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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-02-25
(45)【発行日】2025-03-05
(54)【発明の名称】円周保持要素を有するコネクタシールド
(51)【国際特許分類】
   H01R 13/6581 20110101AFI20250226BHJP
   H01R 43/16 20060101ALI20250226BHJP
【FI】
H01R13/6581
H01R43/16
【請求項の数】 14
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2020139033
(22)【出願日】2020-08-20
(65)【公開番号】P2021034379
(43)【公開日】2021-03-01
【審査請求日】2023-05-09
(31)【優先権主張番号】19193933.9
(32)【優先日】2019-08-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】501090342
【氏名又は名称】ティーイー コネクティビティ ジャーマニー ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツンク
【氏名又は名称原語表記】TE Connectivity Germany GmbH
(73)【特許権者】
【識別番号】514095099
【氏名又は名称】ティーイー コネクティビティ インディア プライベート リミテッド
【氏名又は名称原語表記】TE CONNECTIVITY INDIA PRIVATE LIMITED
(74)【代理人】
【識別番号】100100077
【弁理士】
【氏名又は名称】大場 充
(74)【代理人】
【識別番号】100136010
【弁理士】
【氏名又は名称】堀川 美夕紀
(74)【代理人】
【識別番号】100130030
【弁理士】
【氏名又は名称】大竹 夕香子
(74)【代理人】
【識別番号】100203046
【弁理士】
【氏名又は名称】山下 聖子
(72)【発明者】
【氏名】ベルクナー,ベルト
(72)【発明者】
【氏名】ムンパー,ギュンター
(72)【発明者】
【氏名】ハイアーマス,グルーラジャ エイ
(72)【発明者】
【氏名】エムディー,サンダレシャン
【審査官】▲高▼橋 杏子
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-072067(JP,A)
【文献】特開平09-129316(JP,A)
【文献】米国特許第08323055(US,B2)
【文献】特開2004-355932(JP,A)
【文献】特開昭59-138084(JP,A)
【文献】米国特許第04921441(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 13/56-13/72
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
信号コネクタ(3)のためのシールド(1)であって、前記コネクタ(3)の少なくとも1つの信号コンタクト(7)を電磁的に遮蔽するように配置された複数の遮蔽壁(13)を備え、挿入方向(I)に沿って相手側コネクタ(5)を受け取るために前記シールド(1)が開いている前端(15)をさらに備え、少なくとも2つの遮蔽壁(13)は、前記挿入方向(I)に直交する断面内で少なくとも部分的に互いに平行である、シールド(1)において、ハウジング内で前記シールド(1)を保持するように構成され、前記シールド(1)の円周方向(C)に沿って延びる少なくとも1つの長手円周保持要素(25)を備え
前記少なくとも1つの長手円周保持要素(25)は、溝(27)であり、
前記溝(27)は、前記遮蔽壁(13)と一体形成された制限壁(35)から構成され、
前記制限壁(35)は、
前記挿入方向(I)に交差して延びる前壁(41)と、
前記前壁(41)から間隔をあけて配置され、前記挿入方向(I)に交差して延びる後壁(45)と、
前記前壁(41)および前記後壁(45)それぞれに交差して延び、前記前壁(41)および前記後壁(45)を接続する底壁(43)を含むことを特徴とするシールド(1)。
【請求項2】
前記溝(27)は、前記シールド(1)の周囲面(29)内へ延びており、前記底壁(43)は、前記前壁(41)および前記後壁(45)より前記シールド(1)内へ深く配置されることを特徴とする、請求項1に記載のシールド(1)。
【請求項3】
前記長手円周保持要素(25)は、前記シールド(1)の前記円周方向(C)に沿って連続して延びていることを特徴とする、請求項1または2記載のシールド(1)。
【請求項4】
前記長手円周保持要素(25)は、前記円周方向(C)に沿って基本的に均一の深さ(47)または高さを有していることを特徴とする、請求項1または3に記載のシールド(1)。
【請求項5】
前記長手円周保持要素(25)は、前記円周方向(C)に沿って基本的に均一の深さ(47)を有していることを特徴とする、請求項2に記載のシールド(1)。
【請求項6】
前記長手円周保持要素(25)は、基本的に均一の幅(49)を有し、前記幅(49)は、前記挿入方向(I)に平行に延びていることを特徴とする、請求項1からのいずれか一項に記載のシールド(1)。
【請求項7】
前記長手円周保持要素(25)は、全体的に矩形の断面を有し、前記断面は、前記円周方向(C)に直交して延びていることを特徴とする、請求項1からのいずれか一項に記載のシールド(1)。
【請求項8】
前記シールド(1)のうち、少なくとも前記長手円周保持要素(25)を備えた部分は、型打ち曲げ部分(9)であることを特徴とする、請求項1からのいずれか一項に記載のシールド(1)。
【請求項9】
少なくとも2つの隣接する遮蔽壁(13)は、基本的に平面であり、少なくとも1つの曲部(33)によって互いに接続され、前記曲部(33)の長手方向(L)は、基本的に前記挿入方向(I)に平行に延び、前記少なくとも1つの長手円周保持要素(25)は、前記曲部(33)を通って延びていることを特徴とする、請求項1からのいずれか一項に記載のシールド(1)。
【請求項10】
前記少なくとも1つの長手円周保持要素(25)は、前記曲部(33)の領域内に少なくとも1つの切抜き(51)を備えることを特徴とする、請求項に記載のシールド(1)。
【請求項11】
前記少なくとも1つの切抜き(51)は、少なくとも前記長手円周保持要素(25)の前記幅(49)にわたって延びていることを特徴とする、請求項10に記載のシールド(1)。
【請求項12】
前記シールド(1)は、全体的に矩形または台形の断面形状を有していることを特徴とする、請求項1から11のいずれか一項に記載のシールド(1)。
【請求項13】
請求項1から12のいずれか一項に記載の信号コネクタ(3)のためのシールド(1)を製造する方法であって、平坦なシート材料(11)が、型打ち曲げによって成形され、
前記シート材料(11)が長手要素(57)に直交して曲げられる前に、前記平坦なシート材料(11)内に前記長手要素(57)が形成され、
前記シート材料(11)は、前記コネクタ(3)の少なくとも1つの信号コンタクト(7)を遮蔽するための遮蔽壁(13)を形成するように曲げられ、前記長手要素(57)は、前記シールド(1)内に長手円周保持要素(25)を形成する、方法。
【請求項14】
前記シールド(1)の少なくとも2つの隣接する前記遮蔽壁(13)は、曲部(33)によって互いに接続され、
記シールド(1)を形成する前に、前記長手円周保持要素(25)および前記曲部(33)の断面で、前記シート材料(11)内に少なくとも1つの切抜き(51)が形成される、請求項13に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、信号コネクタのためのシールドに関し、シールドは、コネクタの少なくとも1つの信号コンタクトを電磁的に遮蔽するように配置された複数の遮蔽壁を備え、シールドは、挿入方向に沿って相手側コネクタを受け取るためにシールドが開いている前端をさらに備え、少なくとも2つの遮蔽壁は、挿入方向に直交する断面内で少なくとも部分的に互いに平行である。本発明はさらに、本発明によるシールドを製造する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
信号コネクタのためのシールドは、信号コネクタ内で信号コンタクトを電磁的に遮蔽するために使用される。それによってシールドは、電磁場などの外部の影響から信号コンタクトおよび信号線を保護する。
【0003】
信号コネクタのためのシールドは、掛止手段、たとえば孔またはフックを備えることがあり、掛止手段は、ハウジング上の相補形係合手段に係合してハウジング内でシールドを固定することができる。しかし、ハウジング内でシールドを固定するための知られている要素は、事前定義されたハウジングとともに使用するように設計されていることが多い。知られているシールドを異なる種類のハウジングとともに使用しようとした場合、これは通常、ハウジングおよびシールドの両方の設計変更を要する。しかし通常、シールドの設計を変更すると、シールドの電磁特性も変わり、したがってシールド内の信号コンタクトの信号伝送も影響を受けることがあり、信号コネクタ内の信号伝送を適合させるための追加の設計変更も必要になることがある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
したがって、本発明の目的は、シールドを設計し直す必要なく、電磁遮蔽特性に悪影響を与えずに、異なる種類のハウジングとともに使用することができる上述したシールドを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この目的は、上述したシールドの場合、シールドがシールドの円周方向に沿って延びる少なくとも1つの長手円周保持要素を備えることから実現される。
【0006】
長手円周保持要素は、ハウジングと相互作用して、ハウジング内でシールドを保持することができる。この要素が長手方向の形状を有し、少なくとも部分的にシールドの円周に沿って配置されているため、この要素と相互作用する手段をハウジング内に容易に成形することができ、したがってシールド自体を設計し直す必要なく、シールドを異なるハウジングとともに使用することができる。
【0007】
上述した方法の場合、この目的は、平坦なシート材料を型打ち曲げによって成形することによって解決され、シート材料が長手要素に直交して曲げられる前に、平坦なシート材料内に長手要素が形成され、シート材料は、コネクタの少なくとも1つの信号コンタクトを遮蔽するための遮蔽壁を形成するように曲げられ、上記長手要素は、シールド内に長手円周保持要素を形成する。
【0008】
長手円周要素は、シールドの周囲面内にずれを設けることによって容易に形成することができる。言い換えれば、シールドの断面は、長手円周保持要素の領域内でずれることができる。そのようなずれを使用して、ハウジングの保持手段と相互作用することができる。
【0009】
以下、本発明のさらなる改善について説明する。追加の改善は、特定の改善の特定の利点が特有の応用例で必要とされるかどうかに応じて、互いに独立して組み合わせることができる。
【0010】
シールドの第1の有利な実施形態によれば、少なくとも1つの長手円周保持要素は、円周保持溝とすることができる。この溝は、シールドの円周で長手方向にシールドの周囲面内へ延びることができる。言い換えれば、溝は、シールドの断面の減少を形成することができ、断面は、挿入方向に直交して見たものである。それによって、シールド内の溝は、シールドの周囲面に「ウェスト」を形成することができる。代替として、長手円周保持要素は、全体的にリブの形状を有することができ、シールドの周囲面から突出することができる。
【0011】
長手円周保持要素の長手方向、または言い換えれば円周方向は、好ましくは、挿入方向に直交して延びている。
【0012】
別の有利な実施形態によれば、長手円周保持要素は、好ましくは、シールドの円周方向に沿って連続して延びている。特に、この要素は、好ましくは、円周の大部分に延び、それによって好ましくは、遮蔽壁のうちの少なくとも2つ、より好ましくは少なくとも3つにわたって延びる。最も好ましくは、少なくとも1つの長手円周保持要素は、4つの遮蔽壁にわたって延び、それによってシールドの円周全体に延びる。
【0013】
やはり遮蔽特性に悪影響を与えない長手円周保持要素を容易に成形するために、この要素は、好ましくは、遮蔽壁によって形成されている。特に、要素は、遮蔽壁のうちの少なくとも1つと一体形成することができる。
【0014】
特に、溝の場合、長手円周保持要素は、好ましくは、少なくとも1つの制限壁によって制限され、少なくとも1つの制限壁は、少なくとも1つの遮蔽壁と一体形成されている。好ましくは、要素は、少なくとも3つの制限壁を備える。前壁が、挿入方向に直交して延びており、後壁より前端の近くに位置し、後壁は、挿入方向に直交して延び、前端から離れる方向に前壁から隔置される。
【0015】
前壁および後壁は、好ましくは、前壁および/または後壁に直交して延びる底壁を介して接続される。言い換えれば、少なくとも1つの長手円周保持要素は、U字形に似た断面形状を有し、底壁は、U字形の底辺を形成し、前面および後壁は、U字形の脚部を形成する。底壁は、隣接する遮蔽壁よりシールド内に深く位置する。
【0016】
長手円周保持要素が全体的にリブの形状を有する代替の事例では、底壁は、残りの遮蔽壁から突出するリブの頂部を形成することができる。
【0017】
好ましくは、少なくとも1つの長手円周保持要素は、その円周の延長に沿って基本的に均一の深さまたは高さを有している。溝の場合、深さは、挿入方向に平行である長手方向軸の周りの径方向の深さとして測定され、深さは、溝が延びる対応する遮蔽壁の表面に直交して測定される。リブの場合、高さは、径方向の高さとしてそれぞれ測定される。
【0018】
長手円周保持要素は、好ましくは、基本的に均一の幅を有し、前記幅は、挿入方向に平行に延びている。最も好ましくは、幅は、円周全体に沿って均一である。幅を均一にすることで、長手円周保持要素の異なる面に対して、ハウジング内の類似の相補形保持手段の使用を可能にすることができる。
【0019】
ハウジング内でのシールドの保持を改善するために、長手円周保持要素は、好ましくは、全体的に矩形の断面を有し、断面は、円周方向に直交して延びている。矩形の断面により、要素は、ハウジングの対応する相補形保持手段と容易にフォームフィットまたはポジティブフィットすることができる。好ましくは、断面は、挿入方向に直交して配置された辺を備える。
【0020】
矩形の断面は、上述した制限壁によって容易に実現することができ、前壁および後壁は、挿入方向に直交して配置され、底壁は、前壁と後壁との間に延びる。
【0021】
十分な機械的安定性を提供すると同時に、有効な電磁シールドを提供するために、長手円周保持要素の大部分の材料厚さは、好ましくは、隣接する部分の遮蔽壁の材料厚さに類似している。特に、要素が制限壁によって形成される場合、制限壁は、好ましくは、隣接する遮蔽壁と類似の壁厚さを有する。
【0022】
シールドのうち、少なくとも長手円周保持要素を備えた部分は、好ましくは、型打ち曲げ部分として形成される。型打ち曲げは、シールドを形成するための迅速でコスト効率的な方法である。好ましくは、シールドの大部分は、型打ち曲げ部分として形成される。最も好ましくは、すべての遮蔽壁および少なくとも1つの長手円周保持要素が、シート材料から一体形成される。
【0023】
電磁遮蔽特性に悪影響を与えずに、シールドを製造することを容易にするために、少なくとも2つの隣接する遮蔽壁は、好ましくは、基本的に平面であり、少なくとも1つの曲部によって互いに接続され、曲部の長手方向は、基本的に挿入方向に平行に延び、少なくとも1つの長手円周保持要素は、溝として形成され、曲部を通って延びている。言い換えれば、シールドの曲げ部分でも、溝は周囲面を通って延びる。
【0024】
製造をさらに容易にするために、少なくとも1つの長手円周保持要素は、好ましくは、曲部の領域内に少なくとも1つの切抜きを備える。切抜きは、シールドの材料を通って延びる貫通孔を形成することができる。切抜きにより、シールドは、長手円周保持要素に干渉することなく、曲げによって容易に形成することができる。少なくとも1つの切抜きは、好ましくは、少なくとも円周保持溝の幅にわたって延びている。少なくとも1つの切抜きは、挿入方向に平行に延びるスリットとして形成することができる。
【0025】
小型サイズのシールドを提供するために、シールドは、好ましくは、全体的に矩形または台形の断面形状を有している。そのような形状は、ハウジング内のシールドの高密度の包装を可能にする。シールドをハウジングに誤った向きで挿入するのを防止するために配向機構が必要とされる場合、台形の断面形状が好ましい。矩形の断面形状の場合、シールドは、追加の配向機構を備えることができる。そのような追加の配向機構は、たとえば、シールドの円周から突出する突起とすることができ、突起は、ハウジング内の対応する開口に挿入することができる。
【0026】
本発明によるシールドを製造する方法は、前記シールドを形成する前に、まず長手要素およびシールドを形成するためにシート材料が曲げられる位置の断面で、シート材料内に切抜きを形成することによって、さらに改善することができる。
【0027】
以下、本発明およびその改善形態について、例示的な実施形態を使用し、図面を参照して、より詳細に説明する。上述したように、実施形態に示す様々な機構は、特有の応用例で互いに独立して使用することができる。
【0028】
以下の図で、同じ機能および/または同じ構造を有する要素は、同じ参照符号によって参照される。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図1】本発明によるシールドの第1の実施形態を有する信号コネクタの斜視図である。
図2】相手側コネクタが挿入されている、図1に示すコネクタの断面図である。
図3】第2の実施形態によるシールドの一部の斜視図である。
図4図3のシールドを形成する前のシート材料の斜視図である。
図5】溝の領域内のシールドの電磁場分布のシミュレーションを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、信号コネクタ3のためのシールド1の第1の実施形態について、図1および図2に関して説明する。
【0031】
シールド1は、信号コネクタ3の一部である。シールド1は、基本的に、相手側コネクタ5をコネクタ3と対合させることができる挿入方向Iに平行に延びる長手方向軸Lに沿って延びる。
【0032】
信号コネクタ3は、少なくとも1つの信号コンタクト7を備える。これらの図に示す実施形態は、単なる例として、2つの信号コンタクト7とともに示されている。シールド1は、基本的に、信号コンタクト7を円周方向に取り囲む。円周方向Cは、長手方向軸Lの周りに延びる。
【0033】
シールド1は、好ましくは、型打ち曲げ部分9であり、型打ち曲げによって導電性シート材料11から形成される。シート材料11は、好ましくは金属である。
【0034】
シールド1は、基本的に長手方向軸Lに平行に延びる遮蔽壁13によって形成される。遮蔽壁13のうちの少なくとも2つは、互いに平行に配置される。図1および図2に示す実施形態では、4つの遮蔽壁13が、全体的に矩形の断面を有するシールド1を形成している。遮蔽壁13は、好ましくは、シート材料11から互いに一体形成される。
【0035】
シールド1は、挿入方向Iに沿って相手側コネクタ5を受け取るためにシールド1が開いている前端15を有する。それによって、シールド1には、相手側コネクタ5のためのレセプタクル17が開いている。長手方向軸Lに沿って前端15とは反対に位置するシールド1の後端19では、シールド1は、圧着バレル21を備えることができ、圧着バレル21は、ケーブル23の周り、特にケーブル23の遮蔽層の周り、またはケーブル23の絶縁層の周りに圧着することができる。
【0036】
シールド1は、長手円周保持要素25を備える。以下、簡潔にするために、長手円周保持要素25を「要素25」と呼ぶ。
【0037】
図1および図2に示す好ましい実施形態では、要素25は、溝27として形成される。代替として、要素25は、長手方向軸Lに直交して延びる径方向Rに遮蔽壁13から突出するリブとして成形することもできる。しかし、要素25として溝27を有するシールド1は、より小さい空間を必要とし、したがって溝27の代わりにリブを備えたシールド1と比較すると、所与の体積のハウジング内により多くのシールド1を組み合わせることができるため、溝27が好ましい。
【0038】
溝27は、径方向Rに沿ってシールド1内へ延びる。言い換えれば、溝27は、シールド1の周囲面29内へ延びる。
【0039】
シールド1がハウジング内に配置されたとき、掛止ノーズなどのハウジングの相補形保持要素を溝27に挿入し、それによってシールド1がハウジングから出ることを防止することができる。
【0040】
好ましくは、溝は、シールド1の円周方向Cに沿って延び、それによって長手方向軸Lに直交する。溝27は、シールド1の円周全体に沿って延びることができ、それによって4つすべての遮蔽壁13を通って延びることができる。
【0041】
溝27は、挿入方向Iに対してレセプタクル17の後ろに配置される。溝27は、レセプタクル17の後端を画定することができ、後端は、シールド1の前端15とは反対に位置する。
【0042】
溝27はまた、矩形の断面の隅部31の領域内にも延び、前記隅部31は、シート材料11の曲部33によって形成される。
【0043】
円周方向Cに見た溝27の断面形状(図2で最もよく見える)は、基本的に矩形である。溝27は、遮蔽壁13と一体形成される。好ましくは、溝27は、遮蔽壁13と一体形成された制限壁35から構成される。制限壁35は、好ましくは、壁厚さ37を有し、壁厚さ37は、溝27に隣接する遮蔽壁13の壁厚さ39に類似している。
【0044】
特に溝27の断面が矩形である場合、溝27は、前壁41、底壁43、および後壁45という3つの制限壁35によって形成される。
【0045】
前壁41および後壁45は、長手方向軸Lに直交して延びる。前壁41および後壁45は、前壁41および後壁45に直交して延びる底壁43によって互いに接続される。言い換えれば、溝27は、全体的にU字形を有し、Uの底辺は、底壁43によって形成され、隣接する遮蔽壁13よりシールド1内へ深く配置される。
【0046】
溝27の断面は、好ましくは、隅部31を除いて、シールド1の円周全体に沿って均一である。言い換えれば、各遮蔽壁13において、溝27は、好ましくは、均一の深さ47および均一の幅49を有する。深さ47は、径方向Rに沿って測定され、幅49は、長手方向軸Lに沿って測定される。
【0047】
隅部31または曲部33と溝27との交差部では、切抜き51が、シールド1の材料11を通って延びる。言い換えれば、切抜き51は、溝27と交差する。切抜き51は、径方向Rに沿って材料11を通って延びる貫通孔として形成される。各切抜き51は、長手方向軸Lに平行に延びる基本的に長手方向の形状を有する。好ましくは、切抜き51は、少なくとも溝27の幅49にわたって延びる。切抜き51は、特にレセプタクル17を形成するためにシート材料11を閉じる前に材料11に溝27が成形されるとき、シールド1の形成を容易にする。
【0048】
シールド1がハウジング(図示せず)に誤った向きで挿入されるのを防止するために、シールド1は、好ましくは、少なくとも1つの配向機構53を備える。図1および図2に示す実施形態では、配向機構53は、遮蔽壁13のうちの1つから径方向Rに沿って残りの遮蔽壁13から離れる方へ延びる突起55として形成される。突起55は、好ましくは、シールド1の前端15に配置される。シールド1のためのレセプタクルを備えたハウジングは、1つの向きだけでシールド1の挿入を可能にするように突起55を受け取るためのスロットを備えることができる。
【0049】
以下、シールド1の第2の実施形態について、図3に関して説明する。簡潔にするために、図1および図2に関して説明した上述の実施形態に対する違いについてのみ述べる。図3で、レセプタクル17および溝27を備える部分のみが示されている。
【0050】
シールド1の第2の実施形態は、シールド1が長手方向軸Lに直交して全体的に台形の断面を有することから、上述した実施形態とは異なる。それによって、2つの遮蔽壁13は互いに平行であるのに対して、残り2つの遮蔽壁13は互いに傾斜しており、台形の断面を形成している。この台形の断面により、台形の断面自体がシールド1の配向機構53を形成するため、突起55を省略することが可能になる。対応するハウジングは、シールド1のためのレセプタクルを備えるべきであり、前記レセプタクルは、相補形の台形の断面を有するべきである。
【0051】
台形の断面は、好ましくは、溝27を含むシールド1の大部分を通って延びる。言い換えれば、溝の4つの底壁43がともに、長手方向軸Lに直交する断面に台形を形成する。
【0052】
突起55を省略することで、ハウジングの所与の体積内で信号コネクタ3の高密度の包装が可能になる。
【0053】
図4は、図3に示すシールド1を形成することができるシート材料11を示す。シート材料11は、溝27を形成するための機構が既に存在するプロセスステップで示されている。シート材料11内に長手要素57が形成され、長手要素57は、全体的にリブの形状を有し、後に長手方向Lになる方向に直交して延びる。前記長手要素57は、長手方向Lに直交する制限壁35を備え、制限壁35に切抜き51が交差する。長手方向Lに直交する前記方向が、後に円周方向Cになる。切抜き51は、長手要素57をいくつかの部分63に分割する。
【0054】
切抜き51は、シールド1を形成するために材料11が曲げられる領域内に形成される。したがって、材料11は、矢印59で示す方向に曲げられ、その結果、側縁部61が互いに当接し、レセプタクル17を閉じる。それによって切抜き51は、後に溝27を形成する部分63が互いに向かって動くことを可能にしながら、部分63が互いに接触して材料11の曲げを妨げないようになっている。
【0055】
最後に、図5は、溝27の領域内のシールド1の電界分布を示す。それによって、溝27の底壁43の断面図が示されている。底壁43間に切抜き51が延び、それによってシールド1内に開口が形成される。見て取れるように、矢印で示す電界は、信号コンタクト7の領域内では大きいが、曲部33の領域内では小さい。この電界分布により、溝27の領域内の材料11の切抜き51は、シールド1の遮蔽特性に悪影響を与えない。言い換えれば、シールド1内に切抜き51が存在する場合でも、十分な電磁シールドを実現することができる。
【符号の説明】
【0056】
1 シールド
3 信号コネクタ
5 相手側コネクタ
7 信号コンタクト
9 型打ち曲げ部分
11 シート材料
13 遮蔽壁
15 前端
17 レセプタクル
19 後端
21 圧着バレル
23 ケーブル
25 長手円周保持要素
27 溝
29 周囲面
31 隅部
33 曲部
35 制限壁
37 壁厚さ
39 遮蔽壁の壁厚さ
41 前壁
43 底壁
45 後壁
47 深さ
49 幅
51 切抜き
53 配向機構
55 突起
57 長手要素
59 矢印
61 側縁部
63 部分
C 円周方向
I 挿入方向
L 長手方向
R 径方向
図1
図2
図3
図4
図5