(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-02-21
(45)【発行日】2025-03-04
(54)【発明の名称】油量調整装置、油量調整方法、及び油量調整プログラム並びに冷凍システム
(51)【国際特許分類】
F25B 1/00 20060101AFI20250225BHJP
F25B 43/02 20060101ALI20250225BHJP
【FI】
F25B1/00 371M
F25B1/00 387K
F25B43/02 A
(21)【出願番号】P 2020175437
(22)【出願日】2020-10-19
【審査請求日】2023-09-19
(73)【特許権者】
【識別番号】516299338
【氏名又は名称】三菱重工サーマルシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100112737
【氏名又は名称】藤田 考晴
(74)【代理人】
【識別番号】100140914
【氏名又は名称】三苫 貴織
(74)【代理人】
【識別番号】100136168
【氏名又は名称】川上 美紀
(74)【代理人】
【識別番号】100172524
【氏名又は名称】長田 大輔
(72)【発明者】
【氏名】川西 章夫
(72)【発明者】
【氏名】西村 耕世
(72)【発明者】
【氏名】村上 健一
【審査官】庭月野 恭
(56)【参考文献】
【文献】特開平04-320764(JP,A)
【文献】特開2012-242081(JP,A)
【文献】特開平11-173686(JP,A)
【文献】特開2019-128049(JP,A)
【文献】特開2013-108649(JP,A)
【文献】特開2013-108654(JP,A)
【文献】特開2018-109452(JP,A)
【文献】特開2019-128061(JP,A)
【文献】国際公開第2018/235262(WO,A1)
【文献】特開2001-074319(JP,A)
【文献】特開2016-161190(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F25B 1/00-49/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の圧縮機と、各前記圧縮機に対応して設けられ、対応する前記圧縮機に対して油を供給するための複数のオイル容器とを備えるシステムに適用される油量調整装置であって、
各前記オイル容器に設けられ、前記オイル容器の油面が均油制御の基準となる第1油面よりも下であることを検知する第1検知部と、
各前記オイル容器において、前記第1検知部よりも下方に設けられ、前記オイル容器の油面が油戻し制御の基準となる第2油面よりも下であることを検知する第2検知部と、
各前記オイル容器において、前記第2検知部よりも下方に設けられ、前記オイル容器の油面が異常検知の基準となる第3油面よりも下であることを検知する第3検知部と、
前記第1検知部、前記第2検知部、及び前記第3検知部の検知結果に基づいて、前記オイル容器の油量調整を行う制御部と、
を備え
、
前記制御部は、一方の前記第1検知部によって前記油面が前記第1油面よりも下であることが検知され、他方の前記第1検知部によって前記油面が前記第1油面よりも下であることが検知されていない場合に、前記油面が前記第1油面よりも下であることが検知された前記オイル容器に対して油を供給する均油制御を行い、
前記制御部は、複数の前記圧縮機の回転数を変更することにより前記均油制御を行うとともに、前記均油制御を行ったときから所定期間経過するまでは、前記第1検知部によって前記油面が前記第1油面よりも下であることが検知された場合であっても、前記均油制御を行わない油量調整装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記第2検知部によって、前記オイル容器の前記油面が前記第2油面よりも下であることが検知された場合に、前記油面が前記第2油面よりも下であることが検知された前記オイル容器に対して油を供給する油戻し制御を行う請求項
1に記載の油量調整装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記第3検知部によって、前記オイル容器の前記油面が前記第3油面よりも下であることが検知された場合に、前記システムの運転を停止する請求項1
または請求項2に記載の油量調整装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記システムの停止後における前記システムの再起動時に前記オイル容器に油を供給する油供給制御を行い、前記油供給制御後に、前記第3検知部によって、前記オイル容器の前記油面が前記第3油面よりも下であることが検知された場合に、前記システムの運転を停止する請求項
3に記載の油量調整装置。
【請求項5】
各前記オイル容器は、対応する前記圧縮機の内部に設置される請求項1から
4のいずれか1項に記載の油量調整装置。
【請求項6】
冷媒を圧縮する複数の圧縮機と、
各前記圧縮機に対応して設けられ、対応する前記圧縮機に対して油を供給するための複数のオイル容器と、
熱交換によって前記冷媒を蒸発させる蒸発器と、
熱交換によって前記冷媒を凝縮させる凝縮器と、
請求項1から
5のいずれか1項に記載の油量調整装置と、
を備えた冷凍システム。
【請求項7】
複数の圧縮機と、各前記圧縮機に対応して設けられ、対応する前記圧縮機に対して油を供給するための複数のオイル容器とを備えるシステムに適用される油量調整方法であって、
各前記オイル容器において、前記オイル容器の油面が均油制御の基準となる第1油面よりも下であることを検知する工程と、
各前記オイル容器において、前記オイル容器の油面が油戻し制御の基準となる第2油面よりも下であることを検知する工程と、
各前記オイル容器において、前記オイル容器の油面が異常検知の基準となる第3油面よりも下であることを検知する工程と、
各前記工程の検知結果に基づいて、前記オイル容器の油量調整を行う工程と、
を有
し、
一方の第1検知部によって前記油面が前記第1油面よりも下であることが検知され、他方の前記第1検知部によって前記油面が前記第1油面よりも下であることが検知されていない場合に、前記油面が前記第1油面よりも下であることが検知された前記オイル容器に対して油を供給する均油制御を行い、
複数の前記圧縮機の回転数を変更することにより前記均油制御を行うとともに、前記均油制御を行ったときから所定期間経過するまでは、前記第1検知部によって前記油面が前記第1油面よりも下であることが検知された場合であっても、前記均油制御を行わない油量調整方法。
【請求項8】
複数の圧縮機と、各前記圧縮機に対応して設けられ、対応する前記圧縮機に対して油を供給するための複数のオイル容器とを備えるシステムに適用される油量調整プログラムであって、
各前記オイル容器において、前記オイル容器の油面が均油制御の基準となる第1油面よりも下であることを検知する処理と、
各前記オイル容器において、前記オイル容器の油面が油戻し制御の基準となる第2油面よりも下であることを検知する処理と、
各前記オイル容器において、前記オイル容器の油面が異常検知の基準となる第3油面よりも下であることを検知する処理と、
各前記処理の検知結果に基づいて、前記オイル容器の油量調整を行う処理と、
一方の第1検知部によって前記油面が前記第1油面よりも下であることが検知され、他方の前記第1検知部によって前記油面が前記第1油面よりも下であることが検知されていない場合に、前記油面が前記第1油面よりも下であることが検知された前記オイル容器に対して油を供給する均油制御を行
う処理と、
複数の前記圧縮機の回転数を変更することにより前記均油制御を行うとともに、前記均油制御を行ったときから所定期間経過するまでは、前記第1検知部によって前記油面が前記第1油面よりも下であることが検知された場合であっても、前記均油制御を行わない
処理と、
をコンピュータに実行させる油量調整プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、油量調整装置、油量調整方法、及び油量調整プログラム並びに冷凍システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば店舗などに設置される冷熱設備は、室外機として、圧縮機や凝縮器等を同一の架台に取り付けてユニット化したコンデンシングユニットを有している。
コンデンシングユニットと組み合わされる蒸発器ユニット(ユニットクーラ、ショーケース用クーラ等)は、その台数や形状など、個々の要件に対して多種多様である。
例えば、蒸発器ユニットの台数や、接続配管の長さが変わることによって、蒸発器ユニットや接続配管に冷凍機油(潤滑油)が滞留し、圧縮機での油面低下を発生させることがあった。また、油不足に起因して圧縮機に不具合が発生する可能性があった。
【0003】
特許文献1には、高さが異なる2つの配管によって油を溜めるタンクと接続される圧縮機において、タンク上の異なる高さに2つのセンサが設置されることによって、タンク内の油面高さを検知し、圧縮機内部の油面を調整することが開示されている。上記2つのセンサのうち、高い位置に設けられたセンサは、タンク内の冷凍機油が減少していることを検知し、低い位置に設けられたセンサはタンク内の冷凍機油の量が冷媒回路を正常運転するための必要量に不足していることを検知するものである。
【0004】
また、油量が少なくなったことが検知された場合に、タンク内に油を供給する制御を行って油量を増加させる技術が提案されている。例えば、特許文献2には、複数の圧縮機の回転数を変化させることにより、偏った油量を均等化させる均油制御が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2016-118317号公報
【文献】特開2018-109452号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、例えば、特許文献2に記載されているような圧縮機の回転数を変化させて油量を均等化させる均油制御は、頻繁に行うと圧縮機に過負荷を与えてしまい、故障や性能低下の原因となる可能性がある。
【0007】
本開示は、このような事情に鑑みてなされたものであって、圧縮機の負荷を低減するとともに、圧縮機の異常停止の頻度を抑制する油量調整装置、油量調整方法、及び油量調整プログラム並びに冷凍システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示の第1態様に係る油量調整装置は、複数の圧縮機と、各前記圧縮機に対応して設けられ、対応する前記圧縮機に対して油を供給するための複数のオイル容器とを備えるシステムに適用される油量調整装置であって、各前記オイル容器に設けられ、前記オイル容器の油面が均油制御の基準となる第1油面よりも下であることを検知する第1検知部と、各前記オイル容器において、前記第1検知部よりも下方に設けられ、前記オイル容器の油面が油戻し制御の基準となる第2油面よりも下であることを検知する第2検知部と、各前記オイル容器において、前記第2検知部よりも下方に設けられ、前記オイル容器の油面が異常検知の基準となる第3油面よりも下であることを検知する第3検知部と、前記第1検知部、前記第2検知部、及び前記第3検知部の検知結果に基づいて、前記オイル容器の油量調整を行う制御部と、を備え、前記制御部は、一方の前記第1検知部によって前記油面が前記第1油面よりも下であることが検知され、他方の前記第1検知部によって前記油面が前記第1油面よりも下であることが検知されていない場合に、前記油面が前記第1油面よりも下であることが検知された前記オイル容器に対して油を供給する均油制御を行い、前記制御部は、複数の前記圧縮機の回転数を変更することにより前記均油制御を行うとともに、前記均油制御を行ったときから所定期間経過するまでは、前記第1検知部によって前記油面が前記第1油面よりも下であることが検知された場合であっても、前記均油制御を行わない。
【0009】
本開示の第2態様に係る油量調整方法は、複数の圧縮機と、各前記圧縮機に対応して設けられ、対応する前記圧縮機に対して油を供給するための複数のオイル容器とを備えるシステムに適用される油量調整方法であって、各前記オイル容器において、前記オイル容器の油面が均油制御の基準となる第1油面よりも下であることを検知する工程と、各前記オイル容器において、前記オイル容器の油面が油戻し制御の基準となる第2油面よりも下であることを検知する工程と、各前記オイル容器において、前記オイル容器の油面が異常検知の基準となる第3油面よりも下であることを検知する工程と、各前記工程の検知結果に基づいて、前記オイル容器の油量調整を行う工程と、を有し、一方の第1検知部によって前記油面が前記第1油面よりも下であることが検知され、他方の前記第1検知部によって前記油面が前記第1油面よりも下であることが検知されていない場合に、前記油面が前記第1油面よりも下であることが検知された前記オイル容器に対して油を供給する均油制御を行い、複数の前記圧縮機の回転数を変更することにより前記均油制御を行うとともに、前記均油制御を行ったときから所定期間経過するまでは、前記第1検知部によって前記油面が前記第1油面よりも下であることが検知された場合であっても、前記均油制御を行わない。
【0010】
本開示の第3態様に係る油量調整プログラムは、複数の圧縮機と、各前記圧縮機に対応して設けられ、対応する前記圧縮機に対して油を供給するための複数のオイル容器とを備えるシステムに適用される油量調整プログラムであって、各前記オイル容器において、前記オイル容器の油面が均油制御の基準となる第1油面よりも下であることを検知する処理と、各前記オイル容器において、前記オイル容器の油面が油戻し制御の基準となる第2油面よりも下であることを検知する処理と、各前記オイル容器において、前記オイル容器の油面が異常検知の基準となる第3油面よりも下であることを検知する処理と、各前記工程の検知結果に基づいて、前記オイル容器の油量調整を行う処理と、をコンピュータに実行させ、一方の第1検知部によって前記油面が前記第1油面よりも下であることが検知され、他方の前記第1検知部によって前記油面が前記第1油面よりも下であることが検知されていない場合に、前記油面が前記第1油面よりも下であることが検知された前記オイル容器に対して油を供給する均油制御を行い、複数の前記圧縮機の回転数を変更することにより前記均油制御を行うとともに、前記均油制御を行ったときから所定期間経過するまでは、前記第1検知部によって前記油面が前記第1油面よりも下であることが検知された場合であっても、前記均油制御を行わない。
【発明の効果】
【0011】
本開示によれば、圧縮機の負荷を低減するとともに、圧縮機の異常停止の頻度を抑制することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本開示の一実施形態に係る冷凍システムの概略構成を示す図である。
【
図2】本開示の一実施形態に係る制御装置のハードウェア構成の一例を示した図である。
【
図3】本開示の一実施形態に係る油量調整装置の構成及びその周辺構成についての概略図である。
【
図4】本開示の一実施形態に係る均油制御における各圧縮機の回転数と時間を示すタイムチャートである。
【
図5】本開示の一実施形態に係る油量調整制御処理の手順の一例を示したフローチャートである。
【
図6】本開示の一実施形態に係る油量調整制御処理の手順の一例を示したフローチャートである。
【
図7】本開示の他の態様に係る均油管を備えた冷凍システムの概略構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本開示の一実施形態に係る油量調整装置、油量調整方法、及び油量調整プログラム並びに冷凍システムについて、図面を参照して説明する。
図1は、本開示の一実施形態における冷凍システム300の冷媒回路の概略構成を示した図である。
図1に示すように、冷凍システム300は、圧縮機11及び12、ガスクーラ(凝縮器)16a及び16b、膨張弁SC-V1、熱交換器(蒸発器)80等を備える冷媒回路と、制御装置100とを主な構成として備えている。熱交換器(蒸発器)80は、ショーケース2内に設けられている。また、冷媒回路には、アキュムレータ14、オイルセパレータ15a及び15b等の気液分離機が接続されている。また、圧縮機11にはオイル容器13aが、圧縮機12にはオイル容器13bが接続されている。
上記各構成は、冷媒配管やオイル配管等で接続されている。
【0014】
圧縮機11及び12は、冷媒を圧縮し、圧縮した高圧冷媒を冷媒回路へ供給する。本実施形態においては、圧縮機11は、1段目の第一段圧縮部11aと2段目の第二段圧縮部11bから構成される2段圧縮機である。同様に、圧縮機12は、1段目の第一段圧縮部12aと2段目の第二段圧縮部12bとから構成される2段圧縮機である。冷凍システム300において、圧縮機11と圧縮機12は、並列に設けられている。また、後述するように圧縮機11は連通管CP1並びにCP2を介してオイル容器13aとそれぞれ接続され、同様に圧縮機12は、連通管CP3並びにCP4を介してオイル容器13bとそれぞれ接続される。
本実施形態の冷媒には、例えば、CO2が用いられる。CO2冷媒は、高圧と低圧の圧力差が大きく、圧縮機効率の向上のため二段圧縮構造が採用されている。また、性能・効率向上のため、圧縮機11及び12の第二段圧縮部11b及び12bに中間圧力(中圧)の冷媒を供給するガスインジェクション機構が採用されている。
【0015】
オイル容器13aの上部と圧縮機11の第一段圧縮部11aの吐出側とは連通管CP1により連通されている。油戻し管RP11から流入する冷凍機油とは別に、圧縮機11の動作中、冷凍機油は、第一段圧縮部11aの吐出側に連通する連通管CP1からもオイル容器13aへ流入する。また、オイル容器13aの底部は、連通管CP2により圧縮機11の底部と連通している。オイル容器13aの下方に溜った冷凍機油は、底部の連通管CP2を通じて圧縮機11に戻される。
【0016】
また、オイル容器13aには、オイル容器13a内の油面高さを段階的に検知するために、第1検知部OLS-1a,第2検知部OLS-1b,第3検知部OLS-1cがそれぞれ異なる高さに設けられる。
【0017】
オイル容器13a内の油面高さを検知する第1検知部OLS-1aは、オイル容器13aの油面が、後述する均油制御の基準となる第1油面よりも下であることを検知する。そして、オイル容器13aの油面が第1油面以上である場合には、オン信号を出力し、オイル容器13aの油面が第1油面よりも下である場合には、オイル容器13aの油面の低下を示す信号(オフ信号)を制御装置100に出力する。
ここで、均油制御とは、オイル容器13a及びオイル容器13bにそれぞれ貯留された油量に不均衡が発生した場合に、各油量を調整し油量の不均衡を解消する制御である。
【0018】
第2検知部OLS-1bは、第1検知部OLS-1aよりも下方に設けられ、オイル容器13aの油面が、後述する油戻し制御の基準となる第2油面よりも下であることを検知する。そして、オイル容器13aの油面が第2油面以上である場合には、オン信号を出力し、オイル容器13aの油面が第2油面よりも下である場合には、オイル容器13aの油面の低下を示す信号(オフ信号)を制御装置100に出力する。
ここで、油戻し制御とは、冷凍システム300内部を流通する冷凍機油をアキュムレータ14に回収し、回収された冷凍機油を圧縮機11及び圧縮機12へと戻す制御である。
【0019】
第3検知部OLS-1cは、第2検知部OLS-1bよりも下方に設けられ、オイル容器13aの油面が異常検知の基準となる第3油面よりも下であることを検知する。そして、オイル容器13aの油面が第3油面以上である場合には、例えば、オン信号を出力し、オイル容器13aの油面が第3油面よりも下である場合には、オイル容器13aの油面の低下を示す信号(オフ信号)を制御装置100に出力する。
【0020】
圧縮機12側のオイル容器13bについても同様に、オイル容器13bの上部と圧縮機12の第一段圧縮部12aの吐出側とは連通管CP3により連通されている。油戻し管RP12から流入する冷凍機油とは別に、圧縮機12の動作中、冷凍機油は、第一段圧縮部12aの吐出側に連通する連通管CP3からもオイル容器13bへ流入する。また、オイル容器13bの底部は連通管CP4により圧縮機12の底部と連通している。オイル容器13bの下方に溜った冷凍機油は、底部の連通管CP4を通じて圧縮機12に戻される。
また、オイル容器13bには、オイル容器13aに設けられる第1検知部OLS-1a,第2検知部OLS-1b,第3検知部OLS-1cと同様に、第1検知部OLS-2a,第2検知部OLS-2b,第3検知部OLS-2cが設けられる。
【0021】
アキュムレータ14は、圧縮機11及び12へ供給される冷媒の気液分離を行う。アキュムレータ14で分離されたガス冷媒は、吸入管MP14を通過して、圧縮機11に付設されたアキュムレータ21及び吸入管MP15を通過して、圧縮機12に付設されたアキュムレータ22へ供給される。アキュムレータ21でさらに気相だけが抽出されたガス冷媒は、圧縮機11の第一段圧縮部11aの吸入側へ供給される。同様に、アキュムレータ22でさらに気相だけが抽出されたガス冷媒は、圧縮機12の第一段圧縮部12aの吸入側へ供給される。
また、均油制御及び油戻し制御においては、アキュムレータ14に回収された冷媒に含まれる冷凍機油が、吸入管MP14を介して圧縮機11へ、同様に吸入管MP15を介して圧縮機12へとそれぞれ供給される。これにより、オイル容器13a及び13bの各油面を上昇させることができる。
【0022】
圧縮機11から吐出される冷媒は、吐出側の吐出管MP01を介して、オイルセパレータ15aへ供給される。オイルセパレータ15aでは、冷媒と冷媒に溶け込んだ冷凍機油とが分離され、冷媒はガス管MP10及びホットガスバイパス管BP11へ流れる。
【0023】
ホットガスバイパス管BP11の一方は、オイルセパレータ15aと逆止弁CV1の間でガス管MP10と接続される。ホットガスバイパス管BP11における冷媒の流れは、弁HG-V1の開閉により制御される。すなわち、制御装置100が弁HG-V1を開くと、オイルセパレータ15aの冷媒吐出側とアキュムレータ14の吸入側が連通し、冷媒がホットガスバイパス管BP11を流れる。
なお、冷凍システム300の運転中は、弁HG-V1が全閉とされる。これにより、冷媒は、ホットガスバイパス管BP11を流れずにガス管MP10を流れる。
【0024】
オイルセパレータ15aでは、冷媒と冷媒に溶け込んだ冷凍機油とが分離され、冷媒は、逆止弁CV1を経由してガス管MP10へと流れる。また、オイルセパレータ15aの底部とオイル容器13aの側面は、油戻し管RP11で連通している。オイルセパレータ15aで分離された冷凍機油は、油戻し管RP11を介してオイル容器13aへ戻される。
【0025】
油戻し管RP11は、2つの流路に分かれる。一方の流路の配管には、弁R-V1が設けられる。オイル容器13bへ戻される冷凍機油の量は、弁R-V1の開閉により調整される。
【0026】
圧縮機11側と同様に、圧縮機12から吐出される冷媒は、吐出側の吐出管MP02を介して、オイルセパレータ15bへ供給される。オイルセパレータ15bでは、冷媒と冷媒に溶け込んだ冷凍機油とが分離され、冷媒はガス管MP10及びホットガスバイパス管BP12へ流れる。
【0027】
ホットガスバイパス管BP12の一方は、オイルセパレータ15bと逆止弁CV2の間でガス管MP10と接続される。ホットガスバイパス管BP12における冷媒の流れは、弁HG-V2の開閉により制御される。すなわち、制御装置100が弁HG-V2を開くと、オイルセパレータ15bの冷媒吐出側とアキュムレータ14の吸入側が連通し、冷媒がホットガスバイパス管BP12を流れる。
なお、冷凍システム300の運転中は、弁HG-V2が全閉とされる。これにより、冷媒は、ホットガスバイパス管BP12を流れずにガス管MP10を流れる。
【0028】
圧縮機11側と同様に、オイルセパレータ15bでは、冷媒と冷媒に溶け込んだ冷凍機油とが分離され、冷媒は、逆止弁CV2を経由してガス管MP10へと流れる。また、オイルセパレータ15bの底部とオイル容器13bの側面は、油戻し管RP12で連通している。オイルセパレータ15bで分離された冷凍機油は、油戻し管RP12を介してオイル容器13bへ戻される。
油戻し管RP11は2つの流路に分かれる。一方の流路の配管には、弁R-V2が設けられる。オイル容器13bへ戻される冷凍機油の量は、弁R-V2の開閉により調整される。
【0029】
圧縮機11及び12によって吐出された高温高圧の冷媒は、ガス管MP10を介して、並列に設けられたガスクーラ16a及び16bへ供給される。ガスクーラ16a及び16bへ供給された冷媒は、ファン17a及び17bによって送り込まれる空気との熱交換により凝縮される。CO2冷媒の場合は冷却される。
【0030】
ガスクーラ16a及び16bで冷却あるいは凝縮された冷媒は、気液2相管MP11及び液管MP12を介して、ショーケース2に備えられる熱交換器80へ送出される。このとき、冷媒は、液管MP12に設けられた弁SC-V1で減圧された後に、熱交換器80に送られる。熱交換器80において冷媒と対象媒体(例えば、空気、水)との間で熱交換が行われ昇温した冷媒は、配管IP10へ出力される。
【0031】
配管IP10は、配管IP11と配管IP12とに分岐し、冷媒は配管IP11を通じて圧縮機11へ送られるとともに、IP12を通じて圧縮機12へ送られる。また、熱交換器80における液相の冷媒は、戻り配管MP13を通じてアキュムレータ14へ供給される。
【0032】
制御装置100は、本開示に係る冷凍システム300を制御する。具体的には、圧縮機11及び12、ガスクーラ16a及び16b、ファン17a及び17b、及び各弁等を制御する。また、制御装置100は、油量調整制御部50を備える。油量調整制御部50は、第1検知部OLS-1a及びOLS-2a、第2検知部OLS-1b及びOLS-2b、第3検知部OLS-1c及びOLS-2cから入力される検出結果(オン信号、オフ信号)に基づいて、オイル容器13a及び13bの油量を調整する。
【0033】
図2は、本開示の一実施形態に係る制御装置100のハードウェア構成の一例を示した図である。
図2に示すように、制御装置100は、コンピュータシステム(計算機システム)であり、例えば、CPU51と、CPU51が実行するプログラム等を記憶するためのROM(Read Only Memory)52と、各プログラム実行時のワーク領域として機能するRAM(Random Access Memory)53と、大容量記憶装置としてのハードディスクドライブ(HDD)54と、ネットワーク等に接続するための通信部55とを備えている。なお、大容量記憶装置としては、ソリッドステートドライブ(SSD)等の他の記憶装置を用いることとしてもよい。これら各部は、バス58を介して接続されている。
【0034】
また、制御装置100は、キーボードやマウス等からなる入力部や、データを表示する液晶表示装置等からなる表示部などを備えていてもよい。
【0035】
次に、本実施形態に係る油量調整装置200について
図3を参照して説明する。
図3は、油量調整装置200の構成及びその周辺構成についての概略図である。
図3に示すように、本実施形態に係る油量調整装置200は、オイル容器13a及び13bに設けられた第1検知部OLS-1a及びOLS-2a、第2検知部OLS-1b及びOLS-2b、第3検知部OLS-1c及びOLS-2c及び油量調整制御部50を備える。
後述の油量調整制御部50によって実現される一連の処理の過程は、プログラム(例えば、油量調整プログラム)の形式で制御装置100が備えるハードディスクドライブ54等に記録されており、このプログラムをCPU51がRAM53等に読み出して、情報の加工・演算処理を実行することにより、後述の各種機能が実現される。なお、プログラムは、ROM52やその他の記憶媒体に予めインストールしておく形態や、コンピュータ読み取り可能な記憶媒体に記憶された状態で提供される形態、有線又は無線による通信手段を介して配信される形態等が適用されてもよい。コンピュータ読み取り可能な記憶媒体とは、磁気ディスク、光磁気ディスク、CD-ROM、DVD-ROM、半導体メモリ等である。
なお、本実施形態では、制御装置100に油量調整制御部50が組み込まれた場合を例示して説明するが、この例に限定されない。例えば、油量調整制御部50は、制御装置100とは別体として設けられており、制御装置100と油量調整制御部50との間で情報の授受を行う構成としてもよい。
【0036】
以下、油量調整制御部50によって行われる各種制御について説明する。
【0037】
〔均油制御の動作〕
油量調整制御部50は、例えば、オイル容器13aの第1検知部OLS-1a及びオイル容器13bの第1検知部OLS-2aの検知結果が、オイル容器13a及び13bの各油面の少なくとも一方が均油制御の基準となる第1油面よりも下であることを検知する場合に、均油制御を実行する。油量調整制御部50は、例えば、
図3に例示されているように、第1検知部OLS-1aによって第1油面を下回っていることが検知され、第1検知部OLS-2aによって第1油面を下回っていることが検知されていない場合には、圧縮機11の回転数を上昇させ、圧縮機12の回転数を減少させる。これにより、圧縮機11の圧力は低下し、圧縮機11がアキュムレータ14から吸引する油量が通常動作時よりも多くなる。反対に、圧縮機12の圧力は増加し、圧縮機12がアキュムレータ14から吸引する油量が通常動作時よりも少なくなる。このように、圧縮機11及び12の回転数を変更して、均油制御を所定時間続けることにより、オイル容器13aとオイル容器13bの各油量の差が減少する。そして、油量調整制御部50によって所定時間経過後に均油制御が終了される。なお第1検知部OLS-1a及びOLS-2aによってオイル容器13a及び13bの油面がそれぞれ第1油面よりも上であることが検知された場合に、油量調整制御部50によって均油制御が終了されることとしてもよい。また、油量調整制御部50は、第1検知部OLS-2aによって第1油面を下回っていることが検知され、第1検知部OLS-1aによって第1油面を下回っていることが検知されていない場合には、圧縮機12の回転数を上昇させ、圧縮機11の回転数を減少させる。
また、本実施形態では、均油制御を行った後、所定時間が経過するまで、次回の均油制御は行わない。
【0038】
〔均油制御における圧縮機の回転数変化のタイムチャート〕
図4は、均油制御における圧縮機11及び12の各回転数と時間を示すタイムチャートである。
図4は、一例として、
図3に示したように、オイル容器13aの油面が第1油面を下回っており、オイル容器13bの油面が第1油面以上である場合の圧縮機11、12の回転数制御の一例を示した図である。
【0039】
(時刻t0~t1)
まず、均油制御を行わない場合、油量調整制御部50は、負荷に応じた回転数で圧縮機11及び12を駆動する。
【0040】
(時刻t1)
次に、時刻t1において、第1検知部OLS-1a又はOLS-2aによってオイル容器13aの油面又はオイル容器13bの油面が第1油面を下回っていることが検知された場合、油量調整制御部50によって均油制御が実行される。
【0041】
(時刻t2~t5)
次に、時刻t2からt5の間において、油量調整制御部50によって圧縮機11及び12の各回転数が、均油制御ステップ1から均油制御ステップ3までの間、所定時間経過毎に段階的に変更される。具体的には、圧縮機11の回転数を段階的に上昇させ、圧縮機12の回転数を段階的に減少させる。
【0042】
(時刻t5以降)
そして、均油制御ステップ3が所定期間行われると、油量が均一化されたとみなして、均油制御を終了し、通常制御に戻る。なお、この例に限定されず、例えば、均油制御中において、第1検知部OLS-1a及びOLS-2aによって、オイル容器13aとオイル容器13bの各油面が第1油面を上回っていることが検知された場合に、均油制御を終了することとしてもよい。
【0043】
〔油戻し制御の動作〕
また、第2検知部OLS-1b又はOLS-2bによってオイル容器13aの油面又はオイル容器13bの油面が第2油面を下回っていることが検知された場合、油量調整制御部50によって油戻し制御が実行される。
油戻し制御において、油量調整制御部50は、例えば、第2検知部OLS-1b又はOLS-2bが第2油面を下回っていることを検知した場合、圧縮機11及び圧縮機12の回転数を上昇させる。これにより、圧縮機11及び12の各圧力は低下し、圧縮機11及び12がアキュムレータ14から吸引する油量が通常動作時よりも多くなる。このように、圧縮機11及び12の回転数を上昇させ、所定時間動作を続けることにより、オイル容器13a及び13bの油量が増加する。そして、油戻し制御を所定時間継続して行った場合に、オイル容器13aとオイル容器13bに冷凍機油が充分戻ってきたとみなし、油戻し制御を終了させる。
また、油戻し制御は、例えば、油戻し制御中において、第2検知部OLS-1b及びOLS-2bによって、オイル容器13aとオイル容器13bの各油面が第2油面以上であることが検知された場合に、終了することとしてもよい。また、油戻し制御における圧縮機11、12の回転数制御は、均油制御と同様に段階的に変化させることとしてもよい。
【0044】
〔異常停止の動作〕
また、第3検知部OLS-1c又はOLS-2cによってオイル容器13aの油面又はオイル容器13bの油面が第3油面を下回っていることが検知された場合、油量調整制御部50によって油不足による異常停止が実行される。
【0045】
〔フローチャート〕
次に、油量調整制御部50によって実行されるオイル容器13a及び13bの油量調整制御処理の一例について説明する。
図5~
図6は、本実施形態に係る油量調整制御処理の手順の一例を示したフローチャートである。以下の油量調整制御処理は、例えば、冷凍システム300の起動時に合わせて開始される。
【0046】
まず、冷凍システム300が起動すると(S101)、圧縮機11及び12が運転しているか否かを判定する(S102)。この結果、圧縮機11及び12の両圧縮機が運転していない場合には(S103:NO)、圧縮機11及び12が運転を開始するまでステップS102の処理を繰り返し行う。
【0047】
また、圧縮機11及び12のうち、少なくともいずれか一方が運転している場合には(S102:YES)、運転中の圧縮機に対して後続の制御を行う。なお、以下の説明においては、圧縮機11、12の両方が運転している場合を例示するが、どちらか一方の圧縮機が停止している場合には、運転している方の圧縮機を対象に、以下の処理が行われる。
まず、第1検知部OLS-1a及びOLS-2aのいずれかがオフであるか否か、すなわち、オイル容器13a又は13bのいずれかの油面高さが第1油面を下回っているか否かを判定する(S103)。この結果、いずれの第1検知部OLS-1a及びOLS-2aもオフでない場合(S103:NO)、すなわち、オイル容器13a及び13bのいずれの油面も第1油面以上である場合には、ステップS102に戻り、後続の処理を行う。
【0048】
また、オイル容器13a又は13bがオフである場合には(S103:YES)、第2検知部OLS-1b及びOLS-2bのうち、いずれかがオフか否かを判定する(S104)。この結果、いずれの第2検知部もオフでない場合、すなわち、オイル容器13a及び13bのいずれの油面も第2油面を下回っていない場合には(S104:NO)、前回の均油制御実行時からの経過時間が予め設定した所定時間以上であるかを判定する(S105)。この結果、前回均油制御実行時からの経過時間が所定時間以上である場合には(S105:YES)、均油制御を実行する(S106)。これにより、第1検知部OLS-1a及びOLS-2aの検知結果に基づいて圧縮機11及び12の回転数が変更され、オイル容器13aと13bの油面のアンバランスが低減される。
【0049】
続いて、均油制御実行時から所定期間が経過した否かを判定する(S107)。この結果、所定時間が経過していなければ(S107:NO)、所定期間が経過するまで均油制御が継続して行われる。そして、均油制御が所定期間実行されると(S107:YES)、ステップS102に戻り、後続の処理行う。
【0050】
一方、ステップS104において、いずれかの第2検知部がオフであると判定した場合(S104:YES)、または、ステップS105において、前回均油制御実行時からの経過時間が所定時間未満である場合(S105:NO)には、第3検知部OLS-1c及びOLS-2cがオフか否かを判定する(
図6のS108)。この結果、いずれの第3検知部もオフでない場合、すなわち、オイル容器13a及び13bのいずれの油面も第3油面を下回っていない場合には(S108:NO)、油戻し制御を実行する(S109)。これにより、第2検知部OLS-1b及びOLS-2bの検知結果に基づいて圧縮機11及び12の回転数が変更され、オイル容器13aと13bの油量が増加する。
【0051】
続いて、油戻し制御実行時から所定期間が経過したか否かを判定する。この結果、所定時間が経過していなければ、所定期間が経過するまで油戻し制御が継続して行われる。そして、油戻し制御が所定期間実行されると(S110:YES)、
図5のステップS102に戻り、後続の処理を行う。
【0052】
一方、ステップS108において、いずれかの第3検知部がオフであると判定した場合には(S108:YES)、冷凍システム300を一旦停止させる(S111)。この制御は、例えば、油量調整制御部50から制御装置100内においてシステム起動及び停止を制御する制御部(図示略)に対して、油量異常検知信号(冷凍システムを停止させるための信号)を出力することにより実現される。
【0053】
続いて、第3検知部がオフであると判定した回数が1回目であるか否かを判定する。この結果、第3検知部のオフが1回目である場合には(S112:YES)、ファンや弁を駆動させてオイル容器13a及び13bの油量を増加させるインチング動作を所定時間実行した(S113)後、冷凍システム300を再起動するために、
図5のステップS101に戻り、後続の処理を行う。
【0054】
一方、第3検知部のオフが1回目でない場合には(S112:NO)、冷凍システム300に異常が発生しているとして、冷凍システム300の停止状態を継続させるとともに、管理者に異常の解消を促す通知を行う(S114)。
【0055】
続いて、冷凍システム300に発生した異常が解消されたか否かを判定する(S115)。異常が解消されていない場合(S115:NO)には、異常が解消されたと判定するまで異常停止状態を継続する。
【0056】
一方、異常が解消された場合(S115:YES)には、
図5のステップS101に戻り、後続の処理を繰り返し行う。
【0057】
以上説明したように、本実施形態に係る油量調整装置、油量調整方法、及び油量調整プログラム並びに冷凍システムによれば、第1検知部OLS-1a及びOLS-2a,第2検知部OLS-1b及びOLS-2b,第3検知部OLS-1c及びOLS-2cによって、オイル容器13a及び13bの油面高さをそれぞれ段階的に検知し、これらの検知結果に基づいて各オイル容器13a及び13bの油量が油量調整制御部50によって調整される。これにより、各オイル容器13a及び13bの油量を適量に保つことが可能となる。
【0058】
以上、本開示について実施形態を用いて説明したが、本開示の技術的範囲は上記実施形態に記載の範囲には限定されない。発明の要旨を逸脱しない範囲で上記実施形態に多様な変更又は改良を加えることができ、該変更又は改良を加えた形態も本開示の技術的範囲に含まれる。また、上記実施形態を適宜組み合わせてもよい。
また、上記実施形態で説明した各処理の流れも一例であり、本開示の主旨を逸脱しない範囲内において不要なステップを削除したり、新たなステップを追加したり、処理順序を入れ替えたりしてもよい。
【0059】
例えば、上述した実施形態では、アキュムレータ14から各圧縮機11、12に対して油が供給される場合について説明したがこの例に限定されない。例えば、
図7に示すように、オイル容器13aとオイル容器13bとを均油管OEP1で接続し、均油管OEP1上に設けられた弁OE-V1を用いての開閉を制御することにより、均油制御及び油戻し制御を行うこととしてもよい。
【0060】
以下、このような均油管OEP1を介して油が供給される場合における油量調整制御について説明する。また、以下の説明では、便宜上、オイル容器13aの油面高さは第1油面を下回っており、オイル容器13bの油面高さは第1油面を上回っている場合を例示して説明する。すなわち、オイル容器13aの油量はオイル容器13bの油量よりも少ない状態を例示する。
この状態において均油制御を実行する場合、油量調整制御部50によって、弁OE-V1を開放し、さらに圧縮機11の回転数を上昇させて圧縮機11内の圧力を低下させる。これにより、圧縮機12から均油管OEP1を介して圧縮機11へ冷凍機油が移動し、圧縮機11及び12間の冷凍機油の偏りが解消される。また、油量調整制御部50は、均油運転を開始して所定時間経過後、その圧縮機の回転数を元に戻して均油制御を終了する。
【0061】
また、本実施形態では、均油制御及び油戻し制御について、各制御を所定期間継続して行った場合に、均油制御等を終了させていたが、この例に限定されない。例えば、各検知部の検知結果が特定条件を満たす場合に各制御を停止することとしてもよい。
【0062】
また、オイル容器13a、13bの設置位置について、本実施形態では、連通管CP1~CP4によってオイル容器13a、13bが圧縮機11及び12と接続されていたが、これに限られない。例えば、オイル容器13a、13bは、圧縮機11、12内部に設けられてもよい。なお、オイル容器13a、13bは、オイルポッドやオイルパック等、特定の構成に限定されるものではなく、冷凍機油を貯留するものであればよい。
【0063】
また、
図5~
図6に示した油量調整の手順は一例であり、例えば、不要なステップを削除したり、新たなステップを追加したり、処理順序を入れ替えたりしてもよい。
【0064】
以上説明した本開示に係る油量調整装置及び冷凍システム、油量調整方法、並びに油量調整プログラムは例えば以下のように把握される。
本開示に係る油量調整装置(200)は、複数の圧縮機(11,12)と、各圧縮機に対応して設けられ、対応する圧縮機に対して油を供給するための複数のオイル容器(13a,13b)とを備えるシステム(300)に適用される油量調整装置であって、各オイル容器に設けられ、オイル容器の油面が均油制御の基準となる第1油面よりも下であることを検知する第1検知部(OLS-1a,OLS-2a)と、各オイル容器において、第1検知部よりも下方に設けられ、オイル容器の油面が油戻し制御の基準となる第2油面よりも下であることを検知する第2検知部(OLS-1b,OLS-2b)と、各オイル容器において、第2検知部よりも下方に設けられ、オイル容器の油面が異常検知の基準となる第3油面よりも下であることを検知する第3検知部(OLS-1c,OLS-2c)と、第1検知部、第2検知部、及び第3検知部の検知結果に基づいて、オイル容器の油量調整を行う制御部(50)と、を備える。
【0065】
本開示に係る油量調整装置によれば、第1検知部、第2検知部、第3検知部の検知結果に基づいて、各オイル容器内の油量調整を行う。このように、第1~第3検知部によってオイル容器の油面が段階的に検知され、これらの検知結果に基づいてオイル容器の油量が制御部によって調整されるので、オイル容器の油量を適量に保つことが可能となる。特に、第1検知部と第3検知部との間に第2検知部を設けているので、第1検知部による検知の後において、オイル容器の油量が急速に減少した場合でも、第3検知部が異常検知する前に第2検知部によってオイル容器の油が減少していることが検知される。これにより、油面が異常検知の基準となる第3油面よりも下になる頻度を低減することが可能となる。
【0066】
本開示に係る油量調整装置において、制御部は、一方の第1検知部によって油面が第1油面よりも下であることが検知され、他方の第1検知部によって油面が第1油面よりも下であることが検知されていない場合に、油面が第1油面よりも下であることが検知されたオイル容器に対して油を供給する均油制御を行う。
【0067】
本開示に係る油量調整装置によれば、一方の第1検知部によって油面が第1油面よりも下であることが検知され、他方の第1検知部によって油面が第1油面よりも下であることが検知されていない場合に、油面が第1油面よりも下であることが検知されたオイル容器に対して油が供給される。これにより、オイル容器間における油量の偏りが解消される。
【0068】
本開示に係る油量調整装置において、制御部は、複数の圧縮機の回転数を変更することにより均油制御を行うとともに、均油制御を行ったときから所定期間経過するまでは、第1検知部によって油面が第1油面よりも下であることが検知された場合であっても、均油制御を行わない。
【0069】
本開示に係る油量調整装置によれば、均油制御を行う頻度を制限することができる。これにより、圧縮機の回転数が油量に起因して強制的に上昇又は下降させられる頻度を制限することができ、均油制御による圧縮機の故障又は性能低下を抑制することが可能となる。
【0070】
本開示に係る油量調整装置において、制御部は、第2検知部によって、オイル容器の油面が第2油面よりも下であることが検知された場合に、油面が第2油面よりも下であることが検知されたオイル容器に対して油を供給する油戻し制御を行う。
【0071】
本開示に係る油量調整装置によれば、第2検知部によって油面が第2油面よりも下であることが検知された場合に、油面が第2油面よりも下であることが検知されたオイル容器に油が供給される。例えば、第1検知部の検知に基づく均油制御を所定のインターバルをあけて行うような場合、そのインターバルの期間にオイル容器内の油量が急速に減少する場合がある。このような場合でも、第2検知部によってオイル容器の油面の減少が検知された場合には、油戻し制御が行われる。これにより、第3検知部によって異常が検知される前に、第2検知部の検知結果に基づく油戻し制御を行うことができる。この結果、異常停止を未然に防ぐことが可能となり、異常停止の頻度を抑制することが可能となる。
【0072】
本開示に係る油量調整装置において、制御部は、第3検知部によって、オイル容器の油面が第3油面よりも下であることが検知された場合に、システムの運転を停止する。
【0073】
本開示に係る油量調整装置によれば、第3検知部によって油面が第3油面よりも下であることが検知された場合に、システムの運転が停止される。このように、オイル容器内の油量が不足した状態でシステムが運転されることがなくなるため、機器の性能低下や故障の発生を防止すること可能となる。
【0074】
本開示に係る油量調整装置において、制御部は、システムの停止後におけるシステムの再起動時にオイル容器に油を供給する油供給制御を行い、油供給制御後に、第3検知部によって、オイル容器の油面が第3油面よりも下であることが検知された場合に、システムの運転を停止する。
【0075】
本開示に係る油量調整装置によれば、第3検知部によって油面が第3油面よりも下であることが検知された場合に、システムの運転が停止される。このように、オイル容器内の油量が不足した状態でシステムが運転されることがなくなるため、機器の性能低下や故障の発生を防止すること可能となる。
【0076】
本開示に係る油量調整装置において、各オイル容器は、対応する圧縮機の内部に設置される。
【0077】
本開示に係る油量調整装置によれば、オイル容器が圧縮機の内部に設置されているので、システムの構成を簡素化することができる。
【0078】
本開示に係る冷凍システムは、冷媒を圧縮する複数の圧縮機と、各圧縮機に対応して設けられ、対応する圧縮機に対して油を供給するための複数のオイル容器と、熱交換によって冷媒を蒸発させる蒸発器と、熱交換によって冷媒を凝縮させる凝縮器と、上記記載の油量調整装置と、を備える。
【0079】
本開示に係る油量調整方法は、複数の圧縮機と、各圧縮機に対応して設けられ、対応する圧縮機に対して油を供給するための複数のオイル容器とを備えるシステムに適用される油量調整方法であって、各オイル容器において、オイル容器の油面が均油制御の基準となる第1油面よりも下であることを検知する工程と、各オイル容器において、オイル容器の油面が油戻し制御の基準となる第2油面よりも下であることを検知する工程と、各オイル容器において、オイル容器の油面が異常検知の基準となる第3油面よりも下であることを検知する工程と、各工程の検知結果に基づいて、オイル容器の油量調整を行う工程と、を有する。
【0080】
本開示に係る油量調整プログラムは、複数の圧縮機と、各圧縮機に対応して設けられ、対応する圧縮機に対して油を供給するための複数のオイル容器とを備えるシステムに適用される油量調整プログラムであって、各オイル容器において、オイル容器の油面が均油制御の基準となる第1油面よりも下であることを検知する処理と、各オイル容器において、オイル容器の油面が油戻し制御の基準となる第2油面よりも下であることを検知する処理と、各オイル容器において、オイル容器の油面が異常検知の基準となる第3油面よりも下であることを検知する処理と、各工程の検知結果に基づいて、オイル容器の油量調整を行う処理と、をコンピュータに実行させる。
【符号の説明】
【0081】
2 :ショーケース
11,12:圧縮機
11a,12a:第一段圧縮部
11b,12b:第二段圧縮部
13a,13b:オイル容器
14,21,22:アキュムレータ
15a,15b:オイルセパレータ
16a,16b:ガスクーラ
17a,17b:ファン
50 :油量調整制御部
51 :CPU
52 :ROM
53 :RAM
54 :ハードディスクドライブ
55 :通信部
58 :バス
80 :熱交換器
100:制御装置
200:油量調整装置
300:冷凍システム
OLS-1a,OLS-2a:第1検知部
OLS-1b,OLS-2b:第2検知部
OLS-1c,OLS-2c:第3検知部
MP01,MP02:吐出管
MP10:ガス管
MP11:気液2相管
MP12:液管
MP13:戻り配管
MP14,MP15:吸入管
BP11,BP12:ホットガスバイパス管
CP1,CP2,CP3,CP4:連通管
RP11,RP12:油戻し管
IP10,IP11,IP12:配管
OEP1:均油管
SC-V1,HG-V1,HG-V2,R-V1,R-V2,OE-V1:弁
CV1,CV2:逆止弁