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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-02-21
(45)【発行日】2025-03-04
(54)【発明の名称】軸受の潤滑装置
(51)【国際特許分類】
   F04D 29/046 20060101AFI20250225BHJP
   F04D 29/06 20060101ALI20250225BHJP
【FI】
F04D29/046 A
F04D29/06
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2021155695
(22)【出願日】2021-09-24
(65)【公開番号】P2023046865
(43)【公開日】2023-04-05
【審査請求日】2024-04-08
(73)【特許権者】
【識別番号】000152170
【氏名又は名称】株式会社酉島製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100106518
【弁理士】
【氏名又は名称】松谷 道子
(74)【代理人】
【識別番号】100111039
【弁理士】
【氏名又は名称】前堀 義之
(72)【発明者】
【氏名】兼森 祐治
【審査官】岩田 健一
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-289191(JP,A)
【文献】特開2013-044316(JP,A)
【文献】特開2015-124836(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F04D 29/046
F04D 29/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
垂直方向に延びる回転軸を取り囲むようにポンプケーシングに形成された筒状の挿通部内に取り付けられて、前記回転軸を回転可能に支持する軸受の潤滑装置であって、
前記挿通部よりも下側に配置され、前記回転軸に取り付けられた底部と、前記底部の外周から前記軸受よりも上側まで突出して、前記挿通部を取り囲む外周部とを有し、前記回転軸と一体に回転する油槽と、
前記軸受よりも上側かつ前記油槽の前記外周部の上端よりも下側に位置するように前記挿通部に設けられ、前記挿通部を前記回転軸の径方向に貫通して、前記油槽内から供給された潤滑油の流動を許容する貫通孔と
を備え、
前記挿通部の下端に、前記回転軸の径方向における前記油槽内の外側から内側へ前記潤滑油の流動させる整流ベーンが設けられており、更に、
前記油槽の少なくとも前記底部の外側面に設けられ、前記回転軸の径方向における内側から外側へ空気を送風する羽根と、
前記ポンプケーシングに取り付けられ、前記羽根と前記油槽の前記外周部の少なくとも一部とを取り囲む第1カバーと
を備える、軸受の潤滑装置。
【請求項2】
前記挿通部の外周には、前記回転軸に沿って延びる複数のリブが設けられている、請求項1に記載の軸受の潤滑装置。
【請求項3】
前記羽根は、前記油槽のうち、前記底部に設けられて前記回転軸の径方向に延びる第1部分と、前記外周部に設けられて前記回転軸に沿って延びる第2部分とを有する、請求項1又は2に記載の軸受の潤滑装置。
【請求項4】
前記ポンプケーシングに取り付けられ、前記第1カバーの外側の空気を前記羽根に誘導する第2カバーを備える、請求項1から3のいずれか1項に記載の軸受の潤滑装置。
【請求項5】
前記第1カバーは、前記羽根の下側に配置された第1底部と、前記第1底部の外周から上側へ突出した筒状の第1外周部とを有し、
前記第2カバーは、前記第1底部の下側に配置された第2底部と、前記第2底部の外周から上側へ突出した筒状の第2外周部とを有し、
前記第1底部と前記第2底部は、前記回転軸の径方向に延びる複数の連結板を介して連結されている、
請求項に記載の軸受の潤滑装置。
【請求項6】
前記挿通部に連なり、前記油槽の上端を覆い、前記第1カバーから吹き出た前記空気を前記油槽と前記挿通部の間に誘導する天板と、
前記貫通孔の上側に位置するように前記挿通部に設けられ、前記貫通孔を通過した前記空気が前記挿通部の外側に流出する通気孔と
を備える、請求項からのいずれか1項に記載の軸受の潤滑装置。
【請求項7】
前記油槽のうち前記貫通孔よりも上側に、前記潤滑油の通過を抑制する一方、前記空気の通過を許容するラビリンス構造部が設けられている、請求項に記載の軸受の潤滑装置。
【請求項8】
前記油槽の前記外周部は、前記潤滑油の流動を確認するための窓部を備える、請求項1からのいずれか1項に記載の軸受の潤滑装置。
【請求項9】
前記油槽の前記外周部は、筒状の前記窓部と、前記窓部の下側の下筒部と、前記窓部の上側の上筒部と、前記下筒部と前記上筒部を連結する連結ベーンとを有する、請求項に記載の軸受の潤滑装置。
【請求項10】
垂直方向に延びる回転軸を取り囲むようにポンプケーシングに形成された筒状の挿通部内に取り付けられて、前記回転軸を回転可能に支持する軸受の潤滑装置であって、
前記挿通部よりも下側に配置され、前記回転軸に取り付けられた底部と、前記底部の外周から前記軸受よりも上側まで突出して、前記挿通部を取り囲む外周部とを有し、前記回転軸と一体に回転する油槽と、
前記軸受よりも上側かつ前記油槽の前記外周部の上端よりも下側に位置するように前記挿通部に設けられ、前記挿通部を前記回転軸の径方向に貫通して、前記油槽内から供給された潤滑油の流動を許容する貫通孔と
を備え、
前記挿通部の下端に、前記回転軸の径方向における前記油槽内の外側から内側へ前記潤滑油の流動させる整流ベーンが設けられており、更に、
前記油槽の前記外周部は、前記潤滑油の流動を確認するための筒状の窓部と、前記窓部の下側の下筒部と、前記窓部の上側の上筒部と、前記下筒部と前記上筒部を連結する連結ベーンとを有する、軸受の潤滑装置。
【請求項11】
前記油槽の前記外周部に、前記回転軸に沿って延びる板状のガイドベーンが複数設けられている、請求項1から10のいずれか1項に記載の軸受の潤滑装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、軸受の潤滑装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、回転軸のうちポンプケーシングから外部に突出した部分を支持する軸受の潤滑装置が開示されている。この潤滑装置は、軸受を取り囲むオイル受と、オイル受を取り囲むオイル室、オイル室内に配置された一端とオイル受の上側に配置された他端を有する吐出管、及びオイル室内の潤滑油を吐出管に送出するオイルリフターとを備え、オイル室内の潤滑油を軸受に循環供給する。また、この潤滑装置は、吐出管を通してオイル受に供給した過剰な潤滑油をオイル室に戻すオーバーフロー管を更に備える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2021-46918号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の潤滑装置では、軸受に潤滑油を循環供給するために配管とオイルリフターが必要なため、構造が複雑であり、大型である。そのため、特許文献1の潤滑装置には、構造の簡素化と小型化について改善の余地がある。
【0005】
本発明は、配管を用いることなく潤滑油を循環供給でき、構造の簡素化と小型化を図ることができる軸受の潤滑装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の軸受の潤滑装置は、垂直方向に延びる回転軸を取り囲むようにポンプケーシングに形成された筒状の挿通部内に取り付けられて、前記回転軸を回転可能に支持する軸受の潤滑装置であって、前記挿通部よりも下側に配置され、前記回転軸に取り付けられた底部と、前記底部の外周から前記軸受よりも上側まで突出して、前記挿通部を取り囲む外周部とを有し、前記回転軸と一体に回転する油槽と、前記軸受よりも上側かつ前記外周部の上端よりも下側に位置するように前記挿通部に設けられ、前記挿通部を前記回転軸の径方向に貫通して、前記油槽内から供給された潤滑油の流動を許容する貫通孔とを備え、前記挿通部の下端に、前記回転軸の径方向における前記油槽内の外側から内側へ前記潤滑油の流動させる整流ベーンが設けられている
そして、本発明の第1態様は、更に、前記油槽の少なくとも前記底部の外側面に設けられ、前記回転軸の径方向における内側から外側へ空気を送風する羽根と、前記ポンプケーシングに取り付けられ、前記羽根と前記油槽の前記外周部の少なくとも一部とを取り囲む第1カバーとを備える、軸受の潤滑装置を提供する。
また、本発明の第2態様は、更に、前記油槽の前記外周部は、前記潤滑油の流動を確認するための筒状の窓部と、前記窓部の下側の下筒部と、前記窓部の上側の上筒部と、前記下筒部と前記上筒部を連結する連結ベーンとを有する、軸受の潤滑装置を提供する。

【0007】
本態様では、ポンプの運転によって回転軸と一体に油槽が回転すると、潤滑油も油槽と一緒に回転する。この際、回転軸の径方向における油槽の内側部分と外側部分の潤滑油の流速(角速度)は一定であるため、油槽内の周方向速度は、径方向の内側よりも外側の方が速くなる。この際、挿通部の下端に設けられた整流ベーンによって、周方向速度が速い径方向外側の潤滑油が、周方向速度が遅い径方向内側へ流動される。これにより、内側部分の潤滑油が押し上げられ、挿通部と回転軸の間を通って軸受に供給される。続いて、軸受を通過した潤滑油は、軸受の上側に設けられた貫通孔を通って挿通部の内側から外側へ流れた後、油槽の外周部と挿通部の間を通って油槽の底部側へ戻る。
【0008】
このように、本態様では、回転軸と一体に回転する油槽が設けられ、回転軸の挿通部には軸受を通過した潤滑油を還流させる貫通孔が設けられている。また、回転軸の径方向における油槽内の外側から内側へ潤滑油の流動させる整流ベーンが設けられている。これにより、配管やオイルリフターを用いることなく、軸受に潤滑油を循環供給できるため、潤滑装置の構造の簡素化と小型化を図ることができる。
【発明の効果】
【0009】
本発明では、配管を用いることなく潤滑油を循環供給でき、構造の簡素化と小型化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の第1実施形態に係る軸受の潤滑装置を搭載したポンプの断面図。
図2図1のII部分の拡大断面図。
図3】破断した挿通部と油槽の分解斜視図。
図4図2のIII-III線断面図。
図5図2のIV-IV線断面図。
図6図2のV-V線断面図。
図7】第2実施形態に係る軸受の潤滑装置を示す図2と同様の断面図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態を図面に従って説明する。
【0012】
(第1実施形態)
図1は、本発明の第1実施形態に係る軸受40の潤滑装置50を用いた渦巻ポンプ10を示す。この渦巻ポンプ10は、ポンプ設備の据付床(図示せず)に設置され、吸水槽(図示せず)内の水を吸引して下流側へ排出する。
【0013】
まず、渦巻ポンプ10の構成について説明する。
【0014】
図1を参照すると、渦巻ポンプ10は、ポンプケーシング20、ポンプケーシング20に取り付けられた回転軸30、及び回転軸30に取り付けられた羽根車35を備える。また、渦巻ポンプ10は、ポンプケーシング20の上側(外側)に、回転軸30を回転可能に支持する玉軸受(軸受)40とスラスト軸受45を備える。本実施形態の潤滑装置50は、玉軸受40を取り囲むように取り付けられ、玉軸受40に潤滑油を循環供給する。
【0015】
ポンプケーシング20は、吸込ベンド21と、吸込ベンド21の上側に取り付けられた渦巻ケーシング22とを備える。また、ポンプケーシング20は、渦巻ケーシング22の上側に取り付けられた台座24を備える。
【0016】
吸込ベンド21は、下端の流入口21aから上端の流出口21bに向けて、水平方向から垂直方向上向きに揚水が流れるように湾曲した曲がり管である。
【0017】
渦巻ケーシング22は、回転軸30まわりに延びる渦巻き状のボリュート通路23を備える。ボリュート通路23を画定する外壁22aのうちボリュート通路23の下流側には、吐出口を含む吐出部22bが形成されている。外壁22aには、接続口22cと取付口22dが設けられている。接続口22cは、接続された吸込ベンド21をボリュート通路23に空間的に連通させる。取付口22dは、接続口22cの直上かつ台座24内に位置するように設けられ、ボリュート通路23内への羽根車35の取り付けを許容する。
【0018】
台座24は、固定座25、外周壁27、蓋壁28、及び挿通部29を備え、挿通部29内に玉軸受40が取り付けられ、蓋壁28上にスラスト軸受45が取り付けられる。
【0019】
固定座25は、渦巻ケーシング22の取付口22dに液密に取り付けられている。固定座25は、羽根車35を支持するプロテクタ25aを一体に備える。図2を参照すると、固定座25には、回転軸30を挿通する挿通孔25bが形成されている。挿通孔25bと回転軸30の間には、揚水の漏出を防ぐメカニカルシール26が取り付けられている。
【0020】
引き続いて図2を参照すると、外周壁27は、固定座25の外周から上向きに突出する円筒状の下側部27aと、下側部27aの上端に取り付けられた円錐筒状の上側部27bとを備える。上側部27bには、径方向に貫通した開口部27cが、周方向に間隔をあけて複数設けられている。
【0021】
蓋壁28は、円板状であり、上側部27bの上端に取り付けられている。蓋壁28には、回転軸30を挿通する挿通孔28aが形成されている。挿通孔28aの直径は回転軸30の直径よりも大きく、これらの間の隙間はスラスト軸受45によって覆われている。
【0022】
図2及び図3を参照すると、挿通部29は、挿通孔28aの外周から渦巻ケーシング22に向けて垂直方向に延びる筒状で、回転軸30の一部を取り囲む。挿通部29は、蓋壁28に取り付けるためのフランジ部29aを上端に備える。挿通部29は、本実施形態では円筒形状であるが、後述する潤滑油の流動を妨げない範囲であれば多角筒状であってもよい。
【0023】
図1を参照すると、回転軸30は、挿通部29を貫通し、ポンプケーシング20に対して垂直方向に延びるように配置されている。回転軸30は、固定座25を貫通してボリュート通路23(ポンプケーシング20内)に配置される内側部31と、ポンプケーシング20外に配置される外側部32とを備える。外側部32の上端は、台座24を貫通して蓋壁28から上側へ突出している。外側部32の上端には、図示しない電動モータ(駆動部)の出力軸を機械的に接続するカップリング33が取り付けられている。
【0024】
引き続いて図1を参照すると、羽根車35は、内側部31(回転軸30)の下端に取り付けられ、取付口22dを通してボリュート通路23内に配置されている。渦巻ポンプ10の運転時、電動モータによって回転軸30が回転されると、羽根車35が一体に回転する。これにより、吸水槽内の水が吸込ベンド21から吸引されて、ボリュート通路23を通して吐出部22bから吐出される。
【0025】
玉軸受40は、ラジアル軸受(転がり軸受)であり、台座24(ポンプケーシング20)が備える挿通部29内に取り付けられている。但し、玉軸受40の代わりにころ軸受が用いられてもよく、潤滑装置50を配置する軸受は、回転軸30を回転可能に支持できる構成であれば、必要に応じて変更が可能である。
【0026】
図2及び図4を参照すると、玉軸受40は、いずれも円環状の内輪41と外輪42、及び球状で多数のボール部材43を備える。内輪41は、回転軸30に取り付けられ、回転軸30の回転によって一体に回転する。外輪42は、内輪41と対向するように挿通部29に取り付けられ、回転軸30が回転しても回転しない。ボール部材43は、内輪41と外輪42の間に転動自在に配置されている。内輪41の外周面と外輪42の内周面との間には、潤滑油の流動を許容し、ボール部材43の脱落を防ぐことが可能な間隔の隙間を有する。
【0027】
図1を参照すると、スラスト軸受45は、台座24の蓋壁28上に取り付けられ、回転軸30の上端付近を回転可能に支持し、回転軸30の軸方向に働く力を受け止める。
【0028】
次に、潤滑装置50の構成について具体的に説明する。
【0029】
図1を参照すると、潤滑装置50は、玉軸受40を取り囲むように取り付けられ、渦巻ポンプ10の運転時、玉軸受40に対して潤滑油を循環供給する。図2を参照すると、潤滑装置50は、ポンプケーシング20が備える前述の挿通部29、挿通部29の上端付近から下側を取り囲む油槽60、及び油槽60内の潤滑油を空冷するための空冷機構70を備える。そのうち、挿通部29は回転も移動もしない静止部材であり、油槽60は回転軸30と一体に回転する回転部材である。
【0030】
引き続いて図2を参照すると、挿通部29は前述のように台座24に設けられ、全高の中央よりも下側に玉軸受40が取り付けられている。挿通部29には、潤滑油及び空気の通過を許容する貫通孔55、潤滑油の循環を促進する整流ベーン56、及び潤滑油の漏出を抑制するリブ58が設けられている。
【0031】
図2及び図3を参照すると、貫通孔55は、挿通部29のうち、玉軸受40よりも上側かつ油槽60の上端よりも下側に設けられ、挿通部29を径方向に貫通している。貫通孔55は、整流ベーン56を含めた挿通部29の全高を3等分したときの中間領域に設けることが好ましく、本実施形態では概ね中央に設けられている。図5を参照すると、貫通孔55は、挿通部29の周方向に間隔をあけて複数(本実施形態では4つ)設けられている。貫通孔55の直径は、粘性を有する潤滑油が目詰まりすることなく、空気の通気領域も確保可能な大きさである。
【0032】
図2及び図3を参照すると、整流ベーン56は、回転軸30の径方向に延びる円環状の端板57を介して挿通部29の下端に設けられている。より具体的には、整流ベーン56は端板57に一体に設けられ、端板57が挿通部29の下端に取り付けられている。図2を参照すると、端板57の内径は、回転軸30の外径よりも大きく、挿通部29の内径よりも小さい。端板57の外径は、リブ58を含めた挿通部29の外径よりも大きい。
【0033】
図6を参照すると、整流ベーン56は、回転軸30が回転する向きR(反時計回り)に突出する断面円弧状(半円筒状)であり、回転軸30に沿って端板57から下向きに突出している。回転軸30の径方向において、整流ベーン56は、油槽60の外側から内側へ潤滑油を流動させる。
【0034】
図2及び図3を参照すると、リブ58は、挿通部29の外側面から径方向外向きに突出し、端板57から油槽60の上端と同じ高さまで、回転軸30に沿って延びる凸条である。図5を参照すると、リブ58は、貫通孔55が形成された角度位置と一致しないように、挿通部29の周方向に間隔をあけて複数(本実施形態では12個)設けられている。
【0035】
図2を参照すると、油槽60は、回転軸30に取り付けられ、回転軸30と一体に回転する。油槽60は、回転軸30に取り付けられた底部62と、底部62の外周から上向きに突出した外周部69とを備える。外周部69の上端は、大気開放された開口部である。より具体的には、図2及び図3に示すように、油槽60は、底部62を含む下側の槽本体61と、上側の筒部材64とで構成されている。
【0036】
槽本体61は、熱伝導性が良好な金属(例えば銅又はアルミニウム合金)からなり、底部62と周壁部63を備え、端板57と整流ベーン56を取り囲む。
【0037】
底部62は、円環状であり、整流ベーン56(挿通部29)の下端よりも下側に間隔をあけて配置され、挿通部29の下側を覆い隠す。底部62の内周部には、回転軸30に液密に取り付けるための円筒状の取付部62aが設けられている。底部62の外径は、端板57の外径よりも大きい。
【0038】
周壁部63は、円筒状であり、底部62の外周に連なり、外周部69の一部を構成する。周壁部63は、端板57の上側まで延び、挿通部29の下端を含む端板57と整流ベーン56を取り囲む。周壁部63の内径は端板57の外径よりも大きく、周壁部63と端板57の間には、潤滑油の流動を許容し、互いの干渉を防ぐことが可能な大きさの隙間が形成されている。
【0039】
図2を参照すると、槽本体61のうち、整流ベーン56と対向する内面側には、玉軸受40を潤滑する潤滑油が貯留される。また、槽本体61のうち、整流ベーン56とは反対の外面側には、後で詳述する羽根71が一体に設けられている。
【0040】
筒部材64は、槽本体61の上端に取り付けられ、外周部69の大部分を構成する。筒部材64は、挿通部29の下端近傍から貫通孔55(玉軸受40)よりも上側まで延び、挿通部29を取り囲む。筒部材64の内径は、回転軸30の軸線からリブ58の先端までの寸法よりも大きく、筒部材64と挿通部29の間には潤滑油の流動を許容する隙間が確保され、筒部材64とリブ58の間には互いの干渉を防ぐことが可能な隙間が確保されている。
【0041】
引き続いて図2を参照すると、本実施形態の筒部材64は、潤滑油の流動を確認するための窓部65、窓部65の下側の下筒部66、及び窓部65の上側の上筒部67を備える。また、筒部材64は、下筒部66と上筒部67を一体構造とするための連結ベーン68を備える。そのうち、窓部65以外は、熱伝導性が良好な金属(例えば銅又はアルミニウム合金)からなる。
【0042】
窓部65は、貫通孔55に対して回転軸30の径方向外側に位置するように設けられている。図3及び図5を参照すると、窓部65は、外部から内部を透視可能な透明樹脂(例えばアクリル樹脂)からなり、アウトサート加工によって下筒部66と上筒部67の間に円筒状に形成されている。
【0043】
図2及び図3を参照すると、下筒部66は、窓部65から槽本体61の上端まで延びている。言い換えれば、下筒部66は、円筒状で、周壁部63の上端に連結するためのフランジ部66aを下端に備え、貫通孔55の下端まで延びている。
【0044】
引き続いて図2及び図3を参照すると、上筒部67は、窓部65から上側に延びている。より具体的には、上筒部67は円筒状であり、上筒部67の上端は、挿通部29のフランジ部29aの下側に間隔をあけて位置する。
【0045】
以上のように構成された槽本体61と筒部材64のうち、周壁部63、下筒部66、窓部65、及び上筒部67が、1つの外周部69を構成する。
【0046】
引き続いて図2及び図3を参照すると、外周部69(上筒部67)の上端近傍、つまり油槽60の貫通孔55よりも上側には、ラビリンス構造部67aが設けられている。ラビリンス構造部67aは、上筒部67の内周面から径方向外向きへ断面半円形状に窪む環状で一対の凹溝からなる。このラビリンス構造部67aは、付着した作動油の表面張力によって、作動油の上向きの流動(通過)を抑制し、上筒部67の上端からの潤滑油の漏出を抑制する。一方、ラビリンス構造部67aは、上筒部67の上端から外周部69内に流入した空気の貫通孔55側への通過を許容する。
【0047】
引き続いて図2及び図3を参照すると、連結ベーン68は、下筒部66に設けられた複数のガイドベーン68aのうち、特定のガイドベーン68aを延ばして設けられている。
【0048】
ガイドベーン68aは、下筒部66の外側面から径方向外向きに突出し、下筒部66の下端から上端近傍まで回転軸30に沿って延びている。図3及び図4を参照すると、ガイドベーン68aは、下筒部66の周方向に間隔をあけて複数(本実施形態では24個)設けられている。
【0049】
図3及び図5を参照すると、連結ベーン68は、下筒部66から窓部65を跨いで上筒部67まで延び、これらの外側面から径方向外向きに突出している。径方向における連結ベーン68の突出量は、ガイドベーン68aの突出量よりも小さい。本実施形態では、等間隔で設けられた24個のガイドベーン68aのうち、90度間隔をあけて位置する4個のガイドベーン68aの上端から、連結ベーン68がそれぞれ一体に突出している。ガイドベーン68aを含む連結ベーン68は、下筒部66から上筒部67の上端近傍まで延びている。
【0050】
なお、連結ベーン68を備える特定のガイドベーン68a以外のガイドベーン68aは設けなくてもよい。また、連結ベーン68とガイドベーン68aは別々に設けられてもよい。また、周方向に間隔をあけて複数の窓部65を断続的に設け、下筒部66と上筒部67を一体構造とすれば、連結ベーン68を設けなくてもよい。
【0051】
図2を参照すると、空冷機構70は、回転軸30の回転によって一体に回転する羽根71、及び羽根71と外周部69の下側部分を取り囲む羽根カバー75とを備え、油槽60内の潤滑油を強制空冷する。羽根カバー75は、台座24(ポンプケーシング20)に取り付けられ、回転も移動もしない静止部材である。
【0052】
図2及び図3を参照すると、羽根71は、槽本体61(油槽60)の外側面に放射状をなすように複数設けられている。渦巻ポンプ10の運転によって羽根71は、油槽60と一体に回転し、回転軸30の径方向における内側から外側へ空気を送風する。
【0053】
具体的には、羽根71は、油槽60のうち、底部62に設けられた第1部分72と、周壁部63(外周部69)に設けられた第2部分73とを備える。第1部分72は、底部62から下向きに突出し、取付部62aから周壁部63まで径方向外向きに延びている。第2部分73は、第1部分72の径方向の外端に連なり、回転軸30に沿って周壁部63の上端近傍まで延びている。
【0054】
図2及び図6を参照すると、羽根カバー75は、羽根71の外側を覆う第1カバー76と、第1カバー76の外側を更に覆う第2カバー77と備える。本実施形態の第1カバー76と第2カバー77は、複数の連結板78を介して一体に設けられ、第2カバー77から突出したブラケット79を介して台座24に取り付けられている。但し、第1カバー76と第2カバー77は、別々に設けられて、台座24に対して個別に取り付けられてもよい。
【0055】
第1カバー76は、羽根71の第1部分72の下側に間隔をあけて配置された第1底部76aと、第1底部76aの外周から上側へ突出した第1外周部76bとを備える。
【0056】
第1底部76aは、回転軸30を取り囲む円環状の板体である。第1底部76aの内径は回転軸30の外径よりも大きく、これらの間には空気の通過を許容する隙間が確保されている。第1底部76aの外径は、回転軸30の軸線から羽根71の第2部分73の径方向外端までの寸法よりも大きい。
【0057】
第1外周部76bは、円筒状で、第1底部76aの外周に連なっている。第1外周部76bの内径は、回転軸30の軸線から第2部分73の径方向外端までの寸法よりも大きく、第1外周部76bと周壁部63の間には空気の通過を許容する隙間が確保されている。第1外周部76bの上端は、台座24の外側から開口部27cを通して窓部65を視認できるように、油槽60の下筒部66の上端と同等の位置に配置されている。
【0058】
第2カバー77は、第1底部76aの下側に間隔をあけて配置された第2底部77aと、第2底部77aの外周から上側へ突出した第2外周部77bとを備え、第1カバー76の外側の空気を羽根71の内端側に誘導する。
【0059】
第2底部77aは、回転軸30を取り囲む円環状の板体である。第2底部77aの内径は、回転軸30の外径よりも大きく、第1底部76aの内径よりも小さい。第2底部77aの外径は、第1底部76aの外径よりも大きく、下側部27aの内径よりも小さい。第2底部77aの内周部には、回転軸30を取り囲む円筒状の挿通部77cが設けられている。
【0060】
第2外周部77bは、円筒状で、第2底部77aの外周に連なっている。第2外周部77bの内径は第1外周部76bの外径よりも大きく、これらの間には空気の通過を許容する隙間が確保されている。第2外周部77bの上端は、第1外周部76bの上端よりも低く、第1外周部76bの全高の概ね半分の高さに位置している。
【0061】
連結板78は、第1底部76aに連なる上端と、第2底部77aに連なる下端とを備え、第1底部76aと第2底部77aを連結する。連結板78は、回転軸30の径方向に延び、周方向に間隔をあけて放射状に設けられている。渦巻ポンプ10の運転時、連結板78は、カバー76,77間を通って羽根71の内端に向かう空気を整流する整流板として機能する。
【0062】
ブラケット79は、第2外周部77bから径方向外向きに突出し、周方向に間隔をあけて複数(本実施形態では6個)設けられている。ブラケット79の外端は、台座24の下側部27aに機械的に接続されている。これにより、羽根カバー75全体が台座24に取り付けられている。
【0063】
図2を参照すると、挿通部29の上端側には、第1カバー76から吹き出た空気を衝突させて、油槽60内へ誘導する円環状の天板80が設けられている。天板80は、挿通部29に連なるようにフランジ部29aの下側に取り付けられ、外周部69の上端の開口を、空気が流動可能な間隔をあけて覆う。天板80の外径は第1カバー76の内径と同等である。
【0064】
図2及び図3を参照すると、貫通孔55の上側に位置する挿通部29のフランジ部29aには、径方向に貫通した貫通孔29bが、周方向に間隔をあけて複数(本実施形態では4つ)設けられている。貫通孔29bの直径は空気の通気を許容する大きさであり、渦巻ポンプ10の運転時、貫通孔29bは、油槽60と挿通部29の間、及び貫通孔55を通過した空気が挿通部29の外側に流出する通気孔として機能する。また、貫通孔29bの直径は、油を補充する給油管82を差込可能な大きさであり、渦巻ポンプ10の停止時、貫通孔29bは作動油の注入口として機能する。
【0065】
次に、図2を参照して、渦巻ポンプ10の運転時の潤滑油と空気の流れについて説明する。図2では、実線で記載した矢印が潤滑油の流れを示し、破線で記載した矢印が空気の流れを示している。
【0066】
まず、渦巻ポンプ10の停止状態では、油槽60内には端板57の部分まで潤滑油が溜められている。また、潤滑装置50が配置された台座24内は、開口部27cを通して外部と連通しているため、大気圧状態である。
【0067】
渦巻ポンプ10の運転が開始され、回転軸30と一体に油槽60が回転すると、油槽60と一緒に潤滑油も同じ向きに回転する。この際、回転軸30の径方向における油槽60の内側部分と外側部分の潤滑油の流速(角速度)は一定であるため、油槽60内の周方向速度は、径方向の内側よりも外側の方が速くなる。
【0068】
この状態で、油槽60内では、整流ベーン56によって、周方向速度が速い径方向外側の潤滑油が、周方向速度が遅い径方向内側へ流動(誘導)される。その結果、油槽60の内側部分の潤滑油は押し上げられ、挿通部29と回転軸30の間を通って玉軸受40に供給される。続いて、玉軸受40を通過した潤滑油は、玉軸受40の上側に設けられた貫通孔55を通って挿通部29の内側から外側へ流れる。
【0069】
続いて、油槽60の外周部69と挿通部29の間に到達した潤滑油は、これらの間の隙間を通って油槽60の底部62側へ戻る。この際、貫通孔55から上側に向けた潤滑油の流動は、後で詳述する空気の循環と、挿通部29に設けられたリブ58による周方向の流動抑制とによって、阻止される。そのため、潤滑油は油槽60の底部62側へ流動する。
【0070】
このように、本実施形態の潤滑装置50では、配管やオイルリフター等の特別な機構を用いることなく、簡素な構成で潤滑油を玉軸受40に循環供給できる。
【0071】
一方、回転軸30の回転によって油槽60が回転すると、羽根71も同じ向きに回転する。これにより、回転軸30側に位置する空気が径方向外向きに送出される。送出された冷却用空気は、油槽60の外周部69と第1カバー76の第1外周部76bとの間を通って上向きに流動する。また、羽根71の内端側が負圧になるため、第1カバー76と第2カバー77の間を通って、台座24内(第1カバー76外)の空気が回転軸30側へ流動する。
【0072】
冷却用空気は、隣り合うガイドベーン68a間と連結ベーン68間を通って第1カバー76から送出され、天板80に衝突する。その後、一部が外周部69の上端から油槽60内に流入し、残りが油槽60から離れる向きに流れる。
【0073】
油槽60内に流入した冷却用空気は、外周部69と挿通部29の間を通って下向きに流れた後、貫通孔55に至ると、循環する潤滑油によってそれよりも下向きの流れが阻止される。その結果、貫通孔55を通って挿通部29の外側から内側へ流れ、ここでも潤滑油によって下向きの流れが阻止されるため、挿通部29と回転軸30の間を通って上向きに流れる。その後、挿通部29の上端に至ると、貫通孔29bを通って挿通部29外に流出する。
【0074】
このように、本実施形態の潤滑装置50では、回転軸30と一体に回転する羽根71によって、冷却用空気が油槽60に沿って流動するため、油槽60を介して油槽60内の潤滑油を強制空冷できる。
【0075】
このように構成した潤滑装置50は、以下の特徴を有する。
【0076】
回転軸30と一体に回転する油槽60が設けられ、回転軸30の挿通部29には玉軸受40を通過した潤滑油を還流させる貫通孔55が設けられている。しかも、挿通部29の下端には、油槽60内のうち回転軸30の径方向の外側から内側への潤滑油の流動させる整流ベーン56が設けられている。これにより、配管やオイルリフターを用いることなく、玉軸受40に潤滑油を循環供給できるため、潤滑装置50の構造の簡素化と小型化を図ることができる。
【0077】
挿通部29の外周には複数のリブ58が設けられている。このリブ58によって、貫通孔55を通って挿通部29の外側へ流れた潤滑油の周方向の流動を抑制できる。その結果、油槽60の上端に向けた潤滑油の流動を抑制できるため、油槽60の上端からの潤滑油の漏出を抑制できる。
【0078】
油槽60の底部62に空気を送風する羽根71が設けられ、ポンプケーシング20に羽根71を取り囲む第1カバー76が取り付けられている。そのため、油槽60の外側を流れる空気によって、油槽60を介して潤滑油を強制冷却できる。その結果、潤滑油を許容温度よりも低温に維持できるため、ポンプ10の運転時間の制限を実質的に無くすことができる。
【0079】
羽根71は、底部62に設けられた第1部分72と、外周部69に設けられた第2部分73とを有する。これにより、空気の風量を確保できるため、潤滑油を確実に強制冷却できる。
【0080】
ポンプケーシング20には、第1カバー76の外側の空気を羽根71に誘導する第2カバー77が取り付けられている。そのため、空気を循環させて、油槽60を介して潤滑油を確実に強制冷却できる。
【0081】
第1カバー76は第1底部76aと第1外周部76bを有し、第2カバー77は第2底部77aと第2外周部77bを有し、第1底部76aと第2底部77aは連結板78を介して連結されている。羽根71に向かう空気が連結板78によって整流されるため、空気の循環を促進できる。また、第1カバー76と第2カバー77を一体に取り扱うことができるため、ポンプ10の組立時又はメンテナンス時の作業性を向上できる。
【0082】
第1カバー76から吹き出た空気を油槽60と挿通部29の間に誘導する天板80が設けられ、挿通部29には貫通孔55を通過した空気が挿通部29の外側に流出する貫通孔(通気孔)29bが設けられている。そのため、挿通部29の周囲を循環する空気によって、貫通孔55を通過した潤滑油の上向きの流動を抑制できるため、油槽60からの潤滑油の漏出を効果的に抑制できる。
【0083】
油槽60の貫通孔55よりも上側に、潤滑油の通過を抑制する一方、空気の通過を許容するラビリンス構造部67aが設けられている。そのため、たとえ貫通孔55を通過した潤滑油が油槽60の上端に向けて流れたとしても、油槽60外への潤滑油の漏出を抑制できる。
【0084】
油槽60の外周部69に窓部65が設けられている。これにより、開口部27c及び窓部65を透して油槽60内の潤滑油の循環状態を確認できる。そして、潤滑油が不足していると判断した場合、所定の貫通孔29bに給油管82を差し込むことで、油槽60内に潤滑油を補充できる。その結果、潤滑油が不足している状態でのポンプ10の運転を防止できる。
【0085】
油槽60のうち、窓部65は筒状であり、窓部65の下側の下筒部66と上側の上筒部67は連結ベーン68によって連結されている。そのため、ポンプ10の運転中に回転する油槽60内の潤滑油の循環状態を筒状の窓部65を透して容易に確認できる。しかも、連結ベーン68によって油槽60の表面積が増大されるため、潤滑油の冷却効率を向上できる。
【0086】
油槽60の外周部69に、回転軸30に沿って延びるガイドベーン68aが複数設けられている。このガイドベーン68aによって油槽60の表面積を増大できるため、潤滑油の冷却効率を向上できる。
【0087】
以下、本発明の他の実施形態並びに種々の変形例を説明するが、これらの説明において、特に言及しない点は第1実施形態と同様である。以下で言及する図面において、第1実施形態と同一の要素には同一の符号を付している。
【0088】
(第2実施形態)
図7は、第2実施形態の潤滑装置50を示す。この潤滑装置50は、羽根71によって送風された冷却用空気を油槽60内に誘導するガイド部80aを天板80に設けた点で、第1実施形態の潤滑装置50と相違する。
【0089】
ガイド部80aは、天板80の径方向外側に設けられている。ガイド部80aは、径方向の内側から外側に向かうに従って下側へ傾斜している。ガイド部80aの外周部は、第1カバー76の第1外周部76bよりも径方向外側に位置している。
【0090】
このように構成した第2実施形態の潤滑装置50は、第1実施形態と同様の作用及び効果を得ることができる。しかも、第1カバー76から送出した冷却用空気の殆どを、ガイド部80aによって油槽60内へ誘導できる。その結果、油槽60の外周部69と挿通部29の間に流入して循環する空気の量を確保できるため、油槽60からの潤滑油の漏出を確実に防止できる。
【0091】
なお、本発明は、前記実施形態の構成に限定されず、種々の変更が可能である。
【0092】
例えば、端板57を設けずに、挿通部29の下端に整流ベーン56を直接連設してもよい。
【0093】
挿通部29の外周にリブ58を設けない構成としてもよい。又は、羽根71によって送出された空気が油槽60内に流入しない構成としてもよい。
【0094】
羽根71は、周壁部63から突出する第2部分73を設けずに、底部62から突出する第1部分72だけで構成されてもよい。
【0095】
羽根カバー75は、第2カバー77を設けることなく、第1カバー76のみで構成されてもよい。
【0096】
油槽60は、窓部65を備えない構成としてもよい。また、ラビリンス構造部67aを備えない構成としてもよい。
【0097】
軸受40の潤滑装置50を適用するポンプは、直管状の揚水管を備える立軸ポンプであってもよく、垂直方向に延びて軸受によって支持される回転軸を備えるポンプであれば、本発明の潤滑装置50はいずれでも適用でき、同様の作用及び効果を得ることができる。
【符号の説明】
【0098】
10 渦巻ポンプ
20 ポンプケーシング
21 吸込ベンド
21a 流入口
21b 流出口
22 渦巻ケーシング
22a 外壁
22b 吐出部
22c 接続口
22d 取付口
23 ボリュート通路
24 台座
25 固定座
25a プロテクタ
25b 挿通孔
26 メカニカルシール
27 外周壁
27a 下側部
27b 上側部
27c 開口部
28 蓋壁
28a 挿通孔
29 挿通部
29a フランジ部
29b 貫通孔(通気孔)
30 回転軸
31 内側部
32 外側部
33 カップリング
35 羽根車
40 玉軸受(軸受)
41 内輪
42 外輪
43 ボール部材
45 スラスト軸受
50 潤滑装置
55 貫通孔
56 整流ベーン
57 端板
58 リブ
60 油槽
61 槽本体
62 底部
62a 取付部
63 周壁部
64 筒部材
65 窓部
66 下筒部
66a フランジ部
67 上筒部
67a ラビリンス構造部
68 連結ベーン
68a ガイドベーン
69 外周部
70 空冷機構
71 羽根
72 第1部分
73 第2部分
75 羽根カバー
76 第1カバー
76a 第1底部
76b 第1外周部
77 第2カバー
77a 第2底部
77b 第2外周部
77c 挿通部
78 連結板
79 ブラケット
80 天板
80a ガイド部
82 給油管
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7