(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-02-21
(45)【発行日】2025-03-04
(54)【発明の名称】液状食品及びその製造方法、液状食品の食感を改良する方法、並びに液状食品用の食感改良剤
(51)【国際特許分類】
A23L 29/269 20160101AFI20250225BHJP
A23L 29/238 20160101ALI20250225BHJP
A23L 29/262 20160101ALI20250225BHJP
A23L 29/256 20160101ALI20250225BHJP
A23L 29/231 20160101ALI20250225BHJP
A23L 29/25 20160101ALI20250225BHJP
A23L 29/206 20160101ALI20250225BHJP
A23L 27/00 20160101ALN20250225BHJP
【FI】
A23L29/269
A23L29/238
A23L29/262
A23L29/256
A23L29/231
A23L29/25
A23L29/206
A23L27/00 D
(21)【出願番号】P 2020039479
(22)【出願日】2020-03-09
【審査請求日】2023-02-22
(31)【優先権主張番号】P 2019043204
(32)【優先日】2019-03-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000175283
【氏名又は名称】三栄源エフ・エフ・アイ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000796
【氏名又は名称】弁理士法人三枝国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】太田 瑛美
【審査官】村松 宏紀
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-074850(JP,A)
【文献】特開2012-130293(JP,A)
【文献】特開2004-049037(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A23L
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下(A)~(C)を含有する、液状食品
であって;
(A)キサンタンガム、グァーガム、タマリンドシードガム、カラギナン、及びペクチンからなる群より選択される1種以上、
(B)果実由来食物繊維
(C)寒天及びアラビアガム
、
前記(A)成分の総含有量が0.025-0.95質量%であり、
前記(B)成分の含有量が0.0025-0.5質量%であり、かつ
前記(C)成分の含有量が0.001-0.5質量%である、液状食品。
【請求項2】
液状食品に、以下(A)~(C)を含有させる工程を含む、液状食品の製造方法
であって;
(A)キサンタンガム、グァーガム、タマリンドシードガム、カラギナン、及びペクチンからなる群より選択される1種以上、
(B)果実由来食物繊維
(C)寒天及びアラビアガム
前記工程において、前記(A)成分を、前記液状食品における前記(A)成分の総含有量が0.025-0.95質量%となるよう含有させ、
前記(B)成分を、前記液状食品における前記(B)成分の含有量が0.0025-0.5質量%となるよう含有させ、かつ
前記(C)成分を、前記液状食品における前記(C)成分の含有量が0.001-0.5質量%となるよう含有させる、方法。
【請求項3】
(A)キサンタンガム、グァーガム、タマリンドシードガム、カラギナン、及びペクチンからなる群より選択される1種以上を
、総含有量として、0.025-0.95質量%含有する液状食品の食感を改良する方法であって、液状食品に、(B)果実由来食物繊維
を、前記液状食品における前記(B)成分の含有量が0.0025-0.5質量%となるよう含有させ、
かつ(C)寒天及びアラビアガムを
、前記液状食品における前記(C)成分の含有量が0.001-0.5質量%となるよう含有させることを特徴とする、液状食品の食感を改良する方法。
【請求項4】
(B)果実由来食物繊維、並びに(C)寒天及びアラビアガムを含有することを特徴とする、液状食品用の食感改良剤であって、
液状食品が、(A)キサンタンガム、グァーガム、タマリンドシードガム、カラギナン、及びペクチンからなる群より選択される1種以上を
、総含有量として、0.025-0.95質量%含有
し、
前記食感改良剤は、前記液状食品における前記(B)成分及び(C)成分の含有量が下記範囲となるように液状食品に添加される、液状食品用の食感改良剤
;
前記液状食品における前記(B)成分の含有量が0.0025-0.5質量%
前記液状食品における前記(C)成分の含有量が0.001-0.5質量%。
【請求項5】
以下の(A)~(C)を含有する、液状食品用
に粘性を付与し、かつ食感を改良するための剤であって;
(A)キサンタンガム、グァーガム、タマリンドシードガム、カラギナン、及びペクチンからなる群より選択される1種以上、
(B)果実由来食物繊維
(C)寒天及びアラビアガム
、
前記液状食品における前記(A)成分、(B)成分及び(C)成分の含有量が下記範囲となるように液状食品に添加される、剤;
前記液状食品における前記(A)成分の総含有量が0.025-0.95質量%
前記液状食品における前記(B)成分の含有量が0.0025-0.5質量%
前記液状食品における前記(C)成分の含有量が0.001-0.5質量%。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液状食品及びその製造方法、液状食品の食感を改良する方法、並びに液状食品用の食感改良剤に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、液状食品の増粘目的で多糖類が使用されており、例えば、キサンタンガム、グアーガム、ローカストビーンガム、タマリンドシードガム、カラギナン、ジェランガム、ペクチン、澱粉類等が汎用されている。しかしながら、多糖類を使用して液状食品を増粘した場合、好ましくない食感が付与されたり、フレーバーリリースが悪化したりすることがある。
従来、増粘剤で粘性を付与した液状食品の食感を改良するために、果実由来食物繊維を使用することが知られている。例えば、特許文献1には、柑橘類の果実及びリンゴからなる群から選択される少なくとも1種の果実に由来する食物繊維と、増粘剤と、水とを含み、25℃における粘度が300~4000mPa・sである粘性液状食品が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に開示された発明では、キサンタンガム、グァーガム、ローカストビーンガム、タマリンドシードガム、カラギナン、ジェランガム、ペクチン、又は澱粉類といった多糖類を含有する液状食品において、これら多糖類によって付与される好ましくない食感を十分に改良することができず、さらなる改善の余地がある。また、特許文献1に開示された発明は、均質化処理工程をとることが必要であり、より簡便に食感を改良する技術が求められている。したがって、本発明は、液状食品がキサンタンガム、グァーガム、ローカストビーンガム、タマリンドシードガム、カラギナン、ジェランガム、ペクチン、及び澱粉類からなる群より選択される1種以上を含有する場合であっても、その食感がより改良された液状食品を簡便に提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者は、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、キサンタンガム、グァーガム、ローカストビーンガム、タマリンドシードガム、カラギナン、ジェランガム、ペクチン、及び澱粉類からなる群より選択される1種以上を含有する液状食品において、果実由来食物繊維及び/又はセルロース類、並びに寒天、サイリウムシードガム、及びアラビアガムからなる群より選択される1種以上を併用することにより、その食感がより改良された液状食品を提供できることを見出し、本発明に至った。
【0006】
詳細には、本発明は以下の態様を有する;
項1.以下(A)~(C)を含有する、液状食品;
(A)キサンタンガム、グァーガム、ローカストビーンガム、タマリンドシードガム、カラギナン、ジェランガム、ペクチン、及び澱粉類からなる群より選択される1種以上、
(B)果実由来食物繊維及び/又はセルロース類、
(C)寒天、サイリウムシードガム、及びアラビアガムからなる群より選択される1種以上。
項2.液状食品に、以下(A)~(C)を含有させる工程を含む、液状食品の製造方法;
(A)キサンタンガム、グァーガム、ローカストビーンガム、タマリンドシードガム、カラギナン、ジェランガム、ペクチン、及び澱粉類からなる群より選択される1種以上、
(B)果実由来食物繊維及び/又はセルロース類、
(C)寒天、サイリウムシードガム、及びアラビアガムからなる群より選択される1種以上。
項3.(A)キサンタンガム、グァーガム、ローカストビーンガム、タマリンドシードガム、カラギナン、ジェランガム、ペクチン、及び澱粉類からなる群より選択される1種以上を含有する液状食品の食感を改良する方法であって、
液状食品に、(B)果実由来食物繊維及び/又はセルロース類、並びに(C)寒天、サイリウムシードガム、及びアラビアガムからなる群より選択される1種以上を含有させることを特徴とする、液状食品の食感を改良する方法。
項4.(B)果実由来食物繊維及び/又はセルロース類、並びに(C)寒天、サイリウムシードガム、及びアラビアガムからなる群より選択される1種以上を含有することを特徴とする、液状食品用の食感改良剤であって、
液状食品が(A)キサンタンガム、グァーガム、ローカストビーンガム、タマリンドシードガム、カラギナン、ジェランガム、ペクチン、及び澱粉類からなる群より選択される1種以上を含有する、液状食品用の食感改良剤。
項5.以下の(A)~(C)を含有する、液状食品用の食感改良剤;
(A)キサンタンガム、グァーガム、ローカストビーンガム、タマリンドシードガム、カラギナン、ジェランガム、ペクチン、及び澱粉類からなる群より選択される1種以上、
(B)果実由来食物繊維及び/又はセルロース類、
(C)寒天、サイリウムシードガム、及びアラビアガムからなる群より選択される1種以上。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、キサンタンガム、グァーガム、ローカストビーンガム、タマリンドシードガム、カラギナン、ジェランガム、ペクチン、及び澱粉類からなる群より選択される1種以上を含有する液状食品について、その食感がより改良された液状食品を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0008】
[1.液状食品]
本発明は、以下(A)~(C)を含有する、液状食品に関するものである。
(A)キサンタンガム、グァーガム、ローカストビーンガム、タマリンドシードガム、カラギナン、ジェランガム、ペクチン、及び澱粉類からなる群より選択される1種以上、
(B)果実由来食物繊維及び/又はセルロース類、
(C)寒天、サイリウムシードガム、及びアラビアガムからなる群より選択される1種以上。
【0009】
(キサンタンガム)
本発明に係る液状食品に使用されるキサンタンガムは、キサントモナス・キャンペストリス(Xanthomonascampestris)が菌体外に生産する多糖類であり、D-マンノース、D-グルコース、D-グルクロン酸から構成されている。主鎖はβ-1,4結合しているD-グルコースからなり、側鎖は主鎖のD-グルコース残基1つおきに、D-マンノース2分子とD-グルクロン酸とが結合している。側鎖の末端にあるD-マンノースは、ピルビン酸塩になっている場合がある。また、主鎖に結合したD-マンノースのC-6位は、アセチル化されている場合がある。キサンタンガムは商業的に入手することができ、例えば、サンエース(登録商標)(三栄源エフ・エフ・アイ株式会社製)が挙げられる。
【0010】
本発明に係る液状食品におけるキサンタンガムの含有量は、他の成分の種類やその含有量、液状食品の種類等により適宜調整され、特に制限されないが、好ましくは0.001~5質量%、より好ましくは0.005~5質量%、更に好ましくは0.005~3質量%、より更に好ましくは0.005~2質量%、殊更に好ましくは0.0075~2質量%、より殊更に好ましくは0.0075~1.75質量%、特に好ましくは0.01~1.5質量%、より特に好ましくは0.05~1質量%、最も好ましくは0.1~1質量%である。
【0011】
(グァーガム)
本発明に係る液状食品に使用されるグァーガムは、マメ科グァー(CyamopsistetragonolobusTAUB.)の種子の胚乳部分を粉砕して得られる中性多糖類である。グァーガムは、β-1,4-D-マンナンの主鎖骨格に、側鎖としてα-D-ガラクトースが1,6結合した構造を有する。グァーガム中のβ-1,4-D-マンナンとα-D-ガラクトースの比率は、約2:1である。グァーガムは商業的に入手することができ、例えば、ビストップ(登録商標) D-20(三栄源エフ・エフ・アイ株式会社製)が挙げられる。
【0012】
本発明に係る液状食品におけるグァーガムの含有量は、他の成分の種類やその含有量、液状食品の種類等により適宜調整され、特に制限されないが、好ましくは0.001~5質量%、より好ましくは0.005~5質量%、更に好ましくは0.005~3質量%、より更に好ましくは0.005~2質量%、殊更に好ましくは0.0075~2質量%、より殊更に好ましくは0.0075~1.75質量%、特に好ましくは0.01~1.5質量%、より特に好ましくは0.05~1質量%、最も好ましくは0.1~1質量%である。
【0013】
(ローカストビーンガム)
本発明に係る液状食品に使用されるローカストビーンガムは、β-D-マンノースの主鎖がβ-1,4結合、α-D-ガラクトースの側鎖がα-1,6結合した多糖類であり、制限はされないものの、一般的にマンノースとガラクトースの比率が約4:1であるとされている。ローカストビーンガムは商業的に入手することができ、例えば、ビストップ(登録商標) D-171(三栄源エフ・エフ・アイ株式会社製)が挙げられる。
【0014】
本発明に係る液状食品におけるローカストビーンガムの含有量は、他の成分の種類やその含有量、液状食品の種類等により適宜調整され、特に制限されないが、好ましくは0.001~5質量%、より好ましくは0.005~5質量%、更に好ましくは0.005~3質量%、より更に好ましくは0.005~2質量%、殊更に好ましくは0.0075~2質量%、より殊更に好ましくは0.0075~1.75質量%、特に好ましくは0.01~1.5質量%、より特に好ましくは0.05~1質量%、とりわけ好ましくは0.1~1質量%、最も好ましくは0.25~1質量%である。
【0015】
(タマリンドシードガム)
本発明に係る液状食品に使用されるタマリンドシードガムは、マメ科のタマリンドの木の種子の内胚乳から得られる多糖類であり、主鎖がD-グルコースで、D-キシロース、D-ガラクトースを側鎖に持つキシログルカンである。タマリンドシードガムは商業的に入手することができ、例えば、ビストップ(登録商標) D-2032(三栄源エフ・エフ・アイ株式会社製)が挙げられる。
【0016】
本発明に係る液状食品におけるタマリンドシードガムの含有量は、他の成分の種類やその含有量、液状食品の種類等により適宜調整され、特に制限されないが、好ましくは0.001~5質量%、より好ましくは0.005~5質量%、更に好ましくは0.005~3質量%、より更に好ましくは0.005~2質量%、殊更に好ましくは0.0075~2質量%、より殊更に好ましくは0.0075~1.75質量%、特に好ましくは0.01~1.5質量%、より特に好ましくは0.05~1質量%、とりわけ好ましくは0.1~1質量%、最も好ましくは0.5~1質量%である。
【0017】
(カラギナン)
本発明に係る液状食品に使用されるカラギナンは、紅藻類から抽出、精製される天然多糖類である。D-ガラクトースと、3,6-アンヒドロ-D-ガラクトースから構成され、硫酸基の位置やアンヒドロ糖の有無によって、κ(カッパ)カラギナン、ι(イオタ)カラギナン、λ(ラムダ)カラギナン等の各種カラギナンが存在する。カラギナンは商業的に入手することができ、例えば、カラギニン CSK-1(F)、カラギニン CSI-1、カラギニン CSL-1(F)(三栄源エフ・エフ・アイ株式会社製)が挙げられる。
【0018】
本発明に係る液状食品におけるカラギナンの含有量は、他の成分の種類やその含有量、液状食品の種類等により適宜調整され、特に制限されないが、好ましくは0.001~5質量%、より好ましくは0.005~5質量%、更に好ましくは0.005~3質量%、より更に好ましくは0.005~2質量%、殊更に好ましくは0.0075~2質量%、より殊更に好ましくは0.0075~1.75質量%、特に好ましくは0.01~1.5質量%、より特に好ましくは0.05~1質量%、とりわけ好ましくは0.1~1質量%、最も好ましくは0.1~0.3質量%である。
【0019】
本発明に係る液状食品において、カラギナンとしてκ(カッパ)カラギナンを使用する場合の含有量は、ゲル化しない範囲が望ましく、好ましくは0.001~0.3質量%、より好ましくは0.005~0.25質量%、更に好ましくは0.0075~0.2質量%、より更に好ましくは0.01~0.15質量%、特に好ましくは0.01~0.1質量%である。
【0020】
本発明に係る液状食品において、カラギナンとしてι(イオタ)カラギナンを使用する場合の含有量は、ゲル化しない範囲が望ましく、好ましくは0.001~0.3質量%、より好ましくは0.005~0.25質量%、更に好ましくは0.0075~0.2質量%、より更に好ましくは0.01~0.15質量%、特に好ましくは0.01~0.1質量%である。
【0021】
(ジェランガム)
本発明に係る液状食品に使用されるジェランガムは、Sphingomonaselodeaが産出する発酵多糖類である。D-グルコース、D-グルクロン酸、D-グルコースとL-ラムノースの4つの糖からなるモノマーが重合したものであり、1→3結合したグルコースのC-6位にアセチル基(1/2残基)が、C-2位にグリセリル基が結合しているネイティブ型のジェランガムと、これらのアシル基が脱エステル化した脱アシル型ジェランガムが存在する。ジェランガムは商業的に入手することができ、例えば、ケルコゲル LT100、ゲルアップ(登録商標) LAG(三栄源エフ・エフ・アイ株式会社製)が挙げられる。
【0022】
本発明に係る液状食品におけるジェランガムの含有量は、他の成分の種類やその含有量、液状食品の種類等により適宜調整され、特に制限されないが、好ましくは0.001~5質量%、より好ましくは0.005~5質量%、更に好ましくは0.005~3質量%、より更に好ましくは0.005~2質量%、殊更に好ましくは0.0075~2質量%、より殊更に好ましくは0.0075~1.75質量%、特に好ましくは0.01~1.5質量%、より特に好ましくは0.05~1質量%、最も好ましくは0.1~1質量%である。
【0023】
本発明に係る液状食品において、ジェランガムとしてネイティブ型ジェランガムを使用する場合の含有量は、ゲル化しない範囲が望ましく、好ましくは0.001~0.3質量%、より好ましくは0.005~0.25質量%、更に好ましくは0.0075~0.2質量%、より更に好ましくは0.01~0.15質量%、特に好ましくは0.01~0.1質量%、より特に好ましくは0.01~0.05質量%である。
【0024】
本発明に係る液状食品において、ジェランガムとして脱アシル型ジェランガムを使用する場合の含有量は、ゲル化しない範囲が望ましく、好ましくは0.001~0.3質量%、より好ましくは0.005~0.25質量%、更に好ましくは0.0075~0.2質量%、より更に好ましくは0.01~0.15質量%、特に好ましくは0.01~0.1質量%、より特に好ましくは0.01~0.05質量%である。
【0025】
(ペクチン)
本発明に係る液状食品におけるペクチンの含有量は、野菜や果物に細胞壁成分として存在する、α-D-ガラクツロン酸を主鎖成分とする酸性多糖類である。ペクチンを構成するガラクツロン酸は部分的にメチルエステル化されており、エステル化度によってLM(ローメトキシル)ペクチンとHM(ハイメトキシル)ペクチンに分けられる。ペクチンは商業的に入手することができ、例えば、ビストップ D-1382(三栄源エフ・エフ・アイ株式会社製)が挙げられる。
【0026】
本発明に係る液状食品におけるペクチンの含有量は、他の成分の種類やその含有量、液状食品の種類等により適宜調整され、特に制限されないが、好ましくは0.001~5質量%、より好ましくは0.005~5質量%、更に好ましくは0.005~3質量%、より更に好ましくは0.005~2質量%、殊更に好ましくは0.005~2.5質量%、より殊更に好ましくは0.0075~2質量%、特に好ましくは0.0075~1.75質量%、より特に好ましくは0.01~1.5質量%、最も好ましくは0.05~1質量%である。
【0027】
本発明に係る液状食品において、ペクチンとしてLM(ローメトキシル)ペクチンを使用する場合の含有量は、ゲル化しない範囲が望ましく、好ましくは0.001~5質量%、より好ましくは0.005~3質量%、更に好ましくは0.01~2質量%、より更に好ましくは0.05~1.5質量%、特に好ましくは0.1~1質量%である。
【0028】
本発明に係る液状食品において、ペクチンとしてHM(ハイメトキシル)ペクチンを使用する場合の含有量は、ゲル化しない範囲が望ましく、好ましくは0.001~5質量%、より好ましくは0.005~3質量%、更に好ましくは0.01~2質量%、より更に好ましくは0.05~1.5質量%、特に好ましくは0.1~1質量%である。
【0029】
(澱粉類)
本発明に係る液状食品に使用される澱粉類は、例えば、馬鈴薯澱粉、ワキシーコーンスターチ、コーンスターチ、タピオカ澱粉、小麦澱粉、米澱粉、豆澱粉、甘薯澱粉、サゴヤシ澱粉、及びこれらの澱粉から得られる加工澱粉等が挙げられ、2種以上の澱粉類を使用してもよい。
【0030】
本発明に係る液状食品に使用される加工澱粉は、馬鈴薯澱粉、ワキシーコーンスターチ、コーンスターチ、タピオカ澱粉、小麦澱粉、米澱粉、豆澱粉、甘薯澱粉、サゴヤシ澱粉等の澱粉に、化学的、酵素的又は物理的な処理を施した澱粉(例えば、酸分解澱粉、酵素分解澱粉、酸化澱粉、α化澱粉、グラフト化澱粉、エーテル化澱粉、エステル化澱粉、架橋澱粉、加熱処理澱粉、湿熱処理澱粉等)が挙げられる。
【0031】
本発明に係る液状食品における澱粉類の含有量は、他の成分の種類やその含有量、液状食品の種類等により適宜調整され、特に制限されないが、好ましくは0.01~15質量%、より好ましくは0.075~12.5質量%、更に好ましくは0.1~10質量%、より更に好ましくは0.25~7.5質量%、殊更に好ましくは0.5~5質量%、より殊更に好ましくは0.5~3質量%、特に好ましくは0.5~2質量%、より特に好ましくは0.5~1質量%である。
【0032】
本発明に係る液状食品におけるキサンタンガム、グァーガム、ローカストビーンガム、タマリンドシードガム、カラギナン、ジェランガム、ペクチン、及び澱粉類からなる群より選択される1種以上の総含有量は、他の成分の種類やその含有量、液状食品の種類等により適宜調整され、特に制限されないが、好ましくは0.001~15質量%、より好ましくは0.005~14.5質量%、更に好ましくは0.01~11.75質量%、より更に好ましくは0.025~9質量%、特に好ましくは0.025~8質量%、より特に好ましくは0.05~6質量%、最も好ましくは0.05~5質量%である。
【0033】
(果実由来食物繊維)
本発明に係る液状食品に使用される果実由来食物繊維は、果実を原料として得られる食物繊維であれば特に制限されず、一般に流通している果実由来食物繊維を広く利用することができる。原料の果実としては、例えば、柑橘類(例えば、オレンジ、みかん、いよかん、なつみかん、はっさく、ポンカン、シイクワシャー、かぼす、柚子、グレープフルーツ、レモン、ライム等)、リンゴ、マンゴ、パパイヤ、トマト、なし等が挙げられる。好ましくは柑橘類及び/又はリンゴ由来の食物繊維であり、より好ましくは柑橘類由来の食物繊維であり、更に好ましくはオレンジ、グレープフルーツ、レモン、及びライムからなる群より選択される1種以上由来の食物繊維であり、より更に好ましくはレモン及び/又はライム由来の食物繊維である。
【0034】
本発明に係る液状食品に使用される果実由来食物繊維は、公知の方法によって得ることができ、例えば、前記果実の圧搾後に果汁を除いた残渣、又はその生成物として調製できる。具体例としては、前記果実からペクチンを採取する際に生じる残渣を乾燥し、粉砕することにより調製できる。本発明に係る液状食品に使用される果実由来食物繊維は、例えば、果実の細胞のミセル構造が壊れポーラスな構造を有しているものであることができる。
【0035】
本発明に係る液状食品に使用される果実由来食物繊維は、好適に、水溶性食物繊維、及び水不溶性食物繊維を含有する複合型食物繊維であることができる。本発明に係る液状食品に使用される果実由来食物繊維は、好ましくは、ペクチン質を含有する食物繊維である。
上記水溶性食物繊維としては、例えば、水溶性ヘミセルロース、及びペクチン、並びにそれらの組合せが挙げられる。上記水不溶性食物繊維としては、例えば、セルロース、リグニン、水不溶性ヘミセルロース、及びプロトペクチン、並びにそれらの組合せが挙げられる。
上記複合型食物繊維は、好ましくは、食物繊維を40質量%以上、45質量%以上、50質量%以上、55質量%以上、60質量%以上、65質量%以上、70質量%以上、75質量%以上又は80質量%以上含有することができる。
上記複合型食物繊維は、好ましくは、水溶性食物繊維を、例えば、5質量%以上、10質量%以上、15質量%以上、20質量%以上、25質量%以上、30質量%以上、35質量%以上、40質量%以上、45質量%以上、50質量%以上、55質量%以上又は60質量%以上含有することができる。
前記複合型食物繊維は、好適に、水不溶性食物繊維を、5質量%以上、10質量%以上、15質量%以上、20質量%以上、25質量%以上、30質量%以上、35質量%以上、40質量%以上、45質量%以上、50質量%以上、55質量%以上又は60質量%以上含有することができる。
【0036】
上記複合型食物繊維が含有する水溶性食物繊維及び水不溶性食物繊維の質量比は、好ましくは0.05:1~15:1であり、より好ましくは0.075:1~10:1であり、更に好ましくは0.1:1~5:1である。
【0037】
上記のような果実由来食物繊維は、商業的に入手することができる。
本発明に関し、食物繊維含有量、水溶性食物繊維含有量、及び水不溶性食物繊維含有量は、プロスキー変法によって、測定される。当業者が通常理解する通り、複合型食物繊維の、プロスキー変法によって測定された食物繊維含有量は、必ずしも100質量%、又はこれに近い値ではない。
【0038】
本発明に係る液状食品における果実由来食物繊維の含有量は、特に限定されないが、本発明の効果を顕著に奏する観点から、好ましくは0.001~5質量%、より好ましくは0.0025~4質量%、更に好ましくは0.003~4質量%、より更に好ましくは0.005~3質量%、殊更に好ましくは0.0075~2質量%、より殊更に好ましくは0.01~1質量%、特に好ましくは0.05~0.5質量%、より特に好ましくは0.075~0.35質量%である。
【0039】
(セルロース類)
本発明に係る液状食品に使用されるセルロース類は、食品製造に使用されるセルロース及びその誘導体を利用することができ、例えば、セルロース、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、結晶セルロース、発酵セルロース等が挙げられる。本発明の効果を顕著に奏する観点から、セルロース類としては、発酵セルロース、結晶セルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウムからなる群より選択される少なくとも1種以上が好ましい。
また、セルロース類として発酵セルロース及び/又は結晶セルロースを利用する場合は、本発明の効果を顕著に奏する観点から、カルボキシメチルセルロースナトリウムとの併用が好ましい。
【0040】
本発明に係る液状食品に使用される発酵セルロースは、セルロース生産菌(例えば、アセトバクター属、シュードモナス属、アグロバクテリウム属等に属する細菌等)が産生するセルロースであればよく、特に限定されない。発酵セルロースは、植物由来の一般的なセルロース繊維の繊維径に比べて非常に微細な繊維径を有する。一方でその繊維長は長く、純粋な結晶領域のみを取得して得られる結晶セルロースとは大きく異なる。
【0041】
本発明に係る液状食品に使用される発酵セルロースとして、他の高分子物質と複合化した、発酵セルロース複合体を用いても良い。当該複合体は、発酵セルロースと他の高分子物質とから実質的になり、好ましくは発酵セルロース繊維の表面に他の高分子物質が付着している。このような複合化に使用される「他の高分子物質」は、食品に使用可能な高分子物質であれば特に限定されない。例えば、ガラクトマンナン、カルボキシメチルセルロースとその塩、キサンタンガム、タマリンド種子ガム、トラガントゴム、カラヤガム、寒天、カードラン、プルラン、サイリウムシードガム、グルコマンナン、キチン、キトサン、ペクチン等が挙げられる。
【0042】
なかでも好ましくは、キサンタンガム、ペクチン、ガラクトマンナン、及びカルボキシメチルセルロース又はその塩が挙げられる。ガラクトマンナンとして好ましくはグァーガムが挙げられ、カルボキシメチルセルロース又はその塩として好ましくはカルボキシメチルセルロースナトリウムが挙げられる。
【0043】
本発明に係る液状食品における結晶セルロースは、微結晶セルロースとも呼ばれ、例えば木材パルプ、精製リンター等のセルロース系素材を、酸処理、アルカリ処理、酵素処理等により解重合処理して得られる平均重合度30~400、結晶性部分が10%を超えるものをいう。本発明で使用される結晶セルロースは、一般に流通している結晶セルロースを広く利用することができる。
【0044】
本発明に係る液状食品におけるセルロース類の含有量は、特に制限されないが、本発明の効果を顕著に奏する観点から、好ましくは0.0001~5質量%、より好ましくは0.0005~2.5質量%、更に好ましくは0.001~1質量%、より更に好ましくは0.00125~0.5質量%、殊更に好ましくは0.0015~0.35質量%、より殊更に好ましくは0.00175~0.1質量%、特に好ましくは0.002~0.05質量%、より特に好ましくは0.00225~0.025質量%である。
【0045】
本発明に係る液状食品における、キサンタンガム、グァーガム、ローカストビーンガム、タマリンドシードガム、カラギナン、ジェランガム、ペクチン、及び澱粉類からなる群より選択される1種以上1質量部に対する果実由来食物繊維及び/又はセルロース類の含有量は、特に限定されないが、本発明の効果を顕著に奏する観点から、好ましくは0.0005~5質量部、より好ましくは0.0005~2.5質量部、更に好ましくは0.001~1質量部、より更に好ましくは0.0025~0.8質量部、特に好ましくは0.005~0.6質量部、より特に好ましくは0.0075~0.4質量部、最も好ましくは0.01~0.1質量部である。
【0046】
(寒天)
本発明に係る液状食品に使用される寒天は、紅藻(テングサ科、オゴノリ科等)から得られる多糖類である。また、製造技術によりゲル強度を高めた(弱めた)もの、粘弾性を高めた(弱めた)もの、高融点化(低融点化)したもの、低分子化(高分子化)したものなど、いずれのものも使用することができる。また、異なる種類の寒天を組みあわせて使用することもできる。寒天は商業的に入手することができ、例えば、ゲルアップ(登録商標) J-1630(三栄源エフ・エフ・アイ株式会社製)が挙げられる。
【0047】
本発明に係る液状食品における寒天の含有量は、特に限定されないが、本発明の効果を顕著に奏する観点から、好ましくは0.00025~1質量%、より好ましくは0.0005~0.5質量%、更に好ましくは0.0005~0.25質量%、より更に好ましくは0.00075~0.1質量%、特に好ましくは0.001~0.05質量%、より特に好ましくは0.001~0.03質量%、最も好ましくは0.001~0.01質量%である。
【0048】
(サイリウムシードガム)
本発明に係る液状食品に使用されるサイリウムシードガムは、Planta種(オオバコの一種、Plantaginaceae)植物の中の、主にPlantagoovataForskal等の種子から得られる多糖類である。サイリウムシードガムは商業的に入手することができ、例えば、ビストップ(登録商標) D-2074(三栄源エフ・エフ・アイ株式会社製)が挙げられる。
【0049】
本発明に係る液状食品におけるサイリウムシードガムの含有量は、特に限定されないが、本発明の効果を顕著に奏する観点から、好ましくは0.00025~1質量%、より好ましくは0.0005~0.5質量%、更に好ましくは0.0005~0.25質量%、より更に好ましくは0.00075~0.1質量%、特に好ましくは0.001~0.05質量%、より特に好ましくは0.001~0.03質量%、最も好ましくは0.001~0.01質量%である。
【0050】
(アラビアガム)
本発明に係る液状食品に使用されるアラビアガムは、マメ科植物であるアカシア属の植物(例えば、アカシア・セネガル(Acacia senegal)やアカシア・セイアル(Acacia seyal)等)の樹液から得られる多糖類である。アラビアガムの分子構造は、完全に明らかにはされていないが、ガラクトース、アラビノース、ラムノース、及びグルクロン酸を構成糖とすることが知られている。アラビアガムは商業的に入手することができ、例えば、ガムアラビックSD(三栄源エフ・エフ・アイ株式会社製)が挙げられる。
【0051】
本発明に係る液状食品におけるアラビアガムの含有量は、特に限定されないが、本発明の効果を顕著に奏する観点から、好ましくは0.00025~1質量%、より好ましくは0.0005~0.5質量%、更に好ましくは0.0005~0.25質量%、より更に好ましくは0.00075~0.1質量%、特に好ましくは0.001~0.05質量%、より特に好ましくは0.001~0.03質量%、最も好ましくは0.001~0.01質量%である。
【0052】
本発明に係る液状食品における寒天、サイリウムシードガム、及びアラビアガムからなる群より選択される1種以上の総含有量は、特に限定されないが、本発明の効果を顕著に奏する観点から、好ましくは0.00025~1質量%、より好ましくは0.0005~0.5質量%、更に好ましくは0.0005~0.25質量%、より更に好ましくは0.00075~0.1質量%、特に好ましくは0.001~0.05質量%である。
【0053】
本発明に係る液状食品における、果実由来食物繊維及び/又はセルロース類1質量部に対する寒天、サイリウムシードガム、及びアラビアガムからなる群より選択される1種以上の含有量は特に限定されないが、本発明の効果を顕著に奏する観点から、好ましくは0.0075~4質量部、より好ましくは0.01~3質量部、更に好ましくは0.025~2質量部、より更に好ましくは0.025~1.5質量部、特に好ましくは0.05~1質量部、より特に好ましくは0.05~0.5質量部である。
【0054】
(その他成分)
本発明に係る液状食品は、本発明の効果を妨げない範囲において、任意の可食成分を含有することができる。このような任意の可食成分としては、例えば、糖類、高甘味度甘味料、ビタミン類、アミノ酸類、油脂類、タンパク質類、ミネラル類、乳、卵、果汁、果肉、植物抽出物、食物繊維、香料、着色料、調味料、酸味料、抗酸化剤、保存料、抗菌剤等を挙げることができる。
【0055】
本発明に係る液状食品は、本発明の効果を妨げない範囲において、上記(A)~(C)の成分以外の多糖類を含有することができる。本発明に係る液状食品に使用することができる多糖類としては、例えば、グルコマンナン、アルギン酸、アルギン酸塩(例えば、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸カリウム、アルギン酸カルシウム等)、マクロホモプシスガム、カードラン、トラガントガム、ガティガム、アラビノガラクタン、カラヤガム、ファーセレラン、キチン、プルラン、デキストリン類(例えば、ポリデキストロース、難消化性デキストリン等)等が挙げられ、2種以上の多糖類を使用してもよい。
【0056】
本発明に係る液状食品は、本発明の効果を妨げない範囲において、油脂を含有することができるが、健康志向の観点から、液状食品における油脂の含有量は、好ましくは25質量%以下であり、より好ましくは20質量%以下、更に好ましくは15質量%以下、より更に好ましくは12質量%以下、特に好ましくは10質量%以下である。
【0057】
本発明に係る液状食品で使用される油脂としては、食用油脂であれば特に制限されず、例えば、菜種油、大豆油、ヒマワリ油、綿実油、落花生油、米油、コーン油、サフラワー油、椿油、オリーブ油、カポック油、胡麻油、月見草油、パーム油、パーム核油、シア脂、サル脂、カカオ脂、ヤシ油、ココナッツ油、キャノーラ油、小麦胚芽油、エゴマ油、シソ油等の植物性油脂;乳脂、牛脂、豚脂、魚油、鯨油等の動物性油脂;及びこれらを加工した食用油脂(例えば、分別油脂、硬化油脂、エステル交換油脂等)等が挙げられる。
【0058】
(液状食品)
本発明において、液状食品の具体例としては、水、牛乳、乳飲料、乳酸菌飲料、ドリンクヨーグルト、果汁入り清涼飲料、オレンジジュース等の果汁飲料、菜汁飲料、茶飲料、コーヒー飲料、ココア飲料、スポーツ飲料、機能性飲料、イオン飲料、ビタミン補給飲料、栄養補給バランス飲料等の飲料類;ソフトクリームミックス等の冷菓ミックス類;日本酒、ビール、発泡酒、ビールテイスト風アルコール飲料、焼酎、ウィスキー、ブランデー、ワイン、スピリッツ類(ラム、ウォッカ、ジン、テキーラ等)、リキュール類、飲用アルコール類を配合した各種カクテル類、赤ワイン等の果実酒等の酒類;コンソメスープ、ポタージュスープ、クリームスープ、中華スープ、ラーメンスープ等のスープ類;味噌汁、清汁、シチュウ、カレー、ホワイトソース、クリームソース、パスタソース、カスタードクリーム、フィリング、フラワーペースト、フルーツソース、ジャム、ムース、葛湯、あんかけ用あん、タレ(焼肉用、焼き鳥用、みたらし用等)等の液状の最終食品類;おにぎりの具材、サラダ総菜(タマゴサラダ、マカロニサラダ等)、おろししょうが、大根おろし;卵液様食品;ピックル液;バッター;練りあん等の和菓子類;蛋白質・リン・カリウム調整食品、塩分調整食品、油脂調整食品、整腸作用食品、カルシウム・鉄・ビタミン強化食品、低アレルギー食品、濃厚流動食、咀嚼・嚥下困難者用流動食、ミキサー食、キザミ食等の特殊食品・治療食類;醤油、ソース等の液状調味料類等が挙げられる。
【0059】
[2.液状食品の製造方法]
本発明は、液状食品に、以下(A)~(C)を含有させる工程を含む、液状食品の製造方法に関するものである。
(A)キサンタンガム、グァーガム、ローカストビーンガム、タマリンドシードガム、カラギナン、ジェランガム、ペクチン、及び澱粉類からなる群より選択される1種以上、
(B)果実由来食物繊維及び/又はセルロース類、
(C)寒天、サイリウムシードガム、及びアラビアガムからなる群より選択される1種以上。
【0060】
本発明に係る液状食品の製造方法に使用される成分やその含有量、及び液状食品の例は、上記[1.]に記載したとおりである。
【0061】
本発明に係る液状食品の製造方法は、液状食品に上記(A)~(C)の成分を含有させる工程を含めば、これらを含有させる順序や他の工程は特に制限されない。例えば、上記工程の他、食品に製造工程において一般的に行なわれる処理工程として、均質化処理工程、殺菌処理工程を含むことができる。
【0062】
[3-1.液状食品の食感を改良する方法]
本発明は、(A)キサンタンガム、グァーガム、ローカストビーンガム、タマリンドシードガム、カラギナン、ジェランガム、ペクチン、及び澱粉類からなる群より選択される1種以上を含有する液状食品の食感を改良する方法であって、液状食品に(B)果実由来食物繊維及び/又はセルロース類、並びに(C)寒天、サイリウムシードガム、及びアラビアガムからなる群より選択される1種以上を含有させることを特徴とする、液状食品の食感を改良する方法に関するものである。
【0063】
本発明に係る液状食品の食感を改良する方法に使用される成分やその含有量、及び液状食品の例は、上記[1.]に記載したとおりである。
【0064】
本発明に係る液状食品の食感を改良する方法は、液状食品に上記(A)~(C)の成分を含有させる工程を含めば、これらを含有させる順序や他の工程は特に制限されず、上記[2.]に記載したとおりである。なお、本発明によれば、均質化処理工程を経ることなく、液状食品の食感を改良することができる。
【0065】
本発明によれば、(A)キサンタンガム、グァーガム、ローカストビーンガム、タマリンドシードガム、カラギナン、ジェランガム、ペクチン、及び澱粉類からなる群より選択される1種以上を含有する液状食品に、(B)果実由来食物繊維及び/又はセルロース類、並びに(C)寒天、サイリウムシードガム、及びアラビアガムからなる群より選択される1種以上を含有させることにより、(A)キサンタンガム、グァーガム、ローカストビーンガム、タマリンドシードガム、カラギナン、ジェランガム、ペクチン、及び澱粉類からなる群より選択される1種以上に由来する好ましくない食感を改良することができる。好ましくない食感とは、具体的には、キサンタンガム、グァーガム、ローカストビーンガム、タマリンドシードガム、カラギナン、ジェランガム、及びペクチンからなる群より選択される1種以上に由来する「ぬめり」や、澱粉類に由来する「糊感」、「べたつき」等が挙げられる。本発明によれば、これらの好ましくない食感を抑制し、改良することができ、口どけが良好な液状食品を提供することができる。
【0066】
[3-2.液状食品のフレーバーリリースを改良する方法]
本発明は、(A)キサンタンガム、グァーガム、ローカストビーンガム、タマリンドシードガム、カラギナン、ジェランガム、ペクチン、及び澱粉類からなる群より選択される1種以上を含有する液状食品のフレーバーリリースを改良する方法であって、液状食品に(B)果実由来食物繊維及び/又はセルロース類、並びに(C)寒天、サイリウムシードガム、及びアラビアガムからなる群より選択される1種以上を含有させることを特徴とする、液状食品のフレーバーリリースを改良する方法に関するものである。
【0067】
本発明に係る液状食品のフレーバーリリースを改良する方法に使用される成分やその含有量、及び液状食品の例は、上記[1.]に記載したとおりである。
【0068】
本発明に係る液状食品のフレーバーリリースを改良する方法は、液状食品に上記(A)~(C)の成分を含有させる工程を含めば、これらを含有させる順序や他の工程は特に制限されず、上記[2.]に記載したとおりである。なお、本発明によれば、均質化処理工程を経ることなく、液状食品のフレーバーリリースを改良することができる。
【0069】
本発明によれば、(A)キサンタンガム、グァーガム、ローカストビーンガム、タマリンドシードガム、カラギナン、ジェランガム、ペクチン、及び澱粉類からなる群より選択される1種以上を含有する液状食品に、(B)果実由来食物繊維及び/又はセルロース類、並びに(C)寒天、サイリウムシードガム、及びアラビアガムからなる群より選択される1種以上を含有させることにより、(A)キサンタンガム、グァーガム、ローカストビーンガム、タマリンドシードガム、カラギナン、ジェランガム、ペクチン、及び澱粉類からなる群より選択される1種以上に由来するフレーバーリリースの悪化を抑制し、良好なフレーバーリリースを有する液状食品を提供することができる。
【0070】
[4-1-1.液状食品用の食感改良剤(態様1)]
本発明は、(B)果実由来食物繊維及び/又はセルロース類、並びに(C)寒天、サイリウムシードガム、及びアラビアガムからなる群より選択される1種以上を含有することを特徴とする、液状食品用の食感改良剤であって、液状食品が(A)キサンタンガム、グァーガム、ローカストビーンガム、タマリンドシードガム、カラギナン、ジェランガム、ペクチン、及び澱粉類からなる群より選択される1種以上を含有する、液状食品用の食感改良剤に関するものである。
【0071】
本発明に係る液状食品用の食感改良剤に使用される成分、及び液状食品の例は、上記[1.]に記載したとおりである。
【0072】
本発明に係る液状食品用の食感改良剤の形状は特に制限されない。例えば、固体形状(例えば、粉末状、顆粒状及び錠剤状等)、液体形状(例えば、溶解液、分散液等)、ペースト等が挙げられる。
【0073】
本発明に係る液状食品用の食感改良剤における、果実由来食物繊維及び/又はセルロース類の含有量は、特に限定されないが、食感改良剤の全量に対して、例えば、1~100質量%であり、好ましくは5~99.75質量%、より好ましくは10~99.5質量%、更に好ましくは15~99.25質量%、より更に好ましくは17~99.25質量%、殊更に好ましくは25~99質量%、より殊更に好ましくは35~99質量%、特に好ましくは50~98.5質量%、より特に好ましくは55~90質量%、とりわけ好ましくは60~85質量%、最も好ましくは60~82質量%である。
【0074】
本発明に係る液状食品用の食感改良剤における、寒天の含有量は、特に限定されないが、食感改良剤の全量に対して、例えば、0.05~80質量%であり、好ましくは0.1~70質量%、より好ましくは0.5~60質量%、更に好ましくは1~50質量%、より更に好ましくは1.5~45質量%、殊更に好ましくは2~40質量%、より殊更に好ましくは2.5~30質量%、特に好ましくは3~20質量%、より特に好ましくは3.5~15質量%、とりわけ好ましくは4~10質量%、最も好ましくは4~7.5質量%である。
【0075】
本発明に係る液状食品用の食感改良剤における、サイリウムシードガムの含有量は、特に限定されないが、食感改良剤の全量に対して、例えば、0.05~80質量%であり、好ましくは0.1~70質量%、より好ましくは0.5~60質量%、更に好ましくは1~50質量%、より更に好ましくは1.5~45質量%、殊更に好ましくは2~40質量%、より殊更に好ましくは2.5~30質量%、特に好ましくは3~20質量%、より特に好ましくは3.5~15質量%、とりわけ好ましくは4~10質量%、最も好ましくは4~7.5質量%である。
【0076】
本発明に係る液状食品用の食感改良剤における、アラビアガムの含有量は、特に限定されないが、食感改良剤の全量に対して、例えば、0.05~80質量%であり、好ましくは0.1~70質量%、より好ましくは0.5~60質量%、更に好ましくは1~50質量%、より更に好ましくは1.5~45質量%、殊更に好ましくは2~40質量%、より殊更に好ましくは2.5~30質量%、特に好ましくは3~20質量%、より特に好ましくは3.5~15質量%、とりわけ好ましくは4~10質量%、最も好ましくは4~7.5質量%である。
【0077】
本発明に係る液状食品用の食感改良剤における、寒天、サイリウムシードガム、及びアラビアガムからなる群より選択される1種以上の総含有量は、特に限定されないが、食感改良剤の全量に対して、例えば、0.05~80質量%であり、好ましくは0.1~70質量%、より好ましくは0.5~60質量%、更に好ましくは1~50質量%、より更に好ましくは1.5~45質量%、殊更に好ましくは2~40質量%、より殊更に好ましくは2.5~30質量%、特に好ましくは3~20質量%、より特に好ましくは3.5~15質量%、とりわけ好ましくは4~10質量%、最も好ましくは4~7.5質量%である。
【0078】
本発明に係る液状食品用の食感改良剤における、果実由来食物繊維及び/又はセルロース類1質量部に対する寒天、サイリウムシードガム、及びアラビアガムからなる群より選択される1種以上の含有量は、特に限定されないが、例えば、0.0005~2質量%であり、好ましくは0.001~1.5質量%、より好ましくは0.005~1.25質量%、更に好ましくは0.005~1.2質量%、より更に好ましくは0.01~1質量%、殊更に好ましくは0.025~1質量%、より殊更に好ましくは0.05~1質量%、とりわけ好ましくは0.05~0.5質量%、最も好ましくは0.025~0.1質量%である。
【0079】
対象となる液状食品に対する、本発明に係る液状食品用の食感改良剤の配合量は、特に限定されないが、本発明の効果を顕著に奏する観点から、液状食品における果実由来食物繊維及び/又はセルロース類、並びに寒天、サイリウムシードガム、及びアラビアガムからなる群より選択される1種以上の含有量が上記[1.]に記載の範囲となるように配合することが好ましい。
【0080】
[4-1-2.液状食品用の食感改良剤(態様2)]
本発明は、以下の(A)~(C)成分を含有する、液状食品用の食感改良剤に関するものである。
(A)キサンタンガム、グァーガム、ローカストビーンガム、タマリンドシードガム、カラギナン、ジェランガム、ペクチン、及び澱粉類からなる群より選択される1種以上、
(B)果実由来食物繊維及び/又はセルロース類、
(C)寒天、サイリウムシードガム、及びアラビアガムからなる群より選択される1種以上。
【0081】
本発明に係る液状食品用の食感改良剤に使用される成分、及び液状食品の例は、上記[1.]に記載したとおりである。
【0082】
なお、本発明に係る液状食品の食感改良剤に含有される(A)成分は、発明の効果を顕著に奏する観点から、キサンタンガムが好ましい。
【0083】
本発明に係る液状食品用の食感改良剤の形状は特に制限されない。例えば、固体形状(例えば、粉末状、顆粒状及び錠剤状等)、液体形状(例えば、溶解液、分散液等)、ペースト等が挙げられる。
【0084】
本発明に係る液状食品の食感改良剤における、キサンタンガム、グァーガム、ローカストビーンガム、タマリンドシードガム、カラギナン、ジェランガム、ペクチン、及び澱粉類からなる群より選択される1種以上の総含有量は、特に限定されないが、例えば、1~100質量%であり、好ましくは5~99.5質量%、より好ましくは6~95質量%、更に好ましくは7.5~92.5質量%、より更に好ましくは10~85質量%、殊更に好ましくは12.5~80質量%、より殊更に好ましくは15~70質量%、特に好ましくは17.5~65質量%、より特に好ましくは18~60質量%、最も好ましくは19~58質量%である。
【0085】
本発明に係る液状食品用の食感改良剤における、果実由来食物繊維及び/又はセルロース類の含有量は、特に限定されないが、食感改良剤の全量に対して、例えば、0.01~50質量%であり、好ましくは0.025~40質量%、より好ましくは0.05~30質量%、更に好ましくは0.07~25質量%、より更に好ましくは0.1~22.5質量%、特に好ましくは1~20質量%、より特に好ましくは2.5~20質量%、最も好ましくは6~19質量%である。
【0086】
本発明に係る液状食品用の食感改良剤における、寒天の含有量は、特に限定されないが、食感改良剤の全量に対して、例えば、0.01~30質量%であり、好ましくは0.025~25質量%、より好ましくは0.05~22.5質量%、更に好ましくは0.1~20質量%、より更に好ましくは0.15~17.5質量%、特に好ましくは0.25~17.5質量%、より特に好ましくは0.5~15質量%、最も好ましくは0.7~14質量%である。
【0087】
本発明に係る液状食品用の食感改良剤における、サイリウムシードガムの含有量は、特に限定されないが、食感改良剤の全量に対して、例えば、0.01~30質量%であり、好ましくは0.025~25質量%、より好ましくは0.05~22.5質量%、更に好ましくは0.1~20質量%、より更に好ましくは0.15~17.5質量%、特に好ましくは0.25~17.5質量%、より特に好ましくは0.5~15質量%、最も好ましくは0.7~14質量%である。
【0088】
本発明に係る液状食品用の食感改良剤における、アラビアガムの含有量は、特に限定されないが、食感改良剤の全量に対して、例えば、0.01~30質量%であり、好ましくは0.025~25質量%、より好ましくは0.05~22.5質量%、更に好ましくは0.1~20質量%、より更に好ましくは0.15~17.5質量%、特に好ましくは0.25~17.5質量%、より特に好ましくは0.5~15質量%、最も好ましくは0.7~14質量%である。
【0089】
本発明に係る液状食品用の食感改良剤における、寒天、サイリウムシードガム、及びアラビアガムからなる群より選択される1種以上の総含有量は、特に限定されないが、食感改良剤の全量に対して、例えば、0.01~30質量%であり、好ましくは0.025~25質量%、より好ましくは0.05~22.5質量%、更に好ましくは0.1~20質量%、より更に好ましくは0.15~17.5質量%、特に好ましくは0.25~17.5質量%、より特に好ましくは0.5~15質量%、最も好ましくは0.7~14質量%である。
【0090】
対象となる液状食品に対する、本発明に係る液状食品用の食感改良剤の配合量は、特に限定されないが、本発明の効果を顕著に奏する観点から、液状食品における(A)成分としてキサンタンガム、グァ-ガム、ローカストビーンガム、タマリンドシードガム、カラギナン、ジェランガム、ペクチン及び澱粉類、(B)成分として果実由来食物繊維及び/又はセルロース類、並びに(C)成分として寒天、サイリウムシードガム、及びアラビアガムからなる群より選択される1種以上の含有量が上記[1.]に記載の範囲となるように配合することが好ましい。
【0091】
[4-2-1.液状食品用のフレーバーリリース改良剤(態様1)]
本発明は、(B)果実由来食物繊維及び/又はセルロース類、並びに(C)寒天、サイリウムシードガム、及びアラビアガムからなる群より選択される1種以上を含有することを特徴とする、液状食品用のフレーバーリリース改良剤であって、液状食品が(A)キサンタンガム、グァーガム、ローカストビーンガム、タマリンドシードガム、カラギナン、ジェランガム、ペクチン、及び澱粉類からなる群より選択される1種以上を含有する、液状食品用のフレーバーリリース改良剤に関するものである。
【0092】
本発明に係る液状食品用のフレーバーリリース改良剤に使用される成分、及び液状食品の例は、上記[1.]に記載したとおりである。
【0093】
本発明に係る液状食品用のフレーバーリリース改良剤の形状、及び使用される成分の含有量は、上記[4-1-1.]に記載したとおりである。
【0094】
[4-2-2.液状食品用のフレーバーリリース改良剤(態様2)]
本発明は、以下の(A)~(C)成分を含有する、液状食品用のフレーバーリリース改良剤に関するものである。
(A)キサンタンガム、グァーガム、ローカストビーンガム、タマリンドシードガム、カラギナン、ジェランガム、ペクチン、及び澱粉類からなる群より選択される1種以上、
(B)果実由来食物繊維及び/又はセルロース類、
(C)寒天、サイリウムシードガム、及びアラビアガムからなる群より選択される1種以上。
【0095】
本発明に係る液状食品用のフレーバーリリース改良剤に使用される成分、及び液状食品の例は、上記[1.]に記載したとおりである。
【0096】
本発明に係る液状食品用のフレーバーリリース改良剤の形状、及び使用される成分の含有量は、上記[4-1-2.]に記載したとおりである。
【実施例】
【0097】
以下に、実施例を用いて本発明を更に詳しく説明する。ただし、これらの例は本発明を制限するものではない。なお、実施例中の「部」「%」は、それぞれ「質量部」「質量%」を意味する。また、文中「*」印は、三栄源エフ・エフ・アイ株式会社製であることを示し、文中「※」印は、三栄源エフ・エフ・アイ株式会社の登録商標であることを示す。
【0098】
[試験例1.ソース風調味料1]
表1及び2の処方に基づき、ソース風調味料を調製した。具体的には、水に果糖ぶどう糖液糖及び多糖類を加え、85℃にて10分間撹拌を行なった。そして、残りの原料を加え、更に5分間撹拌を行なった。その後、耐熱容器に充填し、85℃で30分間殺菌処理を行い、5℃で冷却して、ソース風調味料を得た(油脂含量0.26%)。なお、果実由来食物繊維は、レモン及び/又はライム由来の食物繊維(水溶性食物繊維含有量22%、水不溶性食物繊維含有量78%)を使用した。
【0099】
(官能評価試験)
得られたソース風調味料を20℃に調温し、食感判定を日常的に行っているパネラー5名(A~E)により、ブラインドによる食感及びフレーバーリリースの官能評価を行った。各評価項目について、多糖類としてキサンタンガム、グァーガム、加工澱粉及び果実由来食物繊維を含有する対照例を基準(評点2)とし、良好度合いに応じて4>3>2>1の4段階評価を行った。具体的な評価基準は次のとおりである。なお、官能評価を実施するにあたり、パネル全体で討議し、各評価項目の特性に対してすり合わせを行って、各パネルが評価基準について共通認識を持つようにした。
【0100】
「食感」の評価基準
4:対照例と比べ、ぬめりやべたつきがない。
3:対照例と比べ、ぬめりやべたつきが軽減されている。
2:対照例(基準)
1:対照例と比べ、ぬめりやべたつきが強い。
【0101】
「フレーバーリリース」の評価基準
4:対照例と比べ、フレーバーリリースが非常に良好である。
3:対照例と比べ、フレーバーリリースが良好である。
2:対照例(基準)
1:対照例と比べ、フレーバーリリースが悪い。
結果を表3に示した。
【0102】
【0103】
【0104】
【0105】
対照例に比べ、寒天を更に含有する実施例1-1、サイリウムシードガムを更に含有する実施例1-2、及びアラビアガムを更に含有する実施例1-3では、ぬめりやべたつきが軽減され、口どけが良好であった。
また、対照例に比べ、寒天を更に含有する実施例1-1、及びサイリウムシードガムを更に含有する実施例1-2では、フレーバーリリースが良好であった。
更に、実施例1-1において多糖類(A)~(C)成分の添加タイミングを変えた場合でも同様の効果が得られた。具体的には、先に(A)成分のみを水及び果糖ブドウ糖液糖と攪拌、混合したのち、残りの(B)及び(C)成分を加えて攪拌、混合した場合においても、口どけ及びフレーバーリリースがともに良好であった。
なお、(A)成分として加工澱粉、キサンタンガム、グァ-ガム及びλカラギナン、(B)成分として果実由来食物繊維を含有し、(C)成分を含有しない処方では、口どけ及びフレーバーリリースともに好ましくないものであった。更に、(A)及び(B)成分が表2と同様であり、(C)成分の代わりにプルランを含有する処方においても、口どけ及びフレーバーリリースともに好ましくないものであった。
【0106】
[試験例2.あんかけ用あん]
表4の処方に基づき、あんかけ用あんを調製した。具体的には、水に水あめ及び多糖類を加え、85℃にて10分間撹拌を行なった。そして、残りの原料を加え、更に5分間撹拌を行なった。その後、耐熱容器に充填し、85℃で30分間殺菌処理を行い、5℃で冷却して、あんかけ用あんを得た(油脂含量4.6%)。なお、果実由来食物繊維は、試験例1と同じものを使用した。
【0107】
(官能評価試験)
得られたあんかけ用あんにつき、試験例1と同じ手法により、食感の官能評価を行った。結果を表5に示した。
【0108】
(油の分離評価試験)
得られたあんかけ用あんにつき、20℃で3日間静置した後の油の分離具合を目視にて確認し、評価を行った。結果を表6に示した。
【0109】
【0110】
【0111】
【0112】
キサンタンガム、グァーガム及び加工澱粉を含有する対照例は、20℃ではぬめりやべたつきのある重たい食感であり、80℃ではややぬめりがある食感であり、どちらも口どけがよくなかった。一方、更に果実由来食物繊維及び寒天を含有する実施例2-1は、20℃及び80℃において、口どけが良好であった。
【0113】
また、得られたあんかけ用あんを20℃にて静置したところ、対照例では3日後に油の分離が見られた。一方、実施例2-1では3日後であっても油の分離が見られず、油の分離が抑制されていた。
【0114】
[試験例3.ソース風調味料2]
表7~11の処方に基づき、ソース風調味料(油脂含量0.26%)を調製した。具体的手順は、試験例1と同様である。なお、果実由来食物繊維は、レモン及び/又はライム由来の食物繊維(水溶性食物繊維含有量22%、水不溶性食物繊維含有量78%)を使用した。
【0115】
(官能評価試験)
得られたソース風調味料を20℃に調温し、ブラインドによる食感の官能評価を行った。
【0116】
【0117】
【0118】
【0119】
【0120】
【0121】
果実由来食物繊維及び寒天に加え、(A)成分として加工澱粉を含有する実施例3-1~3-2、(A)成分としてキサンタンガムを含有する実施例3-3~3-5、(A)成分としてグァ-ガムを含有する実施例3-6~3-8、(A)成分としてローカストビーンガムを含有する実施例3-9~3-11、(A)成分としてタマリンドシードを含有する実施例3-12~14、(A)成分として脱アシルジェランガムを含有する実施例3-15~16、(A)成分としてネイティブジェランガムを含有する実施例3-17~18、(A)成分としてペクチンを含有する実施例3-19~20、(A)成分としてλカラギナンを含有する実施例3-21~23、(A)成分としてιカラギナンを含有する実施例3-24~25、(A)成分としてκカラギナンを含有する実施例3-26~27の全てにおいて、寒天を含まない処方に比べてぬめりやべたつきが軽減され、口どけが良好であった。また、それら全てにおいて、寒天を含まない処方に比べてフレーバーリリースが良好であった。
【0122】
[試験例4.ソース風調味料3]
表12及び13の処方に基づき、ソース風調味料(油脂含量0.26%)を調製した。具体的手順は、試験例1と同様である。なお、本試験例における果実由来食物繊維は、オレンジ由来(食物繊維含有量60%)、オレンジ、グレープフルーツ及びレモン由来(食物繊維含有量56%)、リンゴ由来(食物繊維含有量55%)をそれぞれ使用した。
【0123】
(官能評価試験)
得られたソース風調味料を20℃に調温し、ブラインドによる食感の官能評価を行った。
【0124】
【0125】
【0126】
対照例に比べ、寒天を更に含有する実施例1-1、及び実施例4-1~4-3では、ぬめりやべたつきが軽減され、口どけが良好であった。また、対照例に比べ、寒天を更に含有する実施例1-1、及び実施例4-1~4-3では、フレーバーリリースが良好であった。なお、果実由来食物繊維の違いによる食感、及びフレーバーリリースの差はみられなかった。
【0127】
[試験例5.ソース風調味料4]
表14~16の処方に基づき、ソース風調味料(油脂含量0.26%)を調製した。具体的手順は、試験例1と同様である。なお、果実由来食物繊維は、レモン及び/又はライム由来の食物繊維(水溶性食物繊維含有量22%、水不溶性食物繊維含有量78%)を使用した。
【0128】
(官能評価試験)
得られたソース風調味料を20℃に調温し、以下の評価基準に従い、ブラインドによる食感の官能評価を行った。
【0129】
「食感」の評価基準
◎:対照例と比べ、非常に良好
〇:対照例と比べ、良好
×:対照例(基準:悪い)
結果を表15に示した。
【0130】
【0131】
【0132】
【0133】
対照例に比べ、(B)成分及び(C)成分を含有する実施例5-1~実施例5-9では、ぬめりやべたつきが軽減され、食感が良好若しくは非常に良好であった。また、対照例に比べ、実施例5-1~実施例5-9ではフレーバーリリースが良好であった。
【0134】
[試験例6.ソース風調味料5]
表17及び18の処方に基づき、ソース風調味料(油脂含量0.26%)を調製した。具体的手順は、試験例1と同様である。なお、果実由来食物繊維は、レモン及び/又はライム由来の食物繊維(水溶性食物繊維含有量22%、水不溶性食物繊維含有量78%)を使用した。
【0135】
【0136】
【0137】
実施例6-1にて調製したソース風調味料は、対照例に比べ、ぬめりやべたつきが軽減され、口どけが良好であった。また、フレーバーリリースも同様に良好であった。
【0138】
[試験例7-1.焼肉のたれ]
表19及び20の処方に基づき、焼肉のたれを調製した。具体的には、水に多糖類を加え、80℃にて10分間撹拌を行なった。そして、残りの原料を加え、更に5分間撹拌を行なった。その後、耐熱容器に充填し、85℃で30分間殺菌処理を行い、5℃で冷却して、焼肉のたれを得た(油脂含量0.2007%)。
【0139】
(官能評価試験)
得られた焼肉のたれを20℃に調温し、食感判定を日常的に行っているパネラー3名(A~C)により、ブラインドによる食感及びフレーバーリリースの官能評価を行った。各評価項目について、多糖類としてキサンタンガムを含有する対照例を基準(評点2)とし、良好度合いに応じて4>3>2>1の4段階評価を行った。具体的な評価基準は次のとおりである。なお、官能評価を実施するにあたり、パネル全体で討議し、各評価項目の特性に対してすり合わせを行って、各パネルが評価基準について共通認識を持つようにした。
【0140】
「食感」の評価基準
4:対照例と比べ、ぬめりやべたつきがない。
3:対照例と比べ、ぬめりやべたつきが軽減されている。
2:対照例(基準)
1:対照例と比べ、ぬめりやべたつきが強い。
【0141】
「フレーバーリリース」の評価基準
4:対照例と比べ、フレーバーリリースが非常に良好である。
3:対照例と比べ、フレーバーリリースが良好である。
2:対照例(基準)
1:対照例と比べ、フレーバーリリースが悪い。
結果を表21に示した。
【0142】
【0143】
【表20】
発酵セルロース製剤(注1):発酵セルロース14%、カルボキシメチルセルロースナトリウム4.7%含有製剤
微結晶セルロース製剤(注2):微結晶セルロース73%、カルボキシメチルセルロースナトリウム5%含有製剤
【0144】
【0145】
対照例に比べ、(B)成分としてセルロース類、(C)成分として寒天を含有する実施例7-1-1~7-1-3では、ぬめりやべたつきが軽減され、口どけが良好であった。具体的には、(B)成分として発酵セルロース製剤を用いた実施例7-1-1、及び(B)成分として微結晶セルロース製剤を含有する実施例7-1-2では、対照例に比べ、ぬめりやべたつきが軽減され、口どけが非常に良好であった。(B)成分としてカルボキシメチルセルロースナトリウムを含有する実施例7-1-3では、対照例に比べ、ぬめりやべたつきが軽減され、口どけが良好であった。
また、対照例に比べ、(B)成分としてセルロース類、(C)成分として寒天を含有する実施例7-1-1~7-1-3では、フレーバーリリースが良好であった。具体的には、(B)成分として発酵セルロース製剤を含有する実施例7-1-1、及び(B)成分として微結晶セルロース製剤を含有する実施例7-1-2では、対照例に比べ、フレーバーリリースが非常に良好であった。(B)成分としてカルボキシメチルセルロースナトリウムを含有する実施例7-1-3では、対照例に比べ、フレーバーリリースが良好であった。
なお、実施例7-1-1~7-1-3において、各実施例から寒天のみ除いた処方との比較を行った。その結果、実施例7-1-1~7-1-3全てにおいて、寒天のみ除いた処方に比べ、口どけ及びフレーバーリリースの向上が確認された。
【0146】
[試験例7-2.焼肉のたれ]
表19及び22の処方に基づき、焼肉のたれを調製した(油脂含量0.2007%)。具体的手順は、試験例7-1と同様である。
【0147】
【0148】
対照例に比べ、発酵セルロース製剤を含有する実施例7-2-1及び7-2-2では、口どけ及びフレーバーリリースがともに良好であった。
【0149】
[試験例8.エビチリソース]
(エビチリソースの製法)
表23の処方に基づき、エビチリソースを調製した。具体的には、水に多糖類を加え、85℃にて10分間攪拌を行った。そして、残りの原料を加えた後、90℃の状態で耐熱容器にホットパック充填を行い、5℃で冷却して、エビチリソースを得た(油脂含量10.486%)。なお、果実由来食物繊維は試験例1と同じものを使用した。
【0150】
(エビのチリソース和えの製法)
まず初めに、冷凍むきエビを解凍し、水分をキッチンペーパーで十分に拭き取った後、片栗粉をエビ全量に対し5%まぶした。次に、フライパンにサラダ油を15g入れ、中火で熱したところにエビを加えて5分間炒め、それを容器に移して粗熱を除去した。その後、炒めたエビ20g、チリソース60gを耐熱袋に充填後、90℃にて10分間加熱してエビのチリソース和えを得た。更に、-40℃で急速凍結して保管した。
【0151】
【0152】
実施例8-1にて調製したエビチリソースは、対照例に比べ、ぬめりやべたつきが軽減され、口どけが良好であった。また、フレーバーリリースも同様に良好であった。
【0153】
[試験例9.もやし炒め用調味液]
(もやし炒め用調味液製法)
表24の処方に基づき、もやし炒め用調味液を調製した。具体的には、水に多糖類を加え、85℃にて10分間攪拌を行った。そして、残りの原料を加え、更に5分間攪拌を行った。その後、85℃の状態で耐熱容器にホットパック充填を行い、室温まで冷却して、もやし炒め用調味液を得た(油脂含量0%)。なお、果実由来食物繊維は、試験例1と同じものを使用した。
【0154】
(もやし炒め製法)
まず初めに、もやし:もやし炒め用調味液=8:2の割合で混合した。そして、それらを中火で2分間炒めた後、容器に移して粗熱を除去し、もやし炒めを得た。その後5℃にて保管した。
【0155】
【0156】
実施例9-1にて調製したもやし炒め用調味液は、対照例に比べ、ぬめりやべたつきが軽減され、口どけが良好であった。また、フレーバーリリースも同様に良好であった。
【0157】
[試験例10.生姜焼きのたれ]
(生姜焼きのたれの製法)
表25の処方に基づき、生姜焼きのたれを調製した。具体的には、水に果糖ぶどう糖液糖と多糖類を加え、85℃にて10分間攪拌を行った。そして、残りの原料を加え、更に5分間攪拌を行った。その後、耐熱容器に充填して85℃で30分間殺菌処理を行い、室温まで冷却して、生姜焼きのたれを得た(油脂含0.0005%)。なお、果実由来食物繊維は、試験例1と同じものを使用した。
【0158】
(生姜焼きの製法)
まず初めに、豚ロース100gと上記製法にて調製した生姜焼きのたれ50gを袋に入れてよく絡め、1日冷蔵保管した。そして、加熱前のフライパンに前日に仕込んだ豚ロースを入れ、中火にて3分30秒間加熱した。その後、容器に移して粗熱を除去した。
【0159】
【0160】
実施例10-1にて調製した生姜焼きのたれは、対照例に比べ、ぬめりやべたつきが軽減され、口どけが良好であった。また、フレーバーリリースも同様に良好であった。
【0161】
[試験例11.ミートソース]
(ミートソースの製法)
表26の処方に基づき、ミートソースを調製した。具体的には、水に砂糖及び多糖類を加え、85℃にて10分間攪拌を行った。そして、残りの原料を加え、更に5分間攪拌を行った。その後、耐熱袋に充填して121℃で20分間レトルト殺菌を行い、室温まで冷却してミートソースを得た(油脂含量4.1505%)。
【0162】
【0163】
実施例11-1にて調製したミートソースは、対照例に比べ、ぬめりやべたつきが軽減され、口どけが良好であった。また、フレーバーリリースも同様に良好であった。