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特許7638679ターボ機械ロータブレード用のダンパスタック
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-02-21
(45)【発行日】2025-03-04
(54)【発明の名称】ターボ機械ロータブレード用のダンパスタック
(51)【国際特許分類】
   F01D 5/16 20060101AFI20250225BHJP
   F01D 5/26 20060101ALI20250225BHJP
   F01D 25/06 20060101ALI20250225BHJP
【FI】
F01D5/16
F01D5/26
F01D25/06
【請求項の数】 9
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2020194887
(22)【出願日】2020-11-25
(65)【公開番号】P2021099094
(43)【公開日】2021-07-01
【審査請求日】2023-11-09
(31)【優先権主張番号】16/709,050
(32)【優先日】2019-12-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】515322297
【氏名又は名称】ゼネラル エレクトリック テクノロジー ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】General Electric Technology GmbH
【住所又は居所原語表記】Brown Boveri Strasse 8, 5400 Baden, Switzerland
(74)【代理人】
【識別番号】100105588
【弁理士】
【氏名又は名称】小倉 博
(74)【代理人】
【識別番号】100129779
【弁理士】
【氏名又は名称】黒川 俊久
(74)【代理人】
【識別番号】100151286
【弁理士】
【氏名又は名称】澤木 亮一
(72)【発明者】
【氏名】マイケル・アンソニー・ウォンダラセク
(72)【発明者】
【氏名】ブライアン・デンバー・ポッター
(72)【発明者】
【氏名】ロバート・アラン・ブリッティンガム
【審査官】上田 真誠
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-053346(JP,A)
【文献】特表2019-505720(JP,A)
【文献】特開2019-173650(JP,A)
【文献】特開2014-105705(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2012/0237352(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F01D 5/00- 5/34
F01D 25/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ターボ機械であって、当該ターボ機械が、
圧縮機セクション(14)と、
燃焼器セクション(16)と、
タービンセクション(18)と、
前記圧縮機セクション(14)又は前記タービンセクション(18)の少なくとも1つに設けられた複数のロータブレード(26、30)
を備えており、前記複数のロータブレード(26、30)の各々
シャンク(38)、及び前記シャンク(38)から半径方向外向きに延びる翼形部(36)を備える本体
前記本体を囲むプラットフォーム(42)であって、スラッシュ面(56、58)を備えるプラットフォーム(42)と、
前記スラッシュ面(56、58)に配置され、概して軸方向に沿って延びるダンパスタック(70)であって、複数のダンパピン(72)を備えており、前記複数のダンパピン(72)の各々、隣り合うダンパピン(72)と接触するダンパスタック(70)
備えており、
前記複数のダンパピン(72)の各々が、第1の端部(74)と第2の端部(76)との間に延び、第1のダンパピン(72’)の第1の端部(74)が、第2のダンパピン(72’’)の第2の端部(76)に接触し、前記第1のダンパピン(72’)の前記第1の端部(74)が凸面の球形形状を有し、前記第2のダンパピン(72’’)の前記第2の端部(76)が凹面の球形形状を有する、ターボ機械。
【請求項2】
前記複数のダンパピン(72)の各々の長さ(73)、前記ダンパピン(72)の前記第1の端部(74)と前記第2の端部(76)との間に画定され、前記第1のダンパピン(72’)の前記長さ(73)、前記第2のダンパピン(72’’)の前記長さ(73)とは異なる、請求項に記載のターボ機械。
【請求項3】
前記ダンパスタック(70)、前記複数のダンパピン(72)の各々を通って延びるワイヤ(80)をさらに備える、請求項1又は請求項2に記載のターボ機械。
【請求項4】
溝(60)、前記スラッシュ面(56、58)に画定され、前記ダンパスタック(70)、前記溝(60)内に部分的に配置される、請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載のターボ機械。
【請求項5】
前記複数のダンパピン(72)、第1のエンドピン(82’)と、第2のエンドピン(82’’)とを備えており、前記第1のエンドピン(82’)、前記軸方向に沿って前記第2のエンドピン(82’’)から隔置され、前記第1のエンドピン(82’)及び前記第2のエンドピン(82’)各々、切り欠き部分(84)によって画定された肩部(86)を備える、請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載のターボ機械。
【請求項6】
前記肩部(86)の各々平坦な支持面(64)を備える、請求項に記載のターボ機械。
【請求項7】
溝(60)前記スラッシュ面に画定され、前記ダンパスタック(70)前記溝(60)内に部分的に配置され、前記肩部(86)の各々前記溝(60)の肩部スロット部分(62)内に配置される、請求項5又は請求項6に記載のターボ機械。
【請求項8】
前記複数のロータブレード(30)、前記タービンセクション(18)に設けられる、請求項1乃至請求項7のいずれか1項に記載のターボ機械。
【請求項9】
前記ターボ機械ガスタービン(10)である、請求項1乃至請求項8のいずれか1項に記載のターボ機械。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、一般に、ターボ機械用のロータブレードに関し、より具体的には、ロータブレードの内部で使用するためのダンパスタックに関する。
【背景技術】
【0002】
ターボ機械は、エネルギー伝達の目的で様々な産業および用途で利用されている。例えば、ガスタービンエンジンは、一般に、圧縮機セクションと、燃焼セクションと、タービンセクションと、排気セクションとを含む。圧縮機セクションは、ガスタービンエンジンに入る作動流体の圧力を徐々に上昇させ、この圧縮された作動流体を燃焼セクションに供給する。圧縮された作動流体および燃料(例えば、天然ガス)は、燃焼セクション内で混合され、燃焼チャンバ内で燃焼して高圧および高温の燃焼ガスを生成する。燃焼ガスは、燃焼セクションからタービンセクションに流れ、そこで膨張して仕事を発生する。例えば、タービンセクションにおける燃焼ガスの膨張は、例えば、発電機に接続されたロータシャフトを回転させ、電気を発生することができる。次いで、燃焼ガスは、排気セクションを介してガスタービンから排出される。
【0003】
圧縮機セクションおよびタービンセクションは、一般に、典型的には複数の段に配置された複数のロータブレードを含む。エンジン動作中、振動がロータブレードに導入される場合がある。例えば、圧縮される作動流体の流れ、または高温の燃焼ガスもしくは蒸気の変動が、ロータブレードを振動させることがある。ターボ機械の設計者にとっての基本的な設計上の考慮事項の1つは、ロータブレードの固有振動数での共振、ならびに強制応答および/または空力弾性不安定性によって発生する動的応力を回避または最小化することにより、ロータブレードの高サイクル疲労を制御することである。
【0004】
ロータブレードの高サイクル疲労寿命を改善するために、典型的には、振動ダンパがプラットフォームの下および/または間に設けられて振動エネルギーを摩擦的に散逸させ、動作中の対応する振動の振幅を低減する。振動ダンパによって除去される振動エネルギーの量は、振動ダンパの動的重量と反動荷重の関数である。
【0005】
既知のダンパは典型的な動作では十分適切であるものの、全体的なダンパの有効性を改善したいという要望がある。例えば、多くの既知のダンパに関する1つの問題は、ダンパが、端部および場合によっては中央の場所など、関連するロータブレードとの孤立した接触場所でのみ減衰を提供することである。多くの既知のダンパに関する別の問題は、湾曲部分を含む形状など、複雑なプラットフォーム形状に適合することができないことである。
【0006】
したがって、改善されたダンパ設計が当技術分野で望まれている。特に、例えば、ロータブレードの接触を増加させることによって、ダンパの長さ全体にわたって改善された減衰を提供するダンパ設計が有利であろう。さらに、複雑なプラットフォーム形状に適合するダンパ設計が有利であろう。
【発明の概要】
【0007】
本開示によるダンパスタック、ロータブレード、およびターボ機械の態様および利点は、以下の説明に部分的に記載されており、または説明から明らかとなり、または本技術の実施を通して学ぶことができる。
【0008】
一実施形態によれば、ターボ機械用のロータブレードが提供される。ロータブレードは、シャンク、およびシャンクから半径方向外向きに延びる翼形部を含む本体を含む。ロータブレードは、本体を囲むプラットフォームをさらに含み、プラットフォームは、スラッシュ面を備える。ロータブレードは、スラッシュ面に配置され、概して軸方向に沿って延びるダンパスタックをさらに含む。ダンパスタックは、複数のダンパピンを含み、複数のダンパピンの各々は、隣り合うダンパピンと接触する。
【0009】
別の実施形態によれば、ターボ機械が提供される。ターボ機械は、圧縮機セクションと、燃焼器セクションと、タービンセクションとを含む。ターボ機械は、圧縮機セクションまたはタービンセクションの少なくとも1つに設けられた複数のロータブレードをさらに含む。複数のロータブレードの各々は、シャンク、およびシャンクから半径方向外向きに延びる翼形部を含む本体を含む。複数のロータブレードの各々は、本体を囲むプラットフォームをさらに含み、プラットフォームは、スラッシュ面を備える。複数のロータブレードの各々は、スラッシュ面に配置され、概して軸方向に沿って延びるダンパスタックをさらに含む。ダンパスタックは、複数のダンパピンを含み、複数のダンパピンの各々は、隣り合うダンパピンと接触する。
【0010】
本ダンパスタック、ロータブレード、およびターボ機械のこれらおよび他の特徴、態様、および利点は、以下の説明および添付の特許請求の範囲を参照して、よりよく理解されよう。添付の図面は、本明細書に組み込まれ、本明細書の一部を構成するものであるが、本技術の実施形態を例示し、明細書における説明と併せて本技術の原理を説明するのに役立つ。
【0011】
当業者へと向けられた本システムおよび方法の作製および使用の最良の態様を含む、本ダンパスタック、ロータブレード、およびターボ機械の完全かつ実施可能な開示が、添付の図を参照する本明細書に記載される。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本開示の実施形態による、ターボ機械の概略図である。
図2】本開示の実施形態による、ロータブレードの斜視図である。
図3】本開示の他の実施形態による、ロータブレードの斜視図である。
図4】本開示の実施形態による、隣り合うロータブレードを示す側面図である。
図5】本開示の実施形態による、ダンパスタックの斜視図である。
図6】本開示の実施形態による、ダンパスタックの断面図である。
図7】本開示の他の実施形態による、ダンパスタックの断面図である。
図8】本開示のさらに他の実施形態による、ダンパスタックの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
ここで、本ダンパスタック、ロータブレード、およびターボ機械の実施形態を詳細に参照するが、その1つまたは複数の例が図面に示されている。各例は、本技術の説明のために提供するものであって、本技術を限定するものではない。実際、特許請求される技術の範囲または趣旨を逸脱せずに、修正および変更が本技術において可能であることは、当業者にとって明らかであろう。例えば、ある実施形態の一部として図示または記載された特徴は、またさらなる実施形態をもたらすために、別の実施形態において使用することができる。したがって、本開示は、添付の特許請求の範囲およびそれらの均等物の範囲内にあるそのような修正および変更を包含することを意図している。
【0014】
詳細な説明は、図面の特徴を参照するために、数字および文字の符号を使用する。図面および説明における類似または同様の符号は、本発明の類似または同様の部分を指して使用されている。本明細書で使用する場合、「第1の」、「第2の」、および「第3の」という用語は、ある構成要素を別の構成要素から区別するために交換可能に使用することができ、個々の構成要素の位置または重要性を示すことを意図するものではない。
【0015】
ここで図面を参照すると、図1は、ターボ機械の一実施形態の概略図を示しており、これは、図示の実施形態ではガスタービン10である。産業用または陸上用のガスタービンが本明細書に示されて説明されているが、本開示は、特許請求の範囲に特に明記されない限り、陸上用および/または産業用ガスタービンに限定されない。例えば、本明細書に記載の減衰技術は、限定はしないが、蒸気タービン、航空機用ガスタービン、または船舶用ガスタービンを含む任意のタイプのターボ機械に使用することが可能である。
【0016】
示すように、ガスタービン10は、一般に、入口セクション12と、入口セクション12の下流に配置された圧縮機セクション14と、圧縮機セクション14の下流に配置された燃焼器セクション16内の複数の燃焼器(図示せず)と、燃焼器セクション16の下流に配置されたタービンセクション18と、タービンセクション18の下流に配置された排気セクション20とを含む。加えて、ガスタービン10は、圧縮機セクション14とタービンセクション18との間に結合された1つまたは複数のシャフト22を含むことができる。
【0017】
圧縮機セクション14は、一般に、複数のロータディスク24(そのうちの1つが示されている)と、各ロータディスク24から半径方向外向きに延び、各ロータディスク24に接続されている複数のロータブレード26とを含むことができる。次に、各ロータディスク24は、圧縮機セクション14を通って延びるシャフト22の一部に結合されるか、またはその一部を形成してもよい。
【0018】
タービンセクション18は、一般に、複数のロータディスク28(そのうちの1つが示されている)と、各ロータディスク28から半径方向外向きに延び、各ロータディスク28に接続されている複数のロータブレード30とを含むことができる。次に、各ロータディスク28は、タービンセクション18を通って延びるシャフト22の一部に結合されるか、またはその一部を形成してもよい。タービンセクション18は、シャフト22の一部およびロータブレード30を円周方向に囲む外側ケーシング31をさらに含み、それによってタービンセクション18を通る高温ガス経路32を少なくとも部分的に画定する。
【0019】
動作中、空気などの作動流体が入口セクション12を通って圧縮機セクション14に流入し、ここで空気が徐々に圧縮され、それにより加圧空気を燃焼セクション16の燃焼器に提供する。加圧空気は燃料と混合され、各燃焼器内で燃焼されて燃焼ガス34を発生する。燃焼ガス34は、高温ガス経路32を通って燃焼器セクション16からタービンセクション18に流入し、ここでエネルギー(運動エネルギーおよび/または熱エネルギー)が燃焼ガス34からロータブレード30に伝達されることにより、シャフト22が回転する。次いで、機械的回転エネルギーを圧縮機セクション14への動力供給および/または発電に使用することができる。タービンセクション18から排出された燃焼ガス34は次に、排気セクション20を介してガスタービン10から排気され得る。
【0020】
図2および図3は、本開示の実施形態によるロータブレードの実施形態を示している。示される実施形態では、ロータブレードは、タービンブレードまたはバケット30であるが、代替の実施形態では、ロータブレードは、圧縮機ブレードまたはバケット26であり得る。
【0021】
ロータブレード30は、翼形部36およびシャンク38を含む本体を含むことができる。翼形部36は、シャンク38から半径方向外向きに延びて位置決めされ得る。シャンク38は、ロータブレード30の回転を促進するためにロータディスク28に取り付けられ得る根元またはダブテール40を含み得る。
【0022】
翼形部36は、概して空気力学的輪郭を有し得る。例えば、翼形部36は、各々が前縁と後縁との間に延びる正圧側および負圧側を画定する外面を有し得る。シャンク38の外面は、正圧側面と、負圧側面と、前縁面と、後縁面とを含み得る。
【0023】
プラットフォーム42は、本体を概して囲むことができる。典型的なプラットフォームは、示すように、翼形部36とシャンク38との間の交差部または遷移部に位置決めされ得、概して軸方向および接線方向に外向きに延びることができる。タービンセクション18において、プラットフォーム42は、一般に、高温ガス経路32を通って流れる燃焼ガス34の半径方向内向きの流れ境界として機能する。プラットフォーム42はまた、軸方向に隔置された前縁面52および後縁面54を含むことができる。前縁面52は、燃焼ガス34の流れの中に位置決めされ、後縁面54は、前縁面52から下流に位置決めされる。さらに、プラットフォーム42は、円周方向に隔置された正圧側スラッシュ面56および負圧側スラッシュ面58を含み得る。
【0024】
いくつかの実施形態では、図2に示されるように、正圧側スラッシュ面56および/または負圧側スラッシュ面58は、概して平面であり得る(従来的には平面または傾斜していてもよい)。他の実施形態では、図3に示すように、正圧側スラッシュ面56および/もしくは負圧側スラッシュ面58またはその少なくとも一部は、曲面(curviplanar)であり得る。例えば、スラッシュ面56および/または58は、軸方向、半径方向、および/または接線方向に対して湾曲していてもよい。
【0025】
上述のように、複数のロータブレード30は、1つまたは複数のロータディスク28の各々に設けられ得、そこから半径方向外向きに延びることができる。ロータディスク28上に設けられたロータブレード30は円周方向アレイに組み立てることができ、それにより各ロータブレード30の正圧側スラッシュ面56は、ロータブレード30がそのように組み立てられたとき、各隣り合うロータブレード30の負圧側スラッシュ面58と対向する。図4は、一対の円周方向に隣接して隣り合うロータブレード30’、30’’を示している。示すように、ロータブレード30’’の正圧側スラッシュ面56は、ロータブレード30’、30’’がそのように位置決めされたとき、隣り合うロータブレード30’の負圧側スラッシュ面58と対向する。
【0026】
ここで図2図8を参照すると、本開示に従って、1つまたは複数のダンパスタック70がロータブレード30における溝60に設けられ得る。具体的には、溝60は、ロータブレード30のプラットフォーム42のスラッシュ面56、58に画定され得る。溝60は、概して軸方向に沿って延びることができる。ダンパスタック70は、図2および図3に示すように、溝60内に配置することができる。特に、例示的な実施形態では、ダンパスタック70の幅方向部分が溝60から突出し、それによりダンパスタック70はまた、本明細書で論じられるように組み立てられたとき、隣り合うロータブレード30の隣り合うスラッシュ面56、58に画定された溝60に接触する。
【0027】
各ダンパスタック70は、ロータブレード30のスラッシュ面56、58(例えば、正圧側スラッシュ面56または負圧側スラッシュ面58)内に配置されてそれらと接触することができ、示すように、概して軸方向に沿って、したがって概してそれぞれのスラッシュ面56、58の長さに沿って延びることができる。さらに、図4に示されるように、本開示によるダンパスタック70は、隣り合う円周方向に隣接するロータブレード30の隣り合う対向する正圧側スラッシュ面56または負圧側スラッシュ面58の間に配置され、それらと接触することができる。
【0028】
本開示によるダンパスタック70は、有利には、振動ダンパとして機能する。動作中、ダンパスタック70は、振動エネルギーを摩擦的に散逸させ、対応する振動の振幅を低減する。ダンパスタック70によって除去される振動エネルギーの量は、限定はしないが、ダンパスタック70の動的重量、スタック70の幾何学的形状、および隣接するロータブレード30’、30’’の間の反動荷重を含む、いくつかの要因の関数である。
【0029】
各ダンパスタック70は、溝60の線形または曲線形状に対応する端から端までの配置で配置された複数のダンパピン72を含み得る。各ダンパピン72は、ダンパスタック70内の隣り合うダンパピン72と接触することができる。本開示によるダンパスタック70の使用は、有利には、本開示によるロータブレード30の改善された減衰を提供する。例えば、本明細書に示されて説明される配置における複数の個別のダンパピン72の使用は、有利には、溝60内のダンパスタック70の各ダンパピン72によって、および隣接するロータブレード30’、30’’の溝60とのダンパスタック70の同時接触によって可能である個別の移動により、ダンパスタック70の長さ全体にわたって改善された減衰を提供する。さらに、そのようなダンパスタック70およびそれらに関連するダンパピン72は、複雑な平面、曲面、および/または部分的に曲面のプラットフォーム形状に適合することができる。
【0030】
ここで図5図8を参照すると、本開示によるダンパスタック70の様々な実施形態が示されている。論じられるように、ダンパスタック70は、複数のダンパピン72を含む。各ダンパピン72は、ダンパピン72の第1の端部74と第2の端部76との間に画定される長さ73を有する。ダンパピン72は、隣り合うダンパピン72の隣り合う端部74、76が互いに接触するように、長さ方向の線形アレイに配置することができる。
【0031】
例えば、複数のダンパピン72は、第1のダンパピン72’と、第2のダンパピン72’’とを含み得、これらの各々は、第1の端部74と第2の端部76との間に延びる。第1のダンパピン72’の第1の端部74は、第2のダンパピン72’’の第2の端部76に接触することができる。いくつかの実施形態では、第1のダンパピン72’の第2の端部76は、別の隣り合うダンパピン72に接触し得、および/または第2のダンパピン72’’の第1の端部74は、さらに別の隣り合うダンパピン72に接触し得る。
【0032】
ロータブレード30’、30’’との接触に加えて、隣り合うダンパピン72の間の接触は、ロータブレード30’、30’’の減衰のための重要な減衰機構を提供し得る。したがって、隣り合うダンパピン72の端部74、76は、そのような一次減衰を提供する適切な形状を有することができる。いくつかの実施形態では、隣り合うダンパピン72の接触する端部74、76は、相補的な球形形状を有し得る。例えば、図6および図7に示されるように、第1のダンパピン72’の第1の端部74は、外向き(凸面)の球形形状を有し得、第2のダンパピン72’’の第2の端部76は、内向き(凹面)の球形形状を有し得、またはその逆であってもよい。他の実施形態では、隣り合うダンパピン72の接触する端部74、76は、鏡像化された形状を有し得る。例えば、図8に示されるように、第1のダンパピン72’の第1の端部74および第2のダンパピン72’’の第2の端部76は、互いに当接する平坦な表面であり得る。他の適切な端部74、76の形状(円錐形、ドーム型、または他の相補的な形状など)は、その形状が適切な一次減衰を提供するという条件で利用されてもよい。
【0033】
ダンパピン72は、図示のいくつかの実施形態では、概して楕円形または円形の断面プロファイルを有し得る。あるいは、他の適切な形状の断面プロファイルが利用されてもよい。断面プロファイルは、一定であってもよいし、ダンパピン72の長さ73に沿って変化していてもよい。さらに、ダンパピン72は、任意の適切な断面サイズを有することができる。またさらに、ダンパピン72は、任意の適切な材料から形成することができる。形状、サイズ、および/または材料は、ダンパスタック70内の複数のダンパピン72について同一であってもよいし、またはダンパスタック70内のダンパピン72の1つまたは複数について変化していてもよい。
【0034】
論じられるように、複数のダンパピン72の各々は、長さ73を有し得る。いくつかの実施形態では、ダンパスタック70内のダンパピン72の長さ73は、同一であり得る。例えば、図6および図8に示すように、第1および第2のダンパピン72’、72’’の長さ73は、同一であり得る。他の実施形態では、図7に示すように、ダンパスタック70内の1つまたは複数のダンパピン72の長さ73は、スタック内の他のダンパピン72とは異なり得る。例えば、図7に示すように、第1のダンパピン72’の長さ73は、第2のダンパピン72’’の長さ73とは異なる場合がある。
【0035】
例示的な図示の実施形態では、複数のダンパピン72の各々は、中空の断面プロファイルを有し、したがって内部通路78は、ダンパピン72およびダンパスタック70を通して画定される。他の実施形態では、本開示によるダンパピン72およびダンパスタック70は、内部通路がそれらを通して画定されないように中実であり得る。
【0036】
さらに、示されるいくつかの実施形態では、ワイヤ80が、ダンパスタック70の1つまたは複数のダンパピン72を通って延びることができる。例えば、ワイヤ80は、内部通路78を通って、または別々に画定された内部通路を通って延びることができ、したがって通路78を空のままにすることができる。ワイヤ80は、一般に、ダンパピン72を共に接合することができる。他の実施形態では、他の適切な構成要素を利用してダンパピン72を共に接合してもよいし、またはダンパピン72を共に接合しなくてもよい。
【0037】
ダンパスタック70は、ダンパスタック70のそれぞれの端部の最も外側のダンパピン72であるエンドピン82を含み得る。エンドピン82は、軸方向に沿って互いに隔置されている。示すように、ダンパスタック70は、軸方向に沿って隔置された第1のエンドピン82’および第2のエンドピン82’’を含む。示されるいくつかの実施形態では、切り欠き部分84が、最も外側の端部74または76、すなわち、別のピン72と隣り合わない端部を含むピン82’、82’’の最も外側のセクションなどにおいて、そのような各エンドピン82’、82’’に画定され得る。この切り欠き部分84は、エンドピン82’、82’’の肩部86を画定する。肩部86は、例示的な実施形態では平坦な平面であり得る支持面88を含むことができる。
【0038】
いくつかの実施形態では、溝60は、溝60のそれぞれの端部などに、1つまたは複数の肩部スロット部分62を含む。そのような部分62は、例示的な実施形態では平坦な平面であり得る支持面64を画定する。これらの実施形態では、エンドピン82’、82’’の肩部86は、支持面88が支持面64に接触し得るように、そのような肩部スロット部分62内に配置され得る。したがって、ダンパスタック70は、溝60内で支持され得、使用および動作中の望ましくない回転は、低減または防止することができる。
【0039】
本明細書は、最良の態様を含む本発明を開示するため、およびどのような当業者も、任意のデバイスまたはシステムの作製および使用ならびに任意の組み込まれた方法の実施を含む本発明の実践を可能にするために、実施例を使用している。本発明の特許可能な範囲は、特許請求の範囲によって定義され、当業者が想到する他の実施例を含むことができる。そのような他の実施例は、特許請求の範囲の文言と異ならない構造要素を含む場合、あるいは特許請求の範囲の文言との実質的な相違がない同等の構造要素を含む場合、特許請求の範囲内にあることを意図している。
【符号の説明】
【0040】
10 ガスタービン
12 入口セクション
14 圧縮機セクション
16 燃焼器セクション
18 タービンセクション
20 排気セクション
22 シャフト
24 ロータディスク
26 ロータブレード
28 ロータディスク
30 ロータブレード
30’ ロータブレード
30’’ ロータブレード
31 外側ケーシング
32 高温ガス経路
34 燃焼ガス
36 翼形部
38 シャンク
40 根元/ダブテール
42 プラットフォーム
52 前縁面
54 後縁面
56 正圧側スラッシュ面
58 負圧側スラッシュ面
60 溝
62 肩部スロット部分
64 支持面
70 ダンパスタック
72 ダンパピン
72’ 第1のダンパピン
72’’ 第2のダンパピン
73 長さ
74 第1の端部
76 第2の端部
78 内部通路
80 ワイヤ
82 エンドピン
82’ 第1のエンドピン
82’’ 第2のエンドピン
84 切り欠き部分
86 肩部
88 支持面
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8