(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-02-21
(45)【発行日】2025-03-04
(54)【発明の名称】付加音発生装置
(51)【国際特許分類】
G10K 15/04 20060101AFI20250225BHJP
【FI】
G10K15/04 302J
G10K15/04 303E
(21)【出願番号】P 2021056220
(22)【出願日】2021-03-29
【審査請求日】2023-12-22
(73)【特許権者】
【識別番号】322003857
【氏名又は名称】パナソニックオートモーティブシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109210
【氏名又は名称】新居 広守
(74)【代理人】
【識別番号】100137235
【氏名又は名称】寺谷 英作
(74)【代理人】
【識別番号】100131417
【氏名又は名称】道坂 伸一
(72)【発明者】
【氏名】今野 文靖
(72)【発明者】
【氏名】大西 将秀
【審査官】稲葉 崇
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-121209(JP,A)
【文献】特開2013-129369(JP,A)
【文献】特開2012-232699(JP,A)
【文献】特開2011-213273(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G10K 15/00-15/12
H04R 3/00-3/14
H04S 1/00-7/00
B60R 9/00-11/06
B60L 1/00-3/12
B60L 7/00-13/00
B60L 15/00-58/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の操作に応じて変化する制御パラメータに基づいて付加音を発生させる付加音発生装置であって、
前記制御パラメータの変化に対して、前記制御パラメータの変化と同じタイミングで、前記付加音を緩慢に変化させる制御部を備え、前記制御部は、前記制御パラメータの変化の割合が所定の割合よりも大きい場合、前記制御パラメータの変化の割合よりも小さい割合、または前記所定の割合と同じ割合である第1の割合で前記付加音を緩やかに線形に変化させ、その後、前記第1の割合よりも小さい第2の割合で前記付加音を線形に変化させ
、さらに前記制御パラメータの立ち上がり側の変化の割合と、前記制御パラメータの立ち下がり側の変化の割合とを個別に設定し、緩慢の程度を前記制御パラメータの前記立ち下がり側よりも前記制御パラメータの前記立ち上がり側を小さく設定することで、緩慢処理後の音信号に基づいてスピーカから前記付加音を車室内に発生させ、前記制御パラメータが急変することに伴って前記付加音が急変することを抑制し、前記付加音の急変によって乗員に与える違和感を抑制する、
付加音発生装置。
【請求項2】
前記制御パラメータは、アクセル開度および前後加速度の少なくとも一方を含む、
請求項1に記載の付加音発生装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、付加音発生装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両の加速操作等を制御パラメータとし、制御パラメータに基づいて加速音を発生させるエンジン音制御装置が開示されている(たとえば、特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1のエンジン音制御装置では、制御パラメータが急変した場合、制御パラメータの変化に合わせてエンジン音が付加されるので、実際の車両の状態とエンジン音とが合わず、乗員に違和感を与える。
【0005】
そこで、本開示は、乗員に違和感を与えることを抑制できる付加音発生装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様に係る付加音発生装置は、車両の操作に応じて変化する制御パラメータに基づいて付加音を発生させる付加音発生装置であって、前記制御パラメータの変化に対して、前記付加音を緩慢に変化させるまたは前記付加音を遅延して変化させる制御部を備える。
【発明の効果】
【0007】
本開示の付加音発生装置は、乗員に違和感を与えることを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、実施の形態1における付加音発生装置の機能構成を示すブロック図である。
【
図2】
図2は、緩慢処理前後の制御パラメータの一例を示すグラフである。
【
図3】
図3は、緩慢処理前後の制御パラメータの他の一例を示すグラフである。
【
図4】
図4は、緩慢処理前後の制御パラメータのさらに他の一例を示すグラフである。
【
図5】
図5は、遅延処理前後の制御パラメータの一例を示すグラフである。
【
図6】
図6は、遅延処理前後の制御パラメータの他の一例を示すグラフである。
【
図7】
図7は、遅延処理前後の制御パラメータのさらに他の一例を示すグラフである。
【
図8】
図8は、実施の形態2における付加音発生装置の機能構成を示すブロック図である。
【
図9】
図9は、アクセル開度と付加音の音量との関係の一例を示すグラフである。
【
図10】
図10は、実施の形態3における付加音発生装置の機能構成を示すブロック図である。
【
図11】
図11は、実施の形態4における付加音発生装置の機能構成を示すブロック図である。
【
図12】
図12は、実施の形態5における付加音発生装置の機能構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、実施の形態について、図面を参照しながら具体的に説明する。
【0010】
なお、以下で説明する実施の形態は、いずれも包括的または具体的な例を示すものである。以下の実施の形態で示される数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置位置および接続形態、ステップ、ステップの順序等は、一例であり、本開示を限定する主旨ではない。また、以下の実施の形態における構成要素のうち、最上位概念を示す独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。
【0011】
また、各図は、模式図であり、必ずしも厳密に図示されたものではない。また、各図において、同じ構成部材については同じ符号を付している。
【0012】
(実施の形態1)
図1は、実施の形態1における付加音発生装置10の機能構成を示すブロック図である。
【0013】
図1に示すように、付加音発生装置10は、車両の操作に応じて変化する制御パラメータに基づいて付加音を発生させる装置である。たとえば、車両は、車輪が駆動することによって走行する乗り物であり、自動車または電車等である。具体的には、たとえば、車両は、モータを動力原とする電気自動車、2つ以上の動力源を備えるハイブリッド自動車、またはエンジンを動力源とする自動車等である。また、たとえば、制御パラメータは、車両のアクセル開度、車両の前後加速後、車両の速度、および車両の駆動トルク等を含んでいる。また、たとえば、付加音は、エンジン音またはモータ音等である。
【0014】
付加音発生装置10は、インターフェース(I/F)12と、制御部14と、信号生成部16と、電圧変換部18と、AMP20と、スピーカ22とを備えており、スピーカ22から付加音を発生させる。
【0015】
インターフェース12は、制御パラメータを検出するためのセンサ(図示せず)等と通信可能に接続されており、検出された制御パラメータは、インターフェース12から付加音発生装置10に取り込まれる。
【0016】
制御部14は、制御パラメータの変化に対して、付加音を緩慢に変化させるまたは付加音を遅延して変化させる。たとえば、制御パラメータの変化に対して付加音を緩慢に変化させるとは、制御パラメータの変化よりも緩やかに付加音を変化させることである。また、たとえば、制御パラメータの変化に対して付加音を遅延して変化させるとは、制御パラメータが変化した場合に制御パラメータが変化したタイミングよりも遅いタイミングで付加音を変化させることである。つまり、たとえば、発生される付加音は、制御パラメータの変化よりも緩やかに変化するまたは制御パラメータが変化したタイミングよりも遅いタイミングで変化する。具体的には、たとえば、制御部14は、制御パラメータの変化に対して、付加音の音量を緩慢に変化させるまたは付加音の音量を遅延して変化させる。なお、制御部14は、制御パラメータの変化に対して、付加音の音圧および/または音程等を変化させてもよい。
【0017】
この実施の形態では、制御部14は、インターフェース12から取り込まれた制御パラメータに対して緩慢処理または遅延処理を行い、緩慢処理後または遅延処理後の制御パラメータを生成し、生成した緩慢処理後または遅延処理後の制御パラメータを信号生成部16に送信する。たとえば、制御部14は、インターフェース12から取り込まれた制御パラメータを移動平均したものを遅延処理後の制御パラメータとして生成する。また、たとえば、制御部14は、インターフェース12から取り込まれた制御パラメータの変化に対して2次遅れで変化するものを緩慢処理後の制御パラメータとして生成する。このように、制御パラメータを制御部14で緩慢処理または遅延処理することによって、信号生成部16に緩慢処理用または遅延処理用の演算部を設ける必要がなく、コストが増大することを抑制できる。
【0018】
詳細は後述するが、制御パラメータの変化に対して付加音を緩慢に変化させる具体的な態様として、たとえば、制御部14は、制御パラメータの変化の割合が所定の割合よりも大きい場合、制御パラメータの変化の割合よりも小さい割合で付加音を変化させる。また、たとえば、制御部14は、制御パラメータの変化の割合が所定の割合よりも大きい場合、所定の割合と同じ割合で付加音を変化させる。また、たとえば、制御部14は、第1の割合で付加音を変化させた後、第1の割合よりも小さい第2の割合で付加音を変化させる。所定の割合は、予め設定されている割合である。
【0019】
信号生成部16は、制御部14によって生成された緩慢処理後または遅延処理後の制御パラメータに基づいて、付加音信号を生成し、生成した付加音信号を電圧変換部18に送信する。たとえば、付加音信号は、緩慢処理後または遅延処理後の制御パラメータの変化に合わせてスピーカ22から出力される付加音の音量を変化させるような信号である。つまり、たとえば、付加音信号は、緩慢処理後の制御パラメータと同じ変化の割合で、スピーカ22から出力される付加音の音量を変化させるような信号である。また、たとえば、付加音信号は、遅延処理後の制御パラメータと同じタイミングで、スピーカ22から出力される付加音の音量を変化させるような信号である。
【0020】
電圧変換部18は、信号生成部16によって生成された付加音信号を、スピーカ22を駆動させるための電圧に変換し、AMP20に供給する。
【0021】
AMP20は、電圧変換部18によって生成された電圧を増幅する増幅器であり、増幅した電圧をスピーカ22に印加する。
【0022】
スピーカ22は、AMP20から印加された電圧に基づいて付加音を出力する。具体的には、たとえば、スピーカ22は、緩慢処理後または遅延処理後の制御パラメータに合わせて変化する付加音を出力する。つまり、たとえば、スピーカ22は、緩慢処理前または遅延処理前の制御パラメータの変化に対して、緩慢に変化する付加音または遅延して変化する付加音を出力する。
【0023】
図2は、緩慢処理前後の制御パラメータの一例を示すグラフである。
【0024】
図2に示すように、たとえば、車両の乗員が車両のアクセルペダルを踏み込んだ場合、アクセル開度が大きくなる(
図2の実線を参照)。たとえば、制御部14は、アクセル開度の変化の割合が所定の割合よりも大きい場合、アクセル開度の変化の割合よりも小さい割合で付加音の音量を変化させる。
【0025】
具体的には、たとえば、制御部14は、アクセル開度の変化の割合が所定の割合よりも大きい場合、アクセル開度の変化を緩慢させて、緩慢処理後のアクセル開度を生成する(
図2の破線を参照)。たとえば、制御部14は、緩慢処理後のアクセル開度の変化の割合が所定の割合と等しくなるように、緩慢処理後のアクセル開度を生成して信号生成部16に送信する。
【0026】
緩慢処理後のアクセル開度が変化し始めるタイミングは、緩慢処理前のアクセル開度が変化し始めるタイミングと同じであり、緩慢処理後のアクセル開度が変化する割合は、緩慢処理前のアクセル開度が変化する割合よりも小さい。このように、制御部14は、変化し始めるタイミングが緩慢処理前の制御パラメータと同じでありかつ変化する割合が緩慢処理前の制御パラメータよりも緩やかである緩慢処理後の制御パラメータを用いて、緩慢処理前の制御パラメータの変化に対して付加音を緩慢に変化させる。また、制御部14は、緩慢処理前の制御パラメータが線形に変化している場合、緩慢処理後の制御パラメータも線形に変化させ、付加音を線形に変化させる。なお、後述するように、たとえば、制御部14は、緩慢処理前の制御パラメータが非線形に変化している場合、緩慢処理前の制御パラメータの変化の割合よりも小さい第1の割合で線形に変化した後に、第1の割合よりも小さい第2の割合で線形に変化するように緩慢処理後の制御パラメータを生成し、付加音を複数の変化の割合で線形に変化させる。
【0027】
スピーカ22は、制御部14によって生成された緩慢処理後のアクセル開度の変化の割合と同じ割合で音量等が変化する付加音を出力する。
【0028】
このように、たとえば、制御部14は、緩慢処理後の制御パラメータを生成し、生成した制御パラメータに基づいてスピーカ22に付加音を出力させることによって、緩慢処理前の制御パラメータの変化に対して、付加音を緩慢に変化させる。具体的には、制御部14は、緩慢処理後の制御パラメータに基づいてスピーカ22に付加音を出力させることによって、緩慢処理前の制御パラメータの変化の割合よりも小さい割合で付加音を変化させる。たとえば、制御部14は、緩慢処理後の制御パラメータの変化の割合を所定の割合と同じにすることによって、所定の割合と同じ割合で付加音を変化させる。
【0029】
これによって、制御パラメータが急変した場合、付加音が急変することを抑制でき、付加音の急変による乗員の違和感を抑制できる。
【0030】
また、たとえば、車両の乗員が車両のアクセルペダルを踏み込んだ場合、前後加速度が大きくなる(
図2の一点鎖線を参照)。たとえば、制御部14は、前後加速度の変化の割合が所定の割合よりも大きい場合、前後加速度の変化の割合よりも小さい割合で付加音の音量を変化させる。
【0031】
具体的には、たとえば、制御部14は、前後加速度の変化の割合が所定の割合よりも大きい場合、前後加速度の変化を緩慢させて、緩慢処理後の前後加速度を生成する(
図2の二点鎖線を参照)。たとえば、制御部14は、緩慢処理前の前後加速度の変化の割合よりも小さい第1の割合で線形に変化した後に、第1の割合よりも小さい第2の割合で線形に変化するように、つまり複数の変化の割合で順次に線形に変化するように、緩慢処理後の前後加速度を生成して信号生成部16に送信する。
【0032】
スピーカ22は、制御部14によって生成された緩慢処理後の前後加速度の変化の割合と同じ割合で音量等が変化する付加音を出力する。
【0033】
このように、たとえば、制御部14は、緩慢処理後の制御パラメータを生成し、生成した制御パラメータに基づいてスピーカ22に付加音を出力させることによって、緩慢処理前の制御パラメータの変化に対して、付加音を緩慢に変化させる。具体的には、制御部14は、緩慢処理後の制御パラメータに基づいてスピーカ22に付加音を出力させることによって、第1の変化の割合で付加音を変化させた後、第1の割合よりも小さい第2の割合で付加音を変化させる。
【0034】
これによって、制御パラメータが急変した場合、付加音が急変することを抑制でき、付加音の急変による乗員の違和感を抑制できる。
【0035】
なお、たとえば、制御部14は、車両の乗員が車両のアクセルペダルの踏み込みを浅くした場合等のようにアクセル開度が小さくなる方に変化した場合にも、アクセル開度の変化に対して付加音を緩慢に変化させてもよい。また、たとえば、制御部14は、車両の前後加速度が小さくなる方に変化した場合にも、前後加速度の変化に対して付加音を緩慢に変化させてもよい。
【0036】
制御パラメータの増大時つまり立ち上がり側の変化の割合と、制御パラメータの減少時つまり立ち下がり側の変化の割合とを個別に設定することによって、制御パラメータの増大時と減少時とで経時変化態様が異なる場合であっても、制御パラメータを適切に緩慢させやすくなり、乗員の違和感をさらに抑制できる。
【0037】
なお、たとえば、通常、アクセルペダル戻し時よりもアクセルペダル踏み込む時の方が、アクセルペダルの踏み込みに対する応答が弱くなるのが常套であり、制御パラメータの立ち下がり側よりも立ち上がり側で付加音の緩慢の程度または遅延の程度を大きくすると、アクセルペダル踏み込み時の弱いアクセル応答との相乗により付加音が実際の加速に対して緩慢過多または遅延過多になり、違和感を与えることがある。したがって、緩慢の程度または遅延の程度を、制御パラメータの立ち下がり側よりも立ち上がり側を小さくすることによって、付加音の緩慢過多または遅延過多による違和感を抑制できる。
【0038】
図3は、緩慢処理前後の制御パラメータの他の一例を示すグラフである。
図3の(a)は、緩慢処理前後の制御パラメータの他の一例を示し、
図3の(b)は、
図3の(a)の一点鎖線で囲まれた部分を示す拡大図である。
【0039】
図3に示すように、たとえば、アクセル開度の変化の割合は、所定の時間間隔で得られるアクセル開度を比較することによって算出される。たとえば、前回値(
図3の(b)のX1aを参照)と今回値(
図3の(b)のX2を参照)との差分が予め設定されている所定の差分(
図3の(b)のΔXを参照)よりも大きいか否かを判定し、大きい場合には、前回値から所定の差分を差し引いた値(
図3の(b)のX2aを参照)を緩慢処理後の今回値として算出し、当該今回値と前回値とを結ぶ直線の傾きが、緩慢処理後のアクセル開度の変化の割合となる。
【0040】
図4は、緩慢処理前後の制御パラメータのさらに他の一例を示すグラフである。
【0041】
図4に示すように、たとえば、制御部14は、所定の期間において、前後加速度が所定の値よりも大きい場合には、前後加速度の低下に伴って付加音の音量が低下しないように、緩慢処理後の前後加速度を生成する。具体的には、たとえば、制御部14は、緩慢処理前の前後加速度がある値から低下し始めて当該ある値に戻ってくるまでの期間における変化の割合が0となるように、緩慢処理後の前後加速度を生成する。
【0042】
図5は、遅延処理前後の制御パラメータの一例を示すグラフである。
【0043】
図5に示すように、たとえば、車両の乗員が車両のアクセルペダルを踏み込んだ場合、制御パラメータは大きくなり、車両の乗員が車両のアクセルペダルの踏み込みを解除した場合、制御パラメータは小さくなる(
図5の実線を参照)。
【0044】
たとえば、制御部14は、インターフェース12から取り込まれた制御パラメータを、制御パラメータが大きくなっているときにはΔT1だけ遅延させ、制御パラメータが小さくなっているときにはΔT2だけ遅延させて、遅延処理後の制御パラメータを生成する(
図5の破線を参照)。このように、たとえば、制御部14は、制御パラメータが大きくなっているときと、制御パラメータが小さくなっているときとで、遅延時間を変えてもよい。
【0045】
遅延処理後の制御パラメータが変化し始めるタイミングは、遅延処理前の制御パラメータが変化し始めるタイミングよりも遅い。このように、制御部14は、変化し始めるタイミングが遅延処理前の制御パラメータよりも遅い遅延処理後の制御パラメータを用いて、遅延処理前の制御パラメータの変化に対して付加音を遅延して変化させる。
【0046】
たとえば、スピーカ22は、制御部14によって生成された遅延後の制御パラメータの変化に合わせて音量等が変化する付加音を出力する。
【0047】
このように、たとえば、制御部14は、遅延処理後の制御パラメータを生成し、生成した制御パラメータに基づいてスピーカ22に付加音を出力させることによって、制御パラメータの変化に対して、付加音の変化を遅延させる。
【0048】
図6は、遅延処理前後の制御パラメータの他の一例を示すグラフである。
【0049】
図6に示すように、たとえば、車両の乗員が車両のアクセルペダルを踏み込んだ場合、制御パラメータは大きくなり、車両の乗員が車両のアクセルペダルの踏み込みを解除した場合、制御パラメータは小さくなる(
図6の実線を参照)。
【0050】
たとえば、制御部14は、遅延処理後の制御パラメータの増大時の変化の割合を決定するための直線(
図6の一点鎖線を参照)を予め規定しておき、当該直線に基づいて遅延処理後の制御パラメータの増大時の変化の割合を規定してもよい。また、たとえば、制御部14は、遅延処理後の制御パラメータの減少時の変化の割合を決定するための直線(
図6の二点鎖線を参照)を予め規定しておき、当該直線に基づいて遅延処理後の制御パラメータの減少時の変化の割合を規定してもよい。
【0051】
なお、たとえば、制御部14は、制御パラメータの増大時については移動平均により遅延させ、制御パラメータの減少時については予め規定した直線に基づいて遅延させてもよい。また、制御部14は、制御パラメータの増大時については予め規定した直線に基づいて遅延させ、制御パラメータの減少時については移動平均により遅延させてもよい。また、制御部14は、制御パラメータの増大時については移動平均により遅延させ、制御パラメータの減少時については二次遅れにより遅延させてもよい。また、制御部14は、制御パラメータの増大時については二次遅れにより遅延させ、制御パラメータの減少時については移動平均により遅延させてもよい。また、制御部14は、制御パラメータの増大時については予め規定した直線に基づいて遅延させ、制御パラメータの減少時については二次遅れにより遅延させてもよい。また、制御部14は、制御パラメータの増大時については二次遅れにより遅延させ、制御パラメータの減少時については予め規定した直線に基づいて遅延させてもよい。
【0052】
たとえば、スピーカ22は、制御部14によって生成された遅延処理後の制御パラメータの変化に合わせて音量が変化する付加音を出力する。
【0053】
このように、たとえば、制御部14は、遅延処理後の制御パラメータを生成し、生成した制御パラメータに基づいてスピーカ22に付加音を出力させることによって、制御パラメータの変化に対して、付加音の変化を遅延させる。
【0054】
図7は、遅延処理前後の制御パラメータのさらに他の一例を示すグラフである。
【0055】
図7に示すように、車両の乗員が車両のアクセルペダルを踏み込んだ場合、アクセル開度が大きくなる(
図7の実線を参照)。また、これに伴って、車両の駆動トルクがアクセル開度の変化に対して遅延して変化する(
図7の一点鎖線を参照)。
【0056】
たとえば、制御部14は、アクセル開度の変化に対する駆動トルクの変化に符合するように、遅延処理後のアクセル開度を生成してもよい(
図5の破線を参照)。なお、駆動トルクではなく、アクセル開度の変化に対して遅延して変化する前後加速度の変化に符合するように、遅延処理後のアクセル開度を生成してもよい
なお、
図7では、アクセル開度の増大時つまり立ち上がり側についてのみ示したが、アクセル開度の減少時つまり立ち下がり側についても、同様にして遅延処理後のアクセル開度を生成してもよい。
【0057】
これによって、アクセル開度の急変に伴って付加音が急変することを抑制できるので、付加音の急変による違和感を抑制できる。
【0058】
以上、実施の形態における付加音発生装置10について説明した。
【0059】
実施の形態における付加音発生装置10は、車両の操作に応じて変化する制御パラメータに基づいて付加音を発生させる付加音発生装置であって、制御パラメータの変化に対して、付加音を緩慢に変化させるまたは付加音を遅延して変化させる制御部14を備える。
【0060】
これによれば、制御パラメータが急変した場合であっても、付加音が急変することを抑制できるので、乗員に違和感を与えることを抑制できる。
【0061】
また、実施の形態における付加音発生装置10において、制御部14は、制御パラメータの変化の割合が所定の割合よりも大きい場合、制御パラメータの変化の割合よりも小さい割合で付加音を変化させる。
【0062】
これによれば、制御パラメータの変化の割合が所定の割合よりも大きい場合、制御パラメータの変化の割合よりも小さい割合で付加音を変化させるので、制御パラメータの急変に合わせて付加音が急変することを抑制でき、乗員に違和感を与えることをさらに抑制できる。
【0063】
また、実施の形態における付加音発生装置10において、制御部14は、制御パラメータの変化の割合が所定の割合よりも大きい場合、所定の割合と同じ割合で付加音を変化させる。
【0064】
これによれば、所定の割合を乗員が違和感を感じにくい値に予め設定しておくことによって、乗員に違和感を与えることをさらに抑制できる。
【0065】
また、実施の形態における付加音発生装置10において、第1の割合で付加音を変化させた後、第1の割合よりも小さい第2の割合で付加音を変化させる。
【0066】
これによれば、付加音を柔軟に変化させることができるので、乗員に違和感を与えることをさらに抑制できる。
【0067】
また、実施の形態における付加音発生装置10において、制御パラメータは、アクセル開度および前後加速度の少なくとも一方を含む。
【0068】
これによれば、乗員が感じやすいアクセル開度および前後加速度の少なくとも一方に基づいて、付加音を変化させることができるので、乗員に違和感を与えることをさらに抑制できる。
【0069】
(実施の形態2)
図8は、実施の形態2における付加音発生装置10aの機能構成を示すブロック図である。
図9は、アクセル開度と付加音の音量との関係の一例を示すグラフである。
【0070】
図8に示すように、付加音発生装置10aは、2つのインターフェース12a,12bを備えている点において、付加音発生装置10と主に異なっている。以下の説明では、付加音発生装置10と異なる部分を主に説明する。
【0071】
インターフェース12aは、アクセル開度のみを取り込み、インターフェース12bは、アクセル開度以外の前後加速度等を取り込む。
【0072】
この実施の形態では、制御部14は、インターフェース12aと信号生成部16との間に設けられ、インターフェース12bと信号生成部16との間に設けられていない。
【0073】
つまり、制御パラメータのうちのアクセル開度のみに対して緩慢処理または遅延処理を行い、緩慢処理後または遅延処理後のアクセル開度を信号生成部16に送信する。一方、インターフェース12bと信号生成部16とは直結され、制御パラメータのうちアクセル開度以外の前後加速度等は、制御部14による緩慢処理または遅延処理が行われることなく、実測値または演算値のまま信号生成部16に送信される。
【0074】
図9に示すように、この実施の形態では、制御部14は、アクセル開度の小さい低開度領域ではアクセル開度の変化に対する付加音の音量の変化の割合が小さくなるように制御パラメータの緩慢処理を行う。また、制御部14は、低開度領域よりもアクセル開度の大きい中開度領域ではアクセル開度の変化に対する付加音の音量の変化の割合が大きくなるように制御パラメータの緩慢処理を行う。また、制御部14は、中開度領域よりもアクセル開度の大きい大開度領域ではアクセル開度の変化に対する付加音の音量の変化の割合が小さくなるように制御パラメータの緩慢処理を行う。
【0075】
信号生成部16は、緩慢処理後または遅延処理後の制御パラメータと、緩慢または遅延させなかった他の制御パラメータとに基づいて音信号を生成する。スピーカ22は、当該音信号に基づいて付加音を出力する。
【0076】
以上、実施の形態2における付加音発生装置10aについて説明した。
【0077】
実施の形態2における付加音発生装置10aによれば、緩慢処理後または遅延処理後の制御パラメータと緩慢処理または遅延処理しなかった制御パラメータとに基づいて生成した音信号によってスピーカ22から付加音を出力させるので、制御パラメータの変化に対して付加音の音量を緩慢に変化させることができる。これによって、制御パラメータが急変することに伴って付加音が急変することを抑制でき、付加音の急変によって乗員に与える違和感を抑制できる。
【0078】
また、制御パラメータのうち、加速操作を表すアクセル開度のみを制御部14で緩慢または遅延させるので、加速させる意図の最初の操作を緩慢または遅延させることとなり、加速操作後の現象を緩慢または遅延させる場合よりも、付加音が一層加速させる意図に合致したものとなり、乗員に与える違和感を抑制できる。
【0079】
これによって、発生頻度の高い低開度領域では、付加音の音量の変化が小さくなって、付加音の音量が頻繁に変化する煩わしさを抑制できる。また、明確な加速意図がある中・高開度領域では、付加音の音量の変化を大きくすると共に加速音の音量を大きくして、加速感を演出することができる。
【0080】
なお、低開度領域で付加音の音量が低くて音量が絞られていることとなるので、立ち上がり側の遅延時間を立ち下がり側の遅延時間よりも大きくすると、低開度領域で付加音が音量を絞られていることとの相乗によって、付加音の音量増大が遅れ気味となり、上記加速感の演出が期待通りのものにならない。
【0081】
本実施の形態では、付加音の音量を低開度領域で絞られるように設定したのに伴って、立ち上がり側の遅延時間を立ち下がり側の遅延時間よりも小さくしたため、
図9に示す付加音の音量特性によっても、加速音の音量増大が遅れ気味になることがなく、加速感の演出が期待通りのものにならなくなるという上記の問題を解消することができる。
【0082】
(実施の形態3)
図10は、実施の形態3における付加音発生装置10bの機能構成を示すブロック図である。
【0083】
図10に示すように、付加音発生装置10bは、インターフェース12から取り込まれた制御パラメータが信号生成部16に入力された後に制御部14に入力される点において、付加音発生装置10と主に異なっている。以下の説明では、付加音発生装置10と異なる部分を主に説明する。
【0084】
信号生成部16は、インターフェース12から取り込まれた制御パラメータに基づいて、音信号を生成する。
【0085】
制御部14は、信号生成部16によって生成された音信号に対して緩慢処理または遅延処理を行い、緩慢処理後または遅延処理後の音信号を生成する。制御部14は、生成した音信号を、電圧変換部18に送信する。
【0086】
以上、実施の形態における付加音発生装置10bについて説明した。
【0087】
実施の形態3における付加音発生装置10bによれば、信号生成部16によって生成された音信号を緩慢または遅延させ、緩慢処理後または遅延処理後の音信号に基づいてスピーカ22から付加音を車室内に発生させることができるので、制御パラメータが急変することに伴って付加音が急変することを抑制でき、付加音の急変によって乗員に与える違和感を抑制できる。
【0088】
また、信号生成部16によって生成された音信号を緩慢等させるので、インターフェース12から取り込まれた制御パラメータを緩慢等させる場合よりも、遅延させる対象の数を少なくしやすく、演算の負荷の増加を抑制できるとともに、コストの増加を抑制できる。
【0089】
(実施の形態4)
図11は、実施の形態4における付加音発生装置10cの機能構成を示すブロック図である。
【0090】
図11に示すように、付加音発生装置10cは、信号生成部16から送信された音信号が電圧変換部18に入力された後に制御部14に入力される点において、付加音発生装置10bと主に異なっている。以下の説明では、付加音発生装置10bと異なる部分を主に説明する。
【0091】
電圧変換部18は、信号生成部16から送信された音信号に基づいて、電圧を生成する。
【0092】
制御部14は、電圧変換部18によって生成された電圧に対して緩慢処理または遅延処理を行い、緩慢処理後または遅延処理後の電圧を生成する。制御部14は、生成した電圧を、AMP20に送信する。
【0093】
以上、実施の形態における付加音発生装置10cについて説明した。
【0094】
実施の形態における付加音発生装置10cによれば、電圧変換部18によって生成された電圧を緩慢または遅延させ、緩慢処理後または遅延処理後の電圧に基づいてスピーカ22から付加音を車室内に発生させることができるので、制御パラメータが急変することに伴って付加音が急変することを抑制でき、付加音の急変によって乗員に与える違和感を抑制できる。
【0095】
また、電圧変換部18によって生成された電圧を緩慢等させるので、インターフェース12から取り込まれた制御パラメータを緩慢等させる場合よりも、遅延させる対象の数を少なくしやすく、演算の負荷の増加を抑制できるとともに、コストの増加を抑制できる。
【0096】
(実施の形態5)
図12は、実施の形態5における付加音発生装置10dの機能構成を示すブロック図である。
【0097】
図12に示すように、付加音発生装置10dは、電圧変換部18から送信された電圧がAMP20に入力された後に制御部14に入力される点において、付加音発生装置10cと主に異なっている。以下の説明では、付加音発生装置10cと異なる部分を主に説明する。
【0098】
AMP20は、電圧変換部18から送信された電圧を増幅する。
【0099】
制御部14は、AMP20によって増幅された電圧に対して緩慢処理または遅延処理を行い、緩慢処理後または遅延処理後の電圧を生成する。制御部14は、生成した電圧を、スピーカ22に印加する。
【0100】
以上、実施の形態における付加音発生装置10dについて説明した。
【0101】
実施の形態における付加音発生装置10dによれば、AMP20によって増幅された電圧を緩慢または遅延させ、緩慢処理後または遅延処理後の電圧に基づいてスピーカ22から付加音を車室内に発生させることができるので、制御パラメータが急変することに伴って付加音が急変することを抑制でき、付加音の急変によって乗員に与える違和感を抑制できる。
【0102】
また、AMP20によって増幅された電圧を緩慢等させるので、インターフェース12から取り込まれた制御パラメータを緩慢等させる場合よりも、遅延させる対象の数を少なくしやすく、演算の負荷の増加を抑制できるとともに、コストの増加を抑制できる。
【0103】
(他の実施の形態等)
以上、一つまたは複数の態様に係る付加音発生装置について、実施の形態に基づいて説明したが、本開示は、この実施の形態に限定されるものではない。本開示の趣旨を逸脱しない限り、当業者が思いつく各種変形を本実施の形態に施したものも、本開示の範囲内に含まれてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0104】
本開示は、付加音を発生させる付加音発生装置等に利用可能である。
【符号の説明】
【0105】
10,10a,10b,10c,10d 付加音発生装置
12,12a,12b インターフェース
14 制御部
16 信号生成部
18 電圧変換部
20 AMP
22 スピーカ