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特許7638835代替経路検索システム及び代替経路検索方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-02-21
(45)【発行日】2025-03-04
(54)【発明の名称】代替経路検索システム及び代替経路検索方法
(51)【国際特許分類】
   G01C 21/26 20060101AFI20250225BHJP
   G08G 1/005 20060101ALI20250225BHJP
   G06Q 50/40 20240101ALI20250225BHJP
【FI】
G01C21/26 P
G08G1/005
G06Q50/40
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2021148653
(22)【出願日】2021-09-13
(65)【公開番号】P2023041338
(43)【公開日】2023-03-24
【審査請求日】2024-06-12
(73)【特許権者】
【識別番号】000233491
【氏名又は名称】株式会社日立システムズ
(74)【代理人】
【識別番号】110000062
【氏名又は名称】弁理士法人第一国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】阿彦 成人
【審査官】貞光 大樹
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-27790(JP,A)
【文献】特開2011-185780(JP,A)
【文献】特開2014-41022(JP,A)
【文献】特開2019-15622(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01C 21/00 - 21/36
G08G 1/00 - 1/16
G06Q 10/00 - 10/30
G06Q 30/00 - 30/08
G06Q 50/00 - 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
処理部と、表示装置とを備え、
前記処理部は、鉄道路線の対象駅に対して、鉄道路線の他の駅までのバスの代替経路を検索して、当該検索結果を前記表示装置に送信し、
前記表示装置は、受信した前記検索結果に基づき、前記対象駅に対するバスの代替経路の一覧を表示し、
前記一覧には、前記バスの代替経路で行ける他の駅名である乗換可能駅名、乗換可能駅の鉄道路線である乗換可能路線名、前記バスの代替経路による移動時間、前記バスの代替経路による移動時間に対する平常時の鉄道経路による移動時間の差、の情報を前記バスの代替経路ごとに含むことを特徴とする代替経路検索システム。
【請求項2】
請求項1に記載の代替経路検索システムにおいて、
前記処理部は、前記バスの代替経路による移動時間は、時間帯毎にバス路線の停留所間の移動にかかる平均時間の情報を記録した時間帯別平均時間マスタを利用して、現在の移動時間算出することを特徴とする代替経路検索システム。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の代替経路検索システムにおいて、
前記表示装置は、駅に設置された表示装置であり、前記処理部は、検索結果の送信先の前記表示装置が設置してある駅を前記対象駅として検索することを特徴とする代替経路検索システム。
【請求項4】
請求項3に記載の代替経路検索システムにおいて、
前記処理部は、運転見合わせの情報を取得した場合、運転見合わせの対象となる駅の代替経路を検索して、駅に設置された前記表示装置にその駅を前記対象駅とした検索結果を送信することを特徴とする代替経路検索システム。
【請求項5】
請求項1又は請求項2に記載の代替経路検索システムにおいて、
入力装置を備え、
前記入力装置は、入力された駅の情報を前記処理部に送信し、前記処理部は受信した駅の情報を前記対象駅とすることを特徴とする代替経路検索システム。
【請求項6】
請求項5に記載の代替経路検索システムにおいて、
前記入力装置は、前記入力装置の位置情報に基づき、前記入力装置の位置に一番近い駅を前記対象駅の候補とすることを特徴とする代替経路検索システム。
【請求項7】
請求項1から請求項6のいずれか一項に記載の代替経路検索システムにおいて、
前記表示装置は、表示された平常時の鉄道経路による移動時間と前記バスの代替経路による移動時間の差の項目が選択されると、前記バスの代替経路による移動時間から平常時の鉄道経路による移動時間を引いた値が小さい順となるように表示を並べ替える機能を備える代替経路検索システム。
【請求項8】
処理部により、鉄道路線の対象駅に対して、鉄道路線の他の駅までのバスの代替経路を検索して、当該検索結果を表示装置に送信するステップと、
前記表示装置により、受信した前記検索結果に基づき、前記対象駅に対するバスの代替経路の一覧を表示するステップとを含み、
前記一覧には、前記バスの代替経路で行ける他の駅名である乗換可能駅名、乗換可能駅の鉄道路線である乗換可能路線名、前記バスの代替経路による移動時間、前記バスの代替経路による移動時間に対する平常時の鉄道経路による移動時間の差、の情報を前記バスの代替経路ごとに含むことを特徴とする代替経路検索方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、代替経路検索システム及び代替経路検索方法に関し、特に、鉄道から乗換可能なバスにおける代替経路を検索可能な代替経路検索システム及び代替経路検索方法に関する。
【背景技術】
【0002】
鉄道の乗車路線を利用中にその路線の鉄道が運転を見合わせた場合、目的地に行くためには他の経路を利用する必要がある。このため、利用者は他の経路による移動を試みようとするため、代替経路の検索を行うことが多い。そして、その駅からの移動を試みる場合は、鉄道路線が存在する場合は他の鉄道路線による代替経路を検索することが想定される。一方、他の鉄道路線に乗り換えることができない場合も多く、この場合はバスによる代替経路も検索する必要がある。
【0003】
例えば、特許文献1には、取得された第1の位置情報及び第2の位置情報を用いて、第1の位置情報により示される位置から第2の位置情報により示される位置へと移動するための経路であって所定の経路と異なる経路を特定する特定手段を備える情報処理装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2019-27790号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
バスによる検索をする場合、駅(対称駅)の最寄バス停を出発地としたバス経路を検索する必要がある。しかしながら、一般的な経路検索システムは出発地と到着地を指定するため、対象駅の最寄バス停からのバス路線の情報を把握していないと経路検索が難しい。また、一般的にバス路線での移動は本来の鉄道経路より時間が掛かるが、どの程度のタイムロスが発生するのかの情報は経路検索システムを利用しても容易に検索することができない。さらに、利用者にとって、バスによる代替経路は全体を分かり易く把握することが好ましいが、対称駅を基準として全体を分かり易くする表示は存在しなかった。
【0006】
利用者にとって、代替経路の検索ができない場合、もしくは、的確な情報を取得できない場合は、駅係員へ問い合わせるか、駅のバス案内を確認する必要がある。しかし、運転見合わせ時は、駅係員も多数の問合せ業務が発生し、利用者はタイムリーな確認ができない場合が多い。また、駅係員の負担も増大する結果となる。
【0007】
また、特許文献1は、第1の位置情報により示される位置から第2の位置情報により示される位置への移動の経路を特定するものであるが、バスによる経路をどのように特定するかについては示されていない。また、対称駅を基準としてバス路線の代替経路の一覧を表示するものではない。
【0008】
本発明は、上記課題に鑑みて、対象駅からのバスの代替経路の検索結果を的確で分かりやすく表示できる代替経路検索システム及び代替経路検索方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するため、代表的な本発明の代替経路検索システムの一つは、処理部と、表示装置とを備え、前記処理部は、鉄道路線の対象駅に対して、鉄道路線の他の駅までのバスの代替経路を検索して、当該検索結果を前記表示装置に送信し、前記表示装置は、受信した前記検索結果に基づき、前記対象駅に対するバスの代替経路の一覧を表示し、前記一覧には、前記バスの代替経路で行ける他の駅名である乗換可能駅名、乗換可能駅の鉄道路線である乗換可能路線名、前記バスの代替経路による移動時間、平常時の鉄道経路による移動時間と前記バスの代替経路による移動時間の差、の情報を前記バスの代替経路ごとに含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、代替経路検索システム及び代替経路検索方法において、対象駅からのバスの代替経路の検索結果を的確で分かりやすく表示できる。
上記以外の課題、構成及び効果は、以下の実施形態により明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の代替経路検索システムの一実施形態を示すブロック図である。
図2】本発明の代替経路検索システムの処理の一例を示すフローチャートである。
図3】本発明の代替経路検索システムの具体例を説明するための路線図である。
図4】本発明の代替経路検索システムの停留所マスタの一例を示す図である。
図5】本発明の代替経路検索システムの系統マスタの一例を示す図である。
図6】本発明の代替経路検索システムの乗換可能駅マスタの一例を示す図である。
図7】本発明の代替経路検索システムの時間帯別平均時間マスタの一例を示す図である。
図8】本発明の代替経路検索システムのA駅基準での検索結果の一例を示す図である。
図9】本発明の代替経路検索システムのE駅基準での検索結果の一例を示す図である。
図10】本発明の代替経路検索システムのJ駅基準での検索結果の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明を実施するための形態を説明する。
【0013】
図1は、本発明の代替経路検索システムの一実施形態を示すブロック図である。
【0014】
図1では、サーバ11、記録部13、表示装置15、入力装置16、を備えている。図1では、サーバ11、表示装置15、入力装置16は、ネットワーク20の介している構成を示している。ここでの代替経路検索システムは、クライアントサーバシステムとして適用してもよい。
【0015】
サーバ11は、処理部12を備えて、後述する代替経路検索のための処理を行う。処理部12は、例えば、CPU(Central Processing Unit)等のプロセッサやメモリなど、代替経路検索のための処理に必要な各種のデバイスを備えている。
【0016】
記録部13は、代替経路検索のために必要は情報を保持する。また、代替経路検索の結果の情報を保持する。具体的な情報は図4~10で後述する。記録部13は、例えば、HDD(Hard Disk Drive)やSSD(Solid State Drive)など、情報を記録するために必要なデバイスを備えている。図1では、記録部13は、サーバ11と接続する構成を示しているが、ネットワーク20と直接接続されていてもよい。
【0017】
表示装置15は、処理部12で処理をした代替経路検索の結果に基づき必要な情報を表示する。表示装置15は、利用者毎や駅毎に備えることができ、1つの処理部12で複数の表示装置15に対応してもよい。表示装置15は、例えば、液晶ディスプレイや有機EL(OEL)ディスプレイなど、表示を行うために必要なデバイスを備えている。また、表示装置15には、プロセッサ等を有する処理部を備えていて、表示を行うための必要な処理を行ってもよい。なお、表示装置15は、持ち運び可能な構成とすることもでき、また、駅に設置する表示装置(例えば、電子的な表示版であるデジタルサイネージ等)としてもよい。この場合、デジタルサイネージでは鉄道の運転見合わせの情報を表示するとともに、代替経路検索の結果を併せて表示させてもよい。
【0018】
入力装置16は、利用者が代替経路検索のために必要な情報を入力できる装置である。例えば、タッチパネルの構成としてもよいし、キーボードやマウスなどを用いてもよい。入力装置16は、表示装置15と一体に構成してもよい。タッチパネルの構成なら、表示と入力の機能を兼ねることが可能となる。この場合、スマートフォンやダブレットPC等を適用可能である。なお、入力装置16には、その入力装置16の現在の位置を特定するシステムを搭載していてもよい。例えば、GPS等の衛星測位システム等である。
【0019】
ネットワーク20は、インターネットなどのネットワークである。これにより、多数の表示装置15に対して処理部12から代替経路検索の結果を送信することが可能となる。
【0020】
図2は、本発明の代替経路検索システムの処理の一例を示すフローチャートである。ここでの処理は、処理部12で行うことができる。
【0021】
最初にS101では、対象駅の情報が処理部12に入力される。対象駅は、そこの駅を起点として、バスによる代替経路を検索したい駅である。ここでの情報の入力は、例えば、利用者が入力装置16で対象駅の情報を入力した場合は、その情報が入力される。さらに、入力装置16の位置情報に基づき入力される駅の情報としてもよい。また、表示装置15が駅に固定して設置されたデジタルサイネージなどの場合は、その駅を対象駅とすればよい。例えば、運転見合わせの発生情報に基づき、該当する駅の代替経路を自動で検索するようにしてもよい。
【0022】
次にS102では、対象駅に隣接する停留所から乗換可能駅マスタに登録されている乗換可能駅を検索する。乗換可能駅はその対象駅からバス路線で行ける鉄道路線の他の駅である。ここでの鉄道路線は他の鉄道路線であると、運転見合わせを避けることができるため好ましい。乗換可能マスタには、所定の駅に対してバス路線による乗換可能駅の情報が登録されており、この情報から乗換可能駅が検索される。
【0023】
次にS103では、乗換可能駅への代替経路のバス路線を検索して移動時間を算出する。代替経路のバス路線は、バス路線の系統が格納された系統マスタから取得できる。また、移動時間は、系統毎に時間帯毎の所要時間が格納された時間帯別平均時間マスタから算出できる。この場合、対象駅に隣接する停留所から乗換可能駅に隣接する停留所まで、その時間帯におけるバスによる代替経路の合計所要時間が算出される。
【0024】
次にS104では、対象駅から乗換可能駅までの鉄道経路による平均移動時間を検索する。これは、運転見合わせなどが起きていない平常時に鉄道の経路でかかる移動時間を算出する。この情報は、記録部13等に保持した鉄道のダイヤ情報等を用いることで可能となる。
【0025】
次にS105では、鉄道平均移動時間とバス路線の移動時間との差を計算して鉄道経路との時間差を算出する。鉄道平均移動時間はS104で算出された時間である。バス路線の移動時間はS103で算出されたバスによる代替経路ごとの合計所要時間である。これらの移動時間の差はバスによる代替経路ごとに鉄道平均移動時間と比較して算出される。
【0026】
次にS106では、対象駅から乗換可能駅に向けて乗換可能なバス情報を含む検索結果を作成する。ここでの検索結果の作成は、S102~S105の情報に基づき作成することができる。この検索結果は、対象駅に対して算出できる代替経路をすべて算出して、検索の対象となった対象駅に合わせた情報として作成される。
【0027】
次にS107では、検索結果を表示装置に送信する。上記S106で算出した検索結果を対応する表示装置15に送信する。表示装置15では、その情報に基づき検索結果の情報が表示される。この情報はバスによる代替経路ごとに表示される
【0028】
図3は、本発明の代替経路検索システムの具体例を説明するための路線図である。具体例として、図3に示すような路線図を用いて説明する。
【0029】
図3の例では、鉄道路線として、路線AAA、路線EEE、路線JJJの3つの路線が存在する。そして、路線AAAにはA駅が、路線EEEにはE駅が、路線JJJにJ駅が存在する。ここでのバス路線はA駅とE駅の間、E駅とJ駅の間に存在するケースである。
【0030】
図4は、本発明の代替経路検索システムの停留所マスタの一例を示す図である。
【0031】
停留所マスタは、停留所ごとの位置情報が記録されている。位置情報は経緯と緯度で示されている。この情報をもとに図5の系統マスタと合わせて移動経路を特定することが可能となる。例えば、地図上で停留所ごとの位置を特定することで、そのバスの移動経路を地図上に表示可能となる。
【0032】
図5は、本発明の代替経路検索システムの系統マスタの一例を示す図である。
【0033】
系統マスタは、図2のS103で利用される。「系統名」、「順序」、「停留所名」、「上下フラグ」の項目が記録されている。「系統名」はバス路線の系統を示す。図5の例では、「東01」と「西20」の2つの系統が示されている。「順序」は停留所に停まる順序を数字で示す。「停留所名」は、バスが停まる停留所であり、停留所マスタの位置情報とリンクさせることが可能となる。「上下フラグ」は、上り路線か下り路線かを特定する。これは、上りと下りでバスが停車する停留所が異なったり、異なる路線を通ったりする場合があるためであり、上りと下りで別々に情報を保有する。これらのように、系統マスタは、バス路線のどの系統が、どの順番で停留所に停まるかということを特定できる。
【0034】
図6は、本発明の代替経路検索システムの乗換可能駅マスタの一例を示す図である。
【0035】
乗換可能駅マスタは図2のS102で利用される。乗換可能駅マスタは、「出発駅駅名」、「出発駅停留所名」、「出発停留所番号」、「系統名」、「上下フラグ」、「バス方面名」、「乗換可能駅停留所名」、「乗換可能駅名」、「乗換可能路線名」の項目が記録されている。
【0036】
「出発駅」は、乗換可能駅へ向かうためバス路線に乗り換え可能な鉄道路線の駅である。「出発駅停留所名」は、「出発駅駅名」で特定する駅に隣接する停留所名である。その系統で出発駅に一番近い停留所となる。出発駅と出発駅停留所は、所定時間内(例えば5分以内等)に徒歩で移動可能な距離に存在する。「出発停留所番号」は、「出発停留所」を特定するための管理番号である。「系統名」は、バス路線の系統を示し、図5の系統マスタの「系統名」と対応している。「上下フラグ」は、上り路線か下り路線かを特定し、図5の系統マスタの「上下フラグ」と対応している。「バス方面名」は、どの方面(駅)へ向かうバスであるかの情報である。「乗換可能駅停留所名」は、「乗換可能駅名」で特定する駅に隣接する停留所名である。その系統で乗換可能駅に一番近い停留所となる。乗換可能駅と乗換可能駅停留所は、所定時間内(例えば5分以内等)に徒歩で移動可能な距離に存在する。「乗換可能駅」は、出発駅とは異なる鉄道の駅である。「乗換可能路線名」は、乗換可能駅を通っている鉄道路線を示している。
【0037】
このように、乗換可能駅マスタは、どの駅からどの別の駅に、どのバス路線が走っているかを記録した情報である。図6の例では、A駅から系統「東01」の「下り」によりE駅に向かうことができる。また、E駅から系統「東01」の「上り」によりA駅に向かうことができる。また、E駅から系統「西20」の「上り」によりJ駅に向かうことができる。また、J駅から系統「西20」の「下り」によりE駅に向かうことができる。
【0038】
図7は、本発明の代替経路検索システムの時間帯別平均時間マスタの一例を示す図である。
【0039】
時間帯別平均時間マスタは、図2のS103で利用される。時間帯別平均時間マスタは、「系統名」、「順序」、「停留所名」、「上下フラグ」、「次の停留所までの平均時間」の項目が記録されている。「系統名」、「順序」、「停留所名」、「上下フラグ」は、図4の系統マスタと同様である。時間帯別平均時間マスタは、時間帯毎にバス路線の停留所間の移動にかかる平均時間の情報を記録している。
【0040】
「次の停留所までの平均時間」は、その停留所から次の停留所名までのバスによる移動にかかる時間帯ごとの平均の所要時間を示している。これは、あらかじめデータを収集しておくことで平均時間を算出して記録しておける。図7では、5時台、6時台、7時台・・・と、1時間ごとの平均の所要時間が記録されている。これは、時間帯によっては路線の渋滞等によって所要時間が異なるためである。なお、図7では1時間毎の区分としているが、これ以外の時間帯の区分でも適用できる。例えば、30分以内ごと、1時間以内毎、3時間以内ごと等としてもよい。また、例えば、朝と夕方の通勤時間帯は時間の区分を他の時間帯よりも短くする等してもよい。
【0041】
図8は、本発明の代替経路検索システムのA駅基準での検索結果の一例を示す図である図9は、本発明の代替経路検索システムのE駅基準での検索結果の一例を示す図である。図10は、本発明の代替経路検索システムのJ駅基準での検索結果の一例を示す図である。
【0042】
これらの検索結果は図2のS106で算出される。検索結果は、「出発駅駅名」、「出発駅停留所名」、「出発停留所番号」、「系統名」、「バス方面名」、「所要時間」、「乗換可能駅停留所名」、「乗換可能駅名」、「乗換可能路線名」、「鉄道経路との時間差」の順に算出されている。ここで、「出発駅駅名」、「出発駅停留所名」、「出発停留所番号」、「系統名」、「バス方面名」、「乗換可能駅停留所名」、「乗換可能駅名」、「乗換可能路線名」は、図6の乗換可能駅マスタで説明した項目と同様である。
【0043】
「所要時間」は、当該バス路線の出発駅停留所から乗換可能駅停留所までの所要時間である。この時間は図2のS103で算出される。「鉄道経路との時間差」は、当該バス路線の出発駅停留所から乗換可能駅停留所までの所要時間に対する、出発駅から乗換可能駅までの通常時の鉄道路線の所要時間の差である。バスの所要時間から、鉄道路線の所要時間を引いた値で表すことができる。この時間は図2のS105で算出される。バス路線の方が時間がかかる場合は「+」で表され、バス路線の方が時間がかからない場合は「-」で表される。なお、バスの所要時間と鉄道路線の所要時間が同じなら「±0」で表す。
【0044】
図8は対象駅がA駅の場合である。ここでは、A駅からE駅までのバスによる代替経路が示されている。この場合、Aターミナル駅のバス停からE駅前のバス停までの所要時間は12分であり、通常の鉄道によるA駅からE駅まで所要時間よりも5分多くかかること(+5分)を示している。
【0045】
図9は対象駅がE駅の場合である。ここでは、E駅からA駅までのバスによる代替経路と、E駅からJ駅までのバスによる代替経路の2種類の代替経路が示されている。A駅へは、E駅前のバス停からAターミナル駅のバス停までの所要時間は7分であり、通常の鉄道によるE駅からA駅まで所要時間と同じであること(±0分)を示している。J駅へは、E駅前のバス停からJ駅東口のバス停までの所要時間は10分であり、通常の鉄道によるE駅からJ駅まで所要時間よりも2分多くかかること(+2分)を示している。
【0046】
図10は対象駅がJ駅の場合である。ここでは、J駅からE駅までのバスによる代替経路が示されている。この場合、J駅東口のバス停からE駅前のバス停までの所要時間は10分であり、通常の鉄道によるA駅からE駅まで所要時間よりも2分多くかかること(+2分)を示している。
【0047】
図8~10の検索結果は表示装置15で表示することができる。このことで、対象駅に対するバスによる代替経路を検索結果の一覧が表示される。この一覧は、バスによる代替経路ごとに各検索結果が含まれる。図8~10に例示する検索結果は、表示装置15の表示画面に応じて表示構成をアレンジすることができる。例えば、表示画面が小さい場合は分けて表示するなどである。また、例えば、図4の停留所マスタの情報を用いる等して、バスの路線図の地図情報も併せて表示させてもよい。
【0048】
また、表示装置15が駅に設置されたデジタルサイネージ等の固定の表示板の場合は、設置している駅を対象駅として検索結果を表示できる。例えば、処理部12から、駅に設置された表示装置15に検索結果を送る場合は、その表示装置15が設置された駅を対象駅として検索する。また、処理部12は、運転見合わせの情報を取得した場合、運転見合わせに該当する駅を対象駅として自動で検索を開始し、検索結果を該当する駅に送信することもできる。駅の設置された表示装置15では、運転見合わせの情報と併せて、交互、または、同じ画面内で検索結果を表示すればよい。
【0049】
また、表示装置15が、入力装置16と一体のコンピュータ等の場合は、入力した対象駅を処理部12へ送信し、その検索結果は、同じ表示装置15で表示させることが可能となる。さらに、例えば、表示装置15が入力装置16と一体となった、持ち運び可能なスマートフォンやタブレットPC等の場合、衛星測位システム等を用いてその位置を特定できる場合がある。この場合、その位置に一番近い駅を対象駅の候補とすることができる。また、その位置から特定の距離内に存在する駅を対象駅の候補一覧として表示させてもよい。利用者は対象駅を特定して処理部12へ送信し、その検索結果は、送信した入力装置16と一体の表示装置15で表示させることが可能となる。
【0050】
また、図8~10の検索結果の追加の機能として、複数の代替経路が表示された場合、順番を入れ替えられるようにしてもよい。例えば、「鉄道経路との時間差」の項目を選択すると、差の値が小さい順に並び替える等である。ここでは、バスの代替経路による移動時間から平常時の鉄道経路による移動時間を引いた値が小さい順となる。また、「乗換可能路線名」の項目を選択すると乗換可能路線ごとの順に並び替えるようにしてもよい。この場合の選択は、例えば、表示装置15がタッチパネルであれば、該当箇所に触れると選択と認識される等の方法が挙げられる。また、他の操作用デバイスを設置し、その操作により選択してもよい。
【0051】
上記の実施形態のように、対象駅に対する乗換可能駅までのバスの代替経路を検索結果の一覧としてすべて表示することで、利用者は代替経路を即座に把握することが可能となる。また、そのとき、所要時間や鉄道経路との時間差を表示することで、どの代替経路がどの程度の時間がかかるかを知ることが可能となる。さらに、代替経路の所要時間は同じ時間帯の平均所要時間から求めるためより正確な情報とすることが可能となる。また、利用者は目的地を入力する必要がなく、対象駅からの代替経路のバス情報を即座に全体を知ることが可能となる。
【0052】
また、表示装置15が駅設置された固定の表示装置の場合は、対象駅が決まっているため、運転見合わせ時に代替経路の一覧を自動で表示することが可能となる。これにより、利用者は検索操作なしに、駅で情報を確認することが可能となる。また、表示装置15及び入力装置16が、持ち運び可能な端末の場合は、その端末が取得する位置情報から対象駅を特定することで、利用者の操作が少なく代替経路の検索が可能となる。
【0053】
さらに、追加の機能において、利用者の操作により表示装置15の表示順を入れ替えることで、より利用者にとって得たい情報を表示させることが可能となる。
【0054】
以上の様に、本発明の実施形態について説明してきたが、本発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、上述した以外の様々な変形例も含まれる。例えば、上記した実施形態に設けられた全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施形態の構成の一部を削除したり、他の構成に置き換えたりすることも可能である。
【0055】
例えば、図1では、ネットワーク20を介する構成を示したが、適用する状況によってはネットワーク20を介さない構成でも適用可能である。
【符号の説明】
【0056】
11…サーバ、12…処理部、13…記録部、15…表示装置、16…入力装置、20…ネットワーク
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10