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7639429液体吐出装置、廃液回収ユニット及び廃液回収方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-02-25
(45)【発行日】2025-03-05
(54)【発明の名称】液体吐出装置、廃液回収ユニット及び廃液回収方法
(51)【国際特許分類】
   B41J 2/17 20060101AFI20250226BHJP
   B41J 2/165 20060101ALI20250226BHJP
   B41J 2/01 20060101ALI20250226BHJP
【FI】
B41J2/17 203
B41J2/17 207
B41J2/165 203
B41J2/01 301
B41J2/01 305
B41J2/01 105
B41J2/01 103
【請求項の数】 31
(21)【出願番号】P 2021045257
(22)【出願日】2021-03-18
(65)【公開番号】P2022073884
(43)【公開日】2022-05-17
【審査請求日】2024-02-22
(31)【優先権主張番号】P 2020181062
(32)【優先日】2020-10-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】山田 克己
(72)【発明者】
【氏名】山嵜 貴俊
【審査官】長田 守夫
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-106375(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2005/0128241(US,A1)
【文献】特開2000-85144(JP,A)
【文献】特開平10ー24613(JP,A)
【文献】特開2012-91408(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 2/01-2/215
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被記録材に液体を吐出する吐出ヘッドと、
前記吐出ヘッドと対向して設けられ、前記被記録材を下方から支持する支持部と、
前記支持部に支持された前記被記録材の端部の外側へ前記吐出ヘッドから打ち捨てられた液体を廃液として吸収する第1吸収部材と、
前記吐出ヘッドから排出される液体を廃液として受容する廃液受容部と、
前記廃液受容部から送られた廃液を吸収する第2吸収部材と、
前記第2吸収部材を保持する収容部と、
前記第1吸収部材と前記第2吸収部材との間の液体の受け渡しを行う受渡し部と
を有し、
前記収容部が装置本体に挿着された状態において、前記受渡し部は、前記第1吸収部材から前記第2吸収部材に向かって下り傾斜しており、前記収容部を前記装置本体から取り外したときの前記受渡し部の傾斜は、挿着された状態に対して異なり、前記収容部が前記装置本体に挿着されたときの前記第1吸収部材から前記第2吸収部材に向かう下り傾斜よりも勾配が小さな下り傾斜か、水平か、前記第1吸収部材から前記第2吸収部材に向かう上り傾斜のうちのいずれかであることを特徴とする液体吐出装置。
【請求項2】
被記録材に液体を吐出する吐出ヘッドと、
前記吐出ヘッドと対向して設けられ、前記被記録材を下方から支持する支持部と、
前記支持部に支持された前記被記録材の端部の外側へ前記吐出ヘッドから打ち捨てられた液体を廃液として吸収する第1吸収部材と、
前記吐出ヘッドから排出される液体を廃液として受容する廃液受容部と、
前記廃液受容部から送られた廃液を吸収する第2吸収部材と、
前記第2吸収部材を保持する収容部と、
前記第1吸収部材と前記第2吸収部材との間の液体の受け渡しを行う受渡し部と、
前記吐出ヘッドから液体を前記廃液受容部に強制的に排出させるメンテナンス装置と
を有し、
前記収容部が装置本体に挿着された状態において、前記受渡し部は、前記第1吸収部材から前記第2吸収部材に向かって下り傾斜しており、前記収容部を前記装置本体から取り外したときの前記受渡し部の傾斜は、挿着された状態に対して異なり、
前記収容部が前記装置本体に挿着された状態において、前記メンテナンス装置の動力を使って、前記受渡し部が、取り外し状態にあるときの前記傾斜の異なる姿勢から、前記第1吸収部材から前記第2吸収部材に向かって下る下り傾斜に変更されることを特徴とする液体吐出装置。
【請求項3】
被記録材に液体を吐出する吐出ヘッドと、
前記吐出ヘッドと対向して設けられ、前記被記録材を下方から支持する支持部と、
前記支持部に支持された前記被記録材の端部の外側へ前記吐出ヘッドから打ち捨てられた液体を廃液として吸収する第1吸収部材と、
前記吐出ヘッドから排出される液体を廃液として受容する廃液受容部と、
前記廃液受容部から送られた廃液を吸収する第2吸収部材と、
前記第2吸収部材を保持する収容部と、
前記第1吸収部材と前記第2吸収部材との間の液体の受け渡しを行う受渡し部と
前記第1吸収部材と前記第2吸収部材との間の前記受渡し部による液体の受け渡しを一時的に遮断可能な遮断部とを有し、
前記収容部が装置本体に挿着された状態において、前記受渡し部は、前記第1吸収部材から前記第2吸収部材に向かって下り傾斜しており、前記収容部を前記装置本体から取り外したときの前記受渡し部の傾斜は、挿着された状態に対して異なり、
前記遮断部は、前記受渡し部の傾斜を、前記第1吸収部材から前記第2吸収部材に向かって下る下り傾斜から、前記第1吸収部材から前記第2吸収部材に向かって上る上り傾斜に変更することを特徴とする液体吐出装置。
【請求項4】
前記吐出ヘッドから液体を前記廃液受容部に強制的に排出させるメンテナンス装置を備え、
前記遮断部は、前記メンテナンス装置の動力を使って駆動されることを特徴とする請求項に記載の液体吐出装置。
【請求項5】
被記録材に液体を吐出する吐出ヘッドと、
前記吐出ヘッドと対向して設けられ、前記被記録材を下方から支持する支持部と、
前記支持部に支持された前記被記録材の端部の外側へ前記吐出ヘッドから打ち捨てられた液体を廃液として吸収する第1吸収部材と、
前記吐出ヘッドから排出される液体を廃液として受容する廃液受容部と、
前記廃液受容部から送られた廃液を吸収する第2吸収部材と、
前記第2吸収部材を保持する収容部と、
前記第1吸収部材と前記第2吸収部材との間の液体の受け渡しを行う受渡し部と
廃液を受ける廃液受け部と
を有し、
前記収容部が装置本体に挿着された状態において、前記受渡し部は、前記第1吸収部材から前記第2吸収部材に向かって下り傾斜しており、前記収容部を前記装置本体から取り外したときの前記受渡し部の傾斜は、挿着された状態に対して異なり、前記収容部が前記装置本体に挿着されたときの前記第1吸収部材から前記第2吸収部材に向かう下り傾斜よりも勾配が大きな下り傾斜であって、かつ、前記受渡し部の先端が前記廃液受け部の上方に位置する傾斜であることを特徴とする液体吐出装置。
【請求項6】
前記第2吸収部材は、前記第1吸収部材よりも低くに位置することを特徴とする請求項1~請求項5のいずれか一項に記載の液体吐出装置。
【請求項7】
前記受渡し部は、前記収容部が前記装置本体に挿着された状態において、前記収容部に対し挿着方向における位置が少なくとも一部でオーバーラップしていることを特徴とする請求項1~請求項のいずれか一項に記載の液体吐出装置。
【請求項8】
前記収容部の挿着過程または取り外し過程で、前記受渡し部と係合して当該受渡し部が傾斜する向きを変更させるカム機構を備えることを特徴とする請求項1~請求項のいずれか一項に記載の液体吐出装置。
【請求項9】
前記受渡し部は、前記収容部の挿着時の傾斜から前記収容部の抜取時の傾斜へ向かう方向に付勢されていることを特徴とする請求項1~請求項のいずれか一項に記載の液体吐出装置。
【請求項10】
前記受渡し部の内底面には溝があることを特徴とする請求項1~請求項のいずれか一項に記載の液体吐出装置。
【請求項11】
前記第1吸収部材は、前記吐出ヘッドから打ち捨てられた液体を廃液として吸収する部分と、当該部分と液体の受け渡しが可能に接続された拡張吸収部材とを備え、
前記受渡し部は、前記拡張吸収部材と前記第2吸収部材との間の液体の受け渡しを行うことを特徴とする請求項1~請求項10のいずれか一項に記載の液体吐出装置。
【請求項12】
前記受渡し部は、前記収容部が前記装置本体に挿着された状態において、液体を受け渡し可能に構成されることを特徴とする請求項1~請求項11のいずれか一項に記載の液体吐出装置。
【請求項13】
電子部品が実装された基板を備え、
前記第2吸収部材と前記基板は、前記第1吸収部材を挟んで、対向配置されていることを特徴とする請求項1~請求項12のいずれか一項に記載の液体吐出装置。
【請求項14】
前記吐出ヘッドに液体を供給する液体供給源と、
前記吐出ヘッドから液体を前記廃液受容部に強制的に排出させるメンテナンス装置とを備え、
前記第2吸収部材が、前記メンテナンス装置または前記液体供給源の下方に配置されることを特徴とする請求項1~請求項13のいずれか一項に記載の液体吐出装置。
【請求項15】
前記吐出ヘッドに液体を供給する液体供給源と、
前記吐出ヘッドから液体を前記廃液受容部に強制的に排出させるメンテナンス装置を備え、
前記第2吸収部材は、前記メンテナンス装置または前記液体供給源から飛散した液体を吸収する機能を有することを特徴とする請求項1~請求項14のいずれか一項に記載の液体吐出装置。
【請求項16】
前記吐出ヘッドの下方の位置において前記被記録材を収容するカセットと、
前記カセットに収容された前記被記録材を1枚ずつ前記吐出ヘッドの記録位置に向かって給送する第1給送部とを備え、
前記第2吸収部材が前記第1給送部の下方に一部オーバーラップして配置されることを特徴とする請求項1~請求項15のいずれか一項に記載の液体吐出装置。
【請求項17】
前記被記録材を前記吐出ヘッドの記録位置に向かって反転部を経由せずに給送する第2給送部を備え、
前記第2吸収部材が前記第2給送部の下方にオーバーラップして配置されることを特徴とする請求項1~請求項16のいずれか一項に記載の液体吐出装置。
【請求項18】
前記吐出ヘッドにより第1面の記録を終えた前記被記録材を前記吐出ヘッドよりも搬送方向の上流側へスイッチバック搬送させ、当該被記録材を前記第1面と反対側の面である第2面が前記吐出ヘッドと対向可能な向きに反転させる反転部を備え、
前記第2吸収部材は、前記反転部の下方に一部オーバーラップして配置されることを特徴とする請求項1~請求項17のいずれか一項に記載の液体吐出装置。
【請求項19】
前記吐出ヘッドに電力を供給する電源ユニットを備え、
前記第2吸収部材と前記電源ユニットは、前記第1吸収部材を挟んで、対向配置されることを特徴とする請求項1~請求項18のいずれか一項に記載の液体吐出装置。
【請求項20】
前記第1吸収部材を保持する収容部の底面が、前記第2吸収部材に向かう方向に下り傾斜していることを特徴とする請求項1~請求項19のいずれか一項に記載の液体吐出装置。
【請求項21】
前記収容部は、メンテナンス装置と接続されるチューブの先端部に接続された結合部と結合可能な被結合部と、
前記被結合部と同じ側の先端部の上方に設けられた飛散防止壁とを有することを特徴とする請求項1~請求項20のいずれか一項に記載の液体吐出装置。
【請求項22】
前記被結合部と結合した前記結合部の先端は、前記第2吸収部材と一部接触することを特徴とする請求項21に記載の液体吐出装置。
【請求項23】
前記装置本体に挿着された前記収容部を覆うカバーと、
前記収容部と前記カバーとの間に設けられ、前記カバーが閉じられたときに前記収容部を挿着方向に付勢する付勢部材とを備えたことを特徴とする請求項1~請求項22のいずれか一項に記載の液体吐出装置。
【請求項24】
被記録材を支持する支持部と、前記被記録材に液体を吐出する吐出ヘッドと、前記支持部に支持された前記被記録材の端部の外側へ前記吐出ヘッドから打ち捨てられた液体を吸収する第1吸収部材と、前記吐出ヘッドから排出される液体を廃液として受容する廃液受容部とを備えた液体吐出装置の装置本体に対して着脱可能に挿着される廃液回収ユニットであって、
前記廃液回収ユニットは、
前記廃液受容部から送られた廃液を吸収する第2吸収部材と、
前記第2吸収部材を保持する収容部と、
前記第1吸収部材と前記第2吸収部材との間の液体の受け渡しを行う受渡し部と
を備え、
前記収容部が前記装置本体に挿着された状態では、前記第2吸収部材は、前記廃液受容部からの廃液を吸収可能に接続され、かつ前記受渡し部は、前記第1吸収部材から前記第2吸収部材に向かって下り傾斜しており、
前記収容部を前記装置本体から取り外した状態では、前記第2吸収部材は、前記廃液受容部からの廃液を吸収可能な接続が解除されるとともに、前記受渡し部の傾斜は、前記収容部が前記装置本体に挿着された状態に対して異なり、前記収容部が前記装置本体に挿着されたときの前記第1吸収部材から前記第2吸収部材に向かう下り傾斜よりも勾配が小さな下り傾斜か、水平か、前記第1吸収部材から前記第2吸収部材に向かう上り傾斜のうちのいずれかであることを特徴とする廃液回収ユニット。
【請求項25】
被記録材を支持する支持部と、前記被記録材に液体を吐出する吐出ヘッドと、前記支持部に支持された前記被記録材の端部の外側へ前記吐出ヘッドから打ち捨てられた液体を吸収する第1吸収部材と、前記吐出ヘッドから排出される液体を廃液として受容する廃液受容部と、前記吐出ヘッドから液体を前記廃液受容部に強制的に排出させるメンテナンス装置とを備えた液体吐出装置の装置本体に対して着脱可能に挿着される廃液回収ユニットであって、
前記廃液回収ユニットは、
前記廃液受容部から送られた廃液を吸収する第2吸収部材と、
前記第2吸収部材を保持する収容部と、
前記第1吸収部材と前記第2吸収部材との間の液体の受け渡しを行う受渡し部と
を備え、
前記収容部が前記装置本体に挿着された状態では、前記第2吸収部材は、前記廃液受容部からの廃液を吸収可能に接続され、かつ前記受渡し部は、前記第1吸収部材から前記第2吸収部材に向かって下り傾斜しており、
前記収容部を前記装置本体から取り外した状態では、前記第2吸収部材は、前記廃液受容部からの廃液を吸収可能な接続が解除されるとともに、前記受渡し部の傾斜は、前記収容部が前記装置本体に挿着された状態に対して異なり、
前記収容部が前記装置本体に挿着された状態において、前記メンテナンス装置の動力を使って、前記受渡し部が、取り外し状態にあるときの前記傾斜の異なる姿勢から、前記第1吸収部材から前記第2吸収部材に向かって下る下り傾斜に変更されることを特徴とする廃液回収ユニット。
【請求項26】
被記録材を支持する支持部と、前記被記録材に液体を吐出する吐出ヘッドと、前記支持部に支持された前記被記録材の端部の外側へ前記吐出ヘッドから打ち捨てられた液体を吸収する第1吸収部材と、前記吐出ヘッドから排出される液体を廃液として受容する廃液受容部とを備えた液体吐出装置の装置本体に対して着脱可能に挿着される廃液回収ユニットであって、
前記廃液回収ユニットは、
前記廃液受容部から送られた廃液を吸収する第2吸収部材と、
前記第2吸収部材を保持する収容部と、
前記第1吸収部材と前記第2吸収部材との間の液体の受け渡しを行う受渡し部と
前記受渡し部による液体の受け渡しを一時的に遮断可能な遮断部と
を備え、
前記収容部が前記装置本体に挿着された状態では、前記第2吸収部材は、前記廃液受容部からの廃液を吸収可能に接続され、かつ前記受渡し部は、前記第1吸収部材から前記第2吸収部材に向かって下り傾斜しており、
前記収容部を前記装置本体から取り外した状態では、前記第2吸収部材は、前記廃液受容部からの廃液を吸収可能な接続が解除されるとともに、前記受渡し部の傾斜は、前記収容部が前記装置本体に挿着された状態に対して異なり、
前記遮断部は、前記受渡し部の傾斜を、前記第1吸収部材から前記第2吸収部材に向かって下る下り傾斜から、前記第1吸収部材から前記第2吸収部材に向かって上る上り傾斜に変更することを特徴とする廃液回収ユニット。
【請求項27】
被記録材を支持する支持部と、前記被記録材に液体を吐出する吐出ヘッドと、前記支持部に支持された前記被記録材の端部の外側へ前記吐出ヘッドから打ち捨てられた液体を吸収する第1吸収部材と、前記吐出ヘッドから排出される液体を廃液として受容する廃液受容部と、廃液を受ける廃液受け部とを備えた液体吐出装置の装置本体に対して着脱可能に挿着される廃液回収ユニットであって、
前記廃液回収ユニットは、
前記廃液受容部から送られた廃液を吸収する第2吸収部材と、
前記第2吸収部材を保持する収容部と、
前記第1吸収部材と前記第2吸収部材との間の液体の受け渡しを行う受渡し部と
を備え、
前記収容部が前記装置本体に挿着された状態では、前記第2吸収部材は、前記廃液受容部からの廃液を吸収可能に接続され、かつ前記受渡し部は、前記第1吸収部材から前記第2吸収部材に向かって下り傾斜しており、
前記収容部を前記装置本体から取り外した状態では、前記第2吸収部材は、前記廃液受容部からの廃液を吸収可能な接続が解除されるとともに、前記受渡し部の傾斜は、前記収容部が前記装置本体に挿着された状態に対して異なり、前記収容部が前記装置本体に挿着されたときの前記第1吸収部材から前記第2吸収部材に向かう下り傾斜よりも勾配が大きな下り傾斜であって、かつ、前記受渡し部の先端が前記廃液受け部の上方に位置する傾斜であることを特徴とする廃液回収ユニット。
【請求項28】
被記録材を支持する支持部と、前記被記録材に液体を吐出する吐出ヘッドと、前記支持部に支持された前記被記録材の端部の外側に前記吐出ヘッドから打ち捨てられた液体を吸収する第1吸収部材と、前記吐出ヘッドから排出された液体を廃液として受容する廃液受容部から送られる当該廃液を吸収する第2吸収部材と、前記第2吸収部材を保持する収容部と、前記第1吸収部材と前記第2吸収部材との間の液体の受け渡しを行う受渡し部とを備える液体吐出装置において前記廃液を回収する廃液回収方法であって、
前記収容部を装置本体に対して着脱可能に設け、
前記収容部が前記装置本体に挿着されると、前記第2吸収部材は、前記廃液受容部から送られる廃液を吸収可能に廃液流路と接続されるとともに、前記受渡し部は、前記第1吸収部材から前記第2吸収部材に向かって下り傾斜することと、
前記収容部が前記装置本体から取り外しされると、前記第2吸収部材は、前記廃液受容部の廃液流路との接続が解除されるとともに、前記受渡し部は、前記収容部が前記装置本体に挿着された状態における下り傾斜から、当該下り傾斜と異なり、当該下り傾斜よりも勾配が小さな下り傾斜か、水平か、前記第1吸収部材から前記第2吸収部材に向かう上り傾斜のうちいずれかの傾斜に変更されることと、を含むことを特徴とする廃液回収方法。
【請求項29】
被記録材を支持する支持部と、前記被記録材に液体を吐出する吐出ヘッドと、前記支持部に支持された前記被記録材の端部の外側に前記吐出ヘッドから打ち捨てられた液体を吸収する第1吸収部材と、前記吐出ヘッドから排出された液体を廃液として受容する廃液受容部から送られる当該廃液を吸収する第2吸収部材と、前記第2吸収部材を保持する収容部と、前記第1吸収部材と前記第2吸収部材との間の液体の受け渡しを行う受渡し部と、前記吐出ヘッドから液体を前記廃液受容部に強制的に排出させるメンテナンス装置とを備える液体吐出装置において前記廃液を回収する廃液回収方法であって、
前記収容部を装置本体に対して着脱可能に設け、
前記収容部が前記装置本体に挿着されると、前記第2吸収部材は、前記廃液受容部から送られる廃液を吸収可能に廃液流路と接続されるとともに、前記受渡し部は、前記第1吸収部材から前記第2吸収部材に向かって下り傾斜することと、
前記収容部が前記装置本体から取り外しされると、前記第2吸収部材は、前記廃液受容部の廃液流路との接続が解除されるとともに、前記受渡し部は、前記収容部が前記装置本体に挿着された状態における下り傾斜から、当該下り傾斜と異なる傾斜に変更されることと、を含み、
前記収容部が前記装置本体に挿着された状態において、前記メンテナンス装置の動力を使って、前記受渡し部が、取り外し状態にあるときの前記傾斜の異なる姿勢から、前記第1吸収部材から前記第2吸収部材に向かって下る下り傾斜に変更されることを含むことを特徴とする廃液回収方法。
【請求項30】
被記録材を支持する支持部と、前記被記録材に液体を吐出する吐出ヘッドと、前記支持部に支持された前記被記録材の端部の外側に前記吐出ヘッドから打ち捨てられた液体を吸収する第1吸収部材と、前記吐出ヘッドから排出された液体を廃液として受容する廃液受容部から送られる当該廃液を吸収する第2吸収部材と、前記第2吸収部材を保持する収容部と、前記第1吸収部材と前記第2吸収部材との間の液体の受け渡しを行う受渡し部と、前記第1吸収部材と前記第2吸収部材との間の前記受渡し部による液体の受け渡しを一時的に遮断可能な遮断部とを備える液体吐出装置において前記廃液を回収する廃液回収方法であって、
前記収容部を装置本体に対して着脱可能に設け、
前記収容部が前記装置本体に挿着されると、前記第2吸収部材は、前記廃液受容部から送られる廃液を吸収可能に廃液流路と接続されるとともに、前記受渡し部は、前記第1吸収部材から前記第2吸収部材に向かって下り傾斜することと、
前記収容部が前記装置本体から取り外しされると、前記第2吸収部材は、前記廃液受容部の廃液流路との接続が解除されるとともに、前記受渡し部は、前記収容部が前記装置本体に挿着された状態における下り傾斜から、当該下り傾斜と異なる傾斜に変更されることと、
前記遮断部が、前記受渡し部の傾斜を、前記第1吸収部材から前記第2吸収部材に向かって下る下り傾斜から、前記第1吸収部材から前記第2吸収部材に向かって上る上り傾斜に変更することと、を含むことを特徴とする廃液回収方法。
【請求項31】
被記録材を支持する支持部と、前記被記録材に液体を吐出する吐出ヘッドと、前記支持部に支持された前記被記録材の端部の外側に前記吐出ヘッドから打ち捨てられた液体を吸収する第1吸収部材と、前記吐出ヘッドから排出された液体を廃液として受容する廃液受容部から送られる当該廃液を吸収する第2吸収部材と、前記第2吸収部材を保持する収容部と、前記第1吸収部材と前記第2吸収部材との間の液体の受け渡しを行う受渡し部と、廃液を受ける廃液受け部とを備える液体吐出装置において前記廃液を回収する廃液回収方法であって、
前記収容部を装置本体に対して着脱可能に設け、
前記収容部が前記装置本体に挿着されると、前記第2吸収部材は、前記廃液受容部から送られる廃液を吸収可能に廃液流路と接続されるとともに、前記受渡し部は、前記第1吸収部材から前記第2吸収部材に向かって下り傾斜することと、
前記収容部が前記装置本体から取り外しされると、前記第2吸収部材は、前記廃液受容部の廃液流路との接続が解除されるとともに、前記受渡し部は、前記収容部が前記装置本体に挿着された状態における下り傾斜から、当該下り傾斜と異なり、当該下り傾斜よりも勾配が大きな下り傾斜であって、かつ、前記受渡し部の先端が前記廃液受け部の上方に位置する傾斜に変更されることと、を含むことを特徴とする廃液回収方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、媒体を搬送する搬送部と、媒体を支持する支持部と、支持部に支持された媒体に記録する吐出ヘッドとを備えた液体吐出装置、廃液回収ユニット及び廃液回収方法に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1には、媒体にインク等の液体を吐出する吐出ヘッドを備えた液体吐出装置が開示されている。この種の液体吐出装置には、吐出ヘッドのノズルからインク等の液体を強制的に排出するメンテナンス装置が設けられている。液体吐出装置は、メンテナンス装置により吐出ヘッドから排出されたインク等の廃液が回収される廃液吸収体を備える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2019-119136号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載された液体吐出装置では、廃液吸収体を交換する手段が示されているが、廃液吸収体を交換する際に、装置本体(ボトムフレーム)からチューブを離間したとき、チューブの先端から廃液が漏れ出る可能性がある。すなわち、廃液吸収体などの吸収部材の交換時に、離間した部分から漏れた廃液が周囲の部品等を汚す可能性があるという課題がある。なお、チューブが装置本体に固定された構成であっても、廃液吸収体を装置本体から取り外した際に、それまで廃液吸収体へ廃液を受け渡していた装置本体側の受渡し流路(チューブに限らない)から廃液が漏れる可能性があった。この場合も、その漏れた廃液が周囲の部品等を汚す可能性があるという同様の課題がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決する液体吐出装置は、被記録材に液体を吐出する吐出ヘッドと、前記吐出ヘッドと対向して設けられ、前記被記録材を下方から支持する支持部と、前記支持部に支持された前記被記録材の端部の外側へ前記吐出ヘッドから打ち捨てられた液体を廃液として吸収する第1吸収部材と、前記吐出ヘッドから排出される液体を廃液として受容する廃液受容部と、前記第1吸収部材と前記第2吸収部材との間の液体の受け渡しを行う受渡し部とを有し、前記収容部が装置本体に挿着された状態において、前記受渡し部は、前記第1吸収部材から前記第2吸収部材に向かって下り傾斜しており、前記収容部を前記装置本体から取り外したときの前記受渡し部の傾斜は、挿着された状態に対して異なる。
【0006】
上記課題を解決する廃液回収ユニットは、被記録材を支持する支持部と、前記被記録材に液体を吐出する吐出ヘッドと、前記支持部に支持された前記被記録材の端部の外側へ前記吐出ヘッドから打ち捨てられた液体を吸収する第1吸収部材と、前記吐出ヘッドから排出される液体を廃液として受容する廃液受容部とを備えた液体吐出装置の装置本体に対して着脱可能に挿着される廃液回収ユニットであって、前記廃液回収ユニットは、前記廃液受容部から送られた廃液を吸収する第2吸収部材と、前記第2吸収部材を保持する収容部と、前記第1吸収部材と前記第2吸収部材との間の液体の受け渡しを行う受渡し部とを備え、前記収容部が前記装置本体に挿着された状態では、前記第2吸収部材は、前記廃液受容部からの廃液を吸収可能に接続され、かつ前記受渡し部は、前記第1吸収部材から前記第2吸収部材に向かって下り傾斜しており、前記収容部を前記装置本体から取り外した状態では、前記第2吸収部材は、前記廃液受容部からの廃液を吸収可能な接続が解除されるとともに、前記受渡し部の傾斜は、前記収容部が前記装置本体に挿着された状態に対して異なる。
【0007】
上記課題を解決する廃液回収方法は、被記録材を支持する支持部と、前記被記録材に液体を吐出する吐出ヘッドと、前記支持部に支持された前記被記録材の端部の外側に前記吐出ヘッドから打ち捨てられた液体を吸収する第1吸収部材と、前記吐出ヘッドから排出された液体を廃液として受容する廃液受容部から送られる当該廃液を吸収する第2吸収部材と、前記第2吸収部材を保持する収容部と、前記第1吸収部材と前記第2吸収部材との間の液体の受け渡しを行う受渡し部とを備える液体吐出装置において前記廃液を回収する廃液回収方法であって、前記収容部を装置本体に対して着脱可能に設け、前記収容部が前記装置本体に挿着されると、前記第2吸収部材は、前記廃液受容部から送られる廃液を吸収可能に廃液流路と接続されるとともに、前記受渡し部は、前記第1吸収部材から前記第2吸収部材に向かって下り傾斜することと、前記収容部が前記装置本体から取り外しされると、前記第2吸収部材は、前記廃液受容部の廃液流路との接続が解除されるとともに、前記受渡し部は、前記収容部が前記装置本体に挿着された状態における下り傾斜と異なる傾斜に変更されることと、を含む。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】第1実施形態における記録装置の斜視図。
図2】記録装置を示す背面斜視図。
図3】給送トレイがセット状態とされた記録装置を示す背面斜視図。
図4図3の状態から更に廃液ボックスカバーを開けた状態にある記録装置を示す背面斜視図。
図5】廃液回収ユニットを取り出した状態にある記録装置の背面斜視図。
図6】筐体を取り外した状態にある記録装置を示す平面図。
図7図6の7-7線矢視における記録装置を示す側断面図。
図8図6の8-8線矢視における記録装置を示す側断面図。
図9】記録系を含む上部を取り外した記録装置を示す斜視図。
図10】受渡し機構を示す拡大斜視図。
図11】廃液回収ユニットおよび受渡し機構を示す背断面図。
図12】受渡し機構による廃液の受渡しを遮断していない遮断機構を示す斜視図。
図13】遮断機構を示す拡大斜視図。
図14】受渡し機構による廃液の受渡しを遮断している遮断機構を示す斜視図。
図15】廃液回収系を見える状態とした記録装置の一部を示す平面図。
図16図6の16-16線矢視における打捨て吸収部材の一部を示す正断面図。
図17】メンテナンス装置と廃液回収ユニットの一部を示す斜視図。
図18】廃液回収ユニットが着脱される装置本体側との接続部を示す斜視図。
図19図17の19-19線矢視における廃液回収ユニットと結合部との結合箇所周辺を示す側断面図。
図20】廃液回収ユニットを押込み方向に付勢する機構を示す部分斜視図。
図21】第2実施形態における廃液回収系を見える状態とした記録装置の一部を示す平面図。
図22】記録系を含む上部を取り外した記録装置を前側から見た斜視図。
図23】記録系を含む上部を取り外した記録装置を後側から見た斜視図。
図24】接続状態にある受渡し部を示す斜視図。
図25】非接続状態にある受渡し部を示す斜視図。
図26】第2受渡し機構と廃液回収ユニットを示す側断面図。
図27】第2受渡し機構と廃液回収ユニットを示す側断面図。
図28】第2受渡し機構と廃液回収ユニットを示す側断面図。
図29】第2受渡し機構と廃液回収ユニットを示す側断面図。
図30】第3実施形態における受渡し部と液廃液回収ユニットを示す側断面図。
図31】第4実施形態における受渡し部と液廃液回収ユニットを示す側断面図。
図32】第5実施形態における廃液回収ユニットを取り外した状態にある記録装置を示す斜視図。
図33】第6実施形態の記録装置を示す斜視図。
図34】廃液ボックスを取り外した状態にある記録装置を示す斜視図。
図35】第7実施形態における廃液回収ユニットを取り外した状態にある記録装置を示す背面斜視図。
図36】第8実施形態におけるファンを有する廃液ユニットを示す部分斜視図。
図37】第9実施形態における拡張吸収部材を含む廃液ユニットを示す平面図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
(第1実施形態)
以下、液体吐出装置の一例である記録装置11に係る第1実施形態について、図面を参照して説明する。図1では、記録装置11が水平面上に置かれているものとして、互いに直交する3つの仮想軸を、X軸、Y軸及びZ軸とする。X軸は後述する吐出ヘッド25の走査方向と平行な仮想軸であり、Y軸は記録時の媒体の搬送方向と平行な仮想軸である。また、Z軸は鉛直方向Zと平行な仮想軸である。X軸と平行な両方向が、吐出ヘッド25を含む記録部23が往復走査される方向を指す。そのため、記録部23が走査される方向を「走査方向X」ともいう。また、Y軸と平行な一方向が、吐出ヘッド25が媒体Mに記録する記録位置における媒体Mの搬送方向を指す。そのため、記録位置における媒体Mの搬送方向を「搬送方向Y」ともいう。なお、Y軸において記録装置11における後述する表示部14が配置される面側を前とし、前とは反対側を後という。また、媒体Mが搬送される搬送経路は全域においてY軸と平行である訳ではなく、搬送経路上の媒体Mの位置に応じて搬送方向は変化する。
【0010】
<記録装置の構成>
図1に示す記録装置11は、シリアル記録方式のインクジェットプリンターである。図1に示すように、記録装置11は、装置本体12と、装置本体12の上部に開閉可能に設けられたカバー13とを備える。装置本体12は、記録に係る各種の機構を収容する筐体12Aを備える。記録装置11は、全体として略直方体状をなしている。本例の記録装置11は、装置本体12の上部に画像読取装置30(スキャナー)を備える複合機である。カバー13は、画像読取装置30に原稿をセットするときに開閉される。カバー13を開けると、画像読取装置30に原稿がセットされるガラス板を有する原稿台31(図7参照)が露出する。
【0011】
図1に示すように、記録装置11は、前面に表示部14を備える。表示部14は、例えば、タッチパネルで構成され、ユーザーが記録装置11に指示を与えるために操作されるインターフェイス機能の一部を構成する。表示部14は、例えば、タッチパネルで構成され、記録装置11に対する各種の指示を与えるときに操作される操作機能と、各種メニューおよび記録装置11の動作状況などを表示する表示機能とを有する。表示部14は、幅方向X(左右方向)を軸として回動可能に装置本体12に取り付けられている。また、装置本体12の前面には、電源ボタン15が設けられている。なお、記録装置11は、タッチパネル機能を有しない表示部14と、スイッチ式の操作部とを備えてもよい。
【0012】
また、装置本体12の前部右側には、1つまたは複数(本実施形態では6つ)の液体供給源17が設けられている。液体供給源17は、例えば、インクタンクまたはインクカートリッジにより構成される。各液体供給源17は対応する1つまたは複数(本実施形態では6つ)の透明な窓部18を有する。窓部18は、透明もしくは半透明の樹脂製であり、ユーザーは窓部18を通じて液体供給源17に収容された液体の液面レベルを外部から視認可能である。つまり、窓部18は、液体供給源17の液体残量を表示する液体残量表示部を構成する。
【0013】
また、記録装置11の前面には、カセットカバー19が開閉可能に設けられている。カセットカバー19は下端を中心に回動することで開閉される。装置本体12には、図1に示す閉位置にあるカセットカバー19の内方に、カセット20(図6図8参照)が着脱可能に挿着されている。カセット20には、複数枚の媒体Mが収容されている。装置本体12内には、カセット20から媒体Mを給送する第1給送部41(図8参照)が設けられている。なお、媒体Mは、被記録材の一例に相当する。
【0014】
また、図1図2に示すように、記録装置11の上面後部には、給送カバー21が開閉可能に設けられている。給送カバー21は後端を中心に回動することで開閉される。装置本体12の背面部には、収納位置に収納された給送トレイ22が配置されている。給送トレイ22は、図1図2に示す収納位置から上方へ引き上げることにより、図3図4に示す後傾した斜め姿勢をとる使用位置に配置される。
【0015】
図1に示すように、装置本体12内には、カセット20または給送トレイ22(図3参照)から給送された媒体Mに記録を行うための記録部23が収容されている。記録部23は、例えば、シリアル記録方式である。シリアル記録方式の記録部23は、走査方向Xに往復移動可能なキャリッジ24と、キャリッジ24の下部に保持された吐出ヘッド25とを備える。すなわち、記録装置11は、媒体Mに液体を吐出する吐出ヘッド25を備える。吐出ヘッド25が、搬送経路に沿って搬送される媒体Mと対向する面が、複数のノズル(図示略)が開口するノズル面(図6参照)となっている。液体供給源17と記録部23とは液体供給チューブ(図示略)を通じて接続されており、液体供給源17から液体供給チューブを通じて吐出ヘッド25へ液体が供給される。
【0016】
また、図1に示すように、記録装置11は、吐出ヘッド25と対向して設けられ、媒体Mを下方から支持する支持部26を備える。支持部26は、吐出ヘッド25の移動経路と対向する領域に亘って幅方向Xに延びる長尺状の部材である。支持部26は、搬送部40(図6参照)により搬送された媒体Mを支持する。吐出ヘッド25は、走査方向Xに移動する過程で、媒体Mのうち支持部26に支持された部分にインク等の液体を吐出することで媒体Mに記録する。
【0017】
吐出ヘッド25は、キャリッジ24と共に走査方向Xに移動しながら複数のノズルから媒体Mに向かってインク等の液体を吐出する。このキャリッジ24が1回移動して吐出ヘッド25が1パス分の記録を行う記録動作と、媒体Mを次の記録位置まで搬送する搬送動作とを交互に繰り返すことで、媒体Mに文字または画像が記録される。なお、記録部23は、ライン記録方式でもよい。ライン記録方式の記録部23は、最大幅の媒体の幅全域に一斉に液体を吐出可能な複数のノズルを有するラインヘッドよりなる吐出ヘッド25を備える。一定速度で搬送される媒体Mに対して媒体Mの幅全域を吐出対象としてラインヘッドよりなる吐出ヘッド25のノズルから液体を吐出するため、画像等の高速な記録が実現される。
【0018】
記録装置11は、媒体Mの端部に余白を作らず全面を記録対象とする縁なし記録機能を備える。吐出ヘッド25は縁なし記録モード時に走査方向Xに移動し、媒体Mの側端から外側へ外れた領域にも余分に液体を吐出する。これにより、媒体Mはスキュー等の原因で幅方向Xに許容範囲内で位置ずれしても、媒体Mの側端部に余白が形成されない。
【0019】
支持部26には、縁なし記録モード時に吐出ヘッド25によってノズルから媒体Mの側端の外側へ打ち捨てられる液体を吸収する第1吸収部材の一例としての打捨て吸収部材70が設けられている。打捨て吸収部材70は、支持部26の表面のうち搬送されうる少なくとも複数種の規定サイズの媒体Mの側端と対応する部分を覆う状態に設けられている。
【0020】
また、図1に示す記録装置11は、各種の制御を司る制御部100を備える。制御部100は、キャリッジ24および吐出ヘッド25の制御や、媒体Mの搬送制御、表示部14の表示制御、後述する電源ユニット75(図6参照)の電圧制御などを司る。
【0021】
図2に示すように、記録装置11の背面部には、収納位置にある給送トレイ22の下方に、サポートガイド部材27が鉛直方向にスライド可能な状態で配置されている。サポートガイド部材27は、記録装置11の背面中央に配置されている。サポートガイド部材27の下部に対して左隣の位置には、廃液ボックスカバー28が回動可能に設けられている。廃液ボックスカバー28は左端を軸として左右に回動することで開閉可能である。なお、記録装置11の背面部における幅方向Xの一端部には、電力を供給する電源ケーブル33Aと、ホストコンピューター(図示略)等の通信機器との間で通信を行うための通信ケーブル33Bとが電気的に接続されている。
【0022】
図3図4に示すように、サポートガイド部材27は、装置本体12の背面部の一部を構成する鉛直姿勢に配置され、その上端部の幅方向両側がメインサポート部材22Aの幅方向両側の側部と係合している。給送カバー21を開けた状態の下で、サポートガイド部材27は鉛直方向Zにスライド可能に設けられている。給送カバー21を開けた状態で、ユーザーにより、給送トレイ22およびサポートガイド部材27を上方へ引き出すことが可能に構成されている。図3図4は、サポートガイド部材27が上方にスライドして給送トレイ22が後傾した状態に引き出された状態を示す。給送トレイ22が上方へ引き出されると、サポートガイド部材27が上方へスライドするのに伴い給送トレイ22が所定角度に後傾する斜め姿勢に配置される。このように、給送トレイ22は、リア側から媒体Mを給送するときに媒体Mを載置可能な斜め姿勢に展開される。
【0023】
図3図4に示すように、給送トレイ22は多段スライド式に構成されている。給送トレイ22は、メインサポート部材22Aとサブサポート部材22Bとがスライド可能に接続されて構成されている。図3図4では、メインサポート部材22Aに対してサブサポート部材22Bを上方へスライドさせ、給送トレイ22を後傾姿勢で長く引き延ばした使用時の状態にある。メインサポート部材22Aに対してサブサポート部材22Bを上方へ引き伸ばして使用される。ユーザーは、後傾姿勢にある給送トレイ22に1枚または複数枚の媒体Mをセットする。第2給送部42(図6参照)は、給送トレイ22にセットされた媒体Mを下側から1枚ずつ装置本体12内へ給送する。
【0024】
さらに、サポートガイド部材27を上方に引き出すことで、装置本体12の背面下部に、廃液回収ユニット50の一部が露出する。つまり、サポートガイド部材27が上方にスライドさせた状態では、装置本体12の下部に開口12Cが現れ、それまでサポートガイド部材27に覆われていた背面フレーム部12Bと廃液回収ユニット50の背面とが露出する。但し、廃液回収ユニット50の背面のうち幅方向Xの一端部は、閉位置にある廃液ボックスカバー28により覆われている。
【0025】
図4は、廃液ボックスカバー28を開位置に回動させた開状態を示す。装置本体12に固定されたねじ28Aの締結を外すことで、廃液ボックスカバー28が回動可能になる。廃液ボックスカバー28を開位置に回動させると、廃液回収ユニット50が取出し可能な状態になる。ユーザーが、廃液回収ユニット50を交換またはメンテナンス等のために取り外すときは、その背面部が全て露出した図4に示す取り外し可能状態とされる。
【0026】
図5は、廃液回収ユニット50を取り外した状態を示す。図4に示す状態にある廃液回収ユニット50を、搬送方向Yの上流に向かってスライドさせて引き抜くことで、廃液回収ユニット50は装置本体12から取り外される。図5に示すように、廃液回収ユニット50は、第2吸収部材の一例としての廃液吸収部材50Aと、廃液吸収部材50Aを保持する収容部の一例である廃液ボックス50Bとを有する。廃液回収ユニット50は、装置本体12に対して着脱可能である。このため、サービスマンでなくても、ユーザー自身で廃液回収ユニット50を交換することが可能である。廃液ボックス50Bは、装置本体12に挿着される姿勢において、上方が開放された長尺状のボックス型に構成されている。廃液ボックス50Bに収容された廃液吸収部材50Aは、上方が露出する状態にある。
【0027】
図5に示すように、廃液吸収部材50Aは、幅方向Xの一端部寄りの位置に配置され、かつ搬送方向Yに延びる長尺状の第1廃液回収部51と、第1廃液回収部51の搬送方向Yの上流端部と接続され、幅方向Xに延びる長尺状の第2廃液回収部52とを備える。第1廃液回収部51と第2廃液回収部52とはそれぞれの端部にて互いに直交する状態で接続され、平面視でL字型を呈している。L字型の廃液回収ユニット50は装置本体12内に挿着された状態では、第1廃液回収部51がメンテナンス装置60(図7参照)の下方に位置し、第2廃液回収部52が第2給送部42の下方に位置する。
【0028】
第1廃液回収部51は、上方が開放された長尺箱状の第1廃液ボックス部53と、第1廃液ボックス部53に収容された長尺矩形板状の第1廃液吸収部材54とを備える。また、第2廃液回収部52は、上方が開放された長尺箱状の第2廃液ボックス部55と、第2廃液ボックス部55に収容された長尺矩形板状の第2廃液吸収部材56とを備える。
【0029】
換言すれば、廃液吸収部材50Aは、搬送方向Yに延びる長尺矩形板状の第1廃液吸収部材54と、第1廃液吸収部材54の搬送方向Yの上流端部と接続され、幅方向Xに延びる長尺状の第2廃液吸収部材56とを備える。また、廃液ボックス50Bは、第1廃液吸収部材54を収容する第1廃液ボックス部53と、第2廃液吸収部材56を収容する第2廃液ボックス部55とを備える。第1廃液ボックス部53と第2廃液ボックス部55とは、第1廃液吸収部材54と第2廃液吸収部材56とが接触して両者の間で廃液が移動可能な状態で接続部50Cにて接続されている。また、廃液ボックス50Bの背面の一端部には、ユーザーに取り出し可能であることを示すマーク50Dが記されている。
【0030】
図6に示すように、記録部23は、媒体Mを搬送するための第1給送部41(図8参照)と、第2給送部42とを備える。第1給送部41は、カセット20に収容された媒体Mを上から順番に1枚ずつ給送する。装置本体12の前部には、カセット20を収納可能な開口12Dが開口している。ユーザーはカセット20を開口12Dから壁面に沿ってスライドさせることで着脱可能である。
【0031】
第2給送部42は、給送トレイ22にセットされた媒体Mを幅方向Xに位置決めするためにユーザーにより操作される一対のガイド部22Cと、一対のガイド部22Cを連動して幅方向Xに移動可能させる移動機構22Dとを備える。第2給送部42は、給送ローラー45を備える。給送ローラー45の回転により、給送トレイ22にセットされた媒体Mが記録部23の記録領域へ給送される。
【0032】
また、記録装置11は、第1給送部41または第2給送部42から給送された媒体Mを搬送方向Yに搬送する搬送ローラー対48を備える。搬送ローラー対48よりも搬送方向Yの下流となる位置に、支持部26が配置されている。搬送ローラー対48に対して搬送方向Yに支持部26を挟んで反対側の位置には、排出ローラー対49が配置されている。排出ローラー対49は、搬送ローラー対48よりも搬送方向Yの下流の位置で、例えば、記録部23による記録が終わった媒体Mの部分をニップして搬送する。排出ローラー対49から搬送方向Yへ搬送された媒体Mは、スタッカー46の上に排出される。図8に示されるように、スタッカー46は収納状態では打捨て吸収部材70とオーバーラップして配置されており、図示しないが、媒体Mの排出時にはY方向にユーザーによる手動動作、または図示しない動力源による自動動作で移動して延出状態になる。このように配置することで、スタッカー46の収納状態において、記録装置11の奥行方向のサイズを小さく抑えることが可能である。
【0033】
図6に示すように、記録部23は、図6における装置本体12内の右端部に位置するホーム位置HPと、装置本体12内の左端部に位置する反ホーム位置AHとの間を幅方向Xに往復移動する。
【0034】
図6に示す液体供給源17には、その上部に開閉可能なキャップカバー38が設けられている。本例の液体供給源17は、液体が収容されるタンクである。ユーザーは、窓部18(図1参照)を通じて残量が少なくなった液体供給源17があると、キャップカバー38を開け、液体供給源17の注入口17A(図7参照)を露出させる。そして、ユーザーは、液体ボトルから液体供給源17の注入口17Aへ液体を注入する。なお、液体供給源17は、ユーザーが液体ボトルから液体を補充する液体補充方式のタンクに限らず、液体が収容される液体パック(例えばインクパック)または液体カートリッジ(例えばインクカートリッジ)でもよい。また、液体供給源17は、装置本体12に設けられるオフキャリッジタイプに限定されず、キャリッジ24に搭載されるオンキャリッジタイプでもよい。
【0035】
記録部23へは、液体供給源17から液体供給チューブ39(図8参照)を通じて液体が供給される。記録部23は、搬送部40により搬送され支持部26に支持された媒体Mに記録する。
【0036】
図6において、記録部23は、走査方向Xに往復移動しながら、吐出ヘッド25が支持部26に支持された媒体Mに向けて液体を吐出して1走査分の記録を行う記録動作と、媒体Mを次の記録位置までローラー対48,49により搬送する搬送動作とを交互に行うことで、媒体Mへの記録が行われる。
【0037】
記録装置11は、媒体Mの全面を記録対象とする縁なし記録が可能な縁なし記録モードを備える。ユーザーが記録条件を設定するときに縁なし記録モードを選択したとき、記録部23は、媒体Mの幅方向Xの側端よりも外側へはみ出す記録領域に吐出ヘッド25から液体を吐出する。すなわち、図6に示す記録装置11は、吐出ヘッド25から支持部26に支持された媒体Mの幅方向Xの側端から外側へも液体が打ち捨てられる。これにより、媒体Mの幅方向Xの搬送位置がスキュー等の原因で許容範囲内においてばらついても、媒体Mの幅方向Xの端部に余白ができることを回避できる。媒体Mの側端よりも外側にはみ出して液体を吐出するはみ出し量は、例えば、1~5mmの範囲内の所定長さに設定される。
【0038】
図6に示すように、記録装置11は、吐出ヘッド25から支持部26に支持された媒体Mの外側に打ち捨てられた液体を吸収する第1吸収部材の一例としての打捨て吸収部材70を有する。支持部26は、媒体Mを支持する複数のリブ26Aを幅方向Xに間隔を隔てた位置に上方へ突出する状態で有している。支持部26におけるリブ26A以外の部分の表面は、打捨て吸収部材70により部分的に覆われている。打捨て吸収部材70は、媒体Mの外側に打ち捨てられた液体を廃液として吸収する。
【0039】
ホーム位置HPにあるときの記録部23の下方には、メンテナンス装置60が配置されている。メンテナンス装置60は、記録部23の吐出ヘッド25に対してメンテナンスを行う。メンテナンス装置60は、キャリッジ24がホーム位置HPにあるときの吐出ヘッド25をキャッピングするキャップ61と、吐出ヘッド25のノズル面を払拭するワイパー62とを備える。吐出ヘッド25がキャップ61によりキャッピングされることで、吐出ヘッド25のノズル内のインク等の液体の増粘や乾燥が抑制される。ノズル内の液体が増粘したり、ノズル内の液体に気泡があったり、ノズルが紙粉等の異物により塞がれたりした場合、ノズルの目詰まりによってノズルから液体を正常に吐出できない吐出不良が発生する。
【0040】
メンテナンス装置60は、この種の吐出不良を解消または予防するために、吐出ヘッド25のノズルをクリーニングする。クリーニング時に、メンテナンス装置60は、吐出ヘッド25から液体をキャップ61に強制的に排出させる。メンテナンス装置60は、キャップ61と連通する吸引ポンプ63を備える。メンテナンス装置60は、キャップ61が吐出ヘッド25のノズル面にノズルを囲む状態で接触するキャッピング状態の下で、吸引ポンプ63を駆動する。吸引ポンプ63が駆動されると、吐出ヘッド25のノズル面とキャップ61との間の閉空間に導入された負圧により、ノズルから液体が強制的に排出される。ノズルから増粘した液体、気泡、紙粉等の異物を含むインク等の液体が強制的に排出されることで、ノズルの吐出不良が予防または解消される。なお、クリーニング時のキャップ61は、ばね61A(図11参照)の付勢力により吐出ヘッド25のノズル面に接触するキャッピング状態に保持される。
【0041】
また、記録部23は、記録中に定期的または不定期にホーム位置HPに移動し、全てのノズルからキャップ61に向かって液滴を吐出する空吐出(「フラッシング」ともいう。)を行うことで、記録中の吐出不良を予防する。クリーニングおよび空吐出によってノズルからキャップ61内に排出された液体(廃液)は、吸引ポンプ63の駆動により、キャップ61から廃液チューブ64を通じて廃液回収ユニット50に送られる。詳しくは、キャップ61から吸引ポンプ63の駆動により廃液チューブ64を通じて送られた廃液は、廃液回収ユニット50のうちメンテナンス装置60の下方に位置する第1廃液回収部51に排出される。
【0042】
図6図7に示すように、廃液吸収部材50Aは、メンテナンス装置60と液体供給源17の下方に配置されている。メンテナンス装置60と廃液吸収部材50Aは、前後左右方向の位置が同じ位置になっている部分があり、その部分で鉛直方向Zにオーバーラップしている。つまり、メンテナンス装置60と廃液吸収部材50Aは、鉛直方向Zに一部オーバーラップしている。このように、廃液吸収部材50Aは、メンテナンス装置60の下方に配置されている。これにより、メンテナンス装置60で飛散したインク等の液体を、廃液吸収部材50Aで吸収することが可能である。
【0043】
また、図6に示すように、廃液吸収部材50Aと液体供給源17とが前後左右方向の位置が同じ位置になっている部分が少なくとも一部あり、その少なくとも一部で廃液吸収部材50Aと液体供給源17とが鉛直方向Zにオーバーラップしている。つまり、廃液吸収部材50Aと液体供給源17とは、鉛直方向Zに少なくとも一部オーバーラップしている。このように、廃液吸収部材50Aは、液体供給源17の下方に配置されている。これにより、ユーザーが液体供給源17の注入口17Aからインク等の液体を補充する際、誤って液体をこぼしても、その下方にある廃液吸収部材50Aが液体を吸収することが可能である。
【0044】
さらに、廃液ボックス50Bに収容された廃液吸収部材50Aの上方が空いていることで、廃液吸収部材50Aからのインク等の液体の乾燥を促し、廃液吸収部材50Aが吸収できる廃液の容量が増える。
【0045】
縁なし記録時等に吐出ヘッド25から液体が打ち捨てられて打捨て吸収部材70に吸収された廃液は、ある程度の量が溜まると、打捨て吸収部材70から毛管現象および重力の作用によって廃液ボックス50Bに流れる。なお、打捨て吸収部材70と廃液吸収部材50Aとの間は、廃液を受け渡し可能な状態で接続されている。この廃液を受け渡す機構の詳細は後述する。
【0046】
図6に示すように、記録装置11の後端部における幅方向Xの一端部には、電源ケーブル33Aから供給された所定電圧の電力を記録装置11で使用可能な所定電圧に変換する電源ユニット75が配置されている。廃液吸収部材50Aと電源ユニット75が、打捨て吸収部材70を挟んで、対向配置されている。換言すれば、打捨て吸収部材70を幅方向Xに挟む両側の位置に、廃液吸収部材50Aと電源ユニット75とが配置されている。廃液吸収部材50Aを構成する第1廃液吸収部材54と電源ユニット75は、媒体Mが搬送される領域である搬送領域FAを挟む両側の収容空間(収容スペース)に分けて配置されている。支持部26は、図6における平面視において搬送領域FAに配置されている。電源ユニット75と交換式の廃液回収ユニット50は、装置本体12内の収容空間を大きく占有する部品なので、搬送領域FAを隔てた両側の収容空間に分けて配置した方が、記録装置11全体の部品レイアウトを最適化できる。
【0047】
図7に示す記録装置11は、装置本体12の上部に画像読取装置30(スキャナー)を備える。画像読取装置30は、原稿がセットされるガラス板を有する原稿台31と、原稿台31にセットされた原稿を読み取る可動式のイメージセンサー(図示略)を有する読取機構32を備える。
【0048】
図7に示すように、装置本体12内には、メインフレーム35が幅方向Xに延設されている。メインフレーム35は、キャリッジ24を案内するガイドレール35Aを有する。キャリッジ24は、ガイドレール35Aに案内されることで走査方向Xに往復移動する。メインフレーム35とキャリッジ24との間には、キャリッジ24を走査方向Xに移動させる移動機構34が設けられている。移動機構34は、例えばベルト駆動方式であり、キャリッジ24の駆動源であるキャリッジモーター36と、走査方向Xに沿って張られた無端状のタイミングベルト34Aとを備える。キャリッジ24はタイミングベルト34Aの一部に固定されている。キャリッジモーター36が正逆転駆動することでタイミングベルト34Aを介してキャリッジ24は走査方向Xに往復移動する。
【0049】
また、メインフレーム35には、走査方向Xにおける記録部23の位置を検出するためのリニアエンコーダー37が設けられている。リニアエンコーダー37は、走査方向Xに沿って延びるリニアスケールと、キャリッジ24に取着されたセンサー(図示略)とを備える。センサーはリニアスケールに一定のピッチで形成された光透過部を透過した光を検出し、キャリッジ24の移動量と比例する数のパルスを含むパルス信号を出力する。制御部100(図1参照)は、リニアエンコーダー37から入力するパルス信号のパルスエッジの数を計数する不図示のカウンターを備え、カウンターの計数値からキャリッジ24の走査方向Xにおける位置、すなわちキャリッジ位置を取得する。
【0050】
図8に示すように、記録装置11は、前記吐出ヘッド25の下方において媒体Mを収容するカセット20と、カセット20に収容された媒体Mを1枚ずつ吐出ヘッド25の記録位置に向かって給送する第1給送部41とを備える。廃液吸収部材50Aが第1給送部41の下方に一部オーバーラップして配置されている。詳しくは、図8に示すように、廃液吸収部材50Aのうち第2廃液吸収部材56が、第1給送部41の下方にオーバーラップする状態に配置されている。
【0051】
図8に示すように、第1給送部41は、カセット20に収容された媒体Mの上方に配置されている。第1給送部41は、媒体Mを給送する給送ローラーとしてピックアップローラー44を備える。第1給送部41は、不図示の給送モーターからの動力で回転する駆動軸44Aと、ピックアップローラー44と、駆動軸44Aとピックアップローラー44との間に介在する複数の歯車44Bの列(歯車列)より構成される動力伝達機構とを備える。カセット20の搬送方向Yの上流側の先端よりも少し上流側の位置には、分離板12Eが配置されている。分離板12Eは、ピックアップローラー44によりカセット20から送り出された媒体Mの先端部を突き当てることで、最上位の媒体Mを後続の媒体Mから分離する。すなわち、分離板12Eは、媒体Mを1枚に分離することで重送を防止する。分離板12Eは、第1給送部41の一部を構成する。媒体Mは1枚に分離された後、反転ローラー47によって搬送向きを変えられ、吐出ヘッド25の記録位置に向かって搬送される。図8に示すように、第1給送部41を構成する分離板12Eは、鉛直方向Zにおいて廃液ボックス50Bの第2廃液吸収部材56と一部オーバーラップしている。このように、廃液吸収部材50Aは第1給送部41の下方にオーバーラップしている。
【0052】
交換可能な廃液回収ユニット50が第1給送部41の分離板12Eの下方にオーバーラップする状態で配置されることで、吸収部材の容量が同じであることを前提として、別の場所に廃液吸収部材50Aを配置する構成と比較して、記録装置11の奥行方向のサイズを小さく抑えることが可能である。
【0053】
図8に示すように、記録装置11は、媒体Mが載置される載置部の一例としての給送トレイ22と、給送トレイ22に載置された媒体Mを吐出ヘッド25の記録位置に向かって給送する給送ローラー45と、給送トレイ22にセットされた媒体Mを給送ローラー45に押し付けるホッパー22Eとを備える第2給送部42を有する。ホッパー22Eにより給送ローラー45の外周面に押し付けられた媒体Mは、回転する給送ローラー45とリタードローラー45Aとの間にニップされた状態で1枚ずつ吐出ヘッド25の記録位置へ向かって給送される。この際、媒体Mは反転ローラー47を経由しない。なお、排出ローラー対49の斜め上方位置には、液体供給源17から液体を記録部23に供給する液体供給チューブ39が配置されている。液体供給チューブ39は複数本が束ねられたチューブ束39Bの状態で幅方向Xに沿って引き回されており、キャリッジ24の走査方向Xの移動を許容する状態でキャリッジ24と接続されている。
【0054】
廃液吸収部材50Aは、第2給送部42の下方にオーバーラップして配置されている。詳しくは、廃液吸収部材50Aのうち第2廃液吸収部材56は、第2給送部42のうちホッパー22Eの上端部の下方にオーバーラップして配置されている。これにより、記録装置11の奥行方向のサイズが抑えられる。また、図8に示す給送トレイ22の収納状態において、給送トレイ22を構成する一対のガイド部22C(図6参照)を含む移動機構22Dの上端部の下方に、第2廃液吸収部材56がオーバーラップして配置されていてもよい。この構成によっても、記録装置11の奥行方向のサイズが抑えられる。
【0055】
図8に示す記録装置11は、媒体Mの第1面と第2面との両面に記録可能な両面記録機能を備える。記録装置11は、吐出ヘッド25により第1面の記録を終えた媒体Mを吐出ヘッド25よりも搬送方向Yの上流側へスイッチバック搬送させた当該媒体Mを第2面が吐出ヘッド25と対向可能な向きに反転させる反転部の一例としての反転ローラー47を備える。反転ローラー47の外周面に沿って複数の従動ローラー47Aが設けられている。反転ローラー47は、前述したように第1給送部41から媒体Mを記録部23に送る際、媒体Mを搬送経路に沿って湾曲反転させるのにも用いられる。廃液吸収部材50Aは、反転ローラー47の下方に一部オーバーラップする状態で配置されている。詳しくは、廃液吸収部材50Aのうち後端部で幅方向Xに延びる第2廃液吸収部材56が、反転ローラー47の下方に一部オーバーラップする状態で配置されている。第2廃液吸収部材56と反転ローラー47とが鉛直方向Zで一部オーバーラップすることで、記録装置11の奥行方向のサイズを短く抑えることが可能である。
【0056】
図9は、記録装置11の内部を背面後方から見た斜視図である。図9に示すように、メンテナンス装置60から延出する廃液チューブ64は、装置本体12に挿着された第1廃液吸収部材54の外側側面に沿って延びるように配設され、その先端部に固定された結合部66が、廃液ボックス50Bの前端部に設けられた被結合部57と結合されている。これにより、キャップ61が受容した液体(廃液)は、吸引ポンプ63の駆動により廃液チューブ64を通じて第1廃液吸収部材54へ排出される。こうして、キャップ61が受容した廃液は、廃液チューブ64を通じて廃液吸収部材50Aに吸収される。
【0057】
図9に示すように、廃液ボックス50Bの前端部には、記憶素子58(基板)が固定されている。記憶素子58は、廃液ボックス50Bが装置本体12に挿着されると、装置本体12側と電気的に接続される。また、廃液ボックス50Bの前端部には、被結合部57の近くの位置に飛散防止壁59が形成されている。
【0058】
また、図9に示すように、縁無し記録時に媒体Mの側端よりも外側に打ち捨てられるインク等の液体を受け止める打捨て吸収部材70は、その幅方向Xにおけるホーム位置HP側の一端部が、メンテナンス装置60と少しの隙間を介して隣接している。打捨て吸収部材70から廃液吸収部材50A側に向かって、廃インク等の廃液の受け渡しが可能に構成されている。廃液吸収部材50Aは、鉛直方向Zにおいて打捨て吸収部材70よりも下方に位置する。このため、打捨て吸収部材70から廃液吸収部材50Aへ向かう廃液の受け渡しは、重力を利用して行うことが可能である。
【0059】
本実施形態では、打捨て吸収部材70とメンテナンス装置60との間には、図10で示すように廃液を受け渡す受渡し部の一例としての受渡し機構80が配置されている。受渡し機構80は、重力および毛管現象を利用して打捨て吸収部材70から廃液吸収部材50Aへの廃液の受け渡しを行う。このため、受渡し機構80は、ポンプ等の駆動源を使わなくても、打捨て吸収部材70から廃液吸収部材50Aへの廃液の受け渡しが可能である。打捨て吸収部材70側の廃液が廃液吸収部材50A側に流れるので、打捨て吸収部材70の交換が不要である。
【0060】
図10図11は、打捨て吸収部材70から廃液吸収部材50Aへ廃液を受け渡す受渡し機構80の構造を示す。受渡し機構80は、第1接続吸収部材81と、第1接続吸収部材81の一端部で接続された第2接続吸収部材82とを備える。第1接続吸収部材81は、打捨て吸収部材70のメンテナンス装置60側の一端部と接続されている。第1接続吸収部材81における打捨て吸収部材70側の一端部と反対側の他端部は、鉛直方向Zに延びる姿勢で配置された第2接続吸収部材82の上端部と接続されている。第1接続吸収部材81は、保持部81Aに保持されることで水平に近い姿勢に保持されている。保持部81Aは受渡し機構80側に向かって下り傾斜になっていてもよく、これにより廃液が廃液吸収部材50A側に移動し易い。また、第2接続吸収部材82は、保持部82Aに支持されることで鉛直に近い姿勢に保持されている。
【0061】
第2接続吸収部材82の下端は、空間を隔てて廃液ガイド部83と対向している。廃液ガイド部83は第2接続吸収部材82の下端から滴下する廃液を受容するとともにその受容した廃液を廃液吸収部材50Aへガイドする斜面83Aを有する。斜面83Aは、第2接続吸収部材82の下端と対向する位置から幅方向Xの外側(図11における左側)に向かうに連れて高さが低くなる向きに傾く面である。このように、本実施形態では、打ち捨て吸収部材70側からの廃液は、接続吸収部材81,82を介して斜面83Aを伝って、廃液吸収部材50A側へ受け渡しされる。また、第2接続吸収部材82の下端が、空間を隔てて廃液ガイド部83と対向しており、さらに、廃液ガイド部83と廃液吸収部材50Aが、幅方向Xにおいてオーバーラップして配置されていることで、記録装置11を傾けて配置した際でも、廃液吸収部材50Aから打捨て吸収部材70への廃液の移動を防ぎ、打捨て吸収部材70からの廃液の漏洩を抑制できる。
【0062】
図12に示すように、記録装置11は、打捨て吸収部材70と廃液吸収部材50Aとの間の液体の受け渡しを一時的に遮断可能な遮断部の一例としての遮断機構85を備える。このため、廃液回収ユニット50が交換のため装置本体12から取り外しされても、受渡し機構80を介して受け渡しされる廃液が、受渡し機構80との切り離し箇所で漏洩することが防止される。
【0063】
図12に示すように、メンテナンス装置60は、不図示の搬送モーターから動力を入力する駆動機構63Aを備える。駆動機構63Aは、メンテナンス装置60を駆動する歯車群およびカム群を含む。駆動機構63Aの各歯車の回転に伴い、吸引ポンプ63、キャップ61、ワイパー62、キャリッジロック部材65および不図示の弁機構等の部品がそれぞれ駆動される。
【0064】
図12に示す遮断機構85は、メンテナンス装置60の動力を使って駆動される。駆動機構63Aは、遮断機構85に動力を出力する駆動軸63Bを有する。遮断機構85は、駆動機構63Aの駆動軸63Bの先端部に固定された間欠ギア86と、間欠ギア86と間欠的に噛合可能なスライドギア87とを備える。廃液ボックス50Bが着脱されるとき以外の通常状態では、スライドギア87は、図12に示す後方に退避した退避位置に配置され、第2接続吸収部材82と廃液吸収部材50Aは廃液の受け渡しが可能な状態になっている。つまり、通常状態では、遮断機構85は、打捨て吸収部材70から廃液吸収部材50Aへの受渡し機構80を介した廃液の受け渡しが可能な状態に切り替えられている。
【0065】
図13に示すように、間欠ギア86は、その周方向の一部に間欠部86Aを有する。駆動軸63Bからの動力で間欠ギア86が図13における反時計方向CCWに回転し、間欠ギア86の間欠部86Aと、スライドギア87の嵌合部87Aとが嵌合すると、スライドギア87が図14に示す前方の遮断位置に移動する。遮断位置にあるスライドギア87は、打捨て吸収部材70から廃液吸収部材50Aへの廃液の受け渡しを一時的に遮断する。図13に示すように、スライドギア87は貯留部87Bを有し、貯留部87Bの凹部87Cに一定量の廃液を貯留することが可能である。スライドギア87が遮断位置にあるとき、貯留部87Bは第2接続吸収部材82と廃液ガイド部83との間に位置し、第2接続吸収部材82の下端部から滴下または流れ落ちる廃液は、貯留部87Bに貯留される。この貯留部87Bの容積は、廃液ボックス50Bの交換に必要と推定される所要時間の間に、打捨て吸収部材70から受け渡される廃液が貯留されても溢れ出ない値に設定されている。また、貯留部87Bに貯留された廃液は、受け渡し可能な状態で不図示の吸収材等で除去することで、再び廃液を貯留することが可能である。
【0066】
このような構成により、廃液回収ユニット50の交換時において、第2接続吸収部材82からの廃液が下方に滴下して、装置本体12内を廃液で汚染することを抑制できる。また、メンテナンス装置60を駆動する既存の駆動源の動力を利用して、遮断機構85の遮断動作を行うので、部品コストも抑えられる。
【0067】
遮断機構85の遮断動作は、廃液回収ユニット50の交換時にメンテナンス装置60の各種動作と連動して行うことが望ましい。また、遮断機構85をスライドギア方式ではなく、受渡し機構80をチューブの吸引力で廃液を受け渡すチューブ吸引方式とし、チョーク機構を用いてチューブをチョークすることで廃液の受渡しを遮断する遮断機構であってもよい。
【0068】
図15に示すように、記録装置11は、吐出ヘッド25を制御する制御部100が電子部品として実装されるメイン基板76を備える。メイン基板76は、装置本体12内で搬送領域FAを幅方向Xに挟む両側の収容空間のうち、電源ユニット75と同様に、左側の収容空間に配置されている。一方、廃液吸収部材50Aは、右側の収容空間の底部に挿着される。また、打捨て吸収部材70は、支持部26と共に搬送領域FAの下方に配置されている。そのため、廃液吸収部材50Aとメイン基板76は、打捨て吸収部材70を挟んで、対向配置されている。換言すれば、廃液吸収部材50Aとメイン基板76は、打捨て吸収部材70が配置される搬送領域FAを挟んで幅方向Xに対向配置されている。このように、メイン基板76は、廃液吸収部材50Aに対して、搬送領域FAの幅寸法よりも少し長い打捨て吸収部材70の幅寸法に相当する比較的長い距離を隔てた位置に配置されている。このため、仮に廃液回収ユニット50から廃液が漏洩しても、その廃液がメイン基板76に接触する可能性は極めて低い。なお、吐出ヘッド25を制御する制御部100がキャリッジ24に備えられてもよく、この場合、電子部品は制御部100以外のものであってもよい。
【0069】
図15に示すように、廃液吸収部材50Aのうち第1廃液吸収部材54は、記録装置11におけるメンテナンス装置60(図6参照)の配置位置側である右端部に配置され、メンテナンス装置60からの廃液排出口となる結合部66と結合される被結合部57が、記録装置11の前面側に配置される。そして、廃液回収ユニット50は記録装置11の背面側から着脱される。
【0070】
図15に示すように、装置本体12内において、打捨て吸収部材70の搬送方向Yの上流側となる後方には、拡張吸収部材90が配置されている。図15に示す例では、拡張吸収部材90は、第1拡張吸収部材90Aと第2拡張吸収部材90Bとの2つ配置されている。第1拡張吸収部材90Aと第2拡張吸収部材90Bは、打捨て吸収部材70の後方において幅方向Xに並んで配置されている。打捨て吸収部材70と2つの拡張吸収部材90との間は、2つの接続吸収部材91を介して廃液の流動が可能な状態に接続されている。すなわち、打捨て吸収部材70は、第1拡張吸収部材90Aに対しては一方の接続吸収部材91を介して接続され、第2拡張吸収部材90Bに対しては他方の接続吸収部材91を介して接続されている。拡張吸収部材90を設けることで、記録装置1台当たりに吸収部材が吸収できる廃液の容量を増やしている。
【0071】
図15に示すように、記録装置11は、打捨て吸収部材70と液体の受け渡しが可能に接続された拡張吸収部材90を備える。打捨て吸収部材70と廃液吸収部材50Aが、受渡し機構80とは異なる位置で、拡張吸収部材90を挟んで、対向配置されている。詳しくは、打捨て吸収部材70と、廃液吸収部材50Aを構成する第2廃液吸収部材56とが、受渡し機構80とは異なる位置で、拡張吸収部材90を挟んで、対向配置されている。このため、記録装置1台当たりに吸収できる廃液の容量がアップし、廃液回収ユニット50の交換頻度が少なくなる。
【0072】
図16に示すように、打捨て吸収部材70は、収容部71と、収容部71に収容された下層吸収部材72と、支持部26における複数のリブ26A以外の領域を部分的に覆う表層吸収部材73とを有する。表層吸収部材73は、打捨て吸収部材70の表面層を形成する。吐出ヘッド25のノズルから媒体Mの外側へ打ち捨てられた液体は、表層吸収部材73に着弾する。よって、吐出ヘッド25から打ち捨てられた液体は、まず表層吸収部材73に吸収される。支持部26のうちリブ26Aを支持する基部26Cは、複数箇所に間隙を有する。表層吸収部材73は、斜め下方へ延びる複数の接続部73Aを有している。複数の接続部73Aは、基部26Cの複数箇所にある間隙を通って下方へ斜めに延びている。
【0073】
表層吸収部材73から斜め下方へ延びる接続部73Aが、打捨て吸収部材70の下層を形成する下層吸収部材72に接触している。打捨て吸収部材70のうち少なくとも下層吸収部材72は、収容部71の底面71Aに支持されている。そして、複数の接続部73Aの下端部は、下層吸収部材72の上面に圧接されている。このため、吐出ヘッド25から打捨て吸収部材70に打ち捨てられた液体は、まず表層吸収部材73に吸収され、さらに表層吸収部材73から接続部73Aを介して下層吸収部材72へ浸透する。この接続部73Aを介した液体の浸透は、毛管現象と重力との作用により行われる。
【0074】
打捨て吸収部材70を支持する収容部71の底面71Aは、廃液吸収部材50Aに向かう方向に下り傾斜している。この傾斜の勾配は、液体が廃液吸収部材50Aに向かう方向へ流れればよい。このため、表層吸収部材73から下層吸収部材72へ移動して、下層吸収部材72に溜まった廃液は、底面71Aに沿って廃液吸収部材50A側に近づくほど下がる向きに傾斜する傾斜経路を図16に破線矢印で示す方向に流れる。すなわち、打捨て吸収部材70の底に溜まった廃液は、底面71Aの傾斜に沿って受渡し機構80に向かって流れる。そして、打捨て吸収部材70の底を流れて受渡し機構80に至った廃液は、接続吸収部材81,82および斜面83Aを経由して廃液吸収部材50Aに流れる。
【0075】
また、図16に示すように、搬送ローラー対48は、駆動ローラー48Aと複数の従動ローラー48Bとを備える。従動ローラー48Bは駆動ローラー48Aに近づく方向にコイルばね102によって付勢されている。記録装置11は、搬送中の媒体Mを支持部26に向かう下方に押さえる複数の押さえ部材101を備える。複数の押さえ部材101の先端部は、幅方向Xにおいてリブ26A間の凹領域26Bに対向して位置する。押さえ部材101は、不図示の回動支点を中心に回動可能に支持され、不図示のばねにより重力方向-Zに付勢されている。複数の押さえ部材101が幅方向Xにリブ26A間の位置で媒体Mの表面を押さえることで、媒体Mには幅方向Xに波打つ波形状が形成される。この波形状により媒体Mには搬送方向Yに延びる張り(テンション)が付与され、記録中における媒体Mの先端部および後端部のカールが抑制される。
【0076】
図17に示すように、廃液吸収部材50Aを収容する廃液ボックス50Bは、メンテナンス装置60と接続される廃液チューブ64の先端部に接続された針状の結合部66と結合可能な被結合部57とを備える。結合部66は廃液チューブ64の先端部にクランプ部材67を介して固定されている。廃液ボックス50Bは、被結合部57と同じ側の先端部の上方に飛散防止壁59を有する。メンテナンス装置60の吸引ポンプ63から廃液チューブ64を通じて廃液ボックス50B内の廃液吸収部材50Aに廃液が運ばれる。また、装置本体12側には結合部66の近傍位置に、接続フレーム68に支持された接続端子69が配置されている。また、廃液ボックス50Bの先端部の角部には、接続端子69と接続される記憶素子58が設けられている。
【0077】
図18は、廃液ボックス50Bを少し引き抜いた状態を示し、廃液ボックス50Bと針状の結合部66との接続、及び装置本体12側にある接続端子69と廃液ボックス50Bの先端部の角部に設けられた記憶素子58との電気的な接続が解除されている。
【0078】
接続端子69と記憶素子58との接続解除の際、廃液ボックス50Bの被結合部に穿刺状態で結合された針状の結合部66の先端部には、廃インク等の廃液の気泡等が残っている可能性がある。気泡が破裂すると、記録装置11内を汚染する可能性がある。よって、廃液ボックス50Bの先端部の上方に飛散防止壁59を設けることで、気泡の破裂による汚染を防止する。
【0079】
また、図19に示すように、飛散防止壁59は、廃液吸収部材50Aと搬送方向Y(奥行方向)に同じ位置の部分があり、鉛直方向Zにオーバーラップしている。このため、飛散防止壁59は、廃液吸収部材50Aが上方に外れるのを防止する機能も有する。
【0080】
図19に示すように、針状の結合部66は、ゴムシール57Aを貫通して廃液ボックス50B内に先端側の一部が挿入する状態で被結合部57と結合した状態にある。廃液吸収部材50Aは複数枚(例えば3枚)の第1廃液吸収部材54を鉛直方向Zに重ねて構成され、これら複数枚のうちの一番上の1つはその先端54Bが被結合部57近くまで延び、他の2つは一番上の1つよりも先端が被結合部57から離れて位置する。これら複数枚の第1廃液吸収部材54の先端部の段差形状により、廃液ボックス50Bの被結合部57側の端部の内部には空間部54Aが形成されている。
【0081】
そして、図19に示すように、被結合部57と結合した針状の結合部66の先端66Aは、廃液吸収部材50Aと一部接触している。すなわち、廃液ボックス50Bの被結合部57に結合された針状の結合部66の先端66Aが、結合部66の廃液流路66Bを塞がない程度に廃液吸収部材50Aの一部に接触している。詳しくは、廃液吸収部材50Aを構成する複数枚の第1廃液吸収部材54のうち一番上に位置する1つの先端54Bの角部が、結合状態にある結合部66の先端66Aと接触している。前述の空間部54Aが形成されているため、結合部66の先端66Aは、第1廃液吸収部材54の先端54Bと点接触に近い状態で接触している。これにより、廃液ボックス50Bの着脱時における廃液の気泡の発生が抑制される。仮に、結合部66の先端66Aが廃液流路66Bを塞ぐ状態で第1廃液吸収部材54と接触した状態にあると、廃液ボックス50Bを取り外す際に、結合部66の先端66Aと第1廃液吸収部材54とが離れる過程でこの間に存在する廃液によって気泡が発生する場合がある。この気泡が破裂すると、廃液が飛び散って記録装置11内を汚染する。これに対して、本実施形態では、結合部66の先端66Aが、廃液吸収部材50Aとの間で一部接触するのみで、廃液流路66Bが塞がれる状態には接触しない。このため、廃液ボックス50Bを取り外す際に、結合部66の先端66Aと第1廃液吸収部材54とが離れる過程で気泡が発生しにくい。したがって、廃液ボックス50Bの着脱時における気泡の破裂による記録装置11内の汚染が抑制される。
【0082】
図20に示すように、装置本体12に挿着された廃液ボックス50Bと、この廃液ボックス50Bを覆うカバーの一例としての廃液ボックスカバー28との間には、廃液ボックスカバー28が閉じられたときに廃液ボックス50Bを挿着方向に付勢する付勢部材の一例としての板ばね28Bが設けられている。すなわち、廃液ボックスカバー28に板ばね28Bが設けられており、廃液ボックス50Bを記録装置11の前方、つまり搬送方向Yに付勢している。この構造により、図5に示す廃液ボックスカバー28のねじ28Aを締結しない限り、廃液ボックスカバー28が回動して開いたままになるので、ユーザーは廃液ボックス50Bの押し込みが足りず、半挿し状態であることを容易に認識することが可能である。
【0083】
なお、図20に示す例では、板ばね28Bを用いたが、捻りばね又は圧縮ばねでもよい。また、半挿し時に接続端子69と記憶素子58とが接続されていないことを検知した場合に、メンテナンス装置60の液体吸引動作を禁止して、表示部14またはホスト装置の表示部に半挿し状態である旨のエラー報知をしてもよい。更に、廃液ボックス50Bや廃液ボックスカバー28の移動を検知するセンサーを設け、廃液ボックス50Bの半挿し状態を検知したら、メンテナンス装置60の液体吸引動作を禁止して表示部14またはホスト装置の表示部に半挿し状態である旨のエラー報知をしてもよい。
【0084】
<記録装置の電気的構成>
次に、記録装置11の電気的構成を説明する。記録装置11は、ホスト装置(図示略)と通信可能に接続される。制御部100は、ホスト装置から受信した記録データに基づいて記録制御を行う。なお、ホスト装置は、例えば、パーソナルコンピューター、携帯情報端末(PDA(Personal Digital Assistants))、タブレットPC、スマートフォン、携帯電話等のうちいずれか1つにより構成される。
【0085】
制御部100は、記録装置11に対する記録制御を含む各種の制御を行う。制御部100は、コンピュータプログラム(ソフトウェア)に従って動作する1つ以上のプロセッサーを備える。プロセッサーは、CPU並びに、RAM及びROM等のメモリーを含み、メモリーは、処理をCPUに実行させるように構成されたプログラムコードまたは指令を格納している。制御部100は、ソフトウェア処理を行うものに限られない。例えば、制御部100は、自身が実行する処理の少なくとも一部についてハードウェア処理を行う専用のハードウェア回路(たとえば特定用途向け集積回路:ASIC)を備えてもよい。
【0086】
制御部100には、出力系として、吐出ヘッド25、給送モーター、搬送モーターおよびキャリッジモーター36等が、電気的に接続されている。制御部100は、吐出ヘッド25、給送モーター、搬送モーターおよびキャリッジモーター36等を制御する。また、制御部100には、入力系として、媒体検出器、リニアエンコーダー37およびロータリーエンコーダー等が電気的に接続されている。
【0087】
制御部100は、第1給送部41または第2給送部42を制御することで、カセット20または給送トレイ22から媒体Mを給送する。また、制御部100は、搬送モーターを駆動制御することで、ローラー対48,49による媒体Mの搬送を制御する。制御部100は、媒体Mの搬送位置を媒体検出器が検知した位置を例えば原点とし、ロータリーエンコーダーから入力するパルス信号のパルスエッジを不図示のカウンターにより計数することで、媒体Mの搬送位置を取得する。
【0088】
制御部100は、キャリッジ24がホーム位置HPに達した時の位置を原点とし、リニアエンコーダー37から入力する検出信号のパルスエッジの数を不図示のカウンターにより計数することで、キャリッジ24の原点位置を基準とする走査方向Xにおける位置であるキャリッジ位置を取得する。制御部100は、キャリッジ位置の計数値を基にキャリッジモーター36を制御することにより、キャリッジ24の速度制御および位置制御を行う。さらに、制御部100は、記録データに基づいて吐出ヘッド25のノズルから液体を吐出する吐出タイミングを制御する。これにより、吐出ヘッド25は、媒体Mに記録データに基づく画像を記録する。
【0089】
制御部100は、両面記録が指示された場合、まず媒体Mの第1面の記録を行うときは、搬送モーターを正転駆動させてローラー対48,49を正転駆動させることで、媒体Mを搬送方向Yに搬送させる。この搬送中に媒体Mの第1面に記録部23が画像等を記録する。制御部100は、媒体Mの第1面の記録を終えると、搬送モーターを逆転駆動させてローラー対48,49を逆転駆動させることで、媒体Mを搬送方向Yの上流へ向かう方向に逆搬送させる。逆搬送された媒体Mは、反転ローラー47を経由して第1面と反対側の第2面が記録対象の記録面となる向きに反転され、反転後の媒体Mが搬送方向Yに再給送される。
【0090】
制御部100は、記録データおよびメンテナンス情報を基に吐出ヘッド25から吐出および排出された液量を計測または算出し、記憶素子58から読み出した廃液量の値に、計測または算出した液量を加算することで、廃液回収ユニット50の現在の廃液量を更新する。制御部100は、廃液回収ユニット50の最新の廃液量を定期的又は不定期に記憶素子58に書き込むことで更新する。制御部100は、廃液回収ユニット50の廃液量が上限値に達すると、ユーザーに交換時期に達した旨および交換を促す旨のメッセージを表示部14またはホスト装置の表示部に表示させることで報知し、ユーザーに廃液回収ユニット50の交換を促す。
【0091】
次に、記録装置11の作用について説明する。
ユーザーが縁なし記録モードを選択して記録の開始を指示すると、カセット20から媒体Mが給送された媒体Mまたは給送トレイ22に載置された媒体Mが給送される。給送された媒体Mはローラー対48,49の回転により記録領域へと搬送される。記録部23が走査方向Xに移動する途中で吐出ヘッド25が媒体Mに向けて液体を吐出して1走査分の記録を行う記録動作と、媒体Mを次の記録位置までローラー対48,49により搬送する搬送動作とを交互に行うことで媒体Mへの記録が行われる。
【0092】
例えば、縁なし記録モードでは、記録部23と共に走査方向Xに移動する吐出ヘッド25は、媒体Mの幅方向Xの側端よりも外側にはみ出した領域にも液体を吐出する。このとき吐出ヘッド25から媒体Mの幅方向Xの側端よりも外側に吐出された液体は、支持部26の表面の一部を覆う打捨て吸収部材70に打ち捨てられる。打ち捨てられた液体は、廃液として図1図6に示す打捨て吸収部材70に吸収される。詳しくは、打ち捨てられた液体は、打捨て吸収部材70のうち表面側に配置された表層吸収部材73に吸収される。こうして、記録中は、吐出ヘッド25から打ち捨てられた液体が、廃液として打捨て吸収部材70に吸収され、打捨て吸収部材70に廃液が徐々に溜まる。
【0093】
また、記録中において、記録部23は定期的にホーム位置HPに移動して吐出ヘッド25の全ノズルからキャップ61に向けて液体を吐出する空吐出(フラッシング)を行う。空吐出によって記録中の吐出ヘッド25のノズルが目詰まりすることが予防される。空吐出によりキャップ61に溜まった液体(廃液)は、吸引ポンプ63が駆動されることで、廃液チューブ64を通じて廃液ボックス50Bに回収される。廃液チューブ64を通じて送られた廃液は、結合部66と被結合部57との結合を介して廃液ボックス50B内に回収され、廃液ボックス50Bに保持された廃液吸収部材50Aに吸収される。
【0094】
また、クリーニング時期になると、メンテナンス装置60が吐出ヘッド25のノズルから液体を強制的に排出させるクリーニングが行われる。クリーニングにより吐出ヘッド25のノズルの目詰まりが予防または解消される。詳しくは、記録部23は、ホーム位置HPで、キャップ61が吐出ヘッド25のノズル面に接触するキャッピング状態とされる。このキャッピング状態の下で吸引ポンプ63が駆動されることで、ノズル面とキャップ61とに囲まれた閉空間が負圧となる。この結果、吐出ヘッド25のノズルから液体が強制的に排出される。排出された液体はキャップ61に受容されるとともに、キャップ61から吸引ポンプ63の負圧により廃液チューブ64を通じて廃液回収ユニット50内に回収される。
【0095】
廃液チューブ64の先端部に固定された結合部66が、廃液ボックス50Bの被結合部57に結合する状態にある。廃液チューブ64を通じて送られた廃液は廃液ボックス50B内に回収される。廃液ボックス50B内に回収された廃液は、第1廃液吸収部材54に吸収される。また、第1廃液吸収部材54に吸収された廃液は、毛管現象等により、第2廃液吸収部材56に受け渡される。
【0096】
一方、打捨て吸収部材70に打ち捨てられた液体は、廃液として打捨て吸収部材70に溜まる。打捨て吸収部材70に溜まった廃液は、底面71Aの僅かな勾配によって、図16に破線矢印で示す方向へ移動する。打捨て吸収部材70内を端部まで移動した廃液は、受渡し機構80を介して毛管現象および重力等により廃液吸収部材50Aへ流れる。受渡し機構80は図12に示す非遮断位置(退避位置)にあるので、接続吸収部材81,82を介して流れた廃液は、第2接続吸収部材82の下端から滴下または流れ落ち、さらに廃液ガイド部83の斜面83Aを流れ落ちることで、廃液吸収部材50Aに至る。そして、廃液吸収部材50Aに至った廃液は、廃液吸収部材50Aに吸収される。
【0097】
このように、打捨て吸収部材70に吸収された廃液はある程度の量が超えると、打捨て吸収部材70から受渡し機構80を介して廃液吸収部材50Aへ流れる。よって、打捨て吸収部材70は、廃液がオーバーフローすることなく、常に廃液を吸収可能な状態に保持される。打捨て吸収部材70に吸収された廃液は、重力によって受渡し機構80を介して、打捨て吸収部材70よりも低くに位置する廃液吸収部材50Aへ流れる。
【0098】
また、打捨て吸収部材70へ打ち捨てられる廃液の量の割に、打捨て吸収部材70から受渡し機構80を介して廃液吸収部材50Aへ流れる廃液の量が少ないと、打捨て吸収部材70に廃液が少し過剰に溜まる。この場合、打捨て吸収部材70に溜まった廃液が接続吸収部材91を介して拡張吸収部材90(90A,90B)へ一時的に流れる。このため、打捨て吸収部材70に一時的であれ廃液が過剰に溜まる頻度が低減される。その後、媒体Mへの記録が終わって、打捨て吸収部材70へ液体が打ち捨てられなくなっても、受渡し機構80を介した廃液の受け渡しは継続されるので、次第に打捨て吸収部材70に溜まる廃液の量も少なくなる。すると、一時的に拡張吸収部材90へ流れていた廃液が、再び接続吸収部材91を経由して打捨て吸収部材70へ戻り、その戻った廃液によって打捨て吸収部材70に溜まる廃液が過剰気味である場合は、打捨て吸収部材70から引き続き受渡し機構80を介して廃液が廃液吸収部材50Aへ流れる。このように、打捨て吸収部材70へ打ち捨てられる単位時間当たりの液体の量が多い場合でも、打捨て吸収部材70は液体を吸収可能な状態に保持される。
【0099】
そして、記録装置11において、記録、空吐出、クリーニングなどによって排出された廃液によって廃液回収ユニット50が廃液で一杯になると、ユーザーは廃液回収ユニット50を新しい廃液回収ユニット50と交換する。
【0100】
廃液回収ユニット50が回収した廃液量は、制御部100が管理している。制御部100は廃液量が上限値を超えると、表示部14またはホストコンピューターの表示部に、廃液回収ユニット50の交換時期である旨のメッセージを表示する。制御部100は、廃液回収ユニット50内の廃液量が上限値を超えると、表示部14又はホスト装置の表示部に、廃液回収ユニット50が交換時期である旨のメッセージを表示する。このメッセージを見たユーザーは、表示部14のタッチパネル操作あるいはホスト装置の入力部の操作で、廃液回収ユニット50を交換する旨を記録装置11へ通知する。
【0101】
制御部100は、廃液回収ユニット50を交換する旨の指示を受け付けると、搬送モーターを駆動させ、スライドギア87を退避位置から遮断位置へ移動させる。スライドギア87が遮断位置に配置されることで、受渡し機構80を介した廃液の受け渡し経路が遮断される。
【0102】
ユーザーは、図3に示すように、給送トレイ22およびサポートガイド部材27を上方にスライドさせることで、装置本体12の背面下部の開口12Cから廃液回収ユニット50の一部を露出させた状態とする。さらに、ユーザーは、図4に示すように、ねじ28Aを外し、廃液ボックスカバー28を閉位置から開位置へ開ける。
【0103】
そして、ユーザーは、廃液回収ユニット50を搬送方向Yの上流側へ引き抜いて装置本体12から取り外す。その後、新しい廃液回収ユニット50を、開口12Cから搬送方向Y(押込み方向)に向かってスライドさせながら押し込む。この押込みによって廃液ボックス50Bの被結合部57に結合部66が結合される。こうして廃液ボックス50Bは廃液チューブ64と接続される。また、このとき、接続端子69が記憶素子58と電気的に接続される。
【0104】
記憶素子58には、制御部100が管理する廃液回収ユニット50に回収された廃液量の更新値が書き込まれる。
制御部100は、空吐出時に吐出ヘッド25のノズルから吐出した液量及びクリーニング時にノズルから排出した液量など廃液回収ユニット50に回収される液量を計測する。計測した液量は所定のタイミングで廃液ボックス50Bに設けられた記憶素子58に書き込まれる。このため、廃液回収ユニット50が交換されても、記憶素子58に記憶されたデータを読み込むことで、制御部100は、廃液回収ユニット50内に回収された廃液量を取得できる。
【0105】
上記第1実施形態によれば、以下に示す効果が得られる。
(1)液体吐出装置の一例としての記録装置11は、被記録材の一例である媒体Mに液体を吐出する吐出ヘッド25と、吐出ヘッド25と対向して設けられ、媒体Mを下方から支持する支持部26と、支持部26に支持された媒体Mの端部の外側へ吐出ヘッド25から打ち捨てられた液体を廃液として吸収する第1吸収部材の一例としての打捨て吸収部材70とを備える。さらに、記録装置11は、吐出ヘッド25から排出される液体を廃液として受容する廃液受容部の一例としてのキャップ61と、キャップ61から送られた廃液を吸収する第2吸収部材の一例としての廃液吸収部材50Aと、廃液吸収部材50Aを保持する収容部の一例としての廃液ボックス50Bとを有する。打捨て吸収部材70と廃液吸収部材50Aは、打捨て吸収部材70から廃液吸収部材50Aへ廃液を受け渡し可能に接続される。
【0106】
よって、吐出ヘッド25から支持部26に支持された媒体Mの端部の外へ打ち捨てられた液体(廃液)は、打捨て吸収部材70に吸収される。打捨て吸収部材70に吸収された廃液は、打捨て吸収部材70から廃液吸収部材50Aへ受け渡しされる。交換時には、打捨て吸収部材70と廃液吸収部材50Aとのうちその一部である廃液吸収部材50A保持する廃液ボックス50Bを交換すれば足りる。よって、吸収部材の交換作業がし易いうえ、交換時に吸収部材に吸収されている廃液で記録装置11または作業者の手等が汚れることを抑制できる。したがって、吸収部材の交換作業がし易いうえ、交換時に吸収部材の廃液で汚れることを抑制できる。また、サービスマンでなくても、一般ユーザーが自ら廃液吸収部材50Aを交換できるので、記録装置の使い勝手が向上する。
【0107】
(2)廃液吸収部材50Aは、打捨て吸収部材70よりも低くに位置する。よって、打捨て吸収部材70から廃液吸収部材50Aへ重力を利用して液体を受け渡すことができる。例えば、廃液吸収部材50Aを交換しても、打捨て吸収部材70に多量の廃液が残ったまま回収されない事態を回避できる。また、液体の受け渡しのためにポンプおよびその駆動部を不要にでき、仮にポンプ等を設けた場合でもそれを小型なもので済ませられる。このため、打捨て吸収部材70から廃液吸収部材50Aへ液体を効率よく受け渡すことができる。
【0108】
(3)記録装置11は、打捨て吸収部材70と廃液吸収部材50Aとの間の液体の受け渡しを行う受渡し部の一例としての受渡し機構80を有している。よって、打捨て吸収部材70と廃液吸収部材50Aとが離れていても、受渡し機構80を介して廃液の受け渡しが可能である。例えば、廃液ボックス50Bを装置本体12に対して着脱し易い形状または位置としたために、廃液吸収部材50Aが打捨て吸収部材70と接触させにくい形状または位置となる場合がある。この場合、液体の受け渡しが困難になると、打捨て吸収部材および廃液吸収部材50Aを別々に交換する必要がある。この場合、仮に廃液吸収部材50Aを保持する廃液ボックス50Bのみを交換すると、打捨て吸収部材70に多量の液体が残ったままとなる。これに対して、受渡し機構80を有する本実施形態によれば、廃液ボックス50Bを、装置本体12に対して着脱し易い形状にしたり、着脱し易い位置に配置したりしても、受渡し機構80を介することで、打捨て吸収部材70から廃液吸収部材50Aへ液体を受け渡すことができる。このため、例えば、廃液ボックス50Bを交換しても、打捨て吸収部材70に多量の液体が残ったままとなる事態を回避し易い。つまり、廃液吸収部材50Aを保持する廃液ボックス50Bを交換すれば足りる。
【0109】
(4)記録装置11は、打捨て吸収部材70と廃液吸収部材50Aとの間の受渡し機構80による液体の受け渡しを一時的に遮断可能な遮断機構85を備えてもよい。よって、廃液ボックス50Bの交換時に、打捨て吸収部材70から廃液吸収部材50Aへの受渡し機構80による液体の受け渡しを遮断機構85によって一時的に遮断できるので、廃液吸収部材50Aが打捨て吸収部材70から切り離されても、打捨て吸収部材70から受け渡される廃液が装置本体12内に漏れ、記録装置11内が廃液で汚染されることを抑制できる。
【0110】
(5)遮断機構85は、メンテナンス装置60の動力を使って駆動され、液体の受け渡しを一時的に遮断する。よって、遮断機構85は、メンテナンス装置60の動力を使って駆動されるので、ユーザーが手作業で遮断機構85を遮断と接続とに切り替える必要がない。例えば、ユーザーは操作スイッチを操作すれば、メンテナンス装置60の動力を使って遮断機構85を遮断と接続との間で切り替えできる。
【0111】
(6)受渡し機構80は、廃液ボックス50Bが装置本体12に挿着された状態において、液体を受け渡し可能に構成される。このため、廃液ボックス50Bが装置本体12に挿着された状態において、受渡し機構80は、打捨て吸収部材70と廃液吸収部材50Aとの間で液体を受け渡すことができる。よって、吸収部材全体の廃液吸収効率を向上できる。
【0112】
(7)電子部品が実装されたメイン基板76と廃液吸収部材50Aは、打捨て吸収部材70を挟んで、対向配置されている。つまり、メイン基板76と廃液吸収部材50Aは、打捨て吸収部材70が位置する搬送領域FAを挟んで幅方向Xに対向配置されている。メイン基板76と廃液吸収部材50Aは、打捨て吸収部材70の幅寸法に相当する距離を隔てた位置にそれぞれ配置される。よって、廃液吸収部材50Aから廃液が漏出しても、その漏出した廃液が搬送領域FAを横切ってメイン基板76に至ってこれと接触することはまず発生しにくい。例えば、廃液吸収部材50Aから漏出した廃液がメイン基板76に接触して電気的な故障が発生することを抑制できる。なお、打捨て吸収部材70は、メイン基板76に対して廃液吸収部材50Aよりも近くに位置するが、廃液吸収部材50Aに比べ、吸収している液体量が少ないので、打捨て吸収部材70から仮に廃液が漏出しても、その廃液はメイン基板76に接触しにくい。
【0113】
(8)記録装置11は、打捨て吸収部材70と液体の受け渡しが可能に接続された拡張吸収部材90を備える。打捨て吸収部材70と廃液吸収部材50Aは、受渡し機構80とは異なる位置で、拡張吸収部材90を挟んで、対向配置される。よって、記録装置1台当たりの吸収部材全体の廃液吸収容量が増加するので、廃液吸収部材50Aの交換頻度を低減することができる。また、打捨て吸収部材70と廃液吸収部材50Aとの間のスペースのうち受渡し機構80に占有されていない部分のスペースを利用するので、拡張吸収部材に比較的大きな容積を確保し易い。
【0114】
(9)記録装置11は、吐出ヘッド25に液体を供給する液体供給源17と、吐出ヘッド25から液体をキャップ61に強制的に排出させるメンテナンス装置60とを備える。廃液吸収部材50Aは、メンテナンス装置60または液体供給源17の下方に配置される。よって、吐出ヘッド25のクリーニング時等にメンテナンス装置60から下方へ落ちた廃液、または液体供給源17の交換時またか液体供給源17への液体の補充時に落ちた廃液を、廃液吸収部材50Aによって吸収できる。よって、記録装置11内の廃液の汚染を抑制できる。
【0115】
(10)廃液吸収部材50Aは、メンテナンス装置60または液体供給源17から飛散した液体を吸収する機能を有する。このため、メンテナンス装置60または液体供給源17から飛散した液体を、廃液吸収部材50Aにより吸収することができる。よって、記録装置11内の廃液の汚染を抑制できる。
【0116】
(11)廃液吸収部材50Aは、吐出ヘッド25の下方に位置するカセット20に収容された媒体Mを1枚ずつ吐出ヘッド25の記録位置に向かって給送する第1給送部41の下方に一部オーバーラップして配置される。よって、記録装置11のサイズを小型化できる。
【0117】
(12)廃液吸収部材50Aは、載置部の一例である給送トレイ22に載置された媒体Mを吐出ヘッド25の記録位置に向かって給送する第2給送部42の下方にオーバーラップして配置される。よって、記録装置11のサイズを小型化できる。
【0118】
(13)記録装置11は、吐出ヘッド25により第1面の記録を終えた媒体Mを吐出ヘッド25よりも搬送方向Yの上流側へスイッチバック搬送させ、この媒体Mを第1面と反対側の面である第2面が吐出ヘッド25と対向可能な向きに反転させる反転部の一例である反転ローラー47を備える。廃液吸収部材50Aは、反転ローラー47の下方に一部オーバーラップして配置される。よって、記録装置11のサイズを小型化できる。
【0119】
(14)記録装置11は、吐出ヘッド25に電力を供給する電源ユニット75を備える。廃液吸収部材50Aと電源ユニット75は、打捨て吸収部材70を挟んで、対向配置される。廃液吸収部材50Aと電源ユニット75は記録装置11内の収容空間を大きく占有する部品なので、記録装置11内で廃液吸収部材50Aと電源ユニット75を、打捨て吸収部材70を挟む両側に分けて配置することで、記録装置11全体の部品レイアウトの最適化を図ることができる。よって、記録装置11の小型化を実現できる。
【0120】
(15)打捨て吸収部材70を保持する収容部71の底面71Aが、廃液吸収部材50Aに向かう方向に下り傾斜している。よって、打捨て吸収部材70に吸収された廃液を収容部71の底面71Aの勾配によって、廃液吸収部材50Aに向かって流れやすくすることができる。したがって、収容部の底面が水平面である構成に比べ、打捨て吸収部材70から廃液吸収部材50Aへ廃液を受け渡し易くなる。
【0121】
(16)廃液ボックス50Bは、メンテナンス装置60と接続されるチューブ64の先端部に接続された結合部66と結合可能な被結合部57と、被結合部57と同じ側の先端部の上方に設けられた飛散防止壁59とを有する。よって、廃液ボックス50Bの着脱時に結合部66の先端部にできた廃液の気泡が破裂しても、飛散防止壁59によってその破裂した廃液の飛散を防止することができる。
【0122】
(17)廃液ボックス50Bにおいて、被結合部57と結合した結合部66の先端は、廃液吸収部材50Aと一部接触する。よって、廃液ボックスの着脱時に結合部の先端部で廃液の気泡発生抑制効果が得られる。
【0123】
(18)記録装置11は、装置本体12に挿着された廃液ボックス50Bを覆う廃液ボックスカバー28と、廃液ボックス50Bと廃液ボックスカバー28との間に設けられ、廃液ボックスカバー28が閉じられたときに廃液ボックス50Bを挿着方向に付勢する付勢部材の一例である板ばね28Bとを備えてもよい。よって、廃液ボックスの着脱時の半挿しを防止できる。
【0124】
(19)支持部26と吐出ヘッド25と打捨て吸収部材70とキャップ61とを備えた記録装置11の装置本体12に対して着脱可能に挿着される廃液回収ユニット50は、キャップ61から送られた廃液を吸収する廃液吸収部材50Aと、廃液吸収部材50Aを保持する廃液ボックス50Bとを備える。廃液ボックス50Bが装置本体12に挿着された状態では、廃液吸収部材50Aは、キャップ61からの廃液を吸収可能に接続され、かつ打捨て吸収部材70から廃液を受け渡し可能に打捨て吸収部材70と接続される。一方、廃液ボックス50Bを装置本体12から取り外すときは、廃液吸収部材50Aは、キャップ61からの廃液を吸収可能な接続が解除されるとともに、打捨て吸収部材70から受け渡しされる廃液の経路が遮断された状態で打捨て吸収部材70との接続が切り離される。よって、廃液回収ユニット50によれば、記録装置11の上記(1)の効果が同様に得られる。
【0125】
(20)廃液回収方法は、支持部26と、吐出ヘッド25と、媒体Mの端部の外側に打ち捨てられた液体を吸収する打捨て吸収部材70と、吐出ヘッド25から排出された液体を廃液として受容するキャップ61から送られる廃液を吸収する廃液吸収部材50Aとを備えた記録装置11において廃液を回収する方法である。廃液ボックス50Bを装置本体12に対して着脱可能に設ける。廃液回収方法は、廃液ボックス50Bが装置本体12に挿着されると、廃液吸収部材50Aは、キャップ61から送られる廃液を吸収可能に廃液流路と接続されるとともに、打捨て吸収部材70から廃液を受け渡し可能に打捨て吸収部材70と接続されることと、廃液ボックス50Bが装置本体12から取り外しされると、廃液吸収部材50Aは、キャップ61の廃液流路との接続が解除されるとともに、打捨て吸収部材70から廃液の受け渡しが遮断された状態で打捨て吸収部材70との接続が切り離されることと、を含む。この廃液回収方法によれば、上記記録装置11の効果(1)と同様の効果が得られる。
【0126】
(第2実施形態)
次に、図21図29を参照して第2実施形態について説明する。前記第1実施形態と共通の構成は同一の符号を付して説明を省略し、特に異なる構成について説明する。なお、第3実施形態以降についても同様である。
【0127】
図21図23に示すように、記録装置11は、支持部26に支持された媒体Mの端部の外側へ吐出ヘッド25(いずれも図1参照)から打ち捨てられた液体を廃液として吸収する第1吸収部材の一例として、打捨て吸収部材70および拡張吸収部材90を備える。また、記録装置11は、吐出ヘッド25から排出される液体を廃液として受容するキャップ61から送られた廃液を吸収する第2吸収部材の一例としての廃液吸収部材50Aを備える。
【0128】
図21図23に示すように、打捨て吸収部材70は、受渡し機構80とは異なる場所で、拡張吸収部材90を介して廃液吸収部材50Aに対して液体の受け渡しが可能に接続される。
【0129】
図21図23に示す例では、記録装置11は、打捨て吸収部材70から第1廃液吸収部材54へ液体を受け渡す第1受渡し機構80と、打捨て吸収部材70から拡張吸収部材90を介して第2廃液吸収部材56へ液体を受け渡す第2受渡し機構140とを備える。第1受渡し機構80は、第1実施形態の受渡し機構80に相当する。
【0130】
第2受渡し機構140は、拡張吸収部材90と第2廃液吸収部材56とを、拡張吸収部材90から第2廃液吸収部材56へ廃液を受け渡し可能に接続する。そして、第2受渡し機構140は、拡張吸収部材90と第2廃液吸収部材56との間の液体の受け渡しを行う受渡し部141を有する。
【0131】
これにより、打捨て吸収部材70から第1廃液吸収部材54へ第1受渡し機構80を介して廃液を受け渡す第1廃液経路と、打捨て吸収部材70を拡張させた拡張吸収部材90から第2受渡し機構140を介して第2廃液吸収部材56へ廃液を受け渡す第2廃液経路とが形成される。第1廃液吸収部材54と第2廃液吸収部材56は接続部50Cを介して廃液の移動が可能に接続されている。よって、打捨て吸収部材70を始点とする第1廃液経路と第2廃液経路とが接続部50Cで接続されることで、環状に閉じた廃液経路が形成される。
【0132】
例えば、記録中に吐出ヘッド25から打捨て吸収部材70へ過剰な量の液体が打ち捨てられた場合、第1廃液経路と第2廃液経路との二経路によって、打捨て吸収部材70から廃液吸収部材50Aへの廃液の排出が可能となる。このため、打捨て吸収部材70からの液体の排液がスムーズに行われ、打捨て吸収部材70に過剰な液体が溜まりにくい。なお、本実施形態では、拡張吸収部材90が、第1吸収部材の一例を構成する。また、第2廃液吸収部材56が、第2吸収部材の一例に相当する。
【0133】
図23は、第1廃液回収部51と第2廃液回収部52とを分離して描いているが、第2廃液ボックス部55の側面に形成された開口(図示略)および接続部50Cを介して、第1廃液吸収部材54と第2廃液吸収部材56との間が液体を移動可能に接続されてもよい。なお、接続部50Cがなく、第1廃液回収部51と第2廃液回収部52とが分離された構成としてもよい。つまり、第1廃液回収部51と第2廃液回収部52とを装置本体12に対して別々に挿着する構成としてもよい。
【0134】
図23に示すように、本実施形態の第2廃液回収部52は、第1実施形態の第2廃液回収部52よりも高さ寸法が長い。そして、第2廃液回収部52の上端は、拡張吸収部材90の上面よりも少し高く位置してもよい。第2受渡し機構140の受渡し部141は、拡張吸収部材90側に設けられている。廃液回収ユニット50を挿着方向ADに移動させて装置本体12に挿着すると、第2廃液吸収部材56が受渡し部141に接続される。また、廃液回収ユニット50を挿着方向ADと反対の方向である抜取方向-ADへ移動させて装置本体12から取り外すと、第2廃液吸収部材56が受渡し部141から外れる。
【0135】
廃液回収ユニット50が装置本体12に挿着された状態では、受渡し部141は、拡張吸収部材90から第2廃液吸収部材56へ液体が流れる向きに下り傾斜している。つまり、受渡し部141が水平に対して所定角度で下り傾斜しているので、拡張吸収部材90の廃液が受渡し部141上を流れ、第2廃液吸収部材56へ排出される。このように、本実施形態では、受渡し部141を下り傾斜させることで、拡張吸収部材90からの廃液を、重力を利用して第2廃液吸収部材56へ移動させる。
【0136】
ところで、廃液回収ユニット50が装置本体12から取り外された状態において、受渡し部141が、廃液回収ユニット50の挿着時と同じ向きに傾いたままであると、次の課題が起こりうる。すなわち、受渡し部141が廃液回収ユニット50の挿着時と同じ向きに傾いたままであると、拡張吸収部材90から受渡し部141上を流れた廃液が、記録装置11の筐体内あるいは記録装置11が設置されている机や棚の上などの設置面上に滴下される場合がある。この場合、筐体内または設置面が廃液で汚染される。
【0137】
そこで、図26図29に示すように、本実施形態の記録装置11は、拡張吸収部材90と第2廃液吸収部材56との間の受渡し部141による液体の受け渡しを一時的に遮断可能な遮断機構160を備えてもよい。
【0138】
<遮断機構の構成>
次に、図24図26等を参照して、遮断機構160の構成について説明する。
廃液の受け渡しを一時的に遮断する遮断機構160は、受渡し部141の傾斜の向きと傾斜の勾配とのうち一方または両方を切り替える機構である。遮断機構160は、受渡し部141と係合するカム機構150(図24参照)と、受渡し部141を付勢する付勢部材の一例としてのばね145(図25参照)との作用で駆動される。遮断機構160は、ユーザーによる廃液回収ユニット50の挿着方向ADへの移動(第1移動)と、ユーザーによる廃液回収ユニット50の抜取方向-ADへの移動(第2移動)とを、カム機構150を介して受渡し部141の挿着・抜取に応じた回動方向の傾動動作に切り替える。
【0139】
ユーザーによる廃液回収ユニット50の挿着と抜取の操作は、収容部の一例である第2廃液ボックス部55を把持して行われる。また、第1廃液回収部51と第2廃液回収部52とが別々に挿着可能に分離された構成としてもよく、この場合も、ユーザーは第2廃液ボックス部55を把持して第2廃液回収部52の挿着と抜取の操作を行う。
【0140】
ユーザーが廃液回収ユニット50を装置本体12に挿着するとき、遮断機構160は、受渡し部141を下り傾斜とする。一方、ユーザーが廃液回収ユニット50を装置本体12から取り外すときは、遮断機構160が、受渡し部141を必ずしも「上り傾斜」とする必要はない。この抜取時の受渡し部141の傾斜は、挿着時の下り傾斜よりも勾配が小さな下り傾斜か、水平か、拡張吸収部材90から第2廃液吸収部材56に向かって上る上り傾斜のうちのいずれかであればよい。
【0141】
例えば、第2廃液ボックス部55の抜取時に、挿着時の受渡し部141の下り傾斜よりも勾配が小さな下り傾斜に切り替えただけでも、受渡し部141の先端から廃液が垂れることは抑制される。
【0142】
また、第2廃液ボックス部55の抜取時に受渡し部141の傾斜の勾配を、傾き角が0°である水平にした場合、受渡し部141上の廃液の自重による流れが停止する。つまり、受渡し部141が水平な姿勢に切り替えられることで、受渡し部141上において拡張吸収部材90から第2廃液吸収部材56へ向かう廃液の流れは停止する。
【0143】
さらに、第2廃液ボックス部55の抜取時に受渡し部141が、挿着時の下り傾斜とは反対の向きの上り傾斜に切り替えられれば、受渡し部141上を廃液が流れる向きを、挿着時とは逆向きに変更することが可能である。このため、受渡し部141には、拡張吸収部材90へ向かって戻る方向の廃液の流れが発生する。このように、第2廃液ボックス部55の抜取り時に受渡し部141を上り傾斜に切り替える構成が、抜取り後における受渡し部141の先端からの廃液の垂れを効果的に抑制できる。この理由から、第2廃液ボックス部55の抜取時に受渡し部141の傾斜の向き・傾斜の勾配を切り替える選択肢のうち、効果の大きな「上り傾斜」とする例を、図26図29では示している。なお、勾配が小さな下り傾斜、もしくは水平にすることで、受渡し部141の回動領域が小さくなる効果があるので、廃液回収ユニット50周りの配置スペースの有無によって、適切な方を選択してもよい。
【0144】
図26図29に示される遮断機構160は、受渡し部141の傾斜を、拡張吸収部材90から第2廃液吸収部材56に向かって下る下り傾斜(図26参照)から、拡張吸収部材90から第2廃液吸収部材56に向かって上る上り傾斜(図29参照)に変更する。廃液回収ユニット50の抜取時に、受渡し部141が上り傾斜の姿勢にあれば、受渡し部141の先端からの廃液の垂れが抑制される。なお、本実施形態では、遮断機構160が、遮断部の一例に相当する。
【0145】
図26に示す遮断機構160は、受渡し部141を下り傾斜と上り傾斜との間で切り替える機構である。第2廃液ボックス部55が装置本体12に挿着された状態では、受渡し部141が、拡張吸収部材90から第2廃液吸収部材56に向かって下る下り傾斜の姿勢である第1姿勢にある。また、図25図29に示すように、第2廃液ボックス部55を装置本体12から取り外した状態では、受渡し部141は、拡張吸収部材90から第2廃液吸収部材56に向かって上る上り傾斜の姿勢である第2姿勢にある。
【0146】
図26図29に示される遮断機構160は、第2廃液ボックス部55の挿着・抜取に応じて、受渡し部141の傾斜の向きを下り傾斜と上り傾斜との間で切り替える機構である。そのために、遮断機構160は、受渡し部141を回動可能に支持する回動軸144(図25参照)と、第2廃液ボックス部55の挿着・抜取に応じて受渡し部141の傾斜の向きを切り替える切替機構とを備える。この切替機構は、受渡し部141を上り傾斜の姿勢となる第1回動方向(図26では反時計回り方向)へ付勢する付勢部材の一例としてのばね145(図25参照)と、第2廃液ボックス部55の挿着過程で受渡し部141と係合することで、ばね145の付勢力に抗して受渡し部141を、第1回動方向とは反対の方向である第2回動方向(図26では時計回り方向)に回動させるカム機構150とを備える。このカム機構150によって受渡し部141がばね145の付勢力に抗して第2回動方向に回動することで、受渡し部141が上り傾斜の姿勢から下り傾斜の姿勢に切り替えられる。
【0147】
次に、カム機構150と受渡し部141の付勢構造について詳細に説明する。
<カム機構>
まず、図24を参照してカム機構150の詳細な構成について説明する。
【0148】
図24に示すように、第2廃液ボックス部55は、挿着方向ADを向く面に、受渡し部141が挿入される開口55Aを有している。開口55Aの幅方向Xの寸法は、受渡し部141における開口55Aに挿入される部分の幅方向Xの寸法よりも若干長い。カム機構150は、第2廃液ボックス部55の開口55Aの近傍位置に挿着方向ADに向かって突出する一対のカム部151と、保持部142が幅方向Xの両側に有する一対の側部142Sにおける抜取方向-ADの先端部分の上面よりなるカムフォロア面142Aとを備える。一対のカム部151は、保持部142が開口55Aに挿入される過程でその保持部142の両側の側部142Sと対向する部分にカム面151Aを有する。カム面151Aは、挿着方向ADの下流に向かうほど上方に位置する向きに傾斜する傾斜面に形成されている。側部142Sには、このカム面151Aと対向する位置にカムフォロア面142Aが形成されている。なお、カム面151Aとカムフォロア面142Aは、一対でなく1つのみでもよい。
【0149】
第2廃液ボックス部55が挿着方向ADに移動する挿着過程では、一対のカム部151のカム面151Aが、保持部142が有する一対のカムフォロア面142Aと係合し、保持部142の挿着方向ADの上流側端部(先端部)が下方に押し下げられる。これにより、受渡し部141は、拡張吸収部材90から第2廃液吸収部材56に向かって下る下り傾斜の姿勢である第1姿勢となる。
【0150】
また、第2廃液ボックス部55が抜取方向-ADに移動する抜取り過程では、一対のカム部151が保持部142から抜取方向-ADへ離れることで、受渡し部141はばね145(図25参照)の付勢力でそのカムフォロア面142Aがカム面151Aに沿って上方へ変位しつつ第1回動方向へ回動する。この第1回動方向への回動によって、受渡し部141は、拡張吸収部材90から第2廃液吸収部材56に向かって上り傾斜する第2姿勢となる。
【0151】
<受渡し部の付勢構造>
次に、図25図26を参照して受渡し部141の付勢構造について説明する。
図25に示すように、遮断機構160は、保持部142を回動可能に支持する回動軸144と、保持部142を第1回動方向(図26では反時計回り方向)に付勢するばね145とを備える。また、遮断機構160は、保持部142をばね145の付勢力で付勢される回動方向へのエンド位置でそれ以上の回動を規制する規制部94(ストッパー)(図26参照)を備える。
【0152】
保持部142は、回動軸144を中心として所定の角度範囲で回動可能に支持されている。保持部142は、第2廃液ボックス部55が装置本体12に完全に挿着された状態で、拡張吸収部材90と第2廃液吸収部材56とを廃液を流動可能に橋渡しできる長さを有する。拡張吸収部材90を支持する支持部92は、受渡し部141の挿着方向ADの下流側端部(基端部)に対応する位置に凹部92Aを有する。受渡し部141は、その基端部が凹部92A内に配置されることで、拡張吸収部材90に対して拡張吸収部材90からの液体を受け渡し可能に接続される。保持部142は、その長手方向と直交する方向に切った断面形状が凹形状となる形状を有する。保持部142は、底部と、底部の幅方向Xの両側に上方に向かって延出する一対の側部142Sとを有する。保持部142はその内底面142B上に吸収部材143を保持している。
【0153】
回動軸144は、その軸方向が、挿着方向ADと交差(例えば直交)する方向を向く。図25図26の例では、回動軸144の軸方向は、挿着方向ADと鉛直方向Zの両方と交差(例えば直交)する方向を向く例を示す。回動軸144は、保持部142を回動可能に支持する。
【0154】
受渡し部141は、第2廃液ボックス部55の挿着時の傾斜姿勢である下り傾斜から、第2廃液ボックス部55の抜取時の傾斜姿勢である上り傾斜へ向かう方向に付勢されている。つまり、受渡し部141は付勢部材により第1回動方向へ付勢されている。この付勢部材は、図25図26等に示すばね145であってもよい。ばね145は、図25に示す圧縮ばねであってもよい。受渡し部141の下方には、拡張吸収部材90を支持する支持部92から抜取方向-ADに水平に延出する支持部材93が位置している。ばね145は、保持部142と支持部材93との間に介装されている。このため、受渡し部141は、ばね145により、下り傾斜から上り傾斜へ向かう第1回動方向に付勢されている。ここで、第1回動方向とは、受渡し部141が、拡張吸収部材90から第2廃液吸収部材56に向かって下る下り傾斜となる第1姿勢(図26参照)から、拡張吸収部材90から第2廃液吸収部材56に向かって上る上り傾斜となる第2姿勢(図28図29参照)に向かう回動方向である。なお、付勢部材の一例であるばね145は、受渡し部141を第1回動方向に付勢可能に回動軸144の回りに組み付けられる捩りコイルばねでもよい。
【0155】
図25に示すように、受渡し部141は、保持部142と、保持部142に保持された吸収部材143とを備える。保持部142の内底面142Bには、溝142Cが形成されている。溝142Cは、保持部142の長手方向に沿って延びている。保持部142の長手方向は、受け渡しされる廃液の流れる方向である。詳しくは、溝142Cは、保持部142の内底面142Bにおける幅中央部を通る経路で保持部142の長手方向に沿って延びている。この溝142Cは、受け渡しされる廃液の流路の1つとなる。なお、受渡し部141による廃液の受け渡しは、溝142Cを通る廃液の流動と、吸収部材143の毛管現象による廃液の浸透とにより行われる。また、溝142Cを非常に細い流路で形成し、溝142Cに沿って廃液を毛管現象による浸透で受け渡してもよい。
【0156】
図26に示すように、受渡し部141は、第2廃液ボックス部55が装置本体12に挿着された状態において、第2廃液ボックス部55に対し挿着方向ADにおける位置が少なくとも一部でオーバーラップしている。すなわち、図26に示す挿着状態にあるとき、受渡し部141と第2廃液ボックス部55とが挿着方向ADにオーバーラップするオーバーラップ領域OLを有する。
【0157】
<第2実施形態の作用>
次に、第2実施形態の記録装置11の作用について説明する。
図26に示すように、第2廃液ボックス部55が装置本体12に挿着されているとき、受渡し部141は、カム部151と係合することにより、拡張吸収部材90から第2廃液吸収部材56に向かって下る下り傾斜の姿勢である第1姿勢をとる。これは、受渡し部141の先端部がカム部151により下方へ押さえ付けられているためである。受渡し部141の下り傾斜によって、廃液は拡張吸収部材から第2廃液吸収部材56へ向かって流れる。
【0158】
図27に示すように、第2廃液ボックス部55を挿着された状態から抜取方向-ADに取り外すとき、受渡し部141は、ばね145による第1回動方向(図27では反時計回り方向)への付勢力により、第1回動方向に回動する。図27では、受渡し部141は回動途中にあり、水平姿勢にある。また、抜取りが進むに連れて、受渡し部141の先端部は、カムフォロア面142Aがカム面151Aに沿って案内されることで上方へ変位する。こうして、受渡し部141は、ばね145の付勢力により第1回動方向に回動する。
【0159】
そして、図28に示すように、第2廃液ボックス部55が挿着状態からさらに抜取方向-ADに移動すると、受渡し部141の基端部が規制部94(ストッパー)に当接することで、それ以上の第1回動方向への回動が規制される。また、受渡し部141の先端部が、カム部151から外れる。受渡し部141は、拡張吸収部材90から第2廃液吸収部材56へ向かって上る上り傾斜の第2姿勢をとる。受渡し部141は、ばね145の付勢力により第1回動方向に付勢された状態で、その基端部が規制部94に当接しているので、第2姿勢に保持される。
【0160】
そして、図29に示すように、第2廃液ボックス部55が挿着状態から完全に取り外された状態では、受渡し部141は、上り傾斜している第2姿勢に保持される。換言すれば、この第2姿勢は、第2廃液吸収部材56から拡張吸収部材90へ向かって下る下り傾斜である。受渡し部141上の廃液は拡張吸収部材90に戻る方向へ流れる。この結果、受渡し部141の先端から廃液が垂れることが抑制される。したがって、挿着状態にある第2廃液ボックス部55を装置本体12から取り外しても、受渡し部141の先端部から廃液が垂れることが抑制される。この結果、装置本体12内または設置面が廃液で汚染されることを防止できる。
【0161】
また、新しい廃液回収ユニット50を挿着するときは、第2受渡し機構140により、受渡し部141は、抜取り時と逆の手順で第2回動方向に回動する。すなわち、ユーザーが図29に示す第2廃液ボックス部55を挿着方向ADへ移動させると、カム部151が受渡し部141の先端部と係合する(図28)。さらに、第2廃液ボックス部55を挿着方向ADへ移動させると、受渡し部141は、そのカムフォロア面142Aがカム面151Aに案内されることで、ばね145の付勢力に抗して第2回動方向に回動する(図27)。
【0162】
そして、図26に示すように、第2廃液ボックス部55の装置本体12への挿着が完了すると、受渡し部141は、拡張吸収部材90から第2廃液吸収部材56へ向かって下り傾斜するとともに、受渡し部141の先端部が第2廃液ボックス部55内の空間55Bに挿入される。この結果、受渡し部141は、挿着方向ADの位置が第2廃液ボックス部55と一部オーバーラップする状態となる。これにより、拡張吸収部材90から受渡し部141上を流れた廃液は、第2廃液ボックス部55の外側に漏れることなく、第2廃液ボックス部55内の第2廃液吸収部材56に確実に受け渡しされる。
【0163】
以上詳述した第2実施形態によれば、第1実施形態の効果(1)~(20)が同様に得られる他、以下の効果が得られる。
(21)受渡し部141は、第2廃液ボックス部55が装置本体12に挿着された状態において、拡張吸収部材90から第2廃液吸収部材56に向かって下り傾斜している。よって、第2廃液ボックス部55が装置本体12に挿着された状態において、拡張吸収部材90から第2廃液吸収部材56へ液体を受け渡すことができる。特に、本実施形態では、第2廃液ボックス部55が装置本体12に挿着された状態において、受渡し部141は、拡張吸収部材90(第1吸収部材の一例)から第2廃液吸収部材56(第2吸収部材の一例)に向かって下り傾斜している。第2廃液ボックス部55を装置本体12から取り外したときの受渡し部141の傾斜は、挿着された状態に対して異なる。よって、廃液吸収部材50Aの交換作業がし易いうえ、交換時に、廃液吸収部材50Aと離間した部分から漏れた廃液で周囲の部品等が汚れることを抑制できる。
【0164】
(22)第2廃液ボックス部55を装置本体12から取り外したときの受渡し部141の傾斜は、第2廃液ボックス部55が装置本体12に挿着されたときの拡張吸収部材90から第2廃液吸収部材56に向かう下り傾斜よりも勾配が小さな下り傾斜か、水平か、拡張吸収部材90から第2廃液吸収部材56に向かう上り傾斜のうちのいずれかである。よって、第2廃液ボックス部55が装置本体12に挿着された状態において、拡張吸収部材90から第2廃液吸収部材56へ液体を受け渡すことができるうえ、第2廃液ボックス部55が装置本体12から取り外された状態において、受渡し部141から液体が垂れることを抑制できる。
【0165】
(23)拡張吸収部材90と第2廃液吸収部材56との間の受渡し部141による液体の受け渡しを一時的に遮断可能な遮断部の一例としての遮断機構160を備える。よって、第2廃液吸収部材56を保持する第2廃液ボックス部55の交換時に、拡張吸収部材90から第2廃液吸収部材56への液体の受け渡しを遮断機構160により一時的に遮断すれば、拡張吸収部材90から第2廃液吸収部材56が切り離されても、拡張吸収部材90から受け渡される液体(廃液)で、装置本体12内が汚染されることを抑制できる。
【0166】
(24)遮断機構160は、受渡し部141の傾斜を、拡張吸収部材90から第2廃液吸収部材56に向かって下る下り傾斜から、拡張吸収部材90から第2廃液吸収部材56に向かって上る上り傾斜に変更する。よって、第2廃液ボックス部55が装置本体12に挿着された状態において、拡張吸収部材90から第2廃液吸収部材56へ液体を受け渡すことができるうえ、第2廃液ボックス部55が装置本体12から取り外された状態において、受渡し部141からの液体の垂れを効果的に抑制または防止できる。
【0167】
(25)受渡し部141は、第2廃液ボックス部55が装置本体12に挿着された状態において、第2廃液ボックス部55に対し挿着方向ADにおける位置が少なくとも一部でオーバーラップしている。よって、第2廃液ボックス部55が装置本体12に挿着された状態において、拡張吸収部材90から第2廃液吸収部材56へ液体を受け渡すときに液体が第2廃液ボックス部55の外側へ漏れることを抑制できる。
【0168】
(26)第2廃液ボックス部55の挿着過程または取り外し過程で、受渡し部141と係合して受渡し部141が傾斜する向きを変更させるカム機構150を備える。よって、第2廃液ボックス部55の挿着過程または取外し過程で、受渡し部141が傾斜する向きを駆動源がなくても簡単な構成で変更することができる。
【0169】
(27)受渡し部141は、第2廃液ボックス部55の挿着時の傾斜から第2廃液ボックス部55の抜取時の傾斜へ向かう方向に付勢されている。よって、第2廃液ボックス部55の抜取時に、受渡し部141を抜取時の傾斜へ確実に変更することができる。
【0170】
(28)受渡し部141の内底面142Bには溝142Cがある。よって、受渡し部141による液体の受け渡しをスムーズに行うことができる。
(第3実施形態)
次に、図30を参照して第3実施形態について説明する。この第3実施形態は、第2実施形態において、受渡し部141の構成を変更した例である。受渡し部141以外の構成は、前記第1および第2実施形態と同様である。
【0171】
図30に示すように、受渡し部141の保持部142は、保持部142の長手方向と直交する面で切った断面形状がV字状であってもよい。つまり、保持部142の内底面が断面V字状のV溝142Dを有する。このV溝142Dは、挿着方向ADの上流側ほど溝が深くなっていてもよいし、保持部142の長手方向の途中からV溝142Dが形成されてもよい。また、図30に示すように、受渡し部141は、吸収部材143を備えなくてもよい。
【0172】
(第4実施形態)
次に、図31を参照して第4実施形態について説明する。この第4実施形態では、第2受渡し機構が収容部側に設けられた例である。
【0173】
図31に示すように、記録装置11は、第2受渡し機構170を備える。受渡し部171は、第2廃液ボックス部55に設けられている。第2受渡し機構170以外の構成は、前記第1と同様である。また、第2実施形態と共通の構成は同一の符号を付して説明を省略する。
【0174】
図31に示すように、廃液回収ユニット50においては、受渡し部171は、第2廃液回収部52の組付孔55Cに挿通された状態で固定されている。受渡し部171の挿着方向ADの上流側端部は、第2廃液ボックス部55内の空間55B内に挿入されている。受渡し部171と第2廃液回収部52は、挿着方向ADの位置が一部オーバーラップする状態で、受渡し部171が第2廃液回収部52に対して固定されている。よって、第2廃液ボックス部55が装置本体12に挿着された状態においても、受渡し部171は第2廃液ボックス部55に対し挿着方向ADの位置が少なくとも一部でオーバーラップしている。また、受渡し部171は、挿着方向ADの下流側から上流側に向かって下り傾斜している。よって、第2廃液ボックス部55が装置本体12に挿着された状態において、受渡し部171は、拡張吸収部材90から第2廃液吸収部材56に向かって下り傾斜している。
【0175】
また、拡張吸収部材90を支持する支持部92からは、拡張吸収部材90から第2廃液吸収部材56に向かって下り傾斜しているガイド部95が延出している。ガイド部95と受渡し部171は、挿着方向ADの位置が一部オーバーラップしている。このため、第2廃液ボックス部55が装置本体12に挿着された状態では、拡張吸収部材90からの液体がガイド部95から受渡し部171上に滴下され、その滴下された液体が受渡し部171上を流れて第2廃液吸収部材56へ受け渡される。また、第2廃液ボックス部55が挿着される過程で、受渡し部171の下面が、支持部材93から上方へ延出する複数のリブ93Aによりガイドされる。複数のリブ93Aの先端面は、挿着方向ADの下流側ほど上方に位置する斜状に形成されることでガイド面を形成している。ガイド部95の先端の下方には、支持部材93の1つのリブ93Aと支持部92との間に凹設された凹部が位置する。第2廃液ボックス部55が装置本体12から取り外された状態では、ガイド部95から垂れた液体は、支持部材93上の凹部内に収容される。
【0176】
また、受渡し部171は、その長手方向の断面形状が凹状の保持部172と、保持部172に保持された吸収部材173とを有してもよい。保持部172の挿着方向ADの上流側の端部172Aが、第2廃液ボックス部55内の空間55Bに挿入されている。吸収部材173は、第2実施形態の吸収部材143と同様の機能を有する。保持部172は、その内底面に第2実施形態の溝142Cと同様の溝を有してもよい。また、保持部172は、第3実施形態のような断面V字状のV溝を有してもよい。この場合、吸収部材173をなくしてもよい。
【0177】
(第5実施形態)
次に、図32を参照して第5実施形態について説明する。前記第1実施形態と共通の構成は同一の符号を付して説明を省略し、特に異なる構成について説明する。なお、第3実施形態以降についても同様である。
【0178】
図32に示すように、第5実施形態の記録装置11は、廃液回収ユニット50の着脱方向が前記第1実施形態と異なる。廃液回収ユニット50は、記録装置11の側面側から着脱可能な構成である。つまり、廃液回収ユニット50の装置本体12への挿着方向が、幅方向Xと平行な方向である。
【0179】
図32に示すように廃液ボックスカバー110が記録装置11の右側面から外れ、廃液回収ユニット50が記録装置11の右側側方へ移動できる構成である。廃液回収ユニット50は、第2吸収部材の一例としての廃液吸収部材112と、廃液吸収部材112を保持する収容部の一例である廃液ボックス111とを有する。廃液回収ユニット50は、第1実施形態における第1廃液回収部51とほぼ同じ形状・サイズを有する1つのユニットとして構成され、その挿着方向が幅方向Xであることから、被結合部57、記憶素子58および飛散防止壁59が挿着方向先端側の側部に位置する。廃液ボックス111の被結合部57および記憶素子58は、廃液回収ユニット50の幅方向Xの移動により接続・離間される。廃液ボックスカバー110と廃液ボックス111は別部品で、それぞれ単独で装置本体12の開口12Cに対して着脱可能な構造である。なお、廃液ボックスカバー110と廃液ボックス111は一体部品として着脱可能に構成してもよい。この構成によれば、ユーザーが廃液回収ユニット50を取り出す際の引出し操作量が少ないので、廃液回収ユニット50を交換し易い。
【0180】
なお、図32に示す廃液回収ユニット50を第1廃液回収部51とし、第2廃液回収部52とを一体に構成してもよい。ただし、廃液回収ユニット50の引出し操作量が多くなるので、第2廃液回収部52の幅方向Xの長さを第1実施形態よりも短くしてもよい。また、第2廃液回収部52を別体で設け、記録装置11の背面側から着脱可能な構成としてもよい。
【0181】
(第6実施形態)
次に、図33図34を参照して第6実施形態について説明する。廃液回収ユニット50は、記録装置11の前面側から着脱可能な構成でもよい。図33に示すように、記録装置11の前面には廃液ボックスカバー120が設けられている。図33の例では、廃液ボックスカバー120は、装置本体12における液体供給源17の下方に位置する。換言すれば、廃液ボックスカバー120は、液体供給源17の液量を示す窓部18の下方に位置する。
【0182】
図34に示すように、廃液ボックスカバー120が回動可能に設けられ、廃液回収ユニット50が記録装置11の前面から前側へ引き出すように移動できる構成である。つまり、廃液回収ユニット50は、装置本体12の前面から着脱可能である。廃液ボックス121の挿着方向は、搬送方向Yの上流へ向かう方向である。廃液回収ユニット50は、第2吸収部材の一例としての廃液吸収部材122と、廃液吸収部材122を保持する収容部の一例である廃液ボックス121とを有する。記録装置11の前面から廃液ボックス121の被結合部57および記憶素子58は、廃液回収ユニット50を前後方向(奥行方向)に往復移動させることで、装置本体12内の後方位置で接続・離間される。このように、廃液回収ユニット50が記録装置11の前面側から着脱可能に構成されることによって、ユーザーが廃液回収ユニット50を取り出す際に、アクセスし易い。
【0183】
また、廃液ボックスカバー120の上方近傍にタッチパネル機能を有する表示部14が位置するので、廃液回収ユニット50の交換時に表示部14にユーザーに操作案内を表示する際、操作案内が近くにあってユーザーが見易いという利点がある。
【0184】
(第7実施形態)
次に、図35を参照して第7実施形態について説明する。キャリッジ24の上部に液体供給源17を搭載する記録装置11に適用してもよい。図35に示すように、廃液回収ユニット50は、第1実施形態と同様に記録装置11の背面から着脱可能に構成される。図35に示すように、記録部23をキャリッジ24の上部には、インク等の液体を補充できるインクタンクを備えた液体供給源17が搭載されている。液体供給源17は注入口を塞ぐキャップカバー38を個別に備える。ユーザーは、窓部18で残量が少なくなると、キャップカバー38を開けて液体ボトル125のノズル状の供給部を注入口に差し込んでインクタンク等の液体供給源17にインク等の液体を補充する。交換式の廃液回収ユニット50が装置本体12に挿着された状態において、廃液吸収部材50Aは、ユーザーが液体供給源17に液体を補充するときの液体補充位置にあるキャリッジ24の下方に位置する。液体補充位置は、ホーム位置HPでもよいが、液体補充位置の下方に廃液吸収部材50Aを配置可能であれば、ホーム位置HP以外の位置でもよい。
【0185】
この構成によれば、キャリッジ24の上部で液体供給源17へインク等の液体を補充する際、ボトルからその下方にある交換式の廃液回収ユニット50へ誤って廃液をこぼしても、こぼした液体を廃液吸収部材50Aが吸収する。すなわち、仮にユーザーが液体補充前後の操作で誤って液体をこぼした場合、キャリッジ24と液体供給源17の下方にある交換式の廃液回収ユニット50の廃液吸収部材50Aで吸収できる。よって、液体補充時に液体をこぼした場合に対しても、より信頼性の高い記録装置11を提供できる。
【0186】
(第8実施形態)
次に、図36を参照して第8実施形態について説明する。図36に示すように、交換式の廃液回収ユニット50の上方にファン131を備えたファンユニット130を設けてもよい。廃液ボックス50Bに保持された廃液吸収部材50Aの上方に空冷式のファンが配置されている。ファン131は、例えば、メンテナンス装置60の動力で駆動する。ファン131は、メンテナンス装置60からの動力で回転して廃液吸収部材50A側に向けて空気を送る。廃液ボックス50Bはファン131と対向する上面側が開口しているので、ファン131から下方へ送られる空気は廃液吸収部材50Aに当たる。廃液吸収部材50Aに空気が当たることで、廃液吸収部材50Aに吸収されている廃液の乾燥が促される。その結果、吸収部材の見掛けの廃液の容量が向上する。
【0187】
ファン131の駆動タイミングは、メンテナンス装置60の駆動と同期するが、ファン131をメンテナンス装置60からの動力で駆動させるのではなく、搬送モーターの動力で直接駆動させてもよいし、給送モーターや専用の動力源の動力で駆動させてもよい。このように、ファン131の駆動タイミングは、必ずしもメンテナンス装置60の駆動に同期させなくてもよい。また、ファン131の動力は、モーターの駆動力を使わなくても、ユーザーによるカセット20の挿抜操作や、カバーの開閉操作等の操作力の一部をファン131の回転力に変換することで生み出してもよい。
【0188】
(第9実施形態)
次に、図37を参照して第9実施形態について説明する。図37に示すように、第1吸収部材の一例としての打捨て吸収部材70、受渡し部の一例としての受渡し機構80、第2吸収部材の一例としての廃液吸収部材50Aおよび拡張吸収部材90は、液体の受け渡しが可能な環状の経路を形成していてもよい。
【0189】
打捨て吸収部材70は、受渡し機構80とは異なる場所で、拡張吸収部材90を介して廃液吸収部材50Aとも液体の受け渡しが可能に接続されてもよい。図37の例では、記録装置11は、打捨て吸収部材70から廃液吸収部材50Aのうちの第1廃液吸収部材54へ液体を受け渡す第1受渡し機構80Aと、打捨て吸収部材70から拡張吸収部材90を介して廃液吸収部材50Aのうちの第2廃液吸収部材56へ液体を受け渡す第2受渡し機構80Bとを備える。第1受渡し機構80Aは、第1実施形態の受渡し機構80に相当し、第2受渡し機構80Bは、基本的に受渡し機構80と同様の構成を有している。つまり、第2受渡し機構80Bは、第1接続吸収部材81、第2接続吸収部材82および廃液ガイド部83(図10図11も参照)を備える。
【0190】
さらに、第2受渡し機構80Bについても、遮断機構85を設けてもよい。つまり、拡張吸収部材90から廃液吸収部材50Aのうちの第2廃液吸収部材56へ受け渡す廃液を遮断する遮断機構85を設けてもよい。遮断機構85は、制御部100により制御され、廃液回収ユニット50が取り外しされるときに遮断機構85は廃液を遮断可能に駆動される。
【0191】
図37の例では、打捨て吸収部材70から、第1受渡し機構80Aを経由して廃液吸収部材50A(第1廃液吸収部材54)へ廃液が流れる第1経路と、打捨て吸収部材70から、接続吸収部材91、拡張吸収部材90、第2受渡し機構80Bを経由して廃液吸収部材50A(第2廃液吸収部材56)へ廃液が流れる第2経路とが形成される。そして、第1廃液吸収部材54と第2廃液吸収部材56は、接続部50Cを介して廃液を受け渡し可能に繋がっている。よって、図37に示す構成では、廃液の受け渡し経路が、ループ状(環状)の経路として形成される。
【0192】
このため、打捨て吸収部材70の廃液が第1受渡し機構80Aを介して廃液吸収部材50Aへ受け渡されるとともに、打捨て吸収部材70から拡張吸収部材90へ受け渡された廃液が第2受渡し機構80Bを介して廃液吸収部材50Aへ受け渡される。このため、交換可能な廃液吸収部材50A以外の吸収部材である打捨て吸収部材70および拡張吸収部材90に廃液が偏在して溜まる事態が緩和され、記録装置1台当たりの吸収部材全体の廃液吸収効率が向上する。
【0193】
なお、図37において、第1受渡し機構80Aをなくした構成でもよいし、第2拡張吸収部材90Bと第2廃液吸収部材56との間に受渡し機構80と同じ構成である第3受渡し機構を設けてもよい。このように、打捨て吸収部材70と廃液吸収部材50Aとの間は、廃液を受け渡し可能な1つまたは複数の受渡し部を介して1箇所または複数箇所で接続されてもよい。そして、複数の受渡し部の全てに遮断部を設けてもよいし、そのうち少なくとも1つに遮断部がないものがあってもよい。
【0194】
なお、上記実施形態は以下に示す変更例のような形態に変更することもできる。さらに、上記実施形態および以下に示す変更例を適宜組み合わせたものを更なる変更例とすることもできるし、以下に示す変更例同士を適宜組み合わせたものを更なる変更例とすることもできる。
【0195】
・打捨て吸収部材70と廃液吸収部材50Aとの接続は、受渡し機構80による接続に限定されず、液体の受け渡しが可能な接続であれば足る。接続は、例えば、毛管現象で液体を受け渡し可能な「接触」でもよいし、非接触状態に離間していても液体の滴下を介して液体の受け渡しが可能であれば接続に含まれる。さらに、接続は、受渡し機構80以外にも受渡し部の一例としての受渡し部材などの介在物を介した間接的な接続、溝や凹部、樋、チューブなどの流路を介した接続などであってもよい。
【0196】
・第1および第7実施形態において、第2廃液回収部52をなくしてもよい。
・各実施形態において、遮断機構85をなくしてもよい。廃液回収ユニット50の交換は記録停止中に行われ、打捨て吸収部材70から廃液吸収部材50Aへ受け渡される廃液の流量が少ない場合が多いため、交換所要時間が短くその間に廃液が滴下しなければ、装置本体12内の廃液の汚染は抑制できる。
【0197】
・第1吸収部材と第2吸収部材は、同じ高さに位置してもよい。例えば、第1吸収部材を保持する収容部の底面を傾斜面とし、第1吸収部材の廃液が重力を利用して傾斜面に沿って第2吸収部材へ流れる構成としてもよい。
【0198】
・第2吸収部材が、第1吸収部材よりも高くに位置してもよい。第1吸収部材から第2吸収部材へポンプを利用して廃液を汲み上げてもよい。また、溝や多孔質部材を介して廃液を、毛管現象を利用して上方位置へ受け渡してもよい。
【0199】
・廃液回収ユニット50は、廃液ボックス50Bを備えなくてもよい。例えば廃液吸収部材50Aの側面および底面に廃液の漏洩を防止可能な防水処理等の加工が施されていれば、廃液吸収部材50Aを保持する廃液ボックス50B等の収容部はなくてもよい。
【0200】
・受渡し部は、その延出する方向が挿着方向ADである場合、挿着方向ADへのカムとの相対移動によりカム機構と係合して回動する構成としたが、受渡し部が、挿着方向ADと交差する方向に延出する構成の場合は、受渡し部の延出方向と交差する方向に相対移動するカム機構と係合することで、受渡し部が回動する構成としてもよい。
【0201】
・受渡し部は、保持部を有する構成である場合、保持部の内底面に溝を形成してもよい。
・第2、第3実施形態における付勢部材の一例であるばね145は、引張りばねでもよい。例えば、保持部142の先端部を第1回動方向に付勢するように引っ張る引張りばねであってもよい。
【0202】
・第2、第3実施形態における付勢部材は、保持部142を第1回動方向に付勢できれば、ばね145に限定されない。付勢部材は、ゴム、弾性を有する合成樹脂、スポンジ(多孔質部材)などでもよい。
【0203】
・第2、第3実施形態における受渡し機構140は、付勢部材を備えない構成でもよい。例えば、受渡し部141を、重力を利用して第1回動方向に付勢してもよい。例えば、受渡し部141における回動支点よりも先端側の部分の重量よりも基端側の部分の重量の方をより重くする。この場合、例えば、受渡し部141の回動支点よりも先端側部分の腕の長さよりも基端側部分の腕の長さをより長くしたり、受渡し部141の回動支点よりも基端側部分に錘部を設け、先端側部分よりも基端側部分をより重くしたりする。このような構成であれば、ばね145等の付勢部材がなくても、受渡し部141を第1回動方向に付勢することができる。
【0204】
・前記第4実施形態において、受渡し部171は、廃液回収ユニット50側に固定されるのではなく、回動可能に支持されてもよい。詳しくは、受渡し部は、収容部の一例としての第2廃液ボックス部55に回動可能に支持された状態で、挿着方向ADに向かって延出する。この受渡し部は、前記第2実施形態の第2受渡し機構140と同様に、回動軸、付勢部材、規制部およびカム機構を備える。第2実施形態と異なる点は、この変更例の第2受渡し機構では、回動軸、付勢部材および規制部が第2廃液ボックス部55側に設けられ、カム機構が装置本体12側に設けられる。廃液回収ユニット50が装置本体12に挿着された状態では、受渡し部141は、拡張吸収部材90から第2廃液吸収部材56に向かって下り傾斜となる第1姿勢(図24参照)をとる。廃液回収ユニット50が装置本体12から取り外しされると、第2受渡し機構140の受渡し部141は、拡張吸収部材90から第2廃液吸収部材56に向かって第1姿勢よりも大きな勾配の下り傾斜となる第3姿勢に切り換わる。この構成によれば、廃液回収ユニット50を取り外したときに第2受渡し機構140の受渡し部141から廃液が垂れにくくなるうえ、受渡し部141が挿着方向ADに延出する量が少なくなることから廃液回収ユニット50がコンパクトになる。
【0205】
・第2、第3実施形態において、吐出ヘッド25から液体を廃液受容部の一例としてのキャップ61に強制的に排出させるメンテナンス装置60の動力を使って、遮断部の一例としての遮断機構160が駆動される構成でもよい。この構成によれば、収容部が装置本体12に挿着された状態において、受渡し部141,171は、第1吸収部材から第2吸収部材に向かって下り傾斜している。このため、下り傾斜している受渡し部141,171によって、第1吸収部材から第2吸収部材に向かって液体を自重によって受け渡すことができる。一方、収容部を装置本体12から取り外した状態では、メンテナンス装置60の動力で、受渡し部141,171は、挿着時の下り傾斜から、この下り傾斜とは異なる傾斜(水平も含む)に変更される。よって、ばね145のような付勢部材がなくても、メンテナンス装置60の動力を利用して、受渡し部141,171を、液体を受け渡し可能な下り傾斜から、液体の受け渡しを遮断可能な姿勢へ変更することができる。したがって、収容部が装置本体から取り外しされた際に、装置本体側の離間した部分から廃液が漏れることを抑制できる。なお、記録装置11に、収容部の装置本体12からの取り外しを検知するセンサー等の検出部を設け、制御部100が、検出部の検知信号に基づいて収容部の取り外し(抜取)を検知すると、メンテナンス装置60を駆動させる構成でもよい。また、ユーザーが収容部を取り外す前または後に、操作部を操作して収容部の取り外しの旨を通知すると、制御部100がメンテナンス装置60を駆動させる構成でもよい。
【0206】
・第2、第3実施形態において、収容部が装置本体12に挿着されたときに、メンテナンス装置60の動力を使って、受渡し部141,171を、取り外し時(抜取時)の姿勢(水平も含む)から、挿着時の下り傾斜へ変更してもよい。つまり、収容部が装置本体12に挿着された状態において、受渡し部141,171は、メンテナンス装置60の動力を使って、取り外し時の傾斜から、第1吸収部材から第2吸収部材に向かって下る下り傾斜に変更されてもよい。この構成によれば、カム機構150がなくても、メンテナンス装置の動力を利用して、収容部を装置本体12に挿着した際に、受渡し部141,171を下り傾斜に変更させることができる。なお、記録装置11に、装置本体12への収容部の挿着を検知するセンサー等の検出部を設け、制御部100が、検出部の検知信号に基づいて収容部の挿着を検知すると、メンテナンス装置60を駆動させる構成でもよい。また、ユーザーが収容部を挿着した後に、操作部を操作してその挿着完了の旨を通知すると、制御部100がメンテナンス装置60を駆動させる構成でもよい。
【0207】
・上記2つの変更例の両方を採用し、収容部を装置本体12から取り外す際の遮断機構160の駆動と、収容部を装置本体12に挿着する際の受渡し部の下り傾斜への変更とを、共にメンテナンス装置60の動力により行ってもよい。ここで、遮断機構160の駆動とは、受渡し部141,171を下り傾斜から、当該下り傾斜と異なる傾斜(水平を含む)に変更するための駆動である。なお、メンテナンス装置60の駆動源は、搬送部40の駆動源である搬送モーターに限らず、専用のモーターでもよい。
【0208】
・第2、第3実施形態において、収容部が装置本体12から取り外しされた状態の受渡し部141,171の傾斜(姿勢)は、収容部が装置本体12に挿着されたときの受渡し部141,171の下り傾斜と異なればよい。この受渡し部141,171の傾斜は、第1吸収部材から第2吸収部材に向かう下り傾斜よりも勾配が小さな下り傾斜か、水平か、第1吸収部材から第2吸収部材に向かう上り傾斜のうちのいずれかに限定されない。つまり、収容部の取り外し状態における受渡し部の傾斜は、前記第1吸収部材から前記第2吸収部材への液体の受け渡しを挿着時よりも抑制可能な傾斜に限定されない。受渡し部141,171の傾斜は、例えば、収容部の挿着時における受渡し部141,171の下り傾斜よりも勾配が大きな下り傾斜であってもよい。例えば、装置本体12内に、受渡し部141,171の先端から漏れる廃液を受ける廃液受け部を設ける。そして、受渡し部が挿着時の下り傾斜よりも勾配が大きな下り傾斜とすることで、受渡し部の先端を、廃液受け部の直上にない位置から、廃液受け部の直上にある位置に移動させる構成としてもよい。この構成によれば、収容部を取り外した状態で、受渡し部141,171の先端から垂れた廃液は廃液受け部が受けるので、周囲の部品を廃液で汚すことを抑制できる。
【0209】
・受渡し部は、前記第2、第3実施形態の受渡し部141,171に替えて、保持部とチューブとにより構成されてもよい。つまり、受渡し流路がチューブで構成され、チューブを支持する保持部の傾斜を変更する。これにより、チューブの傾斜を、収容部が挿着状態にあるときの下り傾斜と、収容部が取り外し状態にあるときの、挿着された状態に対して異なる傾斜(水平を含む)との間で変更してもよい。
【0210】
・装置本体12に対する収容部の一例である廃液ボックス50Bの挿着方向ADは、幅方向Xであってもよい。この場合、第1受渡し機構80を、第2、第3実施形態と同様の傾動可能な受渡し部141,171を有する構成としてもよい。
【0211】
・記録装置11は、記録部23が走査方向Xに往復移動するシリアルプリンターに限定されず、記録部23が主走査方向と副走査方向との2方向に移動可能なラテラル式プリンターでもよい。さらに、記録装置11は、最大幅の媒体の幅全域に亘り一定のノズルピッチで配列された多数のノズルから媒体の幅全域に液体を一斉に吐出可能な液体吐出ヘッドを備えたラインプリンターでもよい。
【0212】
・記録装置11は、読取ユニットを搭載する複合機ではなく、記録、コピー、スキャンの3機能のうち記録機能のみを備えるプリンターでもよい。
・媒体Mは、用紙に限らず、可撓性のプラスチックフィルムや、布帛、不織布などであってもよいし、合成樹脂と金属との複数層を含むラミネートでもよい。
【0213】
・記録装置11は、用紙等の媒体に印刷する記録装置に限定されず、布に印刷する捺染機でもよい。
・液体吐出装置は、印刷用のプリンター等の記録装置11に限定されない。例えば、機能材料の粒子が液体に分散又は混合されてなる液状体を吐出し、媒体の一例である基板に電気配線パターン、又は、液晶、EL(エレクトロルミネッセンス)及び面発光などの各種の方式のディスプレイの画素を製造するものでもよい。さらに未硬化の樹脂液を吐出して立体物を形成する三次元造形用の液体吐出装置でもよい。これらの液体吐出装置であっても、液体吐出ヘッドから吐出された液体を、メンテナンス装置を介さずに吸収する第1吸収部材と、液体吐出ヘッドからメンテナンスで排出された液体をメンテナンス装置を介して吸収する第2吸収部材とを備え、第2吸収部材が装置本体に対して着脱可能な構成であればよい。
【0214】
前記実施形態および変更例から把握される技術思想を、その作用効果と共に以下に記載する。
(A)液体吐出装置は、被記録材に液体を吐出する吐出ヘッドと、前記吐出ヘッドと対向して設けられ、前記被記録材を下方から支持する支持部と、前記支持部に支持された前記被記録材の端部の外側へ前記吐出ヘッドから打ち捨てられた液体を廃液として吸収する第1吸収部材と、前記吐出ヘッドから排出される液体を廃液として受容する廃液受容部と、前記廃液受容部から送られた廃液を吸収する第2吸収部材と、前記第2吸収部材を保持する収容部と、前記第1吸収部材と前記第2吸収部材との間の液体の受け渡しを行う受渡し部とを有し、前記収容部が装置本体に挿着された状態において、前記受渡し部は、前記第1吸収部材から前記第2吸収部材に向かって下り傾斜しており、前記収容部を前記装置本体から取り外したときの前記受渡し部の傾斜は、挿着された状態に対して異なる。なお、挿着された状態に対して異なる傾斜は、水平を含んでもよい。
【0215】
この構成によれば、吐出ヘッドから支持部に支持された被記録材の端部の外へ打ち捨てられた液体は廃液として第1吸収部材に吸収される。第1吸収部材に吸収された廃液は、第1吸収部材から第2吸収部材へ受け渡しされる。第1吸収部材と第2吸収部材とのうちその一部である第2吸収部材を保持する収容部を交換すれば足りる。よって、吸収部材の交換作業がし易いうえ、交換時に、吸収部材と離間した部分から漏れた廃液で周囲の部品等が汚れることを抑制できる。
【0216】
なお、第1吸収部材と第2吸収部材との接続は、液体の受け渡しが可能な接続であれば足り、毛管現象で液体を受け渡し可能な「接触」でもよいし、非接触状態に離間していても液体の滴下を介して液体の受け渡しが可能であれば接続に含まれ、受渡部材や受渡機構などの介在物を介した間接的な接続、液体が流れる、溝や凹部、樋、チューブなどの流路を介した接続などを含む。
【0217】
(B)上記液体吐出装置において、前記第2吸収部材は、前記第1吸収部材よりも低くに位置してもよい。
この構成によれば、第1吸収部材から第2吸収部材へ下り傾斜した受渡し部によって重力を利用して液体を受け渡すことができる。よって、第1吸収部材から第2吸収部材へ液体を効率よく受け渡すことができる。例えば、第2吸収部材を交換しても、第1吸収部材に多量の廃液が残ったまま回収されない事態を回避できる。また、液体の受け渡しのためにポンプおよびその駆動部を不要にでき、仮にポンプ等を設けた場合でもそれを小型なもので済ませられる。このため、打捨て吸収部材から廃液吸収部材へ液体を効率よく受け渡すことができる。
【0218】
(C)上記液体吐出装置において、前記収容部を前記装置本体から取り外したときの前記受渡し部の傾斜は、前記収容部が前記装置本体に挿着されたときの前記第1吸収部材から前記第2吸収部材に向かう下り傾斜よりも勾配が小さな下り傾斜か、水平か、前記第1吸収部材から前記第2吸収部材に向かう上り傾斜のうちのいずれかであってもよい。
【0219】
この構成によれば、収容部が装置本体に挿着された状態において、第1吸収部材から第2吸収部材へ液体を受け渡すことができるうえ、収容部が装置本体から取り外された状態において、受渡し部から液体が垂れることを抑制できる。
【0220】
(D)上記液体吐出装置において、前記第1吸収部材と前記第2吸収部材との間の前記受渡し部による液体の受け渡しを一時的に遮断可能な遮断部を備えてもよい。
この構成によれば、第2吸収部材を保持する収容部の交換時に、第1吸収部材から第2液体吸収部材への液体の受け渡しを遮断部により一時的に遮断すれば、第1吸収部材から第2吸収部材が切り離されても、第1吸収部材から受け渡される液体(廃液)で、装置本体内が汚染されることを抑制できる。
【0221】
(E)上記液体吐出装置において、前記遮断部は、前記受渡し部の傾斜を、前記第1吸収部材から前記第2吸収部材に向かって下る下り傾斜から、前記第1吸収部材から前記第2吸収部材に向かって上る上り傾斜に変更してもよい。
【0222】
この構成によれば、収容部が装置本体に挿着された状態において、第1吸収部材から第2吸収部材へ液体を受け渡すことができるうえ、収容部が装置本体から取り外された状態において、受渡し部からの液体の垂れを効果的に抑制または防止できる。
【0223】
(F)上記液体吐出装置において、前記受渡し部は、前記収容部が前記装置本体に挿着された状態において、前記収容部に対し挿着方向における位置が少なくとも一部でオーバーラップしていてもよい。
【0224】
この構成によれば、収容部が装置本体に挿着された状態において、第1吸収部材から第2吸収部材へ液体を受け渡すときに液体が収容部の外側へ漏れることを抑制できる。
(G)上記液体吐出装置において、前記収容部の挿着過程または取り外し過程で、前記受渡し部と係合して当該受渡し部が傾斜する向きを変更させるカム機構を備えてもよい。
【0225】
この構成によれば、収容部の挿着過程または取り外し過程で、受渡し部が傾斜する向きを駆動源がなくても簡単な構成で変更することができる。
(H)上記液体吐出装置において、前記受渡し部は、前記収容部の挿着時の傾斜から前記収容部の抜取時の傾斜へ向かう方向に付勢されていてもよい。
【0226】
この構成によれば、収容部の抜取時に、受渡し部を抜取時の傾斜へ確実に変更することができる。
(I)上記液体吐出装置において、前記受渡し部の内底面には溝があってもよい。
【0227】
この構成によれば、受渡し部による液体の受け渡しをスムーズに行うことができる。
(J)上記液体吐出装置において、前記吐出ヘッドから液体を前記廃液受容部に強制的に排出させるメンテナンス装置を備え、前記遮断部は、前記メンテナンス装置の動力で駆動されてもよい。
【0228】
この構成によれば、遮断部は、メンテナンス装置の動力を使って駆動されるので、ユーザーが手作業で遮断部を遮断と接続とに切り替える必要がない。例えば、ユーザーは操作スイッチを操作すれば、メンテナンス装置の動力を使って遮断部を遮断と接続との間で切り替えできる。
【0229】
(K)上記液体吐出装置において、前記吐出ヘッドから液体を前記廃液受容部に強制的に排出させるメンテナンス装置を備え、前記収容部が前記装置本体に挿着された状態において、前記メンテナンス装置の動力を使って、前記受渡し部が、取り外し状態にあるときの前記傾斜の異なる姿勢から、前記第1吸収部材から前記第2吸収部材に向かって下る下り傾斜に変更されてもよい。
【0230】
この構成によれば、カム機構等の機構を設けなくても、メンテナンス装置の動力を利用して、収容部を装置本体に挿着した際に、受渡し部を下り傾斜に変更させることができる。
【0231】
(L)上記液体吐出装置において、前記第1吸収部材は、前記吐出ヘッドから打ち捨てられた液体を廃液として吸収する部分と、当該部分と液体の受け渡しが可能に接続された拡張吸収部材とを備え、
前記受渡し部は、前記拡張吸収部材と前記第2吸収部材との間の液体の受け渡しを行ってもよい。
【0232】
この構成によれば、拡張吸収部材を備えることで、記録装置1台当たりの吸収部材全体の廃液吸収容量が増加するので、第2吸収部材の交換頻度を少なくすることができる。また、受渡し部は、拡張吸収部材と第2吸収部材との間の液体の受け渡しを行うので、吐出ヘッドから打ち捨てられた後に拡張吸収部材に受け渡された液体が、拡張吸収部材に溜まることを抑制できる。
【0233】
(M)上記液体吐出装置において、前記受渡し部は、前記収容部が前記装置本体に挿着された状態において、液体を受け渡し可能に構成されてもよい。
この構成によれば、収容部が装置本体に挿着された状態において、受渡し部は、第1吸収部材と第2吸収部材との間で液体を受け渡すことができる。よって、吸収部材全体の廃液吸収効率を向上できる。
【0234】
(N)上記液体吐出装置において、電子部品が実装された基板を備え、前記第2吸収部材と前記基板が、前記第1吸収部材を挟んで、対向配置されていてもよい。
この構成によれば、第2吸収部材からインク等の液体(廃液)が漏出しても、その漏出した廃液が基板にかかることを抑制できる。なお、第1吸収部材は、第2吸収部材に比べ、吸収している液体量が少ないので、基板に対して第1吸収部材よりも第2吸収部材が遠くに位置する方が好ましい。
【0235】
(O)上記液体吐出装置において、前記吐出ヘッドに液体を供給する液体供給源と、前記吐出ヘッドから液体を前記廃液受容部に強制的に排出させるメンテナンス装置とを備え、前記第2吸収部材が、前記メンテナンス装置または前記液体供給源の下方に配置されてもよい。
【0236】
この構成によれば、吐出ヘッドのクリーニング時等にメンテナンス装置から下方へ落ちた廃液、または液体供給源の交換時またか液体供給源への液体の補充時に落ちた廃液を、第2吸収部材によって吸収できる。よって、液体吐出装置内の廃液の汚染を抑制できる。
【0237】
(P)上記液体吐出装置において、前記吐出ヘッドに液体を供給する液体供給源と、前記吐出ヘッドから液体を前記廃液受容部に強制的に排出させるメンテナンス装置を備え、前記第2吸収部材は、前記メンテナンス装置または前記液体供給源から飛散した液体を吸収する機能を有してもよい。
【0238】
この構成によれば、メンテナンス装置または液体供給源から飛散した液体を、第2吸収部材により吸収することができる。よって、液体吐出装置内の廃液の汚染を抑制できる。
(Q)上記液体吐出装置において、前記吐出ヘッドの下方の位置において前記被記録材を収容するカセットと、前記カセットに収容された前記被記録材を1枚ずつ前記吐出ヘッドの記録位置に向かって給送する第1給送部とを備え、前記第2吸収部材が前記第1給送部の下方に一部オーバーラップして配置されてもよい。
【0239】
この構成によれば、液体吐出装置のサイズを小型化できる。
(R)上記液体吐出装置において、前記被記録材を前記吐出ヘッドの記録位置に向かって反転部を経由せずに給送する第2給送部を備え、前記第2吸収部材が前記第2給送部の下方にオーバーラップして配置されてもよい。
【0240】
この構成によれば、液体吐出装置のサイズを小型化できる。
(S)上記液体吐出装置において、前記吐出ヘッドにより第1面の記録を終えた前記被記録材を前記吐出ヘッドよりも搬送方向の上流側へスイッチバック搬送させ、当該被記録材を前記第1面と反対側の面である第2面が前記吐出ヘッドと対向可能な向きに反転させる反転部を備え、前記第2吸収部材は、前記反転部の下方に一部オーバーラップして配置されてもよい。
【0241】
この構成によれば、液体吐出装置のサイズを小型化できる。
(T)上記液体吐出装置において、前記吐出ヘッドに電力を供給する電源ユニットを備え、前記第2吸収部材と前記電源ユニットは、前記第1吸収部材を挟んで、対向配置されていてもよい。
【0242】
この構成によれば、第2吸収部材と電源ユニットは記録装置内の収容空間を大きく占有する部品なので、記録装置内で第1吸収部材を挟む両側に分けて配置することで、記録装置全体の部品レイアウトの最適化を図ることができる。よって、記録装置の小型化を実現できる。
【0243】
(U)上記液体吐出装置において、前記第1吸収部材を保持する収容部の底面が、前記第2吸収部材に向かう方向に下り傾斜していてもよい。
この構成によれば、第1吸収部材に吸収された廃液を、収容部の底面の勾配によって、第2吸収部材に向かう方向に流れやすくすることができる。よって、収容部の底面が水平面である構成に比べ、第1吸収部材から第2吸収部材へ廃液を受け渡し易くなる。
【0244】
(V)上記液体吐出装置において、前記第2吸収部材を収容する収容部は、メンテナンス装置と接続されるチューブの先端部に接続された針状の結合部と結合可能な被結合部とを備え、前記収容部は、前記被結合部と同じ側の先端部の上方に飛散防止壁を有してもよい。
【0245】
この構成によれば、廃液ボックスの着脱時に針状の結合部の先端部にできた廃液の気泡が破裂しても、飛散防止壁によってその破裂した廃液の飛散を防止することができる。
(W)上記液体吐出装置において、前記被結合部と結合した前記結合部の先端は、前記第2吸収部材と一部接触してもよい。
【0246】
この構成によれば、廃液ボックスの着脱時に結合部の先端部で廃液の気泡発生抑制効果が得られる。
(X)上記液体吐出装置において、前記装置本体に挿着された前記収容部を覆うカバーと、前記収容部と前記カバーとの間に設けられ、前記カバーが閉じられたときに前記収容部を挿着方向に付勢する付勢部材とを備えてもよい。
【0247】
この構成によれば、廃液ボックスの着脱時の半挿しを防止できる。
(Y)廃液回収ユニットは、被記録材を支持する支持部と、前記被記録材に液体を吐出する吐出ヘッドと、前記支持部に支持された前記被記録材の端部の外側へ前記吐出ヘッドから打ち捨てられた液体を吸収する第1吸収部材と、前記吐出ヘッドから排出される液体を廃液として受容する廃液受容部とを備えた液体吐出装置の装置本体に対して着脱可能に挿着される廃液回収ユニットであって、前記廃液回収ユニットは、前記廃液受容部から送られた廃液を吸収する第2吸収部材と、前記第2吸収部材を保持する収容部と、前記第1吸収部材と前記第2吸収部材との間の液体の受け渡しを行う受渡し部とを備え、前記収容部が前記装置本体に挿着された状態では、前記第2吸収部材は、前記廃液受容部からの廃液を吸収可能に接続され、かつ前記受渡し部は、前記第1吸収部材から前記第2吸収部材に向かって下り傾斜しており、前記収容部を前記装置本体から取り外した状態では、前記第2吸収部材は、前記廃液受容部からの廃液を吸収可能な接続が解除されるとともに、前記受渡し部の傾斜は、前記収容部が前記装置本体に挿着された状態に対して異なる。なお、挿着された状態に対して異なる傾斜は、水平を含んでもよい。この構成によれば、上記液体吐出装置と同様の作用効果が得られる。
【0248】
(Z)廃液回収方法は、被記録材を支持する支持部と、前記被記録材に液体を吐出する吐出ヘッドと、前記支持部に支持された前記被記録材の端部の外側に前記吐出ヘッドから打ち捨てられた液体を吸収する第1吸収部材と、前記吐出ヘッドから排出された液体を廃液として受容する廃液受容部から送られる当該廃液を吸収する第2吸収部材と、前記第2吸収部材を保持する収容部と、前記第1吸収部材と前記第2吸収部材との間の液体の受け渡しを行う受渡し部とを備える液体吐出装置において前記廃液を回収する廃液回収方法であって、前記収容部を装置本体に対して着脱可能に設け、前記収容部が前記装置本体に挿着されると、前記第2吸収部材は、前記廃液受容部から送られる廃液を吸収可能に廃液流路と接続されるとともに、前記受渡し部は、前記第1吸収部材から前記第2吸収部材に向かって下り傾斜することと、前記収容部が前記装置本体から取り外しされると、前記第2吸収部材は、前記廃液受容部の廃液流路との接続が解除されるとともに、前記受渡し部は、前記収容部が装置本体に挿着された状態における下り傾斜から、当該下り傾斜と異なる傾斜に変更されることと、を含む。なお、挿着された状態に対して異なる傾斜は、水平を含んでもよい。この方法によれば、上記液体吐出装置と同様の作用効果が得られる。
【符号の説明】
【0249】
11…液体吐出装置の一例としての記録装置、12…装置本体、13…カバー、14…表示部、15…電源ボタン、17…液体供給源、18…窓部、19…カセットカバー、20…カセット、21…給送カバー、22…給送トレイ、22A…メインサポート部材、22B…サブサポート部材、23…記録部、24…キャリッジ、25…吐出ヘッド、26…支持部、27…サポートガイド部材、28…廃液ボックスカバー、28A…ねじ、28B…付勢部材の一例としての板ばね、30…画像読取装置(スキャナー)、34…移動機構、35…メインフレーム、35A…ガイドレール、34A…タイミングベルト、36…キャリッジモーター、37…リニアエンコーダー、39…液体供給チューブ束、39A…液体供給チューブ、40…搬送部、41…第1給送部、42…第2給送部、44…ピックアップローラー44、46…スタッカー、48…搬送ローラー対、49…排出ローラー対、50…廃液回収ユニット、50A…第2吸収部材の一例としての廃液吸収部材、50B…収容部の一例としての廃液ボックス、50C…接続部、51…第1廃液回収部、52…第2廃液回収部、53…第1収容部、54…第1廃液吸収部材、55…第2廃液ボックス部、55A…開口、55B…空間、55C…組付孔、56…第1吸収部材の一例を構成する第2廃液吸収部材、57…被結合部、59…飛散防止壁、60…メンテナンス装置、61…液体受容部の一例としてのキャップ、62…ワイパー、63…吸引ポンプ、64…チューブの一例としての廃液チューブ、65…キャリッジロック部材、66…結合部、66A…先端、66B…廃液流路、70…第1吸収部材の一例としての打捨て吸収部材、71…収容部、71A…底面、72…下層吸収部材、73…表層吸収部材、73A…接続部、75…電源ユニット、76…基板の一例としてのメイン基板、80…受渡し部の一例としての受渡し機構(第1受渡し機構)、80A…受渡し部の一例としての第1受渡し機構、80B…受渡し部の一例としての第2受渡し機構、81…第1接続吸収部材、81A…保持部、82…第2接続吸収部材、82A…保持部、83…廃液ガイド部、83A…斜面、85…遮断部の一例としての遮断機構、87…スライドギア、90…第1吸収部材の一例を構成する拡張吸収部材、90A…第1拡張吸収部材,90B…第2拡張吸収部材、91…接続吸収部材、92…支持部、92A…凹部、93…底板部、93A…ガイド部、94…規制部、95…ガイド部、100…電子部品の一例を構成する制御部、111…収容部の一例としての廃液ボックス、112…第2吸収部材の一例としての廃液吸収部材、121…収容部の一例としての廃液ボックス、122…第2吸収部材の一例としての廃液吸収部材、130…ファンユニット、131…ファン、140…受渡し機構、141…受渡し部、142…保持部、142A…カムフォロア面、142B…内底面、142C…溝、142D…V溝、142S…側部、143…吸収部材、144…回動軸、145…ばね、150…カム機構、151…カム部、151A…カム面、160…遮断部の一例としての遮断機構、170…第2受渡し機構、171…受渡し部、172…保持部、173…吸収部材、OL…オーバーラップ領域、AD…挿着方向、-AD…抜取方向、M…被記録部材の一例としての媒体、HP…ホーム位置、AH…反ホーム位置、X…幅方向X(走査方向)、Y…搬送方向(奥行き方向)、Z…鉛直方向。
図1
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