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特許7638978半導体装置、温度補正システム、及び、アラームシステム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-02-21
(45)【発行日】2025-03-04
(54)【発明の名称】半導体装置、温度補正システム、及び、アラームシステム
(51)【国際特許分類】
   H01L 23/58 20060101AFI20250225BHJP
   H10D 89/00 20250101ALI20250225BHJP
   H10D 8/25 20250101ALI20250225BHJP
   H10D 84/83 20250101ALI20250225BHJP
   H10F 39/18 20250101ALI20250225BHJP
   H10F 39/10 20250101ALI20250225BHJP
   G01K 7/00 20060101ALI20250225BHJP
   G01K 7/18 20060101ALI20250225BHJP
   H04N 25/70 20230101ALI20250225BHJP
【FI】
H01L23/56 D
H10D89/00 101T
H10D8/25 C
H10D84/83
H10F39/18 F
H10F39/10 Z
G01K7/00 321C
G01K7/18 Z
H04N25/70
【請求項の数】 19
(21)【出願番号】P 2022521777
(86)(22)【出願日】2021-04-15
(86)【国際出願番号】 JP2021015579
(87)【国際公開番号】W WO2021229995
(87)【国際公開日】2021-11-18
【審査請求日】2024-02-29
(31)【優先権主張番号】P 2020085503
(32)【優先日】2020-05-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】316005926
【氏名又は名称】ソニーセミコンダクタソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【弁理士】
【氏名又は名称】宮嶋 学
(72)【発明者】
【氏名】堀田 海平
(72)【発明者】
【氏名】竹中 恭一
(72)【発明者】
【氏名】河津 直樹
【審査官】相澤 祐介
(56)【参考文献】
【文献】特開平05-235253(JP,A)
【文献】特開2011-086742(JP,A)
【文献】特開2015-002229(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 23/58
H10D 89/00
H10D 8/25
H10D 84/83
H10F 39/18
H10F 39/10
G01K 7/00
G01K 7/18
H04N 25/70
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体チップ、
半導体チップ内に形成された複数のパッド電極、及び、
複数のパッド電極の少なくとも2つのパッド電極間に電気的に接続されたインピーダンス素子、
を備え、
半導体チップの外部から、インピーダンス素子が接続された少なくとも2つのパッド電極間に一定の電気信号が与えられることにより、半導体チップの温度測定が可能な構成となっており
半導体チップには、デバイス内部の温度を測定する温度センサが搭載されている、
半導体装置。
【請求項2】
インピーダンス素子は、温度依存性を持つ素子である、
請求項1に記載の半導体装置。
【請求項3】
インピーダンス素子は、抵抗素子である、
請求項2に記載の半導体装置。
【請求項4】
インピーダンス素子が接続された少なくとも2つのパッド電極のサイズは、他のパッド電極のサイズよりも大きい、
請求項1に記載の半導体装置。
【請求項5】
インピーダンス素子が接続された少なくとも2つのパッド電極のサイズは、他のパッド電極のサイズよりも小さい、
請求項1に記載の半導体装置。
【請求項6】
インピーダンス素子が接続された少なくとも2つのパッド電極は、他のパッド電極を挟んで設けられている、
請求項1に記載の半導体装置。
【請求項7】
インピーダンス素子が接続された少なくとも2つのパッド電極は、それぞれ、互いに隣接し、且つ、電気的に接続された複数のパッド電極から成る、
請求項1に記載の半導体装置。
【請求項8】
インピーダンス素子が接続されるパッド電極の個数は、3個以上であり、
3個以上のパッド電極とインピーダンス素子とを電気的に接続する配線は、導線長、導線材質、線径、及び、電気抵抗が等しくなるような配線である、
請求項1に記載の半導体装置。
【請求項9】
半導体装置は、第1の半導体チップ及び第2の半導体チップが積層され、互いに電気的に接続された積層構造の半導体チップを有する撮像装置であり、
第1の半導体チップには、画素が配置されて成る画素アレイ部が形成され、
第2の半導体チップには、画素アレイ部の周辺回路部が形成されており、
インピーダンス素子は、第1の半導体チップに設けられ、
インピーダンス素子が接続される少なくとも2つのパッド電極は、第2の半導体チップに設けられている、
請求項1に記載の半導体装置。
【請求項10】
温度センサを搭載した半導体チップを有する半導体装置、
半導体チップの温度を測定する温度測定部、及び、
温度センサが計測した温度を補正する温度補正部、
を備え、
半導体装置は、半導体チップ内に形成された複数のパッド電極、及び、複数のパッド電極の少なくとも2つのパッド電極間に電気的に接続されたインピーダンス素子を有し、
温度測定部は、半導体チップの外部から、インピーダンス素子が接続された少なくとも2つのパッド電極間に一定の電気信号を与えることで、半導体チップの温度を測定し、
温度補正部は、温度測定部が測定した半導体チップの温度に基づいて、温度センサが計測した温度を補正する、
温度補正システム。
【請求項11】
インピーダンス素子は、温度依存性を持つ素子である、
請求項1に記載の温度補正システム。
【請求項12】
インピーダンス素子は、抵抗素子である、
請求項1に記載の温度補正システム。
【請求項13】
温度測定部は、抵抗素子に一定の電圧を印加し、抵抗素子に流れる電流値から半導体チップの温度を算出する、
請求項1に記載の温度補正システム。
【請求項14】
温度測定部は、抵抗素子に一定の電流を流し、抵抗素子の両端の電圧値から半導体チップの温度を算出する、
請求項1に記載の温度補正システム。
【請求項15】
温度センサを搭載した半導体チップを有する半導体装置、
半導体チップの温度を測定する温度測定部、
温度センサが計測した温度を補正する温度補正部、及び、
アラーム部、
を備え、
半導体装置は、半導体チップ内に形成された複数のパッド電極、及び、複数のパッド電極の少なくとも2つのパッド電極間に電気的に接続されたインピーダンス素子を有し、
温度測定部は、半導体チップの外部から、インピーダンス素子が接続された少なくとも2つのパッド電極間に一定の電気信号を与えることで、半導体チップの温度を測定し、
温度補正部は、温度測定部が測定した半導体チップの温度に基づいて、温度センサが計測した温度を補正し、
アラーム部は、温度補正部が補正した温度が、所定の基準温度を超えることを検知したとき警報を発する、
アラームシステム。
【請求項16】
インピーダンス素子は、温度依存性を持つ素子である、
請求項1に記載のアラームシステム。
【請求項17】
インピーダンス素子は、抵抗素子である、
請求項1に記載のアラームシステム。
【請求項18】
温度測定部は、抵抗素子に一定の電圧を印加し、抵抗素子に流れる電流値から半導体チップの温度を算出する、
請求項1に記載のアラームシステム。
【請求項19】
温度測定部は、抵抗素子に一定の電流を流し、抵抗素子の両端の電圧値から半導体チップの温度を算出する、
請求項1に記載のアラームシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、半導体装置、温度補正システム、及び、アラームシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
デバイス内部の温度を測定するために、デバイス内部に温度センサを搭載した半導体装置がある。この種の半導体装置において、製造ばらつき等に起因して、温度センサによる測定温度にばらつきが生じる場合がある。このデバイス個体ばらつきを補正するために、パッド電極に熱電対を接触させることによってデバイスの温度を測定し、その測定結果に基づいて、温度センサによる測定温度の補正を行うようにしている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2019-134318号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述した温度補正の際に問題となるのが、ウエハ面内の温度ばらつきである。そのために、半導体チップ毎に温度を測定し、半導体チップ毎に温度センサの温度補正を行う必要がある。しかし、特許文献1に記載の従来技術、即ち、パッド電極に熱電対を接触させてウエハ面内温度を測定する従来技術では、デバイスを駆動しながら半導体チップ単位で実温度を把握することができない。
【0005】
そこで、本開示は、デバイスを駆動しながら半導体チップ単位で実温度を把握することができる半導体装置、当該半導体装置の温度補正システム、及び、当該温度補正システムを用いたアラームシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成するための本開示の半導体装置は、
半導体チップ、
半導体チップ内に形成された複数のパッド電極、及び、
複数のパッド電極の少なくとも2つのパッド電極間に電気的に接続されたインピーダンス素子、を備える。そして、
半導体チップの外部から、インピーダンス素子が接続された少なくとも2つのパッド電極間に一定の電気信号が与えられることにより、半導体チップの温度測定が可能な構成となっている。
【0007】
また、上記の目的を達成するための本開示の温度補正システムは、
温度センサを搭載した半導体チップを有する半導体装置、
半導体チップの温度を測定する温度測定部、及び、
温度センサが計測した温度を補正する温度補正部、を備える。そして、
半導体装置は、半導体チップ内に形成された複数のパッド電極、及び、複数のパッド電極の少なくとも2つのパッド電極間に電気的に接続されたインピーダンス素子を有し、
温度測定部は、半導体チップの外部から、インピーダンス素子が接続された少なくとも2つのパッド電極間に一定の電気信号を与えることで、半導体チップの温度を測定し、
温度補正部は、温度測定部が測定した半導体チップの温度に基づいて、温度センサが計測した温度を補正する。
【0008】
また、上記の目的を達成するための本開示のアラームシステムは、
温度センサを搭載した半導体チップを有する半導体装置、
半導体チップの温度を測定する温度測定部、
温度センサが計測した温度を補正する温度補正部、及び、
アラーム部、
を備える。そして、
半導体装置は、半導体チップ内に形成された複数のパッド電極、及び、複数のパッド電極の少なくとも2つのパッド電極間に電気的に接続されたインピーダンス素子を有し、
温度測定部は、半導体チップの外部から、インピーダンス素子が接続された少なくとも2つのパッド電極間に一定の電気信号を与えることで、半導体チップの温度を測定し、
温度補正部は、温度測定部が測定した半導体チップの温度に基づいて、温度センサが計測した温度を補正し、
アラーム部は、温度補正部が補正した温度が、所定の基準温度を超えることを検知したとき警報を発する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、本開示の半導体装置の一例であるCMOSイメージセンサの基本的な構成の概略を示すシステム構成図である。
図2図2は、画素の回路構成の一例を示す回路図である。
図3図3Aは、ウエハ内の各半導体チップの部位における実温度の一例を示す図であり、図3Bは、熱電対によるウエハ面内温度の測定の説明図である。
図4図4Aは、本開示の第1実施形態に係る半導体装置において、ウエハ上の測定対象の半導体チップとプルーブ針との関係を示す図であり、図4Bは、抵抗素子が接続された2つのパッド電極間に、プルーブ針を通して一定の電気信号を与えて温度測定を行う構成を示す図である。
図5図5Aは、実施例1に係る温度測定の構成例を示す回路図であり、図5Bは、抵抗素子に流れる電流値と温度との関係の一例を示す図である。
図6図6Aは、実施例2に係る温度測定の構成例を示す回路図であり、図6Bは、実施例3に係る温度測定の構成例を示す回路図である。
図7図7は、実施例4に係るパッド電極の配置構造の一例を示す図である。
図8図8は、実施例5に係るパッド電極の配置構造の一例を示す図である。
図9図9は、実施例6に係るパッド電極の配置構造の一例を示す図である。
図10図10は、実施例7に係るパッド電極の配置構造の一例を示す図である。
図11図11は、実施例8に係るパッド電極の配置構造の一例を示す図である。
図12図12は、実施例9に係るパッド電極の配置構造の一例を示す図である。
図13図13Aは、応用例(その1)に係るパッド電極の配置構造を示す図であり、図13Bは、応用例(その2)に係るパッド電極の配置構造を示す図である。
図14図14は、温度測定用のパッド電極の他の配置場所を示す図である。
図15図15は、積層構造の半導体チップ構造を示す分解斜視図である。
図16図16は、本開示の第2実施形態に係る温度補正システムのシステム構成の一例を示すシステム構成図である。
図17図17は、本開示の第3実施形態に係るアラームシステムのシステム構成の一例を示すシステム構成図である。
図18図18は、本開示に係る技術が適用され得る移動体制御システムの一例である車両制御システムの概略的な構成例を示すブロック図である。
図19図19は、移動体制御システムにおける撮像装置の設置位置の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本開示に係る技術を実施するための形態(以下、「実施形態」と記述する)について図面を用いて詳細に説明する。本開示に係る技術は実施形態に限定されるものではなく、実施形態における種々の数値などは例示である。以下の説明において、同一要素又は同一機能を有する要素には同一符号を用いることとし、重複する説明は省略する。尚、説明は以下の順序で行う。
1.本開示の半導体装置、温度補正システム及びアラームシステム、全般に関する説明2.本開示に係る技術が適用される半導体装置(撮像装置の例)
2-1.CMOSイメージセンサの構成例
2-2.画素の構成例
2-3.チップ構造について
2-4.熱電対によるウエハ面内温度の測定について
3.第1実施形態(半導体装置の例)
3-1.実施例1(抵抗素子に一定の電圧を印加して温度を測定する例)
3-2.実施例2(抵抗素子に一定の電流を流して温度を測定する例)
3-3.実施例3(実施例1の変形例:測定系に基準の抵抗素子を設ける例)
3-4.実施例4(抵抗素子が接続されるパッド電極の配置構造の例)
3-5.実施例5(実施例4の変形例:抵抗素子が接続される2つのパッド電極のサイズが、他のパッド電極のサイズよりも大きい例)
3-6.実施例6(実施例4の変形例:抵抗素子が接続される2つのパッド電極のサイズが、他のパッド電極のサイズよりも小さい例)
3-7.実施例7(実施例4の変形例:抵抗素子が接続される2つのパッド電極を、他のパッド電極を挟んで配置した例)
3-8.実施例8(実施例4の変形例:抵抗素子が接続される2つのパッド電極のそれぞれを、複数のパッド電極で構成した例)
3-9.実施例9(実施例8の変形例:抵抗素子が接続されるパッド電極の個数を3個とした例)
3-10.実施例10(2つのパッド電極の応用例)
3-11.第1実施形態の変形例
3-12.積層構造の半導体チップ構造
4.第2実施形態(温度補正システムの例)
5.第3実施形態(アラームシステムの例)
6.本開示に係る技術の応用例(移動体への応用例)
7.本開示がとることができる構成
【0011】
<本開示の半導体装置、温度補正システム及びアラームシステム、全般に関する説明>
本開示の半導体装置、温度補正システム及びアラームシステムにあっては、インピーダンス素子について、温度依存性を持つ素子、好ましくは、抵抗素子である構成とすることができる。
【0012】
また、上述した好ましい構成を含む本開示の半導体装置にあっては、半導体チップに、デバイス内部の温度を測定する温度センサが搭載されている構成とすることができる。
【0013】
上述した好ましい構成を含む本開示の半導体装置にあっては、インピーダンス素子が接続された少なくとも2つのパッド電極のサイズについて、他のパッド電極のサイズよりも大きい構成とすることができる。あるいは又、インピーダンス素子が接続された少なくとも2つのパッド電極のサイズについて、他のパッド電極のサイズよりも小さい構成とすることができる。
【0014】
また、上述した好ましい構成を含む本開示の半導体装置にあっては、インピーダンス素子が接続された少なくとも2つのパッド電極について、他のパッド電極を挟んで設けられている構成とすることができる。あるいは又、インピーダンス素子が接続された少なくとも2つのパッド電極について、それぞれ、互いに隣接し、且つ、電気的に接続された複数のパッド電極から成る構成とすることができる。
【0015】
また、上述した好ましい構成を含む本開示の半導体装置にあっては、インピーダンス素子が接続されるパッド電極の個数について、3個以上とすることができる。そして、3個以上のパッド電極とインピーダンス素子とを電気的に接続する配線について、導線長、導線材質、線径、及び、電気抵抗が等しくなるような配線である構成とすることができる。
【0016】
また、上述した好ましい構成を含む本開示の半導体装置にあっては、半導体装置について、第1の半導体チップ及び第2の半導体チップが積層され、互いに電気的に接続された積層構造の半導体チップを有する撮像装置である構成とすることができる。このとき、第1の半導体チップには、画素が配置されて成る画素アレイ部が形成され、第2の半導体チップには、画素アレイ部の周辺回路部が形成されている構成とすることができる。そして、インピーダンス素子について、第1の半導体チップに設けられ、インピーダンス素子が接続される少なくとも2つのパッド電極は、第2の半導体チップに設けられた構成とすることができる。
【0017】
上述した好ましい構成を含む本開示の温度補正システム及びアラームシステムにあっては、温度測定部について、抵抗素子に一定の電圧を印加し、抵抗素子に流れる電流値から半導体チップの温度を算出する、あるいは又、抵抗素子に一定の電流を流し、抵抗素子の両端の電圧値から半導体チップの温度を算出する構成とすることができる。
【0018】
<本開示に係る技術が適用される半導体装置>
本開示に係る技術が適用される半導体装置としては、撮像装置を例示することができる。ここでは、撮像装置として、X-Yアドレス方式の撮像装置の一種であるCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)イメージセンサを例に挙げて説明する。CMOSイメージセンサは、CMOSプロセスを応用して、又は、部分的に使用して作製されたイメージセンサである。
【0019】
[CMOSイメージセンサの構成例]
図1は、本開示の半導体装置の一例であるCMOSイメージセンサの基本的な構成の概略を示すシステム構成図である。
【0020】
本例に係るCMOSイメージセンサ1は、画素アレイ部11、及び、当該画素アレイ部11の周辺回路部が半導体チップ(半導体基板)10上に集積された構成となっている。画素アレイ部11には、入射光量に応じた電荷量の光電荷を発生する光電変換素子を含む画素20が行方向及び列方向に、即ち、行列状に2次元配置されている。ここで、行方向とは、画素行の画素20の配列方向、即ち、画素行に沿った方向(所謂、水平方向)を言い、列方向とは、画素列の画素20の配列方向、即ち、画素列に沿った方向(所謂、垂直方向)を言う。
【0021】
画素アレイ部11の周辺回路部は、例えば、行選択部12、カラム処理部13、ロジック回路部14、及び、タイミング制御部15等の各回路部によって構成されている。以下に、行選択部12、カラム処理部13、ロジック回路部14、及び、タイミング制御部15等の各機能について説明する。
【0022】
行選択部12は、シフトレジスタやアドレスデコーダなどによって構成され、画素アレイ部11の各画素20の選択に際して、画素行の走査や画素行のアドレスを制御する。この行選択部12は、その具体的な構成については図示を省略するが、一般的に、読出し走査系と掃出し走査系の2つの走査系を有する構成となっている。
【0023】
読出し走査系は、画素20から画素信号を読み出すために、画素アレイ部11の画素20を行単位で順に選択走査する。画素20から読み出される画素信号はアナログ信号である。掃出し走査系は、読出し走査系によって読出し走査が行われる読出し行に対して、その読出し走査よりもシャッタスピードの時間分だけ先行して掃出し走査を行う。
【0024】
この掃出し走査系による掃出し走査により、読出し行の画素20の光電変換部から不要な電荷が掃き出されることによって当該光電変換部がリセットされる。そして、この掃出し走査系による不要電荷の掃き出す(リセットする)ことにより、所謂、電子シャッタ動作が行われる。ここで、電子シャッタ動作とは、光電変換部の光電荷を捨てて、新たに露光を開始する(光電荷の蓄積を開始する)動作のことを言う。
【0025】
行選択部12によって選択された画素行の各画素20からは読み出される画素信号は、画素列毎にカラム処理部13に供給される。カラム処理部13は、例えば、画素20から出力されるアナログの画素信号をデジタルの画素信号に変換するアナログ-デジタル変換器(ADC)等を有する構成となっている。
【0026】
カラム処理部13におけるアナログ-デジタル変換器としては、例えば、参照信号比較型のアナログ-デジタル変換器の一例であるシングルスロープ型アナログ-デジタル変換器を用いることができる。但し、アナログ-デジタル変換器としては、シングルスロープ型アナログ-デジタル変換器に限られるものではなく、逐次比較型アナログ-デジタル変換器やデルタ-シグマ変調型(ΔΣ変調型)アナログ-デジタル変換器などを用いることができる。
【0027】
ロジック回路部14は、例えば、演算処理機能等を有し、画素アレイ部11の各画素20から、カラム処理部13を通して読み出された画素信号に対して所定の信号処理を実行し、出力する。
【0028】
タイミング制御部15は、各種のタイミング信号、クロック信号、及び、制御信号等を生成し、これら生成した信号を基に、行選択部12、カラム処理部13、及び、ロジック回路部14等の駆動制御を行う。
【0029】
上記の構成のCMOSイメージセンサ1に代表される撮像装置には、デバイス内部の温度を計測するために、デバイス内部に温度センサ16が搭載されている。温度センサ16は、例えば、周知のバンドギャップ電圧リファレンス回路と同様の技術を用いて、デバイス内部の温度を生成する構成となっている。
【0030】
デバイス内部の温度を計測するための温度センサ16については、画素アレイ部11の周辺回路部が形成された領域内に形成されることが好ましい。CMOSイメージセンサ1において、デバイス動作時に温度が高くなる部位は、周辺回路部のうち、例えばカラム処理部13と考えられる。そこで、本例では、カラム処理部13が形成された領域内に、温度センサ16を形成した構成をとっている。
【0031】
[画素の回路構成例]
図2は、画素20の回路構成の一例を示す回路図である。画素20は、光電変換素子(受光素子)として、例えば、フォトダイオード21を有している。画素20は、フォトダイオード21の他に、転送トランジスタ22、リセットトランジスタ23、増幅トランジスタ24、及び、選択トランジスタ25を有する画素構成となっている。
【0032】
尚、ここでは、転送トランジスタ22、リセットトランジスタ23、増幅トランジスタ24、及び、選択トランジスタ25の4つのトランジスタとして、例えばNチャネルのMOS型電界効果トランジスタ(Field effect transistor:FET)を用いている。但し、ここで例示した4つのトランジスタ22~25の導電型の組み合わせは一例に過ぎず、これらの組み合わせに限られるものではない。
【0033】
この画素20に対して、先述した行選択部12から、転送信号TRG、リセット信号RST、及び、選択信号SELが適宜与えられる。
【0034】
フォトダイオード21は、アノード電極が低電位側電源(例えば、グランド)に接続されており、受光した光をその光量に応じた電荷量の光電荷(ここでは、光電子)に光電変換してその光電荷を蓄積する。フォトダイオード21のカソード電極は、転送トランジスタ22を介して増幅トランジスタ24のゲート電極と電気的に接続されている。ここで、増幅トランジスタ24のゲート電極が電気的に繋がった領域は、フローティングディフュージョン(浮遊拡散領域/不純物拡散領域)FDである。フローティングディフュージョンFDは、電荷を電圧に変換する電荷電圧変換部である。
【0035】
転送トランジスタ22のゲート電極には、高レベル(例えば、VDDレベル)がアクティブとなる転送信号TRGが行選択部12から与えられる。すると、転送トランジスタ22は、転送信号TRGに応答して導通状態となり、フォトダイオード21で光電変換され、当該フォトダイオード21に蓄積された光電荷をフローティングディフュージョンFDに転送する。
【0036】
リセットトランジスタ23は、高電位側電源電圧VDDのノードとフローティングディフュージョンFDとの間に接続されている。リセットトランジスタ23のゲート電極には、高レベルがアクティブとなるリセット信号RSTが行選択部12から与えられる。すると、リセットトランジスタ23は、リセット信号RSTに応答して導通状態となり、フローティングディフュージョンFDの電荷を電圧VDDのノードに捨てることによってフローティングディフュージョンFDをリセットする。
【0037】
増幅トランジスタ24は、ゲート電極がフローティングディフュージョンFDに、ドレイン電極が高電位側電源電圧VDDのノードにそれぞれ接続されている。増幅トランジスタ24は、フォトダイオード21での光電変換によって得られる信号を読み出すソースフォロワの入力部となる。すなわち、増幅トランジスタ24は、ソース電極が選択トランジスタ25を介して垂直信号線VSLに接続される。そして、増幅トランジスタ24と、垂直信号線VSLの一端に接続される電流源Iとは、フローティングディフュージョンFDの電圧を垂直信号線VSLの電位に変換するソースフォロワを構成している。
【0038】
選択トランジスタ25は、ドレイン電極が増幅トランジスタ24のソース電極に接続され、ソース電極が垂直信号線VSLに接続されている。選択トランジスタ25のゲート電極には、高レベルがアクティブとなる選択信号SELが行選択部12から与えられる。すると、選択トランジスタ25は、選択信号SELに応答して導通状態となって、画素20を選択状態として、増幅トランジスタ24から出力される信号を垂直信号線VSLに伝達する。
【0039】
尚、本例では、画素20の画素回路として、転送トランジスタ22、リセットトランジスタ23、増幅トランジスタ24、及び、選択トランジスタ25から成る、即ち4つのトランジスタ(Tr)から成る4Tr構成を例に挙げたが、これに限られるものではない。例えば、選択トランジスタ25を省略し、増幅トランジスタ24に選択トランジスタ25の機能を持たせる3Tr構成とすることもできるし、必要に応じて、トランジスタの数を増やした5Tr以上の構成とすることもできる。
【0040】
[半導体チップ構造について]
上述したCMOSイメージセンサ1の半導体チップ構造は、図1から明らかなように、所謂、平置構造となっている。平置構造は、画素アレイ部11の周辺回路部、即ち、行選択部12、カラム処理部13、ロジック回路部14、及び、タイミング制御部15等を、画素20が配置されて成る画素アレイ部11と同じ半導体チップ(半導体基板)10に形成したチップ構造である。
【0041】
CMOSイメージセンサ1の半導体チップ構造としては、平置構造に限られるものではなく、所謂、積層構造とすることもできる。積層構造は、画素アレイ部11が形成された半導体基板とは異なる少なくとも1枚の半導体基板に、画素アレイ部11の周辺回路部を形成したチップ構造である。この積層構造によれば、1層目の半導体基板として画素アレイ部11を形成できるだけの大きさ(面積)のもので済むため、1層目の半導体基板のサイズ、ひいては、チップ全体のサイズを小さくできる。更に、1層目の半導体基板には画素20の作製に適したプロセスを適用でき、他の半導体基板には回路部分の作製に適したプロセスを適用できるため、CMOSイメージセンサ1の製造に当たって、プロセスの最適化を図ることができるメリットもある。
【0042】
[熱電対によるウエハ面内温度の測定について]
ところで、CMOSイメージセンサに代表される撮像装置の用途としては、例えば、車両に搭載されて、車外の画像等を撮像する車載用のイメージセンサを例示することができる。但し、車載用のイメージセンサは一例であって、車載用の用途に限定されるものではない。
【0043】
車載用のイメージセンサは、安全性能として、システムが上限温度に達すると、機能を停止させるためにデバイス内部に温度センサ(温度計)を搭載している。特に、高温域においては、温度センサに対して、±1度の高い計測精度が求められる。そのため、デバイス個体ばらつきを補正するために、例えば、図3Aに示すように、半導体チップ101が配置されて成るウエハ102に対して、図3Bに示すように、熱電対103を接触させることによってデバイスの温度を測定し、その測定結果に基づいて、温度センサの計測温度の補正を行うようにしている。
【0044】
この温度補正の際に問題となるのが、ウエハ面内の温度ばらつきである。そのために、半導体チップ毎に温度を測定し、半導体チップ毎に温度センサが計測した温度の補正の行う必要がある訳であるが、上述したパッド電極に熱電対を接触させてウエハ面内温度を測定する従来技術では、デバイスを駆動しながら半導体チップ単位で実温度を把握することができない。その結果、ウエハプローバの設定温度と実温度との差が温度補正誤差となり、特に高温域における±1度の精度達成に対して課題となる。尚、図3Aには、ウエハプローバの設定温度が例えば125度のときのウエハ102内の各半導体チップ101実温度(例えば、123度、125度、127度)を示している。
【0045】
<第1実施形態>
本開示の第1実施形態に係る半導体装置の一例である撮像装置、具体的には、デバイス内部の温度を計測するための温度センサ16をデバイス内部に搭載したCMOSイメージセンサ1は、デバイスを駆動しながら半導体チップ単位(以下、単に「チップ単位」と略記する場合がある)での実温度の把握(測定)を可能としている。
【0046】
チップ単位での実温度の把握を可能とするために、本実施形態に係るCMOSイメージセンサ1は、半導体チップ10内に形成された複数のパッド電極の少なくとも2つのパッド電極間に、インピーダンス素子を電気的に接続した構成となっている。そして、インピーダンス素子が接続された少なくとも2つのパッド電極間には、半導体チップ10の実温度を測定する際に、半導体チップ10の外部から、一定の電気信号(一定の電圧、もしくは、一定の電流)が与えられる。
【0047】
半導体チップ10内に実装するインピーダンス素子としては、図4Aに示すように、温度依存性を持つ素子、例えば、抵抗素子31を用いることができる。そして、図4Bに示すように、ウエハ102内の各半導体チップ10において、抵抗素子31が接続されたパッド電極32_1,32_2間に、プルーブ針33(33_1,33_2)を通して、一定の電気信号(一定の電圧、もしくは、一定の電流)を与える。これにより、抵抗素子31が温度依存性を持つために、ウエハ102内の各半導体チップ10について、チップ単位で、実温度に比例した電流もしくは電圧を測定することができる。
【0048】
尚、ここでは、温度測定用に半導体チップ10の内部に実装する素子として、抵抗素子を例示したが、抵抗素子に限られるものではなく、抵抗素子の他にダイオード等のインピーダンス素子を例示することができる。因みに、パッド電極32_3には、プルーブ針33_3を通して、クロックや電圧等が与えられる。
【0049】
上述したように、温度測定用に半導体チップ10の内部に実装した例えば抵抗素子31に対して、半導体チップ10の外部から、一定の電気信号(一定の電圧、もしくは、一定の電流)を与えて、半導体チップ10の実温度に比例した電流もしくは電圧を測定することにより、デバイスを駆動しながら、チップ単位で実温度を測定することができる。また、半導体チップ10の内部に実装した抵抗素子31をセンサとすることにより、CMOSイメージセンサ1としての組立品においても、半導体チップ10の実温度の計測が可能となる。
【0050】
以下に、半導体チップ10内にインピーダンス素子として抵抗素子31を実装し、チップ単位で半導体チップ10の実温度を測定する具体的な実施例について説明する。
【0051】
[実施例1]
実施例1は、抵抗素子31に一定の電圧を印加して半導体チップ10の実温度を測定する例である。実施例1に係る温度測定の構成例を図5Aに示す。また、抵抗素子31に流れる電流値と温度TJとの関係の一例を図5Bに示す。但し、温度TJの上昇に応じて電流値が減少する図5Bの関係は一例であって、この関係に限定されるものではない。
【0052】
図5Aに示すように、実施例1に係る温度測定では、抵抗素子31が接続されたパッド電極32_1,32_2間に、電圧源41から一定の電圧Vinを印加し、抵抗素子31に流れる電流値Imeasを電流計42で測定する。これにより、電流計42では、抵抗素子31の抵抗値に応じた電流値Imeasが計測される。この電流値Imeasは、抵抗素子31の抵抗材料の性質を反映する。
【0053】
上述したように、実施例1に係る温度測定によれば、抵抗素子31に一定の電圧Vinを印加することで、温度依存性を持つ抵抗素子31の抵抗材料の性質を反映した電流値Imeasを測定することができる。この測定した電流値Imeasから、半導体チップ10のチップ内部の温度を算出することができる。そして、算出した温度については、CMOSイメージセンサ1の半導体チップ10に搭載された温度センサ16(図1参照)の計測温度の補正用温度として用いることができる。
【0054】
[実施例2]
実施例2は、抵抗素子31に一定の電流を流して半導体チップ10の実温度を測定する例である。実施例2に係る温度測定の構成例を図6Aに示す。
【0055】
図6Aに示すように、実施例2に係る温度測定では、電流源43からパッド電極32_1を通して一定の電流Iforceを抵抗素子31に流し、パッド電極32_1,32_2間に接続された電圧計44によって抵抗素子31の両端間の電圧値を測定する。これにより、電圧計44では、抵抗素子31の抵抗値に応じた電圧値Vmeasが計測される。この電圧値Vmeasは、抵抗素子31の抵抗材料の性質を反映する。
【0056】
上述したように、実施例2に係る温度測定によれば、抵抗素子31に一定の電流Iforceを流すことで、温度依存性を持つ抵抗素子31の抵抗材料の性質を反映した電圧値Vmeasを測定することができる。この測定した電圧値Vmeasから、半導体チップ10のチップ内部の温度を算出することができる。そして、算出した温度については、温度センサ16の計測温度の補正用温度として用いることができる。
【0057】
[実施例3]
実施例3は、実施例1の変形例であり、測定系に基準の抵抗素子を設ける例である。実施例3に係る温度測定の構成例を図6Bに示す。
【0058】
図6Bに示すように、実施例3に係る温度測定では、実施例1に係る測定系において、電流計42とパッド電極32_1との間に、測定系の抵抗成分45が存在することを考慮して、パッド電極32_1,32_2間に、基準の抵抗素子46を接続した構成となっている。基準の抵抗素子46は、半導体チップ10外の測定系の抵抗成分45の影響が大きくなると測定精度が低下するため、パッド電極32_1,32_2間に挿入されている。
【0059】
上記の構成の実施例3に係る温度測定の場合にも、基本的に、実施例1に係る温度測定の場合と同じようにして、温度依存性を持つ抵抗素子31の抵抗材料の性質を反映した電流値Imeasを測定し、当該電流値Imeasから、半導体チップ10のチップ内部の温度を算出することができる。特に、実施例3に係る温度測定では、基準の抵抗素子46を挿入することで、測定系の抵抗成分45の抵抗値を算出し、当該抵抗成分45の存在を考慮した測定を行うことができる。
【0060】
[実施例4]
実施例4は、抵抗素子31が接続されるパッド電極の配置構造の例である。実施例4に係るパッド電極の配置構造の一例を図7に示す。
【0061】
図7に示すように、CMOSイメージセンサ1の半導体チップ10において、行方向の例えば両側の端部には、各種の信号の入出力に用いられるパッド電極の集合から成るパッド電極群17A,17Bが設けられている。そして、これらのパッド電極群17A,17Bのパッド電極を、抵抗素子31が接続されるパッド電極として用いることができる。本例では、パッド電極群17Aの端部の2つの電極A,Bを、抵抗素子31が接続される2つのパッド電極32_1,32_2として用いるようにしている。
【0062】
実施例4に係るパッド電極の配置構造では、2つのパッド電極32_1,32_2として、パッド電極群17Aのパッド電極を用いるとしているが、パッド電極群17Bのパッド電極を用いるようにしてもよいし、パッド電極群17A,17Bの端部のパッド電極に限らず、中間部のパッド電極を用いるようにしてもよい。また、抵抗素子31が接続されるパッド電極を2つとしているが、パッド電極間が電気的に接続されていれば2つに限られるものではなく、パッド電極の個数は任意である。
【0063】
[実施例5]
実施例5は、実施例4の変形例であり、抵抗素子が接続される2つのパッド電極のサイズが、他のパッド電極のサイズよりも大きい例である。実施例5に係るパッド電極の配置構造の一例を図8に示す。
【0064】
図8に示すように、実施例5に係るパッド電極の配置構造では、抵抗素子31が接続される2つのパッド電極32_1,32_2のサイズを、パッド電極群17Aにおける他のパッド電極、例えば、チップ外部からクロック等が与えられるパッド電極32_3のサイズよりも大きく設定した構成となっている。
【0065】
このように、抵抗素子31が接続される2つのパッド電極32_1,32_2のサイズを、他のパッド電極のサイズよりも拡大することで、そのサイズに応じて、2つのパッド電極32_1,32_2の抵抗値を、他のパッド電極の抵抗値よりも下げることができる。
【0066】
[実施例6]
実施例6は、実施例4の変形例であり、抵抗素子31が接続される2つのパッド電極のサイズが、他のパッド電極のサイズよりも小さい例である。実施例6に係るパッド電極の配置構造の一例を図9に示す。
【0067】
図9に示すように、実施例6に係るパッド電極の配置構造では、抵抗素子31が接続される2つのパッド電極32_1,32_2のサイズを、パッド電極群17Aにおける他のパッド電極、例えば、チップ外部からクロック等が与えられるパッド電極32_3のサイズよりも小さく設定した構成となっている。
【0068】
このように、抵抗素子31が接続される2つのパッド電極32_1,32_2のサイズを、他のパッド電極のサイズよりも縮小することで、パッド電極群17Aの形成領域における2つのパッド電極32_1,32_2が占有する面積を圧縮することができる。
【0069】
[実施例7]
実施例7は、実施例4の変形例であり、抵抗素子が接続される2つのパッド電極を、他のパッド電極を挟んで配置した例である。実施例7に係るパッド電極の配置構造の一例を図10に示す。
【0070】
図10に示すように、実施例7に係るパッド電極の配置構造では、抵抗素子31が接続される2つのパッド電極32_1,32_2を、パッド電極群17Aにおける他のパッド電極、例えば2つのパッド電極32_4,32_5を挟んで配置した構成となっている。
【0071】
このように、抵抗素子31が接続される2つのパッド電極32_1,32_2を、パッド電極群17Aにおける他のパッド電極を挟んで配置することで、2つのパッド電極32_1,32_2間の距離を離すことができるため、隣接して設ける場合に比べて、広域の温度測定を可能にすることができる。ここでは、2つのパッド電極32_1,32_2が挟むパッド電極の個数を2つとしているが、これは一例であって、2つに限られるものではない。
【0072】
[実施例8]
実施例8は、実施例4の変形例であり、抵抗素子が接続される2つのパッド電極のそれぞれを、複数のパッド電極で構成した例である。実施例8に係るパッド電極の配置構造の一例を図11に示す。
【0073】
図11に示すように、実施例8に係るパッド電極の配置構造では、抵抗素子31が接続される2つのパッド電極32_1,32_2のそれぞれが、パッド電極群17Aにおいて互いに隣接し、且つ、電気的に接続された複数のパッド電極から成る構成となっている。
【0074】
本例では、パッド電極群17Aにおいて、互いに隣接するパッド電極32_1とパッド電極32_4とが電気的に接続されて、抵抗素子31が接続される2つのパッド電極(32_1,32_2)の一方として用いられる。また、互いに隣接するパッド電極32_2とパッド電極32_5とが電気的に接続されて、抵抗素子31が接続される2つのパッド電極の他方として用いられる。
【0075】
尚、本例では、抵抗素子31が接続される2つのパッド電極のそれぞれが、パッド電極群17Aにおいて互いに隣接し、且つ、電気的に接続された2つのパッド電極から成る構成としたが、これに限られるものではなく、パッド電極の個数は任意である。
【0076】
このように、抵抗素子31が接続される2つのパッド電極32_1,32_2のそれぞれを、複数のパッド電極から成る構成とすることで、それぞれの電極サイズを拡大したことと等価となるため、2つのパッド電極32_1,32_2のそれぞれの抵抗値を、1つのパッド電極から成る場合よりも下げることができる。また、パッド電極の個数を増やすことで、抵抗素子31以外の導線抵抗の影響を相殺することが可能になるため、温度測定の精度向上を図ることができる。
【0077】
[実施例9]
実施例9は、実施例8の変形例であり、抵抗素子が接続されるパッド電極の個数を3個以上とした例である。実施例9に係るパッド電極の配置構造の一例を図12に示す。
【0078】
図12に示すように、実施例9に係るパッド電極の配置構造では、抵抗素子31が接続されるパッド電極の個数を3個以上、例えば、パッド電極32_1、パッド電極32_2、及び、パッド電極32_6の3個とした構成となっている。
【0079】
3個以上、例えば、3個のパッド電極32_1、パッド電極32_2、及び、パッド電極32_6と抵抗素子31とを電気的に接続する配線については、例えばミアンダ配線等により、導線長(L_1,L_2,L_3)、導線材質、線径、及び、電気抵抗が等しくなるような配線とする(例えば、導線長については、L_1=L_2=L_3)。ここで、「等しく」とは、とは、厳密に等しい場合の他、実質的に等しい場合も含む意味であり、設計上あるいは製造上生ずる種々のばらつきの存在は許容される。
【0080】
このように、3個のパッド電極32_1、パッド電極32_2、及び、パッド電極32_6において、抵抗素子31と電気的に接続する配線について、導線長、導線材質、線径、及び、電気抵抗が等しくなるようにすることで、導線抵抗の影響をキャンセルすることができるため、温度測定の精度向上を図ることができる。
【0081】
[実施例10]
実施例10は、抵抗素子が接続される2つのパッド電極の応用例である。実施例1乃至実施例9では、抵抗素子31が接続される2つのパッド電極32_1,32_2について、温度センサ16の計測精度の向上のために、CMOSイメージセンサ1の半導体チップ10の温度測定専用のパッド電極とした場合について説明した。
【0082】
実施例10では、2つのパッド電極32_1,32_2の、温度測定専用のパッド電極以外の応用例について説明する。応用例(その1)に係るパッド電極の配置構造を図13Aに示し、応用例(その2)に係るパッド電極の配置構造を図13Bに示す。
【0083】
図13Aに示す応用例(その1)は、抵抗素子31及び2つのパッド電極32_1,32_2を、過加熱検出器として用いる例である。具体的には、2つのパッド電極32_1,32_2と抵抗素子31とを繋ぐ配線を、半導体チップ10内において、カラム処理部13(図1参照)内に設けられるアナログ-デジタル変換器50(50_1,50_2)に接続する。そして、アナログ-デジタル変換器50_1,50_2において、2つのパッド電極32_1,32_2を通して電流を流したときの抵抗素子31の両端間の電圧を処理することで、半導体チップ10内の過加熱を検出することができる。
【0084】
図13Bに示す応用例(その2)は、2つのパッド電極32_1,32_2と抵抗素子31との間にスイッチ52素子_1,52_2を接続した例である。温度測定のための抵抗素子31を2つのパッド電極32_1,32_2から、例えばCMOSスイッチから成るスイッチ52素子_1,52_2で電気的に切り離すことで、2つのパッド電極32_1,32_2間の貫通電流を無くすことができる。そして、通常駆動時は、2つのパッド電極32_1,32_2を電源やグランド(GND)の扱いとすれば、電源インピーダンスが低下するため、CMOSイメージセンサ1の撮像特性の向上につながる。
【0085】
[第1実施形態の変形例]
以上、本開示に係る技術について、好ましい実施形態に基づき説明したが、本開示に係る技術は当該実施形態に限定されるものではない。上記の第1実施形態において説明した撮像装置の構成、構造は例示であり、適宜、変更することができる。
【0086】
例えば、上記の第1実施形態では、抵抗素子31が接続される温度測定用の2つのパッド電極32_1,32_2として、パッド電極群17A,17Bのうち、パッド電極群17Aの下側端部の2つのパッド電極A,Bを用いるとしたが、温度測定用のパッド電極の個数や配置場所については特に限定するものではない。例えば、図14に示すように、パッド電極群17Aの上側端部Xのパッド電極を用いるようにしてもよいし、パッド電極群17Bの上側端部Y/下側端部Zの各パッド電極を用いるようにしてもよいし、それらの組み合わせとすることも可能である。
【0087】
[積層構造の半導体チップ構造]
CMOSイメージセンサ1の半導体チップ構造としては、平置構造とすることもできるし、積層構造とすることもできる。ここで、CMOSイメージセンサ1の半導体チップ構造が、積層構造である場合について説明する。図15は、積層構造の半導体チップ構造を示す分解斜視図である。
【0088】
図15に示すように、CMOSイメージセンサ1の半導体チップ10は、例えば、第1の半導体チップ10A及び第2の半導体チップ10Bが積層されて成る積層構造となっている。図15では、第1の半導体チップ10Aを上チップとし、第2の半導体チップ10Bを下チップとしている。第1の半導体チップ10Aには、画素20が行列状に配置されて成る画素アレイ部11が形成され、第2の半導体チップ10Bには、画素アレイ部11の周辺回路部が形成される。ここでは、第1の半導体チップ10A及び第2の半導体チップ10Bの2つの半導体チップの積層構造としているが、3つ以上の半導体チップの積層構造とすることも可能である。
【0089】
尚、本例では、半導体チップ10の行方向の両側の端部にパッド電極群17A,17Bが設けられていることに加えて、列方向の両側の端部にもパッド電極群17C,17Dが設けられた構成となっている。パッド電極群17Aは、上チップ側のパッド電極群17A_1及び下チップ側のパッド電極群17A_2から成り、パッド電極群17Bは、上チップ側のパッド電極群17B_1及び下チップ側のパッド電極群17B_2から成る。同様に、パッド電極群17Cは、上チップ側のパッド電極群17C_1及び下チップ側のパッド電極群17C_2から成り、パッド電極群17Dは、上チップ側のパッド電極群17D_1及び下チップ側のパッド電極群17D_2から成る。
【0090】
上記の積層構造において、温度測定のための抵抗素子31は、上チップである第1の半導体チップ10Aに設けられている。2つのパッド電極32_1,32_2は、下チップである第2の半導体チップ10Bに設けられている。具体的には、2つのパッド電極32_1,32_2として、下チップ側のパッド電極群17D_2の端部の2つのパッド電極A,Bが用いられている。
【0091】
そして、抵抗素子31と2つのパッド電極32_1,32_2とは、第1の半導体チップ10Aと第2の半導体チップ10Bとを電気的に接続する接続部10Cによって電気的に接続されている。図15では、抵抗素子31と2つのパッド電極32_1,32_2とを電気的に接続する接続部10Cとして、スルーチップビア(Through Chip Via:TCV)53を用いる接続法を例示している。但し、ここで例示した接続部10Cの接続法は、一例であって、これに限られるものではない。他の好ましい接続法としては、Cu-Cu接合を含む金属-金属接合を例示することができる。
【0092】
上述したように、第1の半導体チップ10A及び第2の半導体チップ10Bが積層されて成る積層構造の半導体チップ10において、抵抗素子31を第1の半導体チップ10Aに設けることで、画素20が行列状に配置されて成る画素アレイ部11が形成され第1の半導体チップ10Aの温度を測定することができる。
【0093】
<第2実施形態>
本開示の第2実施形態に係る温度補正システムは、上記の構成の第1実施形態に係る半導体装置、即ち、CMOSイメージセンサ1の半導体チップ10に搭載されている温度センサ16が計測した温度を補正するシステムである。本開示の第2実施形態に係る温度補正システムのシステム構成の一例を図16に示す。
【0094】
本開示の第2実施形態に係る温度補正システムは、半導体チップ10に温度センサ16が搭載されて成る上記の構成のCMOSイメージセンサ1の他に、温度測定部60を備えた構成となっている。
【0095】
温度測定部60は、半導体チップ10において、抵抗素子31が接続されたパッド電極32_1,32_2間に、一定の電気信号(一定の電圧、もしくは、一定の電流)を与えて、半導体チップ10の実温度に比例した電流もしくは電圧を測定することにより、半導体チップ10の実温度を測定する。例えば、温度測定部60は、抵抗素子31に一定の電圧を印加したときに抵抗素子31に流れる電流値から半導体チップ10の実温度を算出する、又は、抵抗素子31に一定の電流を流したときの抵抗素子31の両端の電圧値から半導体チップ10の実温度を算出する。
【0096】
CMOSイメージセンサ1において、温度センサ16が計測した温度情報は、カラム処理部13内に設けられたアナログ-デジタル変換器50を介して、ロジック回路部14に供給される。アナログ-デジタル変換器50としては、参照信号比較型のアナログ-デジタル変換器の一例であるシングルスロープ型のアナログ-デジタル変換器、逐次比較型のアナログ-デジタル変換器、デルタ-シグマ変調型(ΔΣ変調型)のアナログ-デジタル変換器等を用いることができる。
【0097】
ここでは、アナログ-デジタル変換器50として、シングルスロープ型のアナログ-デジタル変換器を用いる場合を例示している。シングルスロープ型のアナログ-デジタル変換器50は、例えば、参照信号生成部501、コンパレータ502、及び、カウンタ503を有する構成となっている。
【0098】
参照信号生成部501は、例えば、デジタル-アナログ変換(DAC)回路から成り、時間経過に応じてレベル(電圧)が単調減少する、所謂、ランプ波の参照信号を、アナログ-デジタル変換の際の基準信号として生成する。
【0099】
コンパレータ502は、画素20から読み出されるアナログの画素信号を比較入力とし、参照信号生成部501で生成される参照信号を基準入力とし、両信号を比較する。そして、コンパレータ502は、例えば、参照信号が画素信号よりも大きいときに出力が第1の状態(例えば、高レベル)になり、参照信号が画素信号以下のときに出力が第2の状態(例えば、低レベル)になる。これにより、コンパレータ502は、画素信号の信号レベルの大きさに対応したパルス幅を持つパルス信号を比較結果として出力する。
【0100】
カウンタ503には、コンパレータ502への参照信号の供給開始タイミングと同じタイミングで、タイミング制御部15からクロック信号が与えられる。そして、カウンタ503は、クロック信号に同期してカウント動作を行うことによって、コンパレータ502の出力パルスのパルス幅の期間、即ち、比較動作の開始から比較動作の終了までの期間を計測する。このコンパレータ502のカウント結果(カウント値)が、アナログの画素信号をデジタル化したデジタル値となる。
【0101】
温度センサ16が計測した温度情報は、上記の構成のシングルスロープ型のアナログ-デジタル変換器50を介してロジック回路部14に供給される。ロジック回路部14は、信号処理部141及び温度補正部142等によって構成されている。
【0102】
信号処理部141は、画素アレイ部11の各画素20から、カラム処理部13を通して読み出された画素信号に対して所定の信号処理を実行し、パッド電極32_13を通して出力する。
【0103】
温度補正部142は、シングルスロープ型のアナログ-デジタル変換器50を通して与えられる、温度センサ16による計測温度を補正することで、デバイス個体ばらつきの補正を行う。この温度補正の際には、ウエハ面内の温度ばらつきの影響を受けないようにするために、半導体チップ10毎に温度を測定し、半導体チップ10毎に温度センサの温度補正を行う必要がある。
【0104】
そこで、本温度補正システムでは、温度測定部60により、抵抗素子31が接続されたパッド電極32_1,32_2間に、一定の電気信号(一定の電圧、もしくは、一定の電流)を与えて、半導体チップ10の実温度に比例した電流もしくは電圧を測定することによって、半導体チップ10の実温度を測定する。温度測定部60で測定された半導体チップ10の温度情報は、パッド電極32_11を通して温度補正部142に与えられる。
【0105】
温度補正部142は、温度測定部60が測定した半導体チップ10の温度に基づいて、温度センサ16が計測した温度を補正する。温度センサ16で計測され、温度補正部142で補正された温度情報は、パッド電極32_12を通して半導体チップ10外へ出力される。
【0106】
このように、半導体チップ10毎に設けられたインピーダンス素子(本例では、抵抗素子31を用いて半導体チップ10毎に実温度を測定し、温度センサ16による計測温度の補正に反映させることにより、ウエハ面内の温度ばらつきの影響を受けることなく、半導体チップ10毎に温度センサ16の温度補正を行うことができる。
【0107】
<第3実施形態>
本開示の第3実施形態に係るアラームシステムは、上記の構成の第1実施形態に係る半導体装置、即ち、CMOSイメージセンサ1の半導体チップ10に搭載されている温度センサ16が計測した温度が異常温度の場合に警報を発するシステムである。本開示の第3実施形態に係るアラームシステムのシステム構成の一例を図17に示す。
【0108】
本開示の第3実施形態に係るアラームシステムは、半導体チップ10外に温度測定部60を有し、半導体チップ10内に温度補正部142を有する第2実施形態に係る温度補正システムを備えるCMOSイメージセンサ1の他に、温度センサ16が計測した補正済みの温度が所定の基準温度を超えることを検知し、警報を発するアラーム部70を備えた構成となっている。
【0109】
アラーム部70は、半導体チップ10に搭載されている温度センサ16が計測した温度が異常のとき、例えば、温度センサ16で計測され、且つ、温度補正部142で補正され、パッド電極32_12を通して出力される温度情報が、所定の基準温度(例えば、システムの上限温度)を超えたことを検知したとき、異常発生を知らせる警報を発する。警報を発する方法としては、視覚的な方法(ディスプレイによる警報表示)、聴覚的な方法(警報音)、あるいは、両者を併用した方法を例示することができる。
【0110】
このように、半導体チップ10上に温度センサ16を搭載したCMOSイメージセンサ1において、温度センサ16が計測した温度が異常のとき警報を発することにより、システムの動作を停止するなど、異常発生に迅速に対処することができる。これにより、半導体チップ10上の回路素子等を、温度による熱破壊等から保護することができる。また、温度センサ16そのものの異常を発見することができる。尚、半導体チップ10外の温度測定部60は、半導体チップ10の出荷前の個体調整において、温度センサ16の計測値の補正の際に用いられることになる。
【0111】
<本開示に係る技術の応用例>
本開示に係る技術(本技術)は、様々な製品へ応用することができる。例えば、本開示に係る技術は、自動車、電気自動車、ハイブリッド電気自動車、自動二輪車、自転車、パーソナルモビリティ、飛行機、ドローン、船舶、ロボット、建設機械、農業機械(トラクター)などのいずれかの種類の移動体に搭載される撮像装置として実現されてもよい。
【0112】
[移動体への応用例]
図18は、本開示に係る技術が適用され得る移動体制御システムの一例である車両制御システムの概略的な構成例を示すブロック図である。
【0113】
車両制御システム12000は、通信ネットワーク12001を介して接続された複数の電子制御ユニットを備える。図1021に示した例では、車両制御システム12000は、駆動系制御ユニット12010、ボディ系制御ユニット12020、車外情報検出ユニット12030、車内情報検出ユニット12040、及び統合制御ユニット12050を備える。また、統合制御ユニット12050の機能構成として、マイクロコンピュータ12051、音声画像出力部12052、及び車載ネットワークI/F(interface)12053が図示されている。
【0114】
駆動系制御ユニット12010は、各種プログラムにしたがって車両の駆動系に関連する装置の動作を制御する。例えば、駆動系制御ユニット12010は、内燃機関又は駆動用モータ等の車両の駆動力を発生させるための駆動力発生装置、駆動力を車輪に伝達するための駆動力伝達機構、車両の舵角を調節するステアリング機構、及び、車両の制動力を発生させる制動装置等の制御装置として機能する。
【0115】
ボディ系制御ユニット12020は、各種プログラムにしたがって車体に装備された各種装置の動作を制御する。例えば、ボディ系制御ユニット12020は、キーレスエントリシステム、スマートキーシステム、パワーウィンドウ装置、あるいは、ヘッドランプ、バックランプ、ブレーキランプ、ウィンカー又はフォグランプ等の各種ランプの制御装置として機能する。この場合、ボディ系制御ユニット12020には、鍵を代替する携帯機から発信される電波又は各種スイッチの信号が入力され得る。ボディ系制御ユニット12020は、これらの電波又は信号の入力を受け付け、車両のドアロック装置、パワーウィンドウ装置、ランプ等を制御する。
【0116】
車外情報検出ユニット12030は、車両制御システム12000を搭載した車両の外部の情報を検出する。例えば、車外情報検出ユニット12030には、撮像部12031が接続される。車外情報検出ユニット12030は、撮像部12031に車外の画像を撮像させるとともに、撮像された画像を受信する。車外情報検出ユニット12030は、受信した画像に基づいて、人、車、障害物、標識又は路面上の文字等の物体検出処理又は距離検出処理を行ってもよい。
【0117】
撮像部12031は、光を受光し、その光の受光量に応じた電気信号を出力する光センサである。撮像部12031は、電気信号を画像として出力することもできるし、測距の情報として出力することもできる。また、撮像部12031が受光する光は、可視光であっても良いし、赤外線等の非可視光であっても良い。
【0118】
車内情報検出ユニット12040は、車内の情報を検出する。車内情報検出ユニット12040には、例えば、運転者の状態を検出する運転者状態検出部12041が接続される。運転者状態検出部12041は、例えば運転者を撮像するカメラを含み、車内情報検出ユニット12040は、運転者状態検出部12041から入力される検出情報に基づいて、運転者の疲労度合い又は集中度合いを算出してもよいし、運転者が居眠りをしていないかを判別してもよい。
【0119】
マイクロコンピュータ12051は、車外情報検出ユニット12030又は車内情報検出ユニット12040で取得される車内外の情報に基づいて、駆動力発生装置、ステアリング機構又は制動装置の制御目標値を演算し、駆動系制御ユニット12010に対して制御指令を出力することができる。例えば、マイクロコンピュータ12051は、車両の衝突回避あるいは衝撃緩和、車間距離に基づく追従走行、車速維持走行、車両の衝突警告、又は車両のレーン逸脱警告等を含むADAS(Advanced Driver Ass
istance System)の機能実現を目的とした協調制御を行うことができる。
【0120】
また、マイクロコンピュータ12051は、車外情報検出ユニット12030又は車内情報検出ユニット12040で取得される車両の周囲の情報に基づいて駆動力発生装置、ステアリング機構又は制動装置等を制御することにより、運転者の操作に拠らずに自律的に走行する自動運転等を目的とした協調制御を行うことができる。
【0121】
また、マイクロコンピュータ12051は、車外情報検出ユニット12030で取得される車外の情報に基づいて、ボディ系制御ユニット12020に対して制御指令を出力することができる。例えば、マイクロコンピュータ12051は、車外情報検出ユニット12030で検知した先行車又は対向車の位置に応じてヘッドランプを制御し、ハイビームをロービームに切り替える等の防眩を図ることを目的とした協調制御を行うことができる。
【0122】
音声画像出力部12052は、車両の搭乗者又は車外に対して、視覚的又は聴覚的に情報を通知することが可能な出力装置へ音声及び画像のうちの少なくとも一方の出力信号を送信する。図18の例では、出力装置として、オーディオスピーカ12061、表示部12062及びインストルメントパネル12063が例示されている。表示部12062は、例えば、オンボードディスプレイ及びヘッドアップディスプレイの少なくとも一つを含んでいてもよい。
【0123】
図19は、撮像部12031の設置位置の例を示す図である。
【0124】
図19では、車両12100は、撮像部12031として、撮像部12101,12102,12103,12104,12105を有する。
【0125】
撮像部12101,12102,12103,12104,12105は、例えば、車両12100のフロントノーズ、サイドミラー、リアバンパ、バックドア及び車室内のフロントガラスの上部等の位置に設けられる。フロントノーズに備えられる撮像部12101及び車室内のフロントガラスの上部に備えられる撮像部12105は、主として車両12100の前方の画像を取得する。サイドミラーに備えられる撮像部12102,12103は、主として車両12100の側方の画像を取得する。リアバンパ又はバックドアに備えられる撮像部12104は、主として車両12100の後方の画像を取得する。撮像部12101及び12105で取得される前方の画像は、主として先行車両又は、歩行者、障害物、信号機、交通標識又は車線等の検出に用いられる。
【0126】
なお、図19には、撮像部12101ないし12104の撮影範囲の一例が示されている。撮像範囲12111は、フロントノーズに設けられた撮像部12101の撮像範囲を示し、撮像範囲12112,12113は、それぞれサイドミラーに設けられた撮像部12102,12103の撮像範囲を示し、撮像範囲12114は、リアバンパ又はバックドアに設けられた撮像部12104の撮像範囲を示す。例えば、撮像部12101ないし12104で撮像された画像データが重ね合わせられることにより、車両12100を上方から見た俯瞰画像が得られる。
【0127】
撮像部12101ないし12104の少なくとも1つは、距離情報を取得する機能を有していてもよい。例えば、撮像部12101ないし12104の少なくとも1つは、複数の撮像素子からなるステレオカメラであってもよいし、位相差検出用の画素を有する撮像素子であってもよい。
【0128】
例えば、マイクロコンピュータ12051は、撮像部12101ないし12104から得られた距離情報を基に、撮像範囲12111ないし12114内における各立体物までの距離と、この距離の時間的変化(車両12100に対する相対速度)を求めることにより、特に車両12100の進行路上にある最も近い立体物で、車両12100と略同じ方向に所定の速度(例えば、0km/h以上)で走行する立体物を先行車として抽出することができる。さらに、マイクロコンピュータ12051は、先行車の手前に予め確保すべき車間距離を設定し、自動ブレーキ制御(追従停止制御も含む)や自動加速制御(追従発進制御も含む)等を行うことができる。このように運転者の操作に拠らずに自律的に走行する自動運転等を目的とした協調制御を行うことができる。
【0129】
例えば、マイクロコンピュータ12051は、撮像部12101ないし12104から得られた距離情報を元に、立体物に関する立体物データを、2輪車、普通車両、大型車両、歩行者、電柱等その他の立体物に分類して抽出し、障害物の自動回避に用いることができる。例えば、マイクロコンピュータ12051は、車両12100の周辺の障害物を、車両12100のドライバが視認可能な障害物と視認困難な障害物とに識別する。そして、マイクロコンピュータ12051は、各障害物との衝突の危険度を示す衝突リスクを判断し、衝突リスクが設定値以上で衝突可能性がある状況であるときには、オーディオスピーカ12061や表示部12062を介してドライバに警報を出力することや、駆動系制御ユニット12010を介して強制減速や回避操舵を行うことで、衝突回避のための運転支援を行うことができる。
【0130】
撮像部12101ないし12104の少なくとも1つは、赤外線を検出する赤外線カメラであってもよい。例えば、マイクロコンピュータ12051は、撮像部12101ないし12104の撮像画像中に歩行者が存在するか否かを判定することで歩行者を認識することができる。かかる歩行者の認識は、例えば赤外線カメラとしての撮像部12101ないし12104の撮像画像における特徴点を抽出する手順と、物体の輪郭を示す一連の特徴点にパターンマッチング処理を行って歩行者か否かを判別する手順によって行われる。マイクロコンピュータ12051が、撮像部12101ないし12104の撮像画像中に歩行者が存在すると判定し、歩行者を認識すると、音声画像出力部12052は、当該認識された歩行者に強調のための方形輪郭線を重畳表示するように、表示部12062を制御する。また、音声画像出力部12052は、歩行者を示すアイコン等を所望の位置に表示するように表示部12062を制御してもよい。
【0131】
以上、本開示に係る技術が適用され得る車両制御システムの一例について説明した。本開示に係る技術は、以上説明した構成のうち、例えば、撮像部12031として、半導体チップ10に温度センサ16を搭載した第1実施形態に係るCMOSイメージセンサを用いることができる。
【0132】
車両に搭載されるCMOSイメージセンサは、安全性能として、システムが上限温度に達すると、機能を停止させるために、デバイス内部に温度センサ16を備えている。特に、高温域においては、温度センサ16に対して、±1度の高い計測精度が求められる。そのため、第2実施形態に係る温度補正システムを備えることで、温度センサ16の高い計測精度を維持することができる。更に、第3実施形態に係るアラームを備えることで、システムが上限温度に達するなど、異常が発生したとき、安全性能を維持するために警報を発することができる。
【0133】
<本開示がとることができる構成>
尚、本開示は、以下のような構成をとることもできる。
【0134】
≪A.半導体装置≫
[A-1]半導体チップ、
半導体チップ内に形成された複数のパッド電極、及び、
複数のパッド電極の少なくとも2つのパッド電極間に電気的に接続されたインピーダンス素子、を備え、
半導体チップの外部から、インピーダンス素子が接続された少なくとも2つのパッド電極間に一定の電気信号が与えられることにより、半導体チップの温度測定が可能な構成となっている、半導体装置。
[A-2]インピーダンス素子は、温度依存性を持つ素子である、
上記[A-1]に記載の半導体装置。
[A-3]インピーダンス素子は、抵抗素子である、
上記[A-2]に記載の半導体装置。
[A-4]半導体チップには、デバイス内部の温度を測定する温度センサが搭載されている、
上記[A-1]乃至上記[A-3]のいずれかに記載の半導体装置。
[A-5]インピーダンス素子が接続された少なくとも2つのパッド電極のサイズは、他のパッド電極のサイズよりも大きい、
上記[A-1]乃至上記[A-4]のいずれかに記載の半導体装置。
[A-6]インピーダンス素子が接続された少なくとも2つのパッド電極のサイズは、他のパッド電極のサイズよりも小さい、
上記[A-1]乃至上記[A-4]のいずれかに記載の半導体装置。
[A-7]インピーダンス素子が接続された少なくとも2つのパッド電極は、他のパッド電極を挟んで設けられている、
上記[A-1]乃至上記[A-4]のいずれかに記載の半導体装置。
[A-8]インピーダンス素子が接続された少なくとも2つのパッド電極は、それぞれ、互いに電気的に接続された複数のパッド電極から成る、
上記[A-1]乃至上記[A-4]のいずれかに記載の半導体装置。
[A-9]インピーダンス素子が接続されるパッド電極の個数は、3個以上であり、
3個以上のパッド電極とインピーダンス素子とを電気的に接続する配線は、導線長、導線材質、線径、及び、電気抵抗が等しくなるような配線である、
上記[A-1]乃至上記[A-4]のいずれかに記載の半導体装置。
[A-10]半導体装置は、第1の半導体チップ及び第2の半導体チップが積層され、互いに電気的に接続された積層構造の半導体チップを有する撮像装置であり、
第1の半導体チップには、画素が配置されて成る画素アレイ部が形成され、
第2の半導体チップには、画素アレイ部の周辺回路部が形成されており、
インピーダンス素子は、第1の半導体チップに設けられ、
インピーダンス素子が接続される少なくとも2つのパッド電極は、第2の半導体チップに設けられている、
上記[A-1]乃至上記[A-9]のいずれかに記載の半導体装置。
【0135】
≪B.温度補正システム≫
[B-1]温度センサを搭載した半導体チップを有する半導体装置、
半導体チップの温度を測定する温度測定部、及び、
温度センサが計測した温度を補正する温度補正部、
を備え、
半導体装置は、半導体チップ内に形成された複数のパッド電極、及び、複数のパッド電極の少なくとも2つのパッド電極間に電気的に接続されたインピーダンス素子を有し、
温度測定部は、半導体チップの外部から、インピーダンス素子が接続された少なくとも2つのパッド電極間に一定の電気信号を与えることで、半導体チップの温度を測定し、
温度補正部は、温度測定部が測定した半導体チップの温度に基づいて、温度センサが計測した温度を補正する、
温度補正システム。
[B-2]インピーダンス素子は、温度依存性を持つ素子である、
上記[B-1]に記載の温度補正システム。
[B-3]インピーダンス素子は、抵抗素子である、
上記[B-2]に記載の温度補正システム。
[B-4]温度測定部は、抵抗素子に一定の電圧を印加し、抵抗素子に流れる電流値から半導体チップの温度を算出する、
上記[B-3]に記載の温度補正システム。
[B-5]温度測定部は、抵抗素子に一定の電流を流し、抵抗素子の両端の電圧値から半導体チップの温度を算出する、
上記[B-3]に記載の温度補正システム。
【0136】
≪C.アラームシステム≫
[C-1]温度センサを搭載した半導体チップを有する半導体装置、
半導体チップの温度を測定する温度測定部、
温度センサが計測した温度を補正する温度補正部、及び、
アラーム部、
を備え、
半導体装置は、半導体チップ内に形成された複数のパッド電極、及び、複数のパッド電極の少なくとも2つのパッド電極間に電気的に接続されたインピーダンス素子を有し、
温度測定部は、半導体チップの外部から、インピーダンス素子が接続された少なくとも2つのパッド電極間に一定の電気信号を与えることで、半導体チップの温度を測定し、
温度補正部は、温度測定部が測定した半導体チップの温度に基づいて、温度センサが計測した温度を補正し、
アラーム部は、温度補正部が補正した温度が、所定の基準温度を超えることを検知したとき警報を発する、
アラームシステム。
[C-2]インピーダンス素子は、温度依存性を持つ素子である、
上記[C-1]に記載のアラームシステム。
[C-3]インピーダンス素子は、抵抗素子である、
上記[C-2]に記載のアラームシステム。
[C-4]インピーダンス素子は、抵抗素子である、
上記[C-3]に記載のアラームシステム。
[C-5]温度測定部は、抵抗素子に一定の電圧を印加し、抵抗素子に流れる電流値から半導体チップの温度を算出する、
上記[C-4]に記載のアラームシステム。
[C-6]温度測定部は、抵抗素子に一定の電流を流し、抵抗素子の両端の電圧値から半導体チップの温度を算出する、
上記[C-4]に記載のアラームシステム。
【符号の説明】
【0137】
1・・・CMOSイメージセンサ、10・・・半導体チップ(半導体基板)、11・・・画素アレイ部、12・・・行選択部、13・・・カラム処理部、14・・・ロジック回路部、15・・・タイミング制御部、16・・・温度センサ、20・・・画素、21・・・フォトダイオード、22・・・転送トランジスタ、23・・・リセットトランジスタ、24・・・増幅トランジスタ、25・・・選択トランジスタ、31・・・抵抗素子、32_1~32_6・・・パッド電極、33(33_1,33_2)・・・プルーブ針、50・・・アナログ-デジタル変換器、60・・・温度測定部、70・・・アラーム部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
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