IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 近畿容器株式会社の特許一覧

<>
  • 特許-蓋付き容器 図1
  • 特許-蓋付き容器 図2
  • 特許-蓋付き容器 図3
  • 特許-蓋付き容器 図4
  • 特許-蓋付き容器 図5
  • 特許-蓋付き容器 図6
  • 特許-蓋付き容器 図7
  • 特許-蓋付き容器 図8
  • 特許-蓋付き容器 図9
  • 特許-蓋付き容器 図10
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-02-25
(45)【発行日】2025-03-05
(54)【発明の名称】蓋付き容器
(51)【国際特許分類】
   B65D 50/04 20060101AFI20250226BHJP
【FI】
B65D50/04
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2024154803
(22)【出願日】2024-09-09
【審査請求日】2024-09-09
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】592098285
【氏名又は名称】近畿容器株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100130513
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 直也
(74)【代理人】
【識別番号】100074206
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 文二
(74)【代理人】
【識別番号】100130177
【弁理士】
【氏名又は名称】中谷 弥一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100166796
【弁理士】
【氏名又は名称】岡本 雅至
(72)【発明者】
【氏名】新谷 優一
(72)【発明者】
【氏名】日紫喜 丈士
【審査官】加藤 信秀
(56)【参考文献】
【文献】特開2021-006468(JP,A)
【文献】特開2004-149197(JP,A)
【文献】特開2016-096676(JP,A)
【文献】実開昭55-063857(JP,U)
【文献】特開2008-050017(JP,A)
【文献】実開昭59-186249(JP,U)
【文献】実開昭50-010641(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D50/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器本体(1)とその口部(5)に螺合する蓋(2)とからなり、前記容器本体(1)に設けられた歯(8)と、前記蓋(2)に設けられた爪(9)とがラチェット機構をなし、
前記蓋(2)を前記容器本体(1)に対して締め付ける方向へ回転させると、前記歯(8)と前記爪(9)とが係合して前記蓋(2)が開けられないようにロックされ、前記爪(9)と一体のレバー(14)を押圧すると、前記蓋(2)のロックが解除されて、その状態を保持しつつ、蓋(2)を容器本体(1)に対して緩める方向へ回転させることにより、前記蓋(2)が開けられるようになる蓋付き容器において、
前記歯(8)は、前記容器本体(1)の口部(5)の雄ねじ(6)を備えた外周面に突設され、前記容器本体(1)の周方向に複数個連続して歯列(10)を形成しており、
前記蓋(2)には、前記雄ねじ(6)に螺合する雌ねじ(7)を備えた周壁(4)の下端からの切込(11)間に、前記周壁(4)に上端が連なり外側へ張り出した揺動部(12)が形成されて、前記揺動部(12)の内面に前記爪(9)が突設され、前記爪(9)は、前記容器本体(1)の歯列(10)に噛合するように、前記蓋(2)の周方向に複数個連続して爪列(13)を形成しており、前記揺動部(12)の外端部から上方へ向けて、前記レバー(14)が延設されており、
前記歯列(10)が前記容器本体(1)の口部(5)の外周に、周方向に間隔をあけて複数か所に設けられ、前記爪列(13)は、前記蓋(2)の周壁(4)の1か所にのみ形成された揺動部(12)に設けられており、
前記歯(8)と前記爪(9)とが係合して前記蓋(2)がロックされた状態から前記レバー(14)を押圧すると、前記揺動部(12)が上端を軸に外側へ迫り出し、前記歯(8)と前記爪(9)との係合が解除されることを特徴とする蓋付き容器。
【請求項2】
前記蓋(2)の周壁(4)の外周面には、前記レバー(14)の両側方へ向けて滑らかに張り出す保護凸部(15)が形成されていることを特徴とする請求項1に記載の蓋付き容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、チャイルドレジスタンス機能を備えた蓋付き容器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
幼児がいたずらで蓋をあけて内容物を口に入れたりできないようにするチャイルドレジスタンス機能を備えた蓋付き容器として、下記特許文献1には、図9及び図10に示すようなものが記載されている。
【0003】
この蓋付き容器は、図9に示すように、容器本体51とその上部に螺合する蓋52とからなり、蓋52を容器本体51に対して締め付ける方向へ回転させると、蓋52が開けられないようにロックされる。また、蓋52に設けられた一対のレバー53の上部及び下部をそれぞれ押圧すると、蓋52のロックが解除されて、その状態を保持しつつ、蓋52を容器本体51に対して緩める方向へ回転させると、蓋52が開けられるようになる。
【0004】
チャイルドレジスタンス機能は、レバー53を押しながら、蓋52を回すという2つの動作の組み合わせによって蓋52を開けるという目的を達する行為を、幼児が苦手にしているという発達段階の特徴を利用して実現している。
【0005】
この蓋付き容器において、図10に示すように、容器本体51は、段差をなす肩部54を介して口部55が絞られた形状となっており、蓋52は、外周壁56から内側へ離間した内周壁57を有するものとされている。そして、容器本体51の口部55の外周の雄ねじ58と蓋52の内周壁57の雌ねじ59とが螺合するようになっている。
【0006】
レバー53は、蓋52の外周壁56を切り込んで形成され、上下方向の中間部に位置する連結部62を支点として揺動するものとされている。容器本体51と蓋52とのロック及びロック解除は、容器本体51の肩部54から立ち上がる歯60と、蓋52のレバー53の内側の鍔部から垂下する爪61とからなるラチェット機構により行われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特許第7316852号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、プラスチックの成形品である上記のような蓋付き容器では、レバー53を繰り返して押圧すると、揺動の支点となる細い連結部62に捩じる力が反復して作用し、連結部62が早期に破断する恐れがある。また、ロック状態で蓋52を無理に開けようとすると、歯60や爪61が折れる恐れもある。
【0009】
そこで、この発明は、チャイルドレジスタンス機能を備え、蓋をロック状態からのロック解除状態とする操作を繰り返して行っても破損しにくく、優れた強度を有する蓋付き容器を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するため、この発明は、容器本体とその口部に螺合する蓋とからなり、前記容器本体に設けられた歯と、前記蓋に設けられた爪とがラチェット機構をなし、
前記蓋を前記容器本体に対して締め付ける方向へ回転させると、前記歯と前記爪とが係合して前記蓋が開けられないようにロックされ、前記爪と一体のレバーを押圧すると、前記蓋のロックが解除されて、その状態を保持しつつ、蓋を容器本体に対して緩める方向へ回転させることにより、前記蓋が開けられるようになる蓋付き容器において、
前記歯は、前記容器本体の口部の雄ねじを備えた外周面に突設され、
前記蓋には、前記雄ねじに螺合する雌ねじを備えた周壁の下端からの切込間に、前記周壁に上端が連なり外側へ張り出した揺動部が形成されて、前記揺動部の内面に前記爪が突設され、前記揺動部の外端部から上方へ向けて、前記レバーが延設されており、
前記歯と前記爪とが係合して前記蓋がロックされた状態から前記レバーを押圧すると、前記揺動部が上端を軸に外側へ迫り出し、前記歯と前記爪との係合が解除されるものとしたのである(構成1)。
【0011】
また、構成1の蓋付き容器において、前記蓋の周壁の外周面には、前記レバーの両側方へ向けて滑らかに張り出す保護凸部が形成されているものとしたのである(構成2)。
【0012】
さらに、構成1,2の蓋付き容器において、前記歯は、前記容器本体の周方向に複数個連続して歯列を形成し、これに噛合するように、前記爪は、前記蓋の周方向に複数個連続して爪列を形成しているものとしたのである(構成3)。
【0013】
また、構成3の蓋付き容器において、前記歯列が前記容器本体の口部の外周に、周方向に間隔をあけて複数か所に設けられ、前記爪列は、前記蓋の周壁の1か所にのみ形成された揺動部に設けられているものとしたのである(構成4)。
【発明の効果】
【0014】
この発明に係る蓋付き容器では、容器本体の歯とともにラチェット機構を構成する蓋の爪が、蓋の周壁に上端が連なり外側へ張り出した揺動部の内面に突設されて、揺動部の外端部から上方へレバーが延設され、揺動部のヒンジとなる根元が蓋の周方向に長く延びているので、ロックを解除するレバーを繰り返して押圧しても、揺動部が根元で折れにくくなり、ラチェット機構の耐久性に優れたものとなる。
【0015】
また、蓋の周壁の外周面に、レバーの両側方へ向けて滑らかに張り出す保護凸部を設けておくと、蓋の周壁から外側に離れたレバーを不注意で何かにぶつけたり、レバーを側方から無理に押すような力が作用したりすることによるレバーの破損が防止される。
【0016】
また、容器本体に歯列を形成し、蓋の揺動部に爪列を形成すると、蓋の開閉を繰り返しても、特定の歯と爪に何度も大きな力が作用することがなく、歯や爪の破損を防止することができる。
【0017】
そのほか、歯列を容器本体の周方向に間隔をあけて複数か所に設け、爪列を蓋の周壁の1か所にのみ設けておくと、蓋を容器本体に対して僅かに回転させるだけで蓋をロックすることができ、チャイルドレジスタンス機能が確実に発揮される。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】この発明の実施形態に係る蓋付き容器の蓋を閉じた状態を示す斜視図
図2】同上の蓋を開いて容器本体と分離し、容器本体を上方から、蓋を下方からそれぞれ示す斜視図
図3】同上の容器本体及び蓋をそれぞれ開口面から見た平面図
図4】同上の図3の蓋のIV-IV線に沿った一部切欠側面図
図5】同上のラチェット機構の蓋側の要部を下方から示す一部拡大斜視図
図6】同上のラチェット機構の(I)ロック前の状態、(II)ロックの途中状態、(III)ロック状態をそれぞれ示す一部拡大平面図
図7】同上のラチェット機構のロック解除のために蓋のレバーを押圧した状態を示す容器本体の外側面と蓋の縦断側面図
図8】同上のラチェット機構のロック解除状態を示す一部拡大平面図
図9】特許文献1に記載の蓋付き容器の蓋を閉じた状態を示す斜視図
図10】同上の容器本体を上方から、蓋を下方からそれぞれ示す斜視図
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、この発明の実施形態を添付図面に基づいて説明する。
【0020】
<全体構成>
この蓋付き容器は、プラスチック製であり、図1乃至図3に示すように、容器本体1と蓋2とから構成される。容器本体1は、底面が閉塞されて円筒形の周壁3を有する形状とされ、蓋2は、天面が閉塞されて円筒形の周壁4を有する形状とされている。蓋2の周壁4の外周面には、滑り止めのローレット加工が施されている。
【0021】
容器本体1の周壁3の上方部分は、蓋2が螺合する口部5とされ、口部5の外周面に雄ねじ6が形成されている。蓋2の周壁4の内周面には、雄ねじ6に螺合する雌ねじ7が形成されている。雄ねじ6及び雌ねじ7は、容器本体1に対する蓋2の回転角が小さくても蓋2が確実に締まるように、2条ねじとされている。
【0022】
<ラチェット機構>
容器本体1に対する蓋2のロック及びロック解除は、図2に示すように、容器本体1に設けられた歯8と、蓋2に設けられた爪9とからなるラチェット機構により行われる。
【0023】
(容器本体側)
ラチェット機構の一方の要素である歯8は、図2及び図3に示すように、容器本体1の口部5の外周面に突設されている。歯8の一方の側面は傾斜面とされ、他方の側面は径方向に沿った係合面とされている。そして、複数個(図示の例では4個)の歯8が容器本体1の周方向に連続して歯列10を形成している。
【0024】
歯列10は、容器本体1の口部5の外周に、周方向に間隔をあけて複数か所(図示の例では2か所)に設けられている。
【0025】
(蓋側)
蓋2には、図2乃至図5に示すように、周壁4の下端からの切込11間に、周壁4に上端が連なり外側へ張り出した揺動部12が1か所にのみ形成されている。
【0026】
ラチェット機構の他方の要素である爪9は、揺動部12の内面下部に突設されている。爪9の一方の側面は、容器本体1の歯8の傾斜面と向き合う傾斜面とされ、他方の側面は径方向に沿った係合面とされている。そして、複数個(図示の例では2個)の爪9が蓋2の周方向に連続して爪列13を形成している。
【0027】
また、図1及び図4に示すように、揺動部12の外端部には、上方へ向けてレバー14が周壁4から間隔をあけて延設されている。レバー14の表面には、ロック解除時に押圧する部分であることを示す文字及び滑り止めの加工が施されている。レバー14は、下方の揺動部12と一体に、上部が蓋2の周壁4に接離する方向へ揺動する。
【0028】
そのほか、蓋2の周壁4の外周面には、レバー14の両側方へ向けて滑らかに張り出す保護凸部15が形成されている。保護凸部15のレバー14に隣り合う部分は、周壁4からレバー14の表面と同程度張り出している。
【0029】
<作用>
(蓋の閉止及びロック)
このような蓋付き容器の容器本体1に調剤された薬剤等の内容物を入れ、蓋2を閉じる際には、図6(I)に示すように、蓋2を容器本体1に対して締め付ける方向へ回転させると、爪列13が歯列10に接近する。
【0030】
そして、図6(II)に示すように、歯8の傾斜面と爪9の傾斜面とが摺接し、爪列13が外側へ押されて、歯8の頂面と爪9の頂面とが摺接する状態となる。
【0031】
その後、図6(III)に示すように、爪9が歯8を乗り越えると、歯列10と爪列13とが噛み合った状態となり、蓋2を容器本体1に対して緩める方向へ回転させようとしても、歯8の係合面と爪9の係合面とが係合し、蓋2を容器本体1に対して緩める方向へ回転させることができず、蓋2が開けられないようにロックされる。
【0032】
(蓋のロック解除及び開放)
一方、このように蓋2がロックされた状態から、図7に示すように、レバー14の上部を蓋2の周壁4に接近する方向へ押圧すると、揺動部12が上端を軸に外側へ迫り出すように揺動し、図8に示すように、歯8と爪9との係合が解除され、蓋2のロックが解除されるので、その状態を保持しつつ、蓋2を容器本体1に対して緩める方向へ回転させることにより、蓋2が開けられるようになる。
【0033】
<効果>
上記蓋付き容器では、容器本体1の歯8とともにラチェット機構を構成する蓋2の爪9が、蓋2の周壁4に上端が連なり外側へ張り出した揺動部12の内面に突設されて、揺動部12の外端部から上方へレバー14が延設され、揺動部12のヒンジとなる根元が蓋2の周方向に長く延びているので、ロックを解除するレバー14を繰り返して押圧しても、揺動部12が根元で折れにくくなり、ラチェット機構の耐久性に優れたものとなる。
【0034】
また、蓋2の周壁4の外周面に、レバー14の両側方へ向けて滑らかに張り出す保護凸部15を設けたので、蓋2の周壁4から外側に離れたレバー14を不注意で何かにぶつけたり、レバー14を側方から無理に押すような力が作用したりすることによるレバー14の破損が防止される。
【0035】
また、容器本体1に歯列10を形成し、蓋2の揺動部12に爪列13を形成したので、蓋2の開閉を繰り返しても、特定の歯8と爪9に何度も大きな力が作用することがなく、歯8や爪9の破損を防止することができる。
【0036】
そのほか、歯列10を容器本体1の周方向に間隔をあけて複数か所に設け、爪列13を蓋2の周壁4の1か所にのみ設けたので、蓋2を容器本体1に対して僅かに回転させるだけで蓋2をロックすることができ、チャイルドレジスタンス機能が確実に発揮される。
【0037】
<その他>
なお、上記実施形態では、容器本体1として、周壁3が円筒形のものを例示したが、容器本体1は、口部5が絞られた形状のものであってもよい。
【0038】
また、歯列10を容器本体1の周方向に間隔をあけて複数か所に設けたものを例示したが、歯列10は、容器本体1の周方向において1か所にのみ設けるようにしてもよい。
【0039】
今回開示された実施形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。従って、本発明の範囲は特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0040】
1 容器本体
2 蓋
3,4 周壁
5 口部
6 雄ねじ
7 雌ねじ
8 歯
9 爪
10 歯列
11 切込
12 揺動部
13 爪列
14 レバー
15 保護凸部
【要約】
【課題】チャイルドレジスタンス機能を備え、蓋をロック状態からロック解除状態とする操作を繰り返して行っても破損しにく、優れた強度を有する蓋付き容器を提供する。
【解決手段】容器本体1とその口部に螺合する蓋2とからなり、容器本体1に設けられた歯8と、蓋2に設けられた爪9とがラチェット機構をなす蓋付き容器において、歯8は、容器本体1の口部の雄ねじ6を備えた外周面に突設され、蓋2には、雄ねじ6に螺合する雌ねじ7を備えた周壁4の下端からの切込11間に、周壁4に上端が連なり外側へ張り出した揺動部12が形成されて、揺動部12の内面に爪9が突設され、揺動部12の外端部から上方へ向けてレバー14が延設されており、歯8と爪9とが係合して蓋2がロックされた状態からレバー14を押圧すると、揺動部12が外側へ迫り出し、歯8と爪9との係合が解除されるようにする。
【選択図】図2
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10