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特許7638886無水物中間体を介して作製されたマルチアミンポリエステル分散剤
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-02-21
(45)【発行日】2025-03-04
(54)【発明の名称】無水物中間体を介して作製されたマルチアミンポリエステル分散剤
(51)【国際特許分類】
   C09K 23/52 20220101AFI20250225BHJP
   C08G 63/91 20060101ALI20250225BHJP
   C08G 65/32 20060101ALI20250225BHJP
【FI】
C09K23/52
C08G63/91
C08G65/32
【請求項の数】 66
(21)【出願番号】P 2021555226
(86)(22)【出願日】2020-03-13
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-05-24
(86)【国際出願番号】 US2020022523
(87)【国際公開番号】W WO2020186126
(87)【国際公開日】2020-09-17
【審査請求日】2023-02-24
(31)【優先権主張番号】62/818,300
(32)【優先日】2019-03-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】506347528
【氏名又は名称】ルブリゾル アドバンスド マテリアルズ, インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(72)【発明者】
【氏名】コールベック, エリオット
(72)【発明者】
【氏名】セトフォード, ディーン
【審査官】柴田 啓二
(56)【参考文献】
【文献】特表2016-530386(JP,A)
【文献】特表2008-536664(JP,A)
【文献】特表2003-509205(JP,A)
【文献】特表2003-531001(JP,A)
【文献】特開昭61-174939(JP,A)
【文献】国際公開第2017/125290(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09K 23/52
C08G 63/91
C08G 65/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の構造の分散剤であって、
【化1】

式中、
XはR-Q又は環状第二級アミンであり、XがR-Qの場合、Rは1~50個の炭素原子を含有する炭化水素鎖であり、Qは酸素、又はNR、又はNHであり、但し、nが0であり、bが0である場合、QはNHのみをとることができ、Rは1~18個の炭素原子を含有する炭化水素鎖であり、
はH、メチル、又はエチルであり、
は、最大3個の炭素原子を含有する炭化水素鎖であり、
は、水素、1~22個の炭素原子を含有するヒドロカルビル基、又はアルキル(メタ)アクリレート若しくは(メタ)アクリルアミドの残基であり、
bは0又は1であり、但し、n及びmの両方が、両方とも少なくとも1の場合、bは1のみをとることができ、
は、1~15個の炭素原子を含有する炭化水素鎖、又は-R(C=O)YR-であり、式中、YはO又はNH又はNR10であり、Rは1~10個の炭素原子を含有する炭化水素鎖であり、Rは2~10個の炭素原子を含有する炭化水素鎖であり、R10は1~20個の炭素原子を含有する炭化水素鎖であり、
nは0~65の任意の整数であり、mは0~35の任意の整数であり、但し、m+nは少なくとも3であり、
は、2~80個の炭素を含有する炭化水素であり、
q及びtはそれぞれ少なくとも1であり、
MAは、300~20,000g/molの数平均分子量を有するマルチアミン種であり、
は、1~4個の炭素を含有する炭素鎖であり、
p+zは、~200の任意の整数である、分散剤。
【請求項2】
は、1~2個の炭素を含有する炭素鎖である、請求項1に記載の分散剤。
【請求項3】
XがR-Qであり、Qが酸素である、請求項1に記載の分散剤。
【請求項4】
XがR-Qであり、QがNRである、請求項1に記載の分散剤。
【請求項5】
XがR-Qであり、QがNHであり、nが0であり、bが0である、請求項1に記載の分散剤。
【請求項6】
Xが環状第二級アミンであり、ピペリジン、モルホリン、4-メチルピペリジン、4-フェニルピペリジン、チオモルホリン、アゼチジン、1-メチルピペラジン、2-メチルピペラジン、及びピロリジン並びにそれらの混合物から選択される、請求項1に記載の分散剤。
【請求項7】
Rが1~30個の炭素原子を含有する炭化水素鎖である、請求項1~6のいずれかに記載の分散剤。
【請求項8】
Rが分岐又は直鎖、飽和又は不飽和の、アルキル、アリール、アラルキル、又はアルキルアリールの炭化水素鎖である、請求項1~7のいずれかに記載の分散剤。
【請求項9】
Rがハロゲン基を更に含有する、請求項1~8のいずれかに記載の分散剤。
【請求項10】
Rが、N又はOから選択されるヘテロ原子を含有する、請求項1~8のいずれかに記載の分散剤。
【請求項11】
が、エーテル、エステル、又はアミドからなる基から選択される官能基を含有する、請求項1~8のいずれかに記載の分散剤。
【請求項12】
が、Hである、請求項1~11のいずれかに記載の分散剤。
【請求項13】
が1~22個の炭素原子を含有する炭化水素鎖である、請求項1~11のいずれかに記載の分散剤。
【請求項14】
がアルキル(メタ)アクリレート又は(メタ)アクリルアミドの残基である、請求項1~11のいずれかに記載の分散剤。
【請求項15】
が、-R(C=O)YR-である、請求項1~14のいずれかに記載の分散剤。
【請求項16】
YがNHである、請求項15に記載の分散剤。
【請求項17】
Yが、NR10であり、R10が1~20個の炭素原子を含有する炭化水素鎖である、請求項15に記載の分散剤。
【請求項18】
10がエステル、エーテル、又はアミド基を含む、請求項17に記載の分散剤。
【請求項19】
が、1~10個の炭素原子を含有する、直鎖又は分岐、飽和又は不飽和の炭化水素鎖である、請求項1~14のいずれかに記載の分散剤。
【請求項20】
が、2~7個の炭素原子を含有する炭化水素鎖である、請求項19に記載の分散剤。
【請求項21】
が、2~15個の炭素原子を含有する炭化水素鎖であり、式-N(R11)-(C=O)-を有するアミド官能基を含み、式中、R11はH又は1~4個の炭素原子を含有する炭化水素鎖である、請求項1~14のいずれかに記載の分散剤。
【請求項22】
が、2~20個の炭素原子を含有する、分岐又は直鎖、飽和又は不飽和の炭化水素鎖である、請求項1~21のいずれかに記載の分散剤。
【請求項23】
MAが、600~10,000g/molの数平均分子量を有する、請求項1~22のいずれかに記載の分散剤。
【請求項24】
MAが少なくとも4つのアミン基を有する、請求項1~23のいずれかに記載の分散剤。
【請求項25】
MAが、ポリエチレンイミン又は修飾ポリエチレンイミンを含む、請求項1~24のいずれかに記載の分散剤。
【請求項26】
前記分散剤を、(a)イソシアネート、ラクトン、エポキシ、無水物、環状カーボネート、マイケル付加反応を介した(メタ)アクリレート、及び/又は第一級若しくは第二級アミンと反応して、塩結合若しくは共有結合を形成する基を有するポリマー種、(b)前記アミン基を一酸化窒素に変換することができる酸化種、(c)塩化剤、と反応させるか、又は(d)前記マルチアミン種の第三級アミン基、若しくは前記マルチアミン種を含有する前記分散剤を四級化剤と反応させて、第四級化アミン基を形成することによって、前記分散剤が修飾される、請求項25に記載の分散剤。
【請求項27】
が1個又は2個の炭素原子を含有する、請求項1~26のいずれかに記載の分散剤。
【請求項28】
q+tが2~200の任意の整数である、請求項1~27のいずれかに記載の分散剤。
【請求項29】
q+tが2~150の任意の整数である、請求項28に記載の分散剤。
【請求項30】
qがt以上である、請求項1~29のいずれかに記載の分散剤。
【請求項31】
p+zが2~200の任意の整数である、請求項30のいずれかに記載の分散剤。
【請求項32】
nが1~65の任意の整数である、請求項1~31のいずれかに記載の分散剤。
【請求項33】
nが0である、請求項1~31のいずれかに記載の分散剤。
【請求項34】
mが1~35の任意の整数である、請求項1~33のいずれかに記載の分散剤。
【請求項35】
mが0である、請求項1~32のいずれかに記載の分散剤。
【請求項36】
mが5~16である、請求項34に記載の分散剤。
【請求項37】
m+nが3~65である、請求項1~36のいずれかに記載の分散剤。
【請求項38】
m+nが5~30である、請求項1~36のいずれかに記載の分散剤。
【請求項39】
bが1であり、m+nが少なくとも4である、請求項1~31のいずれかに記載の分散剤。
【請求項40】
分散剤を調製する方法であって、当該方法が以下の工程、
(a)以下の式のアルコール末端ポリマーを提供することと、
X-(CHCHR-O)[R-N(R)]-[(C=O)R-O]-H、式中、
XはR-Q又は環状アミンであり、Rは1~50個の炭素原子を含有する炭化水素鎖であり、QはO、又はNR、又はNHであり、但し、nが0であり、bが0である場合、XはNHのみをとることができ、
は、1~18個の炭素原子を含有する炭化水素鎖であり、
はH、メチル、又はエチルであり、
は、最大3個の炭素原子を含有する炭化水素鎖であり、
は、水素、1~22個の炭素原子を含有するヒドロカルビル基、又はアルキル(メタ)アクリレート若しくは(メタ)アクリルアミドの残基であり、
bは0又は1であり、但し、n及びmの両方が、両方とも少なくとも1の場合、bは1のみをとることができ、
は、1~15個の炭素原子を含有する炭化水素鎖、又は-R(C=O)YR-であり、式中、YはO又はNH又はNR10であり、Rは1~10個の炭素原子を含有する炭化水素鎖であり、Rは1~10個の炭素原子を含有する炭化水素鎖であり、R10は1~20個の炭素原子を含有する炭化水素鎖であり、
nは0~65の任意の整数であり、mは0~35の任意の整数であり、但し、m+nは少なくとも3である)
(b)アルコール末端ポリマーを環状無水物と反応させて、酸末端ポリマーを提供することと、
(c)前記酸末端ポリマーを非環状無水物と反応させて、無水物の混合物を提供することと、
(d)前記無水物の混合物を、分散剤分子を形成するために300~20,000の数平均分子量を有するマルチアミン種と反応させることと、とを含む分散剤を調製する方法。
【請求項41】
XがR-Qであり、Qが酸素である、請求項40に記載の方法
【請求項42】
XがR-Qであり、QがNRである、請求項40に記載の方法
【請求項43】
XがR-Qであり、QがNHであり、nが0であり、bが0である、請求項40に記載の方法
【請求項44】
Xが環状第二級アミンであり、ピペリジン、モルホリン、4-メチルピペリジン、4-フェニルピペリジン、チオモルホリン、アゼチジン、1-メチルピペラジン、2-メチルピペラジン、及びピロリジン並びにそれらの混合物から選択される、請求項40に記載の方法
【請求項45】
Rが1~30個の炭素原子を含有する炭化水素鎖である、請求項4044のいずれかに記載の方法
【請求項46】
Rが分岐又は直鎖、飽和又は不飽和の、アルキル、アリール、アラルキル、又はアルキルアリールの炭化水素鎖である、請求項4045のいずれかに記載の方法
【請求項47】
Rがハロゲン基を更に含有する、請求項4046のいずれかに記載の方法
【請求項48】
Rが、N又はOから選択されるヘテロ原子を含有する、請求項4046のいずれかに記載の方法
【請求項49】
が、エーテル、エステル、又はアミドからなる基から選択される官能基を含有する、請求項4046のいずれかに記載の方法
【請求項50】
が、Hである、請求項4049のいずれかに記載の方法
【請求項51】
が1~22個の炭素原子を含有する炭化水素鎖である、請求項4049のいずれかに記載の方法
【請求項52】
がアルキル(メタ)アクリレート又は(メタ)アクリルアミドの残基である、請求項4049のいずれかに記載の方法
【請求項53】
が、-R(C=O)YR-である、請求項4052のいずれかに記載の方法
【請求項54】
YがNHである、請求項53に記載の方法
【請求項55】
Yが、NR10であり、R10が1~20個の炭素原子を含有する炭化水素鎖である、請求項53に記載の方法
【請求項56】
10がエステル、エーテル、又はアミド基を含む、請求項55に記載の方法
【請求項57】
が、1~10個の炭素原子を含有する、直鎖又は分岐、飽和又は不飽和の炭化水素鎖である、請求項4052のいずれかに記載の方法
【請求項58】
が、2~7個の炭素原子を含有する炭化水素鎖である、請求項57に記載の方法
【請求項59】
が、2~15個の炭素原子を含有する炭化水素鎖であり、式-N(R11)-(C=O)-を有するアミド官能基を含み、式中、R11はH又は1~4個の炭素原子を含有する炭化水素鎖である、請求項4052のいずれかに記載の方法
【請求項60】
前記環状無水物が、グルタル酸無水物、1,2-シクロヘキサンジカルボン酸無水物、ホモフタル酸無水物、ジグリコール酸無水物、コハク酸無水物、ポリイソブチレンコハク酸無水物、2-フェニルコハク酸無水物、アルキル(アルケニル)コハク酸無水物、又はそれらの混合物からなる群から選択される、請求項4059のいずれかに記載の方法。
【請求項61】
前記環状無水物がコハク酸無水物を含む、請求項60に記載の方法。
【請求項62】
前記環状無水物がグルタル酸無水物を含む、請求項60に記載の方法。
【請求項63】
前記非環状無水物がプロピオン酸無水物を含む、請求項4062のいずれかに記載の方法。
【請求項64】
前記非環状無水物が無水酢酸を含む、請求項4063のいずれかに記載の方法。
【請求項65】
無水物とマルチアミン種との前記混合物が1:1~25:1の重量比で反応する、請求項4064のいずれかに記載の方法。
【請求項66】
前記分散剤分子を、(a)イソシアネート、ラクトン、エポキシ、無水物、環状カーボネート、マイケル付加反応を介した(メタ)アクリレート、及び/又は第一級若しくは第二級アミンと反応して塩結合若しくは共有結合を形成する基を有するポリマー種、(b)前記アミン基を一酸化窒素に変換することができる酸化種、(c)塩化剤、と反応させる工程か、又は(d)前記マルチアミン種の第三級アミン基、若しくは前記マルチアミン種を含有する前記分散剤を四級化剤と反応させて、第四級化アミン基を形成する工程(e)
を更に含む、請求項4065のいずれかに記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリエステル及び/又はポリエーテル鎖と反応するマルチアミン種(ポリエチレンイミン等のポリアミン)の分散剤、並びに無水物中間体を介して分散剤を作製する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ポリアミン由来の分散剤は、一般に顔料分散剤として効果的であると理解されている。これらの分散剤の立体的に安定化された鎖の組成及び分子量は、極性及び非極性の両方の連続媒体に固体を効果的に分散させるのに重要である。インク、塗料、ミルベース及びプラスチック材料等の多くの配合物は、有機媒体に微粒子固体を均一に分散させるための分散剤を必要とする。したがって、顔料分散体は、様々なインク又はコーティング配合物と適合性があることが望ましい。
【0003】
塩結合及びアミド結合の混合物を有するマルチアミン系の分散剤が、より効果的な分散剤を提供することも見出された。しかし、これらの分散剤は、アルコール末端ポリマーを使用して作製するのが困難である可能性がある。内部塩結合及びアミド結合の両方を含むが、アルコール末端ポリエーテル及び/又はポリエステル系のポリマーから便宜に調製することができる分散剤を有することは望ましいであろう。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、以下の式を有する分散剤を、アルコール末端ポリマーから調製する方法を提供する。
【化1】
式Iの分散剤を調製する方法は、(a)式X-(CHCHR-O)n-[R-N(R)]b-[(C=O)R-O]-H(式II)のアルコール末端ポリマーを提供することと、(b)アルコール末端ポリマーを環状無水物と反応させて酸末端ポリマーを提供することと、(c)酸末端ポリマーを非環状無水物と反応させて、無水物の混合物を提供することと、(d)無水物の混合物をマルチアミン種と反応させることと、とからなる工程を含み、ここで、マルチアミン種は、分散剤分子を形成するために300~20,000の数平均分子量を有し、式中q及びtは、分散剤がアミド結合及び塩結合の両方を含有するように、それぞれ少なくとも1である。式IIでは、XはR-Q又は環状第二級アミンのいずれかを表す。XがR-Qの場合、Rは1~50個の炭素原子を含有する、分岐若しくは直鎖、飽和若しくは不飽和、又は環状の炭化水素鎖であり、QはO又はNR、又はNHであり、但し、nが0であり、bが0である場合、QはNHのみをとることができ、Rは、1~18個の炭素原子を含有する、直鎖若しくは分岐、飽和若しくは不飽和の炭化水素鎖であり、これは、任意に、エーテル、エステル、又はアミド官能基若しくはハロゲン化物置換基を含有し得る。あるいは、Xはまた、1つ又は複数の環状第二級アミンに由来する環状アミン構造であり得る。式IIでは、Rは、H、メチル、又はエチルであり、Rは、最大3個の炭素原子を含有する直鎖又は分岐の炭化水素鎖であり、Rは、水素、1~22個の炭素原子を含有するヒドロカルビル基、又はアルキル(メタ)アクリレート若しくは(メタ)アクリルアミドの残基である。変数bは0又は1であり、但し、n及びmの両方が、両方とも少なくとも1である場合、bは1のみをとることができる。Rは、直鎖又は分岐、飽和又は不飽和の、1~15個の炭素原子を含有する炭化水素鎖又は-R(C=O)YRであり、式中、YはO又はNH又はNR10であり、Rは1~10個の炭素原子を含有する炭化水素鎖であり、Rは2~10個の炭素原子を含有する炭化水素鎖であり、R10は1~20個の炭素原子を含有する炭化水素鎖である。いくつかの実施形態では、R10は、エステル、エーテル、又はアミド基を含み得る。Rが、1~15個の炭素原子を含有する炭化水素鎖である場合、Rは、一実施形態では、1~10個の炭素原子を含有する、直鎖又は分岐、飽和又は不飽和の炭化水素鎖であり得、別の実施形態では、Rは、式-N(R11)-(C=O)-を有するアミド官能基を含む、2~15個の炭素原子を含有する炭化水素鎖であり得、式中、R11はH又は1~4個の炭素原子を含有する炭化水素鎖である。式IIでは、nは0~65の任意の整数であり、mは0~35の任意の整数であり、但し、m+nは少なくとも3である。
【0005】
本発明はまた、式Iの構造を有する分散剤を提供し、式中、Xは、R-Q又は環状アミンである。XがR-Qである場合、Rは、1~50個の炭素原子を含有する炭化水素鎖であり、QはO又はNR又はNHであり、但しnが0であり、bが0である場合、QはNHのみをとることができ、Rは1~18個の炭素原子を含有する、直鎖又は分岐の炭化水素鎖であり、これは、任意に、エーテル、エステル、又はアミド官能基若しくはハロゲン化物置換基を含み得る。Xは環状第二級アミンを表す場合もある。式Iでは、Rは、H、メチル、又はエチルであり、Rは、最大3個の炭素原子を含有する直鎖又は分岐の炭化水素鎖であり、Rは、水素、1~50個の炭素原子を含有するヒドロカルビル基、又はアルキル(メタ)アクリレート若しくは(メタ)アクリルアミドの残基であり、bは0又は1であり、但し、n及びmの両方が、両方とも少なくとも1の場合、bは1のみをとることができ、Rは、直鎖又は分岐、飽和又は不飽和の、1~15個の炭素原子を含有する炭化水素鎖又は-R(C=O)YR-であり、式中、YはO又はNH又はNR10であり、Rは1~10個の炭素原子を含有する炭化水素鎖であり、Rは1~10個の炭素原子を含有する炭化水素鎖であり、R10は1~20個の炭素原子を含有する炭化水素鎖であり、これはエステル、エーテル、又はアミド基を含み得る。Rが、1~15個の炭素原子を含有する炭化水素鎖である場合、Rは、一実施形態では、1~10個の炭素原子を含有する、直鎖又は分岐、飽和又は不飽和の炭化水素鎖であり得、別の実施形態では、Rは、式-N(R11)-(C=O)-を有するアミド官能基を含む、2~15個の炭素原子を含有する炭化水素鎖であり得、式中、R11はH又は1~4個の炭素原子を含有する炭化水素鎖である。変数nは0~65の任意の整数であり、変数mは0~35の任意の整数であり、但し、m+nは少なくとも3である。Rは、2~80個の炭素を含有する直鎖又は分岐、飽和又は不飽和の炭化水素である。変数q及びtはそれぞれ少なくとも1であるが、q+tは2~150の任意の整数であり得る。MAは、300~20,000g/molの数平均分子量を有するマルチアミン種である。変数p又はzはそれぞれ0であり得、あるいはp+zは0、又は1若しくは2~200の任意の整数であり得、Rは、1~4個の炭素、例えば1~3個の炭素を含有する直鎖又は分岐の飽和炭素鎖である。一実施形態では、式Iでは、nは0である。別の実施形態では、式Iでは、nは3~65の任意の整数であり、mは0である。更に別の実施形態では、式Iでは、mは0である。別の実施形態では、式Iでは、mは3~35の任意の整数、例えば5~16であり、nは0である。別の実施形態では、式Iでは、n及びmの両方が正の整数であり、n+mは3~65、例えば5~30である。
【発明を実施するための形態】
【0006】
以下の詳細な説明及び特許請求の範囲では、「ヒドロカルビル」という用語は、基内の炭素原子2個ごと又は10個ごとに1個の酸素及び又は窒素等の従来の量又は特定の量で、他のヘテロ原子(O及びN等)を任意に含み得るが、好ましくは炭素及び水素のみを含む、一価の炭化水素基を指すであろう。本明細書で広く使用される場合、「炭化水素鎖」という用語は、分岐、直鎖、飽和、不飽和、又は環の構造である変異体を含む、炭素及び水素を含む化合物を指すであろう。炭化水素鎖は、任意に、エーテル基の形態の酸素、又はアミド基の形態の窒素を含むヘテロ原子等の他の原子を含み得る。
【0007】
本発明は、以下の構造の分散剤に関する。
【化2】
分散剤分子は、特に、ポリエーテル種、ポリエステル種、又はポリエーテル及びポリエステルの両方の組合わせを含み得る。更に、分散剤分子は、アミド結合及び塩結合の両方を含有するであろう。
【0008】
一実施形態では、式Iでは、Xは、R-Q基又は環状アミン基を表す。XがR-Qの場合、Rは、1~50個の炭素原子、例えば1~30個の炭素原子を含有する、分岐又は直鎖、飽和又は不飽和の炭化水素鎖を表す。一実施形態では、Rは任意に、第三級アミン若しくはエーテル基、又はそれらの混合物として存在する、Cl若しくはF等のハロゲン、又はN若しくはO原子等のヘテロ原子を含み得る。いくつかの実施形態では、炭化水素鎖は、アルキル、アリール、アラルキル、又はアルキルアリールの炭化水素鎖から選択され得る。一実施形態では、Rは、ナフチル、フェニル、又はビフェニルを含むアリールである。一実施形態では、Rは、2-フェニルエチル又はベンジルを含むアラルキルである。一実施形態では、Rは、オクチルフェニル又はノニルフェニルを含むアルカリルであり得る。別の実施形態では、Rは、シクロプロピル又はシクロヘキシル等のC3~8-シクロアルキルを含むシクロアルキルである。
【0009】
式Iでは、Qは、O、NR、又はNHを表し、但し、nが0であり、bが0の場合、QはNHのみをとることができる。Rは、1~18個の炭素原子を含有する、直鎖又は分岐、飽和又は不飽和の炭化水素鎖であり得、これは、任意に、エーテル、エステル、又はアミド官能基若しくはハロゲン化物置換基を含み得る。いくつかの実施形態では、Rはまた、アクリレート、メタクリレート、アクリルアミド又はメタクリルアミドに由来し得る。
【0010】
別の実施形態では、R-Qは、アルコール又はアミンあるいはそれらの混合物に由来する。有用なアルコールには、メタノール、エタノール、n-プロパノール、n-ブタノール、ネオペンチルアルコール、n-ヘキサノール、n-ヘプタノール、n-オクタノール、n-デカノール、n-ドデカノール、n-テトラデカノール、n-ヘキサデカノール、オレイルアルコール、n-オクタデカノール、イソプロパノール、イソブタノール、tert-ブタノール、2-エチルブタノール、2-エチルヘキサノール、3ヘプタノール、3,5,5-トリメチルヘキサノール、3,7-ジメチルオクタノール、シクロヘキサノール、シクロペンタノール、シクロペンタンメタノール、シクロヘキシルメタノール、4-シクロヘキシル-1-ブタノール、4-エチルシクロヘキサノール、シクロヘプタノール、フェノール、o-クレゾール、2-エチルフェノール、2-プロピルフェノール、4-エチルフェノール、オクチルフェノール、ノニルフェノール、ドデシルフェノール、ジ-及びトリ-スチリルフェノール、ベンジルアルコール、2-フェニルエタノール、1-ナフトール、2-ナフトール、2-フェニルフェノール、4-フェニルフェノール、ポリイソブチレンフェノール、sec-フェネチルアルコール、4-エチルベンジルアルコール、4-ブチルベンジルアルコール、2-ナフタレンメタノール、3-フェニル-1-プロパノール、4-フェニル-1-ブタノール、シンナミルアルコール及び4-プロポキシフェノール、2-ジメチルアミノエタノール、2-ジエチルアミノエタノール、2-ジブチルアミノエタノール、2-プロペン-1-オール、アリルアルコール、4-ペンテン-1-オール、2-ヘキセン-1-オール、3-ノネン-1-オール、7-ドデセン-1-オール、2-アリルオキシエタノール、2-アリルフェノール、2-ビニルオキシエタノール、2-ヒドロキシエチルメタクリレート、ヒドロキシプロピルメタクリレート、ヒドロキシブチルメタクリレート、商品名Unilin(Baker Hughesから入手可能)で市販されている飽和直鎖アルコール、並びに商品名Isofol(Sasol GmbHから入手可能)で市販されている「ガーベット(Guerbet)」アルコール等の飽和分岐アルコール(それらの混合物を含む)が含まれるがこれらだけに限定されない。市販のガーベット(Guerbet)アルコールの具体例は、Isofol 12、14T、16、18T、18E、20、24、28、32、32T及び36である。有用なアミンには、第一級アミン:メチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、ブチルアミン、アミルアミン、ヘキシルアミン、ヘプチルアミン、オクチルアミン、ノニルアミン、デシルアミン、ウンデイルアミン(undeylamine)、ドデシルアミン、トリデシルアミン、1-テトラデシルアミン、ペンタデシルアミン、1-ヘキサデシルアミン、オクタデシルアミン、イソプロピルアミン、sec-ブチルアミン、イソブチルアミン、tert-ブチルアミン、1-メチルブチルアミン、1,3-ジメチルブチルアミン、3,3-ジメチルブチルアミン、2-エチルヘキシルアミン、3-ジメチルアミノプロピルアミン、N-メチルエチレンジアミン、N,N’-ジメチルエチレンジアミン、シクロペンチルアミン、シクロヘキシルアミン、シクロヘキサンメチルアミン、シクロヘプチルアミン、アリルアミン及びオレイルアミン、アニリン、2-エチルアニリン、4-ブチルアニリン、4-シクロヘキシルアニリン、4-アミノビフェニル、1-アミノナフタレン、2-アミノナフタレン、ベンジルアミン、フェネチルアミン、3-フェニル-1-プロピルアミン、3-アミノプロピルイミダゾール、4-フェニルブチルアミン、m-アニシジン及びp-フェネチジン;及び第二級アミン:ジメチルアミン、N-エチルメチルアミン、ジエチルアミン、ジプロピルアミン、ジイソプロピルアミン、N-メチルブチルアミン、N-メチル-tert-ブチルアミン、ジブチルアミン、ジヘキシルアミン、ジ-(2-エチルヘキシル)アミン、ジイソブチルアミン、ジ-ノニルアミン、ジペンチルアミン、ジ-ドデシルアミン、ジオクチルアミン、ジドデシルアミン、N-メチルオクタデシルアミン、N-メチルシクロヘキシルアミン、N-エチルシクロヘキシルアミン、ジシクロヘキシルアミン、ビス(2-メトキシエチル)アミン、N-メチルアリルアミン、ジアリルアミン、N-メチルアニリン、N-エチルアニリン、N-ブチルアニリン、ジフェニルアミン、N-エチル-1-ナフチルアミン、N-ベンジルメチルアミン、ジベンジルアミン、N-エチルベンジルアミン、並びにN-メチルフェニルアミン(それらの混合物を含む)が含まれるがこれらだけに限定されない。
【0011】
Xが環状アミンの場合、環状第二級アミンに由来する。有用な環状第二級アミンは、ピペリジン、モルホリン、4-メチルピペリジン、4-フェニルピペリジン、チオモルホリン、アゼチジン、1-メチルピペラジン、2-メチルピペラジン、及びピロリジン(それらの混合物を含む)が含まれるが、これらに限定されない。
【0012】
本発明において、式Iの分散剤分子は、ポリエーテル鎖、ポリエステル鎖、ポリエステルアミド鎖、あるいはポリエーテル-co-ポリエステル、ポリエーテル-co-ポリエステルアミド、ポリエーテル-co-ポリエステル-co-ポリエステルアミド又はポリエステル-co-ポリエステルアミド鎖等のそれらの各種の鎖の組合わせを含有し得る。したがって、一実施形態では、本発明における変数の合計m+nは、少なくとも3である。例えば、m+nは3~65、例えば5~50であり得る。本発明の一実施形態では、nは、0~65の任意の整数であり得る。別の実施形態では、nは、1~65、例えば、少なくとも2、3、4、又は更に例えば5~50の任意の整数である。更に別の実施形態では、nは0である。変数mは、0~35の任意の整数であり得る。一実施形態では、mは、1~35、例えば、少なくとも2、3、4、又は更に例えば5~16の任意の整数であり得る。別の実施形態では、mは0である。
【0013】
ポリエーテルセグメントを含有する(すなわち、nが1以上である)式Iの実施形態では、Rは、H、メチル、又はエチル基であり得る。ポリエーテルセグメントは、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシド、又はそれらの混合物等のアルキレンオキシドの開環反応に由来する。本発明の一実施形態では、nは、0~65の任意の整数であり得る。別の実施形態では、nは、1~65、例えば、少なくとも2、3、4、又は更に例えば5~30の任意の整数である。更に別の実施形態では、nは0である。ポリエーテルセグメントは、モノアルコール又は第二級アミンの存在下でアルキレンオキシドを重合して、ポリエーテル鎖延長を開始することを含むがこれらに限定されない、当業者に知られている任意の方法によって合成することができる。重合は、水酸化カリウム又は水酸化ナトリウム等の塩基触媒の存在下で、50℃~150℃又は70℃~140℃の温度で、好ましくは揮発性アルキレンオキシドの喪失を防ぐための圧力下で、便宜に実施することができる。一実施形態では、nが3以上であり、b及びmが両方とも0である式IIのポリエーテルモノアルコール化合物は市販されている。例としては、ポリプロピレングリコールモノブチルエーテル、ポリ(エチレングリコール-ラン-プロピレングリコール)モノブチルエーテル、又はAldrichの様々な分子量のポリエチレングリコールモノメチルエーテル、あるいはDowのSynalox又はClariantのPolyglykolの商品名が挙げられるが、これらに限定されない。Synalox(商標)の具体例は、100-D20、100-40B、100-50B、100-D95及び100-150Bである。Polyglykol(商標)の具体例は、B01/20、B01/40、B01/80、B01/120及びB01/240である。ポリプロピレングリコールモノイソトリデシルエーテルエーテルは、ClariantからPolyglykol(商標)の商品名で入手可能であり、具体例はT01/35である。他の一置換アルキル(アルケニル)エーテル、シクロアルキルエーテル又はポリエチレンオキシドのアリールエーテルも、Sigma-Aldrich、Croda、Clariant、BASF、Dow及びIneos等の様々な供給元から入手可能である。
【0014】
式Iの実施形態では、変数bは0又は1であり、但し、n及びmの両方が少なくとも1である場合、bは1のみをとることができる。一実施形態では、bは1であり、変数の合計、m+nは少なくとも4である。Rは、最大3個の炭素原子を含有する直鎖又は分岐の炭化水素鎖を表し、Rは、水素(H)、1~22個の炭素原子を有するヒドロカルビル基を表し、任意にエーテル、エステル、第三級アミン又はアミド官能基を含有し得る。一実施形態では、Rは、アルキル(メタ)アクリレート又は(メタ)アクリルアミドであり得る。一実施形態では、Rは、アルキル(メタ)アクリレートの残基、又はそれらの混合物を含む。一実施形態では、Rはアルキルアクリレートであり、別の実施形態では、Rはアルキルメタクリレートである。一実施形態では、Rはアルキルアクリルアミドであり、別の実施形態では、Rはアルキルメタクリルアミドである。一実施形態では、RはHである。好適なアルキル(メタ)アクリレート又は(メタ)アクリルアミドの例には、これらの(メタ)アクリレート又は(メタ)アクリルアミドの化合物が含まれ、アルキル基はメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、2-エチルヘキシル、ノニル、デシル、ドデシル、テトラデシル、ヘキサデシル、オクタデシル、エイコシル、2-ジメチルアミノエチル、3-ジメチルアミノプロピル又はそれらの混合物である。本明細書で使用される場合、(メタ)アクリレート又は(メタ)アクリルアミドという表現は、アクリレート若しくはメタクリレート又はそれらの混合物、あるいはアクリルアミド若しくはメタクリルアミド又はそれらの混合物を含む。
【0015】
ポリエーテルセグメント(すなわち、nが1以上である)及びポリエステル又はポリエステルアミドセグメントあるいはそれらの混合物(すなわち、mが1以上である)の両方を含有し、bが0である式Iのいくつかの実施形態では、ポリエーテルセグメントは、ポリエーテル鎖延長を開始するためのモノアルコール又は第二級アミンの存在下でのアルキレンオキシドの開環反応に由来するか、又は前に開示した市販のポリエーテルモノアルコールに由来する。
【0016】
ポリエーテルセグメント(すなわち、nが1以上である)及びポリエステル又はポリエステルアミドセグメントあるいはそれらの混合物(すなわち、mが1以上である)の両方を含有し、bが1である式Iの他の実施形態では、ポリマー式IIの残基、すなわちX-(CHCHR-O)n-[R-N(R)]-は、ポリエーテルアミン、例えば、ポリアルキレンオキシドモノアルキル又はアリールエーテルモノアミンを含み得る。このポリエーテルアミンは、モノアルコール開始剤の存在下で、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、又はブチレンオキシドあるいはそれらの混合物等のアルキレンオキシドを開環反応させて、アルコール末端ポリエーテル鎖を形成し、続いて、US3,654,370、US4,618,717、US4,960942及びUS5,457,147に記載されているような金属触媒の存在下で、アンモニア等の既知のアミノ化反応条件を使用して、アルコール末端ポリエーテル鎖をアミンに変換することを含むがこれに限定されない、当業者に知られている任意の方法によって合成することができる。一実施形態では、ポリエーテルアミンは、US5,879,445(特に、第2欄、第50行~第7欄、第50行の開示)に記載されているように、アミノアルコールのアルコキシル化によって得ることができる。別の実施形態では、ポリエーテルアミンは、アクリロニトリルへのアルコール末端ポリエーテル鎖の塩基触媒添加及びその後の水素化によって、アミン末端ポリエーテル鎖を得ることによって得ることができる。ポリエーテルアミンは、商品名Jeffamine(商標)Mシリーズ又はSurfonamine(商標)B及びLシリーズのモノアミンで、Huntsman Corporationから市販されている。Jeffamine(商標)アミンの具体例は、M-600(9,1,600)、M-1000(3,19,1000)、M-2005(29,6,2000)、M2095(4,41,2000)及びM-2070(10,31,2000)である。Surfonamine(商標)アミンの具体例は、B-60(9、1、600)、L-100(3、19、1000)、B-200(29、6、2000)、B100(12.5、0、1000)、L200(4、41、2000)、L207(10、31、2000)及びL300(8、58、3000)である。括弧内の数字は、それぞれ、プロピレンオキシド、エチレンオキシド及び数平均分子量のおおよその繰り返し単位である。本明細書に記載されているもの等の市販のポリエーテルアミンは、当業者に理解されている手段によって、式IIのアルコール末端ポリマーに組み込むことができる。
【0017】
ポリエステルセグメントを含有する(すなわち、mが1以上である)式Iの実施形態では、Rは、1~10個の炭素原子、例えば、2~7個の炭素原子を含有する分岐又は直鎖、飽和又は不飽和の炭化水素鎖、あるいは-R(C=O)YRであり得、式中Yは酸素であり、Rは1~10個の炭素原子を含有する分岐又は直鎖、飽和又は不飽和の炭化水素鎖であり、Rは、2~10個の炭素原子を含有する分岐又は直鎖、飽和又は不飽和の炭化水素鎖であり、これは、エーテル基として存在する酸素等のヘテロ原子も含み得る。変数mは、0~35の任意の整数であり得る。一実施形態では、mは、1~35、例えば、少なくとも2、3、4、又は更に例えば5~16の任意の整数であり得る。別の実施形態では、mは0である。ポリエステルセグメントは、(i)モノアルコール又はアミンの存在下でのラクトン及び/又はヒドロキシカルボン酸を重合して、ポリエステル鎖延長を開始すること、又は(ii)化学量論量のモノアルコール又はアミンの存在下で、ジオールを二塩基酸又はその誘導体(例えば酸クロリド、無水物又はジアルキルエステル)と重合反応させて、分子量を制御し、ジカルボン酸ポリエステルの形成を抑制することを含むがこれらに限定されない、当業者に知られている任意の方法によって合成することができ、これは50℃~250℃又は70℃~200℃の温度で、任意にエステル化触媒の存在下及び不活性雰囲気下で便宜に実施することができる。不活性雰囲気は、周期表の任意の不活性ガスによって提供され得るが、好ましくは窒素である。エステル化触媒は、当技術分野で以前から知られている任意のものであり得、テトラアルキルチタネート、例えば、テトラブチルチタネート、有機酸の亜鉛塩、例えば、酢酸亜鉛、脂肪族アルコールのジルコニウム塩、例えば、ジルコニウムイソプロポキシド又はジルコニウムブトキシド、メタンスルホン酸、トルエンスルホン酸、リン酸、ジフェニルホスフェート、又はトリフルオロ酢酸等の強有機酸を含むがこれだけに限定されない。
【0018】
別の実施形態では、ポリエステルセグメントの合成は、本発明の範囲から逸脱することなく、既知の、又は今後開発される任意の方法によって達成することができる。例えば、ポリエステルセグメントは、モノアルコール又はアミンの存在下でヒドロキシカルボン酸及び/又はラクトンを重合して、ポリエステル鎖延長を開始することによって合成することができる。使用される原材料はまた、現在知られている、又は今後開発されるものを含み得る。好適なヒドロキシカルボン酸の具体例は、それらの環状二量体を含むグリコール酸及び乳酸、グリコリド及びラクチド、6-ヒドロキシカプロン酸、5-ヒドロキシバレリアン酸、5-ヒドロキシドデカン酸、10-ヒドロキシウンデカン酸及び4-ヒドロキシデカン酸又はそれらの混合物である。ラクトンの例には、C1~4アルキル置換ε-カプロラクトンあるいは任意に置換されたC1~4アルキルδ-バレロラクトン及びβ-プロピオラクトン又はそれらの混合物が含まれる。ε-カプロラクトン及びδ-バレロラクトン中のアルキル置換基は、C1~4-アルキルであり得、直鎖又は分岐であり得る。好適なラクトンの例は、ε-カプロラクトン、並びに7-メチル-、2-メチル-、3-メチル-、5-メチル-、6-メチル-、4-メチル-、5-tert-ブチル-、4,4,6-トリメチル-、及び4,6,6-トリメチル類似体及びδ-バレロラクトン及びβ-メチル-δ-バレロラクトン類似体である。
【0019】
別の実施形態では、ポリエステルセグメントは、化学量論量のモノアルコール又はアミンの存在下で、ジオールを二塩基酸又はその誘導体(例えば、酸クロリド、無水物又はジアルキルエステル)と重合反応させて、分子量を制御し、ジカルボン酸ポリエステルの形成を抑制することによって、合成することができる。上記のR炭化水素鎖が生じる好適なジオールの具体例には、アルキレングリコール、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,4-ブタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、シス及びトランス1,2-及び1,4-シクロヘキサンジメタノール等、エーテル結合を有するジオール、例えば、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール及びトリエチレングリコール等、ポリアルキレングリコール、例えば、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリブチレングリコール、1000未満の数平均分子量(MW)を有する、ポリエチレングリコールとポリプロピレングリコールとの混合ブロック及びランダムコポリマー(Pluronic(商標)及びリバースPluronic(商標)元BASF製)等が挙げられる。上記のR炭化水素鎖が生じる好適な二塩基酸、ジエステル、及び無水物の具体例には、無水マレイン酸、コハク酸無水物、グルタル酸、フマル酸、マロン酸、アジピン酸、セバシン酸、無水フタル酸、ピメリン酸、ダイマー脂肪酸及びこれらの水素化型、並びにシクロヘキサンジカルボン酸無水物が挙げられる。ポリエステルセグメントの重合を開始するために使用されるアルコール及びアミンの特定の例は、前に開示されている。
【0020】
ポリエステルアミドセグメントを含有する(すなわち、mが1以上である)式Iの実施形態では、Rは、アミド官能基-N(R11)-(C=O)-を含む2~15個の炭素原子を含有する炭化水素鎖であり得、式中、R11は、H又は1~4個の炭素原子を含有する炭化水素鎖、あるいはRは、-R(C=O)YR-であり得、式中、Yは窒素であり、Rは、1~10個の炭素原子を含有する分岐又は直鎖、飽和又は不飽和の炭化水素鎖であり、Rは、2~10個の炭素原子を含有する分岐又は直鎖、飽和又は不飽和の炭化水素鎖であり、これはエーテル基として存在する酸素等のヘテロ原子も含み得る。変数mは、0~35の任意の整数であり得る。一実施形態では、mは、1~35、例えば、少なくとも2、3、4、又は更に例えば5~16の任意の整数であり得る。別の実施形態では、mは0である。ポリエステルアミドセグメントは、(i)モノアルコール又はアミンの存在下でラクトンをアミノカルボン酸と重合して、ポリエステルアミド鎖延長を開始すること、又は(ii)化学量論量のモノアルコール又はアミンの存在下で、アミノアルコールを二塩基酸又はそれらの誘導体(例えば酸クロリド、無水物又はジアルキルエステル)と重合反応させて、分子量を制御し、ジカルボン酸ポリエステルの形成を抑制することを含むがこれらに限定されない、当業者に知られている任意の方法によって合成することができる。
【0021】
別の実施形態では、ポリエステルアミドセグメントの合成は、本発明の範囲から逸脱することなく、既知の、又は今後開発される任意の方法によって達成することができる。例えば、ポリエステルアミドセグメントは、モノアルコール又はアミンの存在下でラクトンをアミノカルボン酸と重合させて、ポリエステルアミド鎖延長を開始することによって合成することができ、これは50℃~250℃又は70℃~200℃の温度で、任意にエステル化触媒の存在及び不活性雰囲気で便宜に行うことができる。不活性雰囲気及びエステル化触媒は、当技術分野で以前から知られており、前に開示されたものが含まれるが、これらに限定されない。使用される原材料はまた、現在知られている、又は今後開発されるものを含み得る。好適なアミノカルボン酸(又はアミノ酸)の具体例には、11-アミノウンデカン酸、12-アミノドデカン酸、6-アミノカプロン酸、4-アミノ酪酸、β-アラニン、グリシン、及びサルコシンが含まれる。アミノカルボン酸の混合物が使用され得る。好適なラクトン、アルコール及びアミンの特定の例は、前に開示されている。
【0022】
別の実施形態では、ポリエステルアミドセグメントの合成は、化学量論量のモノアルコール又はアミンの存在下で、アミノアルコールを二塩基酸又はその誘導体(例えば酸クロリド、無水物又はジアルキルエステル)と重合反応させて、分子量を制御し、ジカルボン酸ポリエステルの形成を抑制することによって、達成することができる。アミノアルコールは、C2~10-アミノアルコールであり得、エーテル基として存在する酸素等のヘテロ原子も含み得る。好適なアミノアルコールの具体例には、エタノールアミン、3-アミノ-1-プロパノール、4-アミノブタノール、2-アミノブタノール、2-アミノ-2-メチル-1-プロパノール、5-アミノ-1-ペンタノール、5-アミノ-2-ペンタノール、2-アミノ-3-メチル-1-ブタノール、6-アミノ-1-ヘキサノール、2-アミノ-1-ヘキサノール、セリノール、4-アミノシクロヘキサノール、2-(2-アミノエトキシ)エタノール、又はそれらの混合物が含まれる。好適な二塩基酸、ジエステル及び無水物、アルコール及びアミンの具体例は、前に開示されている。
【0023】
式Iでは、Rは、2~80個の炭素原子を含有する、分岐又は直鎖、飽和又は不飽和の炭化水素鎖を含む。一実施形態では、Rは、20個の炭素を含有する直鎖飽和炭素鎖である。別の実施形態では、Rは、環状無水物に由来する。
【0024】
式Iでは、変数q及びtはそれぞれ少なくとも1であるため、各分散剤分子は、塩結合及びアミド結合の両方の混合物を含有する。一実施形態では、q+tは、2~200の任意の整数、例えば、2~150であり、式中、qは、t以上である。
【0025】
式Iでは、MAは、マルチアミン種を表す。一実施形態では、本発明で使用されるマルチアミン種は、沸点上昇法分析によって測定した、300~20,000g/mole、例えば300~10,000g/molの数平均分子量(MW)を有し得る。別の実施形態では、MAは少なくとも4つのアミンを含む。一実施形態では、MAは、ポリアミンであり、ポリエチレンイミン、修飾ポリエチレンイミン、ポリアリルアミン、修飾ポリアリルアミン、ポリビニルアミン、修飾ポリビニルアミン又はこれらの混合物から選択される。一実施形態では、マルチアミン種のうちの少なくとも70、80、90、又は95重量パーセントは、ポリエチレンイミンである。
【0026】
MAは、直鎖又は分岐状であり得る。直鎖ポリエチレンイミンは、例えば、Takeo Saegusa et alのMacromolecules,1972,Vol.5,page 4470に記載されるように、ポリ(N-アシル)アルキレンイミンの加水分解により調製され得る。異なる分子量の分岐ポリエチレンイミンは、BASF及び日本触媒から市販されている。異なる分子量のポリアリルアミン及びポリ-(N-アルキル)アリルアミンは、日東紡績から市販されている。異なる分子量のポリビニルアミンは、三菱化成から入手可能である。ポリ(プロピレンイミン)デンドリマーは、DSM Fine Chemicalsから市販されており、ポリ(アミドアミン)デンドリマーは、Aldrich Chemical Co.から「Starburst」デンドリマーとして入手可能である。一実施形態では、MAは、ポリ(C2~6-アルキレンイミン)及び/又はポリエチレンイミンである。
【0027】
別の実施形態では、MAは、その第一級及び/又は第二級アミノ基の一部分を、酢酸エチル若しくは酢酸ブチル等のエステル、フェニルイソシアネート等のイソシアネート、ε-カプロラクトン及びδ-バレロラクトン等のラクトン、コハク酸、マレイン酸、フタル酸、イサト酸、1,2-ナフタル酸無水物、1,8-ナフタン酸無水物又は1,2,4-ベンゼントリカルボン酸無水物等の無水物、エチレンカーボネート等の環状カーボネート、エチルアクリレート若しくは2-ヒドロキシエチルアクリレート等の(メタ)アクリレート、又はフェニルグリシジルエーテル等のエポキシドと、未修飾であり依然としてアミンの形態である修飾ポリアミンの第一級及び/又は第二級アミノ基が依然として存在することを確保しながら、反応させることによって修飾される。
【0028】
別の実施形態では、MAは、ポリエチレンイミンであり得る。ポリエチレンイミンは、NH単位のうちの1つ又は複数のプロトンを、C2~4アルキレンオキシ単位で置換することによって修飾され得る。ポリエチレンイミンは、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシド又はこれらの混合物等のC2~4アルキレンオキシドを使用したアルコキシル化により修飾することができる。アルコキシル化ポリエチレンイミンの例は、BASF及び日本触媒から市販されている。この実施形態では、そのように修飾されたMAは、本明細書に記載の分散剤ポリマーを形成するために、未修飾であり、依然としてアミンの形態である第一級及び/又は第二級アミノ基を依然として含有する。
【0029】
MAの修飾は、現在存在するか又は今後開発されるものであるかにかかわらず、当業者によって一般的に理解されている反応条件下で実施することができる。分散剤を生成するための鎖の添加前のMAの修飾は、分散剤分子が形成された後に実行可能ではない可能性がある反応条件下(より高い温度等)で実施できることが理解されるであろう。
【0030】
式Iでは、Hは、無水物がマルチアミンMAと反応してアミド結合及び塩結合を生成する際に作り出されるプロトン種を表す。H+種は、MAのアミン基の窒素原子の1つに結合して、アンモニウムカチオンを生成する。一実施形態では、H種の数は、q+pの合計に等しいため、全体として、式Iの分散剤分子は電荷を持たない。
【0031】
式Iでは、変数p及びzは0、又は1以上とすることができる。一実施形態では、p+zは、1~200の任意の整数である。別の実施形態では、p+zは、2~200の任意の整数である。
【0032】
式Iでは、Rは、1~4個、例えば1又は2個の炭素原子を含有する、直鎖又は分岐の飽和炭素鎖であり得る。一実施形態では、R4は非環状無水物に由来する。
【0033】
本発明の分散剤(例えば式I)は、以下の工程、(a)式X-(CHCHR-O)n-[R-N(R)]-[(C=O)R-O]-H(式II)のアルコール末端ポリマーを提供することと、(b)アルコール末端ポリマーを環状無水物と反応させて酸末端ポリマーを提供することと、(c)酸末端ポリマーを非環状無水物と反応させて、無水物の混合物を提供することと、(d)無水物の混合物をマルチアミン種と反応させることと、とからなる工程を含む新規のプロセスを使用して作製され、ここで、マルチアミン種は、分散剤分子を形成するために300~20,000の数平均分子量を有し、式中、q及びtは、分散剤がアミド結合及び塩結合の両方を含有するように、それぞれ少なくとも1である。式IIでは、XはR-Q又は環状第二級アミンのいずれかを表す。XがR-Qの場合、Rは1~50個の炭素原子を含有する、分岐若しくは直鎖、飽和若しくは不飽和、又は環状の炭化水素鎖であり、QはO又はNR又はNHであり、但し、nが0であり、bが0である場合、QはNHのみをとることができ、Rは、1~18個の炭素原子を含有する、直鎖若しくは分岐、飽和若しくは不飽和の炭化水素鎖であり、これは、任意に、エーテル、エステル、又はアミド官能基若しくはハロゲン化物置換基を含み得る。Xはまた、1つ又は複数の環状第二級アミンに由来する環状アミン構造であり得る。式IIでは、Rは、H、メチル、又はエチルであり、Rは、最大3個の炭素原子を含有する直鎖又は分岐の炭化水素鎖であり、Rは、水素、1~22個の炭素原子を含有するヒドロカルビル基、又はアルキル(メタ)アクリレート若しくは(メタ)アクリルアミドの残基である。変数bは0又は1であり、但し、n及びmの両方が、両方とも少なくとも1である場合、bは1のみをとることができる。Rは、直鎖又は分岐、飽和又は不飽和の、1~15個の炭素原子を含有する炭化水素鎖、又は-R(C=O)YRであり、式中、YはO又はNH又はNR10であり、Rは1~10個の炭素原子を含有する炭化水素鎖であり、Rは1~10個の炭素原子を含有する炭化水素鎖であり、R10は1~20個の炭素原子を含有する炭化水素鎖であり、これらにはエステル、エーテル、又はアミド基が含まれる。Rが、1~15個の炭素原子を含有する炭化水素鎖である場合、Rは、一実施形態では、1~10個、例えば2~7個の炭素原子を含有する、直鎖又は分岐、飽和又は不飽和の炭化水素鎖であり得、別の実施形態では、Rは、式-N(R11)-(C=O)-を有するアミド官能基を含む2~15個の炭素原子を含有する炭化水素鎖であり得、式中、R11はH又は1~4個の炭素原子を含有する炭化水素鎖である。式IIでは、nは0~65の任意の整数であり、mは0~35の任意の整数であり、但し、m+nは少なくとも3である。
【0034】
一実施形態では、アルコール末端ポリマーは、300~5000g/mol、例えば、500~3000g/molの数平均分子量を有する。
【0035】
一実施形態では、アルコール末端ポリマー及び環状無水物は、約1:1のモル比で組み合わされ、環状無水物を可溶化するのに十分に高い温度で反応させられる。例えば、一実施形態では、約130℃の温度が好適であり得る。一実施形態では、反応は2~48時間にわたって実施され得、不活性雰囲気、任意にリン酸等の触媒の存在下で、50~150℃又は70~140℃の温度で便宜に実施することができる。好適な環状無水物の例には、例えば、グルタル酸無水物、1,2-シクロヘキサンジカルボン酸無水物、ホモフタル酸無水物、コハク酸無水物、無水ジグリコール酸、ポリイソブチレンコハク酸無水物、2-フェニルコハク酸無水物、又はアルキル(アルケニル)コハク酸無水物が含まれる。
【0036】
次いで、続く酸末端ポリマーを非環状無水物と反応させる。好適な非環状無水物には、無水酪酸、無水イソ酪酸、無水プロピオン酸及び無水酢酸又はそれらの混合物が含まれる。一実施形態では、この反応は、ヘテロ無水物及びホモ無水物の生成物の混合物を提供し、ヘテロ無水物は、半分はポリマーからのものであり、他方は非環状無水物からのものである無水物であり、ホモ無水物は、両半分がポリマー又は残留非環状無水物から作製されるいずれかの無水物である。一実施形態では、酸末端ポリマー及び非環状無水物は、1:0.5~1:2のモル比で組み合わされる。
【0037】
上記の反応工程は、過剰の無水物及び酸副生成物を反応容器から除去できるようにする設定を使用して行われる。一実施形態では、この反応は、生成された酸の沸点より高いが非環状無水物の沸点より低い反応温度で2~10時間実施する。例えば、無水酢酸を使用する場合、約120℃の温度が好適である。次いで、反応温度を非環状無水物の沸点より高い温度(例えば、無水酢酸を使用する場合は約150℃)に上昇させ、反応を更に1~72時間実施する。ここで説明する反応は、大気圧で行うことができる。反応は、真空下等の減圧下で実施することができ、これにより、反応温度及び反応時間の両方を低減させることができることは当業者に理解されるべきである。
【0038】
次いで、得られた無水物の混合物を、本明細書に記載のマルチアミン種と反応させる。無水物及びマルチアミン成分の混合物は、1:1~25:1、例えば3:1~18:1の重量比で組み合わされる。この反応は、100℃未満、好ましくは80℃未満の温度で、不活性雰囲気で、15分~6時間行われる。
【0039】
本発明の分散剤を作製するプロセスは、(a)式X-(CHCHR-O)n-[R-N(R)]b-[(C=O)R-O]-H(式II)のアルコール末端ポリマーを提供することと、(b)アルコール末端ポリマーを環状無水物と反応させて酸末端ポリマーを提供することと、(c)酸末端ポリマーを非環状無水物と反応させて、無水物の混合物を提供することと、(d)無水物の混合物をマルチアミン種と反応させることと、とからなる工程を含み、ここで、マルチアミン種は、式Iを有する分散剤分子を形成するために300~20,000の数平均分子量を有する。
【化3】
このプロセスは、式Iを有する分散剤を作製することを含み、式中、XはR-Q又は環状アミンであり、XがR-Qである場合、Rは分岐又は直鎖、飽和又は不飽和の、アルキル、アリール、アラルキル、又はアルキルアリールの炭化水素鎖であり、任意にCl及びF等のハロゲンで置換されるか、又は第三級アミン基又はエーテル基として存在するN及びO等のヘテロ原子で置換され、QはO又はNR又はNHであり、但し、nが0であり、bが0の場合、QはNHのみをとることができる。Xは、代替的に、ピペリジン、モルホリン、4-メチルピペリジン、4-フェニルピペリジン、チオモルホリン、アゼチジン、1-メチルピペラジン、2-メチルピペラジン、及びそれらの混合物を含むピロリジン等のアミンに由来する環状第二級アミンであり得る。Rは、H、メチル、又はエチルである。Rは、最大3個の炭素原子を含有する直鎖又は分岐の炭化水素鎖である。Rは、水素、1~22個の炭素原子を含有するヒドロカルビル基、あるいはアルキル(メタ)アクリレート又は(メタ)アクリルアミドの残基である。bは0又は1であり、但し、n及びmの両方が、両方とも少なくとも1の場合、bは1のみをとることができる。Rは、直鎖又は分岐、飽和又は不飽和の、1~15個の炭素原子を含有する炭化水素鎖、又は-R(C=O)YRであり、式中、YはO又はNH又はNR10であり、Rは1~10個の炭素原子を含有する炭化水素鎖であり、Rは1~10個の炭素原子を含有する炭化水素鎖であり、R10は1~20個の炭素原子を含有する炭化水素鎖であり、これらにはエステル、エーテル、又はアミド基が含まれる。Rが、1~15個の炭素原子を含有する炭化水素鎖である場合、Rは、一実施形態では、1~10個の炭素原子を含有する、直鎖又は分岐、飽和又は不飽和の炭化水素鎖であり得、別の実施形態では、Rは、式-N(R11)-(C=O)-を有するアミド官能基を含有する2~15個の炭素原子を含む炭化水素鎖であり得、式中、R11はH又は1~4個の炭素原子を含有する炭化水素鎖である。変数nは0~65の任意の整数であり、変数mは0~35の任意の整数であり、但し、m+nは少なくとも3である。Rは、2~80個の炭素を含有する直鎖又は分岐、飽和又は不飽和の炭化水素である。変数q及びtはそれぞれ少なくとも1であるが、q+tは2~150の任意の整数であり得る。MAは、数平均分子量が300~20,000g/molのマルチアミン種である。p+zは、0、又は1若しくは2~200の任意の整数であり、Rは、1~4個の炭素、好ましくは1~3個の炭素を含有する直鎖又は分岐の飽和炭素鎖である。一実施形態では、式Iでは、nは0である。別の実施形態では、式Iでは、nは3~65の任意の整数であり、mは0である。更に別の実施形態では、式Iでは、mは0である。別の実施形態では、式Iでは、mは3~35の任意の整数、例えば5~16であり、nは0である。別の実施形態では、式Iでは、n及びmの両方が正の整数であり、n+mは3~65、例えば5~30である。
【0040】
一実施形態では、上に開示されるような分散剤を作製するプロセスは、式Iの分散剤をもたらし、式中、nは0であり、mは少なくとも3である。別の実施形態では、上に開示されるような分散剤を作製するプロセスは、式Iの分散剤をもたらし、式中、mは0であり、nは少なくとも3である。別の実施形態では、上に開示されるような分散剤を作製するプロセスは、式Iの分散剤をもたらし、式中、m又はnのどちらかは0であるが、m+nは少なくとも3である。別の実施形態では、上に開示されるような分散剤を作製するプロセスは、式Iの分散剤をもたらし、式中、m+nは3~65の任意の整数、例えば5~30である。
【0041】
一実施形態では、本発明の分散剤を更に官能化して、その特性及び用途性能を特定の要件に適合させることができる。以下に記載のこれらの修飾反応は、以下に列挙する様々な試薬と、上に詳細を述べたポリエーテル及び/又はポリエステル及び/又はポリエステルアミド基とまだ反応していないポリアミン種のアミンとの間であり得る。残りのアミノ基の修飾は、当業者に既知の任意の方式で行うことができる。このような修飾は、例えば、顔料分散体又はペーストが組み込まれ、凝集を引き起こす結合剤系とアミノ基とを反応させる際に望ましい。そのような修飾は、現在存在するか又は今後開発されるにかかわらず、当業者によって一般的に理解されている反応条件下で実施することができる。マルチアミン(MA)種が本明細書に記載されるように分散剤分子に組み込まれた後に行われるアミンの修飾については、そのような修飾は、制御された温度、例えば、100℃以下で行う必要がある場合があることは理解されるべきである。
【0042】
前述の修飾は、本発明の有利な実施形態であり、以下により実現される:
a)ポリアミン種の残りの遊離第一級及び第二級アミノ基のうちの1つ又は複数と、イソシアネート、ラクトン、無水物、エポキシド、環状カーボネート、又は(メタ)アクリレートとの反応。好適なイソシアネートの具体例には、フェニルイソシアネートが挙げられる。好適なラクトンの具体例には、カプロラクトン及びバレロラクトンが挙げられる。ポリアミン種の残りの遊離第一級及び第二級アミノ基のうちの1つ又は複数と無水物との反応が、US6,878,799及び7,767,750に開示されている。好適な無水物の具体例には、マレイン酸無水物、コハク酸無水物、フタル酸無水物、テトラヒドロフタル酸無水物、メチルテトラヒドロフタル酸無水物、ヘキサヒドロフタル酸無水物、メチルヘキサヒドロフタル酸無水物、1,8-ナフタル酸無水物(任意にニトロ又はCl及びBr等のハロゲン置換基で置換される)、イサト酸無水物、トリメリット酸無水物、C1~20アルケニル及びアルキルコハク酸無水物が挙げられる。ポリアミン種の残りの遊離第一級及び第二級アミノ基のうちの1つ又は複数とエポキシドとの反応が、JP4031471に開示されている。好適なエポキシドの具体例には、スチレンオキシド、プロピレンオキシド及びエチレンオキシドが挙げられる。好適な環状カーボネートの具体例には、エチレンカーボネート及び2,2-ジメチルトリメチレンカーボネートが挙げられる。好適な(メタ)アクリレートの具体例には、エチルアクリレート及び2-ヒドロキシエチルアクリレートが挙げられる。
b)ポリアミン種の残りの遊離第一級、第二級又は第三級アミノ基のうちの1つ又は複数と、モノ若しくはポリカルボン酸、鉱酸、リン及びポリオキソメタレート含有酸又は強酸との塩化及び/又は反応。この目的に好適な試薬には、塩酸、酢酸、硫酸、アルキルスルホン酸、アルキル硫酸水素塩又はアリールスルホン酸が挙げられる。アミン系ポリアミン種の残りの遊離アミノ基のうちの1つ又は複数と、モノ若しくはポリカルボン酸又はリン含有酸との塩化及び/又は反応は、JP9157374、US2010/0017973及びUS2013/0126804に開示されている。好適なモノカルボン酸の具体例には、酢酸、プロピオン酸、カプロン酸、カプリル酸、2-エチルヘキサン酸、ノナン酸、デカン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、オレイン酸、リノール酸、ステアリン酸、アラキジン酸、エルカ酸、ベヘン酸、メトキシ酢酸等の任意に置換されたC1~50脂肪族モノカルボン酸、ヒマワリ油、菜種油、ヒマシ油及びオリーブ油等の天然源からの油に由来する脂肪酸の混合物、商品名Isocarb(商標)(元Sasol製)で入手可能な分岐アルキルカルボン酸、Baker Hughesから市販されている直鎖C25~50合成第一級酸である、Unicid(商標)酸、並びに安息香酸、サリチル酸、及びナフトエ酸等の芳香族カルボン酸が挙げられる。好適なポリカルボン酸の具体例には、コハク酸、マロン酸、アジピン酸、セバシン酸、リンゴ酸、フマル酸、クエン酸及び酒石酸が挙げられる。好適なリン含有酸の具体例には、リン酸及び亜リン酸が挙げられる。好適なポリオキソメタレート含有酸の具体例には、リンモリブデン酸、リンタングステン酸及びケイモリブデン酸が挙げられる。
c)ポリアミン種の残りの遊離第一級、第二級又は第三級アミノ基のうちの1つ又は複数の酸化窒素への酸化。
d)ポリアミン種の残りの遊離第三級アミノ基のうちの1つ又は複数の四級化。これは、アルキルスルファート、ハロゲン化アルキル又はハロゲン化アラルキル、ハロカルボン酸エステル、シュウ酸アルキル又はエポキシドを使用して達成できる。この目的に好適な試薬には、ジメチルスルファート、塩化ベンジル、塩素、臭素、及びヨウ素等のハロゲン化メチル、シュウ酸ジメチル、酸存在下でのエチレンオキシド、プロピレンオキシド、及びスチレンオキシド、並びにプロパン(又はブタン)スルトンが含まれる。
e)ポリアミン種の残りの遊離第一級、第二級、又は第三級アミノ基のうちの1つ又は複数とMW150~3000の1つ又は複数のモノアミノ反応性基末端ポリマー(複数可)との反応。カルボン酸末端ポリエステル、ポリエステルアミド及びポリアミドポリマーの好適な例は、US4,224,212、4,861,380、5,700,395、5,760,257、6,197,877、8,202,935、JP4866255、JP8010601、JP9157361、WO2006/113258及びWO2007/039605に開示されている。カルボン酸末端ポリエーテルポリマーの好適な例は、JP4248207、US7,767,750、7,671,119、7,872,070、8,076,409及び8,168,713に開示されている。ホスフェート、スルフェート及びスルホネート末端ポリエステルポリマーの好適な例は、US4,861,380及び6,197,877に開示されている。(メタ)アクリレート末端ポリエステル、ポリエステルアミド及びポリアミドポリマーの好適な例は、EP713894、JP3488001、JP2010-222522及びUS8,202,935に開示されている。(メタ)アクリレート末端ポリエーテルポリマーの好適な例は、US7,923,474及びJP2010-222522に開示されている。ホスフェート、スルフェート及びスルホネート末端ポリエーテル、ポリエーテル/ポリエステル、ポリエーテル/ポリウレタン及びポリエーテル/ポリエステル/ポリウレタンポリマーの好適な例は、US5,130,463、5,151,218、6,111,054、6,310,123、7,595,416及び8,202,935に開示されている。イソシアネート末端ポリエステル及びポリエーテルポリマーの好適な例は、JP4031471、JP7149855及びWO2007/039605に開示されている。エポキシド又はアセトアセトキシ又はシクロカーボネート末端ポリアクリレートポリマーの好適な例は、US5,100,969に開示されている。
【0043】
本発明の1つの目的は、最終組成物の改善された輝度を有する、色の濃さ又は他の着色特性を改善し、微粒子固体負荷を増加させ、及び/又は改善された分散体を形成できる化合物を提供することである。これは、粘度の低下、良好な分散安定性、粒径の減少及び粒径分布の低下、ヘーズの低下、光沢の向上、及び漆黒度の向上(特に組成物が黒の場合)した組成物を製造する間にも達成される。本発明の組成物(複数可)はまた、常温保存、及び最終コーティングの変色/黄変の低減も提供する高温保存条件下で安定であり得る。
【0044】
本明細書の本発明のポリマーは、様々な極性及び非極性媒体中の懸濁可能な顔料及び微粒子等の様々な小粒子分散体用の分散剤として有用である。様々な微粒子、分散剤、及び連続相の組成物は、インク、コーティング、塗料、並びに着色インク、コーティング、及び塗料用のミルベースとして有用である。
【0045】
産業用途
組成物中に存在する微粒子固体は、関係する温度で有機媒体中に実質的に不溶性であり、その中で微粉化する形で安定化することが望ましい任意の無機又は有機固体材料であり得る。微粒子固体は、粒状材料、繊維、小板の形態、又は粉末の形態、多くの場合、吹き付けられた粉末の形態であり得る。一実施形態では、微粒子固体は、顔料である。
【0046】
微粒子固体(通常、顔料又は充填剤)は、直径が10nm~10μm、又は10nm~1、2、3若しくは5μm、又は20nm~1、2、3若しくは5μmの光散乱測定により測定される平均粒径を有し得る。
【0047】
好適な固体の例は、溶媒インク用の顔料;塗料及びプラスチック材料用の顔料、増量剤、充填剤、発泡剤及び難燃剤;染料、特に分散染料;溶媒染浴用の蛍光増白剤及び繊維助剤;インク、トナー、及びその他の溶媒塗布システム用の顔料;油性及び逆エマルション掘削泥水用の固体;ドライクリーニング液中の汚れ及び固体粒子;金属;セラミック、圧電セラミック印刷、耐火物、研磨剤、鋳物、コンデンサ、燃料電池、強磁性流体、導電性インク、磁気記録媒体、水処理及び炭化水素土壌修復用の微粒子セラミック材料及び磁性材料;有機及び無機単分散固体;電池の電極用の金属、金属酸化物、及び炭素、複合材料用の木材、紙、ガラス、鋼、炭素及びホウ素等の繊維;並びに有機媒体中の分散体として適用される、殺虫剤、農薬、及び薬剤である。
【0048】
一実施形態では、固体は、例えば、Third Edition of the Colour Index(1971)及び後続の改訂版及びその補足において「Pigments」と題された章に記載された顔料の広く認識された部類のうちのいずれかの有機顔料である。有機顔料の例は、アゾ、ジスアゾ、トリスアゾ、縮合アゾ、アゾレーキ、ナフトール顔料、アントアントロン、アントラピリミジン、アントラキノン、ベンゾイミダゾロン、カルバゾール、ジケトピロロピロール、フラバントロン、インジゴイド顔料、インダントロン、イソジベンゾアントロン、イソインダントロン、イソインドリノン、イソインドリン、イソビオラントロン、金属錯体顔料、オキサジン、ペリレン、ペリノン、ピラントロン、ピラゾロキナゾロン、キナクリドン、キノフタロン、チオインジゴ、トリアリールカルボニウム顔料、トリフェンジオキサジン、キサンテン及びフタロシアニン系、特に銅フタロシアニン及びその核ハロゲン化誘導体、並びにまた、酸性、塩基性及び媒染染料のレーキの顔料である。カーボンブラックは、厳密には無機顔料であるが、その分散特性においてより有機顔料のように振る舞う。一実施形態では、有機顔料は、フタロシアニン、特に銅フタロシアニン、モノアゾ、ジスアゾ、インダントロン、アンタントロン(anthranthrone)、キナクリドン、ジケトピロロピロール、ペリレン及びカーボンブラックである。
【0049】
無機顔料の例には、二酸化チタン、ルチル二酸化チタン、及び表面被覆二酸化チタン等の金属酸化物、黄色及び黒等の異なる色の酸化チタン、黄色、赤、褐色及び黒等の異なる色の酸化鉄、酸化亜鉛、酸化ジルコニウム、酸化アルミニウム、バナジウム酸ビスマス、アルミン酸コバルト、スズ酸コバルト、亜鉛酸コバルト、クロム酸亜鉛、及びマンガン、ニッケル、チタン、クロム、アンチモン、マグネシウム、プラセオジム、コバルト、鉄又はアルミニウム、プルシアンブルー、朱赤、ウルトラマリン、リン酸亜鉛、硫化亜鉛、カルシウムと亜鉛とのモリブデート及びクロメートのうちの2つ以上の混合金属酸化物等のオキシ金属化合物、アルミニウムフレーク、銅、及び銅/亜鉛合金等の金属エフェクト顔料、炭酸鉛及びオキシ塩化ビスマス等の真珠光沢フレークが挙げられる。
【0050】
無機固体には、重質及び沈降炭酸カルシウム、硫酸カルシウム、酸化カルシウム、シュウ酸カルシウム、リン酸カルシウム、ホスホン酸カルシウム、硫酸バリウム、炭酸バリウム、酸化マグネシウム、水酸化マグネシウム、天然水酸化マグネシウム又は水滑石、沈降水酸化マグネシウム、炭酸マグネシウム、ドロマイト、三水酸化アルミニウム、アルミニウムヒドロペルオキシド又はベーマイト、ケイ酸カルシウム及びケイ酸マグネシウム、アルミノケイ酸塩含有ナノクレイ、カオリン、モンモリロナイト含有ベントナイト、ヘクトライト及びサポナイト、ボールクレイ含有天然、合成及び膨張性、雲母、タルク含有白雲母、金雲母、鱗雲母及び緑泥石、チョーク、合成及び沈降シリカ、ヒュームドシリカ、金属繊維及び粉末、亜鉛、アルミニウム、ガラス繊維、耐火繊維、カーボンブラック含有単層及び多層カーボンナノチューブ、強化及び非強化カーボンブラック、グラファイト、バックミンスターフラーレン、アスファルテン、グラフェン、ダイヤモンド、アルミナ、石英、パーライト、ペグマタイト、シリカゲル、木粉、木フレーク含有軟材と硬材、おがくず、粉末紙/繊維等の増量剤及び充填剤、ケナフ、麻、サイザル、亜麻、綿、綿リンター、ジュート、ラミー、もみ殻又は外皮、ラフィア、ガマ、ココナッツ繊維、コイア、アブラヤシ繊維、カポック、バナナ葉、カロ、クラワ、ヘネケン葉、ハラケケ葉、アバカ、サトウキビバガス、わら、竹片、小麦粉、MDF及び同類のもの、バーミキュライト、ゼオライト、ハイドロタルサイト、発電所からの飛散灰、焼却された下水スラッジ灰、ポゾラン、高炉スラグ、アスベスト、クリソタイル、アンソフィライト、クロシドライト、珪灰石、アタパルジャイト及び同類のもの等のセルロース繊維、アルミナ、ジルコニア、チタニア、セリア、窒化ケイ素、窒化アルミニウム、窒化ホウ素、炭化ケイ素、炭化ホウ素、ケイ素-窒化アルミニウムと金属チタネートとの混合物等の微粒子セラミック材料;遷移金属、多くの場合、鉄及びクロムの磁性酸化物、例えばガンマ-Fe、Fe、及びコバルトドープ酸化鉄、フェライト、例えばバリウムフェライト等の微粒子磁性材料;並びに金属粒子、例えば、金属アルミニウム、鉄、ニッケル、コバルト、銅、銀、金、パラジウム、及び白金並びにこれらの合金が挙げられる。
【0051】
他の有用な固体材料には、ペンタブロモジフェニルエーテル、オクタブロモジフェニルエーテル、デカブロモジフェニルエーテル、ヘキサブロモシクロドデカン、ポリリン酸アンモニウム、メラミン、メラミンシアヌレート、酸化アンチモン及びホウ酸塩等の難燃剤;Kirk-Othmer’s Encyclopedia of Chemical Technology,Vol.13,1981,3rd Editionの「Industrial Microbial Agents」と題された章の表2、3、4、5、6、7、8及び9に記載されているもののような殺生物剤又は産業用微生物剤、並びに殺菌剤フルトリアフェン(flutriafen)、カルベンダジム、クロロタロニル及びマンコゼブ等の農薬が挙げられる。
【0052】
一実施形態では、本発明の組成物中に存在する有機媒体は、プラスチック材料であり、別の実施形態では有機液体である。有機液体は、非極性又は極性有機液体であり得る。有機液体に関して「極性」という用語により、Crowley et alによる「A Three Dimensional Approach to Solubility」と題された論文(Journal of Paint Technology,Vol.38,1966,page 269)に記載のように、有機液体が中~強い結合を形成できることを意味する。そのような有機液体は、一般に、上記の論文で定義されているように5以上の水素結合数を有する。
【0053】
好適な極性有機液体の例は、アミン、エーテル、特に低級アルキルエーテル、有機酸、エステル、ケトン、グリコール、グリコールエーテル、グリコールエステル、アルコール及びアミドである。このような適度に強い水素結合性液体の多数の具体例は、Ibert Mellanによる「Compatibility and Solubility」(1968年刊、Noyes Development Corporation)の39~40頁にある表2.14にあり、これらの液体は全て、本明細書で使用される極性有機液体という用語の範囲に含まれる。
【0054】
一実施形態では、極性有機液体は、ジアルキルケトン、アルカンカルボン酸とアルカノールとのアルキルエステルであり、特に合計で最大6個までの炭素原子を含有し、また含むような液体である。極性有機液体の例には、アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン、ジイソプロピルケトン、メチルイソブチルケトン、ジイソブチルケトン、メチルイソアミルケトン、メチルn-アミルケトン及びシクロヘキサノン等のジアルキル及びシクロアルキルケトン;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、酢酸ブチル、ギ酸エチル、プロピオン酸メチル、酢酸メトキシプロピル及び酪酸エチル等のアルキルエステル;エチレングリコール、2-エトキシエタノール、3-メトキシプロピルプロパノール、3-エトキシプロピルプロパノール、2-ブトキシエチルアセテート、3-メトキシプロピルアセテート、3-エトキシプロピルアセテート及び2-エトキシエチルアセテート等のグリコール並びにグリコールエステル及びエーテル;メタノール、エタノール、n-プロパノール、イソプロパノール、n-ブタノール及びイソブタノール(2-メチルプロパノールとしても知られる)等のアルカノール、テルピネオール並びにジエチルエーテル及びテトラヒドロフラン等のジアルキル及び環状エーテル等が挙げられる。一実施形態では、溶媒は、アルカノール、アルカンカルボン酸及びアルカンカルボン酸のエステルである。一実施形態では、本発明は、水性媒体中に実質的に不溶性の有機液体に好適である。更に、当業者は、有機液体全体が水性媒体中に実質的に不溶性であるという条件で、(グリコール、グリコールエーテル、グリコールエステル及びアルコール等の)少量の水性媒体が、有機液体中に存在してもよいことを理解するであろう。
【0055】
極性有機液体として使用できる有機液体の例は、インク、塗料並びに塗料及びインク等の様々な用途で使用するためのチップの調製に好適であるような膜形成樹脂である。このような樹脂の例には、Versamid(商標)及びWolfamid(商標)等のポリアミド、並びにエチルセルロース及びエチルヒドロキシエチルセルロース、ニトロセルロース及びセルロースアセテートブチレート樹脂等のセルロースエーテルが挙げられ、これらの混合物を含む。塗料用樹脂の例には、短油アルキド/メラミンホルムアルデヒド、ポリエステル/メラミンホルムアルデヒド、熱硬化性アクリル/メラミンホルムアルデヒド、長油アルキド、中油アルキド、短油アルキド、ポリエーテルポリオール、並びにアクリル及び尿素/アルデヒド等の複数媒体樹脂が挙げられる。
【0056】
有機液体は、ポリオール、すなわち、2つ以上のヒドロキシル基を有する有機液体であり得る。一実施形態では、ポリオールには、α-ωジオール又はα-ω-ジオールエトキシレートが挙げられる。
【0057】
一実施形態では、非極性有機液体は、脂肪族基、芳香族基又はこれらの混合物を含有する化合物である。非極性有機液体には、非ハロゲン化芳香族炭化水素(例えば、トルエン及びキシレン)、ハロゲン化芳香族炭化水素(例えば、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、クロロトルエン)、非ハロゲン化脂肪族炭化水素(例えば、完全飽和及び部分飽和の両方の6個以上の炭素原子を含有する、直鎖及び分岐鎖の脂肪族炭化水素)、ハロゲン化脂肪族炭化水素(例えば、ジクロロメタン、四塩化炭素、クロロホルム、トリクロロエタン)並びに天然非極性有機物(例えば、植物油、ヒマワリ油、菜種油、アマニ油、テルペン及びグリセリド)が挙げられる。
【0058】
一実施形態では、有機液体は、全有機液体に基づいて少なくとも0.1重量%、又は1重量%以上の極性有機液体を含む。一実施形態では、有機液体は水を含まない。
【0059】
プラスチック材料は、熱硬化性樹脂であってもよい。本発明に有用な熱硬化性樹脂には、加熱、触媒作用、又は紫外線、レーザー光、赤外線、陽イオン、電子ビーム、若しくはマイクロ波照射を受けると化学反応を起こし、比較的不溶解性になる樹脂が挙げられる。熱硬化性樹脂の典型的な反応には、不飽和二重結合の酸化、エポキシ/アミン、エポキシ/カルボニル、エポキシ/ヒドロキシルを伴う反応、エポキシと、ルイス酸又はルイス塩基、ポリイソシアネート/ヒドロキシ、アミノ樹脂/ヒドロキシ部分、遊離基反応又はポリアクリレートとの反応、エポキシ樹脂とビニルエーテルとのカチオン重合、及びシラノールの縮合が挙げられる。不飽和樹脂の例には、1つ又は複数の二酸又は無水物と1つ又は複数のジオールとの反応により作製されたポリエステル樹脂が挙げられる。このような樹脂は通常、スチレン又はビニルトルエン等の反応性モノマーとの混合物として供給され、しばしばオルトフタル酸樹脂及びイソフタル酸樹脂と呼ばれる。更なる例には、ポリエステル鎖の共反応物としてジシクロペンタジエン(DCPD)を使用する樹脂が挙げられる。更なる例にはまた、ビスフェノールAジグリシジルエーテルと、メタクリル酸等の不飽和カルボン酸との反応生成物が挙げられ、これは通常ビニルエステル樹脂と呼ばれるスチレン溶液として続いて供給される。
【0060】
一実施形態では、熱硬化性複合材料又は熱硬化性プラスチックは、ポリエステル、ポリ酢酸ビニル、スチレン中のポリエステル樹脂、ポリスチレン、又はこれらの混合物であり得る。
【0061】
ヒドロキシ官能基を有するポリマー(しばしばポリオール)は、アミノ樹脂又はポリイソシアネートと架橋するために熱硬化システムで広く使用されている。ポリオールには、アクリルポリオール、アルキドポリオール、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール及びポリウレタンポリオールが含まれる。典型的なアミノ樹脂には、メラミンホルムアルデヒド樹脂、ベンゾグアナミンホルムアルデヒド樹脂、尿素ホルムアルデヒド樹脂及びグリコールウリルホルムアルデヒド樹脂が含まれる。ポリイソシアネートは、モノマー脂肪族ジイソシアネート、モノマー芳香族ジイソシアネート及びそれらのポリマーを含む、2つ以上のイソシアネート基を有する樹脂である。典型的な脂肪族ジイソシアネートには、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート及び水素化ジフェニルメタンジイソシアネートが含まれる。典型的な芳香族イソシアネートには、トルエンジイソシアネート及びジフェニルメタンジイソシアネートが含まれる。
【0062】
必要に応じて、本発明の組成物は、他の成分、例えば、樹脂(これらが有機媒体をまだ構成していない場合)、結合剤、共溶媒、架橋剤、流動化剤、湿潤剤、沈降防止剤、可塑剤、界面活性剤、本発明の化合物以外の分散剤、保湿剤、消泡剤、へこみ防止剤、レオロジー調整剤、熱安定剤、光安定剤、UV吸収剤、酸化防止剤、均染剤、光沢調整剤、殺生物剤及び防腐剤を含有してもよい。
【0063】
組成物は、典型的には1~95重量%の微粒子固体を含有し、正確な量は固体の性質に依存し、量は、固体の性質並びに固体及び極性有機液体の相対密度に依存する。例えば、固体が有機顔料等の有機材料である組成物は、一実施形態では、組成物の総重量に基づいて15~60重量%の固体を含有するのに対して、固体が無機顔料、充填剤又は増量剤等の無機材料である組成物は、一実施形態では、40~90重量%の固体を含有する。
【0064】
有機液体を含有する組成物は、分散体を調製するための既知の従来の方法のうちのいずれかによって調製してもよい。したがって、固体、有機媒体、及び分散剤は、任意の順序で混合することができ、その後、混合物は、例えば高速混合、ボールミル粉砕、バスケット粉砕、ビーズ粉砕、グラベル粉砕、サンド粉砕、摩耗研削、2ロール又は3ロール粉砕、プラスチック粉砕等によって、固体の粒子を好適な粒径まで小さくするための機械的処理にかけられ、分散体が形成され得る。あるいは、固体を、独立して、又は有機媒体若しくは分散剤のいずれかと混合した状態で、その粒径を小さくするよう処理し、次いで、他の成分(1又は複数)を添加し、混合物を撹拌して、組成物を提供してもよい。組成物はまた、乾燥固体を分散剤と共に研磨又は粉砕し、次いで液体媒体を添加するか、又は顔料フラッシングプロセスで液体媒体中の分散剤と固体とを混合することにより作製することができる。
【0065】
本発明の組成物は、液体分散体に特に適している。一実施形態では、このような分散体組成物は、
a)0.5~80部の微粒子固体と、
b)0.1~79.6部の式Iのポリマー/分散剤と、
c)19.9~99.4部の有機液体と、とを含み、
全ての相対部は、重量基準であり、量(a)+(b)+(c)=100である。
【0066】
一実施形態では、成分a)は、0.5~30部の顔料を含み、このような分散体は、(液体)インク、塗料及びミルベースとして有用である。
【0067】
組成物が、微粒子固体及び乾燥形態の式1の分散剤を含む必要がある場合、有機液体は一般に揮発性であるため、蒸発等の単純な分離手段によって微粒子固体から容易に除去できる。一実施形態では、組成物は、有機液体を含む。
【0068】
乾燥組成物が本質的に式(1)の分散剤及び微粒子固体からなる場合、それは、典型的には、微粒子固体の重量に基づいて、少なくとも0.2%、少なくとも0.5%、又は少なくとも1.0%の式Iの分散剤を含有する。一実施形態では、乾燥組成物は、微粒子固体の重量に基づいて、100重量%以下、50重量%以下、20重量%以下又は10重量%以下の式1の分散剤を含有する。
【0069】
本明細書に開示されるように、本発明の組成物は、式1の化合物の存在下で微粒子固体が有機液体中で粉砕されるミルベースの調製に好適である。
【0070】
したがって、本発明の更に別の態様によれば、微粒子固体、有機液体及び式(1)のポリマーを含むミルベースが提供される。
【0071】
通常、ミルベースは、ミルベースの総重量に基づいて、20~70重量%の微粒子固体を含有する。一実施形態では、微粒子固体は、ミルベースの10重量%以上又は20重量%以上である。このようなミルベースは、粉砕前又は粉砕後に添加される結合剤を任意に含有し得る。
【0072】
一実施形態では、結合剤は、有機液体の揮発時に組成物を結合することができるポリマー材料である。
【0073】
結合剤は、天然材料及び合成材料を含むポリマー材料である。一実施形態では、結合剤には、ポリ(メタ)アクリレート、ポリスチレン系樹脂、ポリエステル、ポリウレタン、アルキド、セルロース、ニトロセルロース等の多糖類、及びカゼイン等の天然タンパク質が挙げられる。結合剤は、ニトロセルロースであってもよい。一実施形態では、結合剤は、微粒子固体の量に基づいて、100%超、200%超、300%超又は400%超で組成物中に存在する。
【0074】
ミルベース中の任意な結合剤の量は、広い範囲にわたって変化し得るが、通常はミルベースの連続相/液相のうちの10重量%以上、多くの場合20重量%以上である。一実施形態では、結合剤の量は、ミルベースの連続相/液相のうちの50重量%以下又は40重量%以下である。
【0075】
ミルベース中の分散剤の量は、微粒子固体の量に依存するが、通常はミルベースのうちの0.5~5重量%である。
【0076】
本発明の組成物から作製された分散体及びミルベースは、エネルギー硬化性システム(紫外線、レーザー光、赤外線、陽イオンビーム、電子ビーム、マイクロ波)が、モノマー、オリゴマー等と用いられる非水性かつ無溶媒の配合物での使用、又は配合物中に存在する組合わせでの使用に特に好適である。これらは、塗料、ワニス、インク、その他のコーティング材料及びプラスチック等のコーティングでの使用に特に好適である。好適な例には、低、中、及び高固体塗料、焼付けを含む一般的な工業用塗料、コイル及び缶コーティング、粉末コーティング、UV硬化コーティング、木ワニス等の2成分及び金属コーティング塗料;フレキソ印刷、グラビア印刷、オフセット印刷、石版印刷、凸版印刷(letterpress又はrelief)、スクリーン印刷等のインク、及び包装印刷用の印刷インク、コンティニュアスインクジェットと、サーマル、ピエゾ及び静電、相転移インク並びにホットメルトワックスインク、インクジェットプリンタ用インクを含むドロップ・オン・デマンドインクジェットと、とを含むインクジェット等のノンインパクト方式のインク、及びオーバープリントワニス等の印刷ワニス;ポリオール及びプラスチゾル分散体;非水性セラミックプロセス、特にテープキャスティング、ゲルキャスティング、ドクターブレード、押出及び射出成形型プロセス、更なる例としては、静水圧プレス成形用の乾燥セラミック粉末の調製時である場合もある;シート成形及びバルク成形コンパウンド、樹脂注入成形、引抜成形、ハンドレイアップ及びスプレーレイアッププロセス、マッチドダイ成形等の複合材料;注型用樹脂、化粧品、ネイルコーティング等のパーソナルケア、日焼け止め、接着剤、液体トナー等のトナー、プラスチック材料及び有機発光ダイオード(OLED)デバイスを含むディスプレイ、液晶ディスプレイ及び電気泳動ディスプレイのカラーフィルターシステム用コーティング配合物剤等の電子材料、光ファイバーコーティング、反射コーティング又は反射防止コーティングを含むガラスコーティング、導電性及び磁気インク並びにコーティング等の構成材料での使用が挙げられる。これらは、上記の用途で使用される乾燥粉末の分散性を改善するために、顔料及び充填剤の表面改質に役立つ。コーティング材料の更なる例は、Bodo Muller,Ulrich Poth,Lackformulierung und Lackrezeptur,Lehrbuch fr Ausbildung und Praxis,Vincentz Verlag,Hanover(2003)及びP.G.Garrat,Strahlenhartung,Vincentz Verlag,Hanover(1996)に記載されている。印刷インクの配合の例は、E.W.Flick,Printing Ink and Overprint Varnish Formulations-Recent Developments,Noyes Publications,Park Ridge NJ,(1990)及び後続版に記載されている。
【0077】
一実施形態では、本発明の組成物は、1つ又は複数の追加の既知の分散剤を更に含む。
【0078】
以下の実施例は、本発明の例示を提供する。これらの実施例は網羅的ではなく、本発明の範囲を限定することを意図するものではない。
【0079】
使用した試薬
1-ドデカノール、Sigma Aldrich製
Isofol(商標)-36、Condea Chemie GmbH製
ε-カプロラクトン、Perstorp製
ジフェニルホスフェート、Sigma Aldrich製
1-ブタノール、Fisher Scientific製
mPEG750-ポリ(エチレングリコール)メチルエーテル、Sigma Aldrich製、MW750
ジルコニウム(IV)ブトキシド溶液、Sigma Aldrich製、1-ブタノール中80%wt
mPEG 500 ポリ(エチレングリコール)メチルエーテル、Sigma Aldrich製、MW500
δ-バレロラクトン、BASF製
BuO PPG 1000 ポリ(プロピレングリコール)ブチルエーテル、Sigma Aldrich製、MW1000
L-ラクチド-grade Puralact B3、Corbion製
Surfonamine(商標)B60、Huntsman製
Surfonamine L100、Huntsman製
コハク酸無水物、Sigma Aldrich製
グルタル酸無水物、TCI製
ヘキサデセニルコハク酸無水物、Vertellus製
オクタデセニルコハク酸無水物、Vertellus製
ホモフタル酸無水物、Acros Organics製
トルエン、Fisher Scientific製
mPEG1000-ポリ(エチレングリコール)メチルエーテル、Ineos製、MW1000
mPEG350-ポリ(エチレングリコール)メチルエーテル、Sigma Aldrich製、Mw350
Synalox(商標)50-30B-ポリ(エチレングリコール-ran-プロピレングリコール)モノブチルエーテル MW1000、Dow製
オルトリン酸溶液、Sigma Aldrich製、水中85%wt
C12~C15アルコール、MW1600で開始されたプロピレンオキシドの1~24モル当量のプロポキシ化アルコール、Lubrizol製
C12~C15アルコール、MW1700で開始されたブチレンオキシドの1~20モル当量のブトキシ化アルコール、Lubrizol製
無水酢酸、Sigma Aldrich製
Epomin(商標)SP200ポリエチレンイミン、MW 10000、日本触媒製
Epomin(商標)SP018ポリエチレンイミン、MW 1800、日本触媒製
Epomin(商標)SP006ポリエチレンイミン、MW 600、日本触媒製
アジピン酸、Sigma Aldrich製
1,4-ブタンジオール、Sigma Aldrich製
6-アミノヘキサン酸、Sigma Aldrich製
オルトリン酸、Sigma Aldrich製
ジメチルスルファート、Sigma Aldrich製
ポリイソブテニルコハク酸無水物550、Lubrizol製、MW550
【0080】
工程1-アルコール末端ポリマーの合成
【0081】
アルコール末端ポリマー1:1-ドデカノール(100.85部)及びε-カプロラクトン(802.98部)を反応容器に装入し、窒素下で70℃に加熱した。温度に達した時、ジフェニルホスフェート(2.71部)を装入した。4時間後、反応が停止して、白色の蝋質固体が得られた。これはアルコール末端ポリマー1である。
【0082】
アルコール末端ポリマー2:ε-カプロラクトン(410.01部)を反応容器に装入し、窒素下で110℃に加熱した。1時間後、温度を70℃に下げた。温度に達した時、1-ブタノール(88.75部)及びジフェニルホスフェート(1.50部)を装入した。3時間後、反応が停止して、無色透明の液体が得られた。これはアルコール末端ポリマー2である。
【0083】
アルコール末端ポリマー3:mPEG 750(111.80部)及びε-カプロラクトン(141.23部)を反応容器に装入し、窒素下で120℃に加熱した。1.5時間後、ジルコニウムブトキシド溶液(0.95部)を装入し、温度を180℃に上昇させた。20時間後、反応が停止して、黄色のペーストが得られた。これはアルコール末端ポリマー3である。
【0084】
アルコール末端ポリマー4:mPEG 500(60.00部)、ε-カプロラクトン(46.62部)、δ-バレロラクトン(48.10部)及びL-ラクチド(51.89部)を反応容器に装入し、窒素下で120℃に加熱した。1.5時間後、ジルコニウムブトキシド溶液(0.77部)を装入し、温度を180℃に上昇させた。19時間後、反応が停止して、透明な褐色の液体が得られた。これはアルコール末端ポリマー4である。
【0085】
アルコール末端ポリマー5:BuO PPG 1000(431.04部)及びL-ラクチド(310.63部)を反応容器に装入し、窒素下で120℃に加熱した。1.5時間後、ジルコニウムブトキシド溶液(2.23部)を装入し、温度を180℃に上昇させた。19時間後、反応が停止して、褐色のペーストが得られた。これはアルコール末端ポリマー5である。
【0086】
アルコール末端ポリマー6:mPEG 500(65.02部)、ε-カプロラクトン(81.61部)、及びδ-バレロラクトン(78.10部)を反応容器に装入し、窒素下で70℃に加熱した。オルトリン酸溶液(0.68部)を装入し、温度を120℃に上昇させた。8時間後、反応が停止して、無色透明の液体が得られた。これはアルコール末端ポリマー6である。
【0087】
アルコール末端ポリマー7:1-ドデカノール(25.41部)、ε-カプロラクトン(70.00部)、δ-バレロラクトン(68.22部)及びL-ラクチド(68.75部)を反応容器に装入し、窒素下で120℃に加熱した。1.5時間後、ジルコニウムブトキシド溶液(0.87部)を装入し、温度を180℃に上昇させた。8時間後、反応が停止して、濁った黄色の液体が得られた。これはアルコール末端ポリマー7である。
【0088】
アルコール末端ポリマー8:Isofol(商標)-36(70.04部)及びε-カプロラクトン(152.81部)を反応容器に装入し、窒素下で70℃に加熱した。反応温度が70℃に達した時、オルトリン酸(0.72部)を装入し、温度を120℃に上昇させた。8時間後、反応が停止して、室温でオフホワイトの固体が得られた。これはアルコール末端ポリマー8である。
【0089】
アルコール末端ポリマー9:Surfonamine(商標)B60(60部)、ε-カプロラクトン(99.4部)及びオルトリン酸(0.1g)を反応容器に添加し、窒素存在下で120℃で数時間撹拌した。淡黄色の液体(157部)が得られた。これはアルコール末端ポリマー9である。
【0090】
アルコール末端ポリマー10:Surfonamine(商標)L100(60部)及びε-カプロラクトン(12.8部)を反応容器に装入し、窒素下で撹拌しながら120℃に加熱した。o-リン酸(0.1部)を装入し、120℃で8時間撹拌した。反応が停止して、淡黄色のペーストが得られた。これはアルコール末端ポリマー10である。
【0091】
アルコール末端ポリマー11:mPEG350(100部)、ε-カプロラクトン(63.6部)、δ-バレロラクトン(38.6部)及びo-リン酸(0.2部)を反応容器に装入し、窒素存在下で16時間撹拌しながら120℃に加熱した。反応が停止して無色の液体が得られた。これはアルコール末端ポリマー11である。
【0092】
アルコール末端ポリマー12:US4518435におけるAgent Jの手順を繰り返して、2-ジエチルアミノエタノールを10モルのエチレンオキシド、続いて20モルのプロピレンオキシドで縮合させることによって調製されたポリエーテル付加物を作製した。これはアルコール末端ポリマー12である。
【0093】
アルコール末端ポリマー13:アジピン酸(81.09部)、デカノール(12.56部)及び1,4-ブタンジオール(150.15部)を反応容器に装入し、窒素下で撹拌しながら130℃に加熱した。o-リン酸(0.42部)を装入し、130℃で49.5時間撹拌した。反応が停止して、白色の固体が得られた。これはアルコール末端ポリマー13である。
【0094】
アルコール末端ポリマー14:オクチルアミン(11.32部)及びε-カプロラクトン(140部)を反応容器に装入し、窒素下で撹拌しながら90℃に加熱した。3.5時間後、温度を120℃に上昇させ、30分間撹拌した。ジルコニウムブトキシド(0.46部)を装入し、温度を180℃に上昇させた。反応物を180℃で18時間撹拌した。反応が停止して、白色の固体が得られた。これはアルコール末端ポリマー14である。
【0095】
アルコール末端ポリマー15:2-ナフトール及び10モルのエチレンオキシドからのポリエーテル形態(69.42部)並びにε-カプロラクトン(134.75部)を反応容器に装入し、窒素下で撹拌しながら70℃に加熱した。o-リン酸(0.61部)を装入し、温度を120℃に上昇させた。反応物を120℃で18.5時間撹拌した。反応が停止して、クリーム色の蝋質固体が得られた。これはアルコール末端ポリマー15である。
【0096】
アルコール末端ポリマー16:6-アミノヘキサン酸(70.13部)及びε-カプロラクトン(127.02部)を反応容器に装入し、窒素下で1.5時間撹拌しながら180℃に加熱した。この後、0.75時間かけて温度を120℃に下げた。次いでデカノール(20.77)を添加し、5分後にジルコニウムブトキシド(0.43部)を添加した。温度を180℃に上昇させ、この温度で17.5時間撹拌した。反応が停止してベージュ色の固体が得られた。これはアルコール末端ポリマー16である。
【0097】
工程2-アルコール末端ポリマーを環状無水物と反応させて酸末端ポリマーを生成する
【0098】
酸末端ポリマー1:アルコール末端ポリマー1(843.81部)を反応容器に装入し、窒素下で70℃に加熱した。温度に達した時、コハク酸無水物(50.53部)を装入し、温度を130℃に上昇させた。20時間後、反応が停止して、酸価が34mgKOH/gの白色の蝋質固体が得られた。これは酸末端ポリマー1である。
【0099】
酸末端ポリマー2:コンデンサを備えた反応容器にアルコール末端ポリマー2(450.00部)及びトルエン(22.37部)を装入し、窒素下で70℃に加熱した。温度に達した時、コハク酸無水物(108.13部)を装入し、温度を130℃に上昇させた。18時間後、反応が停止し、60℃に冷却した。ロータリーエバポレータを使用してトルエンを除去して、酸価が116mgKOH/gのわずかに濁った淡黄色の液体を得た。これは酸末端ポリマー2である。
【0100】
酸末端ポリマー3:アルコール末端ポリマー3(211.77部)を反応容器に装入し、窒素下で70℃に加熱した。温度に達した時、コハク酸無水物(12.46部)を装入し、温度を130℃に上昇させた。7.5時間後、反応が停止して、酸価が34mgKOH/gの淡黄色のペーストが得られた。これは酸末端ポリマー3である。
【0101】
酸末端ポリマー4:アルコール末端ポリマー4(180.00部)を反応容器に装入し、窒素下で70℃に加熱した。温度に達した時、コハク酸無水物(10.44部)を装入し、温度を130℃に上昇させた。12.5時間後、反応が停止して、酸価が44mgKOH/gの透明な褐色の液体が得られた。これは酸末端ポリマー4である。
【0102】
酸末端ポリマー5:アルコール末端ポリマー5(180.00部)を反応容器に装入し、窒素下で70℃に加熱した。温度に達した時、コハク酸無水物(10.52部)を装入し、温度を130℃に上昇させた。31時間後、反応が停止して、酸価が34mgKOH/gの粘性の琥珀色の液体が得られた。これは酸末端ポリマー5である。
【0103】
酸末端ポリマー6:mPEG 1000(300.00部)を反応容器に装入し、窒素下で70℃に加熱した。温度に達した時、コハク酸無水物(30.01部)を装入し、温度を130℃に上昇させた。5時間後、反応が停止して、酸価が54mgKOH/gの白色の蝋質ペーストが得られた。これは酸末端ポリマー6である。
【0104】
酸末端ポリマー7:BuO PPG 1000(100.00部)を反応容器に装入し、窒素下で70℃に加熱した。温度に達した時、コハク酸無水物(10.04部)を装入し、温度を130℃に上昇させた。18時間後、反応が停止して、酸価が45mgKOH/gの無色透明の液体が得られた。これは酸末端ポリマー7である。
【0105】
酸末端ポリマー8:Synalox(商標)30-50B(245.03部)及びオルトリン酸溶液(0.97部)を反応容器に装入し、窒素下で70℃に加熱した。温度に達した時、コハク酸無水物(24.52部)を装入し、温度を130℃に上昇させた。9時間後、反応が停止して、酸価が61mgKOH/gの無色透明の液体が得られた。これは酸末端ポリマー8である。
【0106】
酸末端ポリマー9:プロポキシ化アルコール1(300.00部)を反応容器に装入し、窒素下で70℃に加熱した。温度に達した時、コハク酸無水物(18.76部)を装入し、温度を130℃に上昇させた。26時間後、反応が停止して、酸価が36mgKOH/gの透明な黄色の液体が得られた。これは酸末端ポリマー9である。
【0107】
酸末端ポリマー10:アルコール末端ポリマー6(200.00部)を反応容器に装入し、窒素下で70℃に加熱した。温度に達した時、コハク酸無水物(11.57部)を装入し、温度を130℃に上昇させた。4.5時間後、反応が停止して、酸価が42mgKOH/gの無色透明の液体が得られた。これは酸末端ポリマー10である。
【0108】
酸末端ポリマー11:アルコール末端ポリマー7(200.00部)を反応容器に装入し、窒素下で70℃に加熱した。温度に達した時、コハク酸無水物(11.74部)を装入し、温度を130℃に上昇させた。16時間後、反応が停止して、酸価が41mgKOH/gの濁った黄色の液体が得られた。これは酸末端ポリマー11である。
【0109】
酸末端ポリマー12:アルコール末端ポリマー8(188.10部)を反応容器に装入し、窒素下で70℃に加熱した。温度に達した時、コハク酸無水物(11.40部)を装入し、温度を130℃に上昇させた。8.5時間後、反応が停止して、室温で酸価が40mgKOH/gのオフホワイトの固体が得られた。これは酸末端ポリマー12である。
【0110】
酸末端ポリマー13:アルコール末端プロポキシ化アルコール1(140.60部)を反応容器に装入し、窒素下で70℃に加熱した。温度に達した時、グルタル酸無水物(9.40部)を装入し、温度を130℃に上昇させた。18時間後、反応が停止して、室温で酸価が36.10mgKOH/gの透明な液体が得られた。これは酸末端ポリマー13である。
【0111】
酸末端ポリマー14:アルコール末端プロポキシ化アルコール1(150.08部)を反応容器に装入し、窒素下で70℃に加熱した。温度に達した時、ヘキサデセニルコハク酸無水物及びオクタデセニルコハク酸無水物の混合物を等重量(30.54部)として装入し、温度を130℃に上昇させた。21.5時間後、反応が停止して、室温で酸価が41.09mgKOH/gの淡黄色の透明な液体が得られた。これは酸末端ポリマー14である。
【0112】
酸末端ポリマー15:アルコール末端プロポキシ化アルコール1(119.98部)を反応容器に装入し、窒素下で70℃に加熱した。温度に達した時、ホモフタル酸無水物(10.79部)を装入し、温度を130℃に上昇させた。23時間後、反応が停止して、室温で酸価が39.88mgKOH/gの透明な液体が得られた。これは酸末端ポリマー15である。
【0113】
酸末端ポリマー16:アルコール末端9(150.06部)を反応容器に装入し、窒素下で70℃に加熱した。温度に達した時、コハク酸無水物(9.12部)を装入し、温度を130℃に上昇させた。4.5時間後、反応が停止して、室温で酸価が46.45mgKOH/gのオフホワイトワックスが得られた。これは酸末端ポリマー16である。
【0114】
酸末端ポリマー17:ブトキシ化アルコール1(283部)を反応容器に装入し、窒素存在下で撹拌しながら70℃に加熱した。温度に達した時、コハク酸無水物(13.4部)を装入し、温度を120℃に上昇させた。20時間後、反応が停止して、酸価が25.3mgKOH/gの無色の液体が得られた。これは酸末端ポリマー17である。
【0115】
酸末端ポリマー18:アルコール末端ポリマー10(72.8部)を反応容器に装入し、窒素存在下で80℃に加熱した。温度に達した時、コハク酸無水物(5.6部)を装入し、温度を120℃に上昇させた。8時間後、反応が停止して、酸価が46.1mgKOH/gの淡黄色の蝋質固体が得られた。これは酸末端ポリマー18である。
【0116】
酸末端ポリマー19:アルコール末端ポリマー11(202.2部)を反応容器に装入し、窒素存在下で80℃に加熱した。温度に達した時、コハク酸無水物(28.5部)を装入し、80℃で12時間撹拌した。反応が停止して、酸価が72.3mgKOH/gの淡黄色の液体が得られた。これは酸末端ポリマー19である。
【0117】
酸末端ポリマー20:プロポキシ化アルコール1(200部)を反応容器に装入し、窒素下で70℃に加熱した。温度に達した時、コハク酸無水物(11.1部)を装入し、温度を120℃に上昇させた。20時間後、反応が停止して、酸価が34mgKOH/gの無色の液体が得られた。これは酸末端ポリマー20である。
【0118】
酸末端ポリマー21:アルコール末端ポリマー12(153部)を反応容器に装入し、窒素下で70℃に加熱した。温度に達した時、コハク酸無水物(8.7部)を装入し、温度を120℃に上昇させた。10時間後、反応が停止して、酸価が31.9mgKOH/gの淡黄色の濁った液体が得られた。これは酸末端ポリマー21である。
【0119】
酸末端ポリマー22:プロポキシ化アルコール1(59.5部)及びポリイソブテニルコハク酸無水物550(36.06部)を反応容器に装入し、窒素下で70℃に加熱した。温度に達した時、o-リン酸(0.84部)を装入し、温度を130℃に上昇させた。50時間後、反応が停止して、室温で酸価が31.25mgKOH/gの透明な黄色の液体が得られた。これは酸末端ポリマー22である。
【0120】
酸末端ポリマー23:アルコール末端ポリマー13(55.1部)を反応容器に装入し、窒素下で70℃に加熱した。温度に達した時、コハク酸無水物(3.1部)を装入し、温度を130℃に上昇させた。4.5時間後、反応が停止して、室温で酸価が38.38mgKOH/gの白色固体が得られた。これは酸末端ポリマー23である。
【0121】
酸末端ポリマー24:アルコール末端ポリマー14(140.13部)を反応容器に装入し、窒素下で70℃に加熱した。温度に達した時、コハク酸無水物(8.11部)を装入し、温度を130℃に上昇させた。2.5時間後、反応が停止して、室温で酸価が32.58mgKOH/gの透明な液体が得られた。これは酸末端ポリマー24である。
【0122】
酸末端ポリマー25:アルコール末端ポリマー15(185.04部)を反応容器に装入し、窒素下で70℃に加熱した。温度に達した時、コハク酸無水物(10.80部)を装入し、温度を130℃に上昇させた。20時間後、反応が停止して、室温で酸価が35.74mgKOH/gのクリーム色固体が得られた。これは酸末端ポリマー25である。
【0123】
酸末端ポリマー26:アルコール末端ポリマー16(115.26部)を反応容器に装入し、窒素下で70℃に加熱した。温度に達した時、コハク酸無水物(7.04部)を装入し、温度を130℃に上昇させた。3.75時間後、反応が停止して、室温で酸価が35.15mgKOH/gのクリーム色固体が得られた。これは酸末端ポリマー26である。
【0124】
工程3-酸末端ポリマーと非環状無水物との反応によるポリマー無水物の生成
【0125】
ポリマー無水物1:酸末端ポリマー1(420.00部)及び無水酢酸(30.94部)をディーンスタークトラップを取り付けた反応容器に装入し、窒素下で120℃に加熱した。6時間後、温度を150℃に上昇させた。更に4時間後、反応が停止して、白色の蝋質固体が得られた。これはポリマー無水物1である。
【0126】
ポリマー無水物2:酸末端ポリマー2(120.00部)及び無水酢酸(30.30部)をディーンスタークトラップを取り付けた反応容器に装入し、窒素下で120℃に加熱した。6時間後、温度を150℃に上昇させた。更に16時間後、ディーンスタークトラップを取り外して、オープンポートを残した。更に1時間後、反応が停止して、透明な淡黄色の液体が得られた。これはポリマー無水物2である。
【0127】
ポリマー無水物3:酸末端ポリマー3(140.00部)及び無水酢酸(9.53部)をディーンスタークトラップを取り付けた反応容器に装入し、窒素下で120℃に加熱した。6時間後、温度を150℃に上昇させた。更に18時間後、ディーンスタークトラップを取り外して、オープンポートを残した。更に1時間後、反応が停止して、淡褐色のペーストが得られた。これはポリマー無水物3である。
【0128】
ポリマー無水物4:酸末端ポリマー4(99.99部)及び無水酢酸(6.73部)をディーンスタークトラップを取り付けた反応容器に装入し、窒素下で120℃に加熱した。6時間後、温度を150℃に上昇させた。更に19時間後、ディーンスタークトラップを取り外して、オープンポートを残した。更に1時間後、反応が停止して、透明な暗褐色の液体が得られた。これはポリマー無水物4である。
【0129】
ポリマー無水物5:酸末端ポリマー5(99.97部)及び無水酢酸(6.73部)をディーンスタークトラップを取り付けた反応容器に装入し、窒素下で120℃に加熱した。6時間後、温度を150℃に上昇させた。更に19時間後、反応が停止して粘性の褐色の液体が得られた。これはポリマー無水物5である。
【0130】
ポリマー無水物6:酸末端ポリマー6(90.00部)及び無水酢酸(10.02部)をディーンスタークトラップを取り付けた反応容器に装入し、窒素下で120℃に加熱した。6時間後、温度を150℃に上昇させた。更に17.5時間後、ディーンスタークトラップを取り外して、オープンポートを残した。更に1時間後、反応が停止して、暗褐色の蝋質固体が得られた。これはポリマー無水物6である。
【0131】
ポリマー無水物7:酸末端ポリマー7(40.00部)及び無水酢酸(3.94部)をディーンスタークトラップを取り付けた反応容器に装入し、窒素下で120℃に加熱した。6時間後、温度を150℃に上昇させた。更に16時間後、ディーンスタークトラップを取り外して、オープンポートを残した。更に1時間後、反応が停止して、透明な淡黄色の液体が得られた。これはポリマー無水物7である。
【0132】
ポリマー無水物8:酸末端ポリマー8(150.00部)及び無水酢酸(16.71部)をディーンスタークトラップを取り付けた反応容器に装入し、窒素下で120℃に加熱した。6時間後、温度を150℃に上昇させた。更に16時間後、ディーンスタークトラップを取り外して、オープンポートを残した。更に1時間後、反応が停止して、暗褐色の液体が得られた。これはポリマー無水物8である。
【0133】
ポリマー無水物9:酸末端ポリマー9(90.00部)及び無水酢酸(6.49部)をディーンスタークトラップを取り付けた反応容器に装入し、窒素下で120℃に加熱した。6時間後、温度を150℃に上昇させた。更に17.5時間後、ディーンスタークトラップを取り外して、オープンポートを残した。更に1時間後、反応が停止して、透明な褐色の液体が得られた。これはポリマー無水物9である。
【0134】
ポリマー無水物10:酸末端ポリマー10(120.00部)及び無水酢酸(8.03部)をディーンスタークトラップを取り付けた反応容器に装入し、窒素下で120℃に加熱した。6時間後、温度を150℃に上昇させた。更に23時間後、反応が停止して、透明な暗褐色の液体が得られた。これはポリマー無水物10である。
【0135】
ポリマー無水物11:酸末端ポリマー11(120.01部)及び無水酢酸(8.15部)をディーンスタークトラップを取り付けた反応容器に装入し、窒素下で120℃に加熱した。6時間後、温度を150℃に上昇させた。更に20時間後、ディーンスタークトラップを取り外して、オープンポートを残した。更に1時間後、反応が停止して、透明なオレンジ色の液体が得られた。これはポリマー無水物11である。
【0136】
ポリマー無水物12:酸末端ポリマー12(100.18部)及び無水酢酸(6.96部)をディーンスタークトラップを取り付けた反応容器に装入し、窒素下で120℃に加熱した。6時間後、温度を150℃に上昇させた。更に9時間後、ディーンスタークトラップを取り外して、オープンポートを残した。更に1時間後、反応が停止して、室温で薄褐色の固体が得られた。これはポリマー無水物12である。
【0137】
ポリマー無水物13:酸末端ポリマー13(69.98部)及び無水酢酸(4.73部)をディーンスタークトラップを取り付けた反応容器に装入し、窒素下で120℃に加熱した。6時間後、温度を150℃に上昇させた。更に12.75時間後、ディーンスタークトラップを取り外して、オープンポートを残した。更に1時間後、反応が停止して、室温で透明な液体が得られた。これはポリマー無水物13である。
【0138】
ポリマー無水物14:酸末端ポリマー14(86.04部)及び無水酢酸(5.19部)をディーンスタークトラップを取り付けた反応容器に装入し、窒素下で120℃に加熱した。6時間後、温度を150℃に上昇させた。更に16時間後、ディーンスタークトラップを取り外して、オープンポートを残した。更に1時間後、反応が停止して、室温で淡黄色の透明な液体が得られた。これはポリマー無水物14である。
【0139】
ポリマー無水物15:酸末端ポリマー15(65.01部)及び無水酢酸(4.02部)をディーンスタークトラップを取り付けた反応容器に装入し、窒素下で120℃に加熱した。6時間後、温度を150℃に上昇させた。更に16.5時間後、ディーンスタークトラップを取り外して、オープンポートを残した。更に1時間後、反応が停止して、室温で黄色の透明な液体が得られた。これはポリマー無水物15である。
【0140】
ポリマー無水物16:酸末端ポリマー16(60.00部)及び無水酢酸(4.26部)をディーンスタークトラップを取り付けた反応容器に装入し、窒素下で120℃に加熱した。6時間後、温度を150℃に上昇させた。更に15時間後、ディーンスタークトラップを取り外して、オープンポートを残した。更に1時間後、反応が停止して、室温で金色の透明な液体が得られた。これはポリマー無水物16である。
【0141】
ポリマー無水物17:酸末端ポリマー17(102部)及び無水酢酸(12部)を、ディーンスタークトラップを取り付けた反応容器に装入し、窒素存在下で撹拌しながら120℃に加熱した。10時間後、温度を150℃に上昇させた。更に4時間後、反応が停止して、淡黄色の液体が得られた。これはポリマー無水物17である。
【0142】
ポリマー無水物18:酸末端ポリマー18(78部)及び無水酢酸(10部)を、ディーンスタークトラップを取り付けた反応容器に装入し、窒素存在下で120℃に加熱した。6時間後、温度を150℃に上昇させて、過剰の無水酢酸及び残留酢酸を除去した。更に4時間後、反応が停止して、淡い琥珀色の蝋質固体が得られた。これはポリマー無水物18である。
【0143】
ポリマー無水物19:酸末端ポリマー18(230部)及び無水酢酸(35部)を、ディーンスタークトラップを取り付けた反応容器に装入し、窒素存在下で120℃に加熱した。6時間後、温度を150℃に上昇させて、過剰の無水酢酸及び残留酢酸を除去した。更に4時間後、反応が停止して、淡黄色の液体が得られた。これはポリマー無水物19である。
【0144】
ポリマー無水物20:酸末端ポリマー20(101部)及び無水酢酸(10部)を、ディーンスタークトラップを取り付けた反応容器に装入し、窒素存在下で120℃に加熱した。10時間後、温度を150℃に上昇させた。更に10時間後、反応が停止して淡黄色の液体が得られた。これはポリマー無水物20である。
【0145】
ポリマー無水物21:酸末端ポリマー21(52部)及び無水酢酸(6部)を、ディーンスタークトラップを取り付けた反応容器に装入し、窒素存在下で120℃に加熱した。6時間後、温度を150℃に上昇させて、過剰の無水酢酸及び残留酢酸を除去した。更に4時間後、反応が停止して、暗琥珀色の液体が得られた。これはポリマー無水物21である。
【0146】
ポリマー無水物22:酸末端ポリマー22(85.04部)及び無水酢酸(3.87部)を、ディーンスタークトラップを取り付けた反応容器に装入し、窒素存在下で120℃に加熱した。6時間後、温度を150℃に上昇させた。更に7時間後、反応が停止して、褐色の粘性の液体が得られた。これはポリマー無水物22である。
【0147】
ポリマー無水物23:酸末端ポリマー23(50.03部)及び無水酢酸(3.2部)を、ディーンスタークトラップを取り付けた反応容器に装入し、窒素存在下で120℃に加熱した。6時間後、温度を150℃に上昇させた。更に13.25時間後、反応が停止して、褐色の固体が得られた。これはポリマー無水物23である。
【0148】
ポリマー無水物24:酸末端ポリマー24(130.05部)及び無水酢酸(8.72部)を、ディーンスタークトラップを取り付けた反応容器に装入し、窒素存在下で120℃に加熱した。6時間後、温度を150℃に上昇させた。更に12.75時間後、反応が停止して淡いクリーム色の固体が得られた。これはポリマー無水物24である。
【0149】
ポリマー無水物25:酸末端ポリマー25(60.04部)及び無水酢酸(4.04部)を、ディーンスタークトラップを取り付けた反応容器に装入し、窒素存在下で120℃に加熱した。6時間後、温度を150℃に上昇させた。更に9時間後、反応が停止して、クリーム色の蝋質固体が得られた。これはポリマー無水物25である。
【0150】
ポリマー無水物26:酸末端ポリマー26(60.08部)及び無水酢酸(4.33部)を、ディーンスタークトラップを取り付けた反応容器に装入し、窒素存在下で120℃に加熱した。6時間後、温度を150℃に上昇させた。更に26.5時間後、反応が停止して、褐色の固体が得られた。これはポリマー無水物26である。
【0151】
工程4-ポリマー無水物とマルチアミンとの反応による分散剤の生成
【0152】
分散剤1:ポリマー無水物1(50.01部)を反応容器に装入し、70℃に加熱し、次いでEpomin(商標)SP018(3.86部、70℃に予熱)を装入した。1時間後、反応が停止して、酸価が44mgKOH/gで、塩基当量が1060である淡黄色の蝋質固体が得られた。これは分散剤1である。
【0153】
分散剤2:ポリマー無水物1(45.01部)及びポリマー無水物2(15.03部)を反応容器に装入し、70℃に加熱し、次いでEpomin(商標)SP018(4.61部、70℃に予熱)を装入した。1時間後、反応が停止して、酸価が56mgKOH/gで、塩基当量が1221である褐色がかった黄色の蝋質固体が得られた。これは分散剤2である。
【0154】
分散剤3:ポリマー無水物3(129.75部)を反応容器に装入し、70℃に加熱し、次いでEpomin(商標)SP018(10.00部、70℃に予熱)を装入した。1時間後、反応が停止して、酸価が16mgKOH/gで、塩基当量が1053である褐色のペーストが得られた。これは分散剤3である。
【0155】
分散剤4:ポリマー無水物4(40.02部)を反応容器に装入し、70℃に加熱し、次いでEpomin(商標)SP018(3.08部、70℃に予熱)を装入した。1時間後、反応が停止して、酸価が27mgKOH/gで、塩基当量が1246である濁った暗褐色の液体が得られた。これは分散剤4である。
【0156】
分散剤5:ポリマー無水物5(40.00部)を反応容器に装入し、70℃に加熱し、次いでEpomin(商標)SP018(3.09部、70℃に予熱)を装入した。1時間後、反応が停止して、酸価が14mgKOH/gで、塩基当量が1228である、濁った粘性の淡褐色の液体が得られた。これは分散剤5である。
【0157】
分散剤6:ポリマー無水物6(50.01部)を反応容器に装入し、70℃に加熱し、次いでEpomin(商標)SP018(3.86部、70℃に予熱)を装入した。1時間後、反応が停止して、酸価が26mgKOH/gで、塩基当量が993である暗褐色の蝋質固体が得られた。これは分散剤6である。
【0158】
分散剤7:ポリマー無水物7(34.98部)を反応容器に装入し、70℃に加熱し、次いでEpomin(商標)SP018(2.69部、70℃に予熱)を装入した。1時間後、反応が停止して、酸価が18mgKOH/gで、塩基当量が958である透明な淡黄色の液体が得られた。これは分散剤7である。
【0159】
分散剤8:ポリマー無水物8(130.01部)を反応容器に装入し、70℃に加熱し、次いでEpomin(商標)SP018(10.01部、70℃に予熱)を装入した。1時間後、反応が停止して、酸価が32mgKOH/gで、塩基当量が1008である暗褐色の液体が得られた。これは分散剤8である。
【0160】
分散剤9:ポリマー無水物9(50.00部)を反応容器に装入し、70℃に加熱し、次いでEpomin(商標)SP018(3.85部、70℃に予熱)を装入した。1時間後、反応が停止して、酸価が16mgKOH/gで、塩基当量が1071である透明な褐色の液体が得られた。これは分散剤9である。
【0161】
分散剤10:ポリマー無水物1(70.04部)を反応容器に装入し、70℃に加熱し、次いでEpomin(商標)SP018(3.93部、70℃に予熱)を装入した。1時間後、反応が停止して、酸価が49mgKOH/gで、塩基当量が1946である、褐色がかった黄色の蝋質固体が得られた。これは分散剤10である。
【0162】
分散剤11:ポリマー無水物1(50.00部)を反応容器に装入し、70℃に加熱し、次いでEpomin(商標)SP018(5.56部、70℃に予熱)を装入した。1時間後、反応が停止して、酸価が50mgKOH/gで、塩基当量が634である淡黄色の蝋質固体が得られた。これは分散剤11である。
【0163】
分散剤12:ポリマー無水物1(60.00部)を反応容器に装入し、70℃に加熱し、次いでEpomin(商標)SP006(4.61部、70℃に予熱)を装入した。1時間後、反応が停止して、酸価が43mgKOH/gで、塩基当量が1145である淡黄色の固体が得られた。これは分散剤12である。
【0164】
分散剤13:ポリマー無水物10(60.00部)を反応容器に装入し、70℃に加熱し、次いでEpomin(商標)SP018(4.62部、70℃に予熱)を装入した。1時間後、反応が停止して、酸価が28mgKOH/gで、塩基当量が1119である透明な暗褐色の粘性の液体が得られた。これは分散剤13である。
【0165】
分散剤14:ポリマー無水物11(60.01部)を反応容器に装入し、70℃に加熱し、次いでEpomin(商標)SP018(4.63部、70℃に予熱)を装入した。1時間後、反応が停止して、酸価が19mgKOH/gで、塩基当量が1221である、濁った粘性の褐色の液体が得られた。これは分散剤14である。
【0166】
分散剤15:ポリマー無水物9(60.00部)を反応容器に装入し、70℃に加熱し、次いでコハク酸無水物(0.94部)及びEpomin(商標)SP018(4.62部、70℃に予熱)を装入した。1時間後、反応が停止して、酸価が24mgKOH/gで、塩基当量が1104である、濁った褐色の液体が得られた。これは分散剤15である。
【0167】
分散剤16:ポリマー無水物12(70.01部)を反応容器に装入し、70℃に加熱し、次いでEpomin(商標)SP018(5.37部、70℃に予熱)を装入した。1時間後、反応が停止して、室温で、酸価が32mgKOH/gで、塩基当量が910である、暗褐色の固体が得られた。これは分散剤16である。
【0168】
分散剤17:ポリマー無水物13(50.02部)を反応容器に装入し、70℃に加熱し、次いでEpomin(商標)SP018(3.83部、70℃に予熱)を装入した。1時間後、反応が停止して、室温で、酸価が18.25mgKOH/gで、塩基当量が1152.11である、濁った黄色の液体が得られた。これは分散剤17である。
【0169】
分散剤18:ポリマー無水物14(70.05部)を反応容器に装入し、70℃に加熱し、次いでEpomin(商標)SP018(5.37部、70℃に予熱)を装入した。1時間後、反応が停止して、室温で、酸価が28.27mgKOH/gで、塩基当量が1013.35である、金色の液体が得られた。これは分散剤18である。
【0170】
分散剤19:ポリマー無水物15(43.98部)を反応容器に装入し、70℃に加熱し、次いでEpomin(商標)SP018(3.38部、70℃に予熱)を装入した。1時間後、反応が停止して、室温で、酸価が29.89mgKOH/gで、塩基当量が1068.52である褐色の液体が得られた。これは分散剤19である。
【0171】
分散剤20:ポリマー無水物16(49.99部)を反応容器に装入し、70℃に加熱し、次いでEpomin(商標)SP018(3.84部、70℃に予熱)を装入した。1時間後、反応が停止して、室温で、酸価が30.64mgKOH/gで、塩基当量が1158.4である、オレンジ色の粘性の透明な液体が得られた。これは分散剤20である。
【0172】
分散剤21:ポリマー無水物17(51部)を反応容器に装入し、窒素存在下で撹拌しながら70℃に加熱し、次いでEpomin(商標)SP018(3部、70℃に予熱)を装入した。1時間後、反応が停止して、酸価が12.6mgKOH/gで、塩基当量が1516である淡黄色の液体が得られた。これは分散剤21である。
【0173】
分散剤22:ポリマー無水物18(75部)を反応容器に装入し、70℃に加熱し、次いでEpomin(商標)SP018(6.5部、70℃に予熱)を装入した。1時間後、反応が停止して、酸価が22.7mgKOH/gで、塩基当量が1083である、薄褐色の蝋質固体が得られた。これは分散剤22である。
【0174】
分散剤23:ポリマー無水物19(50部)を反応容器に装入し、70℃に加熱し、次いでEpomin SP200(5部、70℃に予熱)を装入した。1時間後、反応が停止して、酸価が44.5mgKOH/gで、塩基当量が930である、琥珀色の液体が得られた。これは分散剤23である。
【0175】
分散剤24:ポリマー無水物19(50部)を反応容器に装入し、70℃に加熱し、次いでEpomin(商標)SP018(5部、70℃に予熱)を装入した。1時間後、反応が停止して、酸価が43.1mgKOH/gで、塩基当量が962である、琥珀色の液体が得られた。これは分散剤24である。
【0176】
分散剤25:ポリマー無水物20(51部)を反応容器に装入し、70℃に加熱し、次いでEpomin(商標)SP200(4部、70℃に予熱)を装入した。1時間後、反応が停止して、酸価が19.2mgKOH/gで、塩基当量が1203である、淡琥珀色の液体が得られた。これは分散剤25である。
【0177】
分散剤26:ポリマー無水物20(45部)を反応容器に装入し、70℃に加熱し、次いでEpomin(商標)SP200(5部、70℃に予熱)を装入した。1時間後、反応が停止して、酸価が25mgKOH/gで、塩基当量が753である、淡琥珀色の液体が得られた。これは分散剤26である。
【0178】
分散剤27:分散剤18(39.99部)を反応容器に装入し、窒素下で70℃に加熱し、次いでカプロラクトン(0.81部)を装入した。1時間後、反応が停止して、酸価が27.45mgKOH/gで、塩基当量が1257.93である、粘性液体/ペーストが得られた。これは分散剤27である。
【0179】
分散剤28:分散剤16(40.17部)を反応容器に装入し、窒素下で70℃に加熱し、次いでオルトリン酸(85%w/w、0.82部)及びトルエン(40.96部)を装入した。1時間後、反応が停止して、酸価が24.13mgKOH/gで、塩基当量が1174.43である、粘性液体/ペーストが得られた。これは分散剤28である。
【0180】
分散剤29:分散剤19(30.24部)を反応容器に装入し、窒素下で70℃に加熱し、次いでブチルアクリレート(0.57部)を装入した。1時間後、反応が停止して、酸価が25.79mgKOH/gで、塩基当量が1384.03である、粘性液体/ペーストが得られた。これは分散剤29である。
【0181】
分散剤30:分散剤1(35.09部)を反応容器に装入し、窒素下で70℃に加熱し、次いでジメチルスルファート(0.7部)を装入した。1時間後、反応が停止して、酸価が49.56mgKOH/gで、塩基当量が1535.18である、粘性液体/ペーストが得られた。これは分散剤30である。
【0182】
分散剤31:分散剤3(50.03部)を反応容器に装入し、窒素下で70℃に加熱し、次いで70℃に予熱したUS6197877の実施例198(1.00部)を装入した。1時間後、反応が停止して、酸価が16.13mgKOH/gで、塩基当量が1240.25である、粘性液体/ペーストが得られた。これは分散剤31である。
【0183】
分散剤32:ポリマー無水物21(52部)を反応容器に装入し、70℃に加熱し、次いでEpomin(商標)SP018(3.8部、70℃に予熱)を装入した。1時間後、反応が停止して、酸価が15.9mgKOH/gで、塩基当量が679である、暗琥珀色の液体が得られた。これは分散剤32である。
【0184】
分散剤33:ポリマー無水物22(70.02部)を反応容器に装入し、70℃に加熱し、次いでEpomin(商標)SP018(5.42部、70℃に予熱)を装入した。1時間後、反応が停止して、室温で、酸価が25.23mgKOH/gで、塩基当量が1025.32である褐色の粘性の液体が得られた。これは分散剤33である。
【0185】
分散剤34:ポリマー無水物23(40.03部)を反応容器に装入し、70℃に加熱し、次いでEpomin(商標)SP018(3.08部、70℃に予熱)を装入した。1時間後、反応が停止して、室温で、酸価が24.95mgKOH/gで、塩基当量が990.76である褐色の固体が得られた。これは分散剤34である。
【0186】
分散剤35:ポリマー無水物24(100.14部)を反応容器に装入し、70℃に加熱し、次いでEpomin(商標)SP018(7.66部、70℃に予熱)を装入した。1時間後、反応が停止して、室温で、酸価が18.85mgKOH/gで、塩基当量が1184.82である、クリーム色の固体が得られた。これは分散剤35である。
【0187】
分散剤36:ポリマー無水物25(50.03部)を反応容器に装入し、70℃に加熱し、次いでEpomin(商標)SP018(3.87部、70℃に予熱)を装入した。1時間後、反応が停止して、室温で、酸価が22.75mgKOH/gで、塩基当量が1123.03である、ベージュ色の固体が得られた。これは分散剤36である。
【0188】
分散剤37:ポリマー無水物26(40.01部)を反応容器に装入し、70℃に加熱し、次いでEpomin SP018(3.11部、70℃に予熱)を装入した。1時間後、反応が停止して、室温で、酸価が22.58mgKOH/gで、塩基当量が899.5である、褐色の固体が得られた。これは分散剤37である。
【0189】
分散剤38:ポリマー無水物9(47.09部)及びポリマー無水物1(47部)を反応容器に装入し、70℃に加熱し、次いでEpomin(商標)SP018(7.27部、70℃に予熱)を装入した。1時間後、反応が停止して、室温で、酸価が46.21mgKOH/gで、塩基当量が1064.50である、褐色の液体が得られた。これは分散剤38である。
【0190】
比較例
以下の例は、酸末端ポリマーが多官能性ポリアミン(特にPEI)と容易に反応できるという文献の教示に基づいており、したがって、各比較例では、中間体として使用されたものと同じ酸末端ポリマーを使用して、各場合において、可能な限り近い比較例を作り出す。
【0191】
使用される反応条件は、ポリエステル系PEI分散剤が作製されるUS6,197,877の分散剤1~29(実施例30~59)で使用される反応条件であるため、酸末端ポリマーを多官能性ポリアミン(特にPEI)と共に120℃で6時間、撹拌することである。更に、ポリエーテル系PEI分散剤が作製されるUS7767750(WO2005/010109A2)の分散剤1~28で使用されているのと同じ反応条件である。
【0192】
比較例1:酸末端ポリマー1(30.05部)を反応容器に装入し、70℃に加熱し、次いでEpomin(商標)SP018(2.31部、70℃に予熱)を装入し、温度を120℃に上昇させた。6時間後、反応が停止して、酸価が26mgKOH/gで、塩基当量が1392である、褐色がかったオレンジ色の蝋質固体が得られた。これは比較例1である。
【0193】
比較例2:酸末端ポリマー3(60.01部)を反応容器に装入し、70℃に加熱し、次いでEpomin(商標)SP018(4.62部、70℃に予熱)を装入し、温度を120℃に上昇させた。6時間後、反応が停止して、酸価が19mgKOH/gで、塩基当量が1505である、褐色のペーストが得られた。これは比較例2である。
【0194】
比較例3:酸末端ポリマー4(60.02部)を反応容器に装入し、70℃に加熱し、次いでEpomin(商標)SP018(4.62部、70℃に予熱)を装入し、温度を120℃に上昇させた。6時間後、反応が停止して、酸価が31mgKOH/gで、塩基当量が1882である、濁った暗褐色の液体が得られた。これは比較例3である。
【0195】
比較例4:酸末端ポリマー5(60.01部)を反応容器に装入し、70℃に加熱し、次いでEpomin(商標)SP018(4.64部、70℃に予熱)を装入し、温度を120℃に上昇させた。6時間後、反応が停止して、酸価が30mgKOH/gで、塩基当量が1791である、濁った粘性の淡褐色の液体が得られた。これは比較例4である。
【0196】
比較例5:酸末端ポリマー6(50.00部)を反応容器に装入し、70℃に加熱し、次いでEpomin(商標)SP018(3.87部、70℃に予熱)を装入し、温度を120℃に上昇させた。6時間後、反応が停止して、酸価が20mgKOH/gで、塩基当量が1745である、固体及び濁った液体の不均一な混合物が得られた。これは比較例5である。
【0197】
比較例6:酸末端ポリマー7(50.02部)を反応容器に装入し、70℃に加熱し、次いでEpomin(商標)SP018(3.85部、70℃に予熱)を装入し、温度を120℃に上昇させた。6時間後、反応が停止して、酸価が26mgKOH/gで、塩基当量が1369である、濁った褐色の液体が得られた。これは比較例6である。
【0198】
比較例7:酸末端ポリマー8(80.00部)を反応容器に装入し、70℃に加熱し、次いでEpomin(商標)SP018(6.15部、70℃に予熱)を装入し、温度を120℃に上昇させた。6時間後、反応が停止して、酸価が35mgKOH/gで、塩基当量が1502である、乳状の黄色の液体が得られた。これは比較例7である。
【0199】
比較例8:酸末端ポリマー9(50.01部)を反応容器に装入し、70℃に加熱し、次いでEpomin(商標)SP018(3.85部、70℃に予熱)を装入し、温度を120℃に上昇させた。6時間後、反応が停止して、酸価が15mgKOH/gで、塩基当量が1452である、透明なオレンジ色の液体が得られた。これは比較例8である。
【0200】
比較例9:酸末端ポリマー10(60.01部)を反応容器に装入し、70℃に加熱し、次いでEpomin(商標)SP018(4.62部、70℃に予熱)を装入し、温度を120℃に上昇させた。6時間後、反応が停止して、酸価が25mgKOH/gで、塩基当量が1558である、透明なオレンジ色の液体が得られた。これは比較例9である。
【0201】
比較例10:酸末端ポリマー11(60.00部)を反応容器に装入し、70℃に加熱し、次いでEpomin(商標)SP018(4.64部、70℃に予熱)を装入し、温度を120℃に上昇させた。6時間後、反応が停止して、酸価が30mgKOH/gで、塩基当量が1900である、粘性の褐色の液体が得られた。これは比較例10である。
【0202】
比較例11:酸末端ポリマー12(50.00部)を反応容器に装入し、70℃に加熱し、次いでEpomin(商標)SP018(3.87部、70℃に予熱)を装入し、温度を120℃に上昇させた。6時間後、反応が停止して、室温で、酸価が24mgKOH/gで、塩基当量が1409である、黄色の固体が得られた。これは比較例11である。
【0203】
比較例12:酸末端ポリマー13(50.51部)を反応容器に装入し、70℃に加熱し、次いでEpomin(商標)SP018(3.98部、70℃に予熱)を装入し、温度を120℃に上昇させた。6時間後、反応が停止して、室温で、酸価が27.01mgKOH/gで、塩基当量が1298.10である、曇ったオレンジ色の粘性の液体が得られた。これは比較例12である。
【0204】
比較例13:酸末端ポリマー14(65.98部)を反応容器に装入し、70℃に加熱し、次いでEpomin(商標)SP018(5.06部、70℃に予熱)を装入し、温度を120℃に上昇させた。6時間後、反応が停止して、室温で、酸価が20.89mgKOH/gで、塩基当量が1131.20である、透明な褐色の液体が得られた。これは比較例13である。
【0205】
比較例14:酸末端ポリマー15(45.13部)を反応容器に装入し、70℃に加熱し、次いでEpomin(商標)SP018(3.59部、70℃に予熱)を装入し、温度を120℃に上昇させた。6時間後、反応が停止して、室温で、酸価が18.71mgKOH/gで、塩基当量が2690.50である、くすんだ薄褐色の液体が得られた。これは比較例14である。
【0206】
比較例15:酸末端ポリマー17(51部)を反応容器に装入し、窒素存在下で撹拌しながら70℃に加熱し、次いでEpomin(商標)SP018(3部、70℃に予熱)を装入した。窒素存在下で撹拌しながら120℃に加熱した。10時間後、反応が停止して、酸価が9.2mgKOH/gで、塩基当量が1998である、淡黄色の濁った液体が得られた。これは比較例15である。
【0207】
比較例16:酸末端ポリマー20(39部)を反応容器に装入し、窒素存在下で撹拌しながら70℃に加熱し、次いでEpomin(商標)SP200(3部、70℃に予熱)を装入した。窒素存在下で撹拌しながら120℃に加熱した。6時間後、反応が停止して、酸価が9.8mgKOH/gで、塩基当量が1586である、暗琥珀色の液体が得られた。これは比較例16である。
【0208】
比較例17:酸末端ポリマー21(52部)を反応容器に装入し、窒素存在下で撹拌しながら70℃に加熱し、次いでEpomin(商標)SP018(4部、70℃に予熱)を装入した。窒素存在下で撹拌しながら120℃に加熱した。6時間後、反応が停止して、酸価が12.3mgKOH/gで、塩基当量が789である、黄色の液体が得られた。これは比較例17である。
【0209】
適用試験
適用試験試薬
Dowanol MPA、Sigma Aldrich製
トルエン、Fisher Scientific製
エタノール、Fisher Scientific製
酢酸エチル、Fisher Scientific製
Exxol D140、ExxonMobil製
Heliogen Blue L7101F、BASF製
Irgalite Rubine D4240、BASF製
Symular Carmine 6B400s、Sun Chemicals製
Bayferrox 130M、Lanxess製
3mmガラスビーズ、Sigmund Lindner製
【0210】
適用結果
【0211】
以下の表2~5に示される各分散剤(0.25部)を8ドラムのガラス瓶に添加し、溶媒(8.25部)を添加した。次いで、必要に応じて振とう及び加熱することにより分散剤を溶解した。溶解したら、3mmガラスビーズ(17部)、続いてHeliogen Blue L7101F(1.50部)を添加した。次いで、ガラス瓶を密封し、水平振とう機で16時間振とうした。次に、得られた分散体を、A~E(流体から粘性)の視覚的特性決定スケールを使用して流動性について評価した。
A-ガラスビーズの自由な運動(流体)
B-振とう後1分の運動
C-振とう後10秒の運動
D-振とう中の運動
E-運動なし(ゲル化)
【表1】
【表2】
【表3】
【表4】
【0212】
以下の表6~9に示される各分散剤(0.40部)を8ドラムのガラス瓶に添加し、溶媒(7.60部)を添加した。次いで、必要に応じて振とう及び加熱することにより分散剤を溶解した。溶解したら、3mmのガラスビーズ(17部)を添加し、続いてIrgalite Rubine D4240(2.00部)を添加した。次いで、ガラス瓶を密封し、水平振とう機で16時間振とうした。次に、得られた分散体を、A~E(流体から粘性)の視覚的特性決定スケールを使用して流動性について評価した。
A-ガラスビーズの自由な運動(流体)
B-振とう後1分の運動
C-振とう後10秒の運動
D-振とう中の運動
E-運動なし(ゲル化)
【表5】
【表6】
【表7】
【表8】
【0213】
以下の表10に示される各分散剤(0.40部)を8ドラムのガラス瓶に添加し、溶媒(7.60部)を添加した。次いで、必要に応じて振とう及び加熱することにより分散剤を溶解した。溶解したら、3mmのガラスビーズ(17部)を添加し、続いてSymuler Carmine 6B400s(2.00部)を添加した。次いで、ガラス瓶を密封し、水平振とう機で16時間振とうした。次に、得られた分散体を、A~E(流体から粘性)の視覚的特性決定スケールを使用して流動性について評価した。
A-ガラスビーズの自由な運動(流体)
B-振とう後1分の運動
C-振とう後10秒の運動
D-振とう中の運動
E-運動なし(ゲル化)
【表9】
【0214】
以下の表11に示される各分散剤(0.40部)を8ドラムのガラス瓶に添加し、溶媒(7.60部)を添加した。次いで、必要に応じて振とう及び加熱することにより分散剤を溶解した。溶解したら、3mmのガラスビーズ(17部)を添加し、続いてIrgalite Rubine(2.00部)を添加した。次いで、ガラス瓶を密封し、水平振とう機で16時間振とうした。次に、得られた分散体を、A~E(流体から粘性)の視覚的特性決定スケールを使用して流動性について評価した。
A-ガラスビーズの自由な運動(流体)
B-振とう後1分の運動
C-振とう後10秒の運動
D-振とう中の運動
E-運動なし(ゲル化)
【表10】
【0215】
以下の表12に示される各分散剤(0.10部)を8ドラムのガラス瓶に添加し、溶媒(4.90部)を添加した。次いで、必要に応じて振とう及び加熱することにより分散剤を溶解した。溶解したら、3mmのガラスビーズ(17部)を添加し、続いてBayferrox 130M(5.00部)を添加した。次いで、ガラス瓶を密封し、水平振とう機で16時間振とうした。次に、得られた分散体を、A~E(流体から粘性)の視覚的特性決定スケールを使用して流動性について評価した。
A-ガラスビーズの自由な運動(流体)
B-振とう後1分の運動
C-振とう後10秒の運動
D-振とう中の運動
E-運動なし(ゲル化)
【表11】
【0216】
各分散剤実施例21及び25並びに比較実施例16及び17(0.4部)をそれぞれ4:1のエタノール:酢酸エチル(v:v)(7.6部)に溶解することによって、分散体を調製する。次いで、3mmガラスビーズ(17部)及びIrgalite Rubine D4240顔料(2.0部、Pigment Red57.1 元BASF)を各溶液に添加し、内容物を水平振とう機で16時間粉砕する。粘度は、ガラスビーズがミルベース全体を運動する自由度を決定することによって評価する。試薬が存在しない場合を除いた全ての場合で、顔料は濡れており、均一な分散体が形成される。得られた分散体の粘度は、A~E(良好~不良)の視覚的特性決定スケールを使用して評価する。結果は以下に示され、これは、本発明の分散剤がより優れたより多くの流体分散体を生成することを明確に示している。各分散体の粒径は、分散体(0.04部)を粉砕し、4:1のエタノール:酢酸エチル(v:v)(8部)に希釈し、Nanotrac DLS粒径分析計で粒径を測定することによって得た。得られた結果は次の通りである。
【表12】
【0217】
粒径分析:上記の表2~12から選択した分散体を、適切な溶媒に希釈した(体積で約1:50)。以下の表9~10に示した各分散体について、粒子径分析を実施した。D50及びD90値は、強度に基づく分布から得た。
【表13】
【表14】
【表15】
【表16】
【表17】
【表18】
【0218】
粘度測定:粘度は、上記の表2~12から選択した分散体についてレオメータを使用して測定した。40s-1及び100s-1-2つのせん断速度は、データ比較のために選択した。
【表19】
【表20】
【0219】
本明細書で使用される場合、「含む(including)」、「含有する(containing)」、又は「により特徴付けられる(characterized by)」と同義である移行性用語「含む(comprising)」は、包括的又は無制限であり、追加の、列挙されていない要素、又は方法ステップを除外しない。しかしながら、本明細書の「含む(comprising)」の各列挙において、この用語は、代替実施形態として、「から本質的になる(consisting essentially of)」及び「からなる(consisting of)」という語句も包含することを意図しており、ここで、「からなる(consisting of)」は、指定されていない任意の要素又は工程を除外し、「から本質的になる(consisting essentially of)」は、考慮されている組成物又は方法の基本的及び新規の特徴に実質的に影響を与えない追加の引用されていない要素又はステップを含めることを可能にする。
【0220】
本発明をその好ましい実施形態に関連して説明したが、本明細書を読めば、その様々な修正が当業者に明らかになることを理解されたい。したがって、本明細書で開示される本発明は、添付の特許請求の範囲の範囲内に入るような修正を網羅することを意図していることを理解されたい。
例えば、本発明は、以下の項目を提供する。
(項目1)
以下の構造の分散剤であって、
【化1】

式中、
XはR-Q又は環状第二級アミンであり、XがR-Qの場合、Rは1~50個の炭素原子を含有する炭化水素鎖であり、Qは酸素、又はNR 、又はNHであり、但し、nが0であり、bが0である場合、QはNHのみをとることができ、R は1~18個の炭素原子を含有する炭化水素鎖であり、
はH、メチル、又はエチルであり、
は、最大3個の炭素原子を含有する炭化水素鎖であり、
は、水素、1~22個の炭素原子を含有するヒドロカルビル基、又はアルキル(メタ)アクリレート若しくは(メタ)アクリルアミドの残基であり、
bは0又は1であり、但し、n及びmの両方が、両方とも少なくとも1の場合、bは1のみをとることができ、
は、1~15個の炭素原子を含有する炭化水素鎖、又は-R (C=O)YR -であり、式中、YはO又はNH又はNR 10 であり、R は1~10個の炭素原子を含有する炭化水素鎖であり、R は2~10個の炭素原子を含有する炭化水素鎖であり、R 10 は1~20個の炭素原子を含有する炭化水素鎖であり、
nは0~65の任意の整数であり、mは0~35の任意の整数であり、但し、m+nは少なくとも3であり、
は、2~80個の炭素を含有する炭化水素であり、
q及びtはそれぞれ少なくとも1であり、
MAは、300~20,000g/molの数平均分子量を有するマルチアミン種であり、
は、1~4個の炭素、好ましくは1~2個の炭素を含有する炭素鎖であり、
p+zは、0又は1~200の任意の整数である、分散剤。
(項目2)
XがR-Qであり、Qが酸素である、項目1に記載の分散剤。
(項目3)
XがR-Qであり、QがNR である、項目1に記載の分散剤。
(項目4)
XがR-Qであり、QがNHであり、nが0であり、bが0である、項目1に記載の分散剤。
(項目5)
Xが環状第二級アミンであり、ピペリジン、モルホリン、4-メチルピペリジン、4-フェニルピペリジン、チオモルホリン、アゼチジン、1-メチルピペラジン、2-メチルピペラジン、及びピロリジン並びにそれらの混合物から選択される、項目1に記載の分散剤。
(項目6)
Rが1~30個の炭素原子を含有する炭化水素鎖である、項目1~5のいずれかに記載の分散剤。
(項目7)
Rが分岐又は直鎖、飽和又は不飽和の、アルキル、アリール、アラルキル、又はアルキルアリールの炭化水素鎖である、項目1~6のいずれかに記載の分散剤。
(項目8)
Rがハロゲン基を更に含有する、項目1~7のいずれかに記載の分散剤。
(項目9)
Rが、N又はOから選択されるヘテロ原子を含有する、項目1~7のいずれかに記載の分散剤。
(項目10)
が、エーテル、エステル、又はアミドからなる基から選択される官能基を含有する、項目1~7のいずれかに記載の分散剤。
(項目11)
が、Hである、項目1~10のいずれかに記載の分散剤。
(項目12)
が1~22個の炭素原子を含有する炭化水素鎖である、項目1~10のいずれかに記載の分散剤。
(項目13)
がアルキル(メタ)アクリレート又は(メタ)アクリルアミドの残基である、項目1~10のいずれかに記載の分散剤。
(項目14)
が、-R (C=O)YR -である、項目1~13のいずれかに記載の分散剤。
(項目15)
YがNHである、項目14に記載の分散剤。
(項目16)
Yが、NR 10 であり、R 10 が1~20個の炭素原子を含有する炭化水素鎖である、項目14に記載の分散剤。
(項目17)
10 がエステル、エーテル、又はアミド基を含む、項目16に記載の分散剤。
(項目18)
が、1~10個の炭素原子を含有する、直鎖又は分岐、飽和又は不飽和の炭化水素鎖である、項目1~13のいずれかに記載の分散剤。
(項目19)
が、2~7個の炭素原子を含有する炭化水素鎖である、項目18に記載の分散剤。
(項目20)
が、2~15個の炭素原子を含有する炭化水素鎖であり、式-N(R 11 )-(C=O)-を有するアミド官能基を含み、式中、R 11 はH又は1~4個の炭素原子を含有する炭化水素鎖である、項目1~13のいずれかに記載の分散剤。
(項目21)
が、2~20個の炭素原子を含有する、分岐又は直鎖、飽和又は不飽和の炭化水素鎖である、項目1~20のいずれかに記載の分散剤。
(項目22)
MAが、600~10,000g/molの数平均分子量を有する、項目1~21のいずれかに記載の分散剤。
(項目23)
MAが少なくとも4つのアミン基を有する、項目1~22のいずれかに記載の分散剤。
(項目24)
MAが、ポリエチレンイミン又は修飾ポリエチレンイミンを含む、項目1~23のいずれかに記載の分散剤。
(項目25)
前記分散剤を、(a)イソシアネート、ラクトン、エポキシ、無水物、環状カーボネート、マイケル付加反応を介した(メタ)アクリレート、及び/又は第一級若しくは第二級アミンと反応して、塩結合若しくは共有結合を形成する基を有するポリマー種、(b)前記アミン基を一酸化窒素に変換することができる酸化種、(c)塩化剤、と反応させるか、又は(d)前記マルチアミン種の第三級アミン基、若しくは前記マルチアミン種を含有する前記分散剤を四級化剤と反応させて、第四級化アミン基を形成することによって、前記分散剤が修飾される、項目24に記載の分散剤。
(項目26)
が1個又は2個の炭素原子を含有する、項目1~25のいずれかに記載の分散剤。
(項目27)
q+tが2~200の任意の整数である、項目1~26のいずれかに記載の分散剤。
(項目28)
q+tが2~150の任意の整数である、項目27に記載の分散剤。
(項目29)
qがt以上である、項目1~28のいずれかに記載の分散剤。
(項目30)
p+zが0である、項目1~29のいずれかに記載の分散剤。
(項目31)
p+zが1~200の任意の整数である、項目1~29のいずれかに記載の分散剤。
(項目32)
p+zが2~200の任意の整数である、項目31のいずれかに記載の分散剤。
(項目33)
nが1~65の任意の整数である、項目1~32のいずれかに記載の分散剤。
(項目34)
nが0である、項目1~32のいずれかに記載の分散剤。
(項目35)
mが1~35の任意の整数である、項目1~34のいずれかに記載の分散剤。
(項目36)
mが0である、項目1~33のいずれかに記載の分散剤。
(項目37)
mが5~16である、項目35に記載の分散剤。
(項目38)
m+nが3~65である、項目1~37のいずれかに記載の分散剤。
(項目39)
m+nが5~30である、項目1~37のいずれかに記載の分散剤。
(項目40)
bが1であり、m+nが少なくとも4である、項目1~32のいずれかに記載の分散剤。
(項目41)
分散剤を調製する方法であって、当該方法が以下の工程、
(a)以下の式のアルコール末端ポリマーを提供することと、
X-(CH CHR -O) [R -N(R )] -[(C=O)R -O] -H、式中、
XはR-Q又は環状アミンであり、Rは1~50個の炭素原子を含有する炭化水素鎖であり、QはO、又はNR 、又はNHであり、但し、nが0であり、bが0である場合、XはNHのみをとることができ、
は、1~18個の炭素原子を含有する炭化水素鎖であり、
はH、メチル、又はエチルであり、
は、最大3個の炭素原子を含有する炭化水素鎖であり、
は、水素、1~22個の炭素原子を含有するヒドロカルビル基、又はアルキル(メタ)アクリレート若しくは(メタ)アクリルアミドの残基であり、
bは0又は1であり、但し、n及びmの両方が、両方とも少なくとも1の場合、bは1のみをとることができ、
は、1~15個の炭素原子を含有する炭化水素鎖、又は-R (C=O)YR -であり、式中、YはO又はNH又はNR 10 であり、R は1~10個の炭素原子を含有する炭化水素鎖であり、R は1~10個の炭素原子を含有する炭化水素鎖であり、R 10 は1~20個の炭素原子を含有する炭化水素鎖であり、
nは0~65の任意の整数であり、mは0~35の任意の整数であり、但し、m+nは少なくとも3である)
(b)アルコール末端ポリマーを環状無水物と反応させて、酸末端ポリマーを提供することと、
(c)前記酸末端ポリマーを非環状無水物と反応させて、無水物の混合物を提供することと、
(d)前記無水物の混合物を、分散剤分子を形成するために300~20,000の数平均分子量を有するマルチアミン種と反応させることと、とを含む分散剤を調製する方法。
(項目42)
XがR-Qであり、Qが酸素である、項目41に記載の分散剤。
(項目43)
XがR-Qであり、QがNR である、項目41に記載の分散剤。
(項目44)
XがR-Qであり、QがNHであり、nが0であり、bが0である、項目41に記載の分散剤。
(項目45)
Xが環状第二級アミンであり、ピペリジン、モルホリン、4-メチルピペリジン、4-フェニルピペリジン、チオモルホリン、アゼチジン、1-メチルピペラジン、2-メチルピペラジン、及びピロリジン並びにそれらの混合物から選択される、項目41に記載の分散剤。
(項目46)
Rが1~30個の炭素原子を含有する炭化水素鎖である、項目41~45のいずれかに記載の分散剤。
(項目47)
Rが分岐又は直鎖、飽和又は不飽和の、アルキル、アリール、アラルキル、又はアルキルアリールの炭化水素鎖である、項目41~46のいずれかに記載の分散剤。
(項目48)
Rがハロゲン基を更に含有する、項目41~47のいずれかに記載の分散剤。
(項目49)
Rが、N又はOから選択されるヘテロ原子を含有する、項目41~47のいずれかに記載の分散剤。
(項目50)
が、エーテル、エステル、又はアミドからなる基から選択される官能基を含有する、項目41~47のいずれかに記載の分散剤。
(項目51)
が、Hである、項目41~50のいずれかに記載の分散剤。
(項目52)
が1~22個の炭素原子を含有する炭化水素鎖である、項目41~50のいずれかに記載の分散剤。
(項目53)
がアルキル(メタ)アクリレート又は(メタ)アクリルアミドの残基である、項目41~50のいずれかに記載の分散剤。
(項目54)
が、-R (C=O)YR -である、項目41~53のいずれかに記載の分散剤。
(項目55)
YがNHである、項目54に記載の分散剤。
(項目56)
Yが、NR 10 であり、R 10 が1~20個の炭素原子を含有する炭化水素鎖である、項目54に記載の分散剤。
(項目57)
10 がエステル、エーテル、又はアミド基を含む、項目56に記載の分散剤。
(項目58)
が、1~10個の炭素原子を含有する、直鎖又は分岐、飽和又は不飽和の炭化水素鎖である、項目41~53のいずれかに記載の分散剤。
(項目59)
が、2~7個の炭素原子を含有する炭化水素鎖である、項目58に記載の分散剤。
(項目60)
が、2~15個の炭素原子を含有する炭化水素鎖であり、式-N(R 11 )-(C=O)-を有するアミド官能基を含み、式中、R 11 はH又は1~4個の炭素原子を含有する炭化水素鎖である、項目1~53のいずれかに記載の分散剤。
(項目61)
前記環状無水物が、グルタル酸無水物、1,2-シクロヘキサンジカルボン酸無水物、ホモフタル酸無水物、ジグリコール酸無水物、コハク酸無水物、ポリイソブチレンコハク酸無水物、2-フェニルコハク酸無水物、アルキル(アルケニル)コハク酸無水物、又はそれらの混合物からなる群から選択される、項目41~60のいずれかに記載の方法。
(項目62)
前記環状無水物がコハク酸無水物を含む、項目61に記載の方法。
(項目63)
前記環状無水物がグルタル酸無水物を含む、項目61に記載の方法。
(項目64)
前記非環状無水物がプロピオン酸無水物を含む、項目41~63のいずれかに記載の方法。
(項目65)
前記非環状無水物が無水酢酸を含む、項目41~64のいずれかに記載の方法。
(項目66)
無水物とマルチアミン種との前記混合物が1:1~25:1の重量比で反応する、項目41~65のいずれかに記載の方法。
(項目67)
前記分散剤分子を、(a)イソシアネート、ラクトン、エポキシ、無水物、環状カーボネート、マイケル付加反応を介した(メタ)アクリレート、及び/又は第一級若しくは第二級アミンと反応して塩結合若しくは共有結合を形成する基を有するポリマー種、(b)前記アミン基を一酸化窒素に変換することができる酸化種、(c)塩化剤、と反応させる工程か、又は(d)前記マルチアミン種の第三級アミン基、若しくは前記マルチアミン種を含有する前記分散剤を四級化剤と反応させて、第四級化アミン基を形成する工程(e)
を更に含む、項目41~66のいずれかに記載の方法。