(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-02-25
(45)【発行日】2025-03-05
(54)【発明の名称】画像形成装置
(51)【国際特許分類】
G03G 15/20 20060101AFI20250226BHJP
G03G 21/00 20060101ALI20250226BHJP
H05B 3/00 20060101ALI20250226BHJP
【FI】
G03G15/20 555
G03G21/00 398
H05B3/00 310D
H05B3/00 335
(21)【出願番号】P 2021122137
(22)【出願日】2021-07-27
【審査請求日】2024-05-08
(73)【特許権者】
【識別番号】000000295
【氏名又は名称】沖電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100116964
【氏名又は名称】山形 洋一
(74)【代理人】
【識別番号】100120477
【氏名又は名称】佐藤 賢改
(74)【代理人】
【識別番号】100135921
【氏名又は名称】篠原 昌彦
(74)【代理人】
【氏名又は名称】半田 淳一
(72)【発明者】
【氏名】小島 智行
【審査官】金田 理香
(56)【参考文献】
【文献】特開平10-186940(JP,A)
【文献】特開2019-008017(JP,A)
【文献】特開2018-151597(JP,A)
【文献】特開2000-181278(JP,A)
【文献】特開2005-032558(JP,A)
【文献】特開2015-004891(JP,A)
【文献】特開平05-260232(JP,A)
【文献】特開2018-182979(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2005/0185977(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03G 13/20
13/34
15/00
15/20
15/36
21/00-21/02
21/20
H05B 1/00-3/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
媒体に現像剤像を転写することにより、前記媒体に画像を形成する画像形成装置であって、
一又は複数の第1のヒータと、
一又は複数の第2のヒータと、
前記一又は複数の第1のヒータ及び前記一又は複数の第2のヒータで加熱されることにより、前記媒体に転写された前記現像剤像を前記媒体に定着させる定着部と、
前記定着部の温度を検出する温度検出部と、
前記一又は複数の第1のヒータへの通電をオン又はオフにする第1のヒータ駆動部と、
前記一又は複数の第2のヒータへの通電をオン又はオフにする第2のヒータ駆動部と、
前記媒体に前記画像を形成する指示を受けたときに、前記温度検出部で検出された温度が予め定められた温度よりも低い場合には、
前記第1のヒータ駆動部に前記一又は複数の第1のヒータをオンにさせて、前記温度検出部で検出された温度が前記予め定められた温度に達した後に、前記第2のヒータ駆動部に前記一又は複数の第2のヒータをオンにさせることで、前記一又は複数の第1のヒータをオンにするタイミングと、前記一又は複数の第2のヒータをオンにするタイミングとをずらす制御部と、を備えること
を特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
媒体に現像剤像を転写することにより、前記媒体に画像を形成する画像形成装置であって、
一又は複数の第1のヒータと、
一又は複数の第2のヒータと、
前記一又は複数の第1のヒータ及び前記一又は複数の第2のヒータで加熱されることにより、前記媒体に転写された前記現像剤像を前記媒体に定着させる定着部と、
前記定着部の温度を検出する温度検出部と、
前記一又は複数の第1のヒータへの通電をオン又はオフにする第1のヒータ駆動部と、
前記一又は複数の第2のヒータへの通電をオン又はオフにする第2のヒータ駆動部と、
前記媒体に前記画像を形成する指示を受けたときに、前記温度検出部で検出された温度が予め定められた温度よりも低い場合には、
前記第1のヒータ駆動部に前記一又は複数の第1のヒータをオンにさせて、前記温度検出部で検出された温度が予め定められた基準温度に達した後に、前記第2のヒータ駆動部に前記一又は複数の第2のヒータをオンにさせることで、前記一又は複数の第1のヒータをオンにするタイミングと、前記一又は複数の第2のヒータをオンにするタイミングとをずらす制御部と、を備えること
を特徴とする画像形成装置。
【請求項3】
媒体に現像剤像を転写することにより、前記媒体に画像を形成する画像形成装置であって、
商用電源から電力の供給を受けて蓄電し、前記商用電源が停電した場合に、蓄電された電力を供給する無停電電源を介して、前記商用電源又は前記無停電電源から電力の供給を受ける一又は複数の第1のヒータと、
前記無停電電源を介して、前記商用電源又は前記無停電電源から電力の供給を受ける一又は複数の第2のヒータと、
前記一又は複数の第1のヒータ及び前記一又は複数の第2のヒータで加熱されることにより、前記媒体に転写された前記現像剤像を前記媒体に定着させる定着部と、
前記定着部の温度を検出する温度検出部と、
前記一又は複数の第1のヒータへの通電をオン又はオフにする第1のヒータ駆動部と、
前記一又は複数の第2のヒータへの通電をオン又はオフにする第2のヒータ駆動部と、
前記無停電電源から停電したことを示す通知を受けた後に、前記媒体に前記画像を形成する指示を受けたときに、前記温度検出部で検出された温度が予め定められた温度よりも低い場合には、前記第1のヒータ駆動部及び前記第2のヒータ駆動部を制御することで、前記一又は複数の第1のヒータをオンにするタイミングと、前記一又は複数の第2のヒータをオンにするタイミングとをずらす制御部と、を備えること
を特徴とする画像形成装置。
【請求項4】
媒体に現像剤像を転写することにより、前記媒体に画像を形成する画像形成装置であって、
商用電源から電力の供給を受けて蓄電し、前記商用電源が停電した場合に、蓄電された電力を供給する無停電電源を介して、前記商用電源又は前記無停電電源から電力の供給を受ける一又は複数の第1のヒータと、
前記無停電電源を介して、前記商用電源又は前記無停電電源から電力の供給を受ける一又は複数の第2のヒータと、
前記一又は複数の第1のヒータ及び前記一又は複数の第2のヒータで加熱されることにより、前記媒体に転写された前記現像剤像を前記媒体に定着させる定着部と、
前記定着部の温度を検出する温度検出部と、
前記一又は複数の第1のヒータへの通電をオン又はオフにする第1のヒータ駆動部と、
前記一又は複数の第2のヒータへの通電をオン又はオフにする第2のヒータ駆動部と、
前記無停電電源から停電したことを示す通知を受けた後に、前記媒体に前記画像を形成する指示を受けたときに、前記温度検出部で検出された温度が予め定められた温度よりも低い場合には、前記第1のヒータ駆動部及び前記第2のヒータ駆動部を制御することで、予め定められた期間、前記一又は複数の第1のヒータ及び前記一又は複数の第2のヒータをオフにしてから、前記一又は複数の第1のヒータをオンにするタイミングと、前記一又は複数の第2のヒータをオンにするタイミングとをずらす制御部と、を備えること
を特徴とする画像形成装置。
【請求項5】
前記通知は、停電したか否かを示す停電検出信号を用いて前記制御部に送られること
を特徴とする請求項
3又は
4に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記通知は、停電したことを示すコマンドとして前記制御部に送られること
を特徴とする請求項
3又は
4に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記制御部は、前記画像の形成を指示するホストを介して、前記通知を受け取ること
を特徴とする請求項
3又は
4に記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記制御部は、前記第1のヒータ駆動部に前記一又は複数の第1のヒータをオンにさせて、前記一又は複数の第1のヒータに流れる電流が定常状態に達した後に、前記第2のヒータ駆動部に前記一又は複数の第2のヒータをオンにさせることで、前記一又は複数の第1のヒータをオンにするタイミングと、前記一又は複数の第2のヒータをオンにするタイミングとをずらすこと
を特徴とする請求項
3から6の何れか一項に記載の画像形成装置。
【請求項9】
前記制御部は、前記第1のヒータ駆動部に前記一又は複数の第1のヒータをオンにさせて、前記温度検出部で検出された温度が前記予め定められた温度に達した後に、前記第2のヒータ駆動部に前記一又は複数の第2のヒータをオンにさせることで、前記一又は複数の第1のヒータをオンにするタイミングと、前記一又は複数の第2のヒータをオンにするタイミングとをずらすこと
を特徴とする請求項
3から6の何れか一項に記載の画像形成装置。
【請求項10】
前記制御部は、前記第1のヒータ駆動部に前記一又は複数の第1のヒータをオンにさせて、前記温度検出部で検出された温度が予め定められた基準温度に達した後に、前記第2のヒータ駆動部に前記一又は複数の第2のヒータをオンにさせることで、前記一又は複数の第1のヒータをオンにするタイミングと、前記一又は複数の第2のヒータをオンにするタイミングとをずらすこと
を特徴とする請求項
3から6の何れか一項に記載の画像形成装置。
【請求項11】
前記制御部は、前記第1のヒータ駆動部に前記一又は複数の第1のヒータをオンにさせてから予め定められた期間が経過した後に、前記第2のヒータ駆動部に前記一又は複数の第2のヒータをオンにさせることで、前記一又は複数の第1のヒータをオンにするタイミングと、前記一又は複数の第2のヒータをオンにするタイミングとをずらすこと
を特徴とする請求項
3から6の何れか一項に記載の画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の画像形成装置は、停電が発生した場合に、画像形成装置の各部に電圧を供給するために、内部の電源の平滑コンデンサの容量を大きくしている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
また、近年では、画像形成装置におけるAC(Alternating Current)の入力部に無停電電源装置(UPS)を接続することにより、停電が発生した場合でも、画像形成装置の電源を確保することも行われている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、画像形成装置にUPSを接続した場合、画像形成装置のヒータ突入電流が高いため、UPSの出力のAC電圧が垂下し、UPSが過負荷状態となる。このため、画像形成装置には、大容量の大型UPSを使用しなければならないという問題があった。
【0006】
そこで、本開示の一又は複数の態様は、画像形成装置に接続する電源装置の容量を小さくできるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の第1の態様に係る画像形成装置は、媒体に現像剤像を転写することにより、前記媒体に画像を形成する画像形成装置であって、一又は複数の第1のヒータと、一又は複数の第2のヒータと、前記一又は複数の第1のヒータ及び前記一又は複数の第2のヒータで加熱されることにより、前記媒体に転写された前記現像剤像を前記媒体に定着させる定着部と、前記定着部の温度を検出する温度検出部と、前記一又は複数の第1のヒータへの通電をオン又はオフにする第1のヒータ駆動部と、前記一又は複数の第2のヒータへの通電をオン又はオフにする第2のヒータ駆動部と、前記媒体に前記画像を形成する指示を受けたときに、前記温度検出部で検出された温度が予め定められた温度よりも低い場合には、前記第1のヒータ駆動部に前記一又は複数の第1のヒータをオンにさせて、前記温度検出部で検出された温度が前記予め定められた温度に達した後に、前記第2のヒータ駆動部に前記一又は複数の第2のヒータをオンにさせることで、前記一又は複数の第1のヒータをオンにするタイミングと、前記一又は複数の第2のヒータをオンにするタイミングとをずらす制御部と、を備えることを特徴とする。
【0008】
本開示の第2の態様に係る画像形成装置は、媒体に現像剤像を転写することにより、前記媒体に画像を形成する画像形成装置であって、商用電源から電力の供給を受けて蓄電し、前記商用電源が停電した場合に、蓄電された電力を供給する無停電電源を介して、前記商用電源又は前記無停電電源から電力の供給を受ける一又は複数の第1のヒータと、前記無停電電源を介して、前記商用電源又は前記無停電電源から電力の供給を受ける一又は複数の第2のヒータと、前記一又は複数の第1のヒータ及び前記一又は複数の第2のヒータで加熱されることにより、前記媒体に転写された前記現像剤像を前記媒体に定着させる定着部と、前記定着部の温度を検出する温度検出部と、前記一又は複数の第1のヒータへの通電をオン又はオフにする第1のヒータ駆動部と、前記一又は複数の第2のヒータへの通電をオン又はオフにする第2のヒータ駆動部と、前記無停電電源から停電したことを示す通知を受けた後に、前記媒体に前記画像を形成する指示を受けたときに、前記温度検出部で検出された温度が予め定められた温度よりも低い場合には、前記第1のヒータ駆動部及び前記第2のヒータ駆動部を制御することで、前記一又は複数の第1のヒータをオンにするタイミングと、前記一又は複数の第2のヒータをオンにするタイミングとをずらす制御部と、を備えることを特徴とする。
【0009】
本開示の第3の態様に係る画像形成装置は、媒体に現像剤像を転写することにより、前記媒体に画像を形成する画像形成装置であって、商用電源から電力の供給を受けて蓄電し、前記商用電源が停電した場合に、蓄電された電力を供給する無停電電源を介して、前記商用電源又は前記無停電電源から電力の供給を受ける一又は複数の第1のヒータと、前記無停電電源を介して、前記商用電源又は前記無停電電源から電力の供給を受ける一又は複数の第2のヒータと、前記一又は複数の第1のヒータ及び前記一又は複数の第2のヒータで加熱されることにより、前記媒体に転写された前記現像剤像を前記媒体に定着させる定着部と、前記定着部の温度を検出する温度検出部と、前記一又は複数の第1のヒータへの通電をオン又はオフにする第1のヒータ駆動部と、前記一又は複数の第2のヒータへの通電をオン又はオフにする第2のヒータ駆動部と、前記無停電電源から停電したことを示す通知を受けた後に、前記媒体に前記画像を形成する指示を受けたときに、前記温度検出部で検出された温度が予め定められた温度よりも低い場合には、前記第1のヒータ駆動部及び前記第2のヒータ駆動部を制御することで、予め定められた期間、前記一又は複数の第1のヒータ及び前記一又は複数の第2のヒータをオフにしてから、前記一又は複数の第1のヒータをオンにするタイミングと、前記一又は複数の第2のヒータをオンにするタイミングとをずらす制御部と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本開示の一又は複数の態様によれば、画像形成装置に接続する電源装置の容量を小さくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】実施の形態1~3に係る画像形成装置の構成を概略的に示す断面図である。
【
図2】実施の形態1に係る画像形成装置の電源回路及び制御部を概略的に示すブロック図である。
【
図4】(A)~(F)は、実施の形態1に係る画像形成装置の動作を説明するためのタイムチャートである。
【
図5】(A)~(F)は、実施の形態1と比較するために仮定した動作を説明するためのタイムチャートである。
【
図6】実施の形態2及び3に係る画像形成装置の電源回路及び制御部を概略的に示すブロック図である。
【
図7】(A)~(G)は、実施の形態2に係る画像形成装置の動作を説明するためのタイムチャートである。
【
図8】(A)~(G)は、実施の形態3に係る画像形成装置の動作を説明するためのタイムチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
実施の形態1.
図1は、実施の形態1に係る画像形成装置100の構成を概略的に示す断面図である。
画像形成装置100は、概略、給紙部1と、画像形成部2と、定着装置3と、排出部4とを備える。
画像形成装置100は、媒体としての用紙に現像剤像としてのトナー像を転写することにより、その媒体に画像を形成する。
【0013】
給紙部1は、画像形成部2に媒体としての用紙を供給するための媒体供給部である。
給紙部1は、用紙カセット10と、ピックアップローラ11と、搬送ローラ対12a、12bと、レジストローラ対13a、13bとを含む。
【0014】
用紙カセット10は、用紙を収容する媒体収容部である。
ピックアップローラ11は、用紙カセット10から一枚の用紙を取り出す。
【0015】
搬送ローラ対12a、12bは、ピックアップローラ11により取り出された一枚の用紙を搬送する。
レジストローラ対13a、13bは、搬送ローラ対12a、12bにより搬送されてきた一枚の用紙の斜行を規制して、その一枚の用紙を画像形成部2に送り出す。
【0016】
画像形成部2は、搬送されてきた一枚の用紙に、現像剤像としてのトナー像を形成する。
画像形成部2は、ID(Image Drum)ユニット20K、20Y、20M、20Cと、露光部25K、25Y、25M、25Cと、転写ベルト26と、駆動ローラ27と、従動ローラ28と、転写ローラ29K、29Y、29M、29Cとを備える。
【0017】
四つのIDユニット20K、20Y、20M、20Cは、使用されるトナーの色が異なっている他は同様に構成されているため、ここでは、IDユニット20Kについて説明する。
なお、
図1において、符号の最後に付された大文字Kは、ブラックを、大文字Yは、イエローを、大文字Mは、マゼンタを、大文字Cは、シアンを示すものとする。なお、以下の説明において、特に色を示す必要がない場合には、適宜、それらの大文字を省略する場合がある。
【0018】
IDユニット20Kは、IDとしての像担持体21Kと、帯電部としての帯電ローラ22Kと、現像部としての現像ローラ23Kと、供給部としての供給ローラ24Kとを備える。
【0019】
像担持体21Kは、外周面に感光層が形成されている感光ドラムである。
帯電ローラ22Kは、像担持体21Kの表面に、均一に高電圧を帯電させる。帯電された像担持体21Kの表面には、露光部25Kにより、静電潜像が形成される。
【0020】
現像ローラ23Kは、像担持体21Kの表面に形成された静電潜像に、現像剤としてのトナーを付着させることにより、現像剤像としてのトナー像を形成する。
供給ローラ24Kは、現像ローラ23Kにトナーを供給する。
【0021】
露光部25は、像担持体21に露光を行うことで、像担持体21の表面に静電潜像を形成する。ここでは、露光部25として、LED(Light Emitting Diode)を並べたLEDヘッドが使用されているが、このような例に限定されるものではない。
転写ベルト26は、無端状に形成され、一枚の用紙を搬送する。
【0022】
駆動ローラ27及び従動ローラ28には、転写ベルト26が張り渡されており、駆動ローラ27が回転することにより、転写ベルト26を介して従動ローラ28に駆動ローラ27の回転力が供給されて、従動ローラ28も駆動ローラ27と同じ方向に回転する。駆動ローラ27及び従動ローラ28が回転することにより、転写ベルト26に載せられた一枚の用紙が、IDユニット20が配置されている位置に搬送される。
【0023】
転写ローラ29は、像担持体21に形成されたトナー像を、転写ベルト26により搬送されてきた一枚の用紙に転写する転写部である。
そして、トナー像が転写された一枚の用紙は、定着装置3に送られる。
【0024】
定着装置3は、一枚の用紙に転写されたトナー像を、その一枚の用紙に定着させる。
定着装置3は、定着ローラ30と、加熱部31と、温度検出センサ32と、バックアップローラ33とを備える。
【0025】
定着ローラ30は、熱源である加熱部31により加熱されることにより、一枚の用紙に転写されたトナー像をその一枚の用紙に定着させる定着部である。
加熱部31は、ハロゲンランプ又はセラミックヒータに代表される熱源であり、本実施の形態では、複数のヒータにより構成されている。ここでは、加熱部31は、メインヒータ及びサブヒータにより構成されているものとする。詳細は後述する。
【0026】
温度検出センサ32は、定着ローラ30の温度を検出する温度検出部である。ここでは、温度検出センサ32は、定着ローラ30の表面の温度を検出する。例えば、温度検出センサ32としては、サーミスタが使用される。温度検出センサ32で検出された温度に基づいて、加熱部31が制御されて、定着ローラ30が予め定められた温度となるように制御される。そして、加熱された定着ローラ30により、一枚の用紙に転写されたトナー像が溶かされる。
【0027】
バックアップローラ33は、一枚の用紙を定着ローラ30の方向に加圧して、溶かされたトナー像を一枚の用紙に押しつけて、そのトナー像をその一枚の用紙に定着させる。そして、その一枚の用紙は、排出部4に送り出される。
【0028】
排出部4は、トナー像が定着された一枚の用紙を画像形成装置100の外部に排出する。例えば、排出部4は、一枚の用紙を画像形成装置100の外部に排出するための排出ローラ対40a、40bを備える。
【0029】
図2は、画像形成装置100の電源回路110及び制御部60を概略的に示すブロック図である。
電源回路110は、画像形成装置100の電源部として機能する。
また、定着装置3の加熱部31は、第1のヒータとしてのメインヒータ34と、第2のヒータとしてのサブヒータ35とを備える。
図2では、一つのメインヒータ34及び一つのサブヒータ35が表されているが、複数のメインヒータ34又は複数のサブヒータ35が設けられていてもよい。
また、メインヒータ34の電力>サブヒータ35の電力であることが望ましい。
【0030】
電源回路110は、整流平滑回路113と、DC-DC変換部116と、リレー回路120と、ACゼロクロス回路130と、メインヒータオンオフ回路140と、サブヒータオンオフ回路150と、メイントライアックショート検出回路160と、サブトライアックショート検出回路170と、リレーショート検出回路180とを備える。
【0031】
電源回路110は、一般的には、商用電源50より出力されるAC電圧にて動作するが、本実施の形態では、電源装置として無停電電源であるUPS51に電源回路110が接続されている場合を説明する。
ここで、UPS51は、商用電源50から電力の供給を受けて蓄電し、商用電源50が停電した場合に、蓄電された電力を供給する電源装置である。このため、メインヒータ34及びサブヒータ35は、UPS51を介して、停電していない場合には、商用電源50から、停電している場合にはUPS51から電力の供給を受ける。
【0032】
整流平滑回路113は、AC電圧を整流し、平滑化することでDC(Direct Current)電圧を生成する。
DC-DC変換部116は、整流平滑回路113からのDCの電圧を、所望の電圧に変換して、変換後のDCを制御部60へ供給する。例えば、DC-DC変換部116は、アクチュエータ系へDC24V、ロジック系へDC5Vを供給する。
【0033】
なお、ここでは、電源回路110において、DC24V又はDC5Vに変換を行っているが、制御部60において、電圧の変換が行われてもよい。
また、電源回路110より出力されるDC電圧の種類は、制御部60の構成で決定されることが一般的である。DC24V及びDC5Vの他に、DC3.3Vの出力が一般的である。
【0034】
リレー回路120は、商用電源50のLINE側に接続されたUPS51の出力に接続され、制御部60から出力されるリレーオンオフ制御信号S1により、リレーをオン又はオフにさせる回路である。
【0035】
ACゼロクロス回路130は、リレー回路120の後段に接続され、制御部60へACゼロクロス信号S2を出力する回路である。ACゼロクロス回路130は、メインヒータ34又はサブヒータ35のオン又はオフの制御に使用される回路である。このため、ACゼロクロス回路130をリレー回路120の後段に接続することで、メインヒータ34及びサブヒータ35をオフにした時の省エネモードではリレー回路120もオフとなり、ACゼロクロス回路130の消費電力がゼロとなり、低消費電力化が期待できる。
なお、ACゼロクロス回路130をACのオフの検出等、別の用途で使用する場合は、ACゼロクロス回路130は、リレー回路120の前段に接続されていてもよい。
【0036】
メインヒータオンオフ回路140は、メインヒータ34への通電をオン又はオフにする第1のヒータ駆動部である。
例えば、メインヒータオンオフ回路140は、ACゼロクロス回路130の後段に接続され、制御部60から出力されるメインヒータオンオフ制御信号S3により、メインヒータ34をオン又はオフにさせる回路である。本実施の形態では、メインヒータオンオフ回路140は、商用電源50のNeutral側に接続されているが、メインヒータオンオフ回路140は、LINE側及びNeutral側のどちらに接続されていてもよい。なお、メインヒータオンオフ回路140がLINE側に接続されている場合には、リレー回路120は、Neutral側に接続され、メインヒータオンオフ回路140がNeutral側に接続されている場合には、リレー回路120は、LINE側に接続される。
【0037】
サブヒータオンオフ回路150は、サブヒータ35への通電をオン又はオフにする第2のヒータ駆動部である。
例えば、サブヒータオンオフ回路150は、ACゼロクロス回路130の後段に接続され、制御部60から出力されるサブヒータオンオフ制御信号S4により、サブヒータ35をオン又はオフにさせる回路である。本実施の形態では、サブヒータオンオフ回路150は、商用電源50のNeutral側に接続されているが、サブヒータオンオフ回路150は、LINE側及びNeutral側のどちらに接続されていてもよい。なお、サブヒータオンオフ回路150がLINE側に接続されている場合には、リレー回路120は、Neutral側に接続され、サブヒータオンオフ回路150がNeutral側に接続されている場合には、リレー回路120は、LINE側に接続される。
【0038】
メイントライアックショート検出回路160は、メインヒータオンオフ回路140の後段に接続され、制御部60へメイントライアックショート検出信号S5を出力する回路である。
サブトライアックショート検出回路170は、サブヒータオンオフ回路150の後段に接続され、制御部60へサブトライアックショート検出信号S6を出力する回路である。
リレーショート検出回路180は、リレー回路120の後段に接続され、制御部60へリレーショート検出信号S7を出力する回路である。
【0039】
制御部60は、画像形成装置100での処理を制御する。
例えば、制御部60は、媒体に画像を形成する指示である印刷指示を受けたときに、温度検出センサ32で検出された温度が予め定められた温度よりも低い場合には、メインヒータオンオフ回路140及びサブヒータオンオフ回路150を制御することで、メインヒータ34をオンにするタイミングと、サブヒータ35をオンにするタイミングとをずらす。
【0040】
上述のように、メインヒータ34及びサブヒータ35の種類は、ハロゲンヒータ又はセラミックヒータ等であり、低温時に抵抗値が低くなるという特性を持っている。このため、これらのヒータは、長時間オフとなった後に、オンにさせると、突入電流が高くなる。ハロゲンヒータは、特に低温時の抵抗値が低いため、突入電流が特に高く、メインヒータ34とサブヒータ35とを同時にオンにさせると、突入電流が更に高くなる。
このため、制御部60は、温度検出センサ32で検出された温度が予め定められた温度よりも低い場合には、メインヒータ34をオンにするタイミングと、サブヒータ35をオンにするタイミングとをずらすことで、これらが同時にオンにしないようにすることで、突入電流の影響を抑制することができる。
【0041】
例えば、制御部60は、メインヒータ34に流れる電流が定常状態に達した後に、言い換えると、突入電流の状態ではなく、定常時の安定した電流が流れる状態に達した後に、サブヒータ35をオンにすることで、突入電流の影響を抑制することができる。
このため、実施の形態1では、温度検出センサ32で検出される温度が予め定められた温度に達した場合に、メインヒータ34に流れる電流が定常状態に達したものとして、サブヒータ35をオンにしている。ここでの、予め定められた温度は、この温度よりも低い場合に、メインヒータ34及びサブヒータ35に突入電流が流れる温度とすることが望ましい。このような温度は、実験等により、予め定められていればよい。
なお、実施の形態1はこのような例に限定されず、例えば、メインヒータ34をオンにしてから、予め定められた期間が経過した場合に、サブヒータ35をオンにしてもよい。ここでの予め定められた期間は、実験等により、メインヒータ34に流れる電流が定常状態に達するのに十分な期間とすればよい。
【0042】
なお、制御部60は、温度検出センサ32で検出された温度が予め定められた温度以上である場合には、メインヒータ34及びサブヒータ35を同時にオンにすることで、定着ローラ30の温度を迅速に設定温度にすることができる。
【0043】
制御部60は、CPU61と、ROM62と、RAM63と、温度取得部64と、センサオンオフ回路65と、高圧電源66と、ヘッド制御部67と、アクチュエータ駆動部68とを備える。
【0044】
CPU61は、プログラム及び設定データ等のデータを記憶している不揮発性のメモリであるROM62に記憶されているプログラムを実行することにより、各種処理を行う装置である。CPU61は、時間計測のカウンタ等を内蔵している。
【0045】
RAM63は、データの保管及び読み出しを行う揮発性のメモリである。
温度取得部64は、定着装置3の温度検出センサ32の出力を抵抗で分圧し、CPU61へ温度検出信号として出力する。
【0046】
センサオンオフ回路65は、トランジスタで構成され、省電力モード時は、CPU61よりセンサオフ信号が出力され、各種センサ70に供給する電源をオフにする。
高圧電源66は、
図1に示されている画像形成部2の像担持体21及び各種ローラへ高圧電圧を印加する電源である。
【0047】
ヘッド制御部67は、
図1に示されている露光部25として使用されているLEDヘッドのオン又はオフを制御する露光制御部である。
アクチュエータ駆動部68は、CPU61より出力されるロジック信号を元に、アクチュエータ71へ駆動信号を出力する専用ドライバである。
【0048】
各種センサ70は、給紙部1、画像形成部2、定着装置3及び排出部4に配設された用紙位置検出用の図示しない用紙走行路センサ、並びに、画像濃度及び色ずれ補正用のセンサ等を含む。
【0049】
アクチュエータ71は、アクチュエータ駆動部68により駆動される、給紙部1、画像形成部2、定着装置3及び排出部4に配設された、図示しないモータ、クラッチ、ソレノイド及び空冷用のファン等を含む。
【0050】
図3は、実施の形態1における電源回路110の回路図である。
電源回路110は、保護素子111と、フィルタ112と、整流平滑回路113と、DC-DC変換部116と、リレー回路120と、ACゼロクロス回路130と、メインヒータオンオフ回路140と、サブヒータオンオフ回路150と、メイントライアックショート検出回路160と、サブトライアックショート検出回路170と、リレーショート検出回路180とを備える。
【0051】
保護素子111は、過電流保護用のヒューズ又は雷サージ保護用のバリスタ等で構成される。
フィルタ112は、コモンコイル又はチョークコイルと、コンデンサとで構成されることが一般的である。
【0052】
整流平滑回路113は、整流ダイオード114と、電解コンデンサ115とで構成される。
整流ダイオード114は、四つのダイオードで構成され、一般的に4素子入りのブリッジダイオードと呼ばれる素子が使用されることが多い。
【0053】
また、電源オン時の電解コンデンサ115の突入電流を抑制するために、電源回路110の入力部分に図示しない突入抑制回路を備えている。突入抑制回路としては、サーミスタ、抵抗及びスイッチ素子であるトライアック、又は、リレーを組み合わせた回路が使用される。
【0054】
DC-DC変換部116は、直流の電圧を変換する。
リレー回路120は、リレー121と、リレーコイルの逆起防止用のダイオード122とで構成され、CPU61から出力されるリレーオンオフ制御信号S1によりオン又はオフになる。
【0055】
リレーコイルの片側にリレーオンオフ制御信号S1が入力され、もう一方がGNDに接続される。なお、リレー121は、GND接続を制御信号とし、二つの制御信号にてコントロールされてもよい。
【0056】
ACゼロクロス回路130は、整流ダイオード131と、フォトカプラ132とにより構成され、AC電圧のゼロクロス点でHighレベルをCPU61へ出力する回路である。上記のACゼロクロス回路130の構成は、一例であり、その構成は、特に限定されない。
【0057】
メインヒータオンオフ回路140は、CPU61より出力されるメインヒータオンオフ制御信号S3によりオン又はオフになるメインフォトトライアック141と、メインフォトトライアック141がオン又はオフになることにより、オン又はオフになるスイッチ部であるメイントライアック142とで構成される。
ここでは、メインフォトトライアック141のフォトダイオードの片側がGNDに接続されているが、メインフォトトライアック141は、GND接続を制御信号とし、二つの制御信号にてコントロールされてもよい。
【0058】
サブヒータオンオフ回路150は、CPU61より出力されるサブヒータオンオフ制御信号S4によりオン又はオフになるサブフォトトライアック151と、サブフォトトライアック151がオン又はオフになることにより、オン又はオフになるスイッチ部であるサブトライアック152とで構成される。
【0059】
サブフォトトライアック151のフォトダイオードの片側がGNDに接続されているが、サブフォトトライアック151は、GND接続を制御信号とし、二つの制御信号にてコントロールされてもよい。
【0060】
メイントライアックショート検出回路160は、メインヒータオンオフ回路140のメイントライアック142の後段に配置され、整流ダイオード161、162と、フォトカプラ163とにより構成され、CPU61へAC電圧の半波のタイミングでHighレベルを出力する回路である。
【0061】
メイントライアックショート検出回路160の回路構成は、ACゼロクロス回路130と同一としても構わないが、ACゼロクロス回路130の場合、矩形波のAC電圧が入力されると、ACゼロクロス信号S2の幅が狭くなり、制御部60にて検出不可になる可能性がある。このため、メイントライアックショート検出回路160によりAC半波電圧を検出する方が、より確実に交流波及び矩形波のAC電圧を検出することができる。
【0062】
また、
図3に示されているメイントライアックショート検出回路160では、商用電源50のNeutral側に整流ダイオード161のアノードが接続され、LINE側に整流ダイオード162のカソードが接続されているため、制御部60へ出力されるメイントライアックショート検出信号S5は、AC電圧がプラス側にてパルス信号となる。しかしながら、LINE側に整流ダイオード161のアノードが接続され、Neutral側に整流ダイオード162のカソードが接続され、AC電圧がマイナス側にてパルス信号が出力されるようにしても構わない。
【0063】
サブトライアックショート検出回路170は、サブトライアック152の後段に配置され、整流ダイオード171、172と、フォトカプラ173とより構成され、CPU61へAC電圧の半波のタイミングでHighレベルを出力する回路である。
【0064】
サブトライアックショート検出回路170の回路構成は、ACゼロクロス回路130と同一としても構わないが、ACゼロクロス回路130の場合、矩形波のAC電圧が入力されると、ACゼロクロス信号S2の幅が狭くなり、制御部60にて検出不可になる可能性がある。このため、サブトライアックショート検出回路170によりAC半波電圧を検出する方が、より確実に交流波及び矩形波のAC電圧が検出することができる。
【0065】
また、
図3に示されているサブトライアックショート検出回路170では、商用電源50のNeutral側に整流ダイオード171のアノードが接続され、LINE側に整流ダイオード172のカソードが接続されているため、制御部60へ出力されるトライアックショート検出信号は、AC電圧がプラス側にてパルス信号となる。しかしながら、LINE側に整流ダイオード171のアノードが接続、Neutral側に整流ダイオード172のカソードが接続され、AC電圧がマイナス側にてパルス信号が出力されるようにしても構わない。
【0066】
リレーショート検出回路180は、リレー回路120のリレー121の後段に配置され、整流ダイオード181、182と、フォトカプラ183とより構成され、CPU61へAC電圧の半波のタイミングでHighレベルを出力する回路である。
【0067】
図3に示されているリレーショート検出回路180では、一つの回路に二つの整流ダイオード181、182が搭載されているが、一つの整流ダイオードのみが搭載されていてもよい。
また、リレーショート検出回路180の回路構成は、ACゼロクロス回路130と同一としても構わないが、ACゼロクロス回路130の場合、矩形波のAC電圧が入力されると、ACゼロクロス信号S2の幅が狭くなり、制御部60にて検出不可になる可能性がある。このため、リレーショート検出回路180によりAC半波電圧を検出する方が、より確実に交流波及び矩形波のAC電圧を検出することができる。
【0068】
また、
図3では、商用電源50のLINE側に整流ダイオード181のアノードが接続され、Neutral側に整流ダイオード182のカソードが接続されているため、制御部60へ出力されるリレーショート検出信号S7は、AC電圧がマイナス側にてパルス信号となる。しかしながら、Neutral側に整流ダイオード181のアノードが接続され、LINE側に整流ダイオード182のカソードが接続され、AC電圧がプラス側にてパルス信号が出力されるようにしてもよい。
【0069】
定着装置3は、ハロゲンヒータ又はセラミックヒータ等に代表されるメインヒータ34と、サブヒータ35と、サーミスタ又はサーモパイル等に代表される温度検出部として機能する温度検出センサ32と、保護用としてサーモスタット36とを備えており、前述のリレー121と、メイントライアック142とがオンになることにより、メインヒータ34へ電圧を供給する。
【0070】
図4(A)~(F)は、実施の形態1に係る画像形成装置100の動作を説明するためのタイムチャートである。
【0071】
図4(A)は、商用電源50より出力されるAC電圧、つまりUPS51へ入力されるAC電圧を表している。
【0072】
図4(B)は、定着装置3の温度検出センサ32で検出された温度であるサーミスタ温度を表している。具体的には、
図4(B)は、温度検出センサ32から出力されるサーミスタ信号を制御部60で変換した温度を表している。
【0073】
図4(C)は、制御部60よりメインヒータオンオフ回路140へ出力されるメインヒータオンオフ制御信号S3を表している。メインヒータオンオフ制御信号S3は、Highである場合に、メインヒータ34をオンにすることを示し、Lowである場合に、メインヒータ34をオフにすることを示す。
【0074】
図4(D)は、制御部60よりサブヒータオンオフ回路150へ出力されるサブヒータオンオフ制御信号S4を表している。サブヒータオンオフ制御信号S4は、Highである場合に、サブヒータ35をオンにすることを示し、Lowである場合に、サブヒータ35をオフにすることを示している。
【0075】
図4(E)は、メインヒータ34及びサブヒータ35に流れる電流であるヒータ電流を表している。
図4(F)は、UPS51より出力される電圧であるUPS出力電圧を表している。
【0076】
次に、横軸に示されている時刻に従って、
図4(A)~(F)を説明する。
まず、時刻t01において、商用電源50より正常出力されたAC電圧は、UPS51に入力され、UPS出力電圧として電源回路110へ入力される。
【0077】
電源回路110はAC電圧を整流平滑回路113にて整流及び平滑し、DC-DC変換部116にて、DC24V及びDC5Vに変換して、これらの電圧を制御部60へ出力する。これにより、画像形成装置100が動作可能な状態となる。ここで、AC入力電圧は、通常出力時を電圧V1とする。
【0078】
時刻t01では、制御部60は、ホスト72より印刷指示を受け取っていない状態であるため、メインヒータオンオフ制御信号S3はLowとなり、メインヒータ34はオフ、サブヒータオンオフ制御信号S4はLowとなり、サブヒータ35はオフとなる。長時間印刷指示がないと、サーミスタ温度は、画像形成装置100の周囲温度と同一となり、低温状態となる。ここでは長時間印刷指示がなかった場合の低温状態を示している。そのため、ヒータ電流は0Aの状態であり、UPS出力電圧は、通常出力時のV1となる。
【0079】
時刻t02において、制御部60は、ホスト72から印刷指示を受けるものとする。
この場合、サーミスタ温度がある予め定められた温度よりも低い場合には、メインヒータオンオフ制御信号S3がHighとなり、メインフォトトライアック141がオンになり、メイントライアック142がオンになることで、メインヒータ34にAC電圧が供給される。
【0080】
一方、実施の形態1では、時刻t02では、サブヒータオンオフ制御信号S4がLowを継続し、サブフォトトライアック151がオフを継続する。これにより、サブヒータ35にはAC電圧が供給されないが、メインヒータ34により、サーミスタ温度が上昇し、また、ヒータ電流が上昇する。
【0081】
上記のように、メインヒータ34及びサブヒータ35は、低温時に抵抗値が低くなるため、長時間オフとなった後に、オンにさせると、突入電流が大きくなる。
このため、実施の形態1では、サーミスタ温度がある予め定められた温度、例えば、温度T3よりも低い場合、メインヒータ34をオン、サブヒータ35をオフにすることで、ヒータ突入電流を抑制することができる。このため、メインヒータ34の突入電流≦通常動作時のメインヒータ34及びサブヒータ35のヒータ電流I1<メインヒータ34及びサブヒータ35の突入電流I2の関係となる。ここで、温度T3は、この温度よりも低い場合に、メインヒータ34及びサブヒータ35に突入電流が流れる温度である。
このとき、UPS出力電圧は、UPS51の定格電流以内の状態となるため、正常出力時の電圧V1の継続が可能となる。
【0082】
時刻t03において、制御部60により、サーミスタ温度が予め定められた温度である温度T3に到達し、メインヒータオンオフ制御信号S3がHigh出力を継続し、また、サブヒータオンオフ制御信号S4がLow出力からHigh出力へ切り替わる。これにより、サブヒータ35がオンになり、サーミスタ温度が上昇し続ける。
【0083】
時刻t04において、制御部60により、メインヒータオンオフ制御信号S3がHigh出力を継続し、また、サブヒータオンオフ制御信号S4がHigh出力を継続し、サーミスタ温度が上昇し続け、設定温度となる温度T2に達する。これにより、メインヒータオンオフ制御信号S3がLow出力となり、また、サブヒータオンオフ制御信号S4がLow出力となり、ヒータ電流は0Aとなる。このとき、UPS出力電圧は、通常出力時の電圧V1である。また、図示しないが、その後、サーミスタ温度の設定温度である温度T2を一定に保つために、制御部60は、メインヒータ34及びサブヒータ35のオンオフ制御を行う。
【0084】
次に、
図4に示された電源回路110での動作と比較するために、制御部60がメインヒータ34及びサブヒータ35を同時にオンにすると仮定した場合の例を説明する。
【0085】
図5(A)~(F)は、実施の形態1と比較するために仮定した動作を説明するためのタイムチャートである。
【0086】
図5(A)~(F)は、それぞれ、
図4(A)~(F)と同様に、AC電圧、サーミスタ温度、メインヒータオンオフ制御信号S3、サブヒータオンオフ制御信号S4、ヒータ電流及びUPS出力電圧を表している。
【0087】
横軸に示されている時刻に従って、
図5(A)~(F)を説明する。
まず、時刻t11において、商用電源50より正常出力されたAC電圧は、UPS51に入力され、UPS出力電圧として電源回路110へ入力される。時刻t11での動作については、
図4(A)~(F)における時刻t01での動作と同様である。
【0088】
時刻t12において、制御部60は、ホスト72から印刷指示を受けるものとする。
この場合、制御部60は、メインヒータ34及びサブヒータ35の両方をオンにする。具体的には、メインヒータオンオフ制御信号S3がHighとなり、メインフォトトライアック141がオンになり、メイントライアック142がオンになることで、メインヒータ34にAC電圧が供給される。また、サブヒータオンオフ制御信号S4がHighとなり、サブフォトトライアック151がオンになり、サブトライアック152がオンになることで、サブヒータ35にAC電圧が供給される。これにより、サーミスタ温度が上昇していく。また、ヒータ電流も上昇する。
【0089】
ここでは、メインヒータ34及びサブヒータ35の両方に突入電流が流れるため、
図4(E)の場合よりも多くの電流が流れることになる。このため、通常動作時のヒータ電流I1<突入電流I2となり、UPS51の定格電流をオーバーし、UPS出力電圧が垂下又はUPS出力電圧の歪みが発生する。通常出力時のUPS出力電圧V1>異常時のUPS出力電圧V2とする。
【0090】
時刻t13において、制御部60により、メインヒータオンオフ制御信号S3がHigh出力を継続し、また、サブヒータオンオフ制御信号S4がHigh出力を継続することで、サーミスタ温度が上昇し続け、予め定められた温度である温度T1に到達する。温度T1において、ヒータ突入電流が飽和状態となり、ヒータ電流が通常時の電流I1となり、UPS出力電圧も通常出力の電圧V1となる。
【0091】
時刻t14での動作については、
図4(A)~(F)における時刻t04での動作と同様である。
【0092】
以上のように、実施の形態1によれば、商用電源50のAC出力が正常時又は停電時に画像形成装置100のヒータ温度が予め定められた温度よりも低い場合、複数のヒータの同時オンを禁止する制御とすることで、ヒータ突入電流を抑制することができる。このため、UPS51の定格電流以内でUPS51を使用することが可能となり、大容量の大型UPSを使用する必要がなくなり、システムの小型化が可能となる。
【0093】
実施の形態2.
図1に示されているように、実施の形態2に係る画像形成装置200は、概略、給紙部1と、画像形成部2と、定着装置3と、排出部4とを備える。
図1に示されている構成においては、実施の形態2に係る画像形成装置200は、実施の形態1に係る画像形成装置100と同様である。
【0094】
図6は、実施の形態2に係る画像形成装置200の電源回路110及び制御部80を概略的に示すブロック図である。
実施の形態2に係る画像形成装置200の電源回路110は、実施の形態1に係る画像形成装置100の電源回路110と同様に構成されている。
【0095】
制御部80は、画像形成装置200での処理を制御する。
例えば、制御部80は、USP51から停電したことを示す通知を受けた後に、印刷指示を受けたときに、温度検出センサ32で検出された温度が予め定められた温度よりも低い場合には、メインヒータオンオフ回路140及びサブヒータオンオフ回路150を制御することで、メインヒータ34をオンにするタイミングと、サブヒータ35をオンにするタイミングとをずらす。タイミングのずらし方については、実施の形態1と同様である。
【0096】
制御部80は、CPU81と、ROM82と、RAM63と、温度取得部64と、センサオンオフ回路65と、高圧電源66と、ヘッド制御部67と、アクチュエータ駆動部68とを備える。
実施の形態2における制御部80のRAM63、温度取得部64、センサオンオフ回路65、高圧電源66、ヘッド制御部67及びアクチュエータ駆動部68は、実施の形態1における制御部60のRAM63、温度取得部64、センサオンオフ回路65、高圧電源66、ヘッド制御部67及びアクチュエータ駆動部68と同様である。
【0097】
ここで、実施の形態2におけるUPS52は、停電したか否かを示す停電検出信号S8を制御部80へ出力している。これにより、制御部80は、停電したことを示す通知を受け取ることができる。
【0098】
実施の形態2におけるROM82は、記憶しているプログラムにおいて、実施の形態1におけるROM62とは異なっている。このため、実施の形態2におけるCPU81は、実行する処理において、実施の形態1におけるCPU61と異なっている。
【0099】
実施の形態2においては、CPU81は、実施の形態1とほぼ同様の処理を実行する。但し、実施の形態2では、CPU81は、UPS52から停電したことを示す停電検出信号S8が入力され、UPS52から電力の供給を受けているときに、ホスト72から印刷指示を受けた場合において、実施の形態1と同様に、予め定められた期間が経過してから、サブヒータ35をオンにする。
【0100】
図7(A)~(G)は、実施の形態2に係る画像形成装置200の動作を説明するためのタイムチャートである。
【0101】
図7(A)は、
図4(A)と同様に、商用電源50より出力されるAC電圧を表している。
【0102】
図7(B)は、停電を検出する機能を有するUPS52より出力される停電検出信号を表している。停電検出信号は、Highである場合に、正常、言い換えると、停電していないことを示し、Lowである場合に、停電していることを示す。
【0103】
図7(C)~(G)は、それぞれ、
図4(B)~(F)と同様に、サーミスタ温度、メインヒータオンオフ制御信号S3、サブヒータオンオフ制御信号S4、ヒータ電流及びUPS出力電圧を表している。
【0104】
次に、横軸に示されている時刻に従って、
図7(A)~(G)を説明する。
まず、時刻t21において、商用電源50より正常出力されたAC電圧は、UPS52に入力され、UPS出力電圧として電源回路110へ入力される。
【0105】
電源回路110はAC電圧を整流平滑回路113にて整流及び平滑し、DC-DC変換部116にて、DC24V及びDC5Vに変換して、これらの電圧を制御部80へ出力する。これにより、画像形成装置200が動作可能な状態となる。ここで、AC入力電圧は、通常出力時を電圧V1とする。
【0106】
時刻t21では、制御部80は、ホスト72より印刷指示を受け取っていない状態であるため、メインヒータオンオフ制御信号S3はLowとなり、メインヒータ34はオフ、サブヒータオンオフ制御信号S4はLowとなり、サブヒータ35はオフとなる。長時間印刷指示がないと、サーミスタ温度は、画像形成装置200の周囲温度と同一となり、低温状態となる。ここでは長時間印刷指示がなかった場合の低温状態を示している。そのため、ヒータ電流は0Aの状態であり、UPS出力電圧は、通常出力時のV1となる。
【0107】
時刻t22において、商用電源50の停電が発生し、UPS52より、停電していることを示す停電検出信号が制御部80へ出力される。ここで、停電検出信号は、コマンドでも構わない。また、以上のような信号又はコマンドは、制御部80ではなく、ホスト72としてのPC(Personal Computer)に出力され、そのPCから、制御部80へ与えられてもよい。この場合、制御部80は、ホスト72としてのPCを介して、停電したことを示す通知を受け取ることとなる。
【0108】
時刻t23において、制御部80は、ホスト72から印刷指示を受けるものとする。
この場合、制御部80は、サーミスタ温度が予め定められた温度よりも低い場合には、メインヒータオンオフ制御信号S3がHighとなり、メインフォトトライアック141がオンになり、メイントライアック142がオンになることで、メインヒータ34にAC電圧が供給される。
【0109】
一方、実施の形態2でも、時刻t23では、サブヒータオンオフ制御信号S4がLowを継続し、サブフォトトライアック151がオフを継続する。これにより、サブヒータ35にはAC電圧が供給されないが、メインヒータ34により、サーミスタ温度が上昇し、また、ヒータ電流が上昇する。但し、メインヒータ34をオン、サブヒータ35をオフにすることで、ヒータ突入電流を抑制することができるため、メインヒータ34の突入電流≦通常動作時のメインヒータ34及びサブヒータ35のヒータ電流I1<メインヒータ34及びサブヒータ35の突入電流I2の関係となる。
このとき、UPS出力電圧は、UPS52の定格電流以内の状態となるため、正常出力時の電圧V1の継続が可能となる。
【0110】
時刻t24において、制御部80により、サーミスタ温度が予め定められた温度である温度T3に到達し、メインヒータオンオフ制御信号S3がHigh出力を継続し、また、サブヒータオンオフ制御信号S4がLow出力からHigh出力へ切り替わる。これにより、サブヒータ35がオンになり、サーミスタ温度が上昇し続ける。
【0111】
時刻t25において、制御部80により、メインヒータオンオフ制御信号S3がHigh出力を継続し、また、サブヒータオンオフ制御信号S4がHigh出力を継続し、サーミスタ温度が上昇し続け、設定温度となる温度T2に達する。これにより、メインヒータオンオフ制御信号S3がLow出力となり、また、サブヒータオンオフ制御信号S4がLow出力となり、ヒータ電流は0Aとなる。このとき、UPS出力電圧は、通常出力時の電圧V1である。また、図示しないが、その後、サーミスタ温度の設定温度である温度T2を一定に保つために、制御部80は、メインヒータ34及びサブヒータ35のオンオフ制御を行う。
【0112】
以上のように、実施の形態2によれば、商用電源50のAC出力の停電時に、画像形成装置200のヒータ温度が予め定められた温度よりも低いと、複数ヒータの同時オン禁止の制御とすることで、ヒータ突入電流を抑制することができる。このため、UPS52の定格電流以内で使用することが可能となる。従って、大容量の大型UPSを使用する必要がなくなり、システムの小型化が可能となる。
【0113】
実施の形態3.
図1に示されているように、実施の形態3に係る画像形成装置300は、概略、給紙部1と、画像形成部2と、定着装置3と、排出部4とを備える。
図1に示されている構成においては、実施の形態3に係る画像形成装置300は、実施の形態1に係る画像形成装置100と同様である。
【0114】
図6に示されているように、実施の形態3に係る画像形成装置300は、電源回路110及び制御部90を備える。
実施の形態3に係る画像形成装置300の電源回路110は、実施の形態1に係る画像形成装置100の電源回路110と同様に構成されている。
【0115】
制御部90は、画像形成装置300での処理を制御する。
例えば、制御部90は、UPS52から停電したことを示す通知を受けた後に、印刷指示を受けたときに、温度検出センサ32で検出された温度が予め定められた温度よりも低い場合には、メインヒータオンオフ回路及びサブヒータオンオフ回路150を制御することで、予め定められた期間、メインヒータ34及びサブヒータ35をオフにしてから、メインヒータ34をオンにするタイミングと、サブヒータ35をオンにするタイミングとをずらす。タイミングのずらし方については、実施の形態1と同様である。
【0116】
制御部90は、CPU91と、ROM92と、RAM63と、温度取得部64と、センサオンオフ回路65と、高圧電源66と、ヘッド制御部67と、アクチュエータ駆動部68とを備える。
実施の形態3における制御部90のRAM63、温度取得部64、センサオンオフ回路65、高圧電源66、ヘッド制御部67及びアクチュエータ駆動部68は、実施の形態1における制御部60のRAM63、温度取得部64、センサオンオフ回路65、高圧電源66、ヘッド制御部67及びアクチュエータ駆動部68と同様である。
【0117】
ここで、実施の形態3におけるUPS52は、停電したか否かを示す停電検出信号S8を制御部90へ出力している。
【0118】
実施の形態3におけるROM92は、記憶しているプログラムにおいて、実施の形態1におけるROM62とは異なっている。このため、実施の形態3におけるCPU91は、実行する処理において、実施の形態1におけるCPU61と異なっている。
【0119】
実施の形態3においては、CPU91は、実施の形態1とほぼ同様の処理を実行する。但し、CPU91は、UPS52から停電したことを示す停電検出信号S8が入力されているときに、ホスト72から印刷指示を受けた場合に、予め定められた期間が経過してから、メインヒータ34をオンにする。
【0120】
なお、CPU91は、UPS52からの停電検出信号S8が停電していないことを示す場合には、実施の形態1と同様に、予め定められた期間が経過する前に、メインヒータ34をオンにするタイミングと、サブヒータ35をオンにするタイミングとをずらしてもよい。
【0121】
図8(A)~(G)は、実施の形態3に係る画像形成装置300の動作を説明するためのタイムチャートである。
【0122】
図8(A)は、
図4(A)と同様に、商用電源50より出力されるAC電圧を表している。
【0123】
図8(B)は、停電を検出する機能を有するUPS52より出力される停電検出信号を表している。停電検出信号は、Highである場合に、正常、言い換えると、停電していないことを示し、Lowである場合に、停電していることを示す。
【0124】
図8(C)~(G)は、それぞれ、
図4(B)~(F)と同様に、サーミスタ温度、メインヒータオンオフ制御信号S3、サブヒータオンオフ制御信号S4、ヒータ電流及びUPS出力電圧を表している。
【0125】
次に、横軸に示されている時刻に従って、
図8(A)~(G)を説明する。
まず、時刻t31において、商用電源50より正常出力されたAC電圧は、UPS52に入力され、UPS出力電圧として電源回路110へ入力される。
【0126】
電源回路110はAC電圧を整流平滑回路113にて整流及び平滑し、DC-DC変換部116にて、DC24V及びDC5Vに変換して、これらの電圧を制御部90へ出力する。これにより、画像形成装置300が動作可能な状態となる。ここで、AC入力電圧は、通常出力時を電圧V1とする。
【0127】
時刻t31では、制御部90は、ホスト72より印刷指示を受け取っていない状態であるため、メインヒータオンオフ制御信号S3はLowとなり、メインヒータ34はオフ、サブヒータオンオフ制御信号S4はLowとなり、サブヒータ35はオフとなる。長時間印刷指示がないと、サーミスタ温度は、画像形成装置300の周囲温度と同一となり、低温状態となる。ここでは長時間印刷指示がなかった場合の低温状態を示している。そのため、ヒータ電流は0Aの状態であり、UPS出力電圧は、通常出力時のV1となる。
【0128】
時刻t32において、商用電源50の停電が発生し、UPS52より、停電していることを示す停電検出信号が制御部90へ出力される。ここで、停電検出信号は、コマンドでも構わない。また、以上のような信号又はコマンドは、制御部90ではなく、ホスト72としてのPCに出力され、そのPCから、制御部90へ与えられてもよい。
【0129】
時刻t33において、制御部90は、ホスト72から印刷指示を受けるものとする。
この場合、制御部90は、サーミスタ温度が予め定められた温度よりも低い場合には、予め定められた期間である時刻t33~時刻t34までの間は、メインヒータ34及びサブヒータ35をオフのままにする。具体的には、メインヒータオンオフ制御信号S3は、Low出力を継続し、また、サブヒータオンオフ制御信号S4も、Low出力を継続とする。このような動作を行うことにより、UPS出力電圧の異常を抑制し、停電が短時間で復旧すれば、通常動作に戻ることが可能となる。ここでの予め定められた期間を待機期間ともいう。
この待機期間は、短時間停電に対応する時間であり、ここでは、例えば、短時間停電(瞬断)である10msにマージンを加えた20msとするが、このような例に限定されるものではない。
【0130】
時刻t34において、待機期間が経過すると、メインヒータオンオフ制御信号S3がHighとなり、メインフォトトライアック141がオンになり、メイントライアック142がオンになることで、メインヒータ34にAC電圧が供給される。
【0131】
一方、実施の形態3でも、時刻t34では、サブヒータオンオフ制御信号S4がLowを継続し、サブフォトトライアック151がオフを継続する。これにより、サブヒータ35にはAC電圧が供給されないが、メインヒータ34により、サーミスタ温度が上昇し、また、ヒータ電流が上昇する。但し、メインヒータ34をオン、サブヒータ35をオフにすることで、ヒータ突入電流を抑制することができるため、メインヒータ34の突入電流≦通常動作時のメインヒータ34及びサブヒータ35のヒータ電流I1<メインヒータ34及びサブヒータ35の突入電流I2の関係となる。
このとき、UPS出力電圧は、UPS52の定格電流以内の状態となるため、正常出力時の電圧V1の継続が可能となる。
【0132】
時刻t35において、制御部90により、サーミスタ温度が予め定められた温度である温度T3に到達し、メインヒータオンオフ制御信号S3がHigh出力を継続し、また、サブヒータオンオフ制御信号S4がLow出力からHigh出力へ切り替わる。これにより、サブヒータ35がオンになり、サーミスタ温度が上昇し続ける。
【0133】
時刻t36において、制御部90により、メインヒータオンオフ制御信号S3がHigh出力を継続し、また、サブヒータオンオフ制御信号S4がHigh出力を継続し、サーミスタ温度が上昇し続け、設定温度となる温度T2に達する。これにより、メインヒータオンオフ制御信号S3がLow出力となり、また、サブヒータオンオフ制御信号S4がLow出力となり、ヒータ電流は0Aとなる。このとき、UPS出力電圧は、通常出力時の電圧V1である。また、図示しないが、その後、サーミスタ温度の設定温度である温度T2を一定に保つために、制御部90は、メインヒータ34及びサブヒータ35のオンオフ制御を行う。
【0134】
以上のように、実施の形態3によれば、商用電源50のAC出力の停電時に、印刷指示を受けると、予め定められた期間、ヒータをオフにすることで、停電が短時間で収まった場合に、通常の動作で、印刷を開始することができる。
【0135】
以上に記載された実施の形態1~3では、サーミスタ温度が予め定められた温度である温度T3に到達した場合に、サブヒータ35がオンにされているが、実施の形態1~3は、このような例に限定されない。突入電流の影響を抑制できるのであれば、温度T3よりも低い温度又は温度T3よりも高い温度である基準温度にサーミスタ温度が到達した場合に、サブヒータ35がオンにされてもよい。基準温度については、予め、実験等により定められていればよい。
【0136】
以上に記載された実施の形態1~3では、プリンタ装置、特にタンデム方式のカラー4色プリンタ装置を用いて説明を行ったが、実施の形態1~3は、以上のような例に限定されない。例えば、カラー5色以上のプリンタ装置、カラー4色未満のプリンタ装置、モノクロのプリンタ装置又は複写装置等の他の画像形成装置においても同様に実施可能である。また、ACが入力される部分に接続された無停電電源は、UPSを用いて説明したが、実施の形態1~3は、このような例に限定されない。例えば、UPSの代わりに、ポータブル電源が使用されてもよい。
【符号の説明】
【0137】
100,200,300 画像形成装置、 50 商用電源、 51,52 UPS、 60,80,90 制御部、 110 電源回路、 113 整流平滑回路、 116 DC-DC変換部、 120 リレー回路、 130 ACゼロクロス回路、 140 メインヒータオンオフ回路、 150 サブヒータオンオフ回路、 160 メイントライアックショート検出回路、 170 サブトライアックショート検出回路、 180 リレーショート検出回路。