(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-02-25
(45)【発行日】2025-03-05
(54)【発明の名称】制御装置、制御プログラム、表示システムおよび制御方法
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/22 20240101AFI20250226BHJP
【FI】
G06Q50/22
(21)【出願番号】P 2022573979
(86)(22)【出願日】2021-12-20
(86)【国際出願番号】 JP2021046932
(87)【国際公開番号】W WO2022149447
(87)【国際公開日】2022-07-14
【審査請求日】2023-07-06
(31)【優先権主張番号】P 2021001102
(32)【優先日】2021-01-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 ・ウェブサイトのアドレス https://shimane-u-pulmonary-oncology.jp/top.html 掲載日 令和2年1月14日 ・ウェブサイトのアドレス https://shimane-u-pulmonary-oncology.jp/top.html 掲載日 令和2年1月15日 ・ウェブサイトのアドレス https://www.jbc.co.jp/works/cpro-shimane-esure-ga-study/ 掲載日 令和2年2月16日 ・販売 販売日 令和2年12月31日 販売した場所 株式会社日本ブレーンの運営するウェブサイト: https://cinfinity-ga.com 公開者 株式会社日本ブレーン
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)令和元年度、国立研究開発法人日本医療研究開発機構、革新的がん医療実用化研究事業「高齢肺がん患者に対する機能評価を用いた多施設共同臨床試験」委託事業、産業技術力強化法第17条の適用を受ける特許出願
(73)【特許権者】
【識別番号】504155293
【氏名又は名称】国立大学法人島根大学
(73)【特許権者】
【識別番号】506386837
【氏名又は名称】株式会社日本ブレーン
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】津端 由佳里
(72)【発明者】
【氏名】礒部 威
(72)【発明者】
【氏名】小野寺 一孝
(72)【発明者】
【氏名】新田 辰彦
(72)【発明者】
【氏名】鍋田 海利里
【審査官】田川 泰宏
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2018/066465(WO,A1)
【文献】特開2020-201579(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
G16H 10/00-80/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示装置と、前記表示装置と送受信可能なサーバと、から構成される表示システムを制御する制御装置であって、
高齢者機能評価(GA;Geriatric Assessments)に含まれる複数の評価項目のそれぞれについて、被評価者の回答内容から評価結果を生成する生成部と、
前記生成部が生成した複数の前記評価結果を、一括して前記表示装置の表示画面に表示させる表示制御部と、を備え
、
前記生成部は、前記評価結果から、医師による介入が推奨されるか否かを判定し、前記介入が推奨されると判定した場合に、前記介入の内容を示す介入案をさらに生成し、
前記表示制御部は、前記介入案を、対応する前記評価結果と共に前記表示装置に表示させ、さらに、前記介入案が生成されなかった前記評価項目について、前記介入が不要であることを、対応する前記評価結果と共に前記表示装置に表示させる、制御装置。
【請求項2】
複数の前記評価項目には、前記被評価者における、認知機能と、身体機能と、気分と、栄養状態と、老年性症候群の有無と、合併症の有無と、社会支援の有無と、薬剤の使用状況と、のうちの少なくとも2つ以上が含まれる、請求項
1に記載の制御装置。
【請求項3】
前記生成部は、前記評価結果に、前記高齢者機能評価のガイドラインに記載されている前記評価項目と、それ以外の前記評価項目とを識別するための識別標識を付与する、請求項1または2に記載の制御装置。
【請求項4】
請求項1に記載の制御装置としてコンピュータを機能させるための制御プログラムであって、前記生成部および前記表示制御部としてコンピュータを機能させるための制御プログラム。
【請求項5】
表示装置と、前記表示装置と送受信可能なサーバとから構成され、少なくとも1つの制御装置により制御される表示システムであって、
前記制御装置は、
高齢者機能評価(GA;Geriatric Assessments)に含まれる複数の評価項目について、被評価者の回答内容から、それぞれ評価結果を生成する処理と、
前記生成する処理が生成した複数の前記評価結果を、一括して前記表示装置の表示画面に表示させる処理と、を実行
し、
前記生成する処理では、前記評価結果から、医師による介入が推奨されるか否かを判定し、前記介入が推奨されると判定した場合に、前記介入の内容を示す介入案をさらに生成し、
前記表示させる処理では、前記介入案を、対応する前記評価結果と共に前記表示装置に表示させ、さらに、前記介入案が生成されなかった前記評価項目について、前記介入が不要であることを、対応する前記評価結果と共に前記表示装置に表示させる、表示システム。
【請求項6】
表示装置と、前記表示装置と送受信可能なサーバと、から構成される表示システムを制御する制御方法であって、
高齢者機能評価(GA;Geriatric Assessments)に含まれる複数の評価項目について、被評価者の回答内容から、それぞれ評価結果を生成する生成ステップと、
前記生成ステップが生成した複数の前記評価結果を、一括して前記表示装置の表示画面に表示させる表示ステップと、を含
み、
前記生成ステップでは、前記評価結果から、医師による介入が推奨されるか否かを判定し、前記介入が推奨されると判定した場合に、前記介入の内容を示す介入案をさらに生成し、
前記表示ステップでは、前記介入案を、対応する前記評価結果と共に前記表示装置に表示させ、さらに、前記介入案が生成されなかった前記評価項目について、前記介入が不要であることを、対応する前記評価結果と共に前記表示装置に表示させる、制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高齢者機能評価の評価結果を一括して表示させる表示システムの制御装置、制御プログラム、制御方法および当該表示システムに関する。
【背景技術】
【0002】
高齢者機能評価(GA;Geriatric Assessments)は、高齢者に対するがん治療等で、医師による治療への介入が推奨されるか否かを評価できる評価ツールである(非特許文献1)。高齢者機能評価には複数の評価項目が存在しており、患者等の被評価者の状態を多面的に評価するためには、これら複数の評価項目を用いた評価の実施が重要である。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【文献】Mohile et al., Journal of Clinical Oncology 36, no. 22 (August 01, 2018) 2326-2347
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述のように、高齢者機能評価の適切な実施には、評価者は、複数の評価項目についてそれぞれ個別に被評価者へのアンケート等を行う必要がある。また、評価者は、複数の評価項目における評価結果をそれぞれ個別に確認する必要がある。このように、高齢者機能評価の実施は、評価者への負担が大きいという問題がある。
【0005】
本発明の一態様は、高齢者機能評価における複数の評価項目の評価結果を容易に確認可能な表示システム等を実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記の課題を解決するために、本発明の一態様に係る制御装置は、表示装置と、前記表示装置と送受信可能なサーバと、から構成される表示システムを制御する制御装置であって、高齢者機能評価(GA;Geriatric Assessments)に含まれる複数の評価項目のそれぞれについて、被評価者の回答内容から評価結果を生成する生成部と、前記生成部が生成した複数の前記評価結果を、一括して前記表示装置の表示画面に表示させる表示制御部と、を備える。
【0007】
前記の課題を解決するために、本発明の一態様に係る表示システムは、表示装置と、前記表示装置と送受信可能なサーバとから構成され、少なくとも1つの制御装置により制御される表示システムであって、前記制御装置は、高齢者機能評価(GA;Geriatric Assessments)に含まれる複数の評価項目について、被評価者の回答内容から、それぞれ評価結果を生成する処理と、前記生成する処理が生成した複数の前記評価結果を、一括して前記表示装置の表示画面に表示させる処理と、を実行する。
【0008】
前記の課題を解決するために、本発明の一態様に係る制御方法は、表示装置と、前記表示装置と送受信可能なサーバと、から構成される表示システムを制御する制御方法であって、高齢者機能評価(GA;Geriatric Assessments)に含まれる複数の評価項目について、被評価者の回答内容から、それぞれ評価結果を生成する生成ステップと、前記生成ステップが生成した複数の前記評価結果を、一括して前記表示装置の表示画面に表示させる表示ステップと、を含む。
【発明の効果】
【0009】
本発明の一態様によれば、高齢者機能評価における複数の評価項目の評価結果を容易に確認可能な表示システム等を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】一実施形態に係る表示システムの機能ブロックを示すブロック図である。
【
図2】一実施形態に係るサーバ制御装置の処理の一例を示すフローチャートである。
【
図3】評価項目、評価結果および介入案の一例を示す表である。
【
図4】表示装置の表示画面に表示される複数の評価結果の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
〔本発明の概要〕
本発明の一実施形態に係る表示システム1は、高齢者機能評価(GA;Geriatric Assessments)により得られた評価結果を、一括して表示させるシステムである。なお、本明細書では、特に断らない限り「高齢者機能評価」はGAを示す用語である。
【0012】
高齢者機能評価は、高齢者のがん治療に有用な評価方法である。しかしながら、複数にわたる評価項目について評価を実施する必要があり、患者等の被評価者は、各評価項目についてそれぞれ設問に回答しなければならない。また、医師等の評価者は、各評価項目についての患者による回答内容を、それぞれ個別に確認して、患者の治療について医師による介入が推奨されるか否かを検討する必要がある。
【0013】
このように、高齢者機能評価の実施には時間および労力を要する。患者の担当医等とは別に、高齢者機能評価の実施に注力可能な老年科医等の人材が十分に整備されている場合には、患者の担当医等は、高齢者機能評価を有効に活用しやすい。しかしながら、多くの国では、高齢者機能評価の実施に注力可能な人材の整備が十分ではなく、患者の担当医等が、診療と並行して高齢者機能評価を実施しなければならない状況となっている。このような状況下では、高齢者機能評価の十分な活用が困難であり、高齢者機能評価の有用性についても広く認知されにくい。
【0014】
本発明の一実施形態に係る表示システム1は、高齢者機能評価に含まれる複数の評価項目について、一括して評価結果を表示させることができる。このような表示システム1によれば、高齢者機能評価を実施する評価者の労力を軽減できる。表示システム1の詳細について、以下に説明する。
【0015】
〔表示システム〕
本発明の一実施形態に係る表示システム1ついて、
図1を参照して以下に説明する。
図1に示すように、本発明の一実施形態に係る表示システム1は、タブレット端末(表示装置)10と、サーバ20とから構成されている。
【0016】
(タブレット端末)
タブレット端末10は、端末制御装置11と、タッチパネル(表示画面)17と、端末記憶装置18と、端末通信装置19と、を有している。
【0017】
端末制御装置11は、タブレット端末10の各部を統括的に制御する部材である。端末制御装置11としては、例えばCPU(Central Processing Unit)が挙げられる。
【0018】
タッチパネル17は、タブレット端末10への入力を受け付ける入力装置と、タブレット端末10の表示画面とが、重畳的に構成された部材である。タブレット端末10のユーザは、タッチパネル17に表示された画像を確認でき、また、当該タッチパネル17へのタッチ操作等により、タブレット端末10への情報入力が可能である。タッチパネル17の種類は特に限定されないが、例えば、感圧方式または静電容量方式等を採用した入力装置と、液晶パネルまたは有機EL(Electro Luminescence)パネル等を採用した表示画面と、を備えるものであってよい。
【0019】
端末記憶装置18は、タブレット端末10のアプリケーション、設定情報および入力される情報等の各種情報を記憶する部材である。端末記憶装置18は、例えば、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)およびROM(Read Only Memory)が挙げられ、これらのうち1つであってもよく、複数の組み合わせであってもよい。
【0020】
端末通信装置19は、他の電子機器等との通信を行う部材である。端末通信装置19は、通信を行うために、インターネットに接続されてもよいし、ローカル通信ネットワークに接続されてもよいし、他の電子機器等と直接的に接続されてもよい。タブレット端末10は、端末通信装置19を介して、サーバ20と送受信可能に構成されている。
【0021】
なお、本発明の一実施形態に係る表示装置は、タブレット端末10に限られない。表示装置としては、例えば、スマートフォン、携帯電話またはPC(Personal Computer)であってもよく、通信機能を有するテレビ等のディスプレイ機器であってもよい。表示システム1が備える表示装置は、これらのうち1つであってもよく、複数の組み合わせであってもよい。
【0022】
(サーバ)
サーバ20は、サーバ制御装置(制御装置)21と、サーバ記憶装置28と、サーバ通信装置29と、を有している。
【0023】
サーバ記憶装置28の構成は、端末記憶装置18と同様の構成であってよい。なお、サーバ記憶装置28に、タブレット端末10の各種情報が記憶されていてもよい。また、サーバ通信装置29の構成は、端末通信装置19と同様の構成であってよい。サーバ20は、サーバ通信装置29を介して、タブレット端末10と送受信可能に構成されている。
【0024】
(サーバ制御装置)
サーバ制御装置21は、サーバ20の各部に加え、表示システム1を統括的に制御する部材である。サーバ制御装置21は、端末制御装置11と同様に、例えばCPU(Central Processing Unit)であってよい。サーバ制御装置21は、生成部22および表示制御部23を備えている。
【0025】
生成部22は、高齢者機能評価の実施対象となる患者(被評価者)が入力する回答内容から、評価結果を生成する。高齢者機能評価には複数の評価項目が存在しており、生成部22は、高齢者機能評価に含まれる複数の評価項目のそれぞれについて、患者の回答内容から評価結果を生成する。
【0026】
評価結果は、患者の回答内容から生成可能な、いかなる態様であってもよい。例えば、評価結果は、各評価項目中の設問ごとに設定された点数の合計等であってよいし、当該合計が閾値を超えたか否かの判定結果であってもよい。また、所定の設問への回答に「いいえ」と答えたか否かの判定結果であってもよい。
【0027】
複数の評価項目としては、患者における、認知機能と、身体機能と、気分と、栄養状態と、老年性症候群の有無と、合併症の有無と、社会支援の有無と、薬剤の使用状況と、のうちの少なくとも2つ以上が含まれていればよい。これらの評価項目は、高齢者機能評価の評価項目として、国内外における高齢者機能評価のガイドライン(例えば、非特許文献1)にて推奨されている評価項目である。
【0028】
また、複数の評価項目には、高齢者機能評価のガイドラインにて推奨されている評価項目以外の評価項目が含まれていてもよい。この場合、生成部22は、例えば、高齢者機能評価のガイドラインに記載されている評価項目と、それ以外の評価項目とが識別可能となるように、評価結果に識別情報を付与してもよい。当該識別情報は、例えば、高齢者機能評価のガイドラインに記載されている評価項目であるか否かの情報であってよい。これにより評価者は、例えば、施設特有または臨床試験中等の、高齢者機能評価のガイドラインに記載されていない評価項目についても、高齢者機能評価の信頼性を損ねない態様で、表示システム1に含めることができる。
【0029】
また、生成部22は、複数の評価項目の評価結果から、医師による介入が推奨されるか否かを判定してよい。また、生成部22は、医師による介入が推奨されると判定した場合に、介入の内容を示す介入案をさらに生成してもよい。医師による介入とは、医師が患者に対して行う内容であれば、特に限定されない。医師による介入の例としては、担当医とは異なる診療科の医師を紹介する、新しい治療方法を提案する、より詳細な評価を実施する等の方法による介入が挙げられる。
【0030】
表示制御部23は、生成部22が生成した複数の評価結果を一括して、タブレット端末10のタッチパネル17に表示させる処理を実行する。これにより、サーバ制御装置21は、高齢者機能評価に含まれる複数の評価項目について、評価結果を一括してタブレット端末10のタッチパネル17に表示できる。したがって、高齢者機能評価を行う医師等の評価者は、複数の評価結果について、表示画面を1回確認することで把握できる。そのため、評価者による評価結果の確認作業が容易になる。
【0031】
また、表示制御部23は、生成部22が介入案を生成した場合には、当該介入案を、対応する評価結果と共にタブレット端末10のタッチパネル17に表示させてもよい。これにより、サーバ制御装置21は、高齢者機能評価の評価結果に加えて、医師による介入が推奨されるか否か、および推奨される介入内容を、タブレット端末10のタッチパネル17に表示できる。なお、対応する評価結果および介入案とは、1つの評価項目における評価結果と、当該評価結果から生成された介入案とを示している。
【0032】
このような構成によれば、評価者は、複数の評価結果に加えて、医師による介入が推奨される項目の有無を、タッチパネル17の表示を確認することで、一括して容易に把握できる。また、評価者は、介入が推奨される項目が存在する場合に、推奨される介入の内容についても容易に確認できる。
【0033】
また、生成部22は、複数の評価項目について、患者がタッチパネル17により入力した回答内容から、評価結果を生成する。すなわち、患者は、タブレット端末10を用いて、複数の評価項目について一括して回答できる。そして、高齢者機能評価の評価者は、患者が使用したタブレット端末10のタッチパネル17の表示を確認することにより、複数の評価項目について、評価結果および介入案を一括して確認できる。したがって、表示システム1によれば、単一のタブレット端末10を用いて、高齢者機能評価をスムーズかつ容易に実施できる。
【0034】
なお、表示システム1において、患者が回答を入力するために使用する入力装置と、評価者が評価結果および介入案を確認するために使用する表示装置とは、それぞれ異なるものであってもよい。すなわち、表示システム1は、患者が回答を入力するために使用する入力装置を、さらに備えていてもよい。
【0035】
本実施形態では、サーバ制御装置21が表示システム1を制御する制御装置である。しかし、表示システム1を制御する制御装置はこれに限られず、端末制御装置11が表示システム1を制御する制御装置であってもよい。また、端末制御装置11およびサーバ制御装置21が分担して、表示システム1を制御する制御装置としての機能を実行してもよい。例えば、サーバ制御装置21が生成部を備え、端末制御装置11が表示制御部を備えていてもよい。
【0036】
また、表示システム1は、複数のサーバ20を備えていてもよい。この場合、サーバ制御装置21の各機能は、複数のサーバ20がそれぞれ分担して実行してもよい。
【0037】
〔表示システムの制御方法〕
本発明の一実施形態に係る制御方法について、
図2から
図4を参照して以下に説明する。本発明の一実施形態に係る制御方法は、タブレット端末10と、タブレット端末10と送受信可能なサーバ20と、から構成される表示システム1を制御する制御方法である。
【0038】
(生成ステップ)
本実施形態では、サーバ制御装置21が、表示システム1の制御を実行する。まず、サーバ制御装置21が備える生成部22は、高齢者機能評価の複数の評価項目について、それぞれ患者がタブレット端末10に入力した回答内容を取得する(S1)。なお、生成部22が取得するのは、患者が入力した回答内容に限られず、例えば、医師等の評価者が入力した内容が含まれていてもよい。
【0039】
図3に示すように、表示システム1では、高齢者機能評価の複数の評価項目として、8つの評価項目を用いている。また、表示システム1は、各評価項目について、患者への設問等が含まれるアンケート形式の評価ツールを採用している。例えば、表示システム1は、患者の老年性症候群の有無を評価する評価項目として「過去6か月間の転倒回数」の評価ツールを採用し、認知機能を評価する評価項目としては、「Mini-cog」の評価ツールを採用している。他の評価項目についても同様に、表示システム1は、各評価項目に対応する評価ツールをそれぞれ採用している。
【0040】
高齢者機能評価の各評価項目に用いる評価ツールについては、
図3に示すものに限られない。各評価項目についてそれぞれ複数の評価ツールが知られており、表示システム1は、評価項目ごとに任意の評価ツールを採用してよい。また、表示システム1は、1つの評価項目に対して、2つ以上の評価ツールを採用してもよい。また、本実施形態では8つの評価項目を高齢者機能評価に用いる例を示しているが、評価項目の数についても、2つ以上であれば特に限定されない。
【0041】
各評価項目に対応する評価ツールにはそれぞれ、選択肢を含む設問が設定されていてよい。患者は、例えば、設問に対して最もあてはまる選択肢を選択することで、設問に回答する。また、評価ツールには、選択肢を選択する以外の形式で患者に回答を求める設問が設定されていてもよい。例えば、
図3に示す「Mini-cog」には、「時計の絵を描いてください」のように、患者に選択肢を選ぶ以外の態様で回答させる内容が含まれている。ここで、表示システム1は、タッチパネル17を有するタブレット端末10を備えている。したがって、患者は、タッチパネル17を用いることで、「絵を描く」などの、選択肢を選択する以外の設問に対しても、容易に回答を行うことができる。
【0042】
次に、生成部22は、S1で取得した、複数の評価項目における患者の回答内容から、未処理の評価項目を1つ選択する(S2)。未処理の評価項目とは、生成部22による、評価結果を生成する等の処理(S3からS5の処理)が行われていない評価項目を示す。そして、生成部22は、選択した評価項目について、患者の回答内容から評価結果を生成する(S3)。
【0043】
生成部22による評価結果の生成方法は、評価ツールの内容によって異なっていてよい。
図3に示すように、例えば、「過去6か月間の転倒回数」の評価ツールには、各選択肢に「1チェック」または「0チェック」が割り振られている。生成部22は、患者が選択した選択肢から、チェック数が「1チェック以上」か否かの判定結果を、評価結果として生成してもよい。また、「Mini-cog」の評価ツールでは、各選択肢に点数が割り振られている。生成部22は、選択された選択肢の合計点数を算出し、当該合計点数を、評価結果として生成してもよい。
【0044】
また、「GDS簡易版」の評価ツールでは、「Mini-cog」の評価ツールと同様に、各選択肢に点数が割り振られている。ここで、生成部22は、選択された選択肢の合計点数を算出するとともに、当該合計点数について、5点未満(問題ない)、5点以上10点未満(うつ傾向)、10点以上(うつ状態)の、いずれの条件に当てはまるかを判定する。このように、生成部22は、予め設定された複数の条件のうち、患者の回答内容がいずれの条件に当てはまるかの判定結果を、評価結果として生成してもよい。なお、当該判定を行うための閾値の点数は、設問の内容に応じて任意に設定されてよい。また、当該判定を行うための閾値は1つであってもよく、上述の例のように2つ以上であってもよい。
【0045】
また、「キーパーソンの有無」の評価ツールでは、「はい」または「いいえ」を選択して回答する設問が含まれている。生成部22は、所定の設問に対して「いいえ」と答えたか否かの判定結果を、評価結果として生成してもよい。
【0046】
また、「薬剤使用数 使用薬剤」の例では、生成部22は、設問に対しての患者の回答内容を、そのまま評価結果として生成する。このように、複数の評価項目には、評価者が、患者の回答内容をそのまま確認するための項目が含まれていてもよい。
【0047】
生成部22による評価結果の生成方法は、上述の例に限られず、評価ツールの内容に応じて適切な方法が選択されてよい。
【0048】
次に、生成部22は、生成した評価結果から、医師による介入が推奨されるか否かを判定する(S4)。医師による介入が推奨されるか否かの判定の方法は、例えば、評価結果が、選択された選択肢の合計点数である場合、当該合計点数が所定の閾値を超えているか否かにより判定してもよい。また、評価結果が「1チェック以上」か否か、または、所定の選択肢に「いいえ」と答えたか否か、等の場合には、生成部22は、評価結果がYESである場合に医師による介入が推奨されると判定してもよい。また、評価結果が、上述の「GDS簡易版」の評価ツールの例のように、複数の条件のいずれに当てはまるかの判定結果である場合には、複数の条件の内、所定の条件に当てはまる場合に、医師による介入が推奨されると判定してもよい。
【0049】
生成部22による、医師による介入が推奨されるか否かの判定の方法は、上述の例に限られず、評価ツールの内容に応じて適切な方法が選択されてよい。
【0050】
生成部22は、医師による介入が推奨されると判定した場合(S4でYES)、推奨される介入の内容を示す介入案をさらに生成する(S5)。推奨される介入の内容は、評価ツールごとに予め設定されていてよい。
【0051】
例えば、「過去6か月間の転倒回数」の評価ツールで、患者の回答内容から生成部22が「1チェック以上」であると判定した場合、生成部22は、医師による介入が推奨されると判定する。ここで、当該評価ツールにおいて推奨される介入内容としては、「リハビリテーション部へ紹介」等の、高齢者機能評価のガイドラインに沿った内容が予め設定されている。生成部22は、予め設定された介入内容をまとめることで、介入案を生成してよい。
【0052】
また、「薬剤使用数 使用薬剤」の評価項目は、医師による介入が推奨されるか否かの判定が行われない例である。このように、複数の評価項目の中には、医師による介入が推奨されるか否かの判定が行われない項目が含まれていてもよい。医師による介入が推奨されるか否かの判定が行われない評価項目については、生成部22は、介入案を生成しなくてよい。
【0053】
なお、生成部22が、複数の評価項目についてそれぞれ医師による介入が推奨されると判定したとき、各評価項目に対応する各介入内容の間に、互いに整合しない介入内容が含まれている場合が考えられる。例えば、1つの評価項目に対応する介入内容として「専門家を紹介」が挙げられ、他の評価項目に対応する介入内容として「専門家の紹介は不要だが、要経過観察」が挙げられる場合である。この場合、生成部22は、いずれか一方の介入内容のみ選択して介入案として生成もよい。例えば、生成部22は、より慎重な内容の介入内容である、「専門家を紹介」のみを介入案として生成し、もう一方の「専門家の紹介は不要だが、要経過観察」は、介入案から除外してよい。または、生成部22は、「専門家を紹介」を介入案として生成し、さらに、もう一方の「専門家の紹介は不要だが、要経過観察」については、「要経過観察」の部分のみ介入案として生成してもよい。
【0054】
このような構成によれば、生成部22は、タッチパネル17に表示される介入案の内容に矛盾が発生することを防止できる。また、生成部22は、患者にとって好ましい可能性が高い、より慎重な内容の介入案を生成できる。
【0055】
生成部22は、医師による介入が推奨されない、すなわち、医師による介入は必要ないと判定した場合(S4でNO)、S5における介入案の生成は実行しない。
【0056】
次に、生成部22は、S1で取得した回答内容に対応する全ての評価項目について、S2からS5までの処理を実行したか否かを判定する(S6)。生成部22は、全ての評価項目について処理を実行していないと判定した場合(S6でNO)、S2に処理を戻して、未処理の評価項目についてS2からS5の処理を実行する。
【0057】
(表示ステップ)
生成部22が、全ての評価項目について処理を実行したと判定した場合(S6でYES)、表示制御部23は、生成部22が生成した全ての評価結果について、一括してタッチパネル17に表示させる(S7)。このとき、表示制御部23は、生成された介入案が存在する場合には、介入案について、対応する評価結果と共にタッチパネル17に表示させる。
【0058】
図4に、表示制御部23がタブレット端末10のタッチパネル17に表示させる、複数の評価項目についての評価結果および介入案を一括して含む「GA結果レポート」を例示している。表示制御部23がタッチパネル17にこのような表示を行わせることで、高齢者機能評価の評価者は、評価を実施した全ての評価項目について、評価結果を確認できる。また、評価者は、医師による介入が推奨される項目およびその介入内容について、容易に把握できる。
【0059】
表示制御部23は、介入案を表示させる場合には、
図4に示すように、介入案の内容を他の部分よりも目立つように、例えば、文字色を変更したり、網掛けを行ったりして表示させてもよい。このような構成によれば、評価者は、介入案の有無および介入案の内容について容易に確認できると共に、推奨される介入内容が存在する場合に、その旨を見逃す虞を低減できる。
【0060】
なお、表示制御部23がタッチパネル17に表示させるのは、評価結果および介入案に限られない。表示制御部23は、例えば、事前に評価者または患者等によって入力される患者情報等についても、タッチパネル17に表示させる内容に含めてよい。
【0061】
また、表示制御部23は、複数の評価結果および介入案について、
図4に示すような順番に並べる態様以外の態様により表示させてもよい。例えば、表示制御部23は、複数の評価結果について、グラフ等の視覚的に分かりやすい態様で表示させてもよい。また、表示制御部23は、医師による介入が推奨されると判定された評価項目についての評価結果および介入案のみ詳細に表示させ、その他の評価項目については、問題がなかった旨の表示のみを表示させてもよい。
【0062】
このような構成によれば、高齢者機能評価の評価者は、評価結果および介入案について、さらに容易かつ確実に確認できる。したがって、高齢者機能評価の実施における評価者の労力を、より効果的に低減できる。
【0063】
(その他の処理)
サーバ制御装置21は、さらに、表示システム1が備える印刷装置(図示しない)に、評価結果および介入案の内容を印刷させてもよい。印刷装置は、紙面上に印刷する装置であってもよいし、PDF(Portable Document Format)等の形式の電子データを生成する装置であってもよい。印刷された紙面または電子データは、例えば、患者のカルテの一部として保管されてもよい。また、サーバ制御装置21は、生成部22が生成した評価結果および介入案について、サーバ記憶装置28に記憶させてもよい。
【0064】
〔変形例〕
本発明の一実施形態に係る表示システム1については、様々な変形例が想定される。
【0065】
(機械学習アルゴリズムによる介入案の生成)
上述の例では、生成部22は、評価ツールごとに予め設定された介入内容をまとめて、介入案として生成する。しかしながら、生成部22は、患者の回答内容に応じて、推奨される介入の内容を新たに生成し、介入案としてもよい。
【0066】
この場合、生成部22は、例えば、過去に実施された高齢者機能評価における、患者の回答内容、評価結果および介入案の少なくとも何れか1種類以上を学習用データとして生成された学習済みモデルを用いた推論により、推奨される介入の内容を生成してよい。すなわち、表示システム1は、高齢者機能評価の各評価項目における患者の回答内容が入力されると、医師による介入が推奨されるか否か、および、推奨される介入の内容を、評価項目ごとに出力可能な学習済みモデルを備えていてよい。当該学習済みモデルの生成および当該学習済みモデルを用いた推論には、種々の機械学習アルゴリズムを適用可能である。
【0067】
このような機械学習アルゴリズムとしては、例えば、以下のような機械学習的手法の何れかまたはそれらの組み合わせを用いることができる。ただし、これらの具体的な手法は、本発明の構成を限定するものではない。
【0068】
・ニューラルネットワーク(NN;Neural Network)
・ベイジアンネットワーク(BN;Bayesian Network)
・クラスタリング(Clustering)
・主成分分析(PCA;Principal Component Analysis)
・ランダムフォレスト(Random Forests)
・サポートベクタマシン(SVM;Support Vector Machine)
・遺伝的アルゴリズム(GP;Genetic Programming)
これらの例のうち、ニューラルネットワークが用いられる場合、例えば、畳み込みニューラルネットワーク(CNN;Convolutional Neural Network)または再帰型ニューラルネットワーク(RNN;Recurrent Neural Network)が用いられてもよい。
【0069】
(管理者用端末)
表示システム1は、タブレット端末10およびサーバ20以外にも、サーバ20と送受信可能な電子機器を備えていてもよい。例えば、表示システム1は、管理者用端末(不図示)を備えていてもよい。管理者用端末は、表示システム1により実施される高齢者機能評価の評価結果および介入案を一括して管理可能な、PC(Personal Computer)等の電子機器であってよい。
【0070】
管理者用端末は、サーバ記憶装置28に記憶された全ての評価結果および介入案の全てを一括して管理可能であってもよく、一部のみを選択的に管理可能であってもよい。例えば、管理者用端末は、表示システム1を複数の施設が使用している場合、所定の施設の患者の評価結果および介入案のみ、選択的に管理可能なものであってもよい。また、管理者用端末は、表示システム1により実施される高齢者機能評価における、評価項目および選択肢等を変更可能であってもよい。また、表示システム1は、複数の管理者用端末を備えていてもよい。
【0071】
このように、タブレット端末10と管理者用端末とを別々に備える構成によれば、高齢者機能評価の評価者は、表示システム1の機能のうち、高齢者機能評価の実施に必要な機能のみを、タブレット端末10から実行できる。したがって、評価者は、高齢者機能評価を簡便に実施できる。また、このような構成であれば、評価者が、過去の評価結果等を誤って変更または消去等してしまうことを防止できる。なお、管理者用端末の機能は、タブレット端末10に一元的に備えられていてもよい。
【0072】
〔ソフトウェアによる実現例〕
制御装置21の制御ブロック(特に生成部22および表示制御部23)は、集積回路(ICチップ)等に形成された論理回路(ハードウェア)によって実現してもよいし、ソフトウェアによって実現してもよい。
【0073】
後者の場合、制御装置21は、各機能を実現するソフトウェアであるプログラムの命令を実行するコンピュータを備えている。このコンピュータは、例えば1つ以上のプロセッサを備えていると共に、前記プログラムを記憶したコンピュータ読み取り可能な記録媒体を備えている。そして、前記コンピュータにおいて、前記プロセッサが前記プログラムを前記記録媒体から読み取って実行することにより、本発明の目的が達成される。前記プロセッサとしては、例えばCPU(Central Processing Unit)を用いることができる。前記記録媒体としては、「一時的でない有形の媒体」、例えば、ROM(Read Only Memory)等の他、テープ、ディスク、カード、半導体メモリ、プログラマブルな論理回路などを用いることができる。また、前記プログラムを展開するRAM(Random Access Memory)などをさらに備えていてもよい。また、前記プログラムは、当該プログラムを伝送可能な任意の伝送媒体(通信ネットワークや放送波等)を介して前記コンピュータに供給されてもよい。なお、本発明の一態様は、前記プログラムが電子的な伝送によって具現化された、搬送波に埋め込まれたデータ信号の形態でも実現され得る。
【0074】
〔まとめ〕
本発明の一態様に係る制御装置は、表示装置と、前記表示装置と送受信可能なサーバと、から構成される表示システムを制御する制御装置であって、高齢者機能評価(GA;Geriatric Assessments)に含まれる複数の評価項目のそれぞれについて、被評価者の回答内容から評価結果を生成する生成部と、前記生成部が生成した複数の前記評価結果を、一括して前記表示装置の表示画面に表示させる表示制御部と、を備える。
【0075】
本発明の一態様に係る制御装置は、前記生成部は、前記評価結果から、医師による介入が推奨されるか否かを判定し、前記介入が推奨されると判定した場合に、前記介入の内容を示す介入案をさらに生成し、前記表示制御部は、前記介入案を、対応する前記評価結果と共に前記表示装置に表示させてもよい。
【0076】
本発明の一態様に係る制御装置は、複数の前記評価項目には、前記被評価者における、認知機能と、身体機能と、気分と、栄養状態と、老年性症候群の有無と、合併症の有無と、社会支援の有無と、薬剤の使用状況と、のうちの少なくとも2つ以上が含まれてもよい。
【0077】
本発明の一態様に係る表示システムは、表示装置と、前記表示装置と送受信可能なサーバとから構成され、少なくとも1つの制御装置により制御される表示システムであって、前記制御装置は、高齢者機能評価(GA;Geriatric Assessments)に含まれる複数の評価項目について、被評価者の回答内容から、それぞれ評価結果を生成する処理と、前記生成する処理が生成した複数の前記評価結果を、一括して前記表示装置の表示画面に表示させる処理と、を実行する。
【0078】
本発明の一態様に係る制御方法は、表示装置と、前記表示装置と送受信可能なサーバと、から構成される表示システムを制御する制御方法であって、高齢者機能評価(GA;Geriatric Assessments)に含まれる複数の評価項目について、被評価者の回答内容から、それぞれ評価結果を生成する生成ステップと、前記生成ステップが生成した複数の前記評価結果を、一括して前記表示装置の表示画面に表示させる表示ステップと、を含む。
【0079】
本発明の各態様に係る制御装置は、コンピュータによって実現してもよく、この場合には、コンピュータを前記制御装置が備える各部(ソフトウェア要素)として動作させることにより前記制御装置をコンピュータにて実現させる制御装置の制御プログラム、およびそれを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体も、本発明の範疇に入る。
【0080】
〔付記事項〕
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0081】
1 表示システム
10 タブレット端末(表示装置)
11 端末制御装置
17 タッチパネル(表示画面)
18 端末記憶装置
19 端末通信装置
20 サーバ
21 サーバ制御装置(制御装置)
22 生成部
23 表示制御部
28 サーバ記憶装置
29 サーバ通信装置