(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-02-21
(45)【発行日】2025-03-04
(54)【発明の名称】エラジタンニンを含む微生物組成物及び使用方法
(51)【国際特許分類】
A23L 33/105 20160101AFI20250225BHJP
A61K 31/702 20060101ALI20250225BHJP
A61K 31/715 20060101ALI20250225BHJP
A61K 38/43 20060101ALI20250225BHJP
A61K 38/51 20060101ALI20250225BHJP
A61K 35/747 20150101ALI20250225BHJP
A61K 36/185 20060101ALI20250225BHJP
A61K 36/73 20060101ALI20250225BHJP
A61K 36/45 20060101ALI20250225BHJP
A61K 36/87 20060101ALI20250225BHJP
A61K 36/61 20060101ALI20250225BHJP
A61K 36/52 20060101ALI20250225BHJP
A61K 36/49 20060101ALI20250225BHJP
A61K 36/22 20060101ALI20250225BHJP
A61K 36/736 20060101ALI20250225BHJP
A61K 36/82 20060101ALI20250225BHJP
A61K 36/07 20060101ALI20250225BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20250225BHJP
A61P 25/00 20060101ALI20250225BHJP
A61P 1/00 20060101ALI20250225BHJP
A61P 3/00 20060101ALI20250225BHJP
A61P 1/16 20060101ALI20250225BHJP
A61P 3/10 20060101ALI20250225BHJP
A61P 27/16 20060101ALI20250225BHJP
A61P 27/02 20060101ALI20250225BHJP
A61P 25/08 20060101ALI20250225BHJP
A61P 1/04 20060101ALI20250225BHJP
A61P 25/28 20060101ALI20250225BHJP
A61P 25/16 20060101ALI20250225BHJP
A61P 25/14 20060101ALI20250225BHJP
A61P 21/00 20060101ALI20250225BHJP
A61P 25/18 20060101ALI20250225BHJP
A61P 3/04 20060101ALI20250225BHJP
A61P 9/00 20060101ALI20250225BHJP
A61P 37/06 20060101ALI20250225BHJP
A61P 19/02 20060101ALI20250225BHJP
A61P 29/00 20060101ALI20250225BHJP
A61P 9/10 20060101ALI20250225BHJP
A23L 33/17 20160101ALI20250225BHJP
A23L 33/135 20160101ALI20250225BHJP
A23L 2/52 20060101ALI20250225BHJP
A23L 33/125 20160101ALI20250225BHJP
A23K 20/189 20160101ALI20250225BHJP
A61K 38/46 20060101ALI20250225BHJP
A61K 31/7034 20060101ALI20250225BHJP
【FI】
A23L33/105 ZNA
A61K31/702
A61K31/715
A61K38/43
A61K38/51
A61K35/747
A61K36/185
A61K36/73
A61K36/45
A61K36/87
A61K36/61
A61K36/52
A61K36/49
A61K36/22
A61K36/736
A61K36/82
A61K36/07
A61P43/00 105
A61P25/00
A61P1/00
A61P3/00
A61P1/16
A61P3/10
A61P27/16
A61P27/02
A61P25/08
A61P1/04
A61P25/28
A61P25/16
A61P25/14
A61P21/00
A61P25/18
A61P3/04
A61P9/00
A61P37/06
A61P19/02
A61P29/00 101
A61P9/10
A23L33/17
A23L33/135
A23L2/00 F
A23L2/52
A23L33/125
A23K20/189
A61K38/46
A61K31/7034
(21)【出願番号】P 2021524327
(86)(22)【出願日】2019-11-04
(86)【国際出願番号】 US2019059724
(87)【国際公開番号】W WO2020096992
(87)【国際公開日】2020-05-14
【審査請求日】2022-11-02
(32)【優先日】2018-11-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2019-10-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】521190196
【氏名又は名称】マーベルバイオーム・インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】MarvelBiome, Inc.
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100106518
【氏名又は名称】松谷 道子
(74)【代理人】
【識別番号】100138911
【氏名又は名称】櫻井 陽子
(74)【代理人】
【識別番号】100165892
【氏名又は名称】坂田 啓司
(72)【発明者】
【氏名】ジャヤマニ,エランパリティ
(72)【発明者】
【氏名】ゴビンダン,ジョティ アマラナート
(72)【発明者】
【氏名】チャター,プリーティ エイチ
【審査官】鉢呂 健
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-103880(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2011/0142990(US,A1)
【文献】特開2015-168628(JP,A)
【文献】特開2009-124943(JP,A)
【文献】特表2006-521817(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2009/0123979(US,A1)
【文献】国際公開第2015/186998(WO,A1)
【文献】国際公開第2017/172766(WO,A1)
【文献】特開2014-043397(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2017-0096712(KR,A)
【文献】JIMENEZ Natalia, et al.,Applied and Environmental Microbiology,2013年07月,vol. 79, no. 14,p. 4253-4263
【文献】JIMENEZ Natalia, et al.,Applied and Environmental Microbiology,2014年05月,vol. 80, no. 10,p. 2991-2997
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A23L
A61K
A61P
A23K
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)
ザクロの植物抽出物を含む組成物、及び
(b)エラジタンニン酵素合成(EES)微生物またはその抽出物を含む酵素組成物
を含む組み合わせ剤であって、ここで、前記EES微生物がLactobacillus plantarumであり、前記酵素組成物が1つ以上のエラジタンニン酵素を含
む、前記組み合わせ剤。
【請求項2】
前記1つ以上のエラジタンニン酵素が、タンニンアシルヒドロラーゼ酵素、没食子酸デカルボキシラーゼ酵素およびそれらの組み合わせからなる群より選択される1つ以上の酵素を含む、請求項1に記載の組み合わせ剤。
【請求項3】
前記1つ以上のエラジタンニン酵素が、タンニンアシルヒドロラーゼ酵素を含む、請求項2に記載の組み合わせ剤。
【請求項4】
前記タンニンアシルヒドロラーゼ酵素が、tanBタンナーゼ酵素である、請求項3に記載の組み合わせ剤。
【請求項5】
前記1つ以上のエラジタンニン酵素が、没食子酸デカルボキシラーゼ酵素を含む、請求項2から4のいずれか一項に記載の組み合わせ剤。
【請求項6】
前記没食子酸デカルボキシラーゼ酵素が、lpdB没食子酸デカルボキシラーゼ酵素である、請求項5に記載の組み合わせ剤。
【請求項7】
前記没食子酸デカルボキシラーゼ酵素が、lpdC没食子酸デカルボキシラーゼ酵素である、請求項5に記載の組み合わせ剤。
【請求項8】
前記1つ以上のエラジタンニン酵素が、lpdB没食子酸デカルボキシラーゼ酵素及びlpdC没食子酸デカルボキシラーゼ酵素を含む、請求項5に記載の組み合わせ剤。
【請求項9】
前記1つ以上のエラジタンニン酵素が、tanBタンナーゼ酵素、lpdB没食子酸デカルボキシラーゼ酵素、及びlpdC没食子酸デカルボキシラーゼ酵素を含む、請求項2に記載の組み合わせ剤。
【請求項10】
前記EES微生物が、自然界に見いだされる、請求項1から9のいずれか
一項に記載の組み合わせ剤。
【請求項11】
前記EES微生物が、生存可能または生存している、請求項1から10のいずれか一項に記載の組み合わせ剤。
【請求項12】
前記EES微生物が、凍結乾燥される、請求項1から11のいずれか一項に記載の組み合わせ剤。
【請求項13】
プレバイオティクスをさらに含む、請求項1から12のいずれか一項に記載の組み合わせ剤。
【請求項14】
プレバイオティクスが、フラクトオリゴ糖、イヌリン、イソマルトオリゴ糖、ラクチロール、ラクトスクロース、ラクツロース、ダイズオリゴ糖、トランスガラクトオリゴ糖、キシロオリゴ糖、またはそれらの組み合わせである、請求項13に記載の組み合わせ剤。
【請求項15】
前記
ザクロの植物抽出物を含む組成物、前記酵素組成物、またはその両方が、経口投与用に配合されている、請求項1から14のいずれか一項に記載の組み合わせ剤。
【請求項16】
食品、飲料、飼料組成物、または栄養補助食品である、請求項1から15のいずれか一項に記載の組み合わせ剤。
【請求項17】
液体、シロップ、錠剤、トローチ、グミ、カプセル、粉末、ゲル、またはフィルムである、請求項1から16のいずれか一項に記載の組み合わせ剤。
【請求項18】
薬学的に許容される担体をさらに含む、請求項1から17のいずれか一項に記載の組み合わせ剤。
【請求項19】
腸溶コーティングされた製剤である、請求項18に記載の組み合わせ剤。
【請求項20】
少なくとも10
5CFUのEES微生物を含む、請求項1から19のいずれか一項に記載の組み合わせ剤。
【請求項21】
経口投与用に配合され、かつ乳製品である、請求項1から20のいずれか一項に記載の組み合わせ剤。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2019年10月2日に出願された米国仮出願第62/909,736号及び2018年11月5日に出願された米国仮出願第62/755,880号の優先権を主張し、これらの両方の全内容は、その全体が参照により本明細書に取り込まれる。
【背景技術】
【0002】
植物ポリフェノール化合物は、抗酸化作用や抗癌作用など、多くの健康上の利点に関係している抗酸化物質の食事源である。
【発明の概要】
【0003】
本開示は、ウロリチン(例えば、ウロリチンA、ウロリチンB、ウロリチンC、ウロリチンD、及び/またはイソウロリチンA)を含むエラジタンニンの代謝産物が、例えば、哺乳動物、例えば、ヒトの健康に有益であり得ることを認める。しかしながら、エラジタンニンの代謝産物は生物学的利用能が低いことが当技術分野で一般的に理解されている。本開示は、特定の微生物、例えば、1つ以上のエラジタンニン酵素を発現する微生物が、エラジタンニン組成物と組み合わせて提供され得るという洞察を提供する。とりわけ、本開示は、1つ以上のエラジタンニン酵素を発現する微生物とエラジタンニン組成物との組み合わせが、ウロリチン(例えば、ウロリチンA、ウロリチンB、ウロリチンC、ウロリチンD及び/またはイソウロリチンA)を含むエラジタンニンの代謝産物の生物学的利用能を高めることができることを提供する。
【0004】
いくつかの実施形態において、本明細書で提供される組み合わせは、エラジタンニン組成物、及び酵素組成物を含み得る。いくつかの実施形態において、酵素組成物は、1つ以上のエラジタンニン酵素を含み得る。
【0005】
いくつかの実施形態において、1つ以上のエラジタンニン酵素は、タンニンアシルヒドロラーゼ酵素、没食子酸デカルボキシラーゼ酵素、またはそれらの組み合わせを含み得る。いくつかの実施形態において、1つ以上のエラジタンニン酵素は、タンニンアシルヒドロラーゼ酵素を含み得る。いくつかの実施形態において、タンニンアシルヒドロラーゼ酵素は、tanBタンナーゼ酵素であるか、またはtanBタンナーゼ酵素を含む。いくつかの実施形態において、1つ以上のエラジタンニン酵素は、没食子酸デカルボキシラーゼ酵素を含み得る。いくつかの実施形態において、没食子酸デカルボキシラーゼ酵素は、lpdB没食子酸デカルボキシラーゼ酵素であるか、またはlpdB没食子酸デカルボキシラーゼ酵素を含む。いくつかの実施形態において、没食子酸デカルボキシラーゼ酵素は、lpdC没食子酸デカルボキシラーゼ酵素であるか、またはlpdC没食子酸デカルボキシラーゼ酵素を含む。いくつかの実施形態において、1つ以上のエラジタンニン酵素は、lpdB没食子酸デカルボキシラーゼ酵素及びlpdC没食子酸デカルボキシラーゼ酵素を含む。いくつかの実施形態において、1つまたはそれ以上のエラジタンニン酵素は、tanBタンナーゼ酵素、lpdB没食子酸デカルボキシラーゼ酵素、及びlpdC没食子酸デカルボキシラーゼ酵素を含む。
【0006】
いくつかの実施形態において、酵素組成物は、エラジタンニン酵素合成(EES)微生物またはその抽出物を含む。いくつかの実施形態において、EES微生物は、自然界に見いだされる。いくつかの実施形態において、EES微生物は、操作されたEES微生物である。いくつかの実施形態において、操作されたEES微生物は、他の点では同等の参照微生物と比較して遺伝子改変を含み、その結果、操作されたEES微生物は、参照微生物のレベルとは異なる絶対レベルまたは相対レベルで1つ以上のエラジタンニン酵素を産生する。
【0007】
いくつかの実施形態において、EES微生物は、Lactobacillaceae科のメンバーである。いくつかの実施形態において、Lactobacillaceae科のメンバーは、L.plantarum種である。
【0008】
いくつかの実施形態において、EES微生物は、生存可能または生存している。いくつかの実施形態において、EES微生物は、凍結乾燥される。
【0009】
いくつかの実施形態において、組み合わせは、対象の微生物叢にコロニーを形成するのに十分な量のEES微生物を含む。
【0010】
いくつかの実施形態において、エラジタンニン組成物は、ザクロ、イチゴ、ラズベリー、クランベリー、ブラックベリー、クラウドベリー、アーティックブラックベリー(artic blackberry)、マスカディンブドウ、グアバ、Myrtaceae科の果実、クルミ、ピーカン、クリ、カシュー、アーモンド、ピスタチオ、ヘーゼルナッツ、ブラジルナッツ、オーク樽中で熟成するマカダミア赤ワイン、マスカディンブドウ果汁、ザクロ果汁、茶、コニャック、インディアングーズベリー、カンゾウタケ、またはそれらの組み合わせの植物抽出物を含む。いくつかの実施形態において、組み合わせは、EES微生物において1つ以上のエラジタンニン酵素の発現、活性、または両方を誘導するのに十分な量のエラジタンニン組成物を含む。
【0011】
いくつかの実施形態において、エラジタンニン組成物及び1つ以上のエラジタンニン酵素は、対象におけるウロリチン産生を促進するのに有効な量で存在する。
【0012】
いくつかの実施形態において、組み合わせはプレバイオティクスを含む。いくつかの実施形態において、組み合わせは、フラクトオリゴ糖、イヌリン、イソマルトオリゴ糖、ラクチロール、ラクトスクロース、ラクツロース、ダイズオリゴ糖、トランスガラクトオリゴ糖、キシロオリゴ糖、またはこれらの組み合わせを含む。
【0013】
いくつかの実施形態において、エラジタンニン組成物、酵素組成物、またはその両方は、経口投与のために配合され得る。いくつかの実施形態において、エラジタンニン組成物、酵素組成物、またはその両方は、食品、飲料、飼料組成物、または栄養補助食品であり得る。いくつかの実施形態において、エラジタンニン組成物、酵素組成物、またはその両方は、液体、シロップ、錠剤、トローチ、グミ、カプセル、粉末、ゲル、またはフィルムであり得る。
【0014】
いくつかの実施形態において、組み合わせは、経口投与のために配合される。いくつかの実施形態において、組み合わせは、食品、飲料、飼料組成物、または栄養補助食品である。いくつかの実施形態において、組み合わせは、液体、シロップ、錠剤、トローチ、グミ、カプセル、粉末、ゲル、またはフィルムである。
【0015】
いくつかの実施形態において、組み合わせは、薬学的に許容される担体を含む。いくつかの実施形態において、組み合わせは、腸溶コーティングされた製剤である。
【0016】
本開示は、本明細書に開示される組み合わせを対象に投与することを含む方法を提供する。
【0017】
本開示は、対象にエラジタンニン組成物、1つ以上のエラジタンニン酵素を含む酵素組成物、または本明細書に開示される組み合わせを投与して、対象が本明細書に開示される組み合わせを受けることを含む方法を提供する。
【0018】
いくつかの実施形態において、方法は、細胞または組織におけるポリペプチド凝集体の形成を減少させる方法である。いくつかの実施形態において、方法は、細胞または組織中のポリペプチド凝集体の量を減少させる方法である。いくつかの実施形態において、ポリペプチド凝集体は、ポリQ領域を含むポリペプチドの凝集体(すなわち、ポリQ凝集体)である。いくつかの実施形態において、ポリQ領域は、少なくとも10、少なくとも20、少なくとも30、少なくとも40、または少なくとも50のグルタミンを含む。いくつかの実施形態において、細胞はニューロンであるか、またはニューロンを含む。いくつかの実施形態において、細胞は、中枢神経系組織であるか、または中枢神経系組織を含む。
【0019】
いくつかの実施形態において、方法は、細胞または組織におけるポリペプチド凝集体形成のレベルを決定することを含む。いくつかの実施形態において、方法は、細胞または組織におけるポリペプチド凝集体形成のレベルを、細胞または組織におけるポリペプチド凝集体形成の参照レベルと比較することを含む。いくつかの実施形態において、参照レベルは、エラジタンニン組成物、1つ以上のエラジタンニン酵素を含む酵素組成物、または本明細書に開示される組み合わせが投与されていない対象の細胞または組織において決定される。いくつかの実施形態において、方法は、投与前に、細胞または組織におけるポリペプチド凝集体形成のレベルを決定することを含む。いくつかの実施形態において、方法は、投与後に、細胞または組織におけるポリペプチド凝集体形成のレベルを決定することを含む。いくつかの実施形態において、方法は、投与前に決定された細胞または組織におけるポリペプチド凝集体形成のレベルを、投与後に決定された細胞または組織におけるポリペプチド凝集体形成のレベルと比較することを含む。
【0020】
いくつかの実施形態において、方法は、細胞または組織におけるポリペプチド凝集体のレベルを決定することを含む。いくつかの実施形態において、方法は、細胞または組織中のポリペプチド凝集体のレベルを、細胞または組織中のポリペプチド凝集体の参照レベルと比較することを含む。いくつかの実施形態において、参照レベルは、エラジタンニン組成物、1つ以上のエラジタンニン酵素を含む酵素組成物、または本明細書に開示される組み合わせが投与されていない対象の細胞または組織において決定される。いくつかの実施形態において、方法は、投与前に、細胞または組織中のポリペプチド凝集体のレベルを決定することを含む。いくつかの実施形態において、方法は、投与後に、細胞または組織中のポリペプチド凝集体のレベルを決定することを含む。いくつかの実施形態において、方法は、投与前に決定された細胞または組織中のポリペプチド凝集体のレベルを、投与後に決定された細胞または組織中のポリペプチド凝集体のレベルと比較することを含む。
【0021】
いくつかの実施形態において、方法は、対象の消化管で産生された1つ以上のウロリチンのレベルを変更する方法である。
【0022】
いくつかの実施形態において、方法は、対象の消化管で産生された1つ以上のウロリチンのレベルを決定することを含む。いくつかの実施形態において、方法は、対象の消化管内で産生された1つ以上のウロリチンのそれぞれのレベルを、対応する参照レベルと比較することを含む。
【0023】
いくつかの実施形態において、方法は、対象の血漿中で産生された1つ以上のウロリチンのレベルを決定することを含む。いくつかの実施形態において、方法は、対象の血漿中の1つ以上のウロリチンのレベルを参照レベルと比較することを含む。いくつかの実施形態において、参照レベルは血漿中ウロリチンの濃度、例えば、0.2-20μM(参照により本明細書に組み込まれる、(Espin JC,Larrosa M,Garcia-Conesa MT,Tomas-Barberan F.Biological significance of urolithins,the gut microbial ellagic Acid-derived metabolites:the evidence so far.Evid Based Complement Alternat Med.2013;2013:270418.doi:10.1155/2013/270418)である。いくつかの実施形態において、参照レベルは、少なくとも0.1μM、少なくとも0.2μM、少なくとも0.5μM、少なくとも1μM、少なくとも5μM、少なくとも10μM、または少なくとも15μMの血漿中ウロリチンの濃度である。いくつかの実施形態において、参照レベルは、少なくとも0.5μM、最大1μM、最大5μM、最大10μM、最大15μM、最大20μM、または最大25μMの血漿中のウロリチンの濃度である。
【0024】
いくつかの実施形態において、参照レベルは、消化管内であろうと血漿中であろうと、ウロリチンの過去の参照レベル、組み合わせを受ける前の対象の消化管内のウロリチンレベル、または組み合わせを受けていない同等な対象の消化管内のウロリチンレベルである。
【0025】
いくつかの実施形態において、方法は、対象の消化管で生成されるウロリチンの量を増加させる方法である。いくつかの実施形態において、ウロリチンは、ウロリチンA(3,8-ジヒドロキシウロリチン)、ウロリチンC(3,8,9トリヒドロキシウオリチン)、イソウロリチンA(3,9ジヒドロキシウオリチン)ウロリチンB(3-ヒドロキシウオリチン)、ウロリチンD(3,4,8,9-テトラヒドロキシウロリチン)またはそれらの組み合わせである。
【0026】
いくつかの実施形態において、方法は、対象におけるミトコンドリア機能の指標を決定することを含む。いくつかの実施形態において、方法は、対象におけるマイトファジーのレベルを決定することを含む。
【0027】
いくつかの実施形態において、方法は、対象の細胞または組織におけるNrf2の発現レベルまたは活性レベルを変更する方法である。いくつかの実施形態において、方法は、対象の細胞または組織におけるNrf2の発現レベルまたは活性レベルを増加させる方法である。
【0028】
いくつかの実施形態において、方法は、対象の細胞または組織における核呼吸因子-2(Nrf2)の発現レベルまたは活性レベルを決定することを含む。いくつかの実施形態において、方法は、細胞または組織におけるNrf2の発現レベルまたは活性レベルを参照レベルと比較することを含む。いくつかの実施形態において、参照レベルは、Nrf2の過去の発現または活性レベル、組み合わせを受ける前の対象の同等の細胞または組織における核呼吸因子-2(Nrf2)の発現レベルまたは活性レベル、または組み合わせを受けていない同等の対象の同等の細胞または組織における核呼吸因子-2(Nrf2)の発現レベルまたは活性レベルである。いくつかの実施形態において、方法は、対象の細胞または組織におけるNrf2発現によって調節される遺伝子の発現レベルまたは活性レベルを決定することを含む。
【0029】
いくつかの実施形態において、方法は、対象の細胞または組織中の1つ以上の抗酸化剤のレベルを決定することを含む。いくつかの実施形態において、対象の細胞または組織は、肝細胞または肝組織を含む。いくつかの実施形態において、方法は、対象における肝臓の健康または機能の指標を測定することを含む。
【0030】
いくつかの実施形態において、方法は、対象に対するエラジタンニン組成物の生物学的利用能を増加させる方法である。いくつかの実施形態において、方法は、対象の消化管内のエラジタンニン組成物のエラジタンニンの生物学的利用能レベルを決定することを含む。いくつかの実施形態において、方法は、対象の消化管内のエラジタンニン組成物のエラジタンニンの生物学的利用能レベルを参照レベルと比較することを含む。いくつかの実施形態において、参照レベルは、エラジタンニンの過去の生物学的利用能参照レベル、組み合わせを受ける前の対象の消化管におけるエラジタンニンの生物学的利用能レベル、または組み合わせを受けていない同等の対象の消化管内のエラジタンニンの生物学的利用能レベルである。
【0031】
いくつかの実施形態において、方法は、対象のミトコンドリア機能障害に関連する状態または障害を治療する方法である。
【0032】
いくつかの実施形態において、方法は、対象の肝臓の状態、疾患、または障害を治療する方法である。
【0033】
いくつかの実施形態において、方法は、EES微生物が1つ以上のエラジタンニン酵素を発現する場合に、エラジタンニン組成物をプロバイオティクス製品に添加することを含む、EES微生物を含むプロバイオティクス製品の生存可能な貯蔵寿命を延ばす方法である。
【0034】
いくつかの実施形態において、1つ以上のエラジタンニン酵素は、タンニンアシルヒドロラーゼ酵素、没食子酸デカルボキシラーゼ酵素、またはそれらの組み合わせを含み得る。いくつかの実施形態において、1つ以上のエラジタンニン酵素は、タンニンアシルヒドロラーゼ酵素を含み得る。いくつかの実施形態において、タンニンアシルヒドロラーゼ酵素は、tanBタンナーゼ酵素であるか、またはtanBタンナーゼ酵素を含む。いくつかの実施形態において、1つ以上のエラジタンニン酵素は、没食子酸デカルボキシラーゼ酵素を含み得る。いくつかの実施形態において、没食子酸デカルボキシラーゼ酵素は、lpdB没食子酸デカルボキシラーゼ酵素であるか、またはlpdB没食子酸デカルボキシラーゼ酵素を含む。いくつかの実施形態において、没食子酸デカルボキシラーゼ酵素は、lpdC没食子酸デカルボキシラーゼ酵素であるか、またはlpdC没食子酸デカルボキシラーゼ酵素を含む。いくつかの実施形態において、1つ以上のエラジタンニン酵素は、lpdB没食子酸デカルボキシラーゼ酵素及びlpdC没食子酸デカルボキシラーゼ酵素を含む。いくつかの実施形態において、1つまたはそれ以上のエラジタンニン酵素は、tanBタンナーゼ酵素、lpdB没食子酸デカルボキシラーゼ酵素、及びlpdC没食子酸デカルボキシラーゼ酵素を含む。
【0035】
いくつかの実施形態において、酵素組成物は、エラジタンニン酵素合成(EES)微生物またはその抽出物を含む。いくつかの実施形態において、EES微生物は、自然界に見いだされる。いくつかの実施形態において、EES微生物は、操作されたEES微生物である。いくつかの実施形態において、操作されたEES微生物は、他の点では同等の参照微生物に対して遺伝子改変を含み、その結果、操作されたEES微生物は、参照微生物のレベルとは異なる絶対レベルまたは相対レベルで1つ以上のエラジタンニン酵素を生成する。
【0036】
いくつかの実施形態において、EES微生物は、Lactobacillaceae科のメンバーである。いくつかの実施形態において、Lactobacillaceae科のメンバーは、L.plantarum種である。
【0037】
いくつかの実施形態において、EES微生物は、生存可能または生存している。いくつかの実施形態において、EES微生物は、凍結乾燥される。
【0038】
いくつかの実施形態において、操作されたEES微生物は、他の点では同等の参照微生物に対して遺伝子改変を含み、その結果、参照微生物のレベルとは異なる絶対レベルまたは相対レベルで1つ以上のエラジタンニン酵素を生成する。
【0039】
いくつかの実施形態において、エラジタンニン組成物は、ザクロ、イチゴ、ラズベリー、クランベリー、ブラックベリー、クラウドベリー、アーティックブラックベリー、マスカディンブドウ、グアバ、Myrtaceae科の果実、クルミ、ピーカン、クリ、カシュー、アーモンド、ピスタチオ、ヘーゼルナッツ、ブラジルナッツ、オーク樽中で熟成するマカダミア赤ワイン、マスカディンブドウ果汁、ザクロ果汁、茶、コニャック、インディアングーズベリー、カンゾウタケ、またはそれらの組み合わせの植物抽出物を含む。いくつかの実施形態において、エラジタンニン組成物は、1つ以上のエラジタンニンまたはエラグ酸を含むサプリメントを含む。いくつかの実施形態において、組み合わせは、EES微生物において1つ以上のエラジタンニン酵素の発現、活性、または両方を誘導するのに十分な量のエラジタンニン組成物を含む。
【0040】
いくつかの実施形態において、エラジタンニン組成物及び1つ以上のエラジタンニン酵素は、対象におけるウロリチン産生を促進するのに有効な量で存在する。
【0041】
いくつかの実施形態において、方法は、プレバイオティクスを加えることを含む。いくつかの実施形態において、プレバイオティクスは、フラクトオリゴ糖、イヌリン、イソマルトオリゴ糖、ラクチロール、ラクトスクロース、ラクツロース、ダイズオリゴ糖、トランスガラクトオリゴ糖、キシロオリゴ糖、またはそれらの組み合わせを含む。
【0042】
いくつかの実施形態において、プロバイオティクス組成物は、経口投与のために配合され得る。いくつかの実施形態において、プロバイオティクス組成物は、食品、飲料、飼料組成物、または栄養補助食品であり得る。いくつかの実施形態において、エラジタンニン組成物、酵素組成物、またはその両方は、液体、シロップ、錠剤、トローチ、グミ、カプセル、粉末、ゲル、またはフィルムであり得る。いくつかの実施形態において、プロバイオティクス組成物は、腸溶コーティングされた製剤である。
【0043】
本開示は、1つ以上のエラジタンニン酵素を発現するEES微生物を含むプロバイオティクス製品を提供する。いくつかの実施形態において、1つ以上のエラジタンニン酵素は、タンニンアシルヒドロラーゼ酵素を含み得る。いくつかの実施形態において、タンニンアシルヒドロラーゼ酵素は、tanBタンナーゼ酵素であるか、またはtanBタンナーゼ酵素を含む。いくつかの実施形態において、1つ以上のエラジタンニン酵素は、没食子酸デカルボキシラーゼ酵素を含み得る。いくつかの実施形態において、没食子酸デカルボキシラーゼ酵素は、lpdB没食子酸デカルボキシラーゼ酵素であるか、またはlpdB没食子酸デカルボキシラーゼ酵素を含む。いくつかの実施形態において、没食子酸デカルボキシラーゼ酵素は、lpdC没食子酸デカルボキシラーゼ酵素であるか、またはlpdC没食子酸デカルボキシラーゼ酵素を含む。いくつかの実施形態において、1つ以上のエラジタンニン酵素は、lpdB没食子酸デカルボキシラーゼ酵素及びlpdC没食子酸デカルボキシラーゼ酵素を含む。いくつかの実施形態において、1つまたはそれ以上のエラジタンニン酵素は、tanBタンナーゼ酵素、lpdB没食子酸デカルボキシラーゼ酵素、及びlpdC没食子酸デカルボキシラーゼ酵素を含む。
【0044】
いくつかの実施形態において、EES微生物は、自然界に見いだされる。いくつかの実施形態において、EES微生物は、操作されたEES微生物である。いくつかの実施形態において、操作されたEES微生物は、他の点では同等の参照微生物に対する遺伝子改変を含み、その結果、操作されたEES微生物は、参照微生物のレベルとは異なる絶対レベルまたは相対レベルで1つ以上のエラジタンニン酵素を産生する。
【0045】
いくつかの実施形態において、EES微生物は、Lactobacillaceae科のメンバーである。いくつかの実施形態において、Lactobacillaceae科のメンバーは、L.plantarum種である。
【0046】
いくつかの実施形態において、EES微生物は、生存可能または生存している。いくつかの実施形態において、EES微生物は凍結乾燥される。
【0047】
いくつかの実施形態において、操作されたEES微生物は、他の点では同等の参照微生物に対する遺伝子改変を含み、その結果、参照微生物のレベルとは異なる絶対レベルまたは相対レベルで1つ以上のエラジタンニン酵素を産生する。
【0048】
いくつかの実施形態において、プロバイオティクスは、プレバイオティクスを含む。いくつかの実施形態において、プレバイオティクスは、フラクトオリゴ糖、イヌリン、イソマルトオリゴ糖、ラクチロール、ラクトスクロース、ラクツロース、ダイズオリゴ糖、トランスガラクトオリゴ糖、キシロオリゴ糖、またはそれらの組み合わせを含む。
【0049】
いくつかの実施形態において、プロバイオティクス製品は、経口投与用に配合される。いくつかの実施形態において、プロバイオティクス製品は、食品、飲料、飼料組成物、または栄養補助食品である。いくつかの実施形態において、プロバイオティクス製品は、液体、シロップ、錠剤、トローチ、グミ、カプセル、粉末、ゲル、またはフィルムである。
【0050】
いくつかの実施形態において、プロバイオティクス製品は、腸溶コーティングされた製剤である。
【0051】
本開示は、EES微生物が1つ以上のエラジタンニン酵素を発現する場合に、エラジタンニン組成物をプロバイオティクス製品に添加することを含む、EES微生物を含むプロバイオティクス製品を製造する方法を提供する。
【0052】
いくつかの実施形態において、方法は、プレバイオティクスを加えることを含む。いくつかの実施形態において、プレバイオティクスは、フラクトオリゴ糖、イヌリン、イソマルトオリゴ糖、ラクチロール、ラクトスクロース、ラクツロース、ダイズオリゴ糖、トランスガラクトオリゴ糖、キシロオリゴ糖、またはそれらの組み合わせを含む。
【0053】
本開示は、対象の消化管内で産生されるウロリチンのレベルを調節するための、本明細書に開示される組み合わせの使用を提供する。
【0054】
本開示は、対象におけるミトコンドリア機能を調節するための本明細書に開示される組み合わせの使用を提供する。
【0055】
本開示は、対象におけるマイトファジーのレベルを調節するための、本明細書に開示される組み合わせの使用を提供する。
【0056】
本開示は、対象の細胞または組織におけるNrf2の発現レベルまたは活性レベルを調節するための、本明細書に開示される組み合わせの使用を提供する。
【0057】
本開示は、対象の細胞または組織におけるNrf2発現によって調節される遺伝子の発現レベルまたは活性レベルを調節するための、本明細書に開示される組み合わせの使用を提供する。
【0058】
本開示は、対象の細胞または組織における1つ以上の抗酸化剤のレベルを調節するための、本明細書に開示される組み合わせの使用を提供する。いくつかの実施形態において、対象の細胞または組織は、肝細胞または肝組織を含む。本開示は、対象における肝臓の健康または機能を改善するための、本明細書に開示される組み合わせの使用を提供する。
【0059】
本開示は、対象の消化管内のエラジタンニンの生物学的利用能レベルを増加させるための、本明細書に開示される組み合わせの使用を提供する。
【0060】
これらの、及び本開示に含まれる他の態様は、以下及び特許請求の範囲においてより詳細に記載されている。
【0061】
定義
本発明の範囲は、本明細書に添付された特許請求の範囲によって定義され、本明細書に記載の特定の実施形態によって限定されない。本明細書を読んだ当業者は、そのような記載された実施形態と同等であるか、そうでなければ特許請求の範囲内であり得る様々な修正形態に気付くであろう。一般に、本明細書で使用される用語は、他に明確に示されない限り、当技術分野で理解されている意味に従う。特定の用語の明示的な定義を以下に示し、本明細書全体の特定の場合におけるこれらの用語及び他の用語の意味は、文脈から当業者には明らかであろう。
【0062】
請求項要素を修飾するための請求項における「第1」、「第2」、「第3」などの序数の用語の使用は、それ自体では、別の請求項要素に対するある請求項要素のまたは方法の動作が実行される順序の時間的な順序に対するいかなる優先順位(priority)、優先順位(precedence)、または順序をも意味するものではないが、請求項要素を区別するために、特定の名前を持つ1つの請求項要素を同じ名前(ただし、序数の用語が使用される)を持つ別の要素から区別するためのラベルとしてのみ使用される。
【0063】
本明細書で使用される冠詞「1つの(a)」及び「1つの(an)」は、明確に反対に示されない限り、複数の指示対象を含むと理解されるべきである。グループの1つ以上のメンバー間に「または」を含む請求項または明細書は、反対に、または文脈から明らかな場合指定されていない限り、特定の製品またはプロセスに1つ、2つ以上、またはすべてのグループメンバーが存在する、使用されている、または関連している場合に満たされていると見なされる。いくつかの実施形態において、グループの正確に1つのメンバーが、所与の製品またはプロセスに存在するか、使用されるか、またはそうでなければ関連する。いくつかの実施形態において、2つ以上、またはすべてのグループメンバーが、所与の製品またはプロセスに存在するか、使用されるか、またはそうでなければ関連する。本発明は、列挙された請求項の1つ以上からの1つ以上の制限、要素、節、説明用語などが、段の指示がない限り、または当業者に矛盾または不一致が生じることが明らかでない限り、同じ基本請求項(または、関連する場合は、任意の他の請求項)に依存する別の請求項に導入されるすべての変形、組み合わせ、及び順列を包含することを理解されたい。要素が列挙として提示される場合(例えば、マーカッシュグループまたは同様の形式で)、要素の各サブグループも開示され、任意の要素(複数可)をグループから削除できることを理解されたい。一般に、実施形態または態様が、特定の要素、特徴を「含む」と言及される場合、特定の実施形態または態様がそのような特定の要素、特徴など「から成る」または「から本質的になる」ことが理解されるべきである。簡略化のために、これらの実施形態は、すべての場合に、本明細書に具体的に非常に多くの言葉で記載されるわけではない。特定の除外が明細書に記載されているかどうかに関係なく、任意の実施形態または態様を特許請求の範囲から明示的に除外できることも理解されたい。
【0064】
投与:本明細書で使用される場合、「投与」という用語は、典型的には、対象またはシステムへの薬剤の送達を達成するための、対象またはシステムへの組成物の投与を指す。いくつかの実施形態において、薬剤は、組成物であるか、または組成物に含まれ、いくつかの実施形態において、薬剤は、組成物またはその1つ以上の成分の代謝を通じて生成される。当業者は、適切な状況において、対象、例えばヒトへの投与に利用され得る様々な経路を知っているであろう。例えば、いくつかの実施形態において、投与は、眼、経口、非経口、局所などであり得る。いくつかの特定の実施形態において、投与は、気管支(例えば、気管支滴下による)、頬側、経皮(例えば、真皮への局所、皮内(intradermal)、皮内(interdermal)、経皮、などの1つ以上である、またはそれらを含み得る)、腸内、動脈内、皮内、胃内、髄内、筋肉内、鼻腔内、腹腔内、髄腔内、静脈内、脳室内、特定の器官内(例えば、肝臓内)、粘膜、経鼻、経口、直腸、皮下、舌下、局所、気管(例えば、気管内滴下によって)、膣内、硝子体などであり得る。本開示により提供される多くの実施形態では、投与は、経口投与である。いくつかの実施形態において、投与は、単回投与のみを含み得る。いくつかの実施形態において、投与は、一定数の用量の適用を含み得る。いくつかの実施形態において、投与は、断続的(例えば、時間的に分離された複数の用量)及び/または周期的(例えば、共通の期間によって分離された個々の用量)投与である投与を含み得る。いくつかの実施形態において、投与は、少なくとも選択された期間の連続投薬(例えば、灌流)を含み得る。細胞の投与は、送達された細胞または細胞の成分の少なくとも一部が生存し続ける対象の所望の場所への送達をもたらす、任意の適切な経路によるものであり得る。対象への投与後の細胞の生存期間は、数時間もの短期、例えば、24時間から数日、数年もの長期、すなわち、長期の生着であり得る。いくつかの実施形態において、投与は、1つ以上の細菌代謝産物及び/または副産物を含むが、完全に生存可能な細菌細胞を欠く細菌抽出物または調製物の送達を含む。
【0065】
類似体:本明細書で使用される場合、「類似体」という用語は、1つ以上の特定の構造的特徴、要素、構成要素、または部分を参照物質と共有する物質を指す。通常、「類似体」は、例えばコアまたはコンセンサス構造を共有するなど、参照物質との有意な構造的類似性を示すが、特定の個別の方法でも異なる。いくつかの実施形態において、類似体は、例えば、参照物質の化学的操作によって、参照物質から生成することができる物質である。いくつかの実施形態において、類似体は、参照物質を生成するものと実質的に同様の(例えば、複数のステップを共有する)合成プロセスの実行を通じて生成することができる物質である。いくつかの実施形態において、類似体は、参照物質を生成するために使用されるものとは異なる合成プロセスの実行を通じて生成されるか、または生成され得る。
【0066】
およそ:対象となる1つ以上の値に適用される場合、記載されている参照値と同様の値を含む。特定の実施形態では、「およそ」または「約」という用語は、特に明記しない限り、または文脈から明らかでない限り、記載された参照値の±10%(より大きいまたはより小さい)内にある値の範囲を指す(そのような数が可能な値の100%を超える場合を除く)。
【0067】
エラジタンニン類の生物学的利用能:本明細書中で使用される、用語「エラジタンニン類の生物学的利用能」は、エラジタンニン組成物から全身循環に吸収されるエラジタンニンまたはその加水分解生成物の量を意味する。エラジタンニンの量は、血液、血漿、または尿の試料に存在するエラジタンニン加水分解生成物の量を測定することによって決定できる。さらに、生物学的に利用可能なエラジタンニンは、例えば、対象においてウロリチンに代謝され得る。このように、エラジタンニンの生物学的利用能は、全身循環(例えば、血液、血漿など)または腎臓によって排泄される(例えば、尿)ウロリチンの量を評価することによって間接的に決定することができる。したがって、所与のエラジタンニン組成物の生物学的利用能の変化(例えば、増加)は、本明細書に記載のエラジタンニン組成物または組み合わせの存在下でのウロリチンのレベルを評価することによって決定することができる。いくつかの実施形態において、ウロリチンのレベルは、例えば、組成物による治療の開始前の対象のレベルと比較することができる。
【0068】
同等:本明細書で使用される場合、「同等」という用語は、互いに同一ではない可能性があるが、当業者が、観察された相違点または類似点に基づいて結論が合理的に導き出され得ることを理解するそれらの間の比較を可能にするのに十分に類似している2つ以上の薬剤、エンティティ、状況、条件のセット、対象などを指す。いくつかの実施形態において、条件、状況、個体、または集団の比較可能なセットは、複数の実質的に同一の特徴及び1つまたは少数の異なる特徴によって特徴付けられる。当業者は、文脈において、2つ以上のそのような薬剤、エンティティ、状況、条件のセットなどが同等であると見なされるために、任意の所与の状況においてどの程度のアイデンティティが必要とされるかを理解するであろう。例えば、当業者は、得られた結果の差異または異なる状況、個人、もしくは集団の組の下でまたはそれらとともに観測された現象が、それらの特徴のバリエーションによって引き起こされる、もしくは示す、合理的な結論を保証するのに十分な数及びタイプの実質的に同一の特徴によって特徴付けられる場合、一連の状況、個人、または集団が互いに比較可能であることを理解するであろう。
【0069】
保存的:本明細書で使用される場合、類似の化学的性質(例えば、電荷または疎水性)を有する側鎖R基を有する別のアミノ酸残基によるアミノ酸残基の置換を含む、保存的アミノ酸置換を説明する場合の例を指す。一般に、保存的アミノ酸置換は、タンパク質についての関心のある機能的特性、例えば、リガンドに結合する受容体の能力を実質的に変化させないであろう。同様の化学的性質を持つ側鎖を持つアミノ酸のグループの例には、グリシン(Gly、G)、アラニン(Ala、A)、バリン(Val、V)、ロイシン(Leu、L)、及びイソロイシン(Ile、I)などの脂肪族側鎖;セリン(Ser、S)やスレオニン(Thr、T)などの脂肪族ヒドロキシル側鎖;アスパラギン(Asn、N)やグルタミン(Gln、Q)などのアミド含有側鎖;フェニルアラニン(Phe、F)、チロシン(Tyr、Y)、トリプトファン(Trp、W)などの芳香族側鎖;リジン(Lys、K)、アルギニン(Arg、R)、ヒスチジン(His、H)などの塩基性側鎖;アスパラギン酸(Asp、D)やグルタミン酸(Glu、E)などの酸性側鎖;システイン(Cys、C)やメチオニン(Met、M)などの硫黄含有側鎖を含む。保存的アミノ酸置換基には、例えば、バリン/ロイシン/イソロイシン(Val/Leu/Ile、V/L/I)、フェニルアラニン/チロシン(Phe/Tyr、F/Y)、リジン/アルギニン(Lys/Arg、K/R)、アラニン/バリン(Ala/Val、A/V)、グルタミン酸/アスパラギン酸(Glu/Asp、E/D)、及びアスパラギン/グルタミン(Asn/Gln、N/Q)を含む。いくつかの実施形態において、保存的アミノ酸置換は、例えば、アラニンスキャニング突然変異誘発において使用されるように、タンパク質中の任意の天然残基のアラニンによる置換であり得る。いくつかの実施形態において、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、Gonnet,G.H.et al.,1992,Science 256:1443-1445に開示されているPAM250対数尤度行列において正の値を有する保存的置換が行われる。いくつかの実施形態において、置換は中程度に保守的な置換であり、置換は、PAM250対数尤度行列において非負の値を有する。
【0070】
【0071】
対照:本明細書で使用される場合、当技術分野で理解されている、結果が比較される標準である「対照」の意味を指す。通常、対照は、そのような可変物について結論を出すために可変物を分離することにより、実験の整合性を強化するために使用される。いくつかの実施形態において、対照は、比較対象を提供するために試験反応またはアッセイと同時に実施される反応またはアッセイである。「対照」は「対照動物」も含まれる。「対照動物」は、本明細書に記載されるような修飾を有しても、本明細書に記載されるのと異なる修飾を有しても、修飾なし(すなわち、野生型動物)でもよい。1つの実験では、「試験」(つまり、試験される可変物)が適用される。2番目の実験では、「対照」には試験される可変物は適用されない。いくつかの実施形態において、対照は、過去の対照(すなわち、以前に実施された試験またはアッセイ、あるいは以前に知られている量または結果)である。いくつかの実施形態において、対照は、印刷された、または他の方法で保存された記録であるか、またはそれを含む。対照は、陽性対照または陰性対照であり得る。
【0072】
決定、測定、評価(evaluating)、評価(assessing)、アッセイ、分析及び分析:決定、測定、評価(evaluating)、評価(assessing)、アッセイ及び分析は、本明細書では、任意の形態の測定を指すために交換可能に使用され、元素が存在するかどうかの決定を含む。これらの用語には、定量的及び/または定性的な決定の両方が含まれる。アッセイは相対的または絶対的であり得る。「の存在についてアッセイする」は、何かの存在量を決定すること、及び/またはそれが存在するかまたは存在しないかを決定することであり得る。
【0073】
剤形:当業者は、「剤形」という用語が、対象に投与するための薬剤(例えば、治療薬)の物理的に別個の単位を指すために使用され得ることを理解するであろう。典型的には、そのような各ユニットは、所定量の薬剤を含む。いくつかの実施形態において、そのような量は、関連する集団に投与されたときに所望のまたは有益な結果と相関すると決定された投薬レジメンに従った投与に適切な単位投薬量(またはその全画分)である(つまり、治療的投薬レジメン)。当業者は、特定の対象に投与される治療用組成物または薬剤の総量が、1人または複数の主治医によって決定され、複数の剤形の投与を含み得ることを理解している。
【0074】
投薬レジメン:当業者は、「投薬レジメン」という用語が、対象に個別に投与され、通常は期間によって分離される一連の単位用量(通常は複数)を指すために使用できることを理解するであろう。いくつかの実施形態において、所与の薬剤は、推奨される投薬レジメンを有し、これは、1つ以上の用量を含み得る。いくつかの実施形態において、投薬レジメンは、それぞれが他の用量から時間的に分離される複数の用量を含む。いくつかの実施形態において、個々の用量は、同じ長さの期間によって互いに分離され、いくつかの実施形態において、投薬レジメンは、複数の用量及び個々の用量を分離する少なくとも2つの異なる期間を含む。いくつかの実施形態において、投薬レジメン内のすべての用量は、同じ単位用量量である。いくつかの実施形態において、投薬レジメン内の異なる用量は、異なる量である。いくつかの実施形態において、投薬レジメンは、第1の用量量での第1の用量と、それに続く第1の用量量とは異なる第2の用量量での1つ以上の追加の用量とを含む。いくつかの実施形態において、投薬レジメンは、関連する集団に渡る投与がされたとき、所望のまたは有益な結果と相関する。
【0075】
エラジタンニン富化:本明細書で使用される、用語「エラジタンニン富化」は、1つ以上のエラジタンニン類の割合が、処理前の植物材料(複数可)の1つ以上のエラジタンニン類の割合に対して増加される、1つ以上の植物材料を加工して得られた材料を指す。富化は、例えば、少なくとも2倍、少なくとも5倍、少なくとも10倍、少なくとも20倍、またはそれ以上であり得る。
【0076】
エラジタンニン組成物:本明細書で使用される場合、「エラジタンニン組成物」は、1つ以上のエラジタンニン化合物を含む組成物を指す。いくつかの実施形態において、エラジタンニン組成物は、エラジタンニン富化物質を指す。いくつかの実施形態において、エラジタンニン組成物は、ナシ状果(pome)抽出物を含む。いくつかの実施形態において、エラジタンニン組成物は、1つ以上の植物によって生成された1つ以上のエラジタンニン化合物を含む1つ以上の植物材料の処理によって生成される。いくつかの実施形態において、エラジタンニン組成物は、エラジタンニン化合物を生成する果実の果汁、エラジタンニン化合物を生成する植物の果実または他の材料(例えば、皮(skin)、皮(peel)、殻など)のホモジネート、エラジタンニン化合物を生成する植物からの材料の抽出物、または果汁のエラジタンニン富化分画、エラジタンニン化合物を生成する植物のモジネートまたは抽出物を含む。いくつかの実施形態において、エラジタンニン組成物は、1つ以上のエラジタンニンまたはエラグ酸を含むサプリメントを含む。
【0077】
エラジタンニン化合物:本明細書で使用される場合、「エラジタンニン化合物」は、多様なクラスのポリフェノールのメンバーである化合物、及びその構造類似体を指す。自然界では、エラジタンニンは加水分解されてエラグ酸になり、エラグ酸は代謝されて多様な種類のウロリチンを生成する。エラジタンニンは、糖にエステル化されたヘキサヒドロキシジフェノイル部分、すなわちヘキサヒドロキシジフェノイル-グルコースエステルで構成される多様なクラスの複雑な加水分解性植物タンニンポリフェノールを含み、これは、例えばイチゴ(Fragaria vesca)、ラズベリー、ブラックベリー、クラウドベリー(Rubus chamaemorus)、ジャブチカバ、カンブチ、スリナムチェリー、カムカム、レッドグアバ、ホワイトグアバを含むがこれらに限定されないMyrtaceae科の果実、ザクロ、クルミ、ピーカン、カンゾウタケ(Fistulina hepatica)、クランベリーに見いだされる。他のエラジタンニンには、例えば、ペダンキュラギン、ロサシアニン、フィラネンブリニン、及びサンギインH6が含まれる。
【0078】
エラジタンニン酵素:ここで使用される「エラジタンニン酵素」は、エラジタンニンのウロリチンへの代謝に関与する酵素を指す。エラジタンニン酵素には、タンニンアシルヒドロラーゼ酵素(例えば、tanBタンナーゼ酵素)、及び没食子酸デカルボキシラーゼ酵素(例えば、lpdB没食子酸デカルボキシラーゼ酵素、lpdC没食子酸デカルボキシラーゼ酵素)が含まれるが、これらに限定されない。
【0079】
エラジタンニン酵素合成微生物:本明細書で使用される場合、「エラジタンニン酵素合成微生物」または「EES微生物」という句は、1つ以上のエラジタンニン酵素を発現する微生物(例えば、藻類、真菌、細菌)を指す。いくつかの実施形態において、EES微生物は、1つ以上のエラジタンニン酵素を自然に発現し得る。いくつかの実施形態において、EES微生物は、エラジタンニン酵素修飾を含む。いくつかの実施形態において、EES微生物は、遺伝子改変され得(例えば、1つ以上の遺伝的改変を有する)、それにより、1つ以上のエラジタンニン酵素を、そのように遺伝子改変されていない(すなわち、遺伝的改変(複数可)を含まない)他の同等の参照微生物とは異なる絶対的または相対的レベルで発現する。例えば、いくつかの実施形態において、EES微生物は、遺伝子操作されない場合、微生物によって発現されない1つ以上のエラジタンニン酵素を発現するように遺伝子操作されている。あるいは、いくつかの実施形態において、1つ以上のエラジタンニン酵素の発現が、遺伝子操作がない微生物と比較してより高いレベルであることができるように、EES微生物が遺伝子操作されている可能性がある。いくつかの実施形態において、より高いレベルは、閾値レベルを参照して評価され得、いくつかの実施形態において、(遺伝子工学の前に)微生物によっても産生される別の化合物(例えば、別のエラジタンニン酵素)を参照して、より高いレベルを評価することができる。いくつかの特定の実施形態において、EES微生物は、1つ以上のエラジタンニン酵素をコードする1つ以上の遺伝子の発現を追加または増加させるように遺伝子改変されている可能性がある。
【0080】
エラジタンニン酵素改変:本明細書で使用される「エラジタンニン酵素改変」という用語は、本明細書に記載されるように、1つ以上のエラジタンニン酵素の産生を調整する微生物の改変を指す。例えば、エラジタンニン酵素改変は、1つ以上のエラジタンニン酵素の産生レベルを増加させ得る、及び/または異なるエラジタンニン酵素の相対的産生レベルを変化させ得る。原則として、エラジタンニン酵素改変は、微生物によって生成される1つ以上のエラジタンニン酵素の生成を、同じ修正を受けていないが他の点では同一の微生物で生成されるレベルと比較して適切に変更する、任意の化学的、生理学的、遺伝的、または他の改変であり得る。しかしながら、ほとんどの実施形態において、エラジタンニン酵素改変は、遺伝子改変を含み、典型的には、1つ以上の選択されたエラジタンニン酵素の産生の増加をもたらす。いくつかの実施形態において、エラジタンニン酵素は、タンニンアシルヒドロラーゼ酵素(例えば、tanBタンナーゼ酵素)、没食子酸デカルボキシラーゼ酵素(例えば、lpdB没食子酸デカルボキシラーゼ酵素、lpdC没食子酸デカルボキシラーゼ酵素)、またはそれらの組み合わせを含む。
【0081】
操作:一般に、「操作された(engineered)」という用語は、人間の手によって操作されたという態様を指す。例えば、細胞または生物は、その遺伝情報が変更されるように操作された場合(例えば、形質転換、交配、体細胞ハイブリダイゼーション、トランスフェクション、形質導入、または他の機構、または以前に存在した遺伝物質が例えば、置換または欠失突然変異によって、または交配プロトコルによって、以前は存在しなかった新しい遺伝物質が導入された、または以前に存在下遺伝物質が例えば変更または除去されるなどによって、改変されるまたは取り除かれる)、「操作された」と考えられる。一般的な方法であり当業者によって理解されるように、操作されたポリヌクレオチドまたは細胞の子孫は、実際の操作は、前のエンティティに対して行ったにもかかわらず、典型的にはなおも「操作された」と呼ばれる。
【0082】
賦形剤:本明細書で使用される場合、例えば、所望の粘稠度または安定化効果を提供または寄与するために、医薬組成物に含まれ得る不活性(例えば、非治療的)薬剤を指す。いくつかの実施形態において、適切な医薬賦形剤は、例えば、デンプン、グルコース、ラクトース、スクロース、ゼラチン、モルト、米、小麦粉、チョーク、シリカゲル、ステアリン酸ナトリウム、モノステアレートグリセロール、タルク、塩化ナトリウム、乾燥スキムミルク、グリセロール、プロピレン、グリコール、水、エタノールなどを含み得る。
【0083】
機能的:本明細書で使用される場合、「機能性」生体分子は、それが特徴付けられる特性及び/または活性を示す形態の生体分子である。生体分子は、2つの機能(すなわち、二機能性)または多くの機能(すなわち、多機能性)を有し得る。
【0084】
遺伝子:本明細書で使用される場合、産物(例えば、RNA産物及び/またはポリペプチド産物)をコードする染色体中のDNA配列を指す。いくつかの実施形態において、遺伝子は、コード配列(すなわち、特定の産物をコードする配列)を含む。いくつかの実施形態において、遺伝子は、非コード配列を含む。いくつかの特定の実施形態において、遺伝子は、コーディング(例えば、エキソンの)及び非コーディング(例えば、イントロンの)配列の両方を含み得る。いくつかの実施形態において、遺伝子は、1つ以上の調節配列(例えば、プロモーター、エンハンサーなど)及び/または、例えば、遺伝子発現の1つ以上の側面(例えば、細胞型特異的発現、誘導性発現など)を制御または影響し得るイントロン配列を含み得る。明確にするために、本開示で使用される場合、「遺伝子」という用語は、一般に、ポリペプチドまたはそのフラグメントをコードする核酸の一部を指し、この用語は、文脈から当業者に明らかであるように、任意選択で調節配列を包含し得ることに留意されたい。この定義は、「遺伝子」という用語の非タンパク質コード発現ユニットへの適用を除外することを意図するのではなく、むしろ多くの場合、この文書で使用される用語がポリペプチドをコードする核酸を指すことを明確にすることを意図している。
【0085】
改良、増加、強化、抑制、または低減:本明細書で使用される場合、「改良」、「増加」、「強化」、「抑制」、「低減」、またはそれらの文法的同等物である用語は、ベースラインまたはその他の参照測定に対する値を示す。いくつかの実施形態において、値は、ベースラインまたは他の参照測定値と統計的に有意な差がある。いくつかの実施形態において、適切な参照測定は、特定の薬剤または治療の存在がない(例えば、前及び/または後に)、または適切な同等の参照薬剤の存在下である以外は同等の条件下での特定のシステム(例えば、単一の個体)での測定であるか、またはそれを含み得る。いくつかの実施形態において、適切な参照測定は、関連する薬剤または治療の存在下で、特定の方法で応答することが知られている、または予想される同等のシステムでの測定であり得るか、またはそれを含み得る。いくつかの実施形態において、適切な参照は負の参照であり、いくつかの実施形態において、適切な参照は正の参照である。
【0086】
分離:本明細書で使用される場合、(1)最初に製造されたときに伴っていた成分の少なくともいくつかから分離された(自然及び/または実験環境であるかどうかにかかわらず)、及び/または(2)人間の手によって設計、生成、調製、及び/または製造された、物質及び/またはエンティティを指す。いくつかの実施形態において、単離された物質またはエンティティは富化され得、いくつかの実施形態において、単離された物質またはエンティティは純粋であり得る。いくつかの実施形態において、単離された物質及び/またはエンティティは、それらが最初に伴っていた他の成分の約10%、約20%、約30%、約40%、約50%、約60%、約70%、約80%、約90%、約91%、約92%、約93%、約94%、約95%、約96%、約97%、約98%、約99%、または約99%超から分離される。いくつかの実施形態において、単離された薬剤は、約80%、約85%、約90%、約91%、約92%、約93%、約94%、約95%、約96%、約97%、約98%、約99%、または約99%以上の純度である。本明細書で使用される場合、物質は、他の成分を実質的に含まない場合、「純粋」である。いくつかの実施形態において、当業者によって理解されるように、物質は、例えば1つ以上の担体または賦形剤(例えば、緩衝剤、溶媒、水など)などの特定の他の成分と組み合わされた後でもなお「富化」、「単離された」またはさらには「純粋」であると考えられ得、そのような実施形態では、物質の単離パーセントまたは純度は、そのような担体または賦形剤を含まずに計算される。当業者は、物質または薬剤を単離する(例えば、富化または精製する)ための様々な技術を知っている(例えば、分画、抽出、沈殿、または他の分離のうちの1つ以上を使用する)。
【0087】
医薬組成物:本明細書で使用される場合、「医薬組成物」という用語は、活性剤が1つ以上の医薬的に許容される担体と一緒に配合される組成物を指す。いくつかの実施形態において、活性剤は、関連する集団に投与されたときに所定の治療効果を達成する統計的に有意な確率を示す治療レジメンでの投与に適切な単位用量量で存在する。いくつかの実施形態において、医薬組成物は経口投与、例えば水薬(水溶液または非水溶液または懸濁液)、錠剤、例えば、頬側、舌下、及び全身吸収を標的としたもの、ボーラス、粉末、顆粒、舌に適用するためのペースト、カプセル、粉末などに適応されたものを含み、固体または液体形態での投与のために特別に配合され得る。いくつかの実施形態において、活性剤は、細胞または細胞の集団(例えば、培養物、例えばEES微生物)であり得またはそれらを含み得、いくつかの実施形態において、活性剤は、細胞の抽出物または成分または細胞の集団(例えば、培養物)であり得るか、またはそれらを含み得る。いくつかの実施形態において、活性剤は、単離された、精製された、または純粋な化合物であり得るか、またはそれらを含み得る。いくつかの実施形態において、活性剤は、in vitroで(例えば、化学的及び/または酵素的合成を介して)合成され得る。いくつかの実施形態において、活性剤は、天然物であるか、またはそれを含み得る(天然源から単離された、またはin vitroで合成された)。
【0088】
薬学的に許容される:本明細書で使用される場合、例えば、本明細書に開示される医薬組成物を配合するために使用される担体、希釈剤、または賦形剤に関して使用され得る「薬学的に許容される」という用語は、組成物の他の成分と適合性があり、そのレシピエントに有害ではない担体、希釈剤、または賦形剤を意味する。
【0089】
薬学的に許容される担体:本明細書で使用される場合、「薬学的に許容される担体」という用語は、ある器官または体の一部から別の器官または体の一部へ対象化合物の運搬または輸送に関与する、液体または固体の充填剤、希釈剤、賦形剤、または溶媒封入材料などの薬学的に許容される材料、組成物またはビヒクルを意味する。各担体は、製剤の他の構成成分と適合性があり、対象に有害ではないという意味で「許容可能」でなければならない。薬学的に許容される担体として役立つことができる材料のいくつかの例には、以下が含まれる:ラクトース、グルコース、及びスクロースなどの糖;コーンスターチや馬鈴薯デンプンなどのデンプン;カルボキシメチルセルロースナトリウム、エチルセルロース、酢酸セルロースなどのセルロース及びその誘導体;粉末トラガカント;麦芽;ゼラチン;タルク;カカオバターや坐剤ワックスなどの賦形剤;ピーナッツ油、綿実油、サフラワー油、ゴマ油、オリーブ油、コーン油、及びダイズ油などの油;プロピレングリコールなどのグリコール;グリセリン、ソルビトール、マンニトール、ポリエチレングリコールなどのポリオール;オレイン酸エチル及びラウリン酸エチルなどのエステル;寒天;水酸化マグネシウムや水酸化アルミニウムなどの緩衝剤;アルギン酸;パイロジェンフリー水;等張食塩水;リンガー液;エチルアルコール;pH緩衝溶液;ポリエステル、ポリカーボネート及び/またはポリ無水物;及び医薬製剤に使用される他の非毒性適合性物質。
【0090】
プレバイオティクス:本明細書で使用される場合、「プレバイオティクス」は、宿主に利益を与える(または与えない)胃腸内細菌叢の組成及び/または活性の両方における特定の変化を可能にするまたは促進する構成成分を指す。いくつかの実施形態において、プレバイオティクスは、以下のうちの1つ以上を含み得る:プレバイオティクスは、ナシ状果抽出物、ベリー抽出物、及びクルミ抽出物を含む。
【0091】
予防:本明細書で使用される「予防」という用語は、特定の疾患、障害または状態の1つ以上の症状の発症の遅延、及び/または頻度及び/または重症度の低下を指す。いくつかの実施形態において、予防は、疾患、障害または状態になりやすい集団で、疾患、障害、または症状の1つ以上の発症、頻度、及び/または強度の統計的に有意な減少が観察された場合、薬剤が特定の疾患、障害または状態を「予防」すると考えられるように集団ベースで評価される。いくつかの実施形態において、予防は、例えば、疾患、障害、または状態の発症が所定の期間遅延された場合に、完全であると見なされ得る。
【0092】
参照:本明細書で使用される場合、比較が実行される基準または対照を説明する。例えば、いくつかの実施形態において、対象の薬剤、動物、個体、集団、試料、配列または値が、参照または対照薬剤、動物、個体、集団、試料、配列または値と比較される。いくつかの実施形態において、参照または対照は、対象の試験または決定と同時に実質的に試験及び/または決定される。いくつかの実施形態において、参照または対照は、過去の参照または対照であり、任意選択で有形媒体に具体化される。通常、当業者によって理解されるように、参照または対照は、評価中のものと同等の条件または状況下で決定または特徴付けられる。当業者は、特定の可能な参照または対照への依存及び/または比較を正当化するのに十分な類似性が存在する場合に理解するであろう。いくつかの実施形態において、参照は陰性対照参照であり、いくつかの実施形態において、参照は陽性対照参照である。
【0093】
リスク:文脈から理解されるように、疾患、障害、及び/または状態の「リスク」は、特定の個人が疾患、障害、及び/または状態を発症する可能性を指す。いくつかの実施形態において、リスクはパーセンテージで表される。いくつかの実施形態において、リスクは、0、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、20、30、40、50、60、70、80、90から100%までである。いくつかの実施形態において、リスクは、参照試料または参照試料のグループに関連するリスクと比較したリスクとして表される。いくつかの実施形態において、参照試料または参照試料のグループは、疾患、障害、状態、及び/または事象の既知のリスクを有する。いくつかの実施形態において、参照試料または参照試料のグループは、特定の個体と比較可能な個体からのものである。いくつかの実施形態において、相対リスクは、0、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、またはそれ以上である。
【0094】
試料:本明細書で使用される場合、「試料」という用語は、通常、対象の供給ソースから得られた、または導かれた材料のアリコートを指す。いくつかの実施形態において、対象の供給ソースは、生物学的または環境的ソースである。いくつかの実施形態において、対象の供給ソースは、微生物、植物、または動物(例えば、ヒト)などの細胞または生物であり得るか、またはそれらを含み得る。いくつかの実施形態において、対象の供給ソースは、生物学的組織または流体であるか、またはそれを含む。いくつかの実施形態において、生物学的組織または体液は、羊水、水性体液、腹水、胆汁、骨髄、血液、乳汁、脳脊髄液、耳垢、乳び、チャイム(chime)、精液、内リンパ、滲出液、糞便、胃酸、胃液、リンパ液、粘液、心膜液、リンパ液、腹水、胸膜液、膿、リューム、唾液、血清、精液、血清、スメグマ、唾液、滑液、汗、涙、尿、膣分泌物、硝子体液、吐しゃ物、及び/またはその組み合わせまたは成分(複数可)であり得るか、またはそれらを含み得る。いくつかの実施形態において、生体体液は、細胞内液、細胞外液、血管内液(血漿)、間質液、リンパ液、及び/または経細浸透液であり得るか、またはそれらを含み得る。いくつかの実施形態において、生体体液は、植物浸出液であり得るか、またはそれを含み得る。いくつかの実施形態において、生物学的組織または試料は、例えば、吸引、生検(例えば、細針または組織生検)、スワブ(例えば、口腔、鼻、皮膚、または膣のスワブ)、掻き取り、外科手術、洗浄、または灌流(例えば、気管支肺胞、腺管、鼻、眼、口腔、子宮、膣、または他の洗浄または灌流)によって得ることができる。いくつかの実施形態において、生物学的試料は、個体から得られた細胞であるか、またはそれを含む。いくつかの実施形態において、試料は、任意の適切な手段によって対象のソースから直接得られる「一次試料」である。いくつかの実施形態において、文脈から明らかなように、「試料」という用語は、一次試料を処理することによって(例えば、1つ以上の成分を除去することによって、及び/または1つ以上の薬剤を加えることによって)得られる調製物を指す。例えば、半透膜を使用したフィルタリング。そのような「処理された試料」は、例えば、試料から抽出された、または一次試料を核酸の増幅または逆転写、特定の成分の単離及び/または精製などの1つ以上の技術に供することによって得られた核酸またはタンパク質を含み得る。
【0095】
貯蔵寿命:本明細書で使用される場合、用語「貯蔵寿命」または「生存可能な貯蔵寿命」は、所与の組成物が対象または対象のグループで生物学的効果を生み出すために必要な最小閾値を超える量の生存可能な微生物(例えば、細菌)の量を含む(日、月、または年で表される)時間の量を指す。生存率は、例えば適切な培養アッセイを使用して、所与の時間における組成物中の生細胞:死細胞の比率を決定することによって評価することができる。他の実施形態では、生存率は、細胞ベースのアッセイを使用して機能的に評価して、組成物、製剤、または調製物中の細胞によるエラジタンニンの加水分解の速度及び/または最大量を測定することができる。当業者によって理解されるように、所与の組成物の生存率は、それが包装された日の組成物の生存率または組成物中で望まれるエラジタンニンの加水分解の閾値速度/最大量などの適切な参照と比較される。本明細書で使用する用語「増加した貯蔵寿命」または「増加した生存可能な貯蔵寿命」とは、同等の組成物と比較して、少なくとも一日のエラジタンニン組成物(またはエラジタンニン組成物を含む、組成物または組み合わせ)の貯蔵寿命の増大を指す。他の実施形態では、貯蔵寿命の増加は、エラジタンニン組成物(またはエラジタンニン組成物を含む組成物または組み合わせ)において同等の組成物と比較して、少なくとも2日、少なくとも5日、少なくとも7日、少なくとも10日、少なくとも2週間、少なくとも3週間、少なくとも4週間、少なくとも1か月、少なくとも2か月、少なくとも3か月、少なくとも4か月、少なくとも5か月、少なくとも6か月、少なくとも7か月、少なくとも8か月、少なくとも9か月、少なくとも10か月、少なくとも11ヶ月、少なくとも12ヶ月またはそれ以上の増加を指す。いくつかの実施形態において、同等の組成物はエラジタンニンを欠いている。
【0096】
小分子:本明細書で使用される場合、「小分子」という用語は、約3000ダルトン未満の分子量の小さな有機または無機分子を指す。一般に、小分子の分子量は、約3000ダルトン(Da)未満を有し得る。小分子は、例えば少なくとも約100Da~約3000Da(例えば、約100~約3000Da、約100~約2500Da、約100~約2000Da、約100~約1,750Da、約100~約1,500Da、約100~約1,250Da、約100~約1,000Da、約100~約750Da、約100~約500Da、約200~約1500、約500~約1000、約300~約1000Da、または約100~約250Da)であり得る。
【0097】
対象:本明細書で使用される場合、「対象」という用語は、提供される治療が施される個人を指す。いくつかの実施形態において、対象は動物である。いくつかの実施形態において、対象は、哺乳動物、例えば、本明細書に記載の疾患、障害、または状態を経験するか、または罹患しやすい哺乳動物である。いくつかの実施形態において、動物は、脊椎動物、例えば、非ヒト霊長類(特に高等霊長類)、ヒツジ、イヌ、げっ歯類(例えば、マウスまたはラット)、モルモット、ヤギ、ブタ、ネコ、ウサギ、または牛などの哺乳動物である。いくつかの実施形態において、動物は、ニワトリ、両生類、爬虫類、または無脊椎動物モデルC.elegansなどの非哺乳動物である。いくつかの実施形態において、対象はヒトである。いくつかの実施形態において、患者は、本明細書に記載されるような1つ以上の疾患、障害、または状態に罹患しているか、または罹患しやすい。いくつかの実施形態において、患者は、本明細書に記載されるような1つ以上の疾患、障害、または状態の1つ以上の症状を示す。いくつかの実施形態において、患者は、本明細書に記載されるような1つ以上の疾患、障害、または状態と診断されている。いくつかの実施形態において、対象は、疾患、障害、または状態を診断及び/または処置するために特定の治療を受けたか、または受けている。別の実施形態では、対象は、疾患モデルとしての実験動物または動物代替物である。
【0098】
実質的に:本明細書で使用される場合、関心のある特徴または性質の全体的またはほぼ全体的な範囲または程度を示す定性的条件を指す。生物学技術の当業者は、生物学的及び化学的現象が、たとえあったとしても、完全に進むこと、及び/または完全に達すること、または絶対的な結果を達成または回避することはほとんどないことを理解するであろう。したがって、「実質的に」という用語は、多くの生物学的及び化学的現象に固有の完全性の潜在的な欠如を捉えるために本明細書で使用される。
【0099】
症状が軽減される:本発明によれば、特定の疾患、障害、または状態の1つ以上の症状の大きさ(例えば、強度、重症度など)及び/または頻度が低下すると、「症状が軽減される」。明確にするために、特定の症状の発症の遅延は、その症状の頻度を減らす1つの形態と見なされる。
【0100】
治療レジメン:「治療レジメン」は、その用語が本明細書中で使用されると、関連する集団に渡るその投与が所望のまたは有益な治療結果と相関し得る投薬レジメンを指す。
【0101】
治療有効量:本明細書で使用される場合、それが投与対象に所望の効果を生み出す量を意味する。いくつかの実施形態において、この用語は、治療的投薬レジメンに従って、疾患、障害、及び/または状態に罹患している、または罹患しやすい集団に投与される場合、疾患、障害、及び/または状態を治療するのに十分な量を指す。いくつかの実施形態において、治療有効量は、疾患、障害、及び/または状態の1つ以上の症状の発生率及び/または重症度を低下させる、及び/または発症を遅らせる量である。「治療有効量」という用語は、実際には、特定の対象において成功した治療が達成されることを必要としないことが報告されている。むしろ、治療上有効な量は、そのような治療を必要とする対象に投与されたときに、かなりの数の対象において特定の所望の薬理学的応答を提供する量であり得る。いくつかの実施形態において、治療的に有効な量への言及は、1つ以上の特定の組織(例えば、疾患、障害または状態によって影響を受ける組織)または体液(例えば、血液、唾液、血清、汗、涙、尿など)において測定される量への言及である。いくつかの実施形態において、治療有効量の特定の薬剤または療法が、単回投与で配合及び/または投与され得ることが報告されている。いくつかの実施形態において、治療的に有効な薬剤は、例えば、投薬レジメンの一部として、複数の用量で配合及び/または投与され得る。
【0102】
治療:本明細書で使用される場合、「治療」(または「治療する」または「治療すること」)という用語は、部分的または完全に緩和、改善、回復、阻害、発症の遅延、重症度の軽減、及び/または、特定の疾患、障害、及び/または状態の1つ以上の症状、特徴、及び/または原因の発生率を低下させる任意の治療の適用を指す。いくつかの実施形態において、そのような治療は、関連する疾患、障害及び/または状態の兆候を示さない対象、及び/または疾患、障害、ならびに/または状態の初期の兆候のみを示す対象のものであり得る。あるいは、またはさらに、そのような治療は、関連する疾患、障害、及び/または状態の1つ以上の確立された兆候を示す対象のものであり得る。いくつかの実施形態において、治療は、関連する疾患、障害、及び/または状態に罹患していると診断された対象のものであり得る。いくつかの実施形態において、治療は、関連する疾患、障害、及び/または状態の発症のリスクの増加と統計的に相関する1つ以上の感受性因子を有することが知られている対象のものであり得る。
【図面の簡単な説明】
【0103】
【
図1】定性的ビジュアルスクリーニングを用いたCaenorhabditis elegansのレポーターCL2166 dvIs19[pAF15(gst-4::gfp-nls)]IIIを用いたgst-4発現の誘導レベルを示す。パネル(a)は、陰性対照細菌を与えられ、ナシ状果抽出物を与えられていないC.elegansにおけるレポーターCL2166 dvIs19[pAF15(gst-4::gfp-nls)]IIIからのgst-4発現の誘導レベルを示す。パネル(b)は、陰性対照細菌とナシ状果抽出物を与えられたC.elegansにおけるレポーターCL2166 dvIs19[pAF15(gst-4::gfp-nls)]IIIからのgst-4発現の誘導レベルを示す。パネル(c)は、Lactobacillus pla
nta
rum(MBT501)を与えられ、ナシ状果抽出物を与えられていないC.elegansにおけるレポーターCL2166 dvIs19[pAF15(gst-4::gfp-nls)]IIIからのgst-4発現の誘導レベルを示す。パネル(d)は、L.pla
nta
rum(MBT501)及びナシ状果抽出物を与えられたC.elegansにおけるレポーターCL2166 dvIs19[pAF15(gst-4::gfp-nls)]IIIからのgst-4発現の誘導レベルを示す。
【
図2】
図2のパネル(A)は、エラジタンニン代謝に関与する遺伝子のクラスターの概略図を含む。
図2のパネル(B)は、ナシ状果抽出物あり(灰色の棒)及びなし(黒の棒)の陰性対照細菌のC.elegansのタンナーゼ(tanB)、没食子酸デカルボキシラーゼ(lpdB)、及び没食子酸デカルボキシラーゼ(lpdC)遺伝子からの正規化された発現レベルを示す棒グラフが含まれる。
【
図3】
図3のパネル(A)は、0、2、及び4週間単独(黒い棒)またはナシ状果抽出物(灰色の棒)でのL.pla
nta
rum(MBT501)のコロニー形成単位を示す棒グラフが含まれる。
図3のパネル(B)は、0、2、及び4週間単独(黒い棒)またはナシ状果抽出物を有する(灰色の棒)L.pla
nta
rum(MBT501)のコロニー形成単位を示す。
【
図4】
図4のパネル(A)は、L.pla
nta
rum(MBT501)のみ、ナシ状果抽出物のみ、またはL.pla
nta
rum(MBT501)及びナシ状果抽出物で処理したヒト肝細胞株(HepG)におけるレポーターNrf2:ルシフェラーゼを使用したNrf2発現の誘導レベルを示す棒グラフが含まれる。
図4のパネル(B)は、L.pla
nta
rum(MBT501)のみ、ナシ状果抽出物のみ、またはL.pla
nta
rum(MBT501)とナシ状果抽出物で処理したヒト肝細胞株(HepG)のNrf2タンパク質レベルを示すウエスタンブロットが含まれる。
【
図5】陰性対照細菌、ナシ状果抽出物を与えられた、L.pla
nta
rum(MBT501)を与えられた、L.pla
nta
rum(MBT501)及びナシ状果抽出物を与えられたC.elegansでレポーターrmls133(unc_54p::Q40::YFP)を使用したときに形成されたpolyQ凝集体の数を示す線グラフを含む。凝集体は、定性的な視覚的スクリーンを使用して決定された。
【発明を実施するための形態】
【0104】
本開示は、エラジタンニン代謝産物が、場合によっては有益な生物学的活性を含む生物学的特性を有することを認めている。例えば、エラジタンニン代謝に起因するウロリチン(例えば、ウロリチンA、ウロリチンB、ウロリチンC、ウロリチンD、及び/またはイソウロリチンA)は、例えば、(とりわけ)マイトファジー(例えば、オートファジーによるミトコンドリアの再利用)を増加させることにより、例えば、ミトコンドリア機能を改善し得る。エラジタンニン代謝物(例えば、ウロリチン)は生物活性に影響を与える可能性があるが、そのような代謝物は生物学的利用能が低いと報告されている。したがって、エラジタンニン代謝物の生物学的利用能を高めることができるアプローチの必要性が当技術分野に存在する。
【0105】
本開示は、1つ以上のエラジタンニン酵素(例えば、タンニンアシルヒドロラーゼ酵素、没食子酸デカルボキシラーゼ酵素、またはそれらの組み合わせ)を含む酵素組成物を利用して、エラジタンニンのプロセシングから生じるウロリチンの生物学的利用能を高めることができるという洞察を提供する。したがって、とりわけ、本開示は、1つ以上のエラジタンニン酵素がエラジタンニン組成物に含まれる技術を提供する。そのような技術は、ウロリチン(例えば、ウロリチンA、ウロリチンB、ウロリチンC、ウロリチンD、及び/またはイソウロリチンA)の生産の増加及び/またはウロリチン(例えば、ウロリチンA、ウロリチンB、ウロリチンC、ウロリチンD、及び/またはイソウロリチンA)の生物的利用能の増加をもたらし、したがって、当技術分野の需要に対する解決策を提供する。いくつかの実施形態において、本明細書の技術は、ミトコンドリア機能を変更する(例えば、改善する)ために(例えば、ミトコンドリア機能障害を減少させることによって)、及び/または抗酸化レベルを変更するために有用であり得る。
【0106】
本開示は、(例えば、哺乳動物、例えば、ヒトの)微生物叢中に見られる微生物株の天然または遺伝子改変変異体などの微生物が、1つ以上のエラジタンニン酵素(例えば、エラジタンニン酵素合成微生物)を含み、及び/または発現し得るというさらなる洞察を提供する。したがって、本開示は、とりわけ、そのような微生物を単独で、またはエラジタンニン組成物と組み合わせて利用して、ウロリチンの産生及び/または生物学的利用能を増加させる技術を提供する。1つ以上のエラジタンニン酵素を含む及び/または発現する微生物株を使用することの1つの利点は、微生物叢に見られるものなどの微生物株が、対象(例えば、哺乳動物、例えば、ヒト)による投与または消費に対して一般に安全であることを含む。そのような微生物株を使用することの別の利点は、微生物株が、株が投与される対象の消化管にコロニーを形成できることであり得、これは、必要な投与の数を減らし、エラジタンニン酵素が対象の消化管に存在する時間を長くすることができる。さらに、微生物株は、本明細書で論じられるように、いくつかのプロバイオティクス形態を介して対象に投与するのが容易であり得る。
【0107】
エラジタンニン組成物
エラジタンニンは、糖にエステル化されたヘキサヒドロキシジフェノイル部分、すなわちヘキサヒドロキシジフェノイル-グルコースエステルから構成される多様なクラスの複雑な加水分解性植物タンニンポリフェノールである。エラジタンニンは、イチゴ(Fragaria vesca)、ラズベリー、ブラックベリー、クラウドベリー(Rubus chamaemorus)、ジャブチカバ、カンブチ、スリナムチェリー、カムカム、レッドグアバ、ホワイトグアバを含むがこれらに限定されないMyrtaceae科の果実、ザクロ、クルミ、ピーカン、カンゾウタケ(Fistulina hepatica)、及びクランベリーなどの様々な食品に見いだされる。エラジタンニンヘキサヒドロキシジフェノイル-グルコースエステルは、糖に結合した様々な数のヘキサヒドロキシジフェノイル(HHDP)単位及びガロイル及び/またはサンギソルボイル単位を含み得、主に、フトモモ目の種を含むがこれらに限定されない双子葉植物被子植物種において産生され得る。
【0108】
対象(例えば、哺乳動物、例えば、ヒト)による消費に続いて、エラジタンニン(ET)は、対象において、エラグ酸(EA)代謝産物などのエラジタンニン代謝産物に代謝され得、代謝産物は、限定するものではないが、ウロリチンA、ウロリチンB、ウロリチンC、ウロリチンD、イソウロリチンA、メチルウロリチンA、ヒドロキシルウロリチンA、及び/またはそれらの誘導体であり得る。これらの代謝物は、特定の食品(ザクロなど)に存在するエラジタンニンに由来する可能性があるが、これらの食品を摂取すると、これらの有益な生物活性代謝物の生物学的利用能が不十分になることがよくある。具体的には、特定の対象は、ET含有食品(例えば、ザクロ果汁)を摂取した後、検出可能な量のこれらの代謝物を生成できない場合がある。場合によっては、対象は、食品中のエラジタンニンの生物学的利用能を増加させることができ、及び/または本明細書に記載の組成物の一部として同時投与することができ、本明細書に記載の組成物及び方法から利益を得ることができる。摂取後に非常に低いまたは検出できないレベルのエラジタンニン代謝産物を生成する対象は、本明細書に開示される技術から利益を得る可能性がある。しかしながら、検出可能なレベルのエラジタンニン代謝産物を産生し得る対象もまた、そのような代謝産物のレベルの増加が望ましい可能性があるため、本明細書に開示される技術から利益を得ることができる。
【0109】
特定の実施形態において、エラジタンニン組成物は、本明細書に記載される組成物の構成成分として使用されるか、または本明細書に記載される方法で投与される。本明細書に記載の方法及び組成物に有用なエラジタンニンの非限定的な例には、多数のザクロエラジタンニンが含まれるが、特に、プニカリン及びガラギン酸を含むプニカラギンが含まれ、これらのそれぞれは加水分解されてエラグ酸(EA)になり得、それはさらに腸内微生物によってウロリチンA及びBに加水分解される。他のエラジタンニン類としては、例えばペドゥンクラギン、ロサシアニン含まれ(その全体が本明細書に参照により本明細書に組み込まれる、Fukiu et al.,Tetrahedron 62:9661-9670(2006))、phyllanemblinin(参照により本明細書に組み込まれる、Zhang et al.,J.Nat.Prod.64:1527-1532(2001))及びsanguiin H6が含まれる。
【0110】
本明細書に記載の方法及び組成物において有用であり得るエラジタンニン組成物は、例えば、エラジタンニンを生成する植物の果実、またはその皮及び/または殻を含むがこれらに限定されない植物材料の果汁またはホモジネートを含み得る。例えば、抽出によってエラジタンニンが富化された果汁またはホモジネートを使用することが好ましい場合がある。様々な植物材料を様々な方法で抽出できる。例えば、特定の実施形態において、材料は、凍結乾燥された粉砕された植物材料の溶媒抽出によって抽出され得る。以下では、いくつかの例について説明する。
【0111】
アントシアニンを除去しつつエラジタンニンを富化することができるザクロ殻または皮の抽出は、それぞれが参照によりその全体が本明細書に組み込まれるAdams et al.,J Agric.Food Chem.54:980-985(2006)、Seeram et al.,Sep.Purif.Technol.41:49-55、及びSharma et al.,J.Agric.Food Chem.58:3965-3969(2010)に記述されている。このような抽出物中のエラジタンニンの純度と濃度は、HPLC及び液体クロマトグラフィーエレクトロスプレーイオン化質量分析(LC-ESI/MS)によって決定できる。ザクロ抽出物は商業的に入手可能であり、例えば、主要なザクロエラジタンニン没食子酸である、37.5%のプニカラギン及びプニカラギン及び2.7%のエラグ酸を含む抽出物は、Verdure Sciences,Noblesville IN.から入手可能である。その抽出物は、これも参照により本明細書に組み込まれる、Pacheco-Palencia et al.Food Chem.56:8434-8441(2008)によって記載された方法によって調製される。
【0112】
イチゴエラジタンニン類の抽出物は、これも参照により本明細書に組み込まれる、Zhangetal.,J.Agric.Food Chem.56:670-675(2008)に記載されているように調製することができる。簡単に説明すると、凍結乾燥した全果実イチゴ粉末をメタノールとの冷浸透によって抽出して抽出物を生成し、それをクロロホルム、続いて酢酸エチルに分配することができる。残りの水性部分は、XAD-16(Amberlite Resin、Sigma、Louis,MO)カラムでの吸着クロマトグラフィーによってさらに精製し、水、続いて酸性メタノールで溶出することができる。メタノール溶出液を真空下で乾燥させた後、蒸留水に懸濁し、ろ過してエラジタンニンとエラグ酸が富化された水不溶性画分を生成することにより、エラジタンニン含有量をさらに高めることができる。抽出物は、HPLCによって5.0%エラグ酸に標準化できる。一般に、得られる抽出物には、没食子酸当量(GAE)として測定して約20.5%のフェノール類が含まれている可能性がある。
【0113】
ジャムン(jamun)種子抽出プロセスは、これも参照により本明細書に組み込まれる、Sharma et al.,J.Agric.Food Chem.58:3965-3969(2010)に記載されている。インディアンジャムン(Eugenia jambolana)ベリーは、肉質の果肉にエラジタンニンが含まれるが、その種子は、アントシアニンをそれほど多く含まない、より豊富な供給源になる可能性がある。場合によっては、アントシアニンを取り除くことができる。いくつかの実施形態において、本明細書に記載の組成物は、アントシアニンを本質的に含まないか、または含まない。ジャムン種子の抽出には、例えば、アセトン中の種子粉末の抽出と、それに続く真空乾燥が含まれ得る。得られた抽出物は、HPLCによって約4.2%のエラグ酸に標準化でき、GAEとして20.5%のフェノール類が含まれる。同様のアプローチまたは以前に知られている他のアプローチを適用して、本明細書に記載の方法及び組成物で使用するために、他の供給源からエラジタンニン含有調製物を調製することができる。
【0114】
本明細書に開示されるエラジタンニン組成物は、経口投与用に配合することができる。いくつかの実施形態において、エラジタンニン組成物は、食品、飲料、飼料組成物、または栄養補助食品であり得る。いくつかの実施形態において、エラジタンニン組成物は、液体、シロップ、錠剤、トローチ、グミ、カプセル、粉末、ゲル、またはフィルムであり得る。
【0115】
いくつかの実施形態において、エラジタンニン組成物は、薬学的に許容される担体と混合することができる。いくつかの実施形態において、エラジタンニン組成物は、腸溶コーティングされた製剤に含まれ得る。
【0116】
消費されると、エラジタンニンは加水分解されてエラグ酸を放出できる。エラグ酸はヒト血漿で検出でき、他の活性の中でもとりわけ、ヒストンのメチル化に関与するメチルトランスフェラーゼに直接作用することが提案されている。しかしながら、ウロリチンA(3,8-ジヒドロキシウロリチン)、ウロリチンC(3,8,9トリヒドロキシウオリチン)、イソウロリチンA(3,9ジヒドロキシウオリチン)、ウロリチンB(3-ヒドロキシウオリチン)、ウロリチンD(3,4,8,9-テトラヒドロキシウロリチン)またはそれらの組み合わせを含むがこれらに限定されないエラジタンニン代謝産物は、エラジタンニンに対する腸内細菌叢の作用を必要とする。
【0117】
ウロリチンAの濃度は、血漿中in vivoで明らかな毒性効果なしに最大マイクロモル(μM)レベルまで達することができる。例えば、ヒトによるザクロ果汁の摂取時に、ウロリチンAのピーク血漿レベルは14~40μMに到達することができる。しかし、個体間エラジタンニン処理の結果、ウロリチンレベルには幅広いバリエーションが存在し得る(例えば、参照により本明細書に取り込まれる、Cerda et al.,Eur.J.Nut.43:205-220を参照)。Selmaらは、エラグ酸を代謝してルテ酸であるウロリチンM-5、ウロリチンM-6、及びウロリチンCを生成する、単一培養された細菌(Gordonibacter urolithinfaciens及びGordonibacter pamelaeae DSM19378T)を同定した。しかしながら、これらの培養された細菌は、下流生成物であるウロリチンA及びウロリチンBを製造することが不可能であった(参照により本明細書に取り込まれる、Selma et al.,Food&Nut.5:1779-1784(2014)を参照)。本開示は、広い個体間変動が微生物叢の違いに起因する可能性がある、という認識を提供する。
【0118】
組織性質研究は、ウロリチンがマウスの前立腺、腸、及び結腸組織で富化されている可能性があることを明らかにする。ウロリチンAは、in vitroでのMAPKシグナルのように結腸癌細胞の増殖を阻害し、細胞周期停止を誘導し、結腸癌発症に関連する重要な細胞プロセスを調節することができる(それらが各々参照により本明細書に取り込まれる、Larossa et al,J.Agric.Fool Chem.,54:1611-1620(2006)、Gonzalez-Sarrias et al.,Mol.Nut.Food Res.53:686-698(2009))。ラット大腸炎モデルでは、ウロリチンAは、結腸粘膜において、誘導型一酸化窒素シンターゼ、シクロキシゲナーゼ-2(COX-2)、プロスタグランジンEシンターゼ、及びプロスタグランジンE2などの炎症マーカーを減少させることができる。ウロリチンBは、いくつかの実施形態において、骨格筋量の調節因子であることが見いだされている(例えば、参照により本明細書に組み込まれるRodriguez et al.,J.Cachexia Sarcopenia Muscle 8:583-597(2017))。ウロリチンが直接生物学的に利用可能である場合、本明細書に記載されるようなウロリチン産生を促進する処置は、エラジタンニン代謝産物の生物学的利用能を増加させることができる。
【0119】
ウロリチンは、例えば、UVフォトダイオードアレイ検出器と組み合わせたHPLCによるそれらの検出及び測定を可能にすることができる明確なUVスペクトルを有する。結合を含む構造特性とUVスペクトル及び保持時間との相関関係が(例えば、参照により本明細書に取り込まれる、Gonzalez-Barrio et al.,J.Agric.Food Chem.59:1152-1162(2011)を参照)報告されている。したがって、HPLC及びUHPLCを使用して、対象から得られた尿中のウロリチンのレベルをアッセイ及び同定できる(参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、Piwowarski,JP et al.Drug Metabolism and Disposition 45(6):657-665(2017)を参照)。
【0120】
エラジタンニン酵素
タンニンアシルヒドロラーゼ酵素
本明細書に記載の組成物及び方法の実施形態は、エラジタンニンまたはエラジタンニン代謝経路において作用する酵素を発現する微生物の使用を含む。例示的な酵素には、エラジタンニンを含む加水分解性タンニンのガロイルエステル結合の加水分解を触媒して没食子酸を放出することができるタンニンアシルヒドロラーゼ酵素が含まれる。本明細書に記載のタンニンアシルヒドロラーゼは、E.C.3.1.1.20に特徴的な反応を触媒することができる。アスペルギルス種などの真菌、及びLactobacillaceae科のメンバーなどの細菌は、本明細書に記載の組成物及び方法での使用に適したタンナーゼ酵素を自然に産生することができる。真菌によってコードされるタンナーゼ酵素は、細菌によってコードされるものとほとんど構造的類似性を共有しないかもしれないが、それらは同様の範囲の基質特異性を共有することができる。したがって、タンナーゼ酵素を、生きている微生物に由来するがこれを含まない調製物として投与または使用することができる実施形態について、タンナーゼは、真菌ならびに細菌源から単離または調製することができる。酵母によって生成されるタンナーゼ及びそれらを生成する方法は、例えば、Boer et al.,Yeast 26:323-337(2009)に、Pichjia pastoris酵母中の麹菌タンナーゼの分泌、精製及び特徴付けは、Zhong et al.,Protein Expression and Purif.36:165-169(2004)に記載されており、これらは両方とも参照により本明細書に組み込まれる。
【0121】
エラジタンニンに作用するタンナーゼは、ガロイル部分を選択的に加水分解し、没食子酸と脱ガロイル化エラジタンニンを生成することができる。例えば、様々なエラジタンニンのタンナーゼ消化の加水分解生成物の説明が含まれ、参照により本明細書に組み込まれる、Rodriguez-Duran et al.,Enzyme Res.2011:823619(2011)を参照されたい。一実施形態では、タンニンアシルヒドロラーゼは、タンナーゼBまたはtanBタンナーゼ酵素である。例には、L.plantarum種を含むがこれに限定されないLactobacillaceae科のメンバーによってコードされ発現されるtanB酵素が含まれるが、これらに限定されない。本明細書に記載する組成物及び方法の様々な実施形態においてと同じ反応を触媒することができる他の種によってコードされ発現されるタンナーゼBは、反応を触媒する能力を保持した天然に存在するまたは人為的に生成された変異体と同様に有用であり得る。
【0122】
組換えタンナーゼ、例えば、L.plantarumタンナーゼを産生及び単離する方法は、例えば、参照により本明細書に組み込まれる、Curiel et al.,J.Agric.Food Chem.57:6224-6230(2009)に記載されている。L.plantarumによってコードされ発現されるタンナーゼBポリペプチドの結晶構造が決定されている(参照により本明細書に組み込まれるRen et al.,J.Mol.Biol.425:2737-2751(2013)を参照されたい)。報告されているように、タンナーゼBは、セリン加水分解酵素の折り畳みに挿入された大きなキャップドメインを特徴とするα/β構造を示す。多数の基質と複合体を形成した酵素の構造研究は、ガロイル結合部位での相互作用が基質の結合の決定力であることを示した。ガロイル結合部位は、酵素のエステラーゼ及びデプシダーゼ活性に関与する。Ser163、His451、及びAsp419で構成される触媒三残基が特定された。突然変異誘発研究は、没食子酸の結合中に、分子のカルボキシル基が酵素の触媒三残基と水素結合相互作用を形成し、3つのヒドロキシル基がAsp421、Lys343、及びGlu357と接触して別の水素結合ネットワークを形成すること、及びこれらの残基が酵素活性に必要であることを示した。したがって、これらの残基の1つ以上または相同タンパク質におけるそれらの同等物の同一性を変化させるタンニンアシルヒドロラーゼまたはタンナーゼBポリペプチドへの修飾は、おそらく許容されないであろう。同様に、これらの残基または他の同族体におけるそれらの同等物の互いに対する位置を破壊する変化もまた、水素結合ネットワークを破壊し、酵素機能を妨害すると予想される。他方、記載された残基の同一性または相対的位置に影響を及ぼさない変更は、許容される可能性がより高いであろう。一実施形態では、本明細書に記載のタンナーゼBポリペプチドは、WCFS1株によってコードされるL.plantarumタンナーゼB酵素と少なくとも85%同一であり、上記のアミノ酸Ser163、His451及びAsp419ならびにタンニンヒドロキシル接触アミノ酸Asp421、Lys343及びGlu357、または相同ポリペプチドに位置するそれらの同等物を保持する。別の実施形態では、本明細書に記載のタンナーゼBポリペプチドは、WCFS1株によってコードされるL.plantarumタンナーゼB酵素に対して少なくとも90%または少なくとも95%またはそれ以上の同一性を有し、上記の触媒三残基アミノ酸Ser163、His451及びAsp419ならびにタンニンヒドロキシル接触アミノ酸Asp421、Lys343及びGlu357、または相同ポリペプチドに位置するそれらの同等物を保持する。
【0123】
多数のL.plantarum株が、同様のタンナーゼBポリペプチドをコードして発現する。非限定的な例には、L.plantarum WCFS1(以下の核酸及びアミノ酸配列を参照)、ならびに、例えば、L.plantarum 5-2、L.plantarum LP3、L.plantarum BLS41、L.plantarum LQ80、L.plantarum A3、L.plantarum FBR6、及びL.plantarum RI-51が含まれる。
【0124】
L.plantarum WCFS1タンナーゼB核酸配列(NCBI寄託番号NC_004567.2):
atgagtaacc gattgatttt tgatgctgac tggctggtgc cggaacaggt ccaagttgcc gggcaggcta ttcaatatta tgctgcccgt aatattcagt acgttcagca tccagtcgca gcgattcagg tcctaaacgt ttttgtacca gccgcatact tgcatggcag ttcagtcaat ggttatcagc gggcaacggc gccaattctg atgccgaata cggtcggcgg ttatttgcca ggaccggcgg atgatccgca acgtgtcact tggccgacga atgcagggac gattcaacag gcacttaaac gcggttacgt tgtggtggcc gctggaattc gcggtcgtac gacggttgat aagtctgggc aacgggtcgg gcaagcgccg gcttttatcg tagatatgaa ggcggcaatc cgttacgtta agtataatca gggccggctg ccaggtgaca cgaaccggat catcacgaat ggaacgagtg ctgggggtgc cacttcggct ttagcgggtg cgagtggcaa ttcggcttat tttgaaccag ccttaactgc gctcggggca gcaccggcga ctgacgatat ctttgcggtg tcagcttact gcccgattca taatctggaa cacgcagaca tggcctacga gtggcagttt aatggtatta atgactggca ccgttatcag cctgttgcgg ggacgaccaa gaatgggcga ccaaaatttg aaccggttag tggtcagctc acagttgaag aacaggccct ttcgttggcg ttaaaagccc agttcagtac ctacttgaac cagttgaaac tcacggccag tgacgggacg cacttgacgc ttaatgaggc gggaatgggt tcatttcgtg atgttgttcg ccaattattg atatcatctg ctcagacggc attcgatcaa gggacggata ttcataagta cgcaggcttt gtcgttactg gaaatcaggt gacggacttg gatttatcag cttatttgaa gtcgttaact cgcatgaaag ccgtcccggc gtttgaccaa ttagatttga cgagtccaga gaataatttg tttggcgatg caacggcgaa agccaagcac tttacggcct tggcacagac gcgaagtacg gtgacggcac aactagcgga cgctgagctg attcaggcga ttaatccgct cagttactta acgacaactt cgtcacgagt tgctaagcac tggcggattc gccacggtgc ggccgaccga gatacgagtt ttgcaatccc gattattcta gcaataatgt tagaaaatca tggttatggc attgattttg cgctaccgtg ggatattccc cacagtggtg actatgattt aggcgattta ttttcctgga ttgatggctt gtgccaatga
【0125】
L.plantarum WCFS1タンナーゼBアミノ酸配列、NCBI寄託番号WP_011101979.1:
【表3】
アミノ酸Ser163、His451、Asp419、Asp421、Lys343、及びGlu357は太字で示される。
【0126】
タンニンアシルヒドロラーゼ活性を検出または測定するための方法は、HPLCアッセイを記載する、Beverini&Metche,Sci.Aliments.10:807-816(1990)、バッファなし滴定アッセイを説明する、Haslam et al.J.Chem.Soc.1829-1835(1961)、緩衝滴定アッセイを記述する、Yamada et al.Agr.Biol.Chem.45:233-240(1967)、単一波長分光光度アッセイを記述する、Skene&Booker,Anareobe 1:321-327(1995)、二波長分光光度アッセイを記載する、Bajpai&Patil,World J.Microbiol.Biotechnol.12:217-220(1996)、及び二波長分光光度アッセイを記載する、Aguilar et al.(Braz.Arch.Biol.Technol.42(No.3),Curitiba 1999)、に記述されているような例示的方法を含む。これらの刊行物のそれぞれは、特にタンニンアシルヒドロラーゼアッセイ条件及び結果の計算に関して、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。Aguilarの参照文献には、酵素反応の唯一の基質としてタンニン酸を使用した、これら6つの方法の比較が含まれる。記載されている各方法は、細胞外タンニンアシルヒドロラーゼ活性の測定に有用であり、Bajpai&Patil法を除くすべてが、細胞内活性の測定に有用であった。分光光度法及びHPLCアッセイでは、1単位の酵素活性は、典型的には、1ml当たり1分当たり1μmol(マイクロモル)の没食子酸を開放する酵素の量として定義され、滴定方法では、1単位の酵素は、典型的には、1ml当たり1分当たり1μmolのカルボキシル基を開放する酵素の量である。この比較に基づいてこれらの方法のいずれも使用できるが、Beverini及びMetcheによって記述されたHPLCアッセイは変動係数が最も低く、他の方法よりも高い信頼性を示す。タンニンアシルヒドロラーゼ酵素活性の測定精度が重要な場合は、HPLC法が好ましい場合がある。所与の細菌がタンニンアシルヒドロラーゼ活性を発現するかどうかを決定するために、とりわけ上記で提供されるアッセイのいずれかを使用することができるが、そのような活性の量を測定するために必要または望まれる場合、HPLCアプローチが好ましい。タンニンアシルヒドロラーゼ酵素遺伝子の存在は、利用可能なタンニンアシルヒドロラーゼ酵素核酸配列に基づくプライマーを使用するPCRを介して細菌で検出することができ、または細菌のゲノムが配列決定されている場合、タンニンアシルヒドロラーゼ酵素をコードする配列の存在は既知のタンニンアシルヒドロラーゼ酵素との相同性または同一性に基づいて決定することができる。
【0127】
没食子酸デカルボキシラーゼ酵素
本明細書に記載の組成物及び方法の実施形態は、没食子酸デカルボキシラーゼ酵素をコード及び発現する微生物の使用を含む。この酵素は、3,4,5-トリヒドロキシ安息香酸(没食子酸)のピロガロールと二酸化炭素への変換を触媒することができ、これは、E.C.4.1.1.59の特徴である。微生物の没食子酸デカルボキシラーゼ遺伝子は、「サブユニット」C、B、及びDと呼ばれる3つの別々のタンパク質コード配列のオペロン配列でコードできるが、活性酵素は3つのサブユニットの複合体ではない。むしろ、この配置を持つ種の場合、Cサブユニットは触媒サブユニットであるように見える。Lactobacillus plantarum WCFS1では、遺伝子ノックアウト実験に基づいて、没食子酸デカルボキシラーゼ活性のためにDサブユニットではなくBサブユニットがCサブユニットと一緒に必要であり、Bサブユニットは、例えば、Cサブユニットの正しい折り畳みを確立するのに役割を果たすことが提案されている。例えば、参照により本明細書に組み込まれるJimenez et al.,Appl.Environ.Microbiol.79:4253-4263(2013)を参照されたい。L.plantarum WCFS1(ATCC寄託株BAA-793としても知られる)によって発現される没食子酸デカルボキシラーゼの場合、CサブユニットlpdCはGenBank寄託番号F9US27-1:
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【0128】
L.plantarum WCFS1没食子酸デカルボキシラーゼ(lpdB)のBサブユニットは、GenBank寄託番号F9UT67:
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【0129】
例えば、L.plantarum没食子酸デカルボキシラーゼ(lpdD)のDサブユニットは、GenBank寄託番号F9UT68:
atggcaactt ttacgactga gcaggccggg tatcaaatgc aagcaatact ccaagtgatt ggatatgact tgttgatcgt cgttaccggt gggaccaatc cccatattgg tgacgtgacc acactaactg ccagcacggt tcccgaaacg gttaagtttc ccagccatga tggtcgcttc cacaaagata actttatttc ggaacgaatg gccaagcgga ttcagcgtta tctagctgga agctgtacaa ttactgcggg aattcatgtc aaccaaatta ctaaagcaca aatagcagct gcggcaccaa tgacggatga cctcagccgc cagattatta gctggttaca ggcccatccc gtccaggctg aaaagccgga atattatgga caagacgagc aaccgcggta g
MATFTTEQAG YQMQAILQVI GYDLLIVVTG GTNPHIGDVT TLTASTVPET VKFPSHDGRF HKDNFISERM AKRIQRYLAG SCTITAGIHV NQITKAQIAA AAPMTDDLSR QIISWLQAHP VQAEKPEYYG QDEQPR
【0130】
没食子酸デカルボキシラーゼを発現するL.plantarum種、及びStreptococcus galloylyticusなどの没食子酸デカルボキシラーゼを発現する他の種では、例えばタンニンアシルヒドロラーゼ酵素の作用などによってタンニンから放出される没食子酸をピロガロールに脱炭酸することができるが、これらの種にはこの生成物をさらに分解する能力がない。Lactobacillus plantarum、例えば、L.plantarum WCFS1を含むがこれらに限定されない、多くの微生物源からの没食子酸デカルボキシラーゼ酵素が知られている。没食子酸デカルボキシラーゼ活性は、L.brevis、L.casei、L.fermentumなどの広範な乳酸菌に存在する。
【0131】
一実施形態では、没食子酸デカルボキシラーゼは、L.plantarum lpdCポリペプチドなどであるがこれに限定されない没食子酸デカルボキシラーゼCポリペプチドを含む。別の実施形態において、本明細書に記載の方法及び組成物において有用な微生物は、没食子酸デカルボキシラーゼC及びBポリペプチドをコード及び発現する。そのような微生物またはそれらから作製された、またはそれらを含む組成物において、Bポリペプチドは必ずしもCポリペプチドに結合しているわけではないが、高活性没食子酸デカルボキシラーゼ酵素を生成するために重要であるように思われる。例には、それだけには限定されないが、L.plantarum種のlpdC及びlpdBポリペプチド、とりわけL.plantarum WCFS1を含むが、これらに限定されない。他の種によってコードされ発現され、同じ反応を触媒する没食子酸デカルボキシラーゼは、同じ反応を触媒する能力を保持する天然に存在するまたは人工的に作成された変異体と同様に、本明細書に記載の組成物及び方法の様々な実施形態においても有用であり得る。
【0132】
組換え没食子酸デカルボキシラーゼを発現または産生する方法は、組換えタンニンアシルヒドロラーゼ酵素または他の組換え酵素調製物を産生するための方法と同様である。例えば、参照により本明細書に組み込まれる、Jimenez et al.,Appl.Environ.Microbiol.79:4253-4263(2013)を参照されたい。没食子酸デカルボキシラーゼ活性は、そこに記載されているようにアッセイすることもでき、著者はさらに、酵素活性をコードする種を同定し、例えば過剰発現のために発現ベクターにクローニングするための酵素ポリペプチドをコードする核酸を調製するためのPCRプライマー及びPCR増幅について説明する。
【0133】
一実施形態では、没食子酸デカルボキシラーゼ酵素は、本明細書に記載のWCFS1株のL.plantarum lpdCの触媒没食子酸デカルボキシラーゼCポリペプチドと少なくとも80%の配列同一性を有し、lpdBポリペプチドの存在下で発現時にlpdCポリペプチドの没食子酸デカルボキシラーゼ活性の少なくとも50%を保持する。没食子酸デカルボキシラーゼ酵素分子で企図される変形は、例えば、用語が本明細書で定義されるような保存的アミノ酸置換を含む。
【0134】
したがって、一実施形態では、没食子酸デカルボキシラーゼ酵素は、野生型没食子酸デカルボキシラーゼ酵素と比較して、またはL.plantarum WCFS1によってコードされ発現される没食子酸デカルボキシラーゼ酵素と比較して、50以下、例えば、40以下、30以下、20以下、15以下、10以下、5以下、4以下、3以下、2以下または1以下の保存的アミノ酸置換を有し、野生型酵素またはL.plantarum WCFS1によってコードされた酵素と比較して、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%またはそれ以上の活性を保持する。別の実施形態において、没食子酸デカルボキシラーゼ酵素は、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%またはそれ以上の本明細書に記載の株WCFS1のL.plantarum lpdCの触媒没食子酸デカルボキシラーゼCポリペプチドとの配列同一性を有し、lpdBポリペプチドの存在下で発現するとき、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95を保持する%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%またはそれ以上のlpdCポリペプチドの没食子酸デカルボキシラーゼ活性を保持する。没食子酸デカルボキシラーゼ変異体が野生型または天然ポリペプチドの100%を超える活性、例えば110%、125%、150%、175%、200%、500%、1000%またはそれ以上を有するように、いくつかの突然変異が関連する活性を改善できる可能性を有すると考えられる。
【0135】
エラジタンニン酵素合成(EES)微生物
本明細書に記載の没食子酸デカルボキシラーゼをコードし、生成することができる種と同様に、本明細書に記載のタンナーゼ酵素をコードし、生成することができる多くの微生物種が知られている。一実施形態では、単一の微生物種または菌株は、タンナーゼ及び没食子酸デカルボキシラーゼ酵素の両方を発現することができる。別の実施形態では、各酵素はコードされており、異なる種または株によって発現させることができ、そのような場合、エラジタンニン代謝及びウロリチン産生に関して最良の利益を提供するために、種または株の両方を投与することが一般的に有益である。タンナーゼ及び/または没食子酸デカルボキシラーゼ酵素を天然に発現することができる微生物に加えて、微生物は、目的の酵素を組換え的に発現するように操作することができる。一実施形態では、微生物種または株は、タンナーゼ及び没食子酸デカルボキシラーゼ酵素の両方が、酵素をコードするポリヌクレオチドを含むように操作され得、したがって組換え発現され得るように変更され得る。別の実施形態において、微生物種または株は、タンナーゼまたは没食子酸デカルボキシラーゼ酵素のいずれかがコードされ、組換え的に発現され得るように変更され得る。
【0136】
例えば、ゲノム配列決定を使用して、所与の酵素または酵素遺伝子クラスターをコードする微生物の種または株を同定することが可能である。種または株が所与の酵素または酵素遺伝子クラスターをコードしていると特定されると、トランスクリプトミクス、RT-PCR、またはウエスタンブロットまたは他の抗体ベースの発現タンパク質の分析を使用して、または以前に知られている酵素活性のアッセイを介して、細菌が実際に酵素(複数可)を生成するかどうかを判断できる。
【0137】
Lactobacillus plantarumは、タンナーゼ及び没食子酸デカルボキシラーゼ酵素をコードし発現することができる例示的な種である。いくつかの実施形態において、Streptococcus gallolyticusが使用される(参照により本明細書に取り込まれる、Genetic and biochemical approaches towards unravelling the degradation of gallotannins by Streptococcus gallolyticus,Microb Cell Fact.2014 Oct 31;13:154.doi:10.1186/s12934-014-0154-8)。
【0138】
組み合わせ
特定の要因がエラジタンニン組成物の有効量及びタンニンアシルヒドロラーゼ及び没食子酸デカルボキシラーゼ酵素をコード及び発現することができる微生物の有効量に影響を及ぼし得ることを考えると、本明細書に記載されているように、エラジタンニン量及び微生物量の様々な組み合わせが消化管内でのウロリチン産生を促進する有効量を提供できることも理解されるべきである。したがって、例えば、組み合わせは、エラジタンニン組成物、及び1つ以上のエラジタンニン酵素を含む酵素組成物を含み得る。いくつかの実施形態において、1つ以上のエラジタンニン酵素は、タンニンアシルヒドロラーゼ酵素、没食子酸デカルボキシラーゼ酵素、またはそれらの組み合わせを含む。いくつかの実施形態において、酵素組成物は、EES微生物であり得る。
【0139】
いくつかの実施形態において、組み合わせは、約10mg~約10g、約10mg~約5g、10mg~約2500mg、約100mg~約10g、約100mg~約5g、または100mg~約2500mgのエラジタンニン組成物を含み得る。いくつかの実施形態において、組み合わせは、少なくとも10mg、少なくとも50mg、少なくとも100mg、少なくとも150mg、少なくとも200mg、少なくとも250mg、少なくとも300mg、少なくとも350mg、少なくとも400mg、少なくとも450mg、少なくとも500mg、少なくとも550mg、少なくとも600mg、少なくとも650mg、少なくとも700mg、少なくとも800mg、少なくとも850mg、少なくとも900mg、少なくとも950mg、少なくとも1000mg(1g)、少なくとも1250mg、少なくとも1500mg、少なくとも2000mg、少なくとも2500mg、少なくとも3000mg、少なくとも3500mg、少なくとも4000mg、少なくとも4500mg、少なくとも5000mg、またはそれ以上のエラジタンニン組成物を含み得る。いくつかの実施形態において、組み合わせは、最大50mg、最大100mg、最大150mg、最大200mg、最大250mg、最大300mg、最大350mg、最大400mg、最大450mg、最大500mg、最大550mg、最大600mg、最大650mg、最大700mg、最大800mg、最大850mg、最大900mg、最大950mg、最大1000mg(1g)、最大1250mg、最大1500mg、最大2000mg、最大2500mg、最大3000mg、最大3500mg、最大4000mg、最大4500mg、最大5000mg、最大5500mg、最大6000mg、最大6500mg、最大7000mg、最大7500mg、最大8000mg、最大8500mg、最大9000mg、最大9500mg、または最大10gのエラジタンニン組成物含み得る。
【0140】
いくつかの実施形態において、組成物は、約105CFU~1012CFU、約105CFU~1010CFU、または約108CFU~1012CFUの1つ以上のEES微生物を含み得る。いくつかの実施形態において、組成物は、少なくとも105、5×105、106、5×106、107、5×107、108、5×108、109、5×109、1010、5×1010、1011、5×1011、1012、またはそれ以上の1つ以上のEES微生物を含み得る。
【0141】
ウロリチン産生を促進するのに有効なエラジタンニン組成物の量は、例えば、エラジタンニンを代謝することができる消化管内の微生物の量及び/または活性によって変化するであろう。したがって、エラジタンニン組成物が、タンニンアシルヒドロラーゼ及び/または没食子酸デカルボキシラーゼ酵素をコード及び発現する微生物を含む調製物または製剤とともに消費または投与される場合、ウロリチン産生を促進するのに有効なエラジタンニン組成物の量は、一般に、エラジタンニンがそのような微生物なしで消費または投与される場合よりも少ない。タンニンアシルヒドロラーゼ及び/または没食子酸デカルボキシラーゼ酵素をコード及び発現する微生物からの酵素発現レベルが変化する可能性がある場合、ウロリチン産生を促進するために必要な微生物の量は、そのような発現レベルによって変化すること、すなわち、所与の微生物株の量は、生成されるタンニンアシルヒドロラーゼ及び/または没食子酸デカルボキシラーゼ酵素の相対レベルに応じて効果について調整することができることを理解されたい。エラジタンニン類の存在は、そのような酵素をコードすることができる微生物でそれらを代謝するのに必要な酵素の発現を誘導することができることに留意されたく、例えば、実施例2を参照されたい。したがって、微生物がエラジタンニンに曝されたまたは最近曝されているが、ウロリチン産生を促進するために必要な微生物の量は、投与または消費の前に微生物がそのように曝露されていない場合に必要な量よりも少ない可能性がある。
【0142】
一実施形態では、効果的な治療は、排泄された尿中のウロリチン濃度が、本明細書に記載のタンニンアシルヒドロラーゼ及び/または没食子酸デカルボキシラーゼをコード及び発現するエラジタンニン組成物または微生物と組み合わせたエラジタンニン組成物を含む組成物で治療する前の尿中のウロリチンのレベルと比較して、少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、または少なくとも50%増加することによって決定され得る。いくつかの実施形態において、効力は、本明細書に記載の組成物の投与の前後の生物学的試料中の細胞の酸化ストレスの程度を測定することによって評価することができる。細胞の酸化ストレスの程度は、例えば、高感度C反応性タンパク質(hs-CRP)などの酸化ストレスバイオマーカーの発現を測定することによって、または酸化型と還元型のグルタチオンの比率を決定することによって評価することができる。高レベルの酸化ストレスは細胞毒性である可能性があるため、酸化ストレスの程度は、炎症細胞または溶解細胞からの体循環に存在する細胞内タンパク質の濃度を評価することによって測定でき、例えば、心筋細胞の酸化ストレスは、血中のトロポニン-Iレベルを評価することによって決定できる。肝酸化ストレスは、アラニントランスアミナーゼ(ALT)、アスパラギン酸トランスアミナーゼ(AST)、アルカリホスファターゼ(ALP)、γ-グルタミルトランスペプチダーゼ(GGT)を含むがこれらに限定されない、血流中の肝酵素レベルの上昇によって決定できる。
【0143】
いくつかの実施形態において、効果的な治療は、本明細書に記載のエラジタンニン組成物またはタンニンアシルヒドロラーゼ及び/または没食子酸デカルボキシラーゼをコード及び発現する微生物と組み合わせたエラジタンニン組成物含む組成物で治療する前の消化管内のウロリチン濃度と比較して、少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、または少なくとも50%の対象の消化管内のウロリチンのレベルの増加によって決定され得る。いくつかの実施形態において、効果的な治療は、本明細書に記載のエラジタンニン組成物またはタンニンアシルヒドロラーゼ及び/または没食子酸デカルボキシラーゼをコード及び発現する微生物と組み合わせたエラジタンニン組成物を含む組成物で処理する前のウロリチンの血漿レベルと比較して、少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、または少なくとも50%の対象の消化管内のウロリチンのレベルの増加よって決定され得る。
【0144】
いくつかの実施形態において、対象は、1つ以上の追加の診断手順を使用して、例えば、医用画像化、身体検査、臨床検査(複数可)、病歴、家族歴、及び遺伝子検査によって評価される。医用画像化技術は十分に文書化された方法である。したがって、医用画像化は、超音波、コンピュータ断層撮影スキャン、ポジトロン放出断層撮影、光子放出コンピュータ断層撮影、及び磁気共鳴画像法を含むがこれらに限定されない、任意の既知の画像化方法から選択することができる。
【0145】
エラジタンニン組成物の生物学的利用能
フェノール化合物は、捕食者に対する化学的防御を目的とし、生殖及び植物間の干渉に関与する目的で、二次代謝産物として植物によって生成されるフェニルプロパノイドの実質的かつ重要なグループを構成する。構造的に、フェノール化合物には、いくつかのヒドロキシル基が結合した芳香環がある。フェノール化合物は、その官能基、含まれるフェノール環の数、及びこれらの環を別の環に結合するラジカルに基づいて、様々なグループに分類される。所与のフェノール化合物の抗酸化活性を決定する際の重要な要素は、ヒドロキシル基の数と位置の両方である。例えば、フラボノイドは他のフェノール化合物よりも多くのヒドロキシル基を持っており、この構造はより高い抗酸化活性に関連する。抗酸化活性を提供することに加えて、フェノール化合物の構造は、フェノールの溶解度に影響を及ぼし、及び/または他の分子との相互作用に関して立体効果を与える可能性がある。
【0146】
そのような化合物の構造がそれらの生物学的利用能において役割を果たすことができることが報告されている。化合物が生物学的に利用可能であるかどうかは、配合、吸収特性、胃内容排出速度、投与経路、所与の対象における分解及び排出動態に依存する。したがって、化合物の生物学的利用能は、個人ごとに異なる可能性がある。生物学的利用能は、体循環、特に血液、血漿、及び/または尿中の所与の化合物のレベルを測定するためのアッセイを使用して評価することができる。
【0147】
生物学的利用能のもう1つの重要な決定要因は、食品マトリックスから消化管に放出され、消化管のバリアを介して吸収される食品成分、栄養素(例えば、ポリフェノール)などの量に関連する「バイオアクセシビリティ」である。バイオアクセシビリティは、食品が咀嚼される程度、食品が調理されているか生であるか、胃内容排出時間、消化管通過時間、食品中の繊維または脂肪の量、食品と一緒に消費されるもの、吸収に必要な補因子、特定の微生物の存在、及び食品マトリックス構造の複雑さに関連する。
【0148】
生物学的に利用可能な化合物は、それが吸収されるという理由だけでは生物活性ではないかもしれない。例えば、一部の栄養素は直接活性ではなく、生物活性代謝物への代謝を必要とする。さらに、一部のポリフェノールは高分子量の化合物であり、通常の溶媒に不溶性のままである食物繊維またはタンパク質に主に結合し、それらを可溶性で生物学的に利用可能にするために抽出中に加水分解の追加ステップを必要とする。
【0149】
フェノール化合物は、とりわけその構造、食品加工、マトリックスの特性、及び宿主などに基づいて、様々な程度の生物学的利用能を有することができる。例えば、フェノールの生物学的利用能は、アントシアニンの推定0.3%からイソフラボンの場合の43%までの広い範囲で変化する。
【0150】
加水分解性タンニンとプロアントシアニジンは、食品からの抽出度が高く、したがって宿主への生物学的利用能を有するポリフェノールである。タンニンの生物活性は、重合度と消化管内での溶解度に依存すると考えられ、例えば、高度に重合したタンニンは、小腸でのバイオアクセシビリティが低く、結腸の微生物叢によって容易に発酵されない。発酵速度が遅いと、下流の代謝物、例えばウロリチンの生物学的利用能が低下する。いくつかの実施形態において、本開示は、消化管内のウロリチンの生物学的利用能を変更または増加させるために投与される組成物を記載する。
【0151】
いくつかの実施形態において、方法は、対象に対するエラジタンニン組成物の生物学的利用能を増加させる方法である。いくつかの実施形態において、方法は、対象の消化管内のエラジタンニン組成物のエラジタンニンの生物学的利用能レベルを決定することを含む。いくつかの実施形態において、方法は、対象の消化管内のエラジタンニン組成物のエラジタンニンの生物学的利用能レベルを参照レベルと比較することを含む。いくつかの実施形態において、参照レベルは、エラジタンニンの過去の生物学的利用能参照レベルであり、組み合わせを受ける前の対象の消化管におけるエラジタンニンの生物学的利用能レベル、または組み合わせを受けていない同等の被験者の消化管内のエラジタンニンの生物学的利用能レベルである。
【0152】
いくつかの実施形態において、方法は、対象の血漿中で産生されるウロリチンのレベルを決定することを含む。いくつかの実施形態において、方法は、対象の血漿中のウロリチンのレベルを参照レベルと比較することを含む。いくつかの実施形態において、参照レベルは、血漿中のウロリチンの濃度、例えば、0.2~20μM(参照により本明細書に組み込まれる、Espin JC,Larrosa M,Garcia-Conesa MT,Tomas-Barberan F.Biological significance of urolithins,the gut microbial ellagic Acid-derived metabolites:the evidence so far.Evid Based Complement Alternat Med.2013;2013:270418.doi:10.1155/2013/270418)である。いくつかの実施形態において、参照レベルは、少なくとも0.1μM、少なくとも0.2μM、少なくとも0.5μM、少なくとも1μM、少なくとも5μM、少なくとも10μM、または少なくとも15μMの血漿中ウロリチンの濃度である。いくつかの実施形態において、参照レベルは、少なくとも0.5μM、最大1μM、最大5μM、最大10μM、最大15μM、最大20μM、または最大25μMの血漿中ウロリチンの濃度である。
【0153】
いくつかの実施形態において、参照レベルは、消化管内であろうと血漿中であろうと、ウロリチンの過去の参照レベル、組み合わせを受ける前の対象の消化管内のウロリチンレベル、または組み合わせを受けていない同等な対象の消化管内のウロリチンレベルである。
【0154】
ウロリチンAの濃度は、血漿中でin vivoで明らかな毒性効果なしにマイクロモル(μM)レベルまで達することができる。例えば、ヒトによるザクロ果汁の消費時に、UAのピーク血漿レベルは、40~14μMに達することができるが、個体間に広いばらつきが存在し得る(例えば、参照により本明細書に組み込まれるCerda et al.,Eur.J.Nut.43:205-220を参照されたい)。個人間のばらつきが大きいのは、微生物相の違いが原因である可能性がある。Selmaet al.は、エラグ酸を代謝してルテ酸であるウロリチンM-5、ウロリチンM-6及びウロリチンCを生成する単一培養菌(Gordonibacter urolithinfaciens及びGordonibacter pamelaeae DSM 19378T)を同定した。しかしながら、これらの培養された細菌は、川下製品であるウロリチンA及びウロリチンBを製造することが不可能であった(参照により本明細書に組み込まれるSelma et al.,Food&Nut.5:1779-1784(2014)を参照されたい)。
【0155】
治療法
本開示は、本明細書に記載の組成物が対象の治療に有用であり得ることを認識している。本開示によって提供される方法には、特定の疾患、障害、及び状態を治療するための方法が含まれる。いくつかの実施形態において、関連する疾患、障害及び状態は、肝臓の疾患及び状態またはミトコンドリア機能障害に関連する障害であり得るか、またはそれらを含み得る。
【0156】
一般に、本開示によって提供される治療方法は、治療有効量のプロバイオティクスを単独で、または本明細書に記載のエラジタンニン組成物と組み合わせて、そのような治療を必要としている、または必要であると決定された対象に投与することを含む。
【0157】
いくつかの実施形態において、本明細書で提供される治療方法は治療的であり、例えば、ミトコンドリア機能障害に関連する疾患または障害の重大な症状の発症後に対象に投与することができる。
【0158】
いくつかの実施形態において、提供される治療方法は、哺乳動物である対象、例えば、本明細書に記載の疾患、障害、または状態を経験する哺乳動物に投与され、いくつかの実施形態において、対象は、ヒトまたは非ヒトの獣医対象、例えば、類人猿、猫犬、猿、またはブタである。
【0159】
多くの実施形態において、「治療」は、ミトコンドリア機能障害に関連する疾患または障害に関連する疾患、障害、または状態の少なくとも1つの症状を改善することを含む。いくつかの実施形態において、治療方法は予防的であり得る。
【0160】
いくつかの実施形態において、方法は、肝疾患または関連する障害にまたはミトコンドリア機能障害に関連すると予想される治療剤の投与前、投与中(例えば、同時)、または投与後に、治療有効量のプロバイオティクス及び/またはエラジタンニン組成物の投与を含み得る。
【0161】
いくつかの実施形態において、本明細書に記載の組成物は、1つ以上の薬学的に許容される担体を含む形態で投与することができる。適切な担体は以前に記載されており、組成物の所望の形態及び投与様式によって異なる。例えば、薬学的に許容される担体には、充填剤、結合剤、湿潤剤、崩壊剤、界面活性剤、流動促進剤、及び潤滑剤などの希釈剤または賦形剤が含まれ得る。典型的には、担体は、固体(粉末を含む)、液体、またはそれらの任意の組み合わせであり得る。各担体は、組成物中の他の成分と適合性があり、対象に有害ではないという意味で「許容可能」であることが好ましい。担体は、生物学的に許容され、不活性であり得る(例えば、組成物が、適切な部位に送達されるまで、生物学的材料の生存能力を維持することを可能にする)。
【0162】
経口組成物は、不活性希釈剤または食用担体を含み得る。経口治療投与の目的で、活性化合物を賦形剤と組み合わせて、錠剤、ロゼンジ、香錠、トローチ、またはカプセル、例えば、ゼラチンカプセルの形態で使用することができる。経口組成物はまた、本開示の組成物を食品と組み合わせることによって調製することができる。いくつかの実施形態において、微生物は食品に配合することができる。本明細書に記載される方法及び組成物で使用される食品のいくつかの非限定的な例は、アイスキャンディー、チーズ、クリーム、チョコレート、牛乳、肉、飲み物、漬物、ケフィア、味噌、ザワークラウト、などが含まれる。他の実施形態では、食品は、果汁、清涼飲料、お茶の飲料、飲物調製物、ゼリー飲料、機能性飲料;ビールなどのアルコール飲料;米食品、麺類、パン、パスタなどの炭水化物含有食品;魚、ハム、ソーセージ、シーフードのペースト製品などのペースト製品;カレー、でんぷん質の濃厚なソースをかけた食品、中華スープなどのレトルトパウチ製品;スープ;ミルク、乳飲料、アイスクリーム、ヨーグルトなどの乳製品;発酵ダイズペースト、発酵飲料、漬物などの発酵製品;豆製品;ビスケット、クッキーなど、キャンディー、チューインガム、グミ、ゼリーを含む様々な菓子製品、ゼリー、クリームキャラメル、冷凍デザートなどの冷菓;インスタントスープやインスタントダイズスープなどのインスタント食品などであり得る。微生物を殺さないようにするために、食品調製物は微生物株と混合した後に調理を必要としないことが好ましい。
【0163】
一実施形態では、投与に使用される食品は、冷却され、例えば、凍った味付き水である。特定の実施形態では、食品は、潜在的にアレルギー性の食品ではない(例えば、ダイズ、小麦、ピーナッツ、木の実、乳製品、卵、甲殻類または魚ではない)。医薬的に適合性のある結合剤、及び/またはアジュバント材料を組成物の一部として含めることができる。錠剤、丸薬、カプセル、トローチなどは、以下の成分のいずれか、または同様の性質の化合物を含み得る:微結晶性セルロース、トラガカントガムまたはゼラチンなどの結合剤;デンプンまたはラクトースなどの賦形剤、アルギン酸、プリモゲル、またはコーンスターチなどの崩壊剤;ステアリン酸マグネシウムやステロイドなどの潤滑剤;コロイド状二酸化ケイ素などの流動促進剤;ショ糖またはサッカリンなどの甘味料;または、ペパーミント、サリチル酸メチル、オレンジフレーバー、または他の適切なフレーバーなどの香味料。これらは単なる例示を目的とし、限定することを意図したものではない。
【0164】
関連する実施形態では、本明細書に記載の組成物は、胃腸管から血液への物質の効率的かつ健康的な吸収を保証することが望ましい、栄養素サプリメント、食品、ビタミン、ミネラル、医薬品、治療用組成物、抗生物質、ホルモン、ステロイドなど及び同様な化合物を含むがこれらに限定されない、吸収される任意の材料と組み合わせた生存乳酸菌と組み合わせて、本明細書に記載の1つ以上の微生物を含むと考えられる。組成物に含まれる材料の量は、材料及びその吸収の意図された目的に応じて大きく変動する可能性があるため、組成物は限定的であると見なされるべきではない。
【0165】
医薬組成物
プロバイオティクス微生物またはプロバイオティクス微生物とエラジタンニン組成物との組み合わせを含む組成物が本明細書で提供される。いくつかの実施形態において、そのような組成物は、対象のミトコンドリア機能障害に関連する肝疾患または障害を治療するために使用される。いくつかの実施形態において、本開示に従って使用するための組成物は、例えば、哺乳動物(例えば、ヒト)への投与(例えば、経口投与)のための医薬組成物である。医薬組成物は、典型的には、活性剤(例えば、個々の微生物株または微生物株とエラジタンニン組成物との組み合わせ)、及び薬学的に許容される担体を含み得る。特定の例示的な薬学的に許容される担体には、例えば、生理食塩水、溶媒、分散媒体、コーティング、抗菌剤及び抗真菌剤、等張剤及び吸収遅延剤などが含まれ、これらは医薬投与と適合性がある。
【0166】
いくつかの実施形態において、本開示に従って使用するための医薬組成物は、1つ以上の補足的な活性化合物を含み得、及び/またはそれと併せて投与され得、特定の実施形態では、そのような補足的な活性化合物は、ショウガ、クルクミン、プロバイオティクス(例えば、以下の属、Lactobacillus、Bifidobacterium、Saccharomyces、Enterococcus、Streptococcus、Pediococcus、Leuconostoc、Bacillus、及び/またはEscherichia coliのうちの1つ以上のプロバイオティクス株(参照により本明細書に組み込まれる、Fijan,Int J Environ Res Public Health.2014 May;11(5):4745-4767を参照されたい)、プレバイオティクス(プロバイオティクス微生物の増殖をサポートする非消化性食品成分、例えば、フラクトオリゴ糖(FOS)及びイヌリンなどのフルクタン、ガラクトオリゴ糖(GOS)などのガラクタン、難消化性デンプン、ペクチン、ベータグルカン、及びキシロオリゴ糖などの食物繊維(参照により本明細書に組み込まれる、Hutkins et al.,Curr Opin Biotechnol.2016 Feb;37:1-7)ならびにそれらの組み合わせを含み得る。
【0167】
医薬組成物は、通常、それらの意図された投与経路と適合性があるように配合される。投与経路の例には、経口投与が含まれる。適切な医薬組成物を配合する方法が報告されており、例えば、Remington:The Science and Practice of Pharmacy,21st ed.,2005、及びDrugs and the Pharmaceutical Sciences:a Series of Textbooks and Monographs (Dekker,NY)シリーズの本を参照されたい。経口組成物は、一般に、不活性希釈剤または食用担体を含む。ほんの数例を挙げると、いくつかの実施形態において、経口製剤は、シロップ、液体、錠剤、トローチ、グミ、カプセル、例えば、ゼラチンカプセル、粉末、ゲル、フィルム等であり得るか、またはそれらを含み得る。
【0168】
いくつかの実施形態において、薬学的に適合性のある結合剤、及び/またはアジュバント材料は、医薬組成物の一部として含まれ得る。いくつかの特定の実施形態では、医薬組成物は、例えば、以下の不活性成分のいずれか1つ以上、または同様の性質の化合物を含み得る:微結晶性セルロース、トラガカントガムまたはゼラチンなどの結合剤;デンプンまたはラクトースなどの賦形剤、アルギン酸、プリモゲル(Primogel)、またはコーンスターチなどの崩壊剤;ステアリン酸マグネシウムやステロテス(Sterotes)などの潤滑剤;コロイド状二酸化ケイ素などの流動促進剤;ショ糖またはサッカリンなどの甘味料;または、ペパーミント、サリチル酸メチル、オレンジフレーバーなどの香味料。いくつかの実施形態において、組成物は、そのまま摂取するか、食品または液体(水など)に振りかけるか、または混合することができる。いくつかの実施形態において、本明細書に記載されるように哺乳動物に投与され得る組成物は、哺乳類の微生物叢、その抽出物、及び/またはその成分からの個々の微生物株または微生物株の組み合わせを含む(例えば、追加される)摂取可能な物品(例えば、食品または飲料)であり得るか、またはそれを含み得る。
【0169】
いくつかの実施形態において、食品は、バー、キャンディー、焼き菓子、シリアル、塩味スナック、パスタ、チョコレート、及び他の固形食品、ならびにヨーグルト、スープ及びシチューを含む液体または半固形食品、及びスムージー、シェイク、果汁、その他の炭酸飲料または非炭酸飲料などの飲料のうちの1つ以上であり得るか、またはそれらを含み得る。いくつかの実施形態において、食品は、対象によって哺乳動物微生物叢、それらの抽出物、及び/またはその成分からの個々の微生物株または微生物株の組み合わせを混合することによって、調製される。
【0170】
組成物は、本明細書に記載の方法で投与または使用するための説明書とともに、キット、容器、パック、またはディスペンサーに含めることができる。
【0171】
本開示を読む当業者は、いくつかの実施形態において、本明細書に記載される組成物(例えば、医薬組成物)は、関連する化合物を産生する(例えば、産生した、及び/または産生している)1つ以上の細胞、組織、または生物(例えば、植物または微生物細胞、組織、または生物)であり得るか、またはそれらを含み得ることを理解するであろう。
【0172】
いくつかの実施形態において、殺された(例えば、熱殺された)哺乳動物微生物叢からの個々の微生物株または微生物株の組み合わせ。あるいは、いくつかの実施形態において、哺乳動物微生物叢からの個々の微生物株または微生物株の組み合わせは、生存可能な、または生存している細胞を含み得る。
【0173】
いくつかの実施形態において、本明細書に記載の治療方法は、哺乳動物微生物叢からの生存可能なまたは生きている個々の微生物株または微生物株の組み合わせを投与することを含む。いくつかのそのような実施形態において、哺乳動物微生物叢からの生存可能または生きている個々の微生物株または微生物株の組み合わせは、投与された細胞で対象の微生物叢の集団を達成するレジメンに従って投与される。
【0174】
いくつかの実施形態において、本明細書に記載の哺乳動物微生物叢からの生存可能または生存する個々の微生物株または微生物株の組み合わせは、1つ以上の細胞培養物及び/またはその上清またはペレット、及び/またはそれから形成される粉末を含む及び/またはそれらの使用を通じて配合される。
【0175】
いくつかの実施形態において、本明細書で提供される医薬組成物は、哺乳動物微生物叢からの個々の微生物株または微生物株の組み合わせ、特に、哺乳動物の疾患または状態に苦しんでいる、または哺乳動物の疾患または状態のリスクがある哺乳動物における哺乳動物の疾患または状態の重症度または発生率を低下させると同定、特徴付け、または評価された微生物株(複数可)のコロニー形成を促進し得る。いくつかの実施形態において、本明細書で提供される医薬組成物は、哺乳動物微生物叢からの個々の微生物株または微生物株の組み合わせ、特に、哺乳動物の疾患または状態に苦しんでいる、または哺乳動物の疾患または状態のリスクがある哺乳動物における、哺乳動物の疾患または状態の重症度または発生率を増加させると同定、特徴付け、または評価された微生物株(複数可)のコロニー形成を弱めることができる。いくつかの実施形態において、本明細書で提供される医薬組成物は、哺乳動物微生物叢からの個々の微生物株または微生物株の組み合わせ、特に哺乳動物の疾患または状態に重症度または発生率に影響を及ぼさないと識別、特徴付け、または評価されたが、哺乳動物の病気または状態に苦しんでいる、またはそのリスクがある哺乳動物における疾患または状態の重症度または発生率を増加させると同定、特徴付け、または評価された1つ以上の微生物株を打ち負かすことができると同定、特徴付け、または評価された微生物株(複数可)のコロニー形成を促進することができる。
【0176】
いくつかの実施形態において、医薬組成物は、その哺乳動物の(例えば、ヒトの)微生物叢に基づいて、特定の哺乳動物(例えば、特定のヒト対象)に合わせて調整されている。いくつかの実施形態において、医薬組成物は、哺乳動物対象(例えば、ヒト)の微生物叢に特異的である。いくつかの実施形態において、医薬組成物は、哺乳動物(例えば、ヒト)の集団の微生物叢に特異的である。哺乳動物の集団には、家族、同じ地域の場所(例えば、近隣、都市、州、または国)にいる哺乳動物、同じ疾患または状態の哺乳動物、特定の年齢または年齢範囲の哺乳動物、特定の食事(例えば、食物、食物源、またはカロリー摂取量)を消費する哺乳動物が含まれ得るが、これらに限定されない。
【0177】
ミトコンドリア機能障害に関連する障害の治療
ミトコンドリア機能障害は、ミトコンドリアが正常な機能に関連するプロセスを行うができないことであり、結果として、例えば、電子伝達及びATP合成の問題、必須基質の欠如、または細胞内のミトコンドリアの数の減少が発生する可能性がある。いくつかのミトコンドリア疾患はミトコンドリア機能障害に関連しており、例えば、ミトコンドリアミオパチー、糖尿病及び難聴(DAD)、レーバーの遺伝性視神経症、リー症候群、筋神経原性胃腸脳症、赤色ぼろ線維を伴うミオクローヌスてんかん、ミトコンドリアDNA欠乏症候群、アルツハイマー認知症、パーキンソン病、ハンチントン病、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、精神遅滞、難聴及び失明、糖尿病、肥満、心血管疾患、脳卒中、自己免疫疾患、多発性硬化症、シェーグレン症候群、ループス、または関節リウマチである。
【0178】
マイトファジーは、機能不全または機能障害のミトコンドリアを特異的に標的とするオートファジープロセスであり、ミトコンドリアの恒常性を維持するために重要である。栄養素レベルと栄養ストレス要因は、マイトファジー関連のミトコンドリア代謝ターンオーバーの変化につながり、ミトコンドリア機能全体に影響を与える可能性がある。ウロリチンAは、筋肉や腸の組織にマイトファジーを誘発すると同時に、ミトコンドリアの生合成を促進し、ミトコンドリア機能の改善につながる。いくつかの実施形態において、本開示は、ミトコンドリア障害の治療方法及びミトコンドリア障害の治療のために設計された組成物を記載する。
【0179】
多くのヒトの疾患は、様々ながん、神経変性疾患、及び代謝障害を含むがこれらに限定されない、機能不全のミトコンドリアに関連することが知られている。いくつかの実施形態において、本開示は、全体的な健康を改善するためにミトコンドリア機能の変化をもたらすことができる。例えば、特定の実施形態において、本開示は、エラジタンニン及びそれらの関連代謝物を含むがこれらに限定されない様々な栄養素の生物学的利用能を増加させることによるミトコンドリア機能の改善を記載する。
【0180】
ポリグルタミン(polyQ)疾患の治療
伸長したポリグルタミン(ポリQ)のタンパク質は、例えば、(とりわけ)ハンチントン病などの加齢に関連する神経変性疾患では、細胞内で凝集し得る。一般に、polyQ疾患は、シトシン-アデニン-グアニン三塩基リピート伸長の遺伝子変異を特徴とする。突然変異は、polyQの拡張を引き起こすタンパク質の拡張されたリピート要素につながる。これらの疾患は、神経機能の進行性の喪失に起因する認知障害を特徴とする。拡張されたpolyQ毒性の原因に関する正確なメカニズムの詳細は完全には理解されていない。目立つ表現型は、拡張されたpolyQタンパク質の凝集である。リソソーム分解経路、オートファジー、プロテアソーム分解などの様々な細胞経路が、polyQタンパク質のクリアランスを促進することが知られる。いくつかの実施形態において、本開示は、ポリQリピートを発現するトランスジェニック蠕虫におけるポリQ凝集体を軽減する我々の生成物配合(ナシ状果抽出物及びL.plantarum MBT501)の発見を記載している。
【0181】
本明細書で提供される方法は、対象にエラジタンニン組成物、1つ以上のエラジタンニン酵素を含む酵素組成物、または本明細書に開示される組み合わせを投与して、対象が本明細書に開示される組み合わせを受けることを含み得る。いくつかの実施形態において、方法は、細胞または組織におけるポリペプチド凝集体の形成を減少させる方法である。いくつかの実施形態において、方法は、細胞または組織中のポリペプチド凝集体の量を減少させる方法である。いくつかの実施形態において、ポリペプチド凝集体は、ポリQ領域を含むポリペプチドの凝集体(すなわち、ポリQ凝集体)である。いくつかの実施形態において、ポリQ領域は、少なくとも10、少なくとも20、少なくとも30、少なくとも40、または少なくとも50のグルタミンを含む。いくつかの実施形態において、細胞はニューロンであるか、またはニューロンを含む。いくつかの実施形態において、細胞は、中枢神経系組織であるか、または中枢神経系組織を含む。
【0182】
いくつかの実施形態において、方法は、細胞または組織におけるポリペプチド凝集体形成のレベルを決定することを含む。いくつかの実施形態において、方法は、細胞または組織におけるポリペプチド凝集体形成のレベルを決定することを含む。いくつかの実施形態において、方法は、細胞または組織におけるポリペプチド凝集体形成のレベルを、細胞または組織におけるポリペプチド凝集体形成の参照レベルと比較することを含む。いくつかの実施形態において、参照レベルは、エラジタンニン組成物、1つ以上のエラジタンニン酵素を含む酵素組成物、または本明細書に開示される組み合わせが投与されていない対象の細胞または組織において決定される。いくつかの実施形態において、方法は、投与前に、細胞または組織におけるポリペプチド凝集体形成のレベルを決定することを含む。いくつかの実施形態において、方法は、投与後に、細胞または組織におけるポリペプチド凝集体形成のレベルを決定することを含む。いくつかの実施形態において、方法は、投与前に決定された細胞または組織におけるポリペプチド凝集体形成のレベルを、投与後に決定された細胞または組織におけるポリペプチド凝集体形成のレベルと比較することを含む。
【0183】
いくつかの実施形態において、方法は、細胞または組織におけるポリペプチド凝集体のレベルを決定することを含む。いくつかの実施形態において、方法は、細胞または組織におけるポリペプチド凝集体のレベルを決定することを含む。いくつかの実施形態において、方法は、細胞または組織中のポリペプチド凝集体のレベルを、細胞または組織中のポリペプチド凝集体の参照レベルと比較することを含む。いくつかの実施形態において、参照レベルは、エラジタンニン組成物、1つ以上のエラジタンニン酵素を含む酵素組成物、または本明細書に開示される組み合わせが投与されていない対象の細胞または組織において決定される。いくつかの実施形態において、方法は、投与前に、細胞または組織中のポリペプチド凝集体のレベルを決定することを含む。いくつかの実施形態において、方法は、投与後に、細胞または組織中のポリペプチド凝集体のレベルを決定することを含む。いくつかの実施形態において、方法は、投与前に決定された細胞または組織中のポリペプチド凝集体のレベルを、投与後に決定された細胞または組織中のポリペプチド凝集体のレベルと比較することを含む。
【0184】
肝疾患の治療
抗酸化療法は、肝臓の病気を含む様々な病気の治療に使用するのに有益であると考えられる。体内の抗酸化化合物のレベルは、非アルコール性脂肪性肝炎、急性肝毒性、非アルコール性脂肪性肝疾患、アルコール性肝疾患、ウイルス性肝炎、肝線維症、肝IRI、及び一部の肝癌などの肝疾患に役割を担うことが示されているNrf2タンパク質の影響を受ける可能性がある。低レベルのNrf2発現は、細胞内の抗酸化活性の低下に関連していると報告される。エラジタンニンの投与は、肝臓の健康にプラスの効果をもたらし、例えば酸化ストレスを軽減するためにNrf2発現の増加を通じてエタノール誘発性の細胞損傷から肝細胞を保護することにより、酸化的損傷を軽減することができる。いくつかの実施形態において、本開示は、エラジタンニン及び/またはプロバイオティクス組成物の単独または組み合わせの投与による様々な肝疾患の治療方法を記載している。いくつかの実施形態において、前記治療は、肝細胞におけるNrf2の発現を増加させ、細胞における抗酸化活性を促進し、それにより、肝臓の健康または機能を促進する。
【0185】
核因子(赤血球由来2)様2(NRF2)は、傷害または炎症によって引き起こされる酸化的損傷から保護する抗酸化タンパク質の発現を調節する転写因子である。細胞がストレス状態にない場合、NRF2は細胞質阻害剤KEAP(ケルチ様ECH関連タンパク質1)によって細胞質に保持され、急速に分解される。ただし、細胞が酸化ストレス下にある場合、NRF2は分解されず、核に局在して抗酸化遺伝子産物の発現を誘導する。NRF2の核局在化は、NRF2活性の間接的な尺度として使用できる。しかし、報告されているように、NRF2活性を決定するためのより簡単な方法は、NRF2によって正に調節されている遺伝子の発現レベルを評価することである。このような遺伝子には、NAD(P)Hキノンオキシドレダクターゼ1(Nqo1)、グルタミン酸システインリガーゼ、スルフィレドキシン1(SRXN1)、チオレドキシンレダクターゼ1(TXNRD1)、ヘムオキシゲナーゼ-1(HMOX1、HO01)、グルタチオンS-トランスフェラーゼ(GST)、UDP-グルクロノシルトランスフェラーゼ(UGT)、及び多剤耐性関連タンパク質(Mrps)が含まれるが、これらに限定されない。
【0186】
本開示は、対象にエラジタンニン組成物、1つ以上のエラジタンニン酵素を含む酵素組成物、または本明細書に開示される組み合わせを投与して、対象が本明細書に開示される組み合わせを受けることを含む方法を提供する。いくつかの実施形態において、方法は、対象の細胞または組織におけるNrf2の発現レベルまたは活性レベルを変更する方法である。いくつかの実施形態において、方法は、対象の細胞または組織におけるNrf2の発現レベルまたは活性レベルを増加させる方法である。
【0187】
いくつかの実施形態において、方法は、対象の細胞または組織における核呼吸因子-2(Nrf2)の発現レベルまたは活性レベルを決定することを含む。いくつかの実施形態において、方法は、細胞または組織におけるNrf2の発現レベルまたは活性レベルを参照レベルと比較することを含む。いくつかの実施形態において、参照レベルは、Nrf2の過去の発現または活性レベル、組み合わせを受ける前の対象の同等の細胞または組織における核呼吸因子-2(Nrf2)の発現レベルまたは活性レベル、または組み合わせを受けていない同等の対象の同等の細胞または組織における核呼吸因子-2(Nrf2)の発現レベルまたは活性レベルである。いくつかの実施形態において、方法は、対象の細胞または組織におけるNrf2発現によって調節される遺伝子の発現レベルまたは活性レベルを決定することを含む。
【0188】
体内の抗酸化化合物は、活性酸素及び活性窒素種(ROS、RNS)が関与する反応プロセスから生物を保護することができる。これらの化合物は、アテローム性動脈硬化症、糖尿病、慢性炎症、神経変性障害、及び特定のがんを含むがこれらに限定されないヒトの疾患に関連する酸化ストレスから人体を保護することができる。いくつかの実施形態において、本開示は、体内の抗酸化レベルを変更するための組成物及び投与方法を記載している。いくつかの実施形態において、方法は、対象の細胞または組織中の1つ以上の抗酸化剤のレベルを決定することを含む。いくつかの実施形態において、対象の細胞または組織は、肝細胞または肝組織を含む。いくつかの実施形態において、方法は、対象における肝臓の健康または機能の指標を測定することを含む。
【0189】
貯蔵寿命を延長する方法
プレバイオティクス及び/またはプロバイオティクスの貯蔵寿命を改善するための保管方法は、関与する生物によって異なる。多くの場合、乳製品を含むプロバイオティクス製剤は、安定していて口当たりが良いまま保存するのが難しい場合がある。いくつかの実施形態において、本開示は、1つ以上の果実抽出物の使用を通じてプロバイオティクス組成物の貯蔵寿命を延長するための方法を記載している。いくつかの実施形態において、本明細書に記載のEES微生物を含むプロバイオティクス製品の生存可能な貯蔵寿命を延ばす方法は、本明細書に記載のエラジタンニン組成物をプロバイオティクス製品に添加することを含み、EES微生物は、本明細書に記載の1つ以上のエラジタンニン酵素を発現する。
【実施例】
【0190】
以下の実施例は、当業者に、本明細書に記載の方法及び組成物を製造及び使用する方法を説明するために提供されており、本開示の範囲を限定することを意図するものではない。
【0191】
実施例1
この実施例では、定性的な視覚的スクリーニングを使用したC.elegansの転写融合レポーターCL2166 dvIs19[pAF15(gst-4::gfp-nls)]III1,2におけるgst-4の発現を誘導する細菌、Lactobacillus plantarumの同定を実証する。gst-4は、転写因子であるNrf2のホモログであるskn-1によって調節される抗酸化遺伝子であるグルタチオン-S-トランスフェラーゼ(GST)をコードし、ヒトの抗酸化経路において重要な役割を果たす。転写因子skn-1は、抗酸化遺伝子gst-4を含む種々の抗酸化遺伝子の調節において報告されている3。
【0192】
E.coli OP50とナシ状果抽出物のみを与えた場合に皮下細胞でのみGFPを発現するトランスジェニック株CL2166を使用した。E.coli OP50は、Caenorhabditis elegansが通常実験室で増殖する標準的な微生物株であるため、対照として使用された。細菌L.plantarumだけが蠕虫の腸でいくらかの発現を誘発した。GFPを発現するトランスジェニック株CL2166でのL.plantarum及びナシ状果抽出物の処理は、蠕虫の腸及び体全体でGFP発現を誘導した(
図1)。
【0193】
実施例2
タンナーゼ(tanB)、没食子酸デカルボキシラーゼ(lpdB)及び没食子酸デカルボキシラーゼ(lpdC)酵素をコードする遺伝子がエラジタンニン代謝に関与しているか否かを決定するために試験した
4,5。L.plantarumは、ナシ状果抽出物、ベリー抽出物、クルミ抽出物などのポリフェノール化合物の分解に関与するデカルボキシラーゼ酵素を有する
6,7(
図2a)。タンナーゼ(tanB)、没食子酸デカルボキシラーゼ(lpdB)及び没食子酸デカルボキシラーゼ(lpdC)の酵素をコードする遺伝子の発現に対するナシ状果抽出物またはポリフェノール化合物の効果をqPCRによって観察した。プレバイオティクスのナシ状果抽出物処理は、タンナーゼ(tanB)、没食子酸デカルボキシラーゼ(lpdB)、没食子酸デカルボキシラーゼ(lpdC)の発現を大幅に誘導した(3倍超)(
図2b)。
【0194】
実施例3
この方法では、プレバイオティクスのナシ状果抽出物を試験して、L.plantarumの維持に役立つかどうか、例えば、細菌の貯蔵寿命を延ばすことができるかどうかを判断した。細菌L.plantarumの数を有益な方法で維持するために、ナシ状果抽出物はL.plantarumの貯蔵寿命を延ばすことがわかった。ナシ状果抽出物で処理されたL.plantarumは、4週間同じ数(100億CFU)を示した。対照的に、細菌だけでは初期カウントの半分強を示した(
図3a及びb)。
【0195】
実施例4
ヒト肝細胞株(HepG)を使用し、Nrf2-ルシフェラーゼレポーター遺伝子を安定して発現させて、Nrf2の誘導を観察した。この細胞株は、ナシ状果抽出物によるL.plantarumの処理に応答してルシフェラーゼ活性の増加を示した。ルシフェラーゼ活性は、細菌とナシ状果抽出物のみと比較して、処理後24時間以内に3倍に増加した(
図4a)。
【0196】
また、Nrf2誘導は、細胞溶解物のウエスタンブロット分析によって確認された。全細胞抽出物において、L.plantarumをナシ状果で処理することによるNrf2タンパク質発現の増加が実証された。アクチン発現に変化がなかったため、この増加はNrf2に特異的であった。対照的に、L.plantarumとナシ状果抽出物のみで処理した調製された細胞溶解物のNrf2発現に変化はなかった(
図4b)。
【0197】
実施例5
この例は、細菌L.plantarum MBT501とナシ状果抽出物の組み合わせが、定性的な視覚的スクリーニングを使用して、C.elegansのrmls133(unc_54p::Q40::YFP)のpolyQ凝集体を軽減したことを実証する。若い成体蠕虫は、最大140個の凝集体PolyQ40リピートの形成が、人間の病気の観察と直接相関することを示した。そのような凝集体は、細胞毒性及び経変性疾患に寄与し得る(Morley JF,Brignull HR,Weyers JJ,Morimoto RI。ポリグルタミン膨張タンパク質凝集と細胞毒性の閾値は動的で、Caenorhabditis elegansの老化の影響を受けている。それぞれが参照により本明細書に組み込まれる、Proc Natl Acad Sci USA.2002 Aug 6;99(16):10417-22.doi:10.1073/pnas.152161099.Epub 2002 Jul 16.PMID:12122205,PMCID:PMC124929;Kailiang Jia,Anne C.Hart&Beth Levine (2007) Autophagy Genes Protect Against Disease Caused by Polyglutamine Expansion Proteins in Caenorhabditis elegans,Autophagy,3:1,21-25,DOI:10.4161/auto.3528,Kokona B,May CA,Cunningham NR,et al.Studying polyglutamine aggregation in Caenorhabditis elegans using an analytical ultracentrifuge equipped with fluorescence detection.Protein Sci.2016;25(3):605-617,doi:10.1002/pro.2854。
【0198】
YFPと融合したPolyQ40リピートは、蠕虫の体壁筋の細胞質で発現した(トランスジェニック株unc_54p::Q40::YFP)。蠕虫には、(1)E.coli OP50、ナシ状果抽出物、(2)L.planta
rum(MBT501)、または(3)L.planta
rum(MBT501)とナシ状果抽出物を与えた。E.coli OP50は、C.elegansが通常実験室で増殖する標準的な微生物株であるため、対照として使用された。示されているように、細菌L.plantarumだけで、PolyQ40凝集体の形成がある程度緩和された。L.plantarum及びナシ状果抽出物の処理は、PolyQ40凝集体の発現を軽減することが示された(
図5)。
【0199】
他の実施形態
当業者には、本開示に対する様々な変更、修正、及び改善が当業者に容易にでき得ることが理解されるべきである。そのような変更、修正、及び改善は、本開示の一部であることが意図されており、本発明の精神及び範囲内にあることが意図されている。したがって、前述の説明及び図面は、単なる例であり、以下の特許請求の範囲によってさらに詳細に説明される場合、本開示に記載される任意の発明である。
【0200】
当業者は、本明細書に記載のアッセイまたは他のプロセスで得られた値に起因する偏差または誤差の典型的な基準を理解するであろう。本発明の背景を説明し、その実施に関する追加の詳細を提供するために本明細書で参照される刊行物、ウェブサイト、及び他の参考資料は、それらの全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0201】
本発明の実施形態は、その詳細な説明と併せて説明されてきたが、前述の説明は、添付の特許請求の範囲によって定義される本発明の範囲を説明することを意図し、限定しないことを理解されたい。その他の側面、利点、及び変更は、以下の特許請求の範囲内にある。
【配列表】