(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-02-21
(45)【発行日】2025-03-04
(54)【発明の名称】入札支援方法
(51)【国際特許分類】
G06Q 30/08 20120101AFI20250225BHJP
【FI】
G06Q30/08
(21)【出願番号】P 2024109691
(22)【出願日】2024-07-08
【審査請求日】2024-07-12
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】523073725
【氏名又は名称】合同会社坂井豊貴事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100138221
【氏名又は名称】影山 剛士
(74)【代理人】
【識別番号】100177987
【氏名又は名称】河野上 真緒
(72)【発明者】
【氏名】坂井 豊貴
【審査官】永野 一郎
(56)【参考文献】
【文献】特表2013-518329(JP,A)
【文献】特開2013-041358(JP,A)
【文献】特開2002-157457(JP,A)
【文献】特表2019-507399(JP,A)
【文献】特開2020-187527(JP,A)
【文献】特開2012-194956(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2020/0051162(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2003/0041009(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2023/0385923(US,A1)
【文献】中国特許出願公開第116797291(CN,A)
【文献】特開2018-005472(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2003/0018562(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
商品販売の入札を支援する方法であって、
サーバ端末の制御部は、
入札案件の企画を行う主催者の主催者端末から、前記入札案件に関する入力データを受信し、
前記主催者端末から、
プライシング方式の設定に関する入力データを受信し、
前記受信した、前記プライシング方式
の設定に関するデータを、前記入札案件に関するデータに関連付けて、前記サーバ端末の記憶部に格納
し、
前記プライシング方式の設定に関するデータに基づいて、入札者の入札額及び入札個数を含む入札内容に応じて支払額を決定する関数を設定し、
前記入札案件に対し、複数の入札者の入札者端末から、前記入札内容に関する入力データを受信し、受信した前記入札内容に関する入力データに基づいて、前記複数の入札者の中から落札者を決定し、
前記落札者の前記入札内容を前記関数に与えて前記落札者の前記支払額を決定する、方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法であって、
前記制御部は、前記主催者端末から、前記入札案件の入札方式に関する入力データを受信する、方法。
【請求項3】
請求項
1に記載の方法であって、
前記制御部は、前記主催者端末から、前記入札案件の支払上限額に関する入力データを受信し、
前記プライシング方式の設定に関するデータ及び前記支払上限額に基づいて、
前記支払額が前記支払上限額以下となるように前記関数を設定する、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、入札を支援する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、同質複数財の入札として、国債の入札が挙げられる。入札ではなくオークションという語が用いられることも多くあるが、ここでは入札の語で、いわゆる入札とオークションの双方を意味する。
【0003】
国債の入札においては、非特許文献1に開示されているように、入札者から入札された金額について、高い価格から順に落札が決定し、特に、コンベンショナル方式においては、落札者の応札価格がそのまま支払額として決定する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】日本国債入門―ダッチ方式とコンベンショナル方式を中心とした入札(オークション)制度と学術研究の紹介―(財務省)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に開示の技術は、国債の入札に関する文献であるが、同質複数財の入札には、国債以外にも、IPOで販売される新規上場株、セキュリティトークン及び暗号資産等、様々な金融商品や温室効果ガスの排出枠やクレジットが適しており、今後、オンラインにより、同質複数財の入札を支援するサービスの需要は高まるものと考えられる。また、商品販売の入札案件を企画する主催者(運営者)は、様々な商品を販売したり、同じ商品を異なる時期で販売する中で、商品及び/または時期に応じてプライシング方式を柔軟に選択したり設定したりしたい、と考えるものと予想される。
【0006】
そこで、本発明は、上記課題やニーズに鑑み、商品販売の入札案件に応じて柔軟なプライシング方式を選択可能な入札支援方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様における商品販売の入札を支援する方法であって、サーバ端末の制御部は、入札案件の企画を行う主催者の主催者端末から、前記入札案件の入札期間に関する入力データを受信し、前記主催者端末から、前記入札案件の、複数のプライシング方式のうちいずれかのプライシング方式及び特定のプライシング方式を定める各種パラメータの少なくとも一方に関する入力データを受信し、前記受信した、前記入札期間及び前記プライシング方式に関するデータを、前記入札案件に関するデータに関連付けて、前記サーバ端末の記憶部に格納する。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、商品販売の入札案件に応じてプライシング方式を柔軟に選択できたり設定できたりする入札支援方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の第一実施形態に係る、商品販売の入札を支援するシステムを示すブロック構成図である。
【
図2】
図1のサーバ端末100を示す機能ブロック構成図である。
【
図3】
図1の入札企画の主催者端末200を示す機能ブロック構成図である。
【
図4】サーバ端末100に格納される、入札データの一例を示す図である。
【
図5】サーバ端末100に格納される、入札者から受信する入札データの一例を示す図である。
【
図6】本発明の第一実施形態に係る、入札支援方法の一例を示すフローチャートである。評価データの一例を説明する概念図である。
【
図7】本発明の第一実施形態に係る、入札支援方法の他の一例を示すフローチャートである。
【
図8】本発明の第二実施形態に係る、入札支援方法の一例を示すフローチャートである。
【
図9】本発明の第二実施形態に係る、入札支援方法の他の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。なお、以下に説明する実施形態は、特許請求の範囲に記載された本発明の内容を不当に限定するものではない。また、実施形態に示される構成要素のすべてが、本発明の必須の構成要素であるとは限らない。
【0011】
<構成>
図1は、本発明の第一実施形態に係る、商品販売の入札を支援する方法を実行するシステムを示すブロック構成図である。本システム1は、例えば、一または複数の入札案件を管理し、各入札案件の入札処理の支援を実行する、サーバ端末100、上記入札案件を企画する、企画の主催者の主催者端末200、及び、上記入札案件に対して入札を行う入札者の入札者端末300等で構成される。なお、説明の便宜上、各端末を単一または特定数のものとして記載しているが、各々数は制限されない。
【0012】
サーバ端末100、主催者端末200及び入札者端末300は、ネットワークNW1を介して各々接続される。ネットワークNWは、インターネット、イントラネット、無線LAN(Local Area Network)やWAN(Wide Area Network)等により構成される。
【0013】
サーバ端末100は、例えば、ワークステーションやパーソナルコンピュータのような汎用コンピュータとしてもよいし、或いはクラウド・コンピューティングによって論理的に実現されてもよい。
【0014】
主催者端末200及び入札者端末300は、例えば、パーソナルコンピュータやタブレット端末等の情報処理装置であるが、スマートフォンや携帯電話、PDA等により構成してもよい。
【0015】
本実施形態では、システム1は、サーバ端末100、主催者200、及び入札者端末300を備え、各端末のユーザが各々の端末を利用して、サーバ端末100に対する操作を行う構成として説明するが、サーバ端末100がスタンドアローンで構成され、サーバ端末自身に、各主催者が直接操作を行う機能を備えてもよい。
【0016】
図2は、
図1のサーバ端末100の機能ブロック構成図である。サーバ端末100は、通信部110と、記憶部120と、制御部130とを備える。
【0017】
通信部110は、ネットワークNW1を介して主催者端末200、入札者端末300と通信を行うための通信インターフェースであり、例えばTCP/IP(Transmission Control Protocol/Internet Protocol)等の通信規約により通信が行われる。
【0018】
記憶部120は、各種制御処理や制御部130内の各機能を実行するためのプログラム、入力データ等を記憶するものであり、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)等から構成される。また、記憶部120は、入札案件に関連する各種データを格納する、入札データ格納部121を有する。なお、各種データを格納したデータベース(図示せず)が記憶部120またはサーバ端末100外に構築されていてもよい。
【0019】
制御部130は、記憶部120に記憶されているプログラムを実行することにより、サーバ端末100の全体の動作を制御するものであり、CPU(Central Processing Unit)やGPU(Graphics Processing Unit)等から構成される。制御部130の機能として、各端末からの指示や情報を受け付ける情報受付部131と、入札案件に関連する各種データを参照し、処理する、情報処理部132と、を有する。この情報受付部131及び情報処理部132は、記憶部120に記憶されているプログラムにより起動されてコンピュータ(電子計算機)であるサーバ端末100により実行される。
【0020】
情報受付部131は、主催者端末200及び入札者端末300等から通信部110を介して情報を受付ける。例えば、主催者端末200から、主催者により入力された、入札案件に関する条件に関する情報等を受信する。
【0021】
情報処理部132は、入札案件に関連する各種データ(例えば、後述する入札データ1000等)を参照し、所定の処理を行う。
【0022】
また、制御部130は、図示しない、画面生成部を有することもでき、求めに応じて、主催者端末200または入札者端末300のユーザーインターフェースを介して表示される画面情報を生成する。例えば、記憶部120に格納された(図示しない)画像及びテキストデータを素材として、所定のレイアウト規則に基づいて、各種画像及びテキストをユーザーインターフェースの所定の領域に配置することで、ユーザーインターフェースを生成する。画像生成部に関連する処理は、GPU(Graphics Processing Unit)によって実行することもできる。
【0023】
図3は、
図1の主催者端末200を示す機能ブロック構成図である。主催者端末200は、通信部210と、表示操作部220と、記憶部230と、制御部240とを備える。
【0024】
通信部210は、ネットワークNWを介してサーバ端末100と通信を行うための通信インターフェースであり、例えばTCP/IP等の通信規約により通信が行われる。
【0025】
表示操作部220は、ユーザが指示を入力し、制御部240からの入力データに応じてテキスト、画像等を表示するために用いられるユーザーインターフェースであり、主催者端末200がパーソナルコンピュータで構成されている場合はディスプレイとキーボードやマウスにより構成され、主催者端末200がスマートフォンまたはタブレット端末で構成されている場合はタッチパネル等から構成される。この表示操作部220は、記憶部230に記憶されている制御プログラムにより起動されてコンピュータ(電子計算機)である主催者端末200により実行される。
【0026】
記憶部230は、各種制御処理や制御部240内の各機能を実行するためのプログラム、入力データ等を記憶するものであり、RAMやROM等から構成される。また、記憶部230は、サーバ端末100との通信内容を一時的に記憶している。
【0027】
制御部240は、記憶部230に記憶されているプログラムを実行することにより、主催者端末200の全体の動作を制御するものであり、CPUやGPU等から構成される。
【0028】
なお、入札者端末300についても、主催者端末200と実質的に同じ構成とすることができ、説明を省略する。
【0029】
図4は、サーバ端末100に格納される入札データの一例を示す図である。
【0030】
図4に示す入札データ1000は、入札に関連する各種データを格納する。
図4において、説明の便宜上、一入札案件(例えば、X社が販売する金融商品に対応する入札ID「10001」で識別される入札案件)の例を示すが、複数の案件の情報を格納することができる。入札に関連する各種データとして、例えば、入札案件に関する基本データ(例えば、案件名、主催者データ(主催者ID、主催者名、業種等)、商品データ(商品名、商品カテゴリ、商品の説明等)、入札設定データ(入札方式(公開/封印入札)、入札期間、プライシング方式(ビッド支払方式、均一価格方式、スペイン方式等)、特定のプライシング方式を定める各種パラメータ(入札案件及び入札等の情報に応じて価格を決定する式を定める変数)、入札個数の範囲を定めるパラメータ、支払上限額、支払下限額、目標収益額等)、及び入札取引データ(入札者、入札額、入札個数、入札日時、落札者入札額、落札者、支払額等)を含むことができるがこれらに限られない。さらに、入札データ1000は、案件毎、主催者毎、業種毎、商品カテゴリ毎等の入札案件データに基づいて分析された、分析データ(主催者データ、最高落札価格、最低落札価格、最高非落札価格、落札金額の性質、落札者の入札時期の性質、全入札の性質、目標収益額達成率等)を含むこともできる。
【0031】
<処理の流れ>
図6を参照しながら、本実施形態のシステム1が実行する、入札支援方法の処理の流れについて説明する。
図6は、本発明の第一実施形態に係る、入札を支援する方法の一例を示すフローチャートである。
【0032】
まず、入札案件を企画する主催者は、主催者端末200に実装されるブラウザまたはアプリケーションを介して、サーバ端末100にアクセスし、サービスにログインする。そして、主催者は、入札案件を作成するため、入札案件に関する基本データ及び入札取引データ及び関連するデータの内、必要な情報を、主催者端末200に表示される所定の画面を介して入力し、サーバ端末100の制御部130の情報受付部131は、入力された情報を受信する。主催者が入力する情報には、複数の候補の中から選択された特定のプライシング方式及び特定のプライシング方式を定める各種パラメータの少なくとも一方といった、プライシング方式の確定に関する情報が含まれる。サーバ端末100の制御部130の情報処理部132は、受信した基本情報を、記憶部120の入札データ格納部121に、入札データ1000の一部として格納することで、案件登録を実行する。
【0033】
そして、ステップS101の処理として、サーバ端末100の制御部130の情報受付部131は、通信部110を介して、主催者端末200から、入札案件について、主催者より入力された、入札方式に関するデータを受信する。入札方式として、公開入札及び封印入札が挙げられ、封印入札においては、入札者が入札すると、その後に原則として入札額や入札個数といった入札内容を変更できない一方、公開入札においては、入札期間内に、入札者が入札内容を更新できる点が異なる。サーバ端末100の制御部130の情報処理部132は、受信した入札方式に関する入力データを、記憶部120の入札データ格納部121に、入札データ1000の一部として格納することで、入札方式の登録を実行する。以下、本例においては、同質複数財(同じものを複数個)を封印入札で販売することを前提に説明する。ただし本実施形態は、販売する財が複数個でなく1個であるときを、特殊ケースの一つとして含む。
【0034】
続いて、ステップS102の処理として、サーバ端末100の制御部130の情報受付部131は、通信部110を介して、主催者端末200から、入札案件について、主催者より入力された、入札期間に関するデータを受信する。サーバ端末100の制御部130の情報処理部132は、受信した入札期間に関する入力データを、記憶部120の入札データ格納部121に、入札データ1000の一部として格納することで、入札期間の登録を実行する。
【0035】
続いて、ステップS103の処理として、サーバ端末100の制御部130の情報受付部131は、通信部110を介して、主催者端末200から、入札案件について、主催者より入力された、プライシング方式に関するデータを受信する。サーバ端末100の制御部130の情報処理部132は、受信したプライシング方式に関する入力データを、記憶部120の入札データ格納部121に、入札データ1000の一部として格納することで、プライシング方式の登録を実行する。ここで、プライシング方式とは、入札者が入札結果の確定後に支払う支払額の設定方法のことをさす。
【0036】
入札ベクトルにある入札額のうち、入札額が高い順に、販売する財を割り当てる。ここで入札ベクトルとは、例えば、各入札者iの入札額b_iと入札個数q_iといった入札内容(b_i,q_i)の組み合わせ(b,q)=((b_1,q_1),(b_2,q_2),…,(b_n,q_n))のことである。財を割り当てられた入札をしていた者は、その割り当てられた個数の、落札者となる。例として、同じ財を5個販売し、入札者が4人の状況を考える。入札状況は次のようだとする。すなわち、
1) 入札者Aは「20円で2個」の入札をした(b_A=20,q_A=2)。 *「20円」は1個あたり入札額。
2) 入札者Bは「13円で1個」の入札をした(b_B=13,q_B=1)。
3) 入札者Cは「11円で2個」の入札をした(b_C=11,q_c=2)。*「11円」は1個あたり入札額。
4) 入札者Dは「9円で1個」の入札をした(b_D=9,q_D=1)。
以上より、入札ベクトルは(b,q)=((20,2),(13,1),(11,2),(9,1))。
ところで「入札者Aと入札者Bは同一人物」のようなことはあってよい。「20円で2個」と「13円で1個」を両方とも入札する人は、このように二人の入札者として、ここでは表される。入札額のうち上位5つは「入札者Aの20円で2個」「入札者Bの13円で1個」「入札者Cの11円で2個」。これらが「勝ち入札」であり、落札者として、財が割り当てられる。なお、同じ入札額を付けていた入札者が複数おり、かつ割り当てる財の個数がその入札額での購入希望総数に満たない場合は、入札額以外の情報または抽選、あるいはそれらの両方を組み合わせて勝ち入札を決める。
【0037】
そのうえで、落札者が支払う支払額には、プライシング方式によって、いくつかのパターンが挙げられる。以下はその例である。
1)ビッド支払方式: 入札額をそのまま各人の価格にする。つまり「入札者Aの20円で2個」は2個とも20円、「入札者Bの13円で1個」は13円、「入札者Cの11円で2個」は2個とも11円とする。主催者は計(20+20)+13+(11+11)=75円を得る。
2)均一価格方式:勝ち入札の最少額を各人の価格とする。つまり「入札者Aの20円で2個」も、「入札者Bの13円で1個」も、「入札者Cの11円で2個1+(11+11)=55円を得る。
3)スペイン方式:勝ち入札の平均値は(20+20+13+11+11)/5=75/5=15円。各人の1個あたり支払額は、勝ち入札の平均値を上限とする。つまり平均値15円を超す「入札者Aの20円」には、1個あたり価格を15円と抑える。一方、平均値以下である「入札者Bの14円で1個」は14円とし、同じく平均値以下である「入札者Cの11円で2個」も1個あたり価格を11円とする。主催者は計(15+15)+13+(11+11)=65円を得る。
【0038】
本ステップにおいて、サーバ端末100の制御部130の情報処理部132は、主催者が入力したプライシング方式の確定に関する情報を用いて、以下の関数Fを設定する。すなわち、関数Fは、入札ベクトル(b,q)に応じて、入札者i=1,2,…,nの支払額ベクトルF(b,q)=(F_1(b,q),F_2(b,q),…,F_n(b,q))を与える。ここで、F_i(b,q)は入札者iの支払額を表す。つまりプライシング方式の確定に関する情報は、関数Fの形状を定め、関数Fは与えられた入札ベクトルに応じて各入札者の支払額を定める。
【0039】
続いて、ステップS104の処理として、サーバ端末100の制御部130の情報処理部132は、上記登録した入札案件に関するデータを、入札期間、プライシング方式に関する情報を含めて、複数の入札者端末300に送信することで、入札案件の内容を公開する。
【0040】
続いて、
図7は、本発明の第一実施形態に係る、入札を支援する方法の他の一例を示すフローチャートである。本例においては、上記公開された入札案件に対して、複数の入札者から入札を受け付ける場合を想定して、以下説明する。
【0041】
ステップS201の処理として、サーバ端末100の制御部130の情報受付部131は、通信部110を介して、複数の入札者端末300から、入札案件について、入札者より入力された、入札額と入札個数に関するデータを受信する。ここで、各入札者iが、入札内容として自身の入札額と入札個数(b_i,q_i)を各入札者端末300で入力したとき、入札ベクトルは(b,q)=((b_1,q_1),(b_2,q_2),…,(b_n,q_n))として表される。ただしp_iとq_iは主催者が事前に設定した各種パラメータによって、入札者が入力できる数の範囲が限られていたり数が固定されていたりすることがあり、数が固定されている場合には入札者はわざわざその数を入力しないで済む設定となっていることが通常である。ここで入札額及び入札個数が、例えば
図5に示すように、入札者Aは「20円で2個」、入札者Bは「13円で1個」の入札、入札Cは「11円で2個」、入札Dは「9円で1個」の入札であったとする。サーバ端末100の制御部130の情報処理部132は、受信した上記入札額及び個数に関する入力データを、記憶部120の入札データ格納部121に、入札データ1000として格納する。
【0042】
続いて、ステップS202の処理として、サーバ端末100の制御部130の情報受付部131は、通信部110を介して、複数の入札者より入力された、入札額と入札個数に関するデータに基づいて、入札額の高い順に落札者(勝ち入札)を決定する。例えば、上記入札額のうち上位5つは「入札者Aの20円で2個」「入札者Bの13円で1個」「入札者Cの11円で2個」であり、これらが「勝ち入札」となり、入札者A、B及びCに財が割り当てられることとなる。サーバ端末100の制御部130の情報処理部132は、決定した落札者(勝ち入札)を、記憶部120の入札データ格納部121に、入札データ1000として格納する。入札額が等しい入札者が複数いる場合は、入札額以外の情報に基づき勝ち入札を決めるか、ランダムに抽選で勝ち入札を決めるか、それら二つの決め方を組み合わせて勝ち入札を決める。
【0043】
続いて、ステップS203の処理として、サーバ端末100の制御部130の情報処理部132は、記憶部121の入札データ格納部121の入札データ1000に格納される、上記プライシング方式の確定に関する情報を参照する。
【0044】
続いて、ステップS204の処理として、サーバ端末100の制御部130の情報処理部132は、上記プライシング方式の確定に関する情報及び入札ベクトルに基づいて、それぞれの入札者の支払額を決定する。ここで、サーバ端末100の制御部130の情報処理部132は、入札ベクトル(b,q)に、支払額ベクトルF(b,q)=(F_1(b,q),F_2(b,q),…,F_n(b,q))を与える。ここで、F_i(b,q)は入札者iの支払額を表し、値はゼロもありえる(もしiが入札の敗者であれば、通常はこの値はゼロとなる。通常主催者はFがそうなるよう設定する)。上記説明の通り、例えばFがビッド支払い方式に対応する場合、入札者Aは、2個とも20円、入札者Bは、13円、入札者Cは、2個とも11円の支払額となり、主催者は計75円を得る。また、Fが均一価格方式に対応する場合、入札者A、入札者B、及び入札者Cは、すべて1個あたり11円の支払額となり、主催者は計55円を得る。このように、本実施形態によれば、商品販売の入札案件に応じて、主催者はプライシング方式を柔軟に設定できる。この選択によって、主催者は売上を高めることもできる。例えば、一見ビッド支払い方式は、主催者の売上は最大化されそうだが、常にそうとは限らない。入札者はプライシング方式に応じて入札額や入札個数を変えるからである。例えば均一価格方式のもとでは、最低落札価格が一単位当たり支払額となるので、入札者は安心して高い入札額を付けやすい。そして多くの入札者がそのように行動すると、最低落札価格が上昇して、主催者の売上は上がりうる。重要なのは、主催者が、自身の目的に応じて、プライシング方式を柔軟に選択したり設定したりできることである。
【0045】
図8は、本発明の第二実施形態に係る、入札支援方法の一例を示すフローチャートである。
【0046】
まず、ステップS301の処理として、サーバ端末100の制御部130の情報受付部131は、通信部110を介して、主催者端末200から、入札案件について、主催者より入力された、入札方式に関するデータを受信する。入札方式として、公開入札及び封印入札が挙げられ、封印入札においては、入札者が入札すると、その後には原則として入札額や入札個数といった入札内容を変更できない一方、公開入札においては、入札期間内に、入札者が入札内容を更新できる点が異なる。サーバ端末100の制御部130の情報処理部132は、受信した入札方式に関する入力データを、記憶部120の入札データ格納部121に、入札データ1000として格納することで、入札方式の登録を実行する。以下、本例においては、同質複数財(同じものを複数個)を封印入札で販売することを前提に説明する。
【0047】
続いて、ステップS302の処理として、サーバ端末100の制御部130の情報受付部131は、通信部110を介して、主催者端末200から、入札案件について、主催者より入力された、入札期間に関するデータを受信する。サーバ端末100の制御部130の情報処理部132は、受信した入札期間に関する入力データを、記憶部120の入札データ格納部121に、入札データ1000として格納することで、入札期間の登録を実行する。
【0048】
続いて、ステップS303の処理として、サーバ端末100の制御部130の情報受付部131は、通信部110を介して、主催者端末200から、入札案件について、主催者より入力された、支払額の上限値に関するデータを受信する。サーバ端末100の制御部130の情報処理部132は、受信した支払額の上限値に関する入力データを、記憶部120の入札データ格納部121に、入札データ1000として格納することで、支払額の上限値の登録を実行する。
本ステップにおいて、サーバ端末100の制御部130の情報処理部132は、以下の関数Gを設定する。すなわち、関数Gは、「入札者が支払う価格の上限」を与え、上記支払額ベクトルFがGによって定義される。
【0049】
続いて、ステップS304の処理として、サーバ端末100の制御部130の情報処理部132は、上記登録した入札案件に関するデータを、支払額の上限値の設定に関する情報を含めて、複数の入札者端末300に送信することで、入札案件の内容を公開する。
【0050】
続いて、
図9は、本発明の第二実施形態に係る、入札を支援する方法の他の一例を示すフローチャートである。本例においては、上記公開された入札案件に対して、複数の入札者から入札を受け付ける場合を想定して、以下説明する。
【0051】
ステップS401の処理として、サーバ端末100の制御部130の情報受付部131は、通信部110を介して、複数の入札者端末300から、入札案件について、入札者より入力された又は主催者が事前に設定した各種パラメータが定めた、入札額と入札個数に関するデータを受信する。ここで、各入札者iが、自身の入札額と入札個数(b_i,q_i)を各入札者端末300で入力したとき、入札ベクトルを(b,q)=((b_1,q_1),(b_2,q_2),…,(b_n,q_n))で表すことができる。また、ここで、各入札者により入力された入札額及び入札個数は、例えば
図5に示すように、各々、入札者Aは「20円で2個」、入札者Bは「13円で1個」の入札、入札Cは「11円で2個」、入札Dは「9円で1個」の入札であったとする。サーバ端末100の制御部130の情報処理部132は、受信した上記入札額及び個数に関する入力データを、記憶部120の入札データ格納部121に、入札データ1000として格納する。
【0052】
続いて、ステップS402の処理として、サーバ端末100の制御部130の情報受付部131は、通信部110を介して、入札額と入札個数に関するデータに基づいて、落札者(勝ち入札)を決定する。例えば、上記入札額のうち上位5つは「入札者Aの20円で2個」「入札者Bの13円で1個」「入札者Cの11円で2個」であるが、これらが「勝ち入札」となり、入札者A、B及びCに財が割り当てられることとなる。サーバ端末100の制御部130の情報処理部132は、決定した落札者(勝ち入札)を、記憶部120の入札データ格納部121に、入札データ1000の一部として格納する。
【0053】
続いて、ステップS403の処理として、サーバ端末100の制御部130の情報処理部132は、記憶部121の入札データ格納部121の入札データ1000に格納される、上記プライシング方式の確定に関する情報を参照し、また、上記設定した支払額の上限値を参照する。
【0054】
続いて、ステップS404の処理として、サーバ端末100の制御部130の情報処理部132は、上記プライシング方式の確定に関する情報及び入札額や入札個数といった入札内容に関する情報に基づいて、落札者の支払額を決定する。ここで、サーバ端末100の制御部130の情報処理部132は、入札ベクトル(b,q)に、上限額ベクトルG(b,q)=(G_1(b,q),G_2(b,q),…,G_n(b,q))を与える。そして情報処理部132は、b_i>G_i(b,q)である勝ち入札は、支払う額が G_i(b,q)で抑えられるとし、b_i≦G_i(b,q)である勝ち入札は、支払う額をb_iとする。つまり勝ち入札をつけた入札者は、一単位あたりF_i(b,q)=min{G_i(b,q),b_i}円を主催者に支払い、財を受け取る。ここで例えばGが、起こりうる各(b,q)に対して、G_i(b,q)に
イ)勝ち入札の「平均値」を対応させる関数だと、この入札方式は、スペイン方式と一致する。
ロ)勝ち入札の「最大値」を対応させる関数だと、この入札方式は、ビッド支払い方式と一致する。
ハ)勝ち入札の「最小値」を対応させる関数だと、この入札方式は、均一価格方式と一致する。
なお、Gは入札額や入札個数に限らず、入札者の年齢といった情報によって上限額を与えることもありえる。例えば若年入札者には少ない支払額で済むよう、相対的に低い上限額を与えるというように。すなわち、オンライン入札システムに本機能が備わることで、主催者は、様々なプライシング方式を容易に作ることができる。
【0055】
ここで、第1実施形態及び第2実施形態に開示された機能と関連して、サーバ端末100の制御部130の情報処理部132は、ア)入札期間の終了後に、入札の統計分析結果を算出して、主催者端末200の管理画面に表示させることができる。統計分析結果の例として、以下のものが挙げられる。
1)最高落札価格(勝ち入札の最高値)、最低落札価格(勝ち入札の最低値)、最高非落札価格(負け入札の最高値)
2)勝ち入札の金額の性質(平均値、分散等)
3)勝ち入札の入札時期の性質(日にちや時刻等)
4)すべての入札の性質(平均値、分散等)
5)すべての入札の性質(日にちや時刻等)
【0056】
また、情報処理部132は、イ)過去に実施された多数の入札イベントのうち、ユーザが指定する複数の入札イベントについて、入札の統計分析結果を算出して表示させることができる。統計分析結果とは、例として以下のものが挙げられる。
1)商品Xを、入札イベントAではビッド支払い方式で販売し、入札イベントBでは均一価格方式で販売したとする。このとき、この機能を用いると、Aでの上記1)の結果とBでの上記1)の結果が計算されて、両者が比較しやすいように並べて表示される。比較しやすいとは、例えば「AのほうがBよりも最低落札価格が高い」とき、Aのほうだけが赤色に表示されるといったことが挙げられる。
2)これまで共通の方式(例:ビッド支払い方式)で実施した入札イベントたちについて、統計分析結果を計算して表示する。例えば、ビッド支払い方式では、入札額の分散がいくらかになっているか、目標収益額の達成率がいくらかになっているかが、表示される。
さらに、情報処理部132は、上述(イ)を、複数の方式について同時に計算し、表示させることができる。これによりビッド支払い方式と均一価格方式とではどちらが目標収益額の達成率が高いか、といったことを定量的に比較できるようになる。本実施形態により、プライシング方式を柔軟に選択できたり設定できたりするのみならず、主催者は、プライシング方式の選択や設定を統計に基づいて決定することができる。
【0057】
以上、発明に係る実施形態について説明したが、これらはその他の様々な形態で実施することが可能であり、種々の省略、置換および変更を行なって実施することが出来る。これらの実施形態および変形例ならびに省略、置換および変更を行なったものは、特許請求の範囲の技術的範囲とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0058】
1 システム 100 サーバ端末、110 通信部、120 記憶部、130 制御部、200 主催者端末、300 入札者端末、NW1 ネットワーク
【要約】 (修正有)
【課題】商品販売の入札案件に応じて柔軟なプライシング方式を選択可能な入札支援方法を提供する。
【解決手段】サーバ端末、主催者端末及び入札者端末を備えるシステムにおいて、商品販売の入札を支援する方法は、サーバ端末の制御部が、入札案件の企画を行う主催者の主催者端末から、入札案件の入札期間に関する入力データを受信し、主催者端末から、入札案件の、複数のプライシング方式のうち特定のプライシング方式及び特定のプライシング方式を定める各種パラメータの少なくとも一方に関する入力データを受信し、受信した入札期間及びプライシング方式に関するデータを、入札案件に関するデータに関連付けて、サーバ端末の記憶部に格納することでプライシング方式を登録し、登録した入札案件に関するデータを、入札期間、プライシング方式に関する情報を含めて、複数の入札者端末に送信することで、入札案件の内容を公開する。
【選択図】
図6