(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-02-25
(45)【発行日】2025-03-05
(54)【発明の名称】ディスクブレーキのブレーキキャリパ、ディスクブレーキシステムおよび検出装置
(51)【国際特許分類】
B60T 13/74 20060101AFI20250226BHJP
F16D 65/02 20060101ALI20250226BHJP
B60T 8/171 20060101ALI20250226BHJP
【FI】
B60T13/74 G
F16D65/02 A
B60T8/171 Z
(21)【出願番号】P 2021568153
(86)(22)【出願日】2020-05-12
(86)【国際出願番号】 IB2020054468
(87)【国際公開番号】W WO2020230015
(87)【国際公開日】2020-11-19
【審査請求日】2023-04-13
(31)【優先権主張番号】102019000006765
(32)【優先日】2019-05-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
(73)【特許権者】
【識別番号】521259127
【氏名又は名称】ブレンボ・ソチエタ・ペル・アツィオーニ
【氏名又は名称原語表記】BREMBO S.p.A.
(74)【代理人】
【識別番号】100106518
【氏名又は名称】松谷 道子
(74)【代理人】
【識別番号】100131808
【氏名又は名称】柳橋 泰雄
(74)【代理人】
【識別番号】100101454
【氏名又は名称】山田 卓二
(72)【発明者】
【氏名】カッラーラ,マルコ
(72)【発明者】
【氏名】ドゥルソ,ルカ
(72)【発明者】
【氏名】レオロン,マウロ
(72)【発明者】
【氏名】サーラ,パオロ
(72)【発明者】
【氏名】シェウチク,ベンヤミン
【審査官】山田 康孝
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-183694(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60T 13/00-13/74
F16D 49/00-71/04
B60T 7/12-8/1769
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ディスクブレーキシステム用のブレーキキャリパ(1)であって、
ディスクブレーキのブレーキディスク(3)の回転軸(A-A)と一致するか平行である軸方向(X-X)、前記軸方向(X-X)に直交する半径方向(R-R)、及び前記軸方向(X-X)と前記半径方向(R-R)に直交する接線方向(T-T)が定義され、
前記ブレーキキャリパ(1)は、前記ブレーキディスク(3)にまたがるように構成されたキャリパ本体(4)を含み、
前記キャリパ本体(4)は、
前記ブレーキディスク(3)の第1のブレーキ面(6)に面するように構成された第1の細長い部分(5)と、
前記第1の細長い部分(5)の反対側であり、前記第1のブレーキ面(6)の反対側の前記ブレーキディスク(3)の第2のブレーキ面(8)に面するように構成された第2の細長い部分(7)と、
前記ブレーキディスク(3)を跨いで、前記第1の細長い部分(5)および前記第2の細長い部分(7)を互いに接続するための少なくとも1つのブリッジ(9)とを備え、
前記ブレーキキャリパ(1)は、第1のブレーキパッド(10)および第2のブレーキパッド(20)を含む少なくとも一対の対向するブレーキパッド(10、20)をさらに含み、
前記少なくとも一対の対向するブレーキパッド(10、20)の各ブレーキパッド(10、20)は、
摩擦材料(11、21)と、
前記摩擦材料(11、21)を支持する支持プレート(12、22)を含み、
前記各ブレーキパッド(10,20)の前記支持プレート(12,22)は、前記キャリパ本体(4)の前記第1の細長い部分(5)及び前記第2の細長い部分(7)のそれぞれの細長い部分に面するプレートバック(13、23)を備え、
前記ブレーキキャリパ(1)はさらに、
前記プレートバック(13)にスラスト作用を加えて、前記ブレーキディスク(3)の前記第1のブレーキ面(6)と前記第2のブレーキ面(8)のうちの前記第1のブレーキ面(6)に対して前記少なくとも一対の対向するブレーキパッド(10、20)の前記第1のブレーキパッド(10)を当接するために前記プレートバック(13)にスラスト動作を加えるように構成されたアクチュエータ(16)を含む少なくとも1つのスラスト装置(14)と、
前記軸方向(X-X)に向けられたバイアス力を検出するように構成された少なくとも1つの検出装置(15)とを備え、
前記ブレーキキャリパ(1)の前記検出装置(15)は、前記少なくとも一対の対向するブレーキパッド(10、20)の前記第2のブレーキパッド(20)の前記プレートバック(23)と、前記キャリパ本体(4)の前記第2の細長い部分(7)との間に介在しており、
前記検出装置(15)は、少なくとも1つのロードセル(25)を含み、
前記ロードセル(25)は、貫通開口部(28)の周りに展開する環状体を有し、
前記ロードセル(25)は、前記ロードセル(25)に対して前記軸方向(X-X)に当接する本体に対する軸方向の接触ストレッチ(27、27’)を規定するように構成された少なくとも1つの接触リッジ(26、26’)を備え、
前記接触ストレッチ(27、27’)は円周である、ブレーキキャリパ(1)。
【請求項2】
前記ブレーキキャリパ(1)の前記検出装置(15)は、前記一対の対向するブレーキパッド(10、20)の前記第2のブレーキパッド(20)の前記プレートバック(23)と、前記キャリパ本体(4)の前記第2の細長い部分(7)との間に介在され、前記検出装置(15)と前記一対の対向するブレーキパッド(10、20)の前記第2のブレーキパッド(20)の前記プレートバック(23)との間に介在するアクチュエータ(16)の提供が回避される、又は
前記ブレーキキャリパ(1)の前記検出装置(15)は、前記一対の対向するブレーキパッド(10、20)の前記第2のブレーキパッド(20)の前記プレートバック(23)と前記キャリパ本体(4)の前記第2の細長い部分(7)との間に直接挿入され、
前記ブレーキキャリパ(1)の前記検出装置(15)は、前記対のブレーキパッド(10、20)の前記第2のブレーキパッド(20)の前記プレートバック(23)及び前記キャリパ本体(4)の前記第2の細長い部分(7)と直接接触する、請求項1に記載のブレーキキャリパ(1)。
【請求項3】
前記少なくとも一つの接触リッジ(26,26’)は、少なくとも2つの接触リッジ()26,26’)を有し、
前記少なくとも2つの接触リッジ(26,26’)は、同心で同軸である2つの接触円周(27、27’)を形成するように、前記ロードセル(25)の前記環状体の異なる直径位置に配置されている、請求項1又は2に記載のブレーキキャリパ(1)。
【請求項4】
前記少なくとも2つの接触リッジ(26,26’)の間にひずみゲージが適用され、前記少なくとも2つの接触リッジ(26,26’)の間で前記ロードセル(25)の前記環状体の曲げによる伸びを検出するように構成されている、請求項3に記載のブレーキキャリパ(1)。
【請求項5】
前記少なくとも2つの接触リッジ(26,26’)は、前記軸方向(X-X)に互いに対向するとともに、前記ロードセル(26)の前記環状体に対して前記軸方向(X-X)に対向している、請求項3又は4に記載のブレーキキャリパ(1)。
【請求項6】
前記検出装置(15)は、前記第2のブレーキパッド(20)の前記プレートバック(23)と前記ロードセル(25)の間に前記軸方向(X-X)に介在された少なくとも1つの旋回リング本体(29)を備え、
前記少なくとも1つの旋回リング本体(29)は、前記ロードセル(25)の前記少なくとも一つの接触リッジ(26)に対して前記軸方向(X-X)に当接するように構成されている、請求項1から5のいずれか一項に記載のブレーキキャリパ(1)。
【請求項7】
前記検出装置(15)は少なくとも1つの弾性装置(30)をさらに備え、
前記弾性装置(30)は、前記ロードセル(25)の前記少なくとも一つの接触リッジ(26)と前記少なくとも1つの旋回リング本体(29)との間で前記軸方向(X-X)に直接プレロードを加えるように構成されている、請求項6に記載のブレーキキャリパ(1)。
【請求項8】
前記キャリパ本体(4)の前記第2の細長い部分(7)は、前記第2のブレーキパッド(20)の前記プレートバック(23)と前記ロードセル(25)との間に延在する少なくとも一つの軸方向ガイド壁(31)を含み、
前記検出装置(15)は、Oリング(33)を介在することによって、前記少なくとも1つの軸方向ガイド壁(31)と密封的に関連付けられている少なくとも1つのスライダ(32)をさらに含み、
前記少なくとも1つのスライダ(32)は、前記少なくとも1つの軸方向案内壁(31)と協働して、ブレーキ動作中に前記第2のブレーキパッド(20)によって押されたときに前記軸方向(X-X)にスライドし、
前記少なくとも1つのスライダ(32)は、所定の軸方向延長部(X3)にわたって前記キャリパ本体(4)の前記少なくとも1つの軸方向ガイド壁(32)と接触する少なくとも1つの軸方向ガイド対向壁(34)を備え、
前記少なくとも1つのスライダ(32)は、前記第2のブレーキパッド(20)の前記プレートバック(23)に対して軸方向に当接するように構成された当接面(36)を備える、請求項1に記載のブレーキキャリパ(1)。
【請求項9】
前記検出装置(15)は、好ましくは複数のシール要素(33、 33 '、33' '')であって、少なくとも前記ロードセル(25)を受け入れる密閉チャンバ(35)を形成する少なくとも1つのシール要素(33、33 '、33' '')を含み、
前記検出装置(15)によって規定された前記密閉チャンバ(35)から少なくとも1つの構成要素を排出および/または組み立てることを目的として空気圧装置(37)が設けられた、請求項1から8のいずれか一項に記載のブレーキキャリパ(1)。
【請求項10】
前記スラスト装置(14)の前記アクチュエータ(16)は、電動モータ(41)に関連付けられ、
前記ブレーキキャリパ(1)は、前記ブレーキキャリパ(1)を車両(40)に固定するための固定手段(43)を備えるブラケット(42)をさらに備え、
前記キャリパ本体(4)は、ブレーキ作用を適用するために前記ブラケット(42)に対して前記軸方向(X-X)にスライドするように構成される、又は、前記キャリパ本体(4)は一つの部品で作られている、請求項1から9のいずれか一項に記載のブレーキキャリパ(1)。
【請求項11】
請求項1から10のいずれか1つに記載のブレーキキャリパ(1)と、少なくとも1つのディスク(3)とを備えるディスクブレーキシステム(2)。
【請求項12】
請求項11に記載のブレーキディスクシステム(2)を備える自動車(40)。
【請求項13】
軸方向(X-X)に向けられたバイアス力を検出するように構成された、少なくとも1つのロードセル(25)を含む検出装置(15)であって、
前記ロードセル(25)は、貫通孔(28)の周りに展開する環状体を有し、
前記ロードセル(25)は、前記ロードセル(25)に対して前記軸方向(X-X)に当接する本体に対して少なくとも1つの軸方向接触部(27、27')のストレッチを定義するように構成される、
前記少なくとも一つの軸方向接触部(27,27’)は円周である、検出装置(15)。
【請求項14】
前記少なくとも一つの接触リッジ(26,26’)は少なくとも2つの接触リッジ(26,26’)を有し、
前記少なくとも2つの接触リッジ(26,26’)は、同心で同軸である2つの接触円周(27、27’)を形成するように、前記ロードセル(25)の前記環状体の異なる直径位置に配置されており、
前記少なくとも2つの接触リッジ(26,26’)の間にひずみゲージが適用され、前記少なくとも2つの接触リッジ(26,26’)の間で前記ロードセル(25)の前記環状体の曲げによる伸びを検出するように構成されている、請求項13に記載の
検出装置(15)。
【請求項15】
前記少なくとも2つの接触リッジ(26,26’)は、前記軸方向に互いに対向するとともに、前記ロードセル(26)の環状体に対して前記軸方向に対向している、請求項14に記載の
検出装置(15)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ディスクブレーキ用のブレーキキャリパに関する。
【0002】
特に、本発明は、検出装置を備えたブレーキキャリパに関する。
【0003】
本発明はさらに、ディスクブレーキシステムおよびディスクブレーキシステムを含む車両に関する。
【0004】
本発明はさらに、ブレーキキャリパの検出装置に関する。
【背景技術】
【0005】
ディスクブレーキでは、ブレーキキャリパは、一般に、軸方向(X-X)を規定する回転軸の周りを回転するように構成されたブレーキディスクの外周マージンにまたがって配置される。ディスクブレーキでは、半径方向(R-R)は軸方向(X-X)に実質的に直交する方向、接線方向(T-T)又は周方向(T-T)は軸方向(X-X)と半径方向(R-R)に実質的に直交する方向を規定する。
【0006】
ブレーキキャリパは、例えば、車両サスペンションのスタブアクスル、または車両ホイールハブ、またはモータサイクルのフォークまたはスイングアームなど、車両ホイールに対して静止したままである支持構造に拘束されている。ブレーキキャリパは、通常、ブレーキディスクの対向するブレーキ面にそれぞれ面するように配置された2つの対向する細長い部分を有するキャリパ本体と、ディスクにまたがって突出する2つの細長い部分を接続する少なくとも1つのキャリパブリッジとを備える。
【0007】
モータサイクルのディスクブレーキの典型的な配置では、ブレーキディスクの一方のブレーキ面はモータサイクルのホイールに向けられており、ブレーキディスクの反対側のブレーキ面は軸方向反対側に向けられている。
【0008】
モータサイクルの反対側のディスクの側面に面するキャリパの部分は、通常、フォークへの固定手段を有する。さらに、モータサイクルの反対側のディスク側に面するキャリパ本体の細長い部分は、軸方向に重要な延長部を有し、モータサイクルのホイールとフォークの両方から軸方向に突出する重なり部分を形成する。
【0009】
キャリパ本体の各細長い部分とブレーキディスクの対向するブレーキ面との間にクラッチパッドが配置されている。
【0010】
固定ディスクに関連するフローティングキャリパボディでは、キャリパボディのフローティング部分または軸方向にスライドする部分は、対向する細長い部分の1つだけに、推力手段、例えば油圧で作動するピストンシリンダセンブリまたは電気で作動するボールねじアセンブリを有する。そのような推力手段は、対向するブレーキパッドの裏側に推力作用を適用して、ブレーキディスクのブレーキ面に対するブレーキパッドの摩擦材料となる。
【0011】
推力手段の作用によってブレーキパッドがブレーキディスクのそのようなブレーキ面に当接すると、ブレーキキャリパの浮動する本体又は軸方向にスライドする本体は、ブレーキディスクの反対側のブレーキ面に対してブレーキパッドを押し付け、それによってブレーキディスクのブレーキバンドの両側にブレーキ作用を発生させるブレーキキャリパの細長い部分を取ることを目的とした軸方向反力を受ける。アキシャルガイドは、通常ピンの形で提供され、モータサイクルと一体の支持構造に接続されているブラケット上のブレーキキャリパのフローティング部分の相対的なスライドをガイドする。
【0012】
典型的には、スラスト手段を取り付けるキャリパ本体の細長い部分と、モータサイクルに対して静止したままである支持構造へのしっかりした接続を形成することを目的とするキャリパ本体の取り付け部分が、モータサイクルの外側を向いているキャリパの側部に設けられる。このようにして、キャリパ本体は、モータサイクルのホイールの寸法に対して軸方向に突出する。
【0013】
固定ディスクに関連するフローティングブレーキキャリパを車両に取り付けることも一般的に知られている。
【0014】
この場合、推力手段を含む細長い部分は、通常、車両に面するキャリパ側および車両接続要素に配置される。一方、普通は車両の車輪に面する車両の反対側は、推力手段がなく、そのためにより小さなオーバーハング軸方向延長を有する。
【0015】
したがって、車両とは反対側のディスクの側面にあるキャリパ本体の細長い部分の軸方向の寸法を縮小する必要性が感じられる。
【0016】
それどころか、固定ディスクに関連する固定キャリパ本体では、推力手段、例えば、シリンダピストンアセンブリは、キャリパ本体を軸方向に動かす必要なしに、ディスクのブレーキ面に当接させることにより、それに面する摩擦パッドにスラスト作用を加えることができるキャリパ本体の反対側の細長い部分の両方に存在する。
【0017】
固定ディスクに関連する固定キャリパ本体も知られており、キャリパ本体の細長い部分の1つだけが、それに面する摩擦パッドにスラスト作用を加えることができる油圧ピストンを収容するように適合された1つまたは複数のシリンダを有する。ディスクのブレーキ面は、サポート上で軸方向にスライドし、反対側の摩擦パッドに接してブレーキ動作を加える。
【0018】
既知の電気作動式ブレーキキャリパソリューションでは、例えば、米国特許出願公開公報2017-0321773号に示されているように、スラスト手段は、電気的に作動し、いくつかの既知の例によれば、ねじが電気モータとナットねじまたはスクロールまたはスライダによって動かされ、キャリパ本体に対してねじに沿って軸方向に移動するボールねじアセンブリを含み、ピストンとして機能すること、またはピストンを押してブレーキパッドを向かい合うブレーキ面に接触させることを目的としている。
【0019】
したがって、電気作動式ブレーキキャリパの場合、ブレーキ制御は車両のドライバによって作動され、適切に設計されたトランスデューサを介して、ボールねじアセンブリのねじを動かす電気モータの一連の駆動信号に変換され、それによってナットねじまたはスクロール若しくはスライダの軸方向の動きを決定する。
【0020】
典型的には、そのような電気モータは、電気作動式ブレーキキャリパの推力手段(例えば、ボールねじアセンブリのねじ)に関連しており、モータ自体の部品に配置されたセンサからのフィードバックによるループ制御によって制御される。
【0021】
しかしながら、このようにして得られたフィードバックを伴うループ制御は、ブレーキキャリパまたはその部品(例えば、ブレーキキャリパボディ)の摩擦および変形によって引き起こされる構造的および動的効果を必ずしも考慮に入れていないため、そのような解決策には欠点がないわけではない。
【0022】
さらに、フローティングブレーキキャリパでは、ブレーキキャリパのスライド部分またはフローティング部分の軸方向ガイド要素が、相対的な軸方向スライドにおけるコンポーネント間の摩擦に起因する動的効果を生成する可能性がある。
【0023】
例えば米国特許出願公開公報2013-0233065号で示されているように、パッドに沿って軸方向に張り出した細長い要素の形で電気作動式ブレーキキャリパの本体にセンサを取り付ける解決策は、センサの細長い要素の接線方向のたわみの検出に基づいてブレーキディスクに加えられるブレーキトルクを推定することが知られている。
【0024】
ただし、ブレーキパッドの横に接線方向に配置された細長い片持ち梁要素に収容されたセンサを提供するこの解決策では、長時間の使用によるブレーキパッドの摩擦材の軸方向の薄化を考慮する必要がある。この薄化により、ブレーキパッドは、ブレーキパッドプレートの側面間の接触点のディスクに向かう軸方向へ次第に移動する。これにより、センサを取り付ける細長い片持ち梁要素のたわみが決まる。
【0025】
したがって、ブレーキキャリパとブレーキディスクの間で交換される力を検出するための解決策を提供する必要性が強く感じられる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0026】
したがって、ブレーキ動作に影響を及ぼすブレーキキャリパまたはその部品の摩擦および変形による構造的および動的な影響を補償するために、ブレーキキャリパの少なくとも1つのブレーキパッドに加わる軸方向推力作用に対して改善された制御を提供する必要性が強く感じられる。
【0027】
本発明の目的は、先行技術の欠点を解決し、先行技術を参照して本明細書に記載された必要性に対する解決策を提供することである。
【0028】
これらおよび他の目的は、請求項1に記載のブレーキキャリパ、請求項8に記載のディスクブレーキ、ならびに請求項10に記載の検出装置によって達成される。
【0029】
いくつかの有利な実施形態は、従属請求項の対象である。
【0030】
提案された解決策により、ブレーキ動作中にブレーキキャリパのキャリパ本体とブレーキディスクとの間で交換される軸方向の力を検出することが可能である。
【0031】
ブレーキキャリパ、ブレーキディスクシステム、および検出装置のさらなる特徴および利点は、添付の図を参照して、非限定的な例として、その好ましい実施形態の以下の説明から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【
図1】
図1は、実施形態に係るブレーキキャリパの縦立面図である。
【
図2】
図2は、
図1の矢印II-IIで示されるプロット平面に沿った断面図である。
【
図3】
図3は、
図2のブレーキキャリパの一部を拡大した図である。
【
図4】
図4は、実施形態に係る検出装置の弾性装置の図である。
【
図5】
図5は、実施形態に係るブレーキキャリパの部分断面不等角投影図である。
【
図6】
図6は、軸方向および半径方向に平行なプロット平面に沿った、
図1のブレーキキャリパの断面図である。
【
図7】
図7は、
図6のブレーキキャリパの一部を拡大した図である。
【
図8】
図8は、モータサイクルに取り付けられた、さらなる実施形態によるディスクブレーキシステムの不等角投影図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
一般的な実施形態によれば、ディスクブレーキ2用のブレーキキャリパ1が提供される。
【0034】
ディスクブレーキ2において、軸方向X-Xは、ディスクブレーキ2のディスク3の回転軸A-Aと一致するか平行で、半径方向R-Rは軸方向X-Xに垂直で、接線方向は軸方向X-Xと半径方向R-Rの両方に垂直である。
【0035】
ブレーキキャリパ1は、ディスク3にまたがるように構成されたキャリパ本体4を備える。
【0036】
キャリパ本体4は、ディスク3の第1のブレーキ面6に面するように構成された第1の細長い部分5と、第1の細長い部分5とは反対で、第1のブレーキ面6の反対側のディスク3の第2のブレーキ面8に面するように構成された第2の細長い部分7とを備える。
【0037】
キャリパ本体4は、ディスク3にまたがって配置され、第1の細長い部分5および第2の細長い部分7を互いに接続するための少なくとも1つのブリッジ9をさらに備える。
【0038】
ブレーキキャリパ1は、第1のブレーキパッド10および第2のブレーキパッド20を含む、少なくとも1対の対向するブレーキパッド10、20をさらに備える。
【0039】
少なくとも1対の対向するブレーキパッド10、20の各ブレーキパッド10、20は、摩擦材料11、21、および摩擦材料11、21を支持する支持プレート12、22を備える。各ブレーキパッド10、20の支持プレート12,22は、キャリパ本体4の細長い部分5、7のそれぞれの細長い部分5または7に面するプレートバック13、23を備える。
【0040】
このようにして、第1のブレーキパッド10は、第1の摩擦材料11および第1のプレートバック13を含む第1の支持プレート12を含み、第2のブレーキパッド20は、第2の摩擦材料21および第2のプレートバック23を含む第2の支持プレート22を含む。
【0041】
ブレーキキャリパ1は、プレートバック13にスラスト作用を加えて一対のブレーキパッド10,20の第1ブレーキパッド10をディスク3の対向するブレーキ面6,8のブレーキ面6に当接するように構成されたアダプタ16を備えている。実施形態によれば、スラスト装置14は、第1のブレーキパッド10のプレートバック13を押すように構成された少なくとも1つのピストン44を備える。
【0042】
実施形態によれば、アクチュエータ16は、ピストン44に軸方向推力作用を加えて、第1のブレーキパッド10を軸方向に押して、ディスク3の対向するブレーキ面6に接触させるように設計されたボールねじアセンブリを備える。
【0043】
実施形態によれば、キャリパ本体4は、少なくとも1つの推力装置14の少なくとも一部を受け入れるように構成された少なくとも1つのハウジングをさらに備える。実施形態によれば、キャリパ本体4の少なくとも1つのハウジングは、軸方向に対向するハウジング壁18を有し、第1のブレーキパッド10のブレーキプレート13に面する少なくとも一つのハウジングエッジ19を有する。実施形態によれば、ピストン44は、アクチュエータへの水又は異物(例えば、埃や砂利)の浸入を防ぐためにシール45に関連付けられる。
【0044】
ブレーキキャリパ1は、軸方向X-Xに向けられたバイアス力を検出するように構成された少なくとも1つの検出装置15をさらに備える。
【0045】
有利には、ブレーキキャリパ1の検出装置15は、例えば、 1つまたは複数の部品(例えば、旋回リング本体29及び/又はスライダ32)を、一対のブレーキパッド10、20の第2のブレーキパッド20のプレートバック23とキャリパ本体4の細長い部分7との間に介在することによって、軸方向X-Xに直接的または間接的に介入される。
【0046】
好ましい実施形態によれば、検出装置15と、ブレーキパッド対10、20の第2のブレーキパッド20のプレートバック23との間に、アクチュエータ16を設けることが回避される。
【0047】
第2のブレーキパッド20と第2の細長い部分7との間で交換される軸力の改善された測定精度は、検出装置15と第2のブレーキパッドのプレートバック23との間に軸方向に配置されたアクチュエータ16の提供を回避することによって達成される。 20。
【0048】
したがって、キャリパ本体4と第2のブレーキパッド20との間に軸方向に配置されるそのような検出装置15は、ブレーキ動作中にブレーキディスクと交換される軸力の正確で信頼できる測定を可能にし、これは、相対運動(相対的なスライド運動)中のブレーキキャリパコンポーネント間の摩擦の影響を、例えばキャリパ本体の一部および/またはブレーキキャリパ自体の変形と同様に考慮する。
【0049】
さらに、そのような検出装置15で得ることができるディスクと交換される軸力の推定は、推力手段に関するフィードバックを伴うループ制御を実行することを可能にする。例えば、交換された軸力のそのような推定値は、制御ユニットによって記憶され、電気作動式ブレーキキャリパの推力手段を駆動する電気モータの電源と比較されて、起こり得る誤動作を診断することができる。
【0050】
例えば、フローティングまたは軸方向にスライドするキャリパの場合、ブレーキキャリパの軸方向にスライドする部分のスライドによる摩擦は、必然的に、電気モータによって生成された機械的動力の散逸を生じる。そのような検出装置15により、ディスクと実際に交換される力を推定することが可能であり、したがって、摩擦によって生じる散逸を評価することができる。
【0051】
好ましい実施形態によれば、接続装置15は、少なくとも1つのロードセル25を含む。好ましくは、ロードセル25は、少なくとも1つの圧電素子を含む。
【0052】
実施形態によれば、ロードセル25は、たわみによって作動するように構成されている。このようにして、ロードセル25は、例えば、ブレーキディスクと交換される力を測定するときにロードセル本体のたわんだ部分の伸びを検出するひずみゲージを備えている。
【0053】
実施形態によれば、ロードセル25は、圧縮で動作するように構成されている。
【0054】
実施形態によれば、ロードセル25は、ロードセル25に対して軸方向に隣接する本体に対して軸方向接触ストレッチ(伸長)27、27 'を規定するように構成された少なくとも1つの接触リッジ(隆起部)26、26'を備える。
【0055】
実施形態によれば、ロードセル25は、互いに軸方向に対向する少なくとも2つの接触リッジ26および26 'と、ロードセル25の本体とを備え、少なくとも2つの接触リッジ26、26の各接触リッジ26または26'は、ロードセル25に軸方向に対向する本体に対して軸方向接触ストレッチ27、27'を定義するように構成されている。
【0056】
実施形態によれば、軸方向接触ストレッチ27、27 'は、少なくとも円周の弧である。実施形態によれば、軸方向接触ストレッチ27、27 ’は円周である。
【0057】
実施形態によれば、検出装置15は、例えば一つ以上の変換ユニットによって、ブレーキ制御部に対する操作接続を形成するように構成されたコネクタ52を備えている。実施形態によれば、コネクタ52は、キャリパ本体4の一部との機械的干渉結合を達成するために、少なくとも1つのシーリング部分33 '(例えば、カラー53)を備える。好ましくは、カラー53は保持作用を加える。実施形態によれば、キャリパ本体4、好ましくはキャリパ本体4の第2の細長い部分7は、コネクタ52を受け入れるロードセル25へのアクセスチャネルを区画する。
【0058】
実施形態によれば、ロードセル25は、貫通開口部28の周りに発達する環状本体を有する。このようにして、ブレーキキャリパ1の他の構成要素を少なくとも部分的に貫通開口部29の内側に収容することが可能であり、それにより軸方向の寸法を小さくする。キャリパ本体4の寸法。このようにして、例えば、ロードセル25の貫通開口部29内に少なくとも部分的に回転防止装置を収容することが可能である。
【0059】
実施形態によれば、検出装置15は、第2のブレーキパッド20のプレートバック23とロードセル25との間に軸方向X-Xに挿入された少なくとも1つの旋回リング本体29を備える。
【0060】
実施形態によれば、少なくとも1つの旋回リング本体29は、ロードセル25の接触リッジ26に対して軸方向に当接するように構成されている。
【0061】
実施形態によれば、少なくとも1つの旋回リング本体29は、旋回リング本体の貫通開口部を取り囲む環状本体を有する。好ましくは、旋回リングカップリング本体の貫通開口部は、ロードセル25の貫通開口部29と軸方向または同軸である。
【0062】
実施形態によれば、検出装置15は、少なくとも1つの弾性装置30をさらに含む。
【0063】
実施形態によれば、弾性装置30は、ロードセル25、好ましくはロードセル25の接触リッジ26と少なくとも1つの旋回リング本体29との間で軸方向X-Xに直接予荷重作用を加えるように構成されている。
【0064】
実施形態によれば、弾性要素30は、1つまたは複数の円錐ばね座金47を含む。好ましくは、弾性装置は、軸方向X-Xに積み重ねられた複数の円錐ばね座金47を含む。
【0065】
実施形態によれば、弾性装置30は、例えばナットと協働する調整ねじを有する調節装置46をさらに含む。調整装置46は、旋回リング本体29を、ロードセル25に軸方向から当接してプレロード作用を加えるように構成されている。ロードセル25の測定誤差は、このようにして最小化される。
【0066】
実施形態によれば、複数の円錐ばね座金47は、調整装置46の調整ねじのステム48を取り囲む環状本体を有する。実施形態によれば、調整装置46の調整ねじのヘッド50は、旋回リング本体29に対して軸方向に当接してロードセル25を軸方向にバイアスする。
【0067】
実施形態によれば、弾性装置30は、上述のプレロードを加えるために、複数の円錐ばね座金47ための軸方向当接面を形成する少なくとも1つのアバットメント本体49を備える。例えば、アバットメント本体49は、その底壁に貫通開口部を備えた本質的にカップ形状である。そのようなアバットメント本体49の提供により、弾性装置30は、ブレーキキャリパ本体1に軸方向に挿入することができる調整装置46を備えたカートリッジシステムを形成する。
【0068】
実施形態によれば、キャリパ本体4の第2の細長い部分7は、第2のブレーキパッド20のプレートバック23とロードセル25との間で軸方向X-Xに延びる少なくとも1つの軸方向ガイド壁31を備える。
【0069】
実施形態によれば、検出装置15は、例えばOリング33を介在して、好ましくは少なくとも一つの軸方向壁31と密封された方法で関連付けられた少なくとも一つのスライダ32を備えている。少なくとも1つのアキシャルガイド壁31と協働する少なくとも1つのスライダ32は、ブレーキ動作中に第2のブレーキパッド20によって押されると、軸方向X-Xにスライドする。
【0070】
実施形態によれば、少なくとも1つのスライダー32は、所定の軸方向延長X3に対してキャリパ本体4の少なくとも1つの軸方向案内壁32と接触する少なくとも1つの軸方向案内対向壁34を備える。
【0071】
実施形態によれば、少なくとも1つのスライダ32は、第2のブレーキパッド20のプレートバック23に対して軸方向に当接するように構成された当接面36を備える。
【0072】
したがって、そのようなスライダ32は、ロードセル25を、旋回リング本体29の介在を介して直接的または間接的に軸方向にバイアスするようにのみ構成されている。
【0073】
旋回リング本体29および/またはスライダ32との接触セクション27、27 'を規定する少なくとも1つの接触リッジ26の提供は、軸方向応力のみがロードセル25に伝達されることを保証し、それにより、検出装置15の読み取りを妨害する可能性のある曲げ応力またはねじり応力を回避する。好ましくは、少なくとも2つの接触リッジ26、26 'は、観察される場合、理想的には、旋回リング本体29との単一の接触点と、環状アバットメント本体38との少なくとも1つの接触点を規定する。
【0074】
好ましくは、少なくとも2つの接触リッジ26、26 'は、ロードセル25の環状本体の異なる直径に配置されて、実質的に同心で同軸である2つの接触円周27、27'を形成する。好ましくは、ひずみゲージは、2つの接触リッジ26、26 'の間に適用されて、2つの接触リッジ26、26'の間のロードセル25の環状本体の曲げによる伸びを検出する。
【0075】
実施形態によれば、スライダ32は、断熱材料、例えば、断熱材料(例えばフェノール樹脂)で作られている。このようにして、ロードセル25は、熱応力によって引き起こされる干渉から保護される。好ましくは、スライダ32は、動作条件下での熱応力の影響による変形には不適切である。
【0076】
実施形態によれば、1つまたは複数のシールがロードセル本体25に関連付けられて、浸潤に対する保護シールを提供する。
【0077】
実施形態によれば、環状アバットメント本体38は、例えば、鋼製であり、ロードセル25の本体に関連付けられて、ロードセル25の軸方向の当接および半径方向位置決め基準を形成する。そのような環状本体38の提供はまた、動作中に変形不可能な当接基準を形成することを可能にする。
【0078】
実施形態によれば、検出装置15は、少なくとも1つのシール要素33、33 '、33' ''、および好ましくは複数のシール要素33、33 '、33' ''を含み、これらは少なくともロードセル25を収容する密封されたチャンバ35を形成する。このようにして、異物および液体がロードセル25の読み取りに干渉するのが防止される。実施形態によれば、シール要素は、Oリングおよび/またはシールされたねじ接続を含む。
【0079】
実施形態によれば、空気圧装置37は、検出装置15によって規定される密閉チャンバ35から少なくとも1つの構成要素を排出し、組み立てるために提供される。実際、パイプを含む空気圧装置37によって、スライダ32の静止位置に到達するのに失敗する可能性がある、チャンバ圧力の望ましくない増加が回避される。
【0080】
好ましくは、作動時、例えば圧縮空気を吹き付けることによってキャリパ本体4からスライダ32を切り離すために、空気圧装置37は、スライダ32の壁(例えば、当接面36)につながる少なくとも1つのパイプを含む。これにより、分解作業が容易になる。
【0081】
実施形態によれば、推力装置14のアクチュエータ16は、電動モータ41に関連付けられている。例えば、モータ41は、両方ともキャリパ4(好ましくはキャリパ本体4の第1の細長い部分5)に受け入れられるロータとステータを備える。
【0082】
実施形態によれば、ブレーキキャリパ1は、車両40のためにブレーキキャリパ1を固定するための固定手段43を含むブラケット42をさらに備える。
【0083】
実施形態によれば、キャリパ本体4は、ブレーキ作用を加えるためにブラケット42に対して軸方向X-Xにスライドするように構成されている。このようにして、フローティングブレーキキャリパ1が作製される。
【0084】
実施形態によれば、キャリパ本体4は、単一の部品で作られている。言い換えれば、それはモノブロックである。好ましくは、キャリパ本体4は、単一の鋳造物で作られている。
【0085】
実施形態によれば、キャリパ本体4はモノブロックであり、ブラケット42上をスライドするように適合されている。
【0086】
一般的な実施形態によれば、ディスクブレーキシステム2は、上記の実施形態のいずれか1つによる少なくとも1つのブレーキキャリパ1を備える。
【0087】
ディスクブレーキシステム2は、少なくとも1つのディスク3をさらに備える。ディスク3は、回転軸A-Aを規定する。ディスクブレーキシステム2では、軸方向X-Xは、ディスクブレーキ2のディスク3の回転軸A-Aと一致するか平行で、半径方向R-Rは軸方向X-Xに直交し、接線方向T-Tは軸方向X-Xと半径方向R-Rの両方に直交する。
【0088】
好ましい実施形態によれば、ディスクブレーキシステム2は、少なくとも1つのブレーキ制御をさらに含む。好ましくは、ブレーキ制御は、制御レバーを含む。
【0089】
好ましくは、「ブレーキ制御」という用語は、ブレーキ動作を加えるために車両40の運転者から制御を受け取ることを意図した制御インターフェースを意味する。
【0090】
好ましくは、「ブレーキ作用」という用語は、スラスト装置14によって作動されたときにブレーキキャリパ1の反対側のブレーキパッド10、20によって加えられる反対側のブレーキ面6、8のクランプ作用を意味し、それによってブレーキトルクを生成する。
【0091】
好ましくは、「ブレーキトルク」という用語は、ディスク3の回転軸A-Aから所定の半径方向距離で反対側のブレーキ面6、8に加えられるディスク3をブレーキするためにブレーキパッド10、20によって生成される力を意味する。
【0092】
実施形態によれば、ディスクブレーキシステム2は、推力装置14を作動させるための少なくとも1つの電気モータ41を備える。
【0093】
実施形態によれば、ディスクブレーキシステム2は、ブレーキ制御および検出装置15に動作可能に接続された少なくとも1つの変換器ユニットを備える。
【0094】
好ましくは、少なくとも1つの変換ユニットは、車両の運転者によって作動されたときにブレーキ制御によって伝達される制御動作に基づいて、例えば電気モータ41の作動によって、推力装置14に制御信号を送信するように構成される。
【0095】
一般的な実施形態によれば、車両40は、上記の実施形態のいずれか1つによる少なくとも1つのディスクブレーキ2を備える。
【0096】
好ましくは、車両40はモータサイクル40である。
【0097】
例えば、モータサイクル40は、コーナリング時に傾くように構成されている。
【0098】
実施形態によれば、モータサイクル40は、固定手段43を介してブラケット42に関連する少なくとも1つのフォーク51を備える。
【0099】
実施形態によれば、ブレーキキャリパ1の電気モータ41を受け入れるキャリパ本体4の第1の細長い部分5は、フォーク51に面するディスク3の側に配置され、予め決められた量55だけ、フォークの軸方向レベルを超えて軸方向に突出する。
【0100】
実施形態によれば、検出装置15を含むキャリパ本体4の第2の細長い部分7は、モータサイクルのホイール56に面するディスク3の側に配置される。
【0101】
実施形態によれば、ブレーキ制御17は、好ましくはモータサイクル40のハンドルバーに関連付けられた制御レバーを備える。
【0102】
実施形態によれば、軸方向X-Xに向けられたバイアス力を検出するように適合された少なくとも1つの検出装置15。
【0103】
検出装置15は、少なくとも1つのロードセル25を備える。
【0104】
ロードセル25は、軸方向接触ストレッチ27、27 '、好ましくはロードセル25に軸方向に当接する物体に対する円周を規定するように構成された少なくとも1つの接触リッジ26、26'を備える。好ましくは、ロードセル25に軸方向に当接する本体がブレーキパッドブレーキパッド10、20である。このようにして、ブレーキ動作中に、ブレーキディスクと、ブレーキディスクに力を提供するブレーキキャリパの第1の部材であるブレーキパッド10、20との間で交換される軸方向力を検出することができる。
【0105】
好ましい実施形態によれば、ロードセル25は、貫通開口部28の周りに発達する環状体を有する。
【0106】
実施形態によれば、検出装置15は、上記の実施形態のいずれか1つに記載された特徴のうちの少なくとも1つを含む。
【0107】
一般的な実施形態によれば、上記の実施形態のいずれか1つによる少なくとも1つの検出装置を含む車両が提供される。実施形態によれば、車両は自動車である。実施形態によれば、車両はモータサイクルである。
【0108】
個別にまたは組み合わせて提供される上記の特徴のおかげで、上述のニーズに対応し、特に前述の利点を得ることが可能である。
【0109】
ブレーキコントロール(通常はコントロールレバーおよび/またはブレーキペダル)には、ブレーキパッドとキャリパボディの間で交換される力に関するフィードバックが提供される。
【0110】
緊急時でも、車両のドライバによる制御という点で並外れた性能を発揮する電動フローティングブレーキキャリパと、車両の運転者に対する優れた快適性が提供される。
【0111】
必要に応じて、せん断、曲げ、および/またはねじり応力を検出せずに、ブレーキパッドとキャリパボディの間で交換された軸応力のみを検出することが可能である。
【0112】
ロードセル25の全体寸法の中に、本体(例えば弾性装置)を収容することが可能である。これにより、性能を同じに保ちつつ、ブレーキキャリパの全体寸法が小さくできる。
【0113】
特に軸方向のコンパクトなキャリパボディが提供され、ブレーキキャリパの片持ち部分の軸方向の寸法が小さくなる。
【0114】
キャリパ本体ではなくピストンに回転防止を組み込むことが可能であり、その結果、寸法がさらに小さくなる。
【0115】
フローティングブレーキキャリパの場合でも、モノブロックキャリパボディを作ることが可能である。
【0116】
ブレーキキャリパは、ブレーキディスクの単一の軸側から取り付けることができる。
【0117】
マスクされたボリュームを使用して、外形寸法に影響を与えるセンサをプリロードできる。
【0118】
これにより、センサコンポーネントの取り外しのための、とりわけ電気接点の管理のための、トランスミッションスクリューの機械的レイアウトを簡素化できる。
【0119】
当業者は、上記の実施形態に多くの変更および適合を行うことができるか、または添付の特許請求の範囲から逸脱することなく、偶発的なニーズを満たすために機能的に同等である他の要素に置き換えることができる。
【符号の説明】
【0120】
1:ブレーキキャリパ
2:ディスクブレーキシステム(ディスクブレーキ)
3:ディスクブレーキディスク
4:キャリパ本体
5:キャリパ本体の第1の細長い部分
6:ディスクの第1ブレーキ面
7:キャリパ本体の第2の細長い部分
8:ディスクの第2ブレーキ面
9:キャリパ本体ブリッジ
10:第1ブレーキパッド
11:第1ブレーキパッドの摩擦材
12:第1ブレーキパッドの支持プレート
13:第1ブレーキパッドのバックプレート
14:スラスト装置
15:検出装置
16:アクチュエータ
18:ハウジング底壁
19:ハウジング縁
20:第2ブレーキパッド
21:第2ブレーキパッドの摩擦材
22:第2ブレーキパッドの支持プレート
23:第2ブレーキパッドのバックプレート
25:ロードセル
26,26’:接触リッジ(隆起部)
27,27’:接触ストレッチ(伸長)
28:ロードセルの貫通開口
29:旋回リング本体
30:伸縮装置
31:ガイド軸壁
32:スライダ
33,33’、33’’’:シール部材
34:軸方向ガイド対向壁
35:検出装置のシールされたチャンバ
36:スライダ当接面
37:射出装置
38:当接環状本体
40:ビークル又はモータサイクル
41:電気モータ
42:ブレーキキャリパブラケット
43:固定手段
44:スラスト装置ピストン
45:シール
46:調整装置
47:円錐スプリングワッシャ
48:調整ねじステム
49:アバットメント本体
50:調整ねじヘッド
51:フォーク
52:コネクタ
53:カラー
55:片持ちされた軸方向伸張部
56:ホイール
A-A:ディスク回転軸
X-X:軸方向
R-R:半径方向
T-T:接線方向