(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-02-25
(45)【発行日】2025-03-05
(54)【発明の名称】ガス計測用アダプタおよび窓ユニットを製造する方法
(51)【国際特許分類】
G01N 21/3504 20140101AFI20250226BHJP
【FI】
G01N21/3504
(21)【出願番号】P 2021050127
(22)【出願日】2021-03-24
【審査請求日】2024-01-30
(73)【特許権者】
【識別番号】000230962
【氏名又は名称】日本光電工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001416
【氏名又は名称】弁理士法人信栄事務所
(72)【発明者】
【氏名】井上 正行
(72)【発明者】
【氏名】馬場 裕也
(72)【発明者】
【氏名】台信 栄寿
(72)【発明者】
【氏名】鷹取 文彦
(72)【発明者】
【氏名】株本 憲一郎
(72)【発明者】
【氏名】青▲柳▼ 敬之
【審査官】井上 徹
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2006/0251903(US,A1)
【文献】特開2018-189608(JP,A)
【文献】特開2004-025817(JP,A)
【文献】特開2012-116038(JP,A)
【文献】国際公開第2015/008579(WO,A1)
【文献】特開2018-173449(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 21/00-21/61
G01J 3/00- 4/04
G01J 7/00- 9/04
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガスを通過させる流管部と、
前記流管部を通過する前記ガスの成分を測定するための測定光を透過させる窓部と、前記流管部に装着されるための装着部と、を有する窓ユニットと、
を備え、
前記窓ユニットは、前記窓部と前記装着部とが一部品として一体成型され、かつシクロオレフィンコポリマー(Cyclo Olefin Copolymer)またはシクロオレフィンポリマー(Cyclo Olefin Polymer)を含む素材から形成されており、
前記窓部の内面および外面は平坦であ
り、
前記窓部の厚さと前記装着部の厚さは等しい、ガス計測用アダプタ。
【請求項2】
前記窓部の直径は6mm以下である、請求項1に記載のガス計測用アダプタ。
【請求項3】
前記装着部は、前記窓部の延伸方向の両端部にそれぞれ設けられ、かつ前記窓部の延伸方向と略同一方向に延伸しており、
前記窓部は、前記装着部から凸となるようにエンボス状に成型される、請求項1
または2に記載のガス計測用アダプタ。
【請求項4】
前記装着部と前記窓部の間にテーパが構成される、請求項1から
3のいずれか一項に記載のガス計測用アダプタ。
【請求項5】
前記流管部の外面と前記装着部の外面は段差の無い平面を構成する、請求項1から
4のいずれか一項に記載のガス計測用アダプタ。
【請求項6】
前記流管部の内面と前記窓部の内面は段差の無い平面を構成する、請求項1から
5のいずれか一項に記載のガス計測用アダプタ。
【請求項7】
流管部を通過するガスの成分を測定するための測定光を透過させる窓部と、前記流管部に装着されるための装着部と、を有する窓ユニット
であって、前記窓部の厚さと前記装着部の厚さが等しい前記窓ユニットを製造する方法であって、
前記窓部および前記装着部の一体成型に対応する金型のパーティング面の側方に設けられたゲートからシクロオレフィンコポリマー(Cyclo Olefin Copolymer)またはシクロオレフィンポリマー(Cyclo Olefin Polymer)を含む樹脂材料をキャビティ方向へ射出することによって前記窓ユニットを一体成型する、製造方法。
【請求項8】
前記装着部は、前記窓部の延伸方向の両端側にそれぞれ設けられ、
前記ゲートは、前記金型における前記装着部の外周縁に対応する位置に設けられる、請求項
7に記載の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガス計測用アダプタに関する。また本発明は、当該ガス計測用アダプタに備わる窓ユニットを製造する方法にも関する。
【背景技術】
【0002】
生体の呼吸を人工的に行う人工呼吸器の流路には、呼吸気等のガスの特定成分を測定するために、透明窓を有するエアウエイアダプタが取り付けられる(特許文献1および2参照)。このエアウエイアダプタを流れる呼吸気中には水分が含まれており、この水分から発生する水滴はエアウエイアダプタの内壁に沿って流れることが知られている。この水滴が透明窓を通過すると、水滴が測定用の赤外線を遮ることとなって測定誤差が生じる虞がある。そのため、例えば特許文献1に開示されたエアウエイアダプタは、流管の内周面から突出して透過窓を囲むフレームを備えており、水滴がこのフレームの外側を通過するように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2000-74822号公報
【文献】米国特許第7629039号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1のエアウエイアダプタの窓部は、複数の構成部品から構成されており煩雑である。特許文献2のエアウエイアダプタは、その窓部の中央にゲート痕が形成されているため、ゲート痕が測定光を散乱させてしまい、測定精度が低下してしまう虞がある。特許文献1および特許文献2のエアウエイアダプタは、これらの点で改善の余地があった。
【0005】
本発明は、簡易な構成としつつ、測定精度を高めることが可能なガス計測用アダプタおよび当該ガス計測用アダプタに備わる窓ユニットを製造する方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成するための一態様に係るガス計測用アダプタは、
ガスを通過させる流管部と、
前記流管部を通過する前記ガスの成分を測定するための測定光を透過させる窓部と、前記流管部に装着されるための装着部と、を有する窓ユニットと、
を備え、
前記窓ユニットは、前記窓部と前記装着部とが一部品として一体成型され、かつシクロオレフィンコポリマー(Cyclo Olefin Copolymer)またはシクロオレフィンポリマー(Cyclo Olefin Polymer)を含む素材から形成されており、
前記窓部の内面および外面は平坦である。
【0007】
上記構成に係るガス計測用アダプタは、測定光を透過させる窓部と、流管部に装着するための装着部と、を有する窓ユニットを備えている。当該窓ユニットは、窓部と装着部とが一部品として一体成型され、かつシクロオレフィンコポリマーまたはシクロオレフィンポリマーを含む素材から形成されている。これらの材料は、赤外線を透過させることができ、かつサイドゲート方式の金型を用いた成型が可能である。したがって、窓部はサイドゲート方式の金型により成型可能であるため、窓部の内面および外面を平坦に成形することができる。
このように、上記のような構成によれば、簡易な構成としつつ、測定精度を高めることができる。
【0008】
また、上記の目的を達成するための一態様に係る窓ユニットを製造する方法は、
流管部を通過するガスの成分を測定するための測定光を透過させる窓部と、前記流管部に装着されるための装着部と、を有する窓ユニットを製造する方法であって、
前記窓部および前記装着部の一体成型に対応する金型のパーティング面の側方に設けられたゲートからシクロオレフィンコポリマー(Cyclo Olefin Copolymer)またはシクロオレフィンポリマー(Cyclo Olefin Polymer)を含む樹脂材料をキャビティ方向へ射出することによって前記窓ユニットを一体成型する。
このように、上記のような構成によれば、サイドゲート方式により、シクロオレフィンコポリマーまたはシクロオレフィンポリマーを含む樹脂材料をキャビティ方向へ射出することで、窓ユニットを一体成型することができる。したがって、このような窓ユニットを製造する方法によれば、窓ユニットを容易に成型することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、一実施形態に係るガス計測用アダプタの左側面図である。
【
図2】
図2は、
図1のセンサ取付部を拡大した部分拡大図である。
【
図5】
図5は、
図4において破線Cで囲われる部分を拡大した図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、実施形態の例について添付の図面を参照しながら詳細に説明する。なお、本明細書中および図面中で使用される「上」「下」「左」「右」「前」「後」は、説明の便宜のために表示された方向であり、図示された方向に限定する意図はない。
【0011】
図1は、一実施形態に係るガス計測用アダプタ1の左側面図である。ガス計測用アダプタ1は、例えば、呼吸管理を要する患者など(以下、被検者と称する)の呼吸気に含まれる特定成分(例えば、二酸化炭素)の濃度を光学的に測定する際に用いられるアダプタである。
【0012】
図1に例示するように、ガス計測用アダプタ1は、前側の端部に設けられる第一接続アダプタ11と、後側の端部に設けられる第二接続アダプタ12と、第一接続アダプタ11と第二接続アダプタ12との間に設けられるセンサ取付部20と、を備えている。なお、ガス計測用アダプタ1の左側面とガス計測用アダプタ1の右側面は対称である。
【0013】
第一接続アダプタ11は、円筒形状に形成されている。第一接続アダプタ11は、例えばY字管等の接続部材を介して、人工呼吸器のエア供給源と呼気排出口とに接続されうる。第二接続アダプタ12は、第一接続アダプタ11よりも大径の円筒形状に形成されている。第二接続アダプタ12は、気管チューブやマスクといった被検者側の機器に接続されうる。
【0014】
図2は、ガス計測用アダプタ1のセンサ取付部20を拡大して示した部分拡大図である。
図2に例示するように、センサ取付部20には、被検者の呼吸気に含まれる特定のガスの濃度を光学的に測定するための呼吸気濃度センサ(不図示)等が取り付けられうる。センサ取付部20は、被検者の呼吸気を通過させる流管部21と、流管部21に装着可能な窓ユニット13と、を備えている。
【0015】
図3は、
図1のA-A線断面図である。
図3に例示するように、センサ取付部20には、左側と右側とに凹部23a,23bがそれぞれ形成されている。これらの凹部23a,23bは、呼吸気濃度センサが嵌合される凹部である。凹部23a,23bは、流管部21の外面により画定される。
【0016】
図3に例示するように、ガス計測用アダプタ1の内部には、被検者の呼吸気を通気させるための通気路41(41a,41b,41c)が形成されている。通気路41は、第一接続アダプタ11内の通気路41aと、センサ取付部20内の通気路41bと、第二接続アダプタ12内の通気路41cと、が連通された、例えば一本の通気路として形成されている。
【0017】
第一接続アダプタ11の通気路41aと第二接続アダプタ12の通気路41cとは、円筒形状に形成されている。センサ取付部20の通気路41bは、左右方向の幅W2が上下方向の幅W5(
図1参照)よりも狭い矩形状に形成されている。通気路41bの左右方向の幅W2は、通気路41aの左右方向の幅W1(通気路41aの径)および通気路41cの左右方向の幅W3(通気路41cの径)よりも狭く形成されている。一方、
図1に例示するように、通気路41bの上下方向の幅W5は、通気路41aの上下方向の幅W4および通気路41cの上下方向の幅W6と同じ長さに形成されている。
【0018】
次に、
図3および
図4を参照しつつ、流管部21について説明する。
図4は、センサ取付部20の内部を拡大して示した部分拡大図である。
図3に例示するように、流管部21は、第二接続アダプタ12から流れてくる被検者の呼吸気を第一接続アダプタ11に接続された呼気排出口(不図示)へと通過させる管部である。また、流管部21の厚さは、凹部23a,23bの形状に応じて、部位ごとに異なる厚さに形成されている。
【0019】
図4に例示するように、流管部21は、開口部210と、載置部211と、を有している。開口部210は円形であり(
図2参照)、断面視において流管部21の略中央に設けられている。開口部210は、窓ユニット13が装着されるように構成されている。載置部211は円環状であり、開口部210を囲うように配置されている。
【0020】
次に、
図4および
図5を参照しつつ、窓ユニット13について説明する。
図5は、
図4において破線Cで囲われる部分を拡大した図である。
図4および
図5に例示するように、窓ユニット13は薄い円形の部材である。窓ユニット13は、流管部21を通過する被検者の呼吸気の成分を測定するための測定光を透過させる窓部31と、窓ユニット13が流管部21に装着されるための装着部32と、を備える。
【0021】
窓部31は、呼吸気の成分を測定するための光(測定光)を透過するように構成されている。窓部31は略円形である(
図2参照)。窓部31の直径は6mm以下であり、特に、約5.5mmであると好ましい。装着部32は円環状であり、窓部31を囲うように配置されている。窓部31と装着部32は、連続するように一体的に形成されている。
【0022】
図5に例示するように、窓部31の厚さは、一定の厚さに形成されている。窓部31の厚さは、流管部21の厚さよりも薄く形成されている。
【0023】
窓部31の厚さおよび装着部32の厚さは比較的薄く、窓部31の厚さと装着部32の厚さは略等しい。装着部32は、窓ユニット13において、窓部31よりも外側に配置されている。窓部31の厚さ方向の寸法は、載置部211の厚さ方向の寸法と略等しい。また、装着部32の径方向(
図5の断面視における前後方向)の長さは、載置部211の径方向の長さと略等しい。
【0024】
窓ユニット13は、断面視において、2つの装着部32が前後方向の端部320を構成するように延伸し、窓部31が装着部32から左右方向(
図5の例では左方向)に凸となるエンボス状となるように一体成型されている。なおこの場合、窓部31も前後方向に延伸する構成であると好ましい。窓部31と装着部32の接続部位33の形状は、テーパのついた形状(
図5における右前方向から左後方向、または右後方向から左前方向に斜めとなる形状)である。
【0025】
載置部211と装着部32は、窓ユニット13が開口部210に嵌合した状態において、対応する形状であることが好ましい。すなわち、載置部211の上面(装着部32と接する平面)と装着部32の下面は略平行であると好ましい。この場合、窓ユニット13が開口部210に嵌合した状態において、載置部211と装着部32の間には隙間がない。また載置部211の開口部210側の端部におけるテーパ面のテーパ角度は、窓ユニット13の装着部32と窓部31により形成されるテーパ面のテーパ角度と略同一である。このため、窓ユニット13が開口部210に嵌合した状態において、両テーパ面との間には隙間がない。
【0026】
また流管部21の外面212と装着部32の外面321は、窓ユニット13が流管部21に嵌合された状態において、段差のない平面を構成する。同様に、流管部21の内面213と窓部31の内面50は、窓ユニット13が流管部21に嵌合された状態において、段差のない平面を構成する。このように窓ユニット13が流管部21に嵌合された状態において、流管部21と窓ユニット13の間には段差等が生じない。すなわち、窓ユニット13が流管部21に嵌合された状態において流管部21と窓ユニット13により構成される面は平面である。
【0027】
窓部31の内面50および窓部31の外面60は平坦である。窓ユニット13が流管部21から外されている状態において、流管部21の開口部210の左右の端部である第一端部21aと第二端部21bとの間の距離D1は、窓部31の前後方向の長さL1と略等しい。したがって、窓ユニット13が流管部21に装着されると、装着部32は載置部211に載置され、窓部31は開口部210に嵌合される。このように、窓部31が開口部210に嵌合された状態において、装着部32は窓部31の延伸方向の端部320を構成し、載置部211に嵌め込まれるようにして固定される。延伸形状の装着部32が載置部211に嵌め込まれることにより、外力がかかった場合であっても延伸した装着部32が外力を受け止めることにより、窓ユニット13が外れる虞を軽減できる。
【0028】
図4に例示するように、窓ユニット13が流管部21に装着されると、窓ユニット13は、センサ取付部20の左側面と右側面とに対向するように配置される。また、窓ユニット13が流管部21に装着されているとき、窓ユニット13は凹部23a,23bの中央部に位置する。
【0029】
窓ユニット13が流管部21に装着された状態において、窓部31の内面50と、流管部21の内面51との間には、段差や凹凸が無い。すなわち、窓ユニット13が流管部21に装着された状態において、窓部31の内面50と流管部21の内面51は連続した同一面状にあり、その連続面は平坦である。窓部31の内面50および流管部21の内面51は、センサ取付部20の通気路41bを構成する面、すなわち、被検者の呼吸気と接する面である。
【0030】
窓部31の内面50には、防曇層が形成されている。防曇層は、水分子を吸収する機能を備えており、親水性の防曇性能を有する。また防曇層は、耐擦傷性や表面硬度といった物理強度を付与するための層でもありうる。防曇層は、例えば、防曇層用樹脂組成物を乾燥または硬化することで形成されうる。防曇層用樹脂組成物は、例えば、ポリエチレンまたはポリ塩化ビニルに防曇剤等の各種添加剤が添加されることで生成されうる。
【0031】
次に、呼吸気濃度センサにより被検者の呼吸気の成分を測定する方法について説明する。センサ取付部20に呼吸気濃度センサが取り付けられるとき、一対の窓部31には、呼吸気濃度センサに設けられている発光部と受光部とがそれぞれ対向して配置される。センサ取付部20に取り付けられた呼吸気濃度センサは、センサ取付部20の上部に対向して設けられている一対の係止部材22a,22bによって係止されることで、所定の位置に位置決めされる。
【0032】
呼吸気濃度センサの発光部から出射された光(例えば、赤外光)は、対向して配置されている窓部31を透過する。当該発光部から出射された光は、被検者の呼気に含まれる炭酸ガスの濃度に応じて減衰されて、受光部により受光される。当該受光部は、その受光強度に応じた受光信号を炭酸ガス測定装置(不図示)へ送信する。炭酸ガス測定装置(不図示)は、当該受光部から送信された受光信号に基づいて、被検者の呼気に含まれる炭酸ガスの濃度を測定する。
【0033】
次に、窓ユニット13の成型方法について説明する。窓ユニット13は、窓部31と装着部32とが一部品として一体的に成型されたものである。窓部31と装着部32は、例えば、射出成形を含む樹脂成形法により、一体の部品(窓ユニット13)として成型されている。このような樹脂成形法としては、例えばサイドゲート方式の金型を用いた樹脂成形法等である。
【0034】
サイドゲート方式とは、金型のパーティング面の側方にゲートを設け、当該ゲートから樹脂材料をキャビティ方向へ射出することによって樹脂を成型する成形法である。サイドゲート方式の金型を用いて窓ユニット13を成型する場合、例えば装着部32の外周縁に対応する位置にゲートが設けられ、当該ゲートから樹脂材料が射出される。このようにして、窓ユニット13が成型されうる。
【0035】
窓ユニット13は、金型での流動性が高く、かつ、測定光の吸収率が適切な材料で成型されるのが好ましい。このような材料としては、例えばシクロオレフィンコポリマー、シクロオレフィンポリマー等である。なお、窓ユニット13は、シクロオレフィンコポリマーやシクロオレフィンポリマー以外の材料を含んでいてもよい。また、窓ユニット13は、例えば添加剤を含んでいてもよい。
【0036】
ところで、特許文献1に開示されているガス計測用アダプタは、部品点数が多く、複雑である。また、流管の側壁に設けられたフレームの内側部分は流管の内周面から内側に突出しているので、防曇層の面は流管の内周面よりも内側に位置することになる。さらに、防曇層が形成された透明シートは窓部に貼り付けられるので、窓部の内周に水がたまってしまう虞がある。
【0037】
特許文献2に開示されているガス計測用アダプタが備える窓部は、窓部の中央部分に対応する箇所にゲートが設けられている金型によって成型されているため、窓部の中央部分にゲート痕が形成されている。窓部の中央部分には多くの測定光が通過しうる。測定光がゲート痕に当たると、測定光はゲート痕によって散乱してしまう。したがって、窓部の中央部分にゲート痕があると、集光精度が低下し、ひいては測定精度が低下してしまう虞がある。
【0038】
本実施形態に係るガス計測用アダプタ1および窓ユニット13の製造方法によれば、ガス計測用アダプタ1が有する窓ユニット13は、窓部31と装着部32とが一部品として一体成型されている。さらに窓ユニット13は、シクロオレフィンコポリマーまたはシクロオレフィンポリマーを含む素材から形成されている。これらの材料は、赤外線を透過させることができ、かつサイドゲート方式の金型を用いた成型が可能である。したがって、窓ユニット13はサイドゲート方式の金型により成型可能である。窓ユニット13がサイドゲート方式の金型により成型された場合、窓部31の内面50および外面60は平坦になる。このように、ガス計測用アダプタ1は、その構成が簡易である一方で、被検者の呼吸気に含まれる特定成分(例えば、二酸化炭素)の測定を精度よく行うことができる。
【0039】
また、本実施形態に係るガス計測用アダプタ1によれば、窓部31の直径は6mm以下であり、比較的小さい。したがって、窓部31を装着部32と一体成型しても、窓部31の内面50および外面60を高精度に平坦にすることができる。
【0040】
また、本実施形態に係るガス計測用アダプタ1によれば、窓部31の厚さと装着部32の厚さは略等しいので、窓部31と装着部32の間に大きな段差が形成されにくい。
【0041】
また、本実施形態に係るガス計測用アダプタ1によれば、装着部32は、窓部31の延伸方向の端部320にそれぞれ設けられ、かつ窓部31の延伸方向と略同一方向に延伸している。また、窓部31は、装着部32から凸となるようにエンボス状に成型されている。このため、窓ユニット13を開口部210に嵌合させやすい。
【0042】
また、本実施形態に係るガス計測用アダプタ1によれば、装着部32と窓部31の間にはテーパが構成されているため、窓ユニット13を開口部210に嵌合させやすい。
【0043】
また、本実施形態に係るガス計測用アダプタ1によれば、流管部21の外面212と装着部32の外面321は段差の無い平面を構成しているので、窓ユニット13が流管部21に正しく装着されたかどうかを判別しやすい。
【0044】
また、本実施形態に係るガス計測用アダプタ1によれば、流管部21の内面51と窓部31の内面50は段差の無い平面を構成しているので、流管部21内における呼吸気等のガスの移動を阻害しにくい。その結果、被検者の呼吸気に含まれる特定成分(例えば、二酸化炭素)の測定を精度よく行うことができる。
【0045】
また、本実施形態に係る窓ユニット13の製造方法によれば、装着部32は、窓部31の延伸方向の端部320にそれぞれ設けられており、金型のパーティング面の側方に設けられたゲートは、当該金型の装着部32の外周縁に対応する位置に設けられている。したがって、本実施形態に係る窓ユニット13の製造方法によれば、サイドゲート方式により、窓部31と装着部32とが一部品として一体成型されている窓ユニット13をより容易に成型することができる。
【0046】
上記の実施形態は本発明の理解を容易にするためのものであって、本発明を限定するものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく変更、改良され得る。
【0047】
上記の実施形態において、窓部31の内面50および流管部21の内面51は、平面状に形成されているが、窓部31の内面50および流管部21の内面51は、段差のない曲面状に形成されてもよい。なお、外力に対する対応としての能力が下がるものの、装着部32を設けずに窓部31及び流管部21の端部に対応するテーパ面を設けて嵌め合わせる構成としても良い。
【符号の説明】
【0048】
1:ガス計測用アダプタ、11:第一接続アダプタ、12:第二接続アダプタ、13:窓ユニット、20:センサ取付部、21:流管部、21a:第一端部、21b:第二端部、22a:係止部材、22b:係止部材、23a,23b:凹部、31:窓部、32:装着部、33:接続部位、41:通気路、50,51,213:内面、60,212,321:外面、210:開口部、211:載置部、320:端部