(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-02-25
(45)【発行日】2025-03-05
(54)【発明の名称】汚泥処理施設
(51)【国際特許分類】
C02F 11/00 20060101AFI20250226BHJP
C02F 11/02 20060101ALI20250226BHJP
C05F 7/00 20060101ALI20250226BHJP
【FI】
C02F11/00 A
C02F11/00 B
C02F11/02 ZAB
C05F7/00 301Z
(21)【出願番号】P 2024091048
(22)【出願日】2024-06-04
【審査請求日】2024-07-25
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】524212936
【氏名又は名称】特定非営利活動法人アーステクノ
(74)【代理人】
【識別番号】100163267
【氏名又は名称】今中 崇之
(72)【発明者】
【氏名】管 ▲海▼▲昇▼
【審査官】河野 隆一朗
(56)【参考文献】
【文献】特許第4415273(JP,B2)
【文献】特開2002-326074(JP,A)
【文献】特開2002-153721(JP,A)
【文献】特開昭58-099192(JP,A)
【文献】特開2003-171191(JP,A)
【文献】特開2011-240253(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C02F 11/00 - 11/20
C05F 1/00 - 17/993
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
千鳥状に配置されそれぞれ水で練られた備長炭が埋められている複数の穴が形成された地面の上に建てられた建物であり、原料となる汚泥を貯蔵する貯蔵部
が設けられた貯蔵建屋と、
前記貯蔵建屋と道路を挟んで反対側に配置され、両端にそれぞれ出入口が設けられ、一方の該出入口から他方の該出入口まで延びホイールローダーが走行する通路が内部に形成された建物であり、前記貯蔵部から運ばれた汚泥に微生物を混合し、微生物混合原料を生成するための混合
部、前記通路を挟んで対向するように配置された少なくとも10基の発酵部であって前記混合部から運ばれた前記微生物混合原料を
7~10日の日数で発酵させ
堆肥を生成するための発酵
部、前記発酵部にて生成された堆肥が投入され、ペレット化できる堆肥とそれ以外とに選別するトロンメルを有する選別部、前記選別部にて選別された前記堆肥をペレット状に成形する造粒部
並びに前記貯蔵部、前記混合部及び前記発酵部から発生した臭気を除去する脱臭部
が設けられた処理建屋と、を備え
た汚泥処理施設であって、
前記発酵部が、前記微生物混合原料を受ける床面と、
前記床面を囲う側壁と、
前記床面の上方を覆う屋根と、
上下方向に開閉する扉と、を有し、
一部の前記側壁、前記屋根及び前記扉の材質が、それぞれ強化ガラスであり、前記発酵部の内部に光が取り込まれ、
前記屋根に頂部が形成されており、該頂部の内側に、発生した臭気を前記脱臭部に排出するための排気口が設けられており、
前記ホイールローダーによって、前記扉から前記発酵部に前記微生物混合原料が搬入される汚泥処理施設。
【請求項2】
原料となる汚泥を貯蔵する貯蔵部と、
前記貯蔵部から運ばれた汚泥に微生物を混合し、微生物混合原料を生成するための混合部と、
ホイールローダーが走行できる通路を挟んで対向するように配置された少なくとも10基の発酵部であって、該ホイールローダーによって前記混合部から運ばれた前記微生物混合原料を
7~10日の日数で発酵させ
堆肥を生成するための発酵部と、
前記発酵部にて生成された堆肥が投入され、ペレット化できる堆肥とそれ以外とに選別するトロンメルを有する選別部と、
前記選別部にて選別された前記堆肥をペレット状に成形する造粒部と、
前記発酵部から発生した臭気を除去する脱臭部と、を備
えた汚泥処理施設であって、
前記発酵部が、前記微生物混合原料を受ける床面と、
前記床面を囲う側壁と、
前記床面の上方を覆い、頂部が形成されている屋根と、
上下方向に開閉する扉と、を有し、
一部の前記側壁、前記屋根及び前記扉の材質が、それぞれ強化ガラスであり、前記発酵部の内部に光が取り込まれる汚泥処理施設。
【請求項3】
原料となる汚泥を貯蔵する貯蔵部と、
前記貯蔵部から運ばれた汚泥に微生物を混合し、微生物混合原料を生成するための混合部と、
通路を挟んで対向するように配置された少なくとも10基の発酵部であって、前記混合部から運ばれた前記微生物混合原料を
7~10日の日数で発酵させ
堆肥を生成するための発酵部と、
前記発酵部にて生成された堆肥が投入され、ペレット化できる堆肥とそれ以外とに選別する選別部と、
前記選別部にて選別された前記堆肥をペレット状に成形する造粒部と、
前記発酵部から発生した臭気を除去する脱臭部と、を備
えた汚泥処理施設であって、
前記発酵部が、前記微生物混合原料を受ける床面と、
前記床面を囲う側壁と、
前記床面の上方を覆う屋根と、
上下方向に開閉する扉と、を有し、
一部の前記側壁、前記屋根及び前記扉の材質が、それぞれ強化ガラスであり、前記発酵部の内部に光が取り込まれる汚泥処理施設。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、汚泥処理施設に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、有機質汚泥の処理システム及び有機質汚泥の処理施設が記載されている。この有機質汚泥の処理施設は、搬入される有機質汚泥に対して所定割合で微生物を着床させた粉体を混合させて所要粒径に破砕する破砕混合部と、破砕混合後の有機質汚泥を切り返し処理を行ないつつ貯留して養生する一次貯留部と、一次貯留部での処理後の有機質汚泥を収容し空気を供給しつつ有機質汚泥を発酵処理する発酵処理部と、を有し、発酵処理部は、併設された複数の密閉室装置を含み、該密閉室装置は、有機質汚泥が投入静置される密閉室と、密閉室内に投入された有機質汚泥中に加温空気を注入する加温空気注入管と、有機質汚泥が微生物発酵して発生する蒸気を含む空気を吸引排出する吸引排出部と、吸引された気体を脱臭させる脱臭部と、を有し、1つの敷地内に破砕混合部と一次貯留部とが前処理部として中央搬送空間を中間に配した対向位置に配置されるとともに、発酵処理部の複数の密閉処理室が破砕混合部と一次貯留部にそれぞれ隣接並置され、かつ、中央搬送空間を中間に配した対向位置に配置され、密閉室は、それぞれ有機質汚泥の搬入日量の少なくとも2倍以上の容積で8個以上が配置されていることを特徴としている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、汚泥を処理して堆肥を製造できる汚泥処理施設を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1に記載の発明は、千鳥状に配置されそれぞれ水で練られた備長炭が埋められている複数の穴が形成された地面の上に建てられた建物であり、原料となる汚泥を貯蔵する貯蔵部が設けられた貯蔵建屋と、前記貯蔵建屋と道路を挟んで反対側に配置され、両端にそれぞれ出入口が設けられ、一方の該出入口から他方の該出入口まで延びホイールローダーが走行する通路が内部に形成された建物であり、前記貯蔵部から運ばれた汚泥に微生物を混合し、微生物混合原料を生成するための混合部、前記通路を挟んで対向するように配置された少なくとも10基の発酵部であって前記混合部から運ばれた前記微生物混合原料を7~10日の日数で発酵させ堆肥を生成するための発酵部、前記発酵部にて生成された堆肥が投入され、ペレット化できる堆肥とそれ以外とに選別するトロンメルを有する選別部、前記選別部にて選別された前記堆肥をペレット状に成形する造粒部並びに前記貯蔵部、前記混合部及び前記発酵部から発生した臭気を除去する脱臭部が設けられた処理建屋と、を備えた汚泥処理施設であって、前記発酵部が、前記微生物混合原料を受ける床面と、前記床面を囲う側壁と、前記床面の上方を覆う屋根と、上下方向に開閉する扉と、を有し、一部の前記側壁、前記屋根及び前記扉の材質が、それぞれ強化ガラスであり、前記発酵部の内部に光が取り込まれ、前記屋根に頂部が形成されており、該頂部の内側に、発生した臭気を前記脱臭部に排出するための排気口が設けられており、前記ホイールローダーによって、前記扉から前記発酵部に前記微生物混合原料が搬入される汚泥処理施設である。
【0006】
請求項2に記載の発明は、原料となる汚泥を貯蔵する貯蔵部と、前記貯蔵部から運ばれた汚泥に微生物を混合し、微生物混合原料を生成するための混合部と、ホイールローダーが走行できる通路を挟んで対向するように配置された少なくとも10基の発酵部であって、該ホイールローダーによって前記混合部から運ばれた前記微生物混合原料を7~10日の日数で発酵させ堆肥を生成するための発酵部と、前記発酵部にて生成された堆肥が投入され、ペレット化できる堆肥とそれ以外とに選別するトロンメルを有する選別部と、前記選別部にて選別された前記堆肥をペレット状に成形する造粒部と、前記発酵部から発生した臭気を除去する脱臭部と、を備えた汚泥処理施設であって、前記発酵部が、前記微生物混合原料を受ける床面と、前記床面を囲う側壁と、前記床面の上方を覆い、頂部が形成されている屋根と、上下方向に開閉する扉と、を有し、一部の前記側壁、前記屋根及び前記扉の材質が、それぞれ強化ガラスであり、前記発酵部の内部に光が取り込まれる汚泥処理施設である。
【0007】
請求項3に記載の発明は、原料となる汚泥を貯蔵する貯蔵部と、前記貯蔵部から運ばれた汚泥に微生物を混合し、微生物混合原料を生成するための混合部と、通路を挟んで対向するように配置された少なくとも10基の発酵部であって、前記混合部から運ばれた前記微生物混合原料を7~10日の日数で発酵させ堆肥を生成するための発酵部と、前記発酵部にて生成された堆肥が投入され、ペレット化できる堆肥とそれ以外とに選別する選別部と、前記選別部にて選別された前記堆肥をペレット状に成形する造粒部と、前記発酵部から発生した臭気を除去する脱臭部と、を備えた汚泥処理施設であって、前記発酵部が、前記微生物混合原料を受ける床面と、前記床面を囲う側壁と、前記床面の上方を覆う屋根と、上下方向に開閉する扉と、を有し、一部の前記側壁、前記屋根及び前記扉の材質が、それぞれ強化ガラスであり、前記発酵部の内部に光が取り込まれる汚泥処理施設である。
【0008】
【0009】
【0010】
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、汚泥を処理して堆肥を製造できる汚泥処理施設を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明の一実施の形態に係る汚泥処理施設が備える各部の配置図である。
【
図2】同汚泥処理施設が備える発酵部を示す図であって、(A)は左側断面を示す説明図であり、(B)は正面(通路側)から見た断面を示す説明図である。
【
図3】同汚泥処理施設による汚泥の処理プロセスを示す説明図である。
【
図4】(A)~(D)は、同汚泥処理施設による発酵プロセスを示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
続いて、添付した図面を参照しつつ、本発明を具体化した実施の形態につき説明し、本発明の理解に供する。なお、説明に関連しない部分は図示を省略する場合がある。
【0014】
本発明の一実施の形態に係る汚泥処理施設10は、
図1に示すように、貯蔵建屋20、処理建屋30及び微生物培養建屋50を備え、下水処理場から排出された有機性廃棄物である汚泥を発酵させて堆肥を製造できる。
【0015】
貯蔵建屋20は、屋根付きの建物であり、内部には、原料となる汚泥を溜めるストックヤードとなる貯蔵部202が設けられている。貯蔵建屋20には、汚泥を運搬するホイールローダーが通過できる出入口が設けられている。
貯蔵建屋20のコンクリートの基礎の下の地面には、複数の穴203がそれぞれ間隔を空けて千鳥状に配置されている。各穴203の深さは、例えば1.5~2.5mであり、これらの穴203には、水で練られた備長炭が埋められている。備長炭の作用により、貯蔵建屋20に溜められた汚泥から発生する臭気が抑制される。
なお、貯蔵建屋20に隣接して、製造されたペレット状の堆肥を保管する堆肥倉庫204が設けられている。
【0016】
処理建屋30は、汚泥を発酵させて堆肥を製造するための建物であり、汚泥処理施設10の敷地内を通る搬入出道路を挟んで貯蔵建屋20の反対側に位置する。
処理建屋30は、一方向に延びる屋根付きの建物であり、両端に出入口302a、302bが設けられるとともに、一方の出入口302aから他方の出入口302bまで延びる通路が設けられ、ホイールローダーが通路上を走行できるように構成されている。
出入口302bの近傍には、ホイールローダーが通過できる出入口(開口)304が形成された仕切り306が設けられており、処理建屋30の内部は、汚泥が実質的に処理される第1の空間S1と、それ以外の第2の空間S2とに大きく分けられる。
【0017】
処理建屋30の内部には、混合部310、発酵部320、選別部330、造粒部340及び脱臭部が設けられている。
混合部310は、撹拌機312を有し、貯蔵部202から運ばれた汚泥に発酵促進材を混合し、微生物混合原料を生成できる。
ここで、発酵促進剤は、パウダー状の好気性微生物、牛糞、鶏糞及び木材のチップを含む。
パウダー状の好気性微生物は、混合部310に隣接して位置する微生物貯蔵部314に溜められている。
木材のチップは、微生物貯蔵部314と発酵部320との間に位置するチップ貯蔵部316に溜められている。
【0018】
発酵部320は、混合部310から運ばれた微生物混合原料を発酵し、堆肥を生成できる。発酵部320は、通路を挟んで対向するように複数設けられており、その数は、少なくとも10基である。
発酵部320は、
図2(A)及び
図2(B)に示すように、パンチングメタル323、側壁324a(
図1参照)、側壁324b~324d、屋根325及び扉326を有している。
【0019】
パンチングメタル323は、床面を構成し、微生物混合原料を受けることができる。パンチングメタル323は、平面視して矩形状である。
パンチングメタル323の下には、熱風発生機327(
図4(A)~
図4(D)参照)が発生した所定の温度の熱風が出る給気管328が延びている。パンチングメタル323に形成されている孔を通って熱風が供給されることによって、微生物混合原料の発酵が促される。
【0020】
側壁324a(
図1参照)、側壁324b(
図2(A)参照)、側壁324c及び側壁324d(
図2(B)参照)は、それぞれ、通路側から発酵部320を見て、正面側、背面側、左側面側及び右側面側の壁を構成し、パンチングメタル323を囲うようにアルミニウム製のフレーム321に取り付けられている。
側壁324a、324c、324dの材質は、例えば強化ガラスである。側壁324bの材質は、例えばアルミニウムである。
【0021】
屋根325は、パンチングメタル323の上方を覆い、
図2(B)に示すように、通路側から発酵部320を見て中央部に頂部Apを有している。
頂部Apの内側には、発酵部320にて発生した臭気を脱臭部に排出するための排気口329が設けられている。
屋根325の材質は、強化ガラスである。
【0022】
扉326は、正面側の側壁324aに形成された搬入出口を塞ぐことができ、上下方向に開閉できる。扉326の材質は、例えば強化ガラスである。
【0023】
このように、各側壁324a、324c、324d、屋根325及び扉326の材質がそれぞれ例えば強化ガラスであることにより、腐食しにくく耐久性が向上することに加え、処理建屋30の内部の光が発酵部320の内部まで照射され、作業員の作業性が向上する。
なお、側壁324a、324c、324dが全て強化ガラスで構成されることに限定されるものではなく、一部の側壁の材質が強化ガラスであってもよい。
【0024】
発酵部320は、前述のパンチングメタル323、側壁324a~324d、屋根325及び扉326によって、内部空間が形成され、排気口329から臭気が排出されることによって、臭気が外部に漏れ出しにくいように構成されている。
【0025】
選別部330(
図1参照)は、トロンメル(不図示)を有し、発酵部320にて生成された堆肥が投入され、所定のサイズの堆肥が選別される。
トロンメルは、混合部310に近い位置に、仕切り306を貫通するように設置され、第1の空間S1の側から投入された堆肥が、ペレット化できる堆肥とそれ以外とに選別される。ペレット化される堆肥は、第1の空間S1の側に排出され、それ以外は、第2の空間S2の側に排出される。
【0026】
造粒部340は、ペレットマシン342を有し、選別部330によって選別された堆肥を、例えば円柱状のペレットに成形できる。
【0027】
脱臭部は、スクラバー352(
図4(A)~
図4(D)参照)を有し、
図3に示すように、貯蔵部202、混合部310及び発酵部320から発生した臭気を除去できる。
スクラバー352は、各発酵部320の裏側に形成された機械室S3a、S3b(
図1参照)に設置されている。機械室S3a、S3bは、それぞれ、処理建屋30の外壁の内側に位置し、長手方向に沿って延びるように形成されている。
なお、スクラバー352は、ウエットスクラバーである。
【0028】
微生物培養建屋50は、汚泥の発酵処理に必要なパウダー状の好気性微生物を生成するための微生物培養装置(
図3参照)が設置された建物である。
ここで、この好気性微生物は、例えばゼオライト、バーミキュライト、オガ粉等を加熱殺菌したものに、バクテリアを培養して得た一次菌体を着床させた液を霧散布したものである。
培養された好気性微生物は、微生物貯蔵部314に搬送される。
【0029】
微生物培養建屋50に隣接した位置には事務所60が設けられている。事務所60においては、発酵部320にて発酵中の微生物混合材料の温度、湿度及び臭気の強さが監視される。
【0030】
次に、汚泥処理施設10による処理プロセスについて、
図3に基づいて説明する。
処理プロセスは、以下の工程P1~P5を含む。
【0031】
(工程P1)
下水処理場から排出された汚泥は、トラックに積載され搬入される。トラックは、搬入出道路から進入し、搬入出道路に設けられたトラックスケール102(
図1参照)にて停車する。搬入出道路上に設けられたトラックスケール102により、処理される汚泥が計量される。
その後、ホイールローダーによって、汚泥がトラックから貯蔵建屋20の貯蔵部202へと運搬され、鶏糞や牛糞等の畜糞とともに一時的に貯蔵される。
【0032】
(工程P2)
処理建屋30の混合部310に、ホイールローダーによって、貯蔵部202から汚泥が搬送されるとともに微生物貯蔵部314から発酵促進材が搬送される。混合部310では、汚泥に発酵促進剤が投入された後、撹拌機312によって撹拌され、微生物混合原料が生成される。
【0033】
(工程P3)
発酵部320の扉326(
図2(A)参照)が上方に開けられ、ホイールローダーによって、生成された微生物混合原料が、開いた扉326から発酵部320に搬送される。発酵部320に溜められた微生物混合原料は、熱風発生機327から発生する例えば40℃の熱風の作用によって発酵が促進される。
発酵プロセスにおいて、微生物混合原料から発生したメタンガス等を含むガスは、貯蔵部202及び混合部310から発生した臭気を含むガスとともに脱臭部のスクラバー352にて処理され、臭気が除去された後に大気に放出される。なお、スクラバー352の内部でガスの成分を取り込んだ水分は、濃度が20ppmの水として、浄化槽(不図示)に放流される。
【0034】
(工程P4)
発酵した微生物混合原料は、ホイールローダーによって、造粒部340に搬送される。搬送された微生物混合原料は、堆肥としてペレットに成形される。
【0035】
(工程P5)
ペレットに成形された堆肥が袋詰され、出荷される。
【0036】
次に、発酵部320における発酵プロセスについて、
図4(A)~
図4(D)に基づいて説明する。
まず、第1日目の処理として、
図4(A)に示すように、発酵部320に、微生物混合原料が搬入され、内部に熱風発生機327が発生する熱風が供給される。
【0037】
次に、第2~6日目の処理として、
図4(B)及び
図4(C)に示すように、発酵部320の内部にて、微生物混合原料に熱風が供給された状態で放置される。
その結果、微生物混合原料の発酵が進み、その体積が徐々に減少する。
発酵の過程において発生するガスは、スクラバー352にて処理される。
【0038】
最後に、第7~10日目の処理として、
図4(D)に示すように、微生物混合原料が、更に、熱風が供給された状態で放置される。
発酵した微生物混合原料は、最終的に体積が1/3~1/5まで減少し、堆肥となる。
【0039】
このように、発酵部320における発酵プロセスには、7~10日の日数を要する。前述の通り、少なくとも10基の発酵部320が設けられていることにより、順次効率よく汚泥の処理ができるようになる。
【0040】
以上説明したように、汚泥処理施設10によれば、原料となる汚泥を処理して堆肥を製造できる。
【0041】
以上、本発明の実施の形態を説明したが、本発明は、上記した形態に限定されるものでなく、要旨を逸脱しない条件の変更等は全て本発明の適用範囲である。
【符号の説明】
【0042】
10 汚泥処理施設
20 貯蔵建屋
30 処理建屋
50 微生物培養建屋
60 事務所
102 トラックスケール
202 貯蔵部
203 穴
204 堆肥倉庫
302a、302b 出入口
304 出入口
310 混合部
312 撹拌機
314 微生物貯蔵部
316 チップ貯蔵部
320 発酵部
321 フレーム
323 パンチングメタル
324a~324d 側壁
325 屋根
326 扉
327 熱風発生機
328 給気管
329 排気口
330 選別部
340 造粒部
342 ペレットマシン
352 スクラバー
S1 第1の空間
S2 第2の空間
S3a、S3b 機械室
【要約】
【課題】汚泥を処理して堆肥を製造できる汚泥処理施設を提供する。
【解決手段】汚泥処理施設は、原料となる汚泥を貯蔵する貯蔵部202と、貯蔵部から運ばれた汚泥に微生物を混合し、微生物混合原料を生成するための混合部310と、混合部310から運ばれた微生物混合原料を発酵させるための発酵部320と、発酵した微生物混合原料をペレット状に成形する造粒部340と、貯蔵部202、混合部310及び発酵部320から発生した臭気を除去する脱臭部と、を備える。
【選択図】
図1