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7638942非天然アミノ酸結合ドラスタチン誘導体を含有する組成物、それを用いた方法、およびその使用
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-02-21
(45)【発行日】2025-03-04
(54)【発明の名称】非天然アミノ酸結合ドラスタチン誘導体を含有する組成物、それを用いた方法、およびその使用
(51)【国際特許分類】
   C07K 5/062 20060101AFI20250225BHJP
   A61K 38/05 20060101ALI20250225BHJP
   A61K 47/54 20170101ALI20250225BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20250225BHJP
   C07K 16/30 20060101ALN20250225BHJP
   A61K 39/395 20060101ALN20250225BHJP
【FI】
C07K5/062
A61K38/05
A61K47/54
A61P35/00
C07K16/30
A61K39/395 L
A61K39/395 T
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2022166871
(22)【出願日】2022-10-18
(62)【分割の表示】P 2020097905の分割
【原出願日】2012-05-24
(65)【公開番号】P2023002671
(43)【公開日】2023-01-10
【審査請求日】2022-11-17
(31)【優先権主張番号】61/491,146
(32)【優先日】2011-05-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】508048481
【氏名又は名称】アンブルックス,インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】Ambrx,Inc.
【住所又は居所原語表記】10975 North Torrey Pines Road,Suite 100,La Jolla,California 92037,United States of America
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】ミャオ,ツェンウェイ
(72)【発明者】
【氏名】アトキンソン,カイル,シー.
(72)【発明者】
【氏名】ビロック,サンドラ
(72)【発明者】
【氏名】バス,ティモシー
(72)【発明者】
【氏名】ニール,メリッサ
(72)【発明者】
【氏名】クレイノフ,ベイディム
(72)【発明者】
【氏名】マースデン,ロビン
(72)【発明者】
【氏名】ピンクスタッフ,ジェイソン
(72)【発明者】
【氏名】スキッドモア,リリアン
(72)【発明者】
【氏名】サン,イング
(72)【発明者】
【氏名】スツィードリック,アニエスカ
(72)【発明者】
【氏名】ロペス ド バレンタ,デリア ラニーニャ
【審査官】上村 直子
(56)【参考文献】
【文献】特表2006-500333(JP,A)
【文献】特表2008-546792(JP,A)
【文献】有機合成化学協会誌,2006年,Vol.64, No.2,p.141-150
【文献】有機合成化学,1971年,Vol.29, No.5,pp.496-509
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07K 5/00-19/00
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の構造を有する化合物、またはその塩。
【化1】
【請求項2】
以下の構造を有する化合物、またはその塩。
【化2】
【請求項3】
以下の構造を有する化合物、またはその塩。
【化3】
【請求項4】
以下の構造を有する化合物、またはその塩。
【化4】
【請求項5】
請求項1~のいずれか1項に記載の化合物と、
薬学的に許容される担体、賦形剤、または、結合剤と、を含む、薬学的組成物。
【請求項6】
誘導体化されたドラスタチンアナログの製造方法における中間体としての、請求項に記載の化合物の使用であって、
前記誘導体化されたドラスタチンアナログは、少なくとも一つのオキシムを含有するアミノ酸を有し、
前記製造方法は、前記化合物と式(XXXVII)の試薬とを接触させる工程を含み、
前記ドラスタチンアナログは、式(VIII)で表される、使用:
【化5】

式中、
Aは、任意であり、存在する場合は、低級アルキレン、置換低級アルキレン、低級アルケニレン、置換低級アルケニレン、アリーレン、置換アリーレン、ヘテロアリーレン、置換ヘテロアリーレン、アルカリレン、置換アルカリレン、アラルキレン、または、置換アラルキレンであり、
Bは、任意であり、存在する場合は、低級アルキレン、置換低級アルキレン、低級アルケニレン、置換低級アルケニレン、-O-、-O-(アルキレン、または、置換アルキレン)-、-S-、-S-(アルキレン、または、置換アルキレン)-、-S(O)-(ここで、kは、1、2、または、3)、-S(O)(アルキレン、または、置換アルキレン)-、-C(O)-、-C(O)-(アルキレン、または、置換アルキレン)-、-C(S)-、-C(S)-(アルキレン、または、置換アルキレン)-、-N(R’)-、-NR’-(アルキレン、または、置換アルキレン)-、-C(O)N(R’)-、-CON(R’)-(アルキレン、または、置換アルキレン)-、-CSN(R’)-、-CSN(R’)-(アルキレン、または、置換アルキレン)-、-N(R’)CO-(アルキレン、または、置換アルキレン)-、-N(R’)C(O)O-、-S(O)N(R’)-、-N(R’)C(O)N(R’)-、-N(R’)C(S)N(R’)-、-N(R’)S(O)N(R’)-、-N(R’)-N=、-C(R’)=N-、-C(R’)=N-N(R’)-、-C(R’)=N-N=、-C(R’)-N=N-、および、-C(R’)-N(R’)-N(R’)-からなる群より選択されたリンカーであり、
各R’は、独立して、H、アルキル、または、置換アルキルであり、
Kは、
【化6】

であり、
Rは、H、アルキル、置換アルキル、シクロアルキル、または、置換シクロアルキルであり、
は、H、アミノ保護基、樹脂、少なくとも1つのアミノ酸、または、ポリヌクレオチドであり、
は、OH、エステル保護基、樹脂、少なくとも1つのアミノ酸、または、ポリヌクレオチドであり、
およびRは、それぞれ独立して、H、ハロゲン、低級アルキル、もしくは、置換低級アルキルであるか、または、RおよびR、もしくは、2つのR基が、シクロアルキル、もしくは、ヘテロシクロアルキルを任意に形成してもよい
【化7】
【請求項7】
誘導体化されたドラスタチンアナログの製造方法における中間体としての、請求項2に記載の化合物の使用であって、
前記誘導体化されたドラスタチンアナログは、少なくとも一つのオキシムを含有するアミノ酸を有し、
前記製造方法は、前記化合物と式(XXXVII)の試薬とを接触させる工程を含み、
前記ドラスタチンアナログは、式(VIIIb)で表される、使用:
【化8】

式中、
Aは、任意であり、存在する場合は、低級アルキレン、置換低級アルキレン、低級アルケニレン、置換低級アルケニレン、アリーレン、置換アリーレン、ヘテロアリーレン、置換ヘテロアリーレン、アルカリレン、置換アルカリレン、アラルキレン、または、置換アラルキレンであり、
Bは、任意であり、存在する場合は、低級アルキレン、置換低級アルキレン、低級アルケニレン、置換低級アルケニレン、-O-、-O-(アルキレン、または、置換アルキレン)-、-S-、-S-(アルキレン、または、置換アルキレン)-、-S(O) -(ここで、kは、1、2、または、3)、-S(O) (アルキレン、または、置換アルキレン)-、-C(O)-、-C(O)-(アルキレン、または、置換アルキレン)-、-C(S)-、-C(S)-(アルキレン、または、置換アルキレン)-、-N(R’)-、-NR’-(アルキレン、または、置換アルキレン)-、-C(O)N(R’)-、-CON(R’)-(アルキレン、または、置換アルキレン)-、-CSN(R’)-、-CSN(R’)-(アルキレン、または、置換アルキレン)-、-N(R’)CO-(アルキレン、または、置換アルキレン)-、-N(R’)C(O)O-、-S(O) N(R’)-、-N(R’)C(O)N(R’)-、-N(R’)C(S)N(R’)-、-N(R’)S(O) N(R’)-、-N(R’)-N=、-C(R’)=N-、-C(R’)=N-N(R’)-、-C(R’)=N-N=、-C(R’) -N=N-、および、-C(R’) -N(R’)-N(R’)-からなる群より選択されたリンカーであり、
各R’は、独立して、H、アルキル、または、置換アルキルであり、
Kは、
【化9】

であり、
Rは、H、アルキル、置換アルキル、シクロアルキル、または、置換シクロアルキルであり、
は、H、アミノ保護基、樹脂、少なくとも1つのアミノ酸、または、ポリヌクレオチドであり、
は、OH、エステル保護基、樹脂、少なくとも1つのアミノ酸、または、ポリヌクレオチドであり、
およびR は、それぞれ独立して、H、ハロゲン、低級アルキル、もしくは、置換低級アルキルであるか、または、R およびR 、もしくは、2つのR 基が、シクロアルキル、もしくは、ヘテロシクロアルキルを任意に形成してもよい。
【化10】
【請求項8】
誘導体化されたドラスタチンアナログの製造方法における中間体としての、請求項3に記載の化合物の使用であって、
前記誘導体化されたドラスタチンアナログは、少なくとも一つのオキシムを含有するアミノ酸を有し、
前記製造方法は、前記化合物と式(XXXVII)の試薬とを接触させる工程を含み、
前記ドラスタチンアナログは、式(VIIIc)で表される、使用:
【化11】

式中、
Aは、任意であり、存在する場合は、低級アルキレン、置換低級アルキレン、低級アルケニレン、置換低級アルケニレン、アリーレン、置換アリーレン、ヘテロアリーレン、置換ヘテロアリーレン、アルカリレン、置換アルカリレン、アラルキレン、または、置換アラルキレンであり、
Bは、任意であり、存在する場合は、低級アルキレン、置換低級アルキレン、低級アルケニレン、置換低級アルケニレン、-O-、-O-(アルキレン、または、置換アルキレン)-、-S-、-S-(アルキレン、または、置換アルキレン)-、-S(O) -(ここで、kは、1、2、または、3)、-S(O) (アルキレン、または、置換アルキレン)-、-C(O)-、-C(O)-(アルキレン、または、置換アルキレン)-、-C(S)-、-C(S)-(アルキレン、または、置換アルキレン)-、-N(R’)-、-NR’-(アルキレン、または、置換アルキレン)-、-C(O)N(R’)-、-CON(R’)-(アルキレン、または、置換アルキレン)-、-CSN(R’)-、-CSN(R’)-(アルキレン、または、置換アルキレン)-、-N(R’)CO-(アルキレン、または、置換アルキレン)-、-N(R’)C(O)O-、-S(O) N(R’)-、-N(R’)C(O)N(R’)-、-N(R’)C(S)N(R’)-、-N(R’)S(O) N(R’)-、-N(R’)-N=、-C(R’)=N-、-C(R’)=N-N(R’)-、-C(R’)=N-N=、-C(R’) -N=N-、および、-C(R’) -N(R’)-N(R’)-からなる群より選択されたリンカーであり、
各R’は、独立して、H、アルキル、または、置換アルキルであり、
Kは、
【化12】

であり、
Rは、H、アルキル、置換アルキル、シクロアルキル、または、置換シクロアルキルであり、
は、H、アミノ保護基、樹脂、少なくとも1つのアミノ酸、または、ポリヌクレオチドであり、
は、OH、エステル保護基、樹脂、少なくとも1つのアミノ酸、または、ポリヌクレオチドであり、
およびR は、それぞれ独立して、H、ハロゲン、低級アルキル、もしくは、置換低級アルキルであるか、または、R およびR 、もしくは、2つのR 基が、シクロアルキル、もしくは、ヘテロシクロアルキルを任意に形成してもよい。
【化13】
【請求項9】
誘導体化されたドラスタチンアナログの製造方法における中間体としての、請求項4に記載の化合物の使用であって、
前記誘導体化されたドラスタチンアナログは、少なくとも一つのオキシムを含有するアミノ酸を有し、
前記製造方法は、前記化合物と式(XXXVII)の試薬とを接触させる工程を含み、
前記ドラスタチンアナログは、式(VIIId)で表される、使用:
【化14】

式中、
Aは、任意であり、存在する場合は、低級アルキレン、置換低級アルキレン、低級アルケニレン、置換低級アルケニレン、アリーレン、置換アリーレン、ヘテロアリーレン、置換ヘテロアリーレン、アルカリレン、置換アルカリレン、アラルキレン、または、置換アラルキレンであり、
Bは、任意であり、存在する場合は、低級アルキレン、置換低級アルキレン、低級アルケニレン、置換低級アルケニレン、-O-、-O-(アルキレン、または、置換アルキレン)-、-S-、-S-(アルキレン、または、置換アルキレン)-、-S(O) -(ここで、kは、1、2、または、3)、-S(O) (アルキレン、または、置換アルキレン)-、-C(O)-、-C(O)-(アルキレン、または、置換アルキレン)-、-C(S)-、-C(S)-(アルキレン、または、置換アルキレン)-、-N(R’)-、-NR’-(アルキレン、または、置換アルキレン)-、-C(O)N(R’)-、-CON(R’)-(アルキレン、または、置換アルキレン)-、-CSN(R’)-、-CSN(R’)-(アルキレン、または、置換アルキレン)-、-N(R’)CO-(アルキレン、または、置換アルキレン)-、-N(R’)C(O)O-、-S(O) N(R’)-、-N(R’)C(O)N(R’)-、-N(R’)C(S)N(R’)-、-N(R’)S(O) N(R’)-、-N(R’)-N=、-C(R’)=N-、-C(R’)=N-N(R’)-、-C(R’)=N-N=、-C(R’) -N=N-、および、-C(R’) -N(R’)-N(R’)-からなる群より選択されたリンカーであり、
各R’は、独立して、H、アルキル、または、置換アルキルであり、
Kは、
【化15】

であり、
Rは、H、アルキル、置換アルキル、シクロアルキル、または、置換シクロアルキルであり、
は、H、アミノ保護基、樹脂、少なくとも1つのアミノ酸、または、ポリヌクレオチドであり、
は、OH、エステル保護基、樹脂、少なくとも1つのアミノ酸、または、ポリヌクレオチドであり、
およびR は、それぞれ独立して、H、ハロゲン、低級アルキル、もしくは、置換低級アルキルであるか、または、R およびR 、もしくは、2つのR 基が、シクロアルキル、もしくは、ヘテロシクロアルキルを任意に形成してもよい。
【化16】
【請求項10】
疾患を処置する医薬の製造における請求項に記載の化合物の使用であって、
前記製造は、前記化合物を誘導体化して、少なくとも一つのオキシムを含有するアミノ酸を有するドラスタチンアナログを形成させる工程を含み、
前記誘導体化は、前記化合物と式(XXXVII)の試薬とを接触させる工程を含み、
前記ドラスタチンアナログは、式(VIII)で表される、使用:
【化17】

式中、
Aは、任意であり、存在する場合は、低級アルキレン、置換低級アルキレン、低級アルケニレン、置換低級アルケニレン、アリーレン、置換アリーレン、ヘテロアリーレン、置換ヘテロアリーレン、アルカリレン、置換アルカリレン、アラルキレン、または、置換アラルキレンであり、
Bは、任意であり、存在する場合は、低級アルキレン、置換低級アルキレン、低級アルケニレン、置換低級アルケニレン、-O-、-O-(アルキレン、または、置換アルキレン)-、-S-、-S-(アルキレン、または、置換アルキレン)-、-S(O)-(ここで、kは、1、2、または、3)、-S(O)(アルキレン、または、置換アルキレン)-、-C(O)-、-C(O)-(アルキレン、または、置換アルキレン)-、-C(S)-、-C(S)-(アルキレン、または、置換アルキレン)-、-N(R’)-、-NR’-(アルキレン、または、置換アルキレン)-、-C(O)N(R’)-、-CON(R’)-(アルキレン、または、置換アルキレン)-、-CSN(R’)-、-CSN(R’)-(アルキレン、または、置換アルキレン)-、-N(R’)CO-(アルキレン、または、置換アルキレン)-、-N(R’)C(O)O-、-S(O)N(R’)-、-N(R’)C(O)N(R’)-、-N(R’)C(S)N(R’)-、-N(R’)S(O)N(R’)-、-N(R’)-N=、-C(R’)=N-、-C(R’)=N-N(R’)-、-C(R’)=N-N=、-C(R’)-N=N-、および、-C(R’)-N(R’)-N(R’)-からなる群より選択されたリンカーであり、
各R’は、独立して、H、アルキル、または、置換アルキルであり、
Kは、
【化18】

であり、
Rは、H、アルキル、置換アルキル、シクロアルキル、または、置換シクロアルキルであり、
は、H、アミノ保護基、樹脂、少なくとも1つのアミノ酸、または、ポリヌクレオチドであり、
は、OH、エステル保護基、樹脂、少なくとも1つのアミノ酸、または、ポリヌクレオチドであり、
およびRは、それぞれ独立して、H、ハロゲン、低級アルキル、もしくは、置換低級アルキルであるか、または、RおよびR、もしくは、2つのR基が、シクロアルキル、もしくは、ヘテロシクロアルキルを任意に形成してもよい
【化19】
【請求項11】
疾患を処置する医薬の製造における請求項2に記載の化合物の使用であって、
前記製造は、前記化合物を誘導体化して、少なくとも一つのオキシムを含有するアミノ酸を有するドラスタチンアナログを形成させる工程を含み、
前記誘導体化は、前記化合物と式(XXXVII)の試薬とを接触させる工程を含み、
前記ドラスタチンアナログは、式(VIIIb)で表される、使用:
【化20】

式中、
Aは、任意であり、存在する場合は、低級アルキレン、置換低級アルキレン、低級アルケニレン、置換低級アルケニレン、アリーレン、置換アリーレン、ヘテロアリーレン、置換ヘテロアリーレン、アルカリレン、置換アルカリレン、アラルキレン、または、置換アラルキレンであり、
Bは、任意であり、存在する場合は、低級アルキレン、置換低級アルキレン、低級アルケニレン、置換低級アルケニレン、-O-、-O-(アルキレン、または、置換アルキレン)-、-S-、-S-(アルキレン、または、置換アルキレン)-、-S(O) -(ここで、kは、1、2、または、3)、-S(O) (アルキレン、または、置換アルキレン)-、-C(O)-、-C(O)-(アルキレン、または、置換アルキレン)-、-C(S)-、-C(S)-(アルキレン、または、置換アルキレン)-、-N(R’)-、-NR’-(アルキレン、または、置換アルキレン)-、-C(O)N(R’)-、-CON(R’)-(アルキレン、または、置換アルキレン)-、-CSN(R’)-、-CSN(R’)-(アルキレン、または、置換アルキレン)-、-N(R’)CO-(アルキレン、または、置換アルキレン)-、-N(R’)C(O)O-、-S(O) N(R’)-、-N(R’)C(O)N(R’)-、-N(R’)C(S)N(R’)-、-N(R’)S(O) N(R’)-、-N(R’)-N=、-C(R’)=N-、-C(R’)=N-N(R’)-、-C(R’)=N-N=、-C(R’) -N=N-、および、-C(R’) -N(R’)-N(R’)-からなる群より選択されたリンカーであり、
各R’は、独立して、H、アルキル、または、置換アルキルであり、
Kは、
【化21】

であり、
Rは、H、アルキル、置換アルキル、シクロアルキル、または、置換シクロアルキルであり、
は、H、アミノ保護基、樹脂、少なくとも1つのアミノ酸、または、ポリヌクレオチドであり、
は、OH、エステル保護基、樹脂、少なくとも1つのアミノ酸、または、ポリヌクレオチドであり、
およびR は、それぞれ独立して、H、ハロゲン、低級アルキル、もしくは、置換低級アルキルであるか、または、R およびR 、もしくは、2つのR 基が、シクロアルキル、もしくは、ヘテロシクロアルキルを任意に形成してもよい。
【化22】
【請求項12】
疾患を処置する医薬の製造における請求項3に記載の化合物の使用であって、
前記製造は、前記化合物を誘導体化して、少なくとも一つのオキシムを含有するアミノ酸を有するドラスタチンアナログを形成させる工程を含み、
前記誘導体化は、前記化合物と式(XXXVII)の試薬とを接触させる工程を含み、
前記ドラスタチンアナログは、式(VIIIc)で表される、使用:
【化23】

式中、
Aは、任意であり、存在する場合は、低級アルキレン、置換低級アルキレン、低級アルケニレン、置換低級アルケニレン、アリーレン、置換アリーレン、ヘテロアリーレン、置換ヘテロアリーレン、アルカリレン、置換アルカリレン、アラルキレン、または、置換アラルキレンであり、
Bは、任意であり、存在する場合は、低級アルキレン、置換低級アルキレン、低級アルケニレン、置換低級アルケニレン、-O-、-O-(アルキレン、または、置換アルキレン)-、-S-、-S-(アルキレン、または、置換アルキレン)-、-S(O) -(ここで、kは、1、2、または、3)、-S(O) (アルキレン、または、置換アルキレン)-、-C(O)-、-C(O)-(アルキレン、または、置換アルキレン)-、-C(S)-、-C(S)-(アルキレン、または、置換アルキレン)-、-N(R’)-、-NR’-(アルキレン、または、置換アルキレン)-、-C(O)N(R’)-、-CON(R’)-(アルキレン、または、置換アルキレン)-、-CSN(R’)-、-CSN(R’)-(アルキレン、または、置換アルキレン)-、-N(R’)CO-(アルキレン、または、置換アルキレン)-、-N(R’)C(O)O-、-S(O) N(R’)-、-N(R’)C(O)N(R’)-、-N(R’)C(S)N(R’)-、-N(R’)S(O) N(R’)-、-N(R’)-N=、-C(R’)=N-、-C(R’)=N-N(R’)-、-C(R’)=N-N=、-C(R’) -N=N-、および、-C(R’) -N(R’)-N(R’)-からなる群より選択されたリンカーであり、
各R’は、独立して、H、アルキル、または、置換アルキルであり、
Kは、
【化24】

であり、
Rは、H、アルキル、置換アルキル、シクロアルキル、または、置換シクロアルキルであり、
は、H、アミノ保護基、樹脂、少なくとも1つのアミノ酸、または、ポリヌクレオチドであり、
は、OH、エステル保護基、樹脂、少なくとも1つのアミノ酸、または、ポリヌクレオチドであり、
およびR は、それぞれ独立して、H、ハロゲン、低級アルキル、もしくは、置換低級アルキルであるか、または、R およびR 、もしくは、2つのR 基が、シクロアルキル、もしくは、ヘテロシクロアルキルを任意に形成してもよい。
【化25】
【請求項13】
疾患を処置する医薬の製造における請求項4に記載の化合物の使用であって、
前記製造は、前記化合物を誘導体化して、少なくとも一つのオキシムを含有するアミノ酸を有するドラスタチンアナログを形成させる工程を含み、
前記誘導体化は、前記化合物と式(XXXVII)の試薬とを接触させる工程を含み、
前記ドラスタチンアナログは、式(VIIId)で表される、使用:
【化26】

式中、
Aは、任意であり、存在する場合は、低級アルキレン、置換低級アルキレン、低級アルケニレン、置換低級アルケニレン、アリーレン、置換アリーレン、ヘテロアリーレン、置換ヘテロアリーレン、アルカリレン、置換アルカリレン、アラルキレン、または、置換アラルキレンであり、
Bは、任意であり、存在する場合は、低級アルキレン、置換低級アルキレン、低級アルケニレン、置換低級アルケニレン、-O-、-O-(アルキレン、または、置換アルキレン)-、-S-、-S-(アルキレン、または、置換アルキレン)-、-S(O) -(ここで、kは、1、2、または、3)、-S(O) (アルキレン、または、置換アルキレン)-、-C(O)-、-C(O)-(アルキレン、または、置換アルキレン)-、-C(S)-、-C(S)-(アルキレン、または、置換アルキレン)-、-N(R’)-、-NR’-(アルキレン、または、置換アルキレン)-、-C(O)N(R’)-、-CON(R’)-(アルキレン、または、置換アルキレン)-、-CSN(R’)-、-CSN(R’)-(アルキレン、または、置換アルキレン)-、-N(R’)CO-(アルキレン、または、置換アルキレン)-、-N(R’)C(O)O-、-S(O) N(R’)-、-N(R’)C(O)N(R’)-、-N(R’)C(S)N(R’)-、-N(R’)S(O) N(R’)-、-N(R’)-N=、-C(R’)=N-、-C(R’)=N-N(R’)-、-C(R’)=N-N=、-C(R’) -N=N-、および、-C(R’) -N(R’)-N(R’)-からなる群より選択されたリンカーであり、
各R’は、独立して、H、アルキル、または、置換アルキルであり、
Kは、
【化27】

であり、
Rは、H、アルキル、置換アルキル、シクロアルキル、または、置換シクロアルキルであり、
は、H、アミノ保護基、樹脂、少なくとも1つのアミノ酸、または、ポリヌクレオチドであり、
は、OH、エステル保護基、樹脂、少なくとも1つのアミノ酸、または、ポリヌクレオチドであり、
およびR は、それぞれ独立して、H、ハロゲン、低級アルキル、もしくは、置換低級アルキルであるか、または、R およびR 、もしくは、2つのR 基が、シクロアルキル、もしくは、ヘテロシクロアルキルを任意に形成してもよい。
【化28】
【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
〔相互参照〕
本明細書は、2011年5月27日に提出された米国仮出願第61/491,146「非天然アミノ酸結合ドラスタチン誘導体を含有する組成物、それを用いた方法、およびその使用」から優先権を主張する。上記出願が全体として本明細書によって参照することにより組み込まれる。
【0002】
〔発明の背景〕
遺伝的にコードされていないアミノ酸(すなわち、「非天然アミノ酸」)をタンパク質に組み込む能力は、天然に存在する官能基(例えば、リジンのε位の-NH、システインのスルフヒドリル-SH、およびヒスチジンのイミノ基など)に対する有用な代替を提供し得る化学官能基の導入を可能にする。一部の化学官能基は、遺伝的にコードされている通常の20のアミノ酸に見られる官能基に対して不活性であるが、非天然アミノ酸に組み入れることができる官能基に対し、効率的かつ正確に反応して安定な結合を形成することが知られている。
【0003】
ここに、タンパク質中に存在せず、遺伝的にコードされている通常の20のアミノ酸に存在する全ての官能基に対して化学的に不活性であり、特定の官能基を含む試薬と効率的かつ選択的に反応して、安定な共有結合を形成するために用いられ得る化学官能基を選択的に導入する方法 を提供する。
【0004】
〔発明の概要〕
本明細書において、1つ以上のリンカーを有する毒性部分と、非天然アミノ酸に結合した毒性基と、そのような非天然アミノ酸およびポリペプチドを製造するための方法とが開示される。
【0005】
本発明のいくつかの実施形態では、式(I)に示される、化合物、またはその塩が記載されている。
【0006】
【化1】
【0007】
(式中、
Zは、以下の構造を有し、
【0008】
【化2】
【0009】
は、H、COR、炭素数1~6のアルキル、または、チアゾールであり、
は、OH、または、-NH-(アルキレン-O)-NHであり、
は、OH、または、Hであり、
Arは、フェニル、または、ピリジンであり、
は、炭素数1~6のアルキル、または、水素であり、
Yは、ヒドロキシルアミン、メチル、アルデヒド、保護されたアルデヒド、ケトン、保護されたケトン、チオエステル、エステル、ジカルボニル、ヒドラジン、アミジン、イミン、ジアミン、アジド、ケトアミン、ケトアルキン、アルキン、シクロアルキン、および、エンジオンからなる群より選択され、
Lは、-アルキレン-、-アルキレン-C(O)-、-(アルキレン-O)-アルキレン-、-(アルキレン-O)-アルキレン-C(O)-、-(アルキレン-O)-(CHn’-NHC(O)-(CHn’’-C(Me)-S-S-(CHn’’’-NHC(O)-(アルキレン-O)n’’’’-アルキレン、-(アルキレン-O)-アルキレン-W-、-アルキレン-C(O)-W-、-(アルキレン-O)-アルキレン-U-アルキレン-C(O)-、および、-(アルキレン-O)-アルキレン-U-アルキレンからなる群より選択されるリンカーであり、
Wは、以下の構造を有し、
【0010】
【化3】
【0011】
Uは、以下の構造を有し、
【0012】
【化4】
【0013】
または、Lは存在せず、Yはメチルであり、RはCORであり、Rは-NH(アルキレン-O)-NHであり、n、n’、n’’、n’’’、および、n’’’’は、それぞれ独立して、1以上の整数である。)
いくつかの実施形態では、Rは、チアゾールである。他の実施形態では、Rは、Hである。ある実施形態では、Arは、フェニルである。さらなる、もしくは、追加の実施形態では、Rは、メチルである。いくつかの実施形態では、nは、0~20、0~10、または0~5の整数である。
【0014】
いくつかの実施形態では、式(II)に示される化合物が記載されている。
【0015】
【化5】
【0016】
ある実施形態では、Lは、-(アルキレン-O)-アルキレン-である。特定の実施形態では、前記各アルキレンは、-CHCH-であり、n=3であり、Rは、メチルである。他の実施形態では、Lは、-アルキレン-である。特定の実施形態では、前記各アルキレンは、-CHCH-であり、Rは、メチル、または、水素である。ある実施形態では、Lは、-(アルキレン-O)-アルキレン-C(O)である。ある実施形態では、各アルキレンは、-CHCH-であり、n=4であり、Rは、メチルである。さらなる、もしくは、追加の実施形態では、Lは、-(アルキレン-O)-(CHn’-NHC(O)-(CHn’’-C(Me)-S-S-(CHn’’’-NHC(O)-(アルキレン-O)n’’’’-アルキレンである。いくつかの実施形態では、前記各アルキレンは、-CHCH-であり、nは1であり、n’は2であり、n’’は1であり、n’’’は2であり、n’’’’は4であり、Rは、メチルである。
【0017】
いくつかの実施形態では、Yは、アジドである。他の実施形態では、Yは、シクロオクチンである。特定の実施形態では、前記シクロオクチンは、以下の構造を有する。
【0018】
【化6】
【0019】
(式中、
各R19は、独立して、炭素数1~6のアルキル、炭素数1~6のアルコキシ、エステル、エーテル、チオエーテル、アミノアルキル、ハロゲン、アルキルエステル、アリールエステル、アミド、アリールアミド、ハロゲン化アルキル、アルキルアミン、アルキルスルホン酸、アルキルニトロ、チオエステル、スルホニルエステル、ハロスルホニル、ニトリル、アルキルニトリル、および、ニトロからなる群より選択され、
qは、0、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、または、11である。)
本発明のいくつかの実施形態では、式(II)、(III)、(IV)、(V)、または(VI)に示される、化合物、またはその塩が記載されている。
【0020】
【化7】

【0021】
ここで、Zは、以下の構造を有し、
【0022】
【化8】
【0023】
は、H、COR、炭素数1~6のアルキル、または、チアゾールであり、
は、OHであり、
Arは、フェニル、または、ピリジンであり、
は、炭素数1~6のアルキル、または、水素であり、
YおよびVは、それぞれ、ヒドロキシルアミン、メチル、アルデヒド、保護されたアルデヒド、ケトン、保護されたケトン、チオエステル、エステル、ジカルボニル、ヒドラジン、アミジン、イミン、ジアミン、アジド、ケトアミン、ケトアルキン、アルキン、シクロアルキン、および、エンジオンからなる群より選択され、
、L、L、およびLは、それぞれ独立して、結合、-アルキレン-、-(アルキレン-O)n-アルキレン-J-, -アルキレン'-J-(アルキレン-O)n-アルキレン-, -J-(アルキレン-O)n-アルキレン-, -(アルキレン-O)n-アルキレン-J-(アルキレン-O)n'-アルキレン-J'-, -(アルキレン-O)n-アルキレン-J-アルキレン'-, -W-, -アルキレン-W-, アルキレン'-J-(アルキレン-NMe)n-アルキレン-W-, -J-(アルキレン-NMe)n-アルキレン-W-, -J-アルキレン-NMe-アルキレン'-NMe-アルキレン''-W-,および -アルキレン-J-アルキレン'-NMe-アルキレン''-NMe-アルキレン'''-W-からなる群より選択されるリンカーであり、
Wは、以下の構造を有し、
【0024】
【化9】
【0025】
各JおよびJ’は、独立して、以下の構造を有し、
【0026】
【化10】
【0027】
各nおよびn’は、独立して、1以上の整数である。
【0028】
ある実施形態では、式(VII)を含む化合物が記載されている。
【0029】
【化11】
【0030】
ある実施形態では、Lは-(アルキレン-O)n-アルキレン-J-であり, Lは -アルキレン'-J'-(アルキレン-O)n'-アルキレン-, Lは、-J''-(アルキレン-O)n''-アルキレン-であり, アルキレンは-CHCH-であり, アルキレン'は-(CH)-であり, nは1であり,
n'およびn’’は3であり、
Jは、以下の構造を有し、
【0031】
【化12】
【0032】
J’およびJ’’は、以下の構造を有し、
【0033】
【化13】
【0034】
は、メチルである。別の実施形態では、Lは、-J-(アルキレン-O)n-アルキレン-であり, Lは-(アルキレン-O)n'-アルキレン-J'-アルキレン'-であり, Lは-(アルキレン-O)n''-アルキレン-J''-であり, アルキレンは-CHCH-であり、アルキレン'は-(CH)-であり, nは1であり、n’およびn’’は4であり、J、J’、およびJ’’は、以下の構造を有する。
【0035】
【化14】
【0036】
ある実施形態では、Yはアジドである。別の実施形態では、Yはシクロオクチンである。特定の実施形態では、シクロオクチンは以下の構造を有する。
【0037】
【化15】
【0038】
(式中
各R19は、独立して、炭素数1~6のアルキル、炭素数1~6のアルコキシ、エステル、エーテル、チオエーテル、アミノアルキル、ハロゲン、アルキルエステル、アリールエステル、アミド、アリールアミド、ハロゲン化アルキル、アルキルアミン、アルキルスルホン酸、アルキルニトロ、チオエステル、スルホニルエステル、ハロスルホニル、ニトリル、アルキルニトリル、および、ニトロからなる群より選択され、
qは、0、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、または、11である。)
本発明のある実施形態では、式(VIII)または(IX)に示される、化合物、またはその、活性代謝物、薬学的に許容されるプロドラッグ、もしくは溶媒和物が記述される。
【0039】
【化16】
【0040】
(式中、
Aは、任意であり、存在する場合は、低級アルキレン、置換低級アルキレン、低級シクロアルキレン、置換低級シクロアルキレン、低級アルケニレン、置換低級アルケニレン、アルキニレン、低級ヘテロアルキレン、置換ヘテロアルキレン、低級ヘテロシクロアルキレン、置換低級ヘテロシクロアルキレン、アリーレン、置換アリーレン、ヘテロアリーレン、置換ヘテロアリーレン、アルカリレン、置換アルカリレン、アラルキレン、または置換アラルキレンであり、
Bは、任意であり、存在する場合は、低級アルキレン、置換低級アルキレン、低級アルケニレン、置換低級アルケニレン、低級ヘテロアルキレン、置換低級ヘテロアルキレン、-O-、-O-(アルキレン、または、置換アルキレン)-、-S-、-S-(アルキレン、または、置換アルキレン)-、-S(O)-(ここで、kは、1、2、または3である)、-S(O)(アルキレン、または、置換アルキレン)-、-C(O)-、-C(O)-(アルキレン、または、置換アルキレン)-、-C(S)-、-C(S)-(アルキレン、または、置換アルキレン)-、-N(R’)-、-NR’-(アルキレン、または、置換アルキレン)-、-C(O)N(R’)-、-CON(R’)-(アルキレン、または、置換アルキレン)-、-CSN(R’)-、-CSN(R’)-(アルキレン、または、置換アルキレン)-、-N(R’)CO-(アルキレン、または、置換アルキレン)-、-N(R’)C(O)O-、-S(O)N(R’)-、-N(R’)C(O)N(R’)-、-N(R’)C(S)N(R’)-、-N(R’)S(O)N(R’)-、-N(R’)-N=、-C(R’)=N-、-C(R’)=N-N(R’)-、-C(R’)=N-N=、-C(R’)-N=N-、および、-C(R’)-N(R’)-N(R’)-からなる群より選択されたリンカーであり(なお、各R’は、独立して、H、アルキル、または、置換アルキルである)、
Rは、H、アルキル、置換アルキル、シクロアルキル、または、置換シクロアルキルであり、
は、H、アミノ保護基、樹脂、少なくとも1つのアミノ酸、ポリペプチド、または、ポリヌクレオチドであり、
は、OH、エステル保護基、樹脂、少なくとも1つのアミノ酸、ポリペプチド、または、ポリヌクレオチドであり、
およびRは、それぞれ独立して、H、ハロゲン、低級アルキル、もしくは置換低級アルキルであるか、または、RおよびR、もしくは、2つのR基が、シクロアルキル、もしくは、ヘテロシクロアルキルを任意に形成してもよく、
Zは、以下の構造を有し、
【0041】
【化17】
【0042】
は、H、COR、炭素数1~6のアルキル、または、チアゾールであり、
は、OHであり、
は、OH、または、Hであり、
Arは、フェニル、または、ピリジンであり、
は、炭素数1~6のアルキル、または、水素であり、
Lは、-アルキレン-、-アルキレン-C(O)-、-(アルキレン-O)-アルキレン-、-(アルキレン-O)-アルキレン-C(O)-、-(アルキレン-O)-(CHn’-NHC(O)-(CHn’’-C(Me)-S-S-(CHn’’’-NHC(O)-(アルキレン-O)n’’’’-アルキレン、-(アルキレン-O)-アルキレン-W-、-アルキレン-C(O)-W-、-(アルキレン-O)-アルキレン-U-C(O)-、および、-(アルキレン-O)-アルキレン-U-アルキレンからなる群より選択されるリンカーであり、
Wは、以下の構造を有し、
【0043】
【化18】
【0044】
Uは、以下の構造を有し、
【0045】
【化19】
【0046】
n、n’、n’’、n’’’、および、n’’’’は、それぞれ独立して、1以上の整数である。)
いくつかの実施形態では、Rは、ポリペプチドである。特定の実施形態では、前記ポリペプチドは、抗体である。ある特定の実施形態では、前記抗体は、ハーセプチンである。他の実施形態では、Rは、ポリペプチドである。特定の実施形態では、前記ポリペプチドは、抗体である。ある特定の実施形態では、前記抗体は、ハーセプチンである。
【0047】
本発明のある実施形態では、式(X), (XI), (XII)または (XIII)に示される、化合物またはその塩が記述される。
【0048】
【化20】

【0049】
(式中、
Aは、任意であり、存在する場合は、低級アルキレン、置換低級アルキレン、低級シクロアルキレン、置換低級シクロアルキレン、低級アルケニレン、置換低級アルケニレン、アルキニレン、低級ヘテロアルキレン、置換ヘテロアルキレン、低級ヘテロシクロアルキレン、置換低級ヘテロシクロアルキレン、アリーレン、置換アリーレン、ヘテロアリーレン、置換ヘテロアリーレン、アルカリレン、置換アルカリレン、アラルキレン、または置換アラルキレンであり、
Bは、任意であり、存在する場合は、低級アルキレン、置換低級アルキレン、低級アルケニレン、置換低級アルケニレン、低級ヘテロアルキレン、置換低級ヘテロアルキレン、-O-、-O-(アルキレン、または、置換アルキレン)-、-S-、-S-(アルキレン、または、置換アルキレン)-、-S(O)-(ここで、kは、1、2、または3である)、-S(O)(アルキレン、または、置換アルキレン)-、-C(O)-、-C(O)-(アルキレン、または、置換アルキレン)-、-C(S)-、-C(S)-(アルキレン、または、置換アルキレン)-、-N(R’)-、-NR’-(アルキレン、または、置換アルキレン)-、-C(O)N(R’)-、-CON(R’)-(アルキレン、または、置換アルキレン)-、-CSN(R’)-、-CSN(R’)-(アルキレン、または、置換アルキレン)-、-N(R’)CO-(アルキレン、または、置換アルキレン)-、-N(R’)C(O)O-、-S(O)N(R’)-、-N(R’)C(O)N(R’)-、-N(R’)C(S)N(R’)-、-N(R’)S(O)N(R’)-、-N(R’)-N=、-C(R’)=N-、-C(R’)=N-N(R’)-、-C(R’)=N-N=、-C(R’)-N=N-、および、-C(R’)-N(R’)-N(R’)-からなる群より選択されたリンカーであり(なお、各R’は、独立して、H、アルキル、または、置換アルキルである)、
Rは、H、アルキル、置換アルキル、シクロアルキル、または、置換シクロアルキルであり、
は、H、アミノ保護基、樹脂、少なくとも1つのアミノ酸、ポリペプチド、または、ポリヌクレオチドであり、
は、OH、エステル保護基、樹脂、少なくとも1つのアミノ酸、ポリペプチド、または、ポリヌクレオチドであり、
およびRは、それぞれ独立して、H、ハロゲン、低級アルキル、もしくは置換低級アルキルであるか、または、RおよびR、もしくは、2つのR基が、シクロアルキル、もしくは、ヘテロシクロアルキルを任意に形成してもよく、
Zは、以下の構造を有し、
【0050】
【化21】
【0051】
は、H、COR、炭素数1~6のアルキル、または、チアゾールであり、
は、OHであり、
は、OH、または、Hであり、
Arは、フェニル、または、ピリジンであり、
は、炭素数1~6のアルキル、または、水素であり、
、L、L、およびLは、それぞれ独立して、結合、アルキレン、-(アルキレン-O)n-アルキレン-J-, -アルキレン'-J-(アルキレン-O)n-アルキレン-, -J-(アルキレン-O)n-アルキレン-, -(アルキレン-O)n-アルキレン-J-(アルキレン-O)n'-アルキレン-J'-, -(アルキレン-O)n-アルキレン-J-アルキレン'-, -W-, -アルキレン-W-, アルキレン'-J-(アルキレン-NMe)n-アルキレン-W-, -J-(アルキレン-NMe)n-アルキレン-W-, -J-アルキレン-NMe-アルキレン'-NMe-アルキレン''-W-, および -アルキレン-J-アルキレン'-NMe-アルキレン''-NMe-アルキレン'''-W-からなる群より選択されるリンカーであり、
Wは、以下の構造を有し、
【0052】
【化22】
【0053】
各JおよびJ’は、独立して、以下の構造を有し、
【0054】
【化23】
【0055】
各nおよびn’は、独立して、1以上の整数である。
【0056】
いくつかの実施形態では、Rは、ポリペプチドである。特定の実施形態では、前記ポリペプチドは、抗体である。ある特定の実施形態では、前記抗体は、ハーセプチンである。他の実施形態では、Rは、ポリペプチドである。特定の実施形態では、前記ポリペプチドは、抗体である。ある特定の実施形態では、前記抗体は、ハーセプチンである。
【0057】
ある実施形態では、式(I)、(III)、(IV)、(V)、または(VI)に示されるドラスタチンアナログを誘導体化するための方法であって、
該方法は、該ドラスタチンアナログを、式(XXXVII)の試薬に接触させることを含み、
式(I)、(III)、(IV)、(V)、または(VI)は、以下に対応し、
【0058】
【化24】

【0059】
(式中、
Zは、以下の構造を有し、
【0060】
【化25】
【0061】
は、H、COR、炭素数1~6のアルキル、または、チアゾールであり、
は、OH、または、-NH-(アルキレン-O)-NHであり、
は、OH、または、Hであり、
Arは、フェニル、または、ピリジンであり、
は、炭素数1~6のアルキル、または、水素であり、
Yは、NH-O-、または、メチルであり、
L、L、L、L、およびLは、それぞれ独立して、結合、-アルキレン-、-アルキレン-C(O)-、-(アルキレン-O)-アルキレン-、-(アルキレン-O)-アルキレン-C(O)-、-(アルキレン-O)-(CHn’-NHC(O)-(CHn’’-C(Me)-S-S-(CHn’’’-NHC(O)-(アルキレン-O)n’’’’-アルキレン、-(アルキレン-O)-アルキレン-W-、-アルキレン-C(O)-W-、-(アルキレン-O)n-アルキレン-J-, -アルキレン'-J-(アルキレン-O)n-アルキレン-,-(アルキレン-O)n-アルキレン-J-アルキレン'-,-J-(アルキレン-O)n-アルキレン-, -(アルキレン-O)n-アルキレン-J-(アルキレン-O)n'-アルキレン-J'-, -W-, -アルキレン-W-, アルキレン'-J-(アルキレン-NMe)n-アルキレン-W-, および-J-(アルキレン-NMe)n-アルキレン-W-,-(アルキレン-O)-アルキレン-U-アルキレン; -J-アルキレン-NMe-アルキレン'-NMe-アルキレン''-W-,および -アルキレン-J-アルキレン'-NMe-アルキレン''-NMe-アルキレン'''-W-からなる群より選択されるリンカーであり、
Wは、以下の構造を有し、
【0062】
【化26】
【0063】
Uは、以下の構造を有し、
【0064】
【化27】
【0065】
各JおよびJ’は、独立して、以下の構造を有し、
【0066】
【化28】
【0067】
または、Lは存在せず、Yはメチルであり、RはCORであり、Rは-NH(アルキレン-O)-NHであり、n、n’、n’’、n’’’、および、n’’’’は、それぞれ独立して、1以上の整数である。)
式(XXXVII)は、以下に対応する、方法が本明細書に記載されている。
【0068】
【化29】
【0069】
(式中、
Aは、任意であり、存在する場合は、低級アルキレン、置換低級アルキレン、低級アルケニレン、置換低級アルケニレン、アリーレン、置換アリーレン、ヘテロアリーレン、置換ヘテロアリーレン、アルカリレン、置換アルカリレン、アラルキレン、または、置換アラルキレンであり、
Bは、任意であり、存在する場合は、低級アルキレン、置換低級アルキレン、低級アルケニレン、置換低級アルケニレン、-O-、-O-(アルキレン、または、置換アルキレン)-、-S-、-S-(アルキレン、または、置換アルキレン)-、-S(O)-(ここで、kは、1、2、または、3)、-S(O)(アルキレン、または、置換アルキレン)-、-C(O)-、-C(O)-(アルキレン、または、置換アルキレン)-、-C(S)-、-C(S)-(アルキレン、または、置換アルキレン)-、-N(R’)-、-NR’-(アルキレン、または、置換アルキレン)-、-C(O)N(R’)-、-CON(R’)-(アルキレン、または、置換アルキレン)-、-CSN(R’)-、-CSN(R’)-(アルキレン、または、置換アルキレン)-、-N(R’)CO-(アルキレン、または、置換アルキレン)-、-N(R’)C(O)O-、-S(O)N(R’)-、-N(R’)C(O)N(R’)-、-N(R’)C(S)N(R’)-、-N(R’)S(O)N(R’)-、-N(R’)-N=、-C(R’)=N-、-C(R’)=N-N(R’)-、-C(R’)=N-N=、-C(R’)-N=N-、および、-C(R’)-N(R’)-N(R’)-からなる群より選択されたリンカーであり(なお、各R’は、独立して、H、アルキル、または、置換アルキルである。各R’は、独立して、H、アルキル、または、置換アルキルである。)、
Kは、
【0070】
【化30】
【0071】
であり、
Rは、H、アルキル、置換アルキル、シクロアルキル、または、置換シクロアルキルであり、
は、H、アミノ保護基、樹脂、少なくとも1つのアミノ酸、または、ポリヌクレオチドであり、
は、OH、エステル保護基、樹脂、少なくとも1つのアミノ酸、または、ポリヌクレオチドであり、
およびRは、それぞれ独立して、H、ハロゲン、低級アルキル、もしくは、置換低級アルキルであるか、または、RおよびR、もしくは、2つのR基が、シクロアルキル、もしくは、ヘテロシクロアルキルを任意に形成してもよい。)
いくつかの実施形態では、前記誘導体化されたドラスタチンアナログは、式(VIII)、(IX)、(X)、(XI)、(XII)、または(XIII):の構造を有する、少なくとも一つのオキシムを含有するアミノ酸である。
【0072】
【化31】


【0073】
特定の実施形態では、前記ドラスタチンアナログを、式(XXXVII)に示される前記試薬に、水溶液中、弱酸性条件下において接触させる。
【0074】
本発明のある実施形態では、式(XXV)、(XXVI)、(XXVII)、(XXVIII)、(XXIX)、または(XXX)に示される、化合物が記載されている。
【0075】
【化32】


【0076】
(式中、
Zは、以下の構造を有し、
【0077】
【化33】
【0078】
は、H、COH、炭素数1~6のアルキル、または、チアゾールであり、
は、OH、または、Hであり、
Arは、フェニル、または、ピリジンであり、
は、H、アミノ保護基、樹脂、少なくとも1つのアミノ酸、ポリペプチド、または、ポリヌクレオチドであり、
は、OH、エステル保護基、樹脂、少なくとも1つのアミノ酸、ポリペプチド、または、ポリヌクレオチドであり、
は、H、ハロゲン、低級アルキル、または、置換低級アルキルであり、
は、炭素数1~6のアルキル、または、水素であり、
L、L、L、L、およびLは、それぞれ独立して、結合、-アルキレン-、-アルキレン-C(O)-、-アルキレン-J-、-(アルキレン-O)-アルキレン-、-(アルキレン-O)-アルキレン-C(O)-、-(アルキレン-O)n-J-、-(アルキレン-O)n-J-アルキレン、-(アルキレン-O)-(CHn’-NHC(O)-(CHn’’-C(Me)-S-S-(CHn’’’-NHC(O)-(アルキレン-O)n’’’’-アルキレン、-(アルキレン-O)-アルキレン-W-、-アルキレン-C(O)-W-、-(アルキレン-O)n-アルキレン-J-、-アルキレン'-J-(アルキレン-O)n-アルキレン-、-(アルキレン-O)n-アルキレン-J-アルキレン'-、-J-(アルキレン-O)n-アルキレン-、-(アルキレン-O)n-アルキレン-J-(アルキレン-O)n'-アルキレン-J'-, -W-, -アルキレン-W-、アルキレン'-J-(アルキレン-NMe)n-アルキレン-W-、-J-(アルキレン-NMe)n-アルキレン-W-、-(アルキレン-O)-アルキレン-U-C(O)-、-(アルキレン-O)-アルキレン-U-アルキレン;-J-アルキレン-NMe-アルキレン'-NMe-アルキレン''-W-,および -アルキレン-J-アルキレン'-NMe-アルキレン''-NMe-アルキレン'''-W-からなる群より選択されるリンカーであり、
Wは、以下の構造を有し、
【0079】
【化34】
【0080】
Uは、以下の構造を有し、
【0081】
【化35】
【0082】
各JおよびJ’は、独立して、以下の構造を有し、
【0083】
【化36】
【0084】
nおよびn’は、それぞれ独立して、1以上の整数であり、
各R16は、独立して、水素、ハロゲン、アルキル、NO、CN、および、置換アルキルからなる群より選択される。)
いくつかの実施形態では、Rは、ポリペプチドである。特定の実施形態では、前記ポリペプチドは、抗体である。ある特定の実施形態では、前記抗体は、ハーセプチンである。他の実施形態では、Rは、ポリペプチドである。特定の実施形態では、前記ポリペプチドは、抗体である。ある特定の実施形態では、前記抗体は、ハーセプチンである。
【0085】
本発明のいくつかの実施形態では、式(XXXI)、(XXXII)、(XXXIII)、(XXXIV)、(XXXV)、または(XXXVI)に示される、化合物が記載されている。
【0086】
【化37】


【0087】
(式中、
Zは、以下の構造を有し、
【0088】
【化38】
【0089】
は、H、COH、炭素数1~6のアルキル、または、チアゾールであり、
は、OH、または、Hであり、
Arは、フェニル、または、ピリジンであり、
は、H、アミノ保護基、樹脂、少なくとも1つのアミノ酸、ポリペプチド、または、ポリヌクレオチドであり、
は、OH、エステル保護基、樹脂、少なくとも1つのアミノ酸、ポリペプチド、または、ポリヌクレオチドであり、
は、H、ハロゲン、低級アルキル、または、置換低級アルキルであり、
は、炭素数1~6のアルキル、または、水素であり、
L、L、L、L、およびLは、それぞれ独立して、結合、-アルキレン-、-アルキレン-C(O)-、-アルキレン-J-、-(アルキレン-O)-アルキレン-、-(アルキレン-O)-アルキレン-C(O)-、-(アルキレン-O)n-J-、-(アルキレン-O)n-J-アルキレン、-(アルキレン-O)-(CHn’-NHC(O)-(CHn’’-C(Me)-S-S-(CHn’’’-NHC(O)-(アルキレン-O)n’’’’-アルキレン、-(アルキレン-O)-アルキレン-W-、-アルキレン-C(O)-W-、-(アルキレン-O)n-アルキレン-J-、-アルキレン'-J-(アルキレン-O)n-アルキレン-、-(アルキレン-O)n-アルキレン-J-アルキレン'-、-J-(アルキレン-O)n-アルキレン-、-(アルキレン-O)n-アルキレン-J-(アルキレン-O)n'-アルキレン-J'-, -W-, -アルキレン-W-、アルキレン'-J-(アルキレン-NMe)n-アルキレン-W-、-J-(アルキレン-NMe)n-アルキレン-W-、-(アルキレン-O)-アルキレン-U-C(O)-、-(アルキレン-O)-アルキレン-U-アルキレン;-J-アルキレン-NMe-アルキレン'-NMe-アルキレン''-W-,および -アルキレン-J-アルキレン'-NMe-アルキレン''-NMe-アルキレン'''-W-からなる群より選択されるリンカーであり、
Wは、以下の構造を有し、
【0090】
【化39】
【0091】
Uは、以下の構造を有し、
【0092】
【化40】
【0093】
各JおよびJ’は、独立して、以下の構造を有し、
【0094】
【化41】
【0095】
nおよびn’は、それぞれ独立して、1以上の整数であり、
Dは、以下の構造を有し、
【0096】
【化42】
【0097】
各R17は、独立して、H、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、アルコキシ、置換アルコキシ、アルキルアルコキシ、置換アルキルアルコキシ、ポリアルキレンオキサイド、置換ポリアルキレンオキサイド、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、アルカリル、置換アルカリル、アラルキル、置換アラルキル、-(アルキレン、もしくは、置換アルキレン)-ON(R”)、-(アルキレン、もしくは、置換アルキレン)-C(O)SR”、-(アルキレン、もしくは、置換アルキレン)-S-S-(アリール、もしくは、置換アリール)、-C(O)R”、-C(O)R”、または、-C(O)N(R”)からなる群より選択され(なお、各R”は、独立して、水素、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルコキシ、置換アルコキシ、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、アルカリル、置換アルカリル、アラルキル、または、置換アラルキルである)、
各Zは、結合、CR1717、O、S、NR’、CR1717-CR1717、CR1717-O、O-CR1717、CR1717-S、S-CR1717、CR1717-NR’、または、NR’-CR1717であり、
各R’は、H、アルキル、または、置換アルキルであり、
各Zは、結合、-C(O)-、-C(S)-、任意に置換された炭素数1~3のアルキレン、任意に置換された炭素数1~3のアルケニレン、および、任意に置換されたヘテロアルキルからなる群より選択され、
各Zは、結合、任意に置換された炭素数1~4のアルキレン、任意に置換された炭素数1~4のアルケニレン、任意に置換されたヘテロアルキル、-O-、-S-、-C(O)-、-C(S)-、および、-N(R’)-からなる群より選択され、
各Tは、結合、C(R”)(R”)、O、または、Sであり(ただし、Tが、O、または、Sであるとき、R”は、ハロゲンではない)、
各R”は、H、ハロゲン、アルキル、置換アルキル、シクロアルキル、または、置換シクロアルキルであり、
mおよびpは、0、1、2、または、3であり(ただし、mまたはpのうち少なくとも1つは0でない)、
は、
【0098】
【化43】
【0099】
であり(なお、(a)は、B基への結合を示し、(b)は、複素環基における、それぞれの位置への結合を示す)、
は、
【0100】
【化44】
【0101】
であり(なお、(a)は、B基への結合を示し、(b)は、複素環基における、それぞれの位置への結合を示す)、
は、
【0102】
【化45】
【0103】
であり(ここで、(a)は、B基への結合を示し、(b)は、複素環基における、それぞれの位置への結合を示す)、
各R19は、独立して、炭素数1~6のアルキル、炭素数1~6のアルコキシ、エステル、エーテル、チオエーテル、アミノアルキル、ハロゲン、アルキルエステル、アリールエステル、アミド、アリールアミド、ハロゲン化アルキル、アルキルアミン、アルキルスルホン酸、アルキルニトロ、チオエステル、スルホニルエステル、ハロスルホニル、ニトリル、アルキルニトリル、および、ニトロからなる群より選択され、
qは、0、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、または、11であり、
各R16は、独立して、水素、ハロゲン、アルキル、NO、CN、および、置換アルキルからなる群より選択される。)
いくつかの実施形態では、Rは、ポリペプチドである。特定の実施形態では、前記ポリペプチドは、抗体である。ある特定の実施形態では、前記抗体は、ハーセプチンである。他の実施形態では、Rは、ポリペプチドである。特定の実施形態では、前記ポリペプチドは、抗体である。ある特定の実施形態では、前記抗体は、ハーセプチンである。
【0104】
いくつかの実施形態では、式(XXXI-A)に示される化合物が記載されている。
【0105】
【化46】
【0106】
ある実施形態では、上記いずれかの化合物と、薬学的に許容される担体、賦形剤、または、結合剤と、を含む、薬学的組成物が記載されている。
【0107】
さらなる、もしくは、代替的な実施形態では、患者におけるポリペプチドの存在を検出するための方法であって、少なくとも1つの複素環含有非天然アミノ酸を含むポリペプチドを投与することを含み、当該複素環含有非天然アミノ酸ポリペプチドは、当該ポリペプチドの免疫原性を同種の天然アミノ酸に比して変化させるものである、方法である。
【0108】
本明細書に記載の方法および組成物は、本明細書に記載の方法論、プロトコル、細胞系統、構成、および試薬に限定されず、変化してもよいことが理解される。また、本明細書で使用した用語は、特定の実施形態を記載する目的のためのみであり、添付の請求の範囲によってのみ限定される、本明細書に記載の方法および組成物の範囲を限定するものではないことが理解される。
【0109】
本明細書および添付の特許請求の範囲に使用されるように、単数形で記載される用語は、初出または既出を問わず、複数形で記載される場合の範囲も含むが、前後関係から単数で記載される場合の範囲のみを指すことが明らかな場合にはこの限りではない。
【0110】
特に規定のない限り、本明細書に使用する技術用語および科学用語は、本発明が属する技術分野の当業者によって通常に理解されるものと同一の意味を有するものとする。本明細書に記載の発明の実施または試験を行う場合に使用する方法、装置、および材料については、本明細書に記載の方法、装置、および材料に類似または均等の任意の方法、装置、および材料を使用することができるが、以下に好適な方法、装置、および材料を説明する。
【0111】
本明細書に引用する刊行物および特許文献は、例えば、本発明と関連して使用し得る構成概念および方法論を記載している。これら構成概念および方法論の説明を行うことを目的として、上記刊行物および特許文献を参照することにより、その内容全体を本願に援用する。なお、本明細書で検討する上記刊行物は、本願出願日前の開示内容についてのみ示すものである。本明細書中の如何なる記載も、本明細書に記載の発明者がこれらの開示内容以前に発明を行った者の地位を有することが先行技術または他の理由により認められないなどということを承認するものでない。
【0112】
用語「アルドールに基づく結合」または「混合アルドールに基づく結合」は、あるカルボニル化合物をこれに同一または異なっていてもよい他のカルボニル化合物のエノラート/エノールと酸触媒縮合または塩基触媒縮合させてβ-ヒドロキシカルボニル化合物(すなわち、アルドール)を作製することを指す。
【0113】
本明細書に使用されるように、用語「アフィニティーラベル」は、他の分子に可逆的または不可逆的に結合してこれを修飾または破壊するか、またはこれと化合物を形成する標識を指す。一例として、アフィニティーラベルは、酵素およびその基質、または抗体およびその抗原を含む。
【0114】
用語「アルコキシ」、「アルキルアミノ」、および「アルキルチオ」(またはチオアルコキシ)は従来の意味で使用され、酸素原子、アミノ基、または硫黄原子を介して分子と連鎖しているアルキル基をそれぞれ指す。
【0115】
特に明記しない限り、用語「アルキル」は単独または他の分子の一部として、完全飽和、単不飽和、または多価不飽和状態であってもよく、指定の炭素原子数(すなわち、C~C10は炭素1個~10個を意味する)を有する二価基および多価基を含むことのできる直鎖状、分鎖状、または環状の炭化水素基、またはこれらの組み合わせを指す。飽和炭化水素ラジカルの例は、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、t-ブチル、イソブチル、sec-ブチル、シクロヘキシル、(シクロヘキシル)メチル、およびシクロプロピルメチル、並びに例えばn-ペンチル、n-ヘキシル、n-ヘプチル、およびn-オクチルなどの同族体および異性体などの基を含むが、これらに限定されない。不飽和アルキル基は、1つ以上の二重結合または三重結合を有するものである。不飽和アルキル基の例は、ビニル、2-プロペニル、クロチル、2-イソペンテニル、2-(ブタジエニル)、2,4-ペンタジエニル、3-(1,4-ペンタジエニル)、エチニル、1-プロピニル、3-プロピニル、3-ブチニル、高級同族体、および高級異性体を含むが、これらに限定されない。用語「アルキル」はまた、特に明記しない限り、本明細書により詳細に説明するアルキル基の誘導体(「ヘテロアルキル」、「ハロアルキル」、および「ホモアルキル」など)を含むよう意図されている。
【0116】
用語「アルキレン」は単独または他の分子の一部として、(-CH-)(nは1~約24までの数であってもよい)に例示されるようなアルカンから誘導される二価ラジカルを意味する。一例として、このような基は、-CHCH-および-CHCHCHCH-などの構造のような炭素原子数が10個以下の基を含むが、これに限定されない。「低級アルキル」または「低級アルキレン」は、通常は炭素原子数が8個以下のより短鎖のアルキル基またはアルキレン基である。用語「アルキレン」はまた、特に明記しない限り、本明細書に「ヘテロアルキレン」として記載されている基を含むよう意図される。
【0117】
用語「アミノ酸」は、天然および非天然アミノ酸、並びに、天然アミノ酸と同様に機能するアミノ酸アナログおよびアミノ酸ミメティックを指す。天然にエンコードされるアミノ酸は、一般的な20種類のアミノ酸(アラニン、アルギニン、アスパラギン、アスパラギン酸、システイン、グルタミン、グルタミン酸、グリシン、ヒスチジン、イソロイシン、ロイシン、リジン、メチオニン、フェニルアラニン、プロリン、セリン、トレオニン、トリプトファン、チロシン、およびバリン)、ピロリジン、およびセレノシステインである。アミノ酸アナログは、基本的な化学構造が天然アミノ酸と同一の化合物を指す。一例として、水素、カルボキシル基、アミノ基、およびR基に結合しているα炭素が挙げられる。このようなアミノ酸アナログは、基本的な化学構造が天然アミノ酸と同一である一方で、R基が修飾されているもの(一例としてノルロイシン)またはペプチド骨格が修飾されているものであってもよい。アミノ酸アナログの非限定例は、ホモセリン、ノルロイシン、メチオニンスルホキシド、メチオニンメチルスルホニウムを含む。
【0118】
本明細書では、アミノ酸はその名称によって示されることがある。または、IUPAC-IUB生物化学命名委員会(Biochemical Nomenclature Commission)が推奨する、3文字表記または1文字表記によって示されることもある。また、ヌクレオチドは、一般的に是認されている1文字の符号によって示されることがある。
【0119】
「アミノ末端修飾基」は末端アミン基に結合することが可能な任意の分子を指す。一例として、このような末端アミン基は、高分子(ポリペプチド、ポリヌクレオチド、およびポリサッカリドを含むが、これらに限定されない)の端部に位置してもよい。末端修飾基は、多様な水溶性ポリマー、ペプチド、またはタンパク質を含むが、これらに限定されない。一例として、末端修飾基はポリエチレングリコールまたは血清アルブミンを含む。末端修飾基を用いて高分子の治療特性の修飾を行ってもよい。このような修飾は、ペプチドの血中半減期を増大させることを含むが、これに限定されない。
【0120】
「抗体断片」は、全長形態以外の任意の形態の抗体を意味する。本明細書の抗体断片は、全長の抗体内に存在するより小さい要素である抗体と、改変を行った抗体とを含む。抗体断片は、Fv、Fc、Fab、(Fab’)2、単鎖Fv(scFv)、ジアボディ、トリアボディ、テトラボディ、二官能性ハイブリッド抗体、CDR1、CDR2、CDR3、CDRの組み合わせ、可変領域、フレームワーク領域、定常領域、重鎖、軽鎖、可変領域、選択的な骨格非抗体分子、および二重特異性抗体などを含むが、これらに限定されない(Maynard & Georgiou, 2000, Annu. Rev. Biomed. Eng. 2:339-76; Hudson, 1998, Curr. Opin. Biotechnol. 9:395-402)。他の機能性基礎構造は、ペプチドリンカーによって共有結合される免疫グロブリン重鎖および軽鎖の可変領域から構成される単鎖Fv(scFv)である(S-z Hu et al., 1996, Cancer Research, 56, 3055-3061)。通常、これらの低分子(Mr 25,000)タンパク質は、単一のポリペプチドにおいて抗原への特異性および親和性を維持しているので、より巨大な抗原特異性の分子を構築するための有用な構築用ブロックを提供することができる。特に明記されている場合を除いて、用語「抗原」(単数形または複数形)を使用する記載または請求項は、「抗原断片」(単数形および複数形)を特に含むものとする。
【0121】
本明細書に使用されるように、「抗体および薬剤の結合体」または「ADC(antibody-drug conjugate)」は、1つ以上の生物活性分子に共有結合されている抗体分子またはその断片を指す。生物活性分子は、リンカー、ポリマー、または他の共有結合を介して抗体に結合されていてもよい。
【0122】
本明細書に使用されるように、用語「芳香族」または「アリール」は、結合π電子系を備える少なくとも1つの環を有する閉環構造を指し、炭素環アリール基およびヘテロ環アリール基(または「ヘテロアリール基」または「ヘテロ芳香族基」)の両方を含んでいる。炭素環の芳香族基またはヘテロ環の芳香族基は約5個~約20個の環原子を含んでいてもよい。上記用語は、共有結合されている単環の環または多環の縮合環(すなわち、隣接する対の炭素原子を共有する環)基を含む。芳香族基は非置換とすることができる。または、芳香族基を置換することもできる。「芳香族」基または「アリール」基の非限定例は、フェニル、1-ナフチル、2-ナフチル、4-ビフェニル、アントラセニル、およびフェナントラセニルを含む。上述のアリール環系およびヘテロアリール環系の各々の置換基は、本明細書に記載の許容可能な置換基からなる群より選択される。
【0123】
簡単に説明すると、用語「アリール」は、他の用語(アリールオキシ、アリールチオキシ、アラルキルを含むが、これらに限定されない)と組み合わされて使用される場合では、先に定義したようなアリール環およびヘテロアリール環の両方を含んでいる。したがって、用語「アラルキル」または「アルカリル」は、アルキル基(ベンジル、フェネチル、およびピリジルメチルなどを含むが、これらに限定されない)に対してアリール基が結合しているラジカルを含むように意図されている。なお、上記アルキル基は、炭素原子(メチレン基を含むが、これに限定されない)がヘテロ原子(一例として酸素原子)によって置換されたアルキル基を含む。このようなアリール基の例は、フェノキシメチル、2-ピリジルオキシメチル、および3-(1-ナフチルオキシ)プロピルなどを含むが、これに限定されない。
【0124】
本明細書に使用されるように、用語「アリーレン」は二価アリールラジカルを指す。「アリーレン」の非限定例は、フェニレン、ピリジニレン、ピリミジニレン、およびチオフェニレンを含む。アリーレン基の置換基は、本明細書に記載の許容可能な置換基からなる群より選択される。
【0125】
「二官能性ポリマー」は、「二官能性リンカー」とも称され、他の部分と特異的に反応して共有結合または非共有結合を形成可能な2つの官能基を含むポリマーを指す。このような部分は、天然または非天然アミノ酸の側鎖基、または、天然または非天然アミノ酸を含むペプチドの側鎖基を含むが、これに限定されない。二官能性リンカーまたは二官能性ポリマーと結合し得る上記他の部分は、同一または異なる部分であってもよい。一例として、二官能性リンカーは、第1のペプチドの基に反応性を示す官能基と、第2のペプチドの基に反応性を示す他の官能基と、を有し、これにより、前記第1のペプチド、前記二官能性リンカー、および前記第2のペプチドを含む複合体を形成する。多様な化合物をペプチドに結合させるための多数の手法および結合分子が公知である。例えば、欧州特許出願第188,256号、米国特許第4,671,958号、米国特許第4,659,839号、米国特許第4,414,148号、米国特許第4,699,784号、米国特許第4,680,338号、および米国特許第4,569,789号を参照。上記特許出願および特許を参照することにより、その内容全体を本願に援用する。「多官能性ポリマー」は、「多官能性リンカー」とも称され、他の部分と反応可能な2つ以上の官能基を含んでいるポリマーを指す。このような部分は、共有結合または非共有結合を形成する、天然または非天然アミノ酸の側鎖基または天然または非天然アミノ酸を含むペプチドの側鎖基を含むが、これに限定されない。(アミノ酸の側鎖基を含むが、これに限定されない)二官能性ポリマーまたは多官能性ポリマーは、長さまたは分子量が所望のものであってもよく、化合物に結合する1つ以上の分子とこの分子が結合する分子または前記化合物との間に特定の所望の間隙または立体構造を提供するよう選択されてもよい。
【0126】
本明細書に使用するように、用語「バイオアベイラビリティー」は、物質またはその活性部分が薬剤の剤形から送達されて作用点または全身循環において利用可能となる速度および程度を指す。バイオアベイラビリティーの増大は、物質またはその活性部分が薬剤の剤形から送達されて作用点または全身循環において利用可能となる速度および程度の増大を示す。一例として、バイオアベイラビリティーの増大は、他の物質または他の活性部分と比較して、物質またはその活性部分の血中濃度が増大していることにより示され得る。バイオアベイラビリティーの増大の評価を行う方法については、その非限定例を実施例21~25に示す。当該方法を使用して任意のポリペプチドのバイオアベイラビリティーの評価を行ってもよい。
【0127】
本明細書で使用される場合、用語「生物活性分子」、「生物活性部分」、または「生物活性剤」は、有機体(ウイルス、細菌、バクテリオファージ、トランスポゾン、プリオン、昆虫、菌、植物、動物、およびヒトを含むが、これらに限定されない)に関する生物学的な系、経路、分子、または相互作用の物性または生化学的特性に作用を及ぼすことが可能な任意の物質を意味する。特に、本明細書で使用されるように、生物活性分子は、ヒトまたは他の動物の疾病の診断、治癒、緩和、治療、または予防を目的とするか、またはヒトまたは動物の身体上または精神上の健康を向上させる任意の物質を含んでいるが、これに限定されない。生物活性分子の例は、ペプチド、タンパク質、酵素、小分子薬剤、ハードドラッグ、ソフトドラッグ、プロドラッグ、炭水化物、無機原子または分子、染料、脂質、ヌクレオシド、放射性核種、オリゴヌクレオチド、毒素、細胞、ウイルス、リポソーム、微小粒子、およびミセルを含むが、これらに限定されない。本明細書に記載の方法および組成物と併用するために好適な生物活性分子の種類は、薬剤、プロドラッグ、放射性核種、造影剤、ポリマー、抗生物質、殺菌剤、抗ウイルス剤、抗炎症剤、抗腫瘍剤、心血管作動剤、抗不安剤、ホルモン、増殖因子、ステロイド剤、および細菌由来の毒素などを含むが、これらに限定されない。
【0128】
「生物活性の調節」を行うことは、ポリペプチドの反応度を増大または低下させること、ポリペプチドの選択性を改変させること、またはポリペプチドの基質選択性を向上または低下させることを意味する。修飾した生物活性の分析は、非天然ポリペプチドの生物活性を天然ポリペプチドの生物活性と比較することにより実施することができる。
【0129】
本明細書に使用されるように、用語「生体材料」は、生物学的に誘導された材料を指す。上記生物学的に誘導された材料は、生物反応器および/または組み換え方法および技術から得られる材料を含むが、これらに限定されない。
【0130】
本明細書に使用されるように、用語「生物物理学的プローブ」は、分子の構造上の変化を検出または観測することが可能なプローブを含む。このような分子はタンパク質を含むが、これに限定されない。「生物物理学的プローブ」を使用して、タンパク質と他の巨大分子との相互作用を検出または観測してもよい。生物物理学的プローブの例は、スピン標識、蛍光プローブ、および光活性化可能な基を含むが、これらに限定されない。
【0131】
本明細書に使用されるように、用語「生合成的」は、翻訳系(細胞または非細胞の翻訳系)を利用する任意の方法であって、ポリヌクレオチド、コドン、tRNA、およびリボソームといった要素の少なくとも1つを使用することを含む方法を指す。一例として、本明細書および非限定性の実施例20に記載の方法および技術(「非天然アミノ酸を含むポリペプチドのインビボ産生法」)を使用して、非天然アミノ酸ポリペプチドへの非天然アミノ酸の「生合成的な組み入れ」を行ってもよい。さらに、非天然アミノ酸ポリペプチドへの「生合成的に組み入れ」を行い得る有用な非天然アミノ酸の選択方法は、非限定性の実施例20に記載されている。
【0132】
本明細書に使用されるように、用語「ビオチンアナログ」(または「ビオチンミメティック」とも称される)は、アビジンおよび/またはストレプトアビジンと親和性高く結合する、ビオチン以外の任意の分子である。
【0133】
本明細書に使用されるように、用語「カルボニル」は、-C(O)-、-S(O)-、-S(O)-、および-C(S)-からなる群より選択される部分を含んでいる基を指し、これらに限定するものではないが、1つのケトン基、少なくとも1つのアルデヒド基、少なくとも1つのエステル基、少なくとも1つのカルボン酸基、および/または少なくとも1つのチオエステル基を含有する基を包摂する。このようなカルボニル基は、ケトン、アルデヒド、カルボン酸、エステル、およびチオエステルを包摂する。さらに、このような基は、直鎖状、分鎖状、または環状の分子の一部であってもよい。
【0134】
用語「カルボキシ末端修飾基」は、末端カルボキシ基に結合することができる任意の分子を指す。一例として、このような末端カルボキシ基は、高分子(ポリペプチド、ポリヌクレオチド、およびポリサッカリドを含むが、これらに限定されない)の端部に位置していてもよい。末端修飾基は、多様な水溶性のポリマー、ペプチド、またはタンパク質を含むが、これらに限定されない。一例として、末端修飾基は、ポリエチレングリコールまたは血清アルブミンを含む。末端修飾基を使用して高分子の治療特性の修飾を行ってもよい。上記修飾は、ペプチドの血中半減期の拡大を含むが、これに限定されない。
【0135】
本明細書に使用されるように、用語「化学的に切断可能な基」は、「化学的に不安定」であるとも称され、酸、基剤、酸化剤、還元剤、化学的開始剤、またはラジカル開始剤に曝されると破壊または切断される基を指す。
【0136】
本明細書に使用されるように、用語「化学発光基」は、加熱を伴わない化学反応の結果として発光する基を指す。一例として、ルミノール(5-アミノ-2,3-ジヒドロ-1,4-フタルアジンジオン)は、基剤および金属触媒の存在下で過酸化水素(H)のような酸化剤と反応して励起状態の反応生成物(3-アミノフタラート(3-APA:3-aminophthalate))を生成する。
【0137】
本明細書に使用されるように、用語「発色団」は、可視波長、紫外線波長、または赤外線波長の光を吸収する分子を指す。
【0138】
本明細書に使用されるように、用語「補因子」は、巨大分子の作用に必須の原子または分子を指す。補因子は、無機イオン、補酵素、タンパク質、または酵素活性に必要な他の因子を含むが、これらに限定されない。例としては、ヘモグロビンのヘム、クロロフィルのマグネシウム、およびタンパク質に含まれる金属イオンが挙げられる。
【0139】
本明細書で使用される場合、「コフォールディング(cofolding)」は、互いに相互作用する少なくとも2つの分子を用い、未フォールディングの、または、不適切にフォールディングされた分子を、適切にフォールディングされた分子へと変換するリフォールディングのプロセス、反応または方法を指す。一例として、「コフォールディング」は、互いに相互作用する少なくとも2つのポリペプチドを用い、未フォールディングの、または、不適切にフォールディングされたポリペプチドを、本来の、適切にフォールディングされたポリペプチドに変換する。このようなポリペプチドは、天然アミノ酸および/または少なくとも1つの非天然アミノ酸を含んでいてもよい。
【0140】
本明細書に使用されるように、「比較ウィンドウ」は、二つの配列が最適にアライメントされた後に、配列を、同じ数の連続位置からなる参照配列と比較するために用いられる任意の連続位置からなるセグメントを指す。このような連続位置は、約20個~約600個の連続単位(約50個~約200個の配列単位を含み、約100~約150個の配列単位を含む)から構成される群を含むが、これに限定されない。一例として、このような配列は、ポリペプチドおよび非天然アミノ酸を含むポリペプチドを含むものであり、連続単位は、天然および非天然アミノ酸を含むものであるが、これらに限定されない。さらに、一例として、このような配列は、連続単位に対応するヌクレオチドからなるポリヌクレオチドを含む。比較のための配列のアライメント方法は当該技術分野において周知である。比較のための配列の最適なアライメントは、局所相同アルゴリズム(Smith and Waterman
(1970) Adv. Appl. Math. 2:482c)、相同位置合わせアルゴリズム(Needleman and Wunsch (1970) J. Mol. Biol. 48:443)、類似探索方法(Pearson and Lipman (1988) Proc.
Nat’l. Acad. Sci. USA 85:2444)、コンピュータによるこれらアルゴリズムの実行(GAP, BESTFIT, FASTA, and TFASTA in the Wisconsin Genetics Software Package, Genetics Computer Group, 575 Science Dr., Madison, WI)、または、手動位置合わせおよび目視検査(例えばAusubel et al., Current Protocols in Molecular Biology (1995 supplement)を参照)により実施することが可能であるが、これら手法のみに限定されない。
【0141】
一例として、パーセント配列同一性およびパーセント配列類似性を決定するために使用し得るアルゴリズムは、Altschul et al. (1997) Nuc. Acids Res. 25:3389-3402およびAltschul et al. (1990) J. Mol. Biol. 215:403-410にそれぞれ記載のBLASTアルゴリズムおよびBLAST2.0アルゴリズムである。BLAST分析を実施するためのソフトウェアは、全米バイオテクノロジー情報センター(the National Center for Biotechnology Information)を介して公衆が利用可能である。BLASTアルゴリズムの変数W,T、およびXにより、アライメントの感度および速度が決定される。BLASTNプログラム(ヌクレオチド配列用)は、初期設定として、ワード長(W)11、期待値(E)10、M=5、N=-4、および両ストランドの比較を使用する。アミノ酸配列に関しては、BLASTPプログラムは、初期設定として、ワード長(W)3、期待値(E)10、およびBLOSUM62スコアリングマトリクス(Henikoff and Henikoff (1992) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 89:10915参照)アライメント(B)50、期待値(E)10、M=5、N=-4、および両ストランドの比較を使用する。上記BLASTアルゴリズムは、一般的には、「低複雑度」のフィルターをオフにして実施される。
【0142】
BLASTアルゴリズムはまた、2つの配列間の類似度の統計的分析を行う(例えばKarlin and Altschul (1993) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 90:5873-5787を参照)。BLASTアルゴリズムにより提供される類似度の1つの測定は、2つのヌクレオチド配列またはアミノ酸配列間のマッチングが偶然に生じる確率の判定の目安となる最小和確率(P(N))である。例えば、検定核酸を参照核酸と比較した場合の最小和確率が約0.2未満、約0.01未満、または約0.001未満である場合では、核酸は参照配列に類似していると考えられる。
【0143】
用語「保存的に改変された変異体」は、天然および非天然アミノ酸の両方、天然および非天然核酸配列、およびこれらの組み合わせに適用される。特定の核酸配列については、「保存的に改変された変異体」は、同一または本質的に同一の天然および非天然アミノ酸配列をコードする天然および非天然核酸を指す。または、天然および非天然核酸が天然および非天然アミノ酸配列をコードしない場合では、「保存的に改変された変異体」は本質的に同一の配列を指す。一例として、遺伝子コードの縮重のため、同一の機能を有する多数の核酸によって任意の特定タンパク質がコードされる。例えば、コドンGCA、GCC、GCG、およびGCUは全てアミノ酸アラニンをコードする。したがって、コドンによってアラニンが特定される全位置において、コードされるポリペプチドを改変させることなく前記コドンを記載の対応コドンの何れかに改変させることができる。このような核酸変異体は、保存的に改変された変異体の一種である「サイレント変異体」である。したがって、一例として、本明細書における全ての天然または非天然ポリペプチドをコードする天然または非天然核酸配列は、天然または非天然核酸における全ての可能なサイレント変異についても記述している。当業者であれば、天然または非天然核酸の各コドン(AUGおよびTGGは除くものであり、AUGは通常ではメチオニンをコードする唯一のコドンであり、TGGは通常ではトリプトファンをコードする唯一のコドンである)を修飾して、機能的に同一の分子を産出することが可能であることを認めるであろう。したがって、天然および非天然ポリペプチドをコードする天然および非天然核酸の各サイレント変異は、記載の各配列中に潜在するものである。
【0144】
アミノ酸配列に関して言えば、コードされる配列における単一アミノ酸または数%のアミノ酸の改変、付加、または欠失を生じさせる核酸、ペプチド、ポリペプチド、またはタンパク質配列に対する個々の置換、欠失、または付加は、こうした改変が、アミノ酸の欠失、付加、または、天然もしくは非天然アミノ酸の化学的に類似のアミノ酸との置換になるとき、「保存的に修飾された変異体」となる。機能的に類似のアミノ酸を提供する同類置換テーブルは当該技術分野において周知である。このような保存的に改変された変異体は、本明細書に記載の方法および組成物の多型変異体、種間ホモログ、および対立遺伝子に追加して含まれるものであり、これらを除外するものではない。
【0145】
機能的に類似のアミノ酸を提供する保存的な置換テーブルは当該技術分野の当業者に周知である。以下に示す8つのグループは、互いに保存的な置換となる各アミノ酸を含んでいる:
(1)アラニン(A)、グリシン(G);
(2)アスパラギン酸(D)、グルタミン酸(E);
(3)アスパラギン(N)、グルタミン(Q);
(4)アルギニン(R)、リジン(K);
(5)イソロイシン(I)、ロイシン(L)、メチオニン(M)、バリン(V);
(6)フェニルアラニン(F)、チロシン(Y)、トリプトファン(W);
(7)セリン(S)、トレオニン(T);および
(8)システイン(C)、メチオニン(M)
(例えば、Creighton, Proteins:Structures and Molecular Properties (W H Freeman
& Co.; 2nd edition (December 1993))参照)。
【0146】
用語「シクロアルキル」および「ヘテロシクロアルキル」は、単独または他の用語と併せて使用される場合では、特に明記しない限り、「アルキル」および「ヘテロアルキル」の環状型をそれぞれ意味する。したがって、シクロアルキルまたはヘテロシクロアルキルは、飽和、部分飽和、および完全飽和状態の環結合を含む。さらに、ヘテロシクロアルキルに関しては、ヘテロ原子は、ヘテロ環は分子の残存部に結合する位置を占めることができる。ヘテロ原子は、酸素、窒素、または硫黄を含んでもよいが、これらに限定されない。シクロアルキルの例は、シクロペンチル、シクロヘキシル、1-シクロヘキセニル、3-シクロヘキセニル、およびシクロヘプチルなどを含むが、これらに限定されない。ヘテロシクロアルキルの例は、1-(1,2,5,6-テトラヒドロピリジル)、1-ピペリジニル、2-ピペリジニル、3-ピペリジニル、4-モルホリニル、3-モルホリニル、テトラヒドロフラン-2-イル、テトラヒドロフラン-3-イル、テトラヒドロチエン-2-イル、テトラヒドロチエン-3-イル、1-ピペラジニル、および2-ピペラジニルなどを含むが、これらに限定されない。さらに、上記用語は、多環状構造(二環または三環の環構造を含むが、これらに限定されない)を含む。同様に、用語「ヘテロシクロアルキレン」は、単独または他の分子の一部として、ヘテロシクロアルキルから誘導される二価ラジカルを意味する。用語「シクロアルキレン」は、単独または他の分子の一部として、シクロアルキルから誘導される二価ラジカルを意味する。
【0147】
本明細書に使用されるように、用語「シクロデキストリン」は、環形成された少なくとも6~8個のグルコース分子から構成される環状の炭水化物を指す。環の外側部分は水溶性の基を含んでいる。上記環の中央部分は、小分子を受け入れることが可能な比較的非極性の窪みである。
【0148】
本明細書に使用されるように、用語「細胞傷害性の」は、細胞に損傷を加える化合物を指す。
【0149】
本明細書に使用されるように、「変性剤」は、ポリマーの可逆的な展開を引き起こす任意の化合物または材料を指す。一例として、「変性剤」はタンパク質の可逆的な展開を引き起こしてもよい。変性剤の長所は、特定の変性剤の特徴および濃度の両方によって決定されることになる。一例として、変性剤は、カオトロープ、洗浄剤、有機物、水混和性溶媒、リン脂質、またはこれらの組み合わせを含むが、これらに限定されない。カオトロープの非限定例は、尿素、グアニジン、およびチオシアン酸ナトリウムを含むが、これらに限定されない。洗浄剤の非限定例は、ドデシル硫酸ナトリウムまたはポリオキシエチレンエーテル(例えば、TweenまたはTriton洗浄剤)などの強力な洗浄剤、Sarkosyl、弱性の非イオン系洗浄剤(例えば、ジギトニン)、N-2,3-(ジオレイオキシ)-プロピル-N,N,N-トリメチルアンモニウムなどの弱性の陽イオン性洗浄剤、弱性のイオン性洗浄剤(例えば、コール酸ナトリウムまたはデオキシコール酸ナトリウム)、または両性イオン性洗浄剤(スルホベタイン(両性洗浄剤)、3-(3-クロロアミドプロピル)ジメチルアンモニオ-1-プロパンサルフェート(CHAPS)、および3-(3-クロロアミドプロピル)ジメチルアンモニオ-2-ヒドロキシ-1-プロパンサルフェート(CHAPSO)を含むが、これらに限定されない)を含むが、これらに限定されない。有機水混和性溶媒の非限定例は、アセトニトリル、下級アルカノール(特に、エタノールまたはイソプロパノールなどのC~Cアルカノール)、または下級アルカンジオール(エチレングリコールなどのC~Cアルカンジオール)を含むが、これらに限定されない。また、上記有機水混和性溶媒の非限定例を変性剤として使用してもよい。リン脂質の非限定例は、ホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルコリン、ホスファチジルセリン、およびホスファチジルイノシトールなどの天然のリン脂質、またはジヘキサノイルホスファチジルコリンまたはジへプタノイルホスファチジルコリンなどの合成リン脂質誘導体または合成リン脂質変異体を含むが、これらに限定されない。
【0150】
本明細書に使用するように、用語「所望の官能基」は、以下に掲げるものから選択される任意の基を指す:標識;染料;ポリマー;水溶性ポリマー;ポリエチレングリコール誘導体;光架橋剤;細胞毒性化合物;薬剤;アフィニティーラベル;光アフィニティーラベル;光アフィニティーラベル;反応性化合物;樹脂;第2のタンパク質アナログ、ポリペプチドアナログ、またはポリペプチドアナログ;抗体もしくは抗体断片;金属キレート剤;補助因子;脂肪酸;炭水化物;ポリヌクレオチド;DNA;RNA;アンチセンスポリヌクレオチド;多糖類;水溶性デンドリマー;シクロデキストリン;生体適合物質;ナノ粒子;スピン標識;蛍光プローブ;金属含有部分;放射性部分;新規な官能基;他の分子と共有的もしくは非共有的に相互作用する基;光ケージド部分;化学線励起部分;リガンド;光異性体化可能な部分;ビオチン;ビオチン類似物;ビオチン類似物;重元素を組み込んでいる部分;化学的に切断可能な基;光切断可能な基;延長された側鎖;炭素結合型の糖;酸化還元活性物質;アミノチオ酸;毒性部分;同位体標識部分;生物物理学的プローブ;燐光基;化学発光基;電子密度の高い基;磁性基;挿入基;発色団;エネルギー転移剤;生物学的活性物質(この場合、生物学的活性物質は、治療活性を有する剤を含むことができ、非天然アミノ酸ポリペプチドまたは修飾非天然アミノ酸は、治療剤が付着している共治療剤または治療剤を有機体の所望位置に送達する手段として作用することができる);検出可能な標識;小分子;抑制性リボ核酸;放射性ヌクレオチド;中性子捕獲物質;ビオチン誘導体;量子ドット;ナノ伝達物質;放射性伝達物質;抗体酵素;活性化させた複合活性剤;ウイルス;アジュバント;アグリカン;アレルガン;アンギオスタチン;抗ホルモン;抗酸化剤;アプタマー;誘導RNA;サポニン;往復ベクター;巨大分子;ミモトープ;受容体;逆ミセル;およびこれらの任意の組み合わせ。
【0151】
本明細書に使用されるように、用語「ジアミン」は、少なくとも2つのアミン官能基を含む基/分子を指す。上記基/分子は、ヒドラジン基、アミジン基、イミン基、1,1-ジアミン基、1,2-ジアミン基、1,3-ジアミン基、および1,4-ジアミン基を含むが、これらに限定されない。さらに、このような基は、直鎖状、分鎖状、または環状の分子の一部であってもよい。
【0152】
本明細書に使用される場合、用語「検出可能標識」は、分析技術(蛍光方法、化学発光方法、電子スピン共鳴方法、紫外・可視吸光度分光学的方法、質量分析方法、核磁気共鳴方法、磁気共鳴方法、および電気化学的方法を含むが、これらに限定されない)を使用して観察可能な標識を指す。
【0153】
用語「ジカルボニル」は、-C(O)-、-S(O)-、-S(O)-、および-C(S)-からなる群より選択される少なくとも2つの部分を含む基を指す。上記基は、1,2-ジカルボニル基、1,3-ジカルボニル基、1,4-ジカルボニル基、および、少なくとも1つのケトン基、少なくとも1つのアルデヒド基、少なくとも1つのエステル基、少なくとも1つのカルボン酸基、および/または少なくとも1つのチオエステル基を含む基を包摂するが、これらに限定されない。このようなジカルボニル基は、ジケトン、ケトアルデヒド、ケト酸、ケトエステル、およびケトチオエステル基を包摂する。さらに、このような基は、直鎖状、分鎖状、または環状の分子の一部であってもよい。上記ジカルボニル基の2つの部分は互いに同一または異なるものでもよく、何れか一方が、一例としてエステル、ケトン、アルデヒド、チオエステル、またはアミドを生成する置換基を含んでいてもよい。
【0154】
本明細書に使用されるように、用語「薬剤」は、疾病または病態の抑制、診断、緩和、治療、または治癒に使用される任意の物質を指す。
【0155】
本明細書に使用されるように、用語「染料」は、発色団を含む可溶性の発色剤を指す。
【0156】
本明細書に使用される場合、用語「有効量」は、治療対象の疾病または病態の1つ以上の症状をある程度緩和するために十分な投与薬剤または投与化合物の量を指す。この結果、疾病の兆候、症状、または原因、または生体系のその他の所望の変化を低減および/または緩和させることができる。一例として、投与薬剤または投与化合物は、天然アミノ酸ポリペプチド、非天然アミノ酸ポリペプチド、改変された天然アミノ酸ポリペプチド、または改変された非アミノ酸ポリペプチドを含むが、これらに限定されない。このような天然アミノ酸ポリペプチド、非天然アミノ酸ポリペプチド、修飾天然アミノ酸ポリペプチド、または修飾非天然アミノ酸ポリペプチドを含む組成物を予防的治療、増強的治療、および/または治療上の処置のために投与することができる。個々の場合の適当な「有効」量は、投与量増加研究法などの技術を使用して決定してもよい。
【0157】
本明細書に使用するように、用語「高電子密度基」は、基電子ビームを照射された場合に電子の散乱を起こす基を指す。このような基は、モリブデン酸アンモニウム、次硝酸ビスマスヨウ化カドミウム、99%、カルボヒドラジド、塩化第二鉄六水和物、ヘキサメチレンテトラミン、98.5%、三塩化インジウム無水物、硝酸ランタン、酢酸鉛三水塩、クエン酸鉛三水塩、硝酸鉛、過ヨウ素酸、リンモリブデン酸、リンタングステン酸、フェリシアン化カリウム、フェロシアン化カリウム、ルテニウムレッド、硝酸銀、タンパク銀(Agアッセイ:8.0~8.5%)「ストロング(Strong)」、テトラフェニルポルフィリン銀(silver tetraphenylprophin)(S-TPPS)、塩化金酸ナトリウム、タングステン酸ナトリウム、硝酸タリウム、チオセミカルバジド(TSC)、酢酸ウラニル、硝酸ウラニル、および硫酸バナジルを包摂するが、これらに限定されない。
【0158】
本明細書に使用するように、用語「エネルギー転移剤」は、他の分子にエネルギーを供与するか、または他の分子からエネルギーを受け取る分子を指す。一例として、蛍光共鳴エネルギー転移(FRET)は、蛍光供与分子の励起状態のエネルギーが非励起受容分子に非放射的に伝達されて、その後、この非励起受容分子が供与エネルギーをより長い波長で蛍光放出する双極子間カップリングの過程である。
【0159】
用語「向上させる」または「向上」は、所望の効果の有効性または持続期間を増大または延長させることを意味する。一例として、治療薬の効果を「向上させる」とは、疾病、疾患、または病態の治療中に作用する治療薬の効果の有効性または持続期間を増大または延長させる能を指す。本明細書に使用するように、「向上有効量」は、疾病、疾患、または病態の治療における治療薬の効果を向上させるために適当な量を指す。患者に使用する場合では、上記用途に有効な量は、疾病、疾患、または病態の重症度および経過、以前の治療、患者の健康状態および薬剤への反応、および治療医師の判断に応じて決定されることになる。
【0160】
本明細書において用いられる場合、用語「真核生物」は系統発生学上の真核生物ドメインに属する有機体を指す。真核生物ドメインに属する有機体は、動物(哺乳類、昆虫、爬虫類、鳥類などを含むが、これらに限定されない)、繊毛虫類、植物(単子葉植物、双子葉植物、および藻を含むが、これらに限定されない)、菌類、酵母、鞭毛虫、微胞子虫、および原生生物を含むが、これらに限定されない。
【0161】
本明細書に使用されるように、用語「脂肪酸」は、炭化水素側鎖がCまたはそれより長鎖のカルボン酸を指す。
【0162】
本明細書に使用されるように、用語「蛍光プローブ」は、励起された場合に光子を放出する蛍光性の分子を指す。
【0163】
本明細書で使用されるように、用語「官能基」、「活性部分」、「活性化基」、「離脱基」、「反応部位」、「化学反応基」、および「化学反応部分」は、化学反応が発生する分子の一部または単位を指す。これら用語は、化学分野においては幾らかの同義性を示す用語である。また本明細書においては、ある機能または活性をもたらし、他の分子と反応する分子の一部を示す用語として使用される。
【0164】
用語「ハロゲン」は、フッ素、塩素、ヨウ素、および臭素を包摂する。
【0165】
本明細書に使用するように、用語「ハロアシル」は、ハロゲン部分(-C(O)CH、-C(O)CF、および-C(O)CHOCHなどを包摂するが、これらに限定されない)を含むアシル基を指す。
【0166】
本明細書に使用するように、用語「ハロアルキル」は、ハロゲン部分(-CFおよび-CHCFなどを含むが、これらに限定されない)を含むアルキル基を指す。
【0167】
本明細書に使用されるように、用語「ヘテロアルキル」は、アルキル基とO、N、Si、およびSからなる群より選択される少なくとも1つのヘテロ原子とから構成され、窒素原子および硫黄原子が適宜酸化されてもよく、窒素ヘテロ原子が適宜四級化されてもよい直鎖状、分鎖状、または環状の炭化水素ラジカル、またはこれらの組み合わせを指す。ヘテロ原子O、N、S,およびSiは、ヘテロアルキル基の任意の内部位置またはアルキル基が分子の残余部分に結合する位置に配置されてもよい。一例として、-CH-CH-O-CH、-CH-CH-NH-CH、-CH-CH-N(CH)-CH、-CH-S-CH-CH、-CH-CH、-S(O)-CH、-CH-CH-S(O)-CH、-CH=CH-O-CH、-Si(CH、-CH-CH=N-OCH、および-CH=CH-N(CH)-CHを包摂するが、これらに限定されない。さらに、最大で2つまでのヘテロ原子(一例として、-CH-NH-OCHおよび-CH-O-Si(CHなど)が連続していてもよい。
【0168】
用語「ヘテロ環に基づく結合」または「ヘテロ環結合」は、ジカルボニル基がジアミン基と反応することで形成される部分を指す。この結果得られる反応生成物は、ヘテロアリール基またはヘテロシクロアルキル基を含むヘテロ環である。この結果得られるヘテロ環基は、非天然アミノ酸または非天然アミノ酸ポリペプチドと他の官能基との間の化学結合として働く。一実施形態では、上記ヘテロ環結合は、窒素含有ヘテロ環結合(一例として、ピラゾール結合、ピロール結合、インドール結合、ベンゾジアゼピン結合、およびピラゾロン(pyrazolone)結合を含む)を含む。
【0169】
同様に、用語「ヘテロアルキレン」は、ヘテロアルキル(-CH-CH-S-CH-CH-および-CH-S-CH-CH-NH-CH-に例示されるが、これらに限定されない)から誘導される二価ラジカルを指す。ヘテロアルキレン基に関しては、同一または異なるヘテロ原子(アルキレンオキシ、アルキレンジオキシ、アルキレンアミノ、アルキレンジアミノ、およびアミノオキシアルキレンなどを含むが、これらに限定されない)が片側または両側の鎖末端を占めてもよい。さらに、アルキレン結合基およびヘテロアルキレン結合基に関しては、結合基の方向性は、結合基を示す式の記載方向によって示唆されることはない。一例として、式-C(O)R’-は、-C(O)R’-および-R’C(O)-の両方を示す。
【0170】
本明細書に使用されるように、用語「ヘテロアリール」または「ヘテロ芳香族」は、N、O、およびSから選択される少なくとも1つのヘテロ原子を含むアリール基を指す。なお、上記アリール基は、窒素原子および硫黄原子は適宜酸化されてもよく、また、当該窒素原子は適宜四級化されてもよい。ヘテロアリール基は、置換されてもよいが、非置換であってもよい。また、ヘテロアリール基は、ヘテロ原子を介して分子の残余部分と結合されていてもよい。上記ヘテロアリール基の非限定例は、1-ピロリル、2-ピロリル、3-ピロリル、3-ピラゾリル、2-イミダゾリル、4-イミダゾリル、ピラジニル、2-オキサゾリル、4-オキサゾリル、2-フェニル-4-オキサゾリル、5-オキサゾリル、3-イソオキサゾリル、4-イソオキサゾリル、5-イソオキサゾリル、2-チアゾリル、4-チアゾリル、5-チアゾリル、2-フリル、3-フリル、2-チエニル、3-チエニル、2-ピリジル、3-ピリジル、4-ピリジル、2-ピリミジル、4-ピリミジル、5-ベンゾチアゾリル、プリニル、2-ベンゾイミダゾリル、5-インドリル、1-イソキノリル、5-イソキノリル、2-キノキサリニル、5-キノキサリニル、3-キノリル、および6-キノリルを含む。
【0171】
本明細書に使用するように、用語「ホモアルキル」は、炭化水素基であるアルキル基を指す。
【0172】
本明細書に使用するように、用語「同一性の」は、2つ以上の同一の配列またはサブ配列を指す。さらに、本明細書に使用するように、用語「実質的に同一性の」は、比較アルゴリズムの使用または手動アライメントおよび目視検査による計測により、比較され、比較ウィンドウまたは指定領域において最大限対応するようにアライメントされたときに、同一の連続単位のパーセンテージがある程度になる2つ以上の配列を指す。一例として、特定の領域全体における連続単位の同一性が約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、または約95%である場合では、2つ以上の配列は「実質的に同一」であり得る。このような同一性のパーセンテージによって、2つ以上の配列の「パーセント同一性」を記述する。配列の同一性は、少なくとも約75~100個の連続単位の長さの領域全体、約50個の連続単位の長さの領域全体、または特定されていない場合では配列全域に亘って存在することができる。この定義はまた、試験配列の相補鎖も指す。一例として、2つ以上のポリペプチド配列について、アミノ酸残基が同一である場合にはポリペプチド配列は同一である。一方、特定領域全体におけるアミノ酸残基の同一性が約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、または約95%の場合には上記2つ以上のポリペプチド配列は「実質的に同一」である。上記同一性は、少なくとも約75~約100個のアミノ酸の長さの領域全体、約50個のアミノ酸の長さの領域全体、または特定の無い場合ではポリペプチド配列全域において存在することができる。さらに、一例として、2つ以上のポリヌクレオチド配列について、核酸残基が同一の場合にはこれらポリヌクレオチド配列は同一である。一方、特定領域全体における核酸残基の同一性が約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、または約95%である場合には上記2つ以上のリヌクレオチド配列は「実質的に同一」である。上記同一性は、少なくとも約75個~約100個の核酸の長さの領域全体、約50個の核酸の長さの領域全体、または特定のない場合ではリヌクレオチド配列の全配列において存在することができる。
【0173】
配列比較では、通常は1つの配列が、試験配列を比較する参照配列として働く。配列比較アルゴリズムを使用する場合では、試験配列および参照配列をコンピュータに入力し、必要であればサブ配列の配位を指定し、配列アルゴリズムプログラムの変数を指定する。なお、配列アルゴリズムプログラムの初期設定変数を使用することもできる。または、代替変数を指定することもできる。その後、上記配列比較アルゴリズムにより、上記参照配列に対する上記試験配列のパーセント配列同一性を上記プログラム変数に基づいて算出する。
【0174】
本明細書に使用されるように、用語「免疫原性」は、治療薬剤の投与に対する抗体応答を指す。生体液中の抗非天然アミノ酸ポリペプチド抗体を検出するための定量分析法および定性分析法を使用して、治療用の非天然アミノ酸ポリペプチドに対する免疫原性を得ることができる。これらの分析法は、放射免疫測定(RIA)、酵素免疫測定吸着法(ELISA)、発光免疫測定法(LIA)、および蛍光免疫測定法(FIA)を含むが、これらに限定されない。治療用の非天然アミノ酸ポリペプチドに対する免疫原性の検出は、治療用の非天然アミノ酸ポリペプチドの投与後の抗体応答を治療用の天然アミノ酸ポリペプチド投与後の抗体応答と比較することを含む。
【0175】
本明細書に使用されるように、用語「挿入剤」は、「挿入基」とも称され、分子内空間または分子間スペースに挿入可能な化学物質を指す。一例として、挿入剤または挿入基は、DNA分子であってもよい。2重鎖DNAのスタックされた塩基間に挿入する分子であってもよい。
【0176】
本明細書に使用されるように、用語「単離化」は、対象の要素を対象以外の要素から分離して取り除くことを指す。単離物質は、乾燥または半乾燥状態とすることもできるが、溶液(水溶液を含むが、これに限定されない)中とすることもできる。単離要素は、同質の状態とすることもできる。または、薬学的に許容可能な追加の担体および/または賦形剤を備える医薬組成物の一部とすることもできる。純度および均質性は、分析化学技術(ポリアクリルアミドゲル電気泳動法または高速液体クロマトグラフィー法を含むが、これらに限定されない)を使用して決定してもよい。さらに、対象の要素を単離し、これが調製物中に存在する優勢種である場合では、本明細書において前記要素は実質的に精製されていると記載する。本明細書に使用されるように、用語「精製された」は、少なくとも純度85%、少なくとも純度90%、少なくとも純度95%、または少なくとも純度99%以上の対象要素を指し得る。一例として、核酸またはタンパク質は、天然の状態では付随している細胞要素の少なくとも一部を含んでいない場合、「単離」されたことになる。または、インビトロ生成またはインビボ生成で得られる濃度よりも高いレベルに凝縮された場合、上記核酸またはタンパク質は「単離」された状態となる。さらに、一例として、遺伝子は、遺伝子の側面に位置して対象遺伝子以外のタンパク質をコードする読み取り枠から分離された場合に単離される。
【0177】
本明細書に使用されるように、用語「標識」は、化合物に取り込まれ、容易に検出される物質を指す。上記物質の物理的分布を検出および/または監視してもよい。
【0178】
本明細書に使用されるように、用語「結合」は、リンカーの官能基と他の分子との間の化学反応により発生する結合または化学的部分を指す。このような結合は共有結合および非共有結合を含んでもよいが、これらに限定されない。また、このような化学的部分は、エステル、炭酸塩、イミンホスフェートエステル、ヒドラゾン、アセタール、オルトエステル、ペプチド結合、およびオリゴヌクレオチド結合を含むが、これらに限定されない。加水分解に安定な結合は、水中で実質的な安定性を示し、且つ有用なpH値(生理条件下で長期間または無期限)では水と反応しない結合を示す。加水分解に不安定または分解性の結合とは、結合が水または水溶液中(例えば血液を含む)において分解可能であることを意味する。酵素に不安定または分解可能な結合とは、結合が1つ以上の酵素によって分解可能であることを意味する。一例として、PEGおよびこれに関連するポリマーは、高分子骨格内または高分子骨格と高分子の末端官能基の1つ以上との間の結合基内に分解性結合を含んでいてもよい。このような分解性結合は、PEGカルボン酸または活性PEGカルボン酸が生理活性剤上のアルコール基と反応することにより形成されるエステル結合を含むが、これに限定されない。なお、このようなエステル基は、一般的に、生理的条件下で加水分解して生理活性剤を放出する。他の加水分解により分解可能な結合は、カーボネート結合;アミンおよびアルデヒドの反応から形成されるイミン結合;アルコールをリン酸基と反応させることで形成されるリン酸エステル結合;ヒドラジドおよびアルデヒドの反応生成物であるヒドラゾン結合;アルデヒドおよびアルコールの反応生成物であるアセタール結合;ギ酸塩およびアルコールの反応生成物であるオルトエステル結合;アミン基(PEGなどのポリマーの端部に位置するアミン基を含むが、これに限定されない)およびペプチドのカルボキシル基により形成されるペプチド結合;およびホスホルアミジテ基(ポリマーの端部のホスホルアミジテ基を含むが、これに限定されない)およびオリゴヌクレオチドの5’ヒドロキシル基から形成されるオリゴヌクレオチド結合を含むが、これに限定されない。
【0179】
本明細書に使用されるとき、「培地」または「培養液」という用語は、細胞の成長および回収、および/またはそのような細胞による生成物の発現および/または分泌に使用される任意の培養培地を指す。そのような「培地」または「培養液」としては、任意の宿主細胞(例えば、細菌宿主細胞、酵母宿主細胞、昆虫宿主細胞、植物宿主細胞、真核生物宿主細胞、哺乳類宿主細胞、CHO細胞、原核生物宿主細胞、E. coli宿主細胞、またはPseudomonas宿主細胞)、および細胞内容物を保持し得るか、または含有し得る溶液、固体、半固体、または固定担体が挙げられるが、これらに限定されない。そのような「培地」または「培養液」としては、宿主細胞が培養され、ポリペプチドが分泌されている培地または培養液(増殖段階の前または後のいずれかにおける培地)が挙げられるが、これらに限定されない。また、そのような「培地」または「培養液」としては、一例として、ポリペプチドが細胞内において生成され、宿主細胞が溶解されるかまたは崩壊させられてポリペプチドを放出する、宿主細胞溶解液を含有している緩衝液または試薬が挙げられるが、これらに限定されない。
【0180】
本明細書に使用されるとき、「代謝産物」という用語は、一例として、天然アミノ酸ポリペプチド、非天然アミノ酸ポリペプチド、修飾された天然アミノ酸ポリペプチド、または修飾された非天然アミノ酸ポリペプチドなどの化合物の誘導体を指し、一例として、天然アミノ酸ポリペプチド、非天然アミノ酸ポリペプチド、修飾された天然アミノ酸ポリペプチド、または修飾された非天然アミノ酸ポリペプチドなどの化合物が代謝されるときに生成される。「薬学的に活性な代謝産物」または「活性な代謝産物」という用語は、一例として、天然アミノ酸ポリペプチド、非天然アミノ酸ポリペプチド、修飾された天然アミノ酸ポリペプチド、または修飾された非天然アミノ酸ポリペプチドなどの化合物の生物学的に活性な誘導体を指し、一例として、天然アミノ酸ポリペプチド、非天然アミノ酸ポリペプチド、修飾された天然アミノ酸ポリペプチド、または修飾された非天然アミノ酸ポリペプチドなどの化合物が代謝されるときに生成される。
【0181】
本明細書に使用されるとき、「代謝される」という用語は、特定の物質が生物によって変化するプロセス全体を指す。そのようなプロセスとしては、加水分解反応や酵素を触媒にした反応が挙げられるが、これらに限定されない。代謝に関する更なる詳細は、The Pharmacological Basis of Therapeutics, 9th Edition, McGraw-Hill (1996)を参照。一例として、天然アミノ酸ポリペプチド、非天然アミノ酸ポリペプチド、修飾された天然アミノ酸ポリペプチド、または修飾された非天然アミノ酸ポリペプチドの代謝産物は、天然アミノ酸ポリペプチド、非天然アミノ酸ポリペプチド、修飾された天然アミノ酸ポリペプチド、または修飾された非天然アミノ酸ポリペプチドの宿主への投与および宿主からの組織試料の分析によって、または、天然アミノ酸ポリペプチド、非天然アミノ酸ポリペプチド、修飾された天然アミノ酸ポリペプチド、または修飾された非天然アミノ酸ポリペプチドのインビトロにおける肝細胞を用いたインキュベーションおよび得られた化合物の分析によって、特定することができる。
【0182】
本明細書に使用されるとき、「金属キレート剤」という用語は、金属イオンによって金属錯体を生成する分子を指す。一例として、そのような分子は中心金属イオンによる2つ以上の配位結合を形成し、環構造を形成し得る。
【0183】
本明細書に使用されるとき、「金属を含有する部分」という用語は、金属イオン、原子、または粒子を含有する基を指す。そのような部分としては、シスプラチン、キレートされた金属イオン(ニッケル、鉄、白金など)、および金属ナノ粒子(ニッケル、鉄、白金など)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0184】
本明細書に使用されるとき、「重原子を組み込みこんでいる部分」という用語は、通常炭素よりも重い原子のイオンを組み込む基を指す。そのようなイオンまたは原子としては、ケイ素、タングステン、金、鉛、およびウランが挙げられるが、これらに限定されない。
【0185】
本明細書に使用されるとき、「修飾された」という用語は、天然アミノ酸、非天然アミノ酸、天然アミノ酸ポリペプチド、または非天然アミノ酸ポリペプチドへの変化の存在を指す。そのような変化または修飾は、天然アミノ酸、非天然アミノ酸、天然アミノ酸ポリペプチド、または非天然アミノ酸ポリペプチドの合成後修飾によって、または天然アミノ酸、非天然アミノ酸、天然アミノ酸ポリペプチド、または非天然アミノ酸ポリペプチドの翻訳同時または翻訳後修飾によって得られる。「修飾されたまたは非修飾の」形態とは、述べられている天然アミノ酸、非天然アミノ酸、天然アミノ酸ポリペプチド、または非天然アミノ酸ポリペプチドが任意に修飾されており、すなわち、述べられている天然アミノ酸、非天然アミノ酸、天然アミノ酸ポリペプチド、または非天然アミノ酸ポリペプチドが修飾され得るか、または修飾され得ないことを意味する。
【0186】
本明細書に使用されるとき、「調節された血中半減期」という用語は、その非修飾形態に比べて、修飾された生物学的に活性な分子の循環半減期における正または負の変化を指す。一例として、修飾された生物学的に活性な分子としては、天然アミノ酸、非天然アミノ酸、天然アミノ酸ポリペプチド、または非天然アミノ酸ポリペプチドが挙げられるが、これらに限定されない。一例として、血中半減期は、生物学的に活性な分子または修飾された生物学的に活性な分子の投与後における種々の時点において血液試料を採取すること、および試料のそれぞれにおける分子の濃度を判定することによって測定される。時間と血清濃度との相関関係によって、血中半減期の算出が可能である。調節された血中半減期の一例として、血中半減期を増強させた場合、投与計画の改善を可能にするか、または毒作用を避けることができる。そのような血清の増強は少なくとも約2倍、少なくとも約3倍、少なくとも約5倍、または少なくとも約10倍である。血中半減期の増強の評価方法の例は、実施例33に挙げられているが、これに限定されない。この方法は、任意のポリペプチドの血中半減期の評価に使用することができる。
【0187】
本明細書に使用されるとき、「調節された治療半減期」という用語は、その非修飾形態に比べて、修飾された生物学的に活性な分子の治療有効量の半減期における正または負の変化を意味する。一例として、修飾された生物学的に活性な分子としては、天然アミノ酸、非天然アミノ酸、天然アミノ酸ポリペプチド、または非天然アミノ酸ポリペプチドが挙げられるが、これらに限定されない。一例として、治療半減期は、投与後における種々の時点において分子の薬物動態特性および/または薬理学的特性を測定することによって測定される。増強された治療半減期は、特に利益をもたらす投与計画または特に利益をもたらす総投与量を可能にするか、または好ましくない影響を回避する。一例として、増強された治療半減期は、増強された有効性、修飾された分子のその標的に対する増強されたかもしくは低減された結合、非修飾分子の作用の他の要素もしくは機序の増強もしくは減弱、または、一例として、プロテアーゼなどの酵素による分子崩壊の増加または減少、によって生じる。治療半減期の増強の評価方法の例は、実施例33に挙げられているが、これに限定されない。この方法は、任意のポリペプチドの治療半減期の評価に使用することができる。
【0188】
本明細書に使用されるとき、「ナノ粒子」という用語は、粒子サイズが約500nmから約1nmの粒子を指す。
【0189】
本明細書に使用されるとき、「ほぼ化学量論的」という用語は、化学反応に用いられている化合物のモル比が約0.75から約1.5であることを指す。
【0190】
本明細書に使用されるとき、「非真核生物」という用語は非真核生物の生体を指す。一例として、非真核生物の生体は、真正細菌(Escherichia coli、Thermus thermophilus、またはBacillus stearothermophilus、Pseudomonas fluorescens、Pseudomonas aeruginosa、Pseudomonas putidaなどが挙げられるが、これらに限定されない)(系統学的なドメイン)、または古細菌(Methanococcus jannaschii、Methanobacterium thermoautotrophicum、Archaeoglobus fulgidus、Pyrococcus furiosus、Pyrococcus horikoshii、Aeuropyrum pernix、またはHalobacterium(例えば、Haloferax volcaniiおよびHalobacterium種のNRC-1)などが挙げられるが、これらに限定されない)(または系統学的な領域)に属することができる。
【0191】
「非天然アミノ酸」とは、通常の20のアミノ酸の1つではなく、ピロールリジンまたはセレノシステインでもないアミノ酸を指す。「非天然アミノ酸」という用語と同義的に用いられ得る別の用語としては、「天然にコードされていないアミノ酸」、「天然でないアミノ酸」、「天然に存在しないアミノ酸」、ならびにそれらの種々のハイフンでつなげられた形態およびハイフンでつなげられていない形態がある。用語「非天然アミノ酸」は、天然にコードされたアミノ酸(通常の20のアミノ酸またはピロリジンおよびセレノシステインが挙げられるが、これらに限定されない)の修飾によって自然に生じ、その翻訳複合物によって成長中のポリペプチド鎖に組み込まれないアミノ酸が挙げられるが、これらに限定されない。天然にコードされたアミノ酸ではない天然に存在するアミノ酸の例としては、N-アセチルグルコサミニル-L-セリン、N-アセチルグルコサミニル-L-スレオニン、およびO-ホスホチロシンが挙げられるが、これらに限定されない。さらに、用語「非天然アミノ酸」としては、自然に生じないアミノ酸であって、合成的に得られるアミノ酸または非天然アミノ酸の修飾によって得られるアミノ酸が挙げられるが、これらに限定されない。
【0192】
本明細書に使用されるとき、「核酸」という用語は、デオキシリボヌクレオチド、デオキシリボヌクレオシド、リボヌクレオシド、またはリボヌクレオチド、およびそれらの1本鎖または2本鎖の形態のポリマーを指す。一例として、そのような核酸や核酸ポリマーとしては、(i)基準の核酸と同様の結合特性を有しており、天然に存在するヌクレオチドと同様の様式において代謝される天然ヌクレオチドのアナログ、(ii)オリゴヌクレオチドのアナログ(PNA(ペプチド核酸))、アンチセンス技術に使用されるDNAのアナログ(ホスホロチオエートおよびホスホロアミダートなど)が挙げられるが、これらに限定されない、(iii)これらの保存的に改変された変異体(変性コドン置換が挙げられるが、これに限定されない)および相補的な配列および明確に示されている配列、が挙げられるが、これらに限定されない。一例として、変性コドン置換は、1つ以上の選択された(またはすべての)コドンの3番目の位置が混合塩基および/またはデオキシイノシン残基に置換される配列を生成することによって達成され得る(Batzer et al., Nucleic Acid Res. 19:5081 (1991); Ohtsuka et al., J. Biol. Chem. 260:2605-2608 (1985); Rossolini et al., Mol. Cell. Probes 8:91-98 (1994))。
【0193】
本明細書に使用されるとき、「酸化剤」は、酸化される化合物から電子を除去できる化合物または物質を指す。一例として、酸化剤としては、酸化グルタチオン、シスチン、シスタミン、酸化ジチオスレイトール、酸化エリスレイトールおよび酸素が挙げられるが、これらに限定されない。広範な酸化剤が本明細書に記載の方法および組成における使用に好適である。
【0194】
本明細書に使用されるとき、「薬学的に受容可能」という用語は、化合物の生物学的な活性または特性を阻害せず、比較的毒性のない塩、担体、または希釈剤などを指すが、これらに限定されない。すなわち、望ましくない生物学的効果を起こさずに、またはそれが含まれる組成物の任意の成分を劣化させるような相互作用を起こさずに、個体に投与される物質を指す。
【0195】
本明細書に使用されるとき、「光アフィニティーラベル」という用語は、光が当てられると、その標識が親和性を有する分子との結合を形成する基による標識を指す。一例として、そのような結合は共有結合または非共有結合である。
【0196】
本明細書に使用されるとき、「光ケージド部分」という用語は特定の波長の照明によって、他のイオンまたは分子を共有結合または非共有結合する基を指す。
【0197】
本明細書に使用されるとき、「光切断可能な基」という用語は光に当てられると分断される基を指す。
【0198】
本明細書に使用されるとき、「光架橋剤」という用語は、光が当てられると反応して2つ以上の単量体分子または高分子との共有または非共有結合を形成する2つ以上の官能基を含む化合物を指す。
【0199】
本明細書に使用されるとき、「光異性化可能な部分」という用語は、光が当たるとある異性体型から別の異性体型に変化する基を指す。
【0200】
本明細書に使用されるとき、「ポリアルキレングリコール」という用語は、直鎖状または分枝鎖状の高分子ポリエーテルポリオールを指す。そのようなポリアルキレングリコールとしては、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリブチレングリコールおよびこれらの誘導体が挙げられるが、これらに限定されない。他の例示的な実施形態は、例えば、株式会社Shearwaterのカタログ“Polyethylene Glycol and Derivatives for Biomedical Applications”(2001)といった商業的な供給業者のカタログに挙げられている。一例として、そのような高分子ポリエーテルポリオールは約0.1kDaから約100kDaの間の平均分子量を有している。一例として、そのような高分子ポリエーテルポリオールとしては、約100Daから約100000Da以上の間が挙げられるが、これらに限定されない。ポリマーの分子量としては、約100Daから約100000Daの間、例えば、約100000Da、約95000Da、約90000Da、約85000Da、約80000Da、約75000Da、約70000Da、約65000Da、約60000Da、約55000Da、約50000Da、約45000Da、約40000Da、約35000Da、約30000Da、約25000Da、約20000Da、約15000Da、約10000Da、約9000Da、約8000Da、約7000Da、約6000Da、約5000Da、約4000Da、約3000Da、約2000Da、約1000Da、約900Da、約800Da、約700Da、約600Da、約500Da、400Da、約300Da、約200Da、および約100Daが挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態において、ポリマーの分子量は約100Daから約50000Daの間である。いくつかの実施形態において、ポリマーの分子量は約100Daから約40000Daの間である。いくつかの実施形態において、ポリマーの分子量は約1000Daから約40000Daの間である。いくつかの実施形態において、ポリマーの分子量は約2000Daから約50000Daの間である。いくつかの実施形態において、ポリマーの分子量は約5000Daから約40000Daの間である。いくつかの実施形態において、ポリマーの分子量は約10000Daから約40000Daの間である。いくつかの実施形態において、ポリ(エチレングリコール)分子は分枝鎖状のポリマーである。分枝鎖状のPEGの分子量は、約1000Daから約100000Daの間、約100000Da、約95000Da、約90000Da、約85000Da、約80000Da、約75000Da、約70000Da、約65000Da、約60000Da、約55000Da、約50000Da、約45000Da、約40000Da、約35000Da、約30000Da、約25000Da、約20000Da、約15000Da、約10000Da、約9000Da、約8000Da、約7000Da、約6000Da、約5000Da、約4000Da、約3000Da、約2000Da、および約1000Daが挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態において、分枝鎖状のPEGの分子量は約1000Daから約50000Daの間である。いくつかの実施形態において、分枝鎖状のPEGの分子量は約1000Daから約40000Daの間である。いくつかの実施形態において、分枝鎖状のPEGの分子量は約5000Daから約40000Daの間である。いくつかの実施形態において、分枝鎖状のPEGの分子量は約5000Daから約20000Daの間である。他の実施形態において、分枝鎖状のPEGの分子量は約2000Daから約50000Daの間である。
【0201】
本明細書に使用されるとき、「ポリマー」という用語はサブユニットの繰り返しから成る分子を指す。そのような分子としては、ポリペプチド、ポリヌクレオチド、または多糖、またはポリアルキレングリコールが挙げられるが、これらに限定されない。
【0202】
「ポリペプチド」、「ペプチド」および「タンパク質」という用語は、本明細書において交換可能に使用されて、アミノ酸残基のポリマーを指す。すなわち、ポリペプチドを対象とする記載は、ペプチドの記載およびタンパク質の記載に等しく適用され、逆の場合も同様である。当該用語は、天然に存在するアミノ酸ポリマーおよび1つ以上のアミノ酸残基が非天然アミノ酸であるアミノ酸ポリマーに適用される。さらに、そのような「ポリペプチド」、「ペプチド」および「タンパク質」という用語は、任意の長さ(全長のタンパク質が挙げられる)のアミノ酸鎖を包含し、ここでアミノ酸残基は共有的なペプチド結合によって結合されている。
【0203】
「翻訳後修飾」という用語は、翻訳的にポリペプチド鎖に組み込まれた後に当該アミノ酸に生じる、天然または非天然のアミノ酸の任意の修飾を指す。当該修飾は、インビボにおける翻訳同時修飾、インビトロにおける翻訳同時修飾(例えば、無細胞翻訳系)、インビボにおける翻訳後修飾、およびインビトロにおける翻訳後修飾を包含しているが、それらに限定されない。
【0204】
本明細書に使用されるとき、「プロドラッグ」または「薬学的に受容可能なプロドラッグ」という用語は、インビボまたはインビトロにおいて親薬物に変換される物質を指し、薬物の生物学的な活性または特性を阻害せず、比較的毒性のない物質を指し、すなわち、望ましくない生物学的効果を起こさずに、またはそれが含まれる組成物の任意の成分を劣化させるような相互作用を起こさずに、個体に投与される物質を指す。一般的に、プロドラッグとは薬物前駆体であり、対象への投与およびその後の吸収に続いて、任意のプロセス(代謝経路による変換など)を通じて、活性な、または、より活性な種に変換される。いくつかのプロドラッグは、その活性を減じるおよび/または薬物に溶解性またはその他の特性を与えるプロドラッグに存在する化学基を有している。その化学基が開裂するおよび/またはプロドラッグから修飾されると、活性な薬物が生成される。プロドラッグは、体内における酵素的または非酵素的反応によって活性な薬物に変換される。プロドラッグは、溶解性の向上、特定の細胞、組織、器官、またはリガンドなどを特に標的とした輸送特性の向上などの生理化学的性質の向上をもたらし、薬剤の治癒的価値も向上させる。そのようなプロドラッグの利点としては、(i)親薬物と比較して投与しやすい、(ii)親薬物とは違い、プロドラッグは口径投与によって体内に吸収され利用され得る、および(iii)親薬物と比較して、プロドラッグは薬学的組成物における溶解性も高い、という点が挙げられるが、これらに限定されない。プロドラッグは、活性な薬物の薬理的に不活性なまたは低活性な誘導体を含む。プロドラッグは、生理化学的性質、生物薬剤的性質、または薬物動態的性質などの薬物の性質を操作することで、作用すべき部位に到達する薬物または生物学的に活性な分子の量を調節することを目的としている。プロドラッグの例としては、エステル(「プロドラッグ」)として、水溶解性が移動性に悪影響を及ぼす細胞膜を通じた伝送を促進するために投与され、その後、代謝的に加水分解されてカルボン酸(活性物)になり、細胞内において水溶解性が有益に作用する非天然アミノ酸ポリペプチドが挙げられるが、これに限定されない。プロドラッグは、部位特異的な組織への薬剤の輸送を向上させる調節剤として使用される可逆性薬物誘導体として設計される。
【0205】
本明細書に使用されるとき、「予防的な有効量」という用語は、疾患の1つ以上の症状、治療される症状または不調をある程度受けるであろう患者に予防的に投与される少なくとも1つの非天然アミノ酸ポリペプチドまたは少なくとも1つの修飾された非天然アミノ酸ポリペプチドを含む組成物の量を指す。そのような予防的な用途において、その量は患者の健康状態および体重などに依存する。日常的な実験(例えば、用量の段階的増大の臨床試験が挙げられるがこれに限定されない)による当該予防的な有効量の決定は、当業者の範囲内にあると十分にみなされる。
【0206】
本明細書に使用されるとき「保護」という用語は、ある反応条件における化学的に反応性の官能基の反応を防止する「保護基」または保護部分の存在を指す。保護基は、保護される化学的に反応性の基の種類に依存して変わる。一例として、(i)化学的に反応性を示す基がアミンまたはヒドラジドである場合に、保護基は、tert-ブチルオキシカルボニル(t-Boc)および9-フルオレニルメトキシカルボニル(Fmoc)からなる群から選択され、(ii)化学的に反応性を示す基がチオールである場合に、保護基はオルトピリジルジスルフィドであり、(iii)化学的に反応性を示す基がブタン酸もしくはプロピオン酸といったカルボン酸、またはヒドロキシル基である場合に、保護基は、ベンジル基またはメチル、エチルもしくはtert-ブチルといったアルキル基であり得る。
【0207】
一例として、ブロック基/保護基は、
【0208】
【化47】
【0209】
から選択され得る。
【0210】
さらに、保護基としては、NvocおよびMeVocといった感光性基や、当該分野に公知の他の保護基が挙げられるが、これらに限定されない。他の保護基は、参照によってその全体が本明細書に援用されるGreene and Wuts, Protective Groups in Organic Synthesis, 3rd Ed., John Wiley & Sons, New York, NY, 1999に記載されている。
【0211】
本明細書に使用されるとき、「放射性部分」という用語は、アルファ粒子、ベータ粒子、またはガンマ粒子などの放射線を自発的に発する原子核を有する基を指し、アルファ粒子はヘリウムの核、ベータ粒子は電子、ガンマ粒子は高エネルギー光子である。
【0212】
本明細書に使用されるとき、「反応性化合物」という用語は、適切な条件下で別の原子、分子、または化合物に対して反応する化合物を指す。
【0213】
「組み換え宿主細胞」という用語は、「宿主細胞」とも称され、挿入に使用される方法(例えば、直接的な取り込み、形質導入、f-交配(f-mating)、または組み換え宿主細胞を作り出すために使用される他の公知の方法)にかかわらず、外来性のポリヌクレオチドを含んでいる細胞を指す。一例として、外来性のポリヌクレオチドは、宿主のゲノムに組み込まれないベクター(例えばプラスミド)であり、または宿主のゲノムに組み込まれ得る。
【0214】
本明細書に使用されるとき、「酸化還元活性のある物質」という用語は、別の分子を酸化または還元する分子を指し、それによって酸化還元活性のある物質は還元または酸化される。酸化還元活性のある物質の例としては、フェロセン、キノン、Ru2+/3+複合体、Co2+/3+複合体、およびOs2+/3+複合体が挙げられるが、これらに限定されない。
【0215】
本明細書に使用されるとき、「還元剤」という用語は、還元状態の化合物に電子を添加することができる、化合物または物質を指す。一例として、還元剤としてはジチオスレイトール(DTT)、2-メルカプトエタノール、ジチオエリスリトール、システイン、システアミン(2-アミノエタンチオール)および還元グルタチオンが挙げられるが、これらに限定されない。一例として、当該還元剤は還元状態においてスルフィドリル基を維持し、分子内または分子間のジスルフィド結合を還元するために用いられる。
【0216】
本明細書に使用されるとき、「リフォールディング」は、不適切にフォールディングされた状態または展開された状態から、本来の立体構造または適切にフォールディングされた立体構造に変形させる任意の過程、反応または方法を指す。一例として、リフォールディングによって、ジスルフィド結合を含んでいるポリペプチドを、不適切にフォールディングされた状態または展開された状態から、ジスルフィド結合に関して本来の立体構造または適切にフォールディングされた立体構造に変形させる。そのようなジスルフィド結合を含んでいるポリペプチドとしては、天然アミノ酸ポリペプチドまたは非天然アミノ酸ポリペプチドが挙げられる。
【0217】
本明細書に使用されるとき、「樹脂」という用語は、高分子量の不溶性ポリマービーズを指す。一例として、それらのビーズは固相ペプチド合成用の担体として使用されるか、または精製前に分子が付着する場として使用される。
【0218】
本明細書に使用されるとき、「単糖類」という用語は、一連の炭水化物を指し、糖、単糖、オリゴ糖、および多糖が挙げられるが、これらに限定されない。
【0219】
本明細書に使用されるとき、「安全」または「安全性」という用語は、薬物を投与した回数に対する、薬剤の投与に関係する可能性のある副作用を指す。一例として、投与回数が多くても、少しの副作用しか生じないまたは副作用を生じない薬物は、優れた安全性を有していると言える。安全性の評価方法の例は、実施例26に挙げられているが、これに限定されない。この方法は、任意のポリペプチドの安全性の評価に使用することができる。
【0220】
本明細書に使用されるとき、「~に対して選択的にハイブリダイズする」または「~に対して特異的にハイブリダイズする」という表現は、配列が複合混合物(全体の細胞またはライブラリのDNAまたはRNAが挙げられるが、これらに限定されない)に存在している場合に、ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件における特定のヌクレオチド配列との、分子の結合、分子の2重鎖化、または分子のハイブリダイズを指す。
【0221】
本明細書に使用されるとき、「スピン標識」という用語は、電子スピン共鳴スペクトロスコピーによって検知され、別の分子に付着可能な不対電子スピンを示す原子または原子群(すなわち、安定した常磁性基)を含む分子を指す。そのようなスピン標識分子としては、ニトリルラジカルおよびニトロキシド、および単一スピン標識または二重スピン標識が挙げられるが、これらに限定されない。
【0222】
本明細書に使用されるとき、「化学量論的」という用語は、化学反応に用いられている化合物のモル比が約0.9から約1.1であることを指す。
【0223】
本明細書に使用されるとき、「化学量論様」という用語は、反応条件の変化または添加物の有無に応じて化学量論的またはほぼ化学量論的になる化学反応を指す。当該反応条件の変化としては、温度の上昇またはpHの変化が挙げられるが、これらに限定されない。当該添加物としては促進剤が挙げられるが、これに限定されない。
【0224】
「ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件」という表現は、低イオン強度および高温度の条件下における、DNA、RNA、PNA、または他の核酸ミメティック、あるいはそれらの組み合わせの配列のハイブリダイゼーションをいう。一例として、ストリンジェントな条件下において、プローブは、核酸の複合混合物(限定されないが、全細胞、DNAライブラリ、またはRNAライブラリが挙げられる)中のプローブが標的とするサブ配列とハイブリダイズするが、この複合混合物中の他の配列とはハイブリダイズしない。ストリンジェントな条件は配列に依存し、また、環境が異なれば、ストリンジェントな条件も異なる。一例として、配列が長くなるほど、特異的にハイブリダイズするための温度は高くなる。ストリンジェントハイブリダイゼーション条件は、(i)規定のイオン強度およびpHにおける、特異的な配列の熱融解温度(Tm)よりも約5~10℃低いこと、(ii)約pH7.0~約pH8.3において、塩濃度が約0.01M~約1.0Mであり、温度が、短いプローブ(限定されないが、約10~約50ヌクレオチドのプローブが挙げられる)については少なくとも約30℃であり、長いプローブ(限定されないが、50ヌクレオチドよりも長いプローブが挙げられる)については少なくとも約60℃であること、(iii)限定されないが、ホルムアミドなどの不安定化剤を添加すること、(iv)50%ホルムアミド、5×SSC、および1%SDSにおいて42℃でインキュベーションするか、または5×SSC、1%SDSにおいて65℃にてインキュベーションし、0.2×SSCおよび約0.1%SDSにおいて65℃にて約5分間から約120分間の洗浄をすることが挙げられるが、これらに限定されない。一例として、選択的または特異的ハイブリダイゼーションの検出としては、ポジティブなシグナルは、バックグラウンドのハイブリダイゼーションの少なくとも2倍であることが挙げられるが、これらに限定されない。核酸のハイブリダイゼーションの豊富な指針は、Tijssen, Laboratory Techniques in Biochemistry and Molecular Biology--Hybridization with Nucleic Probes, 「Overview of principles of hybridization and the strategy of nucleic acid assays」(1993)に示されている。
【0225】
本明細書に使用されるとき、「対象」という用語は、処置、観察または実験の対象である動物を指す。一例として、対象としてはヒトなどの哺乳類が挙げられるが、これに限定されない。
【0226】
本明細書に使用されるとき、「実質的に精製された」という用語は、精製の前に、対象となる要素と付随するか、または相互作用する別の要素を実質的にか、またはほとんど含まない、対象となる要素を指す。一例として、対象となる要素の調製物が、(乾燥重量として)約30%未満、約25%未満、約20%未満、約15%未満、約10%未満、約5%未満、約4%未満、約3%未満、約2%未満、または約1%未満の混入要素を含んでいる場合に、対象となる要素が「実質的に精製された」ことになる。このように、「実質的に精製された」対象となる要素は、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%、約96%、約97%、約98%、約99%、またはそれ以上の純度を有している。一例として、天然アミノ酸ポリペプチドまたは非天然アミノ酸ポリペプチドは、天然の細胞または天然アミノ酸ポリペプチドまたは非天然アミノ酸ポリペプチドが組み換え的に生成される場合における宿主細胞から精製される。一例として、調製物が(乾燥重量として)約30%未満、約25%未満、約20%未満、約15%未満、約10%未満、約5%未満、約4%未満、約3%未満、約2%未満、または約1%未満の混入物質を含んでいる場合に、天然アミノ酸ポリペプチドまたは非天然アミノ酸ポリペプチドの調製物が「実質的に精製された」ことになる。一例として、天然アミノ酸ポリペプチドまたは非天然アミノ酸ポリペプチドが宿主細胞によって組み換え的に生成される場合、天然アミノ酸ポリペプチドまたは非天然アミノ酸ポリペプチドは細胞の乾燥重量で約30%、約25%、約20%、約15%、約10%、約5%、約4%、約3%、約2%、または約1%、またはそれ以下の割合で存在する。一例として、天然アミノ酸ポリペプチドまたは非天然アミノ酸ポリペプチドが宿主細胞によって組み換え的に生成される場合、天然アミノ酸ポリペプチドまたは非天然アミノ酸ポリペプチドは細胞の乾燥重量で約5g/L、約4g/L、約3g/L、約2g/L、約1g/L、約750mg/L、約500mg/L、約250mg/L、約100mg/L、約50mg/L、約10mg/L、または約1mg/Lまたはそれ以下の割合で培養培地に存在する。一例として、「実質的に精製された」天然アミノ酸ポリペプチドまたは非天然アミノ酸ポリペプチドは、適切な方法(例えば、SDS/PAGE分析、RP-HPLC、SECおよびキャピラリー電気泳動が挙げられるが、これらに限定されない)によって判定されるときに、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%、約99%、またはそれ以上の純度を有している。
【0227】
「置換基」という用語は、「非干渉性の置換基」とも称され、分子において別の基に置換するために使用される基を指す。それらの基としては、ハロ、C~C10アルキル、C~C10アルケニル、C10アルキニル、C~C10アルコキシ、C~C12アラルキル、C~C12シクロアルキル、C~C12シクロアルケニル、フェニル、置換フェニル、トルオイル(toluolyl)、キシレニル、ビフェニル、C~C12アルコキシアルキル、C~C12アルコキシアリール、C~C12アリールオキシアルキル、C~C12オキシアリール、C~Cアルキルスルフィニル、C~C10アルキルスルフォニル、-(CH-O-(C~C10アルキル)(ここで、mは1から8である)、アリール、置換アリール、置換アルコキシ、フルオロアルキル、ヘテロ環ラジカル、置換ヘテロ環ラジカル、ニトロアルキル、-NO、-CN、-NRC(O)-(C~C10アルキル)、-C(O)-(C~C10アルキル)、C~C10アルキルチオアルキル(alkthioalkyl)、-C(O)O-(C~C10アルキル)、-OH、-SO、=S、-COOH、-NR、カルボニル、-C(O)-(C~C10アルキル)-CF、-C(O)-CF、-C(O)NR、-(C~C10アリール)-S-(C~C10アリール)、-C(O)-(C~C10アリール)、-(CH-O-(CH-O-(C~C10アルキル)(ここで、mのそれぞれは1から8である)、-C(O)NR、-C(S)NR、-SONR、-NRC(O)NR、-NRC(S)NR、これらの塩などが挙げられるが、これらに限定されない。上述したリスト中のR基のそれぞれとしては、H、アルキルもしくは置換アルキル、アリールもしくは置換アリール、またはアルカリルが挙げられるが、これらに限定されない。左から右に書かれる従来の化学式によって、置換基が特定される場合に、それらは、右から左に構造を記載することによって生じる化学的に同一な置換基を等しく包含している(例えば、-CHO-は-OCH-と等価である)。
【0228】
一例として、アルキルラジカルおよびヘテロアルキルラジカル(アルキレン、アルケニル、ヘテロアルキレン、ヘテロアルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、シクロアルケニルおよびヘテロシクロアルケニルと呼ばれるこれらの基が挙げられる)にとっての置換基は、-OR、=O、=NR、=N-OR、-NR、-SR、-ハロゲン、-SiR、-OC(O)R、-C(O)R、-COR、-CONR、-OC(O)NR、-NRC(O)R、-NRC(O)NR、-NR(O)R、-NR-C(NR)=NR、-S(O)R、-S(O)R、-S(O)NR、-NRSOR、-CNおよび-NOが挙げられるが、これらに限定されない。上述したリスト中のR基のそれぞれとしては、水素、置換もしくは非置換のヘテロアルキル、置換もしくは非置換のアリール(1~3のハロゲンに置換されたアリールが挙げられるが、これに限定されない)、置換もしくは非置換のアルキル、アルコキシもしくはチオアルコキシ基、またはアラルキル基が挙げられるが、これらに限定されない。2つのR基が同じ窒素原子に結合される場合に、それらは、5-、6-、7-員環を形成するために窒素原子と組み合せられ得る。例えば、-NRは、1-ピロリジニルおよび4-モルホリニルを包含していることを意図されているが、これらに限定されない。
【0229】
一例として、アリール基およびヘテロアリール基にとっての置換基は、0から芳香族環系における空いている原子価の総数の範囲の数において、-OR、=O、=NR、=N-OR、-NR、-SR、-ハロゲン、-SiR、-OC(O)R、-C(O)R、-COR、-CONR、-OC(O)NR、-NRC(O)R、-NRC(O)NR、-NR(O)R、-NR-C(NR)=NR、-S(O)R、-S(O)R、-S(O)NR、-NRSOR、-CN、-NO、-R、-N、-CH(Ph)、フルオロ(C~C)アルコキシ、ならびにフルオロ(C~C)アルキルが挙げられるが、これらに限定されない。ここで、上述したリスト中のR基それぞれとしては、水素、アルキル、ヘテロアルキル、アリールおよびヘテロアリールが挙げられるが、これらに限定されない。
【0230】
本明細書に使用されるとき、「治療有効量」という用語は、すでに疾患、病気、または不調になっている患者に対して、処置されるべき疾患、不調、または病気の症状の1つ以上を治療する、または少なくとも部分的に進行を押さえる、またはいくらか軽減するために投与される少なくとも1つの非天然アミノ酸ポリペプチドおよび/または少なくとも1つの修飾された非天然アミノ酸ポリペプチドを含む組成物の量を指す。そのような組成物の有効性は、状態(疾患、不調もしくは病気の重篤度および経過、以前の治療、患者の健康状態および薬物に対する応答、ならびに処置する医師の判断が挙げられるが、これらに限定されない)に依存する。一例として、治療有効量は日常的な実験(用量の段階的増大の臨床試験が挙げられるが、これに限定されない)によって決定される。
【0231】
本明細書に使用されるとき、「チオアルコキシ」という用語は、酸素原子を介して分子に結合する硫黄含有アルキル基を指す。
【0232】
「熱融解温度」またはTmという用語は、(規定のイオン強度、pHおよび核酸の濃度において)標的に相補的なプローブの50%が、平衡状態で標的配列にハイブリダイズする温度である。
【0233】
本明細書に使用されるとき、「毒性部分」または「毒性基」という用語は、損害、障害、または死を引き起こし得る化合物を指す。毒性部分としては、オーリスタチン、DNA小溝結合物質、DNA小溝アルキル化物質、エンジイン、レキシトロプシン、ズオカルマイシン、タキサン、ピューロマイシン、ドラスタチン、マイタンシノイド、ビンカアルカロイド、AFP、MMAF、MMAE、AEB、AEVB、オーリスタチンE、パクリタキセル、ドセタキセル、CC-1065、SN-38、トポテカン、モルホリノドキソルビシン、リゾキシン、シアノモルホリノドキソルビシン、ドラスタチン-10、エキノマイシン、コンブレタットスタチン(combretatstatin)、カリケアマイシン(chalicheamicin)、メイタンシン、DM-1、ネトロプシン、ポドフィロトキシン(例えば、エトポシド、テニポシドなど)、バカチンおよびその誘導体、抗チューブリン物質、クリプトフィシン(cryptophysin)、コンブレタスタチン、オーリスタチンE、ビンクリスチン、ビンブラスチン、ビンデシン、ビノレルビン(vinorelbine)、VP-16、カンプトテシン、エポチロンA、エポチロンB、ノコダゾール、コルヒチン、コルシミド(colcimid)、エストラムスチン、セマドチン、ディスコデルモリド、メイタンシン、エレウテロビン、メクロレタミン、シクロフォスファミド、メルファラン、カルマスティン、ロムスチン、セムスチン、ストレプトゾシン、クロロゾトシン、ウラシルマスタード、クロルメチン、イホスファミド、クロラムブシル、ピポブロマン、トリエチレンメラミン、トリエチレンチオホスホラミン、ブスルファン、ダカルバジン、およびテモゾロマイド、イタラビン(ytarabine)、シトシンアラビノシド、フルオロウラシル、フロクシウリジン、6-チオグアニン、6-メルカプトプリン、ペントスタチン、5-フルオロウラシル、メトトレキセート、10-プロパルギル-5,8-ジデアザ葉酸、5,8-ジデアザテトラヒドロ葉酸、ロイコボリン、リン酸フルダラビン、ペントスタチン(pentostatine)、ゲムシタビン、Ara-C、パクリタキセル、ドセタキセル、デオキシコホルマイシン、マイトマイシン-C、L-アスパラギナーゼ、アザチオプリン、ブレキナール、抗生物質(例えば、アントラサイクリン、ゲンタマイシン、セファロチン、バンコマイシン、テラバンシン、ダプトマイシン、アジスロマイシン、エリスロマイシン、ロシスロマイシン(rocithromycin)、フラゾリドン、アモキシシリン、アンピシリン、カルベニシリン、フルクロキサシリン、メチシリン、ペニシリン、シプロフロキサシン、モキシフロキサシン、オフロキサシン、ドキシサイクリン、ミノサイクリン、オキシテトラサイクリン、テトラサイクリン、ストレプトマイシン、リファブチン、エタンブトール、リファキシミン、など)、抗ウイルス薬(例えば、アバカビル、アシクロビル、アンプリゲン、シドフォビル、デラビルジン、ディダノシン、エファビレンツ、エンテカビル、フォスフォネット、ガンシクロビル、イバシタビン、イムノビル、イドクスウリジン、イノシン、ロピナビル、メチサゾン、ネキサビル、ネビラピン、オセルタミビル、ペンシクロビル、スタブジン、トリフルリジン、ツルバダ、バラシクロビル、ザナミビル、など)、塩酸ダウノルビシン、ダウノマイシン、ルビドマイシン、セルビジン、イダルビシン、ドキソルビシン、エピルビシンおよびモルホリノ誘導体、フェノキシゾンビスシクロペプチド(例えば、ダクチノマイシン)、塩基性糖ペプチド(例えば、ブレオマイシン)、アントラキノン配糖体(例えば、プリカマイシン、ミトラマイシン)、アントラセンジオン(例えば、ミトキサントロン)、アジリノピロロインドールジオン(例えば、マイトマイシン)、大環状の免疫抑制剤(例えば、シクロスポリン、FK-506、タクロリムス、プログラフ、ラパマイシンなど)、ナベルベン、CPT-11、アナストラゾール、レトラゾール(letrazole)、カペシタビン、レロキサフィン、シクロフォスファミド、イホスアミド(ifosamide)、ドロロキサフィン、アロコルチシン、ハリコンドリンB、コルヒチン、コルヒチン誘導体、メイタンシン、リゾキシン、パクリタキセル、パクリタキセル誘導体、ドセタキセル、チオコルヒチン、トリチルシステリン、硫酸ビンブラスチン、硫酸ビンクリスチン、シスプラチン、カルボプラチン、ヒドロキシ尿素、N-メチルヒドラジン、エピドフィロトキシン、プロカルバジン、ミトキサントロン、ロイコボリン、およびテガフールが挙げられるが、これらに限定されない。「タキサン」としては、任意の活性タキサン誘導体またはプロドラッグに加えて、パクリタキセルが挙げられる。
【0234】
本明細書に使用されるとき、「処置する」、「処置すること」、または「処置」という用語には、疾患もしくは病気の症状を緩和する、和らげる、または改善すること、追加の症状を防ぐこと、症状の根本的な代謝的原因を改善するまたは防ぐこと、疾患もしくは病気を抑えること、例えば、疾患もしくは病気の発達の進行を抑えること、疾患もしくは病気を和らげること、疾患もしくは病気を退行させること、疾患もしくは病気による異常を和らげること、または疾患もしくは病気の症状を止めること、が含まれる。「処置する」、「処置すること」、または「処置」という用語としては、予防的および/または治療的処置が挙げられるが、これらに限定されない。
【0235】
本明細書に使用されるとき、「水溶性ポリマー」という用語は水性溶媒に可溶性を示す任意のポリマーを指す。そのような水溶性ポリマーとしては、ポリエチレングリコール、ポリエチレングリコールプロピオンアルデヒド、モノC~C10アルコキシ誘導体もしくはモノC~C10アリールオキシ誘導体(参照によって本明細書に援用される米国特許第5,252,714号に記載されている)、モノメトキシポリエチレングリコール、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、ポリアミノ酸、ジビニルエーテルマレイン酸無水物、N-(2-ヒドロキシプロピル)-メタクリルアミド、デキストラン、デキストラン誘導体(硫化デキストランが挙げられる)、ポリプロピレングリコール、ポリプロピレンオキシド/エチレンオキシドコポリマー、ポリオキシエチル化ポリオール、ヘパリン、ヘパリン断片、多糖、オリゴ糖、グリカン、セルロースおよびセルロース誘導体(メチルセルロースおよびカルボキシメチルセルロースが挙げられるが、これらに限定されない)、血清アルブミン、スターチおよびスターチ誘導体、ポリペプチド、ポリアルキレングリコールおよびこれらの誘導体、ポリアルキレングリコールのコポリマーおよびその誘導体、ポリビニルエチルエーテル、ならびにアルファ-ベータ-ポリ[(2-ヒドロキシエチル)-DL-アスパルトアミド]など、またはこれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。一例として、そのような水溶性ポリマーと天然アミノ酸ポリペプチドまたは非天然ポリペプチドとの結合は変化をもたらし、当該変化には、向上した水溶解性、延長または調節された血中半減期、非修飾形態と比べて延長されたかもしくは調節された治療半減期、向上したバイオアベイラビリティー、調節された生物学的な活性、延長された循環時間、調節された免疫原性、調節された物理的な会合特性(例えば、凝集および多量体形成が挙げられるがこれらに限定されない)、変更された受容体結合、1つ以上の結合パートナーとの変更された結合、ならびに変更された受容体の二量体化もしくは多量体化が挙げられるが、これらに限定されない。さらに、当該水溶性ポリマーは、自身の生物学的な活性を有していても、有していなくてもよい。
【0236】
指定がない限り、当該技術の範囲内の質量分析、NMR、HPLC、タンパク質化学、生化学、組み換えDNA技術、薬理学といった従来の方法が用いられる。
【0237】
本明細書に記載の化合物(非天然アミノ酸、非天然アミノ酸ポリペプチド、修飾された非天然アミノ酸ポリペプチド、および上述した化合物を生成するための試薬が挙げられるが、これらに限定されない)は、同位体標識された化合物を含む。同位体標識された化合物は、本明細書に記載の様々な式や構造によって示したものと同じ化合物であるが、1つ以上の原子が、天然に見られる原子量または質量とは異なる原子量または質量を有している原子と置き換えられているものである。本発明の化合物に組み込まれ得る同位体の例としては、水素、炭素、窒素、酸素、フッ素および塩素の同位体(例えば、それぞれ、H、H、13C、14C、15N、18O、17O、35S、18F、36Cl)が挙げられる。本明細書に記載の特定の同位体標識された化合物、例えば放射性同位体(例えば、Hおよび14C)が組み込まれる同位体標識された化合物は、薬および/または基質組織分布アッセイにおいて有用である。さらに、重水素(すなわち、H)などの同位体との置換は、より高い代謝安定性(例えば、延長されたインビボにおける半減期または低減された投与必要量)によってもたらされる所定の治療的な利点を提供し得る。
【0238】
本明細書に記載のいくつかの化合物(非天然アミノ酸、非天然アミノ酸ポリペプチド、修飾された非天然アミノ酸ポリペプチド、および上述の化合物を生成するための試薬が挙げられるが、これらに限定されない)は、不斉炭素原子を有しており、従ってエナンチオマーまたはジアステレオマーとして存在し得る。ジアステレオマー(Diasteromeric)混合物は、その物理化学的な違いに基づき、例えば、クロマトグラフィーおよび/またはフラクタル結晶化として知られる方法によって、個々のジアステレオマーに分割することができる。エナンチオマーは、適当な光学活性化合物(例えば、アルコール)との反応によってエナンチオマー混合物をジアステレオマー混合物に変換することによって分割することができ、その場合、ジアステレオマーを分割し、個々のジアステレオマーを対応する純エナンチオマーに変換(例えば、加水分解)する。ジアステレオマー、エナンチオマー、およびそれらの混合物を含むすべてのそのような異性体は、本明細書に記載の組成物の一部とみなされる。
【0239】
付加的な実施形態またはさらなる実施形態において、本明細書に記載の化合物(非天然アミノ酸、非天然アミノ酸ポリペプチド、修飾された非天然アミノ酸ポリペプチド、および上述の化合物を生成するための試薬が挙げられるが、これらに限定されない)はプロドラッグの形態で使用される。付加的な実施形態またはさらなる実施形態において、本明細書に記載の化合物(非天然アミノ酸、非天然アミノ酸ポリペプチド、修飾された非天然アミノ酸ポリペプチド、および上述の化合物を生成するための試薬が挙げられるが、これらに限定されない)は代謝産物を生成する必要がある生物に投与されると代謝され、その後、生成された代謝産物が利用されて、所望の効果(所望の治療的な効果が挙げられる)がもたらされる。さらなる実施形態または付加的な実施形態において、非天然アミノ酸および「修飾されたまたは非修飾の」非天然アミノ酸ポリペプチドの活性な代謝産物である。
【0240】
本明細書に記載の方法および調合は、非天然アミノ酸、非天然アミノ酸ポリペプチド、および修飾された非天然アミノ酸ポリペプチドのN-酸化物、結晶形(多形体としても知られる)、または薬学的に受容可能な塩の使用を含む。特定の実施形態において、非天然アミノ酸、非天然アミノ酸ポリペプチド、および修飾された非天然アミノ酸ポリペプチドは互変異性体として存在し得る。全ての互変異性体は、本明細書に記載の非天然アミノ酸、非天然アミノ酸ポリペプチド、および修飾された非天然アミノ酸ポリペプチドの範囲内に含まれる。さらに、本明細書に記載の非天然アミノ酸、非天然アミノ酸ポリペプチド、および修飾された非天然アミノ酸ポリペプチドは薬学的に受容可能な溶媒(例えば、水およびエタノールなど)と、溶媒和されていない形態および溶媒和されている形態において存在し得る。本明細書に記載の非天然アミノ酸、非天然アミノ酸ポリペプチド、および修飾された非天然アミノ酸ポリペプチドの溶媒和されている形態も、本明細書に記載されているとみなされる。
【0241】
本明細書に記載のいくつかの化合物(非天然アミノ酸、非天然アミノ酸ポリペプチド、修飾された非天然アミノ酸ポリペプチド、および上述の化合物を生成するための試薬が挙げられるが、これらに限定されない)は、いくつかの互変異性体の形態において存在し得る。そのような全ての互変異性体の形態は、本明細書に記載の組成物の一部とみなされる。また、例えば、本明細書に記載の任意の化合物(非天然アミノ酸、非天然アミノ酸ポリペプチド、修飾された非天然アミノ酸ポリペプチド、および上述の化合物を生成するための試薬が挙げられるが、これらに限定されない)の全てのエノール-ケトの形態は、本明細書に記載の組成物の一部とみなされる。
【0242】
本明細書に記載のいくつかの化合物(非天然アミノ酸、非天然アミノ酸ポリペプチド、修飾された非天然アミノ酸ポリペプチド、および上述の化合物のいずれかを生成するための試薬が挙げられるが、これらに限定されない)は酸性であり、薬学的に受容可能なカチオンによって塩を生成し得る。本明細書に記載のいくつかの化合物(非天然アミノ酸、非天然アミノ酸ポリペプチド、修飾された非天然アミノ酸ポリペプチド、および上述の化合物を生成するための試薬が挙げられるが、これらに限定されない)は塩基性であり、したがって、薬学的に受容可能なアニオンによって塩を生成し得る。二塩を含むそのような全ての塩は、本明細書に記載の組成物の範囲に含まれ、従来の方法によって調製することができる。例えば、塩は、水性の培地、非水性の培地、または部分的に水性の培地において、酸性物質および塩基性物質を接触させることで調製することができる。塩は、下記の技術の内の少なくとも1つを用いて回収される:濾過、非溶媒を用いた沈殿およびそれに続く濾過、溶媒の蒸発、または、水溶液の場合、凍結乾燥。
【0243】
本明細書に記載の非天然アミノ酸ポリペプチドの薬学的に受容可能な塩は、親非天然アミノ酸ポリペプチドに存在する酸性プロトンが金属イオン(一例として、アルカリ金属イオン、アルカリ土類イオン、アルミニウムイオン、または有機塩基の同等物(coordinates)のいずれか)に置き換えられたときに生成され得る。さらに、塩形態の本明細書に記載の非天然アミノ酸ポリペプチドは、出発原料または中間体の塩を用いて調製することができる。本明細書に記載の非天然アミノ酸ポリペプチドは、遊離塩基形態の本明細書に記載の非天然アミノ酸ポリペプチドを薬学的に受容可能な無機酸または有機酸と反応させることによって、薬学的に受容可能な酸添加塩(薬学的に受容可能な塩の一種)として調製することができる。または、本明細書に記載の非天然アミノ酸ポリペプチドは、遊離酸形態の本明細書に記載の非天然アミノ酸ポリペプチドを薬学的に受容可能な無機塩基または有機塩基と反応させることによって、薬学的に受容可能な塩基添加塩(薬学的に受容可能な塩の一種)として調製することができる。
【0244】
薬学的に受容可能な塩の種類としては、(1)塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸、などの無機酸によって生成された酸添加塩;または、酢酸、プロピオン酸、ヘキサン酸、シクロペンタンプロピオン酸、グリコール酸、ピルビン酸、乳酸、マロン酸、コハク酸、リンゴ酸、マレイン酸、フマル酸、酒石酸、クエン酸、安息香酸、3-(4-ヒドロキシベンゾイル)安息香酸、桂皮酸、マンデル酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、1,2-エタンジスルホン酸、2-ヒドロキシエタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、2-ナフタレンスルホン酸、4-メチルビシクロ-[2.2.2]オクタ-2-エン-1-カルボン酸、グルコヘプトニック酸、4,4’-メチレンビス-(3-ヒドロキシ-2-エン-1-カルボン酸)、3-フェニルプロピオン酸、トリメチル酢酸、第三ブチル酢酸、ラウリル硫酸、グルコン酸、グルタミン酸、ヒドロキシナフトエ酸、サリチル酸、ステアリン酸、ムコン酸、などの有機酸によって生成された酸添加塩;(2)親化合物に存在する酸性プロトンが金属イオン(例えば、アルカリ金属イオン、アルカリ土類イオン、アルミニウムイオン、または有機塩基の同等物(coordinates)のいずれか)に置き換えられたときに生成される塩が挙げられるが、これらに限定されない。受容可能な有機塩基としては、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、トロメタミン、およびN-メチルグルカミン、などが挙げられる。受容可能な無機塩基としては、水酸化アルミニウム、水酸化カルシウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、水酸化ナトリウム、などが挙げられる。
【0245】
非天然アミノ酸ポリペプチドの薬学的に受容可能な塩の対応する対イオンは、様々な方法(イオン交換クロマトグラフィー、イオンクロマトグラフィー、キャピラリー電気泳動、誘導結合プラズマ、原子吸光分光、質量分析法、またはそれらの任意の組み合わせが挙げられるが、それらに限定されない)を用いて分析および特定することができる。さらに、そのような非天然アミノ酸ポリペプチドの薬学的に受容可能な塩の治療活性は、実施例87~91に記載の技術および方法を用いて検査することができる。
【0246】
当然ながら、塩に対する言及は、溶媒添加の形態またはその結晶形、特に、溶媒和物または多形体を含む。溶媒和物は、化学量論的な量または非化学量論的な量の溶媒を含み、水およびエタノールなどの薬学的に受容可能な溶媒による結晶化の工程中にしばしば生成される。溶媒が水の場合には水和物が生成され、溶媒がアルコールの場合にはアルコラートが生成される。多形体は、化合物の同じ成分組成の異なる結晶充填配列を含む。通常、多形体は異なるX線回折パターン、赤外線スペクトル、融点、密度、硬度、結晶形状、光学特性および電気特性、安定性、および溶解性を有している。再結晶溶媒、晶析速度、および保存温度などの様々な要因によって、中心となる1つの結晶形がもたらされる。
【0247】
非天然アミノ酸ポリペプチドの薬学的に受容可能な塩の多形体および/または溶媒和物は、様々な技術(熱分析、X線回折、分光法、蒸気収着、および顕微鏡法が挙げられるがこれらに限定されない)を用いてスクリーニングおよび特徴づけすることができる。熱分析方法では、熱化学分解または熱物理処理(多形転移が挙げられるがこれに限定されない)を扱い、そのような方法は、多形相間の関係の分析、減量の測定、ガラス転移温度の検出、または賦形剤適合性研究に使用される。そのような方法としては、示差走査熱分析(DSC)、変調示差走査熱分析(MDCS)、熱重量分析(TGA)、および熱重量赤外分析(TG/IR)が挙げられるが、これらに限定されない。X線回折方法としては、単結晶粉末回折計およびシンクロトロン放射源が挙げられるが、これらに限定されない。使用される様々な分光技術としては、ラマン、FTIR、UVIS、およびNMR(液体状および固体状)が挙げられるが、これらに限定されない。様々な顕微鏡法技術としては、偏光顕微鏡法、エネルギー分散X線分析(EDX)を用いた走査型電子顕微鏡法(SEM)、(気体または水蒸気雰囲気における)EDXを用いた環境制御型走査電子顕微鏡法、IR顕微鏡法、およびラマン顕微鏡法が挙げられるが、これらに限定されない。
【0248】
〔図面の簡単な説明〕
本発明の新規の特徴は、添付の請求の範囲で詳細に記載されている。本発明の特徴および利点は、本発明の原理を利用した例示的な実施形態を記載する以下の詳細な説明を参照することによって、より良く理解されるであろう。添付の図面は、以下の通りである。
【0249】
図1〕Her2受容体へのHer-toxの結合を示す図である。
【0250】
図2〕ELISA分析で決定されたAnti-Her2変異体の発現を示す図である。
【0251】
図3〕ELISA分析で決定されたAnti-Her2変異体の発現を示す図である。
【0252】
図4〕HCC1954乳癌細胞株とドラスタチンリンカー誘導体を用いた細胞増殖アッセイを示す図である。
【0253】
図5〕HCC1954乳癌細胞株とドラスタチンリンカー誘導体を用いた細胞増殖アッセイの分析を示す図である。
【0254】
図6〕SKOV-3卵巣癌細胞株とドラスタチンリンカー誘導体を用いた細胞増殖アッセイの分析を示す図である。
【0255】
図7〕SKOV-3卵巣癌細胞株とトラスツズマブ-tox複合体を用いた細胞増殖アッセイの分析を示す図である。
【0256】
図8〕MDA-MB-468乳癌細胞株とドラスタチンリンカー誘導体を用いた細胞増殖アッセイの分析を示す図である。
【0257】
図9〕MDA-MB-468乳癌細胞株とトラスツズマブ-tox複合体を用いた細胞増殖アッセイの分析を示す図である。
【0258】
図10〕各種トラスツズマブ結合ドラスタチン誘導体を心腔内への単回投与(3.3mg/kg、10mg/kg、20mg/kg)した後の腫瘍容積測定(単位:mm)を示す図である。
【0259】
図11〕SDラット血清における各種トラスツズマブ結合ドラスタチン誘導体の濃度を測定するために用いられるアッセイフォーマットを示す図である。
【0260】
図12〕単回静注後の各種トラスツズマブ結合ドラスタチン誘導体の血清濃度(単位:ng/mL)を示す図である。
【0261】
図13〕単回静注後の各種トラスツズマブ結合ドラスタチン誘導体の血清濃度(単位:ng/mL)を示す図である。このアッセイは、ErbB2受容体に結合している抗体を検出する。
【0262】
図14〕単回静注後の各種トラスツズマブ結合ドラスタチン誘導体の血清濃度(単位:ng/mL)を示す図である。生体内安定性測定は、トラスツズマブ(rastuzumab)に結合した少なくとも2つのドラスタチン誘導体を検出する。
【0263】
図15〕各種トラスツズマブ結合ドラスタチン誘導体で治療したラットの体重および腫瘍容積の変化を示す図である。
【0264】
図16〕SCID-bg micマウスにおけるHCC1954の確定腫瘍に対するトラスツズマブ、Her2-HS122-NCD1、およびHer2-HS122/LK145-HCD1の抗腫瘍効果を示す図である。マウスは1日目(矢印で示す)に単回静注を受けた。データ点は、腫瘍容積の群平均を表し、エラーバーは、標準誤差を表す。
【0265】
図17〕MDA361DYT2ブレスト(2+)異種移植モデルにおける各種ドラスタチンリンカー誘導体の抗腫瘍効果を示す図である。
【0266】
図18〕MDA361DYT2ブレスト(2+)異種移植モデルにおける各種ドラスタチンリンカー誘導体の抗腫瘍効果を示す図である。
【0267】
〔発明の詳細な説明〕
本明細書では、本発明の好ましい実施形態を示し、記載してきたが、これらの実施形態は、あくまでも例として提供されていることが当業者にとって明らかであろう。当業者は、本発明から逸脱することなく、数々の変化、変更、置換を着想するであろう。本発明を実施する際に、本明細書に記載の本発明の実施形態の種々の代替を採用してもよいことが理解されるべきである。下記の請求項は、本発明の範囲を定め、これら請求項の範囲内の方法および構造、ならびにそれらの同等物は、これによりカバーされることが意図される。
【0268】
(I.はじめに)
近年、タンパク質の部位特異的修飾に関連する多くの制限の克服を可能にする、タンパク質科学における全く新たな技術が報告されている。具体的には、新たな構成要素が、原核生物の大腸菌(Escherichia coli)(E. coli)(例えば、L. Wang, et al., (2001), Science 292:498-500)、および真核生物の酵母(Sacchromyces cerevisiae)(S. cerevisiae)(例えば、J. Chin et al., Science 301:964-7 (2003))のタンパク質生合成機構に対して加えられている。これらの構成要素は、インビボにおけるタンパク質に対する遺伝的にコードされないアミノ酸の組み込みを可能にしている。新規な化学的、物理的または生物学的特性を有する多くの新たなアミノ酸(光アフィニティーラベルによって標識されたアミノ酸、光異性化可能なアミノ酸、ケトアミノ酸、および糖鎖付加アミノ酸が挙げられる)が、この方法論を用いて、アンバーコドンTAGに応じてE. coliおよび酵母内にて、タンパク質に対して効率的かつ高い忠実度を有して組み込まれている。例えば、J. W. Chin et al., (2002), Journal of the American Chemical Society 124:9026-9027 (参照することにより組み込まれる); J. W. Chin, & P.
G. Schultz, (2002), ChemBioChem 3(11):1135-1137 (参照することにより組み込まれる); J. W. Chin, et al., (2002), PNAS United States of America 99(17):11020-11024 (incorporated by reference in its entirety); および, L. Wang, & P. G. Schultz, (2002), Chem. Comm., 1-11 (参照することにより組み込まれる)。これらの研究は、遺伝的にコードされる通常の20のアミノ酸に見出される官能基のすべてに対して化学的に不活性であり、効率的にかつ選択的に反応して安定な共有結合を形成するために使用され得る、タンパク質に見出されない化学官能基を、選択的かつ日常的に導入することが可能であることを証明している。
【0269】
(II.概要)
一レベルにおいて、少なくとも1つのカルボニル、ジカルボニル、オキシム、ヒドロキシルアミン、アルデヒド、保護されたアルデヒド、ケトン、保護されたケトン、チオエステル、エステル、ジカルボニル、ヒドラジン、アジド、アミジン、イミン、ジアミン、ケトアミン、ケトアルキン、アルキン、シクロアルキン、またはエンジオンを含むドラスタチンリンカー誘導体またはアナログを製造し、使用するためのツール(方法、組成物、技術)が本明細書に記載されている。別のレベルにおいて、少なくとも1つの非天然アミノ酸、または、オキシム、芳香族アミン、複素環(例えば、インドール、キノキサリン、フェナジン、ピラゾール、トリアゾール等)で修飾された非天然アミノ酸を含むドラスタチンリンカー誘導体またはアナログを製造し、使用するためのツール(方法、組成物、技術)が本明細書に記載されている。
【0270】
非天然アミノ酸を含むそのようなドラスタチンリンカー誘導体は、さらなる機能性を含有してもよい。機能性としては、ポリマー、水溶性ポリマー、ポリエチレングリコールの誘導体、第2のタンパク質、ポリペプチドまたはポリペプチドアナログ、抗体または抗体フラグメント、およびこれらの任意の組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。なお、種々の上記機能性は、ある機能性のメンバーが別の機能性のメンバーとして分類できないことを示唆することを意図するものではない。実際、特定の状況よっては重複が存在する。ほんの一例として、水溶性ポリマーは、範囲が、ポリエチレングリコールの誘導体と重複しているが、この重複は、完全ではないため、両機能性が上に挙げられている。
【0271】
いくつかの実施形態では、カルボニル、ジカルボニル、オキシム、ヒドロキシルアミン、アルデヒド、保護されたアルデヒド、ケトン、保護されたケトン、チオエステル、エステル、ジカルボニル、ヒドラジン、アジド、アミジン、イミン、ジアミン、ケトアミン、ケトアルキン、アルキン、シクロアルキン、またはエンジオンを含む毒性基リンカー誘導体が本明細書に記載されている。いくつかの実施形態では、前記毒性基誘導体は、本明細書に開示されたリンカーのいずれかを含む。他の実施形態では、少なくとも1つの非天然アミノ酸、または、オキシム、芳香族アミン、複素環(例えば、インドール、キノキサリン、フェナジン、ピラゾール、トリアゾール等)で修飾された非天然アミノ酸を含む毒性基誘導体またはアナログを製造し、使用するためのツール(方法、組成物、技術)が本明細書に記載されている。
【0272】
いくつかの実施形態では、非天然アミノ酸を含むそのような毒性基誘導体は、さらなる機能性を含有してもよい。機能性としては、ポリマー、水溶性ポリマー、ポリエチレングリコールの誘導体、第2のタンパク質、ポリペプチドまたはポリペプチドアナログ、抗体または抗体フラグメント、およびこれらの任意の組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。特定の実施形態では、前記毒性基誘導体は、ドラスタチン、または、オーリスタチンである。ある特定の実施形態では、前記毒性基誘導体は、ドラスタチン-10である。なお、種々の上記機能性は、ある機能性のメンバーが別の機能性のメンバーとして分類できないことを示唆することを意図するものではない。実際、特定の状況よっては重複が存在する。ほんの一例として、水溶性ポリマーは、範囲が、ポリエチレングリコールの誘導体と重複しているが、この重複は、完全ではないため、両機能性が上に挙げられている。
【0273】
本発明のある実施形態では、リンカーを持つある毒性部分の調製が記載されており、これらのリンカーは、生体内で当該部分の毒性を減らすが、毒性部分は薬理活性を保持する。いくつかの実施形態では、結合した毒性基の毒性は、動物またはヒトに投与した場合、不安定な結合を含む自由毒性基または毒性基誘導体に比べて、薬理活性を保持しながら、減少または除去される。いくつかの実施形態では、結合した毒性基(例えば、ドラスタチンリンカー誘導体、非天然アミノ酸結合ドラスタチン誘導体)の投与量を増やしても、動物またはヒトに極めて安全に投与することができる。ある実施形態では、毒性部分に結合した非天然アミノ酸ポリペプチド(例えば、ドラスタチン誘導体)は、生体内および生体外において安定性を提供する。いくつかの実施形態では、毒性部分に結合した非天然アミノ酸ポリペプチド(例えば、ドラスタチン-10誘導体)は、効果があり、かつ、自由毒性基(例えば、ドラスタチン-10)に比べて毒性が低い。
【0274】
(III.ドラスタチンリンカー誘導体)
一レベルにおいて、少なくとも1つの非天然アミノ酸、または、カルボニル、ジカルボニル、オキシム、または、ヒドロキシルアミン基で修飾された非天然アミノ酸を含むドラスタチンリンカー誘導体またはアナログを製造し、使用するためのツール(方法、組成物、技術)が本明細書に記載されている。非天然アミノ酸を含むそのようなドラスタチンリンカー誘導体は、さらなる機能性を含有してもよい。機能性としては、ポリマー、水溶性ポリマー、ポリエチレングリコールの誘導体、ポリペプチドまたはポリペプチドアナログの第2タンパク質、抗体または抗体フラグメント、およびこれらの任意の組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。なお、種々の上記機能性は、ある機能性のメンバーが別の機能性のメンバーとして分類できないことを示唆することを意図するものではない。実際、特定の状況よっては重複が存在する。ほんの一例として、水溶性ポリマーは、範囲が、ポリエチレングリコールの誘導体と重複しているが、この重複は、完全ではないため、両機能性が上に挙げられている。
【0275】
ある態様では、これらの方法、組成物、および技術を用いて修飾されるドラスタチンリンカー誘導体を選択および設計するための方法が本明細書に記載されている。新規なドラスタチンリンカー誘導体は、ほんの一例として、ハイスループット・スクリーニング法の一部として(この場合、多数のポリペプチドを設計、合成、特徴づけ、および/または検査してもよい)、または、研究者の関心に基づいて、新たに設計してもよい。また、新規なドラスタチンリンカー誘導体は、既知の、または、部分的に特徴づけられたポリペプチドに基づいて設計してもよい。ほんの一例として、ドラスタチンは、科学界において大きな研究の対象であり、ドラスタチンの構造に基づいて新規な化合物を設計してもよい。どのアミノ酸を置換および/または修飾するかを選択する原則は、それぞれ本明細書に記載されている。どの修飾を採用するかの選択についても、本明細書に記載されており、実験者やエンドユーザのニーズに応じて用いることができる。そのようなニーズとしては、ポリペプチドの治療効果を操作すること、ポリペプチドの安全性プロフィールを改善すること、ポリペプチドの薬物動態、薬効薬理、および/または薬物力を調整することが挙げられるが、これらに限定されず、薬効薬理、および/または薬物力を調整することしては、ほんの一例として、水溶性を向上させること、バイオアベイラビリティーを向上させること、血中半減期を上昇させること、治療半減期を上昇させること、免疫原性を調節すること、生物学的な活性を調節すること、または循環時間を延長させることが挙げられる。加えて、そのような修飾は、ほんの一例として、ポリペプチドにさらなる機能性を提供すること、抗体を組み入れること、および上述の修飾の任意の組み合わせが挙げられる。
【0276】
また、オキシム、カルボニル、または、ヒドロキシルアミン基を有する、または、含有するように修飾することができるドラスタチンリンカー誘導体が本明細書に記載されている。この様態には、そのようなドラスタチンリンカー誘導体を製造、精製、特徴づけ、使用する方法も含まれる。
【0277】
ドラスタチンリンカー誘導体は、少なくとも1つ、少なくとも2つ、少なくとも3つ、少なくとも4つ、少なくとも5つ、少なくとも6つ、少なくとも7つ、少なくとも8つ、少なくとも9つ、または10以上のカルボニルまたはジカルボニル基、オキシム基、ヒドロキシルアミン基、またはその保護された形態を含有してもよい。ドラスタチンリンカー誘導体は、同じであっても異なっていてもよい。例えば、誘導体中に、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20以上の異なる反応基を含む1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20以上の異なる部位があってもよい。
【0278】
(A.ドラスタチンリンカー誘導体の構造と合成:求電子基と求核基)
リンカーにヒドロキシルアミン基(アミノオキシとも言う)を含有したドラスタチン誘導体は、種々の求電子基と反応して、(限定されないが、PEGや他の水溶性ポリマーと)複合体を形成することができる。ヒドラジン、ヒドラジド、およびセミカルバジドのように、アミノオキシ基の求核性の強化によって、カルボニルまたはジカルボニル基を含有する種々の分子とアミノオキシ基が効率的かつ選択的に反応することが可能になる。これらカルボニルまたはジカルボニル基としては、ケトン、アルデヒド、または同様の化学反応性を持つ他の官能基が挙げれれるが、これらに限定されない。例えば、 Shao, J. and Tam, J., J. Am. Chem. Soc. 117:3893-3899 (1995); H. Hang and C. Bertozzi, Acc. Chem. Res. 34(9): 727-736 (2001)を参照。ヒドラジン基との反応の結果、対応するヒドラゾンが得られるが、オキシムは、一般に、アミノオキシ基がカルボニルまたはジカルボニル基と反応することによって得られる。これらカルボニルまたはジカルボニル基としては、ケトン、アルデヒド、または同様の化学反応性を持つ他の官能基が挙げれれるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、リンカーにアジド、アルキン、またはシクロアルキンを含むドラスタチン誘導体は、付加環化反応(例えば、1,3-双極性付加環化やアジド-アルキンヒュスゲン付加環化)を介した分子の結合を可能にする。(この反応に関連する範囲について参照することにより本発明に援用される米国特許7,807,619に記載されている)。
【0279】
したがって、ある実施形態では、リンカーにヒドロキシルアミン、アルデヒド、保護されたアルデヒド、ケトン、保護されたケトン、チオエステル、エステル、ジカルボニル、ヒドラジン、アミジン、イミン、ジアミン、ケトアミン、ケトアルキン、およびエンジオンヒドロキシルアミン基、(ヒドロキシルアミン基と同様の反応性を有し、ヒドロキシルアミン基と構造的に類似した)ヒドロキシルアミン様基、(ヒドロキシルアミン基にいつでも変換できる)マスクされたヒドロキシルアミン基、または、(脱保護時にヒドロキシルアミン基と同様の反応性を有する)保護されたヒドロキシルアミン基を含むドラスタチン誘導体が本明細書に記載されている。そのようなドラスタチンリンカー誘導体は、式(I)、(III)、(IV)、(V)、および(VI)の構造を有する化合物を含む。
【0280】
【化48】

【0281】
(式中、
Zは、以下の構造を有し、
【0282】
【化49】
【0283】
は、H、COR、炭素数1~6のアルキル、または、チアゾールであり、
は、OHまたは、-NH-(アルキレン-O)-NHであり、
は、OH、または、Hであり、
Arは、フェニル、または、ピリジンであり、
は、炭素数1~6のアルキル、または、水素であり、
YはおよびVは、それぞれ、ヒドロキシルアミン、メチル、アルデヒド、保護されたアルデヒド、ケトン、保護されたケトン、チオエステル、エステル、ジカルボニル、ヒドラジン、アミジン、イミン、ジアミン、アジド、ケトアミン、ケトアルキン、アルキン、シクロアルキン、およびエンジオンからなる群より選択され、
L、L、L、L、およびLは、それぞれ、結合、-アルキレン-、-アルキレン-C(O)-、-アルキレン-J-、-(アルキレン-O)-アルキレン-、-(アルキレン-O)-アルキレン-C(O)-、-(アルキレン-O)n-J-、-(アルキレン-O)n-J-アルキレン、-(アルキレン-O)-(CHn’-NHC(O)-(CHn’’-C(Me)-S-S-(CHn’’’-NHC(O)-(アルキレン-O)n’’’’-アルキレン、-(アルキレン-O)-アルキレン-W-、-アルキレン-C(O)-W-、-(アルキレン-O)n-アルキレン-J-、-アルキレン'-J-(アルキレン-O)n-アルキレン-、-(アルキレン-O)n-アルキレン-J-アルキレン'-、-J-(アルキレン-O)n-アルキレン-、-(アルキレン-O)n-アルキレン-J-(アルキレン-O)n'-アルキレン-J'-, -W-, -アルキレン-W-、アルキレン'-J-(アルキレン-NMe)n-アルキレン-W-、-J-(アルキレン-NMe)n-アルキレン-W-、-(アルキレン-O)-アルキレン-U-C(O)-、-(アルキレン-O)-アルキレン-U-アルキレン;-J-アルキレン-NMe-アルキレン'-NMe-アルキレン''-W-,および -アルキレン-J-アルキレン'-NMe-アルキレン''-NMe-アルキレン'''-W-からなる群より選択され、
Wは、以下の構造を有し、
【0284】
【化50】
【0285】
Uは、以下の構造を有し、
【0286】
【化51】
【0287】
各JおよびJ’は、独立して、以下の構造を有し、
【0288】
【化52】
【0289】
n、n’、n’’、n’’’、および、n’’’’は、それぞれ独立して、1以上の整数であり、
または、Lは存在せず、Yはメチルであり、RはCORであり、Rは-NH(アルキレン-O)-NHである。)
そのようなドラスタチンリンカー誘導体は、塩の形態をとってもよく、非天然アミノ酸、ポリマー、多糖、または、ポリヌクレオチドに組み込んで、任意で翻訳後に修飾してもよい。
【0290】
式(I)、(III)、および(V)の化合物のある実施形態では、Rは、チアゾール、または、カルボン酸である。式(I)、(III)、および(V)の化合物のある実施形態では、Rは、水素である。式(I)、(III)、および(V)の化合物のある実施形態では、Rは、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、ペンチル、または、ヘキシルである。式(I)、(III)、および(V)の化合物のある実施形態では、Rは、-NH-(アルキレン-O)-NHであり、前記アルキレンは、-CH-、-CHCH-、-CHCHCH-、-CHCHCHCH-、-CHCHCHCHCH-、-CHCHCHCHCHCH-、-CHCHCHCHCHCHCH-、-CHCHCHCHCHCHCHCH-、-CHCHCHCHCHCHCHCHCH-、-CHCHCHCHCHCHCHCHCHCH-、-CHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCH-、または、-CHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCH-である。式(IV)および(VI)の化合物のある実施形態では、nは、0、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、または、100である。
【0291】
いくつかの実施形態では、Yは、アジドである。他の実施形態では、Yは、シクロアルキンである。特定の実施形態では、前記シクロアルキンは、以下の構造を有する。
【0292】
【化53】
【0293】
(式中、
各R19は、独立して、炭素数1~6のアルキル、炭素数1~6のアルコキシ、エステル、エーテル、チオエーテル、アミノアルキル、ハロゲン、アルキルエステル、アリールエステル、アミド、アリールアミド、ハロゲン化アルキル、アルキルアミン、アルキルスルホン酸、アルキルニトロ、チオエステル、スルホニルエステル、ハロスルホニル、ニトリル、アルキルニトリル、および、ニトロからなる群より選択され、
qは、0、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、または、11である。)
式(I)、(III)、および(V)の化合物のある実施形態では、Rは、水素である。式(I)、(III)、および(V)の化合物のいくつかの実施形態では、Rは、ヒドロキシである。
【0294】
式(I)、(III)、および(V)の化合物のある実施形態では、Arは、フェニルである。
【0295】
式(I)、(III)、(IV)、(V)、および(V)の化合物のある実施形態では、Rは、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、sec-ブチル、イソブチル、tert-ブチル、ペンチル、または、ヘキシルである。式(I)、(III)、(IV)、(V)、および(V)の化合物のある実施形態では、Rは、水素である。
【0296】
式(I)、(III)、および(V)の化合物のある実施形態では、Yは、ヒドロキシルアミン、アルデヒド、保護されたアルデヒド、ケトン、保護されたケトン、チオエステル、エステル、ジカルボニル、ヒドラジン、アミジン、イミン、ジアミン、ケトアミン、ケトアルキン、アルキン、または、エンジオンである。
【0297】
式(IV)および(VI)の化合物のある実施形態では、Vは、ヒドロキシルアミン、メチル、アルデヒド、保護されたアルデヒド、ケトン、保護されたケトン、チオエステル、エステル、ジカルボニル、ヒドラジン、アミジン、イミン、ジアミン、ケトアミン、ケトアルキン、およびエンジオンである。
【0298】
式(I)、(III)、(IV)、(V)、および(VI)の化合物のある実施形態では、L、L、L、L、およびLは、それぞれ独立して、切断可能リンカーまたは非切断可能リンカーである。式(I)、(III)、(IV)、(V)、および(VI)の化合物のある実施形態では、L、L、L、L、およびLは、それぞれ独立して、オリゴ(エチレングリコール)誘導体化リンカーである。
【0299】
式(I)、(III)、(IV)、(V)、および(VI)の化合物のある実施形態では、前記アルキレン、アルキレン’、アルキレン’’、およびアルキレン’’’は、それぞれ独立して、-CH-、-CHCH-、-CHCHCH-、-CHCHCHCH-、-CHCHCHCHCH-、-CHCHCHCHCHCH-、-CHCHCHCHCHCHCH-、-CHCHCHCHCHCHCHCH-、-CHCHCHCHCHCHCHCHCH-、-CHCHCHCHCHCHCHCHCHCH-、-CHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCH-、または、-CHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCH-である。式(XIV)、(XV)、(XVI)、(XVII)、および(XVIII)の化合物のある実施形態では、n、n’、n’’、n’’’、およびn’’’’は、それぞれ、0、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、または、100である。
【0300】
(B.ドラスタチンリンカー誘導体の構造と合成:ヒドロキシルアミン基)
したがって、ある実施形態では、リンカーにヒドロキシルアミン基、(ヒドロキシルアミン基と同様の反応性を有し、ヒドロキシルアミン基と構造的に類似した)ヒドロキシルアミン様基、(ヒドロキシルアミン基にいつでも変換できる)マスクされたヒドロキシルアミン基、または、(脱保護時にヒドロキシルアミン基と同様の反応性を有する)保護されたヒドロキシルアミン基を含むドラスタチン誘導体が本明細書に記載されている。そのようなドラスタチンリンカー誘導体は、式(I)の構造を有する化合物を含む。
【0301】
【化54】
【0302】
(式中、
Zは、以下の構造を有し、
【0303】
【化55】
【0304】
は、H、COR、炭素数1~6のアルキル、または、チアゾールであり、
は、OH、または、-NH-(アルキレン-O)-NHであり、
は、OH、または、Hであり、
Arは、フェニル、または、ピリジンであり、
は、炭素数1~6のアルキル、または、水素であり、
Yは、NH-O-、または、メチルであり、
Lは、-アルキレン-、-アルキレン-C(O)-、-(アルキレン-O)-アルキレン-、-(アルキレン-O)-アルキレン-C(O)-、-(アルキレン-O)-(CHn’-NHC(O)-(CHn’’-C(Me)-S-S-(CHn’’’-NHC(O)-(アルキレン-O)n’’’’-アルキレン、-(アルキレン-O)-アルキレン-W-、-アルキレン-C(O)-W-、-(アルキレン-O)-アルキレン-U-アルキレン-C(O)-、および、-(アルキレン-O)-アルキレン-U-アルキレンからなる群より選択されるリンカーであり、
Wは、以下の構造を有し、
【0305】
【化56】
【0306】
Uは、以下の構造を有し、
【0307】
【化57】
【0308】
または、Lは存在せず、Yはメチルであり、RはCORであり、Rは-NH(アルキレン-O)-NHであり、n、n’、n’’、n’’’、および、n’’’’は、それぞれ独立して、1以上の整数である。)
そのようなドラスタチンリンカー誘導体は、塩の形態をとってもよく、非天然アミノ酸、ポリマー、多糖、または、ポリヌクレオチドに組み込んで、任意で翻訳後に修飾してもよい。
【0309】
式(I)の化合物のある実施形態では、Rは、チアゾールである。式(I)の化合物のある実施形態では、Rは、水素である。式(I)の化合物のある実施形態では、Rは、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、ペンチル、または、ヘキシルである。式(I)の化合物のある実施形態では、Rは、-NH-(アルキレン-O)-NHであり、前記アルキレンは、-CH-、-CHCH-、-CHCHCH-、-CHCHCHCH-、-CHCHCHCHCH-、-CHCHCHCHCHCH-、-CHCHCHCHCHCHCH-、-CHCHCHCHCHCHCHCH-、-CHCHCHCHCHCHCHCHCH-、-CHCHCHCHCHCHCHCHCHCH-、-CHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCH-、または、-CHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCH-である。式(I)の化合物のある実施形態では、nは、0、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、または、100である。
【0310】
式(I)の化合物のある実施形態では、Rは、水素である。式(I)の化合物のいくつかの実施形態では、Rは、ヒドロキシである。
【0311】
式(I)の化合物のある実施形態では、Arは、フェニルである。
【0312】
式(I)の化合物のある実施形態では、Rは、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、sec-ブチル、イソブチル、tert-ブチル、ペンチル、または、ヘキシルである。式(I)の化合物のある実施形態では、Rは、水素である。
【0313】
式(I)の化合物のある実施形態では、Yは、ヒドロキシルアミン、アルデヒド、保護されたアルデヒド、ケトン、保護されたケトン、チオエステル、エステル、ジカルボニル、ヒドラジン、アミジン、イミン、ジアミン、ケトアミン、ケトアルキン、または、エンジオンである。式(I)の化合物のある実施形態では、Vは、ヒドロキシルアミン、メチル、アルデヒド、保護されたアルデヒド、ケトン、保護されたケトン、チオエステル、エステル、ジカルボニル、ヒドラジン、アミジン、イミン、ジアミン、ケトアミン、ケトアルキン、およびエンジオンである。
【0314】
式(I)の化合物のある実施形態では、各Lは、独立して、切断可能リンカーまたは非切断可能リンカーである。式(I)の化合物のある実施形態では、各Lは、独立して、オリゴ(エチレングリコール)誘導体化リンカーである。
【0315】
式(I)の化合物のある実施形態では、前記各アルキレンは、-CH-、-CHCH-、-CHCHCH-、-CHCHCHCH-、-CHCHCHCHCH-、-CHCHCHCHCHCH-、-CHCHCHCHCHCHCH-、-CHCHCHCHCHCHCHCH-、-CHCHCHCHCHCHCHCHCH-、-CHCHCHCHCHCHCHCHCHCH-、-CHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCH-、または、-CHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCH-である。式(I)の化合物のある実施形態では、n、n’、n’’、n’’’、およびn’’’’は、それぞれ、0、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、または、100である。
【0316】
ある実施形態では、ドラスタチンリンカー誘導体は、式(II)の構造を有する化合物を含む。
【0317】
【化58】
【0318】
式(II)の化合物のいくつかの実施形態では、Lは、-(アルキレン-O)-アルキレン-である。いくつかの実施形態では、前記各アルキレンは、-CHCH-であり、n=3であり、Rは、メチルである。式(II)の化合物のいくつかの実施形態では、前記各アルキレンは、-CHCH-であり、Rは、メチル、または、水素である。式(II)の化合物のいくつかの実施形態では、Lは、-(アルキレン-O)-アルキレン-C(O)-である。式(II)の化合物のいくつかの実施形態では、各アルケンは、-CHCH-であり、n=4であり、Rは、メチルである。式(II)の化合物のいくつかの実施形態では、Lは、-(アルキレン-O)-(CHn’-NHC(O)-(CHn’’-C(Me)-S-S-(CHn’’’-NHC(O)-(アルキレン-O)n’’’’-アルキレンである。(II)の化合物のいくつかの実施形態では、各アルケンは、-CHCH-であり、n=1であり、n’=2であり、n’’=1であり、n’’’=2であり、n’’’’=4であり、Rは、メチルである。そのようなドラスタチンリンカー誘導体は、塩の形態をとってもよく、非天然アミノ酸、ポリマー、多糖、または、ポリヌクレオチドに組み込んで、任意で翻訳後に修飾してもよい。
【0319】
式(II)の化合物のある実施形態では、各Lは、独立して、切断可能リンカーまたは非切断可能リンカーである。式(II)の化合物のある実施形態では、各Lは、独立して、オリゴ(エチレングリコール)誘導体化リンカーである。
【0320】
式(II)の化合物のある実施形態では、Rは、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、sec-ブチル、イソブチル、tert-ブチル、ペンチル、または、ヘキシルである。式(II)の化合物のある実施形態では、Rは、水素である。
【0321】
式(II)の化合物のある実施形態では、前記各アルキレンは、-CH-、-CHCH-、-CHCHCH-、-CHCHCHCH-、-CHCHCHCHCH-、-CHCHCHCHCHCH-、-CHCHCHCHCHCHCH-、-CHCHCHCHCHCHCHCH-、-CHCHCHCHCHCHCHCHCH-、-CHCHCHCHCHCHCHCHCHCH-、-CHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCH-、または、-CHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCH-である。式(II)の化合物のある実施形態では、n、n’、n’’、n’’’、およびn’’’’は、それぞれ、0、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、または、100である。
【0322】
このようなドラスタチンリンカー誘導体は、式(III)、(IV)、(V)、または(VI)の構造を有する化合物を含む。
【0323】
【化59】


【0324】
(式中、
Zは、以下の構造を有し、
【0325】
【化60】
【0326】
は、H、COR、炭素数1~6のアルキル、または、チアゾールであり、
は、OHであり、
は、OH、または、Hであり、
Arは、フェニル、または、ピリジンであり、
は、炭素数1~6のアルキル、または、水素であり、
Yは、NH-O-であり、
Vは、O-NHであり、
、L、L、およびLは、それぞれ独立して、結合、-アルキレン-、-(アルキレン-O)n-アルキレン-J-, -アルキレン'-J-(アルキレン-O)n-アルキレン-, -J-(アルキレン-O)n-アルキレン-, -(アルキレン-O)n-アルキレン-J-(アルキレン-O)n'-アルキレン-J'-, -(アルキレン-O)n-アルキレン-J-アルキレン'-, -W-, -アルキレン-W-, アルキレン'-J-(アルキレン-NMe)n-アルキレン-W-, -J-(アルキレン-NMe)n-アルキレン-W-, -J-アルキレン-NMe-アルキレン'-NMe-アルキレン''-W-,および -アルキレン-J-アルキレン'-NMe-アルキレン''-NMe-アルキレン'''-W-からなる群より選択され、
Wは、以下の構造を有し、
【0327】
【化61】
【0328】
各JおよびJ’は、独立して、以下の構造を有し、
【0329】
【化62】
【0330】
各nおよびn’は、独立して、1以上の整数である)。そのようなドラスタチンリンカー誘導体は、塩の形態をとってもよく、非天然アミノ酸、ポリマー、多糖、または、ポリヌクレオチドに組み込んで、任意で翻訳後に修飾してもよい。
【0331】
式(III)、(IV)、(V)、または(VI)の化合物のある実施形態では、Rは、チアゾールである。式(III)、(IV)、(V)、または(VI)の化合物のある実施形態では、Rは、水素である。式(III)、(IV)、(V)、または(VI)の化合物のある実施形態では、Arは、フェニルである。式(III)、(IV)、(V)、または(VI)の化合物のある実施形態では、Rは、メチルである。式(III)、(IV)、(V)、または(VI)の化合物のある実施形態では、nおよびn’は、0~20の整数である。式(III)、(IV)、(V)、または(VI)の化合物のある実施形態では、nおよびn’は、0~10の整数である。式(III)、(IV)、(V)、または(VI)の化合物のある実施形態では、nおよびn’は、0~5の整数である。
【0332】
式(III)および(V)の化合物のある実施形態では、Rは、チアゾールまたはカルボン酸である。式(III)および(V)の化合物のある実施形態では、Rは、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、ペンチル、または、ヘキシルである。式(III)および(V)の化合物のある実施形態では、Rは、-NH-(アルキレン-O)-NHであり、前記アルキレンは、-CH-、-CHCH-、-CHCHCH-、-CHCHCHCH-、-CHCHCHCHCH-、-CHCHCHCHCHCH-、-CHCHCHCHCHCHCH-、-CHCHCHCHCHCHCHCH-、-CHCHCHCHCHCHCHCHCH-、-CHCHCHCHCHCHCHCHCHCH-、-CHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCH-、または、-CHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCH-である。式(I)の化合物のある実施形態では、nは、0、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、または、100である。
【0333】
式(III)、(IV)、(V)、および(VI)の化合物のある実施形態では、Rは、水素である。式(III)、(IV)、(V)、および(VI)の化合物のいくつかの実施形態では、Rは、ヒドロキシである。
【0334】
式(III)、(IV)、(V)、および(VI)の化合物のある実施形態では、Arは、フェニルである。
【0335】
式(III)、(IV)、(V)、および(VI)の化合物のある実施形態では、Rは、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、sec-ブチル、イソブチル、tert-ブチル、ペンチル、または、ヘキシルである。式(III)、(IV)、(V)、および(VI)の化合物のある実施形態では、Rは、水素である。
【0336】
式(III)および(V)の化合物のある実施形態では、Yは、ヒドロキシルアミン、アルデヒド、保護されたアルデヒド、ケトン、保護されたケトン、チオエステル、エステル、ジカルボニル、ヒドラジン、アミジン、イミン、ジアミン、ケトアミン、ケトアルキン、または、エンジオンである。式(IV)および(VI)の化合物のある実施形態では、Vは、ヒドロキシルアミン、メチル、アルデヒド、保護されたアルデヒド、ケトン、保護されたケトン、チオエステル、エステル、ジカルボニル、ヒドラジン、アミジン、イミン、ジアミン、ケトアミン、ケトアルキン、およびエンジオンである。
【0337】
式(XIV)、(XV)、(XVI)、(XVII)、(XVII)の化合物のある実施形態では、L、L、L、およびLは、それぞれ独立して、切断可能リンカーまたは非切断可能リンカーである。式(XIV)、(XV)、(XVI)、(XVII)、および(XVIII)の化合物のある実施形態では、L、L、L、およびLは、それぞれ独立して、オリゴ(エチレングリコール)誘導体化リンカーである。
【0338】
式(III)、(IV)、(V)、および(VI)の化合物のある実施形態では、前記各アルキレンは、-CH-、-CHCH-、-CHCHCH-、-CHCHCHCH-、-CHCHCHCHCH-、-CHCHCHCHCHCH-、-CHCHCHCHCHCHCH-、-CHCHCHCHCHCHCHCH-、-CHCHCHCHCHCHCHCHCH-、-CHCHCHCHCHCHCHCHCHCH-、-CHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCH-、または、-CHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCH-である。式(III)、(IV)、(V)、および(VI)の化合物のある実施形態では、前記アルキレンは、メチレン、エチレン、プロピレン、ブチレン、ペンチレン、ヘキシレン、またはヘプチレンである。
【0339】
式(III)、(IV)、(V)、および(VI)の化合物のある実施形態では、n、n’およびn’は、それぞれ、0、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、または、100である。
【0340】
ある実施形態では、ドラスタチンリンカー誘導体は、式(II)の構造を有する化合物を含む。
【0341】
【化63】
【0342】
式(VII)の化合物のある実施形態では、Lは-(アルキレン-O)n-アルキレン-J-であり, Lは -アルキレン'-J'-(アルキレン-O)n'-アルキレン-, Lは、-J''-(アルキレン-O)n''-アルキレン-、アルキレンは-CHCH-であり, アルキレン'は-(CH)-であり、nは1であり、n'およびn’’は3であり、
Jは、以下の構造を有し、
【0343】
【化64】
【0344】
J’およびJ’’は、以下の構造を有し、
【0345】
【化65】
【0346】
は、メチルである。式(VII)の化合物のある実施形態では、Lは、-J-(アルキレン-O)n-アルキレン-であり、 Lは-(アルキレン-O)n'-アルキレン-J'-アルキレン'-であり, Lは-(アルキレン-O)n''-アルキレン-J''-であり, アルキレンは-CHCH-であり、アルキレン'は-(CH)-であり, nは1であり、n’およびn’’は4であり、J、J’、およびJ’’は、以下の構造を有する。
【0347】
【化66】
【0348】
そのようなドラスタチンリンカー誘導体は、塩の形態をとってもよく、非天然アミノ酸、ポリマー、多糖、または、ポリヌクレオチドに組み込んで、任意で翻訳後に修飾してもよい。
【0349】
ある実施形態では、式(I)~(VII)の化合物は、水溶液中、弱酸性条件下において少なくとも1ヶ月間安定である。ある実施形態では、式(I)~(VII)の化合物は、水溶液中、弱酸性条件下において少なくとも2週間安定である。ある実施形態では、式(I)~(VII)の化合物は、水溶液中、弱酸性条件下において少なくとも5日間安定である。ある実施形態では、前記弱酸性条件は、pH2~8である。
【0350】
本明細書に提供および記載されている方法および組成物は、少なくとも1つのカルボニルまたはジカルボニル基、オキシム基、ヒドロキシルアミン基、または、その保護もしくはマスクされた形態を含有するドラスタチンリンカー誘導体を含むポリぺプチドを含む。少なくとも1つの反応基をドラスタチンリンカー誘導体に導入することによって、よく見られるアミノ酸と反応しない一方で、1つ以上のドラスタチンリンカー誘導体との特定の化学反応に関与する共役化学の応用が可能になるが、これらに限定されない。一度組み込まれたドラスタチンリンカー誘導体側鎖は、本明細書に記載されている、または、ドラスタチンリンカー誘導体に存在する特定の官能基または置換基に適した化学的方法論を利用して修飾することができる。
【0351】
本明細書に記載されている、ドラスタチンリンカー誘導体の方法および組成は、種々の官能基、置換基、または、部分を有する物質と他の物質との複合体を提供する。このとき、他の物質としては、ポリマー、水溶性ポリマー、ポリエチレングリコールの誘導体、第2タンパク質またはポリペプチドまたはポリペプチドアナログ、抗体または抗体フラグメント、およびその任意の組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。
【0352】
ある実施形態では、式(I)~(VII)の化合物を含む、本明細書に記載されているドラスタチンリンカー誘導体、リンカー、および試薬は、水溶液中、弱酸性条件(pH2~8が挙げられるが、これに限定されない)下において安定である。他の実施形態では、そのような化合物は、水溶液中、弱酸性条件下において少なくとも1ヶ月間安定である。ある実施形態では、そのような化合物は、水溶液中、弱酸性条件下において少なくとも2週間安定である。ある実施形態では、そのような化合物は、水溶液中、弱酸性条件下において少なくとも5日間安定である。
【0353】
本明細書に記載されている組成物、方法、技術、および戦略の別の態様では、上述の「修飾または未修飾」非天然アミノ酸ドラスタチンリンカー誘導体のいずれかを研究または使用するための方法がある。この態様には、ほんの一例だが、「修飾または未修飾」非天然アミノ酸ポリペプチドまたはタンパク質を含むドラスタチンリンカー誘導体から恩恵を受ける治療上の使用、診断上の使用、アッセイに基づいた使用、産業上の利用、化粧用途、植物生物学上の使用、環境問題への利用、エネルギー生産用途、消費者製品用途、および/または、軍事利用が含まれる。
【0354】
ドラスタチンリンカー誘導体としては、以下のものが挙げられるが、これらに限定されない。
【0355】
【化67】





【0356】
(IV.非天然アミノ酸誘導体)
本明細書に記載の方法および組成物において用いられる非天然アミノ酸は、以下の4つの特性のうちの少なくとも1つを有する。すなわち、(1)非天然アミノ酸の側鎖における少なくとも1つの官能基が、通常の20の遺伝的にコードされているアミノ酸(すなわち、アラニン、アルギニン、アスパラギン、アスパラギン酸、システイン、グルタミン、グルタミン酸、グリシン、ヒスチジン、イソロイシン、ロイシン、リジン、メチオニン、フェニルアラニン、プロリン、セリン、スレオニン、トリプトファン、チロシン、およびバリン)の化学反応性に対して直交性の、または上記非天然アミノ酸を含んでいるポリペプチドに存在する天然に存在するアミノ酸の化学反応性に対して少なくとも直交性の、少なくとも1つの性質および/または活性および/または反応性を有する。(2)導入された非天然アミノ酸は、通常の20の遺伝的にコードされている上記アミノ酸に対して化学的に実質的に不活性である。(3)上記非天然アミノ酸は、好ましくは天然に存在する上記アミノ酸と同等の安定性を有し、または典型的な生理学的条件下でポリペプチドに安定に組み込むことができる。さらに好ましくは、そのような組み込みはインビボの系を介して生じさせることができる。(4)上記非天然アミノ酸は、オキシム官能基を含んでいるか、または、好ましくは、上記非天然アミノ酸を含んでいるポリペプチドの生物学的な特性を破壊しない条件下(ただし、生物学的な特性のそのような破壊が修飾/形質転換の目的なのであれば、当然この限りではない)か、pHが約4から約8の間の水性条件下において上記形質転換を発生させることができる条件下か、または上記非天然アミノ酸の反応性部分が求電子部分である条件下で、試薬と反応することによってオキシム基に形質転換することができる官能基を含んでいる。任意の数の非天然アミノ酸を上記ポリペプチドに導入することができる。非天然アミノ酸は、保護されたオキシムもしくはマスクされたオキシム、または脱保護後もしくはアンマスキング後にオキシム基に形質転換することができる保護された基もしくはマスクされた基をさらに含んでいてもよい。非天然アミノ酸は、脱保護後またはアンマスキング後にカルボニル基またはジカルボニル基に形質転換することができ、これにより、ヒドロキシルアミンまたはオキシムと反応してオキシム基を形成することが可能な、保護されたカルボニル基もしくは保護されたジカルボニル基またはマスクされたカルボニル基もしくはマスクされたジカルボニル基をさらに含んでいてもよい。
【0357】
本明細書に記載の方法および組成物において用いることができる非天然アミノ酸には、新規な官能基を有するアミノ酸、他の分子と共有的または非共有的に相互作用するアミノ酸、糖鎖付加されたアミノ酸(例えば糖置換化セリン)、他の炭水化物によって修飾されたアミノ酸、ケト含有アミノ酸、アルデヒド含有アミノ酸、ポリエチレングリコールまたはその他のポリエーテルを含んでいるアミノ酸、重元素によって置換されたアミノ酸、化学的に切断可能および/または光によって切断可能なアミノ酸、天然アミノ酸と比べて延長された側鎖(ポリエーテルまたは長鎖炭化水素(約5または約10を超える炭素が挙げられるが、これらに限定されない)が挙げられるが、これらに限定されない)を有しているアミノ酸、炭素結合型の糖を含有しているアミノ酸、酸化還元活性のアミノ酸、アミノチオ酸含有アミノ酸、ならびに1つ以上の毒性部分を含んでいるアミノ酸が挙げられるが、これらに限定されない。
【0358】
いくつかの実施形態では、非天然アミノ酸は、糖鎖部分を含んでいる。そのようなアミノ酸の例としては、N-アセチル-L-グルコサミニル-L-セリン、N-アセチル-L-ガラクトサミニル-L-セリン、N-アセチル-L-グルコサミニル-L-スレオニン、N-アセチル-L-グルコサミニル-L-アスパラギンおよびO-マンノサミニル-L-セリンが挙げられるが、これらに限定されない。また、そのようなアミノ酸の例としては、アミノ酸と糖鎖との間に天然に存在するN型またはO型の結合が、天然には通常に見られない共有結合(アルケン、オキシム、チオエーテルおよびアミドなどが挙げられるが、これらに限定されない)によって置換されている場合の例が挙げられる。また、そのようなアミノ酸の例は、天然に存在するタンパク質に通常は見られない糖鎖(例えば、2-デオキシ-グルコース、および2-デオキシガラクトース)を含んでいる。
【0359】
非天然アミノ酸のポリペプチドへの組み込みを介して上記ポリペプチドに組み込まれた化学部分は、ポリペプチドの種々の利点および操作をもたらす。例えば、(ケト官能基またはアルデヒド官能基などの)カルボニル官能基またはジカルボニル官能基の固有の反応性は、多くのヒドラジン含有試薬またはヒドロキシアミン含有試薬のいずれかを用いた、インビボおよびインビトロにおけるタンパク質の選択的な修飾を可能にする。重原子非天然アミノ酸は、例えば、X線構造データの位相合わせに有用であり得る。また、非天然アミノ酸を用いた重原子の部位特異的な導入は、重原子にとっての位置の選択に選択性および自由度をもたらす。光反応性非天然アミノ酸(ベンゾフェノンおよびアリールアジド(フェニルアジドが挙げられるが、これらに限定されない)側鎖を有するアミノ酸が挙げられるが、これらに限定されない)は、例えば、ポリペプチドのインビボおよびインビトロにおける効率的な光架橋を可能にする。光反応性アミノ酸の例としては、p-アジド-フェニルアラニンおよびp-ベンゾイル-フェニルアラニンが挙げられるが、これらに限定されない。光反応性アミノ酸を有するポリペプチドは、その結果として、光反応性基を供給する一時的な制御の励起によって自在に光架橋され得る。非限定的な1つの例において、非天然アミノ酸のメチル基は、核磁気共鳴および振動顕微鏡の利用を伴う(限定されないが、これらが挙げられる)、局所的な構造および動態のプローブとして、放射線標識されたメチル基(限定されないが、これが挙げられる)に置換され得る。
【0360】
(A.非天然アミノ酸誘導体の構造および合成:カルボニル基、カルボニル様基、マスクされたカルボニル基、および、保護されたカルボニル基)
求電子反応性基を有するアミノ酸は、種々の反応が可能であり、種々の化学反応(求核付加反応が挙げられるが、これには限定されない)を介して分子を結合し得る。当該求電子反応性基としては、カルボニル基もしくはジカルボニル基(ケト基もしくはアルデヒド基が挙げられる)、カルボニル様基もしくはジカルボニル様基(カルボニル基もしくはジカルボニル基と同様の反応性を有しており、カルボニル基もしくはジカルボニル基と構造的に類似している)、マスクされたカルボニル基もしくはマスクされたジカルボニル基(カルボニル基もしくはジカルボニル基に直ちに変換され得る)、または保護されたカルボニル基もしくは保護されたジカルボニル基(脱保護されると、カルボニル基もしくはジカルボニル基と同様の反応性を有する)が挙げられる。そのようなアミノ酸としては、式(XXXVII)の構造を有するアミノ酸が挙げられる。
【0361】
【化68】
【0362】
(式中、
Aは、任意であり、存在する場合は、低級アルキレン、置換低級アルキレン、低級シクロアルキレン、置換低級シクロアルキレン、低級アルケニレン、置換低級アルケニレン、アルキニレン、低級ヘテロアルキレン、置換ヘテロアルキレン、低級ヘテロシクロアルキレン、置換低級ヘテロシクロアルキレン、アリーレン、置換アリーレン、ヘテロアリーレン、置換ヘテロアリーレン、アルカリレン、置換アルカリレン、アラルキレン、または、置換アラルキレンであり、
Bは、任意であり、存在する場合は、低級アルキレン、置換低級アルキレン、低級アルケニレン、置換低級アルケニレン、低級ヘテロアルキレン、置換低級ヘテロアルキレン、-O-、-O-(アルキレン、または、置換アルキレン)-、-S-、-S-(アルキレン、または、置換アルキレン)-、-S(O)-(ここで、kは、1、2、または3である)、-S(O)(アルキレン、または、置換アルキレン)-、-C(O)-、-NS(O)-、-OS(O)-、-C(O)-(アルキレン、または、置換アルキレン)-、-C(S)-、-C(S)-(アルキレン、または、置換アルキレン)-、-N(R’)-、-NR’-(アルキレン、または、置換アルキレン)-、-C(O)N(R’)-、-CON(R’)-(アルキレン、または、置換アルキレン)-、-CSN(R’)-、-CSN(R’)-(アルキレン、または、置換アルキレン)-、-N(R’)CO-(アルキレン、または、置換アルキレン)-、-N(R’)C(O)O-、-S(O)N(R’)-、-N(R’)C(O)N(R’)-、-N(R’)C(S)N(R’)-、-N(R’)S(O)N(R’)-、-N(R’)-N=、-C(R’)=N-、-C(R’)=N-N(R’)-、-C(R’)=N-N=、-C(R’)-N=N-、および、-C(R’)-N(R’)-N(R’)-からなる群より選択されたリンカーであり(なお、各R’は、独立して、H、アルキル、または、置換アルキルである)、
Kは、
【0363】
【化69】
【0364】
であり、
Rは、H、アルキル、置換アルキル、シクロアルキル、または、置換シクロアルキルであり、
各R”は、独立して、H、アルキル、置換アルキル、もしくは、保護基、または2つ以上のR”基が存在する場合、2つのR”基はヘテロシクロアルキルを任意に形成し、
は、H、アミノ保護基、樹脂、アミノ酸、ポリペプチド、または、ポリヌクレオチドであり、
は、OH、エステル保護基、樹脂、アミノ酸、ポリペプチド、または、ポリヌクレオチドであり、
およびRは、それぞれ独立して、H、ハロゲン、低級アルキル、もしくは置換低級アルキルであるか、または、RおよびR、もしくは、2つのR基が、シクロアルキル、もしくは、ヘテロシクロアルキルを任意に形成してもよく、または、
-A-B-K-R基がともに、少なくとも1つのカルボニル基(ジカルボニル基を含む)、保護されたカルボニル基(保護されたジカルボニル基を含む)、または、マスクされたカルボニル基(マスクされたジカルボニル基を含む)を含有する二環性もしくは三環性のシクロアルキルもしくはヘテロシクロアルキルを形成し、または、
-K-R基がともに、少なくとも1つのカルボニル基(ジカルボニル基を含む)、保護されたカルボニル基(保護されたジカルボニル基を含む)、または、マスクされたカルボニル基(マスクされたジカルボニル基を含む)を含有する単環性もしくは二環性のシクロアルキルもしくはヘテロシクロアルキルを形成する、
ただし、Aがフェニレンであり、各RがHである場合、Bは存在し、Aが-(CH-であり、各RがHである場合、Bは-NHC(O)(CHCH)-ではなく、AおよびBが存在せず、各RがHである場合、Rはメチルではない。上記非天然アミノ酸は、塩の形態であってもよく、または、非天然アミノ酸のポリペプチド、ポリマー、多糖、またはポリヌクレオチドに組み込まれていてもよく、さらに翻訳後に任意に修飾されてもよい。)
ある実施形態では、式(XXXVII)に示される化合物は、弱酸性条件下で少なくとも1ヶ月間、水溶液中で安定である。ある実施形態では、式(XXXVII)に示される化合物は、弱酸性条件下で少なくとも2週間、安定である。ある実施形態では、式(XXXVII)に示される化合物は、弱酸性条件下で少なくとも5日間、安定である。ある実施形態では、当該酸性条件はpHが2~8である。
【0365】
式(XXXVII)に示される化合物のある実施形態では、Bは低級アルキレン、置換低級アルキレン、-O-(アルキレン、または、置換アルキレン)-、-C(R’)=N-N(R’)-、-N(R’)CO-、-C(O)-、-C(R’)=N-、-C(O)-(アルキレン、または、置換アルキレン)-、-CON(R’)-(アルキレン、または、置換アルキレン)-、-S(アルキレン、または、置換アルキレン)-、-S(O)(アルキレン、または、置換アルキレン)-、または、-S(O)(アルキレン、または、置換アルキレン)-である。式(XXXVII)に示される化合物のある実施形態では、Bは-O(CH)-、-CH=N-、-CH=N-NH-、-NHCH-、-NHCO-、-C(O)-、-C(O)-(CH)-、-CONH-(CH)-、-SCH-、-S(=O)CH-、または、-S(O)CH-である。式(XXXVII)に示される化合物のある実施形態では、Rは炭素数1~6のアルキルまたはシクロアルキルである。式(XXXVII)に示される化合物のある実施形態では、Rは-CH、-CH(CH、または、シクロプロピルである。式(XXXVII)に示される化合物のある実施形態では、RはH、tert-ブチルオキシカルボニル(Boc)、9-フルオレニルメトキシカルボニル(Fmoc)、N-アセチル、テトラフルオロアセチル(TFA)、または、ベンジルオキシカルボニル(Cbz)である。式(XXXVII)に示される化合物のある実施形態では、Rは樹脂、アミノ酸、ポリペプチド、抗体、または、ポリヌクレオチドである。式(XXXVII)に示される化合物のある実施形態では、RはOH、O-メチル、O-エチル、または、O-t-ブチルである。式(XXXVII)に示される化合物のある実施形態では、Rは樹脂、アミノ酸、ポリペプチド、抗体、または、ポリヌクレオチドである。式(XXXVII)に示される化合物のある実施形態では、Rはポリヌクレオチドである。式(XXXVII)に示される化合物のある実施形態では、Rはリボ核酸(RNA)である。
【0366】
式(XXXVII)に示される化合物のある実施形態では、
【0367】
【化70】
【0368】
は、以下からなる群より選択される。
(i)
Aは、置換低級アルキレン、炭素数4のアリーレン、置換アリーレン、ヘテロアリーレン、置換ヘテロアリーレン、アルカリレン、置換アルカリレン、アラルキレン、または、置換アラルキレンであり、
Bは、任意であり、存在する場合は、低級アルキレン、置換低級アルキレン、低級アルケニレン、置換低級アルケニレン、-O-、-O-(アルキレン、または、置換アルキレン)-、-S-、-S(O)-、-S(O)-、-NS(O)-、-OS(O)-、-C(O)-、-C(O)-(アルキレン、または、置換アルキレン)-、-C(S)-、-N(R’)-、-C(O)N(R’)-、-CON(R’)-(アルキレン、または、置換アルキレン)-、-CSN(R’)-、-N(R’)CO-(アルキレン、または、置換アルキレン)-、-N(R’)C(O)O-、-N(R’)C(S)-、-S(O)N(R’)、-S(O)N(R’)、-N(R’)C(O)N(R’)-、-N(R’)C(S)N(R’)-、-N(R’)S(O)N(R’)-、-N(R’)S(O)N(R’)-、-N(R’)-N=、-C(R’)=N-N(R’)-、-C(R’)=N-N=、-C(R’)-N=N-、および、-C(R’)-N(R’)-N(R’)-からなる群より選択される二価のリンカーであり、
(ii)
Aは、任意であり、存在する場合は、置換低級アルキレン、炭素数4のアリーレン、置換アリーレン、ヘテロアリーレン、置換ヘテロアリーレン、アルカリレン、置換アルカリレン、アラルキレン、または、置換アラルキレンであり、
Bは、低級アルキレン、置換低級アルキレン、低級アルケニレン、置換低級アルケニレン、-O-、-O-(アルキレン、または、置換アルキレン)-、-S-、-S(O)-、-S(O)-、-NS(O)-、-OS(O)-、-C(O)-、-C(O)-(アルキレン、または、置換アルキレン)-、-C(S)-、-N(R’)-、-C(O)N(R’)-、-CON(R’)-(アルキレン、または、置換アルキレン)-、-CSN(R’)-、-N(R’)CO-(アルキレン、または、置換アルキレン)-、-N(R’)C(O)O-、-N(R’)C(S)-、-S(O)N(R’)、-S(O)N(R’)、-N(R’)C(O)N(R’)-、-N(R’)C(S)N(R’)-、-N(R’)S(O)N(R’)-、-N(R’)S(O)N(R’)-、-N(R’)-N=、-C(R’)=N-N(R’)-、-C(R’)=N-N=、-C(R’)-N=N-、および、-C(R’)-N(R’)-N(R’)-からなる群より選択される二価のリンカーであり、
(iii)
Aは低級アルキレンであり、
Bは、任意であり、存在する場合は、低級アルキレン、置換低級アルキレン、低級アルケニレン、置換低級アルケニレン、-O-、-O-(アルキレン、または、置換アルキレン)-、-S-、-S(O)-、-S(O)-、-NS(O)-、-OS(O)-、-C(O)-、-C(O)-(アルキレン、または、置換アルキレン)-、-C(S)-、-N(R’)-、-C(O)N(R’)-、-CSN(R’)-、-CON(R’)-(アルキレン、または、置換アルキレン)-、-N(R’)C(O)O-、-N(R’)C(S)-、-S(O)N(R’)、-S(O)N(R’)、-N(R’)C(O)N(R’)-、-N(R’)C(S)N(R’)-、-N(R’)S(O)N(R’)-、-N(R’)S(O)N(R’)-、-N(R’)-N=、-C(R’)=N-N(R’)-、-C(R’)=N-N=、-C(R’)-N=N-、および、-C(R’)-N(R’)-N(R’)-からなる群より選択される二価のリンカーであり、
(iv)
Aはフェニレンであり、
Bは、低級アルキレン、置換低級アルキレン、低級アルケニレン、置換低級アルケニレン、-O-、-O-(アルキレン、または、置換アルキレン)-、-S-、-S(O)-、-S(O)-、-NS(O)-、-OS(O)-、-C(O)-、-C(O)-(アルキレン、または、置換アルキレン)-、-C(S)-、-N(R’)-、-C(O)N(R’)-、-CON(R’)-(アルキレン、または、置換アルキレン)-、-CSN(R’)-、-N(R’)CO-(アルキレン、または、置換アルキレン)-、-N(R’)C(O)O-、-N(R’)C(S)-、-S(O)N(R’)、-S(O)N(R’)、-N(R’)C(O)N(R’)-、-N(R’)C(S)N(R’)-、-N(R’)S(O)N(R’)-、-N(R’)S(O)N(R’)-、-N(R’)-N=、-C(R’)=N-N(R’)-、-C(R’)=N-N=、-C(R’)-N=N-、および、-C(R’)-N(R’)-N(R’)-からなる群より選択される二価のリンカーであり、
Kは、
【0369】
【化71】
【0370】
であり、
各R’は、独立して、H、アルキル、または、置換アルキルであり、
は任意であり、存在する場合は、H、アミノ保護基、樹脂、アミノ酸、ポリペプチド、または、ポリヌクレオチドであり、
は任意であり、存在する場合は、OH、エステル保護基、樹脂、アミノ酸、ポリペプチド、または、ポリヌクレオチドであり、
各RおよびRは、独立して、H、ハロゲン、低級アルキル、または、置換低級アルキルであり、
Rは、H、アルキル、置換アルキル、シクロアルキル、または、置換シクロアルキルである。
【0371】
また、式(XXXVIII)の構造を有するアミノ酸が含まれる。
【0372】
【化72】
【0373】
(式中、
Aは、任意であり、存在する場合は、低級アルキレン、置換低級アルキレン、低級シクロアルキレン、置換低級シクロアルキレン、低級アルケニレン、置換低級アルケニレン、アルキニレン、低級ヘテロアルキレン、置換ヘテロアルキレン、低級ヘテロシクロアルキレン、置換低級ヘテロシクロアルキレン、アリーレン、置換アリーレン、ヘテロアリーレン、置換ヘテロアリーレン、アルカリレン、置換アルカリレン、アラルキレン、または、置換アラルキレンであり、
Bは、任意であり、存在する場合は、低級アルキレン、置換低級アルキレン、低級アルケニレン、置換低級アルケニレン、低級ヘテロアルキレン、置換低級ヘテロアルキレン、-O-、-O-(アルキレン、または、置換アルキレン)-、-S-、-S-(アルキレン、または、置換アルキレン)-、-S(O)-(ここで、kは、1、2、または3である)、-S(O)(アルキレン、または、置換アルキレン)-、-C(O)-、-NS(O)-、-OS(O)-、-C(O)-(アルキレン、または、置換アルキレン)-、-C(S)-、-C(S)-(アルキレン、または、置換アルキレン)-、-N(R’)-、-NR’-(アルキレン、または、置換アルキレン)-、-C(O)N(R’)-、-CON(R’)-(アルキレン、または、置換アルキレン)-、-CSN(R’)-、-CSN(R’)-(アルキレン、または、置換アルキレン)-、-N(R’)CO-(アルキレン、または、置換アルキレン)-、-N(R’)C(O)O-、-S(O)N(R’)-、-N(R’)C(O)N(R’)-、-N(R’)C(S)N(R’)-、-N(R’)S(O)N(R’)-、-N(R’)-N=、-C(R’)=N-、-C(R’)=N-N(R’)-、-C(R’)=N-N=、-C(R’)-N=N-、および、-C(R’)-N(R’)-N(R’)-からなる群より選択されたリンカーであり(なお、各R’は、独立して、H、アルキル、または、置換アルキルである)、
Rは、H、アルキル、置換アルキル、シクロアルキル、または、置換シクロアルキルであり、
は、H、アミノ保護基、樹脂、少なくとも1つのアミノ酸、ポリペプチド、または、ポリヌクレオチドであり、
は、OH、エステル保護基、樹脂、少なくとも1つのアミノ酸、ポリペプチド、または、ポリヌクレオチドである、
ただし、Aがフェニレンの場合、Bが存在し、Aが-(CH-の場合、Bは-NHC(O)(CHCH)-ではなく、AおよびBが存在しない場合、Rはメチルではない。上記非天然アミノ酸は、塩の形態であってもよく、または、非天然アミノ酸のポリペプチド、ポリマー、多糖、またはポリヌクレオチドに組み込まれていてもよく、さらに翻訳後に任意に修飾されてもよい。)
また、式(XXXIX)の構造を有するアミノ酸が含まれる。
【0374】
【化73】
【0375】
(式中、
Bは、低級アルキレン、置換低級アルキレン、低級アルケニレン、置換低級アルケニレン、低級ヘテロアルキレン、置換低級ヘテロアルキレン、-O-、-O-(アルキレン、または、置換アルキレン)-、-S-、-S-(アルキレン、または、置換アルキレン)-、-S(O)-(ここで、kは、1、2、または3である)、-S(O)(アルキレン、または、置換アルキレン)-、-C(O)-、-NS(O)-、-OS(O)-、-C(O)-(アルキレン、または、置換アルキレン)-、-C(S)-、-C(S)-(アルキレン、または、置換アルキレン)-、-N(R’)-、-NR’-(アルキレン、または、置換アルキレン)-、-C(O)N(R’)-、-CON(R’)-(アルキレン、または、置換アルキレン)-、-CSN(R’)-、-CSN(R’)-(アルキレン、または、置換アルキレン)-、-N(R’)CO-(アルキレン、または、置換アルキレン)-、-N(R’)C(O)O-、-S(O)N(R’)-、-N(R’)C(O)N(R’)-、-N(R’)C(S)N(R’)-、-N(R’)S(O)N(R’)-、-N(R’)-N=、-C(R’)=N-、-C(R’)=N-N(R’)-、-C(R’)=N-N=、-C(R’)-N=N-、および、-C(R’)-N(R’)-N(R’)-からなる群より選択されたリンカーであり(なお、各R’は、独立して、H、アルキル、または、置換アルキルである)、
Rは、H、アルキル、置換アルキル、シクロアルキル、または、置換シクロアルキルであり、
は、H、アミノ保護基、樹脂、アミノ酸、ポリペプチド、または、ポリヌクレオチドであり、
は、OH、エステル保護基、樹脂、アミノ酸、ポリペプチド、または、ポリヌクレオチドであり、
各Rは、H、ハロゲン、アルキル、置換アルキル、-N(R’)、-C(O)R’(ここで、kは、1、2、または3である)、-C(O)N(R’)、-OR’、および、-S(O)R’からなる群より独立して選択される(なお、各R’は、独立して、H、アルキル、または、置換アルキルである)。上記非天然アミノ酸は、塩の形態であってもよく、または、非天然アミノ酸のポリペプチド、ポリマー、多糖、またはポリヌクレオチドに組み込まれていてもよく、さらに翻訳後に任意に修飾されてもよい。)
また、以下のアミノ酸が含まれる。
【0376】
【化74】
【0377】
上記非天然アミノ酸は、任意で、保護された基、カルボキシル保護基であり、および/または、塩の形態であってもよく、または、非天然アミノ酸のポリペプチド、ポリマー、多糖、もしくはポリヌクレオチドに組み込まれていてもよく、翻訳後に任意に修飾されてもよい。
【0378】
また、式(XXXX)の構造を有する以下のアミノ酸が含まれる。
【0379】
【化75】
【0380】
(式中、
Bは、-NS(O)-、-OS(O)-、任意であり、存在する場合は、低級アルキレン、置換低級アルキレン、低級アルケニレン、置換低級アルケニレン、低級ヘテロアルキレン、置換低級ヘテロアルキレン、-O-、-O-(アルキレン、または、置換アルキレン)-、-S-、-S-(アルキレン、または、置換アルキレン)-、-S(O)-(ここで、kは、1、2、または3である)、-S(O)(アルキレン、または、置換アルキレン)-、-C(O)-、-NS(O)-、-OS(O)-、-C(O)-(アルキレン、または、置換アルキレン)-、-C(S)-、-C(S)-(アルキレン、または、置換アルキレン)-、-N(R’)-、-NR’-(アルキレン、または、置換アルキレン)-、-C(O)N(R’)-、-CON(R’)-(アルキレン、または、置換アルキレン)-、-CSN(R’)-、-CSN(R’)-(アルキレン、または、置換アルキレン)-、-N(R’)CO-(アルキレン、または、置換アルキレン)-、-N(R’)C(O)O-、-S(O)N(R’)-、-N(R’)C(O)N(R’)-、-N(R’)C(S)N(R’)-、-N(R’)S(O)N(R’)-、-N(R’)-N=、-C(R’)=N-、-C(R’)=N-N(R’)-、-C(R’)=N-N=、-C(R’)-N=N-、および、-C(R’)-N(R’)-N(R’)-からなる群より選択されたリンカーであり(なお、各R’は、独立して、H、アルキル、または、置換アルキルである)、
Rは、H、アルキル、置換アルキル、シクロアルキル、または、置換シクロアルキルであり、
は、H、アミノ保護基、樹脂、アミノ酸、ポリペプチド、または、ポリヌクレオチドであり、
は、OH、エステル保護基、樹脂、アミノ酸、ポリペプチド、または、ポリヌクレオチドであり、
各Rは、H、ハロゲン、アルキル、置換アルキル、-N(R’)、-C(O)R’(ここで、kは、1、2、または3である)、-C(O)N(R’)、-OR’、および、-S(O)R’からなる群より独立して選択され(なお、各R’は、独立して、H、アルキル、または、置換アルキルである)、nは0~8である、
ただし、Aが-(CH-である場合、Bは-NHC(O)(CHCH)-ではない。上記非天然アミノ酸は、塩の形態であってもよく、または、非天然アミノ酸のポリペプチド、ポリマー、多糖、またはポリヌクレオチドに組み込まれていてもよく、さらに翻訳後に任意に修飾されてもよい。)
また、以下のアミノ酸が含まれる。
【0381】
【化76】
【0382】
(式中、上記化合物は、任意でアミノ保護基であり、任意でカルボキシル保護基であり、任意でアミノ保護基とカルボキシル保護基とであり、もしくは、それらの塩であり、または、非天然アミノ酸のポリペプチド、ポリマー、多糖、またはポリヌクレオチドに組み込まれていてもよく、さらに翻訳後に任意に修飾されてもよい。)
また、式(XXXXI)の構造を有する以下のアミノ酸が含まれる。
【0383】
【化77】
【0384】
(式中、
Aは、任意であり、存在する場合は、低級アルキレン、置換低級アルキレン、低級シクロアルキレン、置換低級シクロアルキレン、低級アルケニレン、置換低級アルケニレン、アルキニレン、低級ヘテロアルキレン、置換ヘテロアルキレン、低級ヘテロシクロアルキレン、置換低級ヘテロシクロアルキレン、アリーレン、置換アリーレン、ヘテロアリーレン、置換ヘテロアリーレン、アルカリレン、置換アルカリレン、アラルキレン、または、置換アラルキレンであり、
Bは、任意であり、存在する場合は、低級アルキレン、置換低級アルキレン、低級アルケニレン、置換低級アルケニレン、低級ヘテロアルキレン、置換低級ヘテロアルキレン、-O-、-O-(アルキレン、または、置換アルキレン)-、-S-、-S-(アルキレン、または、置換アルキレン)-、-S(O)-(ここで、kは、1、2、または3である)、-S(O)(アルキレン、または、置換アルキレン)-、-C(O)-、-NS(O)-、-OS(O)-、-C(O)-(アルキレン、または、置換アルキレン)-、-C(S)-、-C(S)-(アルキレン、または、置換アルキレン)-、-N(R’)-、-NR’-(アルキレン、または、置換アルキレン)-、-C(O)N(R’)-、-CON(R’)-(アルキレン、または、置換アルキレン)-、-CSN(R’)-、-CSN(R’)-(アルキレン、または、置換アルキレン)-、-N(R’)CO-(アルキレン、または、置換アルキレン)-、-N(R’)C(O)O-、-S(O)N(R’)-、-N(R’)C(O)N(R’)-、-N(R’)C(S)N(R’)-、-N(R’)S(O)N(R’)-、-N(R’)-N=、-C(R’)=N-、-C(R’)=N-N(R’)-、-C(R’)=N-N=、-C(R’)-N=N-、および、-C(R’)-N(R’)-N(R’)-からなる群より選択されたリンカーであり(なお、各R’は、独立して、H、アルキル、または、置換アルキルである)、
は、H、アミノ保護基、樹脂、アミノ酸、ポリペプチド、または、ポリヌクレオチドであり、
は、OH、エステル保護基、樹脂、アミノ酸、ポリペプチド、または、ポリヌクレオチドであり、
上記非天然アミノ酸は、塩の形態であってもよく、または、非天然アミノ酸のポリペプチド、ポリマー、多糖、またはポリヌクレオチドに組み込まれていてもよく、さらに翻訳後に任意に修飾されてもよい。)
また、式(XXXXII)の構造を有する以下のアミノ酸が含まれる。
【0385】
【化78】
【0386】
(式中、
Bは、任意であり、存在する場合は、低級アルキレン、置換低級アルキレン、低級アルケニレン、置換低級アルケニレン、低級ヘテロアルキレン、置換低級ヘテロアルキレン、-O-、-O-(アルキレン、または、置換アルキレン)-、-S-、-S-(アルキレン、または、置換アルキレン)-、-S(O)-(ここで、kは、1、2、または3である)、-S(O)(アルキレン、または、置換アルキレン)-、-C(O)-、-NS(O)-、-OS(O)-、-C(O)-(アルキレン、または、置換アルキレン)-、-C(S)-、-C(S)-(アルキレン、または、置換アルキレン)-、-N(R’)-、-NR’-(アルキレン、または、置換アルキレン)-、-C(O)N(R’)-、-CON(R’)-(アルキレン、または、置換アルキレン)-、-CSN(R’)-、-CSN(R’)-(アルキレン、または、置換アルキレン)-、-N(R’)CO-(アルキレン、または、置換アルキレン)-、-N(R’)C(O)O-、-S(O)N(R’)-、-N(R’)C(O)N(R’)-、-N(R’)C(S)N(R’)-、-N(R’)S(O)N(R’)-、-N(R’)-N=、-C(R’)=N-、-C(R’)=N-N(R’)-、-C(R’)=N-N=、-C(R’)-N=N-、および、-C(R’)-N(R’)-N(R’)-からなる群より選択されたリンカーであり(なお、各R’は、独立して、H、アルキル、または、置換アルキルである)、
Rは、H、アルキル、置換アルキル、シクロアルキル、または、置換シクロアルキルであり、
は、H、アミノ保護基、樹脂、アミノ酸、ポリペプチド、または、ポリヌクレオチドであり、
は、OH、エステル保護基、樹脂、アミノ酸、ポリペプチド、または、ポリヌクレオチドであり、
各Rは、H、ハロゲン、アルキル、置換アルキル、-N(R’)、-C(O)R’(ここで、kは、1、2、または3である)、-C(O)N(R’)、-OR’、および、-S(O)R’からなる群より独立して選択される(なお、各R’は、独立して、H、アルキル、または、置換アルキルである)。
【0387】
上記非天然アミノ酸は、塩の形態であってもよく、または、非天然アミノ酸のポリペプチド、ポリマー、多糖、またはポリヌクレオチドに組み込まれていてもよく、さらに翻訳後に任意に修飾されてもよい。)
また、以下のアミノ酸が含まれる。
【0388】
【化79】
【0389】
(式中、上記化合物は、任意でアミノ保護基であり、任意でカルボキシル保護基であり、任意でアミノ保護基とカルボキシル保護基とであり、もしくは、それらの塩であり、または、非天然アミノ酸のポリペプチド、ポリマー、多糖、またはポリヌクレオチドに組み込まれていてもよく、さらに翻訳後に任意に修飾されてもよい。)
また、式(XXXXIV)の構造を有する以下のアミノ酸が含まれる。
【0390】
【化80】
【0391】
(式中、
Bは、任意であり、存在する場合は、低級アルキレン、置換低級アルキレン、低級アルケニレン、置換低級アルケニレン、低級ヘテロアルキレン、置換低級ヘテロアルキレン、-O-、-O-(アルキレン、または、置換アルキレン)-、-S-、-S-(アルキレン、または、置換アルキレン)-、-S(O)-(ここで、kは、1、2、または3である)、-S(O)(アルキレン、または、置換アルキレン)-、-C(O)-、-NS(O)-、-OS(O)-、-C(O)-(アルキレン、または、置換アルキレン)-、-C(S)-、-C(S)-(アルキレン、または、置換アルキレン)-、-N(R’)-、-NR’-(アルキレン、または、置換アルキレン)-、-C(O)N(R’)-、-CON(R’)-(アルキレン、または、置換アルキレン)-、-CSN(R’)-、-CSN(R’)-(アルキレン、または、置換アルキレン)-、-N(R’)CO-(アルキレン、または、置換アルキレン)-、-N(R’)C(O)O-、-S(O)N(R’)-、-N(R’)C(O)N(R’)-、-N(R’)C(S)N(R’)-、-N(R’)S(O)N(R’)-、-N(R’)-N=、-C(R’)=N-、-C(R’)=N-N(R’)-、-C(R’)=N-N=、-C(R’)-N=N-、および、-C(R’)-N(R’)-N(R’)-からなる群より選択されたリンカーであり(なお、各R’は、独立して、H、アルキル、または、置換アルキルである)、
Rは、H、アルキル、置換アルキル、シクロアルキル、または、置換シクロアルキルであり、
は、H、アミノ保護基、樹脂、アミノ酸、ポリペプチド、または、ポリヌクレオチドであり、
は、OH、エステル保護基、樹脂、アミノ酸、ポリペプチド、または、ポリヌクレオチドであり、
各Rは、H、ハロゲン、アルキル、置換アルキル、-N(R’)、-C(O)R’(ここで、kは、1、2、または3である)、-C(O)N(R’)、-OR’、および、-S(O)R’からなる群より独立して選択され(なお、各R’は、独立して、H、アルキル、または、置換アルキルである)、nは0~8である。
【0392】
上記非天然アミノ酸は、塩の形態であってもよく、または、非天然アミノ酸のポリペプチド、ポリマー、多糖、またはポリヌクレオチドに組み込まれていてもよく、さらに翻訳後に任意に修飾されてもよい。)
また、以下のアミノ酸が含まれる。
【0393】
【化81】
【0394】
(式中、上記化合物は、任意でアミノ保護基であり、任意でカルボキシル保護基であり、任意でアミノ保護基とカルボキシル保護基とであり、もしくは、それらの塩であり、または、非天然アミノ酸のポリペプチド、ポリマー、多糖、またはポリヌクレオチドに組み込まれていてもよく、さらに翻訳後に任意に修飾されてもよい。)
本明細書に記載の非天然アミノ酸は、モノカルボニル構造に加えて、ジカルボニル基、ジカルボニル様基、マスクされたジカルボニル基、および、保護されたジカルボニル基などの基を含んでいてもよい。
【0395】
例えば、式(XXXXV)の構造を有する以下のアミノ酸が含まれる。
【0396】
【化82】
【0397】
(式中、
Aは、任意であり、存在する場合は、低級アルキレン、置換低級アルキレン、低級シクロアルキレン、置換低級シクロアルキレン、低級アルケニレン、置換低級アルケニレン、アルキニレン、低級ヘテロアルキレン、置換ヘテロアルキレン、低級ヘテロシクロアルキレン、置換低級ヘテロシクロアルキレン、アリーレン、置換アリーレン、ヘテロアリーレン、置換ヘテロアリーレン、アルカリレン、置換アルカリレン、アラルキレン、または、置換アラルキレンであり、
Bは、任意であり、存在する場合は、低級アルキレン、置換低級アルキレン、低級アルケニレン、置換低級アルケニレン、低級ヘテロアルキレン、置換低級ヘテロアルキレン、-O-、-O-(アルキレン、または、置換アルキレン)-、-S-、-S-(アルキレン、または、置換アルキレン)-、-S(O)-(ここで、kは、1、2、または3である)、-S(O)(アルキレン、または、置換アルキレン)-、-C(O)-、-NS(O)-、-OS(O)-、-C(O)-(アルキレン、または、置換アルキレン)-、-C(S)-、-C(S)-(アルキレン、または、置換アルキレン)-、-N(R’)-、-NR’-(アルキレン、または、置換アルキレン)-、-C(O)N(R’)-、-CON(R’)-(アルキレン、または、置換アルキレン)-、-CSN(R’)-、-CSN(R’)-(アルキレン、または、置換アルキレン)-、-N(R’)CO-(アルキレン、または、置換アルキレン)-、-N(R’)C(O)O-、-S(O)N(R’)-、-N(R’)C(O)N(R’)-、-N(R’)C(S)N(R’)-、-N(R’)S(O)N(R’)-、-N(R’)-N=、-C(R’)=N-、-C(R’)=N-N(R’)-、-C(R’)=N-N=、-C(R’)-N=N-、および、-C(R’)-N(R’)-N(R’)-からなる群より選択されたリンカーであり(なお、各R’は、独立して、H、アルキル、または、置換アルキルである)、
Rは、H、アルキル、置換アルキル、シクロアルキル、または、置換シクロアルキルであり、
は、H、アミノ保護基、樹脂、アミノ酸、ポリペプチド、または、ポリヌクレオチドであり、
は、OH、エステル保護基、樹脂、アミノ酸、ポリペプチド、または、ポリヌクレオチドであり、
上記非天然アミノ酸は、塩の形態であってもよく、または、非天然アミノ酸のポリペプチド、ポリマー、多糖、またはポリヌクレオチドに組み込まれていてもよく、さらに翻訳後に任意に修飾されてもよい。)
また、式(XXXXVI)の構造を有する以下のアミノ酸が含まれる。
【0398】
【化83】
【0399】
(式中、
Bは、任意であり、存在する場合は、低級アルキレン、置換低級アルキレン、低級アルケニレン、置換低級アルケニレン、低級ヘテロアルキレン、置換低級ヘテロアルキレン、-O-、-O-(アルキレン、または、置換アルキレン)-、-S-、-S-(アルキレン、または、置換アルキレン)-、-S(O)-(ここで、kは、1、2、または3である)、-S(O)(アルキレン、または、置換アルキレン)-、-C(O)-、-NS(O)-、-OS(O)-、-C(O)-(アルキレン、または、置換アルキレン)-、-C(S)-、-C(S)-(アルキレン、または、置換アルキレン)-、-N(R’)-、-NR’-(アルキレン、または、置換アルキレン)-、-C(O)N(R’)-、-CON(R’)-(アルキレン、または、置換アルキレン)-、-CSN(R’)-、-CSN(R’)-(アルキレン、または、置換アルキレン)-、-N(R’)CO-(アルキレン、または、置換アルキレン)-、-N(R’)C(O)O-、-S(O)N(R’)-、-N(R’)C(O)N(R’)-、-N(R’)C(S)N(R’)-、-N(R’)S(O)N(R’)-、-N(R’)-N=、-C(R’)=N-、-C(R’)=N-N(R’)-、-C(R’)=N-N=、-C(R’)-N=N-、および、-C(R’)-N(R’)-N(R’)-からなる群より選択されたリンカーであり(なお、各R’は、独立して、H、アルキル、または、置換アルキルである)、
Rは、H、アルキル、置換アルキル、シクロアルキル、または、置換シクロアルキルであり、
は、H、アミノ保護基、樹脂、アミノ酸、ポリペプチド、または、ポリヌクレオチドであり、
は、OH、エステル保護基、樹脂、アミノ酸、ポリペプチド、または、ポリヌクレオチドであり、
各Rは、H、ハロゲン、アルキル、置換アルキル、-N(R’)、-C(O)R’(ここで、kは、1、2、または3である)、-C(O)N(R’)、-OR’、および、-S(O)R’からなる群より独立して選択される(なお、各R’は、独立して、H、アルキル、または、置換アルキルである)。
【0400】
上記非天然アミノ酸は、塩の形態であってもよく、または、非天然アミノ酸のポリペプチド、ポリマー、多糖、またはポリヌクレオチドに組み込まれていてもよく、さらに翻訳後に任意に修飾されてもよい。)
また、以下のアミノ酸が含まれる。
【0401】
【化84】
【0402】
(式中、上記化合物は任意でアミノ保護基とカルボキシル保護基とであり、または、それらの塩である。上記非天然アミノ酸は、塩の形態であってもよく、または、非天然アミノ酸のポリペプチド、ポリマー、多糖、またはポリヌクレオチドに組み込まれていてもよく、さらに翻訳後に任意に修飾されてもよい。)
また、式(XXXXVII)の構造を有する以下のアミノ酸が含まれる。
【0403】
【化85】
【0404】
(式中、
Bは、任意であり、存在する場合は、低級アルキレン、置換低級アルキレン、低級アルケニレン、置換低級アルケニレン、低級ヘテロアルキレン、置換低級ヘテロアルキレン、-O-、-O-(アルキレン、または、置換アルキレン)-、-S-、-S-(アルキレン、または、置換アルキレン)-、-S(O)-(ここで、kは、1、2、または3である)、-S(O)(アルキレン、または、置換アルキレン)-、-C(O)-、-NS(O)-、-OS(O)-、-C(O)-(アルキレン、または、置換アルキレン)-、-C(S)-、-C(S)-(アルキレン、または、置換アルキレン)-、-N(R’)-、-NR’-(アルキレン、または、置換アルキレン)-、-C(O)N(R’)-、-CON(R’)-(アルキレン、または、置換アルキレン)-、-CSN(R’)-、-CSN(R’)-(アルキレン、または、置換アルキレン)-、-N(R’)CO-(アルキレン、または、置換アルキレン)-、-N(R’)C(O)O-、-S(O)N(R’)-、-N(R’)C(O)N(R’)-、-N(R’)C(S)N(R’)-、-N(R’)S(O)N(R’)-、-N(R’)-N=、-C(R’)=N-、-C(R’)=N-N(R’)-、-C(R’)=N-N=、-C(R’)-N=N-、および、-C(R’)-N(R’)-N(R’)-からなる群より選択されたリンカーであり(なお、各R’は、独立して、H、アルキル、または、置換アルキルである)、
Rは、H、アルキル、置換アルキル、シクロアルキル、または、置換シクロアルキルであり、
は、H、アミノ保護基、樹脂、アミノ酸、ポリペプチド、または、ポリヌクレオチドであり、
は、OH、エステル保護基、樹脂、アミノ酸、ポリペプチド、または、ポリヌクレオチドであり、
各Rは、H、ハロゲン、アルキル、置換アルキル、-N(R’)、-C(O)R’(ここで、kは、1、2、または3である)、-C(O)N(R’)、-OR’、および、-S(O)R’からなる群より独立して選択され(なお、各R’は、独立して、H、アルキル、または、置換アルキルである)、nは0~8である。
【0405】
上記非天然アミノ酸は、塩の形態であってもよく、または、非天然アミノ酸のポリペプチド、ポリマー、多糖、またはポリヌクレオチドに組み込まれていてもよく、さらに翻訳後に任意に修飾されてもよい。)
また、以下のアミノ酸が含まれる。
【0406】
【化86】
【0407】
(式中、上記化合物は任意でアミノ保護基とカルボキシル保護基とであり、または、それらの塩であり、または、非天然アミノ酸のポリペプチド、ポリマー、多糖、またはポリヌクレオチドに組み込まれていてもよく、さらに翻訳後に任意に修飾されてもよい。)
また、式(XXXXVIII)の構造を有する以下のアミノ酸が含まれる。
【0408】
【化87】
【0409】
(式中、
Aは、任意であり、存在する場合は、低級アルキレン、置換低級アルキレン、低級シクロアルキレン、置換低級シクロアルキレン、低級アルケニレン、置換低級アルケニレン、アルキニレン、低級ヘテロアルキレン、置換ヘテロアルキレン、低級ヘテロシクロアルキレン、置換低級ヘテロシクロアルキレン、アリーレン、置換アリーレン、ヘテロアリーレン、置換ヘテロアリーレン、アルカリレン、置換アルカリレン、アラルキレン、または、置換アラルキレンであり、
Rは、H、アルキル、置換アルキル、シクロアルキル、または、置換シクロアルキルであり、
は、H、アミノ保護基、樹脂、アミノ酸、ポリペプチド、または、ポリヌクレオチドであり、
は、OH、エステル保護基、樹脂、アミノ酸、ポリペプチド、または、ポリヌクレオチドであり、
は、C、S、または、S(O)であり、Lは、アルキレン、置換アルキレン、N(R’)(アルキレン)、または、N(R’)(置換アルキレン)であり(なお、R’は、H、アルキル、置換アルキル、シクロアルキル、または置換されたシクロアルキルである)、
上記非天然アミノ酸は、塩の形態であってもよく、または、非天然アミノ酸のポリペプチド、ポリマー、多糖、またはポリヌクレオチドに組み込まれていてもよく、さらに翻訳後に任意に修飾されてもよい。)
また、式(XXXXIX)の構造を有する以下のアミノ酸が含まれる。
【0410】
【化88】
【0411】
(式中、
Aは、任意であり、存在する場合は、低級アルキレン、置換低級アルキレン、低級シクロアルキレン、置換低級シクロアルキレン、低級アルケニレン、置換低級アルケニレン、アルキニレン、低級ヘテロアルキレン、置換ヘテロアルキレン、低級ヘテロシクロアルキレン、置換低級ヘテロシクロアルキレン、アリーレン、置換アリーレン、ヘテロアリーレン、置換ヘテロアリーレン、アルカリレン、置換アルカリレン、アラルキレン、または、置換アラルキレンであり、
Rは、H、アルキル、置換アルキル、シクロアルキル、または、置換シクロアルキルであり、
は、H、アミノ保護基、樹脂、アミノ酸、ポリペプチド、または、ポリヌクレオチドであり、
は、OH、エステル保護基、樹脂、アミノ酸、ポリペプチド、または、ポリヌクレオチドであり、
Lは、アルキレン、置換アルキレン、N(R’)(アルキレン)、または、N(R’)(置換アルキレン)であり(なお、R’は、H、アルキル、置換アルキル、シクロアルキル、または置換されたシクロアルキルである)、
上記非天然アミノ酸は、塩の形態であってもよく、または、非天然アミノ酸のポリペプチド、ポリマー、多糖、またはポリヌクレオチドに組み込まれていてもよく、さらに翻訳後に任意に修飾されてもよい。)
また、式(XXXXX)の構造を有する以下のアミノ酸が含まれる。
【0412】
【化89】
【0413】
(式中、
Aは、任意であり、存在する場合は、低級アルキレン、置換低級アルキレン、低級シクロアルキレン、置換低級シクロアルキレン、低級アルケニレン、置換低級アルケニレン、アルキニレン、低級ヘテロアルキレン、置換ヘテロアルキレン、低級ヘテロシクロアルキレン、置換低級ヘテロシクロアルキレン、アリーレン、置換アリーレン、ヘテロアリーレン、置換ヘテロアリーレン、アルカリレン、置換アルカリレン、アラルキレン、または、置換アラルキレンであり、
Rは、H、アルキル、置換アルキル、シクロアルキル、または、置換シクロアルキルであり、
は、H、アミノ保護基、樹脂、アミノ酸、ポリペプチド、または、ポリヌクレオチドであり、
は、OH、エステル保護基、樹脂、アミノ酸、ポリペプチド、または、ポリヌクレオチドであり、
Lは、アルキレン、置換アルキレン、N(R’)(アルキレン)、または、N(R’)(置換アルキレン)である(なお、R’は、H、アルキル、置換アルキル、シクロアルキル、または置換されたシクロアルキルである)。
【0414】
上記非天然アミノ酸は、塩の形態であってもよく、または、非天然アミノ酸のポリペプチド、ポリマー、多糖、またはポリヌクレオチドに組み込まれていてもよく、さらに翻訳後に任意に修飾されてもよい。)
また、式(XXXXXI)の構造を有する以下のアミノ酸が含まれる。
【0415】
【化90】
【0416】
(式中、
Aは、任意であり、存在する場合は、低級アルキレン、置換低級アルキレン、低級シクロアルキレン、置換低級シクロアルキレン、低級アルケニレン、置換低級アルケニレン、アルキニレン、低級ヘテロアルキレン、置換ヘテロアルキレン、低級ヘテロシクロアルキレン、置換低級ヘテロシクロアルキレン、アリーレン、置換アリーレン、ヘテロアリーレン、置換ヘテロアリーレン、アルカリレン、置換アルカリレン、アラルキレン、または、置換アラルキレンであり、
Rは、H、アルキル、置換アルキル、シクロアルキル、または、置換シクロアルキルであり、
は、H、アミノ保護基、樹脂、アミノ酸、ポリペプチド、または、ポリヌクレオチドであり、
は、OH、エステル保護基、樹脂、アミノ酸、ポリペプチド、または、ポリヌクレオチドであり、
は、C、S、または、S(O)であり、nは、0、1、2、3、4、または5であり、
各CR基における各RおよびRは、H、アルコキシ、アルキルアミン、ハロゲン、アルキル、および、アリールからなる群より独立して選択されるか、任意のRおよびRがともに=Oもしくはシクロアルキルを形成することができるか、または、R基に隣接する任意の基がともにシクロアルキルを形成することができる。
【0417】
上記非天然アミノ酸は、塩の形態であってもよく、または、非天然アミノ酸のポリペプチド、ポリマー、多糖、またはポリヌクレオチドに組み込まれていてもよく、さらに翻訳後に任意に修飾されてもよい。)
また、式(XXXXXII)の構造を有する以下のアミノ酸が含まれる。
【0418】
【化91】
【0419】
(式中、
Aは、任意であり、存在する場合は、低級アルキレン、置換低級アルキレン、低級シクロアルキレン、置換低級シクロアルキレン、低級アルケニレン、置換低級アルケニレン、アルキニレン、低級ヘテロアルキレン、置換ヘテロアルキレン、低級ヘテロシクロアルキレン、置換低級ヘテロシクロアルキレン、アリーレン、置換アリーレン、ヘテロアリーレン、置換ヘテロアリーレン、アルカリレン、置換アルカリレン、アラルキレン、または、置換アラルキレンであり、
Rは、H、アルキル、置換アルキル、シクロアルキル、または、置換シクロアルキルであり、
は、H、アミノ保護基、樹脂、アミノ酸、ポリペプチド、または、ポリヌクレオチドであり、
は、OH、エステル保護基、樹脂、アミノ酸、ポリペプチド、または、ポリヌクレオチドであり、
nは、0、1、2、3、4、または5であり、各CR基における各RおよびRは、H、アルコキシ、アルキルアミン、ハロゲン、アルキル、および、アリールからなる群より独立して選択されるか、任意のRおよびRがともに=Oもしくはシクロアルキルを形成することができるか、または、R基に隣接する任意の基がともにシクロアルキルを形成することができる。
【0420】
上記非天然アミノ酸は、塩の形態であってもよく、または、非天然アミノ酸のポリペプチド、ポリマー、多糖、またはポリヌクレオチドに組み込まれていてもよく、さらに翻訳後に任意に修飾されてもよい。)
また、式(XXXXXIII)の構造を有する以下のアミノ酸が含まれる。
【0421】
【化92】
【0422】
(式中、
Aは、任意であり、存在する場合は、低級アルキレン、置換低級アルキレン、低級シクロアルキレン、置換低級シクロアルキレン、低級アルケニレン、置換低級アルケニレン、アルキニレン、低級ヘテロアルキレン、置換ヘテロアルキレン、低級ヘテロシクロアルキレン、置換低級ヘテロシクロアルキレン、アリーレン、置換アリーレン、ヘテロアリーレン、置換ヘテロアリーレン、アルカリレン、置換アルカリレン、アラルキレン、または、置換アラルキレンであり、
Rは、H、アルキル、置換アルキル、シクロアルキル、または、置換シクロアルキルであり、
は、H、アミノ保護基、樹脂、アミノ酸、ポリペプチド、または、ポリヌクレオチドであり、
は、OH、エステル保護基、樹脂、アミノ酸、ポリペプチド、または、ポリヌクレオチドであり、
nは、0、1、2、3、4、または5であり、各CR基における各RおよびRは、H、アルコキシ、アルキルアミン、ハロゲン、アルキル、および、アリールからなる群より独立して選択されるか、任意のRおよびRがともに=Oもしくはシクロアルキルを形成することができるか、または、R基に隣接する任意の基がともにシクロアルキルを形成することができる。
【0423】
上記非天然アミノ酸は、塩の形態であってもよく、または、非天然アミノ酸のポリペプチド、ポリマー、多糖、またはポリヌクレオチドに組み込まれていてもよく、さらに翻訳後に任意に修飾されてもよい。)
また、式(XXXXXIV)の構造を有する以下のアミノ酸が含まれる。
【0424】
【化93】
【0425】
(式中、
Aは、任意であり、存在する場合は、低級アルキレン、置換低級アルキレン、低級シクロアルキレン、置換低級シクロアルキレン、低級アルケニレン、置換低級アルケニレン、アルキニレン、低級ヘテロアルキレン、置換ヘテロアルキレン、低級ヘテロシクロアルキレン、置換低級ヘテロシクロアルキレン、アリーレン、置換アリーレン、ヘテロアリーレン、置換ヘテロアリーレン、アルカリレン、置換アルカリレン、アラルキレン、または、置換アラルキレンであり、
Rは、H、アルキル、置換アルキル、シクロアルキル、または、置換シクロアルキルであり、
は、H、アミノ保護基、樹脂、アミノ酸、ポリペプチド、または、ポリヌクレオチドであり、
は、OH、エステル保護基、樹脂、アミノ酸、ポリペプチド、または、ポリヌクレオチドであり、
は、C、S、または、S(O)であり、Lは、アルキレン、置換アルキレン、N(R’)(アルキレン)、または、N(R’)(置換アルキレン)である(なお、R’は、H、アルキル、置換アルキル、シクロアルキル、または置換されたシクロアルキルである)。
【0426】
上記非天然アミノ酸は、塩の形態であってもよく、または、非天然アミノ酸のポリペプチド、ポリマー、多糖、またはポリヌクレオチドに組み込まれていてもよく、さらに翻訳後に任意に修飾されてもよい。)
また、式(XXXXXV)の構造を有する以下のアミノ酸が含まれる。
【0427】
【化94】
【0428】
(式中、
Aは、任意であり、存在する場合は、低級アルキレン、置換低級アルキレン、低級シクロアルキレン、置換低級シクロアルキレン、低級アルケニレン、置換低級アルケニレン、アルキニレン、低級ヘテロアルキレン、置換ヘテロアルキレン、低級ヘテロシクロアルキレン、置換低級ヘテロシクロアルキレン、アリーレン、置換アリーレン、ヘテロアリーレン、置換ヘテロアリーレン、アルカリレン、置換アルカリレン、アラルキレン、または、置換アラルキレンであり、
Rは、H、アルキル、置換アルキル、シクロアルキル、または、置換シクロアルキルであり、
は、H、アミノ保護基、樹脂、アミノ酸、ポリペプチド、または、ポリヌクレオチドであり、
は、OH、エステル保護基、樹脂、アミノ酸、ポリペプチド、または、ポリヌクレオチドであり、
Lは、アルキレン、置換アルキレン、N(R’)(アルキレン)、または、N(R’)(置換アルキレン)である(なお、R’は、H、アルキル、置換アルキル、シクロアルキル、または置換されたシクロアルキルである)。
【0429】
上記非天然アミノ酸は、塩の形態であってもよく、または、非天然アミノ酸のポリペプチド、ポリマー、多糖、またはポリヌクレオチドに組み込まれていてもよく、さらに翻訳後に任意に修飾されてもよい。)
また、式(XXXXXVI)の構造を有する以下のアミノ酸が含まれる。
【0430】
【化95】
【0431】
(式中、
Aは、任意であり、存在する場合は、低級アルキレン、置換低級アルキレン、低級シクロアルキレン、置換低級シクロアルキレン、低級アルケニレン、置換低級アルケニレン、アルキニレン、低級ヘテロアルキレン、置換ヘテロアルキレン、低級ヘテロシクロアルキレン、置換低級ヘテロシクロアルキレン、アリーレン、置換アリーレン、ヘテロアリーレン、置換ヘテロアリーレン、アルカリレン、置換アルカリレン、アラルキレン、または、置換アラルキレンであり、
Rは、H、アルキル、置換アルキル、シクロアルキル、または、置換シクロアルキルであり、
は、H、アミノ保護基、樹脂、アミノ酸、ポリペプチド、または、ポリヌクレオチドであり、
は、OH、エステル保護基、樹脂、アミノ酸、ポリペプチド、または、ポリヌクレオチドであり、
Lは、アルキレン、置換アルキレン、N(R’)(アルキレン)、または、N(R’)(置換アルキレン)である(なお、R’は、H、アルキル、置換アルキル、シクロアルキル、または置換されたシクロアルキルである)。
【0432】
上記非天然アミノ酸は、塩の形態であってもよく、または、非天然アミノ酸のポリペプチド、ポリマー、多糖、またはポリヌクレオチドに組み込まれていてもよく、さらに翻訳後に任意に修飾されてもよい。)
また、式(XXXXXVII)の構造を有するアミノ酸が含まれる。
【0433】
【化96】
【0434】
(式中、
Aは、任意であり、存在する場合は、低級アルキレン、置換低級アルキレン、低級シクロアルキレン、置換低級シクロアルキレン、低級アルケニレン、置換低級アルケニレン、アルキニレン、低級ヘテロアルキレン、置換ヘテロアルキレン、低級ヘテロシクロアルキレン、置換低級ヘテロシクロアルキレン、アリーレン、置換アリーレン、ヘテロアリーレン、置換ヘテロアリーレン、アルカリレン、置換アルカリレン、アラルキレン、または、置換アラルキレンであり、
Mは、
【0435】
【化97】
【0436】
であり、
(a)は、A基への結合を示す一方、(b)は、それぞれのカルボニル基への結合を示すか、RおよびRはH、ハロゲン、アルキル、置換アルキル、シクロアルキル、もしくは、置換シクロアルキルから独立して選択されるか、または、RおよびR、2つのR基、もしくは、2つのR基はシクロアルキルもしくはヘテロシクロアルキルを任意に形成し、
Rは、H、ハロゲン、アルキル、置換アルキル、シクロアルキル、または、置換シクロアルキルであり、
は、結合、C(R)(R)、O、または、Sであり、Rは、H、ハロゲン、アルキル、置換アルキル、シクロアルキル、または、置換シクロアルキルであり、
は、H、アミノ保護基、樹脂、アミノ酸、ポリペプチド、または、ポリヌクレオチドであり、
は、OH、エステル保護基、樹脂、アミノ酸、ポリペプチド、または、ポリヌクレオチドであり、
上記非天然アミノ酸は、塩の形態であってもよく、または、非天然アミノ酸のポリペプチド、ポリマー、多糖、またはポリヌクレオチドに組み込まれていてもよく、さらに翻訳後に任意に修飾されてもよい。)
また、式(XXXXXVIII)の構造を有するアミノ酸が含まれる。
【0437】
【化98】
【0438】
(式中、
Mは、
【0439】
【化99】
【0440】
であり、
(a)は、A基への結合を示す一方、(b)は、それぞれのカルボニル基への結合を示すか、RおよびRはH、ハロゲン、アルキル、置換アルキル、シクロアルキル、もしくは、置換シクロアルキルから独立して選択されるか、または、RおよびR、2つのR基、もしくは、2つのR基はシクロアルキルもしくはヘテロシクロアルキルを任意に形成し、
Rは、H、ハロゲン、アルキル、置換アルキル、シクロアルキル、または、置換シクロアルキルであり、
は、結合、C(R)(R)、O、または、Sであり、Rは、H、ハロゲン、アルキル、置換アルキル、シクロアルキル、または、置換シクロアルキルであり、
は、H、アミノ保護基、樹脂、アミノ酸、ポリペプチド、または、ポリヌクレオチドであり、
は、OH、エステル保護基、樹脂、アミノ酸、ポリペプチド、または、ポリヌクレオチドであり、
各Rは、H、ハロゲン、アルキル、置換アルキル、-N(R’)、-C(O)R’(ここで、kは、1、2、または3である)、-C(O)N(R’)、-OR’、および、-S(O)R’からなる群より独立して選択される(なお、各R’は、独立して、H、アルキル、または、置換アルキルである)。
【0441】
上記非天然アミノ酸は、塩の形態であってもよく、または、非天然アミノ酸のポリペプチド、ポリマー、多糖、またはポリヌクレオチドに組み込まれていてもよく、さらに翻訳後に任意に修飾されてもよい。)
また、式(XXXXXIX)の構造を有するアミノ酸が含まれる。
【0442】
【化100】
【0443】
(式中、
Rは、H、ハロゲン、アルキル、置換アルキル、シクロアルキル、または、置換シクロアルキルであり、
は、O、または、Sである。
【0444】
上記非天然アミノ酸は、塩の形態であってもよく、または、非天然アミノ酸のポリペプチド、ポリマー、多糖、またはポリヌクレオチドに組み込まれていてもよく、さらに翻訳後に任意に修飾されてもよい。)
また、式(XXXXXX)の構造を有するアミノ酸が含まれる。
【0445】
【化101】
【0446】
(式中、
Rは、H、ハロゲン、アルキル、置換アルキル、シクロアルキル、または、置換シクロアルキルである。)
また、式(XXXXXX)の構造を有する以下のアミノ酸が含まれる。
【0447】
【化102】
【0448】
上記非天然アミノ酸は、塩の形態であってもよく、または、非天然アミノ酸のポリペプチド、ポリマー、多糖、またはポリヌクレオチドに組み込まれていてもよく、さらに翻訳後に任意に修飾されてもよい。
【0449】
カルボニル官能基またはジカルボニル官能基は、穏やかな環境下の水性溶液においてヒドロキシルアミン含有試薬と選択的に反応され得、それにより対応するオキシム結合を形成する。このオキシム結合は生理学的な環境下において安定である。例えば、Jencks, W.
P., J. Am. Chem. Soc. 81, 475-481 (1959); Shao, J. and Tam, J. P., J. Am. Chem.
Soc. 117(14):3893-3899 (1995)を参照すればよい。さらに、カルボニル基またはジカルボニル基の特有の反応性は、別のアミノ酸側鎖の存在下における選択的な修飾を可能にする。例えば、Cornish, V. W., et al., J. Am. Chem. Soc. 118:8150-8151 (1996); Geoghegan, K. F. & Stroh, J. G., Bioconjug. Chem. 3:138-146 (1992); Mahal, L. K., et
al., Science 276:1125-1128 (1997)を参照すればよい。
【0450】
p-アセチル-(+/-)-フェニルアラニンおよびm-アセチル-(+/-)-フェニルアラニンの合成は、参照によって援用されるZhang, Z.et al, Biochemistry 42: 6735-6746 (2003)に記載されている。他のカルボニル含有アミノ酸またはジカルボニル含有アミノ酸は同様に調製され得る。
【0451】
いくつかの実施形態では、非天然アミノ酸を含んでいるポリペプチドは、化学的に修飾されて反応性のカルボニル官能基またはジカルボニル官能基を生成する。例えば、抱合反応に有用なアルデヒド官能基は、隣接しているアミノ基およびヒドロキシル基を有している官能基から生成され得る。生物学的に活性な分子がポリペプチドである場合、例えば、N末端のセリンまたはスレオニン(通常に存在し得るか、または化学的もしくは酵素的な消化を介して露出され得る)は、過ヨウ素酸塩を用いた穏やかな酸化切断条件においてアルデヒド官能基を生成するために使用され得る。例えば、Gaertner, et ah, Bioconjug. Chem. 3: 262-268 (1992) ;Geoghegan, K. & Stroh, J., Bioconjug. Chem. 3:138-146 (1992) ;Gaertner et al, J. Biol. Chem. 269:7224-7230 (1994)を参照すればよい。しかし、当該技術において公知の方法は、ペプチドまたはタンパク質のN末端におけるアミノ酸に制限される。
【0452】
さらに、一例として、隣接するヒドロキシル基およびアミノ基を有している非天然アミノ酸は、「マスクされた」アルデヒド官能基としてポリペプチドに組み込まれ得る。例えば、5-ヒドロキシリジンはε位のアミンと隣接するヒドロキシル基を有している。アルデヒドを生成する反応条件は、ポリペプチドにおける他の部位における酸化を回避するために、穏やかな環境下における過剰なモル濃度のナトリウムメタ過ヨウ素酸の添加を包含している。酸化反応のpHは典型的に約7.0である。通常の反応は、ポリペプチドの緩衝溶液に約1.5モル濃度の過剰なナトリウムメタ過ヨウ素酸を添加すること、次いで暗所において約10分間インキュベートすることを包含している。例えば、米国特許第6,423,685号を参照すればよい。
【0453】
(B.非天然アミノ酸の構造および合成:ジカルボニル基、ジカルボニル様基、マスクされたジカルボニル基、および、保護されたジカルボニル基)
求電子反応性基を有するアミノ酸は、種々の反応が可能であり、特に求核付加反応を介して分子を結合し得る。当該求電子反応性基としては、ジカルボニル基(ジケトン基、ケトアルデヒド基、ケト酸基、ケトエステル基、および、ケトチオエステル基が挙げられる)、カルボニル様基もしくはジカルボニル様基(ジカルボニル基と同様の反応性を有しており、ジカルボニル基と構造的に類似している)、マスクされたジカルボニル基(ジカルボニル基に直ちに変換され得る)、または保護されたジカルボニル基(脱保護されると、ジカルボニル基と同様の反応性を有する)が挙げられる。そのようなアミノ酸としては、式(XXXVII)の構造を有するアミノ酸が挙げられる。
【0454】
【化103】
【0455】
(式中、
Aは、任意であり、存在する場合は、低級アルキレン、置換低級アルキレン、低級シクロアルキレン、置換低級シクロアルキレン、低級アルケニレン、置換低級アルケニレン、アルキニレン、低級ヘテロアルキレン、置換ヘテロアルキレン、低級ヘテロシクロアルキレン、置換低級ヘテロシクロアルキレン、アリーレン、置換アリーレン、ヘテロアリーレン、置換ヘテロアリーレン、アルカリレン、置換アルカリレン、アラルキレン、または、置換アラルキレンであり、
Bは、任意であり、存在する場合は、一端においてジアミン含有部分と結合されるリンカーであり、上記リンカーは、低級アルキレン、置換低級アルキレン、低級アルケニレン、置換低級アルケニレン、低級ヘテロアルキレン、置換低級ヘテロアルキレン、-O-(アルキレン、または、置換アルキレン)-、-S-(アルキレン、または、置換アルキレン)-、-C(O)R”-、-S(O)(アルキレン、または、置換アルキレン)-(ここで、kは、1、2、または3である)、-C(O)-(アルキレン、または、置換アルキレン)-、-C(S)-(アルキレン、または、置換アルキレン)-、-NR”-(アルキレン、または、置換アルキレン)-、-CON(R”)-(アルキレン、または、置換アルキレン)-、CSN(R”)-(アルキレン、または、置換アルキレン)-、および、-N(R”)-CO-(アルキレン、または、置換アルキレン)-からなる群より選択され(なお、各R”は、独立して、H、アルキル、または、置換アルキルである)、
Kは、
【0456】
【化104】
【0457】
であり、
ここで、
は、結合、任意に置換された炭素数1~4のアルキレン、任意に置換された炭素数1~4のアルケニレン、または、任意に置換されたヘテロアルキルであり、
各任意の置換基は、低級アルキレン、置換低級アルキレン、低級シクロアルキレン、置換低級シクロアルキレン、低級アルケニレン、置換低級アルケニレン、アルキニレン、低級ヘテロアルキレン、置換ヘテロアルキレン、低級ヘテロシクロアルキレン、置換低級ヘテロシクロアルキレン、アリーレン、置換アリーレン、ヘテロアリーレン、置換ヘテロアリーレン、アルカリレン、置換アルカリレン、アラルキレン、または、置換アラルキレンより独立して選択され、
は、低級アルキレン、置換低級アルキレン、低級アルケニレン、置換低級アルケニレン、低級ヘテロアルキレン、置換低級ヘテロアルキレン、-O-、-O-(アルキレン、または、置換アルキレン)-、-S-、-S-(アルキレン、または、置換アルキレン)-、-S(O)-(ここで、kは、1、2、または3である)、-S(O)(アルキレン、または、置換アルキレン)-、-C(O)-、-NS(O)-、-OS(O)-、-C(O)-(アルキレン、または、置換アルキレン)-、-C(S)-、-C(S)-(アルキレン、または、置換アルキレン)-、-N(R’)-、-NR’-(アルキレン、または、置換アルキレン)-、-C(O)N(R’)-、-CON(R’)-(アルキレン、または、置換アルキレン)-、-CSN(R’)-、-CSN(R’)-(アルキレン、または、置換アルキレン)-、-N(R’)CO-(アルキレン、または、置換アルキレン)-、-N(R’)C(O)O-、-S(O)N(R’)-、-N(R’)C(O)N(R’)-、-N(R’)C(S)N(R’)-、-N(R’)S(O)N(R’)-、-N(R’)-N=、-C(R’)=N-、-C(R’)=N-N(R’)-、-C(R’)=N-N=、-C(R’)-N=N-、および、-C(R’)-N(R’)-N(R’)-からなる群より選択され(なお、各R’は、独立して、H、アルキル、または、置換アルキルである)、
は、
【0458】
【化105】
【0459】
であり、
ここで、
各Xは、-O-、-S-、-N(H)-、-N(R)-、-N(Ac)-、および、-N(OMe)-からなる群より独立して選択され、Xは、-OR、-OAc、-SR、-N(R)、-N(R)(Ac)、-N(R)(OMe)、または、Nであり(なお、各R’は、独立して、H、アルキル、または、置換アルキルである)、
Rは、H、ハロゲン、アルキル、置換アルキル、シクロアルキル、または、置換シクロアルキルであり、
は、H、アミノ保護基、樹脂、アミノ酸、ポリペプチド、または、ポリヌクレオチドであり、
は、OH、エステル保護基、樹脂、アミノ酸、ポリペプチド、または、ポリヌクレオチドであり、または、
-A-B-K-R基がともに、少なくとも1つのカルボニル基(ジカルボニル基を含む)、保護されたカルボニル基(保護されたジカルボニル基を含む)、または、マスクされたカルボニル基(マスクされたジカルボニル基を含む)を含有する二環性もしくは三環性のシクロアルキルもしくはヘテロシクロアルキルを形成し、または、
-K-R基がともに、少なくとも1つのカルボニル基(ジカルボニル基を含む)、保護されたカルボニル基(保護されたジカルボニル基を含む)、または、マスクされたカルボニル基(マスクされたジカルボニル基を含む)を含有する単環性もしくは二環性のシクロアルキルもしくはヘテロシクロアルキルを形成する。)
式(XXXVII)の構造を有するジカルボニルアミノ酸の非限定的な例としては、以下が挙げられる。
【0460】
【化106】

【0461】
式(XXXVII)の構造を有する以下のアミノ酸がさらに含まれる。
【0462】
【化107】
【0463】
上記非天然アミノ酸は、塩の形態であってもよく、または、非天然アミノ酸のポリペプチド、ポリマー、多糖、またはポリヌクレオチドに組み込まれていてもよく、さらに翻訳後に任意に修飾されてもよい。
【0464】
(C. 非天然アミノ酸の構造および合成:ケトアルキン基,ケトアルキン様基、マスクされたケトアルキン基、保護されたケトアルキン基(Groupk)、アルキン基、および、シクロアルキン基)
ジカルボニル様反応性を有する反応基を含有するアミノ酸は、求核付加反応を介して分子を結合し得る。このような求電子反応基としては、ケトアルキン基、ケトアルキン様基(ケトアルキン基と同様の反応性を有しており、ケトアルキン基と構造的に類似している)、マスクされたケトアルキン基(ケトアルキン基に直ちに変換され得る)、または保護されたケトアルキン基(脱保護されると、ケトアルキン基と同様の反応性を有する)が挙げられる。いくつかの実施形態において、末端アルキン、内部アルキンまたはシクロアルキンを有する反応基を含有するアミノ酸は、付加環化反応(例、1,3-双極性付加環化、アジド-アルキンヒュイゲン(Huisgen)付加環化、等)を介して分子を結合し得る。そのようなアミノ酸としては、化学式(XXXXXXI-A)または(XXXXXXI-B)の構造を有するアミノ酸が挙げられる。
【0465】
【化108】
【0466】
(式中、
Aは、任意であり、存在する場合は、低級アルキレン、置換低級アルキレン、低級シクロアルキレン、置換低級シクロアルキレン、低級アルケニレン、置換低級アルケニレン、アルキニレン、低級ヘテロアルキレン、置換ヘテロアルキレン、低級ヘテロシクロアルキレン、置換低級ヘテロシクロアルキレン、アリーレン、置換アリーレン、ヘテロアリーレン、置換ヘテロアリーレン、アルカリレン、置換アルカリレン、アラルキレン、または、置換アラルキレンであり、
Bは、任意であり、存在する場合は、一端がジアミン含有部分に結合されたリンカーであり、当該リンカーは、低級アルキレン、置換低級アルキレン、低級アルケニレン、置換低級アルケニレン、低級ヘテロアルキレン、置換低級ヘテロアルキレン、-O-(アルキレン、または、置換アルキレン)-、-S-(アルキレン、または、置換アルキレン)-、-C(O)R”-、-S(O)(アルキレン、または、置換アルキレン)-(ここで、kは、1、2、または3である)、-C(O)-(アルキレン、または、置換アルキレン)-、-C(S)-(アルキレン、または、置換アルキレン)-、-NR”-(アルキレン、または、置換アルキレン)-、-CON(R”)-(アルキレン、または、置換アルキレン)-、-CSN(R”)-(アルキレン、または、置換アルキレン)-、および、-N(R”)CO-(アルキレン、または、置換アルキレン)-からなる群より選択され(なお、各R”は、独立して、H、アルキル、または、置換アルキルである)、
Gは任意であり、存在する場合は、
【0467】
【化109】
【0468】
であり、
は、カルボニル保護基であり、当該カルボニル保護基としては、以下のものが挙げられるが、これに限定されず、
【0469】
【化110】
【0470】
(式中、各Xは、独立して、-O-、-S-、-N(H)-、-N(R)-、-N(Ac)-、および、-N(OMe)-からなる群より選択され、Xは、-OR、-OAc、-SR、-N(R)、-N(R)(Ac)、-N(R)(OMe)、または、Nであり、かつ、各R’は、独立して、H、アルキル、または、置換アルキルである)、
Rは、H、ハロゲン、アルキル、置換アルキル、シクロアルキル、または、置換シクロアルキルであり、
は、H、アミノ保護基、樹脂、アミノ酸、ポリペプチド、または、ポリヌクレオチドであり、
は、OH、エステル保護基、樹脂、アミノ酸、ポリペプチド、または、ポリヌクレオチドであり、
およびRのそれぞれは、独立して、H、ハロゲン、低級アルキル、もしくは置換低級アルキルであるか、または、RおよびR、もしくは、2つのR基が、シクロアルキル、もしくは、ヘテロシクロアルキルを任意に形成してもよく、
19は、独立して、炭素数1~6のアルキル、炭素数1~6のアルコキシ、エステル、エーテル、チオエーテル、アミノアルキル、ハロゲン、アルキルエステル、アリールエステル、アミド、アリールアミド、ハロゲン化アルキル、アルキルアミン、アルキルスルホン酸、アルキルニトロ、チオエステル、スルホニルエステル、ハロスルホニル、ニトリル、アルキルニトリル、および、ニトロからなる群より選択され、
qは、0、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、または、11である。)
(D. 非天然アミノ酸の構造および合成:ケトアミン基、ケトアミン様基、マスクされたケトアミン基、および、保護されたケトアミン基)
ジカルボニル様反応性を有する反応基を含有するアミノ酸は、求核付加反応を介して分子を結合し得る。このような反応基としては、ケトアミン基、ケトアミン様基(ケトアミン基と同様の反応性を有しており、ケトアミン基と構造的に類似している)、マスクされたケトアミン基(ケトアミン基に直ちに変換され得る)、または、保護されたケトアミン基(脱保護されると、ケトアミン基と同様の反応性を有する)が挙げられる。そのようなアミノ酸としては、化学式(XXXXXXII)の構造を有するアミノ酸が挙げられる。
【0471】
【化111】
【0472】
(式中、
Aは、任意であり、存在する場合は、低級アルキレン、置換低級アルキレン、低級シクロアルキレン、置換低級シクロアルキレン、低級アルケニレン、置換低級アルケニレン、アルキニレン、低級ヘテロアルキレン、置換ヘテロアルキレン、低級ヘテロシクロアルキレン、置換低級ヘテロシクロアルキレン、アリーレン、置換アリーレン、ヘテロアリーレン、置換ヘテロアリーレン、アルカリレン、置換アルカリレン、アラルキレン、または、置換アラルキレンであり、
Bは、任意であり、存在する場合は、一端がジアミン含有部分に結合されたリンカーであり、当該リンカーは、低級アルキレン、置換低級アルキレン、低級アルケニレン、置換低級アルケニレン、低級ヘテロアルキレン、置換低級ヘテロアルキレン、-O-(アルキレン、または、置換アルキレン)-、-S-(アルキレン、または、置換アルキレン)-、-C(O)R”-、-S(O)(アルキレン、または、置換アルキレン)-(ここで、kは、1、2、または3である)、-C(O)-(アルキレン、または、置換アルキレン)-、-C(S)-(アルキレン、または、置換アルキレン)-、-NR”-(アルキレン、または、置換アルキレン)-、-CON(R”)-(アルキレン、または、置換アルキレン)-、-CSN(R”)-(アルキレン、または、置換アルキレン)-、および、-N(R”)CO-(アルキレン、または、置換アルキレン)-からなる群より選択され(なお、各R”は、独立して、H、アルキル、または、置換アルキルである)、
Gは、
【0473】
【化112】
【0474】
であり、
は、任意に置換された炭素数1~4のアルキレン、任意に置換された炭素数1~4のアルケニレン、または、任意に置換されたヘテロアルキルであり、
は、カルボニル保護基であり、当該カルボニル保護基としては、以下のものが挙げられるが、これに限定されず、
【0475】
【化113】
【0476】
(式中、各Xは、独立して、-O-、-S-、-N(H)-、-N(R‘)-、-N(Ac)-、および、-N(OMe)-からなる群より選択され、Xは、-OR、-OAc、-SR’、-N(R’)、-N(R’)(Ac)、-N(R’)(OMe)、または、Nであり、かつ、各R’は、独立して、H、アルキル、または、置換アルキルである)、
Rは、H、ハロゲン、アルキル、置換アルキル、シクロアルキル、または、置換シクロアルキルであり、
は、H、アミノ保護基、樹脂、アミノ酸、ポリペプチド、または、ポリヌクレオチドであり、
は、OH、エステル保護基、樹脂、アミノ酸、ポリペプチド、または、ポリヌクレオチドであり、
およびRのそれぞれは、独立して、H、ハロゲン、低級アルキル、もしくは置換低級アルキルであるか、または、RおよびR、もしくは、2つのR基が、シクロアルキル、もしくは、ヘテロシクロアルキルを任意に形成してもよい。)
化学式(XXXXXXII)の構造を有するアミノ酸としては、化学式(XXXXXXIII)および化学式(XXXXXXIV)の構造を有するアミノ酸が挙げられる。
【0477】
【化114】
【0478】
(式中、各Rは、独立して、H、ハロゲン、アルキル、置換アルキル、-N(R’)、-C(O)R’(ここで、kは、1、2、または3である)、-C(O)N(R’)、-OR’、および、-S(O)R’からなる群より選択される(なお、各R’は、独立して、H、アルキル、または、置換アルキルである。))
(E. 非天然アミノ酸の構造および合成:ジアミン、ジアミン様、マスクされたジアミン、保護されたアミンおよびアジド)
求核反応基を有するアミノ酸は、他の分子との間の求電子付加反応を介して分子を結合する種々の反応を可能にする。当該求核反応基としては、ジアミン基(ヒドラジン基、アミジン基、イミン基、1,1-ジアミン基、1,2-ジアミン基、1,3-ジアミン基、および、1,4-ジアミン基が挙げられる)、ジアミン様基(ジアミン基と同様の反応性を有しており、ジアミン基と構造的に類似している)、マスクされたジアミン基(ジアミン基に直ちに変換され得る)、または保護されたジアミン基(脱保護されると、ジアミン基と同様の反応性を有する)が挙げられる。いくつかの実施形態において、アジドを有する反応基を含有するアミノ酸は、付加環化反応(例、1,3-双極性付加環化、アジド-アルキンヒュイゲン(Huisgen)付加環化、等)を介して分子を結合し得る。
【0479】
他の態様において、カルボニルで置換されたドラスタチン誘導体の誘導体化のためのヒドラジンで置換された分子の化学合成の方法が記載されている。ある実施形態において、当該ヒドラジンで置換された分子は、ドラスタチン結合誘導体であり得る。ある実施形態において、ヒドラジンで置換された分子の作製方法が記載される。この作製方法は、例えば、カルボニル含有非天然アミノ酸ポリペプチドの誘導体化に適しており、カルボニル含有非天然アミノ酸ポリペプチドとしては、ほんの一例として、ケトン含有非天然アミノ酸ポリペプチド、または、アルデヒド含有非天然アミノ酸ポリペプチドが挙げられる。さらなる、または、追加の実施形態において、当該非天然アミノ酸は、タンパク質のインビボにおける翻訳中に部位特異的に組み込まれる。さらなる、または、追加の実施形態において、当該ヒドラジンで置換されたドラスタチン誘導体は、部位特異的な形で窒素含有ヘテロ環誘導体化ポリペプチドのようなヘテロ環誘導体化ポリペプチドを形成するように、各カルボニル基の求核攻撃を介して、カルボニル含有非天然アミノ酸を部位特異的に誘導体化し得る。さらなる、または、追加の実施形態において、ヒドラジンで置換されたドラスタチン誘導体の作製方法により、多種多様な、部位特異的に誘導体化されたポリペプチドを手に入れることができる。さらなる、または、追加の実施形態において、ヒドラジン官能化ポリエチレングリコール(PEG)が結合されたドラスタチン誘導体を合成する方法が記載される。
【0480】
そのようなアミノ酸としては、化学式(XXXVII-A)または(XXXVII-B)の構造を有するアミノ酸が挙げられる。
【0481】
【化115】
【0482】
(式中、
Aは、任意であり、存在する場合は、低級アルキレン、置換低級アルキレン、低級シクロアルキレン、置換低級シクロアルキレン、低級アルケニレン、置換低級アルケニレン、アルキニレン、低級ヘテロアルキレン、置換ヘテロアルキレン、低級ヘテロシクロアルキレン、置換低級ヘテロシクロアルキレン、アリーレン、置換アリーレン、ヘテロアリーレン、置換ヘテロアリーレン、アルカリレン、置換アルカリレン、アラルキレン、または、置換アラルキレンであり、
Bは、任意であり、存在する場合は、一端がジアミン含有部分に結合されたリンカーであり、当該リンカーは、低級アルキレン、置換低級アルキレン、低級アルケニレン、置換低級アルケニレン、低級ヘテロアルキレン、置換低級ヘテロアルキレン、-O-(アルキレン、または、置換アルキレン)-、-S-(アルキレン、または、置換アルキレン)-、-C(O)R”-、-C(O)R”-、-S(O)(アルキレン、または、置換アルキレン)-(ここで、kは、1、2、または3である)、-C(O)-(アルキレン、または、置換アルキレン)-、-C(S)-(アルキレン、または、置換アルキレン)-、-NR”-(アルキレン、または、置換アルキレン)-、-CON(R”)-(アルキレン、または、置換アルキレン)-、-CSN(R”)-(アルキレン、または、置換アルキレン)-、および、-N(R”)CO-(アルキレン、または、置換アルキレン)-からなる群より選択され(なお、各R”は、独立して、H、アルキル、または、置換アルキルである)、
Kは、
【0483】
【化116】
【0484】
(式中、
およびRは、独立して、H、アルキル、置換アルキル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、または、アミン保護基から選択され、
は、結合、任意に置換された炭素数1~4のアルキレン、任意に置換された炭素数1~4のアルケニレン、または、任意に置換されたヘテロアルキルであり、
は、任意に置換された炭素数1~4のアルキレン、任意に置換された炭素数1~4のアルケニレン、任意に置換されたヘテロアルキル、任意に置換されたアリール、または、任意に置換されたヘテロアリールであり、
ここで、各任意の置換基は、独立して、低級アルキル、置換低級アルキル、低級シクロアルキル、置換低級シクロアルキル、低級アルケニル、置換低級アルケニル、アルキニル、低級ヘテロアルキル、置換ヘテロアルキル、低級ヘテロシクロアルキル、置換低級ヘテロシクロアルキル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、アルカリル、置換アルカリル、アラルキル、または、置換アラルキルから選択される)、
Rは、H、アルキル、置換アルキル、シクロアルキル、または、置換シクロアルキルであり、
は、H、アミノ保護基、樹脂、アミノ酸、ポリペプチド、または、ポリヌクレオチドであり、
は、OH、エステル保護基、樹脂、アミノ酸、ポリペプチド、または、ポリヌクレオチドであり、
およびRのそれぞれは、独立して、H、ハロゲン、低級アルキル、もしくは置換低級アルキルであるか、または、RおよびR、もしくは、2つのR基が、シクロアルキル、もしくは、ヘテロシクロアルキルを任意に形成してもよく、または、
-A-B-K-R基がともに、少なくとも1つのジアミン基、保護されたジアミン基、または、マスクされたジアミン基を有する二環性もしくは三環性シクロアルキルまたはヘテロシクロアルキルを形成し(ここで、-A-B-K-R上の少なくとも1つのアミン基は、任意に保護されたアミンである)、または、
-B-K-R基がともに、少なくとも1つのジアミン基、保護されたジアミン基、または、マスクされたジアミン基を有する二環性もしくは三環性シクロアルキルまたはシクロアリール、または、ヘテロシクロアルキルを形成し、または、
-K-R基がともに、少なくとも1つのジアミン基、保護されたジアミン基、または、マスクされたジアミン基を有する単環性もしくは二環性シクロアルキルまたはヘテロシクロアルキルを形成する。)
である。
【0485】
ある態様において、以下の構造1または構造2を有する化合物がある。
【0486】
【化117】
【0487】
(式中、
Aは、任意であり、存在する場合は、低級アルキレン、置換低級アルキレン、低級シクロアルキレン、置換低級シクロアルキレン、低級アルケニレン、置換低級アルケニレン、アルキニレン、低級ヘテロアルキレン、置換ヘテロアルキレン、低級ヘテロシクロアルキレン、置換低級ヘテロシクロアルキレン、アリーレン、置換アリーレン、ヘテロアリーレン、置換ヘテロアリーレン、アルカリレン、置換アルカリレン、アラルキレン、または、置換アラルキレンであり、
Bは、任意であり、存在する場合は、一端がジアミン含有部分に結合されたリンカーであり、当該リンカーは、低級アルキレン、置換低級アルキレン、低級アルケニレン、置換低級アルケニレン、低級ヘテロアルキレン、置換低級ヘテロアルキレン、-O-(アルキレン、または、置換アルキレン)-、-S-(アルキレン、または、置換アルキレン)-、-C(O)R”-、-S(O)(アルキレン、または、置換アルキレン)-(ここで、kは、1、2、または3である)、-C(O)-(アルキレン、または、置換アルキレン)-、-C(S)-(アルキレン、または、置換アルキレン)-、-NR”-(アルキレン、または、置換アルキレン)-、-CON(R”)-(アルキレン、または、置換アルキレン)-、-CSN(R”)-(アルキレン、または、置換アルキレン)-、および、-N(R”)CO-(アルキレン、または、置換アルキレン)-からなる群より選択され(なお、各R”は、独立して、H、アルキル、または、置換アルキルである)、
は、結合、または、CHであり、TはCHであり、
ここで、各任意の置換基は、独立して、低級アルキル、置換低級アルキル、低級シクロアルキル、置換低級シクロアルキル、低級アルケニル、置換低級アルケニル、アルキニル、低級ヘテロアルキル、置換ヘテロアルキル、低級ヘテロシクロアルキル、置換低級ヘテロシクロアルキル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、アルカリル、置換アルカリル、アラルキル、または、置換アラルキルから選択され、
は、H、アミノ保護基、樹脂、アミノ酸、ポリペプチド、または、ポリヌクレオチドであり、
は、OH、エステル保護基、樹脂、アミノ酸、ポリペプチド、または、ポリヌクレオチドであり、
およびRのそれぞれは、独立して、H、ハロゲン、低級アルキル、もしくは置換低級アルキルであるか、または、RおよびR、もしくは、2つのR基が、シクロアルキル、もしくは、ヘテロシクロアルキルを任意に形成してもよく、または、
-A-B-ジアミン含有部分がともに、少なくとも1つのジアミン基、保護されたジアミン基、または、マスクされたジアミン基を有する二環性シクロアルキルもしくはヘテロシクロアルキルを形成し(ここで、-A-B-ジアミン含有部分の少なくとも1つのアミン基は、任意に保護されたアミンであるか、または、活性代謝産物、塩、もしくは、それらの薬学的に受容可能なプロドラッグもしくは溶媒和物である)、または、
-B-ジアミン含有部分からなる基がともに、少なくとも1つのジアミン基、保護されたジアミン基、または、マスクされたジアミン基を有する二環性もしくは三環性シクロアルキルまたはシクロアリールまたはヘテロシクロアルキルを形成する。)
化学式(XXXVII)の構造を有するアミノ酸の非限定的な例として、以下のものが挙げられる。
【0488】
【化118】
【0489】
上記の非天然アミノ酸は、塩の形態であってもよく、または、非天然アミノ酸ポリペプチド、ポリマー、多糖、もしくは、ポリヌクレオチドに組み込まれ、かつ/または、任意に翻訳後修飾されていてもよい。
【0490】
ある実施形態において、化学式(XXXVII)の化合物は、弱酸性の条件下で、少なくとも1ヶ月間、水溶液中で安定している。ある実施形態において、化学式(XXXVII)の化合物は、弱酸性の条件下で、少なくとも2週間安定している。ある実施形態において、化学式(XXXVII)の化合物は、弱酸性の条件下で、少なくとも5日間安定している。ある実施形態において、上記の酸性の条件は、pHがおよそ2から8である。
【0491】
化学式(XXXVII)の化合物のある実施形態において、Bは、低級アルキレン、置換低級アルキレン、O-(アルキレン、または、置換アルキレン)-、C(R’)=NN(R’)-、-N(R’)CO-、C(O)-、-C(R’)=N-、C(O)-(アルキレン、または、置換アルキレン)-、CON(R’)(アルキレン、または、置換アルキレン)-、-S(アルキレン、または、置換アルキレン)-、-S(O)(アルキレン、または、置換アルキレン)-、または、-S(O)(アルキレン、または、置換アルキレン)-である。化学式(XXXVII)の化合物のある実施形態において、Bは、-O(CH)-、-CH=N-、CH=NNH-、-NHCH-、-NHCO-、C(O)-、C(O)(CH)-、CONH(CH)-、-SCH-、-S(=O)CH-、または、-S(O)CH-である。化学式(XXXVII)の化合物のある実施形態において、Rは、炭素数1~6のアルキルまたはシクロアルキルである。化学式(XXXVII)の化合物のある実施形態において、Rは、-CH、-CH(CH3)、または、シクロプロピルである。化学式(XXXVII)の化合物のある実施形態において、Rは、H、tert-ブチルオキシカルボニル(t-Boc)、9-フルオレニルメトキシカルボニル(Fmoc)、N-アセチル、テトラフルオロアセチル(TFA)、または、ベンジルオキシカルボニル(Cbz)である。化学式(XXXVII)の化合物のある実施形態において、Rは、樹脂、アミノ酸、ポリペプチド、または、ポリヌクレオチドである。化学式(XXXVII)の化合物のある実施形態において、Rは、抗体、抗体断片、または、モノクローナル抗体である。化学式(XXXVII)の化合物のある実施形態において、Rは、OH、O-メチル、O-エチル、または、O-t-ブチルである。化学式(XXXVII)の化合物のある実施形態において、Rは、樹脂、少なくとも1つのアミノ酸、ポリペプチド、または、ポリヌクレオチドである。化学式(XXXVII)の化合物のある実施形態において、Rは、抗体、抗体断片、または、モノクローナル抗体である。
【0492】
化学式(XXXVII)の構造を有するアミノ酸の非限定的な例として、以下のものも挙げられる。
【0493】
【化119】
【0494】
化学式(XXXVII)の構造を有する保護されたアミノ酸の非限定的な例として、以下のものが挙げられる。
【0495】
【化120】
【0496】
(F.非天然アミノ酸の構造および合成:芳香族アミン)
求核反応基を有する非天然アミノ酸は、様々な反応を介して分子を結合する種々の反応を可能にする。種々の反応としては、アルデヒドを含有するドラスタチンリンカー誘導体を用いた還元的アルキル化反応が挙げられるが、これに限定はされない。そのような求核反応基を有する非天然アミノ酸としては、ほんの一例として、芳香族アミン基(第2級および第3級アミン基が挙げられる)、マスクされた芳香族アミン基(芳香族アミン基に直ちに変換され得る)、または、保護された芳香族アミン基(脱保護されると、芳香族アミン基と同様の反応性を有する)が挙げられる。そのような非天然アミノ酸含有芳香族アミンとして、化学式(XXXXXXV)の構造を有するアミノ酸が挙げられる。
【0497】
【化121】
【0498】
(式中、
【0499】
【化122】
【0500】
は、単環性アリール環、二環性アリール環、多環性アリール環、単環性ヘテロアリール環、二環性ヘテロアリール環、および、多環性ヘテロアリール環からなる群より選択され、
Aは、独立して、CR、または、Nであり、
Bは、独立して、CR、N、O、または、Sであり、
各Rは、独立して、H、ハロゲン、アルキル、-NO、-CN、置換アルキル、-N(R’)、-C(O)R’、-C(O)N(R’)、-OR’、および、-S(O)R’からなる群より選択され(ここで、kは、1、2、または3である)、nは、0、1、2、3、4、5、または6であり、
は、H、アミノ保護基、樹脂、少なくとも1つのアミノ酸、ポリペプチド、または、ポリヌクレオチドであり、
は、OH、エステル保護基、樹脂、少なくとも1つのアミノ酸、ポリペプチド、または、ポリヌクレオチドであり、
およびRのそれぞれは、独立して、H、ハロゲン、低級アルキル、もしくは置換低級アルキルであるか、または、RおよびR、もしくは、2つのR基が、シクロアルキル、もしくは、ヘテロシクロアルキルを任意に形成していてもよく、
Mは、H、もしくは、-CHであり、または、M-N-C(R)部分が、4から7員環構造を形成してもよく、
は、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、アルコキシ、置換アルコキシ、アルキルアルコキシ、置換アルキルアルコキシ、ポリアルキレンオキシド、置換ポリアルキレンオキシド、シクロアルキル、置換シクロアルキル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、ヘテロ環、置換ヘテロ環、アルカリル、置換アルカリル、アラルキル、置換アラルキル、-C(O)R”、-C(O)OR”、-C(O)N(R”)、-C(O)NHCH(R”)、-(アルキレン、または、置換アルキレン)-N(R”)、-(アルケニレン、または、置換アルケニレン)-N(R”)、-(アルキレン、または、置換アルキレン)-(アリール、または、置換アリール)、-(アルケニレン、または、置換アルケニレン)-(アリール、または、置換アリール)、-(アルキレン、または、置換アルキレン)-ON(R”)、-(アルキレン、または、置換アルキレン)-C(O)SR”、-(アルキレン、または、置換アルキレン)-S-S-(アリール、または、置換アリール)であり(ここで、各R”は、独立して、水素、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルコキシ、置換アルコキシ、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、ヘテロ環、置換ヘテロ環、アルカリル、置換アルカリル、アラルキル、置換アラルキル、または、-C(O)OR’である)、または、
2つのR基が、シクロアルキル、もしくは、ヘテロシクロアルキルを任意に形成してもよく、または、
と任意のRとが、シクロアルキル、もしくは、ヘテロシクロアルキルを任意に形成してもよく、
各R’は、独立して、H、アルキル、または、置換アルキルである。)また、上記の非天然アミノ酸は、塩の形態であってもよく、または、非天然アミノ酸ポリペプチド、ポリマー、多糖、または、ポリヌクレオチドに組み込まれ、任意に還元的にアルキル化されていてもよい。
(本明細書におけるすべての実施例において示される)以下の構造
【0501】
【化123】
【0502】
は、「A」、「B」、「NH-M」および「R」の相対的な向きを示していないが、当該構造のこれらの4つ構成は、本明細書における実施例に示されるように、(当該構造の他の構成とともに)任意の化学的に適切な態様で配向され得る。
【0503】
化学式(A)の構造を有する芳香族アミン部分を含有する非天然アミノ酸としては、以下の構造を有する非天然アミノ酸が挙げられる。
【0504】
【化124】
【0505】
(式中、各A’は、独立して、CR、N、または、
【0506】
【化125】
【0507】
から選択され、2つのA’までが、
【0508】
【化126】
【0509】
であり、残りのA’がCR、または、Nから選択されていてもよい。)
また、上記の非天然アミノ酸は、塩の形態であってもよく、または、非天然アミノ酸ポリペプチド、ポリマー、多糖、または、ポリヌクレオチドに組み込まれ、任意に還元的にアルキル化されていてもよい。
【0510】
化学式(XXXXXXV)の構造を有する芳香族アミン部分を含有する非天然アミノ酸の非限定的な例として、化学式(XXXXXXVI)、および、化学式(XXXXXXVII)の構造を有する非天然アミノ酸が挙げられる。
【0511】
【化127】
【0512】
(式中、Gは、アミン保護基であり、以下のものが挙げられるが、以下のものに限定されない。)
【0513】
【化128】
【0514】
上記の非天然アミノ酸は、塩の形態であってもよく、または、非天然アミノ酸ポリペプチド、ポリマー、多糖、または、ポリヌクレオチドに組み込まれ、任意に還元的にアルキル化されていてもよい。
【0515】
芳香族アミン部分を含有する非天然アミノ酸は、以下の構造を有する。
【0516】
【化129】
【0517】
(式中、各Rは、独立して、H、ハロゲン、アルキル、-NO、-CN、置換アルキル、-N(R’)、-C(O)R’、-C(O)N(R’)、-OR’、および-S(O)R’(ここで、kは、1、2、または3である)からなる群より選択され、
Mは、H、もしくは、-CHであり、または、M-N-C(R)部分が、4から7員環構造を形成してもよく、
は、H、アミノ保護基、樹脂、アミノ酸、ポリペプチド、または、ポリヌクレオチドであり、
は、OH、エステル保護基、樹脂、アミノ酸、ポリペプチド、または、ポリヌクレオチドであり、
は、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、アルコキシ、置換アルコキシ、アルキルアルコキシ、置換アルキルアルコキシ、ポリアルキレンオキシド、置換ポリアルキレンオキシド、シクロアルキル、置換シクロアルキル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、ヘテロ環、置換ヘテロ環、アルカリル、置換アルカリル、アラルキル、置換アラルキル、-C(O)R”、-C(O)OR”、-C(O)N(R”)、-C(O)NHCH(R”)、-(アルキレン、または、置換アルキレン)-N(R”)、-(アルケニレン、または、置換アルケニレン)-N(R”)、-(アルキレン、または、置換アルキレン)-(アリール、または、置換アリール)、-(アルケニレン、または、置換アルケニレン)-(アリール、または、置換アリール)、-(アルキレン、または、置換アルキレン)-ON(R”)、-(アルキレン、または、置換アルキレン)-C(O)SR”、-(アルキレン、または、置換アルキレン)-S-S-(アリール、または、置換アリール)であり(ここで、各R”は、独立して、水素、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルコキシ、置換アルコキシ、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、ヘテロ環、置換ヘテロ環、アルカリル、置換アルカリル、アラルキル、置換アラルキル、または、-C(O)OR’である)、または、
と任意のRとが、シクロアルキル、もしくは、ヘテロシクロアルキルを任意に形成してもよく、
各R’は、独立して、H、アルキル、または、置換アルキルである。)
また、上記の非天然アミノ酸は、塩の形態であってもよく、または、非天然アミノ酸ポリペプチド、ポリマー、多糖、または、ポリヌクレオチドに組み込まれていてもよい。
【0518】
化学式(XXXXXXV)の上記の非天然アミノ酸は、非天然アミノ酸の芳香族部分の保護された、または、マスクされたアミン部分の還元によって形成されてもよい。そのような保護された、または、マスクされたアミン部分としては、イミン、ヒドラジン、ニトロ、または、アジド置換基が挙げられるが、これ限定されない。上記の保護された、または、マスクされたアミン部分を還元するために用いられる還元剤には、TCEP、NaS、Na、LiAlH、NaBH、または、NaBCNHが挙げられるが、これらに限定されない。
【0519】
(V.非天然アミノ酸結合ドラスタチン誘導体)
本明細書に記載される他の態様は、少なくとも1つの上記のドラスタチンリンカー誘導体を非天然アミノ酸に組み込む方法、戦略、技術である。当該態様には、少なくとも1つの上記の非天然アミノ酸を含有する上記のドラスタチンリンカー誘導体を製造、精製、特徴づけ、使用する方法が含まれる。さらに、当該態様には、少なくとも1つの非天然アミノ酸を含有するドラスタチンリンカー誘導体を、少なくとも部分的には製造するために用いることができる(DNAおよびRNAを含む)オリゴヌクレオチドの組成物、および、当該オリゴヌクレオチドを製造、精製、特徴づけ、使用する方法が含まれる。さらに、当該態様には、少なくとも1つの非天然アミノ酸を含有するドラスタチンリンカー誘導体を、少なくとも部分的に製造するために用いることができる上記のオリゴヌクレオチドを発現することができる細胞の組成物、および、当該細胞を製造、精製、特徴づけ、使用する方法が含まれる。
【0520】
したがって、カルボニル、ジカルボニル、アルキン、シクロアルキン、アジド、オキシム、または、ヒドロキシルアミン基を有する少なくとも1つの非天然アミノ酸、または、修飾された非天然アミノ酸を有するドラスタチンリンカー誘導体が、本明細書において、提供され、記載される。ある実施形態において、カルボニル、ジカルボニル、アルキン、シクロアルキン、アジド、オキシム、または、ヒドロキシルアミン基を有する少なくとも1つの非天然アミノ酸、または、修飾された非天然アミノ酸を有するドラスタチンリンカー誘導体は、ポリペプチド上のある位置における、少なくとも1つの翻訳後修飾を含む。いくつかの実施形態において、翻訳時修飾、または、翻訳後修飾は、細胞性機構(例、グリコシル化、アセチル化、アシル化、脂肪修飾、パルミトイル化、パルミチン酸付加、リン酸化、糖脂質結合修飾、等)を介して発生する。多くの場合、上記の細胞性機構に基づく翻訳時修飾、または、翻訳後修飾は、ポリペプチド上の天然に発生するアミノ酸部位に発生するが、ある実施形態において、上記細胞性機構に基づく翻訳時修飾、または、翻訳後修飾は、ポリペプチド上の非天然アミノ酸部位に発生する。
【0521】
別の実施形態において、上記翻訳後修飾には、細胞性機構は利用されないが、代わりに、第1の反応基(ケトン、アルデヒド、アセタール、ヘミアセタール、アルキン、シクロアルキン、アジド、オキシム、または、ヒドロキシルアミン官能基を含有する非天然アミノ酸が挙げられるが、これらに限定されない)を有する少なくとも1つの非天然アミノ酸に対して、第2の反応基を有する分子(ポリマー、水溶性ポリマー、ポリエチレングリコールの誘導体、第2のタンパク質またはポリペプチドまたはポリペプチド類似物質、抗体または抗体断片、および、これらの任意の組み合わせ)を、本明細書中に記載の化学的手順、または、上記特定の反応基に適切なものを利用して結合することにより、代わりに、官能性が与えられる。ある実施形態において、上記翻訳時修飾、または、翻訳後修飾は、真核細胞または非真核細胞において、インビボでなされる。ある実施形態において、上記翻訳後修飾は、細胞性機構を利用せずに、インビボでなされる。また、当該態様において、少なくとも1つの上記の翻訳修飾された、または、翻訳後修飾された非天然アミノ酸を含有する上記のドラスタチンリンカー誘導体を製造、精製、特徴づけ、使用する方法が含まれる。
【0522】
さらに、本明細書に記載された上記方法、組成物、戦略、および、技術の範囲には、上術の翻訳後修飾のうちの任意のものを生じるために、ポリペプチドの一部である(カルボニルもしくはジカルボニル基、オキシム基、アルキン、シクロアルキン、アジド、ヒドロキシルアミン基、または、それらのマスクされた、もしくは、保護された形態を含有する)ドラスタチンリンカー誘導体と反応し得る試薬も含まれる。ある実施形態において、結果として得られる翻訳後修飾されたドラスタチンリンカー誘導体は、少なくとも1つのオキシム基を含む。そして、結果として得られる修飾されたオキシム含有ドラスタチンリンカー誘導体は、その後に修飾反応してもよい。また、当該態様において、上記のドラスタチンリンカー誘導体の任意の上記の翻訳後修飾が可能な上記の試薬を製造、精製、特徴づけ、使用する方法も含まれる。
【0523】
ある実施形態において、上記ポリペプチドまたは非天然アミノ酸結合ドラスタチン誘導体は、1つの宿主細胞によって、インビボでなされた少なくとも1つの翻訳時修飾、または、翻訳後修飾を含み、当該翻訳後修飾は、通常、別種の宿主細胞によってはなされない。ある実施形態において、上記ポリペプチドは、真核細胞により、インビボでなされた少なくとも1つの翻訳時修飾、または、翻訳後修飾を含み、当該翻訳時修飾、または、翻訳後修飾は、通常、非真核細胞によってはなされない。翻訳時修飾、または、翻訳後修飾の例としては、グリコシル化、アセチル化、アシル化、脂肪修飾、パルミトイル化、パルミチン酸付加、リン酸化、糖脂質結合修飾、などが挙げられるが、これらに限定されない。ある実施形態において、上記翻訳時修飾、または、翻訳後修飾は、GlcNAc-アスパラギン酸結合(オリゴ糖が(GlcNAc-Man)-Man-GlcNAc-GlcNAc、などを有する場合を含むが、これに限定されない)による、アスパラギン酸に対するオリゴ糖の結合を含む。別の実施形態において、上記翻訳時修飾、または、翻訳後修飾は、GalNAc-セリン、GalNAc-スレオニン、GlcNAc-セリンまたはGlcNAc-スレオニン結合による、セリンまたはスレオニンに対するオリゴ糖(Gal-GalNAc、Gal-GlcNAc、などが挙げられるが、これらに限定されない)の結合を含む。ある実施形態において、タンパク質、または、ポリペプチドは、分泌配列もしくは局在化配列、エピトープタグ、FLAGタグ、ポリヒスチジンタグ、および/または、GST融合などを含み得る。さらに、当該態様において、少なくとも1つの上記翻訳時修飾、または、翻訳後修飾を含有する上記ポリペプチドを製造、精製、特徴づけ、使用する方法が含まれる。別の実施形態において、グリコシル化された非天然アミノ酸ポリペプチドが、非グリコシル化された形態で製造される。上記のグリコシル化された非天然アミノ酸の非グリコシル化された形態は、以下の工程、または、以下の工程の任意の組み合わせを含む方法により、製造されてもよい:分離された、または、実質的に精製された、もしくは、非精製の、グリコシル化された非天然アミノ酸ポリペプチドからのオリゴ糖基の化学的または酵素的除去;上記非天然アミノ酸ポリペプチドをグリコシル化しない宿主(そのようは宿主としては、上記のポリペプチドをグリコシル化しないように改変された、または、変異した原核生物または真核生物が挙げられる)における非天然アミノ酸の産出;または、上記非天然アミノ酸ポリペプチドが、通常、上記のポリペプチドをグリコシル化する真核生物により産出されるポリペプチド細胞培養基へのグリコシル化阻害物質の導入。さらに、本明細書において、通常グリコシル化された非天然アミノ酸ポリペプチドの上記の非グリコシル化された形態が記載される(通常グリコシル化された、により、天然に発生するポリペプチドがグリコシル化された状態で産出される場合に、グリコシル化されているであろうポリペプチドを意味する)。当然、通常グリコシル化された非天然アミノ酸ポリペプチド(または、実際に本明細書に記載された任意のポリペプチド)の上記非グリコシル化された形態は、非精製の形態、実質的に精製された形態、または、分離された形態であってもよい。
【0524】
ある実施形態において、上記非天然アミノ酸ポリペプチドは、反応促進剤の存在下でなされる1つの翻訳後修飾を含み、当該翻訳後修飾は、化学量論的、化学量論様、または、ほぼ化学量論的である。別の実施形態において、上記ポリペプチドを、反応促進剤の存在下で、化学式(XIX)の試薬に接触させる。別の実施形態において、上記反応促進剤は、以下のものからなる群より選択される。
【0525】
【化130】
【0526】
(A.非天然アミノ酸結合ドラスタチン誘導体の化学合成:オキシムを含有した結合ドラスタチン誘導体)
オキシム基を含有する 非天然アミノ酸ドラスタチン結合誘導体は、ある反応性カルボニル基、または、ジカルボニル基(ケトン、アルデヒド、または、類似した反応性を有する他の基が挙げられるが、これらに限定されない)を含有する様々な試薬を用いた反応を可能にし、新しいオキシム基を有する新しい非天然アミノ酸を形成し得る。このようなオキシム交換反応は、ドラスタチン結合誘導体のさらなる官能化を可能にする。さらに、オキシム基を含有する元のドラスタチン結合誘導体は、オキシム結合がアミノ酸をポリペプチドに組み込むために必要な条件下で安定している限り(例、本明細書に記載のインビボ、インビトロ、化学合成方法)、その能力において有用であろう。
【0527】
したがって、本明細書に記載されるある実施形態において、オキシム基、オキシム様基(オキシム基と同様の反応性を有しており、オキシム基と構造的に類似している)、マスクされたオキシム基(オキシム基に直ちに変換され得る)、または、保護されたオキシム基(脱保護されると、オキシム基と同様の反応性を有する)を有する側鎖を有する非天然アミノ酸ドラスタチン結合誘導体がある。
【0528】
そのような非天然アミノ酸ドラスタチン結合誘導体としては、化学式(VIII)または(IX)の構造を有するドラスタチン結合誘導体が挙げられる。
【0529】
【化131】
【0530】
(式中、
Aは、任意であり、存在する場合は、低級アルキレン、置換低級アルキレン、低級シクロアルキレン、置換低級シクロアルキレン、低級アルケニレン、置換低級アルケニレン、アルキニレン、低級ヘテロアルキレン、置換ヘテロアルキレン、低級ヘテロシクロアルキレン、置換低級ヘテロシクロアルキレン、アリーレン、置換アリーレン、ヘテロアリーレン、置換ヘテロアリーレン、アルカリレン、置換アルカリレン、アラルキレン、または、置換アラルキレンであり、
Bは、任意であり、存在する場合は、低級アルキレン、置換低級アルキレン、低級アルケニレン、置換低級アルケニレン、低級ヘテロアルキレン、置換低級ヘテロアルキレン、-O-、-O-(アルキレン、または、置換アルキレン)-、-S-、-S-(アルキレン、または、置換アルキレン)-、-S(O)-(ここで、kは、1、2、または3である)、-S(O)(アルキレン、または、置換アルキレン)-、-C(O)-、-C(O)-(アルキレン、または、置換アルキレン)-、-C(S)-、-C(S)-(アルキレン、または、置換アルキレン)-、-N(R’)-、-NR’-(アルキレン、または、置換アルキレン)-、C(O)N(R’)-、-CON(R’)-(アルキレン、または、置換アルキレン)-、-CSN(R’)-、-CSN(R’)-(アルキレン、または、置換アルキレン)-、-N(R’)CO-(アルキレン、または、置換アルキレン)-、-N(R’)C(O)O-、-S(O)N(R’)-、-N(R’)C(O)N(R’)-、-N(R’)C(S)N(R’)-、-N(R’)S(O)N(R’)-、-N(R’)-N=、-C(R’)=N-、-C(R’)=N-N(R’)-、-C(R’)=N-N=、-C(R’)-N=N-、および-C(R’)N(R’)-N(R’)-からなる群より選択されるリンカーであり(なお、各R’は、独立して、H、アルキル、または、置換アルキルである)、
Rは、H、アルキル、置換アルキル、シクロアルキル、または、置換シクロアルキルであり、
は、H、アミノ保護基、樹脂、少なくとも1つのアミノ酸、ポリペプチド、または、ポリヌクレオチドであり、
は、OH、エステル保護基、樹脂、少なくとも1つのアミノ酸、ポリペプチド、または、ポリヌクレオチドであり、
およびRは、それぞれ独立して、H、ハロゲン、低級アルキル、もしくは置換低級アルキルであるか、または、RおよびR、もしくは、2つのR基が、シクロアルキル、もしくは、ヘテロシクロアルキルを任意に形成してもよく、
Zは、以下の構造を有し、
【0531】
【化132】
【0532】
は、H、COR、炭素数1~6のアルキル、または、チアゾールであり、
は、OHであり、
は、OH、または、Hであり、
Arは、フェニル、または、ピリジンであり、
は、炭素数1~6のアルキル、または、水素であり、
Lは、アルキレン-、-アルキレン-C(O)-、-(アルキレン-O)-アルキレン-、-(アルキレン-O)-アルキレン-C(O)-、-(アルキレン-O)-(CHn’-NHC(O)-(CHn’’-C(Me)-S-S-(CHn’’’-NHC(O)-(アルキレン-O)n’’’’-アルキレン、-(アルキレン-O)-アルキレン-W-、-アルキレン-C(O)-W-、-(アルキレン-O)-アルキレン-U-アルキレン-C(O)-、および、-(アルキレン-O)-アルキレン-U-アルキレンからなる群より選択されるリンカーであり、
Wは、以下の構造を有し、
【0533】
【化133】
【0534】
Uは、以下の構造を有し、
【0535】
【化134】
【0536】
n、n’、n’’、n’’’、および、n’’’’は、それぞれ独立して、1以上の整数であり、または、
活性代謝産物もしくは活性薬学的に受容可能なプロドラッグ、または、その溶媒和物である。
【0537】
化学式(VIII)および(IX)の化合物のある実施形態において、Rは、チアゾールである。化学式(VIII)および(IX)の化合物のある実施形態において、Rは、Hである。化学式(VIII)および(IX)の化合物のある実施形態において、Arは、フェニルである。化学式(VIII)および(IX)の化合物のある実施形態において、Rは、メチルである。化学式(VIII)および(IX)の化合物のある実施形態において、nは、0~20の整数である。化学式(VIII)および(IX)の化合物のある実施形態において、nは、0~10の整数である。化学式(VIII)および(IX)の化合物のある実施形態において、nは、0~5の整数である。
【0538】
化学式(VIII)および(IX)の化合物のある実施形態において、Rは、チアゾールである。化学式(VIII)および(IX)の化合物のある実施形態において、Rは、水素である。化学式(VIII)および(IX)の化合物のある実施形態において、Rは、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、ペンチル、または、ヘキシルである。
【0539】
化学式(VIII)および(IX)の化合物のある実施形態において、Rは、-NH-(アルキレン-O)-NHであり、前記アルキレンは、-CH-、-CHCH-、-CHCHCH-、-CHCHCHCH-、-CHCHCHCHCH-、-CHCHCHCHCHCH-、-CHCHCHCHCHCHCH-、-CHCHCHCHCHCHCHCH-、-CHCHCHCHCHCHCHCHCH-、-CHCHCHCHCHCHCHCHCHCH-、-CHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCH-、または、-CHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCH-である。化学式(VIII)および(IX)の化合物のある実施形態において、前記アルキレンは、メチレン、エチレン、プロピレン、ブチレン、ペンチレン、ヘキシレン、またはヘプチレンである。
【0540】
化学式(VIII)および(IX)の化合物のある実施形態では、Rは、-NH-(アルキレン-O)-NHであり、nは、0、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、または、100である。
【0541】
化学式(VIII)および(IX)の化合物のある実施形態において、Rは、水素である。
【0542】
化学式(VIII)および(IX)の化合物のある実施形態において、Arは、フェニルである。
【0543】
化学式(VIII)および(IX)の化合物のある実施形態において、Rは、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、sec-ブチル、イソブチル、tert-ブチル、ペンチル、または、ヘキシルである。化学式(VIII)および(IX)の化合物のある実施形態において、Rは、水素である。
【0544】
化学式(VIII)および(IX)の化合物のある実施形態では、各Lは、独立して、切断可能リンカーまたは非切断可能リンカーである。化学式(VIII)および(IX)の化合物のある実施形態では、各Lは、独立して、オリゴ(エチレングリコール)誘導体化リンカーである。
【0545】
化学式(VIII)および(IX)の化合物のある実施形態において、アルキレン、アルキレン’、アルキレン’’、およびアルキレン’’’は、それぞれ独立して、-CH-、-CHCH-、-CHCHCH-、-CHCHCHCH-、-CHCHCHCHCH-、-CHCHCHCHCHCH-、-CHCHCHCHCHCHCH-、-CHCHCHCHCHCHCHCH-、-CHCHCHCHCHCHCHCHCH-、-CHCHCHCHCHCHCHCHCHCH-、-CHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCH-、または、-CHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCH-である。化学式(VIII)および(IX)の化合物のある実施形態において、アルキレンは、メチレン、エチレン、プロピレン、ブチレン、ペンチレン、ヘキシレン、または、へプチレンである。
【0546】
化学式(VIII)および(IX)の化合物のある実施形態において、n、n’、n’’、n’’’、およびn’’’’は、それぞれ独立して、0、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、または、100である。
【0547】
化学式(VIII)または(IX)の化合物のある実施形態において、Rは、ポリペプチドである。化学式(VIII)または(IX)の化合物のある実施形態において、Rは、ポリペプチドである。化学式(VIII)または(IX)の化合物のある実施形態において、上記ポリペプチドは、抗体である。化学式(VIII)または(IX)の化合物のある実施形態において、上記抗体は、ハーセプチンである。
【0548】
そのような非天然アミノ酸ドラスタチン結合誘導体としては、化学式(X)、(XI)、(XII)、または(XIII)の構造を有するドラスタチン結合誘導体が挙げられる。
【0549】
【化135】

【0550】
(式中、
Aは、任意であり、存在する場合は、低級アルキレン、置換低級アルキレン、低級シクロアルキレン、置換低級シクロアルキレン、低級アルケニレン、置換低級アルケニレン、アルキニレン、低級ヘテロアルキレン、置換ヘテロアルキレン、低級ヘテロシクロアルキレン、置換低級ヘテロシクロアルキレン、アリーレン、置換アリーレン、ヘテロアリーレン、置換ヘテロアリーレン、アルカリレン、置換アルカリレン、アラルキレン、または、置換アラルキレンであり、
Bは、任意であり、存在する場合は、低級アルキレン、置換低級アルキレン、低級アルケニレン、置換低級アルケニレン、低級ヘテロアルキレン、置換低級ヘテロアルキレン、-O-、-O-(アルキレン、または、置換アルキレン)-、-S-、-S-(アルキレン、または、置換アルキレン)-、-S(O)-(ここで、kは、1、2、または3である)、-S(O)(アルキレン、または、置換アルキレン)-、-C(O)-、-C(O)-(アルキレン、または、置換アルキレン)-、-C(S)-、-C(S)-(アルキレン、または、置換アルキレン)-、-N(R’)-、-NR’-(アルキレン、または、置換アルキレン)-、C(O)N(R’)-、-CON(R’)-(アルキレン、または、置換アルキレン)-、-CSN(R’)-、-CSN(R’)-(アルキレン、または、置換アルキレン)-、-N(R’)CO-(アルキレン、または、置換アルキレン)-、-N(R’)C(O)O-、-S(O)N(R’)-、-N(R’)C(O)N(R’)-、-N(R’)C(S)N(R’)-、-N(R’)S(O)N(R’)-、-N(R’)-N=、-C(R’)=N-、-C(R’)=N-N(R’)-、-C(R’)=N-N=、-C(R’)-N=N-、および-C(R’)N(R’)-N(R’)-からなる群より選択されるリンカーであり(なお、各R’は、独立して、H、アルキル、または、置換アルキルである)、
Rは、H、アルキル、置換アルキル、シクロアルキル、または、置換シクロアルキルであり、
は、H、アミノ保護基、樹脂、少なくとも1つのアミノ酸、ポリペプチド、または、ポリヌクレオチドであり、
は、OH、エステル保護基、樹脂、少なくとも1つのアミノ酸、ポリペプチド、または、ポリヌクレオチドであり、
およびRは、それぞれ独立して、H、ハロゲン、低級アルキル、もしくは置換低級アルキルであるか、または、RおよびR、もしくは、2つのR基が、シクロアルキル、もしくは、ヘテロシクロアルキルを任意に形成してもよく、
Zは、以下の構造を有し、
【0551】
【化136】
【0552】
は、H、COR、炭素数1~6のアルキル、または、チアゾールであり、
は、OHであり、
は、OH、または、Hであり、
Arは、フェニル、または、ピリジンであり、
は、炭素数1~6のアルキル、または、水素であり、
、L、L、およびLは、それぞれ独立して、結合、-アルキレン-、-(アルキレン-O)n-アルキレン-J-, -アルキレン'-J-(アルキレン-O)n-アルキレン-, -J-(アルキレン-O)n-アルキレン-, -(アルキレン-O)n-アルキレン-J-(アルキレン-O)n'-アルキレン-J'-, -(アルキレン-O)n-アルキレン-J-アルキレン'-, -W-, -アルキレン-W-, アルキレン'-J-(アルキレン-NMe)n-アルキレン-W-, -J-(アルキレン-NMe)n-アルキレン-W-, -J-アルキレン-NMe-アルキレン'-NMe-アルキレン''-W-,および -アルキレン-J-アルキレン'-NMe-アルキレン''-NMe-アルキレン'''-W-からなる群より選択されるリンカーであり、
Wは、以下の構造を有し、
【0553】
【化137】
【0554】
各JおよびJ’は、独立して、以下の構造を有し、
【0555】
【化138】
【0556】
nおよびnは、それぞれ独立して、1以上の整数である)。
【0557】
式(X)、(XI)、(XII)、または(XIII)の化合物のある実施形態では、Rは、チアゾールである。式(X)、(XI)、(XII)、または(XIII)の化合物のある実施形態では、Rは、水素である。式(X)、(XI)、(XII)、または(XIII)の化合物のある実施形態では、Arは、フェニルである。式(X)、(XI)、(XII)、または(XIII)のある実施形態では、Rは、メチルである。式(X)、(XI)、(XII)、または(XIII)の化合物のある実施形態では、nおよびn’は、0~20の整数である。式(X)、(XI)、(XII)、または(XIII)の化合物のある実施形態では、nおよびn’は、0~10の整数である。式(X)、(XI)、(XII)、または(XIII)の化合物のある実施形態では、nおよびn’は、0~5の整数である。
【0558】
式(X)、(XI)、(XII)、または(XIII)の化合物のある実施形態では、Rは、チアゾールである。式(X)、(XI)、(XII)、または(XIII)の化合物のある実施形態では、Rは、水素である。式(X)、(XI)、(XII)、または(XIII)の化合物のある実施形態では、Rは、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、ペンチル、または、ヘキシルである。式(X)、(XI)、(XII)、または(XIII)の化合物のある実施形態では、Rは、-NH-(アルキレン-O)-NHであり、前記アルキレンは、-CH-、-CHCH-、-CHCHCH-、-CHCHCHCH-、-CHCHCHCHCH-、-CHCHCHCHCHCH-、-CHCHCHCHCHCHCH-、-CHCHCHCHCHCHCHCH-、-CHCHCHCHCHCHCHCHCH-、-CHCHCHCHCHCHCHCHCHCH-、-CHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCH-、または、-CHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCH-である。式(X)、(XI)、(XII)、または(XIII)の化合物のある実施形態では、前記アルキレンは、メチレン、エチレン、プロピレン、ブチレン、ペンチレン、ヘキシレン、またはヘプチレンである。
【0559】
式(X)、(XI)、(XII)、または(XIII)の化合物のある実施形態では、Rは、-NH-(アルキレン-O)-NHであり、nは、0、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、または、100である。
【0560】
式(X)、(XI)、(XII)、または(XIII)の化合物のある実施形態では、Rは、水素である。式(I)の化合物のいくつかの実施形態では、Rは、ヒドロキシである。
【0561】
式(X)、(XI)、(XII)、または(XIII)の化合物のある実施形態では、Arは、フェニルである。
【0562】
式(X)、(XI)、(XII)、または(XIII)の化合物のある実施形態では、Rは、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、sec-ブチル、イソブチル、tert-ブチル、ペンチル、または、ヘキシルである。式(I)の化合物のある実施形態では、Rは、水素である。
【0563】
式(X)、(XI)、(XII)、または(XIII)の化合物のある実施形態では、L、L、L、およびLは、それぞれ独立して、切断可能リンカーまたは非切断可能リンカーである。式(I)の化合物のある実施形態では、L、L、L、およびLは、それぞれ独立して、オリゴ(エチレングリコール)誘導体化リンカーである。
【0564】
式(X)、(XI)、(XII)、または(XIII)の化合物のある実施形態において、アルキレン、アルキレン’、アルキレン’’、およびアルキレン’’’は、それぞれ独立して、-CH-、-CHCH-、-CHCHCH-、-CHCHCHCH-、-CHCHCHCHCH-、-CHCHCHCHCHCH-、-CHCHCHCHCHCHCH-、-CHCHCHCHCHCHCHCH-、-CHCHCHCHCHCHCHCHCH-、-CHCHCHCHCHCHCHCHCHCH-、-CHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCH-、または、-CHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCH-である。化学式(X)、(XI)、(XII)、または(XIII)の化合物のある実施形態において、アルキレンは、メチレン、エチレン、プロピレン、ブチレン、ペンチレン、ヘキシレン、または、へプチレンである。
【0565】
式(X)、(XI)、(XII)、または(XIII)の化合物のある実施形態において、nおよびn’は、それぞれ独立して、0、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、または、100である。
【0566】
式(X)、(XI)、(XII)、または(XIII)の化合物のある実施形態において、Rは、ポリペプチドである。式(X)、(XI)、(XII)、または(XIII)の化合物のある実施形態において、Rは、ポリペプチドである。式(X)、(XI)、(XII)、または(XIII)の化合物のある実施形態において、上記ポリペプチドは、抗体である。式(X)、(XI)、(XII)、または(XIII)の化合物のある実施形態において、上記抗体は、ハーセプチンである。
【0567】
ある実施形態において、化学式(X)、(XI)、(XII)、または(XIII)の化合物は、弱酸性の条件下で、少なくとも1ヶ月間、水溶液中で安定している。ある実施形態において、化学式(X)、(XI)、(XII)、または(XIII)の化合物は、弱酸性の条件下で、少なくとも2週間安定している。ある実施形態において、化学式(X)、(XI)、(XII)、または(XIII)の化合物は、弱酸性の条件下で、少なくとも5日間安定している。ある実施形態において、上記の酸性の条件は、pHがおよそ2から8である。上記の非天然アミノ酸は、塩の形態であってもよく、または、非天然アミノ酸ポリペプチド、ポリマー、多糖、または、ポリヌクレオチドに組み込まれ、任意に翻訳後修飾されていてもよい。
【0568】
オキシム系非天然アミノ酸は、本技術において既述の方法、または、本明細書に記載の方法により合成してもよい。そのような方法としては、以下の反応が挙げられる:(a)カルボニル含有試薬またはジカルボニル含有試薬を有するヒドロキシルアミン含有非天然アミノ酸の反応、(b)ヒドロキシルアミン含有試薬を有するカルボニル含有非天然アミノ酸またはジカルボニル含有非天然アミノ酸の反応、または、(c)特定のカルボニル含有試薬またはジカルボニル含有試薬を有するオキシム含有非天然アミノ酸の反応。
【0569】
(B.非天然アミノ酸結合ドラスタチン誘導体の化学構造および化学合成:アルキル化芳香族アミン結合ドラスタチン誘導体)
1つの局面は、芳香族アミン基の反応性に基づいた、非天然アミノ酸の化学的な誘導体化のためのドラスタチンリンカー誘導体である。さらなる、または、追加の実施形態では、上述の非天然アミノ酸の少なくとも1つはドラスタチンリンカー誘導体に組み込まれている。つまり、そのような実施形態は、非天然アミノ酸結合ドラスタチン誘導体である。さらなる、または、追加の実施形態では、上記ドラスタチンリンカー誘導体は、側鎖に官能性をもたせることによって、誘導体化非天然アミノ酸と反応することでアミン結合が生成されるようにする。さらなる、または、追加の実施形態では、上記ドラスタチンリンカー誘導体は、芳香族アミン側鎖を有するドラスタチンリンカー誘導体より選択される。さらなる、または、追加の実施形態では、上記ドラスタチンリンカー誘導体は、マスクされた側鎖(マスクされた芳香族アミン基が挙げられる)を含んでいる。さらなる、または、追加の実施形態では、上記非天然アミノ酸は、芳香族アミン側鎖を有するアミノ酸より選択される。さらなる、または、追加の実施形態では、上記非天然アミノ酸は、マスクされた側鎖(マスクされた芳香族アミン基が挙げられる)を含んでいる。
【0570】
他の局面は、アミン結合に基づいた誘導体化非天然アミノ酸ポリペプチドの産生のための、例えばアルデヒドおよびケトンなどのカルボニル置換ドラスタチンリンカー誘導体である。さらなる実施形態は、誘導体化ドラスタチンリンカーと芳香族アミン含有非天然アミノ酸ポリペプチドとの間にアミン結合を形成することで上記芳香族アミン含有非天然アミノ酸ポリペプチドを誘導体化するために用いられるアルデヒド置換ドラスタチンリンカー誘導体である。
【0571】
さらなる、または、追加の実施形態では、上記非天然アミノ酸は、芳香族アミン側鎖を含んでおり、上記芳香族アミンは、アリールアミンまたはヘテロアリールアミンより選択される。さらなる、または追加の実施形態では、上記非天然アミノ酸は、構造が天然アミノ酸と類似しているが、芳香族アミン基を含有している。他の、または、さらなる実施形態では、上記非天然アミノ酸は、フェニルアラニンまたはチロシン(芳香族アミノ酸)と類似している。1つの実施形態では、上記非天然アミノ酸は、天然アミノ酸とは異なる特性を有している。1つの実施形態では、そのような異なる特性は、側鎖の化学反応性である。さらなる実施形態では、この異なる化学反応性によって、同一のポリペプチドにおける天然に存在するアミノ酸単位の側鎖とは違い、ポリペプチドの単位でありながら、非天然アミノ酸の側鎖は反応を経ることができる。さらなる実施形態では、上記非天然アミノ酸の側鎖は、天然に存在するアミノ酸に対して直交性の化学作用を有する。さらなる実施形態では、上記非天然アミノ酸の側鎖は、求核剤含有部分を含んでいる。さらなる実施形態では、上記非天然アミノ酸の側鎖における求核剤含有部分は、反応を経てアミン結合誘導体化ドラスタチンを生成することができる。さらなる実施形態では、上記非天然アミノ酸の側鎖は、求電子剤含有部分を含んでいる。さらなる実施形態では、上記非天然アミノ酸の側鎖における求電子剤含有部分は、求核攻撃を経てアミン結合誘導体化ドラスタチンを生成することができる。本段落で上述の実施形態では、上記非天然アミノ酸は、別個の分子として存在していてもよく、任意の長さを有するポリペプチドに組み込まれていてもよい。後者の場合、上記ポリペプチドは、天然に存在する、または、非天然アミノ酸をさらに組み込んでいてもよい。
【0572】
還元的なアルキル化反応または還元的なアミン化反応を用いた、本明細書に記載の非天然アミノ酸の修飾には、以下のうちの任意のまたは全ての利点がある。第1に、芳香族アミンは、pH範囲が約4~約10(ある実施形態においては、pH範囲が約4~約7)で、カルボニル含有化合物(アルデヒドおよびケトンが挙げられる)と還元的にアルキル化して、置換されたアミン(第2級および第3級アミン、結合が挙げられる)を生成することができる。第2に、これらの反応条件において、天然に存在するアミノ酸の側鎖は非反応性なので、上記化学作用は非天然アミノ酸に対して選択的である。これにより、芳香族アミン部分または保護されたアルデヒド部分を含有する非天然アミノ酸(例えば、組み換えのタンパク質)を組み込んだポリペプチドを部位特異的に誘導体化することができる。これにより、そのような誘導体化したポリペプチドおよびタンパク質は、定義された均質な生成物として調製することができる。第3に、ポリペプチドに組み込まれたアミノ酸における芳香族アミン部分によるアルデヒド含有試薬との反応を生じさせるために必要な穏やかな環境は、一般に、上記ポリペプチドの三次構造を不可逆的に破壊するものではない(ただし、上記反応の目的がそのような三次構造を破壊することである場合は、当然この限りではない)。同様に、ポリペプチドに組み込まれて脱保護されたアミノ酸におけるアルデヒド部分による、芳香族アミン含有試薬との反応を生じさせるために必要な穏やかな環境は、一般に、上記ポリペプチドの三次構造を不可逆的に破壊するものではない(ただし、上記反応の目的がそのような三次構造を破壊することである場合は、当然この限りではない)。第4に、上記反応は室温で急速に起こり、これにより、高温では不安定な多くの種類のポリペプチドまたは試薬を使用することができる。第5に、上記反応は水性条件で直ちに起こり、これにより、やはり、非水性溶液とは(いかなる程度でも)不適合なポリペプチドおよび試薬を使用することができる。第6に、上記反応は、試薬に対するポリペプチドまたはアミノ酸の比率が化学式通りの、略化学式通りの、または化学式通りに近い場合であっても、直ちに起こる。その結果、有用な量の反応生成物を得るために過剰な試薬またはポリペプチドを加える不要がない。第7に、結果として得られる上記アミンは、上記反応物における上記アミンおよびカルボニル部分のデザインによって、位置選択的に、および/または、位置特異的に産生することができる。最後に、アルデヒド含有試薬との芳香族アミンの還元的なアルキル化、および、芳香族アミン含有試薬とのアルデヒドの還元的なアミン化によって、第2級および第3級アミンなどのアミンや、生物学的条件下で安定な結合が生成される。
【0573】
求核反応基を有する非天然アミノ酸は、様々な反応を介して分子を結合する種々の反応を可能にする。種々の反応としては、アルデヒドを含有するドラスタチン結合誘導体を用いた還元的アルキル化反応が挙げられるが、これに限定はされない。そのような求核反応基を有する非天然アミノ酸としては、ほんの一例として、芳香族アミン基(第2級および第3級アミン基が挙げられる)、マスクされた芳香族アミン基(芳香族アミン基に直ちに変換され得る)、または、保護された芳香族アミン基(脱保護されると、芳香族アミン基と同様の反応性を有する)が挙げられる。そのようなアルキル化非天然アミノ酸結合ドラスタチン誘導体は、式(XXV)、(XXXVI)、(XXXVII)、(XXXVIII)、(XXXIX)、または(XXX)の構造を有するアミノ酸を含む。
【0574】
【化139】

【0575】
(式中、
Zは、以下の構造を有し、
【0576】
【化140】
【0577】
は、H、COH、炭素数1~6のアルキル、または、チアゾールであり、
は、OH、または、Hであり、
Arは、フェニル、または、ピリジンであり、
は、H、アミノ保護基、樹脂、少なくとも1つのアミノ酸、ポリペプチド、または、ポリヌクレオチドであり、
は、OH、エステル保護基、樹脂、少なくとも1つのアミノ酸、ポリペプチド、または、ポリヌクレオチドであり、
は、H、ハロゲン、低級アルキル、または、置換低級アルキルであり、
は、炭素数1~6のアルキル、または、水素であり、
L、L、L、L、およびLは、それぞれ独立して、結合、-アルキレン-、-アルキレン-C(O)-、-(アルキレン-O)-アルキレン-、-(アルキレン-O)-アルキレン-C(O)-、-(アルキレン-O)-(CHn’-NHC(O)-(CHn’’-C(Me)-S-S-(CHn’’’-NHC(O)-(アルキレン-O)n’’’’-アルキレン、-(アルキレン-O)-アルキレン-W-、-アルキレン-C(O)-W-、-(アルキレン-O)n-アルキレン-J-, -アルキレン'-J-(アルキレン-O)n-アルキレン-,-(アルキレン-O)n-アルキレン-J-アルキレン'-,-J-(アルキレン-O)n-アルキレン-, -(アルキレン-O)n-アルキレン-J-(アルキレン-O)n'-アルキレン-J'-, -W-, -アルキレン-W-, アルキレン'-J-(アルキレン-NMe)n-アルキレン-W-, および-J-(アルキレン-NMe)n-アルキレン-W-,-(アルキレン-O)-アルキレン-U-アルキレン; -J-アルキレン-NMe-アルキレン'-NMe-アルキレン''-W-,および -アルキレン-J-アルキレン'-NMe-アルキレン''-NMe-アルキレン'''-W-からなる群より選択されるリンカーであり、
Wは、以下の構造を有し、
【0578】
【化141】
【0579】
Uは、以下の構造を有し、
【0580】
【化142】
【0581】
各JおよびJ’は、独立して、以下の構造を有し、
【0582】
【化143】
【0583】
nおよびn’は、それぞれ独立して、1以上の整数であり、
各R16は、独立して、水素、ハロゲン、アルキル、NO、CN、および、置換アルキルからなる群より選択される。)
このようなアルキル化非天然アミノ酸結合ドラスタチン誘導体は、塩の形態であってもよく、または、非天然アミノ酸ポリペプチド、ポリマー、多糖、もしくは、ポリヌクレオチドに組み込まれて、任意で還元アルキル化されてもよい。
【0584】
式(XXV)、(XXVI)、(XXXVII)、(XXXVIII)、(XXXIX)、または(XXX)の化合物のある実施形態では、Rは、チアゾールまたはカルボン酸である。式(XXV)、(XXVI)、(XXXVII)、(XXXVIII)、(XXXIX)、または(XXX)の化合物のある実施形態では、Rは、Hである。式(XXV)、(XXVI)、(XXXVII)、(XXXVIII)、(XXXIX)、または(XXX)の化合物のある実施形態では、Arは、フェニルである。式(XXV)、(XXVI)、(XXXVII)、(XXXVIII)、(XXXIX)、または(XXX)の化合物のある実施形態では、Rは、メチルである。式(XXV)、(XXVI)、(XXXVII)、(XXXVIII)、(XXXIX)、または(XXX)の化合物のある実施形態では、nは0から20までの整数である。式(XXV)、(XXVI)、(XXXVII)、(XXXVIII)、(XXXIX)、または(XXX)の化合物のある実施形態では、nは0から10までの整数である。式(XXV)、(XXVI)、(XXXVII)、(XXXVIII)、(XXXIX)、または(XXX)の化合物のある実施形態では、nは0から5までの整数である。
【0585】
式(XXV)、(XXVI)、(XXXVII)、(XXXVIII)、(XXXIX)、または(XXX)の化合物のある実施形態では、Rは、チアゾールまたはカルボン酸である。式(XXV)、(XXVI)、(XXXVII)、(XXXVIII)、(XXXIX)、または(XXX)の化合物のある実施形態では、Rは、水素である。式(XXV)、(XXVI)、(XXXVII)、(XXXVIII)、(XXXIX)、または(XXX)の化合物のある実施形態では、Rは、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、ペンチル、もしくはヘキシルである。式(XXV)、(XXVI)、(XXXVII)、(XXXVIII)、(XXXIX)、または(XXX)の化合物のある実施形態では、Rは、-NH-(アルキレン-O)-NHであり、前記アルキレンは、-CH-、-CHCH-、-CHCHCH-、-CHCHCHCH-、-CHCHCHCHCH-、-CHCHCHCHCHCH-、-CHCHCHCHCHCHCH-、-CHCHCHCHCHCHCHCH-、-CHCHCHCHCHCHCHCHCH-、-CHCHCHCHCHCHCHCHCHCH-、-CHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCH-、または、-CHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCH-である。式(XXV)、(XXVI)、(XXXVII)、(XXXVIII)、(XXXIX)、または(XXX)の化合物のある実施形態では、前記アルキレンは、メチレン、エチレン、プロピレン、ブチレン、ペンチレン、ヘキシレン、またはヘプチレンである。
【0586】
式(XXV)、(XXVI)、(XXXVII)、(XXXVIII)、(XXXIX)、または(XXX)の化合物のある実施形態では、Rは、-NH-(アルキレン-O)-NHであり、nは、0、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、または、100である。
【0587】
式(XXV)、(XXVI)、(XXXVII)、(XXXVIII)、(XXXIX)、または(XXX)の化合物のある実施形態では、Rは、水素である。式(XXV)、(XXVI)、(XXXVII)、(XXXVIII)、(XXXIX)、または(XXX)の化合物のある実施形態では、Rは、ヒドロキシである。
【0588】
式(XXV)、(XXVI)、(XXXVII)、(XXXVIII)、(XXXIX)、または(XXX)の化合物のある実施形態では、Arは、フェニルである。
【0589】
式(XXV)、(XXVI)、(XXXVII)、(XXXVIII)、(XXXIX)、または(XXX)の化合物のある実施形態では、Rは、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、sec-ブチル、イソブチル、tert-ブチル、ペンチル、または、ヘキシルである。式(XXV)、(XXVI)、(XXXVII)、(XXXVIII)、(XXXIX)、または(XXX)の化合物のある実施形態において、Rは、水素である。
【0590】
式(XXV)、(XXVI)、(XXXVII)、(XXXVIII)、(XXXIX)、または(XXX)の化合物のある実施形態では、L、L、L、L、およびLは、それぞれ独立して、切断可能リンカーまたは非切断可能リンカーである。式(XXV)、(XXVI)、(XXXVII)、(XXXVIII)、(XXXIX)、または(XXX)の化合物のある実施形態では、L、L、L、L、およびLは、それぞれ独立して、オリゴ(エチレングリコール)誘導体化リンカーである。
【0591】
式(XXV)、(XXVI)、(XXXVII)、(XXXVIII)、(XXXIX)、または(XXX)の化合物のある実施形態において、アルキレン、アルキレン’、アルキレン’’、およびアルキレン’’’は、それぞれ独立して、-CH-、-CHCH-、-CHCHCH-、-CHCHCHCH-、-CHCHCHCHCH-、-CHCHCHCHCHCH-、-CHCHCHCHCHCHCH-、-CHCHCHCHCHCHCHCH-、-CHCHCHCHCHCHCHCHCH-、-CHCHCHCHCHCHCHCHCHCH-、-CHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCH-、または、-CHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCH-である。式(XXV)、(XXVI)、(XXXVII)、(XXXVIII)、(XXXIX)、または(XXX)の化合物のある実施形態において、アルキレンは、メチレン、エチレン、プロピレン、ブチレン、ペンチレン、ヘキシレン、または、へプチレンである。
【0592】
式(XXV)、(XXVI)、(XXXVII)、(XXXVIII)、(XXXIX)、または(XXX)の化合物のある実施形態において、n、n’、n’’、n’’’、およびn’’’’は、それぞれ独立して、0、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、または、100である。
【0593】
式(XXV)、(XXVI)、(XXXVII)、(XXXVIII)、(XXXIX)、または(XXX)の化合物のある実施形態では、Rは、ポリペプチドである。式(XXV)、(XXVI)、(XXXVII)、(XXXVIII)、(XXXIX)、または(XXX)の化合物のある実施形態では、Rは、ポリペプチドである。式(XXV)、(XXVI)、(XXXVII)、(XXXVIII)、(XXXIX)、または(XXX)の化合物のある実施形態では、ポリペプチドは抗体である。式(XXV)の化合物のある実施形態では、抗体はハーセプチンである。
【0594】
式(XXV)、(XXVI)、(XXXVII)、(XXXVIII)、(XXXIX)、または(XXX)の化合物は、一例として、ケトン、エステル、チオエステル、アルデヒド等の試薬を含有するカルボニルと共に、芳香族アミン化合物の還元アルキル化によって形成される。
【0595】
いくつかの実施形態では、ポリペプチドが含有する非天然アミノ酸のマスクされたアミン部分が最初に還元され、非天然アミノ酸ポリペプチドに組み込まれた芳香族アミン部分を含有する非天然アミノ酸が産出される。次に、このような芳香族アミン部分を、上記のカルボニル含有試薬で還元アルキル化して、式(XXV)、(XXVI)、(XXXVII)、(XXXVIII)、(XXXIX)、または(XXX)の非天然アミノ酸を含有するポリペプチドを産生する。このような反応は、合成ポリマー、ポリサッカライド、もしくはポリヌクレオチドに組み込まれた非天然アミノ酸にも適用される。また、このような反応は、上記組み込みのない非天然アミノ酸にも適用される。マスクされたアミン部分を還元するために用いられる還元剤の一例として、TCEP、NaS、Na、LiAlH、B、およびNaBHが挙げられるが、これらに限定されない。単なる一例ではあるが、還元アルキル化は、単なる一例として、シアノホウ水素化ナトリウム(NaBCNH)などの穏やかな還元剤を用いた、約4~7のpHの水性緩衝剤において生じる。さらに、還元アルキル化に用いられる他の還元剤として、TCEP、NaS、Na、LiAlH、B、およびNaBHが挙げられるが、これらに限定されない。
【0596】
式(XXV)、(XXVI)、(XXXVII)、(XXXVIII)、(XXXIX)、または(XXX)のアミノ酸を含有する非天然アミノ酸ポリペプチドの非限定的な合成例として、上記のカルボニル含有試薬を用いて、非天然アミノ酸が含有する副次的芳香族アミン部分を還元アルキル化することが挙げられる。このような還元アルキル化によって、第3級芳香族アミン部分を有する非天然アミノ酸を含むポリペプチドが産生される。このような反応は、合成ポリマー、ポリサッカライド、もしくはポリヌクレオチドに組み込まれた非天然アミノ酸にも適用される。また、このような反応は、上記組み込みのない非天然アミノ酸にも適用される。単なる一例ではあるが、還元アルキル化は、単なる一例として、シアノホウ水素化ナトリウム(NaBCNH)などの穏やかな還元剤を用いた、約4~7のpHの水性緩衝剤において生じる。さらに、還元アルキル化に用いられる他の還元剤として、TCEP、NaS、Na、LiAlH、B、およびNaBHが挙げられるが、これらに限定されない。
【0597】
(C.非天然アミノ酸結合ドラスタチン誘導体の化学合成:ヘテロアリール含有結合ドラスタチン誘導体)
一態様では、上記非天然アミノ酸は、少なくとも1つのケトン基、および/または少なくとも1種のアルデヒド基、および/または少なくとも1つのエステル基、および/または少なくとも1つのカルボン酸、および/または少なくとも1つのチオエステル基を含有する基を含む、ジカルボニル基の反応性に基づくドラスタチン結合誘導体の化学的誘導体化のための非天然アミノ酸であり、上記ジカルボニル基は、1,2-ジカルボニル基、1,3-ジカルボニル基、または1,4-ジカルボニル基であり得る。さらなる態様または付加的な態様では、上記非天然アミノ酸は、ヒドラジン基、アミジン基、イミン基、1,1-ジアミン基、1,2-ジアミン基、1,3-ジアミン基、および1,4-ジアミン基を含むジアミン基の反応性に基づくドラスタチン結合誘導体の化学的誘導体化のための非天然アミノ酸である。さらなる実施形態または付加的な実施形態では、上述した非天然アミノ酸のうち少なくとも1つが、ドラスタチン結合誘導体に組み込まれる。つまり、そのような実施形態は、非天然アミノ酸結合ドラスタチン誘導体である。さらなる実施形態または付加的な実施形態では、上記非天然アミノ酸が誘導体化分子と反応することにより、窒素含有複素環を含む複素環に基づく結合および/またはアルドールに基づく結合を含む結合が生成されるように、上記非天然アミノ酸はその側鎖に官能化されている。さらなる実施形態または付加的な実施形態では、上記非天然アミノ酸は、窒素含有複素環を含む複素環に基づく結合および/またはアルドールに基づく結合を含む結合を生成するために、誘導体化ドラスタチンリンカーと反応し得る非天然アミノ酸ポリペプチドである。さらなる実施形態または付加的な実施形態では、上記非天然アミノ酸は、ジカルボニルおよび/または側鎖ジアミンを有するアミノ酸より選択される。さらなる実施形態または付加的な実施形態では、上記非天然アミノ酸は、マスクされたジアミン基および/またはマスクされたジカルボニル基を含む、マスクされた側鎖基を含む。さらなる実施形態または付加的な実施形態では、上記非天然アミノ酸は、ケトアミン(すなわち、ケトンおよびアミンの両方を含有する基)、ケトアルキン(すなわち、ケトンおよびアルキンの両方を含有する基)、およびエンジオン(すなわち、ジカルボニル基およびアルケンの両方を含有する基)より選択される基を含む。
【0598】
さらなる実施形態または付加的な実施形態では、非天然アミノ酸は、カルボニルが、ケトン、アルデヒド、カルボン酸、またはチオエステルを含むエステルより選択されるジカルボニル側鎖を含む。別の実施形態では、非天然アミノ酸は、適切に官能化試薬で処理することにより窒素含有複素環を含む複素環を形成しうる官能基を含む非天然アミノ酸である。さらなる実施形態または付加的な実施形態では、非天然アミノ酸は、構造が天然アミノ酸に似ているが、上記の官能基のいずれか1つが含まれている。別の実施形態または付加的な実施形態では、非天然アミノ酸は、フェニルアラニンまたはチロシン(芳香族アミノ酸)に似ているが、別の実施形態では、非天然アミノ酸は、アラニンおよびロイシン(疎水性アミノ酸)に似ている。一実施形態では、上記非天然アミノ酸は、天然のアミノ酸の特性とは異なる特性を有する。一実施形態では、この異なる性質とは側鎖の化学反応性であり、さらなる実施形態では、この異なる化学反応性により、非天然アミノ酸の側鎖には反応がなされる一方、同一のポリペプチドにおける天然アミノ酸ユニットの側鎖には反応がなされない。さらなる実施形態では、非天然アミノ酸の側鎖は、天然に存在するアミノ酸の側鎖に対して直交性の化学的性質を有する。さらなる実施形態では、非天然アミノ酸の側鎖は、求電子含有部分を含む。つまり、さらなる実施形態では、非天然アミノ酸の側鎖上の求電子含有部分は、求核攻撃を受けて、窒素含有複素環誘導体化タンパク質を含む、誘導体化タンパク質を生成することができる。本段落で記載した実施形態のいずれかの実施形態では、非天然アミノ酸は、別の分子として存在する場合があり、あるいは任意の長さのポリペプチドに組み込まれる場合もある。後者の場合、ポリペプチドはさらに、天然に存在するアミノ酸、または非天然アミノ酸を組み込む場合がある。
【0599】
別の態様では、ジアミン基が、ヒドラジン、アミジン、イミン、1,1-ジアミン、1,2-ジアミン、1,3-ジアミン、および1,4-ジアミン基より選択されるジアミンで置換された分子であり、窒素含有複素環を含む複素環結合に基づいた誘導体化非天然アミノ酸結合ドラスタチン誘導体を産生するための分子である。さらなる実施形態では、ジアミン置換されたドラスタチン誘導体を使用して、誘導体化分子とジカルボニル含有非天然アミノ酸ポリペプチドとの間に窒素含有複素環を含む複素環結合の形成を介して、ジカルボニル含有非天然アミノ酸ポリペプチドを誘導体化する。さらなる実施形態では、上述したジカルボニル含有非天然アミノ酸ポリペプチドは、ジケトン含有非天然アミノ酸ポリペプチドである。さらなる実施形態または付加的な実施形態では、ジカルボニル含有非天然アミノ酸は、カルボニルが、ケトン、アルデヒド、カルボン酸、またはチオエステルを含むエステルより選択される側鎖を含む。さらなる実施形態または付加的な実施形態では、ジアミン置換された分子は、所望の機能から選択される基を含む。さらなる実施形態では、非天然アミノ酸の側鎖は、非天然アミノ酸が、ジアミン置換された分子と選択的に反応することが可能となる、天然に存在するアミノ酸の側鎖に対して直交性の化学的性質を有する。さらなる実施形態では、非天然アミノ酸の側鎖は、ジアミン含有分子と選択的に反応する求電子含有部分を含む。つまり、さらなる実施形態では、非天然アミノ酸の側鎖上の求電子含有部分は、求核攻撃を受けて、窒素含有複素環誘導体化タンパク質を含む、複素環誘導体化タンパク質を生成することができる。本段落で記載した実施形態に関するさらなる態様では、上記非天然アミノ酸ポリペプチドは、誘導体化分子が上記非天然アミノ酸ポリペプチドと反応することによって生じる、修飾された非天然アミノ酸ポリペプチドである。さらなる実施形態には、既に修飾された非天然アミノ酸ポリペプチドのさらなる修飾が含まれる。
【0600】
別の態様では、窒素含有複素環を含む複素環の結合に基づいた誘導体化非天然アミノ酸ポリペプチドの産生のためのジカルボニル置換された分子である。さらなる実施形態では、窒素含有複素環基を含む複素環の形成を介してジアミン含有非天然アミノ酸ポリペプチドを誘導体化するために使用されるジカルボニル置換された分子である。さらなる実施形態では、約4~約8の間のpH範囲におけるジアミン含有非天然アミノ酸ポリペプチドを用いて、窒素含有複素環基を含むそのような複素環を形成することができるジカルボニル置換された分子である。さらなる実施形態では、誘導体化分子とジアミン含有非天然アミノ酸ポリペプチドとの間に、窒素含有複素環を含む複素環の形成を介してジアミン含有非天然アミノ酸ポリペプチドを誘導体化するために用いられるジカルボニル置換された分子である。さらなる実施形態では、上記ジカルボニル置換された分子は、ジケトン置換された分子であり、他の態様では、ケトンアルデヒド置換された分子であり、他の態様では、ケトアシド置換された分子であり、他の態様では、ケトチオエステル置換分子を含むケトエステル置換分子である。さらなる実施形態では、上記ジカルボニル置換された分子は、所望の機能から選択される基を含む。さらなる実施形態または付加的な実施形態では、アルデヒド置換された分子は、アルデヒド置換されたポリエチレングリコール(PEG)分子である。さらなる実施形態では、非天然アミノ酸の側鎖は、非天然アミノ酸が、カルボニル置換された分子と選択的に反応することが可能となる、天然に存在するアミノ酸の側鎖に対して直交性の化学的性質を有する。さらなる実施形態では、非天然アミノ酸の側鎖は、ジカルボニル含有分子と選択的に反応する部分(例えば、ジアミン基)を含む。つまり、さらなる実施形態では、非天然アミノ酸の側鎖上の求核部分は、求電子攻撃を受けて、窒素含有複素環誘導体化タンパク質を含む、複素環誘導体化タンパク質を生成することができる。本段落で記載した実施形態に関するさらなる態様では、上記非天然アミノ酸ポリペプチドは、誘導体化分子が上記非天然アミノ酸ポリペプチドと反応することによって生じる、修飾された非天然アミノ酸ポリペプチドである。さらなる実施形態には、既に修飾された非天然アミノ酸ポリペプチドのさらなる修飾が含まれる。
【0601】
一態様では、カルボニルヒドラジンと反応物の反応を介してタンパク質を誘導体化して、窒素含有複素環誘導体化ドラスタチン含む、複素環誘導体化タンパク質を生成するための方法である。この態様に包含される方法として、カルボニル含有反応物およびヒドラジン含有反応物の縮合に基づくドラスタチンリンカー誘導体を誘導体化して、窒素含有複素環誘導体化ドラスタチンを含む複素環誘導体化ドラスタチンを生成するための方法がある。付加的な実施形態またはさらなる実施形態では、ケトン含有ドラスタチン誘導体もしくはアルデヒド含有ドラスタチン誘導体を、ヒドラジン官能化非天然アミノ酸を用いて誘導体化するための方法がある。さらに付加的な態様またはさらなる態様では、上記ヒドラジン置換された分子として、タンパク質、他のポリマー、および小分子が含まれる場合がある。
【0602】
別の態様では、カルボニル置換されたドラスタチン誘導体を誘導体化するためにヒドラジン置換された分子を化学合成するための方法である。一実施形態では、上記ヒドラジン置換された分子は、単なる一例として、ケトン含有非天然アミノ酸ポリペプチドもしくはアルデヒド含有非天然アミノ酸ポリペプチドが挙げられるカルボニル含有非天然アミノ酸ポリペプチドの誘導体化に好適なドラスタチン結合誘導体である。
【0603】
一態様では、キノキサリン結合またはフェナジン結合に基づいたドラスタチンアナログの化学的誘導体化のための非天然アミノ酸である。さらなる実施形態または付加的な実施形態では、上記非天然アミノ酸は、当該非天然アミノ酸と誘導体化ドラスタチンリンカーとの反応によってキノキサリン結合もしくはフェナジン結合が生成されるように、当該非天然アミノ酸の側鎖が官能化される。さらなる実施形態または付加的な実施形態では、上記非天然アミノ酸は、1,2-ジカルボニル側鎖もしくは1,2-アリールジアミン側鎖を有するアミノ酸より選択される。さらなる実施形態または付加的な実施形態では、上記非天然アミノ酸は、保護またはマスクされた1,2-ジカルボニル側鎖もしくは保護またはマスクされた1,2-アリールジアミン側鎖を有するアミノ酸より選択される。また、1,2-ジカルボニル側鎖の同等物、あるいは1,2-ジカルボニル側鎖の保護またはマスクされた同等物がさらに含まれる。
【0604】
別の態様では、キノキサリン結合もしくはフェナジン結合に基づいた誘導体化された非天然アミノ酸ポリペプチドの産生のための誘導体化分子である。一実施形態では、1,2-アリールジアミンを含有する非天然アミノ酸ポリペプチドを誘導体化してキノキサリン結合もしくはフェナジン結合を形成するために用いられる、1,2-ジカルボニル置換されたドラスタチンリンカー誘導体である。別の実施形態では、1,2-ジカルボニルを含有する非天然アミノ酸ポリペプチドを誘導体化してキノキサリン結合もしくはフェナジン結合を形成するために用いられる、1,2-アリールジアミン置換されたドラスタチンリンカー誘導体である。上記の実施形態に関連するさらなる態様では、誘導体化ドラスタチンリンカーと非天然アミノ酸ポリペプチドとの反応によって生じる修飾非天然アミノ酸ポリペプチドである。一実施形態では、キノキサリン結合もしくはフェナジン結合を形成するために1,2-ジカルボニル置換されたドラスタチンリンカー誘導体を用いて誘導体化された、1,2-アリールジアミンを含有する非天然アミノ酸ポリペプチドである。別の実施形態では、キノキサリン結合もしくはフェナジン結合を形成するために1,2-アリールジアミン置換されたドラスタチンリンカー誘導体を用いて誘導体化された、1,2-ジカルボニルを含有する非天然アミノ酸ポリペプチドである。
【0605】
本明細書中のある実施形態では、トリアゾール結合に基づいた非天然アミノ酸ポリペプチドを含む毒性化合物の産生のための誘導体化分子が提供される。いくつかの実施形態では、第1の反応性基および第2の反応性基間の反応は、親双極子反応を介して進めることができる。ある実施形態では、第1の反応性基はアジドとすることができ、第2の反応性基は、アルキンとすることができる。さらなる実施形態または代替的な実施形態では、第1の反応性基はアルキンとすることができ、第2の反応性基はアジドとすることができる。いくつかの実施形態では、ヒュイゲン付加環化反応(例えば、Huisgen, in 1,3-DIPOLAR CYCLOADDITION CHEMISTRY, (ed. Padwa, A., 1984), p. 1-176を参照すればよい)によって、アジド含有側鎖およびアルキン含有側鎖を有している天然にコードされていないアミノ酸が組み込まれ、生じるポリペプチドが極めて高い選択率で修飾されることが可能になる。ある実施形態では、アジド官能基およびアルキン官能基の両方は、天然に存在するポリペプチドに見られる通常の20のアミノ酸に対して不活性である。しかし、非常に近づくと、アジド基およびアルキン基の「ばね荷重」性質が現れ、それらは、ヒュイゲン[3 2]付加環化反応を介して選択的かつ効率的に反応して対応するトリアゾールを生成する。例えば、Chin et al., Science 301 :964-7 (2003); Wang et al., J. Am. Chem. Soc, 125, 3192-3193 (2003); Chin et al., J. Am. Chem. Soc, 124:9026-9027 (2002)を参照すればよい。アジド含有ポリペプチドまたはアルキン含有ポリペプチドに関する付加環化反応は、室温における水性条件の下に、Cu(II)(例えば、触媒量のCuSOの形態が挙げられる)の付加によって、インシチュ(in situ)においてCu(II)をCu(I)に還元する触媒量の還元物質の存在下において、達成され得る。例えば、Wang et al., J. Am. Chem. Soc. 125, 3192-3193 (2003); Tornoe et al., J. Org. Chem.
67:3057-3064 (2002); Rostovtsev, Angew. Chem. Int. Ed. 41 :2596-2599 (2002)を参照すればよい。好適な還元物質としては、アスコルビン酸塩、金属銅、キニーネ、ヒドロキノン、ビタミンK、グルタチオン、システイン、Fe、Coおよび印加された電位が挙げられる。
【0606】
このような非天然アミノ酸ヘテロアリール結合ドラスタチン誘導体は、式(XXXI)、(XXXII)、(XXXIII)、(XXXIV)、(XXXV)、または(XXXVI)の構造を有するアミノ酸を含む。
【0607】
【化144】


【0608】
(式中、
Zは、以下の構造を有し、
【0609】
【化145】
【0610】
は、H、COH、炭素数1~6のアルキル、または、チアゾールであり、
は、OH、または、Hであり、
Arは、フェニル、または、ピリジンであり、
は、H、アミノ保護基、樹脂、少なくとも1つのアミノ酸、ポリペプチド、または、ポリヌクレオチドであり、
は、OH、エステル保護基、樹脂、少なくとも1つのアミノ酸、ポリペプチド、または、ポリヌクレオチドであり、
は、H、ハロゲン、低級アルキル、または、置換低級アルキルであり、
は、炭素数1~6のアルキル、または、水素であり、
L、L、L、L、およびLは、それぞれ、結合、-アルキレン-、-アルキレン-C(O)-、-アルキレン-J-、-(アルキレン-O)-アルキレン-、-(アルキレン-O)-アルキレン-C(O)-、-(アルキレン-O)n-J-、-(アルキレン-O)n-J-アルキレン、-(アルキレン-O)-(CHn’-NHC(O)-(CHn’’-C(Me)-S-S-(CHn’’’-NHC(O)-(アルキレン-O)n’’’’-アルキレン、-(アルキレン-O)-アルキレン-W-、-アルキレン-C(O)-W-、-(アルキレン-O)n-アルキレン-J-、-アルキレン'-J-(アルキレン-O)n-アルキレン-、-(アルキレン-O)n-アルキレン-J-アルキレン'-、-J-(アルキレン-O)n-アルキレン-、-(アルキレン-O)n-アルキレン-J-(アルキレン-O)n'-アルキレン-J'-, -W-, -アルキレン-W-、アルキレン'-J-(アルキレン-NMe)n-アルキレン-W-、-J-(アルキレン-NMe)n-アルキレン-W-、-(アルキレン-O)-アルキレン-U-C(O)-、-(アルキレン-O)-アルキレン-U-アルキレン;-J-アルキレン-NMe-アルキレン'-NMe-アルキレン''-W-,および -アルキレン-J-アルキレン'-NMe-アルキレン''-NMe-アルキレン'''-W-からなる群より選択されるリンカーであり、
Wは、以下の構造を有し、
【0611】
【化146】
【0612】
Uは、以下の構造を有し、
【0613】
【化147】
【0614】
各JおよびJ’は、独立して、以下の構造を有し、
【0615】
【化148】
【0616】
nおよび、n’は、それぞれ独立して、1以上の整数であり、
Dは、以下の構造を有し、
【0617】
【化149】
【0618】
各R17は、独立して、H、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、アルコキシ、置換アルコキシ、アルキルアルコキシ、置換アルキルアルコキシ、ポリアルキレンオキサイド、置換ポリアルキレンオキサイド、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、アルカリル、置換アルカリル、アラルキル、置換アラルキル、-(アルキレン、もしくは、置換アルキレン)-ON(R”)、-(アルキレン、もしくは、置換アルキレン)-C(O)SR”、-(アルキレン、もしくは、置換アルキレン)-S-S-(アリール、もしくは、置換アリール)、-C(O)R”、-C(O)R”、または、-C(O)N(R”)からなる群より選択され(なお、各R”は、独立して、水素、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルコキシ、置換アルコキシ、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、アルカリル、置換アルカリル、アラルキル、または、置換アラルキルである)、
各Zは、結合、CR1717、O、S、NR’、CR1717-CR1717、CR1717-O、O-CR1717、CR1717-S、S-CR1717、CR1717-NR’、または、NR’-CR1717であり、
各R’は、H、アルキル、または、置換アルキルであり、
各Zは、結合、-C(O)-、-C(S)-、任意に置換された炭素数1~3のアルキレン、任意に置換された炭素数1~3のアルケニレン、および、任意に置換されたヘテロアルキルからなる群より選択され、
各Zは、結合、任意に置換された炭素数1~4のアルキレン、任意に置換された炭素数1~4のアルケニレン、任意に置換されたヘテロアルキル、-O-、-S-、-C(O)-、-C(S)-、および、-N(R’)-からなる群より選択され、
各Tは、結合、C(R”)(R”)、O、または、Sであり(ただし、Tが、O、または、Sであるとき、R”は、ハロゲンではない)、
各R”は、H、ハロゲン、アルキル、置換アルキル、シクロアルキル、または、置換シクロアルキルであり、
mおよびpは、0、1、2、または、3であり(ただし、mまたはpのうち少なくとも1つは0でない)、
は、
【0619】
【化150】
【0620】
であり(なお、(a)は、B基への結合を示し、(b)は、複素環基における、それぞれの位置への結合を示す)、
は、
【0621】
【化151】
【0622】
であり(なお、(a)は、B基への結合を示し、(b)は、複素環基における、それぞれの位置への結合を示す)、
は、
【0623】
【化152】
【0624】
であり(ここで、(a)は、B基への結合を示し、(b)は、複素環基における、それぞれの位置への結合を示す)、
各R19は、独立して、炭素数1~6のアルキル、炭素数1~6のアルコキシ、エステル、エーテル、チオエーテル、アミノアルキル、ハロゲン、アルキルエステル、アリールエステル、アミド、アリールアミド、ハロゲン化アルキル、アルキルアミン、アルキルスルホン酸、アルキルニトロ、チオエステル、スルホニルエステル、ハロスルホニル、ニトリル、アルキルニトリル、および、ニトロからなる群より選択され、
qは、0、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、または、11であり、
各R16は、独立して、水素、ハロゲン、アルキル、NO、CN、および、置換アルキルからなる群より選択される。)
いくつかの実施形態では、式(XXXI)の化合物は、式(XXXI-A)の構造を有する化合物を含む。
【0625】
【化153】
【0626】
式(XXXI)、(XXXII)、(XXXIII)、(XXXIV)、(XXXV)、または(XXXVI)の化合物のある実施形態では、Rは、チアゾールまたはカルボン酸である。式(XXXI)、(XXXII)、(XXXIII)、(XXXIV)、(XXXV)、または(XXXVI)の化合物のある実施形態では、Rは、Hである。式(XXXI)の化合物のある実施形態では、Arは、フェニルである。式(XXXI)、(XXXII)、(XXXIII)、(XXXIV)、(XXXV)、または(XXXVI)の化合物のある実施形態では、Rは、メチルである。式(XXXI)、(XXXII)、(XXXIII)、(XXXIV)、(XXXV)、または(XXXVI)の化合物のある実施形態では、nは0から20までの整数である。式(XXXI)、(XXXII)、(XXXIII)、(XXXIV)、(XXXV)、または(XXXVI)の化合物のある実施形態では、nは0から10までの整数である。式(XXXI)、(XXXII)、(XXXIII)、(XXXIV)、(XXXV)、または(XXXVI)の化合物のある実施形態では、nは0から5までの整数である。
【0627】
式(XXXI)、(XXXII)、(XXXIII)、(XXXIV)、(XXXV)、または(XXXVI)の化合物のある実施形態では、Rは、チアゾールまたはカルボン酸である。式(XXXI)、(XXXII)、(XXXIII)、(XXXIV)、(XXXV)、または(XXXVI)の化合物のある実施形態では、Rは、水素である。式(XXXI)、(XXXII)、(XXXIII)、(XXXIV)、(XXXV)、または(XXXVI)の化合物のある実施形態では、Rは、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、ペンチル、もしくはヘキシルである。式(XXXI)、(XXXII)、(XXXIII)、(XXXIV)、(XXXV)、または(XXXVI)の化合物のある実施形態において、Rは、-NH-(アルキレン-O)-NHであり、前記アルキレンは、-CH-、-CHCH-、-CHCHCH-、-CHCHCHCH-、-CHCHCHCHCH-、-CHCHCHCHCHCH-、-CHCHCHCHCHCHCH-、-CHCHCHCHCHCHCHCH-、-CHCHCHCHCHCHCHCHCH-、-CHCHCHCHCHCHCHCHCHCH-、-CHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCH-、または、-CHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCH-である。式(XXXI)、(XXXII)、(XXXIII)、(XXXIV)、(XXXV)、または(XXXVI)の化合物のある実施形態において、前記アルキレンは、メチレン、エチレン、プロピレン、ブチレン、ペンチレン、ヘキシレン、またはヘプチレンである。
【0628】
式(XXXI)、(XXXII)、(XXXIII)、(XXXIV)、(XXXV)、または(XXXVI)の化合物のある実施形態において、Rは、-NH-(アルキレン-O)-NHであり、nは、0、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、または、100である。
【0629】
式(XXXI)、(XXXII)、(XXXIII)、(XXXIV)、(XXXV)、または(XXXVI)の化合物のある実施形態において、Rは、Hである。式(XXXI)の化合物のいくつかの実施形態では、Rは、ヒドロキシである。
【0630】
式(XXXI)、(XXXII)、(XXXIII)、(XXXIV)、(XXXV)、または(XXXVI)の化合物のある実施形態において、Arは、フェニルである。
【0631】
式(XXXI)、(XXXII)、(XXXIII)、(XXXIV)、(XXXV)、または(XXXVI)の化合物のある実施形態において、Rは、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、sec-ブチル、イソブチル、tert-ブチル、ペンチル、もしくはヘキシルである。式(XXXI)の化合物のある実施形態では、Rは、水素である。
【0632】
式(XXXI)、(XXXII)、(XXXIII)、(XXXIV)、(XXXV)、または(XXXVI)の化合物のある実施形態において、L、L、L、L、およびLは、それぞれ独立して、切断可能リンカーまたは非切断可能リンカーである。化学式(VIII)および(IX)の化合物のある実施形態では、L、L、L、L、およびLは、それぞれ独立して、オリゴ(エチレングリコール)誘導体化リンカーである。
【0633】
式(XXXI)、(XXXII)、(XXXIII)、(XXXIV)、(XXXV)、または(XXXVI)の化合物のある実施形態において、アルキレン、アルキレン’、アルキレン’’、およびアルキレン’’’は、それぞれ独立して、-CH-、-CHCH-、-CHCHCH-、-CHCHCHCH-、-CHCHCHCHCH-、-CHCHCHCHCHCH-、-CHCHCHCHCHCHCH-、-CHCHCHCHCHCHCHCH-、-CHCHCHCHCHCHCHCHCH-、-CHCHCHCHCHCHCHCHCHCH-、-CHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCH-、もしくは-CHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCH-である。式(XXXI)、(XXXII)、(XXXIII)、(XXXIV)、(XXXV)、または(XXXVI)の化合物のある実施形態では、アルキレンは、メチレン、エチレン、プロピレン、ブチレン、ペンチレン、へキシレン、もしくはへプチレンである。
【0634】
式(XXXI)、(XXXII)、(XXXIII)、(XXXIV)、(XXXV)、または(XXXVI)の化合物のある実施形態では、n、n’、n’’、n’’’、およびn’’’’は、それぞれ独立して、0、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、もしくは100である。
【0635】
式(XXXI)、(XXXII)、(XXXIII)、(XXXIV)、(XXXV)、または(XXXVI)の化合物のある実施形態では、Rは、ポリペプチドである。式(XXXI)、(XXXII)、(XXXIII)、(XXXIV)、(XXXV)、または(XXXVI)の化合物のある実施形態では、Rは、ポリペプチドである。式(XXXI)、(XXXII)、(XXXIII)、(XXXIV)、(XXXV)、または(XXXVI)の化合物のある実施形態では、ポリペプチドは抗体である。式(XXXI)、(XXXII)、(XXXIII)、(XXXIV)、(XXXV)、または(XXXVI)の化合物のある実施形態では、抗体はハーセプチンである。
【0636】
式(XXXI)、(XXXII)、(XXXIII)、(XXXIV)、(XXXV)、または(XXXVI)の化合物は、一例として、ケトン、エステル、チオエステル、アルデヒド等のカルボニル含有試薬を用いて、芳香族アミン化合物を還元アルキル化することによって形成されてもよい。
【0637】
式(XXXI)、(XXXII)、(XXXIII)、(XXXIV)、(XXXV)、または(XXXVI)の構造を有するこのような非天然アミノ酸複素環結合ドラスタチン誘導体の形成には、(i)ジアミン含有非天然アミノ酸とジカルボニル含有ドラスタチン結合誘導体との反応、またはジアミン含有非天然アミノ酸とケトアルキン含有ドラスタチン結合誘導体との反応、(ii)ジカルボニル含有非天然アミノ酸とジアミン含有ドラスタチン結合誘導体のいずれかとの反応、またはジカルボニル含有非天然アミノ酸とケトアミン含有ドラスタチン結合誘導体との反応、(iii)ケトアルキン含有非天然アミノ酸とジアミン含有ドラスタチン結合誘導体との反応、あるいは(iv)ケトアミン含有非天然アミノ酸とジカルボニル含有vの反応が含まれるが、これらに限定されない。
【0638】
このような反応を用いた本明細書に記載のドラスタチン結合誘導体の修飾には、以下のうちの任意のまたは全ての利点がある。第1に、ジアミンは、約5~8の範囲のpH(さらなる実施形態では約4~10の範囲のpH、他の実施形態では約3~8の範囲のpH、さらに他の実施形態では約4~9の範囲のpH、またさらに他の実施形態では約4~9の範囲のpH、他の実施形態では約4のpH、およびさらに別の実施形態では約8のpH)のジカルボニル含有化合物と縮合し、窒素含有複素環を含む、複素環の結合を生成する。これらの条件下で、天然に存在するアミノ酸の側鎖は、非反応性である。第2に、このような選択的な化学反応により、組み換えタンパク質を部位特異的に誘導体化することできる。これにより、誘導体化タンパク質は、現在定義された均質な生成物として調整することができる。第3に、本発明に記載のジアミンと本発明に記載のジカルボニル含有ポリペプチドとの反応を生じさせるために必要な穏やかな環境は、一般に、上記ポリペプチドの三次構造を不可逆的に破壊するものではない(ただし、上記反応の目的がそのような三次構造を破壊することである場合は、当然この限りではない)。第4に、上記反応は室温で急速に起こり、これにより、高温では不安定な多くの種類のポリペプチドまたは試薬を使用することができる。第5に、上記反応は水性条件で直ちに起こり、これにより、やはり、非水性溶液とは(いかなる程度でも)不適合なポリペプチドおよび試薬を使用することができる。第6に、上記反応は、試薬に対するポリペプチドまたはアミノ酸の比率が化学式通り、化学式通りに近い、または略化学式通りの場合であっても、直ちに起こる。その結果、有用な量の反応生成物を得るために過剰な試薬またはポリペプチドを加える不要がない。第7に、結果として得られる上記複素環は、上記反応物における上記ジアミンおよびジカルボニル部分のデザインによって、位置選択的に、および/または、位置特異的に産生することができる。最後に、ジカルボニル含有分子を用いたジアミンの縮合によって、窒素含有複素環を含む複素環の結合が生成され、この結合は、生物学的条件下で安定している。
【0639】
(VI.非天然アミノ酸のドラスタチン結合誘導体における位置)
本明細書に記載の方法および組成は、1つ以上の非天然アミノ酸のドラスタチン結合誘導体に対する組み込みを含むものである。1つ以上の非天然アミノ酸は、ドラスタチン結合誘導体の活性を破壊しない、1以上の特定の位置に組み込まれ得る。これは、「保存的な」置換(疎水性アミノ酸の非天然または天然の疎水性アミノ酸への置換、かさ高いアミノ酸の非天然または天然のかさ高いアミノ酸への置換、親水性アミノ酸の非天然または天然の親水性アミノ酸への置換が挙げられるが、これらに限定されない)、および/または活性に必要のない位置における非天然アミノ酸の挿入によって実現され得る。
【0640】
種々の生化学的手法および構造的手法が、ドラスタチン結合誘導体内における非天然アミノ酸を用いた置換に所望される部位を選択するために使用され得る。いくつかの実施形態では、非天然アミノ酸はドラスタチン誘導体のC-末端に結合される。他の実施形態では、非天然アミノ酸はドラスタチン誘導体のN-末端に結合される。ドラスタチン結合誘導体の任意の位置が非天然アミノ酸を組み込むための選択に好適であり、また、選択が合理的な設計、または任意の目的もしくは特に所望されていない目的のための任意の選択に基づき得る。所望の部位の選択は、所望される任意の特性もしくは活性(これらに限定されないが、受容体結合調節因子、受容体活性調節因子、結合相手への結合の調節因子、結合相手の活性の調節因子、結合相手の立体構造の調節因子、二量体または多量体の形成、天然の分子に比べて何ら活性および特性に変化をもたらさない、または、例えば可溶性、凝集もしくは安定性のようなポリペプチドの物理的もしくは化学的な特定の操作が挙げられる。)を有している(さらに修飾されるか、もしくは修飾されないままの状態の)非天然アミノ酸ポリペプチドの製造に基づき得る。また代替的に、生物学的な活性にとって重要であると同定された部位は、ポリペプチドに求められている所望の活性に応じた、非天然アミノ酸を用いた置換にとって良好な候補であり得る。他の代替法は、非天然アミノ酸を用いたポリペプチド上の各位置における一連の置換を単に生成すること、およびポリペプチドの活性に対する影響を観察することである。任意のポリペプチドに対する非天然アミノ酸を用いた置換のための部位を選択する任意の手法、技術または方法が、本明細書に記載の方法、技術、および組成における使用にとって好適である。
【0641】
また、天然に存在しており、欠失を含んでいるポリペプチド変異体の構造および活性が試験されて、非天然アミノ酸を用いた置換を許容すると思われるタンパク質の領域を決定し得る。非天然アミノ酸を用いた置換を許容できないと思われる他の残基が排除されていると、残りの位置のそれぞれにおける提案されている置換の影響が、関連ポリペプチド、ならびに任意の会合するリガンドまたは任意の結合タンパク質の三次元構造を含む方法が挙げられるが、これに限定されない方法を用いて試験され得る。多くのポリペプチドのX線結晶構造およびNMR構造は、タンパク質や核酸の大きな分子の三次元構造のデータを含む集中化データベースであって、非天然アミノ酸を用いて置換され得るアミノ酸位置を同定するために当業者が使用できる、Protein Data Bank(PDB、www.rcsb.org)において入手可能である。三次元構造のデータが利用可能ではない場合、ポリペプチドの二次元構造および三次元構造を調査するモデルが作成される。したがって、非天然アミノ酸を用いて置換され得るアミノ酸位置の同定が容易に可能となる。
【0642】
非天然アミノ酸の例示的な組み込み部位は、受容体結合領域として見込みのある領域または結合タンパク質または結合リガンドに結合する領域から除外される部位であり、完全または部分的に溶媒に露出され得る部位、近傍の残基との水素結合相互作用を最小に有しているか、もしくは有していない部位、近傍の反応性残基に対して最小に露出され得る部位、および/または特定のポリペプチドが、関連する受容体、リガンドまたは結合タンパク質を伴う三次元結晶構造によって予測される柔軟性の高い領域にあり得るが、これらに限定されない。
【0643】
種々の非天然アミノ酸は、ポリペプチドにおける所定の位置のアミノ酸と置換され得るか、この所定の位置に組み込まれ得る。一例として、特定の非天然アミノ酸は、ポリペプチドの会合するリガンド、受容体および/または結合タンパク質をともなうポリペプチドの三次元結晶構造の調査、ならびに保存的置換の優先に基づいて組み込むために選択され得る。
【0644】
一実施形態では、本発明に記載の方法は、第1の反応性基を含んでいるドラスタチン結合誘導体を組み込むこと;およびタンパク質を第2の反応性基を含んでいる分子(第2のタンパク質、ポリペプチド、もしくはポリペプチド類似物;抗体もしくは抗体断片;およびこれらのうちいずれかの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない)と接触させることを包含している。ある実施形態では、上記第1の反応性基はヒドロキシルアミン部分であり、上記第2の反応性基はカルボニル部分またはジカルボニル部分であり、これによってオキシム結合が形成される。ある実施形態では、上記第1の反応性基はカルボニル部分またはジカルボニル部分であり、上記第2の反応性基はヒドロキシルアミン部分であり、これによってオキシム結合が形成される。ある実施形態では、上記第1の反応性基はカルボニル部分またはジカルボニル部分であり、上記第2の反応性基はオキシム部分であり、これによってオキシム交換反応が起こる。ある実施形態では、上記第1の反応性基はオキシム部分であり、上記第2の反応性基はカルボニル部分またはジカルボニル部分であり、これによってオキシム交換反応が起こる。
【0645】
いくつかの場合に、ドラスタチン結合誘導体の(複数の)組み込みは、化学的、物理的、薬理学的および/または生物学的な他の性質に影響するポリペプチド内の他の付加、置換または欠失と組み合わせられる。いくつかの場合に、上記他の付加、置換または欠失はポリペプチドの安定性(タンパク質分解性の分解に対する耐性が挙げられるが、これに限定されない)を増大させ得るか、またはポリペプチドの該当する受容体、リガンド、および/または結合タンパク質に対するポリペプチドの親和性を増大させ得る。いくつかの場合に、他の付加、置換または欠失は、ポリペプチドの可溶性(E. coliまたは他の宿主細胞において発現される場合が挙げられるが、これらに限定されない)を増強し得る。いくつかの実施形態では、E. coliまたは他の宿主細胞における発現の後におけるポリペプチドの可溶性を増強させる目的で行う非天然アミノ酸の組み込みのための他の部位に加えて、天然にコードされたアミノ酸または非天然アミノ酸を用いた置換のための部位が選択される。いくつかの実施形態では、ポリペプチドは、会合する受容体、結合タンパク質、および/または受容体に対する親和性を調節するか、受容体の二量化を調節する(増加または低下するが、これらに限定されない)か、受容体二量体を安定化するか、循環半減期を調節するか、精製を容易にするか、特定の投与経路を改善するか、または変更する他の付加、置換または欠失を含んでいる。同様に、非天然アミノ酸ポリペプチドは、化学的または酵素的な切断配列、プロテアーゼ切断配列、反応性基、抗体結合ドメイン(FLAGまたはポリ-Hisが挙げられるが、これらに限定されない)もしくは他の親和性に基づく配列(FLAG、ポリ-His、GSTなど挙げられるが、これらに限定されない)、または結合分子(ビオチンが挙げられるが、これに限定されない)を含み得る。当該結合分子は、検出を向上させる分子(GFPが挙げられるが、これに限定されない)、精製、組織もしくは細胞膜を介した輸送、プロドラッグの放出もしくは活性化、サイズの低下またはポリペプチドの他の特色を向上させる分子である。
【0646】
(VII.典型例としてのHER2遺伝子)
本明細書に記載の方法、組成物、戦略および技術は、ポリペプチドまたはタンパク質の特定の形式、種類、もしくはファミリーに限定されるものではない。実際のところ、実質的に任意のポリペプチドが、本明細書に記載のドラスタチン結合誘導体を含有する少なくとも1つの「修飾または非修飾された」非天然アミノ酸を含むように、設計または変更することができる。単なる一例として、上記ポリペプチドは、次に示すものからなる群より選択される治療用タンパク質と相同であり得る:α-1アンチトリプシン、アンギオスタチン、抗溶血性因子、抗体、抗体断片、モノクローナル抗体(例えば、ベバシズマブ、セツキシマブ、パニツムマブ、インフリキシマブ、アダリムマブ、バシリキシマブ、ダクリズマブ、オマリズマブ、ウステキヌマブ、エタネルセプト、ゲムツズマブ、アレムツズマブ、リツキシマブ、トラスツズマブ、ニモツズマブ、パリビズマブ、およびアブシキシマブ)、アポリポタンパク質、アポ蛋白、心房性ナトリウム利尿因子、心房性ナトリウム利尿ポリペプチド、心房性ペプチド、C-X-Cケモカイン、T39765、NAP-2、ENA-78、gro-a、gro-b、gro-c、IP-10、GCP-2、NAP-4、SDF-1、PF4、MIG、カルシトニン、c-kitリガンド、サイトカイン、CCケモカイン、単球走化性タンパク質-1、単球走化性タンパク質-2、単球走化性タンパク質-3、単球の炎症性タンパク質-1α、単球の炎症性タンパク質-iβ、ランテス(RANTES)、1309、R83915、R91733、HCC1、T58847、D31065、T64262、CD40、CD40リガンド、c-kitリガンド、コラーゲン、コロニー刺激因子(CSF)、補体因子5a、補体阻害剤、補体受容体1、サイトカイン、活性化上皮好中球ペプチド-78、MIP-16、MCP-1、上皮成長因子(EGF)、上皮好中球活性化ペプチド、エリスロポエチン(EPO)、剥離性毒素、第IX因子、第VII因子、第VIII因子、第X因子、線維芽細胞増殖因子(FGF)、フィブリノーゲン、フィブロネクチン、四螺旋束タンパク質、G-CSF、glp-1、GM-CSF、グルコセレブロシダーゼ、性腺刺激ホルモン、成長因子、成長因子受容体、grf、ヘッジホッグタンパク質、ヘモグロビン、肝細胞増殖因子(hGF)、ヒルジン、ヒト成長ホルモン(hGH)、ヒト血清アルブミン、ICAM-1、ICAM-1受容体、LFA-1、LFA-1受容体、インスリン、インスリン様成長因子(IGF)、IGF-I、IGF-II、インターフェロン(IFN)、IFN-α、IFN-β、IFN-γ、インターロイキン(IL)、IL-1、IL-2、IL-3、IL-4、IL-5、IL-6、IL-7、IL-8、IL-9、IL-10、IL-11、IL-12、ケラチノサイト成長因子(KGF)、ラクトフェリン、白血病抑制因子、ルシフェラーゼ、ノルトリン、白血球阻害因子(NIF)、オンコスタチンM、骨形成タンパク質、癌遺伝子産物、パラシトニン(paracitonin)、副甲状腺ホルモン、PD-ECSF、PDGF、ペプチドホルモン、プレイオトロピン(pleiotropin)、プロテインA、プロテインG、pth、発熱性外毒素A、発熱性外毒素B、発熱性外毒素C、pyy、リラキシン、レニン、SCF、生合成低分子タンパク質、可溶性補体受容体I、可溶性I-CAM1、可溶性インターロイキン受容体、可溶性TNF受容体、ソマトメジン、ソマトスタチン、ソマトトロピン、ストレプトキナーゼ、超抗原、ブドウ球菌エンテロトキシン、SEA、SEB、SEC1、SEC2、SEC3、SED、SEE、ステロイドホルモン受容体、スーパーオキシドジスムターゼ、毒素性ショック症候群毒素、チモシンα1、組織プラスミノーゲン活性化因子、腫瘍増殖因子(TGF)、腫瘍壊死因子、腫瘍壊死因子α、腫瘍壊死因子β、腫瘍壊死因子受容体(TNFR)、VLA-4タンパク質、VCAM-1タンパク質、血管内皮増殖因子(VEGF)、ウロキナーゼ、mos、ras、raf、met、p53、tat、fos、myc、jun、myb、rel、エストロゲン受容体、プロゲステロン受容体、試験ステロン受容体、アルドステロン受容体、LDL受容体、およびコルチコステロン。
【0647】
一実施形態では、乳癌、小細胞肺癌、卵巣癌、前立腺癌、胃癌、子宮頚癌、食道癌、および結腸癌からなる群より選択される、HER-2が過剰発現する固形腫瘍を治療するための方法である。別の実施形態では、固形腫瘍は乳癌である。さらなる実施形態では、固形腫瘍は、卵巣癌である。
【0648】
したがって、例示を目的として、また単なる一例として、トラスツズマブについて以下に説明するが、本明細書に記載の方法、組成物、戦略および技術の範囲を限定するものではない。さらに、本願におけるトラスツズマブに対する言及は、任意の抗体の一例として一般的な用語を使用することを意図されている。したがって、トラスツズマブを参照して本明細書に記載されている修飾および化学的性質は、任意の抗体またはモノクローナル抗体(本明細書に特に挙げられている抗体が挙げられる)に対して等しく適用され得ることが理解される。
【0649】
トラスツズマブは、HER2/neu受容体の細胞外セグメントの領域IVに結合するヒトモノクローナル抗体である。HER2遺伝子(HER2/neu遺伝子やErbB2遺伝子としても知られる)は、HER2遺伝子を過剰に発現させる早期乳癌の20~30%において増幅される。また、癌において、HER2は、任意の受容体に到着して結合するマイトジェンを介さずにシグナルを送ることができ、これによりHER2が過剰に活動する。
【0650】
HER2は細胞膜を通って延び、そして細胞の外側から内側へシグナルを搬送する。健康な人では、マイトジェンと呼ばれるシグナル伝達化合物が、細胞膜に到達して、受容体のHERファミリーの他のメンバーの外側の部分に結合する。それらのバウンド受容体は、HER2と結合(二量体化)し、HER2を活性化させる。それから、HER2は、細胞の内部にシグナルを送る。上記シグナルは異なる生化学的経路を通過する。この経路には、P13K/Akt経路とMAPK経路が含まれる。これらのシグナルによって、細胞の血管(血管形成)の浸潤、生存および成長が促進される。
【0651】
トラスツズマブで処理された細胞は、細胞周期のGIフェーズ中に停止を受けるため、増殖が低減される。なお、トラスツズマブは、HER2/neuのダウンレギュレーションによって、トラスツズマブの効果の一部を誘導し、これにより受容体の二量体化の破壊に至るとともに、下流のPI3Kカスケードを介したシグナル伝達を行うことが示唆されている。次いで、P27Kiplがリン酸化され、細胞核に入ってcdk2の活性を阻害することができ、これにより細胞周期の停止を引き起こす。また、トラスツズマブは、抗血管新生因子の誘導と血管新生促進因子の抑圧とを両方行い、血管新生を抑制する。癌において観察される無秩序な成長に寄与する原因が、細胞外ドメインの解放をもたらすHER2/neuのタンパク質分解的切断にある可能性が考えられている。トラスツズマブは、乳癌細胞におけるHER2/neuのエクトドメイン切断を阻害することが証明されている。
【0652】
(VIII.非天然アミノ酸の細胞の取り込み)
真核細胞による非天然アミノ酸の取り込みは、タンパク質への組み込みを目的として(限定されないが、これが挙げられる)、非天然アミノ酸を設計および選択するときに典型的に考慮される1つの課題である。例えば、α-アミノ酸の高い電荷密度はこれらの化合物が細胞透過性ではあり得ないことを意味する。天然アミノ酸はタンパク質に基づく輸送系の収集を介して真核細胞に取り込まれる。非天然アミノ酸が少しでも細胞によって取り込まれるならば、これを評価する急速なふるいが行われ得る(本明細書の実施例15および16において、非天然アミノ酸に対して行われる試験の非限定的な例を例示している)。例えば、参照によって本明細書に組み込まれる「Protein Arrays」と題された米国特許公報第2004/198637号、ならびにLiu, D.R. & Schultz, P.G. (1999) Progress toward the evolution of an organism with an expanded genetic code. PNAS United
States 96:4780-4785 における、例えば、毒性アッセイを参照すればよい。取り込みは、多様なアッセイを用いて容易に分析されるが、細胞の取り込み経路に受け容れられる非天然アミノ酸の設計ための代替案は、インビボにおいてアミノ酸を作り出す生合成経路を提供することである。
【0653】
典型的に、本明細書に記載されるような細胞の取り込みを介して生成される非天然アミノ酸は、タンパク質の効率的な生合成に十分な濃度(天然の細胞における量が挙げられるが、これに限定されない)において生成されるが、他のアミノ酸の濃度に影響するか、または細胞性の資源を枯渇させない。この方法で生成される典型的な濃度は、約10mMから0.05mMである。
(IX.非天然アミノ酸の生合成)
多くの生合成経路が、アミノ酸および他の化合物を生成するために細胞にすでに存在している。特定の非天然アミノ酸のための生合成方法は、天然(真核細胞内が挙げられるが、これに限定されない)に存在し得ない一方で、本明細書に記載される方法および組成物はそのような方法を提供する。例えば、非天然アミノ酸のための生合成経路は、新しい酵素の添加、または存在する宿主細胞経路の改変によって宿主細胞において生成され得る。追加の新しい酵素には、天然に存在する酵素または人工的に開発された酵素が含まれる。例えば、p-アミノフェニルアラニンの生合成(国際公開第2002/085923号(名称:「In vivo incorporation of unnatural amino acids」)における一例に示されるように)は、他の生物に由来する公知の酵素の組み合わせの追加を基にしている。これらの酵素に関する遺伝子は、当該遺伝子を含んでいるプラスミドを用いた真核細胞の形質転換によって、当該細胞に導入され得る。細胞において発現される場合に、当該遺伝子は所望の化合物を合成する酵素経路をもたらす。必要に応じて添加されるこの種の酵素の例は、本明細書に示されている。追加の酵素の配列は例えばジーンバンクに見出される。また、人工的に開発した酵素は同様の方法において細胞の中に加えられ得る。この方法において、細胞性機構および細胞資源は非天然アミノ酸を生成するために操作される。
【0654】
種々の方法が、生合成経路に使用するための新規な酵素の生成、または存在する経路の発展に利用可能である。例えばMaxygen(www.maxigen.comのワールドワイドウェブ上において利用可能である)によって開発されたような(限定されないが、これが挙げられる)、反復的な組み換えは、新規の酵素および経路の開発に使用され得る。例えば、Stemmer (1994), Rapid evolution of a protein in vitro by DNA shuffling, Nature 370(4):389- 391、および、Stemmer, (1994), DNA shuffling by random fragmentation and reassembly: In vitro recombination for molecular evolution, Proc. Natl. Acad. Sci. USA., 91:10747-10751を参照すればよい。同様に、Genencor(genencor.comのワールドワイドウェブ上において利用可能である)によって開発されたDesignPath(商標)は、代謝経路操作(細胞において非天然アミノ酸を作り出す経路の操作が挙げられるが、これに限定されない)に任意に使用される。この技術は、新しい遺伝子(機能的なゲノミクスを介して同定された遺伝子が挙げられるが、これに限定されない)、ならびに分子進化および設計の組み合わせを用いて、宿主生物に存在する経路を再構築する。また、Diversa Corporation(diversa.comのワールドワイドウェブ上において利用可能である)は、非天然アミノ酸を生合成するための新しい経路を作り出すための(限定されないが、これが挙げられる)、遺伝子および遺伝子経路のライブラリを迅速にスクリーニングする技術を提供している。
【0655】
典型的に、本明細書で記載される設計された生合成経路を用いて生成された非天然アミノ酸は、タンパク質の効率的な生合成に十分な濃度(天然の細胞における量が挙げられるが、これに限定されない)において生成されるが、他のアミノ酸の濃度に影響するか、または細胞性の資源を枯渇させない。この方法においてインビボにおいて生成される典型的な濃度は、約10mMから0.05mMである。ひとたび、特定の経路に関して所望される酵素の生成に使用される遺伝子を含んでいるプラスミドを用いて、細胞が形質転換され、非天然アミノ酸が生成されると、リボソームタンパク質の合成および細胞増殖の両方に対して、非天然アミノ酸の生成をさらに最適化するために、必要に応じてインビボセレクションが使用される。
【0656】
(X.追加の合成方法論)
本明細書において記載される非天然アミノ酸は、従来技術に記載されている方法論を用いて、または本明細書において記載されている技術を用いて、またはそれらの組み合わせにより合成してもよい。その助けとして、以下の表に、所望の官能基を作り出すために組み合わせることができる種々の出発求電子剤および求核剤を示す。以下に示す情報は単なる例示であり、本明細書に記載される合成技術を限定するものではない。
【0657】
(表1:共有結合およびその前駆体の例)
【0658】
【表1】
【0659】
一般的に、炭素求電子剤は、炭素求核剤を含む相補的な求核剤による攻撃の影響を受けやすく、攻撃する求核剤は、求核剤と炭素求電子剤の間に新たな結合を形成するために、電子対を炭素求電子剤に持っていく。
【0660】
炭素求核剤の例としては、アルキル、アルケニル、アリールおよびアルキニルグリニャール、有機リチウム、有機亜鉛、アルキル-、アルケニル-、アリール-およびアルキニル-スズ試薬(有機スタンナン)、アルキル-、アルケニル-、アリール-およびアルキニル-ボラン試薬(有機ボランまたは有機ボロネート)が挙げられるが、これらに限定されるものではない。これらの炭素求核剤は、水中や極性有機溶媒中で動力学的に安定であるという利点を有している。炭素求核剤の他の例としては、リンイリド、エノール、エノラート試薬が挙げられるが、これらに限定されるものではない。これらの炭素求核剤は、有機合成化学の当業者に周知の前駆体から生成するのが比較的容易であるという利点を有する。炭素求核剤は、炭素求電子剤と併せて用いると、炭素求核剤と炭素求電子剤間に新たな炭素-炭素結合を発生させる。
【0661】
炭素求電子剤との結合に適した非炭素求核剤の例としては、1級アミンおよび2級アミン、チオール、チオラート、およびチオエーテル、アルコール、アルコキシド、アジド、セミカルバジドなどが挙げられるが、これらに限定されるものではない。これらの非炭素求核剤は、炭素求電子剤と併せて用いると、通常、ヘテロ原子結合(C-X-C)(Xは、酸素、硫黄、窒素を含む(ただしこれらに限定されない)ヘテロ原子である)を生成する。
【0662】
〔実施例〕
(実施例1:化合物<1>の合成)
(スキーム1)
【0663】
【化154】
【0664】
化合物<1-3>:テトラ(エチレングリコール)<1-1>(10g、51.5mmol)、N-ヒドロキシフタルイミド<1-2>(8.4g、51.15mmol)およびトリフェニルホスフィン(17.6g、67mmol)を300mLのテトラヒドロフランに溶解させた後、DIAD(12.8mL、61.78mmol)を0℃で加えた。生じた溶液を一晩室温で撹拌した後、乾燥させるまで濃縮した。残渣をフラッシュカラムクロマトグラフィーにより精製し、5.47g(31%)の化合物<1-3>を得た。
【0665】
化合物<1-4>:ジクロロメタン15mL中に化合物<1-3>(200mg、0.59mmol)を含む溶液に、デス・マーチン・ペルヨージナン(300mg、0.71mmol)を加えた。反応混合物を周辺温度で一晩撹拌した。15mLの飽和重炭酸ナトリウム中に亜硫酸水素ナトリウムを含む溶液で、反応を停止させた。混合物を分離し、有機層を、飽和重炭酸ナトリウム、塩水で洗浄し、硫酸ナトリウムに通して乾燥させ、真空でろ過し濃縮した。残渣をフラッシュカラムクロマトグラフィーにより精製し、150mg(75%)の化合物<1-4>を得た。
【0666】
化合物<1-6>:1mLのDMF中にモノメチルドラスタチン塩酸塩<1-5>(50mg、0.062mmol)を含む溶液に、化合物<1-4>(63mg、0.186mmol)および70μLの酢酸を加えた後、8mgのシアノ水素化ホウ素ナトリウムを加えた。生じた混合物を周囲温度において2時間撹拌した。反応混合物を水で希釈し、HPLCで精製し、60mg(80%)の化合物<1-6>を得た。MS (ESI) m/z 547 [M+2H], 1092 [M+H].1d.
化合物<1>:化合物<1-6>(60mg、0.05mmol)を1mLのDMFに溶解した。32μLのヒドラジンを加え、生じた溶液を周囲温度において1時間撹拌した。1N 塩酸塩溶液で反応を停止させた。反応混合物をHPLCで精製し、33mg(55%)の化合物<1>を得た。MS (ESI) m/z 482 [M+2H], 962 [M+H].
(実施例2:化合物<2>の合成)
(スキーム2)
【0667】
【化155】

実施例1に記載のものと同様の合成経路で化合物<2>を合成した。MS (ESI)
m/z 460 [M+2H], 918 [M+H].
(実施例3:化合物3の合成)
(スキーム3)
【0668】
【化156】
【0669】
実施例1に記載のものと同様の合成経路で化合物<3>を合成した。MS (ESI)
m/z 438 [M+2H], 974 [M+H].
(実施例4:化合物<4>の合成)
化合物<4-2>:10mLのDMF中にVal(OtBu)-OH.HCl<4-1>(1g、4.77mmol)およびブロモエタノール(304.7μL、4.3mmol)を含む溶液に、1.68mlのDIEAを加えた。反応混合物を室温で2日間撹拌した。4.8mmolのBocOを反応混合物に加えた後、0.84mLのDIEAを加えた。反応混合物を室温で2日間撹拌した。反応混合物を真空で濃縮し、酢酸エチルを用いて抽出し、水、塩水で洗浄し、硫酸ナトリウムに通して乾燥させ、真空で濃縮した。残渣をフラッシュカラムクロマトグラフィーで精製し、0.66gの化合物<4-2>を得た。
【0670】
(スキーム4)
【0671】
【化157】
【0672】
化合物<4-3>:15mLのTHF中に化合物<4-2>(500mg、1.58mmol)、N-ヒドロキシフタルイミド(261mg、1.6mmol)およびトリフェニルホスフィン(538mg、2.05mmol)を含む溶液に、0℃でDIAD(394μL、1.9mmol)を加えた。生じた溶液を室温で一晩撹拌した後、真空で濃縮した。残渣をフラッシュカラムクロマトグラフィーで精製し、0.68gの化合物<4-3>を得た。
【0673】
化合物<4-4>:化合物<4-3>を15mLの4N HCl/ジオキサンに溶解した。反応混合物を室温で2日間撹拌し、真空で濃縮した。残渣をDMFに溶解し、BocO(230μL、1mmol)およびDIEA(352μL、2mmol)で処理した。反応混合物を室温で2日間撹拌した。反応混合物をHPLCで精製し、100mgの化合物<4-4>を得た。
【0674】
化合物<4-5>:DMF中に化合物Boc-Val-Dil-メチルDap-OHを含む溶液に、phe(OtBu)-OH.HCl、HATUおよびN-メチルモルホリンを加えた。反応混合物を室温で4時間撹拌した。反応混合物を真空で濃縮し、酢酸エチル(100mL×1、50mL×2)で抽出した。有機層を塩水と混合し洗浄し、硫酸ナトリウムに通して乾燥させ、真空で濃縮した。残渣をフラッシュクロマトグラフィーで精製した。生じた化合物をHCl/EtOACで処理し、化合物<4-5>を得た。
【0675】
化合物<4-6>:DMF中に化合物<4-5>を含む溶液に、化合物<4-4>、HATU、DIEAを加えた。反応混合物を室温で4時間撹拌した。反応混合物を真空で濃縮し、酢酸エチル(100mL×1、50mL×2)で抽出した。有機層を塩水と混合し洗浄し、硫酸ナトリウムに通して乾燥させ、真空で濃縮した。残渣をフラッシュクロマトグラフィーで精製し、化合物<4-6>を得た。
【0676】
化合物<4-7>:化合物<4-6>を15mLの4N HCl/ジオキサンに溶解した。反応混合物を室温で2時間撹拌し、真空で濃縮し、化合物<4-7>を得た。
【0677】
化合物<4-8>:1mLのDMF中に化合物<4-7>を含む溶液に、ホルミルアルデヒドおよび酢酸を加えた後、シアノ水素化ホウ素ナトリウムを加えた。生じた混合物を周囲温度で2時間撹拌した。反応混合物を水で希釈し、HPLCで精製し、化合物<4-8>を得た。
【0678】
化合物<4>:化合物<4-8>を1mLのDMFに溶解させた。ヒドラジンを加えた。生じた溶液を周囲温度で1時間撹拌した。1N 塩酸塩溶液で反応を停止した。反応混合物をHPLCで精製し、化合物<4>を得た。
【0679】
(実施例5:化合物<5>の合成)
化合物<4-7>を1mLのDMFに溶解させた。ヒドラジンを加えた。生じた溶液を周囲温度で1時間撹拌した。1N 塩酸塩溶液で反応を停止した。反応混合物をHPLCで精製し、化合物<5>を得た。
【0680】
(実施例6:化合物<6>の合成)
(スキーム6)
【0681】
【化158】
【0682】
化合物<6-2>:3mLのDMF中に化合物<6-1>(500mg、0.875mmol)を含む溶液に、283mgのフェニルアラニン塩酸塩、433mgのHATUおよび581μLのN-メチルモルホリンを加えた。反応混合物を室温で4時間撹拌した。反応混合物を真空で濃縮し、酢酸エチル(100mL×1、50mL×2)で抽出した。有機層を塩水と混合し洗浄し、硫酸ナトリウムに通して乾燥させ、真空で濃縮した。残渣をフラッシュクロマトグラフィーで精製し、560mg(76%)の化合物<6-2>を得た。
【0683】
化合物<6-3>:化合物<6-2>を15mLの4N HCl/ジオキサンに溶解させた。反応混合物を室温で2時間撹拌し、真空で濃縮し、511mgの化合物<6-3>を得た。
【0684】
化合物<6-4>:3mLのDMF中に化合物<6-3>(368mg、0.55mmol)を含む溶液に、255mgのBoc-N-methyl valine、314mgのHATUおよび303μLのN-メチルモルホリンを加えた。反応混合物を室温で4時間撹拌した。反応混合物を真空で濃縮し、酢酸エチル(100mL×1、50mL×2)で抽出した。有機層を塩水と混合し洗浄し、硫酸ナトリウムに通して乾燥させ、真空で濃縮した。残渣をフラッシュクロマトグラフィーで精製し、370mg(79%)の化合物<6-4>を得た。
【0685】
化合物<6-5>:10mLのMeOH中に化合物<6-4>(170mg)を含む溶液に、5eqの1N LiOHを加えた。反応混合物を室温で2時間撹拌した。反応混合物を1NHClで酸性化し、酢酸エチルで抽出し、塩水で洗浄し、硫酸ナトリウムに通して乾燥させ、真空で濃縮し、150mg(90%)の化合物<6-5>を得た。
【0686】
化合物<6-6>:化合物<6-5>を4N HCl/ジオキサンに溶解させた。反応混合物を室温で2時間撹拌し、真空で濃縮し、HPLCで精製し、150mgの化合物<6-6>を得た。
【0687】
化合物<6-7>:1mLのDMF中に化合物<6-6>(50mg、0.062mmol)を含む溶液に、化合物<1-4>(63mg、0.186mmol)および70μLの酢酸を加えた後、8mgのシアノ水素化ホウ素ナトリウムを加えた。生じた混合物を周囲温度で2時間撹拌した。反応混合物を水で希釈し、HPLCで精製し、60mg(80%)の化合物<6-7>を得た。
【0688】
化合物<6>:化合物<6-7>(60mg、0.05mmol)を1mLのDMFに溶解させた。32μLのヒドラジンを加えた。生じた溶液を周囲温度で1時間撹拌した。1N 塩酸塩溶液で反応を停止した。反応混合物をHPLCで精製し、33mg(55%)の化合物<6>を得た。
【0689】
(実施例7:化合物<7>の合成)
(スキーム7)
【0690】
【化159】
【0691】
化合物<1>と同様の合成経路で化合物<7>を合成した。MS (ESI) m/z
440 [M+2H], 879 [M+H].
(実施例8:化合物<8>の合成)
(スキーム8)
【0692】
【化160】
【0693】
化合物<1>と同様の合成経路で化合物<8>を合成した。MS (ESI) m/z
418 [M+2H], 835 [M+H].
(実施例9:化合物<9>の合成)
(スキーム9)
【0694】
【化161】
【0695】
化合物<9-1>:DMF中に化合物Boc-Val-Dil-methylDap-OHを含む溶液に、4-(2-アミノエチル)ピリジン、HATUおよびN-メチルモルホリンを加えた。反応混合物を室温で4時間撹拌した。反応混合物を真空で濃縮し、酢酸エチル(100mL×1、50mL×2)で抽出した。有機層を塩水と混合し洗浄し、硫酸ナトリウムに通して乾燥させ、真空で濃縮した。残渣をフラッシュクロマトグラフィーで精製した。生じた化合物をHCl/EtOACで処理し、化合物<9-1>を得た。
【0696】
化合物<9-2>:DMF中に化合物<9-1>を含む溶液に化合物<4-4>、HATUおよびDIEAを加えた。反応混合物を室温で4時間撹拌した。反応混合物を真空で濃縮し、酢酸エチル(100mL×1、50mL×2)で抽出した。有機層を塩水と混合し洗浄し、硫酸ナトリウムに通して乾燥させ、真空で濃縮した。残渣をフラッシュクロマトグラフィーで精製し、化合物<9-2>を得た。
【0697】
化合物<9-3>:化合物<9-2>を15mLの4N HCl/ジオキサンに溶解させた。反応混合物を室温で2時間撹拌し、真空で濃縮し、化合物<9-3>を得た。
【0698】
化合物<9-4>:1mLのDMF中に化合物<9-3>を含む溶液に、ホルミルアルデヒドおよび酢酸を加えた後、シアノ水素化ホウ素ナトリウムを加えた。生じた混合物を周囲温度で2時間撹拌した。反応混合物を水で希釈し、HPLCで精製し、化合物<9-4>を得た。
【0699】
化合物<9>:化合物<9-4>を1mLのDMFに溶解させた。ヒドラジンを加えた。生じた溶液を周囲温度で1時間撹拌した。1N 塩酸塩溶液で反応を停止した。反応混合物をHPLCで精製し、化合物<9>を得た。
【0700】
(実施例10:化合物<10>の合成)
(スキーム10)
【0701】
【化162】
【0702】
化合物<10>:化合物<9-3>を1mLのDMFに溶解させた。ヒドラジンを加えた。生じた溶液を周囲温度で1時間撹拌した。1N 塩酸塩溶液で反応を停止した。反応混合物をHPLCで精製し、化合物<10>を得た。
【0703】
(実施例11:化合物<11>の合成)
【0704】
【化163】
【0705】
化合物<11-3>:100mLのテトラヒドロフラン中にテトラ(エチレングリコール)<11-1>(40.6mL、235mmol)を含む溶液に、ナトリウム47mgを添加した。ナトリウムの溶解後、12mLのアクリル酸tert-ブチルを添加した。反応混合物を室温で24時間撹拌した。反応混合物を真空で濃縮し、2mLの1N塩酸でクエンチした。残渣を食塩水に懸濁させ、酢酸エチル(100mL×1,50mL×2)を用いて抽出した。有機層をまとめ、食塩水での洗浄、硫酸ナトリウムによる乾燥、真空で濃縮することにより、6.4g(23%)の化合物<11-3>を得た。
【0706】
化合物<11-5>:化合物<11-3>(1.0g、3.12mmol)、N-ヒドロキシフタルイミド(611mg、3.744mmol)およびトリフェニルホスフィン(1.23g、4.68mmol)を、20mLのテトラヒドロフランに溶解させた後、DIAD(0.84mL,4.06mmol)を、0℃で添加した。得られた溶液を室温で一晩撹拌した後、乾燥するまで濃縮した。残渣を、SiliaSepカートリッジ(80g)を用い、0~100%の酢酸エチル/ヘキサンを用いて溶離させるフラッシュカラムクロマトグラフィーにより精製し、1.0g(100%)の化合物<11-5>を得た。
【0707】
化合物<11-6>:化合物<11-5>を15mLの4N HCl/ジオキサンに溶解させた。反応混合物を室温で2時間撹拌し、真空で濃縮し、1.0mgの化合物<11-6>を得た。
【0708】
化合物<11-8>:1mLのDMF中に、モノメチルドラスタチン塩酸塩(30mg、0.0372mmol)、化合物<11-6>(31mg、0.0744mmol)、およびPyBroP(38.2mg、0.082mmol)を含む溶液に、33μL(0.186 mmol)のジイソプロピルエチルアミンを添加した。反応混合物を室温で5時間撹拌した。反応混合物をHPLCで精製し、28mg(65%)の化合物<11-8>を得た。MS (ESI) m/z 785 [M+2H], 1164[M+H]。
【0709】
化合物<11-8>:化合物<11-8>(28mg、0.024mmol)を1mLのDMFに溶解した。23μL(0.72 mmol)の無水ヒドラジンを添加した。得られた溶液を室温で1時間撹拌した。反応物を1N塩酸溶液を用いてクエンチした。反応混合物を分取HPLCにおいて、20~70%のアセトニトリル/水を用いて20分、254nmで溶離させて精製し、20mg(66%)の化合物<11>を得た。MS (ESI) m/z 518 [M+2H], 1034[M+H]。
【0710】
(実施例12:化合物<11>の合成)
【0711】
【化164】
【0712】
化合物<12-2>:DMF3mL中に化合物<12-1>(500mg,0.875mmol)を含む溶液に、283mgのフェニルアラニン塩酸塩、433mgのHATU、および581μLのN-メチルモルホリンを添加した。反応混合物を室温で4時間撹拌した。反応混合物を真空で濃縮し、酢酸エチル(100mL×1、50mL×2)で抽出した。有機層をまとめ、塩水で洗浄し、硫酸ナトリウムを通して乾燥させ、真空で濃縮した。残渣をフラッシュクロマトグラフィーで精製し、560mg(76%)の化合物<12-2>を得た。
【0713】
化合物<12-3>:化合物<12-2>を、15mLの4N塩酸/ジオキサンに溶解した。反応混合物を室温で2時間撹拌し、真空で濃縮し、511mgの化合物<12-3>を得た。
【0714】
化合物<12-4>:3mLのDMF中に化合物<12-3>(368mg,0.55mmol)を含む溶液に、255mgのBoc-N-メチルバリン、314mgのHATTU、および303μLのN-メチルモルホリンを添加した。
【0715】
反応混合物を室温で4時間撹拌した。反応混合物を真空で濃縮し、酢酸エチル(100mL×1、50mL×2)で抽出した。有機層をまとめ、塩水で洗浄し、硫酸ナトリウムを通して乾燥させ、真空で濃縮した。残渣をフラッシュクロマトグラフィーで精製し、370mg(79%)の化合物<12-4>を得た。
【0716】
化合物<12-5>:10mLのメタノール中に化合物<12-4>(170mg)を含む溶液に、5当量の1N水酸化リチウムを添加した。反応混合物を室温で2時間撹拌した。反応混合物を1N塩酸によって酸性化し、酢酸エチルで抽出し、塩水で洗浄し、硫酸ナトリウムを通して乾燥させ、真空で濃縮し、150mg(90%)の化合物<12-5>を得た。
【0717】
化合物<12-6>:化合物<12-5>を4N塩酸/ジオキサンに溶解した。反応混合物を室温で2時間撹拌し、真空で濃縮し、HPLCで精製し、150mgの化合物<12-6>を得た。
【0718】
化合物<12-7>:DMF中に化合物<12-6>を含む溶液に、ホルミルアルデヒド(3当量)および20当量の酢酸を添加した後、2当量の水素化ホウ素ナトリウムを添加した。反応混合物を周辺温度で2時間撹拌した。反応混合物を水で希釈し、HPLCで精製し、化合物<12-7>を得た。
【0719】
化合物<12-10>:tert-ブチル 2-(2-ヒドロキシエトキシ)エチルカルバメート(2.05g,10mmol)、N-ヒドロキシフタルアミド(1.8g,11mmol)、およびトリフェニルホスフィン(3.67g,14mmol)を100mLのテトラフランに溶解させた後、DIAD(2.48mL,12mmol)を0℃で添加した。得られた溶液を室温で一晩撹拌し、乾燥するまで濃縮した。残渣を50mLの4N塩酸/ジオキサンで処理した。反応混合物を室温で2時間撹拌した。溶媒を真空で除去した。残渣をエーテルで処理し、ろ過、エーテルで洗浄、真空で乾燥し、2.6g(91%)の化合物<12-10>を得た。。MS (ESI) m/z 251 [M+H]。
【0720】
化合物<12-11>:1mLのDMFに化合物<12-10>(20mg,0.026mmol)を含む溶液に、11.2mgの化合物<12-10>、15mgのHATU、および23μLのDIEAを添加した。反応混合物を室温で2時間撹拌した。反応混合物をHPLCで精製し、20mg(70%)の化合物<12-4>を得た。。MS (ESI) m/z 490 [M+2H], 978[M+H]。
【0721】
化合物<12>:化合物<12-11>(20mg,0.0183mmol)を1mLのDMFに溶解した。18μLの無水ヒドラジンを添加した。得られた溶液を室温で1時間撹拌した。反応混合物を1N塩酸溶液を用いてクエンチした。反応混合物を分取HPLCにおいて、20~70%のアセトニトリル/水を用いて20分、254nmで溶離させて精製し、14mg(72%)の化合物<12>を得た。MS (ESI) m/z 425
[M+2H], 848[M+H]。
【0722】
(実施例13:化合物<13>の合成)
【0723】
【化165】
【0724】
化合物<13-2>:6-ヒドロキシヘキサン酸tert-ブチル<13-1>(1.5g,1.97mmol)、N-ヒドロキシフタルイミド(1.42g、8.76mmol)およびトリフェニルホスフィン(2.82g、10.76mmol)を、テトラヒドロフランに溶解させた後、DIAD(2mL,9.564mmol)を、0℃で添加した。得られた溶液を室温で一晩撹拌した後、乾燥するまで濃縮した。残渣をフラッシュカラムクロマトグラフィーにより精製し、2.5g(95%)の化合物<13-2>を得た。
【0725】
化合物<13-3>:化合物<13-2>を15mLの4N塩酸/ジオキサンで処理した。反応混合物を周辺温度で12時間撹拌し、乾燥するまで真空で濃縮し、900mg(100%)の化合物<13-3>を得た。
【0726】
化合物<13-4>:10mLのTHFに化合物<13-3>(900mg,3.0mmol)を含む溶液に、397mgのN-ヒドロキシコハク酸イミドを添加した後、669mgのDCCを添加した。反応混合物を周辺温度で一晩撹拌し、ろ過した。ろ過物を濃縮し、10mLのDCMで処理した。DCM溶液を周辺温度で1時間静置し、ろ過した。ろ液を濃縮し、フラッシュカラムクロマトグラフィーにより精製し、800mg(71%)の化合物<13-4>を得た。
【0727】
化合物<13-6>:12mLのDMF中の化合物<13-4>(435mg,1.16mmol)およびVal-Cit-PABOH<13-5>(400mg,1.054mmol)の混合物を、周辺温度で24時間撹拌した。溶媒を真空で除去した。残渣をエーテルで処理し、ろ過し、およびエーテルで洗浄した。固形物を真空で乾燥し、660mg(98%)の化合物<13-6>を得た。
【0728】
化合物<13-7>:6mLのDMFに化合物<13-6>(200mg,0.313mmol)を含む溶液に、炭酸ビス(p-ニトロフェノール)を添加した後、110.2μLのDIEAを添加した。反応混合物を周辺温度で5時間撹拌し、濃縮した。残渣をエーテルで処理し、ろ過した。採取した固形物をエーテル、5%クエン酸、水、エーテルで洗浄し、真空で乾燥し、210mg(83%)の化合物<13-7>を得た。
【0729】
化合物<13-9>:2mLのDMFにモノメチルオーリスタチン塩酸塩<13-8>(100mg,0.1325mmol)を含む溶液に、化合物<13-7>(159mg,0.2mmol)および10mgのHOBtを添加した後、35.2μLのDIEAを添加した。得られた混合物を周辺温度で2日間撹拌した。反応混合物を水で希釈し、HPLCで精製し、93mg(51%)の化合物<13-9>を得た。MS (ESI) m/z 692 [M+2H], 1382[M+H]。
【0730】
化合物<13>:化合物<13-9>(50mg,0.036mmol)を1mLのDMFに溶解した。得られた溶液を周辺温度で3時間撹拌した。反応物を1N塩酸溶液でクエンチした。反応混合物をHPLCで精製し、32mg(65%)の化合物<13>を得た。MS (ESI) m/z 638.5 [M+Na+2H], 1253.3[M+H],1275.8 [M+Na]。
【0731】
(実施例14:化合物<14>の合成)
【0732】
【化166】
【0733】
化合物<14-3>:100mLのテトラヒドロフランにテトラ(エチレングリコール)<14-1>(40.6mL,235mmol)を含む溶液に、47mgのナトリウムを添加した。12mLのアクリル酸tert-ブチルを添加した。反応混合物を室温で24時間撹拌した。反応混合物を真空で濃縮し、2mLの1N塩酸でクエンチした。残渣を食塩水に懸濁させ、酢酸エチル(100mL×1,50mL×2)を用いて抽出した。有機層をまとめ、食塩水での洗浄、硫酸ナトリウムによる乾燥、真空で濃縮することにより、6.4g(23%)の化合物<14-3>を得た。
【0734】
化合物<14-5>:化合物<14-3>(1.0g、3.12mmol)、N-ヒドロキシフタルイミド(611mg、3.744mmol)およびトリフェニルホスフィン(1.23g、4.68mmol)を、20mLのテトラヒドロフランに溶解させた後、DIAD(0.84mL,4.06mmol)を、0℃で添加した。得られた溶液を室温で一晩撹拌した後、乾燥するまで濃縮した。残渣を、SiliaSepカートリッジ(80g)を用い、0~100%の酢酸エチル/ヘキサンを用いて溶離させるフラッシュカラムクロマトグラフィーにより精製し、1.0g(100%)の化合物<14-5>を得た。
【0735】
化合物<14-6>:化合物<14-5>を15mLの4N HCl/ジオキサンに溶解させた。反応混合物を室温で2時間撹拌し、真空で濃縮し、1.0mgの化合物<14-6>を得た。
【0736】
化合物<14-9>:20mLのテトラヒドロフラン中に、化合物<6>(1.93g,4.68mmol)およびN-ヒドロキシコハク酸イミド(646mg,5.616mmol)を含む溶液に、1.062g(5.148mmol)のDCCを添加した。反応混合物を室温で一晩撹拌し、ろ過した。ろ過物を濃縮し、SiliaSepカートリッジ(80g)を用い、0~100%の酢酸エチル/ヘキサンを用いて溶離させるフラッシュカラムクロマトグラフィーにより精製し、2.37g(100%)の化合物<14-7>を得た。
【0737】
化合物<14-8>:化合物<14-8>を、文献(Bioconjugat Chem. 2002, 13 (4), 855-869.)にしたがって製造した。
【0738】
化合物<14-9>:2mLのDMFに化合物<14-8>を含む溶液に、295mg(0.58mmol)の化合物<14-7>を添加した。反応混合物を室温で一晩撹拌し、真空で濃縮した。残渣をエーテルで処理し、ろ過、エーテルで洗浄、真空で乾燥し、402mg(98%)の化合物<14-9>を得た。
【0739】
化合物<14-10>:10mLのDMFに化合物<14-9>(406mg, 0.527mmol)および炭酸ビス(p-ニトロフェノール)(481 mg, 1.58 mmol) を含む溶液に、0.186mL(1.054mmol)のジイソプロピルエチルアミンを添加した。反応混合物を室温で5時間撹拌した。溶媒を真空で除去した。残渣をエーテルで処理し、ろ過、エーテル、5%クエン酸、水、エーテルで洗浄し、真空で乾燥し、350mg(72%)の化合物<14-10>を得た。
【0740】
化合物<14-11>:1mLのDMF中に、50mg(0.062mmol)のモノメチルドラスタチン塩酸塩、87.2mg(0.093mmol)の化合物<14-10>、および4.7mg(0.031mmol)のHOBtを含む溶液に、22μL(0.124mmol)のジイソプロピルエチルアミンを添加した。反応混合物を室温で16時間撹拌した。反応混合物をHPLCで精製し、41mg(42%)の化合物<14-11>を得た。MS (ESI) m/z 785[M+2H]。
【0741】
化合物<14>:化合物<14-11>(41mg,0.026mmol)を1mLのDMFに溶解した。17μL(0.52mmol)の無水ヒドラジンを添加した。得られた溶液を室温で1時間撹拌した。反応物を1N塩酸溶液でクエンチした。反応混合物を分取HPLCにおいて、20~70%のアセトニトリル/水を用いて20分、254nmで溶離させて精製し、22mg(58%)の化合物<14>を得た。MS (ESI) m/z 720[M+2H]。
【0742】
(実施例15:化合物<15>の合成)
【0743】
【化167】
【0744】
化合物<15-2>:1mLのDMF中に、50mg(0.062mmol)のモノメチルドラスタチン塩酸塩、75mg(0.093mmol)の化合物<13-7>、および4.7mg(0.031mmol)のHOBtを含む溶液に、22μL(0.124mmol)のジイソプロピルエチルアミンを添加した。反応混合物を室温で16時間撹拌した。反応混合物をHPLCで精製し、41mg(42%)の化合物<15-2>を得た。MS (ESI) m/z 718 [M+2H], 1435[M+H]。
【0745】
化合物<15-2>:化合物<15-2>(41mg、0.026mmol)を1mLのDMFに溶解した。17μL(0.52 mmol)の無水ヒドラジンを添加した。得られた溶液を室温で1時間撹拌した。反応物を1N塩酸溶液を用いてクエンチした。反応混合物を分取HPLCにおいて、20~70%のアセトニトリル/水を用いて20分、254nmで溶離させて精製し、22mg(58%)の化合物<15>を得た。MS (ESI) m/z 653 [M+2H], 1305[M+H]。
【0746】
(実施例16:化合物<16>の合成)
【0747】
【化168】
【0748】
化合物<16-3>:100mLのテトラヒドロフラン中にエチレングリコール<16-1>(13.1mL、235mmol)を含む溶液に、ナトリウム47mgを添加した。ナトリウムの溶解後、12mLのアクリル酸tert-ブチルを添加した。反応混合物を室温で24時間撹拌した。反応混合物を真空で濃縮し、2mLの1N塩酸でクエンチした。残渣を食塩水に懸濁させ、酢酸エチル(100mL×1,50mL×2)を用いて抽出した。有機層をまとめ、食塩水での洗浄、硫酸ナトリウムによる乾燥、真空で濃縮した。残渣をフラッシュカラムクロマトグラフィーにより精製し、5.2g(24%)の化合物<16-3>を得た。
【0749】
化合物<16-5>:化合物<16-3>(2.0g、10.5mmol)、N-ヒドロキシフタルイミド(2.05g、12.6mmol)およびトリフェニルホスフィン(3.58g、13.65mmol)を、50mLのテトラヒドロフランに溶解させた後、DIAD(3.26mL,15.75mmol)を、0℃で添加した。得られた溶液を室温で一晩撹拌した後、乾燥するまで濃縮した。残渣をフラッシュカラムクロマトグラフィーにより精製し、化合物<16-5>を得た。
【0750】
化合物<16-6>:化合物<16-5>を15mLの4N HCl/ジオキサンに溶解させた。反応混合物を室温で2時間撹拌し、真空で濃縮し、化合物<16-6>を得た。
【0751】
化合物<16-7>:20mLのTHFに化合物<16-6>(5.16mmol)およびN-ヒドロキシコハク酸イミド(722mg,6.7mmol)を含む溶液に、1.28(6.2mmol)のDCCを添加した。反応混合物を室温で一晩撹拌し、ろ過した。ろ過物を濃縮し、フラッシュカラムクロマトグラフィーにより精製し、500mgの化合物<16-7>を得た。
【0752】
化合物<16-8>:化合物<16-8>を、文献(Bioconjugat Chem. 2002, 13 (4), 855-869.)にしたがって製造した。
【0753】
化合物<16-9>:100mLのDMFに化合物<16-8>(5.0g,8.3mmol)および炭酸ビス(p-ニトロフェノール)(7.6g,25mmol)を含む溶液に、2.92mL(16.6mmol)のジイソプロピルエチルアミンを添加した。反応混合物を室温で16時間撹拌した。溶媒を、真空で除去した。残渣をエーテルで処理し、ろ過、エーテル、5%クエン酸、水、エーテルで洗浄し、真空で乾燥し、5.0g(81%)の化合物<16-9>を得た。
【0754】
化合物<16-10>:10mLのDMF中に、1.0g(1.24mmol)のモノメチルドラスタチン塩酸塩、1.42g(1.8575mmol)の化合物<16-9>、および95mg(0.62mmol)のHOBtを含む溶液に、437μL(2.484mmol)のジイソプロピルエチルアミンを添加した。反応混合物を室温で16時間撹拌した。反応混合物をHPLCで精製し、1.0g(58%)の化合物<16-10>を得た。MS (ESI) m/z 700[M+2H], 1398[M+H]。
【0755】
化合物<16-11>:15mLのテトラヒドロフランに化合物<16-10>(1.0g,0.715mmol)を含む溶液に、5mL(48mmol)のジエチルアミンを添加した。反応混合物を室温で1.5時間撹拌し、真空で濃縮した。残渣を20mLのDCMに溶解し、エーテルで処理し、ろ過、エーテルで洗浄、真空で乾燥し、860mgの化合物<16-11>を得た。MS (ESI) m/z 589[M+2H], 1176[M+H]。
【0756】
化合物<16>:1mLのDMFに化合物<16-11>(50mg,0.045mmol)を含む溶液に、32mg(0.085mmol)の化合物<16-7>を添加した。反応混合物を室温で16時間撹拌した。HPLCおよびMSは、反応完了を示した。27.2μL(0.85mmol)の無水ヒドラジンを反応混合物に添加した。2時間反応を行った。反応混合物を1N塩酸で酸性化し、HPLCにより精製し、40mg(66%)の化合物<16>を得た。MS (ESI) m/z 654[M+2H], 1307[M+H]。
【0757】
(実施例17:化合物<17>の合成)
【0758】
【化169】
【0759】
化合物<17-2>20mLのTHFに化合物<17-1>(1.0g,4.52mmol)およびN-ヒドロキシコハク酸イミド(572mg,4.97mmol)を含む溶液に、1.12g(5.424mmol)のDCCを添加した。反応混合物を室温で一晩撹拌し、ろ過した。ろ過物を濃縮し、化合物<17-2>を得た。
【0760】
化合物<17>:1mLのDMFに50mg(0.0425mmol)の化合物<16-11>を含む溶液に、41mg(0.1275mmol)の化合物<17-2>を添加した。反応混合物を室温で16時間撹拌した。HPLCおよびMSは、反応完了を示した。20μL(0.625mmol)の無水ヒドラジンを反応混合物に添加した。2時間反応を行った。反応混合物を1N塩酸で酸性化し、HPLCにより精製し、35mg(60%)の化合物<17>を得た。MS (ESI) m/z 625[M+2H], 1249[M+H]。
【0761】
(実施例18:化合物<18>の合成)
【0762】
【化170】
【0763】
化合物<18-1>:1mLのDMFに、化合物<6-6>、化合物<14-10>(0.062mmol)、およびHOBtを含む溶液に、ジイソプロピルエチルアミンを添加した。反応混合物を室温で16時間撹拌した。反応混合物をHPLCで精製し、化合物<18-1>を得た。
【0764】
化合物<18>:化合物<18-1>を1mLのDMFに溶解し、無水ヒドラジンを添加した。得られた溶液を室温で1時間撹拌した。反応物を1N塩酸溶液でクエンチした。反応混合物を分取HPLCにおいて、20~70%のアセトニトリル/水を用いて20分、254nmで溶離させて精製し、化合物<18>を得た。
【0765】
(実施例19:化合物<19>の合成)
【0766】
【化171】
【0767】
化合物<19-2>:tert-ブチル 2-(2-ヒドロキシエトキシ)エチルカルバメート13(2.05g,10mmol)、N-ヒドロキシフタルアミド(1.8g,11mmol)、およびトリフェニルホスフィン(3.67g,14mmol)を100mLのテトラフランに溶解させた後、DIAD(2.48mL,12mmol)を0℃で添加した。得られた溶液を室温で一晩撹拌し、乾燥するまで濃縮した。残渣を50mLの4N塩酸/ジオキサンで処理した。反応混合物を室温で2時間撹拌した。溶媒を真空で除去した。残渣をエーテルで処理し、ろ過、エーテルで洗浄、真空で乾燥し、2.6g(91%)の化合物<19-2>を得た。MS (ESI) m/z 251 [M+H]。
【0768】
化合物<19-3>:10mLのDCMに化合物<19-2>(315mg,1.1mmol)、Boc-Lys(Boc)-OH(365mg,1mmol)、EDC(382mg,2mmol)、およびHOBt(306mg,2mmol)を含む溶液に、1.056mL(6mmol)のジイソプロピルエチルアミンを添加した。反応混合物を室温で3時間撹拌し、酢酸エチルで抽出し、5%クエン酸、飽和炭酸水素ナトリウム、食塩水で洗浄し、硫酸ナトリウムを通して乾燥し、ろ過し、真空で濃縮した。残渣をSiliaSepカートリッジ(40g)を用い、0~100%の酢酸エチル/ヘキサンを用いて溶離させるフラッシュカラムクロマトグラフィーにより精製し、405g(70%)の化合物<19-3>を得た。
【0769】
化合物<19-4>:化合物<19-3>を15mLの4N HCl/ジオキサンに溶解させた。反応混合物を室温で2時間撹拌し、真空で濃縮し、315mg(98%)の化合物<19-4>を得た。MS (ESI) m/z 379 [M+H]。
【0770】
化合物<19-5>:ジクロロメタン20mL中に化合物<14-3>(322mg、1mmol)を含む溶液に、デス・マーチン・ペルヨージナン(636mg、1.5mmol)を添加した。反応混合物を室温で3時間撹拌した。15mLの飽和炭酸水素ナトリウム中にチオ硫酸ナトリウム(1.4g,8.85mmol)を含む溶液で、クエンチした。反応混合物を分離し、有機層を、飽和炭酸水素ナトリウム、食塩水で洗浄し、硫酸ナトリウムに通して乾燥させ、ろ過し、真空で濃縮した。残渣をSiliaSepカートリッジ(40g)を用い、0~100%の酢酸エチル/ヘキサンを用いて溶離させるフラッシュカラムクロマトグラフィーにより精製し、170mg(53%)の化合物<19-3>を得た。
【0771】
化合物<19-6>:20mLのDMF中に、モノメチルドラスタチン塩酸塩(1.0g、1.24mmol)を含む溶液に、1.19g(3.72mmol)の化合物<17>を添加した後、1.4mL(24.8mmol)の酢酸および156mg(2.48mmol)の水素化ホウ素ナトリウムを添加した。反応混合物を室温で2時間撹拌した。溶媒を真空で除去した。残渣を炭酸水素ナトリウムによりpH8.0に調節し、DCMで抽出、食塩水で洗浄、硫酸ナトリウムを通して乾燥、ろ過し、真空で濃縮した。残渣をSiliaSepカートリッジ(40g)を用い、0~5%のメタノール/DCMを用いて溶離させるフラッシュカラムクロマトグラフィーにより精製し、680g(51%)の化合物<19-6>を得た。MS (ESI) m/z 538 [M+2H], 1075[M+H]。
【0772】
化合物<19-7>:5mLのDCMに化合物<19-6>(680mg,0.632mmol)を含む溶液に、15mLの4N HCl/ジオキサンを添加した。反応混合物を室温で2時間撹拌し、真空で濃縮した。残渣を、エーテルで処理し、ろ過、エーテルで洗浄し、真空で乾燥し、660mg(98%)の化合物<19-7>を得た。MS (ESI) m/z 510 [M+2H], 1019[M+H]。
【0773】
化合物<19-8>:5mLのN-メチルピロリドンに、化合物<19-7>(280mg,0.257mmol)、化合物<19-4>(38mg,0.0857mmol)、およびN-メチルモルホリン(0.283mL,2.57mmol)を含む溶液に、98mg(0.257mmol)のHATUを添加した。反応混合物を室温で1時間撹拌した。反応混合物をHPLCで精製し、160mg(71%)の化合物<19-8>を得た。MS (ESI) m/z 596 [M+4H], 794[M+3H], 1191[M+2H]。
【0774】
化合物<19>:化合物<19-8>(160mg,0.613mmol)を、1.5mLのDMFに溶解した。20μL(0.613mmol)の無水ヒドラジンを添加した。得られた溶液を室温で1時間撹拌した。反応物を1N塩酸溶液を用いてクエンチした。反応混合物を分取HPLCにおいて、20~70%のアセトニトリル/水を用いて20分、254nmで溶離させて精製し、120mg(75%)の化合物<19>を得た。MS
(ESI) m/z 451 [M+5H], 563 [M+4H], 751 [M+3H],
1126 [M+2H]。
【0775】
(実施例20:化合物<20>の合成)
【0776】
【化172】
【0777】
化合物<20-2>:100mLのテトラヒドロフランにテトラ(エチレングリコール)<20-1>(8.0g,41.2mmol)を含む溶液に、1.65gのナトリウムを添加した。反応混合物を室温で30分間撹拌した。6.21gのTBS-Clをこの溶液に添加した。反応混合物を室温で一晩撹拌した。反応混合物を真空で濃縮し、2mLの1N塩酸でクエンチした。残渣を食塩水に懸濁させ、酢酸エチル(100mL×1,50mL×2)を用いて抽出した。有機層をまとめ、食塩水での洗浄、硫酸ナトリウムによる乾燥、真空で濃縮した。6.4g(23%)の化合物<14-3>を得た。残渣をフラッシュカラムクロマトグラフィーで精製し、5.7gの化合物<20-2>を得た。
【0778】
化合物<20-3>:ジクロロメタン30mL中に化合物<20-2>(500mg、1.62mmol)を含む溶液に、デス・マーチン・ペルヨージナン(1.03mg、2.43mmol)を添加した。反応混合物を室温で3時間撹拌した。15mLの飽和炭酸水素ナトリウム中にチオ硫酸ナトリウム(1.4g,8.85mmol)を含む溶液で、クエンチした。反応混合物を分離し、有機層を、飽和炭酸水素ナトリウム、食塩水で洗浄し、硫酸ナトリウムに通して乾燥させ、ろ過し、真空で濃縮した。残渣をフラッシュカラムクロマトグラフィーにより精製し、400mgの化合物<20-3>を得た。
【0779】
化合物<20-4>:4mLのDMF中に、モノメチルドラスタチン塩酸塩(213、g、0.263mmol)を含む溶液に、245mg(0.75mmol)の化合物<20-3>を添加した後、0.303mL(5mmol)の酢酸および34mg(0.5mmol)の水素化ホウ素ナトリウムを添加した。得られた混合物を室温で2時間撹拌した。溶媒を真空で除去した。3mLの60%アセトニトリルを添加した後、0.2mLのフッ化水素-ピリジンを0℃で添加した。得られた溶液を室温で2時間撹拌した。有機層を真空で除去した。残渣を炭酸水素ナトリウムによりpH8.0に調節し、DCMで抽出、食塩水で洗浄、硫酸ナトリウムを通して乾燥、ろ過し、真空で濃縮した。残渣をフラッシュカラムクロマトグラフィーにより精製し、160mgの化合物<20-4>を得た。MS (ESI) m/z 474 [M+2H], 947[M+H]。
【0780】
化合物<20-5>:4mLのDCMに化合物<20-4>(50mg,0.062mmol)を含む溶液に、0.3mLのホスゲン/トルエンを0℃で添加した。反応混合物を0℃で3時間撹拌し、精製することなく次のステップを行うために真空で濃縮した。
【0781】
化合物<20-6>:化合物<19-4>(7.6mg,0.017mmol)および化合物<20-5>(0.062mmol)を含む溶液に、25μLのジイソプロピルエチルアミンを添加した。反応混合物を室温で1時間撹拌した。反応混合物をHPLCにおいて、20~70%のアセトニトリル/水を用いて20分、254nmで溶離させて精製し、33mgの化合物<20-6>を得た。MS (ESI) m/z 582 [M+4H], 775[M+3H],1163 [M+2H]。
【0782】
化合物<20>:化合物<20-6>(33mg,0.014mmol)を、1mLのDMFに溶解させ、14μL(0.43mmol)の無水ヒドラジンを添加した。得られた溶液を室温で1時間撹拌した。反応物を1N塩酸溶液でクエンチした。反応混合物を分取HPLCにおいて、20~70%のアセトニトリル/水を用いて20分、254nmで溶離させて精製し、10mg(75%)の化合物<20>を得た。MS (ESI) m/z 549 [M+4H], 732[M+3H], 1098[M+2H]。
【0783】
(実施例21:化合物<21>の合成)
【0784】
【化173】
【0785】
化合物<21-2>:N,N’-ジメチレンジアミン<21-1>(5mL,46.5mmol)およびアクリル酸tert-ブチル(13mL,116mmol)の混合物を、85℃で1時間加熱した。別のアクリル酸tert-ブチル(13mL,116mmol)を添加した。反応混合物を引き続き85℃で1時間加熱し、室温で一晩撹拌した。反応混合物を真空で濃縮した。残渣をヘキサンで希釈し、SiliaSepカートリッジ(120g)を用い、0~5%のメタノール/DCMを用いて溶離させるフラッシュカラムクロマトグラフィーにより精製し、10.1g(62%)の化合物<21-2>を得た。MS (ESI) m/z 345 [M+H]。
【0786】
化合物<21-3>:50mLのDCMに化合物<21-2>(5.0g,14.5mmol)を含む溶液に、40mLの4N塩酸/ジオキサンを添加した。反応混合物を室温で2日間撹拌し、真空で濃縮した。残渣を、エーテルで処理し、ろ過、エーテルで洗浄、真空で乾燥し、4.3g(97%)の化合物<21-3>を得た。
【0787】
化合物<21-4>:10mLのN-メチルピロリドンに、化合物<21-3>(166mg,0.544mmol)および0.15mLのN-メチルモルホリンを含む溶液に、160mgの化合物<21-3>を添加した後、0.068mL(0,408mmol)のDECPを添加した。反応混合物を室温で1時間撹拌した。反応混合物を分取HPLCにおいて、35~70%のアセトニトリル/水を用いて20分、254nmで溶離させて精製し、100mg(50%)の化合物<21-4>を得た。MS (ESI) m/z 464[M+3H],696[M+2H], 1391[M+H]。
【0788】
化合物<21-5>:1.5mLのN-メチルピロリドンに、化合物<19-4>(11mg,0.025mmol)、化合物<21-4>(115mg,0.077mmol)およびN-メチルモルホリン(0.028mL,0.25mmol)を含む溶液に、29.3mg(0.077mmol)のHATUを添加した。反応混合物を室温で1時間撹拌した。反応混合物をHPLCにおいて、20~70%のアセトニトリル/水を用いて20分、254nmで溶離させて精製し、60mg(67%)の化合物<21-5>を得た。MS (ESI) m/z 625 [M+5H], 781[M+4H],1041 [M+3H]。
【0789】
化合物<21>:化合物<21-5>(60mg,0.014mmol)を1mLのDMFに溶解させた後、7μL(0.21mmol)の無水ヒドラジンを添加した。得られた溶液を室温で1時間撹拌した。反応物を1N塩酸溶液を用いてクエンチした。反応混合物をHPLCにおいて、20~70%のアセトニトリル/水を用いて20分、254nmで溶離させて精製し、29mg(58%)の化合物<21>を得た。MS (ESI) m/z 599 [M+5H], 749[M+4H],988 [M+3H]。
【0790】
(実施例22:化合物<22>の合成)
【0791】
【化174】
【0792】
化合物<22-1>:2mLのDMFに、化合物<19-4>(7.6mg,0.017mmol)、化合物<12-7>(40mg,0.051mmol)およびDIEA(0.030mL,0.17mmol)を含む溶液に、32mg(0.085mmol)のHATUを添加した。反応混合物を室温で2時間撹拌した。反応混合物をHPLCにおいて、20~70%のアセトニトリル/水を用いて20分、254nmで溶離させて精製し、24mg(68%)の化合物<22-1>を得た。MS (ESI) m/z 612 [M+3H], 917[M+2H],1834[M+H]。
【0793】
化合物<22>:化合物<22-1>(24mg,0.012mmol)を1mLのDMFに溶解した。12μL(0.36mmol)の無水ヒドラジンを添加した。得られた溶液を室温で1時間撹拌した。反応物を1N塩酸溶液を用いてクエンチした。反応混合物を分取HPLCにおいて、20~70%のアセトニトリル/水を用いて20分、254nmで溶離させて精製し、15mg(58%)の化合物<22>を得た。MS (ESI) m/z 569 [M+3H], 852[M+2H],1726[M+2H]。
【0794】
(実施例23:化合物<23>の合成)
【0795】
【化175】
【0796】
化合物<23-1>:50mLのDCMに化合物<14-3>(4.0g,12.4mmol)および6.6mL(37.2mmol)のDIEAを含む溶液に、3.31gの塩化パラトルエンスルホニルを0℃で添加した。反応混合物を室温で2日間撹拌した。反応混合物を酢酸エチルで抽出した。有機層をまとめ、5%クエン酸、水、食塩水で洗浄し、硫酸ナトリウムを通して乾燥し、真空で濃縮した。210mg(83%)の化合物<13-7>を得た。残渣をフラッシュカラムクロマトグラフィーで精製し、3.5gの化合物<23-1>を得た。
【0797】
化合物<23-2>:20mLのDMFに化合物<23-1>を含む溶液に、アジ化ナトリウム(1.44g,22.02mmol)を添加した。反応混合物を室温で2日間撹拌した。反応混合物を酢酸エチルで抽出した。有機層を水、食塩水で洗浄し、硫酸ナトリウムを通して乾燥し、ろ過し、真空で濃縮した。残渣をフラッシュカラムクロマトグラフィーで精製し、2.1gの化合物<23-2>を得た。
【0798】
化合物<23-3>:50mLのメタノールに化合物<23-2>(2.1g,6.05mmol)を含む溶液に、400mg(10%)のPd-Cを添加した。反応混合物を室温、1気圧の水素雰囲気下で24時間撹拌した。反応混合物をろ過および真空で濃縮し、2.1gの化合物<23-3>を得た。MS (ESI) m/z 322[M+H]。
【0799】
化合物<23-4>:1mLのDMFに、化合物<23-3>(33mg,0.102mmol)、化合物<12-7>(40mg,0.051mmol)、および54μLのジイソプロピルエチルアミンを含む溶液に、38mgのHATUを添加した。反応混合物を室温で4時間撹拌した。反応混合物をHPLCにより精製し、52mgの化合物<23-4>を得た。MS (ESI) m/z 525[M+2H],1049[M+H]。
【0800】
化合物<23-5>:化合物<23-4>(52mg,0.045mmol)を5mLの4N塩酸/ジオキサンに溶解した。反応混合物を室温で2時間撹拌し、真空で濃縮し、52mg(100%)の化合物<23-5>を得た。MS (ESI) m/z 497[M+2H],993[M+H]。
【0801】
化合物<23-6>:2mLのDMFに化合物<19-4>(7.6mg,0.017mmol)、化合物<23-6>(52mg,0.051mmol)、およびDIEA(0.030mL,0.17mmol)を含む溶液に、32mg(0.085mmol)のHATUを添加した。反応混合物を室温で2時間撹拌した。反応混合物をHPLCにおいて、20~70%のアセトニトリル/水を用いて20分、254nmで溶離させて精製し、26mg(61%)の化合物<23-6>を得た。MS (ESI) m/z 583[M+4H],777[M+3H],1165[M+2H]。
【0802】
化合物<23>:化合物<23-6>(26mg,0.01mmol)を1mLのDMFに溶解し、10μL(0.31mmol)の無水ヒドラジンを添加した。得られた溶液を室温で1時間撹拌した。反応物を1N塩酸溶液でクエンチした。反応混合物を分取HPLCにおいて、20~70%のアセトニトリル/水を用いて20分、254nmで溶離させて精製し、10mg(40%)の化合物<23>を得た。MS (ESI) m/z 550[M+4H],733[M+3H],1100[M+2H]。
【0803】
(表1:化合物<1>~<23>の構造)
【0804】
【表2】



【0805】
(実施例24:HER2受容体へのHER-toxの結合の分析)
Her2-FcをCM5チップ上に密度~280RUになるように固定した。HBS-EPをバッファとして用い、流量を50ul/minに調節した。HerTox変異体を、15の解離相で3分間注入した。20mMのHClの30秒のパルスを再生に用いた。Bivalent Analyteモデルを利用してデータを調整した(図1)。データの分析は、HerTox HA121-NC2D:Kd~60pM(chi2=4)およびHerTox HA121-NC1D:Kd~300pM(chi2=14)を示していた。
【0806】
(実施例25:一過性のトランスフェクション)
CHO-S培養物をFreeStyle Cho培地に0.75×10/mLでトランスフェクションの約16時間前に接種した。次の日には細胞計数が1.4~1.6×10/mLに達し、細胞は感染の準備ができた。細胞が目標の計数に達すると、400mMのpAFストックを最終培養濃度が1.4mMになるまで加えた。PEI/DNA複合体を、以下の記載の通りに作成した。DNA(1.42ug/1×10細胞)をRPMI(総培養量の5%(v/v))に溶解させ、DNA/RPMI混合物を室温で2分間培養し、PEIストック(1mg/mL)を3:1の比率(mL PEI/ug DNA)でDNA溶液に加え、混合物を室温で5分間培養した。培養物を混合物にそっと加え旋回させた。フラスコを32℃の培養器に移した。トランスフェクションの6日後にウエスタンブロット分析を行った。トランスフェクションの6日後に上清を採取した。
【0807】
(実施例26:抗Her2変異体発現試験)
30mlシェイカー培養物、FreeStyle培地におけるCHO-S、PEI試薬中の56ugのDNAを用いた。1.5mMのpAFも用いた。6日目に上清を採取した。力価をFc ELISAによって決定した(図2、3)。
【0808】
(実施例27:インビトロ増殖阻害アッセイ)
1日目に細胞を接種した。培地を吸引し、細胞のT-225培養フラスコを30mL PBS-/で濯いだ。PBSを吸引し、6mLの0.25%トリプシン-EDTAを各フラスコに加えた。フラスコを37℃、5%COで2~5分間培養した。付着した細胞はフラスコを叩いて除去し、トリプシンを14mLの培地を加えることによって中和した。細胞懸濁液を混ぜ、50mLのコニカルチューブに移した(transered)。細胞を1200rpm、室温で5分間遠心分離にかけ沈降させた。生じた細胞ペレットを12mLの培地に再懸濁した。細胞を血球計で計数した。細胞を適切な細胞密度で96-ウェル平底の透明プレートに接種し、37℃、5%COで一晩培養し、細胞を付着させた。被覆容積は80uL/ウェルだった。80uL/ウェルの培地を「無細胞」コントロールとして利用した。
【0809】
細胞被覆密度の例としては以下のものが挙げられる。
・F12k/DMEM(50/50)、10%FBS、P/S中においてBT474(高Her2)-20,000細胞/ウェル
・F12k/DMEM(50/50)、10%FBS、P/S中においてMDA-MB-468(Her2陰性)-6,000細胞/ウェル
・RPMI1640、10%FBS、P/S中においてHCC1954-5,000細胞/ウェル
・RPMI1640、10%FBS、P/S中においてSKOV-3-6,000細胞/ウェル
・McCoy’s 5A、10%FBS、P/S中においてHT29-20,000細胞/ウェル
2日目に、試験サンプルを細胞に加えた。試験サンプルを、丸底96ウェルプレートのカラム2において9×ストック濃度になるように培地において希釈した。3×の連続希釈を、マルチチャンネルピペッターを用いて、カラム2からカラム11へと行った。10uL/ウェルの上記サンプルを、接種したプレートの適切なウェルに2重に加えた。ウェルの総量は約90uL/ウェルであった。サンプルウェルのエッジ効果を避けるため10uL/ウェルの培地を加えた。増殖の計算に用いるためのコントロール培地は、サンプルを加えず(10uL/ウェルの培地だけ)、内側のウェル中でインキュベートされた。プレートを37℃、5%COで72時間インキュベートした。
【0810】
5日目に、増殖を読み出した。細胞の増殖を検知するため、10uL/ウェルのWST-8試薬を全てのウェルに加えた(Cell Counting Kit-8, cat# CK04-20、同仁化学研究所)。プレートを37℃、5%COで4時間インキュベートした。プレートの吸光度をOD450nmで測定した。試験サンプルの増殖阻害の計算は、全てのウェルのOD450の値から「無細胞コントロール」のOD450の値を引き、コントロール培地(未処理の)ウェルの平均を算出し、式(OD450サンプル/OD450平均%コントロール培地)×100を用いて各サンプルの%コントロール培地値を計算し、各サンプルの複製の%コントロール培地値の平均、標準偏差および%CVを算出し、サンプル濃度に対する各サンプルの平均%コントロール培地値をプロットし、4-パラメータロジスティックフィット回帰分析を用いてIC50値を算出し、試験サンプルの有効性を決定した。
【0811】
図4、5に、ドラスタチンリンカー誘導体および乳癌株HCC1954、HER2+++を用いたインビトロ増殖アッセイの結果を示す。図6、7に、ドラスタチンリンカー誘導体および卵巣癌株SKOV-3、HER2+++を用いたインビトロ増殖アッセイの結果を示す。図8、9に、ドラスタチンリンカー誘導体および乳癌株MDS-MB-468、HER2陰性を用いたインビトロ増殖アッセイの結果を示す。
【0812】
(表2.HER-Tox増殖アッセイ概要:72時間の薬物療法後のIC50値[nM])
【0813】
【表3】

【0814】
(表3:インビトロ細胞データ)
【0815】
【表4】
【0816】
(実施例28:HCC1954(ヒト乳癌)異種移植動物モデルにおけるHer2-ADCのインビボ抗腫瘍効果)
HCC1954(ヒト乳癌)細胞をAmerican Type Culture Collection(マナサス、VA)から入手し、80%コンフルエントまでRPMI+10%FBS、37℃、5%COにおいて培養した。細胞をトリプシン処理により採取し、1×10細胞/mLでPBSに懸濁した。
【0817】
5~8週齢のメスのSCID-beigeマウスをCharles River Laboratoriesから入手した。HCC1954細胞(ヒト、乳癌、ATCC、# CRL-2338)を1:1でマトリゲル(BD Biosciences、ベッドフォード MA)と混合し、マウスに皮下注射した。腫瘍が100~200mmの標準サイズに達すると、マウスを9~10匹ずつの群に分けた。試験の最後まで週に2回のカリパス測定を行った。腫瘍容積を推定するため、カリパスで直交する2つの直径を計測し、式(L×W×W)/2=V(W=最短直径、L=最長直径、V=容積)に値を入力し、推定値を求めた。1mm=1mgと仮定し、エクセルデータファイルにおいて腫瘍容積を腫瘍重量に変換した。終点は腫瘍増殖阻害(TGI)の試験計画に基づく。コントロール群の平均腫瘍容積が約1,000mmに達するか、28日目になるか、どちらか早い方に、全てのマウスを安楽死させた。
【0818】
マウスには、投薬1日目に単回静脈内注射(尾静脈)を行った。被験物質を4mg/mL、2mg/mLおよび0.66mg/mLで溶解させ、5mL/kgの投薬量で投与し、20、10および3.3mg/kgを与えた。被験物質は、ハーセプチン(登録商標)臨床グレード(トラスツズマブ)、Her2-HS122-NCD1(Ab:薬剤比=1:2、非切断可能リンカー)、およびHer2-HS122/LK145-HCD1(Ab:薬物比=1:4、切断可能リンカー)である。図16参照。
【0819】
(実施例29:Her2-ドラスタチン結合誘導体のインビボ試験)
HCC1954細胞を、マトリゲルにおいて10細胞/マウス、右わき腹に皮下注射で、本試験に利用した。マウスは、4~8週齢のメスのSCID-bgマウスを用いた。細胞の移植(腫瘍~100mm)から5日目に群分けを行い、10匹ずつの11の群に分けた。投薬1日目に、各化合物を3つの投薬レベル(20mg/kg、10mg/kgおよび3.3mg/kg)で、単回静脈内投与を行った。腫瘍容積を、終点に達する(1,000mmまたは60日)までモニタリングした(図10)。コントロール化学療法としてパクリタキセル25mg/kg、静脈内、qod×5を用いた。ビヒクル=50mMヒスタミン、0.1M NaCl、5%トレハロース、pH6。ハーセプチン(登録商標)臨床グレード(トラスツズマブ)、Her2-HS122-NCD1(非切断可能リンカー)およびHer2-HS122/LK145-HCD1(切断可能リンカー)を試験した(図11、12)。
【0820】
(表4.28日目におけるHCC1954試験のT/C(処置あり/コントロール)の算出)
【0821】
【表5】
【0822】
(実施例30:薬物動態学的試験)
ErbB受容体に結合する抗体を検知するアッセイを行った(図13)。抗体に結合した少なくとも2つのドラスタチンを検出するアッセイを行った(図14)d。
【0823】
図15
【0824】
(実施例31:乳癌の治療)
乳癌におけるトラスツズマブ結合ドラスタチン誘導体の安全性および/または効果のヒト臨床試験
目的:トラスツズマブ結合ドラスタチン誘導体を含む投与組成物の安全性および薬物動態を比較するため。
【0825】
試験計画:この試験は、単一施設における、非盲検の、無作為化された投与量増加試験であるフェイズIと、それに続く乳癌患者におけるフェイズIIの試験である。患者は、実験に参加する前にトラスツズマブ結合ドラスタチン誘導体に暴露されているべきでない。患者は、試験の開始2週間以内に癌の治療を受けていてはいけない。治療には、化学療法、造血成長因子、およびモノクローナル抗体などの生物療法の使用が含まれる。患者は、以前の治療に関する全ての毒性から(グレード0または1に)回復していなければならない。すべての被験体は、安全性に関して評価し、薬物動態分析にとってのすべての血液採取物が予定通りに採取される。制度上の倫理委員会の承認および患者の同意のもとにすべての試験を実施する。
【0826】
フェイズI:各28日のサイクルの1日目、8日目および15日目にトラスツズマブ結合ドラスタチン誘導体を患者に静脈内投与する。トラスツズマブ結合ドラスタチン誘導体の投与量は、下記に示す評価に基づいて、毒性を考慮して維持したり変更したりする。治療は、許容できない毒性がなければ28日毎に繰り返される。3~6人の患者の集団に、トラスツズマブ結合ドラスタチン誘導体の最大耐量(MTD)が決まるまで、投与量を増加しながらトラスツズマブ結合ドラスタチン誘導体を与える。MTDは、3人の患者の内2人、または、6人の患者の内2人が用量規定毒性に達する投与量の直前の投与量と定義される。用量規定毒性は、National Cancer Institute(NCI)Common Terminology for Adverse Events(CTCAE)Version3.0(2006年8月9日)により設定された定義および基準に従って決定される。
【0827】
フェイズII:フェイズIと同様に、フェイズIにおいて決定されたMTDで、トラスツズマブ結合ドラスタチン誘導体を患者に与える。疾患の進行や許容できない毒性がなければ、2~6のコースで4週間毎に治療を繰り返す。試験の療法を2コース完了した後、完全寛解または部分寛解になった患者は、追加の4コースを受けてもよい。試験の療法を6コース完了した後2カ月以上安定した疾患を維持する患者は、疾患の進行の際に、初めの適格基準を満たせば、追加の6コースを受けてもよい。
【0828】
血液採取:トラスツズマブ結合ドラスタチン誘導体投与の前および後に、直接に血管に穿刺することによって、血液の系列を採取する。血清濃度を決定するための静脈血サンプル(5mL)を、投与の約10分前と投与後約1日目、8日目および15日目に取得する。各血清サンプルを2等分する。すべての血清サンプルを-20℃に保存する。血清サンプルをドライアイスに載せる。
【0829】
薬物動態:患者は、治療を受ける前と1日目、8日目および15日目に薬物動態評価のために血漿/血清サンプルの採取を行う。デジタルイクイップメントコーポレーション VAX8600コンピュータシステムにおいて、BIOAVLソフトウェアの最新バージョンを用いたモデル独立法によって、薬物動態パラメータを算出する。以下の薬物動態パラメータ:ピーク血清濃度(Cmax)、ピーク血清濃度までの時間(tmax);直線台形法を用いて算出された時点0から最後の血液サンプリング時点まで(AUC0-72)の濃度-時間曲線の下にある領域(AUC);および排泄速度定数から計算された末梢排泄半減期(t1/2)を決定する。対数-リニアの濃度-時間プロットの末端の直線領域における連続的な複数のデータ点の直線回帰によって、排泄速度定数を見積る。薬物動態パラメータの平均値、標準偏差(SD)、および変動係数(CV)を各処置について算出する。パラメータの平均の割合(保存した調合物/保存していない調合物)を算出する。
【0830】
併用療法に対する患者の反応:X線、CTスキャンおよびMRIを用いたイメージングにより患者の反応を評価し、イメージングを試験の開始前と最初のサイクルの終わりに行い、追加のイメージングを4週間毎または以降のサイクルの終わりに行う。癌の種類や実行可能性/利用可能性に基づいて画像診断法を選び、同じ画像診断法を各患者の試験コースを通じて、また同様の癌の種類に対して用いる。奏効率を、RECIST基準を用いて決定する(Therasse et al, J. Natl. Cancer Inst. 2000 Feb 2; 92(3):205-16; http://ctep.cancer.gov/forms/TherasseRECISTJNCI.pdf)。前駆癌細胞表現型およびクローン性増殖の変化をフローサイトメトリー、ウエスタンブロット法およびIHCにより、また細胞遺伝学的な変化をFISHにより評価するために、患者は癌/腫瘍バイオプシーを受ける。試験の治療の完了後、4週間定期的に患者をフォローする。
【0831】
(実施例32:乳癌の治療)
乳癌治療におけるトラスツズマブ結合ドラスタチン誘導体の安全性および効果のヒト臨床試験
目的:HER2過剰発現転移性乳癌の女性における、トラスツズマブ結合ドラスタチン誘導体単独の、および疾患の進行時におけるトラスツズマブとパクリタキセルの併用vsトラスツズマブとパクリタキセルの一次併用の効果と毒性を比較するため。
【0832】
試験計画:この試験は無作為化された多施設共同試験である。HER2/neu過剰発現の程度(2+vs3+)、事前のアントラサイクリン含有補助療法(前療法無しvs左胸壁に対する放射線治療を伴わない前療法vs左胸壁に対する放射線治療を伴う前療法)、エストロゲン受容体の状態(陽性vs陰性vs不明)、前治療(一次vs二次/三次)およびセンターにより患者を階層化する。患者を2つの治療群の内の1つに無作為に割り付ける。治療群I:週に一度、30~90分間トラスツズマブ結合ドラスタチン誘導体を患者に静脈内投与する。疾患の進行時には、治療群IIと同様に、トラスツズマブ結合ドラスタチン誘導体の静脈内投与とパクリタキセルの静脈内投与を併用して患者に行う。治療群II:週に一度、30~90分間トラスツズマブ結合ドラスタチン誘導体を患者に静脈内投与する。3週間、週に一度、1時間パクリタキセルを静脈内投与し、その後1週間休ませる。
【0833】
両群とも、疾患の進行や許容できない毒性がなければ、治療を続ける。ベースラインと、コース2、3、4、5、6、8、10および12の1日目において生活の質を評価する。1、3および6ヶ月において患者をフォローし、その後は6ヶ月毎にフォローする。
【0834】
(実施例33:膀胱癌の治療)
膀胱癌治療における本明細書に記載されるドラスタチン誘導体の安全性および効果のヒト臨床試験
目的:膀胱の筋肉浸潤性移行細胞癌の事前の経尿道膀胱切除を行った患者における、パクリタキセル、および、トラスツズマブ結合ドラスタチン誘導体を用いたまたは用いない放射線治療の急性毒性を測定するため。
【0835】
疾患の特徴:膀胱の原発性移行上皮癌(TCC)が組織学的または細胞学的に確認される;筋固有層浸潤の組織学的証拠;次に挙げるステージ基準の内1つを満たす:ステージT2-4a、NX、N0またはN1;およびM0または臨床ステージT1、グレード3/3および限定局所療法を必要とする;尿道前立腺部への腫瘍の浸潤を次の基準を満たせば認める:腫瘍が目に見えて完全に切除される;前立腺への間質浸潤の証拠がない、胸部X線またはCTスキャンおよび腹部/骨盤のCTスキャンにより遠隔転移の証拠がない;腫瘍マッピングを伴う双合診を含む経尿道膀胱切除を(安全にできる限り完全に)過去3~8週間以内に行った;HER2/neu分析に十分な腫瘍組織が利用できる;根治的膀胱切除術の候補でない。
【0836】
試験計画:この試験は無作為化されていない多施設共同試験である。患者はHER2/neuの状態(HER2/neu 2+または3+染色[群1]vsHER2/neu 0または1+染色[群2])に応じて2つの治療群の内の1つに割り当てられる。
【0837】
群1:患者に1、8、15、22、29、36および43日目に1時間パクリタキセルを静脈内投与し、また、1日目に90分間、8、15、22、29、36および43日目に30分間トラスツズマブ結合ドラスタチン誘導体を静脈内投与する。また、患者に1~5、8~12、15~19、22~26、29~33、36~40、43~47および50日目に日に一回放射線治療を行う。疾患の進行や許容できない毒性がなければ、治療を続ける。
【0838】
群2:群1と同様に、患者にパクリタキセルを投与し、放射線治療を行う。試験治療の完了後、患者は4~5週の時点、1年間は3ヶ月毎、1年間は4ヵ月毎、3年間は6ヶ月毎、その後は年1回フォローする。
【0839】
(実施例34:卵巣癌の治療)
卵巣癌治療における本明細書に記載されるドラスタチン誘導体の安全性および効果のヒト臨床試験
目的:HER2過剰発現卵巣癌の女性における、本明細書に記載されるドラスタチン誘導体を含む組成物を4週間、週に1回静脈内投与することの安全性および効果を評価するため。
【0840】
試験計画:この試験は無作為化されていない、非盲検の、11週間の多施設共同試験である。この試験は、4週間週に1回静脈内投与することの安全性プロフィール、トラスツズマブ結合ドラスタチン誘導体のMTD、PKおよび免疫原性を評価するものである。患者は1つの群に割り当てる。4週間週に1回トラスツズマブ結合ドラスタチン誘導体を患者に与える。試験1、8、15および22日目に静脈内注射によりトラスツズマブ結合ドラスタチン誘導体を投与する。尿サンプルを1日目および22日目に採取する。
【0841】
血液採取:トラスツズマブ結合ドラスタチン誘導体投与の前および後に、直接に血管に穿刺することによって、血液の系列を採取する。血清濃度を決定するための静脈血サンプル(5mL)を、投与の約10分前と投与後約1、2、3、4,5,8、15、22、36、43および50日目に取得する。各血清サンプルを2等分する。すべての血清サンプルを-20℃に保存する。血清サンプルをドライアイスに載せる。
【0842】
疾患の進行や許容できない毒性がなければ、治療を続ける。ベースラインと、コース2、3、4、5、6、8、10および12の1日目において生活の質を評価する。29、36、43および50日目において患者をフォローする。患者に有害事象について質問する。患者に画像スキャンおよびEGGを行い、腫瘍サイズ(tumor siz)および心臓機能を評価する(43日目)。試験の終了時、患者は身体検査を受ける(50日目)。疾患の軽減の兆候がある患者は、疾患の進行の兆候が記録されるまで治療を続けてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0843】
図1】Her2受容体へのHer-toxの結合を示す図である。
図2】ELISA分析で決定されたAnti-Her2変異体の発現を示す図である。
図3】ELISA分析で決定されたAnti-Her2変異体の発現を示す図である。
図4】HCC1954乳癌細胞株とドラスタチンリンカー誘導体を用いた細胞増殖アッセイを示す図である。
図5】HCC1954乳癌細胞株とドラスタチンリンカー誘導体を用いた細胞増殖アッセイの分析を示す図である。
図6】SKOV-3卵巣癌細胞株とドラスタチンリンカー誘導体を用いた細胞増殖アッセイの分析を示す図である。
図7】SKOV-3卵巣癌細胞株とトラスツズマブ-tox複合体を用いた細胞増殖アッセイの分析を示す図である。
図8】MDA-MB-468乳癌細胞株とドラスタチンリンカー誘導体を用いた細胞増殖アッセイの分析を示す図である。
図9】MDA-MB-468乳癌細胞株とトラスツズマブ-tox複合体を用いた細胞増殖アッセイの分析を示す図である。
図10】各種トラスツズマブ結合ドラスタチン誘導体を心腔内への単回投与(3.3mg/kg、10mg/kg、20mg/kg)した後の腫瘍容積測定(単位:mm)を示す図である。
図11】SDラット血清における各種トラスツズマブ結合ドラスタチン誘導体の濃度を測定するために用いられるアッセイフォーマットを示す図である。
図12】単回静注後の各種トラスツズマブ結合ドラスタチン誘導体の血清濃度(単位:ng/mL)を示す図である。
図13】単回静注後の各種トラスツズマブ結合ドラスタチン誘導体の血清濃度(単位:ng/mL)を示す図である。このアッセイは、ErbB2受容体に結合している抗体を検出する。
図14】単回静注後の各種トラスツズマブ結合ドラスタチン誘導体の血清濃度(単位:ng/mL)を示す図である。生体内安定性測定は、トラスツズマブ(rastuzumab)に結合した少なくとも2つのドラスタチン誘導体を検出する。
図15】各種トラスツズマブ結合ドラスタチン誘導体で治療したラットの体重および腫瘍容積の変化を示す図である。
図16】SCID-bg micマウスにおけるHCC1954の確定腫瘍に対するトラスツズマブ、Her2-HS122-NCD1、およびHer2-HS122/LK145-HCD1の抗腫瘍効果を示す図である。マウスは1日目(矢印で示す)に単回静注を受けた。データ点は、腫瘍容積の群平均を表し、エラーバーは、標準誤差を表す。
図17】MDA361DYT2ブレスト(2+)異種移植モデルにおける各種ドラスタチンリンカー誘導体の抗腫瘍効果を示す図である。
図18】MDA361DYT2ブレスト(2+)異種移植モデルにおける各種ドラスタチンリンカー誘導体の抗腫瘍効果を示す図である。
図1
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