(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-02-21
(45)【発行日】2025-03-04
(54)【発明の名称】バスダクト
(51)【国際特許分類】
H02G 5/06 20060101AFI20250225BHJP
【FI】
H02G5/06 311J
(21)【出願番号】P 2020190936
(22)【出願日】2020-11-17
【審査請求日】2023-10-10
(73)【特許権者】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(73)【特許権者】
【識別番号】598076591
【氏名又は名称】東芝インフラシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000567
【氏名又は名称】弁理士法人サトー
(72)【発明者】
【氏名】永野 司
【審査官】石井 茂
(56)【参考文献】
【文献】実開昭55-064838(JP,U)
【文献】特開平10-210639(JP,A)
【文献】実公昭46-005392(JP,Y1)
【文献】特開2008-109786(JP,A)
【文献】特開2012-204083(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02G 5/00
H02G 5/06
H02G 5/08
H02G 5/10
H01R 4/30
H01R 13/64
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
端部に、相手側バスダクトの接続部と接続される接続部を有するバスダクトであって、
前記接続部は、先端が開口した金属製のケース内に、絶縁部材により支持された複数の板状の金属導体を、相互間に接続用間隙を空けた状態で並んで備え、
相手側の接続部との間で先端部同士を相互に挿入するように嵌合することにより、前記金属導体が前記接続用間隙内に相互に挿入されて相手側の金属導体と接続されるように構成されていると共に、
前記ケースに引掛け部を設け、前記相手側バスダクトの接続部との接続時に、
前記引掛け部が前記相手側バスダクトに設けられた引掛り部に引掛かることで前記ケースの先端部が前記相手側の接続部の接続用間隙に挿入されることを防止する誤挿入防止手段を備えるバスダクト。
【請求項2】
前記誤挿入防止手段
の引掛け部は、前記ケースの先端に一体に設けられた折返し部から構成されている請求項1記載のバスダクト。
【請求項3】
前記折返し部は、その幅方向寸法が、前記相手側の接続部の接続用間隙において形成される挿入空間の幅方向寸法よりも大きく構成されている請求項2記載のバスダクト。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、相手側バスダクトの接続部と接続される接続部を端部に有するバスダクトに関する。
【背景技術】
【0002】
例えばビルや各種施設等で電力供給を行うためのバスダクトは、一つのユニットの端部に接続部を有して構成され、接続部同士を嵌合させることにより他のユニットとの接続が行われるようになっている(例えば特許文献1参照)。この場合、前記接続部は、先端側が開口した金属製のケース内に、例えば3相分の板状の金属導体を並んで有している。また、それら金属導体同士の間や、ケースと金属導体との間などの必要箇所に板状の絶縁スペーサが設けられている。接続部同士を嵌合させることにより、同相の金属導体同士が重なるように接続されると共に、各相を隔てるように絶縁スペーサが配置される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記接続部同士を嵌合させる際には、一方の接続部の間隙部に、他方の接続部の金属導体が挿入されるように位置合わせされながら、嵌合いが行われる。ところが、挿入時の正しい位置合わせができず、位置ずれが生じていた場合などには、
図4の参考図に示したように、一方の接続部の金属製のケースが、他方の接続部の間隙部に入り込んで金属導体に接触し、地絡事故が発生してしまう虞がある。それに対処するために、従来では、接続部のケースが金属導体間に入り込まないように、取扱説明書で注意喚起をしたり、ケースの外面部分に注意銘板を取付けたりすることが行われていた。
【0005】
しかしながら、作業者が、取扱説明書を読んでいなかったり、注意銘板を良く見ていなかったりする場合も考えられ、作業者が気づかないところでケースと金属導体との接触が起こってしまう虞がある。そのため、より優れた安全対策が求められる。
そこで、バスダクトの接続部同士を接続する際の地絡事故の発生を未然に防止することができ、安全性を高めることができるバスダクトを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
実施形態に係るバスダクトは、端部に、相手側バスダクトの接続部と接続される接続部を有するものであって、前記接続部は、先端が開口した金属製のケース内に、絶縁部材により支持された複数の板状の金属導体を、相互間に接続用間隙を空けた状態で並んで備え、相手側の接続部との間で先端部同士を相互に挿入するように嵌合することにより、前記金属導体が前記接続用間隙内に相互に挿入されて相手側の金属導体と接続されるように構成されていると共に、前記ケースに引掛け部を設け、前記相手側バスダクトの接続部との接続時に、前記引掛け部が前記相手側バスダクトに設けられた引掛り部に引掛かることで前記ケースの先端部が前記相手側の接続部の接続用間隙に挿入されることを防止する誤挿入防止手段を備えている。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】一実施形態を示すもので、バスダクトの接続前の様子を示す上面図
【
図2】誤挿入されかかった場合のバスダクトの接続途中の様子を示す上面図
【
図4】参考図を示すもので、誤挿入があってケースが金属導体に接触した様子を示す上面図
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、一実施形態について、図面を参照しながら説明する。
図1から
図3は、本実施形態におけるバスダクトの接続部の構成を示している。尚、詳しく図示はしないが、ここでは、例えばビル等の施設の電気室において、配電盤に接続された既設の第1のバスダクト1に、相手側である新設の第2のバスダクト2を接続する場合を例としている。第1のバスダクト1が図で左側に位置し、第2のバスダクト2が図で右側に位置している。本実施形態では、第1のバスダクト1の接続部3と、相手側である第2のバスダクト2の接続部4とを嵌合により接続させるものとする。以下、第2のバスダクト2の接続部4を、場合によって相手側接続部4と称する。
【0009】
詳しく図示はしないが、前記第1のバスダクト1の本体部は、周知の通り、矩形筒状の金属製のダクト5内に、電源供給用の複数例えばR相、S相、T相の三相の導体6を備えている。前記導体6は、ケーブル或いはバスバーからなり、絶縁被覆されている。この第1のバスダクト1の本体部の図で右端部に、前記接続部3が設けられる。同様に、前記第2のバスダクト2の本体部は、矩形筒状の金属製のダクト7内に、絶縁被覆された三相の導体8を備えている。第2のバスダクト2の図で左端部に、前記相手側接続部4が設けられる。
【0010】
ここで、前記接続部3及び相手側接続部4の構成について述べる。前記第1のバスダクト1の接続部3は、先端つまり図で右端側が開口した金属例えば鋼板製のケース9内に、複数この場合3枚の板状の金属導体10を並んで備えている。前記ケース9は、前記ダクト5に接続され、例えば上下両面が開放した矩形筒状をなし、先端側半部即ち図で右半部側が幅狭となった段差状に構成されている。このケース9の幅狭部分が、後述する相手側接続部4のケースと相互に嵌合する部分となっている。
【0011】
前記金属導体10は、この場合例えばアルミニウムや銅などの金属板からなり、矩形板状に構成されており、図示しない絶縁部材により支持されて、板面が図で前後方向を向くように、相互に間隔を開けた状態で並んで配置されている。これら各金属導体10は、基端部側即ち図で左端部側において前記各導体6と接続されている。また、各金属導体10の先端部は、ケース9の先端開口部に臨んで位置している。尚、3個の金属導体10は、図で手前から順に、R相用、S相用、T相用とされており、以下、それらを区別する必要がある場合には、符号10の後に、(R)、(S)、(T)を付すこととする。
【0012】
そして、この接続部3には、前記金属導体10に重ねられるように、絶縁スペーサ11、12が設けられている。これら絶縁スペーサ11、12は、例えばセラミックから薄板状に構成されている。そのうち、図で手前側の絶縁スペーサ11は、R相用の金属導体10(R)と、ケース9の前側の板部との間に挟まれる位置に設けられている。また、図で奥側のスペーサ12は、S相用の金属導体10(S)と、T相用の金属導体10(T)との間に挟まれる位置に設けられている。また、これら絶縁スペーサ11、12は、先端がケース9の先端開口部よりも先方に所定寸法だけ突出した形態で設けられている。
【0013】
これにて、前記絶縁スペーサ11により、金属導体10(R)とケース9との間の絶縁が図られる。これと共に、前記絶縁スペーサ12により、金属導体10(S)と金属導体10(T)との間の絶縁が図られるようになっている。このとき、ケース9内には、金属導体10(R)と金属導体10(S)との間に位置して、前記相手側接続部4の金属導体等が挿入されるための第1の接続用間隙13が設けられている。また、金属導体10(T)とケース9の後ろ側の板部との間に位置して、前記相手側接続部4の金属導体等が挿入されるための第2の接続用間隙14が設けられている。
【0014】
これに対し、前記第2のバスダクト2の相手側接続部4は、前記接続部3と対称的な構成を備えている。即ち、相手側接続部4は、前記ダクト7に接続され先端つまり図で左端側が開口した金属製のケース15内に、手前側から順に3相の板状の金属導体16(R)、16(S)、16(T)を並んで備えている。前記ケース15は、図で左半部側が幅狭となっており、この幅狭部分が、前記接続部3のケース9の幅狭部分と相互に嵌合するようになっている。各金属導体16は、基端部側即ち図で右端部側において前記各導体8と接続されている。
【0015】
そして、この接続部4には、前記金属導体16に重ねられ、先端がケース15から突出するように、セラミック製の絶縁スペーサ17、18が設けられている。そのうち絶縁スペーサ17は、R相用の金属導体16(R)と、S相用の金属導体16(S)との間に挟まれる位置に設けられている。絶縁スペーサ18は、T相用の金属導体10(T)と、ケース15の後側の板部との間に挟まれる位置に設けられている。
【0016】
これにて、絶縁スペーサ17により、金属導体16(R)と金属導体16(S)との間の絶縁が図られ、絶縁スペーサ18により、金属導体16(T)とケース15との間の絶縁が図られる。このとき、ケース15内には、該ケース15の前側の板部と金属導体16(R)との間に位置して、前記接続部3のケース9の前側の板部、絶縁スペーサ11、金属導体10(R)が挿入されるための第3の接続用間隙19が設けられている。また、金属導体16(S)と金属導体16(T)との間に位置して、前記接続部3の金属導体10(S)、絶縁スペーサ12、金属導体10(T)が挿入されるための第4の接続用間隙20が設けられている。
【0017】
更にこのとき、接続部3と相手側接続部4との嵌合時には、前記接続部3の第1の接続用間隙13に対し、接続部4の前記金属導体16(R)、絶縁スペーサ17、金属導体16(S)が挿入される。これと共に、前記接続部3の第2の接続用間隙14に対し、接続部4の前記金属導体16(T)、絶縁スペーサ18、ケース15の後側の板部が挿入される。
【0018】
これにより、接続部3と相手側接続部4との嵌合、接続状態では、
図3に示すように、金属導体10(R)と金属導体16(R)とが重なるように面接触し、電気的に接続される。また、金属導体10(S)と金属導体16(S)とが重なるように面接触し、電気的に接続され、金属導体10(T)と金属導体16(T)とが重なるように面接触し、電気的に接続される。これら3相の金属導体10、16の各相間、及び、金属導体10、16とケース9、15との間には、絶縁スペーサ11、12、17、18が配置される。尚、図示はしないが、接続部3と相手側接続部4との接続状態で、例えばボルトによる両者の接続がなされると共に、ケース9、15の上面及び下面には、夫々カバーが取付けられて閉塞されるようになっている。
【0019】
さて、本実施形態では、
図1から
図3に示すように、前記接続部3と相手側接続部4との接続時に、接続部3のケース9の後側の板部の先端部が、相手側接続部4の第4の接続用間隙19に挿入されることを防止する誤挿入防止手段が設けられる。これと共に、接続部4のケース15の前側の板部の先端部が、接続部3の第1の接続用間隙13に挿入されることを防止する誤挿入防止手段が設けられる。具体的には、本実施形態では、誤挿入防止手段は、前記ケース9の先端に一体に設けられた折返し部21、及び、前記ケース15の先端に一体に設けられた折返し部22から構成される。
【0020】
前記折返し部21は、例えば、ケース9の後側の板部の上下方向中間部分に、左右に延びる2本の切込みを所定間隔で平行に形成し、その短冊状の切込み部分を、外側つまり後方に、例えば角度90度だけ折返すようにして設けられる。これにて、接続部3と接続部4との接続時に、ケース9の後側の板部が第4の接続用間隙20に入り込もうとしても、折返し部21が前記絶縁スペーサ18の先端に当接することにより、それ以上の挿入が阻止されるように構成されている。
【0021】
同様に、前記折返し部22は、例えば、ケース15の前側の板部の上下方向中間部分に、左右に延びる2本の切込みを所定間隔で平行に形成し、その短冊状の切込み部分を、外側つまり前方に、角度90度だけ折返すようにして設けられる。これにて、接続部3と接続部4との接続時に、ケース15の前側の板部が第1の接続用間隙13に入り込もうとしても、折返し部22が前記絶縁スペーサ11の先端に当接することにより、それ以上の挿入が阻止されるように構成されている。
【0022】
また本実施形態では、
図1に示すように、折返し部21の前後方向の幅方向寸法b1が、第4の接続用間隙20において形成される挿入空間の幅方向寸法a1、つまり絶縁スペーサ12と絶縁スペーサ18との間の前後方向の隙間寸法よりもやや大きく構成されている。同様に、前記折返し部22の前後方向の幅方向寸法b2が、第1の接続用間隙13において形成される挿入空間の幅方向寸法a2、つまり絶縁スペーサ11と絶縁スペーサ17との間の前後方向の隙間寸法よりもやや大きく構成されている。
【0023】
次に、上記構成の作用について、
図4の参考図も参照しながら述べる。本実施形態の第1のバスダクト1においては、相手側の第2のバスダクト2と以下のようにして接続される。即ち、まず、
図1に示すように、作業者は、第1のバスダクト1の接続部3と、第2のバスダクト2の相手側接続部4とを、向い合うように位置合せし、矢印Aで示すように、相互に挿入していく。
図3に示すように、ケース9とケース15とが重なり合うまで挿入し、接続部3と相手側接続部4とを嵌合させる。
【0024】
これにより、接続部3のケース9内の第1の接続用間隙13に対し、接続部4の金属導体16(R)、絶縁スペーサ17、金属導体16(S)が挿入される。接続部3のケース9内の第2の接続用間隙14に対し、接続部4の金属導体16(T)、絶縁スペーサ18、ケース15の後側の板部が挿入される。これと共に、相手側接続部4のケース15内の第3の接続用間隙19に対し、接続部3のケース9の前側の板部、絶縁スペーサ11、金属導体10(R)が挿入される。接続部4のケース15内の第4の接続用間隙20に対し、接続部3の金属導体10(S)、絶縁スペーサ12、金属導体10(T)が挿入される。これにて、
図3に示すように、第1のバスダクト1と第2のバスダクト2との接続が図られる。
【0025】
ここで、
図4の参考図に示すように、仮に、接続部3のケース9に、誤挿入防止手段としての折返し部21が存在しない構成を想定し、これをケース9´とする。同様に、接続部4のケース15に、誤挿入防止手段としての折返し部22が存在しない構成を想定し、これをケース15´とする。今、接続部3と接続部4とを接続させる際に、正しく位置合わせがなされずに位置ずれが生じていた場合等において、
図4に示すように、例えば、接続部3のケース9´の後側の板部が、接続部4のケース15内の第4の接続用間隙20、即ち金属導体16(S)と金属導体16(T)との間に入り込んでしまう虞がある。
【0026】
この場合、作業者が気付かずに、ケース9´の後側の板部を、第4の接続用間隙20の奥方まで無理やり押し込むことができてしまう。このような誤挿入が発生すると、
図4に示すように、接続部3のケース9´の後側の板部が、金属導体16(T)と金属導体10(T)との間に挟まれるようにして、金属導体16(T)に接触すると共に、金属導体10(T)にも接触することが起こり、地絡事故の発生につながる虞れがある。このような誤挿入は、接続部4側でも、ケース15´の前側の板部が、接続部3の第1の接続用間隙13に入り込んで、金属導体10(R)に接触してしまうことが起こり得る。
【0027】
ところが、本実施形態では、接続部3のケース9の後側の板部に、誤挿入防止手段としての折返し部21が
引掛け部として設けられている。これと共に、接続部4のケース15に、誤挿入防止手段としての折返し部22が
引掛け部として設けられている。これにより、
図2に示すように、例えば接続部3のケース9の後側の板部が、相手側接続部4の第4の接続用間隙20に入り込もうとしても、折返し部21が絶縁スペーサ18の先端に当接し、そこで引掛かることにより、ケース9のそれ以上の挿入ができなくなる。
【0028】
これにより、作業者は、誤挿入がなされそうにあることを容易に気付くようになり、正しく位置決めして嵌合作業をやり直すことができ、ケース9の後側の板部が金属導体16(T)に接触することが未然に防止される。図示はしないが、接続部4のケース15においても、同様に、折返し部22が設けられていることにより、ケース15の前側の板部が第1の接続用間隙13に挿入されそうになっても、折返し部22が絶縁スペーサ11の先端に当接するようになる。これにより、接続部4のケース15の前側の板部が、接続部3の第1の接続用間隙13に入り込んで金属導体10(R)に接触してしまうことが未然に防止される。
【0029】
このように本実施形態のバスダクト1によれば、次のような効果を得ることができる。即ち、本実施形態では、バスダクト1の接続部3に、相手側のバスダクト2の接続部4との接続時に、ケース9の先端部が相手側接続部4の第4の接続用間隙20に挿入されることを防止する誤挿入防止手段としての折返し部21を設けるようにした。これにより、仮に位置ずれ等があって、接続部3のケース9の後側の板部が、相手側接続部4の第4の接続用間隙20に入り込もうとしても、折返し部21が設けられていることにより、折返し部21が絶縁スペーサ18の先端に引掛かって、ケース9の先端部のそれ以上の挿入が防止される。
【0030】
この結果、本実施形態によれば、バスダクト1、2の接続部3、4同士を接続する際の地絡事故の発生を未然に防止することができ、安全性を高めることができるという優れた効果を得ることができる。尚、第2のバスダクト2の接続部4にも、ケース15の先端部が接続部3の第1の接続用間隙13に挿入されることを防止する誤挿入防止手段としての折返し部22を設けるようにした。これにより、接続部4のケース15における地絡事故の発生を未然に防止することができ、安全性を高めることができる。
【0031】
特に本実施形態では、誤挿入防止手段を、ケース9の先端に折返し部21を一体に設け、更に、ケース15の先端に折返し部22を一体に設けることにより、それらケース9、15の折返し部21、22が、引掛り部となる相手側の絶縁スペーサ18、11に引掛かって、それ以上の挿入ができなくなるように構成した。これにより、ケース9、15の先端に一体に折返し部21、22を設けるだけで済むので、部品数を増やすことなく、形成も容易となり、誤挿入防止手段を、簡単な構成で済ませることができる。
【0032】
またこのとき、前記折返し部21、22は、その幅方向寸法b1、b2が、夫々、相手側の接続部4、3の第4の接続用間隙20、第1の接続用間隙13において形成される挿入空間の幅方向寸法a1、a2よりも大きく構成されている。これにより、折返し部21、22が接続用間隙20、13に挿入されてしまうことを、確実に防止することができるので、誤挿入防止の作用を確実に得ることができ、より一層効果的となる。
【0033】
尚、上記実施形態では、誤挿入防止手段として、ケース9、15に折返し部21、22を一体に設けるようにしたが、これに限らず、例えば、ケースに引掛け部としての突起部を一体又は別体に設けて、その突起部が、引掛り部となる相手側のケースや絶縁部材、金属導体に引掛かって、それ以上の挿入ができなくなる構成とすることもできる。この場合、相手側の接続部においても、突起部或いは折返し部が当接してそれ以上の挿入を阻害するための当接部を設けるようにすることができる。
【0034】
また、接続部のケースの構成や内部の構成としても、様々な変更が可能であり、例えば、上記実施形態では、3個の金属導体を有する場合を例としたが、2本或いは4本以上の金属導体を備えるものであっても良い。接続部のケース内に、絶縁スペーサに加えて或いは絶縁スペーサに代えて、ゴム製の板状の弾性部材を設けて、金属導体やケースの破損を防止する構成を付加するようにしても良い。導体同士の接触つまり接続を確実にするための、板ばねを設ける構成としても良い。
【0035】
以上説明した実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0036】
図面中、1は第1のバスダクト(バスダクト)、2は第2のバスダクト(バスダクト)、3は接続部、4は接続部(相手側接続部)、9はケース、10は金属導体、11、12は絶縁スペーサ、13、14は接続用間隙、15はケース、16は金属導体、17、18は絶縁スペーサ、19、20は接続用間隙、21、22は折返し部(誤挿入防止手段)を示す。