(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-02-25
(45)【発行日】2025-03-05
(54)【発明の名称】液体噴射ヘッド、及び液体噴射装置
(51)【国際特許分類】
B41J 2/155 20060101AFI20250226BHJP
B41J 2/14 20060101ALI20250226BHJP
【FI】
B41J2/155
B41J2/14
(21)【出願番号】P 2020177407
(22)【出願日】2020-10-22
【審査請求日】2023-08-03
(73)【特許権者】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100179475
【氏名又は名称】仲井 智至
(74)【代理人】
【識別番号】100216253
【氏名又は名称】松岡 宏紀
(74)【代理人】
【識別番号】100225901
【氏名又は名称】今村 真之
(72)【発明者】
【氏名】奥井 宏明
【審査官】早川 貴之
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-177675(JP,A)
【文献】特開2020-157775(JP,A)
【文献】特開2019-064051(JP,A)
【文献】特開2016-034740(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2006-0093778(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B05C 5/00-5/04
B41J 2/01-2/215
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
媒体へ向けて液体を第1方向へ噴射する複数のヘッドチップを備える液体噴射ヘッドであって、
媒体の幅方向を第2方向とし、前記第1方向及び前記第2方向に直交する方向を第3方向とし、前記第1方向に垂直な方向且つ前記第2方向及び前記第3方向に交差する方向を第4方向とし、
前記複数のヘッドチップは、
同じ種類の液体を噴射する複数の第1ノズルが前記第4方向に並んで構成される第1ノズル列を有する複数の第1ヘッドチップが前記第2方向に並んで配置された第1チップ群と、
同じ種類の液体を噴射する複数の第2ノズルが前記第4方向に並んで構成される第2ノズル列を有する複数の第2ヘッドチップが前記第2方向に並んで配置された第2チップ群と、を有し、
前記第1チップ群は、前記第2チップ群に対して前記第3方向に並んで配置され、
前記第1チップ群と前記第2チップ群は、前記第3方向に見てほぼ重な
る、
液体噴射ヘッド。
【請求項2】
媒体へ向けて液体を第1方向へ噴射する複数のヘッドチップを備える液体噴射ヘッドであって、
媒体の幅方向を第2方向とし、前記第1方向及び前記第2方向に直交する方向を第3方向とし、前記第1方向に垂直な方向且つ前記第2方向及び前記第3方向に交差する方向を第4方向とし、
前記複数のヘッドチップは、
前記第4方向に複数の第1ノズルが並んで構成される第1ノズル列を有する複数の第1ヘッドチップが前記第2方向に並んで配置された第1チップ群と、
前記第4方向に複数の第2ノズルが並んで構成される第2ノズル列を有する複数の第2ヘッドチップが前記第2方向に並んで配置された第2チップ群と、を有し、
前記複数の第1ヘッドチップのうち隣り合う前記第1ヘッドチップの一方の前記第1ノズル列は、前記第2方向において、前記第3方向に見て前記隣り合う前記第1ヘッドチップの他方の前記第1ノズル列に対して重なる第1重複領域と、前記第3方向に見て前記他方の前記第1ノズル列に対して重ならない第1非重複領域と、を含み、
前記複数の第2ヘッドチップのうち隣り合う前記第2ヘッドチップの一方の前記第2ノズル列は、前記第2方向において、前記第3方向に見て前記隣り合う前記第2ヘッドチップの他方の前記第2ノズル列に対して重なる第2重複領域と、前記第3方向に見て前記他方の前記第2ノズル列に対して重ならない第2非重複領域と、を含み、
前記第
1重複領域は、前記第1
非重複領域よりも小さく、
前記第
2重複領域は、前記第2
非重複領域よりも小さく、
前記第1チップ群は、前記第2チップ群に対して前記第3方向に並んで配置され、
前記第1チップ群と前記第2チップ群は、前記第3方向に見てほぼ重なる、
液体噴射ヘッド。
【請求項3】
媒体へ向けて液体を第1方向へ噴射する複数のヘッドチップを備える液体噴射ヘッドであって、
媒体の幅方向を第2方向とし、前記第1方向及び前記第2方向に直交する方向を第3方向とし、前記第1方向に垂直な方向且つ前記第2方向及び前記第3方向に交差する方向を第4方向とし、
前記複数のヘッドチップは、
前記第4方向に複数の第1ノズルが並んで構成される第1ノズル列を有する複数の第1ヘッドチップが前記第2方向に並んで配置された第1チップ群と、
前記第4方向に複数の第2ノズルが並んで構成される第2ノズル列を有する複数の第2ヘッドチップが前記第2方向に並んで配置された第2チップ群と、を有し、
前記第1チップ群は、前記第2チップ群に対して前記第3方向に並んで配置され、
前記第1チップ群と前記第2チップ群は、前記第3方向に見てほぼ重なり、
前記第1チップ群及び前記第2チップ群は、前記複数の第1ヘッドチップ及び前記複数の第2ヘッドチップのうち隣り合う第1ヘッドチップ及び第2ヘッドチップを含む複数の組を有し、
前記複数の組のうち同じ組において、前記第1ヘッドチップは、前記第2ヘッドチップの隣に位置し、且つ、前記第2ヘッドチップよりも前記第3方向に位置し、
前記複数の組は、隣り合う第1組及び第2組を含み、
前記第1方向に垂直な方向で前記第4方向に直交する方向を第5方向とし、
前記第1組に含まれる第1ヘッドチップと第2ヘッドチップとの前記第5方向の距離は、前記第1組に含まれる複数のヘッドチップのうち前記第2組の最も近くに配置されたヘッドチップと前記第2組に含まれる複数のヘッドチップのうち前記第1組の最も近くに配置されたヘッドチップとの前記第5方向の距離よりも短い、
液体噴射ヘッド。
【請求項4】
前記第1チップ群及び前記第2チップ群は、前記第2方向に見て互いの一部が重複する、
請求項1から3のいずれか1項に記載の液体噴射ヘッド。
【請求項5】
前記複数の第2ヘッドチップのうち1つの第2ヘッドチップαは、前記複数の第1ヘッドチップのうち1つの第1ヘッドチップαの隣に位置し、且つ、前記第1ヘッドチップαよりも第2方向に位置し、
前記第2ヘッドチップαは、前記複数の第1ヘッドチップのうち前記第1ヘッドチップαとは異なる1つの第1ヘッドチップβの隣に位置し、且つ、前記第1ヘッドチップβよりも前記第2方向とは反対方向に位置する、
請求項4に記載の液体噴射ヘッド。
【請求項6】
前記第1チップ群及び前記第2チップ群は、前記複数の第1ヘッドチップ及び前記複数の第2ヘッドチップのうち隣り合う第1ヘッドチップ及び第2ヘッドチップを含む複数の組を有し、
前記複数の組のうち同じ組において、前記第1ヘッドチップは、前記第2ヘッドチップの隣に位置し、且つ、前記第2ヘッドチップよりも前記第3方向に位置し、
前記第1ノズル列のうち互いに隣り合う第1ノズルの中心同士の前記第2方向の間隔は、第1長さであり、
前記第2ノズル列のうち互いに隣り合う第2ノズルの中心同士の前記第2方向の間隔は、前記第1長さであり、
前記複数の組のうち同じ組に含まれる前記第1ノズル列と前記第2ノズル列とにおいて、
前記第1ノズル列のうち最も前記第4方向に位置する第1ノズルの中心と、前記第2ノズル列のうち最も前記第4方向に位置する第2ノズルの中心との前記第2方向の第1間隔は、前記第1長さの半分である第2長さ以下であり、
前記第1ノズル列のうち最も前記第4方向とは反対方向に位置する第1ノズルの中心と、前記第2ノズル列のうち最も前記第4方向とは反対方向に位置する第2ノズルの中心との前記第2方向の第2間隔は、前記第2長さ以下である、
請求項1から5のいずれか1項に記載の液体噴射ヘッド。
【請求項7】
前記第1間隔及び前記第2間隔は、前記第2長さである、
請求項6に記載の液体噴射ヘッド。
【請求項8】
前記第1間隔及び前記第2間隔は、0である、
請求項6に記載の液体噴射ヘッド。
【請求項9】
前記複数の組は、隣り合う第1組及び第2組を含み、
前記第1方向に垂直な方向で前記第4方向に直交する方向を第5方向とし、
前記第1組に含まれる第1ヘッドチップと第2ヘッドチップとの前記第5方向の距離は、前記第1組に含まれる複数のヘッドチップのうち前記第2組の最も近くに配置されたヘッドチップと前記第2組に含まれる複数のヘッドチップのうち前記第1組の最も近くに配置されたヘッドチップとの前記第5方向の距離よりも短い、
請求項6から8のいずれか1項に記載の液体噴射ヘッド。
【請求項10】
前記第4方向は、前記第2方向と前記第3方向との間の方向であり、
前記複数の第1ヘッドチップのうち隣り合う2つの第1ヘッドチップに含まれる前記第2方向に配置された一方の第1ヘッドチップは、他方の第1ヘッドチップよりも前記第3方向にずれて配置され、
前記複数の第2ヘッドチップのうち隣り合う2つの第2ヘッドチップに含まれる前記第2方向に配置された一方の第2ヘッドチップは、他方の第2ヘッドチップよりも前記第3方向にずれて配置される、
請求項1から9のいずれか1項に記載の液体噴射ヘッド。
【請求項11】
前記複数の第1ヘッドチップのうち隣り合う前記第1ヘッドチップは、前記第3方向に見て互いの一部が重なり、
前記複数の第2ヘッドチップのうち隣り合う前記第2ヘッドチップは、前記第3方向に見て互いの一部が重なる、
ことを特徴とする請求項1から10のいずれか1項に記載の液体噴射ヘッド。
【請求項12】
前記第1方向に見て、前記第1チップ群の前記複数の第1ヘッドチップの各端部は、第1仮想直線に重なるように並んで配置され、
前記第1方向に見て、前記第2チップ群の前記複数の第2ヘッドチップの各端部は、第2仮想直線に重なるように並んで配置され、
前記第1仮想直線は、前記第2仮想直線に対して前記第3方向に位置する、
ことを特徴とする請求項1から11のいずれか1項に記載の液体噴射ヘッド。
【請求項13】
前記複数の第1ヘッドチップのそれぞれは、前記複数の第2ヘッドチップの全てに対して前記第3方向に位置している、
ことを特徴とする請求項1から12のいずれか1項に記載の液体噴射ヘッド。
【請求項14】
前記第1チップ群及び前記第2チップ群は、前記複数の第1ヘッドチップ及び前記複数の第2ヘッドチップのうち隣り合う第1ヘッドチップ及び第2ヘッドチップを含む複数の組を有し、
前記複数の組のうち同じ組において、前記第1ヘッドチップは、前記第2ヘッドチップの隣に位置し、且つ、前記第2ヘッドチップよりも前記第3方向に位置し、
前記複数の組は、隣り合う第1組及び第2組を含み、
前記第3方向に見て、前記第1組の前記第1及び第2ヘッドチップと前記第2組の前記第1及び第2ヘッドチップとは部分的に重なっている、
ことを特徴とする請求項1から13のいずれか1項に記載の液体噴射ヘッド。
【請求項15】
媒体へ向けて液体を第1方向へ噴射する複数のヘッドチップを備える液体噴射ヘッドであって、
媒体の幅方向を第2方向とし、前記第1方向及び前記第2方向に直交する方向を第3方向とし、前記第1方向に垂直な方向且つ前記第2方向及び前記第3方向に交差する方向を第4方向とし、
前記複数のヘッドチップは、
前記第4方向に複数の第1ノズルが並んで構成される第1ノズル列を複数有する複数の第1ヘッドチップが前記第2方向に並んで配置された第1チップ群と、
前記第4方向に複数の第2ノズルが並んで構成される第2ノズル列を複数有する複数の第2ヘッドチップが前記第2方向に並んで配置された第2チップ群と、を有し、
前記第1チップ群は、前記第2チップ群に対して前記第3方向に並んで配置され、
前記第1チップ群と前記第2チップ群は、前記第3方向に見てほぼ重なり、
同じ前記第1ヘッドチップが有する前記複数の第1ノズル列は、前記第3方向に見てほぼ重なり、
同じ前記第2ヘッドチップが有する前記複数の第2ノズル列は、前記第3方向に見てほぼ重なる、
液体噴射ヘッド。
【請求項16】
前記第1ヘッドチップは、前記第1ノズル列を構成する前記複数の第1ノズルに連通する第1共通液室を有し、
前記第2ヘッドチップは、前記第2ノズル列を構成する前記複数の第2ノズルに連通する第2共通液室を有する、
請求項1から
15の何れかの液体噴射ヘッド。
【請求項17】
請求項1から
16のいずれか1項に記載の液体噴射ヘッドと、
前記媒体を搬送する搬送部と、
を備える液体噴射装置。
【請求項18】
請求項1から
16のいずれか1項に記載の複数の液体噴射ヘッドが前記第2方向に並んで設けられたラインヘッドを備える、
液体噴射装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体噴射ヘッド、及び液体噴射装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、インクジェット方式のプリンターに代表されるように、インク等の液体を噴射する液体噴射ヘッドを有する液体噴射装置が知られている。例えば、特許文献1には、印刷用紙等の媒体の搬送方向に対して斜めに配置されたノズル列を有する複数のヘッドチップが媒体の幅方向に並べて固定板に設けられた液体噴射ヘッドであり、媒体の幅方向に複数並べられることでラインヘッドを構成する液体噴射ヘッドが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、高解像度化又は複数色対応のために、上述した従来の液体噴射ヘッドを備える複数のラインヘッドを搬送方向に対して並べる場合、複数のラインヘッド間の位置ずれにより、印刷品質の低下が生じる虞があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
以上の問題を解決するために、本発明の好適な態様に係る液体噴射ヘッドの一態様は、媒体へ向けて液体を第1方向へ噴射する複数のヘッドチップを備える液体噴射ヘッドであって、媒体の幅方向を第2方向とし、前記第1方向及び前記第2方向に直交する方向を第3方向とし、前記第1方向に垂直な方向且つ前記第2方向及び前記第3方向に交差する方向を第4方向とし、前記複数のヘッドチップは、前記第4方向に複数の第1ノズルが並んで構成される第1ノズル列を有する複数の第1ヘッドチップが前記第2方向に並んで配置された第1チップ群と、前記第4方向に複数の第2ノズルが並んで構成される第2ノズル列を有する複数の第2ヘッドチップが前記第2方向に並んで配置された第2チップ群と、を有し、前記第1チップ群は、前記第2チップ群に対して前記第3方向に並んで配置される。
【0006】
以上の問題を解決するために、本発明の好適な態様に係る液体噴射装置の一態様は、上述に記載の液体噴射ヘッドと、前記媒体を搬送する搬送部と、を備える。
【0007】
以上の問題を解決するために、本発明の好適な態様に係る液体噴射装置の一態様は、上述に記載の複数の液体噴射ヘッドが前記第2方向に並んで設けられたラインヘッドを備える。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】第1実施形態に係る液体噴射装置100の一例を示す説明図。
【
図3】複数の液体噴射ヘッド30をZ1方向に見た図。
【
図7】複数のヘッドチップ38の配置関係を示す説明図。
【
図8】複数のヘッドチップ38の重複度合いを示す説明図。
【
図9】参考例の液体噴射ヘッド30aをZ1方向に見た図。
【
図10】第2実施形態における液体噴射ヘッド30bをZ1方向に見た図。
【
図11】第1変形例における液体噴射ヘッド30cをZ1方向に見た図。
【
図12】第2変形例における液体噴射ヘッド30dをZ1方向に見た図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明を実施するための形態について図面を参照して説明する。ただし、各図において、各部の寸法及び縮尺は、実際のものと適宜に異ならせてある。また、以下に述べる実施形態は、本発明の好適な具体例であるから、技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の範囲は、以下の説明において特に本発明を限定する旨の記載がない限り、これらの形態に限られるものではない。
【0010】
1.第1実施形態
まず、第1実施形態に係る液体噴射装置100を説明する。
【0011】
1.1.液体噴射装置100の概要
図1は、第1実施形態に係る液体噴射装置100の一例を示す説明図である。本実施形態に係る液体噴射装置100は、液体の一例であるインクを液滴として媒体PPに噴射するインクジェット方式の印刷装置である。本実施形態の液体噴射装置100は、インクを噴射する複数のノズルNが媒体PPの幅方向での全範囲にわたり分布する、いわゆるライン方式の印刷装置である。媒体PPは、例えば印刷用紙であるが、樹脂フィルム又は布帛等の任意の印刷対象が媒体PPとして利用され得る。
【0012】
図1に例示される通り、液体噴射装置100は、インクを貯留する液体容器93を備える。液体容器93としては、例えば、液体噴射装置100に着脱可能なカートリッジ、可撓性のフィルムで形成された袋状のインクパック、又は、インクを補充可能なインクタンク等を採用することができる。液体容器93には、色彩が相違する複数種のインクが貯留される。
【0013】
液体容器93は、図示しないが、第1液体容器と第2液体容器とを含む。第1液体容器には、第1インクが貯留される。第2液体容器には、第1インクと異なる種類の第2インクが貯留される。例えば、第1インク及び第2インクは、互いに異なる色のインクである。なお、第1インクと第2インクとが同一の色のインクであってもよい。
【0014】
図1に例示される通り、液体噴射装置100は、複数の液体噴射ヘッド30を有するヘッドモジュール3と、制御装置90と、搬送機構92と循環機構94と、を備える。制御装置90は、例えば、CPU又はFPGA等の処理回路と、半導体メモリー等の記憶回路とを含み、液体噴射装置100の各要素を制御する。ここで、CPUとは、Central Processing Unitの略称であり、FPGAとは、Field Programmable Gate Arrayの略称である。
【0015】
搬送機構92は、制御装置90による制御のもとで、媒体PPをY1方向に搬送する。なお、以下では、Y1方向と、Y1方向とは反対方向であるY2方向とを、Y軸方向と総称する。
【0016】
ヘッドモジュール3は、制御装置90による制御のもと、液体容器93から供給されるインクを、Z2方向に噴射する。Z2方向は、Y1方向に直交する方向である。以下では、Z2方向と、Z2方向とは反対の方向であるZ1方向とを、Z軸方向と総称する場合がある。
図2を用いて、ヘッドモジュール3を説明する。
【0017】
1.2.ヘッドモジュール3
図2は、ヘッドモジュール3の斜視図である。ヘッドモジュール3は、複数の液体噴射ヘッド30と、複数の液体噴射ヘッド30を保持するヘッド固定基板13とを具備する。複数の液体噴射ヘッド30は、搬送方向であるY1方向に直交する方向であるX1方向及びX2方向に並んで配置されてヘッド固定基板13に固定されている。X2方向は、X1方向とは反対方向である。以下では、X1方向と、X2方向とを、X軸方向と総称する場合がある。ヘッドモジュール3は、X軸方向における媒体PPの全範囲にわたり複数のノズルNが分布するように配置される複数の液体噴射ヘッド30を有するラインヘッドである。つまり、複数の液体噴射ヘッド30は、X軸方向に長尺なラインヘッドを構成する。複数の液体噴射ヘッド30からのインクの噴射が搬送機構92による媒体PPの搬送に並行して行われることにより、媒体PPの表面にインクによる画像が形成される。なお、ヘッドモジュール3は、X軸方向における媒体PPの全範囲にわたり複数のノズルNが分布するように配置される単体の液体噴射ヘッド30のみで構成されたX軸の延びる方向に長尺なラインヘッドであってもよい。ヘッド固定基板13は、液体噴射ヘッド30を取り付けるための複数の取付孔15を有する。液体噴射ヘッド30は、取付孔15に挿通された状態でヘッド固定基板13に支持される。
【0018】
説明を
図1に戻す。搬送機構92は、媒体PPをヘッドモジュール3に対して、Y軸方向に搬送する。
図1に示す例では、液体容器93が循環機構94を介してヘッドモジュール3に接続される。循環機構94は、複数の液体噴射ヘッド30の夫々にインクを供給するとともに、複数の液体噴射ヘッド30の夫々から排出されるインクを液体噴射ヘッド30への再供給のために回収する機構である。循環機構94は、例えば、インクを貯留するサブタンクと、サブタンクから液体噴射ヘッド30にインクを供給するための流路と、液体噴射ヘッド30からインクをサブタンクに回収するための流路と、インクを適宜に流動させるためのポンプと、を有する。循環機構94の動作により、インクの粘度上昇を抑えたり、インク内の気泡の滞留を低減したりすることができる。
【0019】
図1に例示される通り、液体噴射ヘッド30には、制御装置90から、液体噴射ヘッド30を駆動するための駆動信号Comと、液体噴射ヘッド30を制御するための制御信号SIと、が供給される。そして、液体噴射ヘッド30は、制御信号SIによる制御のもとで駆動信号Comにより駆動され、液体噴射ヘッド30に設けられた複数のノズルNの一部又は全部から、Z2方向にインクを噴射させる。なお、ノズルNについては、
図5及び
図6において後述する。
【0020】
図3は、複数の液体噴射ヘッド30をZ1方向に見た図である。複数の液体噴射ヘッド30の夫々は、複数のヘッドチップ38と、固定板39とを有する。第1実施形態では、1つの液体噴射ヘッド30は、6つのヘッドチップ38を有する。以下の記載では、夫々のヘッドチップ38を区別する場合には、ヘッドチップ38_1、38_2、38_3、38_4、38_5、及び、38_6と記載し、ヘッドチップ38を区別しない場合には、ヘッドチップ38と記載する。
【0021】
固定板39は、複数のヘッドチップ38の夫々を、
図4に示すホルダー37に対して固定するための板部材である。固定板39については、更なる詳細を後述する。
【0022】
複数のヘッドチップ38の夫々は、V2方向に延在するように配置される。V2方向は、Z軸方向に垂直であって、X軸方向及びY軸方向に交差する方向であり、X1方向とY2方向との間の方向である。V2方向の反対方向をV1方向と称する。更に、V1方向とV2方向とを、V軸方向と総称する。また、Z軸方向及びV軸方向に垂直な方向を、W1方向とW2方向と称する。W1方向は、X1方向とY1方向との間の方向であり、W2方向は、X2方向とY2方向との間の方向である。W1方向とW2方向とを、W軸方向と総称する。
なお、V2方向は、「第4方向」の一例であり、W1方向は、「第5方向」の一例である。
【0023】
複数のヘッドチップ38の夫々は、ノズル列Lnを有する。ノズル列Lnは、V2方向にM個のノズルNが並んで構成される。Mは2以上の整数である。例えば、1つのヘッドチップ38が有するノズルNは、X軸方向において、600dpiを実現する個数配置される。説明を簡略化するため、1つのヘッドチップ38によって実現される解像度を「単体解像度」と称する。
【0024】
1.3.液体噴射ヘッド30
図4は、液体噴射ヘッド30の分解斜視図である。
図4に示すように、液体噴射ヘッド30は、筐体31と、カバー基板32と、集合基板33と、流路構造体34と、配線基板35と、ホルダー37と、固定板39とを有する。更に、液体噴射ヘッド30は、
図3に例示したようにヘッドチップ38_1、38_2、38_3、38_4、38_5、及び、38_6を有する。
【0025】
流路構造体34は、流路プレートSu1と、流路プレートSu2と、流路プレートSu3と、接続管341i1と、接続管341i2と、接続管341o1と、接続管341o2と、コネクター用孔343とを有する。
【0026】
ホルダー37は、流路部材Du1と、流路部材Du2と、接続管373i1と、接続管373i2と、接続管373o_1と、接続管373o_2と、接続管373o_3と、接続管373o_4と、接続管373o_5と、接続管373o_6と、を有する。以下の記載において、接続管373i1と、接続管373i2と、接続管373o_1と、接続管373o_2と、接続管373o_3と、接続管373o_4と、接続管373o_5と、接続管373o_6とを、接続管373と総称する。更に、ホルダー37は、Z軸方向に貫通する6つの開口部371を有する。
【0027】
筐体31は、流路構造体34と、配線基板35と、ホルダー37と、固定板39とを支持する。更に、筐体31は、供給用孔311i1と、供給用孔311i2と、排出用孔312o1と、排出用孔312o2と、集合基板用孔313とを有する。供給用孔311i1には、接続管341i1が挿通され、嵌め合わされる。供給用孔311i2には、接続管341i2が挿通され、嵌め合わされる。排出用孔312o1には、接続管341o1が挿通され、嵌め合わされる。排出用孔312o2には、接続管341o2が挿通され、嵌め合わされる。集合基板用孔313には、集合基板33が挿通される。筐体31は、金属、又は、樹脂によって構成される。又は、筐体31は、樹脂の表面を金属膜で覆った部材で構成されてもよい。
【0028】
カバー基板32は、筐体31におけるZ1方向に延在する部分との間に、集合基板33を挟持する。集合基板33は、制御装置90から供給された駆動信号Com及び制御信号SIを複数のヘッドチップ38の夫々に伝送するための配線が形成された基板である。集合基板33は、XZ平面に平行に延在する板状の部材である。ここで、「平行」とは、完全に平行である場合の他に、設計上は平行であるが、例えば液体噴射ヘッド30の製造誤差に起因して発生する誤差を考慮すれば平行であると看做せる場合を含む概念である。
【0029】
流路構造体34は、循環機構94と複数のヘッドチップ38の夫々との間でインクを流すための流路が内部に設けられる構造体である。流路構造体34は、筐体31と配線基板35との間に配置される。流路構造体34に含まれる流路プレートSu1、流路プレートSu2、及び、流路プレートSu3は、この順でZ1方向に積層される。流路プレートSu1、流路プレートSu2、及び、流路プレートSu3は、接着剤等により互いに接合される。流路プレートSu1、流路プレートSu2、及び、流路プレートSu3は、例えば、樹脂の射出成形により形成される。コネクター用孔343には、配線基板35が有するコネクター355が挿通される。
【0030】
接続管341i1は、第1液体容器から供給された第1インクを、ホルダー37内へ導入させる。接続管341i2は、第2液体容器から供給された第2インクを、ホルダー37内へ導入させる。接続管341o1は、ホルダー37内から排出された第1インクを液体噴射ヘッド30外に排出させる。接続管341o2は、ホルダー37内から排出された第2インクを液体噴射ヘッド30外に排出させる。
【0031】
配線基板35は、液体噴射ヘッド30を制御装置90に電気的に接続するための実装部品である。配線基板35は、各種の制御信号及び電源電圧をヘッドチップ38に伝送するための配線が形成された基板である。配線基板35は、XY平面に平行に延在する板状の部材であり、流路構造体34とホルダー37との間に配置される。配線基板35は、例えば、リジッド基板である。配線基板35は、コネクター355と、4つの開口部351と、2つの切り欠き部352と、4つの開口部357と、2つの切り欠き部358とを有する。
図4に例示される通り、4つの開口部351及び2つの切り欠き部352の配置は、千鳥状である。コネクター355は、コネクター用孔343を挿通し、集合基板33と電気的に接続される。
【0032】
4つの開口部357の夫々には、接続管373o_1、373o_3、373o_4、及び、373o_6のうちのいずれか1つが挿通される。2つの切り欠き部358には、接続管373o_2、及び、373o_5のうちのいずれか1つが挿通される。
【0033】
ホルダー37は、配線基板35と固定板39との間に配置され、固定板39に対して接着剤により固定される。このため、ホルダー37は、固定板39を補強する。ホルダー37は、循環機構94と複数のヘッドチップ38の夫々との間でインクを流すための流路が内部に設けられる構造体でもある。ホルダー37に含まれる流路部材Du1、及び、流路部材Du2は、この順でZ1方向に積層される。ホルダー37は、例えば樹脂又は金属で構成される。ホルダー37は、Z2方向側の面に複数のヘッドチップ38を収容するための図示しない凹部を有し、当該凹部と固定板39との間に複数のヘッドチップ38を配置するようにして複数のヘッドチップ38を保持する。
【0034】
接続管373i1は、流路構造体34のZ2方向の面に形成された不図示の複数の排出口のうちいずれか1つに連通し、流路構造体34から第1インクをホルダー37内へ導入する。ホルダー37内に導入された第1インクは、ホルダー37内で分配され、ヘッドチップ38_1、38_3、及び38_5に供給される。ヘッドチップ38_1、38_3、及び、38_5から排出された第1インクは、ホルダー37内に導入される。接続管373o_1、373o_3、及び373o_5は、流路構造体34のZ2方向の面に形成された不図示の複数の導入口のうちいずれか1つに連通し、ホルダー37から第1インクを流路構造体34内へ導入する。
【0035】
接続管373i2は、流路構造体34のZ2方向の面に形成された不図示の複数の排出口のうちいずれか1つに連通し、流路構造体34から第2インクをホルダー37内へ導入する。ホルダー37内に導入された第2インクは、ホルダー37内で分配され、ヘッドチップ38_2、38_4、及び、38_6に供給される。ヘッドチップ38_2、38_4、及び、38_6から排出された第2インクは、ホルダー37内に導入される。接続管373o_2、373o_4、及び373o_6は、流路構造体34のZ2方向の面に形成された不図示の複数の導入口のうちいずれか1つに連通し、ホルダー37から第2インクを流路構造体34内へ導入する。
【0036】
6つの開口部371には、当該複数のヘッドチップ38の夫々が有する配線部材388が挿通される。6つの開口部371の夫々の配置は、千鳥状である。
【0037】
1つのヘッドチップ38は、1つのノズルプレート387と、ヘッドチップ38が有するM個のノズルNに対応する圧電素子PZqとを有する。6つのヘッドチップ38の夫々の配置も、配線基板35の開口部351及び切り欠き部352と同様に、千鳥状である。
図5及び
図6を用いて、ヘッドチップ38をより詳細に説明する。
【0038】
1.3.ヘッドチップ38
図5は、ヘッドチップ38_1の分解斜視図である。
図6は、
図5におけるIV-IV線の断面図である。VI-VI線は、導入口3851及び導出口3852を通り、且つ、ノズルNを通る仮想的な線分である。なお、
図6に示す図では、ヘッドチップ38_1の断面に加えて、固定板39の断面も示す。
【0039】
図5及び
図6に例示される通り、ヘッドチップ38_1は、ノズルプレート387と、コンプライアンス基板3861と、連通板382と、圧力室基板383と、振動板384と、ケース385と、配線部材388と、を備える。
【0040】
図5に例示される通り、ノズルプレート387は、V軸方向に長尺で、VW平面に平行に延在する板状の部材であり、M個のノズルNが形成される。ノズルプレート387は、例えば、エッチング等の半導体製造技術を利用してシリコンの単結晶基板を加工することで製造される。但し、ノズルプレート387の製造には公知の材料及び製法が任意に採用され得る。また、ノズルNは、ノズルプレート387に設けられた貫通孔である。本実施形態では、一例として、ノズルプレート387において、M個のノズルNが、V軸方向に延在するノズル列Lnを形成するように設けられた場合を想定する。但し、ノズルプレート387が、M個のノズルNの一部がV軸方向に配設されて成るノズル列Lnを複数有する構成でも構わない。
【0041】
図5及び
図6に例示される通り、ノズルプレート387のZ1方向には、連通板382が設けられる。連通板382は、V軸方向に長尺で、VW平面に略平行に延在する板状の部材であり、インクの流路が形成される。
具体的には、連通板382には、1個の供給液室RA1と、1個の排出液室RA2とが形成される。このうち、供給液室RA1は、後述する供給液室RB1と連通し、V軸方向に延在するように設けられる。また、排出液室RA2は、後述する排出液室RB2と連通し、V軸方向に延在するように設けられる。なお、供給液室RA1は、V軸方向において複数に分割されていてもよく、また、排出液室RA2も同様に、V軸方向において複数に分割されていてもよい。以下、供給液室RA1及び供給液室RB1により形成される共通液室を、「供給側共通液室MN1」と称する。同様に、排出液室RA2及び排出液室RB2により形成される共通液室を、「排出側共通液室MN2」と称する。
【0042】
また、連通板382には、M個のノズルNと1対1に対応するM個のノズル流路RNと、M個のノズルNと1対1に対応するM個の連通流路RR1と、M個のノズルNと1対1に対応するM個の連通流路RR2と、M個のノズルNと1対1に対応するM個の連通流路RK1と、M個のノズルNと1対1に対応するM個の連通流路RK2と、M個のノズルNと1対1に対応するM個の連通流路RX1と、M個のノズルNと1対1に対応するM個の連通流路RX2と、が形成される。なお、連通板382には、M個のノズルNに共通に設けられた1個の連通流路RX1及び連通流路RX2が形成されてもよい。この場合、連通流路RX1は、「供給側共通液室MN1」の一部を構成し、連通流路RX2は、「排出側共通液室MN2」の一部を構成する。また、M個のノズルNのうち一部のノズルNに対して共通に設けられた連通流路RX1が複数形成されていてもよいし、M個のノズルNのうち一部のノズルNに対して共通に設けられた連通流路RX2が複数形成されてもよい。
【0043】
図5に例示される通り、第1実施形態において、連通流路RX1は、供給液室RA1と連通し、供給液室RA1から見てW2方向に位置し、W軸方向に延在するように設けられる。また、連通流路RK1は、連通流路RX1と連通し、連通流路RX1から見てW2方向に位置し、Z軸方向に延在するように設けられる。また、連通流路RR1は、連通流路RK1から見てW2方向に位置し、Z軸方向に延在するように設けられる。
また、連通流路RX2は、排出液室RA2と連通し、排出液室RA2から見てW1方向に位置し、W軸方向に延在するように設けられる。また、連通流路RK2は、連通流路RX2と連通し、連通流路RX2から見てW1方向に位置し、Z軸方向に延在するように設けられる。また、連通流路RR2は、連通流路RK2から見てW1方向に位置し、連通流路RR1から見てW2方向に位置し、Z軸方向に延在するように設けられる。
また、ノズル流路RNは、連通流路RR1及び連通流路RR2を連通し、連通流路RR1から見てW2方向に位置し、連通流路RR2から見てW1方向に位置し、W軸方向に延在するように設けられる。ノズル流路RNは、当該ノズル流路RNに対応するノズルNに連通する。
なお、連通板382は、例えば、半導体製造技術を利用してシリコンの単結晶基板を加工することで製造される。但し、連通板382の製造には公知の材料や製法が任意に採用され得る。
【0044】
図5及び
図6に例示される通り、連通板382のZ1方向には、圧力室基板383が設けられる。圧力室基板383は、V軸方向に長尺で、VW平面に略平行に延在する板状の部材であり、インクの流路が形成される。
具体的には、圧力室基板383には、M個のノズルNと1対1に対応するM個の圧力室CB1と、M個のノズルNと1対1に対応するM個の圧力室CB2と、が形成される。以下では、圧力室CB1及び圧力室CB2を、圧力室CBと総称する。圧力室CB1は、連通流路RK1及び連通流路RR1を連通し、Z軸方向に見た場合に、連通流路RK1のW1方向の端部と、連通流路RR1のW2方向の端部とを結び、W軸方向に延在するように設けられる。また、圧力室CB2は、連通流路RK2及び連通流路RR2を連通し、Z軸方向に見た場合に、連通流路RK2のW2方向の端部と、連通流路RR2のW1方向の端部とを結び、W軸方向に延在するように設けられる。なお、1つのノズルNに対応して設けられる圧力室CBの数は1つでもよく、換言すれば、1つのノズルNに対して圧力室CB1及び圧力室CB2のうちいずれか一方が設けられている構成でも構わない。
なお、圧力室基板383は、例えば、半導体製造技術を利用してシリコンの単結晶基板を加工することで製造される。但し、圧力室基板383の製造には公知の材料や製法が任意に採用され得る。
【0045】
図5及び
図6に例示される通り、圧力室基板383のZ1方向には、振動板384が設けられる。振動板384は、V軸方向に長尺で、VW平面に略平行に延在する板状の部材であって、弾性的に振動可能な部材である。なお、振動板384は、圧力室基板383と同一の部材で形成されていてもよい。
【0046】
図5及び
図6に例示される通り、振動板384のZ1方向の面には、M個の圧力室CB1に1対1に対応するM個の圧電素子PZ1と、M個の圧力室CB2に1対1に対応するM個の圧電素子PZ2と、が設けられる。以下では、圧電素子PZ1及び圧電素子PZ2を、圧電素子PZqと総称する。圧電素子PZqは、駆動信号Comの電位変化に応じて変形する受動素子である。
【0047】
図5及び
図6に例示される通り、振動板384のZ1方向の面には、配線部材388が実装される。配線部材388は、制御装置90及びヘッドチップ38を電気的に接続するための部品である。配線部材388としては、例えば、FPC、COF、又はFFC等の可撓性の配線基板が好適に採用される。ここで、FPCとは、Flexible Printed Circuitの略称である。COFは、Chip on Filmの略称である。FFCとは、Flexible Flat Cableの略称である。配線部材388には、駆動回路3884が実装される。駆動回路3884は、制御信号SIによる制御のもとで、圧電素子PZqに対して、駆動信号Comを供給するか否かを切り替える電気回路である。
【0048】
固定板39は、コンプライアンス基板3861のZ2方向の面及びホルダー37のZ2方向の面に接着される。すなわち、固定板39に設けられた6つの露出開口部391は、露出開口部391内でノズルプレート387のノズル面FNを露出する。ノズル面FNは、複数のノズルNが形成されるとともにノズルプレート387のZ2方向を向く面であり、Z2方向に垂直な面である。6つの露出開口部391の夫々の配置も、配線基板35の開口部351及び切り欠き部352と同様に、千鳥状である。
【0049】
コンプライアンス基板3861は、
図6に例示される通り、可撓膜3861aと支持板3861bとを有する。可撓膜3861aは、可撓性を有する部材であり、例えばPPS等の樹脂から成るフィルムを採用することができ、支持板3861bは、剛性を有する部材であり、例えばステンレス鋼を採用することができる。PPSは、Poly Phenylene Sulfideの略称である。可撓膜3861aは、連通板382のZ2方向の面に固定されることで、連通板382の供給液室RA1、連通流路RX1、連通流路RK1、連通流路RK2、連通流路RX2及び排出液室RA2を画定する開口をZ2方向側から覆う部材である。換言すれば、可撓膜3861aは、供給液室RA1、連通流路RX1、連通流路RK1、連通流路RK2、連通流路RX2及び排出液室RA2を画定する部材である。支持板3861bは、可撓膜3861aのZ2方向の面に固定され、Z軸方向に見て、供給液室RA1、連通流路RX1、連通流路RK1、連通流路RK2、連通流路RX2及び排出液室RA2と重なる位置に開口が形成されている。固定板39は、支持板3861bの開口をZ2方向から封止するようにして、支持板3861bに接着されている。可撓膜3861aのZ2方向の面と支持板3861bの開口と固定板39のZ1方向の面とで画定される空間は、不図示の大気連通路によって大気と連通しており、当該空間によって可撓膜3861aはZ1方向及びZ2方向に変形することで、ヘッドチップ38内に発生する圧力変動を吸収することができる。
【0050】
図5及び
図6に例示される通り、連通板382のZ1方向には、ケース385が設けられる。ケース385は、V軸方向に長尺な部材であり、インクの流路が形成される。具体的には、ケース385には、1個の供給液室RB1と、1個の排出液室RB2とが形成される。このうち、供給液室RB1は、供給液室RA1と連通し、供給液室RA1から見てZ1方向に位置し、V軸方向に延在するように設けられる。また、排出液室RB2は、排出液室RA2と連通し、排出液室RA2から見てZ1方向であって、供給液室RB1から見てW2方向に位置し、V軸方向に延在するように設けられる。
【0051】
また、ケース385には、供給液室RB1と連通する導入口3851と、排出液室RB2と連通する導出口3852とが設けられる。そして、供給液室RB1には、液体容器93から、導入口3851を介してインクが供給側共通液室MN1に供給される。供給側共通液室MN1に供給されたインクは、ノズルNに連通する流路を介して、排出側共通液室MN2に貯留される。排出側共通液室MN2に貯留されたインクは、導出口3852を介して回収される。
【0052】
また、ケース385には、開口3850が設けられる。開口3850の内側には、圧力室基板383と、振動板384と、配線部材388とが設けられる。ケース385は、例えば、樹脂材料の射出成形により形成される。但し、ケース385の製造には公知の材料や製法が任意に採用され得る。
【0053】
説明を
図4に戻す。
図5及び
図6では、ヘッドチップ38_1について説明したが、ヘッドチップ38_2~38_6の構成も、ヘッドチップ38_1の構成と同一である。ヘッドチップ38_1~38_6の夫々の配線部材388は、全て同一の形状である。ヘッドチップ38_2、38_4、及び、38_6の配線部材388は、ヘッドチップ38_1の配線部材388の向きを基準とし、Z軸方向を軸として、180度回転した向きで配置されている。
【0054】
1.3.ヘッドチップ38の配置関係
図3に例示される通り、複数のヘッドチップ38の夫々は、V2方向に延在するように配置される。
図7を用いて、複数のヘッドチップ38の配置についてより詳細に説明する。
【0055】
図7は、複数のヘッドチップ38の配置関係を示す説明図である。
図7に示す図は、1つの液体噴射ヘッド30を、Z1方向に見た図である。
【0056】
1つの液体噴射ヘッド30が有する複数のヘッドチップ38は、第1チップ群CG1と、第2チップ群CG2とを有する。第1チップ群CG1は、ヘッドチップ38_1、38_3、及び、38_5を有する。第2チップ群CG2は、ヘッドチップ38_2、38_4、及び、38_6を有する。説明の簡略化のため、第1チップ群CG1に含まれるヘッドチップ38を、「第1ヘッドチップ38A」と称し、第2チップ群CG2に含まれるヘッドチップ38を、「第2ヘッドチップ38B」と称する。また、第1ヘッドチップ38Aが有するノズル列Lnを、「第1ノズル列LnA」と称し、第2ヘッドチップ38Bが有するノズル列Lnを、「第2ノズル列LnB」と称する。更に、第1ノズル列LnAを構成するノズルNを、「第1ノズルNA」と称し、第2ノズル列LnBを構成するノズルNを、「第2ノズルNB」と称する。
【0057】
第1チップ群CG1には、第1インクが供給される。第2チップ群CG2には、第2インクが供給される。
【0058】
複数の第1ヘッドチップ38Aは、X1方向に並んで配置される。同様に、複数の第2ヘッドチップ38Bは、X1方向に並んで配置される。複数のヘッドチップ38がX1方向に並んで配置されるとは、X1方向に見て、複数のヘッドチップ38のうち隣り合うヘッドチップ38同士の一部又は全部が重複することを意味する。第1実施形態では、例えば、ヘッドチップ38_1及び38_3は、X1方向に見て、一部が重複する。
なお、ヘッドチップ38_1、38_3、及び、38_5は、「複数の第1ヘッドチップ」の一例である。ヘッドチップ38_2、38_4、及び38_6は、「複数の第2ヘッドチップ」の一例である。X1方向は、「第2方向」の一例である。
【0059】
また、第2チップ群CG2に含まれる複数の第1ヘッドチップ38Aのうち隣り合うヘッドチップ38は、Y2方向に見て互いの一部が重複する。同様に、第2チップ群CG2に含まれる複数の第2ヘッドチップBのうち隣り合うヘッドチップ38は、Y2方向に見て互いの一部が重複する。なお、Y2方向は、「第3方向」の一例である。
【0060】
第1チップ群CG1は、第2チップ群CG2に対して、Y2方向に並んで配置されている。第1チップ群CG1が第2チップ群CG2に対してY2方向に並んで配置されるとは、Y2方向に対して垂直なX1方向に見て、第1チップ群CG1の重心G1と、第2チップ群CG2の重心G2とがY2方向に並んで配置されることをいう。重心とは、対象となる形状において断面1次モーメントの総和がゼロになる点をいい、矩形形状であれば対角線の交点をいう。第1実施形態では、重心G1は、ヘッドチップ38_3と重なる位置にある。重心G2は、ヘッドチップ38_4と重なる位置にある。
【0061】
また、第1チップ群CG1及び第2チップ群CG2は、Y2方向に見てほぼ重なる。第1チップ群CG1及び第2チップ群CG2がY2方向に見てほぼ重なることは、Y2方向に見て、複数の第1ヘッドチップ38Aのうち最もX1方向に配置されたヘッドチップ38_5と複数の第2ヘッドチップ38Bのうち最もX1方向に配置されたヘッドチップ38_6とがほぼ重複し、且つ、複数の第1ヘッドチップ38Aのうち最もX2方向に配置されたヘッドチップ38_1と複数の第2ヘッドチップ38Bのうち最もX2方向に配置されたヘッドチップ38_2とがほぼ重複することを意味する。換言すれば、第1チップ群CG1及び第2チップ群CG2がY2方向に見てほぼ重なることは、複数の第1ヘッドチップ38Aのうち最もX1方向に配置されたヘッドチップ38_5と複数の第2ヘッドチップ38Bのうち最もX1方向に配置されたヘッドチップ38_6とがX軸方向に対してほぼ同じ位置にあり、且つ、複数の第1ヘッドチップ38Aのうち最もX2方向に配置されたヘッドチップ38_1と複数の第2ヘッドチップ38Bのうち最もX2方向に配置されたヘッドチップ38_2とがX軸方向に対してほぼ同じ位置にあることを意味する。更に、2つのヘッドチップ38がX軸方向に対してほぼ同じ位置にあることは、例えば、複数の第1ヘッドチップ38Aのうち最もX1方向に配置されたヘッドチップ38_5の最もX1方向に位置する第1ノズルNAと複数の第2ヘッドチップ38Bのうち最もX1方向に配置されたヘッドチップ38_6のX1方向の第2ノズルNBとがX軸方向に対して同じ位置にある、又はそれらのヘッドチップ38のX軸方向に対する相対距離が後述する第2ノズル列LnBの互いに隣り合うノズルNのX軸方向の間隔dx1の半分以下であることを意味する。
【0062】
また、第1チップ群CG1及び第2チップ群CG2は、X1方向に見て互いの一部が重複する。具体的には、
図7に例示される通り、Y軸方向において、第1チップ群CG1のY2方向の端部から第1チップ群CG1のY1方向の端部までの幅wY1と、第2チップ群CG2のY2方向の端部から第2チップ群CG2のY1方向の端部までの幅wY2とには、重複部分が存在する。
【0063】
また、複数の第1ヘッドチップ38A及び複数の第2ヘッドチップ38Bは、X軸に沿って交互に隣り合う。言い換えれば、複数の第1ヘッドチップ38Aの一つの第1ヘッドチップ38Aと、複数の第2ヘッドチップ38Bの一つの第2ヘッドチップ38Bとは、X軸に沿って隣り合う。具体的には、複数の第1ヘッドチップ38Aの一つであるヘッドチップ38_1と、複数の第2ヘッドチップ38Bの一つであるヘッドチップ38_2とは、X軸に沿って隣り合う。同様に、ヘッドチップ38_3とヘッドチップ38_4とは、X軸に沿って隣り合う。また、ヘッドチップ38_5とヘッドチップ38_6とは、X軸に沿って隣り合う。
【0064】
複数の第1ヘッドチップ38A及び複数の第2ヘッドチップ38Bが、X軸方向に交互に隣り合うことを言い換えれば、複数の第1ヘッドチップ38A及び複数の第2ヘッドチップ38Bは、千鳥状に配置されている。より具体的には、ヘッドチップ38_1、38_2、38_3、38_4、38_5、及び、38_6は、X軸方向において、この順に配置されている。換言すれば、複数の第2ヘッドチップ38Bのうち1つの第2ヘッドチップ38Bαは、複数の第1ヘッドチップ38Aのうち1つの第1ヘッドチップAαの隣に位置し、且つ、第1ヘッドチップAαよりもX1方向に位置する。さらに、第2ヘッドチップ38Bαは、複数の第1ヘッドチップ38Aのうち第1ヘッドチップ38Aαとは異なる1つの第1ヘッドチップ38Aβの隣に位置し、第1ヘッドチップ38AβよりもX1方向とは反対のX2方向に位置する。なお、前述の記載において、複数の第2ヘッドチップ38Bのうち対象となる1つの第2ヘッドチップ38Bαを、例えば、ヘッドチップ38_2としたとき、ヘッドチップ38_1は「第1ヘッドチップα」の一例であり、ヘッドチップ38_3は「第1ヘッドチップβ」の一例である。
【0065】
更に、ヘッドチップ38_1~38_6の夫々は、仮想直線OL1、及び、仮想直線OL1に平行な仮想直線OL2のいずれか一方の仮想直線に沿って配置されている。仮想直線OL1及び仮想直線OL2は、Z軸方向に直交するとともにX軸方向及びY軸方向の双方に交差するU1方向に沿った直線である。複数の第1ヘッドチップ38Aは、仮想直線OL1に沿って配置される。U1方向は、X1方向とY2方向との間の方向である。従って、複数の第1ヘッドチップ38Aのうち隣り合う2つの第1ヘッドチップ38Aに含まれるX1方向に配置された一方の第1ヘッドチップ38Aは、他方の第1ヘッドチップ38AよりもY2方向にずれて配置される。例えば、ヘッドチップ38_1及び38_3のうち、X1方向に配置されたヘッドチップ38_3は、ヘッドチップ38_1よりもY2方向にずれて配置される。同様に、ヘッドチップ38_3及び38_5のうち、X1方向に配置されたヘッドチップ38_5は、ヘッドチップ38_3よりもY2方向にずれて配置される。
複数の第2ヘッドチップ38Bは、仮想直線OL2に沿って配置される。従って、複数の第2ヘッドチップ38Bのうち隣り合う2つの第2ヘッドチップ38Bに含まれるX1方向に配置された一方の第2ヘッドチップ38Bは、他方の第2ヘッドチップ38BよりもY2方向にずれて配置される。例えば、ヘッドチップ38_2及び38_4のうち、X1方向に配置されたヘッドチップ38_4は、ヘッドチップ38_2よりもY2方向にずれて配置される。同様に、ヘッドチップ38_4及び38_6のうち、X1方向に配置されたヘッドチップ38_6は、ヘッドチップ38_4よりもY2方向にずれて配置される。
更に換言すれば、「複数のヘッドチップ38が仮想直線に沿って配置される」ことは、複数のヘッドチップ38のV2方向の端部が、Z1方向の平面視において、仮想直線に重なるように並んで配置されることを意味する。以下、Z1方向の平面視を、単に「平面視」と記載する。「複数のヘッドチップ38が仮想直線に沿って配置される」ことは、複数のヘッドチップ38のV1方向の端部が、Z1方向の平面視において、仮想直線に重なるように並んで配置されることを意味してもよいし、又は、複数のヘッドチップ38のV軸方向の中心が、平面視において、仮想直線に重なるように並んで配置されることを意味してもよい。
【0066】
Y2方向に見て、第1チップ群CG1及び第2チップ群CG2が、Y2方向に見てほぼ重複することを記載した。ここで、第1ヘッドチップ38Aと第2ヘッドチップ38Bとの具体的な重複度合いについて、
図8を用いて説明する。
【0067】
図8は、複数のヘッドチップ38の重複度合いを示す説明図である。第1チップ群CG1及び第2チップ群CG2は、Y軸に沿って隣り合う第1ヘッドチップ38Aと第2ヘッドチップ38Bとを含む複数の組UNを有する。複数の組UNの同じ組UNにおいて、第1ヘッドチップ38Aは、第2ヘッドチップ38Bの隣に位置し、且つ、この第2ヘッドチップ38BよりもY2方向に位置する。具体的には、第1チップ群CG1及び第2チップ群CG2は、ヘッドチップ38_1とヘッドチップ38_2とを含む組UN1と、ヘッドチップ38_3とヘッドチップ38_4とを含む組UN2と、ヘッドチップ38_5とヘッドチップ38_6とを含む組UN3とを有する。以下の記載において、組UNは、組UN1と、組UN2と、組UN3との総称である。なお、第1実施形態では、第1チップ群CG1及び第2チップ群CG2は、3つの組UNを有するが、2つの組UNを有してもよいし、4つ以上の組UNを有してもよい。
【0068】
図8に例示される通り、ノズル列Lnの互いに隣り合うノズルNのX1方向の間隔は、第1長さdx1である。組UN1、組UN2、及び、組UN3のうち、ある1つの組UNxに含まれる第1ノズル列LnAと第2ノズル列LnBとにおいて、第1ノズル列LnAのうち最もV2方向に位置する第1ノズルNAの中心と、第2ノズル列LnBのうち最もV2方向に位置する第2ノズルNBの中心とのX1方向の第1間隔は、第2長さdx2以下である。本実施形態において、xは、1から3までの整数である。第2長さdx2は、第1長さdx1の半分である。第1実施形態では、第1間隔は、第2長さdx2である。例えば、組UN1に含まれる第1ノズル列LnAのうち最もV2方向に位置する第1ノズルNA1の中心と、組UN1に含まれる第2ノズル列LnBのうち最もV2方向に位置する第2ノズルNB2との中心との第1間隔は、第2長さdx2である。
【0069】
また、組UNxに含まれる第1ノズル列LnAと第2ノズル列LnBとにおいて、第1ノズル列LnAのうち最もV1方向に位置する第1ノズルNAの中心と、第2ノズル列LnBのうち最もV1方向に位置する第2ノズルNBの中心とのX1方向の第2間隔は、第2長さdx2以下である。第1実施形態では、第1間隔は、第2長さdx2である。例えば、組UN1に含まれる第1ノズル列LnAのうち最もV2方向に位置する第1ノズルNA3の中心と、組UN1に含まれる第2ノズル列LnBのうち最もV2方向に位置する第2ノズルNB4との中心との第1間隔は、第2長さdx2である。
【0070】
第1実施形態において、第1ノズルNA1は、第2ノズルNB2に対して、X2方向に位置する。ただし、第1ノズルNA1は、第2ノズルNB2に対して、X1方向に位置してもよい。また、
図8の例では、X軸に沿って隣り合う2つの第1ヘッドチップ38Aのうち、Y軸方向に見て重なる第1ノズルNAの個数は、2つの第1ヘッドチップ38Aの合計で4個であり、1つの第1ヘッドチップ38Aでは2個であるが、1個以上あればよい。同様に、X軸に沿って隣り合う2つの第2ヘッドチップ38Bのうち、Y軸方向に見て重なる第2ノズルNBの個数は、2つの第2ヘッドチップ38Bの合計で4個であり、1つの第2ヘッドチップ38Bでは2個であるが、1個以上あればよい。以下、Y軸方向に見て重なるノズルNが配置された領域を、「ノズルオーバーラップ領域」と称する。
【0071】
ノズルオーバーラップ領域内に含まれるY軸方向に見て重なる2つのノズルNのうち、いずれか一方のノズルNがインクを噴射すればよい。例えば、制御装置90は、ノズルオーバーラップ領域内に配置された2つのノズルNのうち、噴射不良が生じていないノズルNからインクを噴射する。ノズルNの噴射不良は、インクの粘度の増加及び気泡の混入等により発生する。制御装置90は、媒体PPに形成された印刷画像を読み取った画像情報に基づき噴射不良か否かを判定する方法、及び、振動板384の残留振動の波形に基づき噴射不良か否かを判定する方法等の少なくともいずれか1つの方法を実行する。
【0072】
W軸方向におけるヘッドチップ38の距離について、複数の組UNのうちの組UNxに含まれる第1ヘッドチップ38Aと第2ヘッドチップ38BとのW1方向の第1距離は、組UNxに含まれる複数のヘッドチップ38のうち組UNxに隣り合う組UNyの最も近くに配置されたヘッドチップ38と第2組に含まれる複数のヘッドチップ38のうち第1組の最も近くに配置されたヘッドチップ38とのW1方向の距離よりも短い。前述のように、xは、1から3までの整数である。yは、1から3までの整数であり、且つ、xとの差分が1である整数である。xが1であり、yが2である例を用いると、
図8に例示される通り、組UN1に含まれるヘッドチップ38_1とヘッドチップ38_2とのW1方向の第1距離は、長さdw1であり、ヘッドチップ38_2とヘッドチップ38_3とのW1方向の第2距離は、長さdw2である。そして、長さdw1は、長さdw2より短い。なお、組UNxを「第1組」の一例としたとき、組UNyは、「第2組」の一例である。より具体的には、組UN1を「第1組」の一例としたとき、組UN2は、「第2組」の一例である。
【0073】
1.4.第1実施形態のまとめ
以上、第1実施形態における液体噴射ヘッド30は、媒体PPへ向けて液体をZ2方向へ噴射する複数のヘッドチップ38を備える。Z2方向は、「第1方向」の例示である。複数のヘッドチップ38は、第1チップ群CG1と第2チップ群CG2とを有する。第1チップ群CG1は、V2方向に複数の第1ノズルNAが並んで構成される第1ノズル列LnAを有する複数の第1ヘッドチップ38AがX1方向に並んで配置される。第2チップ群CG2は、V2方向に複数の第2ノズルNBが並んで構成される第2ノズル列LnBを有する複数の第2ヘッドチップ38BがX1方向に並んで配置される。第1チップ群CG1は、第2チップ群CG2に対してY2方向に並んで配置される。X1方向は、「第2方向」の一例である。X1方向は、媒体PPの幅方向である。Y2方向は、「第3方向」の一例である。Y2方向は、X1方向に直交する方向である。V2方向は、「第4方向」の一例である。V2方向は、Z2方向に垂直な方向且つX1方向及びY2方向に交差する方向である。
第1チップ群CG1及び第2チップ群CG2が互いに異なる固定板39に対して固定されている態様、言い換えれば、第1チップ群CG1を有する液体噴射ヘッドと第2チップ群CG2を有する液体噴射ヘッドとが異なる態様では、2つの液体噴射ヘッド間の位置ずれによって、印刷品質が低下する虞があった。印刷品質の低下を抑制するためには、液体噴射ヘッドを固定するヘッド固定基板で液体噴射ヘッドの位置を調整することになるが、液体噴射装置の規模が大きい場合、液体噴射ヘッドの個数が多くなるため、全ての液体噴射ヘッドの位置を調整することには、多くの時間がかかる問題があった。
一方、第1実施形態によれば、第1チップ群CG1及び第2チップ群CG2は、単一の固定板39及び単一のホルダー37に対して固定されているため、第1チップ群CG1及び第2チップ群CG2が互いに異なる固定板39に対して固定されている態様と比較して、1つの液体噴射ヘッドに含まれる複数のヘッドチップ38同士のノズルNの位置決め精度を向上できる。ノズルNの位置決め精度が向上することにより、印刷品質の低下を抑制できる。具体的には、第1インクと第2インクとが同一の色のインクである場合、第1チップ群CG1と第2チップ群CG2とを適切な位置に配置することにより、印刷品質の低下を抑制しながらも高解像度を実現できる。例えば、単体解像度が600dpiである場合、液体噴射ヘッド30は、600dpiの2倍である1200dpiを実現できる。また、第1インクと第2インクとが互いに異なる色のインクである場合、印刷品質の低下を抑制しながらも、多色による印刷を実現できる。
また、液体噴射ヘッド30のX1方向の端部及びX2方向の端部において、X軸に沿って隣り合う2つの液体噴射ヘッド30の間で、ノズルオーバーラップ領域が生じる。しかしながら、制御装置90は、この2つの液体噴射ヘッド30の間で生じたノズルオーバーラップ領域に含まれる夫々のノズルNを用いて媒体PPに印刷した後、媒体に形成された印刷画像に基づいて、使用するノズルNを決定する。これにより、制御装置90は、着弾のズレを、ノズル列Lnの互いに隣り合うノズルNのX1方向の間隔である第1長さdx1の半分以下に抑えることができる。
【0074】
高解像度を実現することにより、媒体PPにおいて1つの液滴により形成されるドットの大きさが小さくなる。ドットの大きさが小さくなることにより、塗りつぶし可能な領域を小さくできる、いわゆるベタの品質を向上できる。また、ドットの大きさが小さくなることにより、粒状性、いわゆるきめ細かさを向上できる。また、ドットの大きさが小さくなることにより、インクの体積に対するインクの表面積の割合が大きくなる。インクの体積に対するインクの表面積の割合が大きくなることにより、インクの乾燥速度が向上できる。また、高解像度化及びドットの大きさが小さくなることにより、文字品質が向上できる。
【0075】
また、第1チップ群CG1及び第2チップ群CG2は、X1方向に見て互いの一部が重複する。
第1実施形態によれば、第1チップ群CG1及び第2チップ群CG2がX1方向に見て重複しない態様と比較して、液体噴射ヘッド30のY軸方向におけるサイズを小さくできる。更に、第1実施形態によれば、ノズルNから噴射される液滴の着弾精度を向上でき、印刷品質を向上できる。
第1実施形態において着弾精度が向上する理由について説明する。上述のように、媒体PPはY1方向に搬送されるが、媒体PPがY1方向に対して傾いて液体噴射装置100に供給された場合に、媒体PPがY1方向に対して傾いて搬送されることがある。媒体PPがY1方向に対して傾いて搬送される場合、第1チップ群CG1と第2チップ群CG2とのY軸方向の間の距離の増加に応じて、第2チップ群CG2に含まれる第2ノズルNBから噴射される液滴の着弾位置のズレが大きくなる。このズレとは、
図8に例示した第1ノズルNA1と第2ノズルNB2とを用いて説明すると、第2ノズルNB2から噴射される液滴が実際に着弾する位置から、第2ノズルNB2から噴射される液滴が本来着弾すべき位置までのX軸方向の距離である。第2ノズルNB2から噴射される本来着弾すべき位置とは、第1実施形態の例では、X軸方向において、第1ノズルNA1から噴射される着弾位置からX1方向に第2長さdx2移動した位置である。第1実施形態では、第1チップ群CG1及び第2チップ群CG2がX1方向に見て互いの一部が重複するため、第1チップ群CG1及び第2チップ群CG2がX1方向に見て重複しない態様と比較して、第1チップ群CG1と第2チップ群CG2との間のY軸方向の距離が短い。従って、第1実施形態において、第2チップ群CG2に含まれる第2ノズルNBから噴射される液滴の着弾位置のズレは、第1チップ群CG1及び第2チップ群CG2がX1方向に見て重複しない態様におけるズレと比較して小さい。従って、第1実施形態によれば、媒体PPがY1方向に対して傾いて搬送される場合であっても、ノズルNから噴射される液滴の着弾精度を向上できる。
【0076】
第1チップ群CG1及び第2チップ群CG2は、Y軸に沿って隣り合う第1ヘッドチップ38Aと第2ヘッドチップ38Bを含む複数の組UNを有する。第1ノズル列LnAのうち互いに隣り合う第1ノズルNAの中心同士のX1方向の間隔は、第1長さdx1である。第2ノズル列LnBのうち互いに隣り合う第2ノズルNBの中心同士のX1方向の間隔は、第1長さdx1である。複数の組UNのうち、ある1つの組UNxに含まれる第1ノズル列LnAと第2ノズル列LnBとにおいて、第1間隔は、第1長さdx1の半分である第2長さdx2以下であり、第2間隔は、第2長さdx2以下である。第1間隔は、第1ノズル列LnAのうち最もV2方向に位置する第1ノズルNAの中心と、第2ノズル列LnBのうち最もV2方向に位置する第2ノズルNBの中心とのX1方向の間隔である。第2間隔は、第1ノズル列LnAのうち最もV1方向に位置する第1ノズルNAの中心と、第2ノズル列LnBのうち最もV1方向に位置する第2ノズルNBの中心とのX1方向の第2間隔は、第2長さ以下である。V1方向は、V2方向とは反対方向である。
第1長さdx1は、1つのヘッドチップ38の隣り合うノズルNのX軸方向の間隔であり、第2長さdx2は、1つの組UNに含まれる第1ヘッドチップ38Aに含まれる第1ノズルNAと第2ヘッドチップ38Bに含まれる第2ノズルNBとのX軸方向の間隔であるとも言える。第2長さdx2が第1長さdx1より長い態様では、X軸方向において、高解像度を実現できる部分と、高解像度を実現できない部分とが発生し、高解像度で印刷する場合、高解像度を実現できない部分のノズルNが無駄になる。第1チップ群CG1及び第2チップ群CG2がY2方向に対して一致する参考例を
図9に示しながら、無駄になるノズルNについて説明する。
【0077】
図9は、参考例の液体噴射ヘッド30aをZ1方向に見た図である。液体噴射ヘッド30aは、固定板39aと、複数のヘッドチップ38aを有する。固定板39aの形状が、平面視において、略平行四辺形である点で、第1実施形態と相違する。ヘッドチップ38aは、ヘッドチップ38と同一の構成ではあるが、固定板39aに対する配置位置が異なる点で、第1実施形態と相違する。複数のヘッドチップ38aは、第1チップ群CGa1と第2チップ群CGa2とを有する。第1チップ群CGa1は、ヘッドチップ38a_1、38a_3、及び、38a_5を有する。第2チップ群CGa2は、ヘッドチップ38a_2、38a_4、及び、38a_6を有する。X1方向に見て、第1チップ群CGa1の重心Ga1と、第2チップ群CGa2の重心Ga2とは重なっている。すなわち、第1チップ群CGa1は、第2チップ群CGa2に対して、Y2方向に並んで配置されていない。
【0078】
参考例において、ヘッドチップ38a_1に含まれる第1ノズル列LnAのうち最もV2方向に位置する第1ノズルNAa1の中心と、ヘッドチップ38a_2に含まれる第2ノズル列LnBのうち最もV2方向に位置する第2ノズルNBa2の中心とのX1方向の第1間隔は、長さdxa2である。長さdxa2は、長さdx1より長い。従って、第1チップ群CGa1から噴射される第1インクと第2チップ群CGa2から噴射される第2インクとで同一の色のインクを使用する場合には、X軸方向において、単体解像度よりも高解像度を実現できる部分XR1と、高解像度を実現できない単体解像度に対応する部分XR2及び部分XR3とが発生する。例えば、1つのヘッドチップ38が600dpiを実現する場合、部分XR1では1200dpiを実現できるが、部分XR2及び部分XR3では600dpiまでしか実現できない。また、第1チップ群CGa1から噴射される第1インクと第2チップ群CGa2から噴射される第2インクとが互いに異なる色のインクを使用する場合には、X軸方向において、複数色(本実施形態では2色)印刷を実現できる部分XR1と、複数色(本実施形態では2色)印刷を実現できない部分XR2及びXR3が発生する。このように、高解像度印刷又は複数色印刷をする場合には、部分XR2及びXR3に対応するノズルNは使用できないため、無駄なノズルとなる。ただし、
図9に例示した液体噴射ヘッド30aを第1液体噴射ヘッド30aとすると、第1液体噴射ヘッド30aの隣に位置し、且つ、第1液体噴射ヘッド30aよりもX2方向に位置する第2液体噴射ヘッド30aによって、第1液体噴射ヘッド30aの部分XR2を高解像度化及び複数色、この参考例では2色対応できる。同様に、第1液体噴射ヘッド30aの隣に位置し、且つ、第1液体噴射ヘッド30aよりもX1方向に位置する第3液体噴射ヘッド30aによって、第1液体噴射ヘッド30aの部分XR3を高解像度化及び複数色、この参考例では2色対応できる。しかしながら、第1液体噴射ヘッド30aの部分XR2及び部分XR3を高解像度化又は複数色対応するためには、第1液体噴射ヘッド30aの隣に位置する第2液体噴射ヘッド30a及び第3液体噴射ヘッド30aを精度良く配置する必要がある。
【0079】
従って、第1実施形態によれば、第2長さdx2が第1長さdx1以下であることにより、高解像度及び複数色対応を実現できない部分が生じることを抑止できる。第1インクと第2インクとが同一の色のインクである場合には、印刷品質の低下の抑制を抑えながらも高解像度を実現できる。第1インクと第2インクとが互いに異なる色のインクである場合でも、印刷品質の低下の抑制を抑えながらも、多色による印刷を実現できる。更に、
図9に例示したように、部分XR2は、液体噴射ヘッド30aのX2方向の端部に位置し、部分XR3は、液体噴射ヘッド30aのX1方向の端部に位置する。従って、参考例では、第1チップ群CGa1から噴射される第1インクと第2チップ群CGa2から噴射される第2インクとで同一の色のインクを使用することによって高解像度で印刷する場合、若しくは、第1チップ群CGa1から噴射される第1インクと第2チップ群CGa2から噴射される第2インクとが互いに異なる色のインクを使用することによって各色に対応した解像度が単体解像度であり2色に対応した印刷をする場合には、第1チップ群CGa1から噴射される第1インクと第2チップ群CGa2から噴射される第2インクとで同一の色のインクを使用して解像度が単体解像度である印刷をする場合と比較して、X軸方向における印刷可能な幅が短くなってしまう。また、媒体PPのX軸方向の端部まで印刷できるように複数の液体噴射ヘッド30をX軸方向に並んで配置することも可能であるが、この場合、液体噴射装置100がX軸方向に大きくなってしまう。一方、第1実施形態によれば、第1チップ群CG1から噴射される第1インクと第2チップ群CG2から噴射される第2インクとで同一の色のインクを使用することによって高解像度で印刷する場合、若しくは、第1チップ群CG1から噴射される第1インクと第2チップ群CG2から噴射される第2インクとが互いに異なる色のインクを使用することによって各色に対応した解像度が単体解像度であり2色に対応した印刷をする場合の何れでも、第1チップ群CG1から噴射される第1インクと第2チップ群CG2から噴射される第2インクとで同一の色のインクを使用して単体解像度で印刷する場合と比較して、X軸方向における印刷可能な幅を維持できる。
【0080】
また、第1実施形態において、第1間隔及び第2間隔は、第2長さdx2である。第1インクと第2インクとが同一の色のインクである場合に、第1間隔及び第2間隔が第2長さdx2であることにより、1つのヘッドチップ38が実現する解像度の2倍の解像度を実現できる。ただし、上述したように、第1インクと第2インクとが互いに異なる色のインクであってもよい。
【0081】
また、第1実施形態において、複数の組UNのうち組UNxに含まれる第1ヘッドチップ38Aと第2ヘッドチップ38BとのW1方向の第1距離は、組UNxに含まれる複数のヘッドチップ38のうち組UNxに隣り合う組UNyの最も近くに配置されたヘッドチップ38と組UNyに含まれる複数のヘッドチップ38のうち組UNxの最も近くに配置されたヘッドチップ38とのW1方向の第2距離よりも短い。W1方向は、「第5方向」の一例である。W1方向は、Z2方向に垂直な方向でV1方向に直交する方向である。組UNxは、「第1組」の一例であり、組UNyは、「第2組」の一例である。
第1距離は、言い換えれば、1つの組内のヘッドチップ38同士のW1方向の間隔であり、第2距離は、隣り合う組UNのヘッドチップ38同士のW1方向の間隔である。1つの組内のヘッドチップ38同士のW1方向の間隔が短くなることにより、第1チップ群CG1と第2チップ群CG2との間のY軸方向の距離が短くなる。従って、第1実施形態によれば、媒体PPがY1方向に対して傾いて搬送される場合であっても、第1距離が第2距離以上である態様と比較して、ノズルNから噴射される液滴の着弾精度を向上できる。
【0082】
また、第1実施形態において、複数の第1ヘッドチップ38Aのうち隣り合う2つの第1ヘッドチップ38Aに含まれるX1方向に配置された一方の第1ヘッドチップ38Aは、他方の第1ヘッドチップ38AよりもY2方向にずれて配置される。複数の第2ヘッドチップ38Bのうち隣り合う2つの第2ヘッドチップ38Bに含まれるX1方向に配置された一方の第2ヘッドチップ38Bは、他方の第2ヘッドチップ38BよりもY2方向にずれて配置される。V2方向は、X1方向とY2方向との間の方向である。
第1実施形態によれば、複数の液体噴射ヘッド30をX軸方向に並べて配置する場合に、複数の第1ヘッドチップ38AがX軸方向に並んで配置される態様と比較して、液体噴射ヘッド30間のノズルオーバーラップ領域に含まれるノズルNの個数を維持しつつ、複数の液体噴射ヘッド30の間の距離を長くできる。複数の液体噴射ヘッド30の間の距離を長くできることにより、空いた空間を有効活用できる。例えば、空いた空間を埋めるように、ホルダー37を厚くすることができる。又は、空いた空間を埋めるように、インクの流路が配置されてもよい。
【0083】
2.第2実施形態
第1実施形態では、第1間隔及び第2間隔は第2長さdx2であるが、第2実施形態では、第1間隔及び第2間隔は0であることが第1実施形態と相違する。以下、第2実施形態について説明する。
【0084】
図10は、第2実施形態における液体噴射ヘッド30bをZ1方向に見た図である。液体噴射ヘッド30bは、複数のヘッドチップ38bを有する。ヘッドチップ38bは、ヘッドチップ38と同一の構成ではあるが、固定板39に対する配置位置が異なる点で第1実施形態と相違する。複数のヘッドチップ38bは、ヘッドチップ38b_1とヘッドチップ38b_2とを含む組UNb1と、ヘッドチップ38b_3とヘッドチップ38b_4とを含む組UNb2と、ヘッドチップ38b_5とヘッドチップ38b_6とを含むUNb3とを有する。
【0085】
図10には示していないが、第2実施形態において、複数のヘッドチップ38は、第1チップ群CGb1と、第2チップ群CGb2とを有する。第1チップ群CGb1は、ヘッドチップ38_1、38_3、及び、38_5を有する。第2チップ群CGb2は、ヘッドチップ38_2、38_4、及び、38_6を有する。第1チップ群CGb1に含まれるヘッドチップ38bを、「第1ヘッドチップ38Ab」と称し、第2チップ群CGb2に含まれるヘッドチップ38を、「第2ヘッドチップ38Bb」と称する。
【0086】
第1ヘッドチップ38Abが有するノズル列Lnを、「第1ノズル列LnAb」と称し、第2ヘッドチップ38Bbが有するノズル列Lnを、「第2ノズル列LnBb」と称する。更に、第1ノズル列LnAbを構成するノズルNを、「第1ノズルNAb」と称し、第2ノズル列LnBbを構成するノズルNを、「第2ノズルNBb」と称する。
【0087】
第2実施形態において、ヘッドチップ38b_1に含まれる第1ノズル列LnAbのうち最もV2方向に位置する第1ノズルNAb1の中心と、ヘッドチップ38b_2に含まれる第2ノズル列LnBbのうち最もV2方向に位置する第2ノズルNBb2の中心とのX1方向の第1間隔は、0である。言い換えれば、第1ノズルNAb1の中心と第2ノズルNBb2の中心とが、X1方向において同じ位置にある。同様に、ヘッドチップ38b_1に含まれる第1ノズル列LnAbのうち最もV1方向に位置する第1ノズルNAb3の中心と、ヘッドチップ38b_2に含まれる第2ノズル列LnBbのうち最もV1方向に位置する第2ノズルNBb4の中心とのX1方向の第2間隔は、0である。言い換えれば、第1ノズルNAb3の中心と第2ノズルNBb4の中心とが、X1方向において同じ位置にある。
【0088】
2.1.第2実施形態のまとめ
以上、第2実施形態において、第1間隔及び第2間隔は、0である。第1間隔及び第2間隔が0であるので、X軸方向において、同一の組UNに含まれる第1ヘッドチップ38Aの夫々の第1ノズルNAbと同一の位置にいる第2ノズルNBbが存在する。従って、第1インクと第2インクとが互いに異なる色のインクである場合、液体噴射ヘッド30bは、第1実施形態における液体噴射ヘッド30と比較して、高画質の画像を形成できる。具体的には、第1実施形態における液体噴射ヘッド30が形成する画像では、インクの色によって、1ドットに対する着弾位置が変化する。一方、液体噴射ヘッド30bが形成する画像では、インクの色によって、1ドットに対する着弾位置が変化しないためである。
また、第1インクと第2インクとが同一の色のインクである場合には、同一の組UNに含まれる、1つの第1ノズルNAbと、この第1ノズルNAbとX軸方向において同一の位置にある第2ノズルNBbとのうちいずれか一方のノズルNに噴射不良が生じても、他方のノズルNによりドット抜けを抑えることができる。
【0089】
3.変形例
以上に例示した各形態は多様に変形され得る。具体的な変形の態様を以下に例示する。以下の例示から任意に選択された2以上の態様は、相互に矛盾しない範囲で適宜に併合され得る。
【0090】
3.1.第1変形例
第1実施形態及び第2実施形態において、1つのヘッドチップ38は、1つのノズル列Lnを有するが、これにかぎらない。例えば、1つのヘッドチップ38が、複数のノズル列Lnを有してもよい。
【0091】
図11は、第1変形例における液体噴射ヘッド30cをZ1方向に見た図である。液体噴射ヘッド30cは、複数のヘッドチップ38cとして、ヘッドチップ38c_1、38c_2、38c_3、38c_4、38c_5、及び、38c_6を有する。1つのヘッドチップ38cは、2つのノズル列Lnとして、ノズル列Ln1とノズル列Ln2とを有する。以下の説明では、ヘッドチップ38c_1に含まれるノズル列Ln1を構成するノズルNを、「ノズルNA1c」と称し、ヘッドチップ38c_1に含まれるノズル列Ln2を構成するノズルNを「ノズルNA2c」と称する。また、ヘッドチップ38c_2に含まれるノズル列Ln1を構成するノズルNを、「ノズルNB1c」と称し、ヘッドチップ38c_2に含まれるノズル列Ln2を構成するノズルNを「ノズルNB2c」と称する。
【0092】
図11の例示では、複数のノズルNA1cのうち最もV2方向に位置するノズルNA1c1の中心と、複数のノズルNA2cのうち最もV2方向に位置するノズルNA2c1の中心とのX1方向の間隔は、0である。同様に、複数のノズルNB1cのうち最もV2方向に位置するノズルNB1c2の中心と、複数のノズルNB2cのうち最もV2方向に位置するノズルNB2c2の中心とのX1方向の間隔は、0である。また、複数のノズルNA1cのうち最もV1方向に位置するノズルNA1c3の中心と、複数のノズルNA2cのうち最もV1方向に位置するノズルNA2c3の中心とのX1方向の間隔は、0である。同様に、複数のノズルNB1cのうち最もV1方向に位置するノズルNB1c4の中心と、複数のノズルNB2cのうち最もV1方向に位置するノズルNB2c4の中心とのX1方向の間隔は、0である。
【0093】
一方、ノズルNA1c1の中心とノズルNB1c2の中心との距離は、第2長さdx2である。同様に、ノズルNA1c3の中心とノズルNB1c4の中心との距離は、第2長さdx2である。
【0094】
図11に示したノズルNのX1方向の間隔は一例であって、これに限らない。例えば、単体解像度の4倍の解像度を実現できるように、ノズルNのX1方向の間隔が調整してもよい。具体的には、ノズルNA1c1の中心とノズルNA2c1の中心とのX1方向の間隔、ノズルNA2c1の中心とノズルNB1c2の中心とのX1方向の間隔、ノズルNB1c2の中心とノズルNB2c2の中心とのX1方向の間隔が、第2長さdx2の半分である。
【0095】
ヘッドチップ38c_1に含まれるノズル列Ln1に供給されるインクの色と、ヘッドチップ38c_1に含まれるノズル列Ln2に供給されるインクの色と、ヘッドチップ38c_2に含まれるノズル列Ln1に供給されるインクの色と、ヘッドチップ38c_2に含まれるノズル列Ln2に供給されるインクの色とは、全て同一でもよいし、全て異なってもよい。インクの色が全て異なる例として、ヘッドチップ38c_1に含まれるノズル列Ln1にはイエローのインクが供給され、ヘッドチップ38c_1に含まれるノズル列Ln2にはマゼンタのインクが供給され、ヘッドチップ38c_2に含まれるノズル列Ln1にはシアンのインクが供給され、ヘッドチップ38c_2に含まれるノズル列Ln2にはブラックのインクが供給される。
【0096】
3.2.第2変形例
上述の各態様に加えて、固定板39のZ1方向の面に、温度センサー392が設けられてもよい。
【0097】
図12は、第2変形例における液体噴射ヘッド30dをZ1方向に見た図である。液体噴射ヘッド30dは、固定板39dを有する。固定板39dのZ2方向の面には、不図示のホルダー37のZ2方向の面に設けられた凹部に収容されるように、温度センサー392が設けられる。第2変形例では、温度センサー392は、領域SR1内に設けられている。領域SR1は、固定板39dのZ2方向の面内であって、平面視において、Y2方向の辺の一部と、ヘッドチップ38_1のW1方向の辺のうちV2方向の端部付近の一部と、ヘッドチップ38_2のV2方向の辺と、ヘッドチップ38_3のW2方向の辺のうちV2方向の端部付近の一部とにより囲まれる領域である。
【0098】
固定板39dのヘッドチップ38が存在しない空きスペースである領域SR1内に温度センサー392が設けられることにより、空きスペースを有効活用することができる。
【0099】
第2変形例では、温度センサー392は、領域SR1内に1つ設けられているが、これに限らない。温度センサー392は、固定板39のZ1方向の面に複数設けられてもよい。更に、1以上の温度センサー392は、
図12に例示した領域SR2、領域SR3、及び、領域SR4のうち少なくとも1つの領域内に設けられてもよい。領域SR2は、固定板39dのZ1方向の面内であって、平面視において、Y2方向の辺の一部と、ヘッドチップ38_3のW1方向の辺のうちV2方向の端部付近の一部と、ヘッドチップ38_4のV2方向の辺と、ヘッドチップ38_5のW2方向の辺のうちV2方向の端部付近の一部とにより囲まれる領域である。
【0100】
領域SR3は、固定板39dのZ1方向の面内であって、平面視において、Y1方向の辺の一部と、ヘッドチップ38_2のW1方向の辺のうちV1方向の端部付近の一部と、ヘッドチップ38_3のV1方向の辺と、ヘッドチップ38_4のW2方向の辺のうちV1方向の端部付近の一部とにより囲まれる領域である。領域SR4は、固定板39dのZ1方向の面内であって、Y1方向の辺の一部と、ヘッドチップ38_4のW1方向の辺のうちV1方向の端部付近の一部と、ヘッドチップ38_5のV1方向の辺と、ヘッドチップ38_6のW2方向の辺のうちV1方向の端部付近の一部とにより囲まれる領域である。
【0101】
また、図示はしないが、固定板39dのZ2方向の面の、平面視で領域SR1、領域SR2、領域SR3、及び、領域SR4のうち少なくとも1つの領域内と重なる位置から、Z2方向に突出する突起部を設けてもよい。この構成により、固定板39dのノズル面FNに媒体PPが接触することを抑制できる。突起部は、固定板39dと一体に形成されていてもよし、別部材が固定板39dのZ2方向の面に接合されて設けられていてもよい。
【0102】
3.3.第3変形例
上述の各態様では、液体噴射ヘッド30が有する複数のヘッドチップ38は、第1チップ群CG1と、第2チップ群CG2という2つのチップ群を有するが、3つ以上のチップ群を有してもよい。第3変形例における複数のヘッドチップ38が、3つのチップ群を有し、1つのヘッドチップ38が1つのノズル列Lnを有する場合、複数のヘッドチップ38を適切に配置することにより、第3変形例における液体噴射ヘッド30は、単体解像度の3倍の解像度を得ることができる。
【0103】
3.4.第4変形例
第1実施形態において、第1間隔及び第2間隔は第2長さdx2であるが、0より大きく第2長さdx2未満であってもよい。
【0104】
3.5.第5変形例
第1実施形態において、複数の第1ヘッドチップ38Aのうち隣り合う2つの第1ヘッドチップ38Aに含まれるX1方向に配置された一方の第1ヘッドチップ38Aは、他方の第1ヘッドチップ38AよりもY2方向にずれて配置されるが、これに限らない。例えば、複数の第1ヘッドチップ38Aのうち隣り合う2つの第1ヘッドチップ38Aは、Y2方向にずれずに配置、すなわち、X1方向に見て全てが重なってもよい。
【0105】
3.6.第6変形例
第1実施形態において、1つの組UN内のヘッドチップ38同士のW1方向の間隔である第1距離は、隣り合う組UNのヘッドチップ38同士のW1方向の間隔である第2距離より短いが、これに限らない。例えば、第1距離は、第2距離と一致してもよいし、長くてもよい。
【0106】
3.7.第7変形例
上述した液体噴射装置100では、ヘッドモジュール3が固定されて媒体PPを搬送するだけで印刷を行う、所謂ライン型の液体噴射装置であるが、ライン型の記録装置の構成は上述したものに限定されない。例えば、上述の各態様は、ヘッドモジュール3又は複数の液体噴射ヘッド30をキャリッジに搭載して、当該ヘッドモジュール3又は複数の液体噴射ヘッド30をX軸方向に移動させるとともに、媒体PPを搬送して印刷を行う、所謂シリアル型の液体噴射装置にも適用できる。なお、シリアル型の液体噴射装置にも適用する場合には、第1実施形態におけるX軸方向を媒体PPの搬送方向として使用する。
【0107】
3.8.第8変形例
上述の各態様において、液体噴射ヘッド30は、インクを噴射するために圧力室CB内にエネルギーを発生させるエネルギー発生素子として、上述の各態様で用いた圧電素子PZqの替わりに発熱素子を有してもよい。
【0108】
3.9.第9変形例
上述の液体噴射装置は、印刷に専用される機器のほか、ファクシミリ装置及びコピー機等の各種の機器に採用され得る。もっとも、本発明の液体噴射装置の用途は印刷に限定されない。例えば、色材の溶液を噴射する液体噴射装置は、液晶表示装置のカラーフィルターを形成する製造装置として利用される。また、導電材料の溶液を噴射する液体噴射装置は、配線基板の配線及び電極を形成する製造装置として利用される。
【0109】
4.付記
以上に例示した形態から、例えば以下の構成が把握される。
【0110】
好適な態様である態様1に係る液体噴射ヘッドは、媒体へ向けて液体を第1方向へ噴射する複数のヘッドチップを備える液体噴射ヘッドであって、媒体の幅方向を第2方向とし、前記第1方向及び前記第2方向に直交する方向を第3方向とし、前記第1方向に垂直な方向且つ前記第2方向及び前記第3方向に交差する方向を第4方向とし、前記複数のヘッドチップは、前記第4方向に複数の第1ノズルが並んで構成される第1ノズル列を有する複数の第1ヘッドチップが前記第2方向に並んで配置された第1チップ群と、前記第4方向に複数の第2ノズルが並んで構成される第2ノズル列を有する複数の第2ヘッドチップが前記第2方向に並んで配置された第2チップ群と、を有し、前記第1チップ群は、前記第2チップ群に対して前記第3方向に並んで配置される。
態様1によれば、第1チップ群及び第2チップ群は、1つの液体噴射ヘッド内に配置されているため、第1チップ群及び第2チップ群が互いに異なる液体噴射ヘッド内に配置されている態様と比較して、第1チップ群及び第2チップ群の位置決め精度を向上できる。
【0111】
態様1の具体例である態様2において、前記第1チップ群及び前記第2チップ群は、前記第2方向に見て互いの一部が重複する。
態様2によれば、液体噴射ヘッドの第3方向におけるサイズを小さくできる。
【0112】
態様2の具体例である態様3において、前記複数の第2ヘッドチップのうち1つの第2ヘッドチップαは、前記複数の第1ヘッドチップのうち1つの第1ヘッドチップαの隣に位置し、且つ、前記第1ヘッドチップαよりも第2方向に位置し、前記第2ヘッドチップαは、前記複数の第1ヘッドチップのうち前記第1ヘッドチップαとは異なる1つの第1ヘッドチップβの隣に位置し、且つ、前記第1ヘッドチップβよりも前記第2方向とは反対方向に位置する。
【0113】
態様1から3のいずれか1つの態様の具体例である態様4において、前記第1チップ群及び前記第2チップ群は、前記複数の第1ヘッドチップ及び前記複数の第2ヘッドチップのうち隣り合う第1ヘッドチップ及び第2ヘッドチップを含む複数の組を有し、前記複数の組のうち同じ組において、前記第1ヘッドチップは、前記第2ヘッドチップの隣に位置し、且つ、前記第2ヘッドチップよりも第3方向に位置し、前記第1ノズル列のうち互いに隣り合う第1ノズルの中心同士の前記第2方向の間隔は、第1長さであり、前記第2ノズル列のうち互いに隣り合う第2ノズルの中心同士の前記第2方向の間隔は、前記第1長さであり、前記複数の組のうち同じ組に含まれる前記第1ノズル列と前記第2ノズル列とにおいて、前記第1ノズル列のうち最も前記第4方向に位置する第1ノズルの中心と、前記第2ノズル列のうち最も前記第4方向に位置する第2ノズルの中心との前記第2方向の第1間隔は、前記第1長さの半分である第2長さ以下であり、前記第1ノズル列のうち最も前記第4方向とは反対方向に位置する第1ノズルの中心と、前記第2ノズル列のうち最も前記第4方向とは反対方向に位置する第2ノズルの中心との前記第2方向の第2間隔は、前記第2長さ以下である。
第2長さが第1長さより長い態様では、高解像度印刷をする場合、第2方向において、1つのヘッドチップが実現する解像度よりも高解像度を実現できる部分と、高解像度を実現できない部分とが発生し、高解像度を実現できない部分のノズルが無駄になる。一方、態様4によれば、高解像度を実現できない部分が生じることを抑止できる。また、第2長さが第1長さより長い態様では、複数色印刷をする場合にも、第2方向において、複数色を実現できる部分と、複数色を実現できない部分とが発生し、複数色を実現できないノズルが無駄になる。一方、態様4によれば、複数色を実現できない部分が生じることを抑制できる。
【0114】
態様4の具体例である態様5において、前記第1間隔及び前記第2間隔は、前記第2長さである。
態様5によれば、第1インクと第2インクとが同一の色のインクである場合に、1つのヘッドチップが実現する解像度の2倍の解像度を実現できる。
【0115】
態様4の具体例である態様6において、前記第1間隔及び前記第2間隔は、0である。
態様6によれば、第1インクと第2インクとが互いに異なる色のインクである場合、態様6における液体噴射ヘッドは、第1間隔及び第2間隔が0より大きい態様と比較して、高画質の画像を形成できる。
【0116】
態様4から6のいずれか1つの態様の具体例である態様7において、前記複数の組は、隣り合う第1組及び第2組を含み、前記第1方向に垂直な方向で前記第4方向に直交する方向を第5方向とし、前記第1組に含まれる第1ヘッドチップと第2ヘッドチップとの前記第5方向の距離は、前記第1組に含まれる複数のヘッドチップのうち前記第1組に隣り合う第2組の最も近くに配置されたヘッドチップと前記第2組に含まれる複数のヘッドチップのうち前記第1組の最も近くに配置されたヘッドチップとの前記第5方向の距離よりも短い。
態様7によれば、媒体が第3方向に対して傾いて搬送される場合であっても、第1距離が第2距離以上である態様と比較して、ノズルから噴射される液滴の着弾精度を向上できる。
【0117】
態様1から7のいずれか1つの態様の具体例である態様8において、前記第4方向は、前記第2方向と前記第3方向との間の方向であり、前記複数の第1ヘッドチップのうち隣り合う2つの第1ヘッドチップに含まれる前記第2方向に配置された一方の第1ヘッドチップは、他方の第1ヘッドチップよりも前記第3方向にずれて配置され、前記複数の第2ヘッドチップのうち隣り合う2つの第2ヘッドチップに含まれる前記第2方向に配置された一方の第2ヘッドチップは、他方の第2ヘッドチップよりも前記第3方向にずれて配置される。
態様8によれば、複数の液体噴射ヘッドを第2方向に並べて配置する場合に、複数の第1ヘッドチップが第2方向に並んで配置される態様と比較して、液体噴射ヘッド間の第3方向で重なるノズルNの個数を維持しつつ、複数の液体噴射ヘッドの間の距離を長くできる。
【0118】
好適な態様である態様9に係る液体噴射ヘッドは、態様1から8のいずれか1項に記載の液体噴射ヘッドと、前記媒体を搬送する搬送部と、を備える。
態様9によれば、第1チップ群及び第2チップ群の位置決め精度を向上できる液体噴射装置を提供できる。
【0119】
好適な態様である態様10に係る液体噴射ヘッドは、態様1から8のいずれか1項に記載の複数の液体噴射ヘッドが前記第2方向に並んで設けられたラインヘッドを備える。
態様10によれば、第1チップ群及び第2チップ群の位置決め精度を向上できる複数の液体噴射ヘッドが並んで設けられたラインヘッドを有する液体噴射装置を提供できる。
【符号の説明】
【0120】
1…液体噴射装置、3…ヘッドモジュール、13…ヘッド固定基板、15…取付孔、30,30a,30b,30c,30d…液体噴射ヘッド、31…筐体、32…カバー基板、33…集合基板、34…流路構造体、35…配線基板、37…ホルダー、38,38A,38Ab,38B,38Bb,38_1,38_2,38_3,38_4,38_5,38_6,38a,38a_1,38a_2,38a_3,38a_4,38a_5,38a_6,38b,38b_1,38b_2,38b_3,38b_4,38b_5,38b_6,38c,38c_1,38c_2,38c_3,38c_4,38c_5,38c_6…ヘッドチップ、39,39a,39d…固定板、90…制御装置、92…搬送機構、93…液体容器、94…循環機構、100…液体噴射装置、311i1,311i2…供給用孔、312o1,312o2…排出用孔、313…集合基板用孔、341i1,341i2,341o1,341o2…接続管、343…コネクター用孔、351…開口部、352…切り欠き部、355…コネクター、357…開口部、358…切り欠き部、371…開口部、373,373i1,373i2,373o_1,373o_2,373o_3,373o_4,373o_5,373o_6…接続管、382…連通板、383…圧力室基板、384…振動板、385…ケース、387…ノズルプレート、388…配線部材、391…露出開口部、392…温度センサー、3850…開口、3851…導入口、3852…導出口、3861…コンプライアンス基板、3861a…可撓膜、3861b…支持板、3884…駆動回路、CB,CB1,CB2…圧力室、CG1,CGa1,CGb1…第1チップ群、CG2,CGa2,CGb2…第2チップ群、Com…駆動信号、Du1…流路部材、Du2…流路部材、FN…ノズル面、G1,G2,Ga1,Ga2…重心、Ln,Ln1,Ln2,LnA,LnAb,LnB,LnBb…ノズル列、MN1…供給側共通液室、MN2…排出側共通液室、NA,NA1,NA1c,NA1c1,NA1c3,NA2c,NA2c1,NA2c3,NA3,NAa1,NAb,NAb1,NAb3,NB,NB1c,NB1c2,NB1c4,NB2,NB2c,NB2c2,NB2c4,NB4,NBa2,NBb,NBb2,NBb4…ノズル、OL1,OL2…仮想直線、PP…媒体、PZ1,PZ2,PZq…圧電素子、RA1…供給液室、RA2…排出液室、RB1…供給液室、RB2…排出液室、RK1,RK2…連通流路、RN…ノズル流路、RR1,RR2…連通流路、RX1,RX2…連通流路、SI…制御信号、SR1,SR2,SR3,SR4…領域、Su1,Su2,Su3…流路プレート、UN1,UN2,UN3,UNb1,UNb2…組、XR1,XR2,XR3…部分。