施して学習用境界領域を生成する拡張手段と、
前記学習用微地形表現図をそれぞれ機械学習モデルに入力したときの出力結果と、当該学習用微地形表現図に対応する前記学習用境界領域との誤差を最小化するように前記機械学習モデルを更新して、前記学習済モデルを生成する学習手段と、
を備える、請求項1記載の境界線抽出装置。
【請求項4】
前記学習手段は、前記学習用境界領域内の画素に対応する前記出力結果が境界領域の画素ではないことを示す領域内誤差を、前記学習用境界領域外の画素に対応する前記出力結果が境界領域の画素であることを示す領域外誤差よりも大きく重み付けて、前記領域内誤差と前記領域外誤差とを加算することにより前記誤差を算出する、
請求項3記載の境界線抽出装置。
【請求項5】
前記地形的特徴が現れている領域の前記境界線は、崩壊地の境界を表すU字型の境界線である、請求項1~4のいずれか一項に記載の境界線抽出装置。
【請求項6】
制御部が微地形表現図を解析して所定の地形的特徴が現れている領域の境界線を抽出する境界線抽出方法であって、
前記制御部が、前記微地形表現図の入力に対し、当該微地形表現図において前記地形的特徴が現れている領域の境界線の線幅を拡張した境界領域を出力するように予め学習された学習済モデルを記憶する記憶ステップ、
前記制御部が、解析対象の微地形表現図を前記学習済モデルに入力して、当該学習済モデルから出力される前記境界領域を取得する取得ステップ、
前記制御部が、前記取得ステップで取得した前記境界領域を細線化して前記解析対象の微地形表現図において前記地形的特徴が現れている領域の境界線を抽出する抽出ステップ、
を含む境界線抽出方法。
【請求項7】
微地形表現図を解析して所定の地形的特徴が現れている領域の境界線を抽出する処理を行うコンピュータを、
前記微地形表現図の入力に対し、当該微地形表現図において前記地形的特徴が現れている領域の境界線の線幅を拡張した境界領域を出力するように予め学習された学習済モデルを記憶する記憶手段と、
解析対象の微地形表現図を前記学習済モデルに入力して、当該学習済モデルから出力される前記境界領域を取得する取得手段と、
前記取得手段が取得した前記境界領域を細線化して前記解析対象の微地形表現図において前記地形的特徴が現れている領域の境界線を抽出する抽出手段と、
として機能させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、境界線抽出装置、境界線抽出方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
山間部における崩壊地の情報は、治山対策などに利用されている。崩壊地は、従来、微地形表現図などの地形を強調した地図データから技術者により読み取られている。崩壊地は、通常U字型の範囲で生じ、その境界が地図データ上に現れやすい。したがって、読み取り作業では、そのU字型の境界線が特定される(非特許文献1)。このような読み取りには、技術と多大な手間とを要する。そのため、自動抽出による支援が求められている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【文献】「講義3.地形判読による災害要因の抽出」、道路防災点検技術講習会関連資料集、一般社団法人全国地質調査業協会連合会、2022年5月27日公開https://www.zenchiren.or.jp/geocenter/lec-road/docs/lecture3.pdf
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、画像において幅が僅少な地形特徴の境界線が占める範囲は、正解領域が画像全体に対して割合が低すぎる。その結果、これを自動抽出するための機械学習モデルの学習において、適正な学習結果が得られにくく、当該地形特徴の境界線を高精度に抽出することができないという課題がある。
【0005】
この発明の目的は、より高精度に地形特徴の境界線を抽出可能な境界線抽出装置、境界線抽出方法及びプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明は、
微地形表現図を解析して所定の地形的特徴が現れている領域の境界線を抽出する境界線抽出装置であって、
前記微地形表現図の入力に対し、当該微地形表現図において前記地形的特徴が現れている領域の境界線の線幅を拡張した境界領域を出力するように予め学習された学習済モデルを記憶する記憶手段と、
解析対象の微地形表現図を前記学習済モデルに入力して、当該学習済モデルから出力される前記境界領域を取得する取得手段と、
前記取得手段が取得した前記境界領域を細線化して前記解析対象の微地形表現図において前記地形的特徴が現れている領域の境界線を抽出する抽出手段と、
を備える境界線抽出装置である。
【発明の効果】
【0007】
本発明に従うと、より高精度に地形特徴の境界線を抽出することができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本実施形態の境界線抽出装置である情報処理装置の機能構成を示すブロック図である。
図2】崩壊地の検出手順について説明する図である。
図3】微地形表現図、及び得られた境界領域の例を示す図である。
図4】得られた境界領域画像を細線化して得た境界線データの例を示す図である。
図5】境界検出処理の制御手順を示すフローチャートである。
図6】結線処理の制御手順を示すフローチャートである。
図7】学習用データ生成処理の制御手順を示すフローチャートである。
図8】正解データの生成例を示す図である。
図9】モデル学習処理の制御手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1は、本実施形態の境界線抽出装置である情報処理装置1の機能構成を示すブロック図である。
【0010】
情報処理装置1は、制御部11と、記憶手段としての記憶部12と、入出力インターフェイス13(I/F)と、表示部14と、操作受付部15などを備える。
【0011】
制御部11は、情報処理装置1の動作を統括制御する。制御部11は、演算処理を行うプロセッサを有する。プロセッサは、単一の汎用CPU(Central Processing Unit)であってもよいし、複数のCPUを有し、これらが並列に又は用途などに応じて独立に演算処理を行ってもよい。プロセッサには、特定の演算処理や画像処理などに特化したものが含まれていてもよい。制御部11は、記憶部12からプログラム120などを読み込んで実行することで各種制御処理を行う。
【0012】
記憶部12は、RAM(Random Access Memory)と不揮発性メモリとを有し、各種データを記憶する。RAMは、制御部11に作業用のメモリ空間を提供し一時データを記憶する。不揮発性メモリは、プログラム120、機械学習モデル122及び設定データなどを記憶保持する。不揮発性メモリは、例えば、フラッシュメモリやHDD(Hard Disk Drive)などであるがこれに限られない。記憶部12は、ROM(Read Only Memory)を有していてもよい。ROMには、初期制御プログラムなどが記憶され得る。プログラム120には、後述の境界検出処理、学習用データ生成処理やモデル学習処理に係る制御プログラムが含まれる。プログラム120は、学習済モデル121を含む。学習済モデル121は、機械学習モデル122が学習されたものである。一度学習済モデル121が得られた後は、記憶部12には、機械学習モデル122が記憶されていなくてもよい。
【0013】
入出力インターフェイス13は、情報処理装置1の外部(周辺機器を含む)との間でデータの入出力を行う。入出力インターフェイス13は、接続端子131及び通信部132を有する。接続端子131には、例えば、USB(Universal Serial Bus)端子やLAN(Local Area Network)コネクタなどが含まれる。通信部132は、例えば、TCP/IPなどのLANに係る通信規約(プロトコル)に従って通信を制御する。
【0014】
本実施形態の学習データ記憶手段としての周辺機器としては、補助記憶装置であるデータベース装置21、並びにCDROM、DVD及びBlu-ray(登録商標)などの可搬型記憶媒体(光学ディスク)を読み取る光学読取装置22などが含まれていてもよい。また、可搬型記憶媒体に磁気テープが含まれ、この磁気テープを読み取る読取装置が周辺機器に含まれていてもよい。
【0015】
入出力インターフェイス13を介して情報処理装置1が外部から取得可能なデータには、微地形表現図データ201、学習用境界線データ202及び学習用境界領域データ203が含まれる。微地形表現図データ201は、機械学習モデル122の学習に用いられる1又は複数の微地形表現図(学習用微地形表現図)、学習済モデル121による解析対象である微地形表現図(解析対象微地形表現図)、及び微地形表現図それぞれの地理的座標との対応関係を記憶する。微地形表現図は、通常の地形図から地形の起伏をより判読しやすくなるよう強調加工された画像である。微地形表現図としては、例えば、CS(Curvature / Slope)立体図、赤色立体地図や、特開2021-149059号に記載の地形図などが知られている。
【0016】
微地形表現図は、縦横(xy方向)に格子状に二次元配列された複数の画素の集合により表わされたピックスマップ(ラスター)画像である。画像は、上記微地形表現図の表現に必要な範囲の色表現が可能であればよい。
微地形表現図データ201には、微地形表現図の2対角画素それぞれの画素の中心が表す平面直角座標系のXY座標(1画素1画素が表す地理的領域の重心位置)が、微地形表現図それぞれと対応付けられて記憶されている。これにより、微地形表現図の各画素の位置と地理的座標との対応関係が特定できるようになっている。地理的座標は、緯度・経度であってもよい。
【0017】
学習用境界線データ202には、学習用微地形表現図に紐づけられて、学習用微地形表現図に現れている崩壊地の境界線(学習用境界線)のデータが記憶される。つまり、学習用境界線は、学習用微地形表現図において地形的特徴が現れている領域の境界線を示す。各線は、地理的座標にてベクトル表現されたマルチラインデータであってもよい。学習用境界線データ202は、技術者などにより手作業で微地形表現図データや、必要に応じて航空写真などが参照されながら生成される。また、既知の崩壊地データなどが利用されてもよい。なお、既にある程度の精度の学習済モデルがある場合には、技術者の手作業の前に、当該学習済モデルにより前処理として候補抽出作業が行われてもよい。
【0018】
学習用境界領域データ203には、学習用境界線の線幅を拡張することによって生成される学習用境界領域が、学習用微地形表現図に紐づけられて記憶される。各領域は、地理座標系にてベクトル表現されたポリゴンデータであってもよい。
学習用境界領域は、学習用微地形表現図に対する境界領域の正解データであり、学習用微地形表現図と学習用境界領域のセットが機械学習モデル122の学習用データである。
【0019】
表示部14は、制御部11の制御に基づいて表示画面に表示を行う。表示画面は、例えば、液晶ディスプレイ又は有機EL(Electro-Luminescent)ディスプレイなどであるが、これらに限られない。
【0020】
操作受付部15は、外部からの入力操作を受け付けて、入力操作に応じた操作信号を制御部11へ出力する。操作受付部15は、例えば、キーボードとポインティングデバイスなどを含む。ポインティングデバイスは、マウスであってもよい。
表示部14及び/又は操作受付部15は、情報処理装置1の周辺機器であってもよい。すなわち、これらは上記制御部11、記憶部12及び入出力インターフェイス13を含む情報処理装置1の本体(コンピュータ)に取り付けられるものであってもよい。
【0021】
次に、本実施形態の境界線抽出方法として、所定の地形的特徴が現れている領域としての崩壊地の検出動作について説明する。
崩壊は、主に急斜面などにおいて地層がまとめて崩れ落ちる現象を指し、崩壊地は、このような崩壊が生じた範囲である。崩壊地は、一般的に崩れ落ちた境界が明瞭であり、線状に不連続面が現れる。崩壊は、谷の最上流部斜面で起こることが多く、その結果、谷を囲むU字型の境界が現れやすい。一方、崩壊した斜面の岩石や土砂は、谷を埋めるように傾斜の緩い又は略平坦な斜面に広がって堆積しやすい。すなわち、典型的には、崩壊地は、U字状の急傾斜な不連続面とこれに囲まれ、また部分的により下流側に広がった比較的傾斜の緩い領域との組み合わせとして特定される。なお、崩壊から時間が経過した堆積物上では、草木が育っている場合がある。このような場合には、航空写真などからは、急斜面が明瞭に残りやすい境界線に比して、崩壊地内部における崩壊の跡が分かりづらくなっていることがしばしばある。
【0022】
図2は、崩壊地の検出手順について説明する図である。
学習済モデル121は、予め記憶部12に記憶されている(記憶ステップ)。図2(a)に示すように、本実施形態では、解析対象の微地形表現図から、相対的に明瞭な崩壊地の境界線を学習済モデル121により抽出する。この学習済モデル121では、後述のように、面積を有する境界領域が出力される(P1;取得ステップ)。学習済モデル121の出力として取得された境界領域は、細線化処理によって境界線に変更されて(P2;抽出ステップ)、最終的な結果が得られる。
【0023】
学習済モデル121及び機械学習モデル122は、画像分割(Segmentation;セグメンテーション)に係るネットワーク構造を有したニューラルネットワークモデルとすることができる。例えば、これらは、Res U-Netとしてモデル化されてもよい。これらの学習済モデル121及び機械学習モデル122により、境界領域である確率を画素ごとに得ることができる。確率値を所定の基準値で2値化することで、境界領域であるか否かを表す画像が得られる。
【0024】
図3は、微地形表現図、及び得られた境界領域の例を示す図である。
図3(a)では、微地形表現図であるCS立体図をグレースケールで表している。このCS立体図は、静岡県CS立体図(静岡県、静岡県森林計画課作成、2017年)の一部をグレースケール変換したものである。CS立体図は、標高、傾斜及び曲率をそれぞれ異なる色などで階調表現して重ね合わせた図である。この図によれば、斜面から谷筋への崩壊地が特定しやすくなる。ここでは、濃色部分が谷筋に対応しており、谷の源頭付近で急激に深く切れ込むU字状の部分が概ね崩壊地に対応する。このCS立体図を学習済モデル121に入力し、得られた確率分布を2値化した境界領域画像の例が図3(b)に示されている。上記のように、多くの崩壊地はU字状の境界を有する。場合によっては、複数の崩壊地が連なって位置していてもよい。
【0025】
図4は、得られた境界領域画像を細線化して得た境界線データの例を示す図である。
図4(a)に示す一つの境界領域は、上記のようにある幅を持った曲線であり、特徴的なU字形状をしばしば有する。細線化処理では、この領域を細線化、すなわち延在方向に垂直な方向に幅を低減した線画像を得たうえで、これを複数のポリゴンの連なりであるマルチポリゴンで表す。細線化の処理は、従来知られている任意の手法で行われてもよい。図4(b)に示すように、マルチポリゴンは、画像の解像度に応じた画素の縦線及び横線のみが組み合わされて表されている。すなわち、各ポリゴンは、例えば、矩形、鍵型、L字型などの形状の組み合わせであってもよい。各ポリゴン内の代表位置、例えば、重心位置をつないでいくことで、図4(c)に示すような折れ線状の境界線が得られる。
【0026】
このような境界領域の正解データを人為的に定めるのは容易ではなく、通常は、正解データとして境界線が与えられる。しかしながら、線のみで学習させても、画像内で「線」が占める面積が小さすぎて、有効かつ効果的な学習結果がなかなか得られない。そこで、図2(b)に示すように、与えられた境界線(学習用境界線)の線幅を拡張して太線化したうえで幅を有する境界領域(学習用境界領域)の画像に変換して、正解領域画像が得られる(P11;拡張手段)。正解領域画像と元の微地形表現図とが対応付けられて学習用データが得られる。
【0027】
得られた学習用データにより、機械学習モデル122が学習される(P12;学習手段)。これにより、学習済モデル121が取得される。
【0028】
図5は、情報処理装置1で実行される境界検出処理の制御手順を示すフローチャートである。この境界検出処理は、解析対象微地形表現図の指定とともに、例えば、ユーザの所定の入力操作などを操作受付部15又は通信部132が受け付けることをトリガとして実行される。
【0029】
図5(a)に示すように、取得手段としての制御部11は、解析対象微地形表現図を微地形表現図データ201から取得して、学習済モデル121へ入力する(S11)。学習済モデル121に入力できる画像のサイズ(入力サイズ)は、予め定まっている。そのサイズは、解析対象微地形表現図よりも小さい。取得手段は、解析対象微地形表現図を入力サイズの画像に分割した分割画像を順次学習済モデル121に入力する。なお、解析対象微地形表現図のサイズが入力サイズの倍数ではない場合には、一部の分割画像同士が重複範囲を有して設定されてもよい。
【0030】
取得手段は、学習済モデル121を動作させて、当該学習済モデル121から出力された確率分布図を取得する(S12)。処理S11における分割画像の入力に対応して、学習済モデル121は、分割画像と同一のサイズの確率分布図を出力する。取得手段は、出力された確率分布図を対応する分割画像と同一の位置に並べることによって、解析対象微地形表現図と同一のサイズの確率分布図を取得する。なお、その際、複数の分割画像間で重複している画素の値は、当該画素における値の最大値とされてもよい。あるいは、画素の値は、複数の分割画像から得られた値の平均値とされてもよい。解析対象微地形表現図における各画素の値が崩壊地の境界領域である確率を表す。境界領域は、崩壊地の境界線の幅を拡張させた領域である。取得手段は、所定の基準値により確率分布図を2値化して、崩壊地の境界領域を特定する(S13)。なお、学習済モデル121が2値化の処理を含み、2値化画像を出力するのであってもよい、抽出手段としての制御部11は、2値化画像に基づいて境界線特定処理を実行する(S14)。
【0031】
図5(b)に示すように、境界線特定処理では、抽出手段は、境界領域を細線化する(S41)。抽出手段は、例えば、境界領域の延在方向に垂直な幅を最低基準値まで減少させる。最低基準値は、例えば、1画素であってもよい。
【0032】
抽出手段は、境界領域を細線化して得られた線画像をポリゴン化する(S42)。すなわち、抽出手段は、上記のように、線画像においてx方向及び/又はy方向に連なっている画素のまとまりごとに、当該まとまりに対応する地理的領域を表すポリゴンを生成する。線画像においてx方向又はy方向にのみ画素が連なった部分には、矩形のポリゴンが生成される。線画像においてx方向の画素の連なりとy方向の画素の連なりとが共通の画素で接続している部分には、L字型や鍵型のポリゴンが生成される。
【0033】
抽出手段は、連鎖的に隣接しているポリゴンのまとまりごとにポリゴン数を計数する。抽出手段は、ポリゴン数が3未満であるである境界領域を、U字型をなしていない検出ノイズであるとして、以降の処理から除外する(S43)。なお、ポリゴン数が3以上であるまとまりが一つもない場合には、抽出手段は、S44以降の処理を行わずに境界線特定処理を終了する。
【0034】
抽出手段は、処理S43で除外されずに残った各ポリゴン内の代表位置、ここでは重心位置を抽出する(S44)。代表位置の座標系は、地理的座標系である。抽出手段は、抽出した重心位置間を接続する結線処理を実行する(S45)。そして、制御部11は、境界線特定処理を終了して、処理を境界検出処理に戻す。
【0035】
図6は、結線処理の制御手順を示すフローチャートである。
抽出手段は、各ポリゴンが隣接している他のポリゴンの数をそれぞれ計数する(S401)。抽出手段は、隣接数が「1」のポリゴンが1つであるか否かを判別する(S402)。隣接数が「1」のポリゴンは、境界線の端のポリゴンである。通常の境界線であれば、隣接数が「1」のポリゴンは2つである。隣接数が「1」のポリゴンが1つであると判別された場合には(S402;Y)、抽出手段は、隣接数が「1」のポリゴンを基準ポリゴンとする(S403)。それから、抽出手段の処理は、処理S405へ移行する。
【0036】
隣接数が「1」のポリゴンが1つではないと判別された場合には(S402;N)、隣接数が「1」のポリゴンのうち所定の位置、例えば、解析対象微地形表現図の左上角に最も近いポリゴンを基準ポリゴンとする(S404)。それから、抽出手段の処理は、処理S405へ移行する。
【0037】
処理S405へ移行すると、抽出手段は、基準ポリゴンの代表位置(重心位置)を境界線上の点を列挙する点リストに追加設定する(S405)。抽出手段は、基準ポリゴンの重心位置から、基準ポリゴンとして未設定のポリゴンのうち最も重心位置が近いポリゴンを特定する(S406)。なお、このとき、既に未設定のポリゴンが残っていない場合には、抽出手段は、処理をS411へ進める。
【0038】
抽出手段は、基準ポリゴンの重心位置と、特定されたポリゴンの重心位置との距離が基準以上であるか否かを判別する(S407)。距離が基準以上ではないと判別された場合には(S408;N)、抽出手段は、特定されたポリゴンが基準ポリゴンと同一の境界線上に位置するとして、特定されたポリゴンを次の基準ポリゴンとする(S408)。それから、抽出手段の処理は、処理S405に戻る。
【0039】
距離が基準以上であると判別された場合には(S408;Y)、抽出手段は、処理S413にて結線済の他の境界線の端点(通常は始点)との距離が基準以上であるか否かを判別する(S411)。距離が基準以上ではない(未満である)結線済の境界線が存在すると判別された場合には(S411;N)、抽出手段は、当該結線済の境界線が処理中の点リストが表す境界線の一部であるとして、当該結線済の境界線の点を順番に点リストに追加併合する(S412)。抽出手段は、追加併合した結線済の境界線を結線済のデータから削除する。それから、抽出手段の処理は、処理S413へ移行する。結線済の他の境界線の端点との距離がいずれも基準以上であると判別された場合には(S411;Y)、処理中の点リストが新たな境界線のものであるとして、抽出手段の処理は、処理S413へ移行する。なお、結線済の他の境界線のデータが存在しない場合も、抽出手段の処理は、処理S413へ移行する。
【0040】
処理が処理S413へ移行すると、抽出手段は、点リストに記憶された点を設定順に結んで境界線を特定する(S413)。すなわち、境界線は、座標間を結んだベクトルデータとして得られる。抽出手段は、点リストのデータを結線済の境界線のデータとして記憶部12に記憶させたうえで、点リストの内容を消去する。
【0041】
抽出手段は、基準ポリゴンとして未設定の残りポリゴンがあるか否かを判別する(S414)。残りポリゴンがあると判別された場合には(S414;Y)、抽出手段の処理は、処理S402に戻る。残りポリゴンがないと判別された場合には(S414;N)、抽出手段は、結線処理を終了して、処理を境界線特定処理に戻す。以上の処理により、微地形表現図から崩壊地の境界線が抽出される。
【0042】
図7は、機械学習モデル122を学習させるための学習用データ生成処理の制御手順を示すフローチャートである。図8は、正解データの生成例を示す図である。
【0043】
制御部11は、微地形表現図データ201から学習用データとして利用する学習用微地形表現図を選択する(S31)。制御部11は、学習用境界線を線データで設定する(S32)。図8(a)に示すように、境界線は、折線であってもよい。あるいは、境界線は、フリーハンドで自由曲線として描かれてもよい。境界線は、表示部14の表示画面に表示された画像に対して操作受付部15のポインティングデバイスなどにより設定されてもよい。また、制御部11は、外部で設定済の学習用境界線のデータを、通信部132を介して取得してもよい。ここで設定される線データは、地理的座標にてベクトル表現されたデータであってもよい。
【0044】
拡張手段としての制御部11は、設定された学習用境界線を太線化する(S33)。ベクトルデータにおける太線化は、単純に線幅情報の変更によりなされればよい。膨張幅は、微地形表現図における太さが2画素以上になり、かつ崩壊地よりも十分に細い境界領域となる範囲で予め設定される。膨張幅は、実サイズで設定されてもよく、例えば、境界線の幅が1メートルとなるように学習用微地形表現図の縮尺に応じて膨張させる画像データ上の幅が定められてもよい。図8(b)に示すように、図8(a)よりも単純に太くなった境界線が得られる。
【0045】
拡張手段は、太線位置を特定して、ベクトルデータをビットマップ化する(S34)。すなわち、図8(c)に示すように、制御部11は、学習用微地形表現図と同一の解像度のビットマップ画像において、太線が重なる画素位置を特定して、太線との重複有無に応じた2値を設定する。制御部11は、選択されている学習用微地形表現図と生成されたビットマップデータとを組み合わせて学習用データを生成する(S35)。生成されたビットマップデータは、学習用微地形表現図と紐づけられて学習用境界領域データ203に登録される。
【0046】
制御部11は、学習用微地形表現図の選択を終了したか否かを判別する(S36)。学習用微地形表現図の選択を終了していないと判別された場合には(S36;N)、制御部11の処理は、処理S31に戻る。学習用微地形表現図の選択を終了したと判別された場合には(S36;Y)、制御部11は、学習用データ生成処理を終了する。
【0047】
図9は、情報処理装置1で実行されるモデル学習処理の制御手順を示すフローチャートである。制御部11は、学習対象の機械学習モデル122と学習に用いられる学習用データとを指定してモデル学習処理を実行する。
【0048】
学習手段としての制御部11は、微地形表現図データ201に含まれる学習用微地形表現図を1つ選択して、学習用微地形表現図から上述した入力サイズの画像を1つ切り出し、これを機械学習モデル122に入力する(S21)。機械学習モデル122に入力できる画像のサイズは、上述した入力サイズに予め定まっており、そのサイズは、学習用微地形表現図よりも小さい。学習手段は、例えば、乱数に基づいてランダムに学習用微地形表現図を選択し、学習用微地形表現図から入力サイズの画像を、乱数に基づいて学習用微地形表現図内のランダムな位置から切り出して、切り出し画像を機械学習モデル122に入力する。
学習手段は、機械学習モデル122から出力された確率分布図を出力結果として取得する(S22)。処理S21における切り出し画像の入力に対応して、機械学習モデル122は、切り出し画像と同一サイズの確率分布図を出力する。
【0049】
学習手段は、正解データに対する確率分布図の誤差を算出する(S23)。まず、学習手段は、処理S21で選択した学習用微地形表現図に対応する学習用境界領域を正解データとして学習用境界領域データ203から読み出す。次に学習手段は、正解データにおける境界領域(学習用境界領域内)での誤差(領域内誤差)及び正解データにおける境界領域ではない領域(学習用境界領域外)での誤差(領域外誤差)を算出する。学習手段は、例えば、損失関数に交差エントロピー損失を用いて誤差を算出する。その場合、確率分布図が示す画素xでの確率、すなわち画素xが境界領域の画素である確率をq(x)、学習用境界領域内の画素をxpоs、学習用境界領域外の画素をxnegとすると、領域内誤差は、-Σln{q(xpоs)}であり、領域外誤差は、-Σln{q(xneg)}である。
【0050】
学習手段は、誤差のうち、領域内誤差と領域外誤差とで区分して、誤差に重み付けする(S24)。学習手段は、これらの領域の間で、誤差に対して異なる重み付けを付す。例えば、学習手段は、学習用境界領域内の画素数Nposの割合Rpos及び学習用境界領域外の画素数Nnegの割合Rnegに応じた重み付けを行う。学習手段は、(1-Rpos)=Rneg=Nneg/(Npos+Nneg)を領域内誤差に乗じた値と、(1-Rneg)=Rpos=Npos/(Npos+Nneg)を領域外誤差に乗じた値と、を加算して誤差を算出してもよい。学習手段は、画素数Npos及び画素数Nnegを処理S21で選択した学習用微地形表現図の正解データにて算出してもよい。あるいは、学習手段は、微地形表現図データ201に含まれる複数の学習用微地形表現図の正解データにて算出して平均した値により画素数Npos及び画素数Nnegを得てもよい。また、画素数Npos及び画素数Nnegは、微地形表現図データ201に含まれない微地形表現図に基づいて、事前に設定されていてもよい。上記のように、学習用境界領域内の画素数が学習用境界領域外の画素数よりも顕著に少ないので、領域内誤差に対してより大きな重み付けがされて、各誤差が加算されればよい。
【0051】
学習手段は、重み付けされた誤差を最小化するように、機械学習モデル122のパラメータに対してフィードバックし、機械学習モデル122を更新する(S25)。誤差のフィードバックの方法は、従来知られている手法であってもよく、例えば、誤差逆伝播法が利用されてもよい。
【0052】
学習手段は、学習用微地形表現図の選択及び入力が終了したか否かを判別する(S26)。学習手段は、処理S21の入力を予め定めた回数だけ行った場合、又は処理S24にて算出した誤差が予め定めた基準値未満となった場合に終了したと判別する。入力が終了していないと判別された場合には(S26;N)、学習手段の処理は、処理S21に戻る。入力が終了したと判別された場合には(S26;Y)、学習手段は、学習された機械学習モデル122を学習済モデル121として決定する(S27)。そして、学習手段は、モデル学習処理を終了する。
【0053】
なお、本発明は、上記実施の形態に限られるものではなく、様々な変更が可能である。
例えば、機械学習モデル122のアーキテクチャは、Res U-Net以外の画像分割(Segmentation)に係るものであってもよい。例えば、PSPNet、DeepLabV3+、TransUnet、SegFormerなどが挙げられる。
【0054】
また、上記では、損失関数に交差エントロピー(CE)関数を用いて別途誤差に重み付けを行ったが、これに限られない。初めから重みを考慮したFocal損失などが利用されてもよい。また、CE関数に加えてDice損失が併用されてもよい。
【0055】
また、上記では、各ポリゴンの重心位置間を結んで境界線を得たが、これに限られない。例えば、ポリゴンの形状によっては、重心位置がポリゴンの外部に位置する場合もあり得る。このような場合を考慮して、又はこのような場合に限定して、ポリゴンの内部に位置する代表位置(内部保証点)が適宜定められてもよい。また、境界領域を細線化して境界線上の位置を定める際に、マルチポリゴンを利用しなくてもよい。
【0056】
また、上記では、崩壊地の境界線を抽出する場合を例に挙げて説明したが、境界線はこれに限られない。0次谷など、他の地形的特徴であってもよい。
【0057】
また、上記では、情報処理装置1内で制御部11が全ての処理を実行するとしたが、これに限られない。複数の情報処理間で処理が分割されてもよい。また、機械学習モデル122の学習は、情報処理装置1の外部で行われてもよい。学習済モデル121のみが情報処理装置1にコピーされて利用されてもよい。
【0058】
また、以上の説明では、本発明の境界線抽出及び機械学習モデルの学習の制御に係るプログラム120を記憶するコンピュータ読み取り可能な媒体としてHDD、フラッシュメモリなどの不揮発性メモリなどからなる記憶部12を例に挙げて説明したが、これらに限定されない。その他のコンピュータ読み取り可能な媒体として、MRAMなどの他の不揮発性メモリや、CD-ROM、DVDディスクなどの可搬型記録媒体を適用することが可能である。また、本発明に係るプログラムのデータを通信回線を介して提供する媒体として、キャリアウェーブ(搬送波)も本発明に適用される。
その他、上記実施の形態で示した具体的な構成、処理動作の内容及び手順などは、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において適宜変更可能である。本発明の範囲は、特許請求の範囲に記載した発明の範囲とその均等の範囲を含む。
【0059】
以上のように、本実施形態の情報処理装置1は、微地形表現図を解析して所定の地形的特徴、例えば崩壊地が現れている領域の境界線を抽出する。情報処理装置1は、微地形表現図の入力に対し、当該微地形表現図において地形的特徴が現れている領域の境界線の線幅を拡張した境界領域を出力するように予め学習された学習済モデル121を記憶する記憶部12と、制御部11と、を備える。制御部11は、取得手段として、解析対象の微地形表現図を学習済モデル121に入力して、当該学習済モデル121から出力される境界領域を取得する。制御部11は、抽出手段として、取得した境界領域を細線化して解析対象の微地形表現図において地形的特徴が現れている領域の境界線を抽出する。
このように、学習済モデル121により境界領域を抽出し、境界領域を細線化して境界線を抽出するという2段階の処理により、この情報処理装置1は、より高精度に地形特徴の境界線を抽出することができる。
【0060】
また、抽出手段は、取得手段が取得した境界領域を細線化して得られる線画像に沿ったベクトル形式の境界線を抽出してもよい。境界線をベクトル形式のデータとして抽出することにより、縮尺や解像度に依存しない境界線のデータが得られる。
【0061】
また、情報処理装置1は、前記学習に用いる複数の学習用微地形表現図と、前記学習用微地形表現図のそれぞれにおいて前記地形的特徴が現れている領域の境界線を示す学習用境界線とを記憶する学習データ記憶手段としてのデータベース装置21や、可搬型記録媒体を読み取る光学読取装置22に接続されて又は接続可能であってもよい。制御部11は、拡張手段として、学習用境界線のそれぞれに対して当該学習用境界線の線幅を拡張する処理を施して学習用境界領域を生成してもよい。制御部11は、学習手段として、学習用微地形表現図をそれぞれ機械学習モデル122に入力したときの出力結果と、当該学習用微地形表現図に対応する学習用境界領域との誤差を最小化するように機械学習モデル122を更新して、学習済モデル121を生成してもよい。更新は、例えば、勾配降下法を用いた誤差逆伝播法などによりパラメータを更新することで行われ得る。
このように、情報処理装置1は、機械学習モデル122を自機で学習させて学習済モデル121を得てもよい。この際は、利用時と反対に、境界線を太線化して学習の正解データとすることで、機械学習モデル122を適切に学習させることができる。
【0062】
また、学習手段は、学習用境界領域内の画素に対応する出力結果が境界領域の画素ではないことを示す領域内誤差を、学習用境界領域外の画素に対応する出力結果が境界領域の画素であることを示す領域外誤差よりも大きく重み付けて、領域内誤差と領域外誤差とを加算することにより誤差を算出してもよい。境界領域は太線化されても依然画像内に占める面積の割合が著しく小さいので、同一の重みで領域内誤差と領域外誤差とを評価すると、領域内誤差が過小評価されやすい。したがって、領域内誤差を領域外誤差よりも大きく重み付けをすることで、機械学習モデル122は、より効率よく精度の高い境界領域の抽出が可能に学習される。
【0063】
また、地形的特徴が現れている領域の境界線は、崩壊地の境界を表すU字型の境界線であってもよい。崩壊地は、微地形表現図上に明瞭に現れやすい山側の境界に比して、谷側の境界が不明瞭であり、領域全体を特定しづらい。また、防災などの対策上、上流側の境界が特に必要になることが多い。したがって、崩壊地のU字型の境界線をより容易に特定可能であることは、有用性が高い。
【0064】
また、本実施形態の制御部11による境界線抽出方法は、以下の工程を含む。(1)微地形表現図の入力に対し、当該微地形表現図において地形的特徴が現れている領域の境界線の線幅を拡張した境界領域を出力するように予め学習された学習済モデル121を記憶する記憶ステップ。(2)解析対象の微地形表現図を学習済モデル121に入力して、当該学習済モデル121から出力される境界領域を取得する取得ステップ。(3)取得ステップで取得した境界領域を細線化して解析対象の微地形表現図において地形的特徴が現れている領域の境界線を抽出する抽出ステップ。このような境界線抽出方法によれば、制御部11は、学習済モデル121の能力を生かして、より精度よく所望の境界線を抽出することができる。
【0065】
また、上記境界線抽出方法に係るプログラム120をコンピュータにインストールして実行させることで、特別なハードウェアを要さずに、学習済モデル121を利用して地形的特徴の境界線をより精度よく得ることができる。
【符号の説明】
【0066】
1 情報処理装置
11 制御部
12 記憶部
120 プログラム
121 学習済モデル
122 機械学習モデル
13 入出力インターフェイス
131 接続端子
132 通信部
14 表示部
15 操作受付部
21 データベース装置
22 光学読取装置
201 微地形表現図データ
202 学習用境界線データ
203 学習用境界領域データ
【要約】
【課題】より高精度に地形特徴の境界線を抽出可能な境界線抽出装置、境界線抽出方法及びプログラムを提供する。
【解決手段】微地形表現図を解析して所定の地形的特徴が現れている領域の境界線を抽出する境界線抽出装置である。境界線抽出装置は、微地形表現図の入力に対し、微地形表現図において地形的特徴が現れている領域の境界線の線幅を拡張した境界領域を出力するように予め学習された学習済モデルを記憶する記憶手段と、解析対象の微地形表現図を学習済モデルに入力して、学習済モデルから出力される境界領域を取得する取得手段と、取得手段が取得した境界領域を細線化して解析対象の微地形表現図において地形的特徴が現れている領域の境界線を抽出する抽出手段と、を備える。
【選択図】図2
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9