(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-02-21
(45)【発行日】2025-03-04
(54)【発明の名称】モジュール化センサプラットフォーム装置
(51)【国際特許分類】
G08C 15/00 20060101AFI20250225BHJP
H04Q 9/00 20060101ALI20250225BHJP
G16Y 20/20 20200101ALI20250225BHJP
【FI】
G08C15/00 D
H04Q9/00 341
G16Y20/20
(21)【出願番号】P 2023534008
(86)(22)【出願日】2021-10-14
(86)【国際出願番号】 KR2021014256
(87)【国際公開番号】W WO2022119111
(87)【国際公開日】2022-06-09
【審査請求日】2023-07-06
(31)【優先権主張番号】10-2020-0166975
(32)【優先日】2020-12-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】509274234
【氏名又は名称】ソウル大学校産学協力園
【氏名又は名称原語表記】SNU R&DB FOUNDATION
(74)【代理人】
【識別番号】110001379
【氏名又は名称】弁理士法人大島特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】アン、ソンフン
(72)【発明者】
【氏名】キム、スンギ
(72)【発明者】
【氏名】ジョン、クヨプ
【審査官】平野 真樹
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-025911(JP,A)
【文献】特開2019-062375(JP,A)
【文献】特開2017-049259(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08C 13/00-25/04
H04Q 9/00
G01R 27/02
G16Y 20/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電力センサと結合しうる少なくとも1つの第1端子と、
外部センサモジュール及び通信モジュールと結合しうる複数の第2端子と、
既定義のアルゴリズムを実行するマイクロコントロールユニットと、を含
み、
前記マイクロコントロールユニットは、前記第1端子に連結された電力センサのセンシング値が異常状態に該当したとき、前記第2端子に連結されたカメラセンサモジュールを動作させて撮影した映像を外部に伝送することを特徴とするモジュール化センサプラットフォーム装置。
【請求項2】
前記第1端子は、三相電力を測定する非接触電流センサと連結されることを特徴とする、請求項1に記載のモジュール化センサプラットフォーム装置。
【請求項3】
前記第2端子は、USB(universal serial bus)タイプ端子を含むことを特徴とする、請求項1に記載のモジュール化センサプラットフォーム装置。
【請求項4】
前記第2端子は、三極端子を含み、
前記三極端子は、連結される抵抗基盤のセンサモジュールから出力信号を受信することを特徴とする、請求項1に記載のモジュール化センサプラットフォーム装置。
【請求項5】
前記アルゴリズムは、ディープラーニング基盤の人工知能アルゴリズムであり、
前記マイクロコントロールユニットは、前記第1端子及び前記第2端子を介して受信したセンシング値を前記アルゴリズムに入力して得た結果値を、前記通信モジュールを介して伝送することを特徴とする、請求項1に記載のモジュール化センサプラットフォーム装置。
【請求項6】
前記第1端子を介して受信した信号に基づいて電力を検針する電力検針ICをさらに含み、
前記電力検針ICと前記マイクロコントロールユニットは、UART(universal asynchronous receiver/transmitter)を介して連結されることを特徴とする、請求項1に記載のモジュール化センサプラットフォーム装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、モジュール化センサプラットフォーム装置に関し、さらに詳細には、スマートエンジニアリングのソリューションに使用されうるIoT(Internet of Things)基盤のモジュール化センサプラットフォーム装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の工作機械電力測定デバイスは、電力データを収集し、有線で送信する簡単な回路によって構成されている。また、従来のデバイスは、工作機械の品質及び条件を分析するのに不足する単位時間当たりデータ数を有している。従来のデバイスは、工作機械の多様な特性を分析するためのものではなく、電力自体の測定を目的とする。そのような従来のデバイスは、多様な物理量を同時に測定し、複数の物理量データを一度に演算するスマートエンジニアリングの発展方向に符合しない。
【0003】
また、1つの工作機械に、従来の電力測定装置と、さまざまなセンサシステムとをそれぞれ付着させて測定する場合、データ相互間の同期化問題が存在するだけではなく、それぞれのセンサの測定値をそのまま無線送出しなければならないので、通信量が加重されるという問題が生じる。また、システムの末端で演算が不可能になり、スマートエンジニアリングの核心技術の一つであるエッジコンピューティングの効率性を具現することができなくなる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の実施形態がなそうとする技術的課題は、IoTデバイス及びエッジコンピューティングの役割を同時に遂行し、スマートエンジニアリングのソリューションに容易に適用させることができるモジュール化センサプラットフォーム装置を提供するところにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前述の技術的課題を達成するための本発明の実施形態によるモジュール化センサプラットフォーム装置の一例は、電力センサと結合しうる少なくとも1つ以上の第1端子、外部センサモジュール、及び通信モジュールと結合しうる複数の第2端子、及び定義されたアルゴリズムを実行するマイクロコントロールユニットを含む。
【発明の効果】
【0006】
本発明の実施形態によれば、非接触方式の電流測定方式を利用し、小型で具現可能であるので、既存の従来式工作機械に付着させて利用することができる。また、多様なセンサモジュールと通信モジュールとを付着させることができるので、三相電力だけではなく、温度や湿度、振動のような多様な種類のデータを同期化して収集することができ、希望する通信プロトコル(例えば、WiFi5、BLE3、ジグビー(Zigbee(登録商標))など)を選定して通信することができる。また、軽量化された人工知能を挿入し、エッジにおいて演算することができ、通信網が正しく構築されていなかったり、十分な通信速度を確保することができなかったりする中小型製造ラインに設け、通信量負担なしに、製造ラインの知能化を実現することができる。また、一般家庭の配電盤、または建物内部の配電盤に設け、温度センサ、湿度センサ、照度センサなどを付着させて知能化を構築し、スマートホームまたはスマート建物のソリューションに適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】本発明の実施形態によるモジュール化センサプラットフォーム装置の全体的な形状の一例を図示した図である。
【
図2】本発明の実施形態によるモジュール化センサプラットフォーム装置の構成の一例を図示した図である。
【
図3】本発明の実施形態によるマイクロコントロールユニットの演算方法の一例を図示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下において、添付図面を参照し、本発明の実施形態によるモジュール化センサプラットフォーム装置について詳細に説明する。
【0009】
図1は、本発明の実施形態によるモジュール化センサプラットフォーム装置の全体的な形状の一例を図示した図面である。
【0010】
図1を参照すれば、モジュール化センサプラットフォーム装置100は、電力センサと結合しうる少なくとも1以上の第1端子110、並びに外部センサモジュール及び通信モジュールと結合しうる少なくとも1以上の第2端子120を含む。また、モジュール化センサプラットフォーム装置100は、本体内に、既定義のアルゴリズムを実行するマイクロコントロールユニットを含む。
【0011】
モジュール化センサプラットフォーム装置100は、各種センサモジュールと通信モジュールとを内蔵するものではなく、それらと連結されうる端子110,120を含むので、小型に軽量化させて作製可能である。また、モジュール化センサプラットフォーム装置100に、多様な種類のセンサモジュールと、多様な種類の通信モジュールとの連結が可能であるので、多様な環境に柔軟に適用することができる。すなわち、測定しようとする物理量が変わるたびに、モジュール化センサプラットフォーム装置100それ自体を交換したり、内部部品を交換または再組み立てしたりする必要なしに、モジュール化センサプラットフォーム装置100に連結されるセンサモジュールや通信モジュールだけを変更すればよいので、従来式工場の知能化を容易に具現することができる。
【0012】
第1端子110は、三相電力を測定する非接触電流センサと連結されうる。それ以外にも、実施形態により、第1端子110は、電力を測定する従来の多様な種類の電力センサと連結されうる。
【0013】
第2端子120は、USB(universal serial bus)タイプ及び/または三極端子によっても構成される。例えば、第2端子120は、少なくとも1以上のUSB Aタイプ、少なくとも1以上のUSB Cタイプ、及び少なくとも1以上の3.5mm三極端子を含むものでもある。例えば、通信モジュールは、USBポートに連結され、温度、湿度、照度または振動などを測定するセンサは、三極端子に連結されうる。該三極端子は、連結される抵抗基盤のセンサから出力信号を受信するので、さらなるマイクロコントローラの構成なしにも、センサの出力シグナルを読み取り、DAQ(data acquisition)の役割を遂行することができる。
【0014】
他の実施形態として、モジュール化センサプラットフォーム装置100は、少なくとも1以上の映像センサ、すなわち、カメラを内蔵するか、第2端子120を介し、少なくとも1以上のカメラと連結することができる。他の例として、モジュール化センサプラットフォーム装置100は、第2端子に連結された通信モジュールを介し、無線で少なくとも1以上のカメラと連結されうる。
【0015】
モジュール化センサプラットフォーム装置100は、第2端子120を介し、多数のセンサモジュールからセンシング値を同期化して収集することができる。例えば、モジュール化センサプラットフォーム装置100は、同じ時点において、複数のセンサモジュールからセンシング値を収集することができる。
【0016】
図2は、本発明の実施形態によるモジュール化センサプラットフォーム装置の構成の一例を図示した図面である。
【0017】
図1及び
図2を共に参照すれば、モジュール化センサプラットフォーム装置100は、電力検針IC200、マイクロコントロールユニット(MCU)210及びUART(universal asynchronous receiver/transmitter)220を含む。
【0018】
電力検針IC200は、第1端子110を介し、電力センサから受信したセンシング値を利用し、電力を把握する。例えば、該電力センサは、非接触方式の電流センサであり、380V三相四線式電力供給線につながれ、各電線を流れる電流を測定することができる。電力検針IC200は、電流センサが測定した各電線の電流センシング値に基づき、電力などを把握することができる。
【0019】
マイクロコントロールユニット210は、少なくとも1以上のセンサモジュール250,252、及び少なくとも1以上の通信モジュール260,262と、第2端子120を介して連結される。一実施形態として、マイクロコントロールユニット210は、有線通信方式で連結された少なくとも1以上のセンサモジュール250,252から受信したセンシング値を、そのまま無線通信方式の通信モジュール260,262を介して伝送することができるが、その場合、通信量が多くなるという問題点が存在する。従って、本実施形態において、マイクロコントロールユニット210は、少なくとも1以上のセンサモジュール250,252から受信したセンシング値に基づき、所定の演算過程を遂行して得た結果値を、通信モジュール260,262を介して伝送することができる。マイクロコントロールユニット210が行う演算方法の一例については、
図3に示す。
【0020】
マイクロコントロールユニット210は、センサモジュールから持続的にセンシング値を受信したり、センサモジュールの動作いかんを決定したりすることができる。例えば、マイクロコントロールユニット210は、通信モジュール260,262を介し、外部から制御命令を受けて動作するセンサモジュールの種類と個数とを決定することができる。すなわち、ユーザは、サーバやユーザ端末などを介し、モジュール化センサプラットフォーム装置100に連結されたセンサモジュールに対する動作または動作中止の制御命令を、モジュール化センサプラットフォーム装置に伝送することができる。例えば、第1センサモジュールないし第nセンサモジュールが、第2端子120を介して連結されている場合、マイクロコントロールユニット210は、第1センサモジュール、第5センサモジュールに対する動作命令を受信すれば、第1センサモジュール、第5センサモジュールを動作させることができる。
【0021】
他の例として、マイクロコントロールユニット210は、既定義の条件によってセンサモジュールが動作するか否かということを決定することができる。例えば、センサモジュールのうちいずれか一つが、映像センサ、すなわち、カメラである場合、カメラの撮影映像をモジュール化センサプラットフォーム装置100が持続的に処理するには、保存空間や演算に多くの負荷を与えてしまう。その場合、マイクロコントロールユニット210は、普段は、カメラの動作を中止させ、第1端子110に連結された電力センシング値が異常である場合、または第2端子120に連結された各種センサモジュールから測定した値が既定義の条件(例えば、異常状態に該当する場合など)に該当すれば、カメラセンサモジュールを動作させることができる。すなわち、モジュール化センサプラットフォーム装置100が設けられた装備や空間における異常状態が発見されれば、そのとき、カメラを介して撮影した映像を、サーバやユーザ端末などに伝送させることができる。
【0022】
モジュール化センサプラットフォーム装置100が位置した場所の通信方式により、モジュール化センサプラットフォーム装置100に連結または使用される通信モジュール260,262は異なりうる。例えば、ジグビー通信が必要である場合、ジグビー通信モジュールを、モジュール化センサプラットフォーム装置100に連結することができる。
【0023】
他の実施形態として、モジュール化センサプラットフォーム装置100には、事前に複数の通信モジュール260,262が連結されており、必要により、マイクロコントロールユニット210は、複数の通信モジュール260,262のいずれか一つを介し、データを送受信することができる。例えば、複数の通信プロトコルが使用可能な環境であれば、モジュール化センサプラットフォーム装置100は、ユーザの設定または通信環境(例えば、帯域幅、通信遅延の有無、通信量など)により、いずれか1つの通信プロトコルを選択し、その通信プロトコルを支援する通信モジュールを介し、データを送受信することができる。
【0024】
電力検針IC200とマイクロコントロールユニット210は、UART220を介して連結されうる。電力検針IC200とマイクロコントロールユニット210は、物理的に分離され、UART220を介してデータを送受信するので、電力検針IC200に突然の過負荷などが生じても、マイクロコントロールユニット210を保護することができる。
【0025】
図3は、本発明の実施形態によるマイクロコントロールユニットの演算方法の一例を図示した図面である。
【0026】
図3を参照すれば、マイクロコントロールユニットは、センシング値に基づいて演算可能なアルゴリズム300を含むので、一種のエッジコンピューティングの役割を行うことができる。アルゴリズム300は、マイクロコントロールユニットの内蔵メモリに保存されているか、あるいはモジュール化センサプラットフォーム装置100に存在する別途メモリに保存されてもいる。
【0027】
マイクロコントロールユニットは、電力センサを介して把握した電力測定値310や、それぞれのセンサモジュールを介して測定したセンシング値312,314などをアルゴリズム300に入力し、分析結果320を導き出す。アルゴリズム300は、一般的な関数などによって具現されたアルゴリズムであるか、あるいはディープラーニング基盤またはマシンラーニング基盤の人工知能アルゴリズムでもある。例えば、モジュール化センサプラットフォーム装置100は、工作機械などに付着された後、電力測定値310とセンシング値312,314とを利用し、工作機械の異常有無をアルゴリズムを介して把握し、その結果320を伝送することができ、センシング値それ自体を伝送する場合と比較し、通信量を減らし、中央サーバの演算負担を軽減させることができる。
【0028】
他の実施形態として、アルゴリズム300には、各種センサモジュールの動作条件が定義されてもいる。例えば、マイクロコントロールユニットは、アルゴリズム300により、複数のセンサモジュールのうち、普段は、その一部のセンサモジュールを動作させ、工作機械などの異常有無を把握し、アルゴリズム300を介して異常が発見されれば、カメラを動作させて撮影した映像を、サーバやユーザ端末などに伝送することができる。
【0029】
さらに他の実施形態として、マイクロコントロールユニットは、通信モジュールを介し、ユーザから特定センサモジュールの動作有無に対する制御命令を受信することができる。例えば、該マイクロコントロールユニットは、カメラ動作有無に対する制御命令を外部から受信することができ、その制御命令によってカメラを動作させ、撮影映像を伝送することができる。
【0030】
以上、本発明について、その望ましい実施形態を中心に説明した。本発明が属する技術分野において通常の知識を有する者であれば、本発明が、本発明の本質的な特性から外れない範囲で変形された形態に具現されうることを理解することができるであろう。従って、開示された実施形態は、限定的な観点ではなく、説明的な観点から考慮されなければならない。本発明の範囲は、前述の説明ではなく、特許請求の範囲に示されており、それらと同等の範囲内にある全ての差異は、本発明に含まれたものと解釈されなければならない。