(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-02-21
(45)【発行日】2025-03-04
(54)【発明の名称】液体送達システム
(51)【国際特許分類】
F16L 41/02 20060101AFI20250225BHJP
F17D 3/01 20060101ALI20250225BHJP
F17D 1/08 20060101ALI20250225BHJP
【FI】
F16L41/02
F17D3/01
F17D1/08
(21)【出願番号】P 2022130344
(22)【出願日】2022-08-18
(62)【分割の表示】P 2021004646の分割
【原出願日】2017-04-04
【審査請求日】2022-08-18
(73)【特許権者】
【識別番号】518057228
【氏名又は名称】アイコール・システムズ・インク
(74)【代理人】
【識別番号】110003579
【氏名又は名称】弁理士法人山崎国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100173978
【氏名又は名称】朴 志恩
(74)【代理人】
【識別番号】100118647
【氏名又は名称】赤松 利昭
(74)【代理人】
【識別番号】100123892
【氏名又は名称】内藤 忠雄
(74)【代理人】
【識別番号】100169993
【氏名又は名称】今井 千裕
(72)【発明者】
【氏名】クリス・メルセル
(72)【発明者】
【氏名】フィリップ・リャン・バロス
(72)【発明者】
【氏名】ハルユキ・クボタ
(72)【発明者】
【氏名】ランドルフ・トゥルール
(72)【発明者】
【氏名】トッド・クシュマン
(72)【発明者】
【氏名】グレッグ・パトリック・マリガン
【審査官】伊藤 紀史
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-022926(JP,A)
【文献】特開2005-240989(JP,A)
【文献】特開2005-326005(JP,A)
【文献】特開平09-264440(JP,A)
【文献】特開昭59-047593(JP,A)
【文献】特開2007-024307(JP,A)
【文献】特開2010-203533(JP,A)
【文献】特開2010-017939(JP,A)
【文献】特開2002-048299(JP,A)
【文献】特開2000-146051(JP,A)
【文献】特開2007-139196(JP,A)
【文献】特開2006-046502(JP,A)
【文献】特開2016-136637(JP,A)
【文献】特開2005-140230(JP,A)
【文献】特開2006-132662(JP,A)
【文献】特開平11-118054(JP,A)
【文献】特開2006-153180(JP,A)
【文献】特開平11-280967(JP,A)
【文献】特開2003-322127(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2005/0242519(US,A1)
【文献】国際公開第2006/059362(WO,A1)
【文献】特開2011-149554(JP,A)
【文献】特開2008-210982(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16L 41/02
F17D
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板ブロックであって、
上面と、
前記上面の
基板ブロックの入口ポートであって、第1の基板
ブロックリングによって画定される、
基板ブロックの入口ポートと、
前記上面の
基板ブロックの出口ポートであって、第2の基板
ブロックリングによって画定される、
基板ブロックの出口ポートと、
前記
基板ブロックの入口ポートと前記
基板ブロックの出口ポートとの間の経路に沿って延びる基板流路と、
を備え、
前記
基板ブロックの入口ポートには、前記第1の基板
ブロックリングから入口ポート軸に沿って延びる円錐形部分が設けられ、
前記
基板ブロックの出口ポートには、前記第2の基板
ブロックリングから出口ポート軸に沿って延びる円錐形部分が設けられ、
前記経路は、前記
基板ブロックの入口ポート軸から前記
基板ブロックの出口ポート軸まで延びる円弧を含み、コーナーまたは角度のある壁を有さず、
前記入口ポート軸および前記出口ポート軸は前記経路の前記円弧と交差し、前記入口ポート軸および前記出口ポート軸は前記経路に正接していない、基板ブロック。
【請求項2】
前記基板ブロックが、前記上面から前記上面の反対側の下面まで延びる複数の外壁をさらに備える、請求項1に記載の基板ブロック。
【請求項3】
前記複数の外壁が、前記基板ブロックの下面に形成された空洞を画定する、請求項2に記載の基板ブロック。
【請求項4】
前記基板ブロックが、前記空洞の内面から前記基板ブロックの下面まで延びる支持壁をさらに備える、請求項3に記載の基板ブロック。
【請求項5】
前記複数の外壁と前記支持壁が互いに離間している、請求項4に記載の基板ブロック。
【請求項6】
前記空洞が内面を含み、該内面が前記基板流路の形状に対応する部分を有する、請求項3に記載の基板ブロック。
【請求項7】
前記基板ブロックがフルオロポリマー材料から形成される、請求項1に記載の基板ブロック。
【請求項8】
前記基板ブロックが、PTFEまたはPFAのうちの1つで形成される、請求項7に記載の基板ブロック。
【請求項9】
前記上面を通って延びる締結具穴をさらに備える、請求項1に記載の基板ブロック。
【請求項10】
前記基板ブロックが、前記上面の反対側の下面を備え、前記締結具穴が、前記下面から前記上面までの距離全体よりも短い距離で延在する、請求項9に記載の基板ブロック。
【請求項11】
前記締結具穴が、長さに沿って延び、前記締結具穴が前記長さに沿って先細になっている、請求項9に記載の基板ブロック。
【請求項12】
前記
基板ブロックの入口ポート
に設けられた前記円錐形部分が、前記第1の基板
ブロックリングと同心
である、請求項1に記載の基板ブロック。
【請求項13】
前記円錐
形部分が前記基板流路に結合する、請求項1に記載の基板ブロック。
【請求項14】
流体送達システムであって、
バック・プレーンと、
前記バック・プレーンの上面に取り付けられた基板ブロックであって、該基板ブロックは、
上面と、
前記上面の
基板ブロックの入口ポートであって、第1の基板
ブロックリングによって画定される、
基板ブロックの入口ポートと、
前記上面の
基板ブロックの出口ポートであって、第2の基板
ブロックリングによって画定される、
基板ブロックの出口ポートと、
前記基板
ブロックの入口ポートと前記基板
ブロックの出口ポートとの間をコーナーまたは角度のある壁のない単一の円弧で延びる基板流路と、
前記基板ブロックの前記上面の反対側である前記基板ブロックの下面に形成された空洞であって、前記基板流路は、前記空洞の底部の一部を形成する、空洞と、
を備える、基板ブロックと、
能動構成要素であって、
下面と、
前記下面の
能動構成要素
の入口ポートであって、第1の
能動構成要素リングによって画定される、
能動構成要素
の入口ポートと、
前記下面の
能動構成要素
の出口ポートであって、第2の
能動構成要素リングによって画定される、
能動構成要素
の出口ポートと、
前記
能動構成要素
の入口ポートから前記
能動構成要素
の出口ポートまで延びる構成要素流
体通路と、
を備える、能動構成要素と、
シールリングであって、
長手方向軸に沿って延びるスリーブ流路を画定する内部スリーブと、
外部リングであって、(1)前記外部リングの上部と前記内部スリーブの上部との間に環状の上部スリーブ溝が形成され、かつ(2)前記内部スリーブの下部と前記外部リングの下部との間に環状の下部スリーブ溝が形成されるように、前記内部スリーブに接続され、前記内部スリーブを囲む、外部リングと、
を備える、シールリングと、
を備え、
前記能動構成要素は、前記
基板ブロックの出口ポートと前記構成要素
の入口ポートが整列するように前記基板ブロックに取り付けられ、前記環状の上部スリーブ溝は
前記第1
の能動構成要素リングを受け入れ、前記環状の下部スリーブ溝は前記第2の
基板ブロックリングを受け入れるように構成され、
前記能動構成要素は、前記バック・プレーンから間隔をあけて分離され、
前記
基板ブロックの入口ポートには、前記第1の基板
ブロックリングから入口ポート軸に沿って延びる円錐形部分が設けられ、
前記
基板ブロックの出口ポートには、前記第2の基板
ブロックリングから出口ポート軸に沿って延びる円錐形部分が設けられ、
前記入口ポート軸と前記出口ポート軸のそれぞれは、前記基板流路の前記円弧と交差し、前記入口ポート軸および前記出口ポート軸は前記円弧に正接していない、流体送達システム。
【請求項15】
支持壁が、前記空洞の内面から前記基板ブロックの下面まで延在する、請求項14に記載の流体送達システム。
【請求項16】
前記基板ブロックが、フルオロポリマー材料から形成される、請求項14に記載の流体送達システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、その全体が参照により本明細書に組み込まれている、2016年4月4日に出願された「LIQUID DELIVERY SYSTEM」という名称のChris Melcer他による米国仮特許出願第62/318,202号の優先権を主張するものである。
【0002】
本発明は、液体化学物質送達システムに関し、より詳細には、専有面積が大幅に低減されたモジュール式の無管液体化学物質送達システムに関する。
【背景技術】
【0003】
液体送達および分配システムは、半導体デバイスの製造、医薬品の製造などを含むさまざまな用途で使用されている。例えば、半導体ウェーハは、その製造プロセス中に、エッチング、洗浄、研磨、乾燥および材料付着など、さまざまな液体処理プロセスにかけられる。半導体基板処理では一般に、要求に応じて精確な量の液体化学物質が送達されること、気泡を含まないこと、基板の使用可能部分上の厚さが均一であること、ならびにコストおよび環境上の懸念から化学廃棄物を最小限に抑えることが要求される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
流量制御器、圧力変換器、流量測定センサ、圧力調節器、弁などのさまざまなタイプの能動構成要素を使用するプロセスに供給源から液体化学物質を送達するために、さまざまなタイプの液体送達システムが使用されている。これらの用途の多くで、液体化学物質分配システムのサイズはコストに劇的な影響を及ぼしうる。例えば、半導体デバイスの製造において、液体分配システムまたは液体分配システムのある部分は通常、クリーン・ルームなどの極めてクリーンな環境の中に収容される。さらに、半導体の製造において使用される液体の多くは有毒であるかもしくは反応性が高いか、またはその両方であるため、このような分配システムはしばしば、特別な封じ込めおよび排気機器を必要とする。このようなシステムについては、流体分配システムのサイズの低減が有利である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の実施形態によれば、液体化学物質の分配を可能にするモジュール式システムが提供される。このシステムは、基板ブロックを備え、この基板ブロックは、ブロックの第1の主表面に形成された少なくとも2つのポートと、それらの2つのポート間に延びる流体通路とを含む。流体の流れが流路全体を隈なく完全に広がって流れ、前記流体通路内で滞留する停滞容積または領域が存在しないように、この流体経路は、流体経路の容積全体が所望の流体の流れに完全に一致した、継目のない滑らかな経路であることが好ましい。
【0007】
本発明の別の実施形態によれば、新規の組成および製造プロセスを使用して、フッ素ポリマーから基板ブロックを形成することができる。
【0008】
本発明の別の実施形態によれば、交換可能なインサート型シールとモジュール式構成要素内に形成された突縁と溝状のシールとの組合せを使用した密封アセンブリが提供される。
【0009】
以上では、以下の本発明の詳細な説明をより十分に理解できるように、本発明の特徴および技術上の利点をかなりおおまかに概説した。以下では、本発明の追加の特徴および追加の利点を説明する。開示される着想および特定の実施形態を、本発明の同じ目的を達成するために他の構造を変更または設計するためのベースとして容易に利用することができることを当業者は理解すべきである。さらに、このような等価の構造は、添付の特許請求の範囲に記載された本発明の趣旨および範囲を逸脱しないことを当業者は理解すべきである。
【0010】
次に、本発明および本発明の利点のより完全な理解のため、添付図面に関して書かれた以下の説明を参照する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図2】本発明の一実施形態に基づくモジュール式液体化学物質送達システムの斜視 図である。
【
図3】
図1のモジュール式液体化学物質送達システムの下面斜視図である。
【
図4】本発明の実施形態に基づくモジュール式基板ブロックを示す図である。
【
図6A】
図4の基板ブロックの断面の斜視図である。
【
図6B】
図4の基板ブロックの断面の斜視図である。
【
図8A】本発明の実施形態に基づくモジュール式基板ブロックの別の実施形態を示 す図である。
【
図8B】本発明の実施形態に基づくモジュール式基板ブロックの別の実施形態を示 す図である。
【
図9A】一実施形態に基づく別のモジュール式基板ブロックの頂面(シール側)斜 視図である。
【
図9B】
図9Aのモジュール式基板ブロックの下面斜視図である。
【
図10B】線AAに沿った
図9Aのモジュール式基板ブロックの断面図である。
【
図10C】線BBに沿った
図9Aのモジュール式基板ブロックの断面図である。
【
図11A】基板ブロックおよび能動構成要素を通る一実施形態に基づく流体流れ経 路を示す図である。
【
図12A】一実施形態に基づく交換可能なインサート・シールを示す図である。
【
図12B】一実施形態に基づく交換可能なインサート・シールを示す図である。
【
図13A】一実施形態に基づく交換可能なインサート・シールを示す図である。
【
図14A】一実施形態に基づく基板ブロックを示す図である。
【
図14B】交換可能なインサート・シールの別の実施形態を示す図である。
【
図16A】一実施形態に基づく別の交換可能なインサート・シールの斜視図である 。
【
図17A】2次シール構造または1次シール構造として使用することができる本発 明の実施形態に基づくさまざまな可能な突縁と溝状の構造を示す図である。
【
図17B】2次シール構造または1次シール構造として使用することができる本発 明の実施形態に基づくさまざまな可能な突縁と溝状の構造を示す図である。
【
図17C】2次シール構造または1次シール構造として使用することができる本発 明の実施形態に基づくさまざまな可能な突縁と溝状の構造を示す図である。
【
図17D】2次シール構造または1次シール構造として使用することができる本発 明の実施形態に基づくさまざまな可能な突縁と溝状の構造を示す図である。
【
図18】本発明の一実施形態に基づく液体化学物質送達システムの別の実施形態を 示す図である。
【
図19】能動構成要素が埋め込まれた一実施形態に基づく基板ブロックの透視図で ある。
【発明を実施するための形態】
【0012】
添付図面を一定の尺度で描くことは意図されていない。これらの図面では、さまざまな図に示された同一の構成要素またはほぼ同一の構成要素がそれぞれ同様の符号によって表されている。分かりやすくする目的上、全ての図面の全ての構成要素に符号が付されているわけではない。
【0013】
本発明の実施形態は、先行技術のシステムよりも専有面積が大幅に小さいモジュール式の無管液体化学物質送達システムを提供する。気体の送達および分配に使用するモジュール式流体送達システムはよく知られているが、これらの先行技術のシステムを、液体化学物質送達システムに適さないものにするいくつかの因子が存在する。第1に、(流体通路を提供する)先行技術のモジュール式基板ブロックは通常、ステンレス鋼などの固体金属から製作される。半導体製造で使用される液体化学物質の多くは金属を腐食させる。さらに、金属表面と接触した液体中に金属イオンが抽出される傾向があり、その結果、非常に望ましくないことに、製造プロセス中に金属イオンがウェーハ表面に付着しうる。
【0014】
さらに、先行技術の基板ブロック内の流体通路、入口ポートおよび出口ポートは、材料ブロックを穿孔することによって形成される。このような先行技術の基板ブロック101が
図1Aおよび1Bに示されている。
図1Bの内部通路は破線で示されている。
図4Bに示されているように、所望の流体通路106を穿設すると、内部流体通路106が入口ポートおよび出口ポート102と交わるところに、ある量の「オーバーシュート」(領域107、108)が生じる。((ポート102を備える)基板ブロックの上面104に対して平行な方向に走る)内部流体経路を穿設するためには、基板ブロックの側面109からドリルを入れる必要があり、基板ブロックの側面109からドリルを入れたときには、所望の流体通路を隔離するために、穿設した通路の一部分を栓105で塞ぐ必要がある。これらの因子は全て、流体経路内に、ある程度の望ましくない停滞容積ができることに帰着する。
【0015】
本発明の実施形態は、ポリプロピレン、PTFE、改質PTFEまたはPFAなどのポリマーまたはフッ素ポリマーから形成されたモジュール式基板ブロックを利用する。好ましい実施形態では、85±5℃の超純水中での7日間静的浸出試験において表面抽出可能イオン、金属、および全有機炭素汚染に関するSEMI F57に記載された要件を満たす材料からモジュール式基板ブロックが形成される。
【0016】
図4は、本発明の実施形態に基づくモジュール式基板ブロック401を示す。モジュール式基板ブロック401は、ブロックの上面404に位置する2つのポート402をつなぐ単一の流体経路406を有する。いくつかの実施形態では、さまざまなサイズのブロックを使用することができ、そのうちの一部は、同じブロック内に多数のポート対および多数の流体通路を有する。さらに
図2~3を参照すると、モジュール式基板ブロック401を「ジャンパ・ブロック」と呼ぶことができ、モジュール式基板ブロック401を使用して、例えば、2つの能動構成要素を流体接続する(第1の能動構成要素の出口を第2の能動構成要素の入口に接続する)こと、または1つの能動構成要素を別の基板ブロックに接続することができる。後に説明するが、いくつかの実施形態では、多数の流れの通路および入口/出口ポートを有する基板ブロックを使用することもできる。
【0017】
図2は、本発明の一実施形態に基づくモジュール式液体化学物質送達システム200の斜視図である。
図3は、
図2のモジュール式液体化学物質送達システム200の下面斜視図であり、バック・プレーンは省かれており、分かりやすくするために一部の基板ブロックは示されていない。
図2の実施形態では、システムに対する3つの層、すなわち(流量制御器、圧力変換器、流量測定センサ、圧力調節器、弁などの)能動構成要素からなる最上位層、(能動構成要素間の流体接続を形成する役目を果たす)基板ブロックからなる2番目の中間層、およびシステム全体のための支持構造の働きをするバック・プレーンがある。
【0018】
さらに
図8Aおよび8Bを参照すると、基板ブロック201は通常、基板ブロックを所定の位置に保持するために基板の上面(入口/出口ポートを含む同じ表面)から締結具穴852を通ってバック・プレーン内へ延びるねじまたは他の同様の締結具によってバック・プレーン210に装着される。いくつかの実施形態では、安定性を追加するために、隣接する基板ブロックを互いに結合することもできる。
【0019】
それぞれの能動構成要素(212、213、214、215、216、217)は、少なくとも2つのねじまたは同様の締結具によって、1つ(または複数)の基板ブロック201上の所定の位置に、保持することができる。この少なくとも2つのねじまたは同様の締結具は、能動構成要素を基板ブロックに取り付け、基板ブロックの表面の入口/出口ポートに対して適当な位置に能動構成要素を保持する役目を果たす。通常、能動構成要素は、入口/出口ポートの両側にある2つのねじ穴854によって第1の基板ブロックに取り付けることができ、同じやり方で第2の基板ブロック(およびポート)に取り付けることができる。いくつかの実施形態では、能動構成要素の接続ねじと嵌合する金属の雌ねじを有するインサートを、基板ブロックのポリマー本体の内部に適当に配置することができる。本明細書の図面では、分かりやすくするためにほとんどの図に締結具穴およびねじ穴が示されていない。
【0020】
基板ブロックを使用するこのモジュール方式でも、それぞれの構成要素に直接にアクセスすることができ、能動構成要素の装着および取外しには、限定はされないがアレン・レンチなどの手動の手工具だけが必要である。能動構成要素に直接にアクセスすることができることで、損傷した能動構成要素だけを取り外すことにより修理を単純にし、それによって稼動停止時間を短くすることが可能である。基板ブロックが標準化されているため、システム内の任意の場所に能動構成要素を置くことができる。
【0021】
図2の実施形態では、液体化学物質送達システムへの液体接続および液体化学物質送達システムからの液体接続が、管継手215によって実施される。プロセスで使用される1種または数種の液体化学物質は通常、貯蔵タンク(図示せず)から管を通って流れる。管は、管継手215によってシステム200に接続される。液体化学物質は、システム200に入ると、配置された基板ブロックを介してさまざまな能動構成要素に流れ、最終的に、所望の加工サイトに通じる1本または数本の送達管に(やはり管継手215を介して)送達される。
図2の実施形態では、能動構成要素が、調節器214、圧力変換器217、弁216、液体流量制御器213および流量計212を含む。本明細書で使用されるとき、液体送達システムの(能動構成要素および基板ブロックを含む)全てのシステム構成要素および入口管継手から出口管継手までのこのような構成要素間の空きスペースが占有する総面積は、システム「専有面積」と呼ばれる。
【0022】
本明細書に記載された方法を使用して、事実上任意の所望のサイズおよび構成を有する基板ブロックを形成することができるが、
図4の実施形態では、基板ブロックの幅が約55mm、厚さが約25mm(1インチ)である。流れ経路の内径は、例えば1/4インチ、3/8インチまたは1/2インチを含む所望の任意のサイズとすることができる。重要には、好ましい実施形態では、内部流体経路が、実質的に継目のない滑らかな通路であり、経路の容積全体が所望の流体の流れに完全に一致している。言い換えると、
図1Bの先行技術の構造に見られるような停滞容積・領域または栓がされた部分が存在しない。特にスラリに関しては、停滞容積は、粒子の滞留および大粒子数の望ましくない増大に帰着しうる。本発明の実施形態に基づく基板ブロックは、300リットルの噴流内において<0.1粒子/ml(粒径>0.1μm)を達成することに寄与する。
【0023】
図4は、本発明の実施形態に基づくモジュール式基板ブロック401を示す。いくつかの実施形態では、2つの別個のフッ素ポリマー層を機械加工し、次いでそれらの層を継目426のところで溶融接着することにより1つに接合することによって、
図4の基板ブロックを製造することができる。
図5Aおよび5Bは、上層522および下層523を示す分解図を示し、
図6Aおよび6Bは、線A-Aに沿った
図4の基板ブロックの断面の斜視図を示し、
図7は、線A-Aに沿った
図4の基板ブロックの断面図を示す。公知の技法を使用して下層523の上面を機械加工して、所望の流路位置に滑らかな溝528を形成することができる。上層522の底面を機械加工して、対応する溝(図示せず)を形成することができる。さらに、流路のそれぞれの端に、上層522を貫通する入口ポートおよび出口ポート402を穿設することができる。これらの2つの層を1つに合わせると、対応する2つの溝が、
図6Aおよび6Bに示された滑らかな流路606を形成する。
【0024】
これらの2つの層を機械加工し、適正に配置した後、熱と圧力の組合せによる溶融接着技法を使用して、これらの2つの層を接着して1つにすることができる。溶融接着に必要な温度/圧力/時間の精密な組合せは当技術分野において知られており、その組合せは、層を形成するために使用する具体的なフッ素ポリマーによって異なる。いくつかの実施形態では、これらの2つの層を改質PTFAから形成することができ、約450psiの圧力下で約350℃から380℃の温度に1時間(またはそれよりも長い時間)加熱することにより、これらの層を接着して1つにすることができる。これらの条件下で、2つの層内の改質PTFEポリマー鎖は絡み合い、それによって2つの表面が分子レベルで恒久的に接着され、改質PTFEの均質な中実ブロックが形成される。
【0025】
図4の基板ブロックは、2つの入口/出口ポートだけをつなぐ非常に単純な単一の流れ通路を有するが、これらの同じ技法を使用して、所望の任意の数の入口/出口ポート間にそれよりもはるかに複雑な流れ通路を生み出すことができることを当業者は認識する。例えば、
図8Aおよび8Bは、4つの異なる流路825および8つの入口/出口ポート820を備える基板ブロックを示す。いくつかの実施形態では、2つ以上のフッ素ポリマー層を使用して、よりいっそう複雑な3D流れ経路を生み出すことができる。その内部で2つ以上の入口流れ経路が単一の出口流れ経路と結合したマニホルドとして、基板ブロックを使用することもできる。
【0026】
他の実施形態では、圧縮成形またはアイソスタティック成形などの公知のフッ素ポリマー成形技法を使用して、所望の流れ通路および入口/出口ポートを有するフッ素ポリマー・ブロックを生み出すことができる。いくつかの適当なフッ素ポリマー(PFAなどの)は、溶融加工が可能であることが知られており、射出成形技法を使用してそれらのフッ素ポリマーを成形することができる。他の実施形態では、PTFEまたは他のフッ素ポリマー粉末を型に充填し、次いでその型を適切な条件下で焼結させて、
図5Aおよび5Bに示されたものなどの2つの層を、1つまたは複数の流路を形成するための機械加工を一切必要とすることなく形成することができる。同様のやり方でPTFEまたは他のフッ素ポリマー粉末を焼結させることによって、1つまたは複数の流路を有する完全な基板ブロックを直接に形成することができる。これらの技法のうちの一部もしくは全ての技法の使用またはこれらの技法の任意の組合せの使用も本発明の範囲に含まれることを当業者は認識する。
【0027】
図9Aおよび9Bはそれぞれ、頂面(シール側)および底面から見た、本発明の実施形態に基づく別のモジュール式基板ブロック901の斜視図を示す。いくつかの実施形態では、PFAなどの材料を使用した射出成形によって
図9Aおよび9Bの基板ブロックを製造することができるが、本発明の範囲に含まれる他の適当な製造方法および材料を使用することもできる。
図10Aは、モジュール式基板ブロック901の頂面(シール)図、
図10Bは、線AAに沿った断面図、
図10Cは、線BBに沿った断面図を示す。
【0028】
いくつかの実施形態では、多数の部分からなる型を使用して、モジュール式基板ブロックの本体を形成することができ、滑らかな流体経路906を形成するために、取外し可能な湾曲したインサートが使用される。製造方法が厳密に何であるかを問わず、モジュール式基板ブロックの実施形態は、流体の流れが流路全体を隈なく完全に広がって流れ、前記流体通路内で滞留する停滞容積または領域が存在しないように、流体経路の容積全体が所望の流体の流れに完全に一致する、実質的に継目のない1つまたは複数の滑らかな流体経路を含む。
図10Bの実施形態では、流体流れ経路が、コーナまたは角張った壁のない滑らかな弧を形成する。このような弧は、液体が滞留する停滞容積または領域を大幅に排除するのに役立つ。
【0029】
このモジュール式基板ブロックの本体は、上で論じた例と同様に、流体経路およびねじ穴を除いて、実質的に中実の材料ブロックとして形成することができる。他の実施形態では、
図9Aから11Cの例に示されているように、このモジュール式基板ブロックの本体を、必要な支持壁959だけを有するように形成することができる。このような実施形態は、本体の異なる全てのセクションの厚さが実質的に同じであり、それにより、不要な空隙を回避するために型の全てのセクションに均一に充填するのがより容易になるため、射出成形に対して特に有利である。
図9Bに示されたこのような実施形態は、
図4の中実構造に比べて表面積が大きく、このことが、モジュール式基板ブロックがより高い温度に耐えることを可能にする可能性がある。
【0030】
いくつかの実施形態では、顕著な継目または成形アーチファクトを除去し、流路が滑らかであることを保証するために、所望の流れ経路を含む基板ブロックが形成された後に、基板ブロックの中に研磨材を勢いよく流すことができる。あるいは、特別に設計されたツールを使用して、内部流れ経路を、手動でまたは自動的に滑らかにすることもできる。
【0031】
再び
図2~3を参照する。本発明に基づく基板ブロックを組み合わせて、能動構成要素(例えば弁、圧力変換器、流量制御器など)の事実上任意の所望の配置を介して液体源をプロセスに接続する流れ経路であって、溶接部および管のない流れ経路を形成することができる。液体は、別個の管を通ってではなく、基板ブロック内の通路を通って流れる。このようにして、本発明は、少なくとも1つの流体通路と共通の表面にアクセスする入口および出口ポートとをそれぞれが有する複数の個々の基板ブロックを提供することにより、先行技術の課題を解決する解決策を提供する。その共通の表面を使用して、流量制御器、圧力変換器、流量測定センサ、圧力調節器、弁などの標準的な能動構成要素を装着することができる。いくつかの実施形態では、密封要件を容易にするために、隣接するそれぞれのマニホルド・ブロックの共通の表面が、共通の平面内に維持される。能動構成要素は、隣接する基板ブロックを橋絡し、または隣接する基板ブロックにわたって延びており、基板ブロックは、密封された相互接続のために、それぞれの流体通路が配置されることを可能にするように、(上で説明したように)取外し可能に整列および装着される。
【0032】
本明細書に記載された新規のシステムおよびプロセスによって可能にされるこれらのタイプのモジュール式構成要素を使用すると、通常の先行技術の液体化学物質送達システムのサイズの1/2よりも専有面積が小さい液体化学物質送達システムを提供することができることを本出願の出願人は見出した。管継手および管を介して構成要素が接続される従来の液体送達システムとは違い、本発明のシステムの実施形態では、構成要素間の間隙を非常に小さくして構成要素を配置することができる。好ましい実施形態では、隣接する構成要素を、20mm未満の間隙、例えば10mm未満、5mm未満、約1mmまたは1mm未満の間隔で配置することができる。さらに、いくつかの実施形態では、能動構成要素に対する標準化された幅(例えば55mm)を使用すると、平行な液体流路間の無駄なスペースなく、さまざまな構成要素を配置することができる。好ましい実施形態では、全システム・専有面積に対する無駄なスペースの比率を30%程度にすることができ、この比率を例えば20%、10%または5%とすることができる。このようなモジュール式構成要素の使用はさらに、カスタム部品および/または管アセンブリに関連した設計時間および支出を大幅に省くのに役立つ。
【0033】
上で説明したとおり、本発明のいくつかの実施形態では、能動構成要素が、ねじまたは他の締結具によって基板ブロック上に装着される。ねじ穴854は、それぞれの入口/出口ポートの両側に配置される。いくつかの実施形態では、金属ねじを提供し、密な接続を容易にするために、ねじ穴854の内側に金属インサートが置かれる。したがって、それぞれの能動構成要素の下面は、基板ブロックの入口/出口ポート上の適当な位置に保持された対応する入口/出口ポートを有する。好ましい実施形態では、能動構成要素962のハウジングもポリマーまたはフッ素ポリマーから形成される。
図11Aは、一実施形態の流体流れ経路(矢印1164によって示されている)を示す。第1の基板ブロック401Aの出口ポートの上に能動構成要素1162(この例では弁)が、能動構成要素1162の内側の流体経路が基板ブロック401A内の流体経路に流体接続されるように装着されている。同様に、能動構成要素1162は、基板ブロック401Bにも、能動構成要素1162の出口ポートが基板ブロック401Bの入口ポートの上に配置され、能動構成要素962からの流体経路が基板ブロック401B内の流体通路に流体接続されるように装着されている。
【0034】
図11Bは、
図11Aの破線のボックス1170の内側の部分の拡大図である。
図11Bに示されているように、所望の流体経路(線1164)は、基板ブロック401Aから、基板ブロック401Aの頂面および能動構成要素1162の下面の入口/出口ポートを通って、構成要素流体通路1163内へ通じている。構成要素と基板ブロックの間の接続が密であっても、(矢印1166によって示された方向の)漏れの可能性は依然としてある。また、面と面の界面は、液体が滞留する潜在性を有し、これは、微生物の増殖または大粒子数の発生につながりうる。これに応じて、いくつかの実施形態では、能動構成要素と基板ブロックの間の接続部における漏れを防ぐために、1つまたは複数の密封アセンブリが使用される。
【0035】
本発明のいくつかの実施形態は、突縁と溝状の構造および/またはインサートを利用して、能動構成要素と基板ブロックの間にシールを提供する。いくつかの実施形態では、同様のシールを使用して、基板ブロック間または能動構成要素間の流体接続を直接に形成することができる。
図10Bおよび10Cに示されているように、2つの構成要素の本体に突縁と溝状の接続(それぞれ957および956)が直接に形成される(すなわち一方の表面の突き出た小さな「突縁」が対応する表面に形成された「溝」にはまる)。これとは別にインサートが形成され、一方または両方の接続面に形成された溝内に、交換可能な密封構成要素を置くことができる。
【0036】
図112および12Bは、基板ブロック401と能動構成要素1162の間の流体接続の周囲の整形された溝の中に交換可能なインサート・シール970を置くことができる、本発明の一実施形態を示す。
図12Aおよび12Bの断面図では、示された能動構成要素が、流れおよび抽出可能な粒子の要件を試験する目的に使用される試験用治具だが、このシール配置は、弁または液体流量計など実際の能動構成要素に対しても同じであろう。
図14Aは基板ブロック401を示し、線B-Bは、
図12Aおよび12Bの断面の位置を示す。
図13Aは、シール970の斜視図を示し、
図13Bは、断面の形状を示すためのシール970の切断図を示す。示された実施形態では、シール970の面取りされた水平部分972が、一方の装着面(この実施形態では能動構成要素の下面)の溝に容易に挿入することができる前縁を提供することにより、シールの適切な取付けを助ける。再び
図8Aおよび8Bを参照すると、シール溝860は、それぞれの入口/出口ポート820の周囲に、機械加工によってまたは他の手法で形成される。
【0037】
好ましい実施形態では、シール970も、ポリマーまたはフッ素ポリマーから製作することができる。ポリマー本体に機械加工によってまたは他の手法で形成された構造に対して許容差を大きくする必要があるため、シール・リング970のサイズは、シール・リングの前縁972に常に締めしろがあるように決定されるべきであることを本出願の出願人は見出した。言い換えると、取り付けられている間、シール・リングは、液体シールが常に形成されることを保証するために水平方向に圧縮される。対照的に、いくつかの実施形態では、リングの水平部分971上に垂直方向の締めしろまたは圧縮がほとんどまたは全くないように、シールのサイズが決定される。
【0038】
図14Bは、交換可能なシール・リングの別の実施形態1280を、基板ブロック401上に装着された能動構成要素1162の断面図として示す。この場合も、
図14Aは基板ブロック401を示し、線B-Bは、
図14Aの断面の位置を示す。
【0039】
図15Aは、1280の斜視図を示し、
図15Bは、断面の形状を示すためのシール1280の切断図を示す。シール・リング1280は、(潜在的に漏れを可能にしうる)水平部分を持たない円錐形の内部スリーブ1283を特徴とする。したがって、シールが所定の位置にあるときに、スリーブ1283の内側を、液体は隈なく広がって流れる。水平のブリッジ部分1284を介して円錐形のスリーブ部分に接続された外リング1282は、円錐形のシール部分1283の後ろに、バックアップの働きをし、位置決めを加える追加のシールを提供する。円錐形の中心部分1283のテーパの付いた形状も、シール・リング1280の取付けを助ける働きをする。上で説明したシール・リングの実施形態と同様に、シール・リング1280のサイズも、取り付けられたときに、溝が、垂直方向の締めしろではなく水平方向の締めしろを生じさせるように決定される。
【0040】
図16Aは、本発明の実施形態に基づくモジュール式基板ブロックの入口および出口ポートの位置に液体シールを提供するために使用される交換可能なシール・リング1680の別の実施形態の斜視図を示す。
図16Bは、線AAに沿った
図16Aのシールの断面である。
図16Cは、
図16Bの断面の半分の拡大図である。シール・リング1680は、円錐形の内部スリーブ1683を特徴とする。円錐形のスリーブ1683は、外側へ傾斜した(ポート開口から遠ざかる方向に傾斜した)部分1685および内側へ傾斜した(ポート開口に向かって傾斜した)部分1686、ならびに外側垂直部分1687を有する。
図16Aの実施形態では、シールの円錐形のスリーブ部分が、(潜在的に漏れを可能にしうる)水平な表面を持たない。いくつかの実施形態では、外側へ傾斜した部分1685の傾斜が、垂直軸(またはシールの内壁)に対して約25度から約35度、例えば約30度である。いくつかの実施形態では、内側へ傾斜した部分1686の傾斜が、垂直軸に対して、40度から50度、例えば約45度など、外側へ傾斜した部分の傾斜よりも大きい角度である。
【0041】
円錐形の内部スリーブを特徴とするシールのいくつかの実施形態では、円錐の高さ(矢印および参照符号1695によって示されている)と円錐壁の厚さ(矢印および参照符号1976によって示されている)の比が、約1.0から2.0、約1.1から1.8または約1.1から1.6など、約0.5から約2.5の範囲にある。
【0042】
いくつかの実施形態では、シールのサイズが、シールが取り付けられたときに円錐形のスリーブの外側へ傾斜した部分1685が矢印1690によって示されているように圧縮されるように決定される。シールのサイズはさらに、シールが取り付けられたときに、ポート開口の上縁(基板嵌合部)が、外側へ傾斜した部分1685と接触しないように決定される。その代わりに、ポート開口の上縁は外側垂直部分1687を超えて滑り、シールは、参照符号1688によって示された領域にできる。円錐形の中心部分1683のテーパの付いた形状も、シール・リング1680の取付けを助ける働きをする。したがって、シールが所定の位置にあるときに、スリーブ1683の内側を、液体は隈なく広がって流れる。
【0043】
外リング1682は、円錐形のシール部分1683の後ろに、バックアップの働きをし、位置決めをさらに加える役目を果たす追加のシールを提供する。いくつかの実施形態では、シール・リング1680のサイズが、取り付けられたときに、モジュール式基板ブロック内のポート開口の周囲の溝が、矢印1691および1692によって示された外リング1688の外面および内面に水平方向の締めしろを生じさせるように決定される。いくつかの実施形態では、リングの頂面または底面、水平のブリッジ部分もしくは中間部1684上、および/または円錐形の中心部分1683上に垂直方向の締めしろがない。
【0044】
いくつかの実施形態では、上で説明した取外し可能なインサートに加えて、突縁と溝状のインサートを、バックアップまたは2次シールとして、および能動構成要素上のポートと基板ブロック上のポートとを適正に整列させる際の追加の補助として使用することができる。
図17Aは、本発明の一実施形態に基づく1次シール・インサート1770に対する突縁と溝状の2次シール1790の位置を示す。他の実施形態では、突縁と溝状の構造を(所望の流れ経路に最も近い)1次シール構造とすることができ、シール・インサートを2次シールとすることができる。
図17B~17Dは、2次シール構造または1次シール構造として使用することができるさまざまな可能な突縁と溝状の構造を示す。
図17Bは、単純な対応する突縁と溝状のリング1790を示す。
図17Cは、
図17Bの凸リングが損傷することを防ぐ働きをする、逆さにした同心のショルダ1792の追加を示す。
図17Dは、同心の突縁と溝状のリング(1793、1794)の2重セットを示す。いくつかの実施形態では、1次シールと2次シールの間の基板内に漏れ検出器を埋め込むことができる。
【0045】
図18は、基板ブロック1801に1つまたは複数の能動構成要素が埋め込まれた、液体化学物質送達システムの別の実施形態1800を示す。
図19は、内部構造を示す、基板ブロック1801の透視図を示す。
図19の実施形態では、液体が、入口1920Aを通って基板ブロックに入り、経路1925を通って逆止め弁1992に進み、静的ミキサ1994に達する。このようにして、2つの流体の流れが結合され、出口ポート1920Bを通って基板ブロックを出る。上で説明したとおり、液体化学物質と一緒に使用するための基板ブロック1401は、ポリマーまたはフッ素ポリマーから形成することができる。いくつかの実施形態では、気体混合物と一緒に使用するための基板ブロック1401を、ステンレス鋼などの金属から形成することができる。基板ブロック1401は、能動構成要素のためのスロットを有するように形成することができ、または基板ブロックにスロット/開口を機械加工することもできる。流れ経路は上で説明したとおりに形成することができ、または先行技術の方法を使用して機械加工することもできる。いくつかの実施形態では、埋め込まれた能動構成要素が交換可能であり、ねじ/締結具1991によって所定の位置に取外し可能に保持される。
【0046】
多くの異なる態様および実施形態が可能である。本明細書には、それらの態様および実施形態の一部が記載されている。本明細書を読んだ後、それらの態様および実施形態は例示が目的であり、本発明の範囲を限定するものではないことを当業者は理解するであろう。実施形態は、以下に挙げる項目のうちの任意の1つまたは複数の項目に基づくことがある。
【0047】
項目1.第1の表面に形成された第1の基板ポートおよび第2の基板ポートと、第1の方向に延びて、第1の基板ポートを第2の基板ポートに流体接続する液体通路とを含む基板ブロックと、第1の基板ポートに流体接続された第1の能動構成要素と、第1の能動構成要素とは別の第2の能動構成要素であって、第2の基板ポートに流体接続された第2の能動構成要素とを備え、第1の液体通路が、液体が滞留する停滞容積または領域を持たない液体送達システム。
【0048】
項目2.液体化学物質の分配を可能にするシステムであって、第1の表面に形成された第1の基板ポートおよび第2の基板ポートと、第1の方向に延びており、第1の基板ポートを第2の基板ポートに流体接続する第1の液体通路と、を含む基板ブロックを備え、第1の基板ポートが、第1の能動構成要素に流体接続されるように適合されており、第2の基板ポートが、第1の能動構成要素とは別の第2の能動構成要素に流体接続されるように適合されており、第1の液体通路が、液体が滞留する停滞容積または領域を持たない滑らかな通路であるシステム。
【0049】
項目3.液体化学物質の分配を可能にするシステムであって、第1の表面に形成された第1の基板ポートおよび第2の基板ポートと、第1の方向に延びており、第1の基板ポートを第2の基板ポートに流体接続する第1の液体通路と、を含む基板ブロックを備え、第1の基板ポートが、第1の能動構成要素に流体接続されるように適合されており、第2の基板ポートが、第1の能動構成要素とは別の第2の能動構成要素に流体接続されるように適合されており、第1の液体通路の容積全体が流体の流れと一致したシステム。
【0050】
項目4.第1の液体通路が、液体の流れが液体通路の容積全体を隈なく流れるように形成された、前記項目のうちのいずれか1つの項目。
【0051】
項目5.第1の液体通路の容積全体が流体の流れと一致した、前記項目のうちのいずれか1つの項目。
【0052】
項目6.基板ブロックがポリマーまたはフッ素ポリマーを含む、前記項目のうちのいずれか1つの項目。
【0053】
項目7.基板ブロックが、ポリプロピレン、PTFE、改質PTFEまたはPFAを含む、前記項目のうちのいずれか1つの項目。
【0054】
項目8.基板ブロックが、第1の表面に形成された第3および第4の基板ポート、および第3の基板ポートを第4の基板ポートに流体接続する第2の液体通路を備える、前記項目のうちのいずれか1つの項目。
【0055】
項目9.第1の基板層の上面に滑らかな溝を機械加工し、第2の基板層の底面に、整合した滑らかな溝を機械加工し、整合したこれらの溝が液体通路を形成するように第1の基板層上に第2の基板層を配置し、2つの層を接着して1つにすることにより、基板ブロックが形成された、前記項目のうちのいずれか1つの項目。
【0056】
項目10.形成された溝の両端に、第2の層を貫通して第1のポートおよび第2のポートを穿設することをさらに含む、項目9。
【0057】
項目11.2つの基板層を接着することが、熱および圧力を加えることにより2つのポリマーまたはフッ素ポリマー層を溶融接着して1つにすることを含む、前記項目のうちのいずれか1つの項目。
【0058】
項目12.基板ブロックが、ポリマーまたはフッ素ポリマーを成形することにより形成された、前記項目のうちのいずれか1つの項目。
【0059】
項目13.成形が、圧縮成形、アイソスタティック成形、溶融加工または射出成形を含む、項目12。
【0060】
項目14.基板ブロックが、フッ素ポリマーを型の中で焼結させることにより形成された、前記項目のうちのいずれか1つの項目。
【0061】
項目15.2つの基板層を型の中で別々に焼結させ、次いで層を溶融接着して1つにすることにより、基板ブロックが形成された、前記項目のうちのいずれか1つの項目。
【0062】
項目16.能動構成要素が、流量制御器、圧力変換器、流量測定センサ、圧力調節器および弁のグループから選択された1つまたは複数の構成要素を備える、前記項目のうちのいずれか1つの項目。
【0063】
項目17.システム構成要素に対する空きスペースの比率が30%以下、20%以下、10%以下または5%以下である専有面積を有する、前記項目のうちのいずれか1つの項目。
【0064】
項目18.能動構成要素間の間隔が、10mm未満、5mm未満、約1mmまたは1mm未満など、20mm未満になるように装着された複数の能動構成要素を有する、前記項目のうちのいずれか1つの項目。
【0065】
項目19.第1の表面に形成された第1の基板ポートおよび第2の基板ポートと、第1の方向に延びており、第1の基板ポートを第2の基板ポートに流体接続する第1の液体通路とを含む基板ブロック、第1の基板ポートに流体接続された下面を有する第1の能動構成要素、およびその流体接続を密封するシール・アセンブリであり、取外し可能なシール・インサートを備える1次シールと、基板ブロックの第1の表面および能動構成要素の下面に形成された突縁と溝状の構造を備える2次シールとを含むシール・アセンブリを備える液体送達システム。
【0066】
項目20.シール・インサートがポリマーまたはフッ素ポリマーを含む、項目19。
【0067】
項目21.シール・アセンブリが、取り付けられたときに水平方向に圧縮され、垂直方向には圧縮されないシール・リングを備える、項目19~20のうちのいずれか1つの項目。
【0068】
項目22.2次の突縁と溝状の構造が、基板ブロックの上面または能動構成要素の下面のうちのどちらか一方にある円形の溝であり、対応する円形の突縁が、基板ブロックの上面または能動構成要素の下面のうちのどちらか他方から延びている、項目19~21のうちのいずれか1つの項目。
【0069】
項目23.突縁と溝状の構造が、インサート・シールよりも大きな直径を有する円形の構造を含む、項目19~22のうちのいずれか1つの項目。
【0070】
項目24.突縁と溝状の構造が、少なくとも2つの同心の円形の突縁と溝状の構造を含む、項目19~23のうちのいずれか1つの項目。
【0071】
項目25.シールが、シールが所定の位置にあるときに液体がその中を流れる円錐形の中心部分を含む、項目19~24のうちのいずれか1つの項目。
【0072】
項目26.円錐形の中心部分の円錐の高さと円錐形の中心部分のシール壁の厚さの比が、約1.0から2.0、1.1から1.8または1.1から1.6など、約0.5から2.5である、項目25。
【0073】
本明細書に記載された発明は幅広い適用可能性を有し、上記の例において説明し示した多くの利点を提供することができる。本発明の実施形態は、具体的な用途によって大きく異なり、全ての実施形態が、これらの利点の全てを提供するわけではなく、本発明によって達成可能な目的の全てを達成するわけでもない。
【0074】
本明細書において、用語「自動」、「自動化された」または類似の用語が使用されるとき、これらの用語は、自動プロセスもしくは自動ステップまたは自動化されたプロセスもしくは自動化されたステップの手動による開始を含むものと理解される。本明細書の議論および特許請求の範囲では、用語「含む」および「備える」が、オープン・エンド型の用語として使用されており、したがって、これらの用語は、「...を含むが、それらだけに限定されない」ことを意味すると解釈すべきである。ある用語が本明細書で特に定義されていない場合、その用語は、その通常の一般的な意味で使用されることが意図されている。添付図面は、本発明を理解する助けとなることが意図されており、特に明示されていない限り、一定の尺度では描かれていない。本明細書で使用されるとき、語「右」、「左」、「下」、「上」、「底」、「水平」、「垂直」などは、参照する図面内での方向を指定する。これらの用語は便宜上使用されているだけであり、限定を意図するものではない。
【0075】
さらに、本発明の実施形態は、コンピュータ・ハードウェアもしくはソフトウェア、またはハードウェアとソフトウェアの組合せによって実現することができることを認識すべきである。本発明の方法は、標準プログラミング技法を使用し、本明細書に記載された方法および図に基づいて、コンピュータ・プログラムとして実現することができ、このコンピュータ・プログラムは、コンピュータ・プログラムを含むように構成されたコンピュータ可読の記憶媒体を含み、そのように構成された記憶媒体は、コンピュータを、予め決められた特定の方式で動作させる。コンピュータ・システムと通信するため、それぞれのプログラムは、高水準手続き型プログラミング言語またはオブジェクト指向プログラミング言語で実現することができる。しかしながら、所望ならば、それらのプログラムを、アセンブラ言語または機械語で実現することもできる。いずれにせよ、その言語は、コンパイルまたは解釈される言語とすることができる。さらに、そのプログラムは、そのプログラムを実行するようにプログラムされた専用の集積回路上で実行することができる。
【0076】
本出願の範囲が、本明細書に記載されたプロセス、機械、製造、組成物、手段、方法およびステップの特定の実施形態に限定されることは意図されていない。当業者なら本発明の開示から容易に理解することだが、本明細書に記載された対応する実施形態と実質的に同じ機能を実行し、または実質的に同じ結果を達成する既存のまたは今後開発されるプロセス、機械、製造、組成物、手段、方法またはステップを、本発明に従って利用することができる。したがって、添付の特許請求の範囲は、その範囲内に、このようなプロセス、機械、製造、組成物、手段、方法またはステップを含むことが意図されている。本明細書に記載された図は一般に略図であり、本発明の実施形態は必ずしも適切な割合または尺度では描かれていない。