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特許7640435画像表示装置、画像表示方法、及び画像表示プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-02-25
(45)【発行日】2025-03-05
(54)【発明の名称】画像表示装置、画像表示方法、及び画像表示プログラム
(51)【国際特許分類】
   H04N 7/18 20060101AFI20250226BHJP
   B60R 1/26 20220101ALI20250226BHJP
   B60R 11/02 20060101ALI20250226BHJP
【FI】
H04N7/18 J
B60R1/26 100
B60R11/02 C
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2021181374
(22)【出願日】2021-11-05
(65)【公開番号】P2023069486
(43)【公開日】2023-05-18
【審査請求日】2024-03-07
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000148689
【氏名又は名称】株式会社村上開明堂
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】武政 規之
【審査官】武田 悟
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-43400(JP,A)
【文献】特開2002-359839(JP,A)
【文献】特開2012-49700(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0093889(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 7/18
B60R 1/26
B60R 11/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の前進時及び後退時に前記車両の後方を撮像した画像を表示範囲に表示可能である表示部と、
前記後退時において、前記表示範囲に、前記車両の後方を撮像した第1画像と前記第1画像とは異なる前記車両の後方を確認するための第2画像とを並列に表示させると共に、前記表示範囲の上下の少なくとも一方に、前記第1画像の左右方向の中心を示すマークを表示させる制御部と、
を含む画像表示装置。
【請求項2】
前記制御部は、
前記前進時に前記表示範囲の全体に前記第1画像を表示させている状態から、前記後退時に前記表示範囲に前記第1画像と前記第2画像とを並列に表示させようとする場合に、
前記第1画像を、当該第1画像の前記中心を維持しつつ左右をトリミングしながら、一方の端部を中央側に寄せるようにスライドさせ、前記第1画像に隣接した位置に前記第2画像を表示させ、前記第1画像の前記中心の位置のスライドと共に前記マークを移動させる請求項1に記載の画像表示装置。
【請求項3】
前記第1画像は、前記車両の後方を撮像する第1撮像部により撮像され、前記第2画像は、前記第1撮像部とは視点が異なる後方の範囲を捉え、駐車を補助するための画像を撮像する第2撮像部により撮像され、
前記制御部は、前記前進時に、前記表示範囲の全体に前記第1画像を表示させ、前記後退時に、前記表示範囲に前記第1画像と前記第2画像とを並列に表示させる請求項1又は請求項2に記載の画像表示装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記前進時に前記マークを表示させず、前記後退時に前記マークを表示させる請求項1~請求項3の何れか1項に記載の画像表示装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記マークの表示有無及び表示パターンの種別の少なくとも一方を含む表示態様を設定可能とする請求項1~請求項4の何れか1項に記載の画像表示装置。
【請求項6】
前記制御部は、前記車両の前進及び後退の少なくとも一方を含む走行状態ごとの前記マークの前記表示態様を設定可能とする請求項5に記載の画像表示装置。
【請求項7】
車両の前進時及び後退時に前記車両の後方を撮像した画像を表示部の表示範囲に表示可能とし、
前記後退時において、前記表示範囲に、前記車両の後方を撮像した第1画像と前記第1画像とは異なる前記車両の後方を確認するための第2画像とを並列に表示させると共に、前記表示範囲の上下の少なくとも一方に、前記第1画像の左右方向の中心を示すマークを表示させる、
処理をコンピュータが実行する画像表示方法。
【請求項8】
車両の前進時及び後退時に前記車両の後方を撮像した画像を表示部の表示範囲に表示可能とし、
前記後退時において、前記表示範囲に、前記車両の後方を撮像した第1画像と前記第1画像とは異なる前記車両の後方を確認するための第2画像とを並列に表示させると共に、前記表示範囲の上下の少なくとも一方に、前記第1画像の左右方向の中心を示すマークを表示させる、
処理をコンピュータに実行させる画像表示プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、車両に用いられる画像表示装置、画像表示方法、及び画像表示プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、車両のミラー用の電子ミラーディスプレイに、電子ミラーカメラの画像情報と、電子リアビューカメラの画像情報との切り替え表示が可能な電子ミラーカメラシステムの技術が開示されている。この技術では、電子ミラーディスプレイ(電子インナーミラー)は、電子ミラーカメラからの画像情報から電子リアビューカメラからの画像情報に表示を切り替えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2020-164115号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
先行技術には、電子インナーミラーに表示させる画像情報を切り替えることが示されている。しかし、先行技術では、電子インナーミラーに複数の画像を並列に表示させる状態は想定されていない。電子インナーミラーに表示させる画像には、車両の後方を撮像した前進時に表示させる画像と、後退時に表示させる駐車を補助するための画像とがあり、これらの複数の画像を並列に表示させる場合がある。また、先行技術では、複数の画像を並列に表示させた場合の見え方についても想定されていない。
【0005】
本開示は、車両の後方を撮像した第1画像と駐車を補助するための第2画像とを並列に表示させた場合に、第1画像の中心を直感的に把握できる画像表示装置、画像表示方法、及び画像表示プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載の画像表示装置は、車両の前進時及び後退時に前記車両の後方を撮像した画像を表示範囲に表示可能である表示部と、前記後退時において、前記表示範囲に、前記車両の後方を撮像した第1画像と前記第1画像とは異なる前記車両の後方を確認するための第2画像とを並列に表示させると共に、前記表示範囲の上下の少なくとも一方に、前記第1画像の左右方向の中心を示すマークを表示させる制御部と、を含む、ものである。
【0007】
請求項1に記載の画像表示装置によれば、第1画像と第2画像とを並列に表示させ、かつ、第1画像の中心を示すマークを表示させる。このような中心を示すマークによって、車両の後方を撮像した第1画像と駐車を補助するための第2画像とを並列に表示させた場合に、第1画像の中心を直感的に把握できる。これにより、複数の画像を並列に表示させた場合であっても、第1画像の視認性の低下を抑制できるようになる。
【0008】
請求項2に記載の画像表示装置は、請求項1に記載の画像表示装置において、前記制御部が、前記前進時に前記表示範囲の全体に前記第1画像を表示させている状態から、前記後退時に前記表示範囲に前記第1画像と前記第2画像とを並列に表示させようとする場合に、前記第1画像を、当該第1画像の前記中心を維持しつつ左右をトリミングしながら、一方の端部を中央側に寄せるようにスライドさせ、前記第1画像に隣接した位置に前記第2画像を表示させ、前記第1画像の前記中心の位置のスライドと共に前記マークを移動させる、ものである。
【0009】
請求項2に記載の画像表示装置によれば、表示範囲の全体に第1画像を表示させている状態から第1画像をスライドさせ、中心の位置のスライドと共にマークを移動させる。このようなスライドに伴うマークの移動の制御によって、第1画像の中心が移動していることを運転者がより直感的に把握できる。
【0010】
請求項3に記載の画像表示装置は、請求項1又は請求項2に記載の画像表示装置において、前記第1画像が、前記車両の後方を撮像する第1撮像部により撮像され、前記第2画像が、前記第1撮像部とは視点が異なる後方の範囲を捉え、駐車を補助するための画像を撮像する第2撮像部により撮像され、前記制御部が、前記前進時に、前記表示範囲の全体に前記第1画像を表示させ、前記後退時に、前記表示範囲に前記第1画像と前記第2画像とを並列に表示させる、ものである。
【0011】
請求項3に記載の画像表示装置によれば、前進時に第1画像を表示させ、後退時に第1画像と第2画像とを並列に表示させることで、前進時と後退時とで、表示を切り替えられる。
【0012】
請求項4に記載の画像表示装置は、請求項1~請求項3の何れか1項に記載の画像表示装置において、前記制御部が、前記前進時に前記マークを表示させず、前記後退時に前記マークを表示させる、ものである。
【0013】
請求項4に記載の画像表示装置によれば、複数の画像が並列に表示されている場合にマークを表示させて運転者が第1画像の中心を直感的に把握できるようにすることを補助する。
【0014】
請求項5に記載の画像表示装置は、請求項1~請求項4の何れか1項に記載の画像表示装置において、前記制御部が、前記マークの表示有無及び表示パターンの種別の少なくとも一方を含む表示態様を設定可能とする、ものである。
【0015】
請求項5に記載の画像表示装置によれば、運転者が把握しやすいようにマークの表示有無及び表示パターンを設定できる。
【0016】
請求項6に記載の画像表示装置は、請求項5に記載の画像表示装置において、前記制御部が、前記車両の前進及び後退の少なくとも一方を含む走行状態ごとの前記マークの前記表示態様を設定可能とする、ものである。
【0017】
請求項6に記載の画像表示装置によれば、走行状態ごとに詳細なマークの表示態様を設定できる。
【0018】
請求項7に記載の画像表示方法は、車両の前進時及び後退時に前記車両の後方を撮像した画像を表示部の表示範囲に表示可能とし、前記後退時において、前記表示範囲に、前記車両の後方を撮像した第1画像と前記第1画像とは異なる前記車両の後方を確認するための第2画像とを並列に表示させると共に、前記表示範囲の上下の少なくとも一方に、前記第1画像の左右方向の中心を示すマークを表示させる、処理をコンピュータが実行する、ものである。
【0019】
請求項8に記載の画像表示プログラムは、表示部に車両の前進時及び後退時に前記車両の後方を撮像した画像を表示範囲に表示可能とし、プロセッサに、前記車両の後退時において、前記表示部の表示範囲に、前記車両の後方を撮像した第1画像と前記第1画像とは異なる前記車両の後方を確認するための第2画像とを並列に表示させると共に、前記表示範囲の上下少なくとも一方に、前記第1画像の幅方向の中心を示すマークを表示させるように制御する、処理をコンピュータに実行させる、ものである。
【発明の効果】
【0020】
本開示の技術によれば、車両の後方を撮像した第1画像と駐車を補助するための第2画像とを並列に表示させた場合に、第1画像の中心を直感的に把握できる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】実施形態に係る車載システムの概略構成を示す図である。
図2】車両のハードウェア構成を示すブロック図である。
図3】電子インナーミラーに第1画像を表示させた場合及び第1画像と第2画像とを並列に表示させた場合の表示の例を示す図である。
図4】制御部の機能構成を示すブロック図である。
図5】電子インナーミラーの(A)「前進時の表示」と(B)「後退時の表示」の例を示す図である。
図6】(A)「前進時の表示」から(B)「後退時の表示」に切り替える際のスライドの例を示す図である。
図7】画像に対する陥没又は突起を表すマークのパターンとして、陥没型と突起型とを設ける場合の例を示す図である。
図8】制御部において実行される画像表示処理の流れを示すフローチャートである。
図9】制御部において実行される設定処理の流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、図面を参照して本開示の実施形態の一例を詳細に説明する。図1は、本実施形態に係る車載システム10の概略構成を示している。車載システム10に係る車両12には、電子インナーミラー14、外部カメラ16A、バックモニタカメラ16B、及び制御部20が含まれている。なお、外部カメラ16A及びバックモニタカメラ16Bの図1における車両12上の設置位置は便宜的なものであり、車両12の何れかに設置される。例えば、ナンバープレートの付近、リヤガラスの付近、及びリヤスポイラの付近等を設置位置とすることができる。また例えば、外部カメラ16Aは、車両後部に加え、ドアミラーに対して設置してもよい。この場合、複数の外部カメラ16Aの撮像画像を合成して電子インナーミラー14に表示させることができる。なお、電子インナーミラー14が本開示に係る表示部の一例である。外部カメラ16Aが本開示に係る第1撮像部の一例である。バックモニタカメラ16Bが本開示に係る第2撮像部の一例である。
【0023】
図2は、車両12のハードウェア構成を示している。図2に示されるように、車両12は、制御部20内に設けられたCPU(Central Processing Unit)36、ROM(Read Only Memory)38、RAM(Random Access Memory)40及びストレージ42と、電子インナーミラー14と、外部カメラ16Aと、バックモニタカメラ16Bと、液晶モニタ18とを含んで構成されている。各構成は、バス44を介して相互に通信可能に接続されている。本実施形態では、ROM38又はストレージ42には、電子インナーミラー14に表示させる画像の画像処理を行うための画像表示プログラムが格納されている。なお、制御部20は、電子インナーミラー14と共に、本開示に係る画像表示装置の一例である。
【0024】
電子インナーミラー14は、車両12のフロントウインドシールドガラスの車両上方側かつ車両幅方向略中央に設けられている。電子インナーミラー14には、画像を表示させる表示範囲50が設けられており、車両12の前進時及び後退時に車両12の後方を撮像した画像を表示可能とする。また、電子インナーミラー14には、複数の画像を表示可能とする。なお、電子インナーミラー14に表示される画像は、連続して撮像された動画像(映像)として描画される。
【0025】
外部カメラ16Aは、電子インナーミラー14へ表示するための画像(第1画像52)を撮像する目的で車両12の後端部付近に設けられたカメラであり、車両12の後方を第1画像52として撮像する。外部カメラ16Aの画角は、光学式のインナーミラーにおける視界に準じて、車両12から所定の距離だけ離れた後続車両が画角内に収まるように、レンズの焦点距離が設定されている。そのため、外部カメラ16Aでは、車両12の後方のうち比較的近距離の範囲が死角となる。外部カメラ16Aで撮像された第1画像52は、例えば、車両12の走行状態が前進である場合に、電子インナーミラー14の表示範囲50の全体に表示される。
【0026】
バックモニタカメラ16Bは、電子インナーミラー14へ表示するための画像(第2画像54)を撮像する目的で車両12の後端部付近に設けられたカメラであり、車両12の後方の外部カメラ16Aの死角となる範囲を捉え、駐車を補助するための画像を撮像するカメラである。これにより、バックモニタカメラ16Bは、車両12の駐車を補助するための第2画像54を撮像できる。バックモニタカメラ16Bで撮像された第2画像54は、例えば、車両12の走行状態が後退である場合に、電子インナーミラー14の表示範囲50に第1画像52と共に並列に表示される。
【0027】
図3は、電子インナーミラー14に第1画像52を表示させた場合及び第1画像52と第2画像54とを並列に表示させた場合の表示の例を示している。図3において、(A)の表示は第1画像52を表示させた場合、(B)の表示は第1画像52と第2画像54とを並列に表示させた場合のものである。(A)の表示から(B)の表示に切り替えた場合、第1画像52の画像中の左右方向(幅方向)の表示の中心52Aにずれが生じ、第1画像52の中心52Aが分かりにくくなる、という問題が生じる。そこで、本実施形態では、中心52Aを示すマーク56を導入し、運転者が第1画像52の中心52Aを直感的に把握できるようにする。マーク56については後述する。
【0028】
上述したように、外部カメラ16Aで撮像される第1画像52と、バックモニタカメラ16Bで撮像される第2画像54とは、それぞれ視点が異なる画像である。なお、視点は、視点の位置が同じで視野角が異なる場合を含んでもよい。つまり、視点が異なる画像には、同じ位置に設置されたカメラで視野角の異なる画像も含まれる。また、第1画像52を撮像するカメラは外部カメラ16Aに限定されるものではなく、同様に第2画像54を撮像するカメラはバックモニタカメラ16Bに限定されるものではない。
【0029】
液晶モニタ18は、車両12の運転者が操作可能なタッチパネル式のモニタである。液晶モニタ18には、後述する設定メニューを表示可能である。
【0030】
図4に示されるように、制御部20では、CPU36が、画像表示プログラムを実行することで、取得部200、状態検出部210、表示制御部220、及び設定部230として機能する。
【0031】
取得部200は、外部カメラ16Aから第1画像を取得し、バックモニタカメラ16Bから第2画像を取得する。
【0032】
状態検出部210は、車両12の走行状態を検出する。状態検出部210では、少なくとも電子インナーミラー14の画像の表示切り替えに必要な前進又は後退を走行状態として検出する。走行状態は車両12に搭載されている各種センサ(図示省略)の値のうち、シフトポジションに関する値を用いて前進又は後退を検出すればよい。
【0033】
表示制御部220は、電子インナーミラー14の表示範囲50に画像を表示させる。表示制御部220は、走行状態が前進である場合は、電子インナーミラー14の表示範囲50の全体に第1画像52を表示させる。表示制御部220は、走行状態が後退である場合は、電子インナーミラー14の表示範囲50に、第1画像52と第2画像54とを並列に表示させると共に、第1画像52の中心52Aを示すマーク56を表示範囲50の上下に表示させる。
【0034】
図5は、電子インナーミラー14の(A)「前進時の表示」と(B)「後退時の表示」の例を示している。図5に示されるように、(A)前進時の表示では、第1画像52だけが表示されており、かつ、第1画像52の中心52Aの上下にマーク56が表示されている。(B)後退時の表示では、第1画像52を、画像中の左右を狭めるようにトリミングしながらスライドさせ、第1画像52に隣接した位置に第2画像54を表示させる。また、(B)後退時の表示では、第1画像52の中心52Aの位置のスライドに伴い、マーク56を移動して表示させる。マーク56は、この例では三角形の形状としている。また、マーク56は、マーク56自体の色の反対色で縁取りする。例えば、マーク56自体の色を黒にした場合は縁取りの色を白にする。なお、反対色に限らず、マーク56自体の色と異なる視認性を考慮した配色を採用すればよい。
【0035】
ここで、「前進時の表示」から「後退時の表示」への切り替えにあたって行われる、第1画像52のスライド制御について説明する。図6は、(A)「前進時の表示」から(B)「後退時の表示」に切り替える際のスライドの例を示している。図6に示されるように、(A)前進時の表示では、第1画像52の左端52Bは表示範囲50の左端付近にある。(B)後退時の表示では、このように第1画像52が全体に表示されている状態から、第1画像52と第2画像54とが並列に表示されている状態に切り替える。切り替えでは、第1画像52の左端52Bを表示範囲50の中央側に寄せるようにスライドさせる。スライド制御は、第1画像52の元々の中心52Aの表示は維持しつつ、左右を徐々に狭めるようにトリミングしながら、第1画像52の左端52Bを表示範囲50の中央側に移動させることにより行う。当該スライド制御により表示範囲50の第1画像52の片側が空くため、第1画像52に隣接した位置に第2画像54を表示させる。第2画像54を表示させる態様については、第1画像52のスライドと共にスライドインしてもよいし、スライド完了時にフェードインしてもよい。このようにスライド制御により、第1画像52の画像中の表示の中心52Aは維持される一方で、表示範囲50内の中心52Aの位置は矢印52Cで示すようにスライドする。よって、表示制御部220は、中心52Aの位置のスライドと共にマーク56の表示位置を移動させる。
【0036】
設定部230は、マーク56の表示態様を設定する。表示態様としては、マーク56の表示有無、及びマーク56の表示パターンの種別を設定可能とする。設定部230による設定は、車載の液晶モニタ18に設定メニューを表示し、設定操作を受け付けることにより行う。マーク56の表示有無は、前進時及び後退時を含む走行状態のそれぞれについて設定できるようにしてもよい。例えば、前進時はマーク56を非表示、後退時はマーク56を表示に設定できるようにしてもよい。また、前進時は上部のみマーク56を表示、後退時は上部及び下部にマーク56を表示といった設定を行えるようにしてもよい。また、後退時の走行状態の段階を細かく設定し、後退の開始10秒までは点滅、10秒以降は常時表示などを設定できるようにしてもよい。また、表示範囲50の上部のみ表示、下部のみ表示を設定できるよういしてもよい。なお、液晶モニタ18ではなく、運転者の所持する携帯端末等に設定メニューを表示して設定操作を受け付けてもよい。マーク56の表示パターンは、図7に示されるように、画像に対する陥没又は突起を表すマーク56のパターンとして、陥没型と突起型とを設けることができる。図7には、表示範囲50下部のマーク56の表示パターンの例が示されている。陥没型は、(a1)の三角形、(a2)の角丸型、及び(a3)の四角形の表示パターンの種別があり、突起型は、(b1)の三角形、(b2)の角丸型、及び(b3)の四角形の表示パターンの種別がある。陥没型は突起型に比べて表示範囲50を覆う面積を抑えることができる。なお、表示パターンはこの例に限定されず、他の多角形等、任意の形状の表示パターンを用いることができる。なお、液晶モニタ18で設定メニューを表示する場合に限られず、電子インナーミラー14上に設定メニューを表示し、スイッチ操作を行えるようにしてもよい。
【0037】
(処理フロー)
次に、制御部20の作用について説明する。図8は、制御部20による画像表示処理の流れを示している。図9は、制御部20による設定処理の流れを示している。制御部20において、CPU36がROM38又はストレージ42から画像表示プログラムを読み出しRAM40に展開して実行することにより、画像表示処理及び設定処理が行われる。
【0038】
まず、画像表示処理(図8)について説明する。ステップS100では、CPU36は、前進又は後退の走行状態を検出する。
【0039】
ステップS101では、CPU36は、走行状態が前進であるか否かを判定する。前進である場合にはステップS102へ移行し、前進でない場合にはステップS104へ移行する。
【0040】
ステップS102では、CPU36は、外部カメラ16Aから第1画像52を取得する。
【0041】
ステップS103では、CPU36は、電子インナーミラー14の表示範囲50の全体に第1画像52を表示させると共に、第1画像52の中心52Aを示すマーク56を表示範囲50の上下に表示させる。本ステップの後はステップS100に戻って処理を繰り返し、走行状態が前進である限り第1画像52及びマーク56の表示を維持する。
【0042】
ステップS104では、CPU36は、走行状態が後退であるか否かを判定する。後退である場合にはステップS105へ移行し、後退でない場合にはステップS100に戻って処理を繰り返す。
【0043】
ステップS105では、CPU36は、外部カメラ16Aから第1画像52、バックモニタカメラ16Bから第2画像54を取得する。
【0044】
ステップS106では、CPU36は、第1画像52のスライドにより、第1画像52と第2画像54とを並列に表示させ、マーク56を移動して表示させる制御を行う。当該制御では、第1画像52を、画像中の左右を狭めるようにトリミングしながらスライドさせ、第1画像52に隣接した位置に第2画像54を表示させ、中心52Aの位置のスライドと共にマーク56の表示位置を移動させる。本ステップの後はステップS100に戻って処理を繰り返し、走行状態が後退である限り第1画像52及び第2画像54の並列表示、並びにマーク56の表示を維持する。
【0045】
続いて、設定処理(図9)について説明する。ステップS200では、CPU36は、液晶モニタ18の設定操作を受け付けたか否かを判定する。受け付けた場合にはステップS201へ移行し、受け付けていない場合には本ステップの処理を繰り返す。設定操作は、マーク56の表示有無に関する操作、及びマーク56の表示パターンの種別に関する操作等である。
【0046】
ステップS201では、CPU36は、受け付けた設定操作が表示有無に関する操作であるか否かを判定する。表示有無に関する操作である場合にはステップS202へ移行し、表示有無に関する操作でない場合にはステップS203へ移行する。
【0047】
ステップS202では、CPU36は、設定操作で設定された表示有無の設定を電子インナーミラー14に表示させるマーク56に反映する。
【0048】
ステップS203では、CPU36は、受け付けた設定操作が表示パターンの種別に関する操作であるか否かを判定する。表示パターンの種別に関する操作である場合にはステップS204へ移行し、表示パターンの種別に関する操作でない場合には処理を終了する。
【0049】
ステップS204では、CPU36は、設定操作で設定された表示パターンの種別の設定を電子インナーミラー14に表示させるマーク56に反映する。
(まとめ)
本実施形態の電子インナーミラー14は、画像を表示させる表示範囲50が設けられており、複数の画像を表示可能である。制御部20は、車両12の走行状態が前進である場合は、電子インナーミラー14の表示範囲50の全体に第1画像52を表示させる。制御部20は、車両12の走行状態が後退である場合は、電子インナーミラー14の表示範囲50に、第1画像52と第2画像54とを並列に表示させると共に、第1画像52の中心52Aを示すマーク56を表示範囲50の上下に表示させる。このような中心52Aを示すマーク56によって、車両の後方を撮像した第1画像と駐車を補助するための第2画像とを並列に表示させた場合に、第1画像の中心を直感的に把握できる。これにより、複数の画像を並列に表示させた場合であっても、第1画像の視認性の低下を抑制できるようになる。
【0050】
なお、上記実施形態でCPU36がソフトウェア(プログラム)を読み込んで実行した各種処理を、CPU以外の各種のプロセッサが実行してもよい。この場合のプロセッサとしては、FPGA(Field-Programmable Gate Array)等の製造後に回路構成を変更可能なPLD(Programmable Logic Device)、及びASIC(Application Specific Integrated Circuit)等の特定の処理を実行させるために専用に設計された回路構成を有するプロセッサである専用電気回路等が例示される。また、上述した各処理を、これらの各種のプロセッサのうちの1つで実行してもよいし、同種又は異種の2つ以上のプロセッサの組み合わせ(例えば、複数のFPGA、及びCPUとFPGAとの組み合わせ等)で実行してもよい。また、これらの各種のプロセッサのハードウェア的な構造は、より具体的には、半導体素子等の回路素子を組み合わせた電気回路である。
【0051】
また、上記実施形態において、各プログラムはコンピュータが読み取り可能な非一時的記録媒体に予め記憶(インストール)されている態様で説明した。例えば、制御部20における画像表示プログラムはストレージ42に予め記憶されている。しかしこれに限らず、各プログラムは、CD-ROM(Compact Disc Read Only Memory)、DVD-ROM(Digital Versatile Disc Read Only Memory)、及びUSB(Universal Serial Bus)メモリ等の非一時的記録媒体に記録された形態で提供されてもよい。また、プログラムは、ネットワークを介して外部装置からダウンロードされる形態としてもよい。
【0052】
上記実施形態で説明した処理の流れは、一例であり、主旨を逸脱しない範囲内において不要なステップを削除したり、新たなステップを追加したり、処理順序を入れ替えたりしてもよい。
【符号の説明】
【0053】
12 車両
14 電子インナーミラー
16A 外部カメラ
16B バックモニタカメラ
20 制御部
図1
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