(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-02-25
(45)【発行日】2025-03-05
(54)【発明の名称】感放射線性組成物、層間絶縁膜及びその製造方法、並びに表示素子
(51)【国際特許分類】
G03F 7/023 20060101AFI20250226BHJP
C08F 220/32 20060101ALI20250226BHJP
G03F 7/20 20060101ALI20250226BHJP
【FI】
G03F7/023
C08F220/32
G03F7/20 501
(21)【出願番号】P 2021077826
(22)【出願日】2021-04-30
【審査請求日】2023-12-07
(73)【特許権者】
【識別番号】000004178
【氏名又は名称】JSR株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121821
【氏名又は名称】山田 強
(74)【代理人】
【識別番号】100122390
【氏名又は名称】廣田 美穂
(74)【代理人】
【識別番号】100139480
【氏名又は名称】日野 京子
(72)【発明者】
【氏名】松本 晃幸
(72)【発明者】
【氏名】新木 利治
【審査官】塚田 剛士
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-317754(JP,A)
【文献】特開2009-204865(JP,A)
【文献】特開2003-337412(JP,A)
【文献】特開平03-279957(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03F 7/023
C08F 220/32
G03F 7/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
[A]酸性基を有する第1構造単位と、オキセタン構造及びオキシラン構造よりなる群から選択される少なくとも1種を有する第2構造単位とを含む重合体成分(ただし、下記[B]成分を除く)
、
[B]下記式(1)で表されるキノンジアジド化合物、
及び、
[C]フェノール性化合物又はアルコール性化合物と1,2-ナフトキノンジアジドスルホン酸ハライドとの縮合物であって、かつ下記式(1)で表される化合物とは異なる化合物、
を含有する、感放射線性組成物。
【化1】
(式(1)中、R
1は、水酸基であるか、又は水酸基と1,2-ナフトキノンジアジドスルホン酸ハライドとが縮合してなる基である。ただし、式中の複数のR
1のうち少なくとも1個は、水酸基と1,2-ナフトキノンジアジドスルホン酸ハライドとが縮合してなる基である。R
2は、炭素数1~5のアルキル基である。L
1は、置換又は無置換のアルカンジイル基である。n1は1~3の整数である。n2は0~3の整数である。ただし、n1+n2≦4である。mは3~12の整数である。式中の複数のR
1は同一又は異なる。式中の複数のR
2は同一又は異なる。式中の複数のL
1は同一又は異なる。)
【請求項2】
前記L
1は、下記式(2)で表される基である、請求項1に記載の感放射線性組成物。
【化2】
(式(2)中、R
3及びR
4は、それぞれ独立して、水素原子又は炭素数1~3のアルキル基である。「*」は結合手であることを表す。)
【請求項3】
前記mは3~6の整数である、請求項1又は2に記載の感放射線性組成物。
【請求項4】
前記重合体成分の重量平均分子量が2,000~30,000である、請求項1~3のいずれか一項に記載の感放射線性組成物。
【請求項5】
前記キノンジアジド化合物の含有量が、前記重合体成分100質量部に対して5~40質量部である、請求項1~4のいずれか一項に記載の感放射線性組成物。
【請求項6】
前記第1構造単位は、カルボキシ基を有する構造単位、スルホン酸基を有する構造単位、フェノール性水酸基を有する構造単位、及びマレイミド単位よりなる群から選択される少なくとも1種である、請求項1~
5のいずれか一項に記載の感放射線性組成物。
【請求項7】
層間絶縁膜の形成用である、請求項1~
6のいずれか一項に記載の感放射線性組成物。
【請求項8】
感放射線性組成物を用いて塗膜を形成する工程と、
前記塗膜の少なくとも一部に放射線を照射する工程と、
放射線が照射された前記塗膜を現像する工程と、
現像された前記塗膜を加熱する工程と、
を含む、層間絶縁膜の製造方法
であって、
前記感放射線性組成物が、
[A]酸性基を有する第1構造単位と、オキセタン構造及びオキシラン構造よりなる群から選択される少なくとも1種を有する第2構造単位とを含む重合体成分(ただし、下記[B]成分を除く)、及び、
[B]下記式(1)で表されるキノンジアジド化合物、
を含有する、層間絶縁膜の製造方法。
【化3】
(式(1)中、R
1
は、水酸基であるか、又は水酸基と1,2-ナフトキノンジアジドスルホン酸ハライドとが縮合してなる基である。ただし、式中の複数のR
1
のうち少なくとも1個は、水酸基と1,2-ナフトキノンジアジドスルホン酸ハライドとが縮合してなる基である。R
2
は、炭素数1~5のアルキル基である。L
1
は、置換又は無置換のアルカンジイル基である。n1は1~3の整数である。n2は0~3の整数である。ただし、n1+n2≦4である。mは3~12の整数である。式中の複数のR
1
は同一又は異なる。式中の複数のR
2
は同一又は異なる。式中の複数のL
1
は同一又は異なる。)
【請求項9】
請求項1~
7のいずれか一項に記載の感放射線性組成物を用いて形成された層間絶縁膜。
【請求項10】
請求項
9に記載の層間絶縁膜を有する表示素子。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、感放射線性組成物、層間絶縁膜及びその製造方法、並びに表示素子に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶表示素子や固体撮像素子等の電子部品には、配線と基板との間や配線間を絶縁する層間絶縁膜が設けられている。液晶表示素子の製造工程では、基板上に層間絶縁膜が形成され、更に層間絶縁膜の上に、電極となる透明導電膜や液晶配向膜が形成される。層間絶縁膜を形成する材料としては、アルカリ可溶性樹脂と感光剤とを含有する感放射線性の樹脂組成物が広く使用されている(例えば、特許文献1参照)。この技術では一般に、基板上に感放射線性樹脂組成物を塗布して塗膜を形成し、次いで、フォトマスクを介して塗膜を露光した後、現像処理を行うことにより、所望のパターンを有する層間絶縁膜が形成される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
液晶表示素子等の更なる高精細化を図るためには、層間絶縁膜のエッジ部分の立ち上がり角度をより大きくする、すなわち高テーパー角化を図ることが有効であると考えられる。また、層間絶縁膜の高テーパー角化を図るための手段としては、層間絶縁膜の主成分である重合体成分を高分子量化したり、ガラス転移温度(Tg)を高くしたりすることが考えられる。
【0005】
しかしながら、重合体成分の高分子量化を図ると、感放射線性樹脂組成物の感度が低下することが懸念される。また、重合体成分の高分子量化により感放射線性樹脂組成物の粘度が上昇しやすく、保存安定性が低下することも考えられる。重合体成分の高Tg化により層間絶縁膜の高テーパー角化を図ろうとした場合、重合体成分の疎水性が高くなり、これにより解像度が低下し良好なパターン形状を得ることができないことが懸念される。
【0006】
液晶表示素子等の製造工程では、露光処理が終了してから現像処理が行われるまでの時間(PED(Post Exposure Delay)時間)が長くなることがある。このPED時間において、露光処理が終了したにもかかわらず重合体成分の反応(例えば架橋反応)が更に進行した場合、現像後のパターン形状にバラツキが生じることが懸念される。液晶表示素子等の更なる高精細化を図ることを考慮すると、高い放射線感度を示しつつ、露光後には重合体成分の反応が進行しにくく寸法安定性に優れていることが求められる。
【0007】
本発明は、上記課題に鑑みなされたものであり、放射線感度が高く、保存安定性に優れているとともに、高テーパー角であって、かつ露光後の寸法安定性に優れたパターンを形成することができる感放射線性組成物を提供することを主たる目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明によれば、以下の感放射線性組成物、層間絶縁膜及びその製造方法、並びに表示素子が提供される。
【0009】
[1] [A]酸性基を有する第1構造単位と、オキセタン構造及びオキシラン構造よりなる群から選択される少なくとも1種を有する第2構造単位とを含む重合体成分(ただし、下記[B]成分を除く)、及び、[B]下記式(1)で表されるキノンジアジド化合物、を含有する、感放射線性組成物。
【化1】
(式(1)中、R
1は、水酸基であるか、又は水酸基と1,2-ナフトキノンジアジドスルホン酸ハライドとが縮合してなる基である。ただし、式中の複数のR
1のうち少なくとも1個は、水酸基と1,2-ナフトキノンジアジドスルホン酸ハライドとが縮合してなる基である。R
2は、炭素数1~5のアルキル基である。L
1は、置換又は無置換のアルカンジイル基である。n1は1~3の整数である。n2は0~3の整数である。ただし、n1+n2≦4である。mは3~12の整数である。式中の複数のR
1は同一又は異なる。式中の複数のR
2は同一又は異なる。式中の複数のL
1は同一又は異なる。)
【0010】
[2] 上記[1]の感放射線性組成物を用いて塗膜を形成する工程と、前記塗膜の少なくとも一部に放射線を照射する工程と、放射線が照射された前記塗膜を現像する工程と、現像された前記塗膜を加熱する工程と、を含む、層間絶縁膜の製造方法。
[3] 上記[1]の感放射線性組成物を用いて形成された層間絶縁膜。
[4] 上記[3]の層間絶縁膜を有する表示素子。
【発明の効果】
【0011】
本発明の感放射線性組成物によれば、上記[A]成分と[B]成分とを含有することにより、高テーパー角であって、かつ露光後の寸法安定性に優れたパターンを形成することができる。また、本発明の感放射線性組成物は、放射線感度が高く、保存安定性に優れている。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、実施態様に関連する事項について詳細に説明する。なお、本明細書において、「~」を用いて記載された数値範囲は、「~」の前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む意味である。「構造単位」とは、主鎖構造を主として構成する単位であって、少なくとも主鎖構造中に2個以上含まれる単位をいう。
【0013】
[感放射線性組成物]
本開示の感放射線性組成物は、例えば表示素子の層間絶縁膜を形成するために用いられる重合体組成物であり、下記の[A]成分と[B]成分とを含有する。
[A] [A]酸性基を有する第1構造単位と、オキセタン構造及びオキシラン構造よりなる群から選択される少なくとも1種を有する第2構造単位とを含む重合体成分(ただし、下記[B]成分を除く)
[B] 下記式(1)で表されるキノンジアジド化合物
なお、[B]成分は[A]成分とは異なる化合物であり、[A]成分に[B]成分は含まれない。
【化2】
(式(1)中、R
1は、水酸基であるか、又は水酸基と1,2-ナフトキノンジアジドスルホン酸ハライドとが縮合してなる基である。ただし、式中の複数のR
1のうち少なくとも1個は、水酸基と1,2-ナフトキノンジアジドスルホン酸ハライドとが縮合してなる基である。R
2は、炭素数1~5のアルキル基である。L
1は、置換又は無置換のアルカンジイル基である。n1は1~3の整数である。n2は0~3の整数である。ただし、n1+n2≦4である。mは3~12の整数である。式中の複数のR
1は同一又は異なる。式中の複数のR
2は同一又は異なる。式中の複数のL
1は同一又は異なる。)
【0014】
以下、本開示の感放射線性組成物に含まれる各成分、及び必要に応じて配合されるその他の成分について説明する。なお、各成分については、特に言及しない限り、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0015】
ここで、本明細書において「炭化水素基」は、鎖状炭化水素基、脂環式炭化水素基及び芳香族炭化水素基を含む意味である。「鎖状炭化水素基」とは、主鎖に環状構造を含まず、鎖状構造のみで構成された直鎖状炭化水素基及び分岐状炭化水素基を意味する。ただし、飽和でも不飽和でもよい。「脂環式炭化水素基」とは、環構造としては脂環式炭化水素の構造のみを含み、芳香環構造を含まない炭化水素基を意味する。ただし、脂環式炭化水素の構造のみで構成されている必要はなく、その一部に鎖状構造を有するものも含む。「芳香族炭化水素基」とは、環構造として芳香環構造を含む炭化水素基を意味する。ただし、芳香環構造のみで構成されている必要はなく、その一部に鎖状構造や脂環式炭化水素の構造を含んでいてもよい。なお、脂環式炭化水素基及び芳香族炭化水素基が有する環構造は、炭化水素構造からなる置換基を有していてもよい。「環状炭化水素基」は、脂環式炭化水素基及び芳香族炭化水素基を含む意味である。「環員数」とは、環を構成する原子(炭素原子、窒素原子、酸素原子等)の数をいう。環が多環である場合、その多環に含まれる複数の環を構成する原子の数を意味する。
【0016】
<[A]成分>
・第1構造単位
第1構造単位は、酸性基を有する構造単位である。[A]成分に第1構造単位が含まれることにより、重合体成分に良好なアルカリ可溶性を付与することができる。なお、本明細書において「アルカリ可溶性」とは、2.38質量%濃度のテトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液等のアルカリ水溶液に溶解可能であることを意味する。
【0017】
第1構造単位は、酸性基を有する限り特に限定されないが、カルボキシ基を有する構造単位、スルホン酸基を有する構造単位、フェノール性水酸基を有する構造単位、及びマレイミド単位よりなる群から選択される少なくとも1種であることが好ましい。なお、本明細書において「フェノール性水酸基」とは、芳香環(例えばベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環等)に直接結合するヒドロキシ基を意味する。
【0018】
第1構造単位は、酸性基を有する不飽和単量体(以下「第1単量体」ともいう)に由来する構造単位であることが好ましい。第1単量体の具体例としては、カルボキシ基を有する構造単位を構成する単量体として、例えば(メタ)アクリル酸、クロトン酸、4-ビニル安息香酸等の不飽和モノカルボン酸;マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、メサコン酸、イタコン酸等の不飽和ジカルボン酸を;スルホン酸基を有する構造単位を構成する単量体として、例えばビニルスルホン酸、(メタ)アリルスルホン酸、スチレンスルホン酸、(メタ)アクリロイルオキシエチルスルホン酸等を;フェノール性水酸基を有する構造単位を構成する単量体として、例えば4-ヒドロキシスチレン、o-イソプロペニルフェノール、m-イソプロペニルフェノール、p-イソプロペニルフェノール、4-ヒドロキシフェニル(メタ)アクリレート、1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロ-2-(4-ビニルフェニル)-2-プロパノール等を、それぞれ挙げることができる。また、第1単量体としてマレイミドを用いることもできる。なお、本明細書において「(メタ)アクリル」は、「アクリル」及び「メタクリル」を包含することを意味する。
【0019】
[A]成分において、第1構造単位の含有割合は、感放射線性組成物からなる塗膜の露光部分がアルカリ現像液に対し良好な現像性を示すようにする観点から、[A]成分を構成する全構造単位に対して、1質量%以上であることが好ましく、3質量%以上であることがより好ましい。一方、第1構造単位の含有割合が多すぎると、露光部分と未露光部分とにおいて、アルカリ現像液に対する溶解性の違いが小さくなることが考えられる。こうした観点から、第1構造単位の含有割合は、[A]成分を構成する全構造単位に対して、30質量%以下であることが好ましく、25質量%以下であることがより好ましく、20質量%以下であることが更に好ましい。
【0020】
[A]成分は、第1構造単位として、フェノール性水酸基を有する構造単位以外の構造単位を少なくとも含むことが好ましく、カルボキシ基を有する構造単位、スルホン酸基を有する構造単位、及びマレイミド単位よりなる群から選択される少なくとも1種を少なくとも含むことがより好ましい。[A]成分が第1構造単位としてこれらの基(カルボキシ基、スルホン酸基及びマレイミド基のうち少なくともいずれか)を有する構造単位を含むことにより、感放射線性組成物からなる塗膜の露光部分が、アルカリ現像液に対し良好な現像性を示すようにできる点で好適である。
【0021】
[A]成分において、カルボキシ基を有する構造単位、スルホン酸基を有する構造単位、及びマレイミド単位よりなる群から選択される少なくとも1種の構造単位の含有割合は、感放射線性組成物からなる塗膜の露光部分がアルカリ現像液に対し良好な現像性を示すようにする観点から、[A]成分を構成する全構造単位に対して、1質量%以上であることが好ましく、2質量%以上であることがより好ましい。また、露光部分と未露光部分とにおいて、アルカリ現像液に対する溶解性の違いを十分に発現させる観点から、カルボキシ基を有する構造単位、スルホン酸基を有する構造単位、及びマレイミド単位よりなる群から選択される少なくとも1種の構造単位の含有割合は、[A]成分を構成する全構造単位に対して、30質量%以下であることが好ましく、25質量%以下であることがより好ましく、20質量%以下であることが更に好ましい。
【0022】
また、第1構造単位としてフェノール水酸基を有する構造単位を[A]成分に導入する場合、フェノール性水酸基を有する構造単位の含有割合は、放射線感度をより良好にする観点から、[A]成分を構成する全構造単位に対して、1質量%以上であることが好ましく、2質量%以上であることがより好ましく、5質量%以上であることが更に好ましい。また、熱架橋性基を有する構造単位による硬化膜物性を確保する観点から、フェノール性水酸基を有する構造単位の含有割合は、[A]成分を構成する全構造単位に対して、30質量%以下であることが好ましく、25質量%以下であることがより好ましく、20質量%以下であることが更に好ましい。
【0023】
・第2構造単位
第2構造単位は、オキセタン構造及びオキシラン構造よりなる群から選択される少なくとも1種を有する構造単位である。[A]成分が第2構造単位を含むことにより、感放射線性組成物を用いて得られる膜の解像性及び硬化膜の耐溶剤性を高めることができる。また、第2構造単位が有する環状エーテル基が架橋性基として作用することにより、長期間に亘って劣化が抑制された硬化膜を形成することができる。
【0024】
第2構造単位は、オキセタン構造及びオキシラン構造よりなる群から選択される少なくとも1種を有する不飽和単量体(以下「第2単量体」ともいう)に由来する構造単位であることが好ましく、具体的には下記式(4)で表される構造単位であることが好ましい。
【化3】
(式(4)中、R
5はオキセタン構造又はオキシラン構造を有する1価の基であり、R
6は水素原子又メチル基であり、X
1は単結合又は2価の連結基である。)
【0025】
上記式(4)において、R5としては、オキシラニル基、オキセタニル基、3,4-エポキシシクロヘキシル基、3,4-エポキシトリシクロ[5.2.1.02,6]デシル基、3-エチルオキセタニル基等が挙げられる。これらのうち、反応性が高い点で、R5はオキシラン構造を有する1価の基が好ましい。
X1の2価の連結基としては、例えばメチレン基、エチレン基、1,3-プロパンジイル基等のアルカンジイル基が挙げられる。
【0026】
第2単量体の具体例としては、例えば、グリシジル(メタ)アクリレート、3,4-エポキシシクロヘキシル(メタ)アクリレート、3,4-エポキシシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレート、2-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチル(メタ)アクリレート、3,4-エポキシトリシクロ[5.2.1.02,6]デシル(メタ)アクリレート、(3-メチルオキセタン-3-イル)メチル(メタ)アクリレート、(3-エチルオキセタン-3-イル)(メタ)アクリレート、(オキセタン-3-イル)メチル(メタ)アクリレート、(3-エチルオキセタン-3-イル)メチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0027】
[A]成分において、第2構造単位の含有割合は、[A]成分を構成する全構造単位に対して、10質量%以上が好ましく、15質量%以上がより好ましく、20質量%以上が更に好ましい。また、第2構造単位の含有割合は、[A]成分を構成する全構造単位に対して、70質量%以下が好ましく、65質量%以下がより好ましく、60質量%以下が更に好ましい。第2構造単位の含有割合を上記範囲とすることで、塗膜がより良好な解像性を示すとともに、得られる硬化膜の耐熱性及び耐溶剤性を十分に高くすることができる点で好ましい。
【0028】
[A]成分において、第1構造単位及び第2構造単位の各含有割合は、上述した各構造単位の好ましい含有割合の数値範囲を適宜組み合わせることにより設定することができる。これらのうち、感放射線性組成物が良好な放射線感度及び保存安定性を有し、かつ得られる硬化膜のパターン形状を優れたものとする観点から、[A]成分は、重合体成分を構成する全構造単位に対し、第1構造単位を1質量%以上40質量%以下、第2構造単位を10質量%以上60質量%以下含むことが好ましい。より好ましくは、第1構造単位を5質量%以上35質量%以下、第2構造単位を10質量%以上60質量%以下含み、更に好ましくは、第1構造単位を5質量%以上30質量%以下、第2構造単位を10質量%以上60質量%以下含むとよい。
【0029】
[A]成分は、第1構造単位及び第2構造単位とともに、これら第1及び第2構造単位とは異なる構造単位(以下「その他の構造単位」ともいう)を更に含んでいてもよい。その他の構造単位としては、例えば、環員数5以上の複素環構造を有する(メタ)アクリレート化合物に由来する構造単位(以下「第3構造単位」ともいう)、芳香族ビニル化合物に由来する構造単位(以下「第4構造単位」ともいう)、N-置換マレイミド化合物に由来する構造単位(以下「第5構造単位」ともいう)、水酸基(フェノール性水酸基を除く。)を有する構造単位(以下「第6構造単位」ともいう)、及び(メタ)アクリル酸アルキルエステル化合物に由来する構造単位(以下「第7構造単位」ともいう)が挙げられる。
【0030】
・第3構造単位
第3構造単位は、環員数5以上の複素環構造を有する(メタ)アクリレート化合物(以下「第3単量体」ともいう)に由来する構造単位である。第3単量体が有する、環員数5以上の複素環構造としては、環状エーテル構造、環状エステル構造、環状カーボネート構造、環状アミド構造及び環状イミド構造よりなる群から選択される少なくとも1種であることが好ましい。
【0031】
上記複素環構造の具体例としては、環状エーテル構造として、例えば、テトラヒドロフラン、メチルテトラヒドロフラン、エチルテトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、メチルテトラヒドロピラン、エチルテトラヒドロピラン、ジオキソラン、メチルジオキソラン、エチルジオキソラン、ジオキサン、メチルジオキサン、エチルジオキサン、モルフォリン、1,4,6-トリオキサスピロ[4.6]ウンデカン、1,4,6-トリオキサスピロ[4.4]ノナン、1,4,6-トリオキサスピロ[4.5]デカン等の環状エーテルから任意の水素原子を取り除いた基を;環状エステル構造として、例えば、γ-ブチロラクトン、γ-バレロラクトン、δ-バレロラクトン、ε-カプロラクトン等のラクトンから任意の水素原子を取り除いた基を;環状カーボネート構造として、例えば、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート等の環状炭酸エステルから任意の水素原子を取り除いた基を;環状アミド構造として、例えば、γ-ラクタム、δ-ラクタム、ε-カプロラクタム、ラウロラクタム等のラクタムから任意の水素原子を取り除いた基を;環状イミド構造として、フタルイミド、ヘキサヒドロフタルイミド等のイミド環から任意の水素原子を取り除いた基を、それぞれ挙げることができる。
【0032】
第3構造単位は、具体的には下記式(5)で表される構造単位であることが好ましい。
【化4】
(式(5)中、R
7は、水素原子又はメチル基である。R
8は、環員数5以上の複素環構造を有する1価の基である。)
【0033】
上記式(5)において、R8が環員数5以上の複素環構造を有する1価の基である場合、当該複素環構造の環部分は、上記式(1)中の酸素原子に直接結合していてもよく、2価の連結基(例えば、炭素数1~5のアルカンジイル基)を介して結合していてもよい。放射線感度が高い感放射線性組成物を得ることができる点で、R8は、中でも、環員数5以上の複素環構造を有する1価の基であることが好ましい。これらの中でも特に、R8は、環状エーテル構造、環状エステル構造、環状カーボネート構造、環状アミド構造、又は環状イミド構造を有する1価の基であることがより好ましく、環状エーテル構造が更に好ましい。
【0034】
上記式(5)中のR8が有する複素環構造が環状エーテル構造である場合、当該環状エーテル構造は、感放射線性組成物の感度をより高くできる点で、環骨格中に含まれる酸素原子(-O-)が2個以上であることが好ましい。当該環状エーテル構造は、感放射線性組成物の感度をより高くできる点で、ジオキソラン構造、ジオキサン構造又はスピロオルトエステル構造であることがより好ましく、ジオキソラン構造又はジオキサン構造であることが更に好ましく、ジオキソラン構造であることが特に好ましい。
【0035】
第3単量体の具体例としては、例えば(メタ)アクリル酸テトラヒドロフルフリル、(メタ)アクリル酸テトラヒドロピラニル、(メタ)アクリル酸5-エチル-1,3-ジオキサン-5-イルメチル、(メタ)アクリル酸-1,3-ジオキサン-5-イルメチル、(メタ)アクリル酸5-メチル-1,3-ジオキサン-5-イルメチル、(メタ)アクリル酸(2-メチル-2-エチル-1,3-ジオキソラン-4-イル)メチル、(メタ)アクリル酸(2,2-ジメチル-1,3-ジオキソラン-4-イル)メチル、(メタ)アクリル酸(2,2-ジメチル-1,3-ジオキソラン-4-イル)エチル、(メタ)アクリロイルモルフォリン、2-(メタ)アクリロイルオキシメチル-1,4,6-トリオキサスピロ[4.6]ウンデカン、2-(メタ)アクリロイルオキシメチル-1,4,6-トリオキサスピロ[4.4]ノナン、2-(メタ)アクリロイルオキシメチル-1,4,6-トリオキサスピロ[4.5]デカン等を;
環員数5以上の環状エステル構造を有する(メタ)アクリレート化合物として、例えば(メタ)アクリル酸(γ-ブチロラクトン-2-イル)、(メタ)アクリル酸(γ-ブチロラクトン-2-イル)メチル、(メタ)アクリル酸(δ-バレロラクトン-2-イル)エチル等を;
環員数5以上の環状カーボネート構造を有する(メタ)アクリレート化合物として、例えばグリセリンカーボネート(メタ)アクリレート等を;
環員数5以上の環状アミド構造を有する(メタ)アクリレート化合物として、例えば(メタ)アクリル酸(γ-ラクタム-2-イル)、(メタ)アクリル酸(γ-ラクタム-2-イル)メチル等を;
環員数5以上の環状イミド構造を有する(メタ)アクリレート化合物として、例えばN-(メタ)アクリロイルオキシエチルヘキサヒドロフタルイミド等を;それぞれ挙げることができる。
【0036】
[A]成分が第3構造単位を含む場合、第3構造単位の含有割合は、[A]成分を構成する全構造単位に対して、1質量%以上であることが好ましい。第3構造単位の含有割合を1質量%以上とすることにより、感放射線性組成物の高感度化をより図ることができる点で好適である。第3構造単位の含有割合は、[A]成分を構成する全構造単位に対して、3質量%以上がより好ましく、5質量%以上が更に好ましい。また、現像後における層間絶縁膜のパターン形状を良好にする観点から、第3構造単位の含有割合は、[A]成分を構成する全構造単位に対して、50質量%以下が好ましく、45質量%以下がより好ましく、40質量%以下が更に好ましい。
【0037】
・第4構造単位
第4構造単位を構成する芳香族ビニル化合物としては、特に限定されないが、例えば、スチレン、2-メチルスチレン、3-メチルスチレン、4-メチルスチレン、α-メチルスチレン、2,4-ジメチルスチレン、2,4-ジイソプロピルスチレン、5-t-ブチル-2-メチルスチレン、ジビニルベンゼン、トリビニルベンゼン、t-ブトキシスチレン、ビニルベンジルジメチルアミン、(4-ビニルベンジル)ジメチルアミノエチルエーテル、N,N-ジメチルアミノエチルスチレン、N,N-ジメチルアミノメチルスチレン、2-エチルスチレン、3-エチルスチレン、4-エチルスチレン、2-t-ブチルスチレン、3-t-ブチルスチレン、4-t-ブチルスチレン、ジフェニルエチレン等のスチレン系化合物;ビニルナフタレン、ジビニルナフタレン等のビニルナフタレン系化合物;ビニルピリジン等の複素環ビニル化合物等が挙げられる。これらのうち、上記芳香族ビニル化合物は、スチレン系化合物が好ましい。なお、本明細書において、フェノール性水酸基を有する芳香族ビニル化合物に由来する構造単位は「第1構造単位」に含まれる。
【0038】
[A]成分が第4構造単を含む場合、第4構造単位の含有割合は、[A]成分を構成する全構造単位に対して、1質量%以上が好ましく、2質量%以上がより好ましく、5質量%以上が更に好ましい。また、第4構造単位の含有割合は、[A]成分を構成する全構造単位に対して、30質量%以下が好ましく、25質量%以下がより好ましく、20質量%以下が更に好ましい。第4構造単位の含有割合を1質量%以上とすることにより、硬化膜のパターン形状を良化することができる。また、第4構造単位の含有割合を30質量%以下とすることにより、重合体成分のガラス転移温度が高くなりすぎず、現像性の低下を抑制することができる。
【0039】
・第5構造単位
第5構造単位を構成するN-置換マレイミド化合物としては、マレイミドが有する窒素原子に結合する水素原子が1価の炭化水素基で置換された化合物が挙げられる。当該1価の炭化水素基としては、1価の鎖状炭化水素基、1価の脂環式炭化水素基、及び1価の芳香族炭化水素基が挙げられる。これらのうち、耐熱性の改善効果をより高くできる点で、
第5構造単位を構成するN-置換マレイミド化合物は、1価の環状炭化水素基を有することが好ましく、単環、橋かけ環又はスピロ環を有する1価の脂環式炭化水素基を有することがより好ましい。
【0040】
第5構造単位は、具体的には下記式(6)で表される構造単位であることが好ましい。
【化5】
(式(6)中、R
9は、1価の環状炭化水素基である。R
10及びR
11は、それぞれ独立して、水素原子又は炭素数1~5のアルキル基である。)
【0041】
上記式(6)において、R9は、環状炭化水素基が有する環構造が窒素原子に直接結合していてもよく、環構造が2価の連結基を介して結合していてもよい。2価の連結基としては、例えばメチレン基、エチレン基、1,3-プロパンジイル基等のアルカンジイル基が挙げられる。これらのうち、R9は、環状炭化水素基が有する環構造が窒素原子に直接結合していることが好ましく、脂環式炭化水素の構造が窒素原子に直接結合した脂環式炭化水素基がより好ましい。R10及びR11は、水素原子又はメチル基が好ましく、水素原子がより好ましい。
【0042】
N-置換マレイミド化合物の具体例としては、脂環式炭化水素基を有する化合物として、例えばN-シクロヘキシルマレイミド、N-シクロペンチルマレイミド、N-(2-メチルシクロヘキシル)マレイミド、N-(4-メチルシクロヘキシル)マレイミド、N-(4-エチルシクロヘキシル)マレイミド、N-(2,6-ジメチルシクロヘキシル)マレイミド、N-ノルボルニルマレイミド、N-トリシクロデシルマレイミド、N-アダマンチルマレイミド等を;芳香族炭化水素基を有する化合物として、例えばN-フェニルマレイミド、N-(2-メチルフェニル)マレイミド、N-(4-メチルフェニル)マレイミド、N-(4-エチルフェニル)マレイミド、N-(2,6-ジメチルフェニル)マレイミド、N-ベンジルマレイミド、N-ナフチルマレイミド等を、それぞれ挙げることができる。N-置換マレイミド化合物は、これらのうち、N-シクロへキシルマレイミド、N-(4-メチルシクロへキシル)マレイミド、N-フェニルマレイミド及びN-(4-メチルフェニル)マレイミドよりなる群から選択される少なくとも1種が好ましく、N-シクロへキシルマレイミド及びN-フェニルマレイミドのうち少なくともいずれかであることがより好ましい。
【0043】
[A]成分が第5構造単位を含む場合、第5構造単位の含有割合は、パターン形状を良好にする観点から、[A]成分を構成する全構造単位に対して、1質量%以上が好ましく、2質量%以上がより好ましく、5質量%以上が更に好ましい。また、第5構造単位の含有割合は、現像性の低下を抑制する観点から、[A]成分を構成する全構造単位に対して、40質量%以下が好ましく、35質量%以下がより好ましく、30質量%以下が更に好ましい。
【0044】
・第6構造単位
第6構造単位は、水酸基(フェノール性水酸基を除く。)を有する不飽和単量体(以下「第6単量体」ともいう)に由来する構造単位であることが好ましく、具体的には、飽和鎖状炭化水素基に結合した水酸基を1個以上有する単量体に由来する構造単位が挙げられる。第6単量体としては、特に限定されないが、例えば(メタ)アクリル化合物、マレイミド化合物等が挙げられる。
【0045】
第6単量体の具体例としては、(メタ)アクリル化合物として、例えば(メタ)アクリル酸ヒドロキシメチル、(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸3-ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸4-ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸5-ヒドロキシペンチル、(メタ)アクリル酸6-ヒドロキシヘキシル、グリセロールモノ(メタ)アクリレート等を;
マレイミド化合物として、例えばN-(ヒドロキシメチル)マレイミド、N-(2-ヒドロキシエチル)マレイミド、N-(3-ヒドロキシプロピル)マレイミド等を、それぞれ挙げることができる。
【0046】
[A]成分が第6構造単位を含む場合、膜形成時においてプレベーク温度のばらつきに起因するパターン形成能の低下を抑制でき、良好なパターンを形成できる点、及び放射線感度の点で好適である。[A]成分が第6構造単位を含む場合、第6構造単位の含有割合は、プレベーク温度のばらつきに起因するパターン形成能の低下を抑制する観点から、[A]成分を構成する全構造単位に対して、0.5質量%以上が好ましく、1質量%以上がより好ましく、2質量%以上が更に好ましい。また、第6構造単位の含有割合は、現像性の低下を抑制する観点から、[A]成分を構成する全構造単位に対して、15質量%以下が好ましく、10質量%以下がより好ましく、8質量%以下が更に好ましい。
【0047】
・第7構造単位
第7構造単位を構成する単量体としては、炭素数1~20のアルキル基を有する(メタ)アクリル化合物を挙げることができ、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n-プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、n-ラウリル(メタ)アクリレート、n-ステアリル(メタ)アクリレート等が挙げられる。[A]成分が第7構造単位を含む場合、第7構造単位の含有割合は、[A]成分を構成する全構造単位に対して、30質量%以下が好ましく、25質量%以下がより好ましく、20質量%以下が更に好ましい。
【0048】
その他の構造単位としては、上記の他、例えば、イタコン酸ジエチル等の不飽和ジカルボン酸ジアルキルエステル化合物;1,3-ブタジエン、イソプレン等の共役ジエン化合物;(メタ)アクリロニトリル、(メタ)アクリルアミド等の窒素含有ビニル化合物;塩化ビニル、塩化ビニリデン、酢酸ビニル等の単量体に由来する構造単位が挙げられる。[A]成分において、第3構造単位~第7構造単位を除くその他の構造単位の含有割合は、[A]成分を構成する全構造単位に対して、10質量%以下が好ましく、5質量%以下がより好ましく、1質量%以下が更に好ましい。
【0049】
[A]成分は、第1構造単位を1種のみ含んでいてもよく、2種以上含んでいてもよい。第2構造単位及びその他の構造単位についても同様である。なお、各構造単位の含有割合は、通常、重合体成分の製造に使用される単量体の割合と等価である。[A]成分は、第1構造単位及び第2構造単位を含む限り、1種の重合体からなるものであってもよく、2種以上の重合体からなるものであってもよい。すなわち、[A]成分は、第1構造単位と第2構造単位とを同一の重合体又は異なる重合体中に含む重合体成分である。なお、[A]成分は、不飽和単量体に由来する重合体として、第1構造単位及び第2構造単位のいずれの構造単位も有しない重合体を更に含有していてもよい。
【0050】
[A]成分は、感放射線性組成物においてベース樹脂となる成分である。感放射線性組成物における[A]成分の含有形態としては、例えば、〔1〕第1構造単位と第2構造単位とを有する重合体を含有する態様、〔2〕第1構造単位を有する重合体と、第2構造単位を有する重合体とを含有する態様等が挙げられる。これらのうち、感放射線性組成物を構成する成分の種類を少なくしつつ、本開示の効果が得られる点で、上記〔1〕が好ましい。
【0051】
[A]成分を構成する重合体のガラス転移温度(Tg)は、感放射線性組成物を用いて形成されるパターンの形状を良好にして硬化膜の高テーパー角化を図る観点から、110℃以下が好ましく、105℃以下がより好ましく、100℃以下が更に好ましい。また、重合体のTgは、-20℃以上が好ましく、-10℃以上がより好ましく、0℃以上が更に好ましい。なお、本明細書において、重合体のTgは、構造単位に対応するホモポリマーのTgを重合体中に含有する割合にて案分する方法により計算することによって求めた値である。ホモポリマーのTgについては、JIS K7121-1987に基づき、昇温速度20℃/分でDSC測定(示差走査熱量測定)をすることにより求められるガラス転移温度を意味する。
【0052】
[A]成分において、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によるポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)は、1,000以上であることが好ましい。Mwが1,000以上であると、耐熱性や耐溶剤性が十分に高く、かつ良好な現像性を示す硬化膜を得ることができる点、及びパターンの寸法安定性を良好できる点で好ましい。Mwは、より好ましくは2,000以上であり、更に好ましくは3,000以上であり、より更に好ましくは5,000以上であり、特に好ましくは8,000以上である。また、Mwは、感放射線性組成物の保存安定性及び成膜性を良好にする観点から、好ましくは50,000以下であり、より好ましくは30,000以下であり、更に好ましくは20,000以下であり、より更に好ましくは18,000以下であり、特に好ましくは15,000以下である。
【0053】
[A]成分において、重量平均分子量Mwと数平均分子量Mnとの比で表される分子量分布(Mw/Mn)は、4.0以下が好ましく、3.0以下がより好ましく、2.7以下が更に好ましい。なお、[A]成分が2種以上の重合体からなる場合、各重合体のMw、Mw/Mnが、それぞれ上記範囲を満たすことが好ましい。
【0054】
[A]成分の含有割合は、感放射線性組成物に含まれる固形分の全量に対して、10質量%以上であることが好ましく、30質量%以上であることがより好ましく、50質量%以上であることが更に好ましい。また、[A]成分の含有割合は、感放射線性組成物に含まれる固形分の全量に対して、95質量%以下であることが好ましく、90質量%以下であることがより好ましい。[A]成分の含有割合を上記範囲とすることにより、耐熱性及び耐溶剤性が十分に高く、かつ良好な現像性及び透明性を示す硬化膜を得ることができる。
【0055】
[A]成分は、例えば、上述した各構造単位を導入可能な不飽和単量体を用い、適当な溶媒中、重合開始剤等の存在下で、ラジカル重合等の公知の方法に従って製造することができる。具体的には、使用する重合開始剤としては、2,2’-アゾビス(イソブチロニトリル)、2,2’-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)、2,2’-アゾビス(イソ酪酸)ジメチル等のアゾ化合物が挙げられる。重合開始剤の使用割合は、反応に使用する単量体の全量100質量部に対して、0.01~30質量部であることが好ましい。重合溶媒としては、例えばアルコール類、エーテル類、ケトン類、エステル類、炭化水素類等が挙げられる。
【0056】
上記重合反応において、反応温度は、通常、30℃~180℃である。反応時間は、開始剤及び単量体の種類や反応温度に応じて異なるが、通常、0.5~10時間である。有機溶媒の使用量は、反応に使用するモノマーの合計量が、反応溶液の全体量に対して、0.1~60質量%になるような量にすることが好ましい。重合反応により得られた重合体は、例えば、反応溶液を大量の貧溶媒中に注ぎ、これにより得られる析出物を減圧下乾燥する方法、反応溶液をエバポレーターで減圧留去する方法等の公知の単離方法を用いて単離することができる。
【0057】
<[B]成分>
[B]成分であるキノンジアジド化合物は、上記式(1)で表される環状化合物(以下「化合物(B)」ともいう)である。化合物(B)は、放射線の照射によりカルボン酸を発生する感放射線性酸発生体である。
【0058】
上記式(1)において、R1は、水酸基であるか、又は水酸基と1,2-ナフトキノンジアジドスルホン酸ハライドとが縮合してなる基である。1,2-ナフトキノンジアジドスルホン酸ハライドは、1,2-ナフトキノンジアジドスルホン酸クロリドが好ましく、具体的には、1,2-ナフトキノンジアジド-4-スルホン酸クロリド、1,2-ナフトキノンジアジド-5-スルホン酸クロリド等が挙げられる。これらのうち、1,2-ナフトキノンジアジド-5-スルホン酸クロリドが特に好ましい。
【0059】
R2の炭素数1~5のアルキル基は、直鎖状でも分岐状でもよい。R2の具体例としては、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、tert-ブチル基、n-ペンチル基、イソペンチル基等が挙げられる。R2は、これらのうち、炭素数1~3のアルキル基が好ましく、メチル基又はエチル基がより好ましい。
【0060】
L1は、置換又は無置換のアルカンジイル基である。L1がこのような構造を有することにより、現像液に対する溶解性が高く、感放射線性組成物の感度を高くすることができる。L1において、アルカンジイル基は直鎖状でも分岐状でもよい。アルカンジイル基の炭素数は、1~20が好ましく、1~10がより好ましく、1~6が更に好ましく、1~3がより更に好ましい。L1が置換アルカンジイル基である場合の置換基としては、ハロゲン原子、アルコキシ基等が挙げられる。
【0061】
1,2-ナフトキノンジアジドスルホン酸構造の導入しやすさの観点から、L
1は、中でも、下記式(2)で表される基であることが好ましい。
【化6】
(式(2)中、R
3及びR
4は、それぞれ独立して、水素原子又は炭素数1~3のアルキル基である。「*」は結合手であることを表す。)
【0062】
上記式(2)において、R3及びR4が炭素数1~3のアルキル基である場合の具体例としては、メチル基、エチル基、n-プロピル基及びイソプロピル基が挙げられる。R3及びR4は、水素原子、メチル基又はエチル基が好ましい。現像液に対する溶解性を高くする観点から、中でも、R3及びR4のうち一方が水素原子であり、他方が水素原子、メチル基又はエチル基であることが好ましい。
【0063】
mは3~12の整数である。溶媒への溶解性、透過率及び耐熱性に優れる観点から、mは3~8が好ましく、3~6がより好ましく、3~5が特に好ましい。
n1は1~3の整数であり、2又は3が好ましい。
n2は0~2の整数が好ましく、0又は1がより好ましく、0が更に好ましい。
【0064】
上記式(1)において、ベンゼン環に対するL
1の結合位置は特に限定されない。1個のベンゼン環に結合する2個のL
1の結合位置は、一方のL
1が他方のL
1に対し、オルト位又はメタ位が好ましく、メタ位がより好ましい。化合物(B)の好ましい具体例としては、下記式(1-1)で表される化合物が挙げられる。
【化7】
(式(1-1)中、rは1~4の整数である。R
1、R
2、L
1、n1及びn2は上記式(1)と同義である。)
【0065】
化合物(B)は、下記式(3)で表される化合物(以下「母核b」ともいう)と、1,2-ナフトキノンジアジドスルホン酸ハライドとの縮合反応によって、母核bが有するフェノール性水酸基に1,2-ナフトキノンジアジドスルホン酸構造が導入されることにより得ることができる。
【化8】
(式(3)中、R
2、L
1、n1、n2及びmは上記式(1)と同義である。)
【0066】
母核bの具体例としては、C-メチルカリックス[3]レソルシンアレーン、C-メチルカリックス[4]レソルシンアレーン、C-メチルカリックス[6]レソルシンアレーン、C-エチルカリックス[3]レソルシンアレーン、C-エチルカリックス[4]レソルシンアレーン、C-デシルカリックス[4]レソルシンアレーン、C-ウンデシルカリックス[4]レソルシンアレーン、C-ドデシルカリックス[4]レソルシンアレーン等のカリックスレソルシンアレーン誘導体が挙げられる。ただし、母核bはこれらの化合物に限定されるものではない。
【0067】
なお、母核bと1,2-ナフトキノンジアジドスルホン酸ハライドとの縮合反応は、公知の方法に従って行うことができる。例えば、酸触媒、塩基触媒、相間移動触媒等の触媒の存在下、60~90℃で12~60時間反応させる方法等が挙げられる。
【0068】
化合物(B)を得るための縮合反応において、母核bと1,2-ナフトキノンジアジドスルホン酸ハライドとの割合は、1,2-ナフトキノンジアジドスルホン酸ハライドの使用量を、母核b中のOH基の数に対して、10~85モル%に相当する量とすることが好ましく、15~80モル%に相当する量とすることがより好ましく、20~70モル%に相当する量とすることがより好ましい。1,2-ナフトキノンジアジドスルホン酸ハライドの使用量を上記範囲とすることにより、溶剤への溶解性、放射線感度及びパターンのエッジ形状の良化を図りつつ、アルカリ溶液に対する露光部分と未露光部分との溶解度の差を十分に大きくできる点で好適である。
【0069】
感放射線性組成物における化合物(B)の含有量は、[A]成分100質量部に対して、2質量部以上とすることが好ましく、5質量部以上とすることがより好ましく、10質量部以上とすることが更に好ましい。また、化合物(B)の含有量は、[A]成分100質量部に対して、60質量部以下とすることが好ましく、50質量部以下とすることがより好ましく、40質量部以下とすることが更に好ましい。化合物(B)の含有量を2質量部以上とすると、放射線の照射部分と未照射部分とのアルカリ溶液に対する溶解度の差を十分に大きくできる点、及び高テーパ角のパターンを形成できる点で好適である。一方、化合物(B)の含有割合を60質量部以下とすると、放射線感度の低下を抑制できる点、及び未反応の化合物(B)の量を十分に少なくでき、化合物(B)の残存による現像性の低下を抑制できる点で好適である。
【0070】
<その他の成分>
本開示の感放射線性組成物は、上述した[A]成分及び[B]成分に加え、これら以外の成分(以下「その他の成分」ともいう)を更に含有していてもよい。その他の成分としては、例えば以下の[C]成分及び[D]成分が挙げられる。
[C]フェノール性化合物又はアルコール性化合物と、1,2-ナフトキノンジアジドスルホン酸ハライドとの縮合物であって、かつ化合物(B)とは異なる化合物。
[D]溶媒。
【0071】
<[C]成分>
本開示の感放射線性組成物は、フェノール性化合物又はアルコール性化合物(以下「母核c」ともいう)と、1,2-ナフトキノンジアジドスルホン酸ハライドとの縮合物であって、かつ化合物(B)とは異なる化合物(以下「化合物(C)」ともいう)を更に含有していてもよい。化合物(C)は、化合物(B)と同じく、放射線の照射によりカルボン酸を発生する感放射線性酸発生体である。本開示の感放射線性組成物が化合物(C)を更に含有することにより、現像液に対する溶解性を容易に調整することが可能であり、感放射線性組成物の放射線感度を調整しやすい点で好適である。なお、[C]成分は[A]成分及び[B]成分とは異なる化合物である。
【0072】
母核cとしては、例えば、トリヒドロキシベンゾフェノン、テトラヒドロキシベンゾフェノン、ペンタヒドロキシベンゾフェノン、ヘキサヒドロキシベンゾフェノン、(ポリヒドロキシフェニル)アルカン、その他の母核を挙げることができる。これらの具体例としては、トリヒドロキシベンゾフェノンとして、例えば2,3,4-トリヒドロキシベンゾフェノン、2,4,6-トリヒドロキシベンゾフェノン等を;テトラヒドロキシベンゾフェノンとして、例えば2,2’,4,4’-テトラヒドロキシベンゾフェノン、2,3,4,3’-テトラヒドロキシベンゾフェノン、2,3,4,4’-テトラヒドロキシベンゾフェノン、2,3,4,2’-テトラヒドロキシ-4’-メチルベンゾフェノン、2,3,4,4’-テトラヒドロキシ-3’-メトキシベンゾフェノン等を;ペンタヒドロキシベンゾフェノンとして、例えば2,3,4,2’,6’-ペンタヒドロキシベンゾフェノン等を;ヘキサヒドロキシベンゾフェノンとして、例えば2,4,6,3’,4’,5’-ヘキサヒドロキシベンゾフェノン、3,4,5,3’,4’,5’-ヘキサヒドロキシベンゾフェノン等を;(ポリヒドロキシフェニル)アルカンとして、例えばビス(2,4-ジヒドロキシフェニル)メタン、ビス(p-ヒドロキシフェニル)メタン、トリ(p-ヒドロキシフェニル)メタン、1,1,1-トリ(p-ヒドロキシフェニル)エタン、ビス(2,3,4-トリヒドロキシフェニル)メタン、2,2-ビス(2,3,4-トリヒドロキシフェニル)プロパン、1,1,3-トリス(2,5-ジメチル-4-ヒドロキシフェニル)-3-フェニルプロパン、4,4’-〔1-〔4-〔1-〔4-ヒドロキシフェニル〕-1-メチルエチル〕フェニル〕エチリデン〕ビスフェノール、ビス(2,5-ジメチル-4-ヒドロキシフェニル)-2-ヒドロキシフェニルメタン、3,3,3’,3’- テトラメチル-1,1’-スピロビインデン-5,6,7,5’,6’,7’-ヘキサノール、2,2,4-トリメチル-7,2’,4’-トリヒドロキシフラバン等を;その他の母核として、例えば2-メチル-2-(2,4-ジヒドロキシフェニル)-4-(4-ヒドロキシフェニル)-7-ヒドロキシクロマン、2-[ビス{(5-イソプロピル-4-ヒドロキシ-2-メチル)フェニル}メチル]等を、それぞれ挙げることができる。
【0073】
母核cとしては、これらのうち、2,3,4,4’-テトラヒドロキシベンゾフェノン、1,1,1-トリ(p-ヒドロキシフェニル)メタン、1,1,1-トリ(p-ヒドロキシフェニル)エタン、及び4,4’-〔1-〔4-〔1-〔4-ヒドロキシフェニル〕-1-メチルエチル〕フェニル〕エチリデン〕ビスフェノールが好ましい。
【0074】
母核cと反応させる1,2-ナフトキノンジアジドスルホン酸ハライドは、1,2-ナフトキノンジアジドスルホン酸クロリドが好ましい。具体的には、1,2-ナフトキノンジアジド-4-スルホン酸クロリド、1,2-ナフトキノンジアジド-5-スルホン酸クロリド等が挙げられる。これらのうち、1,2-ナフトキノンジアジド-5-スルホン酸クロリドを好ましく使用できる。
【0075】
化合物(C)を得るための縮合反応において、母核cと1,2-ナフトキノンジアジドスルホン酸ハライドとの割合は、1,2-ナフトキノンジアジドスルホン酸ハライドの使用量を、母核c中のOH基の数に対して、好ましくは30~85モル%、より好ましくは50~70モル%に相当する量とする。なお、上記縮合反応は、公知の方法に従って行うことができる。母核cと1,2-ナフトキノンジアジドスルホン酸ハライドの縮合反応により1,2-キノンジアジド化合物が得られる。
【0076】
本開示の感放射線性組成物に化合物(C)を含有させる場合、感放射線性組成物における化合物(C)の含有量は、[A]成分100質量部に対して、1質量部以上とすることが好ましく、2質量部以上とすることがより好ましい。また、化合物(C)の含有量は、[A]成分100質量部に対して、30質量部以下とすることが好ましく、15質量部以下とすることがより好ましい。
【0077】
感放射線性組成物において、感放射線性酸発生体の合計の含有量(すなわち、化合物(B)と化合物(C)との合計量)は、放射線の照射によって酸を十分に生成させ、これにより塗膜においてアルカリ溶液に対する露光部分と未露光部分との溶解度の差を十分に大きくし、良好なパターニングを行う観点から、[A]成分100質量部に対して、5質量部以上が好ましく、10質量部以上がより好ましい。また、未反応の酸発生体が残存することによる現像性の低下を抑制する観点から、[A]成分100質量部に対して、60質量部以下が好ましく、50質量部以下がより好ましく、40質量部以下が更に好ましい。
【0078】
また、本開示の感放射線性組成物において化合物(B)と化合物(C)とを併用する場合、化合物(B)と化合物(C)との合計量100質量部に対する化合物(B)の割合は、10質量部以上が好ましく、20質量部以上がより好ましく、30質量部以上が更に好ましい。化合物(B)の割合が上記範囲であると、エッジの立ち上がり角度がより大きい形状のパターンを得ることができる点、及び露光後の引き置き時間(PED時間)を長くした場合にも安定した形状のパターンを形成できる点で好適である。また、感放射線性組成物の放射線感度を調整しやすさの観点から、化合物(B)と化合物(C)との合計量100質量部に対する化合物(B)の割合は、90質量部以下が好ましく、80質量部以下がより好ましい。
【0079】
<[D]成分>
本開示の感放射線性組成物は、[A]成分、[B]成分、及び必要に応じて配合されるその他の成分が、好ましくは[D]成分としての溶媒に溶解又は分散された液状の組成物である。使用する溶媒としては、感放射線性組成物に配合される各成分を溶解し、かつ各成分と反応しない有機溶媒が好ましい。
【0080】
溶媒の具体例としては、例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、オクタノール等のアルコール類;酢酸エチル、酢酸ブチル、乳酸エチル、γ-ブチロラクトン、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、3-メトキシプロピオン酸メチル、3-エトキシプロピオン酸エチル等のエステル類;エチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、エチレンジグリコールモノメチルエーテル、エチレンジグリコールエチルメチルエーテル、ジメチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールエチルメチルエーテル等のエーテル類;ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、N-メチルピロリドン等のアミド類;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類;ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン等の芳香族炭化水素が挙げられる。これらのうち、本開示の感放射線性組成物の調製に用いられる溶媒は、エーテル類及びエステル類よりなる群から選択される少なくとも1種を含むことが好ましく、エチレングリコールアルキルエーテルアセテート、ジエチレングリコール類、プロピレングリコールモノアルキルエーテル、及びプロピレングリコールモノアルキルエーテルアセテートよりなる群から選択される少なくとも1種であることがより好ましい。
【0081】
本開示の感放射線性組成物が含有していてもよいその他の成分としては、上記のほか、例えば、反応開始剤(光ラジカル重合開始剤、光カチオン重合開始剤等)、多官能重合性化合物(多官能(メタ)アクリレート等)、密着助剤(官能性シランカップリング剤等)、界面活性剤(フッ素系界面活性剤、シリコーン系界面活性剤、ノニオン系界面活性剤等)、重合禁止剤、酸化防止剤、連鎖移動剤等が挙げられる。これらの成分の配合割合は、本開示の効果を損なわない範囲で各成分に応じて適宜選択される。
【0082】
本開示の感放射線性組成物は、その固形分濃度(感放射線性組成物中の[D]成分以外の成分の合計質量が、感放射線性組成物の全質量に対して占める割合)は、粘性や揮発性等を考慮して適宜に選択されるが、好ましくは5~60質量%の範囲である。固形分濃度が5質量%以上であると、感放射線性組成物を基板上に塗布した際に塗膜の膜厚を十分に確保できる点で好ましい。また、固形分濃度が60質量%以下であると、塗膜の膜厚が過大となりすぎず、さらに感放射線性組成物の粘性を適度に高くでき、良好な塗布性を確保できる点で好ましい。感放射線性組成物における固形分濃度は、より好ましくは10~55質量%であり、更に好ましくは15~50質量%である。
【0083】
<層間絶縁膜及びその製造方法>
本開示の層間絶縁膜は、上記のように調製された感放射線性組成物により形成される。本開示の感放射線性組成物は放射線感度が高く、放射線照射によるパターニングが良好である。特に、本開示の感放射線性組成物によれば、パターンのエッジ角(テーパー角)がより大きく良好な形状を有する有機膜を形成することができる。したがって、本開示の感放射線性組成物は、例えば、層間絶縁膜、平坦化膜、スペーサー、保護膜、カラーフィルタ用着色パターン膜、隔壁等の形成材料として好ましく用いることができる。特に、本開示の感放射線性組成物は、表示素子を構成する有機膜に適用した場合に表示素子の高精細化を図ることができる点で、表示素子の層間絶縁膜形成用の重合体組成物として有用である。
【0084】
層間絶縁膜の製造に際し、本開示の感放射線性組成物を用いることにより、放射線(紫外線、遠紫外線、可視光線等)の照射によってポジ型硬化膜を形成することができる。本開示の層間絶縁膜は、例えば以下の工程1~工程4を含む方法により製造することができる。
(工程1)上記感放射線性組成物を用いて塗膜を形成する工程。
(工程2)上記塗膜の少なくとも一部を露光する工程。
(工程3)塗膜を現像する工程。
(工程4)現像された塗膜を加熱する工程。
以下、各工程について詳細に説明する。
【0085】
[工程1:膜形成工程]
本工程では、膜を形成する面(以下「被成膜面」ともいう)に上記感放射線性組成物を塗布し、好ましくは加熱処理(プレベーク)を行うことにより溶媒を除去して被成膜面上に塗膜を形成する。被成膜面の材質は特に限定されない。例えば、感放射線性組成物を用いて平坦化膜を形成する場合、TFT等のスイッチング素子が設けられた基板上に上記感放射線性組成物を塗布し、塗膜を形成する。基板としては、例えばガラス基板や樹脂基板が用いられる。
【0086】
感放射線性組成物の塗布方法としては、例えば、スプレー法、ロールコート法、スピンコート法、スリットダイ塗布法、バー塗布法、インクジェット法が挙げられる。これらの中でも、スピンコート法、スリットダイ塗布法又はバー塗布法により行うことが好ましい。プレベーク条件としては、感放射線性組成物における各成分の種類及び含有割合等によっても異なるが、例えば60~130℃で0.5~10分である。形成される塗膜の膜厚(すなわち、プレベーク後の膜厚)は、1~12μmが好ましい。
【0087】
[工程2:露光工程]
本工程では、上記工程1で形成した塗膜の少なくとも一部に放射線を照射する。このとき、塗膜に対し、所定のパターンを有するマスクを介して放射線を照射することにより、パターンを有する層間絶縁膜を形成することができる。放射線としては、例えば、紫外線、遠紫外線、可視光線、X線、電子線等の荷電粒子線が挙げられる。これらの中でも紫外線が好ましく、例えばg線(波長436nm)、i線(波長365nm)が挙げられる。放射線の露光量としては、0.1~20,000J/m2が好ましい。
【0088】
[工程3:現像工程]
本工程では、上記工程2で放射線を照射した塗膜を現像する。具体的には、工程2で放射線が照射された塗膜に対し、現像液により現像を行って放射線の照射部分を除去するポジ型現像を行う。現像液としては、例えば、アルカリ(塩基性化合物)の水溶液が挙げられる。アルカリとしては、例えば、水酸化ナトリウム、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、特開2016-145913号公報の段落[0127]に例示されたアルカリが挙げられる。アルカリ水溶液におけるアルカリ濃度としては、適度な現像性を得る観点から、0.1~5.0質量%が好ましい。現像方法としては、液盛り法、ディッピング法、揺動浸漬法、シャワー法等の適宜の方法が挙げられる。現像時間は、組成物の組成によっても異なるが、例えば30~120秒である。なお、現像工程の後、パターニングされた塗膜に対して流水洗浄によるリンス処理を行うことが好ましい。
【0089】
[工程4:加熱工程]
本工程では、上記工程3で現像された塗膜を加熱する処理(ポストベーク)を行う。ポストベークは、例えばオーブンやホットプレート等の加熱装置を用いて行うことができる。ポストベーク条件について、加熱温度は、例えば120~250℃である。また、加熱時間は、例えばホットプレート上で加熱処理を行う場合には5~40分、オーブン中で加熱処理を行う場合には10~80分である。以上のようにして、目的とするパターンを有する硬化膜を基板上に形成することができる。
【0090】
<表示素子>
本開示の表示素子は、上記感放射線性組成物を用いて形成された層間絶縁膜等の硬化膜を有する。表示素子としては、例えば、液晶表示素子、有機エレクトロルミネッセンス(EL)表示素子が挙げられる。また、上記感放射線性組成物を用いて形成された層間絶縁膜は平坦化膜や保護膜としても機能し得る。
【0091】
本開示の表示素子は種々の用途に有効に適用することができ、例えば、時計、携帯型ゲーム機、ワープロ、ノート型パソコン、カーナビゲーションシステム、カムコーダー、PDA、デジタルカメラ、携帯電話機、スマートフォン、各種モニター、液晶テレビ、インフォメーションディスプレイ等の各種表示装置として用いることができる。
【実施例】
【0092】
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。なお、実施例、比較例中の「部」及び「%」は、特に断らない限り質量基準である。
【0093】
[重量平均分子量(Mw)及び数平均分子量(Mn)]
重合体のMw及びMnは、下記方法により測定した。
・測定方法:ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法
・装置:昭和電工社のGPC-101
・GPCカラム:島津ジーエルシー社のGPC-KF-801、GPC-KF-802、GPC-KF-803及びGPC-KF-804を結合
・移動相:テトラヒドロフラン
・カラム温度:40℃
・流速:1.0mL/分
・試料濃度:1.0質量%
・試料注入量:100μL
・検出器:示差屈折計
・標準物質:単分散ポリスチレン
【0094】
[ガラス転移温度(Tg)]
重合体のTgは、構造単位に対応するホモポリマーのTgを重合体中に含有する割合にて案分する方法により計算することによって求めた。ホモポリマーのTgは、JIS K7121-1987に従い、昇温速度20℃/分でDSC測定(示差走査熱量測定)をして求められるガラス転移温度である。
【0095】
[単量体]
重合体の合成で用いた単量体は以下のとおりである。
《第1単量体》
M-1:メタクリル酸
M-2:4-ヒドロキシフェニルメタクリレート
M-3:1,1,1,2,2,2-ヘキサフルオロ-2-(4-ビニルフェニル)-2-プロパノール
M-4:マレイミド
M-5:p-イソプロペニルフェノール
《第2単量体》
M-6:メタクリル酸グリシジル
M-7:3-メタクリロイルオキシメチル-3-エチルオキセタン
M-8:3,4-エポキシシクロヘキシルメチルメタクリレート
《その他の単量体》
M-9:N-シクロヘキシルマレイミド
M-10:N-フェニルマレイミド
M-11:メタクリル酸メチル
M-12:トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン-8-イルアクリレート
M-13:(2-メチル-2-エチル-1,3-ジオキソラン-4-イル)メチルアクリレート
M-14:テトラヒドロフルフリルアクリレート
M-15:メタクリル酸2-ヒドロキシエチル
M-16:アクリロイルモルフォリン
M-17:スチレン
【0096】
<重合体の合成>
[合成例1]重合体(A-1)の合成
冷却管及び撹拌機を備えたフラスコに、2,2’-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)10部及びプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート200部を仕込んだ。引き続き、表1に記載の比率にてモノマーを仕込み、窒素置換した後、緩やかに攪拌しつつ、溶液の温度を70℃に上昇させ、この温度を5時間保持することにより、重合体(A-1)を含有する重合体溶液を得た。この重合体溶液の固形分濃度は34.0質量%であり、重合体(A-1)のMwは11,000、分子量分布(Mw/Mn)は2.3、Tgは95℃であった。
【0097】
[合成例2~5]重合体(A-2)~(A-5)の合成
表1に示す種類及び配合量(質量部)の各成分を用いたこと以外は合成例1と同様の手法にて、重合体(A-1)と同等の固形分濃度、分子量及び分子量分布を有する重合体(A-2)~(A-5)をそれぞれ含む重合体溶液を得た。
【0098】
[合成例6]重合体(A-6)の合成
冷却管及び撹拌機を備えたフラスコに、2,2’-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)4部及びプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート200部を仕込んだ。引き続き、表1に記載の比率にてモノマーを仕込み、窒素置換した後、緩やかに攪拌しつつ、溶液の温度を70℃に上昇させ、この温度を5時間保持することにより、重合体(A-6)を含有する重合体溶液を得た。この重合体溶液の固形分濃度は34.0質量%であり、重合体(A-6)のMwは25,000、分子量分布(Mw/Mn)は3.1、Tgは95℃であった。
【0099】
【0100】
<感放射線性樹脂組成物の調製>
上記で合成した重合体を用いて感放射線性樹脂組成物を調製した。感放射線性樹脂組成物の調製に用いた重合体、感光剤及びその他の成分を以下に示す。
《重合体》
A-1~A-7:表1に記載の重合体(A-1)~(A-6)
《光酸発生剤》
B-1:C-メチルカリックス[4]レソルシンアレーン(1.0モル)と、1,2-ナフトキノンジアジド-5-スルホン酸クロリド(2.0モル)との縮合物
B-2:C-メチルカリックス[4]レソルシンアレーン(1.0モル)と、1,2-ナフトキノンジアジド-5-スルホン酸クロリド(4.0モル)との縮合物
B-3:C-メチルカリックス[3]レソルシンアレーン(1.0モル)と、1,2-ナフトキノンジアジド-5-スルホン酸クロリド(3.0モル)との縮合物
B-4:C-メチルカリックス[6]レソルシンアレーン(1.0モル)と、1,2-ナフトキノンジアジド-5-スルホン酸クロリド(3.0モル)との縮合物
B-5:4’-(1-(4-(1-(4-ヒドロキシフェニル)-1-メチルエチル)フェニル)エチリデン)ビスフェノール(1.0モル)と、1,2-ナフトキノンジアジド-5-スルホン酸クロリド(2.0モル)との縮合物
B-6: 1,1,1-トリ(p-ヒドロキシフェニル)エタン(1.0モル)と、1,2-ナフトキノンジアジド-5-スルホン酸クロリド(2.0モル)との縮合物
《その他の成分》
C-1:C-メチルカリックス[4]レソルシンアレーン
【0101】
[実施例1]
重合体(A-1)を含有する重合体溶液に、重合体(A-1)100部(固形分)に相当する量に対して、光酸発生剤(B-1)20部を混合し、最終的な固形分濃度が30質量%になるようにジエチレングリコールエチルメチルエーテルを添加した。次いで、孔径0.2μmのメンブランフィルタで濾過して、感放射線性樹脂組成物を調製した。
【0102】
[実施例2~8、比較例1~4]
表2に示す種類及び配合量(質量部)の各成分を用いたこと以外は実施例1と同様の手法にて、実施例2~8、比較例1~4の感放射線性樹脂組成物を調製した。
【0103】
<評価>
実施例1~8及び比較例1~4の感放射線性樹脂組成物を用いて硬化膜を形成し、以下に説明する手法により下記項目を評価した。評価結果を表2に示す。
【0104】
[放射線感度]
スピンナーを用い、60℃で60秒間HMDS処理したシリコン基板上に感放射線性樹脂組成物を塗布した後、90℃にて2分間ホットプレート上でプレベークして平均膜厚3.0μmの塗膜を形成した。この塗膜に、幅10μmのライン・アンド・スペースパターンを有するパターンマスクを介して、水銀ランプによって所定量の紫外線を照射した。次いで、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド2.38質量%水溶液よりなる現像液を用い、25℃で60秒現像処理を行った後、超純水で1分間流水洗浄を行った。このとき、幅10μmのライン・アンド・スペースパターンを形成可能な最小露光量を測定した。この測定値が150J/m2未満をA、150J/m2以上200J/m2未満をB、200J/m2以上250J/m2未満をC、250J/m2以上をDとした。A,Bの場合に放射線感度が優良、Cの場合に放射線感度が良好、Dの場合に放射線感度が不良であると評価できる。
【0105】
[リソグラフィー形状の評価]
スピンナーを用い、60℃で60秒間HMDS処理したシリコン基板上に感放射線性樹脂組成物を塗布した後、90℃にて2分間ホットプレート上でプレベークして平均膜厚3.0μmの塗膜を形成した。この塗膜に、幅10μmのライン・アンド・スペースパターンを有するパターンマスクを介して、水銀ランプによって放射線感度と同等量の紫外線を照射した。次いで、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド2.38質量%水溶液よりなる現像液を用い、25℃で60秒現像処理を行った後、超純水で1分間流水洗浄を行った。続いて、プロキシミティ露光機(キヤノン社の「MA-1200」(ghi線混合))を用いて3000J/m2の光を基板全面に照射した後、230℃に加温したオーブンを用いて30分間焼成し、硬化膜を得た。幅10μmのライン・アンド・スペースパターン部分の断面形状を走査電子顕微鏡(SEM)を用いて観察し、基板面と硬化膜との接点の角度を測定した。この測定値が55度以上をA、45度以上55度未満をB、30度以上45度未満をC、20度以下をDとした。A,Bの場合にリソグラフィー形状が優良、Cの場合に放射線感度がリソグラフィー形状が良好、Dの場合にリソグラフィー形状が不良であると評価できる。
【0106】
[露光後寸法安定性の評価]
スピンナーを用い、60℃で60秒間HMDS処理したシリコン基板上に感放射線性樹脂組成物を塗布した後、90℃にて2分間ホットプレート上でプレベークして平均膜厚3.0μmの塗膜を形成した。この塗膜に、幅10μmのライン・アンド・スペースパターンを有するパターンマスクを介して、水銀ランプによって放射線感度と同等量の紫外線を照射した。次いで、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド2.38質量%水溶液よりなる現像液を用い、紫外線照射後速やかに、25℃で60秒現像処理を行った後、超純水で1分間流水洗浄を行った。このときに、幅10μmのライン・アンド・スペースパターンのサイズを測定した。また、前述と同様の工程で、紫外線照射から現像を行うまでの時間(引き置き時間)を30分として処理を行い、幅10μmのライン・アンド・スペースパターンのサイズを測定した。この測定値の差が2μm未満をA、2μm以上3μm未満をB、3μm以上をCとした。Aの場合に露光後寸法安定性が優良、Bの場合に露光後寸法安定性が良好、Cの場合に露光後寸法安定性が不良であると評価できる。
【0107】
[保存安定性の評価]
スピンナーを用い、60℃で60秒間HMDS処理したシリコン基板上に感放射線性樹脂組成物を塗布した後、90℃にて2分間ホットプレート上でプレベークして平均膜厚3.0μmの塗膜を形成した。この塗膜に、幅10μmのライン・アンド・スペースパターンを有するパターンマスクを介して、水銀ランプによって放射線感度と同等量の紫外線を照射した。次いで、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド2.38質量%水溶液よりなる現像液を用い、25℃で60秒現像処理を行った後、超純水で1分間流水洗浄を行った。このときに、幅10μmのライン・アンド・スペースパターンのサイズを測定した。また、感放射線性樹脂組成物の調製後に23℃にて7日間静置した後の感放射線性組成物を用い、同様の工程にてライン・アンド・スペースパターンのサイズを測定した。この測定値の差が2μm未満をA、2μm以上3μm未満をB、3μm以上をCとした。Aの場合に保存安定性が優良、Bの場合に保存安定性が良好、Cの場合に保存安定性が不良であると評価できる。
【0108】
【0109】
表2に示されるように、実施例1~8の感放射線性樹脂組成物は、良好な放射線感度を示し、かつ得られた硬化膜のリソグラフィー形状、露光後寸法安定性、及び保存安定性に優れていた。また、光酸発生剤として(B-1)を用いた実施例1と実施例5とを比較すると、より低分子量の重合体(A-1)を用いた実施例1は、より高分子量の重合体(A-6)を用いた実施例5に比べて、放射線感度、露光後寸法安定性及び保存安定性に優れていた。
【0110】
これに対し、光酸発生剤として化合物(B)を含まない比較例1は、リソグラフィー形状及び露光後寸法安定性が実施例1~8よりも劣っていた。また、化合物(B)を含まない比較例2、3のうち、高Tgの重合体(A-5)を配合した比較例2は放射線感度が低く、高分子量の重合体(A-6)を配合した比較例3は、放射線感度が低く、露光後寸法安定性も十分でなかった。さらに、化合物(B)に代えて、無置換のカリックスアレーンを用いるとともに光酸発生剤として化合物(C)を用いた比較例4は、露光後寸法安定性が十分でなかった。