(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-02-25
(45)【発行日】2025-03-05
(54)【発明の名称】多連包装袋
(51)【国際特許分類】
B65D 33/14 20060101AFI20250226BHJP
B65D 30/22 20060101ALI20250226BHJP
【FI】
B65D33/14 Z
B65D30/22 F
(21)【出願番号】P 2021078565
(22)【出願日】2021-05-06
【審査請求日】2024-04-15
(73)【特許権者】
【識別番号】313005282
【氏名又は名称】東洋製罐株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100153497
【氏名又は名称】藤本 信男
(72)【発明者】
【氏名】西松 雅彦
(72)【発明者】
【氏名】三浦 崇
【審査官】米村 耕一
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2007/0224312(US,A1)
【文献】特開2007-030884(JP,A)
【文献】特開平04-327139(JP,A)
【文献】特開平11-314648(JP,A)
【文献】特開平07-255515(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 33/00-33/14
B65D 30/10-30/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
上下方向に延びるよう形成され左右方向に隣接するパウチ同士を互いに区画する区画シール部を備えた多連包装袋であって、
前記区画シール部に、切断部と非切断部とを交互に設けてなる切り離し用ミシン目線が形成されると共に前記切り離し用ミシン目線上における上端側の位置において吊り下げ孔が形成され、
前記切り離し用ミシン目線は、前記多連包装袋における外周シール部の上端縁から切り込まれ前記区画シール部に沿って延びるように形成され、
前記吊り下げ孔は、該吊り下げ孔の開口縁が該吊り下げ孔の上方に隣接する切断部の下端に対し上下方向に間隔を空けて位置されるよう、形成され
、
前記切り離し用ミシン目線は、前記吊り下げ孔が設けられている上端側の領域における切断部間の間隔が他の領域における切断部間の間隔より大きく形成されていることを特徴とする多連包装袋。
【請求項2】
前記吊り下げ孔は、該吊り下げ孔の下方に隣接する切断部の上端に連続するよう、もしくは、微小間隔をあけて、形成されていることを特徴とする請求項1に記載の多連包装袋。
【請求項3】
ポリプロピレン層、アルミニウム層及びポリエチレンテレフタレート層を順次に積層した構造の積層フィルムからなることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の多連包装袋。
【請求項4】
前記吊り下げ孔の上方に隣接する切断部の下端と前記吊り下げ孔の開口縁との上下方向の間隔の大きさが1~20mmであることを特徴とする
請求項3に記載の多連包装袋。
【請求項5】
前記区画シール部は、前記吊り下げ孔が設けられる上端側の領域が他の領域より幅広に形成されていることを特徴とする
請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の多連包装袋。
【請求項6】
前記切り離し用ミシン目線は、前記多連包装袋における下端縁まで達しないことを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれかに記載の多連包装袋。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数のパウチが左右方向に互いに切り離し可能に繋がった構造の多連包装袋に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、フィルムを熱接着して周縁シール部を形成することで袋状に形成されたパウチを包装容器とするパウチ包装においては、複数個のパウチが連続して繋がる多連包装袋(連包状パウチ)を構成して化粧箱などに詰め合わせる包装形態が知られている(例えば特許文献1参照。)。多連包装袋は、隣接するパウチ間に例えば切り離し用ミシン目線を設けることで、個々のパウチに切り離し可能に構成される。
【0003】
一方、パウチの上部に厚み方向に貫通する吊り下げ孔を形成し、吊り下げ用フックを吊り下げ孔に通すことにより、パウチを吊り下げて陳列、展示することが行われている。このようなパウチにおいては、吊り下げ孔を穿設する構造上、吊り下げ孔から裂けて破袋することを回避するために、十分な吊り下げ強度を有することが必要である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
而して、多連包装袋にあっては、複数個のパウチが上下方向に繋がった構造のものであれば、最上部に位置されるパウチの上端部に吊り下げ孔形成用のシール部を必要に応じて形成することで多連包装袋を吊り下げて陳列、展示することが可能である。
しかしながら、複数個のパウチが左右方向に繋がった構造のものである場合には、隣接するパウチ間に切り離し用ミシン目線が形成されていることから、吊り下げ孔をパウチ間に形成すること自体が困難である。特に、例えば同サイズの2個のパウチが左右方向に繋がった構造のものの場合には、商品陳列の整列性や見栄えを考慮すると、吊り下げ孔は左右方向中央部に形成されることが望ましいが、横方向中央部より変位した位置に吊り下げ孔を形成せざるを得ず、商品陳列の整列性や見栄えが損なわれるおそれがある。
このような事情から、複数個のパウチが左右方向に繋がった多連包装袋は、通常、化粧箱内に収容された状態で流通、販売されているのが実情であった。
【0006】
本発明は、以上のような事情に基づいてなされたものであって、切り裂き性を損なうことなく、吊り下げ状態で陳列可能な吊り下げ強度を有する多連包装袋を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の多連包装袋は、上下方向に延びるよう形成され左右方向に隣接するパウチ同士を互いに区画する区画シール部を備えた多連包装袋であって、前記区画シール部に、切断部と非切断部とを交互に設けてなる切り離し用ミシン目線が形成されると共に前記切り離し用ミシン目線上における上端側の位置において吊り下げ孔が形成され、前記切り離し用ミシン目線は、前記多連包装袋における周縁シール部の上端縁から切り込まれ前記区画シール部に沿って延びるように形成され、前記吊り下げ孔は、該吊り下げ孔の開口縁が該吊り下げ孔の上方に隣接する切断部の下端に対し上下方向に間隔を空けて位置されるよう、形成され、前記切り離し用ミシン目線は、前記吊り下げ孔が設けられている上端側の領域における切断部間の間隔が他の領域における切断部間の間隔より大きく形成された構成とすることにより、上記課題を解決するものである。
【発明の効果】
【0008】
本請求項1に係る発明によれば、吊り下げ孔が、該吊り下げ孔の開口縁が該吊り下げ孔の上方に隣接する切断部の下端に対し上下方向に間隔を空けて位置されるよう、形成された構成とされることにより、吊り下げ孔と切り離し用ミシン目線における吊り下げ孔の上方に隣接する切断部との間に支持用非切断部が形成されることで、多連包装袋を吊り下げ用フックに吊り下げ可能に構成することができる。しかも、支持用非切断部は個々のパウチに切り離す際に、例えば指で摘ままれる箇所となるので、切り離し用ミシン目線が上端から切り込まれている構成上、支持用非切断部を設けることで切り裂き性が低下することを回避することができる。
【0009】
本請求項2に係る発明によれば、吊り下げ孔が、切り離し用ミシン目線における吊り下げ孔の下方に隣接する切断部と連続するよう、もしくは、微小間隔をあけて、形成された構成とされることにより、周縁シール部と同様の切り裂き起点が吊り下げ孔の開口縁に形成されることとなるので、吊り下げ孔より下方領域での切り離しを容易に行うことができる。
【0010】
本発明によれば、切り離し用ミシン目線が、吊り下げ孔の設けられている上端側の領域における切断部間の間隔が他の領域における切断部間の間隔より大きくなるよう形成された構成とされることにより、吊り下げ孔を支持用非切断部が形成されるよう適正な位置に確実に形成することができるので、吊り下げて陳列、展示するために必要な吊り下げ強度の確保と、切り裂き性の保持との両立を確実に図ることができる。
【0011】
本請求項3に係る発明によれば、多連包装袋がポリプロピレン層、アルミニウム層、ナイロン層及びポリエチレンテレフタレート層を順次に積層した構造の積層フィルムからなる構成とされることにより、多連包装袋を切り離し用ミシン目線ないしは開封予定位置に形成されるノッチにて容易に切り離し可能ないしは良好な開封性が得られるものでありながら、支持用非切断部に所期の吊り下げ強度が得られるものとして構成することができる。
本請求項4に係る発明によれば、吊り下げ孔の上方に隣接する切断部の下端と吊り下げ孔の開口縁との上下方向の間隔の大きさが1~20mmであることにより、多連包装袋を吊り下げて陳列、展示するために必要な吊り下げ強度の確保と、切り裂き性の保持との両立を一層確実に図ることができる。
【0012】
本請求項5に係る発明によれば、区画シール部における吊り下げ孔の設けられる領域が他の領域より幅広に形成された構成とされることにより、切り離し用ミシン目線で切り離されることで区画シール部により形成される個々のパウチのサイドシール部のシール性を確保することができるため、所期の形状、サイズの吊り下げ孔を形成することが可能となる。
【0013】
本請求項6に係る発明によれば、多連包装袋がその下端側から不慮に落下した場合であっても、切り離し用ミシン目線をきっかけとして下端側から破袋することを防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明の第一実施形態に係る多連包装袋の構成例を示す平面図である。
【
図2】切り離し用ミシン目線の構成を説明するための、
図1における円形の破線で囲まれた領域を示す概略図である。
【
図3】
図1における円形の破線で囲まれた領域を示す拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の多連包装袋(連包状パウチ)は、上下方向に延びるよう形成され左右方向に隣接するパウチ同士を互いに区画する区画シール部を備え、区画シール部に、切断部と非切断部とを交互に設けてなる切り離し用ミシン目線が形成されると共に切り離し用ミシン目線上における上端側の位置において吊り下げ孔が形成され、切り離し用ミシン目線は、多連包装袋における周縁シール部の上端縁から切り込まれ区画シール部に沿って延びるように形成され、吊り下げ孔は、該吊り下げ孔の開口縁が該吊り下げ孔の上方に隣接する切断部の下端に対し上下方向に間隔を空けて位置されるよう、形成された構成とされていれば、その具体的な構成はいかなるものであってもよい。
以下に、2個のパウチが左右方向に繋がった構造の多連包装袋(以下、「ツインパウチ」という。)を具体例に挙げて、本発明の多連包装袋について、図面に基づいて説明する。
【0016】
本発明の第一実施形態に係るツインパウチ100は、
図1に示すように、1枚のフィルム材を二つ折りし、折り返した辺以外の残り3辺を熱接着して周縁シール部105を形成することで袋状に形成されると共に、左右方向の中央部において上下方向に延びる区画シール部110を形成することで周縁シール部105により囲まれた密閉領域が2つの収容部102,102に区画され、それぞれ独立した同一サイズの2個のパウチ101a,101bが左右方向に連続した構造となっている。
周縁シール部105における個々のパウチ101a,101bの一方のサイドシール部107aを構成する部分は、上端側の所定範囲が幅広に形成されている。この幅広部において個々のパウチ101a,101bの開封予定位置が設定され、該開封予定位置に周縁シール部105の外縁を切り込むことでノッチ108が設けられている。
【0017】
区画シール部110は、周縁シール部105におけるトップシール部106に連続し下端まで延びるように形成されている。
区画シール部110は、ツインパウチ100が個々のパウチ101a,101bに切り離されたときに、他方のサイドシール部107bがノッチ108の設けられた一方のサイドシール部107aと対称な形状となるように形成されている。具体的には、区画シール部110は、
図2にも示すように、上端側の領域に形成された帯状の幅広部111と、幅広部111の下端に連続し下方に向かうに従って幅寸法が小さくなるよう収容部に接する内側縁がテーパー状に形成された接続部112と、接続部112の下端に連続する帯状の幅狭部113とを有する。
区画シール部110の上端側の領域が幅広に形成されていることにより、切り離し用ミシン目線115で切り離されることで区画シール部110により形成される個々のパウチ101a,101bの他方のサイドシール部107bのシール性を確保することができるため、所期の形状、サイズの吊り下げ孔118を確実に形成することが可能となる。
【0018】
区画シール部110には、切断部116と非切断部117とが交互に設けられてなる切り離し用ミシン目線115が形成されている。
切り離し用ミシン目線115は、トップシール部106の上端縁から切り込まれ区画シール部110に沿って延びるように形成されており、パウチ101a,101bを簡単に切り離しできるようになっている。
切り離し用ミシン目線115は、ツインパウチ100の下端縁まで達しない状態とされ、これにより、ツインパウチ100がその下端側から不慮に落下した場合であっても、切り離し用ミシン目線115をきっかけとして下端側から破袋することを防ぐことが可能となる。ここに、最下部に位置される切断部116の下端とツインパウチ100の下端縁との間の非切断部117の長さは例えば1~5mmである。
【0019】
切り離し用ミシン目線115は、吊り下げ孔118が設けられる上端側の領域における切断部116間の間隔(非切断部117の長さ)p1が他の領域における切断部116間の間隔(非切断部117の長さ)p2より大きく形成されている。これにより、切り離し用ミシン目線115の切断部116と吊り下げ孔118(
図2において形成位置が一点鎖線で示してある。)との間に支持用非切断部が形成されるように吊り下げ孔118を適正な位置に確実に形成することができるため、吊り下げて陳列、展示するために必要な吊り下げ強度の確保と、切り裂き性の保持との両立を確実に図ることが可能となる。
ここに、切り離し用ミシン目線115における切断部116の長さは、一定の大きさである。
【0020】
而して、このツインパウチ100においては、区画シール部110におけるトップシール部106側の位置に吊り下げ孔118が形成されている。
本実施形態においては、吊り下げ孔118は、開口形状が円形状の貫通孔により構成されているが、吊り下げ孔118の開口形状は、吊り下げ用フックに通してツインパウチ100を吊り下げ可能に構成されていれば、例えば、円形、楕円形、三角形、四角形、ハート形等、如何なる形状であってもよい。
【0021】
吊り下げ孔118は、
図3に示すように、切り離し用ミシン目線115上において、吊り下げ孔118の開口縁118aが吊り下げ孔118の上方に隣接する切断部(以下、「上方隣接切断部」という。)116aの下端に対し上下方向に間隔を空けて位置され、吊り下げ孔118と上方隣接切断部116aとの間に支持用非切断部117aが形成されている。
このように、支持用非切断部117aが形成されように吊り下げ孔118が形成されることで、ツインパウチ100を吊り下げ用フックに吊り下げ可能となる。しかも支持用非切断部117aは個々のパウチ101a,101bに切り離すに際して例えば指で摘ままれる箇所となるので、切り離し用ミシン目線115がトップシール部106の上端から切り込まれている構成上、支持用非切断部117aを設けることで切り裂き性が低下することが回避可能となる。また、吊り下げ孔118が左右方向における中央に位置された切り離し用ミシン目線115上に形成されることで、吊り下げ用フックを通して吊り下げたときに商品陳列の整列性や見栄えが損なわれることが回避可能となっている。
本実施形態においては、上方隣接切断部116aは、切り離し用ミシン目線115におけるトップシール部106の上端から切り込まれた最上部の切断部116により構成される。
【0022】
本実施形態においては、吊り下げ孔118は、切り離し用ミシン目線115における吊り下げ孔118の下方に隣接する切断部(以下、「下方隣接切断部」という。)116bと連続しており、トップシール部106と同様の切り裂き起点が吊り下げ孔118の開口縁118aに形成されることとなるので、吊り下げ孔118より下方領域でのパウチ101a,101bの切り離しを容易に行うことが可能となる。
なお、吊り下げ孔118は、切り離し用ミシン目線115における下方隣接切断部116bと微小間隔をあけて位置されていてもよい。この微小間隔は、0.1~0.5mmであることが好ましい。
【0023】
ツインパウチ100を構成するフィルム材としては、製袋時に互いに対向して配置される内側から、厚さ50~100μmのポリプロピレン層、厚さ5~15μmのアルミニウム層、厚さ10~30μmのナイロン層及び厚さ10~30μmのポリエチレンテレフタレート層を順次に積層した構造の積層フィルムが用いられる。このような積層フィルムによれば、ツインパウチ100を切り離し用ミシン目線115ないしは開封予定位置に形成されるノッチ108にて容易に切り離し可能ないしは良好な開封性が得られながら、支持用非切断部117aに所期の吊り下げ強度が得られる。
【0024】
このような積層フィルムからなるツインパウチ100においては、上方隣接切断部116aの下端と吊り下げ孔118の開口縁118aとの間隔の大きさdが1~20mmであることが好ましく、より好ましくは2~6mmである。これにより、ツインパウチ100を吊り下げて陳列、展示するために必要な吊り下げ強度の確保と、切り裂き性の保持との両立を一層確実に図ることが可能となる。
【0025】
以上、本発明の一実施形態を詳述したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明を逸脱することなく種々の設計変更を行なうことが可能である。
例えば、本発明の多連包装袋においては、左右方向に連続するパウチの数は、特に限定されるものではなく、目的に応じて適宜変更することができる。多連包装袋を構成するパウチの数が多い場合には、切り離し用ミシン目線で適宜折りたたむことで、吊り下げた状態で陳列、展示するようにしてもよい。
また、個々のパウチは、互いに同一のサイズのものであっても、互いに異なるサイズのものであっても、いずれであってもよい。
さらにまた、パウチの形態についても、特に限定されるものではなく、平パウチ、スタンディングパウチ及びその他の如何なる形態のものであってもよい。
さらにまた、上述の第一実施形態に係るツインパウチ100においては、1枚のフィルム材を二つ折りし、折り返した辺以外の残り3辺を熱接着することで袋状に成形しているが、2枚のフィルム材を重ね合わせ、フィルム材の4辺を熱接着することで袋状に成形してもよい。
【実施例】
【0026】
以下、実施例により本発明をさらに説明するが、以下の具体例は本発明を限定するものではない。
【0027】
<実施例1>
厚さ50μmのポリプロピレン層、厚さ7μmのアルミニウム層、厚さ15μmのナイロン層及び厚さ12μmのポリエチレンテレフタレート層を順次に積層した構造の積層フィルムを用い、
図1乃至
図3に示す構成を参照して、2つの平パウチが左右方向に繋がった試験用ツインパウチAを作製した。個々の平パウチは、それぞれ左右方向寸法が67.5mm、上下方向寸法が160mmである。
周縁シール部の幅寸法を5mmとし、区画シール部の幅広部は上端縁から25mmの範囲内で形成し、幅寸法を14mm、幅狭部の幅寸法を10mmとした。
切り離し用ミシン目線は、切断部の長さを2mmとし、吊り下げ孔の設けられる上端側の領域における非切断部の長さ(p1)を2mm、他の領域における非切断部の長さ(p2)を1.5mmとした。
吊り下げ孔は、孔径φ7mmの貫通孔とし、上方隣接切断部の下端と吊り下げ孔の開口縁との上下方向の間隔(d)が4mmとなり、下方隣接切断部と連続した状態となるように、上端から9.5mmの位置に形成した。
【0028】
試験用ツインパウチAについて、上端部における切り離し用ミシン目線の両側をそれぞれ両手で掴み、一方を裏面側に引くと共に他方を表面側に引くことによって切り離し用ミシン目線に沿って手で引き裂いて個々のパウチに切り離した。このときの引き裂き性を下記の評価基準に従って評価した。結果を下記表1に示す。
<評価基準>
「〇」:包装袋の上端縁側から切り離し用ミシン目に沿って切り離す際、切断線が逸脱せずに吊り下げ孔まで達することができた場合
「×」:包装袋の上端縁側から切り離し用ミシン目に沿って切り離す際、切断線が逸脱して吊り下げ孔まで達することができない場合
【0029】
また、試験用ツインパウチAについて、テンシロン万能試験機を用い、引っ張り試験を引っ張り速度50mm/minの条件で行い、試験用ツインパウチAが破断した時の強度を吊り下げ強度として測定した。結果を下記表1に示す。
【0030】
<実施例2~実施例5>
切り離し用ミシン目線の非切断部の長さ及び吊り下げ孔の形成位置を適宜調整して上方隣接切断部の下端と吊り下げ孔の開口縁との上下方向の間隔(d)を下記表1に従って変更したことの他は、実施例1の試験用ツインパウチAと同一の構成を有する試験用ツインパウチB~試験用ツインパウチEを作製した。
試験用ツインパウチB~試験用ツインパウチEの各々について、実施例1と同様の方法により、切り裂き性及び吊り下げ強度の評価を行った。結果を下記表1に示す。
【0031】
<比較例1、比較例2>
切り離し用ミシン目線の非切断部の長さ及び吊り下げ孔の形成位置を適宜調整して上方隣接切断部の下端と吊り下げ孔の開口縁との上下方向の間隔(d)を下記表1に従って変更したことの他は、実施例1の試験用ツインパウチAと同一の構成を有する比較用ツインパウチA及び比較用ツインパウチBを作製した。
比較用ツインパウチA及び比較用ツインパウチBの各々について、実施例1と同様の方法により、引っ張り試験を行い、吊り下げ強度の評価を行った。結果を下記表1に示す。
【0032】
【0033】
以上の結果に示されるように、吊り下げ孔を上方隣接切断部の下端との間に1~20mmの範囲内の大きさの間隔を空けて下方隣接切断部と連続するように形成することで、良好な引き裂き性を保持しながら、切り離し用ミシン目線を有さないものに比して大幅に吊り下げ強度を低下させることなく、ツインパウチを吊り下げて展示、陳列するために必要な吊り下げ強度を確保可能であることが確認された。
【符号の説明】
【0034】
100 ・・・ ツインパウチ
101a ・・・ パウチ
101b ・・・ パウチ
102 ・・・ 収容部
105 ・・・ 周縁シール部
106 ・・・ トップシール部
107a ・・・ 一方のサイドシール部
107b ・・・ 他方のサイドシール部
108 ・・・ ノッチ
110 ・・・ 区画シール部
111 ・・・ 幅広部
112 ・・・ 接続部
113 ・・・ 幅狭部
115 ・・・ 切り離し用ミシン目線
116 ・・・ 切断部
116a ・・・ 上方隣接切断部
116b ・・・ 下方離接切断部
117 ・・・ 非切断部
117a ・・・ 支持用非切断部
118 ・・・ 吊り下げ孔
118a ・・・ 開口縁