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<図1>
  • -ロボットシステムおよびロボット 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-02-25
(45)【発行日】2025-03-05
(54)【発明の名称】ロボットシステムおよびロボット
(51)【国際特許分類】
   B25J 9/22 20060101AFI20250226BHJP
   G01N 21/88 20060101ALI20250226BHJP
   G05B 19/42 20060101ALI20250226BHJP
【FI】
B25J9/22 A
G01N21/88 Z
G05B19/42 S
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2021140738
(22)【出願日】2021-08-31
(65)【公開番号】P2023034483
(43)【公開日】2023-03-13
【審査請求日】2024-06-12
(73)【特許権者】
【識別番号】000000974
【氏名又は名称】川崎重工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104433
【弁理士】
【氏名又は名称】宮園 博一
(72)【発明者】
【氏名】山角 覚
(72)【発明者】
【氏名】福嶋 勝人
(72)【発明者】
【氏名】大西 理史
(72)【発明者】
【氏名】小山 雅隆
(72)【発明者】
【氏名】大倉 康弘
(72)【発明者】
【氏名】伊地知 哲
(72)【発明者】
【氏名】三東 佳史樹
【審査官】國武 史帆
(56)【参考文献】
【文献】特開平07-113626(JP,A)
【文献】特開2017-019214(JP,A)
【文献】特開2019-049509(JP,A)
【文献】特開平06-148092(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B25J 1/00 - 21/02
G01N 21/84 - 21/958
G05B 19/18 - 19/46
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワークに対して撮像作業を行う撮像部と、
5以上の複数の関節を含み、前記ワークまたは前記撮像部が先端部に設けられ、前記ワークまたは前記撮像部を移動させる多関節ロボットアームと、
前記多関節ロボットアームを移動させる制御を行うロボット制御部と
記多関節ロボットアームの先端部に設けられた前記ワークまたは前記撮像部の移動による、前記ワークに対する前記撮像部の相対移動量毎に、前記撮像部の相対移動量に基づく信号を出力する信号出力部と、
前記信号出力部から出力される信号に基づいて前記撮像部による前記ワークに対する撮像作業を制御する作業制御部と、を備える、ロボットシステム。
【請求項2】
前記信号出力部は、前記ワークに対する前記撮像部の相対移動量毎に、前記撮像部の相対移動量に基づく信号を可変周波数のパルス信号により出力する、請求項1に記載のロボットシステム。
【請求項3】
前記信号出力部は、前記ワークに対する前記撮像部の相対移動量毎に、所定のパルス信号を出力する、請求項2に記載のロボットシステム。
【請求項4】
前記作業制御部は、前記信号出力部から出力される信号をトリガーとして、前記ワークに対する前記撮像部による撮像作業を制御する、請求項1~3のいずれか1項に記載のロボットシステム。
【請求項5】
前記作業制御部は、前記信号出力部から出力される信号に基づいて、前記撮像部を一定移動量毎に撮像させる、請求項1~4のいずれか1項に記載のロボットシステム。
【請求項6】
前記ロボット制御部は、前記ワークの表面に沿って、前記多関節ロボットアームにより前記ワークに対して前記撮像部を曲線状に相対移動させる、請求項1~5のいずれか1項に記載のロボットシステム。
【請求項7】
前記信号出力部は、前記撮像部の複数の位置の各々の相対移動に基づいて、各々に対応する複数の信号を出力する、請求項1~6のいずれか1項に記載のロボットシステム。
【請求項8】
前記撮像部は、ラインカメラ、エリアカメラのうち少なくとも1つを含む、請求項1~7のいずれか1項に記載のロボットシステム。
【請求項9】
5以上の複数の関節を含み、ワークまたは前記ワークに対して撮像作業を行う撮像部が先端部に設けられ、前記ワークまたは前記撮像部を移動させる多関節ロボットアームと、
前記多関節ロボットアームを移動させる制御を行うロボット制御部と、
前記多関節ロボットアームの先端部に設けられた前記ワークまたは前記撮像部の移動による、前記ワークに対する前記撮像部の相対移動量毎に、前記撮像部の相対移動量に基づく信号を出力する信号出力部と、を備える、ロボット。
【請求項10】
前記信号出力部は、前記ワークに対する前記撮像部の相対移動量毎に、前記撮像部の相対移動量に基づく信号をパルス信号により出力する、請求項9に記載のロボット。
【請求項11】
前記信号出力部は、前記多関節ロボットアームの先端部に設けられた前記ワークまたは前記撮像部の移動に基づいて、前記ワークに対する前記撮像部の相対位置を出力する、請求項1~10のいずれか1項に記載のロボット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ロボットシステムおよびロボットに関し、特に、多関節ロボットアームを備えるロボットシステムおよびロボットに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、多関節ロボットアームを備えるロボットが知られている(たとえば、特許文献1参照)。
【0003】
上記特許文献1には、複数の関節を含む多関節ロボットアームと、多関節ロボットアームを移動させる制御を行う制御装置と、多関節ロボットアームの先端に設けられ、検査対象の撮像を行う撮像器と、を備えるロボットシステムが開示されている。この特許文献1のロボットシステムでは、制御装置は、多関節ロボットアームの先端部が予め設定された位置に移動した場合に、撮像器に対して検査対象の撮像を行うように撮像指令信号を送信する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2013-166185号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特許文献1では、制御装置は、多関節ロボットアームの先端部が予め設定された位置に移動した場合に、撮像器に対して検査対象の撮像を行うように撮像指令信号を送信する。このため、撮像などの作業を行わせる位置が多くなる場合には、多くの位置を予め設定する必要があり、作業を行わせる位置を設定する設定作業が煩雑になる。このため、多関節ロボットアームによりワークに対して作業部を相対移動させながら作業を行う際に、設定作業が煩雑になるのを抑制することが望まれている。
【0006】
本開示は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、本開示の1つの目的は、多関節ロボットアームによりワークに対して作業部を相対移動させながら作業を行う際に、設定作業が煩雑になるのを抑制することが可能なロボットシステムおよびロボットを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、第1の局面によるロボットシステムは、ワークに対して撮像作業を行う撮像部と、5以上の複数の関節を含み、ワークまたは撮像部が先端部に設けられ、ワークまたは撮像部を移動させる多関節ロボットアームと、多関節ロボットアームを移動させる制御を行うロボット制御部と、多関節ロボットアームの先端部に設けられたワークまたは撮像部の移動による、ワークに対する撮像部の相対移動量毎に、撮像部の相対移動量に基づく信号を出力する信号出力部と、信号出力部から出力される信号に基づいて撮像部によるワークに対する撮像作業を制御する作業制御部と、を備える。
【0008】
第1の局面によるロボットシステムでは、上記のように、ワークに対する作業部の相対移動量毎に、作業部の相対移動量に基づく信号を出力する信号出力部を設ける。また、信号出力部から出力される信号に基づいて作業部によるワークに対する作業を制御する作業制御部を設ける。これにより、作業制御部は、ワークに対して作業部の相対移動量を、相対移動毎に取得して、作業部による作業を制御することができるので、全ての作業位置を予め設定しなくても、ワークに対して作業を行わせることができる。その結果、多関節ロボットアームによりワークに対して作業部を相対移動させながら作業を行う際に、設定作業が煩雑になるのを抑制することができる。また、ワークの直線部および曲線部の両方に対して作業を行う場合などのように、多関節ロボットアームによる作業部の相対移動の速度が一定でない場合でも、所定の相対移動量毎にワークに対して作業部により作業を行うことができる。すなわち、曲線部などの複雑な相対移動を伴う作業では、相対移動の速度を大きくすることが困難であるため、作業部の相対移動の速度を一定にしようとした場合に、相対移動の速度を大きくすることが可能な直線部などの移動についても、相対移動の速度を小さくしなくてはならない。一方、本開示では、速度ではなく所定の相対移動量毎にワークに対して作業を行うことにより、作業部の相対移動の速度を一定にする必要がないので、相対移動の速度を大きくすることが可能な作業位置においては、速度を大きくすることができる。これにより、全体として作業の速度が遅くなるのを抑制することができる。また、速度によらずワークに対して作業部により一定の作業を行いながら、ワークに対して作業部の相対移動の速度を変えて移動させた場合には、相対速度が小さくなる曲線部などにおいて、ワークに対する作業部の作業が相対速度が大きくなる直線部などに比べて密になってしまう。一方、本開示では、所定の相対移動量毎にワークに対して作業を行うことにより、作業部の相対移動の速度が小さくなる位置において、相対移動の速度が大きい位置よりも、作業部による作業が密になることを抑制することができるので、ワークに対する作業部の作業にムラが発生するのを抑制することができる。
【0009】
第2の局面によるロボットは、5以上の複数の関節を含み、ワークまたはワークに対して撮像作業を行う撮像部が先端部に設けられ、ワークまたは撮像部を移動させる多関節ロボットアームと、多関節ロボットアームを移動させる制御を行うロボット制御部と、多関節ロボットアームの先端部に設けられたワークまたは撮像部の移動による、ワークに対する撮像部の相対移動量毎に、撮像部の相対移動量に基づく信号を出力する信号出力部と、を備える。
【0010】
第2の局面によるロボットでは、上記のように、ワークに対する作業部の相対移動量毎に、作業部の相対移動量に基づく信号を出力する信号出力部を設ける。これにより、信号出力部から出力される信号に基づいて、ワークに対して作業部の相対移動量を、相対移動毎に取得して、作業部による作業を制御することができるので、全ての作業位置を予め設定しなくても、ワークに対して作業を行わせることができる。その結果、多関節ロボットアームによりワークに対して作業部を相対移動させながら作業を行う際に、設定作業が煩雑になるのを抑制することが可能なロボットを提供することができる。
【発明の効果】
【0011】
本開示によれば、上記のように、多関節ロボットアームによりワークに対して作業部を相対移動させながら作業を行う際に、設定作業が煩雑になるのを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】一実施形態によるロボットシステムの概略を示す図である。
図2】一実施形態によるロボットシステムの制御的な構成を示す図である。
図3】一実施形態によるロボットシステムの生成される信号の例を説明するための図である。
図4】一実施形態によるロボットシステムの作業部の相対移動を説明するための第1例を示す図である。
図5】一実施形態によるロボットシステムの作業部の相対移動に対する作業部の作業を説明するための図である。
図6】一実施形態によるロボットシステムの作業部の相対移動を説明するための第2例を示す図である。
図7】一実施形態によるロボットシステムの作業部の作業の実施例を比較例との対比で示した図である。
図8】一実施形態の変形例によるロボットシステムの作業部を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
図1図8を参照して、一実施形態によるロボットシステム100の構成について説明する。
【0014】
図1に示すように、ロボットシステム100は、ワーク200に対して作業を行う。ロボットシステム100は、多関節ロボットアーム10と、多関節ロボットアームを制御する制御装置20と、を備えている。また、ロボットシステム100は、作業部30と、作業部30を制御する作業制御部40と、を備えている。
【0015】
多関節ロボットアーム10は、たとえば、産業用や医療用などのロボットである。多関節ロボットアーム10は、複数の関節を含んでいる。たとえば、多関節ロボットアーム10は、6軸の垂直多関節を含んでいる。多関節ロボットアーム10は、外部から供給される交流電力により動作する。
【0016】
制御装置20は、図2に示すように、ロボット制御部21と、信号出力部22と、を含んでいる。信号出力部22は、イネーブル生成部23と、パルス生成部24とを有している。
【0017】
ロボット制御部21は、多関節ロボットアーム10を移動させる制御を行う。具体的には、ロボット制御部21は、多関節ロボットアーム10の各関節に設けられたモータ14に供給する電力を制御することにより、多関節ロボットアーム10の動作を制御する。また、ロボット制御部21は、CPU(中央演算処理装置)と、メモリと、を含んでいる。ロボット制御部21は、所定のプログラムを実行することにより、多関節ロボットアーム10を動作させる制御を行う。また、ロボット制御部21は、ユーザによる多関節ロボットアーム10の動作の教示(ティーチング)を受け付けて、ティーチングに基づく動作を多関節ロボットアーム10にさせるように制御を行う。具体的には、ロボット制御部21は、多関節ロボットアーム10の制御点の位置および姿勢を受け付けて、多関節ロボットアーム10の各関節の動作を算出する。
【0018】
多関節ロボットアーム10は、図1に示すように、6つの関節12a、12b、12c、12d、12eおよび12fと、各関節を接続するリンク13a、13b、13c、13dおよび13eと、を含んでいる。また、6つの関節12a~12fの各々には、図2に示すように、サーボモータからなるモータ14と、各関節の回転位置を検出する位置検出部15とが設けられている。また、図1に示すように、多関節ロボットアーム10は、一方の先端部に、作業部30が取り付けられている。また、多関節ロボットアーム10は、他方の先端部に設けられ、床、壁、柱などに取り付けられる基台11を含んでいる。
【0019】
6つの関節12a~12fは、各々、モータ14の駆動により回転する。
【0020】
1軸目の関節12aは、基台11に接続されている。関節12aは、基台11に対してリンク13aを回転軸線A1周りに回転させる。2軸目の関節12bは、リンク13aに対してリンク13bを、回転軸線A1と直交する方向の回転軸線A2周りに回転させる。
【0021】
3軸目の関節12cは、リンク13bに対してリンク13cを、回転軸線A2と平行な回転軸線A3周りに回転させる。4軸目の関節12dは、リンク13cに対してリンク13dを、回転軸線A3と直交する方向の回転軸線A4周りに回転させる。
【0022】
5軸目の関節12eは、リンク13dに対してリンク13eを、回転軸線A4と直交する方向の回転軸線A5周りに回転させる。6軸目の関節12fは、リンク13eに対して作業部30を、回転軸線A5と直交する方向の回転軸線A6周りに回転させる。
【0023】
作業部30は、ワーク200に対して作業を行う。作業部30は、たとえば、ラインカメラ、エリアカメラ、レーザプロファイルセンサ、測距センサ、塗布部、貼付部、噴霧部、溶接部および超音波探傷部のうち少なくとも1つを含む。
【0024】
作業部30は、ワーク200に対して相対移動しながらワーク200に対して作業を行う。たとえば、ラインカメラは、ワーク200に対して相対移動しながらライン状の画像を撮像する。エリアカメラは、ワーク200に対して相対移動しながら矩形状の画像を撮像する。レーザプロファイルセンサは、ワーク200に対して相対移動しながらレーザ光を投影して撮像を行い、光切断法によりワーク200の立体形状を計測する。
【0025】
測距センサは、ワーク200に対して相対移動しながらワーク200の各位置までの距離を計測する。塗布部は、ワーク200に対して相対移動しながら、ワーク200に対して塗布物を塗布する。塗布物は、たとえば、接着剤、シーリング材、試薬、塗料、半田、などの液状またはペースト状のものである。
【0026】
貼付部は、ワーク200に対して相対移動しながら、ワーク200に対して貼付物を貼付する。貼付物は、たとえば、シーリング材、シール、テープなどである。噴霧部は、ワーク200に対して相対移動しながら、ワーク200に対して噴霧物を噴霧する。噴霧物は、たとえば、接着剤、薬剤、塗料、などの液状のものである。溶接部は、ワーク200に対して相対移動しながら、ワーク200の溶接を行う。超音波探傷部は、ワーク200に対して相対移動しながら、ワーク200に超音波を当て、反射して返ってきた超音波を検出して、ワーク200の傷を検知する。
【0027】
作業制御部40は、作業部30によるワーク200に対する作業を制御する。作業部30がラインカメラまたはエリアカメラの場合、作業制御部40は、作業部30による撮像を制御する。具体的には、作業制御部40は、作業部30によるワーク200の撮像タイミングを制御する。
【0028】
作業部30がレーザプロファイルセンサの場合、作業制御部40は、作業部30によるレーザ光の投影およびレーザ光の撮像を制御する。具体的には、作業制御部40は、作業部30によるワーク200の撮像タイミングを制御する。
【0029】
作業部30が測距センサの場合、作業制御部40は、作業部30によるワーク200の測定タイミングを制御する。作業部30が塗布部の場合、作業制御部40は、作業部30による塗布物の塗布するタイミングおよび塗布量を制御する。
【0030】
作業部30が貼付部の場合、作業制御部40は、作業部30による貼付物の貼付するタイミングおよび貼付量を制御する。作業部30が噴霧部の場合、作業制御部40は、作業部30による噴霧物の噴霧するタイミングおよび噴霧量を制御する。
【0031】
作業部30が溶接部の場合、作業制御部40は、作業部30による溶接のタイミングおよび溶接量を制御する。作業部30が超音波探傷部の場合、作業制御部40は、作業部30による超音波の発信および検出のタイミングを制御する。
【0032】
ここで、作業制御部40は、制御装置20の信号出力部22から出力される信号に基づいて作業部30によるワーク200に対する作業を制御する。
【0033】
また、信号出力部22は、多関節ロボットアーム10の先端部に設けられた作業部30の移動による、ワーク200に対する作業部30の相対移動量毎に、作業部30の相対移動量に基づく信号を出力する。
【0034】
具体的には、信号出力部22は、ワーク200に対する作業部30の相対移動量毎に、作業部30の相対移動量に基づく信号を可変周波数のパルス信号により出力する。たとえば、信号出力部22は、イネーブル生成部23によりパルスイネーブルを生成する。また、信号出力部22は、イネーブル生成部23により生成されたパルスイネーブルに基づいて、パルス生成部24によりパルス信号を生成する。
【0035】
また、信号出力部22は、ワーク200に対する作業部30の相対移動量毎に、所定のパルス信号を出力する。たとえば、図3に示すように、信号出力部22は、所定の処理周期毎に、作業部30の相対移動量に基づくパルス信号を生成して出力する。つまり、信号出力部22は、所定の処理周期毎に作業部30のワーク200に対する相対移動量を取得する。そして、信号出力部22は、取得した相対移動量に応じた数のパルス信号を生成する。相対移動量がxmm毎にパルス信号が生成される。たとえば、所定周期に5xmm相対移動した場合、所定周期内においてパルス信号が5つ生成される。パルス信号は、立ち上がりで1つとカウントされ、立下りで1つとカウントされる。つまり、パルス信号は、立ち上がり、立ち下がることにより2つとカウントされる。出力パルスの周波数は、たとえば、0Hzから数MHzの範囲で可変である。つまり、相対移動量が大きくなれば、出力パルスの周波数が大きくなり、相対移動量が小さくなれば、出力パルスの周波数が小さくなる。
【0036】
図3に示す例では、制御周期が2msecであり、制御周期毎に移動量を取得して、移動量に基づいてパルス信号を出力している。なお、図3の手先移動量は、0mmからの累積の移動量を示している。つまり、前の制御周期からの手先移動量の差が、今回の制御周期における相対移動量として取得される。たとえば、前の制御周期における手先移動量が10mmで、今回の制御周期における手先移動量が16mmの場合には、今回の制御周期における相対移動量は6mmとして取得される。また、図3に示す例では、パルス分解能を、1mm/パルスとしている。つまり、1mm移動毎に、1つのパルス信号が出力される。たとえば、2mm移動した場合には、出力パルス数は、2に設定され、パルスの周波数は、1kHzとなる。また、3mm移動した場合には、出力パルス数は、3に設定され、パルスの周波数は、1.5kHzとなる。
【0037】
信号出力部22は、イネーブル生成部23から所定の処理周期の開始のタイミングにおいて、パルスイネーブルを出力し、パルス生成部24によりパルスイネーブルの出力と同時にパルスの出力を開始する。また、信号出力部22は、パルス生成部24の最後のパルスが出力されると、イネーブル生成部23からのパルスイネーブルの出力を停止する。これにより、所定の処理周期における始まりにおいて処理が立て込むことが抑制される。その結果、演算を行うための余裕時間を設ける必要がない。
【0038】
なお、信号出力部22は、イネーブル生成部23により、パルス生成部24に対するパルスイネーブルの出力を出し続けてもよい。また、信号出力部22は、イネーブル生成部23により、処理周期に対して十分に小さい演算周期補正量を設け、演算周期補正量分だけ、パルスイネーブルの出力を停止してもよい。これにより、演算周期補正量の分だけ、演算を行うための余裕時間が確保される。たとえば、演算周期補正量は、処理周期2msecに対して、40μsecである。
【0039】
また、信号出力部22は、処理周期内において、パルス生成部24から出力するパルスを、初めに休んで、その後に、パルスを生成するようにしてもよい。
【0040】
信号出力部22は、たとえば、FPGA(Field Programmable Gate Array)を含み、FPGAにより処理を行っている。
【0041】
ここで、多関節ロボットアーム10を制御しているCPUにパルス出力機能を直接制御させると、CPUの負荷が高くなり高周波パルスを正確に制御できなくなる場合がある。そこで、多関節ロボットアーム10を制御するCPUとは別個に設けたFPGAなどのパルス制御用の処理部を用いてパルス出力を制御している。
【0042】
多関節ロボットアーム10を制御しているCPUは手先の相対移動量を計算する、パルス制御の処理部は手先相対移動量に基づき、パルス周波数とパルス数を制御する、という様に処理を分業を行うことにより、正確なパルス出力を行うことが可能である。また、パルス出力部分は別途設けた処理部により制御しているので、制御パラメータを変更することで、パルスー距離換算、n逓倍パルスなどのパルス出力仕様を容易に変更および拡張することが可能である。
【0043】
また、信号出力部22は、所定の処理周期中の作業部30の相対移動量を取得し、所定の処理周期中は、等速で相対移動するとして、パルス信号を出力する。ただし、所定の処理周期は、十分に小さいため、等速で相対移動するとしても、実際の作業部30の相対移動量と略変わらない。
【0044】
また、信号出力部22は、作業部30の実際の移動に基づいて、作業部30の相対移動量を取得してもよいし、ロボット制御部21の多関節ロボットアーム10の移動指令に基づいて、作業部30の相対移動量を取得してもよい。
【0045】
また、多関節ロボットアーム10を外部の移動機構により移動させる場合に、信号出力部22は、外部の移動機構による移動を加味してワーク200に対する作業部30の相対移動量を取得する。外部の移動機構は、多関節ロボットアーム10の基台11を移動させる走行軸や回転テーブルなどを含む。
【0046】
ワーク200に対する作業部30の相対移動量は、多関節ロボットアーム10の移動を制御する制御点TCPの移動量に基づいて取得される。多関節ロボットアーム10の移動を制御するための制御点TCPは、たとえば、作業部30によるワーク200に対する作業位置に設定される。
【0047】
作業部30がラインカメラ、エリアカメラまたはレーザプロファイルセンサの場合、制御点TCPは、作業部30の撮像の焦点位置に設定される。作業部30が測距センサの場合、制御点TCPは、作業部30の測距位置に設定される。
【0048】
作業部30が塗布部の場合、制御点TCPは、作業部30の塗布位置に設定される。作業部30が貼付部の場合、制御点TCPは、作業部30の貼付位置に設定される。作業部30が溶接部の場合、制御点TCPは、作業部30の溶接位置に設定される。作業部30が超音波探傷部の場合、制御点TCPは、作業部30の探傷位置に設定される。
【0049】
作業制御部40は、信号出力部22から出力される信号をトリガーとして、ワーク200に対する作業部30による作業を制御する。具体的には、作業制御部40は、信号出力部22から出力される信号に基づいて、作業部30を一定移動量毎に作業させる。たとえば、作業制御部40は、信号出力部22から出力されるパルス信号をカウントして、作業部30の相対移動量を取得する。そして、作業制御部40は、作業部30が一定の移動量を移動する毎に、作業部30によりワーク200に対して作業を行わせる。
【0050】
作業部30がラインカメラまたはエリアカメラの場合、作業制御部40は、作業部30の一定移動量毎に作業部30により撮像を行うように制御する。作業部30がレーザプロファイルセンサの場合、作業制御部40は、作業部30の一定移動量毎にレーザ光の投影およびレーザ光の撮像を行うように制御する。
【0051】
作業部30が測距センサの場合、作業制御部40は、作業部30の一定移動量毎にワーク200までの距離を測定するように制御する。作業部30が塗布部の場合、作業制御部40は、作業部30の一定移動量毎に一定量の塗布物を塗布するように制御する。
【0052】
作業部30が貼付部の場合、作業制御部40は、作業部30の一定移動量毎に一定量の貼付物を貼付するように制御する。作業部30が噴霧部の場合、作業制御部40は、作業部30の一定移動量毎に一定量の噴霧物の噴霧するように制御する。
【0053】
作業部30が溶接部の場合、作業制御部40は、作業部30の一定移動量毎に一定量の溶接を行うように制御する。作業部30が超音波探傷部の場合、作業制御部40は、作業部30の一定移動量毎に超音波を照射して探傷を行うように制御する。
【0054】
ロボット制御部21は、ワーク200の表面に沿って、多関節ロボットアーム10によりワーク200に対して作業部30を曲線状に相対移動させる。たとえば、図4に示すように、ロボット制御部21は、多関節ロボットアーム10により作業部30を上下方向に湾曲したワーク200に沿って相対移動させる。この場合、作業制御部40は、制御点TCPの移動量L1毎に、作業部30により作業を行うように制御する。
【0055】
また、図6に示すように、ロボット制御部21は、多関節ロボットアーム10により作業部30をワーク200の曲線部を有する作業位置に沿って曲線状に相対移動させる。この場合、作業制御部40は、制御点TCPの移動量L2毎に、作業部30により作業を行うように制御する。
【0056】
たとえば、作業部30が塗布部の場合、作業制御部40は、作業部30の移動量L2毎に、塗布物を塗布量V1ずつ吐出するように制御する。具体的には、図5に示すように、移動量L2毎のパルス信号の出力に対して、吐出スイッチが同期してスイッチがオンにされる。また、作業制御部40は、作業部30の移動速度に係らず、作業部30の移動量L2毎に、塗布物を吐出するための吐出ストロークS1を一定の量となるように制御する。
【0057】
これにより、図7の(A)に示す実施例のように、直線部および曲線部の両方において、塗布物を一定に塗布することが可能である。一方、図7の(B)に示す比較例では、作業部30の相対移動の速度によらず、一定の吐出量により塗布物を塗布している。この場合、曲線部では、塗布物の吐出量が多くなり、曲線部において、塗布物が多く塗布される。このため、直線部と曲線部において、塗布物の塗布ムラが生じる。
【0058】
また、信号出力部22は、作業部30の複数の位置の各々の相対移動に基づいて、各々に対応する複数の信号を出力してもよい。作業部30の複数の位置は、たとえば、制御点TCPと、制御点TCPの内側の点と、制御点TCPの外側の点などの複数の位置が設定される。また、複数の信号を受信した作業制御部40は、各々の位置における相対移動量毎に、作業部30により作業を行ってもよいし、複数の位置における相対移動量に基づいて、任意の位置の相対移動量を算出して、算出した任意の位置の相対移動量毎に、作業部30により作業を行ってもよい。
【0059】
(本実施形態の効果)
本実施形態では、以下のような効果を得ることができる。
【0060】
本実施形態では、上記のように、ワーク200に対する作業部30の相対移動量毎に、作業部30の相対移動量に基づく信号を出力する信号出力部22を設ける。また、信号出力部22から出力される信号に基づいて作業部30によるワーク200に対する作業を制御する作業制御部40を設ける。これにより、作業制御部40は、ワーク200に対して作業部30の相対移動量を、相対移動毎に取得して、作業部30による作業を制御することができるので、全ての作業位置を予め設定しなくても、ワーク200に対して作業を行わせることができる。その結果、多関節ロボットアーム10によりワーク200に対して作業部30を相対移動させながら作業を行う際に、設定作業が煩雑になるのを抑制することができる。また、ワーク200の直線部および曲線部の両方に対して作業を行う場合などのように、多関節ロボットアーム10による作業部30の相対移動の速度が一定でない場合でも、所定の相対移動量毎にワーク200に対して作業部30により作業を行うことができる。すなわち、曲線部などの複雑な相対移動を伴う作業では、相対移動の速度を大きくすることが困難であるため、作業部30の相対移動の速度を一定にしようとした場合に、相対移動の速度を大きくすることが可能な直線部などの移動についても、相対移動の速度を小さくしなくてはならない。一方、本実施形態では、速度ではなく所定の相対移動量毎にワーク200に対して作業を行うことにより、作業部30の相対移動の速度を一定にする必要がないので、相対移動の速度を大きくすることが可能な作業位置においては、速度を大きくすることができる。これにより、全体として作業の速度が遅くなるのを抑制することができる。また、速度によらずワーク200に対して作業部30により一定の作業を行いながら、ワーク200に対して作業部30の相対移動の速度を変えて移動させた場合には、相対速度が小さくなる曲線部などにおいて、ワーク200に対する作業部30の作業が相対速度が大きくなる直線部などに比べて密になってしまう。一方、本実施形態では、所定の相対移動量毎にワーク200に対して作業を行うことにより、作業部30の相対移動の速度が小さくなる位置において、相対移動の速度が大きい位置よりも、作業部30による作業が密になることを抑制することができるので、ワーク200に対する作業部30の作業にムラが発生するのを抑制することができる。
【0061】
また、本実施形態では、上記のように、信号出力部22は、ワーク200に対する作業部30の相対移動量毎に、作業部30の相対移動量に基づく信号を可変周波数のパルス信号により出力する。これにより、作業部30の相対移動の速度に応じて、可変周波数のパルス信号の周波数が対応する周波数に設定されてパルス信号が出力されるので、作業部30の所定の相対移動毎にパルス信号を出力することができる。
【0062】
また、本実施形態では、上記のように、信号出力部22は、ワーク200に対する作業部30の相対移動量毎に、所定のパルス信号を出力する。これにより、可変周波数のパルス信号のパルスをカウントすることにより、ワーク200に対する作業部30の相対移動量を容易に取得することができる。
【0063】
また、本実施形態では、上記のように、作業制御部40は、信号出力部22から出力される信号をトリガーとして、ワーク200に対する作業部30による作業を制御する。これにより、ワーク200に対する作業部30による作業を、作業部30の相対移動に精度よく連動させて行うことができる。
【0064】
また、本実施形態では、上記のように、作業制御部40は、信号出力部22から出力される信号に基づいて、作業部30を一定移動量毎に作業させる。これにより、作業部30の相対移動の速度によらず、作業部30の一定の移動量毎に作業を行うことができるので、ワーク200に対する作業部30の作業にムラが生じるのを確実に抑制することができる。
【0065】
また、本実施形態では、上記のように、ロボット制御部21は、ワーク200の表面に沿って、多関節ロボットアーム10によりワーク200に対して作業部30を曲線状に相対移動させる。これにより、ワーク200の表面に沿って作業部30を曲線状に相対移動させる際に、相対移動の速度が一定でなくなる場合でも、相対移動量に応じて作業部30による作業を行うことができる。
【0066】
また、本実施形態では、上記のように、信号出力部22は、作業部30の複数の位置の各々の相対移動に基づいて、各々に対応する複数の信号を出力する。これにより、作業部30の複数の位置の相対移動の移動量を取得することができるので、作業部30の複数の位置の相対移動に基づいて、作業部30の作業を制御することができる。
【0067】
また、本実施形態では、上記のように、作業部30は、ラインカメラ、エリアカメラ、レーザプロファイルセンサ、測距センサ、塗布部、貼付部、噴霧部および溶接部のうち少なくとも1つを含む。これにより、ラインカメラ、エリアカメラ、レーザプロファイルセンサまたは測距センサをワーク200に沿って相対移動させながら、相対移動毎にワーク200を撮像または測定することができるので、ワーク200の形状や状態を精度よく取得することができる。また、塗布部、貼付部、噴霧部または溶接部をワーク200に沿って相対移動させながら、相対移動毎にワーク200に対して、塗布、貼付、噴霧または溶接を行うことができるので、ワーク200に、塗布ムラ、貼付ムラ、噴霧ムラまたは溶接ムラが生じるのを抑制することができる。
【0068】
(変形例)
なお、今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本開示の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。
【0069】
たとえば、上記実施形態では、多関節ロボットアームの先端部に作業部を設け、多関節ロボットアームにより作業部を移動させることにより、ワークに対して作業部を相対移動させる構成の例を示したが、本開示はこれに限られない。本開示では、図8に示す例のように、多関節ロボットアーム10の先端部にワーク200を設け、多関節ロボットアーム10によりワーク200を移動させることにより、ワーク200に対して作業部30を相対移動させてもよい。この場合、所定の移動量L3毎に、作業部30によりワーク200に対して作業を行うようにしてもよい。また、多関節ロボットアーム10の先端部にワーク200を設ける場合には、多関節ロボットアーム10の先端にエンドエフェクタを設け、エンドエフェクタによりワーク200を把持などにより保持してもよい。
【0070】
また、複数の多関節ロボットの各々の先端部に作業部およびワークを設け、作業部およびワークの各々を多関節ロボットアームにより移動させることにより、ワークに対して作業部を相対移動させてもよい。
【0071】
また、上記実施形態では、ロボット制御部、信号出力部および作業制御部が別個に設けられている構成の例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、ロボット制御部、信号出力部および作業制御部を共通の制御装置に設けてもよい。また、この場合、共通の制御装置において、ロボット制御部、信号出力部および作業制御部として、別個のCPUなどの処理部を設けてもよいし、共通のCPUなどの処理部を設けてもよい。
【0072】
また、上記実施形態では、多関節ロボットアームが6つの垂直関節を含む構成の例を示したが、本開示はこれに限られない。本開示では、多関節ロボットアームは、5つ以下の複数の関節、または、7つ以上の関節を含んでいてもよい。
【0073】
また、上記実施形態では、多関節ロボットアームの制御点の移動に基づいて、ワークに対する作業部の相対移動量を取得する構成の例を示したが、本開示はこれに限られない。本開示では、多関節ロボットアームの任意の位置の移動に基づいて、ワークに対する作業部の相対移動量を取得してもよい。
【0074】
また、上記実施形態では、ロボット制御部と信号出力部とが共通の制御装置に設けられている構成の例を示したが、本開示はこれに限られない。本開示では、ロボット制御部と信号出力部とが別個の制御装置に設けられていてもよい。また、信号出力部は、ハードウエアを追加することにより、ロボット制御部と共通の制御装置に設けてもよいし、ソフトウエアを追加することにより、ロボット制御部と共通の制御装置に設けてもよい。
【0075】
また、上記実施形態では、ワークに対する作業部の相対移動量に応じて、作業部の相対移動量に基づく信号を出力する構成の例を示したが、本開示がこれに限られない。本開示では、多関節ロボットアームの先端部に設けられたワークまたは作業部の移動に基づいて、ワークに対する作業部の相対位置を、リアルタイムで出力するようにしてもよい。この場合、多関節ロボットアームの先端部位置の位置座標を出力してもよい。この場合、予め低速により多関節ロボットアームを移動させて、多関節ロボットアームの先端部位置の位置座標を取得し、その後、同様の経路により多関節ロボットアームを移動させる際に、ワークに対する作業部の相対移動量に応じて、多関節ロボットアームの先端部位置の位置座標に連携させて、作業部の相対移動量に基づく信号を出力してもよい。
【符号の説明】
【0076】
10 多関節ロボットアーム
21 ロボット制御部
22 信号出力部
30 作業部
40 作業制御部
100 ロボットシステム
200 ワーク
図1
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図8