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特許7639979測定システム、測定方法、及び測定プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-02-25
(45)【発行日】2025-03-05
(54)【発明の名称】測定システム、測定方法、及び測定プログラム
(51)【国際特許分類】
   G01B 11/28 20060101AFI20250226BHJP
   A01G 7/00 20060101ALI20250226BHJP
   A01G 33/00 20060101ALI20250226BHJP
【FI】
G01B11/28 H
A01G7/00 603
A01G33/00
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2024129201
(22)【出願日】2024-08-05
【審査請求日】2024-08-15
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】524294862
【氏名又は名称】一般社団法人BlueArch
(74)【代理人】
【識別番号】110002516
【氏名又は名称】弁理士法人白坂
(72)【発明者】
【氏名】武藤 素輝
(72)【発明者】
【氏名】河野 哲大
(72)【発明者】
【氏名】戒田 雄士
(72)【発明者】
【氏名】山木 克則
【審査官】國田 正久
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-138824(JP,A)
【文献】国際公開第2017/145202(WO,A1)
【文献】特開2002-058370(JP,A)
【文献】特開2000-018921(JP,A)
【文献】特開2020-018274(JP,A)
【文献】中国実用新案第203163727(CN,U)
【文献】山室真澄,ROV(Remotely Operated Vehicle)と係留気球を用いた亜熱帯・熱帯海草藻場のマッピング,2004年3月,p.16-20,https://www.researchgate.net/publication/279182630_ROV_Remotely_Operated_vehicletoxiliuqiqiuwoyongitayaredairedaihaicaozaochangnomappingu
【文献】上天草市におけるブルーカーボン量算定マニュアル,令和6年5月,上天草市企画政策部企画政策課,https://www.city.kamiamakusa.kumamoto.jp/dl?q=83131_filelib_27025d95b1df06267bae557f034148bd.pdf
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01B 11/28
A01G 7/00
A01G 33/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
カメラを搭載した無人小型潜水艇又は無人小型水上艇を用いた藻場における植物が地表を覆っている植被範囲の面積を測定する測定システムであって、
前記無人小型潜水艇又は無人小型水上艇に備えられ、前記カメラの被写体とともに撮影されることで前記被写体の大きさの基準を示す指標となる既知の長さを有する長さ基準を、前記カメラの撮影範囲内に設置する長さ基準設置部と、
前記長さ基準が前記カメラの撮影範囲内に設置された状態で、前記カメラを用いて前記藻場を撮影した撮影画像を画像情報として取得する画像情報取得部と、
前記画像情報を画像解析処理することで、前記撮影画像の所定範囲の内部における前記植被範囲を前記画像情報から抽出する植被範囲抽出部と、
前記所定範囲の内部における前記植被範囲が前記所定範囲に対して占有する割合を被度として算出する被度算出部と、
前記撮影画像に含まれる前記長さ基準に基づいて、前記所定範囲の面積を算出する所定範囲面積算出部と、
前記被度と前記所定範囲の面積とに基づいて、前記所定範囲の内部における前記植被範囲の面積を算出する植被範囲面積算出部と、
前記無人小型潜水艇又は無人小型水上艇の機体の一部を構成するフレーム部と、
前記フレーム部に一端が接続されるロープと、
を備え
前記長さ基準は、既知の大きさのコドラートであり、
前記コドラートは前記ロープの他端に接続されており、
前記長さ基準設置部は、前記コドラートを前記カメラの撮影範囲内の前記地表に設置する
ことを特徴とする測定システム。
【請求項2】
前記無人小型潜水艇又は無人小型水上艇はロボットアームを備え、
前記長さ基準設置部は、前記ロボットアームを使って、前記コドラートを運び、前記ロボットアームを操作することで前記コドラートを放出し前記カメラの撮影範囲内の前記地表に設置する
ことを特徴とする請求項1に記載の測定システム。
【請求項3】
前記無人小型潜水艇又は無人小型水上艇は、
前記無人小型潜水艇又は無人小型水上艇の姿勢角を計測する姿勢角セン
更に備えることを特徴とする請求項2に記載の測定システム。
【請求項4】
前記植被範囲抽出部は、画像セグメンテーションを用いて前記画像情報を画像解析処理することで、前記撮影画像から前記植被範囲を抽出することを特徴とする請求項1に記載の測定システム。
【請求項5】
カメラを搭載した無人小型潜水艇又は無人小型水上艇を用いた藻場における植物が地表を覆っている植被範囲の面積を測定する測定システムに用いられる測定方法であって、
前記測定システムは、
前記無人小型潜水艇又は無人小型水上艇に備えられ、前記カメラの被写体とともに撮影されることで前記被写体の大きさの基準を示す指標となる既知の長さを有する長さ基準を、前記カメラの撮影範囲内に設置する長さ基準設置ステップと、
前記長さ基準が前記カメラの撮影範囲内に設置された状態で、前記カメラを用いて前記藻場を撮影した撮影画像を画像情報として取得する画像情報取得ステップと、
前記画像情報を画像解析処理することで、前記撮影画像の所定範囲の内部における前記植被範囲を前記画像情報から抽出する植被範囲抽出ステップと、
前記所定範囲の内部における前記植被範囲が前記所定範囲に対して占有する割合を被度として算出する被度算出ステップと、
前記撮影画像に含まれる前記長さ基準に基づいて、前記所定範囲の面積を算出する所定範囲面積算出ステップと、
前記被度と前記所定範囲の面積とに基づいて、前記所定範囲の内部における前記植被範囲の面積を算出する植被範囲面積算出ステップと、
を実行し、
前記無人小型潜水艇又は無人小型水上艇の機体の一部を構成するフレーム部と、
前記フレーム部に一端が接続されるロープと、
を備え、
前記長さ基準は、既知の大きさのコドラートであり、
前記コドラートは前記ロープの他端に接続されており、
前記長さ基準設置ステップは、前記コドラートを前記カメラの撮影範囲内の前記地表に設置する
ことを特徴とする測定方法。
【請求項6】
カメラを搭載した無人小型潜水艇又は無人小型水上艇を用いた藻場における植物が地表を覆っている植被範囲の面積を測定する測定システムに用いられる測定プログラムであって、
前記測定システムに、
前記無人小型潜水艇又は無人小型水上艇に備えられ、前記カメラの被写体とともに撮影されることで前記被写体の大きさの基準を示す指標となる既知の長さを有する長さ基準を、前記カメラの撮影範囲内に設置する長さ基準設置機能と、
前記長さ基準が前記カメラの撮影範囲内に設置された状態で、前記カメラを用いて前記藻場を撮影した撮影画像を画像情報として取得する画像情報取得機能と、
前記画像情報を画像解析処理することで、前記撮影画像の所定範囲の内部における前記植被範囲を前記画像情報から抽出する植被範囲抽出機能と、
前記所定範囲の内部における前記植被範囲が前記所定範囲に対して占有する割合を被度として算出する被度算出機能と、
前記撮影画像に含まれる前記長さ基準に基づいて、前記所定範囲の面積を算出する所定範囲面積算出機能と、
前記被度と前記所定範囲の面積とに基づいて、前記所定範囲の内部における前記植被範囲の面積を算出する植被範囲面積算出機能と、
を実現させ、
前記無人小型潜水艇又は無人小型水上艇の機体の一部を構成するフレーム部と、
前記フレーム部に一端が接続されるロープと、
を備え、
前記長さ基準は、既知の大きさのコドラートであり、
前記コドラートは前記ロープの他端に接続されており、
前記長さ基準設置機能は、前記コドラートを前記カメラの撮影範囲内の前記地表に設置する
ことを特徴とする測定プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、測定システム、測定方法、及び測定プログラムに関し、特に藻場における植物が地表を覆っている植被範囲の面積の測定に適した測定システム、測定方法、及び測定プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
地球の温暖化対策の有効な選択肢としてブルーカーボンの取り組みが進められ、ブルーカーボン生態系の調査が行われている。ブルーカーボンとは、海洋生物によって大気中の二酸化炭素が取り込まれ、海域に貯留された炭素のことをいう。ブルーカーボン生態系として、海草藻場、及び海藻藻場などが挙げられる。
ブルーカーボン生態系の調査の一例として、調査対象となる藻場における植被面積の測定が行われる。植被面積とは、植物が地表を覆っている面積のことをいう。
【0003】
従来、植被面積の測定は、所定の大きさ(例えば1m×1m)のコドラートと呼ばれる方形枠を設置して、コドラートの大きさと照らし合わせて大まかに植被面積を目視で判断する方法が用いられていたが、コドラートの大きさと照らし合わせての目視であったため、植被面積を正確に測定することは容易ではなく、更に、水産庁が推奨する海藻・海草の被度階級を用いて測定することで目視でも一定の精度は担保されるものの、目視で行われるため個人差が出るという問題が有った。
なお、海藻・海草の被度階級とは、被度(%)を所定範囲ごとに区分して、区分ごとに設定された階級のことをいい、例えば、被度5%未満を階級1、被度5~25%を階級2などとする。
【0004】
そこで、藻場の画像から藻の生育状況を取得し、当該藻場の面積をコンピュータに導出させる方法が提案された(例えば、特許文献1参照)。特許文献1に開示の藻場評価装置は、パーソナルコンピュータ、サーバー、スマートフォン、タブレットコンピュータ又は産業用コンピュータ等の装置によって実現されるとし、藻場の画像から藻の生育状況を取得し、取得した藻の生育状況に基づいて藻場の面積を導出するとしている。
しかし、特許文献1は藻場評価装置が藻場の画像から藻場の面積を導出する具体的方法について開示するものでは無かった。
【0005】
藻場の画像から植被面積を求める際に長さの基準として利用されるコドラートは、依然として人が水中に潜って設置しており煩雑であった。そこで、藻場における植被面積の導出に必要となる長さの基準の設置の煩雑さを軽減することができる技術の登場が望まれた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2023-135742号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
そこで、本発明は、藻場における植被面積の導出に必要となる長さの基準の設置の煩雑さを軽減することができる測定システム、測定方法、及び測定プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
すなわち、第1の態様に係る測定システムは、カメラを搭載した無人小型潜水艇又は無人小型水上艇を用いた藻場における植物が地表を覆っている植被範囲の面積を測定する測定システムであって、無人小型潜水艇又は無人小型水上艇に備えられ、カメラの被写体とともに撮影されることで被写体の大きさの基準を示す指標となる既知の長さを有する長さ基準を、カメラの撮影範囲内に設置する長さ基準設置部と、長さ基準がカメラの撮影範囲内に設置された状態で、カメラを用いて藻場を撮影した撮影画像を画像情報として取得する画像情報取得部と、画像情報を画像解析処理することで、撮影画像の所定範囲の内部における植被範囲を画像情報から抽出する植被範囲抽出部と、所定範囲の内部における植被範囲が所定範囲に対して占有する割合を被度として算出する被度算出部と、撮影画像に含まれる長さ基準に基づいて、所定範囲の面積を算出する所定範囲面積算出部と、被度と所定範囲の面積とに基づいて、所定範囲の内部における植被範囲の面積を算出する植被範囲面積算出部と、を備えることを特徴とする。
【0009】
第2の態様は、第1の態様に係る測定システムにおいて、長さ基準設置部は、無人小型潜水艇又は無人小型水上艇に搭載されたレーザー光照射装置に対して指示を与え、レーザー光照射装置は、レーザー光の一対の照射口を備え、一対の照射口からそれぞれ照射されるレーザー光は平行であり、一対の照射口の離間距離は既知であり、レーザー光は、ポインティングレーザー又はラインレーザーであり、長さ基準は、一対の照射口から地表に対して照射される一対のレーザー光の照射位置の離間距離であり、所定範囲面積算出部は、撮影画像中の一対のレーザー光の照射位置の離間距離に基づいて撮影画像中の所定範囲の面積を算出することとしてもよい。
【0010】
第3の態様は、第1の態様に係る測定システムにおいて、長さ基準は、既知の大きさのコドラートであり、長さ基準設置部は、コドラートをカメラの撮影範囲内の地表に設置することとしてもよい。
【0011】
第4の態様は、第2の態様に係る測定システムにおいて、無人小型潜水艇又は無人小型水上艇は、無人小型潜水艇又は無人小型水上艇の姿勢角を計測する姿勢角センサと、カメラの撮影時の姿勢角に応じて撮影画像に含まれる長さ基準を補正する長さ基準補正部と、を更に備えることとしてもよい。
【0012】
第5の態様は、第1の態様に係る測定システムにおいて、植被範囲抽出部は、画像セグメンテーションを用いて画像情報を画像解析処理することで、撮影画像から植被範囲を抽出することとしてもよい。
【0013】
第6の態様は、第2の態様に係る測定システムにおいて、撮影画像における一対のレーザー光の照射位置を検出する照射位置検知部と、一対のレーザー光の照射位置の離間距離を測定する離間距離測定部と、を更に備えることとしてもよい。
【0014】
第7の態様に係る測定方法は、カメラを搭載した無人小型潜水艇又は無人小型水上艇を用いた藻場における植物が地表を覆っている植被範囲の面積を測定する測定システムに用いられる測定方法であって、測定システムは、無人小型潜水艇又は無人小型水上艇に備えられ、カメラの被写体とともに撮影されることで被写体の大きさの基準を示す指標となる既知の長さを有する長さ基準を、カメラの撮影範囲内に設置する長さ基準設置ステップと、長さ基準がカメラの撮影範囲内に設置された状態で、カメラを用いて藻場を撮影した撮影画像を画像情報として取得する画像情報取得ステップと、画像情報を画像解析処理することで、撮影画像の所定範囲の内部における植被範囲を画像情報から抽出する植被範囲抽出ステップと、所定範囲の内部における植被範囲が所定範囲に対して占有する割合を被度として算出する被度算出ステップと、撮影画像に含まれる長さ基準に基づいて、所定範囲の面積を算出する所定範囲面積算出ステップと、被度と所定範囲の面積とに基づいて、所定範囲の内部における植被範囲の面積を算出する植被範囲面積算出ステップと、を実行することを特徴とする。
【0015】
第8の態様に係る測定プログラムは、カメラを搭載した無人小型潜水艇又は無人小型水上艇を用いた藻場における植物が地表を覆っている植被範囲の面積を測定する測定システムに用いられる測定プログラムであって、測定システムに、無人小型潜水艇又は無人小型水上艇に備えられ、カメラの被写体とともに撮影されることで被写体の大きさの基準を示す指標となる既知の長さを有する長さ基準を、カメラの撮影範囲内に設置する長さ基準設置機能と、長さ基準がカメラの撮影範囲内に設置された状態で、カメラを用いて藻場を撮影した撮影画像を画像情報として取得する画像情報取得機能と、画像情報を画像解析処理することで、撮影画像の所定範囲の内部における植被範囲を画像情報から抽出する植被範囲抽出機能と、所定範囲の内部における植被範囲が所定範囲に対して占有する割合を被度として算出する被度算出機能と、撮影画像に含まれる長さ基準に基づいて、所定範囲の面積を算出する所定範囲面積算出機能と、被度と所定範囲の面積とに基づいて、所定範囲の内部における植被範囲の面積を算出する植被範囲面積算出機能と、を実現させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明に係る測定システムは、カメラを搭載した無人小型潜水艇又は無人小型水上艇を用いた藻場における植物が地表を覆っている植被範囲の面積を測定する測定システムであって、無人小型潜水艇又は無人小型水上艇に備えられ、カメラの被写体とともに撮影されることで被写体の大きさの基準を示す指標となる既知の長さを有する長さ基準を、カメラの撮影範囲内に設置する長さ基準設置部と、長さ基準がカメラの撮影範囲内に設置された状態で、カメラを用いて藻場を撮影した撮影画像を画像情報として取得する画像情報取得部と、画像情報を画像解析処理することで、撮影画像の所定範囲の内部における植被範囲を画像情報から抽出する植被範囲抽出部と、所定範囲の内部における植被範囲が所定範囲に対して占有する割合を被度として算出する被度算出部と、撮影画像に含まれる長さ基準に基づいて、所定範囲の面積を算出する所定範囲面積算出部と、被度と所定範囲の面積とに基づいて、所定範囲の内部における植被範囲の面積を算出する植被範囲面積算出部と、を備えることを特徴とするので、藻場における植被面積の導出に必要となる長さの基準の設置の煩雑さを軽減することができる。
【0017】
また、本発明に係る測定方法及び測定プログラムは、本発明に係る測定システムと同様に、藻場における植被面積の導出に必要となる長さの基準の設置の煩雑さを軽減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1図1は本開示の第1実施形態の測定システムのハードウェア構成の一例について説明するためのブロック図である。
図2図2は本開示の第1実施形態に用いる無人小型潜水艇の構成の一例を示す図である。
図3図3は本開示の第1実施形態に用いる無人小型潜水艇の構成の一例を示す図である。
図4図4は本開示の第1実施形態の測定システムが行う画像解析処理の手順の一例について説明するための図である。
図5図5は本開示の第1実施形態の測定システムの機能的構成の一例について説明するためのブロック図である。
図6図6は海藻・海草の被度階級について説明するための図である。
図7図7は本開示の第1実施形態に用いる無人小型潜水艇の第1変形例について説明するための図である。
図8図8は本開示の第1実施形態に用いる無人小型潜水艇の第2変形例について説明するための図である。
図9図9は本開示の第2実施形態に用いる無人小型潜水艇の構成の一例を示す図である。
図10図10は本開示の第2実施形態に用いる無人小型潜水艇の構成の一例を示す図である。
図11図11は本開示の一実施形態に係る測定プログラムのフローチャートの一例である。
図12図12は本開示の他の実施形態に係る測定プログラムのフォローチャートの一例である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
(本開示の第1実施形態について)
図1乃至図8を参照して、本開示の第1実施形態に係る測定システム10及び無人小型潜水艇20について説明する。
また、測定システム10は、無人小型潜水艇20に代えて、無人小型水上艇(不図示)を用いる場合があり、この場合についても併せて以下に説明する。
測定システム10は、前向きカメラ22を搭載した無人小型潜水艇20又は無人小型水上艇(不図示)を用いた藻場46(図4参照)における植物が地表を覆っている植被範囲の面積を測定する。
本開示の第1実施形態に係る測定システム10を用いて行う藻場46の被度及び植被面積の測定は、藻場の有無を調査する広域藻場モニタリングの広範囲の面的把握とは異なり、調査対象の藻場46における代表的な地点(モニタリング定点)で行われる。
藻場46における代表的な地点は、海藻・海草39(図4参照)の生育状況を把握できる代表的な地点であることが望ましい。
また、本開示の第1実施形態に係る測定システム10を用いて行う藻場46の被度及び植被面積の測定は、上記の調査対象の藻場46における代表的な地点(モニタリング定点)に限るものでは無く、様々な手法及び用途を想定している。例えば、小規模の藻場46の全範囲の被度及び植被面積の測定に、本開示の第1実施形態に係る測定システム10を用いてもよい。
【0020】
(第1実施形態に係る測定システム10のハードウェア構成について)
図1を参照して測定システム10のハードウェア構成の一例について説明する。図1は測定システム10のハードウェア構成の一例について説明するためのブロック図である。
測定システム10は、所謂コンピュータであり、サーバー、パーソナルコンピュータ(以下PCという)、ノートPC、タブレット型PC、及びスマートフォンなどにより実現可能であり、通信インターフェース10a、ROM(Read Only Memory)10b、RAM(Random Access Memory)10c、記憶部10d、処理部10e、及び入出力インターフェース10f等を備えている。
【0021】
通信インターフェース10aは、測定システム10が扱うデータについて、有線通信又は無線通信により他の機器との間の送受信を行う機能を備える。測定システム10は、情報通信ネットワーク15と通信インターフェース10aを介して接続されてもよく、情報通信ネットワーク15を介して他の機器との間のデータの送受信を行ってもよい。
測定システム10がブルートゥース(登録商標)により他の機器と接続する場合は、通信インターフェース10aはブルートゥースのインターフェースとなる。また、測定システム10が無線LANにより他の機器と接続する場合は、通信インターフェース10aは無線LANのインターフェースとなる。
他の機器とは、無人小型潜水艇20又は無人小型水上艇(不図示)などであってもよい。無人小型潜水艇20及び無人小型水上艇は、専用のコントローラ(不図示)によって操縦されるが、測定システム10によって予め設計されたプログラムにしたがって操縦されてもよい。
【0022】
記憶部10dは、測定システム10の記憶装置として利用でき、例えば、ハードディスクドライブ(Hard Disk Drive)、ソリッドステートドライブ(Solid State Drive)、及びフラッシュメモリ(Flash Memory)などで構成され、更にはクラウドストレージを利用して記憶部10dを構成することもできる。
また、測定システム10の記憶部10dは、後述の測定プログラム、測定システム10が動作する上で必要となるOS(Operating System)、その他の各種アプリケーション、及び当該アプリケーションによって利用される各種データなどが記憶される。
【0023】
処理部10eは、CPU(Central Processing Unit)、MPU(Micro Processing Unit)、GPU(Graphic Processing Unit)等を含み、集積回路(IC(Integrated circuit)チップ、LSI(Large-Scale Integration))等により形成された論理回路や専用回路によって実現される。
【0024】
測定システム10は、後述する測定プログラムをROM10b若しくは記憶部10dに保存し、RAM10cなどで構成されるメインメモリに当該測定プログラムを取り込む。処理部10eは、測定プログラムを取り込んだメインメモリにアクセスして、測定プログラムを実行する。
【0025】
入出力インターフェース10fは、測定システム10の外部装置に対してデータなどの送受信を行う。外部装置とは、測定システム10に対してデータなどの入出力を行う入力装置11及び出力装置12のことである。入力装置11は例えば前向きカメラ11a、姿勢角センサ11b、キーボード及びマウスなどのことであり、出力装置12は例えばレーザー光照射装置12a、モニタ、プリンタ、及びスピーカなどのことである。
なお、前向きカメラ11a及び姿勢角センサ11bは、無人小型潜水艇20又は無人小型水上艇に搭載される。
姿勢角センサ11bとは、慣性計測装置(inertial measurement unit:IMU)を用いてもよい。IMUは、3軸のジャイロと3方向の加速度計によって、3次元の角速度と加速度が求められる。
【0026】
(第1実施形態に係る無人小型潜水艇20の構成について)
図2及び図3を参照して、無人小型潜水艇20の構成の一例について説明する。図2及び図3は無人小型潜水艇20の構成の一例を示す図である。図3(a)は無人小型潜水艇20を上方から見た場合の平面図であり、図3(b)は無人小型潜水艇20を前方から見た場合の正面図である。
無人小型潜水艇20とは、水中を潜水及び潜航が可能な小型無人機のことを言い、水中ドローン又はROV(Remotely Operated Vehicle)とも呼ばれる。無人小型潜水艇20は、陸上及び船上などの遠隔から操縦可能であり、搭載された前向きカメラ22を用いて撮影したリアルタイムの映像を確認することができる。
また、無人小型潜水艇20は自律型無人潜水艇(autonomous underwater vehicle:AUV)であってもよい。自律型無人潜水機は、遠隔操作を必要とせず、予め設定された目的地に向かって又はルートに沿って自律型無人潜水機本体が自律的に状況を判断して潜水及び潜航が可能である。
無人小型潜水艇20は、8基のスラスター26と呼ばれるスクリュウーが搭載されて、前後左右の水平移動、及び機体21の角度を変えるピッチ方向の回転、ロー方向の回転が可能であり、所定の角度範囲内で自由自在に移動することができる。なお、この所定の角度範囲は、無人小型潜水艇20に用いられる機種によって異なり、360度自由自在に移動することができる機種もあれば、360度未満の角度範囲内で自由自在に移動可能となる機種もある。
無人小型潜水艇20は、給電ケーブル25に接続されて給電を受けて駆動するがこれに限らず、バッテリ(不図示)を搭載してバッテリからの電力によって駆動することもできる。
【0027】
無人小型潜水艇20は、機体21の前方先端部分に前向きカメラ22、前向き照射口23、24、及び前向きライト27を備える(図2及び図3(a)参照)。
前向きカメラ22は、機体21の前方向の撮影に用いられる。
前向き照射口23、24は、レーザー光照射装置12aのポインティングレーザーである前向きレーザー光23a、24aを機体21の前方向に互いに平行に照射する。前向きレーザー光23a、24aは、前向きカメラ22の撮像方向の光軸に対して平行であってもよく、機体21の全長方向21a(図3(a)参照)に対して平行であってもよい。
ポインティングレーザーとは、レーザーのエネルギーが物体に当たる際の照射位置に形成される光の形状が点であるレーザー光のことをいう。
レーザー光はグリーンレーザーが採用されるが、これに限らずレッドレーザーであってもよい。グリーンレーザーはレッドレーザーよりも明るく見えて、特に海中45、屋外、及び明るい場所での視認性が高いのが特徴である。
なお、カメラ(前向きカメラ22、下向きカメラ30)の撮影時、水中が濁り透視度が低くレーザー光の照射位置の視認性が悪い場合に、視認性を向上させるためにレーザー光を点滅させてもよい。また、カメラ(前向きカメラ22、下向きカメラ30)の撮影時の水中の透視度に応じて、レーザー光の点滅速度又はレーザー光の出力を調節することでレーザー光の照射に要する消費電力を抑制するようにしてもよい。
前向き照射口23と前向き照射口24との間の離間距離23cは、予め設定された既知の値である。
前向き照射口23より照射された前向きレーザー光23aと前向き照射口24より照射された前向きレーザー光24aとは平行である。
照射位置23bは、前向きレーザー光23aが地表38に対して入射した位置である。照射位置24bは、前向きレーザー光24aが地表38に対して入射した位置である。
照射位置23bと照射位置24bとの離間距離24cは、後述の長さ基準となり、既知の長さである離間距離23cと一致させるために、前向きレーザー光23a、24aは地表38に対して垂直に入射することが望ましい。前向き照射口23、24は、前向きレーザー光23a、24aを機体21の全長方向21aに対して平行であって前方向に照射するので、前向きレーザー光23a、24aの照射時の機体21は地表38に対して垂直になるように制御される。この制御は姿勢角センサ11bが計測する機体21の姿勢角に基づいて行われる。
なお、前向きライト27は、前向きカメラ22の撮影時の照度が不足している場合などに、前向きカメラ22の被写体に光を当てるために用いられる。
【0028】
更に無人小型潜水艇20は、機体21の底面部に下向きカメラ30、下向き照射口35、36、及び下向きライト(不図示)を備える(図3(b)参照)。
下向きカメラ30は、機体21の真下方向の撮影に用いられる。なお、姿勢角センサ11bを用いて無人小型潜水艇20の姿勢角の制御が可能である場合、下向きカメラ30の搭載は必須ではない。即ち、下向きカメラ30を用いる代わりに、無人小型潜水艇20の姿勢角を変えて前向きカメラ22を用いてもよい。
下向き照射口35、36は、レーザー光照射装置12aのポインティングレーザーである下向きレーザー光35a、36aを機体21の高さ方向21bに対して平行であって下方向に照射する。
下向き照射口35と下向き照射口36との間の離間距離35cは、予め設定された既知の値である。
下向き照射口35より照射された下向きレーザー光35aと下向き照射口36より照射された下向きレーザー光36aとは平行である。
照射位置35bは、下向きレーザー光35aが地表38に対して入射した位置である。照射位置36bは、下向きレーザー光36aが地表38に対して入射した位置である。
照射位置35bと照射位置36bとの離間距離36cは、後述の長さ基準となり、既知の長さである離間距離35cと一致させるために、下向きレーザー光35a、36aは地表38に対して垂直に入射することが望ましい。下向き照射口35、36は、下向きレーザー光35a、36aを機体21の高さ方向21bに対して平行であって真下方向に照射するので、下向きレーザー光35a、36aの照射時の機体21は地表38に対して平行になるように制御される。この制御は姿勢角センサ11bが計測する機体21の姿勢角に基づいて行われる。
なお、下向きライト(不図示)は、下向きカメラ30の撮影時の照度が不足している場合などに、下向きカメラ30の被写体に光を当てるために用いられる。
【0029】
(第1実施形態に係る無人小型水上艇の構成について)
無人小型水上艇とは、無人で海上を航行することが可能な小型の無人艇(Unmanned Surface Vehicle:USV)のことを言い、水上ドローンなどとも呼ばれる。無人小型水上艇は、陸上及び船上などの遠隔からの操縦が可能であるとともに、GPS(Global Positioning System:全地球衛星測位システム)から取得する位置情報を利用する自律航行が可能である。
無人小型水上艇は、無人小型潜水艇20と同様に、レーザー光照射装置12aが搭載される。
無人小型水上艇は、船首に、無人小型潜水艇20と同様に、前向きカメラ22、前向き照射口23、24、及び前向きライト27が設置される。
前向きカメラ22は、水中の無人小型水上艇の前方向の撮影に用いられる。
また、無人小型水上艇は、船底に、無人小型潜水艇20と同様に、下向きカメラ30、下向き照射口35、36、及び下向きライト(不図示)が設置される。
下向きカメラ30は、無人小型水上艇の真下方向の撮影に用いられる。
【0030】
(測定システム10の画像解析処理について)
図4を参照して、測定システム10が行う画像解析処理の手順の一例である手順1~3について説明する。図4は測定システム10が行う画像解析処理の手順の一例について説明するための図である。
無人小型潜水艇20、及び無人小型水上艇に搭載されたカメラ(前向きカメラ22、下向きカメラ30)によって海中45の藻場46を撮影して取得した撮影画像37に対して画像解析処理を行う。
【0031】
手順1(図4(a)参照)
無人小型潜水艇20、及び無人小型水上艇からレーザー光(前向きレーザー光23a、24a又は下向きレーザー光35a、36a:図3参照)を藻場46の地表38に対して照射した状態で、カメラ(前向きカメラ22又は下向きカメラ30:図3参照)によって藻場46を撮影し撮影画像37を画像情報として取得する。撮影画像37には、レーザー光(前向きレーザー光23a、24a又は下向きレーザー光35a、36a)の照射位置40、41、地表38、及び海藻・海草39などが写(顕像)される。
なお、測定システム10の機能部である後述の画像情報取得部61が、カメラ(前向きカメラ22又は下向きカメラ30)から撮影画像37を画像情報として取得する。
【0032】
手順2(図4(b)参照)
画像情報取得部61により取得された画像情報に対して画像解析処理を行うことで、レーザー光(前向きレーザー光23a、24a又は下向きレーザー光35a、36a:図3参照)の照射位置40、41が特定され、照射位置40、41の間の離間距離42に相当するピクセル数と、レーザー光(前向きレーザー光23a、24a又は下向きレーザー光35a、36a)の照射口(前向き照射口23、24、又は下向き照射口35、36:図3参照)の間の離間距離(離間距離23c又は離間距離35c:図3参照)とを比較して、1ピクセルあたりに相当する実際の長さを算出し、撮影画像37の被写体の大きさの基準を示す指標であるスケールを把握する。
スケールとは、撮影画像37内の物体の実際の長さと撮影画像37上のピクセル数との関係を示す。具体的には、以下の方法でスケールを表現する。撮影画像37のスケールは、例えば撮影画像37内にスケールバー43(図4(c)参照)として表示してもよい。スケールバー43は、撮影画像37上での長さが実際にどのような長さに相当するのかを示すものであり、図4(c)に示すスケールバー43は50cmに相当するが、これに限定されるものではなく撮影画像37上の倍率(縮尺)によってスケールバー43が示す長さは異なる。スケールバー43があることで、撮影画像37上の倍率(縮尺)を正確に知ることができる。
また、撮影画像37上の1ピクセルあたりに相当する実際の長さに基づいて、撮影画像37に含まれる範囲の面積を算出することができ、例えば撮影画像37内に設定した任意の矩形範囲(例えば、撮影画像37に写る全範囲)の面積、又は撮影画像37内に設定した任意形状の範囲を算出することができる。
なお、測定システム10の機能部である後述の照射位置検知部64によって照射位置40、41が特定され、後述の離間距離測定部65によって離間距離42に相当するピクセル数が特定される。
【0033】
手順3(図4(c)参照)
画像情報取得部61により取得された撮影画像37の画像情報に対して、画像セグメンテーションを用いた画像解析処理を行うことで、撮影画像37から植被範囲が抽出され、撮影画像37の撮像範囲内における藻場46の被度が計算される。図4(c)において、黒ドットのハッチングされた範囲が、撮影画像37から抽出された植被範囲となる。
そして、手順2で算出された撮影画像37に写る全範囲の面積と、撮影画像37の被度とを掛け合わせることで、撮影画像37の海藻・海草39に地表38が覆われている範囲の面積を算出することができる。
画像セグメンテーションとは、デジタル画像を複数の画像セグメント(画像領域又は画像オブジェクト)に分割する手法である。具体的には、画像セグメンテーションとは、同じラベルを持つピクセルが特定の特性を共有するように、画像内の全てのピクセルにラベルを割り当てる手法である。
画像セグメンテーションは、セマンティック・セグメンテーション、インスタンス・セグメンテーション、及びパノプティック・セグメンテーションの3種類があり、状況に応じて使い分けられる。
セマンティック・セグメンテーションは、画像のピクセルごとに対して、そのピクセルがどの物体又は領域に属するかのラベル付けを行い、画像に含まれる物体又は領域を分類し特定する手法である。
インスタンス・セグメンテーションは、物体検出の個体ごとの位置検出と、セマンティック・セグメンテーションのピクセルレベルでの意味検出の両方の特徴を持つ技術のことをいう。
パノプティック・セグメンテーションは、セマンティック・セグメンテーションとインスタンス・セグメンテーションとを組み合わせた手法であり、一枚の画像の中の各物体を個別に識別し、それぞれの境界を正確に描写する手法である。
植被範囲とは、海藻・海草39によって地表38が覆われている範囲のことをいう。
なお、測定システム10の機能部である後述の植被範囲抽出部62によって撮影画像37から植被範囲が抽出され、後述の被度算出部63によって被度が計算され、後述の所定範囲面積算出部67により撮影画像37に写る全範囲の面積が計算され、後述の植被範囲面積算出部68により撮影画像37の海藻・海草39に地表38が覆われている範囲である植被範囲の面積が計算される。
【0034】
(測定システム10の機能的構成について)
図5を参照して、測定システム10の機能的構成について説明する。図5は測定システム10の機能的構成の一例について説明するためのブロック図である。
測定システム10は、後述する測定プログラムを実行することで、処理部10eに、長さ基準設置部60、画像情報取得部61、植被範囲抽出部62、被度算出部63、照射位置検知部64、離間距離測定部65、長さ基準補正部66、所定範囲面積算出部67、及び植被範囲面積算出部68などの機能部を備える。
【0035】
長さ基準設置部60は、無人小型潜水艇20、及び無人小型水上艇に備えられ、カメラ(前向きカメラ22、下向きカメラ30)の被写体とともに撮影されることで被写体の大きさの基準を示す指標となる既知の長さを有する長さ基準を、カメラ(前向きカメラ22、下向きカメラ30)の撮影範囲内に設置する。
本実施形態において、カメラ(前向きカメラ22、下向きカメラ30)の被写体とは、カメラの撮影範囲に含まれる藻場46のことであり、藻場46に含まれる海藻・海草39、地表38、照射位置40、41、及び照射位置40、41の間の離間距離42などのことをいう。
【0036】
長さ基準設置部60は、無人小型潜水艇20、及び無人小型水上艇に搭載されたレーザー光照射装置12aに対して指示を与える。
レーザー光照射装置12aは、レーザー光の一対の照射口(前向き照射口23、24、又は下向き照射口35、36)を備える。ここでいうレーザー光とは、前向きレーザー光23a、24a、又は下向きレーザー光35a、36aのことを言う。また、一対の照射口とは、前向きレーザー光23a、24aの照射口となる前向き照射口23、24のことであり、下向きレーザー光35a、36aの照射口となる下向き照射口35、36のことである。
前向きレーザー光23aと前向きレーザー光24aとは平行であり、下向きレーザー光35aと下向きレーザー光36aとは平行である。
一対の照射口である前向き照射口23と前向き照射口24との離間距離は既知であり、一対の照射口である下向き照射口35と下向き照射口36との離間距離は既知である。
前向きレーザー光23a、24aはポインティングレーザー又はラインレーザーである。前向きレーザー光23aと前向きレーザー光24aとは同種のレーザー光であり、ポインティングレーザー又はラインレーザーの何れかである。
下向きレーザー光35a、36aは、前向きレーザー光23a、24aと同様に、ポインティングレーザー又はラインレーザーである。下向きレーザー光35aと下向きレーザー光36aとは同種のレーザー光であり、ポインティングレーザー又はラインレーザーの何れかである。
図3(a)に示す様に前向き照射口23、24からレーザー光を照射する場合、長さ基準は、一対の照射口(前向き照射口23、24)から地表38に対して照射される一対のレーザー光(前向きレーザー光23a、24aの照射位置23b、24bの離間距離24cである。
図3(b)に示す様に下向き照射口35、36からレーザー光を照射する場合、長さ基準は、一対の照射口(下向き照射口35、36)から地表38に対して照射される一対のレーザー光(下向きレーザー光35a、36aの照射位置35b、36bの離間距離36cである。
【0037】
画像情報取得部61は、長さ基準がカメラの撮影範囲内に設置された状態で、カメラを用いて藻場46を撮影した撮影画像37を画像情報として取得する。
カメラとして前向きカメラ22を用いた場合、長さ基準は離間距離24cである(図3(a)参照)。また、カメラとして下向きカメラ30を用いた場合、長さ基準は離間距離36cである(図3(b)参照)。
【0038】
植被範囲抽出部62は、画像情報を画像解析処理することで、撮影画像37の所定範囲の内部における植被範囲を画像情報から抽出する。
植被範囲抽出部62は、画像セグメンテーションを用いて画像情報を画像解析処理することで、撮影画像37から植被範囲を抽出する。
所定範囲とは撮影画像37に写る全範囲であるが、これに限定されるものではなく、撮影画像37内において任意の範囲を設定することができる。
【0039】
被度算出部63は、所定範囲の内部における植被範囲が所定範囲に対して占有する割合を被度として算出する。
被度算出部63は、植被範囲抽出部62により撮影画像37から抽出された植被範囲が所定範囲である撮影画像37に写る全範囲に対して占有する割合を被度として算出する。
被度算出部63の算出の例として図4(c)を参照して以下に説明する。
植被範囲抽出部62により撮影画像37から抽出された植被範囲は、図4(c)に示す黒ドットでハッチングされた範囲である。被度算出部63は、黒ドットでハンチングされた範囲の所定範囲である撮影画像37に写る全範囲に対して占有する割合を被度として計算する。
【0040】
照射位置検知部64は、撮影画像37における一対のレーザー光の照射位置40、41を検出する。
照射位置検知部64は、撮影画像37の画像情報に対して画像解析処理の物体検出を行うことで、撮影画像37に含まれる一対のレーザー光の照射位置40、41の位置を検出する。
物体検出とは、撮影した画像又は映像から、特定の物体の位置・種類・個数などの情報を検出することをいう。
物体検出に用いられる手法は、例えば、畳み込みニューラルネットワーク(CNN)を用いる手法、及びYOLO(You Only Look Once)を用いる手法などがある。
【0041】
離間距離測定部65は、一対のレーザー光の照射位置40、41の離間距離を測定する。
離間距離測定部65は、照射位置検知部64により検出された照射位置40、41の位置の間の離間距離42に相当するピクセル数を測定する。
照射位置40、41の位置の間の離間距離42は既知の値であるため、離間距離測定部65により測定された離間距離42に相当するピクセル数に基づいて、撮影画像37上の1ピクセルあたりに相当する実際の長さが算出される。
【0042】
長さ基準補正部66は、カメラ(前向きカメラ22、下向きカメラ30)の撮影時の姿勢角に応じて撮影画像37に含まれる長さ基準を補正する。
無人小型潜水艇20は無人小型潜水艇20の姿勢角を計測する姿勢角センサ11bを備える。
同様に、無人小型水上艇は無人小型水上艇の姿勢角を計測する姿勢角センサ11bを備える。
長さ基準補正部66は、姿勢角センサ11bに計測されたカメラ(前向きカメラ22、下向きカメラ30)の撮影時の無人小型潜水艇20、及び無人小型水上艇の姿勢角に応じて撮影画像37に含まれる長さ基準を補正する。
カメラ(前向きカメラ22、下向きカメラ30)の撮影時、一対の照射口(23、24、又は35、36:図3参照)から照射された一対のレーザー光(23a、24a、又は35a、36a)は地表38に対して垂直に入射するように無人小型潜水艇20の機体21、又は無人小型水上艇の姿勢角は制御される。
従って、前向きカメラ22を用いて撮影する場合の撮影時、機体21は地表38に対して垂直となり、下向きカメラ30を用いて撮影する場合の撮影時、機体21は地表38に対して平行となる。
しかし、カメラ(前向きカメラ22、下向きカメラ30)の撮影時、機体21の姿勢角がずれる場合があり、このずれ量に応じて基準長さがずれるので、この姿勢角のずれ量に応じて長さ基準補正部66は基準長さの長さを補正する。
【0043】
所定範囲面積算出部67は、撮影画像37に含まれる長さ基準に基づいて、所定範囲の面積を算出する。
所定範囲面積算出部67は、撮影画像37中の一対のレーザー光の照射位置40、41の離間距離42に基づいて撮影画像37中の所定範囲の面積を算出する。
離間距離42は既知の値であるため、離間距離測定部65により測定された離間距離42に相当するピクセル数に基づいて、撮影画像37上の1ピクセルあたりに相当する実際の長さが算出される。所定範囲面積算出部67は、撮影画像37上の1ピクセルあたりに相当する実際の長さに基づいて、撮影画像37中の所定範囲の面積を算出する。
撮影画像37中の所定範囲は撮影画像37に写る全範囲の面積であるので、所定範囲面積算出部67は、撮影画像37に写る全範囲の面積を算出する。
【0044】
植被範囲面積算出部68は、被度と所定範囲の面積とに基づいて、所定範囲の内部における植被範囲の面積を算出する。
植被範囲面積算出部68は、被度算出部63により算出された被度と、所定範囲面積算出部67により算出された所定範囲の面積とに基づいて、所定範囲の内部における植被範囲の面積を算出する。所定範囲は、撮影画像37に写る全範囲の面積が設定されているので、植被範囲面積算出部68は、撮影画像37に写る全範囲の内部における植被範囲の面積を算出する。
【0045】
図6を参照して、海藻・海草39の被度階級について説明する。図6は海藻・海草39の被度階級について説明するための図である。
海藻・海草39の被度階級は、海藻・海草39の被度を目視により測定する際に用いられる測定の基準となるものである。詳細には、海藻・海草39の被度階級は、コドラート28の内部における海藻・海草39の植被面積が占める割合(%)を5区分に区分するものであり、被度5%未満を階級1、被度5~25%を階級2、被度25~50%を階級3、被度50~75%を階級4、被度75~100%を階級5とし、階級ごとに対応する藻場46の写真が掲載される。
目視による観測者は、海藻・海草39の被度階級ごとに対応する写真の中から、測定対象となる藻場46で撮影された写真に最も近いものを選択する。
従って、海藻・海草39の被度階級を用いた、被度及び植被面積の測定は、具体的な数値を特定できない大まかな測定結果しか得ることができず、精度の高い測定はできず、更に目視で行われるため、ある程度の精度は確保できるものの測定結果に個人差がでるという問題の解消には至っていない。
これに対して、第1実施形態に係る測定システム10によれば、画像セグメンテーションを用いて画像情報を画像解析処理することで、撮影画像37から正確に植被範囲を抽出することができるので、被度及び植被面積においても具体的な数値として正確に算出することができる。
【0046】
(無人小型潜水艇20の第1変形例について)
図7を参照して、第1実施形態に用いる無人小型潜水艇20の第1変形例について説明する。図7は本開示の第1実施形態に用いる無人小型潜水艇20の第1変形例について説明するための図である。
無人小型潜水艇20は、図7に示す様に、前向きカメラ22に替えて、後付けカメラ32を用いてもよい。前向きカメラ22より高性能なカメラを使用したい場合、又は前向きカメラ22が故障した場合などに、後付けカメラ32を使用してもよい。
後付けカメラ32は、前向きレーザー光23a、24aの使用時に、前向きカメラ22の代わりに用いられ、前向きカメラ22と同方向、即ち、前向きレーザー光23a、24aの照射方向を撮像する。
後付けカメラ32は、アタッチメント48を介して無人小型潜水艇20の機体21に取り付けられる。なお、後付けカメラ32の例としては、市販品であるGoPro(登録商標)が用いられてもよい。
また、下向きカメラ30を用いる代わりに、機体21の真下方向の撮影に用いるために取り付けられた後付けカメラ(不図示)を用いてもよい。後付けカメラ(不図示)は、下向きレーザー光35a、36aの使用時に、下向きカメラ30の代わりに用いられ、下向きカメラ30と同方向、即ち、下向きレーザー光35a、36aの照射方向を撮像する。この場合も、下向きカメラ30より高性能なカメラを使用したい場合、又は下向きカメラ30が故障した場合などに、後付けカメラ(不図示)を使用してもよい。この後付けカメラ(不図示)についても、後付けカメラ32と同様に、市販品であるGoPro(登録商標)が用いられてもよい。
【0047】
(無人小型潜水艇20の第2変形例について)
図8を参照して、第1実施形態に用いる無人小型潜水艇20の第2変形例について説明する。図8は本開示の第1実施形態に用いる無人小型潜水艇20の第2変形例について説明するための図である。
無人小型潜水艇20は、図8に示す様に、レーザー光照射装置12aにより照射されるレーザー光について、ポインティングレーザーに替えてラインレーザーを用いる。
ラインレーザーとは、レーザーのエネルギーが物体に当たる際の照射位置に形成される光の形状が直線であるレーザー光のことをいう。
図8に示す様に、無人小型潜水艇20の機体21に設けられた一対の照射口より照射されたラインレーザー33、34は離間距離34aを形成する。
一対の前向き照射口23、24より照射される前向きレーザー光23a、24aについて、ポインティングレーザーに替えてラインレーザーを用いる場合、離間距離24cに替えて離間距離34aが照射位置の離間距離として地表38に形成される(図3(a)参照)。
一対の下向き照射口35、36より照射される下向きレーザー光35a、36aについて、ポインティングレーザーに替えてラインレーザーを用いる場合、離間距離36cに替えて離間距離34aが照射位置の離間距離として地表38に形成される。
なお、無人小型水上艇においても、無人小型潜水艇20と同等に、レーザー光としてラインレーザーを用いてもよい。
【0048】
(本開示の第2実施形態について)
図9及び図10を参照して、本開示の第2実施形態に係る測定システム10及び無人小型潜水艇20について説明する。図9及び図10は本開示の第2実施形態に用いる無人小型潜水艇20の構成の一例を示す図である。なお、図10(a)は無人小型潜水艇20がコドラート28を運び設置する様子を示しており、図10(b)は藻場46に設置されたコドラート28の様子を示している。
第2実施形態の長さ基準はコドラート28であり、第1実施形態の長さ基準の設置にレーザー光を用いる点で異なる。
従って、第2実施形態の説明において、第1実施形態と異なる点について説明し、第1実施形態と共通する点については詳細な説明を省略する。
なお、無人小型水上艇においても、無人小型潜水艇20と同様に、長さ基準としてコドラート28を用いてもよい。
【0049】
第2実施形態に係る測定システム10及び無人小型潜水艇20が用いる基準長さは、既知の大きさのコドラート28である。
コドラート28は正方形の枠であり、一辺の長さが1メートルであるが、これに限定されるものでは無く、特定の形状及び大きさに限定されるものではなく、利用者の用途に応じて形状及び大きさを変えてもよい。
コドラート28は、ポリ塩化ビニル管でできており、蛍光色のビニールテープを外表面に巻くことによって海中45における視認性を向上させている。
コドラート28はロープ50に繋がれている。ロープ50は、機体1の一部を構成するフレーム部51(図9参照)に引掛けられるなどして、機体1に繋がれており、無人小型潜水艇20はコドラート28を運ぶことができる。なお、ロープ50の本数は特に限定されるものでは無く、コドラート28は1本のロープ50で運ばれてもよく、2本以上のロープ50によって運ばれてもよい。
また、無人小型潜水艇20は、ロボットアーム(不図示)が装着されていてもよく、ロボットアームによってコドラート28の一部を掴んで運んでもよい。
コドラート28の設置時、コドラート28は目的地までロープ50に繋がれて無人小型潜水艇20に運ばれ、コドラート28の回収時、コドラート28はロボットアームに掴まれた状態で無人小型潜水艇20に運ばれてもよい。
長さ基準設置部60は、ロボットアームを利用してコドラート28を運び、コドラート28をカメラ(前向きカメラ22、下向きカメラ30)の撮影範囲内の地表38に設置する。
【0050】
以下、コドラート28を用いて行う、藻場46における植物が地表を覆っている植被範囲の面積を測定する手順1~5について説明する。
手順1
無人小型潜水艇20又は無人小型水上艇にコドラート28のロープ50を取り付けておく。
【0051】
手順2
無人小型潜水艇20又は無人小型水上艇のロボットアーム(不図示)を使って、コドラート28を運び、ロボットアームを操作することでコドラート28を放出し撮影の対象となる藻場46にコドラート28を設置する。
【0052】
手順3
無人小型潜水艇20又は無人小型水上艇の姿勢を制御して、地表38に対して機体21が平行となる状態にして下向きカメラ30によりコドラート28を含む範囲の藻場46を撮影する。
または、無人小型潜水艇20又は無人小型水上艇の姿勢を制御して、地表38に対して機体21が垂直となる状態にして前向きカメラ22によりコドラート28を含む範囲の藻場46を撮影する。
【0053】
手順4
撮影後、ロボットアームでコドラート28又はロープ50を掴み、無人小型潜水艇20を操縦し、コドラート28とともに無人小型潜水艇20を回収する。
【0054】
手順5
第1実施形態と同様に、測定システム10を用いて、撮影画像37から被度及び植被範囲の面積を把握する。
なお、植被範囲抽出部62、被度算出部63、所定範囲面積算出部67、及び植被範囲面積算出部68の動作における所定範囲は、コドラート28の枠内の全ての範囲である。
【0055】
(測定方法及び測定プログラムについて)
次に図11を参照して、本開示の一実施形態に係る測定プログラムについて、測定方法とともに説明する。図11は本開示の一実施形態に係る測定プログラムのフローチャートの一例である。
測定方法は、測定プログラムに基づいて、測定システム10の処理部10eにより実行される。
測定プログラムは、図11に示す様に、長さ基準設置ステップS60、画像情報取得ステップS61、植被範囲抽出ステップS62、被度算出ステップS63、所定範囲面積算出ステップS67、及び植被範囲面積算出ステップS68などを備える。
【0056】
測定プログラムは、測定システム10の処理部10eに対して、長さ基準設置機能、画像情報取得機能、植被範囲抽出機能、被度算出機能、所定範囲面積算出機能、及び植被範囲面積算出機能などの各種機能を実現させる。これらの機能は、図11のフローチャートに示される順に実行されるが、適宜、順序を入れ替えて実行することもできる。なお、各機能は前述の測定システム10の各種機能部の説明と重複するため、その詳細な説明は省略する。
【0057】
長さ基準設置機能は、無人小型潜水艇20、又は無人小型水上艇に備えられ、カメラ(前向きカメラ22、下向きカメラ30)の被写体とともに撮影されることで被写体の大きさの基準を示す指標となる既知の長さを有する長さ基準を、カメラ(前向きカメラ22、下向きカメラ30)の撮影範囲内に設置する(S60:長さ基準設置ステップ)。
【0058】
画像情報取得機能は、長さ基準がカメラ(前向きカメラ22、下向きカメラ30)の撮影範囲内に設置された状態で、カメラ(前向きカメラ22、下向きカメラ30)を用いて藻場46を撮影した撮影画像37を画像情報として取得する(S61:画像情報取得ステップ)。
【0059】
植被範囲抽出機能は、画像情報を画像解析処理することで、撮影画像37の所定範囲の内部における植被範囲を画像情報から抽出する(S62:植被範囲抽出ステップ)。
【0060】
被度算出機能は、所定範囲の内部における植被範囲が所定範囲に対して占有する割合を被度として算出する(S63:被度算出ステップ)。
【0061】
所定範囲面積算出機能は、撮影画像37に含まれる長さ基準に基づいて、所定範囲の面積を算出する(S67:所定範囲面積算出ステップ)。
【0062】
植被範囲面積算出機能は、被度と所定範囲の面積とに基づいて、所定範囲の内部における植被範囲の面積を算出する(S68:植被範囲面積算出ステップ)
【0063】
(他の実施形態に係る測定方法及び測定プログラムについて)
図12を参照して、他の実施形態に係る測定プログラムについて、測定方法とともに説明する。図12は他の実施形態に係る測定プログラムのフローチャートの一例である。
図12に示した他の実施形態に係る測定プログラムのフローチャートは、図11に示した測定プログラムのフローチャートと比べて、照射位置検知ステップS64、離間距離測定ステップS65、及び長さ基準補正ステップS66が追加された点で異なる。
他の実施形態に係る測定方法は、図12に示した他の実施形態に係る測定プログラムに基づいて、測定システム10の処理部10eにより実行される。
図12に示した他の実施形態に係る測定プログラムは、長さ基準設置ステップS60、画像情報取得ステップS61、植被範囲抽出ステップS62、被度算出ステップS63、照射位置検知ステップS64、離間距離測定ステップS65、長さ基準補正ステップS66、所定範囲面積算出ステップS67、及び植被範囲面積算出ステップS68などを備える。
【0064】
図12に示した他の実施形態に係る測定プログラムは、測定システム10の処理部10eに対して、長さ基準設置機能、画像情報取得機能、植被範囲抽出機能、被度算出機能、照射位置検知機能、離間距離測定機能、長さ基準補正機能、所定範囲面積算出機能、及び植被範囲面積算出機能などを実現させる。これらの機能は図12のフローチャートに示される順に実行されるが、適宜、順番を入れ替えて実行することもできる。
以下、図12に示した他の実施形態に係る測定方法、及び測定プログラムについて、図11に示した測定方法、及び測定プログラムに対して異なる点についてのみ説明する。
また、各機能は前述の測定システム10の各種機能部の説明と重複するため、その詳細な説明は省略する。
【0065】
照射位置検知機能は、撮影画像37における一対のレーザー光(前向きレーザー光23a、24a、下向きレーザー光35a、36a)の照射位置(照射位置23b、24b、照射位置35b、36b)を検出する(S64:照射位置検知ステップ)。
【0066】
離間距離測定機能は、一対のレーザー光(前向きレーザー光23a、24a、下向きレーザー光35a、36a)の照射位置(照射位置23b、24b、照射位置35b、36b)の離間距離(離間距離24c、離間距離36c)を測定する(S65:離間距離測定ステップ)。
【0067】
長さ基準補正機能は、カメラ(前向きカメラ22、下向きカメラ30)の撮影時の姿勢角に応じて撮影画像37に含まれる長さ基準を補正する。
【0068】
上記した実施形態によれば、カメラ(前向きカメラ22、下向きカメラ30)の撮影範囲内にレーザー光を照射することで、植被面積の算出に必要となる長さの基準を設置することができるので、人が海中45に潜ってコドラート28を設置する場合と比較して煩雑さは解消される。
【0069】
また、上記した実施形態によれば、無人小型潜水艇20、又は無人小型水上艇を用いてコドラート28をカメラ(前向きカメラ22、下向きカメラ30)の撮影範囲内に設置することができるので、人が海中45に潜ってコドラート28を設置する場合と比較して煩雑さは解消される。
【0070】
また、上記した実施形態によれば、画像セグメンテーションを用いて撮影画像37の画像情報を画像解析処理するので、撮影画像37から植被範囲を正確に抽出することができ、延いては撮影画像37に写る植被面積を正確に算出することができる。
【0071】
また、上記した実施形態によれば、無人小型潜水艇20及び無人小型水上艇は姿勢角センサ11bを搭載するので、カメラ(前向きカメラ22、下向きカメラ30)の撮影時の姿勢角に応じて撮影画像37に含まれる長さ基準を補正することができる。
【0072】
また、上記した実施形態によれば、撮影画像37に対して画像解析処理の物体検出を行うので、撮影画像37における一対のレーザー光の照射位置を正確に検出することができる。
【0073】
また、上記した実施形態によれば、撮影画像37にスケールバー43を表示することができるので、撮影画像37上の倍率(縮尺)を正確に知ることができる。
【0074】
なお、本開示は上記した実施形態に係る測定システム10、測定方法、及び測定プログラムに限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載した本発明の要旨を逸脱しない限りにおいて、その他種々の変形例、若しくは応用例により実施可能である。また、上記した実施形態では、「情報」の文言を使用しているが、「情報」の文言は「データ」と言い換えることができ、「データ」の文言は「情報」と言い換えることができる。
【符号の説明】
【0075】
10 測定システム
10a 通信インターフェース
10b ROM
10c RAM
10d 記憶部
10e 処理部
10f 入出力インターフェース
11 入力装置
11a カメラ
11b 姿勢角センサ
12 出力装置
12a レーザー光照射装置
15 情報通信ネットワーク
20 無人小型潜水艇(第1実施形態)
21 機体
21a (機体の)全長方向
21b (機体の)高さ方向
22 前向きカメラ
23 (ポインティングレーザー)前向き照射口
23a 前向きレーザー光
23b 照射位置
23c (前向き照射口の)離間距離
24 (ポインティングレーザー)前向き照射口
24a 前向きレーザー光
24b 照射位置
24c (照射位置の)離間距離
25 給電用ケーブル
26 スラスター(プロペラ)
27 前向きライト
28 コドラート
30 下向きカメラ
32 後付けカメラ
33 ラインレーザー光
34 ラインレーザー光
34a 離間距離
35 下向き照射口
35a 下向きレーザー光
35b 照射位置
35c 下向き照射口の離間距離
36 下向き照射口
36a 下向きレーザー光
36b 照射位置
36c 離間距離
37 撮影画像
38 地表
39 海藻・海草
40 照射位置
41 照射位置
42 (照射位置の間の)離間距離
43 スケールバー
45 海中
46 藻場
48 アタッチメント
49 前向きライト
50 ロープ
51 フレーム部
60 長さ基準設置部
61 画像情報取得部
62 植被範囲抽出部
63 被度算出部
64 照射位置検知部
65 離間距離測定部
66 長さ基準補正部
67 所定範囲面積算出部
68 植被範囲面積算出部
【要約】
【課題】 藻場の植被面積の導出に必要となる長さの基準の設置の煩雑さを軽減することができる測定システムを提供する。
【解決手段】 測定システムは、カメラを搭載した無人小型潜水艇等を用いた藻場の植被範囲の面積を測定し、無人小型潜水艇等に備えられカメラの被写体とともに撮影されることで被写体の大きさの基準を示す指標となる既知の長さを有する長さ基準を、カメラの撮影範囲内に設置し、長さ基準がカメラの撮影範囲内に設置された状態で、カメラを用いて藻場を撮影した撮影画像を画像情報として取得し、画像情報を画像解析処理することで、撮影画像の所定範囲の内部における植被範囲を画像情報から抽出し、所定範囲の内部における植被範囲が所定範囲に対して占有する割合を被度として算出し、撮影画像に含まれる長さ基準に基づいて、所定範囲の面積を算出し、被度と所定範囲の面積とに基づいて、所定範囲の内部における植被範囲の面積を算出する。
【選択図】図4
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12