IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ DMG森精機株式会社の特許一覧

特許7639138加工システム、検索方法、および検索プログラム
<>
  • 特許-加工システム、検索方法、および検索プログラム 図1
  • 特許-加工システム、検索方法、および検索プログラム 図2
  • 特許-加工システム、検索方法、および検索プログラム 図3
  • 特許-加工システム、検索方法、および検索プログラム 図4
  • 特許-加工システム、検索方法、および検索プログラム 図5
  • 特許-加工システム、検索方法、および検索プログラム 図6
  • 特許-加工システム、検索方法、および検索プログラム 図7
  • 特許-加工システム、検索方法、および検索プログラム 図8
  • 特許-加工システム、検索方法、および検索プログラム 図9
  • 特許-加工システム、検索方法、および検索プログラム 図10
  • 特許-加工システム、検索方法、および検索プログラム 図11
  • 特許-加工システム、検索方法、および検索プログラム 図12
  • 特許-加工システム、検索方法、および検索プログラム 図13
  • 特許-加工システム、検索方法、および検索プログラム 図14
  • 特許-加工システム、検索方法、および検索プログラム 図15
  • 特許-加工システム、検索方法、および検索プログラム 図16
  • 特許-加工システム、検索方法、および検索プログラム 図17
  • 特許-加工システム、検索方法、および検索プログラム 図18
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-02-21
(45)【発行日】2025-03-04
(54)【発明の名称】加工システム、検索方法、および検索プログラム
(51)【国際特許分類】
   B23Q 3/155 20060101AFI20250225BHJP
   B23Q 11/00 20060101ALI20250225BHJP
   B23Q 41/00 20060101ALI20250225BHJP
【FI】
B23Q3/155 E
B23Q11/00 F
B23Q41/00 F
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2023529205
(86)(22)【出願日】2021-06-21
(86)【国際出願番号】 JP2021023366
(87)【国際公開番号】W WO2022269674
(87)【国際公開日】2022-12-29
【審査請求日】2024-06-14
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000146847
【氏名又は名称】DMG森精機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100185719
【弁理士】
【氏名又は名称】北原 悠樹
(74)【代理人】
【識別番号】100150072
【弁理士】
【氏名又は名称】藤原 賢司
(72)【発明者】
【氏名】安木 詠介
【審査官】小川 真
(56)【参考文献】
【文献】特許第6860735(JP,B1)
【文献】特開平08-215986(JP,A)
【文献】国際公開第2015/029232(WO,A1)
【文献】特開昭63-212437(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23Q 3/155
B23Q 11/00
B23Q 41/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の工具をワークの加工に用いる加工システムであって、
工作機械と、
複数の工具を収納可能に構成される工具収納部と、
作業者が工具に対する作業を行うための作業ステーションと、
前記工作機械内にある工具と、前記工具収納部内にある工具と、前記作業ステーション内にある工具との内の指定された工具を、前記工作機械と、前記工具収納部と、前記作業ステーションとの内の指定された搬送先に搬送するための搬送装置と、
工具の検索画面を表示することが可能な表示部とを備え、前記検索画面は、工具の残寿命に関する検索条件の入力を受け付け可能に構成されており、
前記複数の工具の各々についての新品状態からの使用量に基づいて、前記複数の工具の中から、残寿命または当該使用量が前記検索条件を満たす工具を検索するための検索部を備え、
前記検索画面は、前記検索条件を満たす工具の情報を検索結果として表示し、前記検索画面における検索対象は、前記工作機械内にある工具と、前記工具収納部内にある工具と、前記作業ステーション内にある工具とを含み、
前記検索画面は、前記検索結果として表示している各工具の情報に対して選択操作を受け付け可能に構成されており、
前記加工システムは、さらに、前記選択操作により選択された複数の情報に対応する複数の工具を、前記作業ステーションに搬送するように前記搬送装置を制御するための搬送制御部を備える、加工システム。
【請求項2】
前記検索画面において前記検索結果として表示される各工具の情報は、当該工具の識別情報と、当該工具の残寿命または当該工具の使用量とを含む、請求項1に記載の加工システム。
【請求項3】
前記検索画面において前記検索結果として表示される各工具の情報は、さらに、当該工具の性質に関する情報を含む、請求項2に記載の加工システム。
【請求項4】
前記検索画面において前記検索結果として表示される各工具の情報は、さらに、当該工具の分類を含む、請求項2または3に記載の加工システム。
【請求項5】
前記検索部は、前記複数の工具の中から、残寿命が前記検索条件を満たす工具を検索し、
前記検索画面において入力可能な前記検索条件は、新品状態からの工具の寿命に対する当該工具の残寿命の割合と、新品状態からの工具の寿命に対する当該工具の使用量の割合との少なくとも1つを含む、請求項1~4のいずれか1項に記載の加工システム。
【請求項6】
加工システムで用いられる複数の工具の中から特定の工具を検索するための検索方法であって、
前記加工システムは、
工作機械と、
複数の工具を収納可能に構成される工具収納部と、
作業者が工具に対する作業を行うための作業ステーションと、
前記工作機械内にある工具と、前記工具収納部内にある工具と、前記作業ステーション内にある工具との内の指定された工具を、前記工作機械と、前記工具収納部と、前記作業ステーションとの内の指定された搬送先に搬送するための搬送装置とを備え、
工具の検索画面を表示するステップと、
工具の残寿命に関する検索条件の入力を前記検索画面において受け付けるステップと、
前記複数の工具の各々についての新品状態からの使用量に基づいて、前記複数の工具の中から、残寿命または当該使用量が前記検索条件を満たす工具を検索するステップと、
前記検索条件を満たす工具の情報を検索結果として前記検索画面に表示するステップとを備え、
前記検索画面における検索対象は、前記工作機械内にある工具と、前記工具収納部内にある工具と、前記作業ステーション内にある工具とを含み、
前記検索画面は、前記検索結果として表示している各工具の情報に対して選択操作を受け付け可能に構成されており、
前記検索方法は、さらに、前記選択操作により選択された複数の情報に対応する複数の工具を、前記作業ステーションに搬送するように前記搬送装置を制御するステップを備える、検索方法。
【請求項7】
加工システムで用いられる複数の工具の中から特定の工具を検索するための検索プログラムであって、
前記加工システムは、
工作機械と、
複数の工具を収納可能に構成される工具収納部と、
作業者が工具に対する作業を行うための作業ステーションと、
前記工作機械内にある工具と、前記工具収納部内にある工具と、前記作業ステーション内にある工具との内の指定された工具を、前記工作機械と、前記工具収納部と、前記作業ステーションとの内の指定された搬送先に搬送するための搬送装置とを備え、
前記検索プログラムは、コンピュータに、
工具の検索画面を表示するステップと、
工具の残寿命に関する検索条件の入力を前記検索画面において受け付けるステップと、
前記複数の工具の各々についての新品状態からの使用量に基づいて、前記複数の工具の中から、残寿命または当該使用量が前記検索条件を満たす工具を検索するステップと、
前記検索条件を満たす工具の情報を検索結果として前記検索画面に表示するステップとを実行させ、
前記検索画面における検索対象は、前記工作機械内にある工具と、前記工具収納部内にある工具と、前記作業ステーション内にある工具とを含み、
前記検索画面は、前記検索結果として表示している各工具の情報に対して選択操作を受け付け可能に構成されており、
前記検索プログラムは、前記コンピュータに、さらに、前記選択操作により選択された複数の情報に対応する複数の工具を、前記作業ステーションに搬送するように前記搬送装置を制御するステップを実行させる、検索プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、工具情報を検索するための技術に関する。
【背景技術】
【0002】
管理する工作機械の数が増えると、各工作機械で使用される工具の管理が難しくなる。これに関して、特許文献1(国際公開第2015/029232号)は、工具管理システムを開示している。当該工具管理システムには、工具データベースが格納されている。当該工具データは、各工具について、工具長、工具径などを規定している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】国際公開第2015/029232号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
工具には寿命がある。寿命が尽きた工具については、新たな工具に交換することが推奨されている。使用する工具の数が多くなると、工具の交換作業が大変となる。そのため、工具の交換作業は、隙間時間などに纏めて行われる。このとき、工具の交換作業の効率化のためには、寿命が尽きた工具だけでなく、寿命がもうすぐ尽きそうな工具についても交換作業を行うことが好ましい。
【0005】
このような工具の交換作業を支援するために、工具の残寿命に関する検索条件により工具情報を検索するための技術が望まれている。なお、上記特許文献1は、当該技術に関して何ら開示していない。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一例では、複数の工具をワークの加工に用いる加工システムは、工具の検索画面を表示することが可能な表示部を備える。上記検索画面は、工具の残寿命に関する検索条件の入力を受け付け可能に構成されている。上記加工システムは、さらに、上記複数の工具の各々についての新品状態からの使用量に基づいて、上記複数の工具の中から、残寿命または当該使用量が上記検索条件を満たす工具を検索するための検索部を備える。上記検索画面は、上記検索条件を満たす工具の情報を検索結果として表示する。
【0007】
本開示の一例では、上記加工システムは、工作機械と、複数の工具を収納可能に構成される工具収納部と、作業者が工具に対する作業を行うための作業ステーションと、上記工作機械内にある工具と、上記工具収納部内にある工具と、上記作業ステーション内にある工具との内の指定された工具を、上記工作機械と、上記工具収納部と、上記作業ステーションとの内の指定された搬送先に搬送するための搬送装置とを備える。上記検索画面における検索対象は、上記工作機械内にある工具と、上記工具収納部内にある工具と、上記作業ステーション内にある工具とを含む。
【0008】
本開示の一例では、上記検索画面は、上記検索結果として表示している各工具の情報に対して選択操作を受け付け可能に構成されている。上記加工システムは、さらに、上記選択操作により選択された情報に対応する工具を、上記作業ステーションに搬送するように上記搬送装置を制御するための搬送制御部を備える。
【0009】
本開示の一例では、上記検索画面において上記検索結果として表示される各工具の情報は、当該工具の識別情報と、当該工具の残寿命または当該工具の使用量とを含む。
【0010】
本開示の一例では、上記検索画面において上記検索結果として表示される各工具の情報は、さらに、当該工具の性質に関する情報を含む。
【0011】
本開示の一例では、上記検索画面において上記検索結果として表示される各工具の情報は、さらに、当該工具の分類を含む。
【0012】
本開示の一例では、上記検索部は、上記複数の工具の中から、残寿命が上記検索条件を満たす工具を検索する。上記検索画面において入力可能な上記検索条件は、新品状態からの工具の寿命に対する当該工具の残寿命の割合と、新品状態からの工具の寿命に対する当該工具の使用量の割合との少なくとも1つを含む。
【0013】
本開示の他の例では、加工システムで用いられる複数の工具の中から特定の工具を検索するための検索方法が提供される。上記検索方法は、工具の検索画面を表示するステップと、工具の残寿命に関する検索条件の入力を上記検索画面において受け付けるステップと、上記複数の工具の各々についての新品状態からの使用量に基づいて、上記複数の工具の中から、残寿命または当該使用量が上記検索条件を満たす工具を検索するステップと、上記検索条件を満たす工具の情報を検索結果として上記検索画面に表示するステップとを備える。
【0014】
本開示の他の例では、加工システムで用いられる複数の工具の中から特定の工具を検索するための検索プログラムが提供される。上記検索プログラムは、コンピュータに、工具の検索画面を表示するステップと、工具の残寿命に関する検索条件の入力を上記検索画面において受け付けるステップと、上記複数の工具の各々についての新品状態からの使用量に基づいて、上記複数の工具の中から、残寿命または当該使用量が上記検索条件を満たす工具を検索するステップと、上記検索条件を満たす工具の情報を検索結果として上記検索画面に表示するステップとを実行させる。
【0015】
本発明の上記および他の目的、特徴、局面および利点は、添付の図面と関連して理解される本発明に関する次の詳細な説明から明らかとなるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】工具情報の検索処理の流れを概略的に示す図である。
図2】工具搬送システムの外観を示す図である。
図3】工具搬送システムの駆動機構の構成例を示す図である。
図4】工具搬送システムの機能構成の一例を示す図である。
図5】一例としての検索画面を示す図である。
図6】搬送制御部への入力と、当該入力に対する搬送制御部の出力との一例を示す図である。
図7】変形例1に従う検索処理の流れを概略的に示す図である。
図8】変形例2に従う検索処理の流れを概略的に示す図である。
図9】変形例3に従う検索処理の流れを概略的に示す図である。
図10】検索画面の左側部分を示す図である。
図11】検索画面の右側部分を示す図である。
図12】作業ステーションから工具収納部への工具ホルダーの搬入工程の流れを概略的に示す図である。
図13】工具収納部から工作機械への工具ホルダーの搬入工程の流れを概略的に示す図である。
図14】工作機械から作業ステーションへの工具ホルダーの搬出工程の流れを概略的に示す図である。
図15】管理装置のハードウェア構成の一例を示す模式図である。
図16】PLC(Programmable Logic Controller)の主要なハードウェア構成を示すブロック図である。
図17】操作端末のハードウェア構成の一例を示す模式図である。
図18】工具情報の検索処理の流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面を参照しつつ、本発明に従う各実施の形態について説明する。以下の説明では、同一の部品および構成要素には同一の符号を付してある。それらの名称および機能も同じである。したがって、これらについての詳細な説明は繰り返さない。なお、以下で説明される各実施の形態および各変形例は、適宜選択的に組み合わされてもよい。
【0018】
<A.概要>
図1を参照して、工具の検索機能の概要について説明する。図1は、工具情報の検索処理の流れを概略的に示す図である。
【0019】
図1には、加工システム1が示されている。加工システム1は、複数の工具を用いてワークを加工することが可能なシステムである。加工システム1は、情報処理装置5と、ディスプレイ106(表示部)とを備える。
【0020】
情報処理装置5は、加工システム1で用いられている工具を管理するための装置である。情報処理装置5は、1つのコンピュータで構成されてもよいし、複数のコンピュータで構成されてもよい。当該コンピュータは、デスクトップ型のPC(Personal Computer)であってもよいし、ノート型のPCであってもよいし、モバイル型の端末であってもよい。一例として、情報処理装置5は、後述の管理装置100(図3参照)または後述の操作端末200A(図3参照)である。
【0021】
ディスプレイ106は、たとえば、液晶ディスプレイ、有機EL(Electro Luminescence)ディスプレイ、またはその他の表示機器である。ディスプレイ106は、情報処理装置5と一体的に構成されてもよいし、情報処理装置5とは別に構成されてもよい。
【0022】
情報処理装置5には、工具データベース123が格納されている。工具データベース123には、工具に関する各種情報が規定されている。一例として、工具データベース123は、工具の識別情報の別に、当該工具の最大使用可能量と、当該工具の現使用量と、当該工具の残寿命とを対応付けている。
【0023】
工具データベース123に規定されている工具の識別情報は、工具を一意に識別するための情報である。当該識別情報は、工具ごとに予め割り当てられている。一例として、当該識別情報は、ID(Identification)などの工具番号で示されてもよいし、工具名で示されてもよい。
【0024】
工具データベース123に規定されている最大使用可能量は、新品状態から寿命が尽きるまでの工具の使用量を示す指標である。「工具の最大使用可能量」は、たとえば、新品状態から寿命が尽きるまでに加工で使用され得る時間と、新品状態から寿命が尽きるまでに加工時に移動可能な距離と、新品状態から寿命が尽きるまでに加工で使用可能な回数とを含む。
【0025】
工具データベース123に規定されている現使用量は、新品状態から現在までの工具の使用量を示す指標である。「工具の使用量」は、たとえば、新品状態から現在までに加工で使用された総時間と、新品状態から現在までに加工時に移動した総距離と、新品状態から現在までに加工で使用された総回数とを含む。
【0026】
工具データベース123に規定されている残寿命は、現在から寿命が尽きるまでの工具の使用量を示す指標である。「工具の残寿命」は、たとえば、現在から寿命が尽きるまでに加工で使用され得る時間と、現在から寿命が尽きるまでに加工時に移動し得る距離と、現在から寿命が尽きるまでに加工で使用され得る回数とを含む。
【0027】
情報処理装置5は、工具情報の検索機能を有する。当該検索機能は、たとえば、工具情報の検索画面130によって実現される。検索画面130は、たとえば、ディスプレイ106に表示される。
【0028】
検索画面130は、各種の検索条件の入力を受け付ける。検索条件は、検索画面130の入力領域131に入力され得る。入力領域131への検索条件の入力は、たとえば、マウスなどの入力デバイスの操作や、ディスプレイ106に対するタッチ操作によって実現される。
【0029】
検索画面130は、工具の残寿命に関する検索条件の入力を受け付ける。図1の例では、検索画面130は、工具の最大使用可能量に対する当該工具の残寿命の割合(以下、「残寿命割合」ともいう。)を検索条件として受け付けている。
【0030】
情報処理装置5は、加工システム1で用いられる各工具の現使用量に基づいて、工具データベース123に規定されている各工具の中から、残寿命が検索条件を満たす工具を特定する。その後、検索画面130は、特定された工具の情報を検索結果の表示欄132に表示する。
【0031】
図1の例では、検索条件として残寿命割合「10%以下」が入力されている。この場合、情報処理装置5は、残寿命割合が「10%以下」である工具情報を工具データベース123から特定する。図1の例では、「工具A」の残寿命割合は90%(=900/1000)であり、「工具B」の残寿命割合は約67%(=1000/1500)であり、「工具C」の残寿命割合は0%(=0/1200)であり、「工具D」の残寿命割合は1.1%(=15/1300)である。そのため、検索画面130は、「工具C」,「工具D」の情報を表示欄132に表示する。
【0032】
このように、作業者は、加工システム1の検索機能を利用することで、残寿命に関する検索条件で工具情報を検索することができる。これにより、作業者は、寿命が尽きた工具だけでなく、寿命がもうすぐ尽きそうな工具についても把握することができる。その結果、作業者は、工具の交換作業を今のうちに行っておいた方がよい工具を特定することができる。
【0033】
当該検索機能は、たとえば、作業者の隙間時間などに利用され得る。当該隙間時間は、作業者が次の作業者に交代する前の時間帯や、土日などの休日前の時間帯を含む。作業者は、寿命が尽きた工具だけでなく、寿命がもうすぐ尽きそうな工具を隙間時間に交換しておくことで、工具の交換作業を効率的に行うことができる。
【0034】
なお、入力可能な検索条件は、残寿命割合に限定されない。一例として、入力可能な検索条件は、工具の最大使用可能量に対する当該工具の使用量の割合(以下、「使用量割合」ともいう。)を含む。この場合、情報処理装置5は、工具データベース123に規定されている各工具の中から、使用量が検索条件を満たす工具を特定する。
【0035】
<B.工具搬送システム10>
次に、図2を参照して、上述の加工システム1の一例である工具搬送システム10について説明する。
【0036】
以下では、加工システム1の一例である工具搬送システム10について説明を行うが、加工システム1は、工具搬送システム10に限定されない。加工システム1は、必ずしも工具の自動搬送機能を備える必要は無い。一例として、加工システム1は、上述の情報処理装置5と、複数の工作機械とで構成されていてもよい。
【0037】
図2は、工具搬送システム10の外観を示す図である。図2に示されるように、工具搬送システム10は、作業ステーション200と、工具収納部250と、搬送装置300と、工作機械400とを含む。
【0038】
作業ステーション200は、作業者が工具ホルダーに対する作業を行うための場所である。工具ホルダーは、工具を保持可能に構成されるポットである。作業者は、たとえば、作業ステーション200において、工具ホルダーのセット作業、または工具ホルダーの回収作業を行う。
【0039】
作業ステーション200は、操作端末200Aを含む。操作端末200Aは、工具搬送システム10に対する各種の操作を受け付ける。
【0040】
工具収納部250には、複数の工具ホルダーが収納され得る。工具収納部250は、工具ホルダーの一時置き場として機能する。
【0041】
搬送装置300は、作業ステーション200内にある工具ホルダーと、工具収納部250内にある工具ホルダーと、工作機械400内にある工具ホルダーとの内の指定された工具ホルダーを、作業ステーション200と、工具収納部250と、工作機械400との内の指定された搬送先に搬送する。
【0042】
以下では、搬送装置300が作業ステーション200から工具収納部250若しくは工作機械400に工具ホルダーを運ぶ搬送態様、または、搬送装置300が工具収納部250から工作機械400に工具ホルダーを運ぶ搬送態様を「搬入」とも言う。
【0043】
また、搬送装置300が工具収納部250若しくは工作機械400から作業ステーション200に工具ホルダーを運ぶ搬送態様、または、搬送装置300が工作機械400から工具収納部250に工具ホルダーを運ぶ搬送態様を「搬出」とも言う。
【0044】
また、本明細書でいう「搬送装置」とは、工具ホルダーを搬送する機能を備えた種々の装置を包含する概念である。以下では、搬送装置300の一例として、4~7軸駆動の多関節ロボットを例に挙げて説明を行うが、搬送装置300は、多関節ロボットに限定されない。一例として、搬送装置300は、2~3軸駆動の直交ロボット(オートローダ)であってもよい。あるいは、搬送装置300は、自走式のロボットであってもよい。
【0045】
搬送装置300は、アームロボット330と、レール331と、台車332とを含む。アームロボット330は、台車332の上に固定されている。台車332は、レール331上を移動可能に構成される。工具収納部250および工作機械400は、レール331を挟むように、かつ、レール331に沿って平行に配置される。
【0046】
工作機械400は、搬送装置300による工具ホルダーの搬送先の1つである。図2には、工作機械400として、6台の工作機械400A~400Fが示されているが、工具搬送システム10に備えられる工作機械400の数は、1台以上であればよい。工作機械400は、予め設計された加工プログラムに従って、指定された工具を用いてワークを加工する。
【0047】
本明細書でいう「工作機械」とは、ワークを加工する機能を備えた種々の装置を包含する概念である。工作機械400は、横形のマシニングセンタであってもよいし、縦形のマシニングセンタであってもよい。あるいは、工作機械400は、旋盤であってもよいし、付加加工機であってもよいし、その他の切削機械や研削機械であってもよい。
【0048】
上述の検索画面130における検索対象は、工具収納部250内にある工具と、作業ステーション200内にある工具と、工作機械400内にある工具とを含む。これにより、作業者は、工具搬送システム10内にある工具の中から検索条件を満たす工具を検索することができる。
【0049】
なお、工具搬送システム10は、パレット搬送システム(図示しない)をさらに備えてもよい。パレット搬送システムは、予め定められた加工スケジュールに従って、ワークを載せたパレットを工作機械400に搬送するためのシステムである。これにより、工具搬送システム10は、工具の自動搬送機能だけでなく、ワークの自動搬送機能を備える。
【0050】
<C.工具搬送システム10の駆動機構>
次に、図3を参照して、工具搬送システム10における各種の駆動機構について説明する。図3は、工具搬送システム10の駆動機構の構成例を示す図である。
【0051】
図3に示されるように、工具搬送システム10は、制御部50と、リモートI/O(Input/Output)ユニット71~73と、作業ステーション200と、搬送装置300と、工作機械400とを含む。
【0052】
本明細書でいう「制御部50」とは、工具搬送システム10を制御する装置を意味する。制御部50の装置構成は、任意である。制御部50は、単体の制御ユニットで構成されてもよいし、複数の制御ユニットで構成されてもよい。図3の例では、制御部50は、管理装置100と、PLC150と、上述の操作端末200Aとで構成されている。また、制御部50は、CNC(Computer Numerical Control)401を含んでもよい。
【0053】
管理装置100は、上述の情報処理装置5の一例である。管理装置100は、工具搬送システム10を管理するメインコンピュータである。管理装置100は、1つのコンピュータで構成されてもよいし、複数のコンピュータで構成されてもよい。
【0054】
PLC150は、加工工程を自動化するための種々の産業用機器と通信可能に構成され、当該産業用機器を制御する。
【0055】
操作端末200Aは、上述の情報処理装置5の一例である。操作端末200Aは、工具ホルダーの搬出入に関する各種の操作を受け付けるための端末である。
【0056】
管理装置100、PLC150、および操作端末200Aは、ネットワークNW1に接続される。管理装置100、PLC150、および操作端末200Aは、有線で通信接続されてもよいし、無線で通信接続されてもよい。ネットワークNW1には、EtherNET(登録商標)などが採用される。管理装置100および操作端末200Aは、ネットワークNW1を介して、PLC150に制御指令を送る。当該制御指令によって、搬送対象の工具ホルダー、当該工具ホルダーの搬送先、当該工具ホルダーの搬送開始/停止などが指定される。
【0057】
リモートI/Oユニット71~73およびPLC150は、ネットワークNW2に接続されている。ネットワークNW2には、データの到達時間が保証される、定周期通信を行うフィールドネットワークを採用することが好ましい。このような定周期通信を行うフィールドネットワークとして、EtherCAT(登録商標)、EtherNet/IP(登録商標)、CC-Link(登録商標)、またはCompoNet(登録商標)などが採用される。
【0058】
作業ステーション200は、1つ以上のモータドライバ234と、1つ以上のモータ235とを含む。図3の例では、2つのモータドライバ234A,234Bと、2つのモータ235A,235Bとが示されている。
【0059】
作業ステーション200内または作業ステーション200周辺には、リモートI/Oユニット71が設置される。リモートI/Oユニット71は、作業ステーション200内の各種駆動ユニット(たとえば、モータドライバ234)と、PLC150との間のデータのやり取りを仲介する。一例として、モータドライバ234は、リモートI/Oユニット71を介してPLC150からの制御指令を一定周期ごとに受け、当該制御指令に従ってモータ235の駆動を制御する。
【0060】
モータ235Aは、たとえば、作業ステーション200内にある後述のマガジンM1(図12参照)の駆動を制御する。モータ235Bは、たとえば、作業ステーション200内のATC(Automatic Train Control)の駆動を制御する。
【0061】
モータドライバ234は、たとえば、サーボモータ用のドライバであってもよいし、ステッピングモータ用のドライバであってもよい。モータ235は、サーボモータであってもよいし、ステッピングモータであってもよい。
【0062】
搬送装置300は、1つ以上のモータドライバ334と、1つ以上のモータ335とを含む。図3の例では、2つのモータドライバ334A,334Bと、2つのモータ335A,335Bとが示されている。
【0063】
搬送装置300内または搬送装置300周辺には、リモートI/Oユニット72が設置される。リモートI/Oユニット72は、搬送装置300内の各種駆動ユニット(たとえば、モータドライバ334)と、PLC150との間のデータのやり取りを仲介する。一例として、モータドライバ334は、リモートI/Oユニット72を介してPLC150からの制御指令を一定周期ごとに受け、当該制御指令に従ってモータ335の駆動を制御する。
【0064】
モータ335Aは、たとえば、上述の台車332(図2参照)の駆動を制御する。モータ335Bは、たとえば、アームロボット330(図2参照)の駆動を制御する。モータ335Bは、アームロボット330の関節の数に応じて設けられる。
【0065】
モータドライバ334は、たとえば、サーボモータ用のドライバであってもよいし、ステッピングモータ用のドライバであってもよい。モータ335は、サーボモータであってもよいし、ステッピングモータであってもよい。
【0066】
工作機械400は、CNC401と、1つ以上のモータドライバ411と、1つ以上のモータ412とを含む。図3の例では、2つのモータドライバ411A,411Bと、2つのモータ412A,412Bとが示されている。
【0067】
工作機械400内または工作機械400周辺には、リモートI/Oユニット72が設置される。リモートI/Oユニット72は、工作機械400内の各種駆動ユニット(たとえば、CNC401)と、PLC150との間のデータのやり取りを仲介する。モータドライバ411は、モータドライバ334と同様に、リモートI/Oユニット72を介してPLC150からの制御指令を一定周期ごとに受け、当該制御指令に従って、モータ412の駆動を制御する。
【0068】
モータ412Aは、たとえば、工具を装着可能に構成される主軸を当該主軸の軸方向に駆動する。モータ412Bは、たとえば、主軸の軸方向を中心とした回転方向に主軸を回転駆動する。
【0069】
モータドライバ411は、たとえば、サーボモータ用のドライバであってもよいし、ステッピングモータ用のドライバであってもよい。モータ412は、サーボモータであってもよいし、ステッピングモータであってもよい。
【0070】
<D.工具搬送システム10の機能構成>
次に、図4図6を参照して、工具ホルダーの搬送処理を実現するための機能構成について説明する。図4は、工具搬送システム10の機能構成の一例を示す図である。
【0071】
図4に示されるように、工具搬送システム10は、機能構成として、監視部52と、検索部54と、搬送制御部56とを含む。以下では、これらの構成について順に説明する。
【0072】
なお、各機能構成の配置は、任意である。図4に示される機能構成の一部または全部は、上述の管理装置100(図2参照)に実装されてもよいし、上述のPLC150(図2参照)に実装されてもよいし、上述の操作端末200A(図2参照)に実装されてもよいし、上述のCNC401(図2参照)に実装されてもよい。
【0073】
(D1.監視部52)
まず、上述の図1を参照して、図4に示される監視部52の機能について説明する。監視部52は、たとえば、上述のPLC150または上述のCNC401に実装される。
【0074】
監視部52は、工作機械400の加工プログラム422を監視し、工作機械400内にある各工具について新品状態から現在までの使用量をカウントする。その後、監視部52は、カウントした使用量に基づいて、図1に示される工具データベース123を更新する。
【0075】
一例として、ワークの加工プログラム422は、工作機械400の主軸に装着する工具を指定するための工具交換命令や、主軸または工具を回転駆動/送り駆動するための駆動命令などを含む。監視部52は、加工プログラム422に規定されている工具交換命令が実行された際に、当該工具の識別情報を記憶しておく。次に、監視部52は、加工プログラム422に規定されている駆動命令が実行されたことに基づいて、当該工具の使用量のカウントを開始する。次に、監視部52は、加工プログラム422に規定されている停止命令または最終行の命令が実行されたことに基づいて、当該工具の使用量のカウントを停止する。次に、監視部52は、工具データベース123を参照して、上記記憶した識別情報に対応付けられている現使用量に、カウントされた使用量を加算する。これにより、監視部52は、各工具の現使用量を定期的に更新する。
【0076】
また、監視部52は、工具データベース123に規定されている各工具の現使用量を更新した際に、工具データベース123に規定されている各工具の残寿命についても更新する。典型的には、監視部52は、工具の最大使用可能量から工具の現使用量を差分した結果に基づいて、当該残寿命を更新する。
【0077】
(D2.検索部54)
次に、図5を参照して、図4に示される検索部54の機能について説明する。
【0078】
検索部54は、たとえば、上述の管理装置100または上述の操作端末200Aに実装される。検索部54は、入力された検索条件を満たす工具情報を工具データベース123から検索し、当該検索結果を出力する。
【0079】
図5は、一例としての検索画面130を示す図である。検索画面130は、入力領域131と、検索結果の表示欄132と、回収ボタン133とを含む。
【0080】
入力領域131は、各種の検索条件の入力を受け付ける。入力領域131への検索条件の入力は、たとえば、マウスなどの入力デバイスの操作や、ディスプレイ106に対するタッチ操作によって実現される。
【0081】
検索部54は、入力領域131内の検索実行ボタン131Aが押下されたことに基づいて、工具データベース123に規定されている各工具の中から、入力された検索条件を満たす工具を特定する。その後、検索部54は、特定した工具の情報を検索結果の表示欄132に表示する。表示欄132に表示される検索結果は、たとえば、工具の識別情報と、当該工具の使用可能時間と、当該工具の現使用時間と、当該工具の残寿命とを含む。
【0082】
検索画面130は、検索結果として表示されている各工具情報に対して選択操作を受け付け可能に構成される。図5の例では、当該選択操作は、チェックボックス132Aに対して行われる。チェックボックス132Aの状態は、作業者により押下される度に選択状態と非選択状態との間で切り替わる。
【0083】
チェックボックス132Aは、検索結果の表示欄132に表示されている工具情報の数に応じて設けられる。典型的には、チェックボックス132Aは、検索結果の表示欄132に表示されている工具情報に並べて表示される。
【0084】
チェックボックス132Aが選択された状態で回収ボタン133が押下されたことに基づいて、検索部54は、選択状態の工具情報を搬送制御部56に出力する。
【0085】
(D3.搬送制御部56)
次に、上述の図5を参照ししつつ図6を参照して、図4に示される搬送制御部56の機能について説明する。図6は、搬送制御部56への入力と、当該入力に対する搬送制御部56の出力との一例を示す図である。
【0086】
搬送制御部56は、たとえば、上述のPLC150に実装される。搬送制御部56は、たとえば、加工スケジュール124と、収納情報175とを入力として受け、搬送装置300に対して工具ホルダーの搬送指令を出力する。
【0087】
加工スケジュール124は、たとえば、工作機械400の各々における各ワークの加工予定タイミングと、各加工工程で使用される工具とを規定している。図6の例では、工作機械400Aの加工スケジュール124が示されている。
【0088】
収納情報175は、工具搬送システム10内における各工具ホルダーの収納場所の別に、当該収納場所に収納されている工具ホルダーの識別情報と、当該工具ホルダーに保持されている工具の識別情報とを対応付けている。
【0089】
収納情報175に規定されている収納場所は、工具搬送システム10内における工具ホルダーの場所を一意に特定するための情報である。一例として、当該収納場所は、作業ステーション200内における工具ホルダーの収納位置と、工具収納部250内における工具ホルダーの収納位置と、搬送装置300内における工具ホルダーの収納位置と、工作機械400内における工具ホルダーの収納位置とのいずれかを示す。
【0090】
収納情報175に規定されている工具ホルダーの識別情報は、工具ホルダーを一意に特定するための情報である。当該識別情報は、工具ホルダーごとに予め割り当てられている。当該識別情報は、IDなどの工具ホルダー番号で示されてもよいし、工具ホルダー名で示されてもよい。
【0091】
収納情報175に規定されている工具の識別情報は、工具を一意に特定するための情報である。当該識別情報は、工具ごとに予め割り当てられている。当該識別情報は、IDなどの工具番号で示されてもよいし、工具名で示されてもよい。当該識別情報は、上述の工具データベース123(図1参照)に規定されている工具の識別情報と対応している。
【0092】
搬送制御部56は、加工スケジュール124を参照して、ワークの加工が対象の工作機械400で開始される前までに使用予定工具を特定しておく。次に、搬送制御部56は、収納情報175を参照して、当該使用予定工具が対象の工作機械400内に無い場合には、作業ステーション200または工具収納部250から対象の工作機械400に使用予定工具を搬送装置300に搬入させる。
【0093】
また、搬送制御部56は、検索結果の表示欄132上で選択された各工具情報に対応する工具を、作業ステーション200に搬出するように搬送装置300を制御する。
【0094】
搬出対象の工具ホルダーが収納されている場所は、収納情報175に基づいて特定される。より具体的には、搬送制御部56は、収納情報175を参照して、検索結果の表示欄132上で選択された各工具情報について収納場所を特定する。その後、搬送制御部56は、当該特定した工具を保持している工具ホルダーを搬出対象として決定する。これにより、寿命が尽きた工具または寿命が尽きそうな工具が工具収納部250または工作機械400から作業ステーション200に搬出される。
【0095】
<E.検索処理の変形例1>
次に、図7を参照して、検索部54による検索処理の変形例1について説明する。図7は、変形例1に従う検索処理の流れを概略的に示す図である。
【0096】
上述の図1に示される工具データベース123は、工具の識別情報別に、当該工具の使用可能時間と、当該工具の現使用時間と、当該工具の残寿命とを対応付けていた。これに対して、本変形例に従う工具データベース123Aは、工具の識別情報別に、当該工具の性質に関する情報(以下、「工具性質情報」ともいう。)をさらに対応付けている。
【0097】
工具性質情報は、たとえば、工具の価格を示す指標と、工具の計測作業の難易度を示す指標と、工具の取り扱いに必要な技能を示す指標と、工具の重要度を示す指標とを含む。
【0098】
工具の価値を示す指標は、工具の値段と、高額または低額などの分類とを含む。各工具の価値は、予め設定されていてもよいし、ユーザによって任意に設定されてもよい。
【0099】
工具の計測作業の難易度を示す指標は、難易度に相関する数値と、計測作業が難しいか否かを示すフラグと、当該計測作業に必要な計測器の識別情報とを含む。各工具の計測作業の難易度は、予め設定されていてもよいし、ユーザによって任意に設定されてもよい。
【0100】
工具の取り扱いに必要な技能を示す指標は、難易度に相関する数値と、取り扱いの権限が与えられた作業者の識別情報とを含む。工具の取り扱いに必要な技能を示す指標は、予め設定されていてもよいし、ユーザによって任意に設定されてもよい。
【0101】
工具の重要度は、重要度に相関する数値と、重要か否かを示すフラグとを含む。工具の重要度は、予め設定されていてもよいし、ユーザによって任意に設定されてもよい。
【0102】
検索部54は、検索条件の入力を受け付け、入力された検索条件を満たす工具情報を工具データベース123Aから検索する。一例として、入力可能な検索条件は、工具の残寿命割合を含む。この場合、検索部54は、入力された残寿命割合以下の工具情報を工具データベース123Aから検索する。検索結果は、検索画面130Aの表示欄132に表示される。図7の例では、検索結果として、工具の識別情報と、工具の使用可能時間と、工具の現使用時間と、工具の残寿命と、工具の性質情報とが検索画面130Aに表示されている。
【0103】
他の例として、入力可能な検索条件は、工具性質情報を含む。一例として、検索条件として、値段の下限値が入力された場合には、検索部54は、当該下限値以上の値段の工具情報を工具データベース123Aから検索する。検索結果は、検索画面130Aの表示欄132に表示される。なお、検索条件は、工具の残寿命割合と工具性質情報との組み合わせで指定され得る。
【0104】
<F.検索処理の変形例2>
次に、図8を参照して、検索部54による検索処理の変形例2について説明する。図8は、変形例2に従う検索処理の流れを概略的に示す図である。
【0105】
図1に示される工具データベース123は、工具の識別情報別に、当該工具の使用可能時間と、当該工具の現使用時間と、当該工具の残寿命とを対応付けていた。これに対して、本変形例に従う工具データベース123Bは、工具の識別情報別に、工具の分類をさらに対応付けている。工具の分類と、一の分類に属する工具とは、予め規定されている。工具の分類は、たとえば、カッターと、リーマーと、その他の分類名とを含む。
【0106】
検索部54は、検索条件の入力を受け付け、当該検索条件を満たす工具情報を工具データベース123Bから検索する。一例として、入力可能な検索条件は、工具の残寿命割合を含む。この場合、検索部54は、入力された残寿命割合以下の工具情報を工具データベース123Bから検索する。検索結果は、検索画面130Bの表示欄132に表示される。図8の例では、工具の分類と、工具の識別情報と、工具の使用可能時間と、工具の現使用時間と、工具の残寿命と、工具の性質情報とが検索画面130Bにおいて表示されている。
【0107】
他の例として、入力可能な検索条件は、工具の分類を含む。検索条件として、工具の分類が入力された場合、検索部54は、当該分類に合致する工具情報を工具データベース123Bから検索し、当該工具情報を検索画面130Bに表示する。なお、検索条件は、工具の残寿命割合と工具の分類との組み合わせで指定され得る。
【0108】
<G.検索処理の変形例3>
次に、図9を参照して、検索部54による検索処理の変形例3について説明する。図9は、変形例3に従う検索処理の流れを概略的に示す図である。
【0109】
図1に示される検索画面130は、工具の識別情報と、工具の使用可能時間と、工具の現使用時間と、工具の残寿命とを検索結果として表示していた。これに対して、本変形例に従う検索画面130Cは、工具の収納場所を検索結果としてさらに表示する。
【0110】
より具体的には、検索部54は、入力された検索条件に合致する工具情報を工具データベース123から取得する。その後、検索部54は、当該工具情報に規定されている工具の識別情報をキーとして、収納情報175から各工具の収納場所を検索する。続いて、検索部54は、検索条件に合致した工具の情報と、当該工具の収納場所とを検索画面130Cに並べて表示する。
【0111】
<H.検索画面130の具体例>
次に、図10および図11を参照して、検索画面130の具体例について説明する。図10は、検索画面130の左側部分を示す図である。図11は、検索画面130の右側部分を示す図である。
【0112】
検索画面130は、検索条件の入力領域131と、検索結果の表示欄132とを含む。検索条件の入力領域131は、入力欄135A~135Fで構成される。
【0113】
入力欄135Aは、工具分類の入力を検索条件として受け付ける。当該工具分類は、たとえば、グループ番号で入力される。
【0114】
入力欄135Bは、工具の搬送状態の入力を検索条件として受け付ける。入力可能な搬送状態は、たとえば、工具の搬送完了を示す「Finished」と、工具の搬送中を示す「Ongoing」と、工具の搬送未完了を示す「Not yet」と、工具の搬送不要を示す「Unnecessary」とを含む。
【0115】
入力欄135Cは、工具収納部250に係る工具収納場所の入力を検索条件として受け付ける。入力可能な工具収納場所は、工具収納部250内を示す「In CTS」と、工具搬送システム10ではない異なる場所を示す「Floor」と、データとして登録されていないことを示す「No Data」と、不明を示す「None」とを含む。
【0116】
入力欄135Dは、工作機械400に係る工具収納場所の入力を検索条件として受け付ける。入力可能な工具収納場所は、工作機械400の全てを示す「All」と、特定の工作機械400の識別情報を示す「MC_01」,「MC_02」,「MC_03」とを含む。
【0117】
入力欄135Eは、加工予定時間の日時範囲の入力を受け付ける。当該日時範囲は、開始日時と、終了日時との一方で指定される。
【0118】
入力欄135Fは、残寿命条件の入力を受け付ける。残寿命条件は、たとえば、数値と単位との組み合わせで入力される。当該単位は、「%以下」、「%以上」、「分以下」、「分以上」などを含む。たとえば、数値「10」と単位「%以下」との組み合わせが残寿命条件として入力された場合、検索部54は、残寿命割合が「10%以下」であるという検索条件が指定されたと認識する。他の例として、数値「10」と単位「分以下」との組み合わせが入力された場合、検索部54は、残寿命割合が「10分以下」であるという検索条件が指定されたと認識する。
【0119】
検索部54は、入力領域131に入力された検索条件に合致する工具情報を工具データベース123から検索し、当該検索結果を表示欄132に表示する。
【0120】
検索結果の表示欄132は、加工スケジュールに関する表示欄141と、工具情報に関する表示欄142とを含む。
【0121】
表示欄141には、上述の加工スケジュール124に規定される一部または全部の情報が検索結果として表示される。一例として、表示欄141は、加工タスクの実行順を示すシーケンス番号141Aと、加工日を示す日付情報141Bと、加工開始時刻を示す加工開始情報141Cと、加工を行う工作機械の識別情報141Dと、加工に用いる工具の分類141Eと、加工に要する時間を示す加工時間情報141Fとを含む。
【0122】
表示欄142には、上述の工具データベース123に規定される一部または全部の情報が検索結果として表示される。一例として、表示欄142は、新品状態から現在までに加工で使用された量を示す使用量情報142Aと、工具の収納場所を示す収納場所情報142Bと、工具の識別情報142Cと、工具の残寿命を示す残寿命情報142Dと、工具の搬送状態を示す142Eとを含む。
【0123】
<I.工具収納部250への工具搬入工程>
次に、図12を参照して、作業ステーション200から工具収納部250への工具ホルダーの搬入工程について説明する。図12は、作業ステーション200から工具収納部250への工具ホルダーの搬入工程の流れを概略的に示す図である。
【0124】
ステップS1において、作業者は、作業ステーション200内のマガジンM1に搬入対象の工具ホルダーH1をセットする。作業ステーション200に収納可能な工具ホルダーの数は、工具収納部250に収納可能な工具ホルダーの数よりも少ない。
【0125】
作業者が工具ホルダーH1をマガジンM1にセットする位置の付近には、バーコードまたはQRコード(登録商標)の読み取り装置(図示しない)が設けられている。当該読み取り装置は、工具ホルダーH1に付されているバーコードまたはQRコードを読み取る。これにより、搬入対象の工具ホルダーH1の識別情報が読み取られる。作業者は、工具ホルダーH1のセットが完了すると、操作端末200Aに対して完了操作を行う。
【0126】
次に、ステップS2において、制御部50は、モータ235A(図3参照)を制御し、作業ステーション200内のマガジンM1を駆動する。これにより、制御部50は、搬入対象の工具ホルダーH1を所定の工具交換位置に移動する。当該工具交換位置の近傍には、ATC238が設けられている。ATC238は、当該工具交換位置にある工具ホルダーH1をマガジンM1から取り外し、半回転する。
【0127】
次に、ステップS3において、アームロボット330は、ATC238から工具ホルダーH1を取り外し、当該工具ホルダーH1を台車332上の仮置き場336に置く。搬入対象の工具ホルダーが他にある場合には、仮置き場336の収納最大数を超えない範囲で、ステップS1~S3の工程が繰り返される。
【0128】
次に、ステップS4において、制御部50は、モータ335Aを制御し、台車332を駆動する。これにより、制御部50は、指示された工具搬入位置に台車332を移動する。当該工具搬入位置は、たとえば、上述の収納情報175(図6参照)に基づいて決定される。
【0129】
制御部50は、収納情報175に規定される空の収納場所を参照して、工具ホルダーH1の収納先を決定する。空の収納場所が複数ある場合には、制御部50は、複数の空の収納場所の中からランダムに選択された1つの収納場所を収納先として決定してもよいし、複数の空の収納場所の中から選択された搬送装置300により近い1つの収納場所を収納先として決定してもよい。
【0130】
次に、ステップS5において、アームロボット330は、搬入対象の工具ホルダーH1を仮置き場336から取り外し、当該工具ホルダーH1を決定した収納先に収納する。その後、制御部50は、対応する収納場所に工具ホルダーH1の識別情報を対応付けて収納情報175を更新する。
【0131】
搬入対象の工具ホルダーが他に仮置き場336に残っている場合には、制御部50は、仮置き場336上の工具ホルダーがなくなるまでステップS4,S5の工程を繰り返す。
【0132】
<J.工作機械400への工具搬入工程>
次に、図13を参照して、図12に引き続く工具ホルダーの搬入工程について説明する。図13は、工具収納部250から工作機械400への工具ホルダーの搬入工程の流れを概略的に示す図である。
【0133】
あるタイミングにおいて、制御部50は、工作機械400への工具ホルダーの搬入指示を受け付けたとする。搬入対象の工具および搬送先の工作機械400は、たとえば、操作端末200Aに対して作業者によって指定される。作業者によって指定された工具を保持している工具ホルダーが工具収納部250内に複数ある場合には、制御部50は、搬入対象の工具ホルダーを特定する。これにより、工具ホルダーH2が搬入対象の工具として特定されたとする。この場合、制御部50は、上述の収納情報175(図6参照)から工具ホルダーH2の収納場所を特定する。その後、制御部50は、モータ335A(図3参照)を制御することで台車332を駆動し、工具ホルダーH2の収納場所の前に台車332を移動する。
【0134】
次に、ステップS11において、アームロボット330は、搬送対象の工具ホルダーH2を工具収納部250から取り出し、台車332上の仮置き場336に工具ホルダーH2を置く。
【0135】
次に、ステップS12において、制御部50は、モータ335Aを制御することで、搬送先の工作機械400の位置に台車332を駆動する。
【0136】
次に、ステップS13において、アームロボット330は、搬送先の工作機械400に備えられるATC438に工具ホルダーH2を渡す。その後、ATC438は、アームロボット330から受けた工具ホルダーH2を工作機械400内のATC438に装着する。その後、ATC438は、工作機械400内のマガジンに工具ホルダーH2をセットする。これにより、工具ホルダーH2が工作機械400で使用可能な状態になる。
【0137】
<K.作業ステーション200への工具の搬出工程>
次に、図14を参照して、工具ホルダーの搬出工程について説明する。図14は、工作機械400から作業ステーション200への工具ホルダーの搬出工程の流れを概略的に示す図である。
【0138】
あるタイミングにおいて、制御部50は、工具ホルダーの回収指示を受け付けたとする。このことに基づいて、制御部50は、工具収納部250または工作機械400に収納されている工具ホルダーの中から、回収対象の工具ホルダーを特定する。その結果、工具ホルダーH3が回収対象として特定されたとする。制御部50は、上述の収納情報175(図6参照)を参照して、工具ホルダーH3の収納先を特定する。その後、制御部50は、上述のモータ335A(図3参照)を制御することで台車332を駆動し、工具ホルダーH3の収納先に台車332を移動する。次に、アームロボット330は、当該収納先から工具ホルダーH3を取り出し、当該工具ホルダーH3を台車332上の仮置き場336に置く。また、制御部50は、収納情報175から工具ホルダーH3の識別情報を削除し、工具ホルダーH3の収納元を空の状態に書き換える。
【0139】
次に、ステップS21において、制御部50は、上述のモータ335Aを制御することで台車332を駆動し、工具ホルダーH3の収納先から作業ステーション200の前に台車332を移動する。
【0140】
次に、ステップS22において、アームロボット330は、搬出対象の工具ホルダーH3を仮置き場336から取り外し、作業ステーション200に備えられる上述のATC238(図12参照)に工具ホルダーH3を装着する。その後、ATC238は、作業ステーション200のマガジンM1に工具ホルダーH3を装着する。
【0141】
次に、ステップS23において、制御部50は、上述のモータ235Aを制御することでマガジンM1を駆動し、搬出対象の工具ホルダーH3を出口に移動する。その後、作業者は、当該出口から搬出対象の工具ホルダーH3を取り出す。
【0142】
<L.管理装置100のハードウェア構成>
次に、図15を参照して、図2に示される管理装置100のハードウェア構成について説明する。図15は、管理装置100のハードウェア構成の一例を示す模式図である。
【0143】
管理装置100は、制御回路101と、ROM(Read Only Memory)102と、RAM(Random Access Memory)103と、通信インターフェイス104と、表示インターフェイス105と、入力インターフェイス107と、記憶装置120とを含む。これらのコンポーネントは、バス110に接続される。
【0144】
制御回路101は、たとえば、少なくとも1つの集積回路によって構成される。集積回路は、たとえば、少なくとも1つのCPU(Central Processing Unit)、少なくとも1つのGPU(Graphics Processing Unit)、少なくとも1つのASIC(Application Specific Integrated Circuit)、少なくとも1つのFPGA(Field Programmable Gate Array)、またはそれらの組み合わせなどによって構成され得る。
【0145】
制御回路101は、検索プログラム122やオペレーティングシステムなどの各種プログラムを実行することで管理装置100の動作を制御する。制御回路101は、検索プログラム122の実行命令を受け付けたことに基づいて、記憶装置120またはROM102からRAM103に検索プログラム122を読み出す。RAM103は、ワーキングメモリとして機能し、検索プログラム122の実行に必要な各種データを一時的に格納する。
【0146】
通信インターフェイス104には、LAN(Local Area Network)やアンテナなどが接続される。管理装置100は、通信インターフェイス104を介してネットワークNW1に接続される。これにより、管理装置100は、ネットワークNW1に接続される外部機器とデータをやり取りする。当該外部機器は、たとえば、PLC150やサーバー(図示しない)などを含む。
【0147】
表示インターフェイス105には、ディスプレイ106が接続される。表示インターフェイス105は、制御回路101などからの指令に従って、ディスプレイ106に対して、画像を表示するための画像信号を送出する。ディスプレイ106は、たとえば、工具ホルダーの回収指示を受け付けるための操作画面や、搬入対象の工具ホルダーを指定するための選択画面などを表示する。ディスプレイ106は、たとえば、液晶ディスプレイ、有機EL(Electro Luminescence)ディスプレイ、またはその他の表示機器である。なお、ディスプレイ106は、管理装置100と一体的に構成されてもよいし、管理装置100とは別に構成されてもよい。
【0148】
入力インターフェイス107には、入力デバイス108が接続される。入力デバイス108は、たとえば、マウス、キーボード、タッチパネル、またはユーザの操作を受け付けることが可能なその他の装置である。なお、入力デバイス108は、管理装置100と一体的に構成されてもよいし、管理装置100とは別に構成されてもよい。
【0149】
記憶装置120は、たとえば、ハードディスクやフラッシュメモリなどの記憶媒体である。記憶装置120は、検索プログラム122、上述の工具データベース123、および上述の加工スケジュール124などを格納する。これらの格納場所は、記憶装置120に限定されず、制御回路101の記憶領域(たとえば、キャッシュメモリなど)、ROM102、RAM103、他の装置(たとえば、サーバー、PLC150、または操作端末200A)などに格納されていてもよい。
【0150】
検索プログラム122は、上述の検索機能を実現するためのプログラムである。検索プログラム122は、単体のプログラムとしてではなく、任意のプログラムの一部に組み込まれて提供されてもよい。この場合、検索プログラム122による搬送制御処理は、任意のプログラムと協働して実現される。このような一部のモジュールを含まないプログラムであっても、本実施の形態に従う検索プログラム122の趣旨を逸脱するものではない。さらに、検索プログラム122によって提供される機能の一部または全部は、専用のハードウェアによって実現されてもよい。さらに、少なくとも1つのサーバーが検索プログラム122の処理の一部を実行する所謂クラウドサービスのような形態で管理装置100が構成されてもよい。
【0151】
<M.PLC150のハードウェア構成>
図16を参照して、図2に示されるPLC150のハードウェア構成の一例について説明する。図16は、PLC150の主要なハードウェア構成を示すブロック図である。
【0152】
PLC150は、制御回路151と、ROM(Read Only Memory)152と、RAM(Random Access Memory)153と、通信インターフェイス154,155と、記憶装置170とを含む。これらのコンポーネントは、バス160に接続される。
【0153】
制御回路151は、少なくとも1つの集積回路によって構成される。集積回路は、たとえば、少なくとも1つのCPU、少なくとも1つのMPU(Micro Processing Unit)、少なくとも1つのASIC、少なくとも1つのFPGAまたはそれらの組み合わせなどによって構成される。
【0154】
制御回路151は、制御プログラム172など各種プログラムを実行することで搬送装置300や工作機械400の動作を制御する。制御回路151は、制御プログラム172の実行命令を受け付けたことに基づいて、記憶装置170からROM152に制御プログラム172を読み出す。RAM153は、ワーキングメモリとして機能し、制御プログラム172の実行に必要な各種データを一時的に格納する。
【0155】
通信インターフェイス154には、LANやアンテナなどが接続される。PLC150は、通信インターフェイス154を介してネットワークNW1に接続される。これにより、PLC150は、ネットワークNW1に接続される外部機器とデータをやり取りする。当該外部機器は、たとえば、管理装置100やサーバー(図示しない)などを含む。
【0156】
通信インターフェイス155は、フィールドネットワークであるネットワークNW2に接続するためのインターフェイスである。PLC150は、通信インターフェイス155を介してネットワークNW2に接続される外部機器とデータをやり取りする。当該外部機器は、たとえば、上述のリモートI/Oユニット71~73などを含む。
【0157】
記憶装置170は、たとえば、ハードディスクやフラッシュメモリなどの記憶媒体である。記憶装置170は、制御プログラム172および上述の収納情報175などを格納する。制御プログラム172、工具情報174、および収納情報175の格納場所は、記憶装置170に限定されず、制御回路151の記憶領域(たとえば、キャッシュ領域など)、ROM152、RAM153、外部機器(たとえば、サーバー)などに格納されていてもよい。
【0158】
<N.操作端末200Aのハードウェア構成>
図17を参照して、図1に示される操作端末200Aのハードウェア構成について説明する。図17は、操作端末200Aのハードウェア構成の一例を示す模式図である。
【0159】
操作端末200Aは、制御回路201と、ROM202と、RAM203と、通信インターフェイス204と、表示インターフェイス205と、入力インターフェイス207と、記憶装置220とを含む。これらのコンポーネントは、バス210に接続される。
【0160】
制御回路201は、たとえば、少なくとも1つの集積回路によって構成される。集積回路は、たとえば、少なくとも1つのCPU、少なくとも1つのGPU、少なくとも1つのASIC、少なくとも1つのFPGA、またはそれらの組み合わせなどによって構成され得る。
【0161】
制御回路201は、検索プログラム222やオペレーティングシステムなどの各種プログラムを実行することで操作端末200Aの動作を制御する。制御回路201は、検索プログラム222の実行命令を受け付けたことに基づいて、記憶装置220またはROM202からRAM203に検索プログラム222を読み出す。RAM203は、ワーキングメモリとして機能し、検索プログラム222の実行に必要な各種データを一時的に格納する。
【0162】
通信インターフェイス204には、LANやアンテナなどが接続される。操作端末200Aは、通信インターフェイス204を介してネットワークNW1に接続される。これにより、操作端末200Aは、ネットワークNW1に接続される外部機器とデータをやり取りする。当該外部機器は、たとえば、PLC150やサーバー(図示しない)などを含む。
【0163】
表示インターフェイス205には、ディスプレイ206が接続される。表示インターフェイス205は、制御回路201などからの指令に従って、ディスプレイ206に対して、画像を表示するための画像信号を送出する。ディスプレイ206は、たとえば、工具ホルダーの回収指示を受け付けるための操作画面、搬入対象の工具ホルダーを指定するための工具選択画面、または、搬入先の工作機械400を指定するための工作機械選択画面などを表示する。ディスプレイ206は、たとえば、液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ、またはその他の表示機器である。なお、ディスプレイ206は、操作端末200Aと一体的に構成されてもよいし、操作端末200Aとは別に構成されてもよい。
【0164】
入力インターフェイス207には、入力デバイス208が接続される。入力デバイス208は、たとえば、マウス、キーボード、タッチパネル、またはユーザの操作を受け付けることが可能なその他の装置である。なお、入力デバイス208は、操作端末200Aと一体的に構成されてもよいし、操作端末200Aとは別に構成されてもよい。
【0165】
記憶装置220は、たとえば、ハードディスクやフラッシュメモリなどの記憶媒体である。記憶装置220は、検索プログラム222などを格納する。検索プログラム222の格納場所は、記憶装置220に限定されず、制御回路201の記憶領域(たとえば、キャッシュメモリなど)、ROM202、RAM203、管理装置100、PLC150、または外部機器(たとえば、サーバー)などに格納されていてもよい。
【0166】
検索プログラム222は、上述の検索機能を実現するためのプログラムである。検索プログラム222は、単体のプログラムとしてではなく、任意のプログラムの一部に組み込まれて提供されてもよい。この場合、検索プログラム222による搬送制御処理は、任意のプログラムと協働して実現される。このような一部のモジュールを含まないプログラムであっても、本実施の形態に従う検索プログラム222の趣旨を逸脱するものではない。さらに、検索プログラム222によって提供される機能の一部または全部は、専用のハードウェアによって実現されてもよい。さらに、少なくとも1つのサーバーが検索プログラム222の処理の一部を実行する所謂クラウドサービスのような形態で操作端末200Aが構成されてもよい。
【0167】
<O.工具情報の検索フロー>
次に、図18を参照して、工具情報の検索フローについて説明する。図18は、工具情報の検索処理の流れを示すフローチャートである。
【0168】
図18に示される検索処理は、管理装置100の制御回路101が上述の検索プログラム122を実行することにより行われる。あるいは、図18に示される検索処理は、操作端末200Aの制御回路201が上述の検索プログラム222を実行することにより実現されてもよい。あるいは、処理の一部または全部が、回路素子またはその他のハードウェアによって実行されてもよい。
【0169】
ステップS110において、制御回路101は、上述の検索画面130の表示操作を受け付けたか否かを判断する。一例として、制御回路101は、検索プログラム122が実行されたことに基づいて、検索画面130の表示操作を受け付けたと判断する。制御回路101は、検索画面130の表示操作を受け付けたと判断した場合(ステップS110においてYES)、制御をステップS112に切り替える。そうでない場合には(ステップS110においてNO)、制御回路101は、ステップS110の処理を再び実行する。
【0170】
ステップS112において、制御回路101は、工具情報の検索画面130をディスプレイ106に表示する。上述のように、検索画面130は、工具情報の検索条件を入力可能に構成されている。入力可能な検索条件は、たとえば、工具の残寿命に関する検索条件を含む。
【0171】
ステップS120において、制御回路101は、検索画面130に対する検索実行操作を受け付けたか否かを判断する。一例として、検索実行操作は、検索画面130内の検索実行ボタン131Aを押下することにより行われる。制御回路101は、検索画面130に対する検索実行操作を受け付けたと判断した場合(ステップS120においてYES)、制御をステップS124に切り替える。そうでない場合には(ステップS120においてNO)、制御回路101は、制御をステップS122に切り替える。
【0172】
ステップS122において、制御回路101は、検索画面130に対するキャンセル操作を受け付けたか否かを判断する。一例として、キャンセル操作は、検索画面130を閉じる操作により行われる。制御回路101は、検索画面130に対するキャンセル操作を受け付けたと判断した場合(ステップS122においてYES)、図18に示される検索処理を終了する。そうでない場合には(ステップS122においてNO)、制御回路101は、制御をステップS120に戻す。
【0173】
ステップS124において、制御回路101は、上述の検索部54として機能し、入力された検索条件を満たす工具情報を上述の工具データベース123から取得する。一例として、入力された検索条件が残寿命割合の上限である場合、制御回路101は、工具データベース123に規定されている工具情報を参照して、各工具の最大使用可能量と、各工具の残寿命を取得する。次に、制御回路101は、最大使用可能量に対する残寿命の割合を各工具について算出し、当該割合が上記上限以下となる工具情報を検索する。
【0174】
ステップS126において、制御回路101は、上述の検索部54として機能し、ステップS124での検索処理の結果を検索画面130の表示欄132に表示する。上述のように、検索画面130は、表示欄132に表示されている各工具情報に対して選択操作を受け付け可能に構成されている。選択された工具情報に係る各工具は、回収対象として認識される。
【0175】
ステップS130において、制御回路101は、検索画面130に対する工具の回収操作を受け付けたか否かを判断する。一例として、当該回収操作は、検索画面130内の回収ボタン133を押下することにより行われる。制御回路101は、検索画面130に対する当該回収操作を受け付けたと判断した場合(ステップS130においてYES)、制御をステップS134に切り替える。そうでない場合には(ステップS130においてNO)、制御回路101は、制御をステップS132に切り替える。
【0176】
ステップS132において、制御回路101は、検索画面130に対するキャンセル操作を受け付けたか否かを判断する。一例として、キャンセル操作は、検索画面130を閉じる操作により行われる。制御回路101は、検索画面130に対するキャンセル操作を受け付けたと判断した場合(ステップS132においてYES)、図18に示される検索処理を終了する。そうでない場合には(ステップS132においてNO)、制御回路101は、制御をステップS130に戻す。
【0177】
ステップS134において、制御回路101は、検索結果の表示欄において選択された工具情報に係る各工具を作業ステーション200に搬出させるための搬送指令を搬送装置300に出力する。
【0178】
<P.まとめ>
以上のようにして、実施の形態に従う加工システム1は、工具情報の検索画面130において工具の残寿命に関する検索条件の入力を受け付ける。加工システム1は、各工具の現使用量に基づいて、工具データベース123に規定されている各工具の中から、残寿命が検索条件を満たす工具を特定する。その後、検索画面130は、特定された工具の情報を検索結果として表示する。
【0179】
作業者は、加工システム1の検索機能を利用することで、残寿命に関する検索条件で工具情報を検索することができる。これにより、作業者は、寿命が尽きた工具だけでなく、寿命がもうすぐ尽きそうな工具についても把握することができる。その結果、作業者は、工具の交換作業を今のうちに行っておいた方がよい工具を特定することができる。
【0180】
今回開示された実施の形態は全ての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて請求の範囲によって示され、請求の範囲と均等の意味および範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0181】
1 加工システム、5 情報処理装置、10 工具搬送システム、50 制御部、52 監視部、54 検索部、56 搬送制御部、71 リモートI/Oユニット、72 リモートI/Oユニット、73 リモートI/Oユニット、100 管理装置、101 制御回路、102 ROM、103 RAM、104 通信インターフェイス、105 表示インターフェイス、106 ディスプレイ、107 入力インターフェイス、108 入力デバイス、110 バス、120 記憶装置、122 検索プログラム、123 工具データベース、123A 工具データベース、123B 工具データベース、124 加工スケジュール、130 検索画面、130A 検索画面、130B 検索画面、130C 検索画面、131 入力領域、131A 検索実行ボタン、132 表示欄、132A チェックボックス、133 回収ボタン、135A~135F 入力欄、141 表示欄、141A~141F シーケンス番号、142 表示欄、142A 使用量情報、142B 収納場所情報、142C 識別情報、142D 残寿命情報、151 制御回路、152 ROM、153 RAM、154 通信インターフェイス、155 通信インターフェイス、160 バス、170 記憶装置、172 制御プログラム、174 工具情報、175 収納情報、200 作業ステーション、200A 操作端末、201 制御回路、202 ROM、203 RAM、204 通信インターフェイス、205 表示インターフェイス、206 ディスプレイ、207 入力インターフェイス、208 入力デバイス、210 バス、220 記憶装置、222 検索プログラム、234 モータドライバ、234A モータドライバ、234B モータドライバ、235 モータ、235A モータ、235B モータ、250 工具収納部、300 搬送装置、330 アームロボット、331 レール、332 台車、334 モータドライバ、334A モータドライバ、334B モータドライバ、335 モータ、335A モータ、335B モータ、336 仮置き場、400,400A~400F 工作機械、411 モータドライバ、411A モータドライバ、411B モータドライバ、412 モータ、412A モータ、412B モータ、422 加工プログラム。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18