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特許7639226アセナフテン誘導体有機発光材料、調製方法及び電界発光デバイス
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-02-21
(45)【発行日】2025-03-04
(54)【発明の名称】アセナフテン誘導体有機発光材料、調製方法及び電界発光デバイス
(51)【国際特許分類】
   H10K 85/60 20230101AFI20250225BHJP
   C07D 221/06 20060101ALI20250225BHJP
   C07D 401/10 20060101ALI20250225BHJP
   C07D 471/14 20060101ALI20250225BHJP
   C09K 11/06 20060101ALI20250225BHJP
   H10K 50/12 20230101ALI20250225BHJP
   H10K 50/15 20230101ALI20250225BHJP
   H10K 50/16 20230101ALI20250225BHJP
   H10K 50/17 20230101ALI20250225BHJP
   H10K 50/18 20230101ALI20250225BHJP
   H10K 59/10 20230101ALI20250225BHJP
【FI】
H10K85/60
C07D221/06
C07D401/10
C07D471/14 101
C09K11/06 645
C09K11/06 650
H10K50/12
H10K50/15
H10K50/16
H10K50/17
H10K50/17 171
H10K50/18
H10K59/10
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2024150064
(22)【出願日】2024-08-30
【審査請求日】2024-08-30
(31)【優先権主張番号】202410346885.4
(32)【優先日】2024-03-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】524326129
【氏名又は名称】成都維拓立柔性電子技術有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】110002262
【氏名又は名称】TRY国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】雷 文武
(72)【発明者】
【氏名】李 興
【審査官】内村 駿介
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2005/121057(WO,A1)
【文献】中国特許出願公開第114716329(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第115148915(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H10K 50/00-102/20
C07D 221/06
C07D 401/10
C07D 471/14
C09K 11/06
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
アセナフテン誘導体有機発光材料であって、前記アセナフテン誘導体有機発光材料は式1で示す構造を有し、
式中、Rは、独立して、水素、置換若しくは非置換のC-C30アルキル基、置換若しくは非置換のC-C30ヘテロアルキル基、置換若しくは非置換のC-Cシクロアルキル基、置換若しくは非置換のC-C30アリール基、置換若しくは非置換のヘテロアリール基から選択され、
ここで、Z、Z、Z、Z、Z、Z、Z、Zはそれぞれ、独立して、C又はNから選択され、
は、水素、メチル、エチル、プロピル、n-プロピル、イソプロピル、ブチル、n-ブチル、イソブチル、tert-ブチル、sec-ブチル、シクロペンチルメチル、シクロヘキシルメチル、オクチル、n-オクチル、tert-オクチル、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、3-メチルシクロペンチル、2,3-ジメチルシクロペンチル、シクロヘキシル、3-メチルシクロヘキシル、4-メチルシクロヘキシル、テルフェニル、アントリル、ナフチル、フェナントリル、フルオレニル、スピロビフルオレニル、チエニル、フリル、ピロリル、イミダゾリル、ジアゾリル、ピリジル、ビピリジル、トリアジニル、アクリジニル、キノリル、キナゾリニル、インドリル、ジベンゾフリル、フェノキサジニル、フェノチアジニル、フェナントリジニルから選択される、ことを特徴とするアセナフテン誘導体有機発光材料。
【請求項2】
前記Rは、以下の構造式の化合物の1つから選択され、
前記メチル、エチル、プロピル、n-プロピル、イソプロピル、ブチル、n-ブチル、イソブチル、tert-ブチル、sec-ブチル、シクロペンチルメチル、シクロヘキシルメチル、オクチル、n-オクチル、tert-オクチル、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、3-メチルシクロペンチル、2,3-ジメチルシクロペンチル、シクロヘキシル、3-メチルシクロヘキシル、4-メチルシクロヘキシル、テルフェニル、アントリル、ナフチル、フェナントリル、フルオレニル、スピロビフルオレニル、チエニル、フリル、ピロリル、イミダゾリル、ジアゾリル、ピリジル、ビピリジル、トリアジニル、アクリジニル、キノリル、キナゾリニル、インドリル、ジベンゾフリル、フェノキサジニル、フェノチアジニル、フェナントリジニルの1つ以上の水素がトリチウムに置換される、ことを特徴とする請求項1に記載のアセナフテン誘導体有機発光材料。
【請求項3】
前記アセナフテン誘導体有機発光材料は、以下の化合物のいずれかである、ことを特徴とする請求項1に記載のアセナフテン誘導体有機発光材料。
【請求項4】
請求項1~3のいずれか一項に記載のアセナフテン誘導体有機発光材料の調製方法であって、前記調製方法の反応過程は以下のとおりであり、且つ以下のステップを含むことを特徴とする調製方法。
(1)中間体Iの調製:三つ口フラスコにアセナフテン-5-ボロン酸、トルエン、化合物a、無水炭酸ナトリウム、触媒Pd(pph、エタノール、脱イオン水を入れて、均一に撹拌し、60℃で12時間反応させ、反応終了後、反応物を後処理した後、中間体Iを取得し、
(2)中間体IIの調製:三つ口フラスコに中間体I、トルエン、化合物b、無水炭酸ナトリウム、触媒Pd(pph、エタノール、脱イオン水を入れて、均一に撹拌し、60℃で12時間反応させ、反応終了後、室温まで冷却し、反応物を後処理した後、中間体IIを取得し、
(3)アセナフテン誘導体有機発光材料の調製:三つ口フラスコに化合物c、中間体II、炭酸セシウム、酢酸パラジウム、トリ-tert-ブチルホスフィン、キシレンを順に入れて、100℃で24時間反応させ、反応終了後、ジクロロメタンで抽出し、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、固体をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで分離精製して、アセナフテン誘導体有機発光材料を取得する。
【請求項5】
請求項1~3のいずれか一項に記載のアセナフテン誘導体有機発光材料の使用であって、前記アセナフテン誘導体有機発光材料は発光デバイスの製造に使用できる、ことを特徴とする使用。
【請求項6】
前記発光デバイスは、フレキシブルフラットパネルディスプレイ、フレキシブル青色照明システム、白色フラットパネル照明システム、有機太陽電池、発光化学電池、有機薄膜ダイオード、有機発光ダイオードのいずれか1つである、ことを特徴とする請求項5に記載の使用。
【請求項7】
有機電界発光デバイスであって、前記有機電界発光デバイスは、第1電極、第2電極及び両者間の有機層の3つの部分から構成され、前記有機層は、請求項1に記載のアセナフテン誘導体有機発光材料を含む、ことを特徴とする有機電界発光デバイス。
【請求項8】
前記有機層は積層であり、正孔注入層、正孔輸送層、電子阻止層、発光層、正孔阻止層、電子輸送層、電子注入層を含む、ことを特徴とする請求項7に記載の電界発光デバイス。
【請求項9】
前記発光層は、ホスト材料とゲスト材料とを含み、前記ゲスト材料として請求項1に記載のアセナフテン誘導体有機発光材料を選択する場合、前記ゲスト材料のモルパーセントは1~30%である、ことを特徴とする請求項8に記載の電界発光デバイス。
【請求項10】
電子機器であって、前記電子機器は請求項7~9のいずれか一項に記載の有機電界発光デバイスを含む、ことを特徴とする電子機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有機電界発光デバイスの分野に関し、具体的には、アセナフテン誘導体有機発光材料、調製方法及び電界発光デバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
従来の発光ダイオード(LED)と比較して、有機発光ダイオード(OLED)は、高輝度、高速応答、低駆動電圧、高発光効率、柔軟な設計という利点がある。OLED発光材料の第1世代は、トリス(8-ヒドロキシキノリン)アルミニウム(Alq)に代表され、第2世代は重金属錯体のリン光材料である。エレクトロルミネッセンス材料は、赤、緑、青の3原色で構成されている。青色光材料に加えて、赤色光材料及び緑色光材料の性能は、照明分野及びハイエンドディスプレイの要件を満たすことができる。主な理由は、青色光材料の純度、安定性、効率が低く、要件を満たすことができないためであり、通常、それを補うために積層プロセスが必要である。近年、高効率かつ長寿命の青色光有機電界発光デバイスの開発が研究者にとって喫緊の課題となっている。特に国内のOLEDパネルメーカーの現在の要求を考慮すると、優れた青色光材料の開発を議題にすべきである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は、既存の技術的問題を解決し、発光効率が高く、寿命が長い深青色光発光材料、その調製方法、及び有機電界発光デバイスを提供することを目的とする。本発明のアセナフテン誘導体により形成される有機電界発光デバイスは、色純度が高く、寿命が長い。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明が上記の技術的問題を解決するために提供する技術的解決策は下記のとおりである。
アセナフテン誘導体有機発光材料であって、その化学構造式は式1で示される。
式中、Rは、独立して、水素、置換若しくは非置換のC-C30アルキル基、置換若しくは非置換のC-C30ヘテロアルキル基、置換若しくは非置換のC-Cシクロアルキル基、置換若しくは非置換のC-C30アリール基、置換若しくは非置換のヘテロアリール基から選択される。
【0005】
、Z、Z、Z、Z、Z、Z、Zはそれぞれ、独立して、C又はNから選択される。
【0006】
は、水素、メチル、エチル、プロピル、n-プロピル、イソプロピル、ブチル、n-ブチル、イソブチル、tert-ブチル、sec-ブチル、シクロペンチルメチル、シクロヘキシルメチル、オクチル、n-オクチル、tert-オクチル、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、3-メチルシクロペンチル、2,3-ジメチルシクロペンチル、シクロヘキシル、3-メチルシクロヘキシル、4-メチルシクロヘキシル、テルフェニル、アントリル、ナフチル、フェナントリル、フルオレニル、スピロビフルオレニル、チエニル、フリル、ピロリル、イミダゾリル、ジアゾリル、ピリジル、ビピリジル、トリアジニル、アクリジニル、キノリル、キナゾリニル、インドリル、ジベンゾフリル、フェノキサジニル、フェノチアジニル、フェナントリジニルから選択される。
前記メチル、エチル、プロピル、n-プロピル、イソプロピル、ブチル、n-ブチル、イソブチル、tert-ブチル、sec-ブチル、シクロペンチルメチル、シクロヘキシルメチル、オクチル、n-オクチル、tert-オクチル、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、3-メチルシクロペンチル、2,3-ジメチルシクロペンチル、シクロヘキシル、3-メチルシクロヘキシル、4-メチルシクロヘキシル、テルフェニル、アントリル、ナフチル、フェナントリル、フルオレニル、スピロビフルオレニル、チエニル、フリル、ピロリル、イミダゾリル、ジアゾリル、ピリジル、ビピリジル、トリアジニル、アクリジニル、キノリル、キナゾリニル、インドリル、ジベンゾフリル、フェノキサジニル、フェノチアジニル、フェナントリジニルの1つ以上の水素がトリチウムに置換される。
【0007】
より好ましくは、前記Rは、以下の構造式の化合物の1つから選択される。
【0008】
好ましくは、前記アセナフテン誘導体は以下の化合物の1つである。
【0009】
本発明は、上記のアセナフテン誘導体有機発光材料の調製方法をさらに提供する。前記調製方法の反応過程は以下に示され、具体的なステップは以下のとおりである。
【0010】
(1)中間体Iの調製:三つ口フラスコにアセナフテン-5-ボロン酸とトルエン、化合物a、無水炭酸ナトリウム、触媒Pd(pph、エタノール、脱イオン水を入れて、均一に撹拌し、60℃で12時間反応させ、反応終了後、室温まで冷却し、反応物を後処理した後、中間体Iを取得する。
【0011】
(2)中間体IIの調製:三つ口フラスコに中間体I、トルエン、化合物b、無水炭酸ナトリウム、触媒Pd(pph、エタノール、脱イオン水を入れて、均一に撹拌し、60℃で12時間反応させ、反応終了後、室温まで冷却し、反応物を後処理した後、中間体IIを取得する。
【0012】
(3)アセナフテン誘導体有機発光材料の調製:三つ口フラスコに化合物c、中間体II、炭酸セシウム、酢酸パラジウム、トリ-tert-ブチルホスフィン、キシレンを順に入れて、100℃で24時間反応させ、反応終了後、ジクロロメタンで抽出し、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、固体をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで分離精製して、アセナフテン誘導体有機発光材料を取得する。
【0013】
ここで、R、Z、Z、Z、Z、Z、Z、Z、Z、Zの意味は、上記式1に対応するものと同様である。
【0014】
本発明は、発光デバイス調製における上記のアセナフテン誘導体有機発光材料の使用をさらに提供する。前記光学デバイスは、フレキシブルフラットパネルディスプレイ、フレキシブル青色照明システム、白色フラットパネル照明システム、有機太陽電池、発光化学電池、有機薄膜ダイオード、有機発光ダイオードのいずれか1つである。
【0015】
別の態様では、本発明は有機電界発光デバイスを提供する。前記有機電界発光デバイスは、第1電極(正極)、第2電極(負極)及び両者間の有機層の3つの部分から構成される。前記有機層は、上記のアセナフテン誘導体有機発光材料を含む。
【0016】
好ましくは、前記有機層は積層であり、正孔注入層、正孔輸送層、電子阻止層、発光層、正孔阻止層、電子輸送層、電子注入層を含む。
【0017】
好ましくは、前記発光層は、ホスト材料とゲスト材料とを含み、前記ゲスト材料としてアセナフテン誘導体有機発光材料を選択する場合、前記ゲスト材料のモルパーセントは1~30%である。
【0018】
別の態様では、本発明は電子機器を提供する。前記電子機器は、上述した有機電界発光デバイスを含む。
【0019】
従来技術と比較して、本発明は、以下の有益な効果を有する。
本発明は、アセナフテン基を骨格とすることで、共役基の形成を効果的に制御し、より高い発光効率を得ることができ、発光層材料として使用すると、デバイスの駆動電圧を低減でき、デバイスの光電効率や寿命を向上させることができるものを提供する。また、本発明に記載のアセナフテン誘導体がOLEDデバイスの発光層材料として使用されると、該OLEDデバイスは、色純度が高いという特徴を示す。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、具体的な実施形態を参照しながら、本発明の技術的解決策をさらに説明する。当業者であれば、前記実施例は本発明の理解を助けるためだけのものであり、本発明に対する具体的な制限とみなすべきではないことを理解すべきである。
【0021】
実施例1:本実施例は、上記化合物1の調製に関し、具体的な反応過程は次のとおりである。
【0022】
(1)中間体1-3の調製:三つ口フラスコにアセナフテン-5-ボロン酸(12g、化合物1-1)とトルエン(200ml)、化合物1-2(15g)、無水炭酸ナトリウム(11.1g)、触媒Pd(pph(30.1g)、エタノール(40g)、脱イオン水(40g)を入れて、均一に撹拌し、60℃で12時間反応させ、反応終了後、室温まで冷却し、酢酸エチルで抽出し、硫酸マグネシウムで乾燥し、濾過し、濃縮し、最後にシリカゲルカラムで分離精製して、中間体1-3(14.6g)を収率83%で取得した。
【0023】
(2)中間体1-5の調製:中間体1-3の調製と同様であり、化合物1-1及び化合物1-2の代わりに、対応する使用量の中間体1-3、化合物1-4のみを使用して、中間体1-5(11.5g)を収率73%で取得した。
【0024】
(3)化合物1の調製:250mlの三つ口フラスコに化合物1-6(6.5g)、中間体1-5(19.8g)、炭酸セシウム(Cs2CO3、11.5g)、酢酸パラジウム(Pd(OAc)2、0.2g)、トリ-tert-ブチルホスフィン(0.6g)、キシレン(100ml)を順に入れ、100℃で24時間反応させ、反応終了後、ジクロロメタンで抽出し、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、固体をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで分離精製して、化合物1(14.4g)を収率68%で取得した。
【0025】
質量スペクトルm/z:理論値:652.29;実測値:649.38;
理論上の元素含有量C49H36N2:C,90.15;H,5.56;N,4.29;
実測した元素含有量C49H36N2:C,89.10;H,5.22;N,3.98。
【0026】
実施例2:本実施例は、上記化合物4の調製に関し、具体的な反応過程は次のとおりである。
(1)中間体2-3の調製:実施例1の中間体1-3の調製と同じであり、中間体2-3を取得した。
【0027】
(2)中間体2-5の調製は、化合物1-4の代わりに化合物2-4を使用することを除いて、実施例1における中間体1-5の調製と同様であり、中間体2-5を得た。
【0028】
(3)化合物2の調製:中間体1-5の代わりに中間体2-5を使用することを除いて、化合物1の調製と同様であり、最終的に化合物4(9.36g)を収率65%で取得した。
【0029】
質量スペクトルm/z:理論値:662.27;実測値:665.82;
理論上の元素含有量C50H34N2:C,90.60;H,5.17;N,4.23;
実測した元素含有量C50H34N2:C,90.05;H,4.96;N,4.02。
【0030】
実施例3:本実施例は、上記化合物13の調製に関し、具体的な反応過程は次のとおりである。
(1)中間体3-3の調製:実施例1における中間体1-3の調製と同じであり、中間体3-3を取得した。
【0031】
(2)中間体3-5の調製は、化合物1-4の代わりに化合物3-4を使用することを除いて、実施例1における中間体1-5の調製と同様であり、中間体3-5を得た。
【0032】
(3)化合物13の調製:中間体1-5の代わりに中間体3-5を使用することを除いて、化合物1の調製と同様であり、最終的に化合物13(8.54g)を収率68%で取得した。
【0033】
質量スペクトルm/z:理論値:650.27;実測値:648.64;
理論上の元素含有量C49H34N2:C,90.43;H,5.27;N,4.30;
実測した元素含有量C49H34N2:C,89.91;H,5.01;N,4.15。
【0034】
実施例4:本実施例は、上記化合物54の調製に関し、具体的な反応過程は次のとおりである。
(1)中間体4-3の調製:実施例1における中間体1-3の調製と同じであり、中間体4-3を取得した。
【0035】
(2)中間体4-5の調製は、化合物1-4の代わりに化合物4-4を使用することを除いて、実施例1における中間体1-5の調製と同様であり、中間体4-5を取得した。
【0036】
化合物54の調製:中間体1-5の代わりに中間体4-5を使用し、化合物1-6の代わりに化合物4-6を使用することを除いて、化合物1の調製と同様であり、最終的に化合物54(9.55g)を収率73%で取得した。
【0037】
質量スペクトルm/z:理論値:652.26;実測値:650.37;
理論上の元素含有量C4732:C,86.48;H,4.94;N,8.58;
実測した元素含有量C4732:C,84.92;H,4.76;N,7.86。
【0038】
デバイス実施例1-4と比較例1:
デバイス実施例1-4は、下から上にそれぞれ第1電極(正極)、正孔注入層、正孔輸送層、電子阻止層、発光層、正孔阻止層、電子輸送層、電子注入層、第2電極(負極)であるOLEDデバイスを提供する。
【0039】
各層の構成材料は以下のとおりである。
第1電極(正極):ITO(酸化インジウムスズ);
正孔注入層:HAT-CN;
正孔輸送層:TAPC;
電子輸送層:TmPyPB;
電子注入層:Liq;
第2電極(負極):Al;
発光層のホスト材料としてTCTAを選択し、ゲスト材料として上述した実施例1-4のアセナフテン誘導体を選択した。
【0040】
比較例1とデバイス実施例1 4の違いは、発光層のゲスト材料が化合物mCPであることのみである。
【0041】
上記のデバイス実施例及び比較例1において、材料の略称に対応する構造式は次のとおりである。
性能試験: デバイス実施例及び比較例について発光効率試験を行った。その項目と結果を表1に示す。
【0042】
ここで、デバイス性能データは1000nitsの輝度で測定し、寿命(LT95)データは、20mA/cmの電流密度で計算した。
【0043】
表1の結果から、発光層のゲスト材料としてアセナフテン誘導体を用いた場合、有機電界発光素子は高い色純度を示すことがわかる。最も重要なことは、デバイス実施例1-4の有機電界発光素子は、長い使用寿命を有することである。
【0044】
本発明は、上記の実施例により本発明のアセナフテン誘導体有機発光材料、調製方法及びその使用を説明するが、本発明は上記の実施例に限定されるものではなく、即ち、本発明は上記の実施例に依拠して実施されなければならないことを意味するものではない。当業者は、本発明に対するあらゆる改良、本発明の製品の各原料の同等代替、補助成分の添加、具体的な方法の選択などはすべて本発明の保護範囲および開示範囲に含まれることを理解すべきである。
【要約】      (修正有)
【課題】発光効率が高く、寿命が長い深青色光発光材料、その調製方法、及び有機電界発光デバイスを提供する。
【解決手段】式1に示すアセナフテン誘導体有機発光材料である。該発光材料は、アセナフテン骨格を有し、「Y」字型の構造を有する。

【選択図】なし