(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-02-21
(45)【発行日】2025-03-04
(54)【発明の名称】ピッキングシステム
(51)【国際特許分類】
B65G 1/137 20060101AFI20250225BHJP
B65G 1/00 20060101ALI20250225BHJP
【FI】
B65G1/137 G
B65G1/00 501C
(21)【出願番号】P 2022158439
(22)【出願日】2022-09-30
【審査請求日】2024-05-29
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000110011
【氏名又は名称】トーヨーカネツ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003454
【氏名又は名称】弁理士法人友野国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】恩幣 直輝
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 里織
【審査官】中田 誠二郎
(56)【参考文献】
【文献】特表2017-522247(JP,A)
【文献】特開2022-077088(JP,A)
【文献】特開2015-040129(JP,A)
【文献】特開2018-047997(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 1/137
B65G 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
物品を集品するピッキング情報に基づいた制御システムで
建物にて稼働するピッキングシステムにおいて、
注文別に物品を集品する集品箱を移載する機能を有する無人移送車と、前記無人移送車より前記集品箱を受け入れる集品箱受入装置と、集品箱を搬送する搬送装置と、前記搬送装置に隣接した物品格納棚と、集品箱を前記無人移送車に受け渡す集品箱受渡装置と、昇降機と、を備え、
前記無人移送車は、前記建物の躯体床として形成されもしくは前記建物の躯体床の上の支持体に固定されて設置されて形成される下層フロアを走行する下層用無人移送車と、前記支持体に固定されて設置され前記下層フロアと複層をなす上層フロアを走行する上層用無人移送車とを少なくとも備え、
第1の前記集品箱受入装置と、第1の前記搬送装置と、第1の前記集品箱受渡装置とは、前記集品箱の搬送に適した実質的に同一である第1の高さに設置され、さらに第2の前記集品箱受入装置と、第2の前記搬送装置と、第2の前記集品箱受渡装置とは、前記集品箱の搬送に適した実質的に同一である第2の高さに設置され、
第1の前記下層用無人移送車から前記第1の前記集品箱受入装置を介して前記第1の前記搬送装置に移載された後に前記第1の搬送装置により搬送され第1の物品投入位置に停止状態にある第1の集品箱と、
第1の前記上層用無人移送車から前記第2の前記集品箱受入装置を介して前記第2の前記搬送装置に移載された後に前記第2の搬送装置により搬送され、さらに前記昇降機により搬送され、第2の物品投入位置に停止状態にある第2の集品箱とに、前記物品格納棚から作業員により物品は投入され、
前記物品が投入された前記第1の集品箱は、前記第1の集品箱受渡装置により
第2の前記
下層用無人移送車に受渡され、
前記物品が投入された前記第2の集品箱は、前記昇降機により搬送され第2の集品箱受渡装置に移載され、
第2の前記
上層用無人移送車に受渡されることを特徴とするピッキングシステム。
【請求項2】
前記第1の物品投入位置に停止状態にある前記第1の集品箱と、前記第2の物品投入位置に停止状態にある前記第2の集品箱とに、略同じタイミングで物品が投入されることを特徴とする請求項1に記載のピッキングシステム。
【請求項3】
前記第1の物品投入位置と、前記第2の物品投入位置とは、
前記第1の集品箱と前記第2の集品箱への繰返される物品投入作業に対し作業者の腰への負担が軽減される高さであり、立ち位置高さとして床面から略60cmから略80cmであることを特徴とする請求項1に記載のピッキングシステム。
【請求項4】
前記
上層フロア及び前記下層フロアには、軽量の走行床を形成することが可能なフロアパネルが設置されることを特徴とする請求項1に記載のピッキングシステム。
【請求項5】
前記無人移送車が待機する待機エリアをさらに備えることを特徴とする請求項1に記載のピッキングシステム。
【請求項6】
前記待機エリアは、前記無人移送車を充電させる機構を備えることを特徴とする請求項5に記載のピッキングシステム。
【請求項7】
前記無人移送車の走行フロアは、AGV(Automatic Guided Vehicle)が走行するための目印であるグリッド機能としてICタグ、QRコード(登録商標)、磁気テープ、光反射テープのうちの少なくとも一つが用いられることを特徴とする請求項4に記載のピッキングシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ピッキングシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、物流センター等では物品を目的別に仕分けるためのピッキングシステムがある。例えば、コンベヤラインが敷かれ、その向こう側にオーダー別に物品がピッキングラック(フローラック)の間口の中に配置されており、その配置された間口からピッキングの作業者が物品をピッキングするものである。フローラック一棹の大きさは一人のピッキング作業者がピッキング作業を行うための適切な幅、高さに設定され、この作業エリアを物品投入エリアと呼び、このエリアを日当たり又は時間当たり適切に処理できる数設けられ、これをピッキングゾーンと呼んでおり、コンベアに沿ってピッキングゾーンは配置される。このピッキングゾーンの作業者は、WMS(Warehouse Management System)(またはWCS(Warehouse Control System)などの倉庫管理システム)に代表されるコンピュータ制御によりピッキングオーダ(集品指示)された物品を、ピッキングラック(フローラック)からピッキング(集品)作業し、コンベア上を移送されてくるオリコン、コンテナ、段ボール箱等の集品箱に投入する。集品箱は、次のピッキングゾーンへコンベヤ移送され、ピッキング作業が行われ、最終的に梱包エリア等へ移送される。
【0003】
このような、従来のコンベヤ搬送を主体にしたピッキングゾーンは、1フロアあたりの面積規模は、500坪以上でピッキングの作業者数が20人以上の倉庫規模の物流センターに多く採用されている。
【0004】
一方、昨今、Eコマースの急速な普及により物量全体が大幅に増加し、物流倉庫の拡充や増設が活発になっているが、上記のような従来型の搬送ラインを主体とした物流センターでは処理能力が追い付かなくなってきた。これは、搬送ライン方式では処理能力を上げるためにピッキングゾーンを拡充する方法で対処することになるが、昨今の人手不足の問題から、作業者が予定数確保できなくなってきた。そこで、人手を使わず、フロア面積も拡大せずに、限られた時間内で増加する処理数に対応するための新たな物流センターの構築が課題となってきた。例えば、搬送ラインに代わりAGV(Automatic Guided Vehicle)やAMR(Autonomous Mobile Robot)(以下、これらを「無人移送車」と称す)の導入が進められているが、こういう事情の背景による。
【0005】
無人移送車を採用したピッキングシステムでは、一般的な適正規模としては300坪前後で作業者の人数が15人以上の現場で、効果を発揮するともいわれている。特許文献1では、各種物品を保管しピッキング位置に供給するための保管棚と、集品箱を搬送するためのコンベヤと、この保管箱から取り出した物品を一時的に仮置きしておくための仮置棚とを少なくとも備え、コンベヤの長手走行方向に対し、ピッキング作業員を横一列に複数人配置する作業空間が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本願は、上記のような、Eコマースの普及による物量の増加と人手不足の問題などを踏まえ、人手を使わず、フロア面積も拡大せずに、限られた時間内で増加する処理数に対応するための新たな物流センターを構築することを究極の目的とする。そのために、より具体的に、本願は、物量の拡大に対し、建屋を拡張させ対応するのでなく、できだけ経費をかけずに短時間で構築可能なピッキングシステムを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の第1の態様として、物品を集品するピッキング情報に基づいた制御システムで稼働するピッキングシステムにおいて、注文別に物品を集品する集品箱を移載する機能を有する無人移送車と、前記無人移送車より前記集品箱を受け入れる集品箱受入装置と、集品箱を搬送する搬送装置と、前記搬送装置に隣接した物品格納棚と、集品箱を前記無人移送車に受け渡す集品箱受渡装置と、昇降機と、を備え、第1の集品箱受入装置と、第1の搬送装置と、第1の集品箱受渡装置とは、集品箱の搬送に適した該同一高さの第1の平面に設置され、さらに1つ以上の複層に第2の集品箱受入装置と、第2の搬送装置と、第2の集品箱受渡装置とは、集品箱の搬送に適した該同一高さの第2平面に設置され、前記第1の搬送装置により搬送され前記第1の平面に設置される第1の物品投入位置に停止状態にある第1の集品箱と、前記第2の搬送装置により搬送され、さらに前記昇降機により搬送され、前記第2の平面に設置される第2の物品投入位置に停止状態にある第2の集品箱とに、前記物品格納棚から作業員により物品は投入され、前記第1の集品箱は、前記第1の集品箱受渡装置により前記無人移送車に受渡され、前記第2の集品箱は、前記昇降機により搬送され第2の集品箱受渡装置に移載され、前記無人移送車に受渡されることを特徴とする。
【0009】
本発明の第2の態様として、第1の態様に対して、前記第1の物品投入位置に停止状態にある前記第1の集品箱と、前記第2の物品投入位置に停止状態にある前記第2の集品箱とに、略同じタイミングで物品を投入することを特徴としてもよい。
【0010】
本発明の第3の態様として、第1の態様に対して、前記第1の物品投入位置と、前記第2の物品投入位置とは、前記第1の集品箱と前記第2の集品箱への繰返される物品投入作業に対し作業者の腰への負担が軽減される最適な高さであり、立ち位置高さとして床面から60cmから80cmであることを特徴としてもよい。
【0011】
本発明の第4の態様として、第1の態様に対して、前記無人移送車の走行フロアは、軽量の走行床を形成することが可能なフロアパネルが設置され、前記第1の集品箱受入装置と、前記第1の集品箱受渡装置との前記無人移送車による集品箱の移載に適した第1のフロアと、前記第2の集品箱受入装置と前記第2の集品箱受渡装置との前記無人移送車による集品箱の移載に適した第2のフロアを有し、少なくとも前記第2のフロアは、建物の床上の支持体に支持されることを特徴としてもよい。
【0012】
本発明の第5の態様として、第1の態様に対して、前記無人移送車が待機する待機エリアを備えることを特徴としてもよい。
【0013】
本発明の第6の態様として、第1の態様に対して、前記待機エリアは、前記無人移送車を充電させる機構を備えることを特徴としてもよい。
【0014】
本発明の第7の態様として、第4の態様に対して、前記無人移送車の走行フロアはAGV(Automatic Guided Vehicle)が走行するための目印であるグリッド機能としてICタグ、QRコード、磁気テープ、光反射テープの少なくとも一つが用いられることを特徴としてもよい。
【発明の効果】
【0015】
本発明によると、物流センターの処理能力を上げるために物流センターの建屋の拡大を図るという経費及び時間が掛かる方法を避けることができるとともに、フロアを多層階とすることで実質床面積の拡大を図り、作業者が同時に複数の集品箱に物品を投入し作業効率を改善することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本実施の形態のピッキングシステムの斜視図である。
【
図2】本実施の形態のピッキングゾーンを説明する説明図である。
【
図3】本実施の形態のフロアに敷かれているフロアパネルの模式図である。
【
図4】本実施の形態の全体制御コンピュータのブロック図である。
【
図5】本実施の形態の動作情報生成部のブロック図である。
【
図6】本実施の形態のピッキングシステムの動作を示すフローチャート(1)である。
【
図7】本実施の形態のピッキングシステムの動作を示すフローチャート(2)である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、添付図面を参照して本発明の実施形態を詳細に説明する。本例で左右方向という場合はピッキングシステム1を正面からみての左右方向をいう。上下方向という場合も正面からみて床面を下方向とし、高い方を上方向とする。前後方向も正面からみて手前側が前方向とし、後ろ側が後方向であり、必要に応じて図面に座標で示してある。また、本例では既に公知である技術は説明を省略する。
【0018】
図1はピッキングシステム1の概略構成図である。
図2はピッキングシステム1のピッキングゾーン10を説明する説明図である。
図1および
図2に示すように、本実施の形態は、ピッキングシステム1において、AGV(Automatic Guided Vehicle)/AMR(Autonomous Mobile Robot)などの無人移送車(以下、総称して「AMR4」という。)が複層(本実施の形態では2層として説明する。)で走行できるフロア25とフロア23を設ける構造とし、作業員Sにより、背後のフロ―ラック21から物品はピッキングされ、集品箱5に投入されるピッキングゾーン10が複数に構成されている。ピッキンゾーン10は、上層のコンベヤ7(搬送装置)と、下層のコンベヤ11(搬送装置)と、リフタ19(昇降機)と、下層集品箱受入装置13と、下層集品箱受渡装置15と、上層集品箱受入装置9と、上層集品箱受渡装置20とを備える。上層のコンベヤ7は、上流(
図1の右方向)に、上層集品箱受入装置9を備える。上層のフロア23を走行するAMR4より集品箱5は、上層集品箱受入装置9に移載され、上層のコンベヤ7の上流から下流(
図1の左方向)へ移送され、上層のコンベヤ7のコンベヤ高さで待機するリフタ19へ移載される。
【0019】
上層のコンベヤ7からリフタ19に移載された集品箱5は、リフタ19により下層のコンベヤ11の高さに相当する、上層からの集品箱への投入場所に該当するリフタ物品投入位置19Aまで移送され、作業員Sによりフロ―ラック21(物品格納棚)から物品はピッキングされ、集品箱5に投入され、投入が完了すると、集品箱5は、リフタ19により上層のコンベヤ7のコンベヤ高さに該当する位置まで移送され、上層集品箱受渡装置20に移載され、上層集品箱受渡装置20より、集品箱5はAMR4に移載される。
【0020】
下層集品箱受入装置13、下層集品箱受渡装置15、上層集品箱受入装置9、上層集品箱受渡装置20は、直角分岐型装置を使用するものであり、例えばコンベヤ7の移動方向はローラコンベヤ(図示せず)により移動できるものであり、AMR4との移載についてはローラコンベヤのすき間に設けた直角分岐型装置を使用する。
【0021】
また、上層集品箱受渡装置20は、ローラコンベヤと直角分岐型装置を使用し、左隣にピッキングゾーンが連続する場合にはそのピッキングゾーン10の上層のコンベヤ7の上層集品箱受入装置9としての機能を兼用されてもよい。
【0022】
下層のコンベヤ11は、上流(
図1の右方向)に、下層集品箱受入装置13を備え、下層のフロア25を走行するAMR4より集品箱5は、下層集品箱受入装置13に移載され、下層のコンベヤ11の上流から下流(
図1の左方向)の下層集品箱受渡装置15に移送され、作業員Sによりフロ―ラック21から物品はピッキングされ、下層集品箱受渡装置15の下層からの集品箱への投入場所で集品箱5に投入され、投入が完了すると、下層集品箱受渡装置15より、集品箱5はAMR4に移載される。
【0023】
上層のフロア23は、建物の躯体床16の上の支持体18に固定され設置される。下層のフロア25は、建物の躯体床16を使用するか、または、支持体18に固定され設置されてもよい。
【0024】
リフタ19は上部に左右方向に移動できるコンベヤ機能を備え、上層のコンベヤ7と下層のコンベヤ11は、建物の躯体床16の上の支持体(図示せず)に固定されるのが望ましい。
【0025】
また、リフタ19は、建物の躯体床16に対して立設した昇降ベルト171を備えた昇降基部17と昇降ベルト171に案内されて上下方向に移動及び停止は自在であり、駆動はサーボモータ(図示しない)により行われる。
【0026】
上層集品箱受渡装置20は、建物の躯体床16の上の支持体18に固定され設置されるか、または、昇降基部17に固定され設置される。
【0027】
また、ピッキングシステム1は、物品の在庫管理及びピッキング指示と、AMR4、上層のコンベヤ7、下層のコンベヤ11、リフタ19、下層集品箱受入装置13、下層集品箱受渡装置15、上層集品箱受入装置9、上層集品箱受渡装置20の制御等を行う制御部を備えて構成されている。
【0028】
図4の全体制御コンピュータ2は、ピッキングする物品情報を作成し、指定したピッキングゾーン10までの移動に最適な、たとえば短時間に移動可能なAMR4を選択し、選択したAMR4に移動先のピッキングゾーンに係る情報を送信し、AMR4より上層集品箱受入装置9、または下層集品箱受入装置13に集品箱5の移載に係る指示を送信し、リフタ9の昇降に係る指示を送信し、作業員Sにピッキング情報(棚位置、品名、個数など)を送信し、集品箱5に正しく物品が投入されたかの確認を行い、移送に最適なAMR4を選択し、下層集品箱受渡装置15、または上層集品受渡装置20より、集品箱5の移載に係る指示を送信する。
【0029】
なお、ピッキングシステム1は、全体制御コンピュータ2とAMR4との通信は無線ネットワークを介し、全体制御コンピュータ2と上層のコンベヤ7、下層のコンベヤ11、リフタ19、下層集品箱受入装置13、下層集品箱受渡装置15、上層集品箱受入装置9、上層集品箱受渡装置20、フロ―ラック21との通信は、有線ネットワークおよび/または無線ネットワークを介し行っている。
【0030】
AMR4が移動する手段としては、本実施の形態では目印としてマーク及び磁気テープを備えたフロアパネル8を上層のフロア23及び下層のフロア25に碁盤の升目型に貼ってAMR走行用フロアを構成し、このマーク及び磁気テープの情報を用いて所定の位置に移動する。建物の躯体床ではなく、軽量な走行床を形成することが可能なフロアパネル8により、建物の躯体床上の支柱に設置可能となり、上層のフロア23は、簡易に走行床の増設が可能となる。
【0031】
AMR4は上層のフロア23及び、下層のフロア25に適数配置される。また、フロアの数は、作業員Sのピッキング作業能力、AMR4の集品箱積載状態での走行可能な間隔とAMR4の保守点検を考慮した間隔から決定されピッキングシステム1を構築する。
【0032】
下層のコンベヤ11の設置高さは、作業者Sが物品を集品箱5に投入する作業に適した範囲の高さが望ましい。たとえば、立作業を考慮すると、繰返される集品箱への物品投入作業に対し作業者の腰への負担が軽減される最適な高さであり、床面から60cmから80cmが適している。
【0033】
ピッキングに係る集品箱5として、オリコン(折り畳み式コンテナ)、段ボール箱、樹脂製の箱、再利用可能な樹脂製の組み立て式ラック箱、袋、コンテナ又はトレイのうち少なくとも1つが用いられ、また、サイズも1種類に限られず、種々のサイズの出荷容器を用いることができる。
【0034】
フローラック21には、物品の出庫を指示する指示表示器(図示せず)が設けられている。この指示表示器は、全体制御コンピュータ2により情報を受け取り作業員Sに対してピッキング指示する。この指示に従い作業者Sは集品箱5に所定の棚位置から指示された物品と指定された個数を入れる。
【0035】
出荷部は、物品を収容した集品箱5が方面別のトラックバースに仕分けされ、発送用の箱に入れられ、トラックに積み込まれるエリアである(図示せず)。
【0036】
さらに、
図2に示すように、上層のコンベヤ23からリフタ19に移載された集品箱5は、リフタ19により下層のコンベヤ11のコンベヤ高さに
該当するリフタ物品投入位置19Aまで移送され、作業員Sによりフロ―ラック21から物品はピッキングされ、集品箱5に投入される。下層のコンベヤ11の上流(
図1の右方向)から集品箱5は下流(
図1の左方向)の下層集品箱受渡装置15に移送され、作業員Sによりフロ―ラック21から物品はピッキングされ、リフタ物品投入位置19Aでの上層コンベヤ23からの集品箱5への投入タイミングと略同じタイミングで、集品箱5に投入される。
【0037】
充電は、フロア23及びフロア25内でAMR4が他のAMR4の搬送作業に支障のないエリアで例えば待機エリア(図示せず)の箇所に設けられた充電設備(図示せず)にて行われる。充電設備による充電は接触方式又は非接触方式により行われてもよい。
【0038】
AMR4は、搬送作業中以外は原則として各層の待機エリア(図示せず)に待機している。このAMR4が待機エリアに待機する場合は、待機エリアに備えられた充電設備(不図示)から充電させることができる。
【0039】
フローラック21は、ピッキング対象の物品の格納が行われる多段のラックであり、複数の間口が設けられ、背面から間口に向かって下り勾配になっており、一般的には背面の投入口から間口に向かって物品の入った段ボール箱をそのまま格納する。段ボール箱は作業者Sが中の物品を取り出しやすくするため間口側をカッターナイフ等で穴あけされている。
【0040】
図3は、AMR4の移動を説明する説明図である。
図3(a)に示すように、フロアパネル8には、中心点から一定距離で対向位置に、一対のガイド(磁気テープ等8a、8b及び8c、8d)を設け、フロアパネル8の中心点にセンサ確認手段(マーク12)を備える。このため、AMR4はフロアパネル8から他のフロアパネル8へ正確に直進することが可能となる。
【0041】
さらに、全体制御コンピュータ2によって制御されるAMR4の走行用センサの走行用確認手段として、予め持ち運び可能な小型定型サイズに加工されたフロアパネル8を多数敷き揃えて構成されるAMR走行用床装置であって、各フロアパネル8は、直交するテープ状のガイドによる第1のセンサ確認手段と、テープ状のガイドの交点に設けた第2のセンサ確認手段を採用してもよい。
【0042】
図3(b)に示すように、
図3(a)に対して直角方向にもフロアパネル8には、中心点から一定距離で対向位置に、一対のガイド(磁気テープ等8a、8b及び8c、8d)を設けたセンサ確認手段と、フロアパネル8の中心点にセンサ確認手段(マーク12)とを備えるためAMR4は正確に直進することが可能となる。
【0043】
また、ラベル(またはRFID)などにより、センサ読取り、またはセンサ検知され、全体制御コンピュータはAMR4の位置を把握できている。
【0044】
全体制御コンピュータ2は、AMR4の現在位置情報を取得し、AMR4の次の移動先に相当するピッキングゾーン10の上層集品箱受入装置9、下層集品箱受入装置13、下層集品箱受渡装置15,上層集品箱受渡装置20までの移動距離を算出し、最短時間で移動可能な最適なAMR4を選択し、選択したAMR4に上述した移動先への移動に係る指示を送信する。AMR4の現在位置情報は、本実施形態においてはAMR4が床面に設置された磁気テープ及びマーク12等を用いて自律的に取得することを想定しているが、本発明においてはこれに限らず、任意の位置特定手段を用いて自律的に判断する他、全体制御コンピュータ2が図示しない公知の技術を用いて各AMR4の位置情報を把握、管理し、全体制御コンピュータ5から各AMR4にそれぞれの移動先の位置情報を通知する態様を採用することができる。
【0045】
全体制御コンピュータ2は、無線ネットワークを介してAMR4と接続され、当該位置において行う動作指示を示す情報である機構指示を送信する。
【0046】
全体制御コンピュータ2は、CPU(Central Processing Unit)と、CPU上で動作する制御プログラム等を格納したROM(Read-only Memory)と、各種データを一時的に格納するためのRAM(Random Access Memory)(何れも不図示)を備えて構成されている。
【0047】
図4は、ピッキングシステム1に用いられる全体制御コンピュータ2の一実施例としての機能ブロック図である。
図5に示すように、全体制御コンピュータ2は、CPUがROMに格納されている制御プログラムをRAMに展開して実行することにより、ピッキング情報管理部51、AMR選出部52、位置情報生成部53、AMR4、リフタ19、コンベア7及びコンベア11の動作を制御する動作情報生成部54、マーク情報生成部55、送信部57及び受信部58として機能する。
【0048】
ピッキング情報管理部51は、フローラック21に設けられた指示表示器(不図示)にピッキングする物品の種類と個数を表示する制御を行う。
【0049】
AMR選出部52は、各々のAMR4の現在位置に基づき、集品箱の搬送と移載に係る1台以上のAMR4を選出する。
【0050】
位置情報生成部53は、集品箱の搬送と移載に係るAMR4に対して送信される、AMR4の移動先となる集品箱の搬送と移載に係る位置及び目的地を示す1つ以上の目的地情報を生成する。目的地情報は、具体的にはピッキングゾーン10の上層集品箱受入装置9、下層集品箱受入装置13、上層集品箱受渡装置20及び下層集品箱受渡装置15に係る情報が含まれる。
【0051】
動作情報生成部54は、AMR4に対しては、各集品箱の搬送と移載に係る位置及び目的地において行う動作を示す動作情報を生成する。AMR4は、上部にコンベヤ機能を有し、動作情報により、集品箱5の搬送と移載に係る動作を行う。集品箱5の受け入れ及び引渡しとAMR4とのタイミングの動作情報を生成する。リフタ19に対しては、昇降の動作と集品箱5の受け入れ及び引渡しのタイミングの動作情報を生成する。作業員(フロ―ラック)に対しては、図示しない、表示部にピッキングする物品を表示する。
【0052】
マーク情報生成部55は、AMR4の走行するマーク情報を生成する。例えば、マークA、マークB及びマークCの順に進むような命令を生成する。AMR4はこの命令に従い走行する。なお、命令には直進や直角に進む情報も含まれている。
【0053】
送信部57及び受信部58はAMR4と全体制御コンピュータ52との間で情報の送受信を行う。
【0054】
下層集品箱受入装置13は下層のフロア25を走行するAMR4から集品箱5を受入れる装置である。上層集品箱受入装置9は、上層のフロア23を走行するAMR4から集品箱5を受入れる装置である。下層集品箱受渡装置15は下層を走行するAMR4に集品箱5を受け渡す装置である。上層集品箱受渡装置20は上層を走行するAMR4に集品箱5を受け渡す装置である。
【0055】
図5は、動作情報生成部54のブロック図である。動作情報生成部54は、上層コンベア制御部541と、下層コンベア制御部542と、リフタ位置制御部543と、当接感知部544と、連携動作制御部545と、送信部547と、受信部548とを備えている。
【0056】
上層コンベア制御部541は、上層のコンベア7の制御を行う。具体的には、上層集品箱受入装置9に受け入れられた集品箱5を検知して、この集品箱5を受け入れ、直角分岐型装置を使用し、上流から下流(
図1及び
図2の右から左方向)に搬送する制御を行う。
【0057】
下層コンベア制御部542は、下層のコンベア11の制御を行う。具体的には、下層集品箱受入装置13に受け入れられた集品箱5を検知して、この集品箱5を受け入れ、直角分岐型装置を使用し、上流から下流(
図1及び
図2の右から左方向)に搬送する制御を行う。
【0058】
リフタ位置制御部543はリフタ19の上下方向の位置制御を行う。すなわち、上層のコンベア7によって運ばれた集品箱5を検知したら、この集品箱5を受け入れて下降する制御を行う。そして、ピッキングが終了した信号を受信して、リフタ19を上昇させて、上層集品箱受渡装置20に集品箱5を渡す。これにより、AMR4が集品箱5を直角分岐型装置を介し、受け取ることができる。
【0059】
集品箱感知部544は、上層集品箱受入装置9と、リフタ19と、下層集品箱受入装置13と、下層集品箱受渡装置15と、上層集品箱受渡装置20に備えられているもので、集品箱5を検知したら検知信号をそれぞれ、上層のコンベア7と、下層のコンベア11と、AMR4に通知する。
【0060】
連携動作制御部545は、AMR4と、上層のコンベア7と、下層のコンベア11と、リフタ19との動作の連携を調整する制御を行う。
【0061】
送信部547と、受信部548とは全体制御コンピュータ2とAMR4と、上層のコンベア7と、下層のコンベア11と、リフタ19との通信を行う。
【0062】
図6を参照し、ピッキングシステム1の動作を説明する。
【0063】
初めに、ステップS1では、全体制御コンピュータ2の制御によりフロア23上のAMR4は集品箱5を上層集品箱受入装置9に搬送する。
【0064】
ステップS3では、全体制御コンピュータ2の制御によりフロア25上のAMR4は、集品箱5を下層集品箱受入装置13に搬送する。
【0065】
ステップS5では、ピッキングゾーン10のコンベヤ7に搬送された集品箱5がリフタ19を介しリフタ物品投入位置19Aに停止する。下層の集品箱5は下層のコンベア11に搬送され、ピッキング位置(下層集品箱受渡装置15)に搬送される。そして、作業員Sが指定の物品をピッキングし集品箱5、集品箱5に入れる。ピッキングが終わった集品箱5は、リフタ19により上層集品箱受渡装置20に搬送される。一方、集品箱5は下層集品箱受渡装置15に在るためこの状態でAMR4に引き渡される。
【0066】
全体制御コンピュータ2は、ピッキングする物品情報を作成し、指定したピッキングゾーン10までの移動に最適な、たとえば短時間に移動可能なAMR4を選択し、選択したAMR4に移動先のピッキングゾーンに係る情報を送信し、AMR4より上層集品箱受入装置9、または下層集品箱受入装置13に集品箱5の移載に係る指示を送信し、リフタ9の昇降に係る指示を送信し、作業員Sにピッキング情報(棚位置、品名、個数など)を送信し、集品箱5に正しく物品が投入されたかの確認を行い、移送に最適なAMR4を選択し、下層集品箱受渡装置15または上層集品受渡装置20より、集品箱5の移載に係る指示を送信する。この結果、ステップS7では、全体制御コンピュータ2は、AMR4に係る作業命令があるか否かを判断する。作業命令があると判断した場合に処理はステップS13に進む。作業命令が無いと判断した場合に処理はステップS9に進む。
【0067】
ステップS9では、AMR4は、全体制御コンピュータ2からの情報により作業命令があるまで充電を行う。そして、処理をステップS7に戻す。
【0068】
ステップS13では、全体制御コンピュータ2は、作業命令は全て終了したか否かを判断する。ピッキング作業が全て終了したと判断した場合に処理はステップS15に進む。作業命令が全て終了していないと判断した場合に処理は進まずにステップ11の処理を繰り返す。
【0069】
全ての作業が終了すると、AMR4は初期位置に戻り、このとき、充電エリアに待機し充電を行う。
【0070】
図7を参照し、ピッキングシステム1の第2の動作を説明する。
【0071】
初めに、ステップS21では、全体制御コンピュータ2の制御によりフロア23上のAMR4が集品箱5を上層集品箱受入装置9に搬送する。
【0072】
ステップS23では、全体制御コンピュータ2の制御によりフロア25上のAMR4が集品箱5を下層集品箱受入装置13に搬送する。
【0073】
ステップS25では、上層のコンベヤ7に搬送された集品箱5がリフタ19に移載され、リフタ19が下降し上層からの集品箱への投入場所にあたるリフタ物品投入位置19Aに停止する。
【0074】
下層のコンベア11により搬送された集品箱5は、下層からの集品箱への投入位置にあたる下層集品箱受渡装置15に停止する。
【0075】
ステップS27では、リフタ物品投入位置19Aと下層集品箱受渡装置15に停止した集品箱に、略同じタイミングで作業員Sにより物品が、それぞれの集品箱5に投入され、下層のコンベヤ11からの集品箱5は、下層集品箱受渡装置15よりAMR4へ移載され、全体制御コンピュータ2からの作業命令により、集品箱5を積載したAMR4は次のピッキングゾーン10へ移動する。上層のコンベヤ7からの集品箱5は、リフタ19により、リフタ物品投入位置19Aより上層集品箱受渡装置20の高さ位置へ上げられ、上層集品箱受渡装置20よりAMR4に移載され、全体制御コンピュータ2からの作業命令により、集品箱5を積載したAMR4は、次のピッキングゾーン10へ移動する。
【0076】
なお必要があれば、上層のフロア23のAMR4がフル稼働していると共に下層のフロア25のAMR4の稼働率が低い場合には集品箱を下層のフロア25のAMR4に移して上層、下層のフロア23、25の稼働のバランスを調整することも可能である。
【0077】
ステップS29では、全体制御コンピュータ2はAMR4と他のAMR4は作業命令があるか否かを判断する。作業命令があると判断した場合に処理はステップS35に進む。作業命令が無いと判断した場合に処理はステップS31に進む。
【0078】
ステップS31では、AMR4は作業命令があるまで充電を行う。そして、処理をステップS29に戻す。
【0079】
ステップS35では、全体制御コンピュータ2は、作業命令は全て終了したか否かを判断する。ピッキング作業が全て終了したと判断した場合に処理はステップS37に進む。ピッキング作業が全て終了していないと判断した場合に処理は進まずにステップ33の判断を繰り返す。
【0080】
全ての仕事が終了すると、AMR4は初期位置に戻り、このとき、充電エリアに待機し充電を行う。
【0081】
以上、本実施形態について説明したが、本発明はこれらに限定されるものではなく、本実施形態の要旨の範囲内で種々の変更可能である。例えば、作業者Sをロボットに置き換えてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0082】
本発明の各態様に係るピッキングシステムは、ピッキング作業に利用することが可能であるから、本発明は、製造業、物流業を含む各種産業において大いなる産業上の利用可能性を有している。
【符号の説明】
【0083】
1 ピッキングシステム
2 全体制御コンピュータ
4 AMR
5 集品箱
7 上層のコンベア
8 フロアパネル
9 上層集品箱受入装置
10 ピッキングゾーン
11 下層のコンベア
13 下層集品箱受入装置
15 下層集品箱受渡装置
16 建物の躯体床
17 昇降基部
18 支持体
19 リフタ
20 上層集品箱受渡装置
21 フローラック
23 上層のフロア
25 下層のフロア
171 昇降ベルト
S 作業員