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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-02-21
(45)【発行日】2025-03-04
(54)【発明の名称】燃料供給所管理システム
(51)【国際特許分類】
   B67D 7/32 20100101AFI20250225BHJP
   G08B 25/00 20060101ALI20250225BHJP
   G08B 21/00 20060101ALI20250225BHJP
   A62C 3/06 20060101ALI20250225BHJP
   A62C 3/00 20060101ALI20250225BHJP
【FI】
B67D7/32 H
G08B25/00 510M
G08B21/00 E
A62C3/06 A
A62C3/00 H
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2021114445
(22)【出願日】2021-07-09
(65)【公開番号】P2023010359
(43)【公開日】2023-01-20
【審査請求日】2024-05-10
(73)【特許権者】
【識別番号】000004444
【氏名又は名称】ENEOS株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000001122
【氏名又は名称】株式会社国際電気
(73)【特許権者】
【識別番号】000110099
【氏名又は名称】トキコシステムソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002457
【氏名又は名称】弁理士法人広和特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】清水 陽一郎
(72)【発明者】
【氏名】門脇 正天
(72)【発明者】
【氏名】戸田 一浩
(72)【発明者】
【氏名】富樫 純一
(72)【発明者】
【氏名】野澤 健太郎
(72)【発明者】
【氏名】増田 彰
【審査官】山崎 孔徳
(56)【参考文献】
【文献】特開平11-278600(JP,A)
【文献】特開平05-020561(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B67D 7/32
G08B 25/00
G08B 21/00
A62C 3/06
A62C 3/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃料供給対象に燃料を供給する複数の燃料供給手段と、燃料供給手段が配置された燃料供給所を撮影するカメラと、前記燃料供給所で発生した火災を消火する消火手段と、前記燃料供給手段および前記消火手段を管理する管理手段と、
前記管理手段に設けられ、前記複数の燃料供給手段の供給状態が表示される表示手段と、
前記カメラにより撮影された画像から前記燃料供給所の火災発生箇所を特定する特定手段と、
前記特定手段により特定された前記火災発生箇所に対応する消火対象の前記燃料供給手段が予め記憶された記憶部と、
を備えた燃料供給所管理システムであって、
前記カメラにより撮影された画像から火災が発生したか否かを判定する判定手段と、
火災が発生したと前記判定手段が判定した場合に、前記表示手段に火災の発生を報知させる報知手段と、
を備えてなり、
前記報知手段は、前記判定手段により火災が発生したと判定した場合、前記表示手段に前記複数の燃料供給手段の供給状態に加え前記消火手段を起動するための領域を表示させ、かつ前記記憶部から前記判定手段により特定された前記火災発生箇所に対応する消火対象の前記燃料供給手段を報知させることを特徴とする燃料供給所管理システム。
【請求項2】
請求項に記載の燃料供給所管理システムであって、
記消火手段は、前記燃料供給手段に対応してそれぞれ複数設けられ、
前記記憶部は、前記複数台の消火手段が担当する消火担当区分が予め記憶されてなり、
前記表示手段に表示された領域が操作されることにより前記特定手段により特定された前記火災発生箇所に対応する前記消火担当区分を担当する前記消火手段を起動させる制御手段を備えたことを特徴とする燃料供給所管理システム。
【請求項3】
請求項2に記載の燃料供給所管理システムであって、
前記制御手段は、前記表示手段に表示された領域が操作されることにより前記特定手段により特定された前記火災発生箇所に対応する前記消火担当区分を担当する前記消火手段を起動させると共に、前記特定手段により特定された前記火災発生箇所に対応する消火対象の前記燃料供給手段による燃料供給を停止させることを特徴とする燃料供給所管理システム。
【請求項4】
請求項1,2または3に記載の燃料供給所管理システムであって、
前記報知手段は、前記判定手段により火災が発生したと判定された場合、前記判定手段により火災が発生したと判定された際の前記カメラの画像を前記表示手段に表示させることを特徴とする燃料供給所管理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、燃料の供給を行う燃料供給所に適用される燃料供給所管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、給油対象に燃料を供給する給油機と、給油所を撮影する監視カメラと、消火剤を噴射する消火設備と、給油機、監視カメラ等を制御するコントローラと、消火設備を制御する消火設備起動装置と、を備えた燃料供給システムが開示されている。この燃料供給システムは、給油所で火災が発生した場合、係員の目視によって火災の発生の有無、火災の発生場所を確認した後に、消火設備起動装置を操作して消火設備を起動し、火災の発生場所に向けて消火剤を噴射して消火を行っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2003-341800号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前述したように、特許文献1では、給油所で火災が発生した場合に、係員が目視で火災発生を確認した後に消火設備を起動するようになっている。このために、係員が給油者の手伝い等の現場対応を行っていて火災の発生に気付くのが遅れた場合には、火災発生から消火設備を起動するまでに時間を要してしまう可能性がある。
【0005】
本発明の一実施形態の目的は、火災が発生したことを係員に速やかに報知することで、係員による火災の対応を迅速に行うことができる燃料供給所管理システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一実施形態は、燃料供給対象に燃料を供給する複数の燃料供給手段と、燃料供給手段が配置された燃料供給所を撮影するカメラと、前記燃料供給所で発生した火災を消火する消火手段と、前記燃料供給手段および前記消火手段を管理する管理手段と、前記管理手段に設けられ、前記複数の燃料供給手段の供給状態が表示される表示手段と、前記カメラにより撮影された画像から前記燃料供給所の火災発生箇所を特定する特定手段と、前記特定手段により特定された前記火災発生箇所に対応する消火対象の前記燃料供給手段が予め記憶された記憶部と、を備えた燃料供給所管理システムであって、前記カメラにより撮影された画像から火災が発生したか否かを判定する判定手段と、火災が発生したと前記判定手段が判定した場合に、前記表示手段に火災の発生を報知させる報知手段と、を備えてなり、前記報知手段は、前記判定手段により火災が発生したと判定した場合、前記表示手段に前記複数の燃料供給手段の供給状態に加え前記消火手段を起動するための領域を表示させ、かつ前記記憶部から前記判定手段により特定された前記火災発生箇所に対応する消火対象の前記燃料供給手段を報知させることを特徴としている。
【発明の効果】
【0007】
本発明の一実施形態によれば、火災が発生したことを係員に速やかに報知することができ、係員による火災の対応を迅速に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の第1の実施形態による給油所管理システムを模式的に示す全体構成図である。
図2図1中の通信端末の表示形態の一例を示す説明図である。
図3】第1の実施形態による給油所管理システムの消火制御処理を示す流れ図である。
図4】本発明の第2の実施形態による給油所管理システムを模式的に示す全体構成図である。
図5】第2の実施形態による給油所管理システムの消火制御処理を示す流れ図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態による給油所管理システムを、添付図面に従って詳細に説明する。
【0010】
図1は、給油所管理システムを実施した給油所1を模式的に示している。図1において、給油所1の敷地には、複数台(例えば8台)の給油機21~28が設置されている。給油機21~28は、給油対象に燃料を供給する給油手段を構成している。給油機21~28は、例えば2つの給油系統を備えている。なお、給油機は、単一の給油系統を備えたものでもよく、3つ以上の給油系統を備えたものでもよい。
【0011】
また、給油所1には、複数台の監視カメラ31~3nが設けられている。複数の監視カメラ31~3nは、複数台の給油機21~28が配置された給油所1を監視する監視手段を構成している。監視カメラ31~3nは、給油所1への車両の出入り、給油レーンの状態、給油者による給油機21~28の操作状態、洗車機の状態、手洗い洗車場の状態、ピット(いずれも図示せず)の状態、等を監視するために、給油所1の全体を撮影している。監視カメラ31~3nは、後述のセルフサービスコントローラ6に無線または有線で接続されている。監視カメラ31~3nで撮影された画像は、セルフサービスコントローラ6に送信される。
【0012】
さらに、給油所1には、複数台の消火設備41~4nが設けられている。消火設備41~4nは、給油所1で発生した火災を消火する消火手段を構成している。消火設備41~4nは、一定の範囲に消火剤(水、強化液、泡、ガス、粉末のいずれか)を噴出することができる。消火設備41~4nは、給油機21~28、洗車機、手洗い洗車場、ピット等に向け、担当する範囲に消火剤を噴出する。消火設備41~4nは、セルフサービスコントローラ6に無線または有線で接続されている。消火設備41~4nは、後述の通信端末8によって起動することができる。
【0013】
複数台の給油機21~28、監視カメラ31~3nおよび消火設備41~4nは、給油所1の屋外に設置されている。
【0014】
給油所1には、管理室5が設けられている。管理室5(屋内)には、例えば、給油機21~28に対する給油許可の制御処理、火災を消火する消火制御処理等を行うセルフサービスコントローラ(以下「SSコントローラ」という)6と、販売時点情報管理を行うPOS端末(図示せず)と、が設けられている。
【0015】
SSコントローラ6は、後述する通信端末8(モニタ9)と共に、給油機21~28、監視カメラ31~3nおよび消火設備41~4nを管理する管理機(管理手段)である。具体的には、SSコントローラ6は、例えば、メインモニタ(画像表示手段)6Aと、後述の制御手段13、判定手段10、報知手段11と、を備えている。また、メインモニタ6A、制御手段13、判定手段10、報知手段11、は、それぞれ通信回線で接続されている。
【0016】
SSコントローラ6は、信号線7を介して、給油機21~28、監視カメラ31~3nおよび消火設備41~4nに接続されている。このとき、SSコントローラ6と給油機21~28、監視カメラ31~3nおよび消火設備41~4nとは、信号線7によるLAN(Local Area Network)によって相互に接続されている。なお、通信方式は、例えば、SS-LAN通信、Ethernet通信、Wi-Fi通信、Bluetooth(登録商標)通信、Wi-SUN通信、LTE通信、LPWA通信、ZigBee通信、WirelessHART通信、EnOcean通信等、どのような通信方式であっても構わない。これにより、SSコントローラ6と給油機21~28、監視カメラ31~3nおよび消火設備41~4nは、相互に各種の信号の送信と受信が可能となっている。また、SSコントローラ6は、無線方式の通信手段によって通信端末8に接続されている。
【0017】
通信端末8は、SSコントローラ6と同等の役割を持つ管理機(管理手段)である。通信端末8は、例えば、携帯可能なタブレット端末、スマートフォンである。通信端末8は、液晶パネル、有機ELパネル等からなるタッチ式のモニタ9(画像表示手段)を有している。また、通信端末8は、SSコントローラ6との間で信号の送信および受信が可能となっている。これにより、係員が通信端末8を操作したことにより、通信端末8からSSコントローラ6へ通信端末8の操作に相応する信号が送信される。そして、当該信号を受信したSSコントローラ6は、例えば、SSコントローラ6のメインモニタ6Aに当該信号に関する情報(例えば、給油中等)を表示させたり、当該信号に基づき、他の機器へ同じ信号を送信(例えば、給油機21~28へ給油許可信号を送信)したりする。また、逆に、SSコントローラ6が係員により操作された場合には、当該SSコントローラ6から通信端末8へSSコントローラ6の操作に相応する信号が送信され、当該信号を受信した通信端末8は、例えば、通信端末8のモニタ9に当該情報を表示させることができる。
【0018】
これにより、図2に示すように、通信端末8は、モニタ9に給油機21~28の稼働状態、給油所1の火災発生の報知等が表示される。また、通信端末8は、モニタ9をタッチすることで、給油許可信号等をSSコントローラ6に送信することができる。さらに、通信端末8は、モニタ9をタッチすることで、消火設備41~4nの起動信号等をSSコントローラ6に送信することができる。
【0019】
なお、通信端末8は、SSコントローラ6との間で相互に各種の信号の送信と受信が可能となっているが、これに限らず、SSコントローラ6と同様に、信号線を介して、給油機21~28、監視カメラ31~3nおよび消火設備41~4nに接続されてもよい。これにより、通信端末8は、係員によりモニタ9を操作することにより、給油許可信号や消火設備起動信号を、SSコントローラ6を介することなく、給油機や消火設備に送信することができるから、通信端末8から各種機器の管理を行うことができる。この場合、SSコントローラを要する必要がないので、システムの簡略化が図られる。
【0020】
モニタ9には、例えば、給油機21~28に個別に対応する選択ボタン9A1~9A8と、監視カメラ31~3nが撮影した画像のうち、後述する判定手段10より火災が発生したと判定された監視カメラ31~3nが撮影した画像を表示する表示部9Bと、給油機21~28の給油動作を一斉に停止するボタン9Cと、給油機21~28のうち、選択した給油機21~28の給油動作を停止するボタン9Dと、給油機21~28の給油動作を許可するボタン9Eと、消火設備41~4nを起動するボタン9Fと、を表示することができる。各ボタン9C~9Fは、モニタ9の個別の領域に表示されるタッチ式のスイッチである。なお、上述したモニタ9の表示は、一例を示したものであり、レイアウト、表示数等はこれに限るものではない。
【0021】
選択ボタン9A1~9A8、表示部9B、ボタン9C、ボタン9D、ボタン9E、ボタン9Fは、SSコントローラ6の出力信号を受信してモニタ9に表示される。また、選択ボタン9A1~9A8、ボタン9C~9Fは、係員によりタッチされることで、それぞれの動作信号をSSコントローラ6に向けて出力することができる。
【0022】
制御手段13は、SSコントローラ6に内蔵されており、各種機器の制御を行う。具体的には、メインモニタ6Aに画像を表示させたり、消火設備41~4nを起動させたりする。
【0023】
判定手段10は、例えば、SSコントローラ6に内蔵されている。判定手段10は、監視カメラ31~3nの監視内容から火災が発生したか否かを判定する。具体的には、監視カメラ31~3nが撮影した給油所1の画像から炎や煙を検知したときに、火災が原因で発生している炎や煙であるか否かを、AI(人工知能)の機械学習による画像認識技術により判定している。具体的には、判定手段10は、熱源が発する赤外線を画像認識することにより、所定の輝度以上となった、または所定の輝度以上の状態が所定時間継続した場合には、油が引火する虞のある危険な熱源、例えば煙草や着火したライター等を検出したと判定する。また、判定手段10は、単に輝度を検出する以外に、撮影した炎の大きさ、炎色、煙の量、煙色、形、流れ方等の赤外線の情報を基にして、火災が発生しているか否かを判定してもよい。さらに、監視カメラ31~3nの画像以外にも、物体から放出される赤外線を熱分布化させた画像(サーモグラフィー)等を利用して火災が発生したことを検知してもよいし、画像に限らず、例えば、煙検知センサや熱検知センサにより火災が発生したことを検知してもよい。
【0024】
報知手段11は、火災が発生したと判定手段10が判定した場合に、SSコントローラ6に火災の発生を報知させる。その報知手段11による報知方法は、判定手段10により火災が発生したと判定された際の監視カメラ31~3nの画像をSSコントローラ6のメインモニタ6Aと通信端末8のモニタ9(表示部9B)に表示させる。これにより、係員は、モニタ9の表示部9Bに表示された画像から給油所1内で火災が発生しことを把握でき、さらには、給油所1内のどこで火災が発生したのかを容易に把握することができる。それにより、係員は、SSコントローラ6を用いて最適な消火作業を選択し、直ちに消火作業に移行することができる。
【0025】
次に、図1ないし図3を参照して、第1の実施形態による給油所管理システムの制御手段13の消火制御処理について説明する。なお、図3に示す流れ図のステップは、それぞれ「S」という表記を用い、例えばステップ1を「S1」として示す。
【0026】
図1図2は、給油機24の近辺で火災が発生した場合の通信端末8のモニタ9を例示している。また、図3は、SSコントローラ6の消火制御処理を示している。なお、他の給油機21~23、25~28の近辺や他の場所で火災が発生した場合でも、給油所管理システムの消火制御処理は同様である。
【0027】
以下、制御手段13による給油所管理システムの消火制御処理について、図3の流れ図を参照しつつ説明する。図3のS1では、判定手段10は、複数台の監視カメラ31~3nから信号として送信される給油所1内の画像情報から、給油所1内に異常が無いかを監視する。S2では、監視カメラ31~3nから信号として送信される給油所1内の画像情報から火災を検知したか否かを判定手段10によって判定する。具体的には、判定手段10は、熱源が発する赤外線を画像認識することにより、所定の輝度以上となった、または所定の輝度以上の状態が所定時間継続した場合には、油が引火する虞のある危険な熱源、例えば煙草や、着火したライター等を検出したと判定する。
【0028】
ここで、判定手段10にて火災を検知した場合、S2で「YES」と判定し、通信端末8およびメインモニタ6Aへ火災と判定した画像に関する情報を送信してS3に進む。このS3では、通信端末8およびメインモニタ6Aは受信した火災と判定した画像に関する情報に基づきメインモニタ6Aの表示部(図示せず)と通信端末8のモニタ9の表示部9Bとに、判定手段10が火災と判定した画像、即ち、給油機24の近辺の画像を表示する。この場合、給油機24に対応する選択ボタン9A4には、火災を示す炎マーク12を表示することで、火災の発生箇所を係員に明確に報知する。これにより、係員は、SSコントローラ6、通信端末8により表示された画像情報から火災が発生したことを把握することができる。
【0029】
画像および炎マーク12を表示させた後、通信端末8およびメインモニタ6Aへ「停止」+「消火」ボタンを表示させるための信号を送信してS4に進む。S4では、SSコントローラ6のメインモニタ6Aの表示部(図示せず)と通信端末8のモニタ9の表示部9Bに、「停止」+「消火」ボタン9Fを表示させる。そして、S5では、係員により「停止」+「消火」ボタン9Fが押下されたか否かを判定し、押下された場合は全ての消火設備41~4nを起動させるための信号を消火設備41~4nに送信してS6に進み、押下されない場合はS7に進む。S6では、全ての給油機21~28の給油を停止させると共に全ての消火設備41~4nを起動させる。それにより、火災を消火することができる。また、S7では、所定時間経過したか否かを判定し、所定時間経過してないと判定された場合には、S5に戻り、所定時間経過した場合には、S8に進み、消防署、管理会社、警備会社等へ報知させる。これにより、係員は、火災が発生したことを報知したSSコントローラ6、通信端末8を用いて、消火設備41~4nを起動させることができるため、火災への対応を迅速に行うことができる。
【0030】
かくして、本実施形態によれば、複数台の給油機21~28が配置された給油所1を監視する監視カメラ31~3nの監視内容から火災が発生したか否かを判定する判定手段10と、火災が発生したと判定手段10が判定した場合に、SSコントローラ6のメインモニタ6Aと通信端末8のモニタ9に火災の発生を報知させる報知手段11と、を備えている。
【0031】
従って、給油所1で火災が発生した場合には、係員が火災を目視で確認してから消火設備を起動するのではなく、通信端末8のモニタ9を見るだけで、離れた場所から火災を確認して対処することができる。これにより、係員は、火災の発生に容易に気付くことができ、火災発生から短時間で消火設備41~4nを起動することができる。この結果、火災が発生したことを係員に速やかに報知することができ、係員による火災の対応を迅速に行うことができる。
【0032】
また、報知手段11は、判定手段10により火災が発生したと判定された際の監視カメラ31~3nの画像を通信端末8のモニタ9等に表示させることができる。これにより、火災の発生箇所を係員に知らせることができ、火災の対処を正しく行うことができる。
【0033】
次に、図4および図5は第2の実施形態を示している。第2の実施形態の特徴は、燃料供給手段および消火手段は、それぞれ複数設けられ、管理手段は、複数台の消火手段が担当する消火担当区分が予め記憶された記憶手段と、監視カメラにより撮影された画像から燃料供給所の火災発生箇所を特定する特定手段と、を備え、報知手段は、判定手段により燃料供給所で火災が発生したと判定された場合に、操作されることにより特定手段により特定された火災発生箇所に対応する消火担当区分を担当する消火手段を起動するための領域をモニタに表示させる点にある。なお、第2の実施形態では、第1の実施形態と同一の構成要素に同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0034】
図4において、第2の実施形態によるSSコントローラ21は、第1の実施形態によるSSコントローラ6と同様に、メインモニタ21A、判定手段10、報知手段11を備えている。但し、記憶手段22、特定手段23を備えている点で、第2の実施形態のSSコントローラ21は、第1の実施形態のSSコントローラ6と相違している。
【0035】
記憶手段22は、複数台の消火設備41~4nが担当する消火担当区分を予め記憶している。この場合、消火設備41~4nの消火担当区分は、消火設備41~4nの性能(消火剤の噴霧範囲、性状等)を基にして設定されている。また、消火設備41~4nの消火担当区分は、例えば、消火剤が届かない場所が無いように隣同士の一部が重なっている。また、記憶手段22には、消火設備と同様に消火対象となる給油機が予め記憶されている。
【0036】
特定手段23は、監視カメラ31~3nにより撮影された画像から給油所1の火災発生箇所を特定する。特定手段23は、例えば、監視カメラ31~3nの撮影範囲を予め複数の区画に細分化している。この上で、特定手段23は、火災の現場を撮影している監視カメラ31~3nを特定すると共に、特定した監視カメラ31~3nが撮影している画像のうち、どの区画で火災が発生しているか特定する。それにより、消火設備41~4nのうち起動すべき消火設備と、給油機21~28のうち停止すべき給油機とを特定できる。
【0037】
次に、図5を参照して、第2の実施形態による給油所管理システムの消火制御処理について説明する。なお、S1~S3までは第1の実施形態と同様であるので省略する。
【0038】
S3で画像および炎マーク12を表示させたらS11に進む。S11では、特定手段23による火災の発生箇所が特定できたか否かを判定手段10によって判定する。火災の発生箇所が特定できた場合、S11で「YES」と判定し、S12に移行する。S12では、S11で特定した火災の発生箇所に対応する消火設備41~4nがあるか否かを判定手段10によって判定する。火災の発生箇所に対応する(火災を消火できる)消火設備41~4nがある場合、S12で「YES」と判定し、S13に移行する。
【0039】
S13では、SSコントローラ21によって、メインモニタ21Aの表示部と通信端末8のモニタ9の表示部9Bとに、給油機21~28のうち、前記特定手段により、特定された火災の発生箇所に対応する給油機の給油を停止させる「停止」ボタンと、S12で特定した消火設備41~4nのうちいずれかの消火設備を起動するための起動スイッチとなる「消火」ボタン(図示せず)と、を操作可能な領域として表示する。S13に続く処理は、前述した第1の実施形態のS5以降と同様であるので省略する。
【0040】
これにより、係員は、起動スイッチ(領域)を操作して選択された消火設備だけを起動させることで、火災を消火することができる。さらに、給油所1の敷地のうち、火災が発生していない場所には、消火剤が撒かれないようにすることができる。
【0041】
一方、S11で「NO」と判定された場合には、例えば、煙が広がっていて火災の位置が特定できない場合や車両等の陰で火災の位置が特定できない場合等が考えられる。また、S12で「NO」と判定された場合には、火災の発生箇所に対応する消火設備41~4nが無いことになる。従って、S11またはS12で「NO」と判定された場合には、S14に移り、メインモニタ21Aや通信端末8に画像やアラームで異常を報知し、係員を呼び出す。
【0042】
かくして、第2の実施形態でも、第1の実施形態とほぼ同様の作用効果を得ることができる。しかも、第2の実施形態は、SSコントローラ21は、複数台の消火設備41~4nが担当する消火担当区分および当該消火担当区分に対応する給油機21~28が予め記憶された記憶手段22と、監視カメラ31~3nにより撮影された画像から給油所1の火災発生箇所を特定する特定手段23と、を備えている。また、報知手段11は、判定手段10により給油所1で火災が発生したと判定された場合に、係員に操作されることにより、消火設備41~4nのうち、特定手段23により特定された火災発生箇所に対応する消火担当区分を担当する消火設備を起動すると共に、給油機21~28のうち、消火担当区分に対応する給油機を停止するためのスイッチ(領域)をメインモニタ21Aの表示部と通信端末8のモニタ9とに表示させる。
【0043】
これにより、係員は、迷うことなく、給油機21~28のうち、消火担当区分に対応する給油機を停止でき、かつ消火設備41~4nのうち、火災を消火するのに最適な消火設備を起動することができる。この結果、火災を短時間で消化することができる。しかも、給油所1の敷地のうち、火災が発生していない場所は、消火剤が撒かれることがない。従って、消火後の清掃作業を省略することができる。また、消火剤の使用量を削減することができる。
【0044】
なお、各実施形態では、8台の給油機21~28を備えた給油所1を例に挙げて説明したが、本発明は、1台の給油機を備えた給油所に適用してもよく、2台~7台の給油機を備えた給油所に適用してもよく、9台以上の給油機を備えた給油所に適用してもよい。また、上述の実施態様では、1個の通信端末8を備えた給油所1を例に挙げて説明したが、本発明は、2個以上の通信端末を備えた給油所に適用してもよい。
【0045】
第1の実施形態では、S6の処理で全ての給油機21~28を停止させた場合を例示したが、火災が及ぶ範囲の給油機を特定し、特定した給油機だけを停止させるようにしてもよい。
【0046】
また、第2の実施形態では、消火設備41~4nのうち、火災の発生箇所に対応する消火設備を起動した場合を例に挙げて説明した。本発明はこれに限らず、火災の発生箇所に対応する2台以上の消火設備41~4nを起動して消火を行う構成としてもよい。また、特定の給油機のみを停止させる場合を例に挙げて説明したが、これに限らず、係員により「停止」+「消火」ボタンが押下されると、全給油機が停止され、かつ火災の発生箇所に対応する消火設備が起動する構成としてもよい。
【0047】
また、各実施形態では、液体燃料を車両等へ供給する給油機を例に挙げて説明したが、本発明はこれに限らず、CNGやLPG等の燃料を車両等に供給する燃料供給機が備えられた燃料供給所に適用してもよい。
【0048】
また、各実施形態においては、火災が発生したと判定された場合、モニタ9に「消火」ボタン9Fが表示され、このボタン9Fが押下されることにより、消火設備41~4nが起動する構成である。しかし、本発明はこれに限らず、例えば、モニタに「消火」ボタンが常時表示され、表示された「消火」ボタンが押下されることにより消火設備41~4nを起動させてもよい。これにより、判定手段10の火災発生有無の判定によらず、係員は「消火」ボタンが操作でき、係員の任意のタイミングで消火設備41~4nを起動させることができる。また、常時表示されている「消火」ボタンは、全ての消火設備を起動させるためのものでもよいし、前述した判定手段10により火災が発生したと判定された場合、特定手段23により特定された火災の発生箇所に対応する消火設備のみを起動させるためのものでもよい。さらに、モニタに常時表示されている停止ボタンが押下されることにより、「消火」ボタンがモニタに表示されてもよい。これにより、常時、「消火」ボタンを表示させることがないので、画面レイアウトの簡略化を図ることができる。
【0049】
また、各実施形態では、火災が発生したと判定された場合に、モニタ9に「消火」ボタン9Fが表示される構成となっている。しかし、本発明はこれに限らず、例えば、炎マーク12が表示された選択ボタンが押下されることにより、「消火」ボタンが表示されてもよい。また、複数の箇所で火災が発生し、複数の選択ボタンに炎マークが表示された場合には、係員が選択した選択ボタンに対応する消火設備を起動させる「消火」ボタンが表示されてもよい。具体的には、複数の選択ボタンに炎マークが表示された場合、複数の選択ボタンのうち、特定の選択ボタン(早急に消火させたい給油機周辺のエリアに対応するボタン)を係員が選択(押下)すると、当該特定の選択ボタンが選択されたことが表示(選択ボタンの表示エリアの外縁に色表示、表示エリアの点滅等)され、当該モニタに選択ボタンに対応する画像および「消火」ボタンが表示される。そして、係員は、「消火」ボタンを押下することにより、選択した選択ボタンに対応する箇所を消化するための消火設備を起動させることができる。これにより、複数の箇所で火災が発生した場合において係員が指定する消火設備を起動させることができ、迅速に消火対応を行うことができる。
【0050】
次に、上記実施形態に含まれる給油所管理システムとして、例えば、以下に述べる態様のものが考えられる。
【0051】
第1の態様としては、燃料供給対象に燃料を供給する燃料供給手段と、燃料供給手段が配置された燃料供給所を監視する監視手段と、前記燃料供給所で発生した火災を消火する消火手段と、前記燃料供給手段、前記監視手段および前記消火手段を管理する管理手段と、を備えた燃料供給所管理システムであって、前記監視手段の監視内容から火災が発生したか否かを判定する判定手段と、火災が発生したと前記判定手段が判定した場合に、前記管理手段に火災の発生を報知させる報知手段と、を備えていることを特徴としている。
【0052】
第2の態様としては、第1の態様において、前記監視手段は、前記燃料供給所を撮影する監視カメラであり、前記管理手段は、画像を表示する画像表示手段を備えており、前記報知手段は、前記判定手段により火災が発生したと判定された際の前記監視カメラの画像を前記画像表示手段に表示させることを特徴としている。
【0053】
第3の態様としては、第2の態様において、前記燃料供給手段および前記消火手段は、それぞれ複数設けられ、前記管理手段は、前記複数台の消火手段が担当する消火担当区分が予め記憶された記憶手段と、前記監視カメラにより撮影された画像から前記燃料供給所の火災発生箇所を特定する特定手段と、を備え、前記報知手段は、前記判定手段により前記燃料供給所で火災が発生したと判定された場合に、前記特定手段により特定された前記火災発生箇所に対応する前記消火担当区分を担当する前記消火手段を起動するための領域を前記画像表示手段に表示させてなり、当該画像表示手段に表示された領域が操作されることにより前記特定手段により特定された前記火災発生箇所に対応する前記消火担当区分を担当する前記消火手段を起動させる制御手段を備えたことを特徴としている。
【0054】
第4の態様としては、第1または2の態様において、前記管理手段は、係員が携帯する通信端末であることを特徴としている。
【符号の説明】
【0055】
1 給油所
1~28 給油機(給油手段)
1~3n 監視カメラ(監視手段)
1~4n 消火設備(消火手段)
6,21 セルフサービスコントローラ(管理手段)
6A,21A メインモニタ(画像表示手段)
8 通信端末(管理手段)
9 モニタ(画像表示手段)
10 判定手段
11 報知手段
22 記憶手段
23 特定手段
図1
図2
図3
図4
図5