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特許7638598低温液貯槽及びその製造方法及び冷熱衝撃緩和方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-02-21
(45)【発行日】2025-03-04
(54)【発明の名称】低温液貯槽及びその製造方法及び冷熱衝撃緩和方法
(51)【国際特許分類】
   F17C 3/04 20060101AFI20250225BHJP
   E04H 7/06 20060101ALI20250225BHJP
【FI】
F17C3/04 D
E04H7/06
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2021086709
(22)【出願日】2021-05-24
(65)【公開番号】P2022179904
(43)【公開日】2022-12-06
【審査請求日】2023-08-29
(73)【特許権者】
【識別番号】000113517
【氏名又は名称】BASF INOACポリウレタン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100112472
【弁理士】
【氏名又は名称】松浦 弘
(74)【代理人】
【識別番号】100202223
【弁理士】
【氏名又は名称】軸見 可奈子
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 龍樹
(72)【発明者】
【氏名】伊熊 健二
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 一貴
【審査官】森本 哲也
(56)【参考文献】
【文献】特開昭50-027109(JP,A)
【文献】実開昭58-144194(JP,U)
【文献】特開2011-144860(JP,A)
【文献】特開2021-080777(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F17C 3/04
E04H 7/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
0℃以下の低温液が貯留される内槽と、その外側を覆う外槽と、前記外槽の内側面に積層され、前記低温液の漏れを抑え、冷熱衝撃を緩和するための第1発泡樹脂層と、を備える低温液貯槽の製造方法であって、
前記第1発泡樹脂層の内槽側表面に、前記第1発泡樹脂層の内槽側表面に沿う方向に連通する気泡構造を備える第2発泡樹脂層を配し、
前記第1発泡樹脂層及び前記第2発泡樹脂層はウレタンフォームであり、
前記第2発泡樹脂層の空隙率は、前記第1発泡樹脂層の空隙率より高く、97.5%以上であり、
前記第2発泡樹脂層の熱抵抗値は、前記第1発泡樹脂層の熱抵抗値よりも低く、0.30m2・K/W以上であり、
前記第1発泡樹脂層の独立気泡率が65%~100%であり、前記第2発泡樹脂層の独立気泡率が0~35%であり、
前記第2発泡樹脂層に用いられる発泡樹脂原料が、前記第1発泡樹脂層に用いられる発泡樹脂原料中の活性水素化合物よりも高分子量の活性水素化合物を備える低温液貯槽の製造方法。
【請求項2】
0℃以下の低温液が貯留される内槽と、その外側を覆う外槽と、前記外槽の内側面に積層され、前記低温液の漏れを抑え、冷熱衝撃を緩和するための第1発泡樹脂層と、を備える低温液貯槽の製造方法であって、
前記第1発泡樹脂層の内槽側表面に、前記第1発泡樹脂層の内槽側表面に沿う方向に連通する気泡構造を備える第2発泡樹脂層を配し、
前記第1発泡樹脂層及び前記第2発泡樹脂層を積層した樹脂パネルを、前記外槽の内側面に設置するパネル設置工程 を行う低温液貯槽の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、0℃以下の低温液が貯留される低温液貯槽、及びその製造方法、及び、低温液貯槽に対する冷熱衝撃を緩和する熱衝撃緩和方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の低温液貯槽として、内部に低温液を貯留する内槽と、その内槽を外側から覆う外槽とを備え、外槽の内側面に、低温液の漏れを抑え、冷熱衝撃を緩和するための第1発泡樹脂層がコーティングされ、その表面にメッシュ構造の補強シートを備えたものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許第3044605号(段落[0002]、図4
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記した従来の低温液貯槽においては、補強シートが第1発泡樹脂層の表面から浮いたり、はがれたりした場合に、漏洩した低温液により第1発泡樹脂層が冷熱衝撃にさらされて破断する虞があり、第1発泡樹脂層に伝わる冷熱衝撃の緩和を図ることが求められている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の低温液貯槽は、0℃以下の低温液が貯留される内槽と、その外側を覆う外槽と、前記外槽の内側面にコーティングされ、前記低温液の漏れを抑え、冷熱衝撃を緩和するための第1発泡樹脂層と、を備える低温液貯槽であって、前記第1発泡樹脂層の内槽側表面に、面方向に連通する気泡構造を備える第2発泡樹脂層を有している低温液貯槽である。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】本開示の一実施形態に係る低温液貯槽の破断正面図
図2】タンク部の拡大断面図
図3】緩和層の断面図
図4】低密度硬質ウレタンフォームからなる拡散層の内部に進入した液化天然ガスの流れを示す概略図
図5】外槽の内側面への緩和層の施工状態を示す図
図6】緩和層の施工方法の流れを示す図
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、図1図4を参照して、本開示の低温液貯槽100について説明する。図1に示すように、本実施形態の低温液貯槽100は、内槽20と外槽30とを備えた中空円筒状のタンク部40と、タンク部40の周囲を取り囲む円筒状の防液堤50と、からなる。タンク部40は、内槽20の内部に液化天然ガスLを貯留する。なお、低温液貯槽100の容量は、大型と呼ばれるものは一般的に14万~23万kLであり、23万kLの低温液貯槽100では、防液堤50の直径は約90mであり、その高さは約40mとなる。
【0008】
内槽20及び外槽30は、それぞれ天井部21,31を備え、その内部が外部に対して遮断された構造となっている。天井部21,31は、中央部が膨らんだドーム形状をなし、気化した液化天然ガスLが充満する空間となっている。内槽20及び外槽30は共に、金属で構成されていて、例えば、低温靭性の観点から、鉄や鋼鉄等が好ましい。特に、内槽20は、常時極低温に曝されるため、低温靭性に優れた鉄を主成分とするニッケル等の合金が好ましい。
【0009】
防液堤50は、液化天然ガスLの漏洩事故発生時に液化天然ガスLの拡散防止のために設置されていて、本実施形態では、防液堤50の内側面は、外槽30の外側面に重ねられている。なお、防液堤50は、ひび割れしにくいプレストレストコンクリートで構成されている。
【0010】
タンク部40において、内槽20と外槽30の間に形成される空間には、液化天然ガスLを-160℃程度に保ち、液化天然ガスLの気化を低減するための保冷層60が備えられている。保冷層60は、天井部保冷層61、側部保冷層62、底部保冷層63から構成されている。
【0011】
詳細には、内槽20及び外槽30のうち、天井部21,31に形成される空間と、側部22,32に形成される空間と、には、天井部保冷層61及び側部保冷層62として、断熱性能を有する粒状パーライト等が充填されている。また、内槽20及び外槽30のうち、底部23,33に形成される空間には、底部保冷層63として、耐荷重性能及び断熱性能を有するパーライトコンクリート、軽量気泡コンクリート等が配設されている。
【0012】
さて、低温液貯槽100では、外槽30の内側面30Sに緩和層10がコーティングされている。この緩和層10は、漏洩した液化天然ガスLの冷熱衝撃が、防液堤50に急激に伝わることを防止するために形成されている。
【0013】
図2に示すように、緩和層10は、外槽30の内側面30S全体を覆う側面緩和層10Sと、外槽30の内底面30Tのうち、周縁部を全周に亘って覆う環状の底面緩和層10Tとからなる。なお、底面緩和層10Tは、底部保冷層63の周縁部も覆っている。
【0014】
図3には、本実施形態の緩和層10の断面構造が示されている。緩和層10は、外槽30の内面(内側面30S及び内底面30T)に、下吹き層12、第1発泡樹脂層13(13A,13B)、第2発泡樹脂層14が積層されてなる。
【0015】
第1発泡樹脂層13は、下吹き層12に積層されていて、ウレタンフォーム原料を発泡硬化させて形成される硬質ウレタンフォームで構成されている。第1発泡樹脂層13は、液化天然ガスLの冷熱衝撃を緩和して冷熱衝撃が防液堤50に影響を与えることを抑制する必要がある。そのため、構成される硬質ウレタンフォームは、優れた断熱性能及び圧縮強度を有し、かつ、空間の効率利用の観点から厚みは薄い方が好ましい。具体的には、密度が40~80kg/m、通気性が1ml/cm/s以下、熱伝導率が0.040W/mK以下、熱抵抗値が1.00mK/W以上のものが好ましく、圧縮強度が360kPa以上のものが好ましく、厚みは、40mm以上60mm以下が好ましい。
【0016】
なお、本実施形態では、第1発泡樹脂層13は2層(13A,13B)で構成されているが、1層であってもよいし、3層以上で構成されていてもよい。ここで、第1発泡樹脂層13のスキン層は、高密度のウレタン層であり、コア部に比べてウレタン樹脂の比率が増すため、熱伝導率が高くなり、断熱性能が低下する。このため、防熱層を構成する層の数は少ない方が好ましく、1層又は2層で構成することがより好ましい。
【0017】
本実施形態の第1発泡樹脂層13は、密度 60kg/m、通気性 0.01ml/cm/s以下、空隙率 95%、熱伝導率 0.022W/mK、、熱抵抗値 2.3mK/W圧縮強度 520KPa、厚み 50mm(25mmが2層)である。
【0018】
なお、第1発泡樹脂層13に求められる圧縮強度は、一般社団法人 日本ガス協会のLNG地上式貯槽指針における「9.5.2.2 荷重の算定」より、防液堤の高さを40m(23万kLの低温液貯槽を想定)とし、「8.4.4 冷熱抵抗緩和材」より、安全率を2.0として算出すると、約360KPaとなる。そのため、第1発泡樹脂層13に必要な圧縮強度は、360KPa以上となる。
【0019】
下吹き層12は、外槽30の内面に直接積層される層であり、第1発泡樹脂層13の接着性を確保するためのプライマー的役割を果たす層である。下吹き層12は、第1発泡樹脂層13と同じ硬質ウレタンフォームで構成されていて、第1発泡樹脂層13と同じウレタンフォーム原料を外槽30の内面に吹き付け、硬化又は発泡硬化させて形成される。下吹き層12の厚みは、0.1~5mmが好ましい。
【0020】
第2発泡樹脂層14は、第1発泡樹脂層13の内側面に積層され、緩和層10の最表面を構成して第1発泡樹脂層13を冷熱衝撃から保護する保護層となっている。第2発泡樹脂層14は、第1発泡樹脂層13と同様に、ウレタンフォーム原料を発泡硬化させて形成されるが、第1発泡樹脂層13よりも密度が小さい低密度硬質ウレタンフォームで構成されている。
【0021】
次に、第2発泡樹脂層14と第1発泡樹脂層13を構成する硬質ウレタンフォームについて説明する。図4に示すように、どちらの硬質ウレタンフォームも、1つ1つの気泡Pが独立した独立気泡構造のセル(気泡)を有する多孔質体であり、気泡Pの中に封じ込められたガスは独立し、温度変化が隣接する気泡Pのガスに伝わりにくくなって、優れた断熱性能を発揮する。
【0022】
第1発泡樹脂層13を構成する硬質ウレタンフォームは、第2発泡樹脂層14を構成する低密度硬質ウレタンフォームに比べて、独立気泡構造を有する気泡Pを多く有しているのに対し、第2発泡樹脂層14を構成する低密度硬質ウレタンフォームは、独立気泡構造を有する気泡Pよりも、一部の気泡Qが連通した連続気泡構造を有する気泡Qを多く有している。具体的には、気泡Q,P中の独立気泡構造を有する気泡Pの割合である独立気泡率が、第1発泡樹脂層13は65~100%(80%以上が好ましい)である一方、第2発泡樹脂層14は、0~35%(20%以下が好ましい)である。また、第2発泡樹脂層14における連続気泡構造を有する気泡Qは、多くが面方向に連通している。ここで、吹付工法の性質として、ウレタンフォームは、接着面と表面は、発泡効率が低く緻密になり、独立気泡が増加する傾向があるため垂直方向は分布が極端であるが、面方向は意図した発泡効率のコア層が広がっている、即ち、連続気泡部分が広がっている状態となる。「連続気泡構造を有する気泡Qが面方向に連通している」とは、上述のように、連面方向は連続気泡部分が広がっている状態、を指す。
【0023】
なお、第1発泡樹脂層13の独立気泡率が65%を下回ると、熱伝導率が低下し、必要な熱抵抗値を得るための必要な厚みが増加する。第1発泡樹脂層13の厚みが増加すると、コスト増や、作業スペースが狭くなることにより、作業効率が低下したり、誤って破損してしまいクラックが発生したりする等の虞が生じ得る。
【0024】
これにより、第2発泡樹脂層14は、第1発泡樹脂層13よりも、空隙率が大きく、柔軟になっている。また、第2発泡樹脂層14は第1発泡樹脂層13よりも、通気性が高くなっている。
【0025】
第2発泡樹脂層14としての低密度硬質ウレタンフォームの密度は、7~40kg/m、厚み方向の通気性が0.05~30ml/cm/s、圧縮強度が15~150KPa、熱抵抗値が0.30mK/W以上、空隙率が97.5%以上のものが好ましい。また、厚みは、10~20mmが好ましい。また、第2発泡樹脂層14の熱抵抗値は、第1発泡樹脂層13の熱抵抗値よりも低くなっている。
【0026】
本実施形態で用いた低密度硬質ウレタンフォームからなる第2発泡樹脂層14は、密度 11kg/m、熱伝導率 0.036W/mK、空隙率 99.1%、熱抵抗値 0.42mK/W、通気性 0.3ml/cm/s、圧縮強度 30KPa、厚み 15mmである。
【0027】
さて、内槽20の内部から液化天然ガスLが漏洩した場合、液化天然ガスLは第1発泡樹脂層13よりも先に第2発泡樹脂層14に接触する。第2発泡樹脂層14は、表面(スキン層)が局所的に急激な冷却にさらされて収縮して破断する。このとき、第2発泡樹脂層14は、面方向で連通した連続気泡構造の気泡Qの割合が高いため、液化天然ガスLの冷熱衝撃が厚み方向よりも面方向に広がり、第1発泡樹脂層13がゆっくり冷却され、第1発泡樹脂層13に伝わる冷熱衝撃が緩和される。
【0028】
また、第2発泡樹脂層14は、第1発泡樹脂層13よりも柔軟なので、表面(スキン層)は破断しやすいが、その破断が奥(第1発泡樹脂層13)まで広がりにくくなっている。つまり、第2発泡樹脂層14における第1発泡樹脂層13側部分は破断しにくくなっているので、第1発泡樹脂層13が局所的に急激な冷却にさらされることなく、第2発泡樹脂層14の内側の液化天然ガスLによりゆっくり冷却され、第1発泡樹脂層13に伝わる冷熱衝撃が緩和される。また、第2発泡樹脂層14の破断範囲が浅いので、第1発泡樹脂層13が、第2発泡樹脂層14で起こる破断のエネルギーを受けにくくなっている。
【0029】
また、第2発泡樹脂層14内には、液化天然ガスLに近い内側が低温で外側が高温となるように温度勾配が生じている。第2発泡樹脂層14の表面(スキン層)が破断して、第2発泡樹脂層14の中心部が液化天然ガスLにさらされると、中心部は表面(スキン層)よりも温度が高いので、液化天然ガスLが沸騰すると考えられる。これにより、第2発泡樹脂層14の中心部が冷却されるまでの間、第2発泡樹脂層14の中心部と液化天然ガスLとの間に気体層が生じ、液化天然ガスLが第2発泡樹脂層14の内部に侵入しにくくなると共に、断熱効果が生じると考えられる。そして、その間に第1発泡樹脂層13が徐々に冷却されるので、第1発泡樹脂層13に伝わる冷熱衝撃が緩和されると考えられる。
【0030】
また、第2発泡樹脂層14の熱伝導率が第1発泡樹脂層13の熱伝導率よりも少し高いので、第2発泡樹脂層14を通して第1発泡樹脂層13が徐々に冷却される。なお、第2発泡樹脂層14の熱抵抗値が0.30mK/W以下になると、第1発泡樹脂層13の冷却速度が著しく上昇すると考えられる。
【0031】
なお、本実施形態の第1発泡樹脂層13及び第2発泡樹脂層14については、密度は、JIS K 7222:2005/ISO 845:1988に基づいて測定を行い、通気性は、JIS K 6400-7 B法:2012/ISO 7231:2010に準拠して測定を行い、熱伝導率は、JIS A 1412-2:1999/ISO 8301:1999に準拠して測定を行い、圧縮強度は、JIS K 7220:2006/ISO 844:2004に準拠して測定を行い、独立気泡率は、ASTM D 2856-87を参照して測定を行った。
【0032】
詳細には、以下に示す測定用サンプルをJIS A9526:2015に基づいて作製し、測定を行った。測定用サンプルは、900mm角×5mm厚みのアルミ板に、第1発泡樹脂層13用のウレタンフォーム原料を用いて、約3mmの下吹き層12を吹き付けた後、約25mmの防熱層を2層積層することで、約50mmの第1発泡樹脂層13を作製した。第2発泡樹脂層14についても、第1発泡樹脂層13と同様に、第2発泡樹脂層14用のウレタンフォーム原料を用いて、測定用サンプルを作製した。
【0033】
密度は、測定用サンプルを外側の第1発泡樹脂層13Aのスキン層を厚み方向に含むように、100mm角×30mm厚み(全面にスキン層無し)に切り出して作製し、測定を行った。熱伝導率は、測定用サンプルを外側の第1発泡樹脂層13Aのスキン層を厚み方向に含むように、200mm角×25mm厚み(全面にスキン層無し)に切り出して作製し、測定を行った。圧縮強度は、測定用サンプルを外側の第1発泡樹脂層13Aのスキン層を厚み方向に含むように、50mm角×30mm厚み(全面にスキン層無し)に切り出して作製し、測定を行った。通気性は、測定用サンプルの内側の第1発泡樹脂層13Bから220mm角×10mm厚み(全面にスキン層無し)に切り出して作製した。なお、通気性は、厚み方向に外側の第1発泡樹脂層13A及び内側の第1発泡樹脂層13Bの何れのスキン層も含まず、コア部の通気性の測定を行った。独立気泡率は、30mm角×20mm厚みの第1発泡樹脂層13Bと第2発泡樹脂層14とをそれぞれ作成して測定を行った。
【0034】
次に、緩和層10の施工方法について図5,6を用いて説明する。緩和層10の施工は、内槽20、外槽30および防液堤50がほぼ完成した状態で、内槽20及び外槽30の側部22,32同士の間に粒状パーライトが充填される前に行われる。従って、図6に示すように、内槽20の側部22と外槽30の側部32との間の狭い空間内に作業者M,N,Oが入って施工を行う。このとき、底部は外槽30の上に底部保冷層63が配設され、その上に内槽20が配置されているため、通常は、図示しない天井に設けられた入口から出入りする。なお、内槽20の側部22と外槽30の側部32との幅は、1000mm~2000mmであり、高さは約45mである。
【0035】
緩和層10のうち、外槽30の内側面30Sに備えられる側面緩和層10Sの施工は、図5に示すように、図示しない天井に設置されたトロリービームに取り付けられたゴンドラ70に乗り込んだ作業者M又はNによって施工が行われる。ゴンドラ70は、空間K内を外槽30の内側面30Sに沿って昇降可能及び水平移動可能に吊持されている。
【0036】
緩和層10の施工は、外槽30の内側面30S及び内底面30Tを、鉛直方向に所定間隔で分割した複数の施工領域W毎に行われる。側面緩和層10Sの施工においては、ゴンドラ70に乗り込んだ作業者M又はNが、施工領域Wを上端部又は下端部から順に施工を行っていく。ある施工領域Wの施工が終わったら、隣の施工領域Wに水平移動し、同様にして上端部又は下端部から繰り返し施工を行っていく。なお、施工領域Wを上端部又は下端部から順に施工を行う際、ゴンドラ70から施工できない領域は、施工を行わないで、隣の施工領域Wへ水平移動する。上述した側面緩和層10Sのうちゴンドラ70から施工できない領域及び底面緩和層10Tについては、図5に示すように、側面緩和層10Sの施工が完了した後に又は側面緩和層10Sの施工と並行して作業者Oが行う。あるいはM又はNが都度、ゴンドラ70を降りて連続して施工してもよい。
【0037】
図6には、緩和層10の施工の流れが示されている。同図に示されるように、緩和層10の施工は、まず第1工程S1が作業者Mにより行われる。その後、作業者Mを追いかけるように作業者Nにより、第2工程S2が行われる。
【0038】
第1工程S1では、ウレタンフォーム原料をスプレー工法により外槽30の内面に吹き付け、発泡硬化させて第1発泡樹脂層13を形成させる。このとき、第1発泡樹脂層13を形成する前に、同様のスプレー工法により下吹き層12を形成させておく。
【0039】
詳細には、第1工程S1では、作業者Mが、携行しているスプレーガン90でウレタンフォーム原料を外槽30の内面に向けて吹き付けて下吹き層12を形成した後、再度吹き付けて、第1発泡樹脂層13を所定の厚さになるように形成する。本実施形態では、2回に分けて吹き付けを行い、2層の第1発泡樹脂層13A,13Bを形成している。これは、1回のスプレー吹き付けで、所定の厚みを形成しようとしても、吹き付けたウレタンフォーム原料が垂れることで、所定の厚みが確保できない虞があるためである。この場合、1回目の吹き付けが終わった後、硬化が進行して表面のタック(ベタツキ)がなくなった後に2回目の吹き付けを行う。なお、外側の第1発泡樹脂層13A及び内側の第1発泡樹脂層13Bの厚みは略同じとなるように形成する。
【0040】
本実施形態では、下吹き層12は、第1発泡樹脂層13と同じウレタンフォーム原料を塗布して形成される。下吹き層12の存在により外側の第1発泡樹脂層13Aの外槽30の内側面30Sへの接着性を向上させることができる。この場合も、下吹き層12の吹き付けが終わった後、硬化が進行して表面のタックがなくなった後に吹き付けを行う。なお、下吹き層12を設けず、外槽30の内面に直接、第1発泡樹脂層13を形成した場合、金属製で熱伝導率の高い外槽30の内面に付着した部分から熱が奪われて、発泡度合いが不十分となったり、外槽30と第1発泡樹脂層13との接着力が低下し、第1発泡樹脂層13が外槽30から剥がれてしまったりする虞がある。
【0041】
第2工程S2では、第1発泡樹脂層13に対して、作業者Nが、携行しているスプレーガン90でウレタンフォーム原料を吹き付け、低密度硬質ウレタンフォームからなる第2発泡樹脂層14を所定の厚さになるように形成する。このとき、第1発泡樹脂層13よりも低密度の硬質ウレタンフォームが形成されるウレタンフォーム原料を吹き付ける。具体的には、第2発泡樹脂層14のウレタンフォーム原料中のポリオール(「活性水素化合物」に相当する)には、第1発泡樹脂層13のウレタンフォーム原料中のポリオールよりも分子量(重量平均分子量(Mw))が大きい(つまり高分子量)ものが含まれている。例えば、第1発泡樹脂層13のウレタンフォーム原料中のポリオールは、平均分子量1000以下のものが主であり、第2発泡樹脂層14のウレタンフォーム原料中のポリオールは、平均分子量1500以上のものを5wt%以上含んでいる。
【0042】
本実施形態の緩和層10の構成及びその施工方法に関する説明は以上である。次に、緩和層10及びその施工方法の作用効果について説明する。
【0043】
本実施形態の緩和層10では、第1発泡樹脂層13は第2発泡樹脂層14で覆われ、内槽20の内部から漏洩した液化天然ガスLは、第1発泡樹脂層13よりも先に第2発泡樹脂層14に接触する。そして、第2発泡樹脂層14は、表面(スキン層)が局所的に急激な冷却にさらされて収縮して破断する。このとき、第2発泡樹脂層14は、面方向で連通した連続気泡構造の気泡Qの割合が高いため、液化天然ガスLの冷熱衝撃が厚み方向よりも面方向に広がり、第1発泡樹脂層13がゆっくり冷却され、第1発泡樹脂層13に伝わる冷熱衝撃が緩和される。また、第2発泡樹脂層14は、第1発泡樹脂層13よりも柔軟で圧縮強度が小さいので、表面(スキン層)は破断しやすいが、その破断が奥(第1発泡樹脂層13)まで広がりにくくなっている。つまり、第2発泡樹脂層14における第1発泡樹脂層13側部分は破断しにくくなっているので、第1発泡樹脂層13が局所的に急激な冷却にさらされることなく、第2発泡樹脂層14の内側(破断部分の内側)の液化天然ガスLによりゆっくり冷却され、第1発泡樹脂層13に伝わる冷熱衝撃が緩和される。また、第2発泡樹脂層14の破断範囲が浅いので、第1発泡樹脂層13が、第2発泡樹脂層14で起こる破断のエネルギーを受けにくくなっている。
【0044】
また、第2発泡樹脂層14を備えることによって液化天然ガスLの冷熱衝撃から第1発泡樹脂層13を保護することができるので、従来のように第1発泡樹脂層13の表面を補強するためのメッシュ構造の補強シートを備えなくてもよい。
【0045】
具体的には、第1発泡樹脂層13の表面に補強シートを積層する構成では、第1工程S1の後に、第1発泡樹脂層13の表面に補強シートを接着剤等で貼り付ける。このとき、補強シートはその剛性により第1発泡樹脂層13の表面から浮いたり、はがれたりする虞がある。そのため、第1発泡樹脂層13の表面を切削して平坦にする工程が必要となる。この工程は、全ての施工領域Wに対して手作業で行うこととなり膨大な工数及び費用がかかってしまう。しかもこの粉塵を除去する工数及び費用も必要となる。さらに、切削時に発生する切削屑の粉塵により作業環境が悪化するだけでなく、粉塵爆発のリスクが生じてしまう。これに対して、本実施形態では、この工程を必要としないため、このような問題は生じることなく、作業性を向上させることができる。
【0046】
また、切削の工程は、平坦にする目的であるから、第1発泡樹脂層13の発泡硬化が進行して十分な強度を発現してから行う必要がある。十分な強度が発現する前に切削やグランダー等の加工を行うと、平坦に削れなかったり裂けてしまったりする虞がある。十分な強度が発現するまでの目安としては、約24時間(1日)であり、余計に日数を要することとなり、費用が増えてしまう。これに対して、本実施形態では、第1工程S1の硬化が進行して表面のタックがなくなった後に、次の第2工程S2を行うことができる。これにより、第1工程S1の第1発泡樹脂層13の発泡硬化を待つ時間が不要となる。従って上述した問題は生じず、作業性を向上させることができる。
【0047】
[確認実験]
上記実施形態の緩和層10について、硬質ウレタンフォームからなる第1発泡樹脂層13を低密度硬質ウレタンフォームからなる第2発泡樹脂層14で保護することにより、冷熱衝撃を受けたときに冷熱衝撃を緩和できることを実験により確認した。この実験では、金属型内に緩和層10を作製し、その上から液体窒素を流し込み、硬質ウレタンフォームからなる第1発泡樹脂層13にクラックが入るか否かを確認した。なお、液体窒素の温度は、-196℃であり、約-160℃の液化天然ガスLに比べてより過酷な条件となる。また、窒素は不活性ガスであり、火災のリスクがないため、実験用の代替液とした。
【0048】
具体的には、内寸が、1600mm長さ×700mm幅×100mm厚みであり、上側が開放した解体可能な金属型を準備する。金属型を立て(長さ方向と厚み方向を底面とする)、金属型の底面(開放面と反対側)を外槽30に見立て、第1発泡樹脂層13用のウレタンフォーム原料を吹き付けて約3mmの下吹き層12を形成した後、50mm厚み(2層構造で各層の厚みは、25mm)の硬質ウレタンフォームからなる第1発泡樹脂層13を形成した。さらに、その上に、第2発泡樹脂層14用のウレタンフォーム原料を吹き付けて15mm厚み(1層構造)の低密度硬質ウレタンフォームからなる第2発泡樹脂層14を形成してテストピースを作製した。そして、作製したテストピースの上を倒し(長さ方向と幅方向を底面とする)、その上(第2発泡樹脂層14側)から液体窒素を流し込み、液体窒素の液面が第2発泡樹脂層14から20~30mm高さとなるようにした。その後、液体窒素の液面高さが20~30mmとなるように、随時継ぎ足し、2時間経過させた。2時間経過後、液体窒素を金属型から除去し、クラックの発生の有無を目視にて確認した。クラックが発生している場合、クラックの表面から溶剤で希釈した染料をスポイトで垂らし、約1時間放置してクラックに着色を行った。その後、金属型を解体してテストピースを取り出して、テストピースをカットし、カット断面を目視し、硬質ウレタンフォームからなる第1発泡樹脂層13へのクラックの有無を確認した。比較用に、低密度硬質ウレタンフォームからなる第2発泡樹脂層14を備えない、第1発泡樹脂層のみ(50mm厚み(2層構造で各層の厚みは、25mm))の比較サンプル1と、第1発泡樹脂層(50mm厚み(2層構造で各層の厚みは、25mm)に第1発泡樹脂層用のウレタンフォーム原料を吹き付けて15mm厚みの硬質ウレタンフォームを積層した比較サンプル2と、参考用に、第1発泡樹脂層(50mm厚み(2層構造で各層の厚みは、25mm))の表面に補強シート接着剤で固定した参考サンプル(従来の構成)と、を作成した。
【0049】
その結果、低密度硬質ウレタンフォームからなる第2発泡樹脂層14を備えた緩和層10の第1発泡樹脂層13及び第1発泡樹脂層の表面に補強シートを有する従来の緩和層の防熱層には、クラックは生じていなかった。一方、比較サンプル1及び比較サンプル2の第1発泡樹脂層には、クラックが多数入っていた。本実験から、硬質ウレタンフォームからなる第1発泡樹脂層13を低密度硬質ウレタンフォームからなる第2発泡樹脂層14で保護することにより、冷熱衝撃を受けたときに第1発泡樹脂層13の硬質ウレタンフォームのクラックの発生を抑制できることが確認できた。また、本開示の緩和層は、従来の第1発泡樹脂層の表面に補強シートを有する構成の緩和層と同等に、冷熱衝撃を緩和することが確認できた。
【0050】
[他の実施形態]
(1)上記実施形態において、低温液貯槽100には、液化天然ガスLを貯留していたが、例えば、液化プロパンガス等の他の低温液であってもよい。
【0051】
(2)上記実施形態において、タンク部40は、天井部21,31を備えていたが、蓋体を備えて上方が開放した構造であってもよい。
【0052】
(3)上記実施形態において、低密度硬質ウレタンフォームからなる第2発泡樹脂層14は1層であったが、複数層積層されていてもよい。
【0053】
(4)上記実施形態において、第1発泡樹脂層13と第2発泡樹脂層14との間にメッシュ構造の補強シートが積層されていてもよい。
【0054】
このとき、第1工程S1と第2工程S2との間に、補強シートを第1発泡樹脂層13に積層させる工程S12を行うこととなる。工程S12において、補強シートを第1発泡樹脂層13に重ねてタッカー等で仮止めしてから第2工程S2を行うことで、補強シートが第2発泡樹脂層14としての低密度硬質ウレタンフォームに内包するように第1発泡樹脂層13に固着させてもよい。このようにすることで、補強シートを第1発泡樹脂層13に貼り付けるための接着剤が不要となり、しかも第1発泡樹脂層13を平坦にする工程が不要となる。
【0055】
(5)上記実施形態において、第2発泡樹脂層14は、低密度硬質ウレタンフォームであったが、軟質ウレタンフォーム等の他の発泡樹脂であってもよい。また、第1発泡樹脂層13も他の発泡樹脂であってもよい。
【0056】
(6)上記実施形態において、第2発泡樹脂層14は、第1発泡樹脂層13にウレタンフォーム原料を吹き付けて発泡硬化させることで形成されていたが、予め製造された低密度硬質ウレタンフォーム製のパネルを第1発泡樹脂層13に固定することで形成されてもよい。
【0057】
なお、本明細書及び図面には、特許請求の範囲に含まれる技術の具体例が開示されているが、特許請求の範囲に記載の技術は、これら具体例に限定されるものではなく、具体例を様々に変形、変更したものも含み、また、具体例から一部を単独で取り出したものも含む。
【0058】
<付記>
以下、上述した実施形態から抽出される発明の第1~第11の態様について、必要に応じて効果等を示しつつ説明する。
【0059】
[第1態様]
0℃以下の低温液が貯留される内槽と、その外側を覆う外槽と、前記外槽の内側面に積層され、前記低温液の漏れを抑え、冷熱衝撃を緩和するための第1発泡樹脂層と、を備える低温液貯槽であって、
前記第1発泡樹脂層の内槽側表面に、面方向に連通する気泡構造を備える第2発泡樹脂層を有している低温液貯槽。
【0060】
発明の第1態様によれば、第2発泡樹脂層は、面方向で連通する気泡構造を備えるため、低温液の冷熱衝撃が厚み方向よりも面方向に広がり、第1発泡樹脂層がゆっくり冷却され、第1発泡樹脂層に伝わる冷熱衝撃が緩和される。
【0061】
[第2態様]
前記第2発泡樹脂層は、前記第1発泡樹脂層よりも空隙率が高い第1態様に記載の低温液貯槽。
【0062】
[第3態様]
前記第2発泡樹脂層の空隙率が、97.5%以上である第1態様又は第2態様に記載の低温液貯槽。
【0063】
発明の第2態様によれば、第2発泡樹脂層は、第1発泡樹脂層13よりも空隙率が大きく柔軟なので、第2発泡樹脂層の破断範囲が浅くなり、第1発泡樹脂層が、第2発泡樹脂層で起こる破断のエネルギーを受けにくくなる。また、第2発泡樹脂層の空隙率は、97.5%以上が好ましい(第3態様)。
【0064】
[第4態様]
前記第2発泡樹脂層は、前記第1発泡樹脂層よりも熱抵抗値が低い第1態様から第3態様のうち何れか1の態様に記載の低温液貯槽。
【0065】
[第5態様]
前記第2発泡樹脂層の熱抵抗値が、0.30m・K/W以上である第4態様に記載の低温液貯槽。
【0066】
発明の第4態様によれば、第2発泡樹脂層が第1発泡樹脂層に冷たさを伝達し、第1発泡樹脂層が徐々に冷却される。第2発泡樹脂層の熱抵抗値が、0.30m・K/W以上であると、第1発泡樹脂層の冷却速度が適切になると思われる(第5態様)。
【0067】
[第6態様]
前記第1発泡樹脂層の独立気泡率が65%~100%であり、前記第2発泡樹脂層の独立気泡率が0~35%である第1態様から第5態様のうち何れか1の態様に記載の低温液貯槽。
【0068】
発明の第6態様によれば、第2発泡樹脂層は、第1発泡樹脂層よりも気泡同士が連続しているので、低温液の冷熱衝撃が第2発泡樹脂層内に広がり、第1発泡樹脂層がゆっくり冷却され、第1発泡樹脂層に伝わる冷熱衝撃が緩和される。
【0069】
[第7態様]
前記第1発泡樹脂層及び前記第2発泡樹脂層は、ウレタンフォームである第1態様から7のうち何れか1の請求項に記載の低温液貯槽。
【0070】
[第8態様]
第1態様から第7態様のうち何れか1の態様に記載の低温液貯槽の製造方法であって、
前記第2発泡樹脂層に用いられる発泡樹脂原料が、前記第1発泡樹脂層に用いられる発泡樹脂原料中の活性水素化合物(主にポリオール)よりも高分子量の活性水素化合物(主にポリオール)を備える低温液貯槽の製造方法。
【0071】
[第9態様]
第1態様から第7態様のうち何れか1の態様に記載の低温液貯槽の製造方法であって、
前記外槽の内側面に原料を塗布して発泡硬化させて前記第1発泡樹脂層を形成する第1工程、
前記第1発泡樹脂層の内槽側表面に原料を塗布して発泡硬化させて前記第2発泡樹脂層を形成する第2工程、
を行う低温液貯槽の製造方法。
【0072】
[第10態様]
第1態様から第7態様のうち何れか1の態様に記載の低温液貯槽の製造方法であって、
前記第1発泡樹脂層及び前記第2発泡樹脂層を積層した樹脂パネルを、前記外槽の内側面に設置するパネル設置工程を行う低温液貯槽の製造方法。
【0073】
[第11態様]
0℃以下の低温液が貯留される内槽と、その外側を覆う外槽と、前記外槽の内側面に積層され、前記低温液の漏れを抑え、冷熱衝撃を緩和するための第1発泡樹脂層と、を備える低温液貯槽の冷熱衝撃緩和方法であって、
前記第1発泡樹脂層の内槽側表面に、面方向に連通する気泡構造を備え、前記内槽から漏れた前記低温液を沸騰させ、気体層を発生させる第2発泡樹脂層を配する低温液貯槽の冷熱衝撃緩和方法。
【0074】
発明の第11態様によれば、第2発泡樹脂層の中心部が冷却されるまでの間、第2発泡樹脂層の中心部と低温液との間に気体層が生じるので、その間に第1発泡樹脂層が徐々に冷却され、第1発泡樹脂層が破断しにくくなる。
【符号の説明】
【0075】
10 緩和層
13 第1発泡樹脂層
14 第2発泡樹脂層
20 内槽
30 外槽
50 防液堤
100 低温液貯槽
L 液化天然ガス(低温液)
図1
図2
図3
図4
図5
図6