(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-02-21
(45)【発行日】2025-03-04
(54)【発明の名称】半導体装置および電子機器
(51)【国際特許分類】
H10B 51/40 20230101AFI20250225BHJP
H10D 30/67 20250101ALI20250225BHJP
H10D 86/40 20250101ALI20250225BHJP
H10D 84/80 20250101ALI20250225BHJP
H10B 12/00 20230101ALI20250225BHJP
H10B 41/70 20230101ALI20250225BHJP
H10D 30/68 20250101ALI20250225BHJP
H10B 51/30 20230101ALI20250225BHJP
G11C 11/408 20060101ALI20250225BHJP
H10D 84/83 20250101ALN20250225BHJP
G11C 11/405 20060101ALN20250225BHJP
【FI】
H10B51/40
H10D30/67 103B
H10D30/67 102N
H10D86/40 101Z
H10D84/80 101A
H10B12/00 801
H10B41/70
H10B12/00 621Z
H10B12/00 671C
H10B12/00 671Z
H10D30/68
H10B51/30
G11C11/408 120
H10D84/83 101E
G11C11/405
(21)【出願番号】P 2020140501
(22)【出願日】2020-08-21
【審査請求日】2023-08-02
(73)【特許権者】
【識別番号】000153878
【氏名又は名称】株式会社半導体エネルギー研究所
(72)【発明者】
【氏名】山崎 舜平
(72)【発明者】
【氏名】大貫 達也
(72)【発明者】
【氏名】國武 寛司
(72)【発明者】
【氏名】馬場 晴之
(72)【発明者】
【氏名】笹川 慎也
(72)【発明者】
【氏名】神保 安弘
(72)【発明者】
【氏名】松嵜 隆徳
【審査官】田邊 顕人
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2019/111113(WO,A1)
【文献】特開平09-236823(JP,A)
【文献】特開2019-212793(JP,A)
【文献】特開平05-090532(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2005/0094457(US,A1)
【文献】特開2004-015670(JP,A)
【文献】国際公開第2003/054652(WO,A1)
【文献】特開2003-152506(JP,A)
【文献】特開2000-077986(JP,A)
【文献】特開2000-124776(JP,A)
【文献】特開平11-284500(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H10B 51/40
H10D 30/67
H10D 86/40
H10D 84/80
H10B 12/00
H10B 41/70
H10D 30/68
H10B 51/30
G11C 11/408
H10D 84/83
G11C 11/405
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1トランジスタを有する記憶回路と、
第2トランジスタ及び容量素子を有する電圧保持回路と、
負電圧を生成する機能を有する負電圧生成回路と、を有し、
前記第1トランジスタは、ゲート及びバックゲートを有し、
前記容量素子は、第1電極と、第2電極と、強誘電体層と、を有し、
前記強誘電体層は、前記第1電極と、前記第2電極と、の間に設けられ、
前記第1電極又は前記第2電極の一方は、前記第2トランジスタのゲートに電気的に接続され、
前記第1電極又は前記第2電極の他方は、前記強誘電体層を分極反転させる第1の負電圧を印加する端子に電気的に接続され、
前記第2トランジスタのソース又はドレインの一方は、前記第1トランジスタのバックゲートに電気的に接続され、
前記第2トランジスタのソース又はドレインの他方は、前記負電圧生成回路に電気的に接続された半導体装置であって、
前記端子に前記第1の負電圧を供給することで前記強誘電体層を分極反転させた後、前記第
2トランジスタのソース又はドレインの他方に
、第2の負電圧を供給することで前記第2トランジスタをオン状態とし、
前記第
2トランジスタを介して前記第2の負電圧が前記第
1トランジスタのバックゲートに供給された後、前記第
2トランジスタをオフ状態とすることで、前記第1トランジスタのバックゲートに前記第2の負電圧が保持される、半導体装置。
【請求項2】
請求項1において、前記第1トランジスタ及び前記第2トランジスタは、チャネルに酸化物半導体を有するトランジスタである、半導体装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2において、前記強誘電体層は、酸化ハフニウム及び/又は酸化ジルコニウムを有する、半導体装置。
【請求項4】
請求項1乃至請求項3のいずれか一に記載の半導体装置を有する、電子機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物、方法、又は製造方法に関する。又は、本発明は、プロセス、マシン、マニュファクチャ、又は組成物(コンポジション・オブ・マター)に関する。また、本発明の一態様は、半導体装置、表示装置、発光装置、蓄電装置、記憶装置、それらの駆動方法又はそれらの製造方法に関する。特に、本発明の一態様は、酸化物半導体を含む半導体装置、表示装置、又は発光装置に関する。
【0002】
なお、本明細書等において半導体装置とは、半導体特性を利用することで機能しうる装置全般を指す。表示装置、電気光学装置、半導体回路及び電子機器は、半導体装置を有する場合がある。
【背景技術】
【0003】
半導体材料を用いてトランジスタを構成する技術が注目されている。該トランジスタは集積回路(IC)、および画像表示装置(単に表示装置とも表記する)のような電子デバイスに広く応用されている。トランジスタに適用可能な半導体材料としてシリコン系半導体材料が広く知られているが、その他の材料として酸化物半導体が注目されている。
【0004】
特許文献1には、酸化物半導体をチャネル形成領域に有するトランジスタ(以下「酸化物半導体トランジスタ」という)を、DRAM(Dynamic Random Access Memory)に用いた例が開示されている。酸化物半導体トランジスタは、オフ状態でのリーク電流(オフ電流)が非常に小さいので、リフレッシュ期間が長く、消費電力の少ないDRAMを作製することができる。
【0005】
また、特許文献2には、酸化物半導体トランジスタを用いた不揮発性メモリが開示されている。これら不揮発性メモリは、フラッシュメモリと異なり、書き換え可能回数に制限がなく、高速な動作が容易に実現でき、消費電力も少ない。
【0006】
また、特許文献2には、酸化物半導体トランジスタに第2のゲートを設けて、トランジスタのしきい値を制御し、トランジスタのオフ電流を下げた例が開示されている。
【0007】
また、特許文献2及び特許文献3には、上述の第2のゲートを駆動するための回路の構成例が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【文献】特開2013-168631号公報
【文献】特開2012-069932号公報
【文献】特開2012-146965号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の一態様は、長期間においてデータの保持が可能な記憶装置を提供することを課題の一とする。本発明の一態様は、消費電力を抑えることができる記憶装置を提供することを課題の一とする。本発明の一態様は、長期間においてデータの保持が可能な半導体装置を提供することを課題の一とする。本発明の一態様は、消費電力を抑えることができる半導体装置を提供することを課題の一とする。本発明の一態様は、新規な半導体装置を提供することを課題の一とする。
【0010】
なお、複数の課題の記載は、互いの課題の存在を妨げるものではない。なお、本発明の一態様は、これらの課題の全て解決する必要はない。また、列記した以外の課題が、明細書、図面、請求項などの記載から、自ずと明らかとなるものであり、これらの課題も、本発明の一形態の課題となり得る。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の一態様は、第1トランジスタを有する記憶回路と、第2トランジスタおよび容量を有する電圧保持回路と、を有し、第1トランジスタは、ゲートおよびバックゲートを有し、容量は、第1電極と、第2電極と、強誘電体層と、を有し、強誘電体層は、第1の電極と、第2の電極と、の間に設けられ、第1電極または第2電極の一方は、第2トランジスタのゲートに電気的に接続され、第1電極または第2電極の他方は、強誘電体層を分極反転させる電圧を印加する端子に電気的に接続され、第2トランジスタのソースまたはドレインの一方は、第1トランジスタのバックゲートに電気的に接続される、半導体装置である。
【0012】
本発明の一態様は、第1トランジスタを有する記憶回路と、第2トランジスタおよび容量を有する電圧保持回路と、負電圧生成回路と、を有し、第1トランジスタは、ゲートおよびバックゲートを有し、容量は、第1電極と、第2電極と、強誘電体層と、を有し、強誘電体層は、第1の電極と、第2の電極と、の間に設けられ、第1電極または第2電極の一方は、第2トランジスタのゲートに電気的に接続され、第1電極または第2電極の他方は、強誘電体層を分極反転させる電圧を印加する端子に電気的に接続され、第2トランジスタのソースまたはドレインの一方は、第1トランジスタのバックゲートに電気的に接続され、第2トランジスタのソースまたはドレインの他方は、負電圧生成回路に電気的に接続される、半導体装置が好ましい。
【0013】
本発明の一態様において、第1トランジスタおよび第2トランジスタは、チャネルに酸化物半導体を有するトランジスタである、半導体装置が好ましい。
【0014】
本発明の一態様において、強誘電体層は、酸化ハフニウムおよび/または酸化ジルコニウムを有する、半導体装置が好ましい。
【0015】
本発明の一態様は、上記記載の半導体装置を有する、電子機器である。
【0016】
なおその他の本発明の一態様については、以下で述べる「発明を実施するための形態」、および「図面」に記載されている。
【発明の効果】
【0017】
本発明の一態様により、長期間においてデータの保持が可能な記憶装置を提供することが可能になる。本発明の一態様により、消費電力を抑えることができる記憶装置を提供することが可能になる。本発明の一態様により、長期間においてデータの保持が可能な半導体装置を提供することが可能になる。本発明の一態様により、消費電力を抑えることができる半導体装置を提供することが可能になる。本発明の一態様により、新規な半導体装置を提供することが可能になる。
【0018】
なお、これらの効果の記載は、他の効果の存在を妨げるものではない。なお、本発明の一態様は、これらの効果の全てを有する必要はない。なお、これら以外の効果は、明細書、図面、請求項などの記載から、自ずと明らかとなるものであり、明細書、図面、請求項などの記載から、これら以外の効果を抽出することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】
図1(A)および
図1(B)は、本発明の一態様の回路の一例を示す回路図である。
【
図2】
図2は、本発明の一態様の回路の一例を示す回路図である。
【
図3】
図3(A)は、メモリセルの構成例を示す図である。
図3(B)は、記憶装置の構成例を示す図である。
【
図4】
図4(A)は、メモリセルの構成例を示す図である。
図4(B)は、記憶装置の構成例を示す図である。
【
図6】
図6(A)乃至
図6(C)は、トランジスタの構成例を示す図である。
【
図9】
図9(A)は、実施例に係る試料の断面構造を説明する図である。
図9(B)は、入力電圧波形を示す図である。
図9(C)は、実施例に係る試料の測定結果を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
実施の形態について、図面を用いて詳細に説明する。但し、本発明は以下の説明に限定されず、本発明の趣旨及びその範囲から逸脱することなくその形態及び詳細を様々に変更し得ることは当業者であれば容易に理解される。従って、本発明は以下に示す実施の形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。
【0021】
なお、以下に説明する発明の構成において、同一部分又は同様な機能を有する部分には同一の符号を異なる図面間で共通して用い、その繰り返しの説明は省略する。また、同様の機能を指す場合には、ハッチパターンを同じくし、特に符号を付さない場合がある。
【0022】
なお、本明細書で説明する各図において、各構成の大きさ、層の厚さ、または領域は、明瞭化のために誇張されている場合がある。よって、必ずしもそのスケールに限定されない。
【0023】
(実施の形態1)
本実施の形態では、本発明の一態様である半導体装置の回路構成について説明を行う。
【0024】
図1に示す回路100はトランジスタMEの第2のゲートを駆動するための半導体装置の回路構成を示している。
図1に示す半導体装置は、入力端子VBGと、入力端子VLSと、メモリセルアレイMCAと、メモリセルアレイMCAに電気的に接続された回路100と、負電圧生成回路NBGと、回路CPと、を有している。なお、メモリセルアレイMCAは、複数のメモリセルMCを有し、それぞれのメモリセルMCは、第1及び第2のゲートを有するトランジスタM0を有している。なお、トランジスタM0としては、例えば、メモリセルMCにおける書き込みトランジスタ(メモリセルMCの構成によっては、書き込み読み出しトランジスタ)とすることができる。
【0025】
回路100は、トランジスタM1、容量素子C1、容量素子FECを有している。
【0026】
トランジスタM0の第2のゲートは、トランジスタM0のしきい値電圧(Vth)を制御する機能を有する。例えば、トランジスタM0をnチャネル型トランジスタとした場合、トランジスタM0の第2のゲートに、ソース電位よりも低い電位を与えることで、トランジスタM0のVthを正方向にシフトさせ、Vgs=0Vにおけるオフ電流を小さくすることができる(ノーマリ・オフの状態にすることができる)。一方で、トランジスタM0の第2のゲートに、ソース電位よりも高い電位を与えることで、トランジスタM0のVthを負方向にシフトさせ、Vgs=0Vにおいて、オン電流を流すこともできる(ノーマリ・オンにすることができる)。
【0027】
トランジスタM0の第1のゲートと、トランジスタM0の第2のゲートとは、半導体層を間に介して互いに重なり合う領域を有する。
【0028】
トランジスタM1の第1のゲートは、容量素子FECの第1の端子(電極ともいう)に電気的に接続される。トランジスタM1のソース及びドレインの一方は、入力端子VBGに電気的に接続される。トランジスタM1のソース及びドレインの他方は配線BGLに電気的に接続される。入力端子VBGは、負電圧生成回路NBGに電気的に接続されている。
【0029】
配線BGLは、複数のトランジスタM0のそれぞれの第2のゲートに電気的に接続されている。
【0030】
容量素子C1の第1の端子はトランジスタM1のソース及びドレインの他方と、配線BGLに電気的に接続されている。また容量素子C1の第2の端子は、配線GNLに電気的に接続される。なお、配線GNLは、一定の定電位が与えられる。当該定電位として接地電位を与えてもよい。
【0031】
容量素子FECの第2の端子(電極ともいう)には、入力端子VLSが電気的に接続される。また、入力端子VLSには、回路CPが電気的に接続される。
【0032】
トランジスタM1は、オフ電流が小さいトランジスタであることが好適である。例えば、トランジスタM1のオフ電流は、好ましくは10-18A/μm以下、さらに好ましくは10-21A/μm以下、さらに好ましくは10-24A/μm以下である。オフ電流が小さいトランジスタとして、酸化物半導体トランジスタが挙げられる。
【0033】
なお、本明細書において、特に断りがない場合、オフ電流とは、トランジスタがオフ状態(非導通状態、遮断状態、ともいう)にあるときのドレイン電流をいう。オフ状態とは、特に断りがない場合、nチャネル型トランジスタでは、ゲートとソースの間の電圧(Vgs)がVthよりも低い状態、pチャネル型トランジスタでは、VgsがVthよりも高い状態をいう。例えば、nチャネル型のトランジスタのオフ電流とは、VgsがVthよりも低いときのドレイン電流を言う場合がある。トランジスタのオフ電流は、Vgsに依存する場合がある。従って、トランジスタのオフ電流が10-21A以下である、とは、トランジスタのオフ電流が10-21A以下となるVgsの値が存在することを言う場合がある。トランジスタのオフ電流は、所定のVgsにおけるオフ状態、所定の範囲内のVgsにおけるオフ状態、または、十分に低減されたオフ電流が得られるVgsにおけるオフ状態、等におけるオフ電流を指す場合がある。
【0034】
また、本明細書では、チャネル幅(W)を有するトランジスタのオフ電流を、チャネル幅あたりを流れる電流値で表す場合がある。また、所定のチャネル幅(例えば1μm)あたりを流れる電流値で表す場合がある。後者の場合、オフ電流の単位は、電流/長さの次元を持つ単位(例えば、A/μm)で表される場合がある。
【0035】
また、トランジスタのオフ電流は、温度に依存する場合がある。本明細書において、オフ電流は、特に記載がない場合、室温、60℃、85℃、95℃、または125℃におけるオフ電流を表す場合がある。または、当該トランジスタが含まれる半導体装置等の信頼性が保証される温度、または、当該トランジスタが含まれる半導体装置等が使用される温度(例えば、5℃乃至35℃のいずれか一の温度)におけるオフ電流、を表す場合がある。
【0036】
トランジスタのオフ電流は、ドレインとソースの間の電圧(Vds)に依存する場合がある。本明細書において、オフ電流は、特に記載がない場合、Vdsの絶対値が0.1V、0.8V、1V、1.2V、1.8V、2.5V、3V、3.3V、10V、12V、16V、または20Vにおけるオフ電流を表す場合がある。または、当該トランジスタが含まれる半導体装置等の信頼性が保証されるVds、または、当該トランジスタが含まれる半導体装置等において使用されるVdsにおけるオフ電流、を表す場合がある。
【0037】
また、
図1(A)において、トランジスタM1は、第1のゲートだけでなく第2のゲートを図示しており、第2のゲートの電気的な接続先を明記していないが、第2のゲートの電気的な接続先は、設計の段階で決めることができる。例えば、第2のゲートを有するトランジスタにおいて、そのトランジスタのオン電流を高めるために、第1のゲートと第2のゲートとを電気的に接続してもよい。また、例えば、第2のゲートを有するトランジスタにおいて、そのトランジスタのしきい値電圧を変動させるため、または、そのトランジスタのオフ電流を小さくするために、外部回路などと電気的に接続されている配線を設けて、当該外部回路などによってトランジスタの第2のゲートに固定電位、又は可変電位を与えてもよい。
【0038】
容量素子FECは、2つの電極の間に、誘電体として強誘電性を有しえる材料を有する容量素子である。本明細書等では、強誘電性を有しうる材料を誘電体として用いた容量を強誘電キャパシタと呼称する。
【0039】
強誘電性を有しうる材料としては、酸化ハフニウム、酸化ジルコニウム、HfZrOX(Xは0よりも大きい実数とする)、酸化ハフニウムに元素J(ここでの元素Jは、シリコン(Si)、アルミニウム(Al)、ガドリニウム(Gd)、イットリウム(Y)、ランタン(La)、ストロンチウム(Sr)など。)を添加した材料、イットリア安定化ジルコニア(YSZ)、PbTiOX、チタン酸バリウムストロンチウム(BST)、チタン酸ストロンチウム、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)、タンタル酸ビスマス酸ストロンチウム(SBT)、ビスマスフェライト(BFO)、チタン酸バリウム、などが挙げられる。また、当該材料としては、ペロブスカイト構造を有する圧電性セラミックを用いてもよい。また、当該材料としては、例えば、上記に列挙した材料から選ばれた複数の材料、又は、上記に列挙した材料から選ばれた複数の材料からなる積層構造とすることができる。ところで、酸化ハフニウムは、成膜条件だけでなく、上下の膜構成、またはプロセスによっても結晶構造(特性)が変わり得る可能性があるため、本明細書等では強誘電性を発現する材料のみを強誘電体と呼ぶのではなく、強誘電性を有しうる材料または強誘電性を有せしめると呼んでいる。
【0040】
中でも強誘電性を有しうる材料として、酸化ハフニウム、あるいは酸化ハフニウムおよび酸化ジルコニウムを有する材料は、数nmといった薄膜に加工しても強誘電性を有しうることができるため、好ましい。薄膜化することができる強誘電体層とすることで、微細化されたトランジスタと組み合わされた半導体装置とすることができる。
【0041】
強誘電性を有しうる材料は、絶縁体であって、外部から電場を与えることによって内部に分極が生じ、かつ当該電場をゼロにしても分極が残る性質を有するため、不揮発性の記憶素子として応用することができる。そのため、当該材料を、容量の一対の電極に挟まれる誘電体として用いることで、当該容量を「強誘電性を有しうるキャパシタ」、「強誘電キャパシタ」とすることができる。また、本明細書等では、強誘電性を有しうる材料は、当該キャパシタの第1の端子と第2の端子との間に有する、という場合がある。なお、強誘電性を有しうるキャパシタを用いた記憶回路は、FeRAM(Ferroelectric Random Access Memory)、強誘電体メモリなどと呼ばれることがある。
【0042】
回路CPは、電圧生成回路としての機能を有する。例えば、回路CPが、生成する電圧としては、低レベル電位、負電圧などとすることができる。回路CPで生成された電圧は、回路100の端子VSLに入力される。
【0043】
ここで、端子VSLに回路CPで生成された電圧、例えば、低レベル電位が入力された時、容量素子FECの第2の端子に当該低レベル電位が印加される。このとき、トランジスタM1の第1のゲートの電位は、容量素子FECの容量結合によって低下する。また、容量素子FECの第1の端子と第2の端子の電位差が特定の電位差に達したとき、容量素子FECの強誘電性を有しうる誘電体に分極が生じる。容量素子FECの強誘電性を有しうる誘電体に分極が生じることで、回路CPから端子VSLに低レベル電位の供給を停止しても、トランジスタM1の第1のゲートに与えられる電位を、容量素子FECによって保持することができる。
【0044】
負電圧生成回路NBGは、負電圧を生成する機能を有する。負電圧生成回路NBGは、負電圧を生成することで、当該負電圧を回路100の入力端子VBGに供給する。
【0045】
なお、本発明の一態様の半導体装置は、
図1(A)の回路構成に限定されない。本発明の一態様の半導体装置は、状況に応じて、
図1(A)の回路構成を変更した構成としてもよい。例えば、本発明の一態様の半導体装置は、
図1(B)に示すとおり、回路100に容量素子C1を設けない構成としてもよい。
【0046】
また、
図1(A)では、配線BGLに電気的に接続されるメモリセルMCとして、メモリセルアレイMCAのある1行に位置するメモリセルMCとしたが、本発明の一態様は、これに限定されない。例えば、
図2に示すとおり、配線BGLを、メモリセルアレイMCAの複数の行に分けるように延設して、マトリクス状に配置されている複数のメモリセルMCのそれぞれのトランジスタM0の第2のゲートに、配線BGLが電気的に接続される構成としてもよい。この構成にすることにより、行毎に回路100を設ける必要が無くなるため、半導体装置の回路面積を低減することができる。
【0047】
次に、
図1(A)の半導体装置の動作例について説明する。
【0048】
初期状態では、負電圧生成回路NBGから入力端子VBGへの負電圧の供給は行われない。また、例えば、このとき、負電圧生成回路NBGから入力端子VBGには接地電位が与えられていてもよい。
【0049】
また、回路CPから入力端子VLSに低レベル電位(負電圧でもよい)を供給する。このときの低レベル電位をVLとする。これにより、容量素子FECの強誘電性を有しうる誘電体内で分極が生じて、容量素子FECの第2の端子から第1の端子の方向に電場が生じる。また、容量FECの容量結合によって、トランジスタM1の第1のゲートは、元の電位から低下する。なお、低下したトランジスタM1の第1のゲートの電位をVGとする。
【0050】
なお、トランジスタM1の第1のゲートの電位をVGにした後は、回路CPから入力端子VLSに低レベル電位の供給を停止してもよい。
【0051】
ここで、負電圧生成回路NBGから入力端子VBGへの負電圧の供給を行う。なお、当該負電圧をVBGとする。ここで、トランジスタM1において、VG-VBGがトランジスタM1のしきい値電圧よりも大きいときトランジスタM1はオン状態となり、負電圧であるVBGが配線BGLに供給される。なお、トランジスタM1がVG-VBGがトランジスタM1のしきい値電圧より小さくかつサブスレッショルド領域で動作する範囲でも負電圧であるVBGを配線BGLに供給することができる。
【0052】
上記によって、負電圧生成回路NBGから、トランジスタM1を介して、配線BGLに負電圧VBGの供給が行われる。また、配線BGLの電圧が負電圧VBGに達したあと、回路CPから入力端子VLSにVLよりも低い電位(VLLとする)を供給する。これにより、容量FECの容量結合によって、トランジスタM1の第1のゲートの電位VGを下げることができる。また、このとき、回路CPからのVLLの供給を停止しても、容量FECによって、トランジスタM1の第1のゲートの電位を保持することができる。これにより、トランジスタM1をオフ状態にすることができ、結果として、配線BGLの電圧を負電圧VBGに保持することができる。
【0053】
配線BGLに負電圧VBGを保持することによって、トランジスタM0のしきい値電圧を低くすることができる。トランジスタM0は、メモリセルMCの書き込みトランジスタとして機能するため、トランジスタM0のしきい値電圧を低くすることによって、トランジスタM0のオフリーク電流を小さくすることができる。これにより、メモリセルMCに書き込まれたデータを長時間保持することができる。
【0054】
本実施の形態に示す構成は、他の実施の形態、又は実施例に示す構成と適宜組み合わせることができる。
【0055】
(実施の形態2)
本実施の形態では、実施の形態1に示した回路100を備えた半導体装置の適用例について説明を行う。
【0056】
〈不揮発性メモリ〉
図3(A)は、記憶素子としての機能を有するメモリセルMCの回路構成を示している。
【0057】
図3(A)のメモリセルMCは、第1のゲート及び第2のゲートを有するトランジスタM0と、トランジスタ112と、容量素子114と、ノードFNと、配線BLと、配線SLと、配線WLと、配線RLと、配線BGLとを有する。
【0058】
図3(A)のメモリセルMCにおいて、トランジスタM0の第1のゲートは配線WLに電気的に接続され、トランジスタM0の第2のゲートは配線BGLに電気的に接続され、トランジスタM0のソース及びドレインの一方は配線BLに電気的に接続され、トランジスタM0のソース及びドレインの他方はノードFNに電気的に接続される。
【0059】
図3(A)のメモリセルMCにおいて、トランジスタ112のゲートはノードFNに電気的に接続され、トランジスタ112のソース及びドレインの一方は配線BLに電気的に接続され、トランジスタ112のソース及びドレインの他方は配線SLに電気的に接続される。
【0060】
図3(A)のメモリセルMCにおいて、容量素子114の第1の端子は配線RLに電気的に接続され、容量素子114の第2の端子はノードFNに電気的に接続される。
【0061】
トランジスタM0は、オフ電流が小さいトランジスタであることが好適である。例えば、トランジスタM0のオフ電流は、好ましくは10-18A/μm以下、さらに好ましくは10-21A/μm以下、さらに好ましくは10-24A/μm以下である。オフ電流が小さいトランジスタとして、酸化物半導体トランジスタが挙げられる。
【0062】
トランジスタ112は、閾値電圧のばらつきの小さいトランジスタが用いられることが好ましい。ここで、閾値電圧のばらつきが小さいトランジスタとは、トランジスタが同一プロセスで作製される際に、許容される閾値電圧の差が100mV以内で形成されうるトランジスタのことをいう。具体的には、チャネルが単結晶シリコンで形成されているトランジスタが挙げられる。
【0063】
メモリセルMCは、ノードFNの電荷が保持可能という特徴を活かすことで、次のように、情報の書き込み、保持、読み出しが可能である。
【0064】
情報の書き込みおよび保持について説明する。まず、トランジスタM0がオン状態になるように、配線WLに電位を与える。これにより、配線BLの電位が、ノードFNに与えられる。すなわち、ノードFNには、所定の電荷が与えられる(書き込み)。ここでは、異なる二つの電位レベルを与える電荷(以下Lowレベル、Highレベルという)のいずれかが与えられるものとする。その後、トランジスタM0をオフ状態とすることにより、ノードFNに与えられた電荷が保持される(保持)。
【0065】
トランジスタM0のオフ電流は極めて小さいため、トランジスタM0のゲートの電荷は長時間にわたって保持される。
【0066】
次に情報の読み出しについて説明する。配線SLに所定の電位(定電位)を与えた状態で、配線RLに適切な電位(読み出し電位)を与えると、トランジスタ112のゲートに保持された電荷量に応じて、配線BLの電位は変動する。一般に、トランジスタ112をpチャネル型とすると、ノードFNにHighレベルが与えられている場合の見かけのしきい値Vth_Hは、ノードFNにLowレベルが与えられている場合の見かけのしきい値Vth_Lより低くなるためである。ここで、見かけのしきい値電圧とは、トランジスタ112を「オン状態」とするために必要な配線RLの電位をいうものとする。したがって、配線RLの電位をVth_HとVth_Lの間の電位V0とすることにより、トランジスタ112のゲートに与えられた電荷を判別できる。例えば、書き込みにおいて、Lowレベルが与えられていた場合には、ノードFNの電位がV0(<Vth_L)となれば、トランジスタ112は「オン状態」となる。Highレベルが与えられた場合は、ノードFNの電位がV0(>Vth_H)となっても、トランジスタ112は「オフ状態」のままである。このため、配線BLの電位を判別することで、保持されている情報を読み出すことができる。
【0067】
なお、上記の説明では、トランジスタ112がpチャネル型トランジスタとして扱ったが、これに限定されず、トランジスタ112がnチャネル型トランジスタの場合もあり得る。
【0068】
図3(B)は、マトリックス状に配置されたメモリセルMCと、実施の形態1に示す回路100を有する記憶装置120の回路構成を示している。記憶装置120は不揮発性メモリとしての機能を有する。
【0069】
記憶装置120は、m行n列のマトリクス状に配置されたメモリセルMCを有する。ここで、m及びnは2以上の自然数を表す。また、m行目に配置されたメモリセルMCは、配線WL[m]及び配線RL[m]に電気的に接続され、n列目に配置されたメモリセルMCは、配線BL[n]及び配線SLに電気的に接続される。
【0070】
それぞれのメモリセルMCに含まれるトランジスタM0の第2のゲートは、配線BGLを介して、回路100に電気的に接続されている。すなわち、回路100は、全てのメモリセルに含まれるトランジスタM0の第2のゲートを制御する信号を供給する機能を有する。
【0071】
回路100が、トランジスタM0の第2のゲートを制御することで、トランジスタM0は適切なVthをとることが可能になり、ノーマリ・オンを防ぐことができる。その結果、トランジスタM0はオフ電流を小さくすることができ、ノードFNに書き込まれた電荷を保持することが可能になる。
【0072】
記憶装置120を上記構成にすることで、電源をオフにしても、長時間に渡ってデータの保持が可能な記憶装置を提供することができる。
【0073】
〈DRAM〉
図4(A)は、記憶素子としての機能を有するメモリセルMCの回路構成を示している。
【0074】
図4(A)のメモリセルMCは、第1のゲート及び第2のゲートを有するトランジスタM0と、容量素子131と、配線BLと、配線WLと、配線CLと、配線BGLと、を有する。
【0075】
図4(A)のメモリセルMCにおいて、トランジスタM0の第1のゲートは配線WLに電気的に接続され、トランジスタM0の第2のゲートは配線BGLに電気的に接続され、トランジスタM0のソース及びドレインの一方は配線BLに電気的に接続され、トランジスタM0のソース及びドレインの他方は容量素子131の第1の端子に電気的に接続される。また、容量素子131の第2の端子は配線CLに電気的に接続される。
【0076】
トランジスタM0は、オフ電流が小さいトランジスタであることが好適である。例えば、トランジスタM0のオフ電流は、好ましくは10-18A/μm以下、さらに好ましくは10-21A/μm以下、さらに好ましくは10-24A/μm以下である。オフ電流が小さいトランジスタとして、酸化物半導体トランジスタが挙げられる。
【0077】
配線WLは、トランジスタM0のオン・オフを制御する信号を供給する機能を有し、配線BLは、トランジスタM0を介して、容量素子131に電荷を書き込む機能を有する。容量素子131に電荷を書き込んだ後に、トランジスタM0をオフにすることで、容量素子131に書き込まれた電荷を保持することができる。
【0078】
容量素子131に書き込まれた電荷は、トランジスタM0を介して、外部に流れ出るため、定期的に容量素子131に書き込まれた電荷を再書き込みする(リフレッシュする)動作が必要であるが、トランジスタM0はオフ電流が極めて低く、容量素子131から流れ出る電荷は少ないため、リフレッシュの頻度も少ない。
【0079】
図4(B)は、マトリックス状に配置された、
図2(A)に示すメモリセルMCと、実施の形態1に示す回路100を有する記憶装置140の回路構成を示している。記憶装置140はDRAMとしての機能を有する。
【0080】
記憶装置140は、m行n列のマトリクス状に配置されたメモリセルMCを有する。また、m行目に配置されたメモリセルMCは、配線WL[m]に電気的に接続され、n列目に配置されたメモリセルMCは、配線BL[n]に電気的に接続される。また、配線CLは一定の低電位を与える端子VCに電気的に接続されている。
【0081】
それぞれのメモリセルMCに含まれるトランジスタM0の第2のゲートは、配線BGLを介して、回路100に電気的に接続されている。すなわち、回路100は、全てのメモリセルに含まれるトランジスタM0の第2のゲートを制御する信号を供給する機能を有する。
【0082】
回路100が、トランジスタM0の第2のゲートを制御することで、トランジスタM0は適切なVthをとることが可能になり、ノーマリ・オンを防ぐことができる。その結果、トランジスタM0はオフ電流を小さくすることができ、容量素子131に書き込まれた電荷を保持することが可能になる。
【0083】
記憶装置140を上記構成にすることで、リフレッシュ頻度の少ない、低消費電力で動作可能な記憶装置を提供することができる。
【0084】
〈レジスタ〉
図5に、1ビットのレジスタ回路150の構成例を示す。
【0085】
レジスタ回路150は、第1のゲート及び第2のゲートを有するトランジスタM0と、容量素子154と、ノードN5と、フリップフロップ回路153を有する。
【0086】
フリップフロップ回路153は、インバータ151及びインバータ152を有する。インバータ151は、インバータ152と並列且つ逆向きに接続され、インバータ151の出力側が接続されるノードが、レジスタ回路150の出力端子OUTに相当する。
【0087】
トランジスタM0の第2のゲートは、回路100に電気的に接続され、トランジスタM0の第1のゲートは、入力端子Sig1に電気的に接続され、トランジスタM0のソース及びドレインの一方は、入力端子Sig2に電気的に接続され、トランジスタM0のソース及びドレインの他方は、ノードN5に電気的に接続される。
【0088】
容量素子154の第1の端子は、ノードN5に電気的に接続され、容量素子154の第2の端子は、一定の低電位が与えられる。この低電位として、接地電位を与えてもよい。また、ノードN5は、フリップフロップ回路153に電気的に接続されている。
【0089】
トランジスタM0は、オフ電流が小さいトランジスタであることが好適である。例えば、トランジスタM0のオフ電流は、好ましくは10-18A/μm以下、さらに好ましくは10-21A/μm以下、さらに好ましくは10-24A/μm以下である。オフ電流が小さいトランジスタとして、酸化物半導体トランジスタが挙げられる。
【0090】
レジスタ回路150は、入力端子Sig1及び入力端子Sig2からの入力信号により、データの格納、並びに出力を行う。例えば、ハイレベルの電圧が入力端子Sig1及び入力端子Sig2に供給されると、トランジスタM0がオン状態となりノードN5にハイレベル電圧が入力される。その結果、レジスタ回路150の出力端子OUTからはインバータ151によって反転されたローレベル電圧が出力されると同時に、フリップフロップ回路153にはローレベル電圧のデータが格納される。一方、入力端子Sig2からローレベル電圧が入力されると、同様にして出力端子OUTからはハイレベル電圧が出力されるとともにハイレベル電圧のデータがフリップフロップ回路153に格納される。
【0091】
容量素子154は、ノードN5の電圧を保持する機能を有する。
【0092】
レジスタ回路150は、入力端子Sig2からノードN5へ電位を書き込んだ後、トランジスタM0をオフにすることで、電源電圧の供給を停止しても、ノードN5の電位を保持することができる。なぜなら、トランジスタM0のオフ電流は極めて小さいからである。すなわち、レジスタ回路150を用いることで、電源電圧の供給を停止してもデータの保持が可能な記憶装置を提供することができる。
【0093】
また、回路100は、トランジスタM0の第2のゲートを制御する信号を供給する機能を有する。回路100が、トランジスタM0の第2のゲートを制御することで、トランジスタM0は適切なVthをとることが可能になり、ノーマリ・オンを防ぐことができる。その結果、トランジスタM0はオフ電流を小さくすることができ、ノードN5に書き込まれた電荷を保持することが可能になる。
【0094】
なお、本実施の形態では、フリップフロップ回路153の例として、2つのインバータ回路を用いた簡易な構成を示したが、これに限定されること無く、クロック動作の可能なクロックドインバータを用いる構成、またはNAND回路とインバータを組み合わせた構成を適宜用いることができる。例えば、RS型、JK型、D型、T型等、公知のフリップフロップ回路を適宜用いることができる。
【0095】
本実施の形態に示す構成は、他の実施の形態、又は実施例に示す構成と適宜組み合わせることができる。
【0096】
(実施の形態3)
本実施の形態では、上記実施の形態で説明した半導体装置に適用可能なトランジスタの構成例について説明する。
【0097】
図6(A)は、上記実施の形態で説明した半導体装置に適用可能なトランジスタである、トランジスタ500の上面図である。
図6(B)は、
図6(A)に一点鎖線で示した部位L1-L2における断面図であり、トランジスタ500のチャネル長方向の断面図である。
図6(C)は、
図6(A)に一点鎖線で示した部位W1-W2における断面図であり、トランジスタ500のチャネル幅方向の断面図である。トランジスタ500は上記実施の形態に示した半導体装置が有するOSトランジスタ、例えばトランジスタM0に適用することができる。
【0098】
図6(A)乃至
図6(C)に示すように、トランジスタ500は、絶縁体512に設けることができる。トランジスタ500は、絶縁体514及び絶縁体516に埋め込まれるように配置された導電体503と、絶縁体516及び導電体503の上に配置された絶縁体520と、絶縁体520の上に配置された絶縁体522と、絶縁体522の上に配置された絶縁体524と、絶縁体524の上に配置された酸化物530aと、酸化物530aの上に配置された酸化物530bと、酸化物530b上に互いに離れて配置された導電体542a及び導電体542bと、導電体542a及び導電体542b上に配置され、導電体542aと導電体542bの間に重畳して開口が形成された絶縁体580と、開口の底面及び側面に配置された絶縁体545と、絶縁体545の形成面に配置された導電体560と、を有する。
【0099】
また、
図6(A)乃至
図6(C)に示すように、酸化物530a、酸化物530b、導電体542a、及び導電体542bと、絶縁体580の間に絶縁体544が配置されることが好ましい。また、
図6(A)乃至6(C)に示すように、導電体560は、絶縁体545の内側に設けられた導電体560aと、導電体560aの内側に埋め込まれるように設けられた導電体560bと、を有することが好ましい。また、
図6(A)乃至
図6(C)に示すように、絶縁体580、導電体560、及び絶縁体545の上に絶縁体574が配置されることが好ましい。
【0100】
なお、本明細書等において、酸化物530a、及び酸化物530bをまとめて酸化物530という場合がある。
【0101】
なお、トランジスタ500では、チャネルが形成される領域と、その近傍において、酸化物530a、及び酸化物530bの2層を積層する構成について示しているが、本発明はこれに限られるものではない。例えば、酸化物530bの単層、又は3層以上の積層構成を設ける構成にしてもよい。
【0102】
また、トランジスタ500では、導電体560を2層の積層構成として示しているが、本発明はこれに限られるものではない。例えば、導電体560が、単層構成であってもよいし、3層以上の積層構成であってもよい。また、
図6(A)乃至
図6(C)に示すトランジスタ500は一例であり、その構成に限定されず、回路構成又は駆動方法等に応じて適切なトランジスタを用いればよい。
【0103】
ここで、導電体560は、トランジスタのゲート電極として機能し、導電体542a及び導電体542bは、それぞれソース電極又はドレイン電極として機能する。上記のように、導電体560は、絶縁体580の開口、及び導電体542aと導電体542bに挟まれた領域に埋め込まれるように形成される。導電体560、導電体542a及び導電体542bの配置は、絶縁体580の開口に対して、自己整合的に選択される。つまり、トランジスタ500において、ゲート電極を、ソース電極とドレイン電極の間に、自己整合的に配置させることができる。よって、導電体560を位置合わせのマージンを設けることなく形成することができるため、トランジスタ500の占有面積の縮小を図ることができる。これにより、半導体装置の微細化、高集積化を図ることができる。
【0104】
さらに、導電体560が、導電体542aと導電体542bの間の領域に自己整合的に形成されるため、導電体560は、導電体542a又は導電体542bと重畳する領域を有さない。これにより、導電体560と導電体542a及び導電体542bとの間に形成される寄生容量を低減することができる。よって、トランジスタ500のスイッチング速度を向上させ、高い周波数特性を有せしめることができる。
【0105】
導電体560は、第1のゲート(ゲート又はトップゲートともいう)電極として機能する場合がある。また、導電体503は、第2のゲート(バックゲート又はボトムゲートともいう)電極として機能する場合がある。その場合、導電体503に印加する電位を、導電体560に印加する電位と、連動させず、独立して変化させることで、トランジスタ500のしきい値電圧を制御することができる。特に、導電体503に負の電位を印加することにより、トランジスタ500のしきい値電圧をより大きくし、オフ電流を低減することが可能となる。したがって、導電体503に負の電位を印加したほうが、印加しない場合よりも、導電体560に印加する電位が0Vのときのドレイン電流を小さくすることができる。
【0106】
導電体503は、酸化物530、及び導電体560と、重なるように配置する。これにより、導電体560、及び導電体503に電位を印加した場合、導電体560から生じる電界と、導電体503から生じる電界と、がつながり、酸化物530に形成されるチャネル形成領域を覆うことができる。
【0107】
本明細書等において、一対のゲート電極(第1のゲート電極、及び第2のゲート電極)の電界によって、チャネル形成領域を電気的に取り囲むトランジスタの構成を、surrounded channel(S-channel)構成とよぶ。また、本明細書等で開示するS-channel構成は、Fin型構成及びプレーナ型構成とは異なる。S-channel構成を採用することで、短チャネル効果に対する耐性を高める、別言すると短チャネル効果が発生し難いトランジスタとすることができる。
【0108】
また、導電体503は、絶縁体514及び絶縁体516の開口の内壁に接して導電体503aが形成され、さらに内側に導電体503bが形成されている。なお、トランジスタ500では、導電体503a及び導電体503bを積層する構成について示しているが、本発明はこれに限られるものではない。例えば、導電体503は、単層、又は3層以上の積層構成として設ける構成にしてもよい。
【0109】
ここで、導電体503aは、水素原子、水素分子、水分子、銅原子等の不純物の拡散を抑制する機能を有する(上記不純物が透過しにくい。)導電性材料を用いることが好ましい。又は、酸素(例えば、酸素原子、酸素分子等の少なくとも一)の拡散を抑制する機能を有する(上記酸素が透過しにくい。)導電性材料を用いることが好ましい。なお、本明細書において、不純物、又は酸素の拡散を抑制する機能とは、上記不純物、又は上記酸素のいずれか一又は、すべての拡散を抑制する機能とする。
【0110】
例えば、導電体503aが酸素の拡散を抑制する機能を持つことにより、導電体503bが酸化して導電率が低下することを抑制することができる。
【0111】
また、導電体503が配線の機能を兼ねる場合、導電体503bは、タングステン、銅、又はアルミニウムを主成分とする、導電性が高い導電性材料を用いることが好ましい。なお、本実施の形態では導電体503を導電体503aと導電体503bの積層で図示したが、導電体503は単層構成であってもよい。
【0112】
絶縁体520、絶縁体522、及び絶縁体524は、第2のゲート絶縁膜としての機能を有する。
【0113】
ここで、酸化物530と接する絶縁体524は、化学量論的組成を満たす酸素よりも多くの酸素を含む絶縁体を用いることが好ましい。当該酸素は、加熱により膜中から放出されやすい。本明細書等では、加熱により放出される酸素を「過剰酸素」という場合がある。つまり、絶縁体524には、過剰酸素を含む領域(「過剰酸素領域」ともいう。)が形成されていることが好ましい。このような過剰酸素を含む絶縁体を酸化物530に接して設けることにより、酸化物530中の酸素欠損(VO:oxygen vacancyともいう)を低減し、トランジスタ500の信頼性を向上させることができる。なお、酸化物530中の酸素欠損に水素が入った場合、当該欠陥(以下、VOHという場合がある。)はドナーとして機能し、キャリアである電子が生成されることがある。また、水素の一部が金属原子と結合する酸素と結合して、キャリアである電子を生成する場合がある。従って、水素が多く含まれている酸化物半導体を用いたトランジスタは、ノーマリーオン特性となりやすい。また、酸化物半導体中の水素は、熱、電界等のストレスによって動きやすいため、酸化物半導体に多くの水素が含まれると、トランジスタの信頼性が悪化する恐れもある。本発明の一態様においては、酸化物530中のVOHをできる限り低減し、高純度真性又は実質的に高純度真性にすることが好ましい。このように、VOHが十分低減された酸化物半導体を得るには、酸化物半導体中の水分、水素等の不純物を除去すること(「脱水」又は「脱水素化処理」ともいう。)と、酸化物半導体に酸素を供給して酸素欠損を補填すること(「加酸素化処理」ともいう。)が重要である。VOH等の不純物が十分に低減された酸化物半導体をトランジスタのチャネル形成領域に用いることで、安定した電気特性を付与することができる。
【0114】
過剰酸素領域を有する絶縁体として、具体的には、加熱により一部の酸素が脱離する酸化物材料を用いることが好ましい。加熱により酸素を脱離する酸化物とは、TDS(Thermal Desorption Spectroscopy)分析にて、酸素原子に換算しての酸素の脱離量が1.0×1018atoms/cm3以上、好ましくは1.0×1019atoms/cm3以上、さらに好ましくは2.0×1019atoms/cm3以上、又は3.0×1020atoms/cm3以上である酸化物膜である。なお、上記TDS分析時における膜の表面温度としては100℃以上700℃以下、又は100℃以上400℃以下の範囲が好ましい。
【0115】
また、上記過剰酸素領域を有する絶縁体と、酸化物530と、を接して加熱処理、マイクロ波処理、又はRF処理のいずれか一又は複数の処理を行っても良い。当該処理を行うことで、酸化物530中の水、又は水素を除去することができる。例えば、酸化物530において、VoHの結合が切断される反応が起きる、別言すると「VOH→Vo+H」という反応が起きて、脱水素化することができる。このとき発生した水素の一部は、酸素と結合してH2Oとして、酸化物530、又は酸化物530近傍の絶縁体から除去される場合がある。また、水素の一部は、導電体542a及び導電体542bにゲッタリングされる場合がある。
【0116】
また、上記マイクロ波処理は、例えば、高密度プラズマを発生させる電源を有する装置、又は、基板側にRFを印加する電源を有する装置を用いると好適である。例えば、酸素を含むガスを用い、且つ高密度プラズマを用いることより、高密度の酸素ラジカルを生成することができ、基板側にRFを印加することで、高密度プラズマによって生成された酸素ラジカルを、効率よく酸化物530、又は酸化物530近傍の絶縁体中に導入することができる。また、上記マイクロ波処理は、圧力を133Pa以上、好ましくは200Pa以上、さらに好ましくは400Pa以上とすればよい。また、マイクロ波処理を行う装置内に導入するガスとしては、例えば、酸素と、アルゴンとを用い、酸素流量比(O2/(O2+Ar))が50%以下、好ましくは10%以上30%以下で行うとよい。
【0117】
また、トランジスタ500の作製工程中において、酸化物530の表面が露出した状態で、加熱処理を行うと好適である。当該加熱処理は、例えば、100℃以上450℃以下、より好ましくは350℃以上400℃以下で行えばよい。なお、加熱処理は、窒素ガスもしくは不活性ガスの雰囲気、又は酸化性ガスを10ppm以上、1%以上、もしくは10%以上含む雰囲気で行う。例えば、加熱処理は酸素雰囲気で行うことが好ましい。これにより、酸化物530に酸素を供給して、酸素欠損(VO)の低減を図ることができる。また、加熱処理は減圧状態で行ってもよい。又は、加熱処理は、窒素ガスもしくは不活性ガスの雰囲気で加熱処理した後に、脱離した酸素を補うために、酸化性ガスを10ppm以上、1%以上、又は10%以上含む雰囲気で行ってもよい。又は、酸化性ガスを10ppm以上、1%以上、又は10%以上含む雰囲気で加熱処理した後に、連続して窒素ガスもしくは不活性ガスの雰囲気で加熱処理を行っても良い。
【0118】
なお、酸化物530に加酸素化処理を行うことで、酸化物530中の酸素欠損を、供給された酸素により修復させる、別言すると「Vo+O→null」という反応を促進させることができる。さらに、酸化物530中に残存した水素に供給された酸素が反応することで、当該水素をH2Oとして除去する(脱水化する)ことができる。これにより、酸化物530中に残存していた水素が酸素欠損に再結合してVOHが形成されるのを抑制することができる。
【0119】
また、絶縁体524が、過剰酸素領域を有する場合、絶縁体522は、酸素(例えば、酸素原子、酸素分子等)の拡散を抑制する機能を有する(上記酸素が透過しにくい)ことが好ましい。
【0120】
絶縁体522が、酸素又は不純物の拡散を抑制する機能を有することで、酸化物530が有する酸素は、絶縁体520側へ拡散することがなく、好ましい。また、導電体503が、絶縁体524、又は酸化物530が有する酸素と反応することを抑制することができる。
【0121】
絶縁体522は、例えば、酸化アルミニウム、酸化ハフニウム、アルミニウム及びハフニウムを含む酸化物(ハフニウムアルミネート)、酸化タンタル、酸化ジルコニウム、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)、チタン酸ストロンチウム(SrTiO3)、又は(Ba,Sr)TiO3(BST)等のいわゆるhigh-k材料を含む絶縁体を単層又は積層で用いることが好ましい。トランジスタの微細化、及び高集積化が進むと、ゲート絶縁膜の薄膜化により、リーク電流等の問題が生じる場合がある。ゲート絶縁膜として機能する絶縁体にhigh-k材料を用いることで、物理膜厚を保ちながら、トランジスタ動作時のゲート電位の低減が可能となる。
【0122】
特に、不純物、及び酸素等の拡散を抑制する機能を有する(上記酸素が透過しにくい)絶縁性材料であるアルミニウム、ハフニウムの一方又は双方の酸化物を含む絶縁体を用いるとよい。アルミニウム、ハフニウムの一方又は双方の酸化物を含む絶縁体として、酸化アルミニウム、酸化ハフニウム、アルミニウム及びハフニウムを含む酸化物(ハフニウムアルミネート)等を用いることが好ましい。このような材料を用いて絶縁体522を形成した場合、絶縁体522は、酸化物530からの酸素の放出、又はトランジスタ500の周辺部から酸化物530への水素等の不純物の混入を抑制する層として機能する。
【0123】
又は、これらの絶縁体に、例えば、酸化アルミニウム、酸化ビスマス、酸化ゲルマニウム、酸化ニオブ、酸化シリコン、酸化チタン、酸化タングステン、酸化イットリウム、酸化ジルコニウムを添加してもよい。又はこれらの絶縁体を窒化処理してもよい。上記の絶縁体に酸化シリコン、酸化窒化シリコン又は窒化シリコンを積層して用いてもよい。
【0124】
また、絶縁体520は、熱的に安定していることが好ましい。例えば、酸化シリコン及び酸化窒化シリコンは、熱的に安定であるため、好適である。また、high-k材料の絶縁体を酸化シリコン、又は酸化窒化シリコンと組み合わせることで、熱的に安定かつ比誘電率の高い積層構成の絶縁体520を得ることができる。
【0125】
なお、
図6(A)乃至
図6(C)のトランジスタ500では、3層の積層構成からなる第2のゲート絶縁膜として、絶縁体520、絶縁体522、及び絶縁体524が図示されているが、第2のゲート絶縁膜は、単層、2層、又は4層以上の積層構成を有していてもよい。その場合、同じ材料からなる積層構成に限定されず、異なる材料からなる積層構成でもよい。
【0126】
トランジスタ500は、チャネル形成領域を含む酸化物530に、酸化物半導体として機能する金属酸化物を用いる。例えば、酸化物530として、In-M-Zn酸化物(元素Mは、アルミニウム、ガリウム、イットリウム、銅、バナジウム、ベリリウム、ホウ素、チタン、鉄、ニッケル、ゲルマニウム、ジルコニウム、モリブデン、ランタン、セリウム、ネオジム、ハフニウム、タンタル、タングステン、又はマグネシウム等から選ばれた一種、又は複数種)等の金属酸化物を用いるとよい。
【0127】
酸化物半導体として機能する金属酸化物の形成は、スパッタリング法で行なってもよいし、ALD(Atomic Layer Deposition)法で行なってもよい。なお、酸化物半導体として機能する金属酸化物については、他の実施の形態で詳細に説明する。
【0128】
また、酸化物530においてチャネル形成領域として機能する金属酸化物は、バンドギャップが好ましくは2eV以上、より好ましくは2.5eV以上の金属酸化物を用いることが好ましい。このように、バンドギャップの大きい金属酸化物を用いることで、トランジスタのオフ電流を低減することができる。
【0129】
酸化物530は、酸化物530b下に酸化物530aを有することで、酸化物530aよりも下方に形成された構成物から、酸化物530bへの不純物の拡散を抑制することができる。
【0130】
なお、酸化物530は、各金属原子の原子数比が異なる複数の酸化物層の積層構成を有することが好ましい。具体的には、酸化物530aに用いる金属酸化物において、構成元素中の元素Mの原子数比が、酸化物530bに用いる金属酸化物における、構成元素中の元素Mの原子数比より、大きいことが好ましい。また、酸化物530aに用いる金属酸化物において、Inに対する元素Mの原子数比が、酸化物530bに用いる金属酸化物における、Inに対する元素Mの原子数比より大きいことが好ましい。また、酸化物530bに用いる金属酸化物において、元素Mに対するInの原子数比が、酸化物530aに用いる金属酸化物における、元素Mに対するInの原子数比より大きいことが好ましい。
【0131】
また、酸化物530aの伝導帯下端のエネルギーが、酸化物530bの伝導帯下端のエネルギーより高くなることが好ましい。また、言い換えると、酸化物530a電子親和力が、酸化物530bの電子親和力より小さいことが好ましい。
【0132】
ここで、酸化物530a及び酸化物530bの接合部において、伝導帯下端のエネルギー準位はなだらかに変化する。換言すると、酸化物530a及び酸化物530bの接合部における伝導帯下端のエネルギー準位は、連続的に変化又は連続接合するともいうことができる。このようにするためには、酸化物530aと酸化物530bとの界面において形成される混合層の欠陥準位密度を低くするとよい。
【0133】
具体的には、酸化物530aと酸化物530bが、酸素以外に共通の元素を有する(主成分とする)ことで、欠陥準位密度が低い混合層を形成することができる。例えば、酸化物530bがIn-Ga-Zn酸化物の場合、酸化物530aとして、In-Ga-Zn酸化物、Ga-Zn酸化物、酸化ガリウム等を用いるとよい。
【0134】
このとき、キャリアの主たる経路は酸化物530bとなる。酸化物530aを上述の構成とすることで、酸化物530aと酸化物530bとの界面における欠陥準位密度を低くすることができる。そのため、界面散乱によるキャリア伝導への影響が小さくなり、トランジスタ500は高いオン電流を得られる。
【0135】
酸化物530b上には、ソース電極、及びドレイン電極として機能する導電体542a、及び導電体542bが設けられる。導電体542a、及び導電体542bとしては、アルミニウム、クロム、銅、銀、金、白金、タンタル、ニッケル、チタン、モリブデン、タングステン、ハフニウム、バナジウム、ニオブ、マンガン、マグネシウム、ジルコニウム、ベリリウム、インジウム、ルテニウム、イリジウム、ストロンチウム、ランタンから選ばれた金属元素、又は上述した金属元素を成分とする合金か、上述した金属元素を組み合わせた合金等を用いることが好ましい。例えば、窒化タンタル、窒化チタン、タングステン、チタンとアルミニウムを含む窒化物、タンタルとアルミニウムを含む窒化物、酸化ルテニウム、窒化ルテニウム、ストロンチウムとルテニウムを含む酸化物、ランタンとニッケルを含む酸化物等を用いることが好ましい。また、窒化タンタル、窒化チタン、チタンとアルミニウムを含む窒化物、タンタルとアルミニウムを含む窒化物、酸化ルテニウム、窒化ルテニウム、ストロンチウムとルテニウムを含む酸化物、ランタンとニッケルを含む酸化物は、酸化しにくい導電性材料、又は、酸素を吸収しても導電性を維持する材料であるため、好ましい。更に、窒化タンタル等の金属窒化物膜は、水素又は酸素に対するバリア性があるため好ましい。
【0136】
また、
図6(B)では、導電体542a、及び導電体542bを単層構成として示したが、2層以上の積層構成としてもよい。例えば、窒化タンタル膜とタングステン膜を積層するとよい。また、チタン膜とアルミニウム膜を積層してもよい。また、タングステン膜上にアルミニウム膜を積層する二層構成、銅-マグネシウム-アルミニウム合金膜上に銅膜を積層する二層構成、チタン膜上に銅膜を積層する二層構成、タングステン膜上に銅膜を積層する二層構成としてもよい。
【0137】
また、チタン膜又は窒化チタン膜と、そのチタン膜又は窒化チタン膜上に重ねてアルミニウム膜又は銅膜を積層し、さらにその上にチタン膜又は窒化チタン膜を形成する三層構成、モリブデン膜又は窒化モリブデン膜と、そのモリブデン膜又は窒化モリブデン膜上に重ねてアルミニウム膜又は銅膜を積層し、さらにその上にモリブデン膜又は窒化モリブデン膜を形成する三層構成等がある。なお、酸化インジウム、酸化錫又は酸化亜鉛を含む透明導電材料を用いてもよい。
【0138】
また、
図6(B)に示すように、酸化物530の、導電体542a(導電体542b)との界面とその近傍には、低抵抗領域として、領域543a、及び領域543bが形成される場合がある。このとき、領域543aはソース領域又はドレイン領域の一方として機能し、領域543bはソース領域又はドレイン領域の他方として機能する。また、領域543aと領域543bに挟まれる領域にチャネル形成領域が形成される。
【0139】
酸化物530と接するように上記導電体542a(導電体542b)を設けることで、領域543a(領域543b)の酸素濃度が低減する場合がある。また、領域543a(領域543b)に導電体542a(導電体542b)に含まれる金属と、酸化物530の成分とを含む金属化合物層が形成される場合がある。このような場合、領域543a(領域543b)のキャリア密度が増加し、領域543a(領域543b)は、低抵抗領域となる。
【0140】
絶縁体544は、導電体542a、及び導電体542bを覆うように設けられ、導電体542a、及び導電体542bの酸化を抑制する。このとき、絶縁体544は、酸化物530の側面を覆い、絶縁体524と接するように設けられてもよい。
【0141】
絶縁体544として、ハフニウム、アルミニウム、ガリウム、イットリウム、ジルコニウム、タングステン、チタン、タンタル、ニッケル、ゲルマニウム、ネオジム、ランタン又は、マグネシウム等から選ばれた一種、又は二種以上が含まれた金属酸化物を用いることができる。また、絶縁体544として、窒化酸化シリコン又は窒化シリコン等も用いることができる。
【0142】
特に、絶縁体544として、アルミニウム、又はハフニウムの一方又は双方の酸化物を含む絶縁体である、酸化アルミニウム、酸化ハフニウム、アルミニウム、及びハフニウムを含む酸化物(ハフニウムアルミネート)等を用いることが好ましい。特に、ハフニウムアルミネートは、酸化ハフニウム膜よりも、耐熱性が高い。そのため、後の工程での熱処理において、結晶化しにくいため好ましい。なお、導電体542a、及び導電体542bが耐酸化性を有する材料、又は、酸素を吸収しても著しく導電性が低下しない材料である場合、絶縁体544は、必須の構成ではない。求めるトランジスタ特性により、適宜設計すればよい。
【0143】
絶縁体544を有することで、絶縁体580に含まれる水、及び水素等の不純物が酸化物530bに拡散することを抑制することができる。また、絶縁体580が有する過剰酸素により、導電体542a、及び導電体542bが酸化するのを抑制することができる。
【0144】
絶縁体545は、第1のゲート絶縁膜として機能する。絶縁体545は、上述した絶縁体524と同様に、過剰に酸素を含み、かつ加熱により酸素が放出される絶縁体を用いて形成することが好ましい。
【0145】
具体的には、過剰酸素を有する酸化シリコン、酸化窒化シリコン、窒化酸化シリコン、窒化シリコン、フッ素を添加した酸化シリコン、炭素を添加した酸化シリコン、炭素、及び窒素を添加した酸化シリコン、空孔を有する酸化シリコンを用いることができる。特に、酸化シリコン、及び酸化窒化シリコンは熱に対し安定であるため好ましい。
【0146】
過剰酸素を含む絶縁体を絶縁体545として設けることにより、絶縁体545から、酸化物530bのチャネル形成領域に効果的に酸素を供給することができる。また、絶縁体524と同様に、絶縁体545中の水又は水素等の不純物濃度が低減されていることが好ましい。絶縁体545の膜厚は、1nm以上20nm以下とするのが好ましい。また、絶縁体545の形成前及び/又は形成後に、前述したマイクロ波処理を行なってもよい。
【0147】
また、絶縁体545が有する過剰酸素を、効率的に酸化物530へ供給するために、絶縁体545と導電体560との間に金属酸化物を設けてもよい。当該金属酸化物は、絶縁体545から導電体560への酸素拡散を抑制することが好ましい。酸素の拡散を抑制する金属酸化物を設けることで、絶縁体545から導電体560への過剰酸素の拡散が抑制される。つまり、酸化物530へ供給する過剰酸素量の減少を抑制することができる。また、過剰酸素による導電体560の酸化を抑制することができる。当該金属酸化物としては、絶縁体544に用いることができる材料を用いればよい。
【0148】
なお、絶縁体545は、第2のゲート絶縁膜と同様に、積層構成としてもよい。トランジスタの微細化、及び高集積化が進むと、ゲート絶縁膜の薄膜化により、リーク電流等の問題が生じる場合があるため、ゲート絶縁膜として機能する絶縁体を、high-k材料と、熱的に安定している材料との積層構成とすることで、物理膜厚を保ちながら、トランジスタ動作時のゲート電位の低減が可能となる。また、熱的に安定かつ比誘電率の高い積層構成とすることができる。
【0149】
第1のゲート電極として機能する導電体560は、
図6(B)及び
図6(C)では2層構成として示しているが、単層構成でもよいし、3層以上の積層構成であってもよい。
【0150】
導電体560aは、水素原子、水素分子、水分子、窒素原子、窒素分子、酸化窒素分子(N2O、NO、NO2等)、銅原子等の不純物の拡散を抑制する機能を有する導電性材料を用いることが好ましい。又は、酸素(例えば、酸素原子、酸素分子等の少なくとも一)の拡散を抑制する機能を有する導電性材料を用いることが好ましい。導電体560aが酸素の拡散を抑制する機能を持つことにより、絶縁体545に含まれる酸素により、導電体560bが酸化して導電率が低下することを抑制することができる。酸素の拡散を抑制する機能を有する導電性材料としては、例えば、タンタル、窒化タンタル、ルテニウム、又は酸化ルテニウム等を用いることが好ましい。また、導電体560aとして、酸化物530に適用できる酸化物半導体を用いることができる。その場合、導電体560bをスパッタリング法で成膜することで、導電体560aの電気抵抗値を低下させて導電体にすることができる。これをOC(Oxide Conductor)電極ということができる。
【0151】
また、導電体560bは、タングステン、銅、又はアルミニウムを主成分とする導電性材料を用いることが好ましい。また、導電体560bは、配線としても機能するため、導電性が高い導電体を用いることが好ましい。例えば、タングステン、銅、又はアルミニウムを主成分とする導電性材料を用いることができる。また、導電体560bは積層構成としてもよく、例えば、チタン又は窒化チタンと上記導電性材料との積層構成としてもよい。
【0152】
絶縁体580は、絶縁体544を介して、導電体542a、及び導電体542b上に設けられる。絶縁体580は、過剰酸素領域を有することが好ましい。例えば、絶縁体580として、酸化シリコン、酸化窒化シリコン、窒化酸化シリコン、窒化シリコン、フッ素を添加した酸化シリコン、炭素を添加した酸化シリコン、炭素、及び窒素を添加した酸化シリコン、空孔を有する酸化シリコン、又は樹脂等を有することが好ましい。特に、酸化シリコン、及び酸化窒化シリコンは、熱的に安定であるため好ましい。特に、酸化シリコン、空孔を有する酸化シリコンは、後の工程で、容易に過剰酸素領域を形成することができるため好ましい。
【0153】
絶縁体580は、過剰酸素領域を有することが好ましい。加熱により酸素が放出される絶縁体580を設けることで、絶縁体580中の酸素を酸化物530へと効率良く供給することができる。なお、絶縁体580中の水又は水素等の不純物濃度が低減されていることが好ましい。
【0154】
絶縁体580の開口は、導電体542aと導電体542bの間の領域に重畳して形成される。これにより、導電体560は、絶縁体580の開口、及び導電体542aと導電体542bに挟まれた領域に、埋め込まれるように形成される。
【0155】
半導体装置を微細化するに当たり、ゲート長を短くすることが求められるが、導電体560の導電性が下がらないようにする必要がある。そのために導電体560の膜厚を大きくすると、導電体560はアスペクト比が高い形状となりうる。本実施の形態では、導電体560を絶縁体580の開口に埋め込むように設けるため、導電体560をアスペクト比の高い形状にしても、工程中に導電体560を倒壊させることなく、形成することができる。
【0156】
絶縁体574は、絶縁体580の上面、導電体560の上面、及び絶縁体545の上面に接して設けられることが好ましい。絶縁体574をスパッタリング法で成膜することで、絶縁体545、及び絶縁体580へ過剰酸素領域を設けることができる。これにより、当該過剰酸素領域から、酸化物530中に酸素を供給することができる。
【0157】
例えば、絶縁体574として、ハフニウム、アルミニウム、ガリウム、イットリウム、ジルコニウム、タングステン、チタン、タンタル、ニッケル、ゲルマニウム、又はマグネシウム等から選ばれた一種、又は二種以上が含まれた金属酸化物を用いることができる。
【0158】
特に、酸化アルミニウムはバリア性が高く、0.5nm以上3.0nm以下の薄膜であっても、水素、及び窒素の拡散を抑制することができる。したがって、スパッタリング法で成膜した酸化アルミニウムは、酸素供給源であるとともに、水素等の不純物のバリア膜としての機能も有することができる。
【0159】
また、絶縁体574の上に、層間膜として機能する絶縁体581を設けることが好ましい。絶縁体581は、絶縁体524等と同様に、膜中の水又は水素等の不純物濃度が低減されていることが好ましい。
【0160】
また、絶縁体581、絶縁体574、絶縁体580、及び絶縁体544に形成された開口に、導電体540a、及び導電体540bを配置する。導電体540a及び導電体540bは、導電体560を挟んで対向して設ける。
【0161】
本実施の形態に示す構成は、他の実施の形態、又は実施例に示す構成と適宜組み合わせることができる。
【0162】
(実施の形態4)
本実施の形態では、実施の形態1で説明したトランジスタを用いることができ、実施の形態2で説明した記憶装置を含むCPUについて説明する。
【0163】
図7は、先の実施の形態で説明したトランジスタを少なくとも一部に用いたCPUの一例の構成を示すブロック図である。
【0164】
図7に示すCPUは、基板1190上に、ALU1191(ALU:Arithmetic logic unit、演算回路)、ALUコントローラ1192、インストラクションデコーダ1193、インタラプトコントローラ1194、タイミングコントローラ1195、レジスタ1196、レジスタコントローラ1197、バスインターフェース1198(Bus I/F)、書き換え可能なROM1199、およびROMインターフェース1189(ROM I/F)を有している。基板1190は、半導体基板、SOI基板、ガラス基板などを用いる。ROM1199およびROMインターフェース1189は、別チップに設けてもよい。もちろん、
図7に示すCPUは、その構成を簡略化して示した一例にすぎず、実際のCPUはその用途によって多種多様な構成を有している。例えば、
図7に示すCPUまたは演算回路を含む構成を一つのコアとし、当該コアを複数含み、それぞれのコアが並列で動作するような構成としてもよい。また、CPUが内部演算回路、またはデータバスで扱えるビット数は、例えば8ビット、16ビット、32ビット、64ビットなどとすることができる。
【0165】
バスインターフェース1198を介してCPUに入力された命令は、インストラクションデコーダ1193に入力され、デコードされた後、ALUコントローラ1192、インタラプトコントローラ1194、レジスタコントローラ1197、タイミングコントローラ1195に入力される。
【0166】
ALUコントローラ1192、インタラプトコントローラ1194、レジスタコントローラ1197、タイミングコントローラ1195は、デコードされた命令に基づき、各種制御を行なう。具体的にALUコントローラ1192は、ALU1191の動作を制御するための信号を生成する。また、インタラプトコントローラ1194は、CPUのプログラム実行中に、外部の入出力装置、または周辺回路からの割り込み要求を、その優先度またはマスク状態から判断し、処理する。レジスタコントローラ1197は、レジスタ1196のアドレスを生成し、CPUの状態に応じてレジスタ1196の読み出しまたは書き込みを行なう。
【0167】
また、タイミングコントローラ1195は、ALU1191、ALUコントローラ1192、インストラクションデコーダ1193、インタラプトコントローラ1194、およびレジスタコントローラ1197の動作のタイミングを制御する信号を生成する。例えばタイミングコントローラ1195は、基準クロック信号を元に、内部クロック信号を生成する内部クロック生成部を備えており、内部クロック信号を上記各種回路に供給する。
【0168】
図7に示すCPUでは、レジスタ1196に、メモリセルが設けられている。レジスタ1196のメモリセルとして、実施の形態1に示したトランジスタ、または、実施の形態2に示した記憶装置を用いることができる。
【0169】
図7に示すCPUにおいて、レジスタコントローラ1197は、ALU1191からの指示に従い、レジスタ1196における保持動作の選択を行う。すなわち、レジスタ1196が有するメモリセルにおいて、フリップフロップによるデータの保持を行うか、容量素子によるデータの保持を行うかを、選択する。フリップフロップによるデータの保持が選択されている場合、レジスタ1196内のメモリセルへの、電源電圧の供給が行われる。容量素子におけるデータの保持が選択されている場合、容量素子へのデータの書き換えが行われ、レジスタ1196内のメモリセルへの電源電圧の供給を停止することができる。
【0170】
本実施の形態に示す構成は、他の実施の形態、又は実施例に示す構成と適宜組み合わせることができる。
【0171】
(実施の形態5)
本実施の形態では、本発明の一態様に係る半導体装置の応用例について説明する。
【0172】
本発明の一態様に係る半導体装置は、例えば、各種電子機器(例えば、情報端末、コンピュータ、スマートフォン、電子書籍端末、デジタルスチルカメラ、ビデオカメラ、録画再生装置、ナビゲーションシステム、ゲーム機等)の記憶装置に適用できる。また、イメージセンサ、IoT(Internet of Things)、ヘルスケア等に用いることもできる。なお、ここで、コンピュータとは、タブレット型のコンピュータ、ノート型のコンピュータ、及びデスクトップ型のコンピュータの他、サーバシステムのような大型のコンピュータを含むものである。
【0173】
[PC用の拡張デバイス]
上記実施の形態で説明した半導体装置は、PC(Personal Computer)等の計算機、情報端末用の拡張デバイスに適用することができる。
【0174】
図8(A)は、当該拡張デバイスの一例として、持ち運びのできる、情報の記憶が可能なチップが搭載された、PCに外付けする拡張デバイス6100を示している。拡張デバイス6100は、例えば、USB(Universal Serial Bus)等でPCに接続することで、当該チップによる情報の記憶を行うことができる。なお、
図8(A)は、持ち運びが可能な形態の拡張デバイス6100を図示しているが、本発明の一態様に係る拡張デバイスは、これに限定されず、例えば、冷却用ファン等を搭載した比較的大きい形態の拡張デバイスとしてもよい。
【0175】
拡張デバイス6100は、筐体6101、キャップ6102、USBコネクタ6103及び基板6104を有する。基板6104は、筐体6101に収納されている。基板6104には、上記実施の形態で説明した半導体装置等を駆動する回路が設けられている。例えば、基板6104には、電子部品4700、コントローラチップ6106が取り付けられている。USBコネクタ6103は、外部装置と接続するためのインターフェースとして機能する。
【0176】
[SDカード]
上記実施の形態で説明した半導体装置は、情報端末、又はデジタルカメラ等の電子機器に取り付けが可能なSDカードに適用することができる。
【0177】
図8(B)はSDカードの外観の模式図であり、
図8(C)は、SDカードの内部構造の模式図である。SDカード5110は、筐体5111、コネクタ5112及び基板5113を有する。コネクタ5112が外部装置と接続するためのインターフェースとして機能する。基板5113は筐体5111に収納されている。基板5113には、半導体装置及び半導体装置を駆動する回路が設けられている。例えば、基板5113には、電子部品4700、コントローラチップ5115が取り付けられている。なお、電子部品4700とコントローラチップ5115とのそれぞれの回路構成は、上述の記載に限定せず、状況に応じて、適宜回路構成を変更してもよい。例えば、電子部品に備えられている書き込み回路、ロードライバ、読み出し回路等は、電子部品4700でなく、コントローラチップ5115に組み込んだ構成としてもよい。
【0178】
基板5113の裏面側にも電子部品4700を設けることで、SDカード5110の容量を増やすことができる。また、無線通信機能を備えた無線チップを基板5113に設けてもよい。これによって、外部装置とSDカード5110との間で無線通信を行うことができ、電子部品4700のデータの読み出し、書き込みが可能となる。
【0179】
[SSD]
上記実施の形態で説明した半導体装置は、情報端末等電子機器に取り付けが可能なSSD(Solid State Drive)に適用することができる。
【0180】
図8(D)はSSDの外観の模式図であり、
図8(E)は、SSDの内部構造の模式図である。SSD5150は、筐体5151、コネクタ5152及び基板5153を有する。コネクタ5152が外部装置と接続するためのインターフェースとして機能する。基板5153は筐体5151に収納されている。基板5153には、半導体装置及び半導体装置を駆動する回路が設けられている。例えば、基板5153には、電子部品4700、メモリチップ5155、コントローラチップ5156が取り付けられている。基板5153の裏面側にも電子部品4700を設けることで、SSD5150の容量を増やすことができる。メモリチップ5155にはワークメモリが組み込まれている。例えば、メモリチップ5155には、DRAMチップを用いればよい。コントローラチップ5156には、プロセッサ、ECC回路等が組み込まれている。なお、電子部品4700と、メモリチップ5155と、コントローラチップ5115と、のそれぞれの回路構成は、上述の記載に限定せず、状況に応じて、適宜回路構成を変更してもよい。例えば、コントローラチップ5156にも、ワークメモリとして機能するメモリを設けてもよい。
【0181】
本実施の形態に示す構成は、他の実施の形態、又は実施例に示す構成と適宜組み合わせることができる。
【実施例】
【0182】
強誘電性を示す絶縁体を成膜し、自発分極の変化を測定した。
図9(A)に測定に用いた試料800の断面構造概略図を示す。
【0183】
<資料構造>
試料800は、基板801として単結晶シリコンを用いて形成した。具体的には、基板801上に絶縁体802として厚さ100nmの熱酸化膜を形成し、絶縁体802上に導電体803aとして厚さ30nmのタングステン(W)を形成し、導電体803a上に導電体803bとして厚さ10nmの窒化チタン(TiNx)を形成した。また、導電体803(導電体803aおよび導電体803b)を覆う絶縁体804として、厚さ10nmの酸化ハフニウムジルコニウム(HfZrOx)を形成した。
【0184】
また、絶縁体804上かつ導電体803と重なる領域の一部に、導電体805aとして厚さ10nmの窒化チタン(TiNx)を形成し、導電体805a上に導電体805bとして厚さ20nmのタングステン(W)を形成した。また、絶縁体804および導電体805(導電体805aおよび導電体805b)を覆う絶縁体806として、酸化窒化シリコン(SiON)を形成した。
【0185】
また、導電体805と電気的に接続する電極807と、導電体803と電気的に接続する電極808を絶縁体806上に形成した。
【0186】
<測定>
電極807と導電体803の間に、振幅3V、周波数100Hzの三角波を印加し、絶縁体804の自発分極の変化を測定した。
図9(B)に入力電圧波形を示す。
【0187】
図9(C)に測定結果を示す。
図9(C)の横軸は、電極807と導電体803の間に印加した電圧を示し、の縦軸は絶縁体804の分極量を示す。
図9(C)では、分極量が正の場合は、正電荷が一方の電極(導電体803または導電体805の一方)側に偏り、負電荷が他方の電極(導電体803または導電体805の他方)側に偏っていることを示している。また、分極量が負の場合は、負電荷が一方の電極側に偏り、正電荷が他方の電極側に偏っていることを示している。
【0188】
電極807と導電体803の間に電圧VPI1を印加した後に、印加する電圧を高くしていくと、分極量が曲線851に従って増加する。一方、電圧VPI2を印加した後に、印加する電圧を低くしていくと、分極量が曲線852に従って減少する。つまり、絶縁体804に電圧VPI1または電圧VPI2を印加すると、絶縁体804に分極反転が発生し、ヒステリシス特性が生じることがわかる。
【0189】
図9(C)より、絶縁体804がヒステリシス特性を有し、強誘電体として機能することがわかった。
【0190】
(本明細書等の記載に関する付記)
以上の実施の形態、および実施の形態における各構成の説明について、以下に付記する。
【0191】
各実施の形態に示す構成は、他の実施の形態あるいは実施例に示す構成と適宜組み合わせて、本発明の一態様とすることができる。また、1つの実施の形態の中に、複数の構成例が示される場合は、構成例を適宜組み合わせることが可能である。
【0192】
なお、ある一つの実施の形態の中で述べる内容(一部の内容でもよい)は、その実施の形態で述べる別の内容(一部の内容でもよい)、および/または、一つ若しくは複数の別の実施の形態で述べる内容(一部の内容でもよい)に対して、適用、組み合わせ、または置き換えなどを行うことが出来る。
【0193】
なお、実施の形態の中で述べる内容とは、各々の実施の形態において、様々な図を用いて述べる内容、または明細書に記載される文章を用いて述べる内容のことである。
【0194】
なお、ある一つの実施の形態において述べる図(一部でもよい)は、その図の別の部分、その実施の形態において述べる別の図(一部でもよい)、および/または、一つ若しくは複数の別の実施の形態において述べる図(一部でもよい)に対して、組み合わせることにより、さらに多くの図を構成させることが出来る。
【0195】
また本明細書等において、ブロック図では、構成要素を機能毎に分類し、互いに独立したブロックとして示している。しかしながら実際の回路等においては、構成要素を機能毎に切り分けることが難しく、一つの回路に複数の機能が係わる場合、または複数の回路にわたって一つの機能が関わる場合があり得る。そのため、ブロック図のブロックは、明細書で説明した構成要素に限定されず、状況に応じて適切に言い換えることができる。
【0196】
また、図面において、大きさ、層の厚さ、または領域は、説明の便宜上任意の大きさに示したものである。よって、必ずしもそのスケールに限定されない。なお図面は明確性を期すために模式的に示したものであり、図面に示す形状または値などに限定されない。例えば、ノイズによる信号、電圧、若しくは電流のばらつき、または、タイミングのずれによる信号、電圧、若しくは電流のばらつきなどを含むことが可能である。
【0197】
また、図面等において図示する構成要素の位置関係は、相対的である。従って、図面を参照して構成要素を説明する場合、位置関係を示す「上に」、「下に」等の語句は便宜的に用いられる場合がある。構成要素の位置関係は、本明細書の記載内容に限定されず、状況に応じて適切に言い換えることができる。
【0198】
本明細書等において、トランジスタの接続関係を説明する際、「ソースまたはドレインの一方」(または第1電極、または第1端子)、ソースとドレインとの他方を「ソースまたはドレインの他方」(または第2電極、または第2端子)という表記を用いる。これは、トランジスタのソースとドレインは、トランジスタの構造または動作条件等によって変わるためである。なおトランジスタのソースとドレインの呼称については、ソース(ドレイン)端子、ソース(ドレイン)電極等、状況に応じて適切に言い換えることができる。
【0199】
また、本明細書等において「電極」、「配線」などの用語は、これらの構成要素を機能的に限定するものではない。例えば、「電極」は「配線」の一部として用いられることがあり、その逆もまた同様である。さらに、「電極」、「配線」などの用語は、複数の「電極」、「配線」などが一体となって形成されている場合なども含む。
【0200】
また本明細書等において、ノードは、回路構成、デバイス構造等に応じて、端子、配線、電極、導電層、導電体、不純物領域等と言い換えることが可能である。また、端子、配線等をノードと言い換えることが可能である。
【0201】
また、本明細書等において、電圧と電位は、適宜言い換えることができる。電圧は、基準となる電位からの電位差のことであり、例えば基準となる電位をグラウンド電圧(接地電圧)とすると、電圧を電位に言い換えることができる。グラウンド電位は必ずしも0Vを意味するとは限らない。なお電位は相対的なものであり、基準となる電位によっては、配線等に与える電位を変化させる場合がある。
【0202】
また、本明細書等において、「高レベル電位」、「低レベル電位」という用語は、特定の電位を意味するものではない。例えば、2本の配線において、両方とも「高レベル電位を供給する配線として機能する」と記載されていた場合、両方の配線が与えるそれぞれの高レベル電位は、互いに等しくなくてもよい。また、同様に、2本の配線において、両方とも「低レベル電位を供給する配線として機能する」と記載されていた場合、両方の配線が与えるそれぞれの低レベル電位は、互いに等しくなくてもよい。
【0203】
「電流」とは、電荷の移動現象(電気伝導)のことであり、例えば、「正の荷電体の電気伝導が起きている」という記載は、「その逆向きに負の荷電体の電気伝導が起きている」と換言することができる。そのため、本明細書等において、「電流」とは、特に断らない限り、キャリアの移動に伴う電荷の移動現象(電気伝導)をいうものとする。ここでいうキャリアとは、電子、正孔、アニオン、カチオン、錯イオン等が挙げられ、電流の流れる系(例えば、半導体、金属、電解液、真空中など)によってキャリアが異なる。また、配線等における「電流の向き」は、正電荷となるキャリアが移動する方向とし、正の電流で記載する。換言すると、負電荷となるキャリアが移動する方向は、電流の向きと逆の方向となり、負の電流で表現される。そのため、本明細書等において、電流の正負(又は電流の向き)について断りがない場合、「素子Aから素子Bに電流が流れる」等の記載は「素子Bから素子Aに電流が流れる」等に言い換えることができるものとする。また、「素子Aに電流が入力される」等の記載は「素子Aから電流が出力される」等に言い換えることができるものとする。
【0204】
本明細書等において、AとBとが接続されている、とは、AとBとが電気的に接続されているものをいう。ここで、AとBとが電気的に接続されているとは、AとBとの間で対象物(スイッチ、トランジスタ素子、またはダイオード等の素子、あるいは当該素子および配線を含む回路等を指す)が存在する場合にAとBとの電気信号の伝達が可能である接続をいう。なおAとBとが電気的に接続されている場合には、AとBとが直接接続されている場合を含む。ここで、AとBとが直接接続されているとは、上記対象物を介することなく、AとBとの間で配線(または電極)等を介してAとBとの電気信号の伝達が可能である接続をいう。換言すれば、直接接続とは、等価回路で表した際に同じ回路図として見なせる接続をいう。
【0205】
本明細書等において、スイッチとは、導通状態(オン状態)、または、非導通状態(オフ状態)になり、電流を流すか流さないかを制御する機能を有するものをいう。または、スイッチとは、電流を流す経路を選択して切り替える機能を有するものをいう。
【0206】
本明細書等において、チャネル長とは、例えば、トランジスタの上面図において、半導体(またはトランジスタがオン状態のときに半導体の中で電流の流れる部分)とゲートとが重なる領域、またはチャネルが形成される領域における、ソースとドレインとの間の距離をいう。
【0207】
本明細書等において、チャネル幅とは、例えば、半導体(またはトランジスタがオン状態のときに半導体の中で電流の流れる部分)とゲート電極とが重なる領域、またはチャネルが形成される領域における、ソースとドレインとが向かい合っている部分の長さをいう。
【0208】
なお本明細書等において、「膜」、「層」などの語句は、場合によっては、または、状況に応じて、互いに入れ替えることが可能である。例えば、「導電層」という用語を、「導電膜」という用語に変更することが可能な場合がある。または、例えば、「絶縁膜」という用語を、「絶縁層」という用語に変更することが可能な場合がある。
【符号の説明】
【0209】
C1 容量素子
L1-L2 部位
M0 トランジスタ
M1 トランジスタ
N5 ノード
Sig1 入力端子
Sig2 入力端子
V0 電位
W1-W2 部位
3V 振幅
100 回路
112 トランジスタ
114 容量素子
120 記憶装置
131 容量素子
140 記憶装置
150 レジスタ回路
151 インバータ
152 インバータ
153 フリップフロップ回路
154 容量素子
500 トランジスタ
503 導電体
503a 導電体
503b 導電体
512 絶縁体
514 絶縁体
516 絶縁体
520 絶縁体
522 絶縁体
524 絶縁体
530 酸化物
530a 酸化物
530b 酸化物
540a 導電体
540b 導電体
542a 導電体
542b 導電体
543a 領域
543b 領域
544 絶縁体
545 絶縁体
560 導電体
560a 導電体
560b 導電体
574 絶縁体
580 絶縁体
581 絶縁体
800 試料
801 基板
802 絶縁体
803 導電体
803a 導電体
803b 導電体
804 絶縁体
805 導電体
805a 導電体
805b 導電体
806 絶縁体
807 電極
808 電極
851 曲線
852 曲線
1189 ROMインターフェース
1190 基板
1191 ALU
1192 ALUコントローラ
1193 インストラクションデコーダ
1194 インタラプトコントローラ
1195 タイミングコントローラ
1196 レジスタ
1197 レジスタコントローラ
1198 バスインターフェース
1199 ROM
4700 電子部品
5110 SDカード
5111 筐体
5112 コネクタ
5113 基板
5115 コントローラチップ
5150 SSD
5151 筐体
5152 コネクタ
5153 基板
5155 メモリチップ
5156 コントローラチップ
6100 拡張デバイス
6101 筐体
6102 キャップ
6103 USBコネクタ
6104 基板
6106 コントローラチップ