(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-02-21
(45)【発行日】2025-03-04
(54)【発明の名称】カラオケ装置
(51)【国際特許分類】
G10K 15/04 20060101AFI20250225BHJP
【FI】
G10K15/04 302D
(21)【出願番号】P 2021124113
(22)【出願日】2021-07-29
【審査請求日】2024-04-15
(73)【特許権者】
【識別番号】390004710
【氏名又は名称】株式会社第一興商
(74)【代理人】
【識別番号】100111202
【氏名又は名称】北村 周彦
(74)【代理人】
【識別番号】100150304
【氏名又は名称】溝口 勉
(72)【発明者】
【氏名】永沼 宇将
【審査官】稲葉 崇
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-054860(JP,A)
【文献】特開2013-050670(JP,A)
【文献】特開2006-047574(JP,A)
【文献】特開平10-069216(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G10K 15/00-15/12
G09B 1/00-19/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
リズム感を評価可能なコンテンツを実行するコンテンツモードが設定可能なカラオケ装置であって、
コンテンツモードが設定された状態で楽曲を演奏する際、当該楽曲の演奏区間と、前記演奏区間に含まれる無音区間と、前記無音区間に含まれる歌唱区間と、をそれぞれ設定する区間設定部と、
前記演奏区間中に前記楽曲の演奏を実施すると共に歌詞表示及び歌詞の色変えを実施する演奏区間制御部と、
前記無音区間中に演奏中の前記楽曲の演奏音量を無音にすると共に歌詞の色変えを停止する無音区間制御部と、
前記無音区間中に歌唱対象となる歌詞を強調表示して歌唱音声が入力される前記歌唱区間を提示する歌唱区間提示部と、
前記演奏区間の開始から前記無音区間中に初めて歌唱音声が入力されるまでの経過時間を計時する計時部と、
前記演奏区間の開始から前記歌唱区間の開始までの演奏の進行時間と前記計時部に計時された経過時間との時間差に基づいて評価結果を報知する報知部と、を備えていることを特徴とするカラオケ装置。
【請求項2】
前記区間設定部は、前記楽曲の少なくとも1つのサビ区間を含むように前記演奏区間を設定し、前記サビ区間に前記無音区間の開始地点を設定し、前記サビ区間に前記歌唱区間を設定することを特徴とする請求項1に記載のカラオケ装置。
【請求項3】
前記区間設定部は、前記サビ区間の直前に前記演奏区間の開始地点を設定することを特徴とする
請求項2に記載のカラオケ装置。
【請求項4】
前記歌唱区間提示部は、前記歌唱区間の歌詞を、前記歌唱区間以外の前記演奏区間の歌詞とは異なる文字色で表示することを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のカラオケ装置。
【請求項5】
コンテンツの難易度を取得する難易度取得部を備え、
前記区間設定部は、前記難易度取得部に取得された難易度に基づいて前記無音区間を設定することを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載のカラオケ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カラオケ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、カラオケ装置には歌唱の巧拙を採点する歌唱採点機能が搭載されており、採点結果に応じて利用者同士の歌唱力の優劣を競い合うことでカラオケを楽しむことができる。歌唱採点機能は、主に歌唱ピッチの正確性に基づいて採点されることから、利用者の音感が鍛えられるが、更なる歌唱力の向上のためには利用者のリズム感を鍛える必要がある。例えば、歌唱音声のリズムと歌唱メロディトラックのリズムのズレ量が大きくなったときに、リズムに応じた刺激を利用者の皮膚に伝達させて、利用者のリズムのズレを認識させるものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の技術は、歌唱音声のリズムと歌唱メロディトラックのリズムのズレを利用者に認識させるだけで、利用者にリズム感があるかないかを知らせることができず、コンテンツとしての面白みに欠ける。
【0005】
本発明の目的は、利用者のリズム感を評価すると共に、緊迫した雰囲気を伴ったゲーム要素の高いカラオケコンテンツを実行可能なカラオケ装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するための主たる発明は、リズム感を評価可能なコンテンツを実行するコンテンツモードが設定可能なカラオケ装置であって、コンテンツモードが設定された状態で楽曲を演奏する際、当該楽曲の演奏区間と、前記演奏区間に含まれる無音区間と、前記無音区間に含まれる歌唱区間と、をそれぞれ設定する区間設定部と、前記演奏区間中に前記楽曲の演奏を実施すると共に歌詞表示及び歌詞の色変えを実施する演奏区間制御部と、前記無音区間中に演奏中の前記楽曲の演奏音量を無音にすると共に歌詞の色変えを停止する無音区間制御部と、前記無音区間中に歌唱対象となる歌詞を強調表示して歌唱音声が入力される前記歌唱区間を提示する歌唱区間提示部と、前記演奏区間の開始から前記無音区間中に初めて歌唱音声が入力されるまでの経過時間を計時する計時部と、前記演奏区間の開始から前記歌唱区間の開始までの演奏の進行時間と前記計時部に計時された経過時間との時間差に基づいて評価結果を報知する報知部と、を備えているカラオケ装置である。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、演奏区間に無音区間が含まれるため、楽曲の演奏途中で演奏音量が無音になると共に歌詞の色変えが停止される。無音区間では歌詞だけが表示されるため、歌詞と利用者自身のリズム感を頼りに、利用者が頭の中で一定のテンポを刻みながら演奏の進行状況を予測する必要がある。無音区間には歌唱区間が含まれており、無音で色変えが停止された状況で歌唱対象となる歌詞が強調表示される。演奏の進行状況を予測した状態で、利用者が歌唱区間に到達したと判断したタイミングで歌唱音声を入力する。そして、演奏区間の開始から歌唱音声が入力されるまでの経過時間と、演奏区間の開始から歌唱対象となる歌詞までの演奏の進行時間との差分が求められる。これにより、利用者が歌唱区間に到達したと判断したタイミングと実際に演奏が歌唱区間に到達したタイミングのズレから利用者のリズム感が評価され、緊迫した雰囲気を伴ったゲーム要素の高いカラオケコンテンツが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図2】本実施形態のカラオケ装置の機能ブロック図である。
【
図3】本実施形態の区間設定処理の一例を示す図である。
【
図4】本実施形態の評価テーブルの一例を示す図である。
【
図5】本実施形態のカラオケ装置の処理動作の一例を示すフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
図1から
図4を参照して、本実施形態のカラオケ装置について説明する。
図1は、本実施形態のカラオケ装置の構成図である。
図2は、本実施形態のカラオケ装置の機能ブロック図である。
図3は、本実施形態の区間設定処理の一例を示す図である。
図4は、本実施形態の評価テーブルの一例を示す図である。なお、
図2の機能ブロック図には、説明の便宜上、特定処理を実現するための機能ブロックを図示しているが、カラオケ装置が通常備える構成については備えているものとする。
【0010】
図1に示すように、カラオケ装置10には、モニタ11と、スピーカ12と、マイクロフォン13と、リモコン装置14と、が接続されている。モニタ11は、カラオケ装置10からの映像信号等に基づいて背景映像と共に歌詞テロップを表示する。マイクロフォン13は、歌唱音声を歌唱音声信号に変換してカラオケ装置10に入力する。スピーカ12は、カラオケ装置10からの演奏音信号及びマイクロフォン13からの歌唱音声信号に基づいて演奏音と共に歌唱音声を放音する。リモコン装置14は、カラオケ装置10に対する楽曲の予約操作等の各種操作を受け付けている。
【0011】
カラオケ装置10によってカラオケ演奏が開始されると、カラオケ演奏に合わせて歌詞テロップと背景映像がモニタ11に表示される。カラオケ装置10ではカラオケ演奏の演奏音信号とマイクロフォン13から入力された歌唱音声信号がミキサによってミキシングされて、このミキシング信号がアンプによって増幅されてスピーカ12から放音される。このように、利用者がカラオケ演奏に合わせて歌唱すると、スピーカ12から演奏音と共に歌唱音声が放音される。また、カラオケ装置10によって利用者の歌唱力が採点されて採点結果がモニタ11に表示される。
【0012】
カラオケ装置10は、利用者の音感を評価するだけでなく、利用者のリズム感を評価可能に構成されている。カラオケ装置10のメモリには、楽曲ID毎に楽曲データ等のカラオケ歌唱に関する各種データの他、コンテンツID毎に所定のコンテンツを実行するためのコンテンツデータが記憶されている。楽曲データには、演奏音の元になる演奏データ、歌唱音声の採点基準となるリファレンスデータ、歌詞テロップの元になる歌詞データが含まれている。コンテンツデータには、カラオケ装置10をコンテンツモードで動作させる各種データが含まれている。
【0013】
楽曲IDとコンテンツIDは同じ桁数の文字列によって識別される。リモコン装置14のタッチパネルから楽曲IDが入力され、予約ボタンが押されることでリモコン装置14からカラオケ装置10に楽曲IDが送信される。同様に、リモコン装置14のタッチパネルからコンテンツIDが入力され、予約ボタンが押されることでリモコン装置14からカラオケ装置10にコンテンツIDが送信される。カラオケ装置10がリモコン装置14から楽曲ID又はコンテンツIDを受信すると、カラオケ装置10によって予約リストの最後尾に楽曲ID又はコンテンツIDが登録される。
【0014】
予約リストの先頭から順番に楽曲ID又はコンテンツIDが読み出され、楽曲IDが読み出されることで楽曲データに基づいてカラオケ演奏が開始され、コンテンツIDが読み出されることでコンテンツデータに基づいてコンテンツモードが設定される。例えば、予約リストからコンテンツC1を示すコンテンツID「C1**01」が読み出されると、コンテンツモード「リズム感チャレンジ」の開始処理及び設定処理が実施される。このコンテンツモードで新たな楽曲が予約されることで、予約楽曲を用いてリズム感チャレンジが開始される。
【0015】
図2に示すように、カラオケ装置10には、コンテンツモードで機能する区間設定部21と、演奏区間制御部22と、無音区間制御部23と、歌唱区間提示部24と、計時部25と、報知部26と、が設けられている。区間設定部21は、コンテンツモードが設定された状態で楽曲を演奏する際、当該楽曲の演奏区間と、演奏区間に含まれる無音区間と、無音区間に含まれる歌唱区間と、をそれぞれ設定する。演奏区間はリズム感チャレンジ中に楽曲の演奏対象となる区間であり、無音区間は楽曲の演奏途中に無音になる区間であり、歌唱区間は無音状態で歌唱入力を受け付ける区間である。
【0016】
演奏区間、無音区間、歌唱区間は、楽曲の演奏データに含まれる前奏区間、サビ区間等の区間情報に基づいて設定される。楽曲内で最も盛り上がるサビ区間を用いて利用者のリズム感が評価されるように、区間設定部21によって楽曲の少なくとも1つのサビ区間を含む演奏区間が設定されてもよい。この場合、区間設定部21によってサビ区間に無音区間の開始地点が設定され、サビ区間に歌唱区間が設定される。さらに、楽曲の演奏開始からサビ区間の直前にスキップされるように、区間設定部21によってサビ区間の直前に演奏区間の開始地点が設定されてもよい。
【0017】
例えば、
図3(A)に示すように、「リズム感チャレンジ」を楽しむために利用者に楽曲X2が予約され、予約リストから楽曲ID「ID**X2」が読み出されると、楽曲X2の演奏データ及び歌詞データに対して楽曲演奏の準備処理が実施される。区間設定部21によって楽曲X2の演奏データから前奏区間、第1Aメロ区間、第1Bメロ区間、第1サビ区間、間奏区間、第2Aメロ区間、第2Bメロ区間、第2サビ区間、後奏区間の区間情報が抽出される。そして、区間設定部21によって第1サビ区間を含むように演奏区間が設定される。
【0018】
演奏区間の開始地点は第1Bメロ区間の終了直前、すなわち第1サビ区間の直前に設定される。演奏区間の終了地点は間奏区間の開始直後、すなわち第1サビ区間の直後に設定される。なお、楽曲X2のように複数のサビ区間がある場合には、最初のサビ区間を含むように演奏区間が自動的に設定されてもよいし、最後のサビ区間を含むように演奏区間が自動的に設定されてもよい。また、複数のサビ区間のうちランダムにサビ区間が選定され、この選定されたサビ区間を含むように区間設定部21によって演奏区間が自動的に設定されてもよい。
【0019】
次に、
図3(B)に示すように、演奏区間に含まれるように無音区間が設定される。無音区間の開始地点は第1サビ区間の途中地点に設定され、無音区間の終了地点は演奏区間に合わせて第1サビ区間の直後に設定される。さらに、
図3(C)に示すように、無音区間及び第1サビ区間に含まれるように歌唱区間が設定される。歌唱区間の開始地点は無音区間の途中地点に設定され、歌唱区間の終了地点は第1サビ区間の終了地点に設定される。このようにして、本実施例では主に楽曲X2の第1サビ区間を用いてリズム感チャレンジが実施される。
【0020】
演奏区間制御部22は、演奏区間中に楽曲の演奏を実施すると共に、歌詞表示及び歌詞の色変えを実施する。演奏区間制御部22にMIDI(Musical Instrument Digital Interface)音源27が制御されて、MIDI音源27によって演奏データの演奏区間から演奏が開始される。また、演奏区間制御部22に表示処理器28が制御されて、表示処理器28によってモニタ11に演奏区間の歌詞テロップが表示される。このとき、テンポクロック信号に基づいて演奏データの再生に同期して歌詞テロップの色変えが実施される。なお、演奏区間の先頭から演奏が開始されてもよいし、楽曲の先頭から演奏が開始されて、途中で演奏区間の先頭までスキップされてもよい。
【0021】
無音区間制御部23は、無音区間中に演奏中の楽曲の演奏音量を無音にすると共に歌詞の色変えを停止する。無音区間制御部23にMIDI音源27が制御されて、MIDI音源27によって無音状態で楽曲の演奏が継続される。また、無音区間制御部23に表示処理器28が制御されて、表示処理器28によって色変えをしない状態で歌詞テロップがモニタ11に表示される。無音区間では歌詞テロップの表示だけが実施されるため、利用者が演奏区間で掴んだリズムに基づいて、歌詞テロップと自身のリズム感を頼りに利用者が演奏の進行状況を予測していくことになる。
【0022】
歌唱区間提示部24は、無音区間中に歌唱対象となる歌詞を強調表示して、利用者に対して歌唱音声が入力される歌唱区間を提示する。歌唱区間提示部24に表示処理器28が制御されて、表示処理器28によって歌唱区間の歌詞テロップが歌唱区間以外の演奏区間の歌詞テロップとは異なる文字色で表示される。文字色によって利用者に歌唱対象となる歌詞テロップの表示が認識される。利用者が演奏の進行状況を予測し、利用者が歌唱区間の到達を予測して歌唱対象となる歌詞テロップを歌唱し、マイクロフォン13から歌唱音声が入力される。なお、歌詞テロップとは異なる文字色の情報はコンテンツデータの一例でありカラオケ装置10のメモリに記憶されている。
【0023】
計時部25は、演奏区間の演奏が開始されてから無音区間中に初めて歌唱音声が入力されるまでの経過時間を計時する。計時部25によって演奏区間の演奏が開始されると同時に計時が開始されて、無音区間でマイクロフォン13から歌唱音声が入力された時点で計時が停止される。例えば、演奏区間の演奏が開始されてから52.40秒後に歌唱音声が入力されると、計時部25によって52.40秒が経過時間としてメモリに記憶される。これにより、利用者が頭の中で演奏の進行状況を予測した状態で、利用者が歌唱区間に到達したと判断した歌唱開始のタイミングが経過時間として求められる。
【0024】
報知部26は、演奏区間の演奏が開始されてから歌唱区間の演奏が開始されるまでの演奏の進行時間と計時部25に計時された経過時間との時間差に基づいて評価結果を報知する。報知部26によって演奏区間の開始地点から歌唱区間の開始地点までの間隔から演奏の進行時間が求められ、この演奏の進行時間と計時部25から取得された経過時間の差分が求められる。すなわち、利用者が歌唱区間の開始地点に到達したと判断した歌唱開始のタイミングと、演奏が歌唱区間の開始地点まで進行した実際の歌唱開始のタイミングのズレが求められて利用者のリズム感が評価される。
【0025】
例えば、演奏区間の演奏が開始されてから歌唱区間の演奏が開始されるまでの演奏の進行時間が54.20秒であり、計時部25に計時された経過時間が52.40秒であったときの時間差は1.40秒である。この1.40秒の時間差がリズム感のズレとして、歌唱区間の演奏終了後に報知部26によってモニタ11に表示される。このように、利用者自身のリズム感のズレが評価結果として報知されることで、緊迫した雰囲気を伴ったゲーム要素の高いカラオケコンテンツを提供することができる。なお、時間差が評価結果として表示される代わりに、評価結果がコメントで表示されてもよい。
【0026】
例えば、
図4に示す評価テーブルが参照されて、時間差に応じたコメントがモニタ11に表示されてもよい。時間差「±4秒以上」のときにはコメント「リズム感のことは忘れましょう」が表示され、時間差「±2秒以上±4秒未満」のときにはコメント「リズム感を養う練習が必要です」が表示される。時間差「0.5秒以上±2秒未満」のときにはコメント「少々リズム感が甘いです」が表示され、時間差「±0.5秒未満」のときにはコメント「リズム感が完璧です」が表示されている。また、評価結果は表示報知に限らずに音声報知されてもよい。なお、評価テーブルはコンテンツデータの一例でありカラオケ装置10のメモリに記憶されている。
【0027】
なお、カラオケ装置10の各処理は、プロセッサを用いてソフトウェアによって実現されてもよいし、集積回路等に形成された論理回路(ハードウェア)によって実現されてもよい。プロセッサを用いる場合には、プロセッサがメモリに記憶されているプログラムを読み出して実行することで各種処理が実施される。プロセッサとしては、例えば、CPU(Central Processing Unit)が使用される。また、メモリは、用途に応じてROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)等の一つ又は複数の記憶媒体によって構成されている。
【0028】
図5を参照して、本実施形態のカラオケ装置の処理動作について説明する。
図5は、本実施形態のカラオケ装置の処理動作の一例を示すフロー図である。なお、ここでは、
図2の符号を適宜使用して説明する。また、以下のフローは一例に過ぎず、適宜変更が可能である。
【0029】
図5に示すように、予約リストからコンテンツIDが読み出されると、カラオケ装置10がコンテンツデータに基づいて「リズム感チャレンジ」のコンテンツモードに設定される(ステップS01)。コンテンツモードに設定された状態で、利用者によってリモコン装置14によって楽曲が予約されると(ステップS02)、区間設定部21によって楽曲の演奏データに基づいて演奏区間、無音区間、歌唱区間が設定される(ステップS03)。楽曲のサビ区間を含むように演奏区間が設定され、演奏区間内に無音区間が設定され、無音区間内に歌唱区間が設定される(
図3(A)-(C)参照)。
【0030】
演奏区間制御部22にMIDI音源27が制御されて演奏区間の開始地点から楽曲の演奏が開始され、演奏区間制御部22に表示処理器28が制御されて歌詞テロップの表示及び色変えが開始される(ステップS04)。このとき、計時部25によって演奏区間の開始地点からの経過時間が計時される。演奏区間の開始地点から無音区間の開始地点まで演奏が進行すると、無音区間制御部23にMIDI音源27が制御されて演奏音量が無音にされ、演奏区間制御部22に表示処理器28が制御されて歌詞テロップの色変えが停止される(ステップS05)。
【0031】
無音区間ではモニタ11に歌詞テロップが表示されているが、利用者は演奏音を聞くことができず、歌詞テロップの色変えを見ることができない。このため、演奏区間の開始地点から無音区間の開始地点までに利用者が楽曲のリズムを掴み、無音区間の開始地点からは歌詞テロップと自身のリズム感を頼りに利用者が楽曲の進行状況を予測する。また、無音区間の開始地点から無音状態で演奏が進行すると、歌唱区間提示部24によって歌唱区間(歌唱対象)を示す歌詞テロップが表示される(ステップS06)。歌唱区間の歌詞テロップと歌唱区間よりも前の歌詞テロップには異なる表示色が用いられている。
【0032】
利用者がリズム感を頼りに歌唱区間の開始地点まで演奏が進行したと予測すると、利用者によって歌唱区間の歌詞テロップが歌唱されてマイクロフォン13から歌唱音声が入力される(ステップS07でYes)。このとき、計時部25による計時が停止されて、演奏区間の開始地点から歌唱音声が入力されるまでの経過時間が求められる。また、報知部26により演奏区間の開始地点から歌唱区間の開始地点までの演奏の進行時間が求められる。そして、計時部25に計時された経過時間と演奏の進行時間との時間差から利用者のリズム感のズレが求められて評価結果が報知される(ステップS08)。
【0033】
以上、本実施形態によれば、演奏区間に無音区間が含まれるため、楽曲の演奏途中で演奏音量が無音になると共に歌詞の色変えが停止される。無音区間では歌詞だけが表示されるため、歌詞と利用者自身のリズム感を頼りに、利用者が頭の中で一定のテンポを刻みながら演奏の進行状況を予測する必要がある。無音区間には歌唱区間が含まれており、無音で色変えが停止された状況で歌唱対象となる歌詞が強調表示される。演奏の進行状況を予測した状態で、利用者が歌唱区間に到達したと判断して歌唱音声を入力する。そして、演奏区間の開始から歌唱音声が入力されるまでの経過時間と、演奏区間の開始から歌唱対象となる歌詞までの演奏の進行時間との差分が求められる。これにより、利用者が歌唱区間に到達したと判断したタイミングと実際に演奏が歌唱区間に到達したタイミングのズレから利用者のリズム感が評価され、緊迫した雰囲気を伴ったゲーム要素の高いカラオケコンテンツが提供される。
【0034】
なお、本実施形態では無音区間の長さが自動的に設定されたが、利用者に選択された難易度に応じて無音区間が設定されてもよい。この場合、カラオケ装置には、コンテンツモードで機能する難易度取得部が設けられている。「リズム感チャレンジ」のコンテンツモードでは、リモコン装置のタッチパネル上のコンテンツ画面から楽曲の予約と同時にチャレンジの難易度が選択される。リモコン装置によって難易度が選択されると、リモコン装置からカラオケ装置に難易度が送信されて、難易度取得部にコンテンツの難易度が取得される。
【0035】
このとき、楽曲の予約時に利用者によって5段階の難易度の中から所望の難易度が選択されてもよいし、5段階の難易度の中からランダムに難易度が選択されてもよい。また、利用者毎に歌唱履歴としてリズム感チャレンジの評価結果が記憶されており、前回の難易度で楽曲に対するリズム感チャレンジの評価結果に基づいて、この楽曲に対するリズム感チャレンジの今回の難易度が選択されてもよい。そして、難易度取得部に取得された難易度に基づいて、区間設定部によって無音区間の長さが設定される。この場合、無音区間の終了地点は変更されずに開始地点が変更される。
【0036】
ここで無音区間が長いほど、利用者が自身のリズム感で一定のテンポを刻む時間が長くなるため難易度が高くなる。逆に無音区間が短いほど、利用者が自身のリズム感で一定のテンポを刻む時間が短くなるため難易度が低くなる。例えば、5段階の難易度でサビ区間が20秒であり、サビ区間の50%を最長の無音区間とした場合には、難易度が低い順に無音区間が2秒、4秒、6秒、8秒、10秒に設定される。このように、難易度に応じて無音区間の長さが調整されることで、よりゲーム要素の高いコンテンツを提供することができる。なお、利用者に選択された難易度に応じて無音区間の長さ(開始地点)が設定されるのではなく、難易度に応じて無音区間の開始地点及び終了地点が設定されてもよい。たとえば、難易度が高い場合には、演奏データに含まれるテンポ情報の変化が大きい区間を無音区間に設定することができる。より具体的には、演奏の途中でテンポが遅くなり歌唱にタメが必要な場合には、利用者が自身のリズム感で一定のテンポを刻むことが難しくなる。
【0037】
また、本実施形態では、歌唱区間提示部が歌唱区間の歌詞テロップと歌唱区間よりも前の歌詞テロップの表示色を異ならせているが、歌唱区間提示部が歌唱区間の歌詞テロップを強調表示していればよい。例えば、歌唱区間提示部は、歌唱区間の歌詞テロップを太字で表示したり、歌唱区間の歌詞テロップにアンダーラインを付したり、歌唱区間の歌詞テロップのフォントの種類を変えたりしてもよい。
【0038】
また、本実施形態では、区間設定部がサビ区間を含むように演奏区間を設定したが、区間設定部は歌詞が存在する区間を含むように演奏区間を設定すればよい。例えば、区間設定部は、Aメロ区間やBメロ区間を含むように演奏区間を設定してもよい。
【0039】
また、実施形態及び変形例において、カラオケ装置にプログラムをインストールすることによって、カラオケ装置に対してリズム感の評価機能が追加されてもよい。このプログラムは記憶媒体に記憶されている。記憶媒体は特に限定されないが、光ディスク、光磁気ディスク、フラッシュメモリ等の非一過性の記憶媒体であってもよい。
【0040】
また、本実施形態を説明したが、他の実施形態として、上記実施形態及び変形例を全体的又は部分的に組み合わせたものでもよい。
【0041】
また、本発明の技術は上記の実施形態に限定されるものではなく、技術的思想の趣旨を逸脱しない範囲において様々に変更、置換、変形されてもよい。さらには、技術の進歩又は派生する別技術によって、技術的思想を別の仕方によって実現することができれば、その方法を用いて実施されてもよい。したがって、特許請求の範囲は、技術的思想の範囲内に含まれ得る全ての実施態様をカバーしている。
【符号の説明】
【0042】
10 :カラオケ装置
21 :区間設定部
22 :演奏区間制御部
23 :無音区間制御部
24 :歌唱区間提示部
25 :計時部
26 :報知部