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特許7640396物品管理装置、プログラム及び物品管理システム
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-02-25
(45)【発行日】2025-03-05
(54)【発明の名称】物品管理装置、プログラム及び物品管理システム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 10/087 20230101AFI20250226BHJP
   G16Y 10/45 20200101ALI20250226BHJP
【FI】
G06Q10/087
G16Y10/45
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2021122304
(22)【出願日】2021-07-27
(65)【公開番号】P2023018285
(43)【公開日】2023-02-08
【審査請求日】2024-06-03
(73)【特許権者】
【識別番号】390029148
【氏名又は名称】大王製紙株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100090033
【弁理士】
【氏名又は名称】荒船 博司
(74)【代理人】
【識別番号】100093045
【弁理士】
【氏名又は名称】荒船 良男
(72)【発明者】
【氏名】井川 太郎
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 翼
(72)【発明者】
【氏名】大西 誠人
【審査官】樋口 龍弥
(56)【参考文献】
【文献】特表2022-549486(JP,A)
【文献】特開2021-106055(JP,A)
【文献】特開2009-070259(JP,A)
【文献】特開2019-054323(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00 - 99/00
G16Y 10/45
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
管理対象である物品に付されたRFIDタグの第1ICチップに書き込まれた情報を取得する第1取得部と、
前記第1取得部により取得された情報と予め登録された登録情報とに基づいて、前記第1ICチップに書き込まれた情報を取得できた前記物品と前記第1ICチップに書き込まれた情報を取得できなかった前記物品とが識別された前記物品に関連する画像を生成する生成部と、
前記物品の持出者を特定可能な特定部と、
前記生成部により生成された前記画像と前記特定部により特定された前記持出者に関する情報とを対応付けて表示部に表示させる表示制御部と、
を備える物品管理装置。
【請求項2】
前記登録情報として、前記第1ICチップに書き込まれた情報と前記物品に関連する画像とを対応付けた情報を登録する登録部を備える請求項1に記載の物品管理装置。
【請求項3】
前記物品を使用するユーザーが所持するRFIDタグの第2ICチップに書き込まれた情報を取得する第2取得部を備え、
前記特定部は、前記第1取得部により前記第1ICチップに書き込まれた情報が取得できなくなった時刻の所定時間前後の間に、前記第2取得部により前記第2ICチップに書き込まれた情報を取得できた場合、前記第2ICチップに書き込まれた情報に対応するユーザーが持出者であると特定する請求項1または2に記載の物品管理装置。
【請求項4】
前記生成部は、前記特定部により前記持出者が特定された場合、前記第1ICチップに書き込まれた情報に対応する前記物品に関連する画像と前記第2ICチップに書き込まれた情報に対応する前記ユーザーの個人名に関連する画像とを合成した画像を生成する請求項3に記載の物品管理装置。
【請求項5】
前記生成部は、前記第1ICチップに書き込まれた情報を取得できた前記物品を撮像した撮像画像と、前記第1ICチップに書き込まれた情報を取得できなかった前記物品を撮像した撮像画像を特定の色に加工した加工撮像画像を合成した画像を生成する請求項1から4のいずれか一項に記載の物品管理装置。
【請求項6】
前記生成部は、前記特定部により前記持出者が特定された場合、第1加工撮像画像を合成した画像を生成し、前記持出者が特定されない場合、前記第1加工撮像画像とは色が異なる第2加工撮像画像を合成した画像を生成する請求項1から5のいずれか一項に記載の物品管理装置。
【請求項7】
音、光、および振動のいずれかにより報知する報知部と、
前記特定部により前記持出者が特定されない場合、前記報知部により報知する報知制御部と、を備える請求項1から6のいずれか一項に記載の物品管理装置。
【請求項8】
所定時刻に達した場合に、前記登録情報に基づいて、前記第1ICチップに書き込まれた情報を取得できなかった物品があるか判断する判断部を備え、
前記表示制御部は、前記判断部により、前記第1ICチップに書き込まれた情報を取得できなかった物品があると判断された場合、その旨を前記表示部に表示させる請求項1から7のいずれか一項に記載の物品管理装置。
【請求項9】
前記物品は工具である請求項1から8のいずれか一項に記載の物品管理装置。
【請求項10】
コンピューターを、
管理対象である物品に付されたRFIDタグの第1ICチップに書き込まれた情報を取得する第1取得部、
前記第1取得部により取得された情報と予め登録された登録情報とに基づいて、前記第1ICチップに書き込まれた情報を取得できた前記物品と前記第1ICチップに書き込まれた情報を取得できなかった前記物品とが識別された前記物品に関連する画像を生成する生成部、
前記物品の持出者を特定可能な特定部、
前記生成部により生成された前記画像と前記特定部により特定された前記持出者に関する情報とを対応付けて表示部に表示させる表示制御部、
として機能させるプログラム。
【請求項11】
物品に付されたRFIDタグと、
前記物品を使用するユーザーが所持するRFIDタグと、
前記物品のRFIDタグの第1ICチップに書き込まれた情報、及び前記持出者を特定するための情報を読み取り、前記情報を外部装置に送信する読取装置と、
前記読取装置から前記情報を取得する請求項1から9のいずれか一項に記載の物品管理装置と、
を備え、
前記読取装置は、シート状の形状を成すシートアンテナを備え、前記シートアンテナ上に前記物品が載置される物品管理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物品管理装置、プログラム及び物品管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、RFID(Radio Frequency IDentification)と呼ばれる無線認証技術を用いた物品管理システムが知られている。
【0003】
これに関連して、特許文献1には、紙媒体、電子媒体に備えられたRFIDタグから管理情報を読み取り、読み取られた管理情報と予め登録された管理情報に基づき、紙媒体、電子媒体の貸出、返却状況、存在場所、又は、利用頻度及び時間を管理する管理装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2012-3318号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載の発明では、紙媒体、電子媒体の貸出、返却状況は、「貸出中」あるいは「未貸出」の文字が画面表示されるだけであり、紙媒体、電子媒体を持ち出している人が誰であるのか把握できないという問題があった。
【0006】
そこで、本発明の課題は、物品の管理状況を視覚的に容易に認識することができる表示を実現できる物品管理装置、プログラム及び物品管理システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、請求項1に記載の発明の物品管理装置は、
管理対象である物品に付されたRFIDタグの第1ICチップに書き込まれた情報を取得する第1取得部と、
前記第1取得部により取得された情報と予め登録された登録情報とに基づいて、前記第1ICチップに書き込まれた情報を取得できた前記物品と前記第1ICチップに書き込まれた情報を取得できなかった前記物品とが識別された前記物品に関連する画像を生成する生成部と、
前記物品の持出者を特定可能な特定部と、
前記生成部により生成された前記画像と前記特定部により特定された前記持出者に関する情報とを対応付けて表示部に表示させる表示制御部と、
を備える。
【0008】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の物品管理装置において、
前記登録情報として、前記第1ICチップに書き込まれた情報と前記物品に関連する画像とを対応付けた情報を登録する登録部を備える。
【0009】
請求項3に記載の発明は、請求項1または2に記載の物品管理装置において、
前記物品を使用するユーザーが所持するRFIDタグの第2ICチップに書き込まれた情報を取得する第2取得部を備え、
前記特定部は、前記第1取得部により前記第1ICチップに書き込まれた情報が取得できなくなった時刻の所定時間前後の間に、前記第2取得部により前記第2ICチップに書き込まれた情報を取得できた場合、前記第2ICチップに書き込まれた情報に対応するユーザーが持出者であると特定する。
【0010】
請求項4に記載の発明は、請求項3に記載の物品管理装置において、
前記生成部は、前記特定部により前記持出者が特定された場合、前記第1ICチップに書き込まれた情報に対応する前記物品に関連する画像と前記第2ICチップに書き込まれた情報に対応する前記ユーザーの個人名に関連する画像とを合成した画像を生成する。
【0011】
請求項5に記載の発明は、請求項1から4のいずれか一項に記載の物品管理装置において、
前記生成部は、前記第1ICチップに書き込まれた情報を取得できた前記物品を撮像した撮像画像と、前記第1ICチップに書き込まれた情報を取得できなかった前記物品を撮像した撮像画像を特定の色に加工した加工撮像画像を合成した画像を生成する。
【0012】
請求項6に記載の発明は、請求項1から5のいずれか一項に記載の物品管理装置において、
前記生成部は、前記特定部により前記持出者が特定された場合、第1加工撮像画像を合成した画像を生成し、前記持出者が特定されない場合、前記第1加工撮像画像とは色が異なる第2加工撮像画像を合成した画像を生成する。
【0013】
請求項7に記載の発明は、請求項1から6のいずれか一項に記載の物品管理装置において、
音、光、および振動のいずれかにより報知する報知部と、
前記特定部により前記持出者が特定されない場合、前記報知部により報知する報知制御部と、を備える。
【0014】
請求項8に記載の発明は、請求項1から7のいずれか一項に記載の物品管理装置において、
所定時刻に達した場合に、前記登録情報に基づいて、前記第1ICチップに書き込まれた情報を取得できなかった物品があるか判断する判断部を備え、
前記表示制御部は、前記判断部により、前記第1ICチップに書き込まれた情報を取得できなかった物品があると判断された場合、その旨を前記表示部に表示させる。
【0015】
請求項9に記載の発明は、請求項1から8のいずれか一項に記載の物品管理装置において、
前記物品は工具である。
【0016】
請求項10に記載のプログラムは、
コンピューターを、
管理対象である物品に付されたRFIDタグの第1ICチップに書き込まれた情報を取得する第1取得部、
前記第1取得部により取得された情報と予め登録された登録情報とに基づいて、前記第1ICチップに書き込まれた情報を取得できた前記物品と前記第1ICチップに書き込まれた情報を取得できなかった前記物品とが識別された前記物品に関連する画像を生成する生成部、
前記物品の持出者を特定可能な特定部、
前記生成部により生成された前記画像と前記特定部により特定された前記持出者に関する情報とを対応付けて表示部に表示させる表示制御部、
として機能させる。
【0017】
請求項11に記載の物品管理システムは、
物品に付されたRFIDタグと、
前記物品を使用するユーザーが所持するRFIDタグと、
前記物品のRFIDタグの第1ICチップに書き込まれた情報、及び前記持出者を特定するための情報を読み取り、前記情報を外部装置に送信する読取装置と、
前記読取装置から前記情報を取得する請求項1から9のいずれか一項に記載の物品管理装置と、
を備え、
前記読取装置は、シート状の形状を成すシートアンテナを備え、前記シートアンテナ上に前記物品が載置される。
【発明の効果】
【0018】
本発明の物品管理装置、プログラム及び物品管理システムは、物品の管理状況を視覚的に容易に認識することができる表示を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明の実施形態の物品管理システムの概略図を示す図である。
図2】本発明の実施形態における物品登録処理を示すフローチャートである。
図3A】本発明の実施形態における物品のカラー画像の例を示す図である。
図3B】本発明の実施形態における物品の白塗り画像の例を示す図である。
図3C】本発明の実施形態における物品のアラート画像の例を示す図である。
図4】物品ID、変数、物品の画像及びBitmapの対応テーブルの例である。
図5】Bitmap、位置座標、倍率の対応テーブルの例である。
図6】本発明の実施形態における個人登録処理を示すフローチャートである。
図7】個人ID、氏名、個人名画像及びメールアドレスの対応テーブルの例である。
図8A】本発明の実施形態における物品管理処理を示すフローチャートである。
図8B】本発明の実施形態における物品管理処理を示すフローチャートである。
図9】本発明の実施形態におけるRFIDリーダの設定画面の例を示す図である。
図10A】本発明の実施形態における表示画面において物品が全てシートアンテナ上に載置されている例を示す図である。
図10B】本発明の実施形態における表示画面においてシートアンテナ上に載置されていない物品が存在しており、持ち出したユーザーが把握できている例を示す図である。
図10C】本発明の実施形態における表示画面においてシートアンテナ上に載置されていない物品が存在しており、持ち出したユーザーが把握できていない例を示す図である。
図11】本発明の実施形態の変形例の物品管理システムの概略図を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
添付図面を参照して、本発明に係る実施の形態を詳細に説明する。なお、本発明は、図示例に限定されるものではない。
【0021】
(物品管理システム)
図1図11を参照して、本発明に係る実施形態及び変形例を説明する。まず、図1は、本発明の物品管理システム100の概念図である。
【0022】
図1に示すように、本発明を適用した実施形態に係る物品管理システム100は、RFIDタグ11a、11b、11c・・・(以下、それぞれを区別しない場合はRFIDタグ11と表記する)を備える物品10a、10b、10c・・・(以下、それぞれを区別しない場合は物品10と表記する)と、読取装置であるRFIDリーダ20と、物品管理装置30と、RFIDタグ41a、41b・・・(以下、それぞれを区別しない場合はRFIDタグ41と表記する)を備える個人カード40a、40b・・・(以下、それぞれを区別しない場合は個人カード40と表記する)を備える。
個人カード40は、物品10を使用するユーザーがそれぞれ所持するカードである。
【0023】
(RFIDタグ)
RFIDタグ11aについて説明する。なお、RFIDタグ11b、RFIDタグ11c・・・、及びRFIDタグ41a、41b・・・の構成は、RFIDタグ11aと同じ構成であるので説明を省略する。
【0024】
RFIDタグ11aは、電池を内蔵しないパッシブ型のRFIDタグであって、図1に示すように、アンテナ部111aと、第1ICチップ112aを備えている。同様に、RFIDタグ41aは、アンテナ部411aと、第2ICチップ412aを備えている。
アンテナ部111aは、RFIDリーダ20の後述するシートアンテナ22から発信される第一電波RW1を受信する。そして、アンテナ部111aは、受信した第一電波RW1を電力に変換して第1ICチップ112aに電力供給する。
第1ICチップ112aは、固有識別番号を記憶する内部メモリを有しており、第一電波RW1を受信すると、第1ICチップ112aが、アンテナ部111aを制御して、固有識別番号の情報を含む第二電波RW2を放射状に発信する。この第二電波RW2をRFIDリーダ20が受信し、RFIDリーダ20は受信した固有識別番号の情報を物品管理装置30に送信する。
物品10が備えるRFIDタグ11における固有識別番号とは、物品10を識別するための物品IDである。また、個人カード40が備えるRFIDタグ41における固有識別番号とは、個人カードを所持する個人を識別するための個人IDである。
【0025】
(RFIDリーダ)
RFIDリーダ20は、リーダ本体21と、RFIDタグ11及びRFIDタグ41と通信を行うシートアンテナ22と、を備え、リーダ本体21とシートアンテナ22は通信ケーブル23により接続されている。通信ケーブル23は、例えば、同軸ケーブルである。
リーダ本体21は、シートアンテナ22で取得した第二電波RW2から物品IDあるいは個人IDの情報を読み取る。
また、リーダ本体21は、物品管理装置30と通信を行う通信部211を備える。通信部211と物品管理装置30間の通信は、例えば、USB(Universal Serial Bus)通信によって行われる。また、通信部211と物品管理装置30間の通信に他の通信方法を用いてもよい。
シートアンテナ22は、例えば、矩形のシート状であり、物品10をシートアンテナ22上に載置することが可能な大きさである。ユーザーは、物品10を使用する場合、所持している個人カード40をシートアンテナ22にかざして個人IDを読み取らせた後、所定時間内にシートアンテナ22上に載置された物品10を持ち出し、使用後に物品10をシートアンテナ22上に返却する。または、ユーザーは、物品10を使用する場合、シートアンテナ22上に載置された物品10を持ち出した後、所定時間内に所持している個人カード40をシートアンテナ22にかざして個人IDを読み取らせ、使用後に物品10をシートアンテナ22上に返却する。
図1に示す例においては、RFIDリーダ20は一つのシートアンテナ22を備える場合を示したが、RFIDリーダ20は、複数のシートアンテナ22を備える構成としてもよい。
【0026】
(物品管理装置)
物品管理装置30は、制御部31と、記憶部32と、表示部33と、操作受付部34と、通信部35と、報知部36とを備える。
【0027】
制御部31は、物品管理装置30の動作を制御する部分であり、具体的には、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)等を備えて構成され、RAMの作業領域に展開されたROMや記憶部32に記憶されたコンピュータプログラムとCPUとの協働により、物品管理装置30の各部を統括制御する。
【0028】
また、制御部31は、管理対象である物品10に付されたRFIDタグ11の第1ICチップ112に書き込まれた情報(物品ID)をRFIDリーダ20から取得する。ここで、制御部31は第1取得部として機能する。
また、第1取得部により取得された情報と後述する予め登録された登録情報とに基づいて、第1ICチップ112に書き込まれた情報を取得できた物品10と第1ICチップ112に書き込まれた情報を取得できなかった物品10とが識別された物品10に関連する画像を生成する。当該物品10に関連する画像とは、後述する合成画像337である。ここで、制御部31は生成部として機能する。
また、制御部31は、物品10の持出者を特定可能である。ここで、制御部31は特定部として機能する。
また、制御部31は、生成部により生成された画像と特定部により特定された持出者に関する情報とを対応付けて表示部33に表示させる。ここで、制御部31は表示制御部として機能する。
また、制御部31は、登録情報として、第1ICチップ112に書き込まれた情報と物品10に関連する画像とを対応付けた情報を登録する。当該物品10に関連する画像とは、後に詳述する撮像画像、加工撮像画像(第1加工撮像画像及び第2加工撮像画像)である。ここで、制御部31は登録部として機能する。
また、制御部31は、物品10を使用するユーザーが所持するRFIDタグ41の第2ICチップ412に書き込まれた情報(個人ID)をRFIDリーダ20から取得する。ここで、制御部31は第2取得部として機能する。
また、制御部31は、特定部により持出者が特定されない場合、後述する報知部36により報知する。ここで、制御部31は報知制御部として機能する。
また、制御部31は、所定時刻に達した場合に、登録情報に基づいて、第1ICチップ112に書き込まれた情報を取得できなかった物品10があるか判断する。ここで、制御部31は判断部として機能する。
【0029】
記憶部32は、例えば、HDD(Hard Disk Drive)、半導体メモリ等により構成され、データ及びプログラムを書き込み及び読み出し可能な記憶部である。また、記憶部32は、プログラム32aなどを記憶している。
プログラム32aは、制御部31により実行される各種システムプログラム、アプリケーションプログラム及び物品10を管理するための管理アプリケーションプログラム(以下、管理アプリと表記する)を含む。
【0030】
また、記憶部32は、登録情報を記憶する。具体的には、記憶部32は、物品管理システム100において管理を行う管理対象の物品10が備えるRFIDタグ11の物品IDを記憶する。また、当該物品IDに対応付けて、物品10に関連する画像である物品10の撮像画像、加工撮像画像を登録情報として記憶する。
また、記憶部32は、管理対象の物品10を使用するユーザーが所持する個人カード40が備えるRFIDタグ41の個人IDを記憶する。また、当該個人IDに対応付けて、後述する個人名画像及びユーザーのメールアドレス等の個人情報を記憶する。
また、記憶部32は、物品10がシートアンテナ22上から持ち出された時刻を記憶し、持ち出された時刻の所定時間前後の間に個人IDがシートアンテナ22によって読み取られた場合、物品10が持ち出された時刻、物品10の物品ID及び持ち出したユーザー(持出者)の個人IDを対応付けて記憶する。
【0031】
表示部33は、例えば、LCD(Liquid Crystal Display)等のディスプレイから構成されている。また、表示部33は、制御部31から入力される表示制御信号の指示に従って、各種画面を表示する。
【0032】
操作受付部34は、例えば、文字入力キー、数字入力キー、その他各種機能に対応付けられたキーを有するキーボード、マウス等のポインティングデバイス等を備え、ユーザーからの操作入力を受け付けて、操作入力に応じた操作信号を制御部31へと出力する。なお、操作受付部34は、表示部33と一体的に形成されたタッチパネル等であってもよい。
【0033】
通信部35は、制御部31の制御の下、所定の通信プロトコルを用いて、RFIDリーダ20や外部装置とデータ通信を行う。具体的には、通信部35は、通信用IC(Integrated Circuit)と通信コネクタなどを有する通信インターフェイスである。
【0034】
報知部36は、制御部31の制御の下、ユーザーに光、音、振動等で報知する。
【0035】
(物品登録処理)
次に、物品管理装置30内で起動する管理アプリによる管理対象の物品10を登録する物品登録処理について説明する。物品管理装置30の制御部31は、所定条件が成立したこと(例えば、ユーザーによって管理アプリにおける物品登録画面(図示なし)が表示されたこと)を契機として、図2に示す物品登録処理を実行する。
【0036】
物品登録処理において、まず、物品管理装置30の制御部31は、操作受付部34を介して、管理対象の物品10が備えるRFIDタグ11の物品ID、物品10を撮像した撮像画像であるカラー画像、第1加工撮像画像である白塗り画像、及び第2加工撮像画像であるアラート画像の入力を受け付ける(ステップS1)。白塗り画像は、撮像画像における物品10部分を白塗りした画像である。アラート画像は、撮像画像における物品10部分を例えば、赤塗りした画像である。
ここで、図3Aに物品10である工具のカラー画像の例を示す。物品10のカラー画像は、物品10を撮像した撮像画像において、物品10の形状に沿って、物品10部分を切り抜いた画像である。また、図3Bに物品10である工具の白塗り画像の例を示す。物品10の白塗り画像は、物品10を撮像した撮像画像において、物品10の形状に沿って、物品10部分を切り抜き、物品10の輪郭を実線で縁取り、その中を白塗りした画像である。また、図3Cに物品10である工具のアラート画像の例を示す。物品10のアラート画像は、物品10を撮像した撮像画像において、物品10の形状に沿って、物品10部分を切り抜き、物品10の輪郭を実線で縁取り、その中を例えば、赤塗りした画像である。
次に、制御部31は、ステップS1において受け付けた物品10の物品IDに、当該物品10のカラー画像、白塗り画像及びアラート画像を対応付けて、記憶部32に記憶することで(ステップS2)、登録情報として登録する。
【0037】
図4に、物品ID、変数、物品10のカラー画像、白塗り画像、アラート画像及びBitmapの対応テーブルの例を示す。また、図4の欄Aに、合成画像337に使用する背景画像とそのBitmapの対応を示す。
図4に示す例において、欄Bは、物品IDが「1111」であるハンマー(Hammer)の白塗り画像、その変数及びBitmapの対応である。欄Cは、物品IDが「1111」であるハンマー(Hammer)のカラー画像、その変数及びBitmapの対応である。欄Dは、物品IDが「1111」であるハンマー(Hammer)のアラート画像、その変数及びBitmapの対応である。欄Eは、物品IDが「2222」であるレンチ(Wrench)の白塗り画像、その変数及びBitmapの対応である。欄Fは、物品IDが「2222」であるレンチ(Wrench)のカラー画像、その変数及びBitmapの対応である。欄Gは、物品IDが「2222」であるレンチ(Wrench)のアラート画像、その変数及びBitmapの対応である。
【0038】
次に、制御部31は、それぞれの物品10のカラー画像、白塗り画像あるいはアラート画像の合成画像337における位置を示す位置座標及び倍率の設定を受け付け、当該設定を記憶部32に記憶し(ステップS3)、本処理を終了する。
図5に、物品10のBitmap、位置座標及び倍率の対応テーブルの例を示す。図5に示す例において、欄Hはハンマー(Hammer)のカラー画像のBitmap、その位置座標及び倍率の対応を示し、位置座標は(0,0)、倍率は620,868である。欄Iはハンマー(Hammer)の白塗り画像のBitmap、その位置座標及び倍率の対応を示し、位置座標は(0,0)、倍率は620,868である。欄Jはハンマー(Hammer)のアラート画像のBitmap、その位置座標及び倍率の対応を示し、位置座標は(0,0)、倍率は620,868である。
【0039】
(個人登録処理)
次に、物品管理装置30内で起動する管理アプリによる管理対象の物品10を使用するユーザーを登録する個人登録処理について説明する。物品管理装置30の制御部31は、所定条件が成立したこと(例えば、ユーザーによって管理アプリにおける個人登録画面(図示なし)が表示されたこと)を契機として、図6に示す個人登録処理を実行する。
【0040】
個人登録処理において、まず、物品管理装置30の制御部31は、操作受付部34を介して、ユーザーが所持する個人カード40が備えるRFIDタグ41の個人ID、ユーザーの個人名を表示する画像である個人名画像、及びユーザーのメールアドレス等の個人情報の入力を受け付ける(ステップS11)。
次に、制御部31は、ステップS11において受け付けた個人IDに、個人名画像及び個人情報を対応付けて、記憶部32に記憶し(ステップS12)、本処理を終了する。
【0041】
図7に個人ID、ユーザーの個人名である氏名、個人名画像及びメールアドレスの対応テーブルの例を示す。
図7に示す例において、欄Kは、個人IDが「111」であり、氏名が「xxxxxx」であるユーザーの個人名画像「Name_xxxxxx」、及びメールアドレス「xxxxxx@zzzzz」の対応である。欄Lは、個人IDが「222」であり、氏名が「yyyyyy」であるユーザーの個人名画像「Name_yyyyyy」、及びメールアドレス「yyyyyy@zzzzz」の対応である。
【0042】
(物品管理処理)
次に、物品管理装置30内で起動する管理アプリによる管理対象の物品10の管理状況情報を表示する物品管理処理について説明する。物品管理装置30の制御部31は、所定条件が成立したこと(例えば、ユーザーによって管理アプリにおける図9に示す設定画面331が表示されたこと)を契機として、図8A及び図8Bに示す物品管理処理を実行する。
【0043】
物品管理処理において、まず、物品管理装置30の制御部31は、設定画面331において、操作受付部34を介してユーザーによるRFIDリーダ20の設定を受け付ける(ステップS21)。
例えば、図9に示す設定画面331の設定欄332において、制御部31は、RFIDリーダ20が接続された、通信部35の通信ポートであるCOMポート(COMmunication Port)のユーザーによる選択を受け付ける。
また、制御部31は、設定欄333において、通信部35に接続されているRFIDリーダ20のシートアンテナ22が出力する第一電波RW1の出力レベルのユーザーによる設定を受け付ける。当該第一電波RW1の出力レベルは、シートアンテナ22上に載置された物品10、あるいはシートアンテナ22上にかざされる個人カード40が受信できるレベルに設定すればよい。
また、制御部31は、RFIDリーダ20が複数のシートアンテナ22を備える場合、設定欄334において、物品10がシートアンテナ22上にあるかないか、ない場合は誰が持ち出したかを示す管理状況情報を、どのシートアンテナ22について表示するかのユーザーによる選択を受け付ける。
また、制御部31は、ユーザーにより「取消」ボタン335が押下されると、設定画面331を閉じる。
また、制御部31は、ユーザーにより「次へ」ボタン336が押下されると、処理をステップS22に移行する。
【0044】
次に、制御部31は、ステップS21で設定画面331の設定欄334において選択されたRFIDリーダ20のシートアンテナ22から、当該シートアンテナ22上に載置された物品10の物品IDを取得する(ステップS22)。
次に、制御部31は、記憶部32に記憶された、つまり管理アプリにおいて登録された物品IDは取得できたか否かを判断する(ステップS23)。
物品IDが取得できた物品10については(ステップS23;YES)、制御部31は、記憶部32から当該物品IDに対応付けられた物品10のカラー画像を取得する(ステップS24)。
【0045】
また、物品IDが取得できなかった物品10については(ステップS23;NO)、制御部31は、現在時刻を当該物品10が持ち出された時刻として記憶部32に記憶する(ステップS25)。当該物品10が持ち出された時刻は、第1取得部により物品10の第1ICチップ112に書き込まれた情報(物品ID)が取得できなくなった時刻である。
次に、制御部31は、ステップS25において記憶した物品10が持ち出された時刻の所定時間前後の間に個人IDを取得したか否かを判断する(ステップS26)。当該所定時間は、ユーザーが個人カード40をシートアンテナ22上にかざして、個人IDを読み取らせてから物品10を持ち出すことができる時間、あるいはユーザーが物品10を持ち出してから個人カード40をシートアンテナ22上にかざして個人IDを読み取らせることができる時間に設定すればよい。
物品10が持ち出された時刻の所定時間前後の間に個人IDを取得した場合(ステップS26;YES)、制御部31は取得した個人ID(第2ICチップに書き込まれた情報)に対応するユーザーが持出者であると特定し、持ち出された時刻に、持ち出された物品10の物品IDと物品10を持ち出したユーザーの個人IDを対応付けて記憶する(ステップS27)。
次に、制御部31は、物品10の物品IDに対応付けられた白塗り画像と、取得された個人IDに対応付けられた個人名画像を記憶部32から取得する(ステップS28)。
また、物品10が持ち出された時刻の所定時間前後の間に個人IDを取得していない場合(ステップS26;NO)、つまり、持出者が特定されていない場合、制御部31は、持ち出された物品10の物品IDに対応付けられたアラート画像を記憶部32から取得する(ステップS29)。
制御部31は、管理アプリに登録された全ての物品IDについてそれぞれステップS23~S24、ステップS23~S28、あるいはステップS23~S29を実施する。
【0046】
次に、制御部31は、ステップS29においてアラート画像を取得したアラート対象の物品10はあるか否かを判断する(ステップS30)。
アラート対象の物品10がない場合(ステップS30;NO)、制御部31は、ステップS24において取得した物品10のカラー画像と、ステップS28において取得した物品10の白塗り画像、及び物品10を持ち出したユーザーの個人名画像を合成した図10Aあるいは図10Bに示す合成画像337を生成し、表示部33に表示する(ステップS31)。
また、アラート対象の物品10がある場合(ステップS30;YES)、制御部31は、ステップS24において取得した物品10のカラー画像と、ステップS28において取得した物品10の白塗り画像、及び物品10を持ち出したユーザーの個人名画像と、ステップS29において取得した物品10のアラート画像を合成した図10Cに示す合成画像337を生成し、表示部33に表示し、アラートを実施する(ステップS32)。なお、図10Cに示す例は、物品10のカラー画像とアラート画像のみを合成した場合である。制御部31は、アラートとして、報知部36を制御して光、音、振動等により報知する。
【0047】
ここで、図10A図10Cに合成画像337を表示する表示画面338の例を示す。図10A図10Cに示す例において、物品10a~10eは工具である。
また、図10Aは、登録された物品10が全てシートアンテナ22上に載置されている例を示す。図10Aに示す例において、合成画像337には、物品10a~10eのカラー画像が表示されている。これは、物品10a~10eの物品IDはステップS22において取得できており、つまり物品10a~10eはシートアンテナ22上に載置されている場合である。
また、図10Bは、登録された物品10の中でシートアンテナ22上に載置されていない物品10が存在しており、持ち出したユーザーが把握できている、つまり、持出者が特定できている例を示す。図10Bに示す例において、合成画像337には、物品10aについては物品10aの白塗り画像と、白塗り画像上に物品10aを持ち出したユーザーの個人名画像339が表示されている。これは、物品10aの物品IDはステップS22おいて取得できず、ステップS26において物品10aが持ち出された時刻の所定時間前後の間に個人IDを取得したと判断された場合である。つまり物品10aはシートアンテナ22上から持ち出され、持ち出したユーザーの個人IDをシートアンテナ22が読み取れた場合である。また、合成画像337には、物品10b~10eについては物品10b~10eのカラー画像が表示されている。これは、物品10b~10eの物品IDはステップS22において取得できており、つまり物品10b~10eはシートアンテナ22上に載置されている場合である。
また、図10Cは、登録された物品10の中でシートアンテナ22上に載置されていない物品10が存在しており、持ち出したユーザーが把握できていない、つまり、持出者が特定できていない例を示す。図10Cに示す例において、合成画像337には、物品10aについては物品10aのアラート画像が表示されている。これは、物品10aの物品IDはステップS22おいて取得できず、ステップS26において物品10aが持ち出された時刻の所定時間前後の間に個人IDを取得していないと判断された場合である。つまり物品10aはシートアンテナ22上から持ち出され、持ち出したユーザーの個人IDをシートアンテナ22が読み取れていない場合である。また、合成画像337には、物品10b~10eについては物品10b~10eのカラー画像が表示されている。これは、物品10b~10eの物品IDはステップS22において取得できており、つまり物品10b~10eはシートアンテナ22上に載置されている場合である。
【0048】
また、図10A図10Cの背景画像は、図4の欄Aに示した「bmpBack」である。
また、図10A図10Cに示す例における物品10aは、ハンマー(Hammer)である。つまり、図10Aに示す例において、物品10aの画像は、図5の欄Hの「bmpHammerColor」であり、位置座標は(0,0)、倍率は620,868である。また、図10Bに示す例において、物品10aの画像は、図5の欄Iの「bmpHammerWhiteout」であり、位置座標は(0,0)、倍率は620,868である。また、図10Cに示す例において、物品10aの画像は、図5の欄Jの「bmpHammerRedout」であり、位置座標は(0,0)、倍率は620,868である。
図10A図10Cに示すように、シートアンテナ22上から持ち出された物品10において、持ち出したユーザーが把握できている場合は、白塗り画像と個人名画像が表示され、持ち出したユーザーが把握できていない場合は、アラート画像が表示され、シートアンテナ22上に載置されている物品10については、カラー画像が表示されるので、ユーザーは物品10の管理状況を視覚的に容易に認識することができる。
【0049】
ここで、合成画像337における物品10の倍率は、実際の物品10のサイズ比で設定されることが好ましい。これにより、ユーザーはそれぞれの物品10がシートアンテナ22上に載置されているか否かを視覚的に認識しやすい。
【0050】
次に、制御部31は、予め設定された設定時刻である所定時刻に達したか否かを判断する(ステップS33)。ここで、設定時刻とは、例えば、物品管理システム100が物品10を使用するユーザーの職場に設置されている場合、当該職場の終業時刻に設定すればよい。
所定時刻に達した場合(ステップS33;YES)、制御部31は、管理アプリに登録されている物品IDの中でステップS22において取得できなかった物品IDはあるか否かを判断する(ステップS34)。
登録されている物品IDの中で取得できなかった物品IDがある場合、つまりシートアンテナ22上に返却されていない物品10がある場合(ステップS34;YES)、制御部31は、返却されていない物品10がある旨を表示部33に表示し、報知部36を制御して、アラートとして、光、音、振動等により報知する(ステップS35)。
次に、制御部31は、返却されていない物品10を持ち出したユーザー宛てに報知する(ステップS36)。例えば、制御部31は、返却されていない物品10の物品IDに対応付けられた個人IDに対応付けられて記憶されたユーザーのメールアドレス宛に物品10が返却されていない旨のメールを送信する。
設定時刻に達した際に、シートアンテナ22上に返却されていない物品10があることを表示し、アラートを実施し、持ち出したユーザーに報知することで、ユーザーの物品10の返却忘れを防止することができる。
【0051】
次に、制御部31は、ユーザーにより管理アプリは終了されたか否かを判断する(ステップS37)。
管理アプリが終了されていない場合(ステップS37;NO)、制御部31は、所定時間待機し(ステップS38)、本処理をステップS22に移行する。当該所定時間は、管理状況情報を正確に更新できる時間に設定すればよく、例えば数秒である。つまり、管理アプリが終了されるまで、管理状況情報を更新して表示部33に表示する。
また、管理アプリが終了された場合(ステップS37;YES)、制御部31は、本処理を終了する。
【0052】
また、登録されている物品IDの中で取得できなかった物品IDがない場合、つまり登録された物品10が全てシートアンテナ22上に返却されている場合(ステップS34;NO)、制御部31は、本処理をステップS37に移行する。
また、所定時刻に達していない場合(ステップS33;NO)、制御部31は、本処理をステップS37に移行する。
【0053】
(変形例1)
次に、上記実施形態の変形例について説明する。
図11は、本変形例の物品管理システム100の構成を示す概略図である。
【0054】
本変形例において、物品管理システム100は、読取装置である物品RFIDリーダ20a、及び個人RFIDリーダ20bを備える。その他の構成は、上記実施形態の物品管理システム100と同一である。
物品RFIDリーダ20aは、リーダ本体21aと、RFIDタグ11と通信を行うシートアンテナ22aと、を備え、リーダ本体21aとシートアンテナ22aは通信ケーブル23aにより接続されている。通信ケーブル23aは、例えば、同軸ケーブルである。
リーダ本体21aは、シートアンテナ22aで取得した第二電波RW2から物品IDの情報を読み取る。
シートアンテナ22aは、例えば、矩形のシート状であり、物品10をシートアンテナ22a上に載置することが可能な大きさである。
個人RFIDリーダ20bは、リーダ本体21bと、RFIDタグ41と通信を行うシートアンテナ22bと、を備え、リーダ本体21bとシートアンテナ22bは通信ケーブル23bにより接続されている。通信ケーブル23bは、例えば、同軸ケーブルである。
リーダ本体21bは、シートアンテナ22bで取得した第二電波RW2から個人IDの情報を読み取る。
シートアンテナ22bは、例えば、矩形のシート状であり、個人カード40をシートアンテナ22b上にかざすことが可能な大きさである。なお、シートアンテナ22bの形状は、矩形のシート状に限らない。個人カード40をかざすことが可能であれば良い。
【0055】
シートアンテナ22aとシートアンテナ22bが発信する第一電波RW1は、周波数帯が異なっていてもよい。例えば、シートアンテナ22aが発信する第一電波RW1の周波数帯は、UHF帯(極超短波)である900MHz帯であり、シートアンテナ22bが発信する第一電波RW1の周波数帯は、HF帯(短波帯)である13.56MHzである。また、物品10のアンテナ部111と個人カード40のアンテナ部411は、これに対応した周波数帯の第二電波RW2を発信する。UHF帯のRFIDタグ11はより安価であるため、多くの物品10に備える場合でもコストアップを防ぐことができる。また、HF帯の通信はより安定性が高いため、シートアンテナ22bはより正確に個人IDの情報を読み取ることができる。
【0056】
本変形例において、ユーザーは、物品10を使用する場合、所持している個人カード40をシートアンテナ22bにかざして個人IDを読み取らせた後、所定時間内にシートアンテナ22a上に載置された物品10を持ち出し、使用後に物品10をシートアンテナ22a上に返却する。または、ユーザーは、物品10を使用する場合、シートアンテナ22a上に載置された物品10を持ち出した後、所定時間内に所持している個人カード40をシートアンテナ22bにかざして個人IDを読み取らせ、使用後に物品10をシートアンテナ22a上に返却する。
【0057】
(効果)
以上、上記実施形態で説明してきた物品管理システム100が備える物品管理装置30は、管理対象である物品10に付されたRFIDタグ11の第1ICチップ112に書き込まれた情報(物品ID)を取得する第1取得部(制御部31)と、第1取得部により取得された情報と予め登録された登録情報とに基づいて、第1ICチップ112に書き込まれた情報を取得できた物品10と第1ICチップ112に書き込まれた情報を取得できなかった物品10とが識別された物品10に関連する画像(合成画像337)を生成する生成部(制御部31)と、物品10の持出者を特定可能な特定部(制御部31)と、生成部により生成された画像と特定部により特定された持出者に関する情報とを対応付けて表示部33に表示させる表示制御部(制御部31)と、を備える。
従って、物品の管理状況を視覚的に容易に認識することができる表示を実現できる。
【0058】
また、上記実施形態で説明してきた物品管理システム100が備える物品管理装置30は、登録情報として、第1ICチップ112に書き込まれた情報と物品10に関連する画像(撮像画像、加工撮像画像(第1加工撮像画像及び第2加工撮像画像))とを対応付けた情報を登録する登録部(制御部31)を備える。
従って、登録情報に基づいて、物品の管理状況を視覚的に容易に認識することができる表示を実現できる。
【0059】
また、上記実施形態で説明してきた物品管理システム100が備える物品管理装置30は、物品10を使用するユーザーが所持するRFIDタグ41の第2ICチップ412に書き込まれた情報を取得する第2取得部(制御部31)を備え、特定部は、第1取得部により第1ICチップ112に書き込まれた情報が取得できなくなった時刻の所定時間前後の間に、第2取得部により第2ICチップ412に書き込まれた情報を取得できた場合、第2ICチップ412に書き込まれた情報に対応するユーザーが持出者であると特定する。
従って、物品10を持ち出した持出者を容易に特定することができる。
【0060】
また、上記実施形態で説明してきた物品管理システム100が備える物品管理装置30において、生成部は、特定部により持出者が特定された場合、第1ICチップ112に書き込まれた情報に対応する物品10に関連する画像と第2ICチップ412に書き込まれた情報に対応するユーザーの個人名に関連する画像とを合成した画像(合成画像337)を生成する。
従って、物品10を持ち出した持出者を視覚的に容易に認識することができる表示を実現できる。
【0061】
また、上記実施形態で説明してきた物品管理システム100が備える物品管理装置30において、生成部は、第1ICチップ112に書き込まれた情報を取得できた物品10を撮像した撮像画像と、第1ICチップ112に書き込まれた情報を取得できなかった物品10を撮像した撮像画像を特定の色に加工した加工撮像画像を合成した画像(合成画像337)を生成する。
従って、シートアンテナ22上に載置されていない物品10については、白塗り画像またはアラート画像が表示され、シートアンテナ22上に載置されている物品10については、カラー画像が表示されるので、ユーザーはシートアンテナ22上に載置されている物品10の管理状況を視覚的に容易に認識することができる。
【0062】
また、上記実施形態で説明してきた物品管理システム100が備える物品管理装置30において、生成部は、特定部により持出者が特定された場合、第1加工撮像画像(白塗り画像)を合成した画像(合成画像337)を生成し、持出者が特定されない場合、第1加工撮像画像とは色が異なる第2加工撮像画像(アラート画像)を合成した画像(合成画像337)を生成する。
従って、物品10を持ち出したユーザーが把握できている物品10と、把握できていない物品10を視覚的に容易に認識することができる。
【0063】
また、上記実施形態で説明してきた物品管理システム100が備える物品管理装置30は、音、光、および振動のいずれかにより報知する報知部36と、特定部により持出者が特定されない場合、報知部36により報知する報知制御部(制御部31)と、を備える。
従って、ユーザーが個人IDをシートアンテナ22に読み取らせずに、つまり勝手に物品10を持ち出すことを防ぐことができる。
【0064】
また、上記実施形態で説明してきた物品管理システム100が備える物品管理装置30は、所定時刻に達した場合に、登録情報に基づいて、第1ICチップ112に書き込まれた情報を取得できなかった物品10があるか判断する判断部(制御部31)を備え、表示制御部は、判断部により、第1ICチップ112に書き込まれた情報を取得できなかった物品10があると判断された場合、その旨を表示部33に表示させる。
従って、設定時刻である所定時刻に達した際に、シートアンテナ22上に返却されていない物品10があることを表示することで、ユーザーの物品10の返却忘れを防止することができる。
【0065】
また、上記実施形態で説明してきた物品管理システム100が備える物品管理装置30において、物品10は工具である。
従って、工具の管理状況を視覚的に容易に認識することができる表示を実現できる。
【0066】
また、上記実施形態で説明してきた物品管理システム100は、物品10に付されたRFIDタグ11と、物品10を使用するユーザーが所持するRFIDタグ41と、物品10のRFIDタグ11の第1ICチップ112に書き込まれた情報、及び持出者を特定するための情報を読み取り、情報を外部装置に送信する読取装置(RFIDリーダ20)と、読取装置から情報を取得する物品管理装置30と、を備え、読取装置は、シート状の形状を成すシートアンテナ22を備え、シートアンテナ22上に物品10が載置される。
従って、RFIDリーダ20は物品10の物品IDを読み取りやすい。
【0067】
以上、本発明は上記の実施形態等に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能であることは言うまでもない。
【0068】
例えば、上記実施形態の物品登録処理のステップS1において、物品管理装置30の制御部31は、操作受付部34を介して、管理対象の物品10が備えるRFIDタグ11の物品ID、物品10のカラー画像、白塗り画像及びアラート画像の入力を受け付けるとしたがこれに限らない。物品10のカラー画像、白塗り画像及びアラート画像の入力を受け付ける代わりに、物品10を撮像した画像を受け付け、制御部31が当該画像からカラー画像、白塗り画像及びアラート画像を生成してもよい。
また、第1加工撮像画像は、白塗り画像であるとしたがこれに限らない。物品10を撮像した撮像画像において、物品10の形状に沿って、物品10部分を切り抜き、物品10の輪郭を実線で縁取り、その中を他の色で塗ることによって加工した画像でもよい。同様に、第2加工撮像画像は、赤以外の色で塗ることによって加工した画像でもよい。また、加工撮像画像において、物品10の輪郭を縁取る実線を省いてもよい。
また、物品登録処理において、撮像画像であるカラー画像、加工撮像画像である白塗り画像及びアラート画像の代わりに、他の画像を物品IDに紐づけて登録してもよい。当該他の画像は、物品IDを取得できた物品10と、物品IDを取得できず物品10を持ち出したユーザーが把握できている物品10と、物品IDを取得できず物品10を持ち出したユーザーが把握できていない物品10とが視覚的に容易に識別できるものであればよい。
【0069】
また、物品管理システム100は、一又は複数の物品管理装置30を制御する制御装置を備えてもよい。物品管理装置30は通信部35を介して、物品10がRFIDリーダ20のシートアンテナ22上にあるかないか、ない場合は誰が持ち出したかを示す管理状況情報を制御装置に送信する。制御装置は、それぞれの物品管理装置30から受信した管理状況情報を、制御装置が備える表示部に表示する。
これによって、複数の物品管理装置30が管理する物品10の管理状況情報を一括して認識することができる。
【0070】
また、上記実施形態及び変形例において物品10は工具である場合を示したがこれに限らない。物品10はRFIDタグ11を備えることができるものであればよい。具体的には、部品や医療器具等であってもよい。
【0071】
また、上記実施形態において、RFIDリーダ20のシートアンテナ22はシート状であり、物品10をシートアンテナ22上に載置することが可能であるとしたがこれに限らない。シートアンテナ22の形状はシート状以外であってもよく、シートアンテナ22上に物品10を載置することができない場合、物品10をシートアンテナ22から所定距離内に配置すればよい。所定距離は、物品10とシートアンテナ22間で第一電波RW1及び第二電波RW2を送受信できる距離であればよい。
【0072】
また、上記実施形態及び変形例において、ユーザーが所持するRFIDタグ41は、個人カード40に備えられるとしたがこれに限らない。ユーザーが所持するRFIDタグ41は、ユーザーの体の一部に装着するものに備えられてもよく、例えば、ユーザーが着用するヘルメット、作業着、手袋、靴等に備えられてもよい。
ユーザーの体の一部に装着するものにUHF帯のRFIDタグ41が備えられている場合、管理区域の人員の入退出を特定するためにRFIDタグから情報を読み取るRFIDゲートを設けて、当該RFIDゲートにおいて個人IDを読み取ることにより、持出者を特定するとしても良い。
上記のようにUHF帯のRFIDタグ41をユーザーの体の一部に装着するものとして、例えば、ヘルメットに備える場合、通信距離は2~10mであり、ユーザーがRFIDゲートを通過することで、個人IDを読み取ることができるため、ユーザーが個人カード40をシートアンテナ22にかざす等の動作が不要となり、物品10を持ち出す際の作業性を向上できる。HF帯の通信距離は、10cm程度でありUHF帯の通信距離より短く、ユーザーが個人カード40をシートアンテナ22にかざす等の動作が必要となるため、この場合はUHF帯域のRFIDタグ41を用いるのが好ましい。
【0073】
また、上記実施形態及び変形例において、特定部は、第1取得部により第1ICチップ112に書き込まれた情報が取得できなくなった時刻の所定時間前後の間に、第2取得部により第2ICチップ412に書き込まれた情報を取得できた場合、第2ICチップ412に書き込まれた情報に対応するユーザーが持出者であると特定するとしたがこれに限らない。第2ICチップ412に書き込まれた情報を読み取る代わりに、個人特定法として、カメラによる顔画像認証、指紋、声紋、網膜などの生体認証、或いはID、パスワードの入力による認証を用いてもよい。
【0074】
また、上記実施形態及び変形例において、物品登録処理を実施することによって、登録情報を登録するとしたがこれに限らない。登録情報は、予め別の外部装置において、他の物品管理装置30が管理する物品とともに一括で登録されてもよい。
また、上記実施形態及び変形例において、個人登録処理を実施することによって、管理対象の物品10を使用するユーザーを登録するとしたがこれに限らない。外部の従業員情報データベース等から管理対象の物品10を使用するユーザーの情報を取得してもよい。
【0075】
また、上記実施形態の物品管理処理のステップS26において制御部31は、物品10が持ち出された時刻の所定時間前後の間に個人IDを取得したか否かを判断するとした。ここで、物品10が持ち出された時刻と個人IDを取得した時刻が同時でもよい。
【0076】
また、上記実施形態の物品管理処理のステップS31で表示する合成画像337において、図10Bに示すように、登録された物品10の中でシートアンテナ22上に載置されていない物品10が存在しており、持ち出したユーザーが把握できている場合は、物品10aについては物品10aの白塗り画像と、白塗り画像上に物品10aを持ち出したユーザーの個人名画像339を表示するとしたが、これに限らない。個人名画像は、白塗り画像上以外の領域に表示してもよい。また、物品10aが持ち出された時刻を個人名画像とともに表示してもよい。
【0077】
また、上記実施形態及び変形例において、個人名画像は、ユーザーの個人名を表示する画像であるとしたが、ユーザーを識別できる表示(例えば、社員番号など)であればこれに限らない。
【0078】
また、上記実施形態の物品管理処理のステップS35において、登録されている物品IDの中で取得できなかった物品IDがある場合、つまりシートアンテナ22上に返却されていない物品10がある場合、制御部31は、返却されていない物品10がある旨を表示部33に表示するとした。ここでさらに、物品管理システム100の管理者に返却されていない物品10がある旨を通知する構成であってもよい。
【0079】
また、物品管理装置30の記憶部32は、ユーザーの個人IDに権限を対応付けて記憶してもよい。この場合、物品10を鍵付きの箱の中に載置し、制御部31は、権限付きの個人IDが取得できたときのみ、当該箱の鍵を解除するとしてもよい。
【符号の説明】
【0080】
100 物品管理システム
10 物品
11、11a~11c RFIDタグ
111a~111c アンテナ部
112a~112c 第1ICチップ
20 RFIDリーダ(読取装置)
21 リーダ本体
211 通信部
22 シートアンテナ
23 通信ケーブル
20a 物品RFIDリーダ(読取装置)
21a リーダ本体
211a 通信部
22a シートアンテナ
23a 通信ケーブル
20b 個人RFIDリーダ(読取装置)
21b リーダ本体
211b 通信部
22b シートアンテナ
23b 通信ケーブル
30 物品管理装置
31 制御部(登録部、第1取得部、第2取得部、生成部、特定部、表示制御部、判断部、報知制御部、コンピューター)
32 記憶部
32a プログラム
33 表示部
34 操作受付部
35 通信部
36 報知部
40 個人カード
41、41a、41b RFIDタグ
411a、411b アンテナ部
412a、412b 第2ICチップ
図1
図2
図3A
図3B
図3C
図4
図5
図6
図7
図8A
図8B
図9
図10A
図10B
図10C
図11