(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-02-21
(45)【発行日】2025-03-04
(54)【発明の名称】デコード機能を有するデュアルロック式組み合わせ南京錠
(51)【国際特許分類】
E05B 37/02 20060101AFI20250225BHJP
【FI】
E05B37/02 A
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021138123
(22)【出願日】2021-08-26
【審査請求日】2023-08-23
(32)【優先日】2020-08-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】503044640
【氏名又は名称】ザ・サンロック・カンパニー・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001896
【氏名又は名称】弁理士法人朝日奈特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】カール ライ
【審査官】鈴木 智之
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2009/0113947(US,A1)
【文献】特開2019-108785(JP,A)
【文献】登録実用新案第3192005(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E05B 1/00-82/58
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
南京錠であって、前記南京錠が、
錠本体部と、
シャックルと、
前記シャックルと係合するように構成された一対のロックボルトであって、前記シャックルは、前記一対のロックボルトのうちの一方と係合するための長脚部と、前記一対のロックボルトのうちの他方と係合するための短脚部とを有する、一対のロックボルトと、
カムスピンドルの動きを縦方向に制御する組み合わせ機構と、
前記カムスピンドルの動きを回転方向に制御するカギ機構とを備え、
前記組み合わせ機構は1つを超えるクラッチを備え、前記1つを超えるクラッチは、前記カムスピンドルに取り付けられており、前記カムスピンドルの縦方向の動きを制御し、
前記カムスピンドルが、前記組み合わせ機構の施錠と解錠とを制御するように構成されており、
前記組み合わせ機構は、前記錠本体部内に取り付けられた1つを超えるダイヤルを備え、
前記カムスピンドルは、少なくとも二組のボルトノッチの組を有し、一方の組は前記組み合わせ機構によって制御され、他方の組は前記カギ機構によって制御され、
前記組み合わせ機構によって制御される前記ボルトノッチの組の一方のボルトノッチは、前記ロックボルトの対の一方と係合するように構成され、前記組み合わせ機構によって制御される前記ボルトノッチの組の他方のボルトノッチは、前記ロックボルトの対の他方と係合するように構成され、
前記組み合わせ機構の前記ボルトノッチは、前記カムスピンドル上で、前記カギ機構の前記ボルトノッチに対して略垂直に配置される、南京錠。
【請求項2】
前記カムスピンドルは、少なくとも1つのスピンドル突起を有する前記組み合わせ機構によって制御される第1の部分と、スピンドル尾部を有する前記カギ機構によって制御される第2の部分とを備える、請求項1記載の南京錠。
【請求項3】
前記組み合わせ機構用の複数の前記ボルトノッチは、前記カギ機構用の複数の前記ボルトノッチとは異なる、請求項1記載の南京錠。
【請求項4】
前記カムスピンドルは、1つを超えるクラッチのそれぞれに対してスピンドル突起を有し、各スピンドル突起は、前記1つを超えるクラッチのうちの対応する前記クラッチの開口間隙と一直線上に並ぶと前記南京錠を解錠する、請求項1記載の南京錠。
【請求項5】
前記カムスピンドルが、前記錠本体部の回転縦チャネル内に組み立てられた方向フィンを有しており、且つ前記カギ機構の回転量と前記組み合わせ機構による縦方向の動きの量を制御する、請求項1記載の南京錠。
【請求項6】
前記カムスピンドルが、前記カギ機構のためのシリンダーに接続されている伝達カムに接続されているスピンドル尾部を有している、請求項5記載の南京錠。
【請求項7】
デコード機構をさらに備えている、請求項1記載の南京錠。
【請求項8】
前記南京錠が解錠モードにあるときに、前記デコード機構を作動させることができる、請求項7記載の南京錠。
【請求項9】
前記デコード機構が、デコード棒とデコード板を有しており、
前記デコード棒が、前記デコード板のスロープを右方向に駆動して前記デコード板のデコードフィンガを前記錠本体部のデコードスロットに向かって押すようにすることができるピンを有しており、
前記デコード棒が押されると、前記クラッチが所定量回転することによっ
てデコードフィンを前記デコードフィンガと接触させて、失ったコードを決定する、請求項8記載の南京錠。
【請求項10】
伝達カムがシリンダーと前記カムスピンドルの間に接続されることで、前記カムスピンドルの回転運動を制御して前記南京錠の解錠状態および施錠状態を制御する、請求項1記載の南京錠。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、デュアルロック機構を有する南京錠に関する。
【背景技術】
【0002】
Eric Lai氏によって開発された組み合わせ南京錠(米国特許第7,117,69号明細書)は、安全性の高い南京錠構造であり、中型の種類の中では最も安全な組み合わせ南京錠のうちの1つである。
【発明の概要】
【0003】
本発明は、複数のデュアルロック制御部を有しており、これら制御部のうちの1つはカギ機構によって制御され、もう一方は組み合わせ機構によって制御される。また、本発明の南京錠はデコード機能を有しており、当該錠がカギによって解錠されると、使用者は、失ったコード(失った組み合わせコード)を回復させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0004】
【
図2】
図2は、本発明の組み合わせ南京錠の保護カバー20の斜視図である。
【
図3】
図3は、組み合わせ南京錠の保護カバー30の斜視図である。
【
図4】
図4は、組み合わせ南京錠の本体前側の斜視図である。
【
図5】
図5は、組み合わせ南京錠の本体後側の斜視図である。
【
図6】
図6は、組み合わせ南京錠のシャックルの斜視図である。
【
図7】
図7は、組み合わせ南京錠のボルトの斜視図である。
【
図8】
図8は、組み合わせ南京錠のカムスピンドルの斜視図である。
【
図9A】
図9Aは、組み合わせ南京錠のクラッチの斜視図である。
【
図9B】
図9Bは、組み合わせ南京錠のクラッチの斜視図である。
【
図10】
図10は、組み合わせ南京錠のダイヤルの斜視図である。
【
図11】
図11は、組み合わせ南京錠の伝達カムの斜視図である。
【
図12】
図12は、組み合わせ南京錠のシリンダーの斜視図である。
【
図13】
図13は、組み合わせ南京錠のデコード板の斜視図である。
【
図14】
図14は、組み合わせ南京錠のデコード棒の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0005】
(
図1A~19C)
本発明は、以下に記載の特徴を有する錠本体部40/50を保護するための天候用の保護カバー20/30を有する南京錠10である。
【0006】
デコード(失ったコードの定義)機能
錠本体部40/50は新デコードスロット47/57を有しており、新デコードスロット47/57は、デコード板130の複数のデコードフィンガ132に結合される。デコード板130はスロープ131をさらに有しており、スロープ131は、デコード棒140のピン141に接続される。デコード棒140は、デコードバネ170にデコード棒140を常に上方向に押させるためのバネ受容棒142を有しており、デコード棒140はデコード板130を左方向に押す。もし錠がカギ機構(下記に記載)によって解錠されると、使用者はデコード棒140を下方に押して、ピン141がデコード板130のスロープ131を右方向に引くようにすることができる。デコード板130が右方向に変位するにつれて、複数のデコードフィンガ132は、デコードスロット47/57の中心に向かって右方向に移動する。デコード板130の複数のデコードフィンガ132が南京錠の中心に向かって右方向に移動して、クラッチ90がダイヤル100によって回転させられると、複数のデコードフィンガ132は、クラッチ90の複数のデコードフィン93をキャッチすることができる。ダイヤル100は複数の歯101を有しており、複数の歯101は、クラッチ90の複数の短いフィン91と複数の長いフィン92に接続されている。ダイヤル100が回転すると、クラッチ90は同じように回転する。使用者が下方に押し続けると、デコード棒140と複数のデコードフィンガ132は、中心に向かって右方向に押す。複数のクラッチ90が時計周りに回転すると、複数のフィンガ132は、クラッチ90の複数のデコードフィンを最終的にはキャッチする。これによって、クラッチの回転は止められ、使用者は、失われたコードを使用者にもたらす正しいコードでダイヤルが止められたこと認識する。
【0007】
組み合わせ機構を介したデュアルロック機能
本発明はカムスピンドル80を有しており、カムスピンドル80は、組み合わせ機構とカギ機構とによって制御される。両方ともカムスピンドル80を制御し、施錠モードから解錠モードへと変更することができる。
【0008】
カムスピンドル80はスピンドル突起81を有しており、スピンドル突起81がクラッチ90の開口間隙94と一直線上に並びカムスピンドル80が下方に押されることによってボルトノッチ82と前記ボルト70とが一直線上に並び、ボルト70が内側に移動してボルト受容切り欠き63とは係合しないようになっている。このようにして、シャックルバネ180がシャックルを上方に押して、組み合わせコードを介して錠を解錠する。組み合わせ錠の使用者が、再度施錠するためにシャックルを下方に押すと、スピンドルバネ160がカムスピンドル80を上方に押して、カムスピンドル80のボルトノッチ82がボルトから離れるようになっている。ボルト70は、シャックル60のボルト受容切り欠き63と係合する。したがって、南京錠は、このとき施錠状態に戻っている。
【0009】
カギ機構を介したデュアルロック機構
カムスピンドル80はスピンドル尾部84を有しており、スピンドル尾部84は、伝達カム110のスピンドル尾部スロット111に接続されている。シリンダー120のシリンダー尾部スロット121は、伝達カム110のシリンダー尾部112に接続されている。適正なカギ190をシリンダー120に挿入し、シリンダーが回転すると、そのときカムスピンドル80は同じように回転する。カムスピンドル80は方向フィン83を有しており、方向フィン83は、錠本体部50の回転縦チャネル59に配置されており、回転縦チャネル59は、カムスピンドル80を回転させて施錠モードから解錠モードにするために、ある程度までしか回転しないようにカムスピンドル80の回転を制限している。カムスピンドル80が回転すると、ボルトノッチ82はボルトと一直線上に並ぶ。ボルトは、ボルトノッチ82と一直線上に並んでいるので、ボルトノッチ82に向かって移動し、また、ボルト70はシャックル60のボルト受容切り欠き63から離れる。その後、シャックルは、シャックルバネ180により上方に押されて、錠を解錠する。カギおよび錠の使用者は、施錠するためにシャックルを施錠位置まで下方に押して、トルクバネ150が伝達カム110のトルクバネスロット113と本体部40/50のトルクバネスロット49/50Bとに接続するようにすることができる。トルクバネ150はカムスピンドル80を自動的に回転させて施錠位置まで戻し、その結果、複数のボルトノッチ82がボルト70から離れる。ボルト70は、シャックル60のボルト受容切り欠き63に再び接続する。したがって、南京錠は、このとき施錠状態に戻っている。
【0010】
施錠モード(
図1A~14)
ボルト70は、錠本体部40/50のボルトスロット43/53に配置される。ボルト70は、シャックル60のボルト受容切り欠き63内に係合し、それにより、ボルト70をカムスピンドル80と接触させる。カムスピンドル80は、回転運動も縦方向の動きも行っていないときには、ボルト70は、施錠位置にボルト70を維持するボルトノッチ82のいずれにも接続されない。したがって、錠は施錠状態にある。
【0011】
積み重なった複数のクラッチ90が、複数のダイヤル100の内側で組み立てられている。複数のクラッチ90は複数の短いフィンと複数の長いフィンとを有しており、これら短いフィンと長いフィンは複数のダイヤル100の複数の歯と係合する。複数のクラッチは、さらに複数のデコードフィン93を有しており、施錠モードではデコード板130は動作せず、それにより、デコードフィンガ132が錠本体部50のデコード棒チャネル58に配置されないようになっている。このような場合には、ダイヤル100の回転運動は、何ら介入されることなく複数のクラッチ90を同じように自由に回転させる。
【0012】
複数のクラッチは開口間隙94を有しており、施錠モードでは、クラッチ90の開口間隙94の少なくとも1つは、カムスピンドル80のスピンドル突起81とは一直線上に並んでいない。このような場合には、カムスピンドル80は、最上部から下方に押してボルト70をボルトノッチ82に対して一直線上に並べることはできない。この場合には、ボルト70は、シャックル60のボルト受容切り欠き63と係合したままである。錠は施錠状態にある。
【0013】
複数のクラッチ90は、それらの両側に一組の不完全ゲート95を有している。このような場合には、カムスピンドル80を最上部から下方に押すことで、スピンドル突起81が不完全ゲート95と係合し、複数のクラッチ90の回転とダイヤル100の回転が妨げられるため、錠に対するどんなピッキングも防止する。また、どんな侵入者がシリンダー120を内側に押して錠のピッキングを試みても、複数の不完全ゲート95が複数のクラッチ90とダイヤル100の回転を阻止する。
【0014】
カムスピンドル80は、カムスピンドル80と最上部のクラッチ90との間に配置されているスピンドルバネ160によって、上方に常に押されている。
【0015】
カムスピンドル80は複数のクラッチ90の内側に配置されており、複数のクラッチ90の開口間隙94とカムスピンドル80のスピンドル突起81とを一直線上に並ばせることにより、縦方向の動きが制御される。カムスピンドル80の頂上部は、錠本体部のスピンドル孔44/54内に配置されている。カムスピンドル80はスピンドル尾部84を有しており、スピンドル尾部84は、伝達カム110のスピンドル尾部スロット内に配置されている。伝達カムは、さらにシリンダー尾部112を有しており、シリンダー尾部112はシリンダー120のシリンダー尾部スロット121と接触している。伝達カム110は、最下部のクラッチ90の下方に配置されている。伝達カム110のスピンドル尾部スロット111は、カムスピンドル80のスピンドル突起81が自由に回転できないがシリンダー120の動きによって回転運動だけが制御されるように形成されている。
【0016】
シリンダー120は、錠本体部40/50のシリンダー孔45/55内に配置されており、適切にカットされたカギが装着されていない場合には、シリンダー120はロックされたままである。そのような場合には、シリンダー120は回転しないので、錠は施錠状態のままである。
【0017】
組み合わせコードによる解錠(
図15A~15C)
ダイヤル100は複数の歯101を有しており、複数の歯101は複数のクラッチ90の複数の短いフィン91と複数の長いフィン92とに係合している。ダイヤルは、複数のクラッチと同じ回転運動で回される。複数のクラッチ90は、内側にカムスピンドル80を有しており、カムスピンドル80のスピンドル突起81とクラッチ90の開口間隙94とによって縦方向の動きを制御する。ダイヤルの文字の組み合わせにより解錠するために、使用者はダイヤル100を回して、クラッチ90の複数の開口間隙94のすべてがカムスピンドル80のスピンドル突起81と一直線上に並ぶようにする。この状態で、使用者はカムスピンドル80を下方に押して、ボルトノッチ82がボルト70と一直線上に並ぶようにする。この場合において、ボルト70は、カムスピンドル80のボルトノッチ82に向かって内側に移動する。このとき、シャックル60のボルト受容切り欠き63を遮るものは何も存在していない。シャックルバネ180はシャックル60を上方に押して、シャックル短脚部61が本体部40/50のシャックル短脚用孔41/51から押し出されるようになっている。シャックル60のシャックル長脚部62は、全ての解錠モードにおいて、シャックル長脚用孔42/52に維持される。
【0018】
カムスピンドル80が、文字の組み合わせによる解錠モードでは本体部50の回転縦チャネル59を下方に動かす方向フィン83を有していることに留意すべきである。カムスピンドル80が下方の位置へ動くときに、方向フィン83は回転運動を行わない。
【0019】
文字の組み合わせによる解錠モードではシリンダー120は回転していないので、この解除モードにおけるカムスピンドル80は、どんな回転運動も行わない。カムスピンドル80は、縦方向に動くのみである。
【0020】
南京錠を施錠するために、シャックルを押してシャックル60のボルト受容切り欠き63に対応する施錠位置に戻す。その後、スピンドルバネ160はカムスピンドル80を上方に押して、ボルト70をボルト受容切り欠き63に再度係合させる。ボルト70は、カムスピンドル80の複数のボルトノッチ82と接触状態にはもはやない。この場合には、複数のクラッチ90の開口間隙94が回転してカムスピンドル80のスピンドル突起81から離れるようにダイヤルをスクランブルすることによって、錠は施錠状態に戻る。
【0021】
カギ使用者による解錠(
図16A~16C)
シリンダー120は、本体部40/50のシリンダー孔45/55に配置される。適切にカットされたカギ190がシリンダー120内に配置されると、シリンダーを回転させることができる。カムスピンドル80は、スピンドル尾部84を有しており、スピンドル尾部84が伝達カム110のスピンドル尾部スロット111の内側に配置されるように形成されている。伝達カム110は、さらにシリンダー尾部112を有しており、シリンダー尾部112は、シリンダー120のシリンダー尾部スロット121の中に配置される。そのような状態では、シリンダー120によってカムスピンドル80の回転運動が制御されるだけである。また、このようにカギで解錠する場合には、前記カムスピンドル80が縦方向に動かないように複数のクラッチ90の開口間隙94はスピンドル突起81と一直線上に並んでいないので、カムスピンドルは、縦方向の動きは行わない。
【0022】
適正にカットされたカギ190をシリンダー120に挿入すると、シリンダー120は回転し、カムスピンドル80も同じように回転する。カムスピンドル80が回転すると、ボルトノッチ82は、ボルト70と一直線上に並ぶ。シャックルバネ180は、カムスピンドル80のボルトノッチ82に向かってボルト70を押して、ボルトはシャックル60のボルト受容切り欠き63とはもはや係合しない。この場合に、シャックルバネ180はシャックルを上方に押し続け、シャックル60の短脚部61が本体部40/50のシャックル短脚部用孔41/51から離れるようになっている。そのような場合では、カギによる解錠操作によって、南京錠は解錠される。
【0023】
カムスピンドル80の方向フィン83が本体部50の回転縦チャネル59の端部に接触すると、シリンダー120の回転が止まる。
【0024】
再度施錠するには、使用者は、シャックルを押して、シャックル60の短脚部61を本体部40/50のシャックル短脚部用孔41/51と一直線上に並べることによってシャックルをその施錠位置に戻すことができる。その後、シャックルが下方に押されると、シャックル60のボルト受容切り欠き63がボルト70と一直線上に並ぶようになっている。本体部40/50のトルクバネスロット49/50Bと伝達カム110のトルクバネスロット113との間にはトルクバネ150が配置されている。トルクバネ150は、伝達カム110を施錠位置へと自動的に回転させる。そのような状態においては、ボルト70は後退してシャックル60のボルト受容切り欠き63と係合する。カムスピンドル80、伝達カム110、およびシリンダー120がサンドイッチ状に位置しているために、ボルト70がボルトノッチ82から離れてシャックルのボルト受容切り欠き63と常に係合するようにカムスピンドル80のボルトノッチ82は回転する。その後、使用者はシリンダー120からカギ190を引き抜くことができる。
【0025】
組み合わせコードの再設定(
図17A~17C)
組み合わせコードの再設定は、複数のクラッチ90の開口間隙94がカムスピンドル80のスピンドル突起81と一直線上に並ぶように複数のダイヤル100すべてが組み合わせ解錠コードと一致した時に行われなければならない。そのとき、使用者はシリンダー120を内側に向かって押して、伝達カム110が上方に押されて複数のクラッチ90を上方に押すようにすることができる。複数のクラッチ90が上方に押されると、開口間隙94はカムスピンドル80のスピンドル突起81と係合する。また、複数のクラッチ90の複数の長いフィン92は、本体部40/50の再設定フィンスロット48/58と係合する。このような場合においては、このことによって複数のクラッチ90の回転運動が制限される。複数のクラッチが上方に押されると、複数のクラッチ90の短いフィン91および複数の長いフィン92は、複数のダイヤル100の複数の歯101から外れる。
【0026】
使用者は、シリンダーを押し続けながら、複数のダイヤルを回して新しいコードを設定することができる。
【0027】
設定後に、使用者はシリンダーを解放して、スピンドルバネ160が複数のクラッチ90を下方に押すようにすることができる。複数のクラッチ90を下方に押すと、短いフィン91と長いフィン92がダイヤル100の複数の歯101に再度係合する。また、長いフィン92は錠本体部40/50の再設定フィンスロット48/58から外れる。南京錠には、ダイヤルの文字の組み合わせによる解錠のための新しいコードがこのとき設定される。
【0028】
デコード機能(
図18A~18C)
錠本体部40/50は、デコード板130のデコードフィンガ132を配置するための新デコードスロット47/57を有している。デコード板130はスロープ131をさらに有しており、スロープ131はデコード棒140のピン141に接続される。デコード棒140は、バネ受容棒142を有しており、バネ受容棒142によってデコードバネ170にデコード棒140を常に上方に押させ、デコード棒140はデコード板130を左方向に押す。
【0029】
使用者がカギ機構を介して錠を解錠すると、デコード機能を作動させることができる。上記したようなカギモードによって錠を解錠した後、シャックル60のシャックル脚部61は錠本体部40/50のシャックル短脚部用孔41/51から離れる。その後、使用者は、スクリュードライバーなどの先のとがった細いものを使用してデコード棒140を下方に押すことができる。
【0030】
錠がカギ機構によって解錠されると、使用者はデコード棒140を下方に押して、ピン141がデコード板130のスロープ131を右方向に引くようにすることができる。デコード板130が右方向に変位すると、複数のデコードフィンガ132はデコードスロット47/57の中心に向かって右方向に移動する。デコード板130のデコードフィンガ132は、南京錠の中心に向かって右方向に移動すると、クラッチ90がダイヤル100によって回転しているときに、デコードフィンガ132はクラッチ90の複数のデコードフィン93をキャッチすることができる。ダイヤル100は複数の歯101を有しており、複数の歯101はクラッチ90の複数の短いフィン91および複数の長いフィン92に接続される。ダイヤル100が回転すると、クラッチ90が同じように回転する。使用者がデコード棒140を下方に押し続けると、デコードフィンガ132は中心に向かって右方向に押される。クラッチ90が時計回りに回転すると、デコードフィンガ132は複数のクラッチ90の複数のデコードフィン93を最終的にキャッチする。これにより複数のクラッチの回転が止められ、使用者はダイヤルが正しいコードで停止されたことを認識し、使用者に失ったコードがもたらされる。
【0031】
各ダイヤルの操作を行うことで、使用者は失われたコードを完全に決定することができる。使用者はデコード棒130を解放して、デコードバネ170をバネ受容棒142に配置し、デコード棒140を上方に押すことができる。デコード棒140が上方に押されると、デコード棒140のピン141がデコード板130のスロープ131を左方向に引く。そのような場合には、デコードフィンガ142は、左方向に移動して錠本体部40/50のデコードスロット47/57から離れる。そのような場合には、デコード板130の複数のデコードフィンガ132は錠本体部40/50のデコードスロット47/57から既に離れているので、クラッチ90の複数のデコードフィン93は、その回転運動中はいずれにも接触しない。
【0032】
カムスピンドル80は、少なくとも二組のボルトノッチ82の組を有している。その二組の内の一方の組は組み合わせ機構によって制御され、他方の組はカギ機構によって制御される。本発明の本実施形態に関して、組み合わせ機構により制御されるボルトノッチは、カギ機構によって制御されるボルトノッチ82の下方に位置しており、組み合わせボルトノッチは、カギ機構で制御されるボルトノッチの下方に位置し、且つカギ機構で制御されるボルトノッチに対して垂直に位置している。
【0033】
ケーブル機能を備える第2の実施形態(
図19A~19C)
南京錠は、一組のケーブル端部200を有するケーブルをシャックル60の代わりに含んでいてもよい。ケーブル端部200は、施錠モードでボルト70に係合するボルトノッチ201をさらに有しており、ボルト切り欠き201はシャックル60のボルト受容切り欠き63と類似の機能を有している。
【符号の説明】
【0034】
10 南京錠
20 保護カバー
30 もう片方の保護カバー
40 前側錠本体部
41 シャックル短脚部用孔
42 シャックル長脚部用孔
43 ボルトスロット
44 スピンドル孔
45 シリンダー孔
46 突起長脚部スロット
47 デコードスロット
48 再設定フィンスロット
49 トルクバネスロット
50 後側錠本体部
51 シャックル短脚部用孔
52 シャックル長脚部用孔
53 ボルトスロット
54 スピンドル孔
55 シリンダー孔
56 突起長脚部スロット
57 デコードスロット
58 デコード棒チャネル
59 回転縦チャネル
50A 再設定フィンスロット
50B トルクバネスロット
60 シャックル
61 シャックル短脚部
62 シャックル長脚部
63 ボルト受容切り欠き
64 長脚部突起
70 ボルト
80 カムスピンドル
81 スピンドル突起
82 ボルトノッチ
83 方向フィン
84 スピンドル尾部
90 クラッチ
91 短いフィン
92 長いフィン
93 デコードフィン
94 開口間隙
95 不完全ゲート
100 ダイヤル
101 歯
110 伝達カム
111 スピンドル尾部スロット
112 スピンドル尾部
113 トルクバネスロット
120 シリンダー
121 シリンダー尾部スロット
130 デコード板
131 スロープ
132 デコードフィンガ
140 デコード棒
141 ピン
142 バネ受容棒
150 トルクバネ
160 スピンドルバネ
170 デコードバネ
180 シャックルバネ
190 カギ
200 ケーブル端部
201 ボルト切り欠き