(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-02-25
(45)【発行日】2025-03-05
(54)【発明の名称】サンプル分析機器の自動品質管理およびスペクトル誤差補正
(51)【国際特許分類】
G01N 27/447 20060101AFI20250226BHJP
G01N 21/64 20060101ALI20250226BHJP
C12M 1/00 20060101ALN20250226BHJP
【FI】
G01N27/447 315K
G01N27/447 325E
G01N21/64 F
G01N27/447 325A
C12M1/00 A
(21)【出願番号】P 2022155145
(22)【出願日】2022-09-28
(62)【分割の表示】P 2019544652の分割
【原出願日】2018-02-16
【審査請求日】2022-10-28
(32)【優先日】2017-02-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2017-02-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】502221282
【氏名又は名称】ライフ テクノロジーズ コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【氏名又は名称】倉澤 伊知郎
(74)【代理人】
【識別番号】100130937
【氏名又は名称】山本 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100144451
【氏名又は名称】鈴木 博子
(74)【代理人】
【識別番号】100123630
【氏名又は名称】渡邊 誠
(72)【発明者】
【氏名】マジュムダル, ニベディタ
(72)【発明者】
【氏名】ジョージ, ウォレス
(72)【発明者】
【氏名】マークス, ジェフリー
(72)【発明者】
【氏名】ジアン, ミン
(72)【発明者】
【氏名】チャン, シルビア
(72)【発明者】
【氏名】ウー, デイビッド
【審査官】黒田 浩一
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-344356(JP,A)
【文献】特開2008-209333(JP,A)
【文献】特表2002-527772(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2006/0070880(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 27/447
G01N 21/64
C12M 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
1種以上の生体分子を含有するサンプルを提供することと、
前記サンプルについてプロセスまたはアッセイを実施することと、
前記プロセスまたはアッセイを実施している間に、検出ゾーン内の前記1種以上の生体分子を検出することと、
検出前または検出中に、前記プロセスまたはアッセイに関連する2つ以上のパラメータについて測定値を測定することと、
前記2つ以上のパラメータの各々に対する1つ以上の測定値に基づいて動作を実施することと、を含む方法であって、
前記2つ以上のパラメータが、前記プロセスまたはアッセイに関連する圧力の検知値を示すパラメータ、前記検出ゾーン内の少なくとも1つの生体分子のスペクトルの検知値を示すパラメータ、前記プロセスまたはアッセイに関連する温度の検知値を示すパラメータ、および前記少なくとも1種の生体分子を運ぶ媒体に関連する電流を示すパラメータのうちの2つ以上を含み、
前記動作が、
警告または条件フラグを設定または送信すること、
警告信号を送信すること、
再サービス信号を送信すること、
実行品質測定基準を提供すること、
色素マトリックス成分を変更すること、
注入パラメータを変更すること、
プロセス呼び出しパラメータを設定すること、
ポストラン分析または補正測定基準を設定または修正すること、
前記プロセスを停止すること、
所定の期間、前記プロセスを一時停止すること、
前記プロセスの状態が所定の量だけ変化するまで前記プロセスを一時停止すること、
1つ以上のキャピラリーをフラッシュすること、
前記プロセスの品質についてユーザーに通知すること、
チェックカートリッジ信号を送信すること、および
実行条件または実行測定基準を変更すること、のうちの少なくとも1つを含む、方法。
【請求項2】
前記2つ以上のパラメータのうちの少なくとも1つの測定値がオフスケール値の所定量内にある場合に、前記動作が実施される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記プロセスまたはアッセイは、キャピラリ、ヒートシンク、バッファー、及びスナウトの少なくとも1つを備えた機器で実行され、
前記2つ以上のパラメータが、
ポリマー温度、
キャピラリー温度、
キャピラリー出口における気流温度、
キャピラリー入口における気流温度、
ヒートシンク温度、
キャピラリーヒーター温度、
バッファー温度、
スナウト温度、
機器の温度、および
レーザーヒートシンク温度、のうちの1つ以上を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記プロセスまたはアッセイは、ポリマーバルブ、バッファーバルブ、及びシリンジの少なくとも1つを備えた機器で実行され、
前記2つ以上のパラメータが、
ポリマーバルブ位置、
ポリマーバルブ圧力、
バッファーバルブ位置、
バッファーバルブ圧力、
シリンジ位置、および
シリンジ圧力、のうちの1つ以上を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記2つ以上のパラメータのうちの少なくとも1つのパラメータが、前記検出ゾーン内で前記1種以上の生体分子を検出する間または前記検出した後に生成される光信号を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記2つ以上のパラメータのうちの少なくとも1つに対応する1つ以上の値を含むデータ構造を提供することと、
検出中または検出した後に、更新されたデータ構造を提供するために、前記1つ以上の測定値に基づいて前記データ構造を修正することと、をさらに含み、
前記動作が前記更新されたデータ構造に基づく、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記データ構造が色素マトリックスである、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記サンプルが様々な長さの生体分子を含み、前記方法が、
前記サンプルを、第1の端部、第2の端部、および前記検出ゾーン内に位置する部分を含む少なくとも1つのキャピラリーに装填することと、
前記第1の端部に電気的に連結された第1の電極、および前記第2の端部に電気的に連結された第2の電極を提供することと、をさらに含み、
プロセスを実施することが、前記第1の電極と前記第2の電極との間に電位を生成することにより、前記サンプル中の前記生体分子を分離することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
1つ以上の生体サンプル分子を含有するサンプル溶液を提供することと、
前記サンプル溶液に対してプロセスまたはアッセイを実施することと、
前記プロセスまたはアッセイを実施している間に、前記1つ以上の生体サンプル分子を検出することと、
検出前または検出中に、第1のシステムパラメータを測定することと、
検出前または検出中に、第2のシステムパラメータを測定することと、
前記第1のシステムパラメータおよび前記第2のシステムパラメータのうちの少なくとも一方の少なくともいくつかの測定値の分析を実施することと、
検出前または検出中に、前記分析に基づいて動作を実施することと、を含み、
前記動作が、
警告または条件フラグを設定または送信すること、
警告信号を送信すること、
再サービス信号を送信すること、
実行品質測定基準を提供すること、
色素マトリックス成分を変更すること、
注入パラメータを変更すること、
プロセス呼び出しパラメータを設定すること、
ポストラン分析または補正測定基準を設定または修正すること、
前記プロセスを停止すること、
所定の期間、前記プロセスを一時停止すること、
前記プロセスの状態が所定の量だけ変化するまで前記プロセスを一時停止すること、
1つ以上のキャピラリーをフラッシュすること、
前記プロセスの品質についてユーザーに通知すること、
チェックカートリッジ信号を送信すること、および
実行条件または実行測定基準を変更すること、のうちの少なくとも1つを含む、方法。
【請求項10】
前記サンプル溶液が、様々な長さの1種以上の生体分子を含み、前記方法が、
前記サンプル溶液を、検出ゾーンを含む前記少なくとも1つのキャピラリーに装填することと、
第1の電極と第2の電極との間に電位を生成することにより、前記少なくとも1つのキャピラリー内の前記生体分子を分離することを含むプロセスを実施することと、
前記検出ゾーン内の少なくとも1種の生体分子を照射することにより生成される第1の光信号を測定することと、
前記少なくとも1種の生体分子が前記検出ゾーンにないときに、前記検出ゾーンを照射することにより生成される第2の光信号を測定することと、
前記第1の光信号に対応する信号対ノイズ比を判定するために、少なくとも前記第1の光信号および前記第2の光信号を使用することと、
検出中、前記信号対ノイズ比に基づいてプロセスパラメータの値を変更することと、をさらに含み、
前記プロセスパラメータが、ポリマー温度、キャピラリー温度、キャピラリー出口における気流温度、キャピラリー入口における気流温度、ヒートシンク温度、キャピラリーヒーター温度、バッファー温度、スナウト温度、機器の温度、およびレーザーヒートシンク温度、のうちの1つ以上を含む、請求項9記載の方法。
【請求項11】
サンプル溶液が、様々な長さの1種以上の生体分子を含み、前記方法が、
前記サンプル溶液を、少なくとも1つのキャピラリーに装填することであって、前記少なくとも1つのキャピラリーが検出ゾーンを含む、装填することと、
第1の電極と第2の電極との間に電位を生成することにより、前記少なくとも1つのキャピラリー内の前記生体分子を分離することを含むプロセスを実施することと、
前記少なくとも1つのキャピラリーを通る電流を測定することと、をさらに含む、請求項9記載の方法。
【請求項12】
複数の測定にわたり、前記少なくとも1つのキャピラリーを通る電流が所定のパターンに一致するかどうかを判定することと、
判定の結果に基づいて動作を実施することと、をさらに含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
検出する間、電流トレースを判定するために、前記少なくとも1つのキャピラリーの電流を経時的に測定することと、
前記電流トレースの分析を実施することと、
前記分析に基づいて動作を実施することと、をさらに含む、請求項11記載の方法。
【請求項14】
前記分析が、前記電流トレースにおける信号ノイズに対応するノイズ測定基準を判定することを含み、さらに、前記分析に基づいて動作を実施することが、前記ノイズ測定基準の値に基づいて動作を実施することを含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記第1のシステムパラメータが圧力を含み、前記第2のシステムパラメータが温度を含む、請求項9に記載の方法。
【請求項16】
前記第2のシステムパラメータが、
ポリマー温度、
キャピラリー温度、
キャピラリー出口における気流温度、
キャピラリー入口における気流温度、
ヒートシンク温度、
キャピラリーヒーター温度、
バッファー温度、
スナウト温度、
機器の温度、および
レーザーヒートシンク温度、のうちの1つ以上を含む、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記実行条件または実行測定基準を変更することが、タイマーを調整すること、電流を調整すること、電圧を調整すること、または色素マトリックスの値を変更すること、のうちの1つ以上を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項18】
前記動作を実施することは、前記プロセス中の複数の異なる時間、所定の範囲外にある値を有するパラメータに基づく、請求項9に記載の方法。
【請求項19】
前記実行条件または前記実行測定基準を変更することが、タイマー、電流、電圧、システムコンポーネントの温度、または前記サンプルの温度のうちの1つ以上を調整することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項20】
前記方法が、機器によって実施された以前のプロセスの履歴データを含む前記機器を使用して実施され、前記動作が、前記測定された1つ以上の値に基づいて前記履歴データを修正することを含む、請求項1~16のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本願は、2017年2月17日に出願された米国仮特許出願第62/460,700号および2017年2月24日に出願された米国仮特許出願第62/463,551号の利益を主張する。これらの上記出願の内容は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本明細書に記載されている様々な実施形態に関連する方法のための例示的なシステムは、以下の出願に記載されているものを含む。
●2014年3月7日に出願された米国特許出願第15/124,013号。
●2014年3月7日に出願された米国特許出願第15/124,129号。
●2014年3月7日に出願された米国特許出願第15/124,168号。
●2017年1月19日に出願された米国意匠特許出願第29/591,445号。
●2017年1月24日に出願された米国意匠特許出願第29/591,865号。
●2017年1月24日に出願された米国意匠特許出願第29/591,867号。
●2017年2月24日に出願された米国仮特許出願第62/463,528号(Thermo Fisher Scientific、Inc.整理番号LT01213PRO)。
●2017年2月24日に提出された米国仮特許出願第62/463,467号(Thermo Fisher Scientific、Inc.整理番号LT01225PRO)。
上記出願の内容は参照により本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0003】
本開示は、一般に、色素標識サンプルを分析する機器に関する。通常、既存の機器はサンプルの実行の結果を分析する。しかし、得られるデータを信頼できなくする可能性のある実行条件に伴う問題は、通常は特定されないか、またはあまりにも遅く特定されるので、サンプルおよび時間が浪費されて、その結果、研究プロセスが長くなる。
【0004】
そのような機器は、色素マトリックスを使用して、入ってくるスペクトルデータを、機器とともに使用可能な特定の色素と相関させてきた。この色素マトリックスは、システムとともに使用可能な各色素についての正規化された期待値を特定する。既存の機器は、通常、目的のサンプルが機器において処理されるシステムの通常の実行時操作を、補完および/または中断して、エンドユーザーが通常実施する特別な較正プロセスを実行することを要求する。例えば、このようなプロセスは、既知の色素をシステムを通して実行し、得られたスペクトルデータを使用してシステムによって使用される色素マトリックスを較正または再較正する、特別な「較正ラン」を要求する場合がある。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
例えば、サンプル実行中または一連の実行の実行間に、サンプル実行または一連のサンプル実行の潜在的な問題をできるだけ早く自動的に検出することにより、研究をより効率的に実施することができる。本発明のいくつかの実施形態は、サンプル実行からの結果の品質に影響を与える可能性のあるパラメータの自動監視を提供し、その後、情報を提供し、および/またはそれらのパラメータの測定に基づいて動作を行う。いくつかの実施形態において、温度および/または圧力パラメータが測定され、しきい値と比較されて、警告が提供されるべきか、および/または動作が行われるべきかを判定する。いくつかの実施形態において、光信号が分析されて、警告が提供されるべきか、および/または動作が行われるべきかを判定する。いくつかの実施形態において、システムデータ構造は、実行中に測定された光信号または他のパラメータに基づいて更新される。次に、更新されたデータ構造が分析されて、警告が提供されるべきか、および/または動作が行われるかを判定する。
【0006】
いくつかの実施形態において、圧力ならびにバルブおよび/またはポンプの位置を含む圧力パラメータは、サンプル溶液を機器の1つ以上のキャピラリーに装填すると測定される。いくつかの実施形態において、測定された圧力パラメータが、圧力に基づいて実行品質が損なわれる可能性があることを示す場合、実行が停止、一時停止し、圧力が増加または減少し、警告信号が送信され、または1つ以上の他の様々な動作が行われる。
【0007】
いくつかの実施形態において、1つ以上の現在のノイズ測定基準は、サンプル実行中の現在の測定に基づいて判定される。いくつかの実施形態において、所定の現在のノイズ測定基準を超える場合、サンプル実行の間に動作が行われる。
【0008】
既存の較正方法が、機器の実行時操作を別途要求することは、ユーザーを混乱させるものであり、生産を低下させる。このことはまた、最適な結果を保証するために十分な頻度で較正が行われないことをもたらす可能性がある本発明の実施形態は、ユーザーが特別な別個の較正の実行を行うことを要求することなく、機器の通常の実行時操作の間のスペクトル誤差の自動補正のための機器、コンピュータシステム、コンピュータプログラム製品、および方法を提供する。言い換えれば、特定の実施形態において、エンドユーザーは、別個の手動スペクトル較正を実施する必要がなく、これをエンドユーザーの観点からは較正がより少ない機器にする。他の実施形態において、別個の実行時較正または実行前較正を実施する必要性は、実行中較正またはスペクトル誤差の他の補正の使用により低減される。
【0009】
本発明の主題の様々な他の態様は、添付の図面とともに以下の説明からより明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の実施形態に従うサンプル分離および識別機器を例解する。
【
図2】
図1の機器においてスペクトル誤差の実行時補正を行うための本発明の実施形態に従う例示的な方法を例解する。
【
図3】
図1の機器においてスペクトル誤差の実行時補正を行うための本発明の実施形態に従う例示的な方法を例解する。
【
図4】本発明の実施形態に従って較正または再較正することができる
図1の機器の例示的な色素マトリックスに対応するデータを例解する。
【
図5】
図1の機器により生成されたスペクトルビンデータの例を例解する。
【
図6】既存の色素マトリックスをスペクトルビンデータに適用して取得された色素データの例を例解する。
【
図7】ある色素の蛍光を別の色素に対してプロットした例示的なクロスプロットデータを例解する。
図3の方法を実施する際に、データを使用してクロストークマトリックスを取得することができる。
【
図8】
図7に例解されたデータなどのクロスプロットデータの外れ値を特定して除去するための例示的な方法を例解する。
【
図9】
図3の方法において既存の色素マトリックスが、さもなくば、利用できない場合に、初期の既存の色素マトリックスとして使用のための内部推定色素マトリックスを生成するための例示的な方法を例解する。
【
図10】
図3の方法において、既存の色素マトリックスがさもなくば利用できない場合に、初期の既存の色素マトリックスとしての使用のための内部推定色素マトリックスを生成する例示的な方法を例解する。
【
図11】本発明の実施形態を実行するための方法を例解する。
【
図12】本発明の実施形態を実行するための方法を例解する。
【
図13】本発明の実施形態を実行するための方法を例解する。
【
図14】本発明の実施形態を実行するための方法を例解する。
【
図15】本発明の実施形態を実行するための方法を例解する。
【
図16】本発明の実施形態を実行するためのコンピュータプログラム製品により構成可能な例示的なコンピュータシステムを例解する。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明を上記の図面を参照して説明したが、図面は例示であることを意図したものであり、他の実施形態は本発明の趣旨と一致し、本発明の範囲内にある。
【0012】
ここで、本明細書の一部を形成し、実施形態を実施する特定の例を例解目的で示す添付の図面を参照して、様々な実施形態が、以下により詳細に説明される。しかし、本明細書は、多くの異なる形態で具体化されてもよく、本明細書に示された実施形態に限定されると解釈されるべきではなく、むしろ、これらの実施形態は、本明細書が徹底的かつ完全であり、本発明の範囲を当業者に完全に伝えるように提供されている。とりわけ、本明細書は、方法またはデバイスとして具体化できる。したがって、本明細書の様々な実施形態のいずれも、完全にハードウェアの実施形態、完全にソフトウェアの実施形態、またはソフトウェアおよびハードウェアの態様を組み合わせた実施形態の形をとることができる。したがって、以下の明細書は、限定的な意味で解釈されるべきではない。
【0013】
以下の説明において、キャピラリー電気泳動のシステムおよび方法の実施形態が利用されて、本発明の実施形態の様々な態様および利点を実証する。そのような実施形態は例として役立つが、限定するものとして解釈されるべきではない。例えば、本発明の実施形態は、目的の様々なタイプの生物学的サンプルまたは分子を検出および/または定量化するための様々な蛍光タグ、色素、および/またはプローブの様々な用途において利用することができる。本発明の実施形態には、キャピラリー電気泳動のシステムまたは方法、CE-SDSのシステムまたは方法、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)のシステムまたは方法、リアルタイムPCRのシステムまたは方法、デジタルPCRのシステムまたは方法、サンガーシーケンシングのシステムまたは方法、パイロシーケンシングのシステムまたは方法、ライゲーションによるシーケンシング用に構成されたシステムまたは方法、次世代シーケンシング(NGS)のシステムまたは方法、質量分析のシステムおよび方法、フローサイトメトリーのシステムおよび方法などのシーケンシングシステムまたは方法、ゲル電気泳動、分光測光のシステムおよび方法が含まれるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態は、サンプル分離のシステムおよび方法に特によく適している。しかし、前述のリストから見ることができるように、本発明のいくつかの実施形態は、サンプル分離のシステムおよび方法、ならびに他のサンプル分析のシステムおよび方法の両方に適用可能である。本発明の実施形態は、核酸分子、DNA分子、RNA分子、タンパク質分子、細胞分子、糖分子、または他の生体分子または有機分子に対するアッセイを処理または実施するためのシステムまたは方法に組み込むことができる。PCRのシステムおよび方法には、非限定的に、アレル特異的PCR、非対称PCR、ライゲーション媒介PCR、マルチプレックスPCR、ネステッドPCR、リアルタイムPCR(qPCR)、ゲノムウォーキング、ブリッジPCR、デジタルPCR(dPCR)などが含まれてもよい。様々な実施形態において、目的の1つ以上のタイプの生物学的要素の処理および検出には、DNA配列(無細胞DNAを含む)、RNA配列、遺伝子、オリゴヌクレオチド、分子、タンパク質、バイオマーカー、細胞(例えば、循環腫瘍細胞)、または他の適切な標的生体分子が含まれるが、これらに限定されない。様々な実施形態において、そのような生物学的要素は、胎児診断、マルチプレックスdPCR、ウイルス検出および定量化標準、遺伝子型判定、シーケンシング検証、変異検出、遺伝子組み換え生物の検出、レアアレル検出、および/またはコピー数バリエーションのような用途において、1つ以上の方法またはシステムとともに使用されてもよい。本明細書に記載される自動スペクトル較正技術のいくつかの実施形態は、ピークであるとして処理されている特定のデータ点を識別することに依存しない。また、いくつかの実施形態は、任意の予想される形状を有する処理されているデータトレースに必ずしも依存しない。このことは、応用を様々なコンテキストまで増強する。
【0014】
図1は、本発明の実施形態に従うサンプル分離および同定機器1000を示す。図示された実施形態において、機器1000はキャピラリー電気泳動(CE)機器である。しかし、本発明の実施形態は、色素標識サンプル上の色素を同定するために光検出器を使用することに依存する他のタイプのサンプル分離および同定機器に対して潜在的に適用可能である。システムは、少なくとも1つのキャピラリーを含むことができるが、これに限定されない。典型的な構成は、1、2、4、8、16、24、48、96、および384のキャピラリーを含む。サンプル分離はまた、ラボオンチップ上などでのゲル電気泳動およびマイクロフルイディクスを使用することを含む、他の手段によっても実行できる。CE機器1000は、キャピラリー101(および一般に別個に示されていない他のキャピラリーを含む)、電圧源102、1つ以上の陰極103、1つ以上の陽極104、サンプル源容器105、サンプル送り先容器106、照明源108、検出システム109、コンピュータプログラム製品111によって構成されるデータ処理システム110、およびディスプレイ112を備える。放射源108は、少なくとも1つのキャピラリー101の検出ゾーン113を照射するように構成される。
【0015】
検出システム136は、キャピラリー101の光学検出ゾーン121からの発光、例えば、標的分子または目的の分子に付着した蛍光色素、プローブ、またはマーカーによって生成される蛍光発光を受容するように構成される検出器を備える。検出器は、フォトダイオード、光電子増倍管、ボロメータ、極低温検出器、量子ドット、発光ダイオード(LED)、半導体検出器、HgCdTe検出器などを含むが、これらに限定されない1つ以上の個別の光検出器を備えてもよい。追加または代替として、検出器は、センサまたはピクセルのアレイを含むアレイセンサを備えてもよい。アレイセンサは、相補型金属酸化物半導体センサ(CMOS)、電荷結合素子(CCD)センサ、複数のフォトダイオード検出器、複数の光電子増倍管などのうちの1つ以上を備えてもよい。特定の実施形態において、検出器138は、2つ以上のアレイセンサを備える。検出システム136は、1つ以上のスペクトル分散素子(例えば、プリズムまたは回折光学素子)をさらに備えてもよく、各分散素子は、キャピラリー101の異なる1つからの発光を検出器の異なる領域に向けるように構成される。スペクトル分散素子は、プリズム、回折光学素子、ホログラフィック光学素子などのうちの1つ以上を備えてもよい。スペクトル分散素子は、反射または透過光学素子を備えてもよい。
【0016】
照明源108は、例えば、白熱灯、ガス放電ランプ(例えば、ハロゲンランプ、キセノンランプ、アルゴンランプ、クリプトンランプなど)、発光ダイオード(LED)、有機LED(OLED)、レーザーなどを含む単一の光源を備えてもよい。あるいは、照明源108は、複数の個別の光源(例えば、複数のLEDまたはレーザー)を備えてもよい。照明源108の光源はまた、ハイパスフィルター、ローパスフィルター、またはバンドパスフィルターなどの1つ以上の励起フィルターを備えてもよい。例えば、励起フィルターは、色付きフィルターおよび/または二色性フィルターであり得る。照明源108は、単一のビームまたは空間的および/または時間的に分離された複数のビームを備えてもよい。照明源108は、主として電磁スペクトルの可視光範囲、近赤外範囲、赤外範囲、および/または紫外範囲内にある電磁放射によって特徴付けられてもよい。
【0017】
機器1000は次のように動作する。様々なサンプルまたはサンプル分子107aを含有するサンプル混合物または溶液107は、サンプル源容器105内で調製されるか、サンプル源容器105に送達される。続いて、サンプル混合物107の少なくとも一部を、例えばポンプもしくはシリンジを使用して、またはキャピラリー101に電荷もしくは電場を印加することにより、キャピラリー101の陰極103端部に装填する。一旦、キャピラリー101の陽極端部に装填されると、電圧源102は、陰極103と陽極104との間に電圧差を生じさせる。電圧差は、負に帯電した色素標識サンプル107aを、サンプル源容器105からサンプル送り先容器106に移動させる。より長いおよび/またはより少ない電荷の色素標識サンプル107aは、より短いおよび/またはより高い電荷の色素標識サンプルよりも遅い速度で移動し、それによって、長さおよび電荷が変化するサンプルの間である程度の分離を作り出す。サンプル107aのそれぞれが照明源108によって生成された励起ビームを通過するにつれて、サンプル107aの先頭の要素(先頭の要素は、例えばヌクレオチドであり得る)上の色素は、検出器109によって検出される蛍光を示す。検出器109は、検出された蛍光に応答して信号をデータ処理システム110に供給するように連結されている。特に、検出器109は、検出器109によってスキャンされる様々な波長で受信される光の強度に対応して、信号を処理システム100に渡す。コンピュータプログラム製品111は、受信したスペクトルデータを処理するようにデータ処理システム110を構成し、例えばCE機器1000の実行時の間に、機器1000を較正してスペクトル誤差を補正してもよい。特定の実施形態において、機器1000のユーザーベースの較正を実施するために、ユーザーがサンプルの実行を停止する必要なく、較正が実施されてもよい。補正は自動であるとみなされてもよく、および/またはシステムはスペクトル誤差に関して自己補正しているとみなされてもよい。いくつかの実施形態において、較正は、定期的なサンプルの実行の後および/またはその実行の間に実施されてもよい。
【0018】
特定の実施形態において、システム1000は、ポリマーまたはポリマー溶液123を含有するポリマーリザーバ122、ポリマーバルブ125、およびポリマーリザーバ122からポリマー123を受け取るかまたは引き出し、そして、ポリマー123をキャピラリー101にポンプ輸送または装填するように構成されたポンプ128(例えば、シリンジ)を備える送達システム120を備える。送達システム120は、緩衝液132を含有する緩衝液リザーバ130およびバッファーバルブ135をさらに備える。図示された実施形態において、緩衝液リザーバは、1つ以上の陽極104を備える。特定の実施形態において、送達システム120の構成要素のすべてまたは一部は、キャピラリー101をさらに備えてもよいカセットまたはカートリッジの一部である。カセットまたはカートリッジはまた、1つ以上の陰極103(例えば、複数のキャピラリー101のそれぞれに対して1つの陰極103)を備えてもよい。
【0019】
特定の実施形態において、システム1000が使用されて、キャピラリー電気泳動のアッセイ、実験、またはプロセスを実施する方法を実施してもよい。このような方法の例には、以下のステップが含まれる。
●キャピラリー101の陰極103端部を、洗浄/廃棄物緩衝液141を含有する洗浄/廃棄物緩衝液容器140に配置する。
●バッファーバルブ135を閉じ、ポリマーバルブ125を開く。
●ポリマー溶液123をポリマーリザーバ122からシリンジ128に吸引(引き出し)する。
●ポリマーバルブ125を閉じる(バッファーバルブ135は閉じたままである)。
●シリンジ128を使用してポリマー123をキャピラリー101に分配(送達)する。
●キャピラリー101の陰極103端をサンプル源容器105に配置する。
●陰極103から陽極104への電流の流れを誘導することにより、キャピラリー101の陰極103端にサンプル溶液107の少なくとも一部を引き込む(動電学的注入と呼ばれる)。
●キャピラリー101の陰極103端を、実行バッファー溶液146を含む実行バッファー容器145に配置する。
●バッファーバルブ135を開いて、陽極104とキャピラリー101との間に電気的結合を提供する(ポリマーバルブ125は閉じたままである)。
●キャピラリー電気泳動アッセイを実行する。
●キャピラリー101の陰極103端を洗浄/廃棄バッファー容器140に配置する。
●バッファーバルブ135を閉じる。
●任意にポリマーバルブ125を開く。
●任意に、ポリマーリザーバ122からシリンジ128にポリマー溶液123を吸引(引き出し)する。
●ポリマーバルブ125が開いている場合は、任意に閉じる。
●シリンジ128を使用して、キャピラリー101にポリマー123を分配(送達)することにより、キャピラリー101を清掃する。
●新しいCEアッセイについて上記の手順を繰り返す。
【0020】
本明細書で言及される「スペクトル誤差」を補正することは、スペクトルクロストーク誤差としてもまた知られる、プルアップ/プルダウン誤差を除去することを指す。さらに、本明細書で言及されるスペクトル誤差は、同じキャピラリー内の色素間誤差と、異なるキャピラリー内の色素間誤差のいずれかまたは両方を含む。後者は、時折、「キャップツーキャップ」または「空間」誤差と呼ばれることもある。しかし、説明を簡単にするために、「スペクトル誤差」という語句は、同じキャピラリー内の色素間誤差と同様に、異なるキャピラリー間のこのような「キャップツーキャップ」誤差を含めるために十分に広いとみなされる。本明細書に記載の様々な実施形態によって補正されるスペクトル誤差は、サンプル、シーケンシング、実行条件(温度、電流、電圧)、ポリマー、その他の試薬、汚染、酸性度など、および/またはその他の要因の1つ以上によって引き起こされる可能性がある。
【0021】
図2は、
図1に示される機器1000のデータ処理システム110によって実行される例示的な方法2000を例解する。方法2000は、本発明の一実施形態に従うものである。方法2000は、機器1000のスペクトル誤差の実行時補正を実施し、サンプル分離機器1000を通して目的の色素標識サンプルの実行時処理から取得したデータを取得する。本明細書で使用される「実行時処理」は、機器1000によって分析される目的のサンプルの処理を指す。これは、分析されるべき目的のサンプルの通常の実行時処理とは別の実行において色素マトリックスを較正または再較正するために、特別な色素およびピーク到着特性を持つ特定の較正色素サンプルが機器を通して実行される、先行技術の機器の個別の較正実行とは対照的である。本発明の実施形態は、ユーザーが較正目的のために特別な別個の実行を実施する必要なしに、実行時の間にスペクトル誤差を補正する。
【0022】
方法2000は、ステップ201において開始する。ステップ202は、実行時処理を実施して、機器1000による色素標識サンプルの実行時処理から得られたスペクトルデータに基づいてスペクトル誤差補正値を判定する。本明細書で言及される「スペクトル誤差補正値」は、直接測定されたスペクトル誤差値と、直接測定されたスペクトル誤差と何らかの相関を有するスペクトル誤差値のプロキシのいずれかまたは両方を含む。ステップ203は、追加の実行時処理を実施して、スペクトル誤差補正値を使用して補正関数を適用し、スペクトル誤差の十分な除去を反映しても反映しなくてもよい補正スペクトルデータを取得する。ステップ204は、補正されたスペクトルデータを分析して、第1のスペクトルデータおよび/またはスペクトル誤差低減のための適用可能な判断基準に対する補正されたスペクトルデータのスペクトル誤差を判定する。ステップ205は、補正されたスペクトルデータにおいてスペクトル誤差が十分に低減されたかどうかを判定する。はいの場合、方法2000は、ステップ207で終了する。いいえの場合、ステップ206は、補正スペクトルデータを使用して追加の実行時処理を実施して、追加のスペクトル誤差補正値を取得し、プロセスはステップ203に戻って、補正関数を適用するさらなる処理を実施し、今回は、ステップ206において得られた、追加のスペクトル誤差補正値を使用して、追加の補正スペクトルデータを取得する。いくつかの実施形態において、ステップ206、203、および204などのステップは、所望の反復の最大数に達するか、スペクトル誤差が指定されたレベルに低減するまで反復を継続することができる。いくつかの実施形態において、スペクトル誤差の低減に関する不確実性レベルが特定のしきい値を下回ることも必要になる場合がある(このしきい値は、多数の反復後に取得されたスペクトルデータの測定誤差の絶対レベルに応じて変動する可能性がある)。
【0023】
方法2000の処理を実施するために、様々な特定の方法を採用してもよい。一実施形態は、1つの色素(「一次色素」)の(正または負)部分を取り、スペクトル誤差またはスペクトル誤差の適切なプロキシが最小化されるまで、それを別の色素(「二次色素」)に追加する。様々な色素トレース順列について、スペクトル誤差またはスペクトル誤差の適切なプロキシが最小化される。この最小化手順は、グローバルスペクトル誤差またはスペクトル誤差の適切なプロキシの最小化が停止するまで、色素トレース順列の各グループに対して反復できる。この反復プロセスは、スペクトル誤差が最小化された色素トレースを生じる。
【0024】
スペクトル誤差の適切なプロキシは、色素データ内の色素間の相互相関、直接測定されたスペクトル誤差と何らかの相関を有するスペクトル誤差値、相互「エネルギー」(例えば、1つの色素トレースと他の色素トレースの積)、スケーリングされた相互「エネルギー」(例えば、適切にスケーリングされた色素トレースと他の色素トレースの積)などであり得る。スケーリングされた相互エネルギーを形成するために使用される色素トレースのいくつかのスケーリング係数は、各トレース内の最大値、各トレース内の最大値の出力(1または0.5などの小数の出力よりも大きい)、トレース内の標準偏差などであり得る。とりわけ、色素トレース間のピーク(各色素標識サンプル、例えば色素標識DNAフラグメントに関連する)間のオーバーラップ量が少ない場合に、スペクトル誤差がゼロになる傾向があるため、このようなクロスエネルギーまたはスケーリングされたクロスエネルギーは、特に最小になる傾向がある。
【0025】
スペクトル誤差を直接測定/推定する、またはスペクトル誤差のプロキシとして作用する利用された方法は、色素トレースピークの重なりの効果に対して実質的に影響を受けないことが好ましい。このアプローチにおいて、適切なアルゴリズム(線形または非線形、制約付きまたは制約なし、および/またはローカルまたはグローバル)最適化手法、および/または深層学習またはより一般的な機械学習技術を使用して、一次色素および二次色素の順列ごとに、正または負の割合を判定できる。このアプローチにおいて、さらなる色素マトリックスを明示的に使用することなく、スペクトル誤差は色素トレースから直接除去される。
【0026】
スペクトル誤差を除去することに対する別のアプローチは、最適化手法を使用して機器の色素マトリックス(DM)の要素を修正して、その結果、スペクトル誤差またはスペクトル誤差の適切なプロキシが最小化されることを含む。色素マトリックスは、各色素の正規化された色素スペクトルを行として、スペクトルビン番号を列として有するマトリックスである。各行は、通常、最大値が1になるように正規化される。
【0027】
いくつかの実施形態において、以下の手順が使用されて、色素マトリックス(DM)が与えられたスペクトルスキャンデータ(scanData)から色素データ(dyeData)を取得できる(マトリックス乗算を示すために*を使用する)。
dyeData=scanData*inv(DM)
式中:
dyeData=色素データ、マトリックス次元はnumScans x numDyesであり、
scanData=スペクトルビンデータ、マトリックス次元はnumScans x numBinsであり、
DM=色素マトリックス、マトリックス次元はnumDyes x numBinsであり、
inv(DM)は、色素マトリックスの逆マトリックスを指し、寸法はnumBins x numDyesであり(ここで使用されるように、色素マトリックスの逆は、逆または疑似逆を意味し得ることに留意のこと)、
およびnumScans=スキャンの数、
numDyes=色素の数、
numBins=スペクトルビンの数である。
【0028】
このアプローチにおいては、デフォルトの色素マトリックスまたは以前の色素マトリックスの較正/補正からの色素マトリックスが、初期開始色素マトリックスを提供する。このデフォルトの色素マトリックスまたは以前の色素マトリックスの較正/補正からの色素マトリックスは、推定色素マトリックス(EDM)と呼ばれる。次いで、色素マトリックスの要素は、スペクトル誤差またはスペクトル誤差の適切なプロキシを最小化するように最適化プロセスを使用して調整される。プロキシを計算することは、通常、スペクトル誤差を直接近似するよりも安価であるため、このプロセスは、スペクトル誤差のプロキシ(すなわち、スペクトル誤差と合理的に相関する任意の値)を使用して好ましく適用される。改良版は、最初に色素マトリックス上で特異値分解(svd)を実施して、(numDyes x numDyes)左固有ベクトル、(numDyes x numBins)対角行列、および(numBins x numBins)右固有ベクトルの積に分解することを含む。通常、numDyes<numBinsであるため、対角行列の最初のnumDyes x numDyesサブ行列のみが意味を有する。結果として、このnumDyes x numDyesサブマトリックスの要素を修正することのみによって、最適化プロセスの費用を削減できる。このプロセスは反復的であるので、反復最適化プロセスの様々な段階でsvdが再実行される。色素マトリックスの要素は1~0の間に制約されるので、制約付き最適化プロセスを使用することが好ましい。
【0029】
本発明の実施形態は、主として、色素データにおけるスペクトル誤差(すなわち、キャピラリー内の色素対色素またはキャップ対キャップ/空間誤差)について補正する文脈で説明される。しかし、高次導関数に対応する追加の誤差もまた修正される可能性がある。色素におけるスペクトル誤差は、目的の色素標識サンプル(例えば、DNAフラグメント)に関連するメイン色素ピークの正または負の割合倍数である。これはゼロ次誤差と考えることができる。
【0030】
一次微分(一次導関数)誤差、すなわち、一次スペクトル誤差または正弦波状スペクトル誤差、SSSE-は、色素標識DNAフラグメントが有限速度で光学観測点を通過しているので発生するドップラースペクトルシフトの結果である。これは、光学システムによって記録された色素スペクトルにスペクトルシフトを生じる。これは、色素標識DNAフラグメントに関連付けられたピークのほぼ一次微分(一次導関数)であるメイン色素トレースの外側の色素トレースにおけるスペクトル誤差をもたらす。他の一次スペクトル誤差を生じる、他の供給源(光学、化学、電気、機械/振動など)が存在する可能性がある。メインの色素ピークが最大の場合、この誤差は最小値/ゼロを有し、反対符号の側面の最大値および最小値が最小値のいずれかの側で発生することに留意されたい。
【0031】
二次微分(二次導関数)誤差、これは、一次微分(一次導関数)誤差源の結合相互作用から、または、より一般的には、一次誤差源に対するテイラー級数誤差補正項として生じる。メイン色素ピークが最大の場合、この誤差は絶対最大値を有し、同じ符号の側面の最大値または最小値が最大値のいずれかの側で発生することに留意されたい。メインの色素ピークが最大の場合、この誤差が絶対最大値を有するという事実(0次誤差と同じ)は、二次誤差が顕著である場合、0次誤差の説明が困難になる可能性がある。
【0032】
通常、三次およびより高次の微分誤差は、現実世界のシステムのノイズに比べて小さいはずである。しかし、必要であれば、このアプローチをより高次の誤差にまで一般化できることを当業者は認識するであろう。
【0033】
いくつかの実施形態において、ステップ203において適用される補正関数は、必要に応じて、より長いフラグメント(例えば、DNAフラグメント)の一部である色素標識サンプルのスペクトルのわずかな変化を反映するためにスキャン番号に基づいて修正される。一般に、より長いフラグメントの一部であるサンプルは、サンプル実行の後半に到着するため、より後のスキャン番号に関連付けられる。したがって、同じ色素標識DNA文字は、実行の後半(長いフラグメントの一部)に到着した場合、より早く到着した場合(短いフラグメントの一部)に対して、わずかに異なるスペクトルを有する可能性がある。この効果を説明するために補正関数を変動させることの1つの例は、スキャン番号に基づいて色素マトリックスにバリエーションを適用することである。このバリエーションは、一般に一次線形であるので(おそらく最大でも二次の項を有する)、色素マトリックスを見出す際に、このスペクトルのバリエーションの一次(または二次)線形モデルを含めることができる。結果として、この適応型色素マトリックス補正の場合において、色素マトリックスは次のように記述することができる。
DM(scanNum)=DM0+DM1*scanNumber
または:
DM(scanNum)=DM0+DM1*scanNumber+DM2*scanNumber^2
式中:
DM(scanNumber)は、スキャン番号scanNumberの色素マトリックスであり、
DM0は、色素マトリックスの定数部分であり(以前の仮定と同様)、
DM1は、スキャン番号(適切な線形回帰から取得)に基づいた色素マトリックスの一次線形変動項を表すマトリックスであり、
そして、必要に応じて:
DM2は、スキャン番号(適切な線形回帰から取得された)に基づいた色素マトリックスの二次線形変動項を表すマトリックスである。
【0034】
当業者は、このような高次誤差が有意であると判明した場合、このアプローチが高次誤差に一般化できることを認識するであろう。色素のスペクトルが変化しない場合、DM1およびDM2のすべての要素は、完全に同じようにゼロになる。一般に、DM1およびDM2の最大値は1に比べて小さい。それらは正または負であり得る。
【0035】
図3は、本発明の特定の実施形態に従う、
図1に示される機器1000のデータ処理システム110によって実行される例示的な方法3000を例解する。方法3000は、
図2の方法2000を実装する1つの特定の方法を例解しているが、
図2に例解されている方法の多くの可能な特定の実装の1つのみを表している。方法3000は、実行時の間に機器の色素マトリックスを較正および/または再較正して、機器の色素マトリックスによって生成された色素データのスペクトル誤差を減らすことに依存している。方法3000は、ステップ301において開始する。ステップ302は、機器1000の以前の較正から既存の色素マトリックス(「EDM」)が利用可能かどうかを判定する。はいの場合、方法はステップ304に進む。いいえの場合、ステップ303は、EDMとして使用される内部推定色素マトリックス(「IEDM」)を判定する。以前の較正からの色素マトリックスが利用可能でない場合にIEDMを生成するための実施形態を示すさらなる詳細は、
図9~10の文脈において以下に示され説明される。
【0036】
ステップ304は、機器の実行時動作の間(すなわち、分析のために目的の色素標識サンプルを処理するとき)、EDMを使用してスペクトルビンデータを既存の色素データに変換する。以下でさらに詳細に説明されるように、4色素EDMに対応する例示的なデータが
図4おいて例解され、例示的なスペクトルビンデータが
図5に例解され、例示的な既存の色素データが
図6に例解される。ステップ304は、スペクトルビンデータにEDMの逆数を乗じて、既存の色素データを取得する。
【0037】
ステップ305は、ステップ304で判定された既存の色素データから既存のクロストークマトリックスを判定する。既存のクロストークマトリックスは、各2色素の組み合わせの強度測定値間の関連性に対応する値を含む。一実施形態において、これらの値は、
図7に例解されるクロスプロットの文脈においてさらに説明されるように、ある色素の強度対別の色素の強度をプロットする回帰直線フィッティングデータの勾配を判定することにより取得される。4色素データにおいて、クロストークマトリックスは、12の回帰値を有し、すなわち、2つの色素の可能な秩序立った組み合わせごとに1つである。各回帰値(回帰直線の勾配)は対応する標準偏差を有し、これは、2つの関連する色素のクロスプロットデータが回帰直線にどの程度厳密にまたは緩やかに適合するかを測定する。好ましい実施形態において、クロスプロットデータから外れ値を除去した後に、最終回帰値(クロスプロットマトリックスを判定するために使用)および対応する標準偏差(以下に説明するようなDQを評価するために使用)が判定される。
【0038】
ステップ306は、既存のクロストークマトリックスについてのデコンボリューション品質(DQ)値を判定する。この例において、DQは、ステップ305で判定された2つの色素間の最大クロストーク値(回帰直線の勾配)であると判定される。
【0039】
ステップ307は、既存のクロストーク行列を使用して、アイデンティティマトリックスを既存のクロストークマトリックス(ゼロ対角値を有する)に追加し、次いで、結果にEDMを乗算することによって、候補最適化色素マトリックス(CODM)を判定する。次に、ステップ308は、CODMを使用してスペクトルビンデータを候補色素データに変換する。
【0040】
ステップ309は、(1)関連するクロスプロットデータの回帰直線の勾配により判定されるクロストーク、プラス(2)クロスプロットデータの関連する標準偏差の指定された割合の合計によって与えられる、任意の2色素の組み合わせについての最大値として、CODMについての強化DQ値(「eDQ」)を判定する。したがって、一実施形態において、ステップ309は、可能な各2色素クロスプロットについての回帰直線の勾配および標準偏差を判定し、回帰直線の勾配に関連する標準偏差の割合を乗算することによって、各2色素順序対の候補eDQ値を計算し、次いで、CODMについてのeDQとして最高の候補eDQを選択する。好ましい実施形態において、関連する標準偏差に乗算される特定の割合は、約0.015のオーダーである。代替的な実施形態において、他の特定の画分を使用することができる。ステップ305と同様に、ステップ309は、好ましくは、対応する回帰直線および標準偏差を計算する前に、関連するクロスプロットから外れ値を除去する。
【0041】
ステップ310は、現在のCODMのeDQが、以前の反復のeDQのeDQよりも低いかどうかを判定する。いいえの場合、以前のCODMは、潜在的に最高の候補最適化色素マトリックス(「BCODM」)として保持され、この方法はステップ314に進む。ステップ310の結果がはいである場合、ステップ311は、以前の反復のCODMを破棄し、現在のCODMを現在の潜在的なBCODMとして保持する。次に、ステップ313は、BCODMの強化されたDQが所定の性能特性内にあるかどうかを判定する。言い換えれば、ステップ313は、最大クロストークが、十分な確実性の程度を伴って、指定値以下であるかどうかを判定する。ステップ313の結果がいいえである場合、ステップ314は、所定の最大反復回数が完了したかどうかを判定する。
【0042】
ステップ313またはステップ314のいずれかの結果がはいである場合、この方法はステップ316に進む。ステップ316は、現在のBCODMのeDQが、EDMのDQより小さいかどうかを判定する。ステップ316の結果がはいである場合、ステップ317は、EDMを現在のBCODMで置き換え、現在のBCODMは、目的の色素標識サンプルから取得されたスペクトルデータを色素データに変換するために使用される新しいEDMになる。ステップ316の結果がいいえである場合、ステップ318は現在のEDMを現在のBCODMで置き換えず、システムは引き続き同じEDMを使用して、目的の色素標識サンプルの処理から得られたスペクトルデータを色素データに変換する。ステップ317または318が実行された後、この方法はステップ319で終了する。
【0043】
当業者は、BCODMの上記で定義されたeDQ値をEDMのDQと比較すると、システムが現在のEDMを維持するように偏っていることを理解するであろう。BCODMは、eDQ測定基準を計算する際に関連する標準偏差の使用によって表されるように、BCODMの性能がEDMよりも十分な程度で確実である場合にのみ、現在のEDMを置き換えるために使用される。しかし、代替の実施形態において、現在のEDMを維持することに向けた偏りがより少ないかまたは全くない比較が使用されてもよい。さらに、代替の実施形態において、EDMを使用して取得された色素データのDQ値は、標準誤差測定値を考慮せずにBCODMを使用して得られた色素データのDQ値に対して比較されてもよい。しかし、好ましい実施形態において、DQ値などの性能値に関連する誤差測定基準が、EDMを置き換えるかどうかを判定するために利用される。
【0044】
ステップ314の結果がいいえである場合、この方法はステップ315に進む。ステップ315は、クロストークマトリックスを現在のCODMに適用して次のCODMを取得し、この方法は、ステップ308に戻って次のCODMについてのeDQを計算することにより反復部分を実行する(次いで、これは現在の反復についての新しい現在のCODMになる)。一実施形態において、ステップ315において現在のCODMに適用されるクロストークマトリックスは、現在の(最新の)CODMを機器の光検出器から生成されるスペクトルデータに適用することにより生成される色素データを分析することから得られるクロストークマトリックスである。この実施形態において、たとえステップ310および312において以前のCODMが潜在的なBCODMとして選択されたとしても、現在のCODMが使用される。しかし、代替の実施形態において、異なるクロストークマトリックスが使用され、異なる色素マトリックスに適用されて、ステップ315において、次のCODMを取得することができる。一例を挙げると、クロストークマトリックスは、以前または現在の反復で使用されたクロストークマトリックスの修正版であり得る。例えば、これは、ジッター誘発ノイズなどのノイズをスペクトルクロストーク値の生成元のデータに導入することにより、変更できる。
【0045】
図4は、例示的な既存の色素マトリックスに対応するデータ4000を示している。データ4000は、4つの異なる色素についての20の異なるスペクトルビンに対する正規化された蛍光(垂直軸)をプロットする。プロット線401は、第1の色素(紫色の色素)のデータに対応し、プロット線402は、第2の色素(緑色の色素)のデータに対応し、プロット線403は、第3の色素(黄色の色素)のデータに対応し、プロット線404は、第4の色素(赤色色素)のデータに対応する。プロット線401、402、403、および404は、例示を容易にするのみのために連続して示されている。実際、データそれ自体は離散的であり、各色素は20個の正規化された蛍光値(各ビンについて1つ)を有し、示されている線はそれらのデータ点を接続している。データ4000によって表される既存の色素マトリックスは、
図1の光検出器109が光スペクトル全体の蛍光を経時的に測定する、光スペクトル全体のいくつかのスキャンから生成されるスペクトルビンデータにどの色素が存在するかを識別するために
図1の機器1000によって使用される。
【0046】
図5は、スペクトルビンデータ5000を示している。データ5000は、
図1の機器1000による異なるスキャンについてのいくつかのプロットを含む。プロット501は、スキャン番号3116のデータを表す。プロット504はスキャン番号3132からのデータを表し、プロット508はスキャン番号3148からのデータを表す。当業者は、本明細書に示されるこれらおよび他のデータプロットは単に例示であり、実際のデータに必ずしも対応しないことを理解するであろう。データ5000についてのプロット線は、20のスペクトルビンについてのそれぞれの蛍光(垂直軸、相対蛍光単位-RFUで測定)をプロットする(離散データは、説明を簡単にするのみのために実線で示す)。3つの異なるスキャンからのプロット線が
図5に示されているが、当業者は、データ5000などのスペクトルビンデータが、一般に、図面に示されているよりも多くのスキャンからのデータを含むことを理解する。
【0047】
図6は、既存の色素データ6000を示す。色素データ6000は、トレース601(紫色の色素)、トレース602(緑色の色素)、トレース603(黄色の色素)、およびトレース604(赤色の色素)を含む各色素について1つずつ、4つのトレース(プロット)線で表される。繰り返すが、トレースは、説明を簡単にするだけのために連続線を示しており、根底にあるデータは、個別のデータ点(各スキャン番号について4つのRFU値、すなわち、各色素の蛍光値)で構成される。色素データ6000などの色素データは、スペクトルビンデータに色素マトリックスの逆数を乗算することにより、スペクトルビンデータから取得される。したがって、色素データは、スペクトルデータを特定の色素に関連付ける。
【0048】
データ6000のトレースは、スペクトルクロストークに起因するいくつかのプルアップおよびプルダウン効果を示す。例えば、トレース604に関連付けられた赤色色素信号は、トレース602に関連付けられた緑色色素信号のいくつかの「プルアップ」に関連付けられているように見える。本発明のいくつかの実施形態において、このような「ピークアンダーピーク」データの分析を使用して、スペクトルクロストークが分析できる。例えば、より大きなピークの下の明らかにより小さなピークの振幅は、より大きなピークを伴うトレースにおけるスペクトル誤差の量と相関させることができる。しかし、本発明の他の実施形態は、クロスプロットデータの回帰分析を通して、スペクトルクロストークをより徹底的に説明できることを認識している。回帰分析には、ピーク分析よりも多くの利用可能なデータを使用するという利点がある。
【0049】
図7は、ある色素について別の色素と比較してクロストーク値を判定するために使用できるクロスプロットデータ7000を示す。具体的には、データ7000は、横軸に示されている第1の色素(図では単に識別目的のために「色素3」とラベル付けされている)の蛍光を、縦軸に示されている第2の色素(ラベル色素4とラベル付けされている)の蛍光に対してプロットする。クロスプロットデータ7000は、色素3に対する色素4の顕著な「プルアップ」効果を示すデータグループ701を含む(すなわち、色素4の蛍光が増加するにつれて、色素3の蛍光も増加する)。クロスプロットデータ7000は、色素4に対する色素3のやや穏やかな「プルダウン」効果を示すデータグループ702もまた含む(すなわち、色素3の蛍光が増加するにつれて、色素4の蛍光がわずかに減少する)。
【0050】
本発明の実施形態において、データ7000などのクロスプロットデータセットを使用して、ある色素の蛍光の別の色素に対する効果をプロットするデータについての回帰直線および対応する標準偏差を判定する。データ7000などのクロスプロットデータの回帰分析を通して特定できる2つの色素の蛍光間の相関は、スペクトルクロストークを示す可能性があり、したがって、スペクトル誤差の合理的なプロキシである。回帰直線および標準偏差は、色素データ内の2つの色素の各々順序付けられた組み合わせについてのデータ7000などのクロスプロットデータセットについて判定される。4色素データの状況において、12の一意的な順序付けられた2色素の組み合わせが存在する。得られる回帰直線の12の勾配は、例えば
図3のステップ305によって生成されるような、既存の(または候補の)クロストークマトリックスの値を提供する。各回帰直線からの対応する標準偏差は、判定されたクロストーク数の標準誤差の尺度を提供する。
【0051】
クロスプロットデータ7000は、「外れ値」であることがありそうなデータ点704などのデータ点を含み、このことは、これらが、最終回帰直線および対応する勾配および対応する標準偏差を判定する前に除去されるほど十分に異常であることを意味する。データの特性に依存して、外れ値を削除するか、または外れ値と比較して重みを減らすことは、クロストークマトリックスについてのより有用な回帰値を提供すること、およびDQ値を評価するためにより有用な標準誤差値を提供することにより、性能を改善できる。このことは、候補最適化色素マトリックスの改善を可能にし、候補最適化色素マトリックスを用いて既存の色素マトリックスをいつ更新するかのより適切な判定を可能にする。したがって、いくつかの実施形態において、クロストークの外れ値は、クロストークの測定における使用のために最終回帰直線および対応する勾配(および対応する標準偏差)が判定される前に除去される。
【0052】
あるデータ点、例えばデータ点703は、境界線の外れ値である。それらがそのように識別されるかどうかは、外れ値の識別のために使用される方法、および/またはそれらの方法を使用するときに行われるパラメータ選択に依存する。
【0053】
外れ値を識別するための多くの既知の方法が存在する。既知の方法の1つは、振幅ビニングである。いくつかの実施形態において、二次色素トレース対一次色素トレースの振幅クロスプロットにおけるエッジは、振幅ビニングを利用することにより識別される。一次および二次色素トレースの振幅は、一次色素トレースに関してソートされる。一次および二次色素トレーススキャンの各ペアについては、これは、一次振幅に関してソートされた2列のデータセットを作成する。一次振幅が小さすぎる(つまり、一次値が一次ピークの振幅のある部分よりも小さい)一次および二次色素スキャン値は、セットから除外される。一実施形態において、この割合の好ましい値は約12%である。一次および二次の色素スキャン値の残りのセットは、一次信号のノイズを比較的含んでいないはずである。この残りの振幅ソート値のセットは、一次および二次色素スキャン処理セットとして以下で参照される。
【0054】
次に、一次および二次色素スキャン処理セットは、平均して各ビン内の特定数の色素スキャン値になるように、一次振幅値に基づいて振幅範囲に振幅ビニングされる。いくつかの実施形態において、この数は通常1~8の間である。このビニングの最終的な効果は、ゼロのスキャン値を有する多くのビン、および多くのスキャン値を有する他のビンが存在することである。スキャン値が存在する各ビンについては、そのビンについての二次値を表すために、最低の二次(「エッジ」)値が選択される。この最小の二次値と関連付けられた一次値は、そのビンの一次値を表すために使用される。これらの選択された「エッジ」値は、線形回帰を実行して、一次色素トレースに対する、二次色素トレースの振幅クロスプロットにおける「エッジ」の勾配を取得するために使用される一次値および二次値の新しいペアのセットを作成するために使用される。この勾配は、分数スペクトルクロストークである。
【0055】
この振幅ビニングの主な機能は、通常は重複から生じる多くの外れ値をフィルターで除外することである。重複は、クロストークによって影響されるスペクトル値に到達値を追加するので、各振幅ビンにおいて、最小の二次振幅が正または負のクロストークに関連付けられる。したがって、振幅ビニングは、プライマリピークからセカンダリトレースへのスペクトルクロストークと重複する真の二次到着値に起因する外れ値を排除する傾向がある。
【0056】
このビニングは、計算された勾配の値において小さな統計的な偏りを導入することができることに留意されたい。好ましい実施形態において、この偏りは、クロストークを報告する前に修正される。
【0057】
別のクラスの既知の手法は、一般に堅牢な外れ値フィルタリングとして知られており、回帰分析の間に実施される。例えば、いくつかの既知の堅牢な外れ値フィルタリング方法は、以下の参考文献「A comparison of Preliminary Estimators for Robust Regression」、A.C. Harvey、J.OF THE AMERICAN STATISTICAL ASSOCIATION、Vol.72、1977 Issue 360a、pp.910-913、および「Fast robust regression algorithms for problems with Toeplitz structure」、Nicola Mastronardia、Dianne P. O’Leary,COMPUTATIONAL STATISTICS & DATA ANALYSIS 52(2007)1119-1131に記載されている。これらの堅牢な外れ値のフィルタリング手法には、通常、(1)データに基づいて第1の回帰直線を計算すること、(2)第1の回帰直線からの点の距離に基づいて、各データ点に「回帰重み」で重み付けすること(直線上または直線に非常に近い点は1の重みを有し、直線から遠い点の重みは1未満のわずかな重みを有する)、および(3)所定の「x」値についての「y」値を予測する際に(またはその逆の際に)回帰重みを使用すること、が含まれる。堅牢な外れ値の識別は、複数の反復を含むことができる。また、重みはバイナリにすることができる。例えば、Talwar回帰(上記のMastronardiaおよびO’Learyに記載)では、重みは距離のしきい値に基づいて1または0である。典型的な既知の堅牢な外れ値の方法は、外れ値を識別するために使用される距離パラメータについての推奨デフォルト値を有する。
【0058】
本発明のいくつかの実施形態において、振幅ビニング技術のみを使用して外れ値が識別される。本発明のいくつかの実施形態において、既知の堅牢な外れ値フィルタリング方法を使用して外れ値が識別される。いくつかの実施形態において、既知の方法はTalwar法である。いくつかの実施形態において、振幅ビニングと既知の堅牢な外れ値フィルタリング方法の組み合わせが使用される。しかし、一実施形態は、振幅ビニングを含む外れ値除去技術と、当技術分野で以前に知られていない修正された堅牢な外れ値検出およびフィルタリング方法との組み合わせを使用する。本発明の技術は、本明細書では、適応性の堅牢な外れ値識別およびフィルタリングと呼ばれる。適応性の堅牢な識別およびフィルタリングについては、
図8の状況において以下でさらに説明する。一実施形態において、振幅ビニングが最初にデータに適用され、次に以下でさらに説明する適応性の堅牢な識別およびフィルタリングが、振幅ビニングの適用後に生じるデータに適用される。別の実施形態において、最初に振幅ビニングを使用することなく、適応性の堅牢な識別およびフィルタリングが適用される。
【0059】
図8は、本明細書で適応性の堅牢な外れ値識別およびフィルタリングとして参照される外れ値フィルタリングのための好ましい方法8000を例解する。方法8000は、ステップ801において開始する。ステップ802は、ある色素の蛍光データプロット対、別の色素のデータプロットにおけるデータ点(「第1のデータ点」)を使用して、重み付けのない回帰直線を計算する。ステップ803は、外れ値アルゴリズムを使用することにより、n番目の重み付けデータ点を取得し(このステップについては、n=1で、これは重み付けデータ点の「最初の」セットである)、重み付けのない回帰直線からの距離に基づいて最初のデータ点に、n番目の重み付けのセットを判定および適用する(このステップについては、これは、「最初の重み付けのセット」である)。
【0060】
ステップ804は、n番目(この場合、最初)の重み付けデータ点を使用して、n番目(この場合、最初)の重み付け回帰直線を計算する。ステップ805は、nを増分させ(最初の反復ではnは1から2に増分されるが、nは後続の反復でより大きくなる)、外れ値アルゴリズムを使用することにより、n番目(例えば、最初の反復で2番目)の重み付けデータ点のセットを取得して、n番目の重みのセットを判定し、それらを最初のデータ点に適用する。重みは、(n-1)番目(例えば、ステップ805の最初の反復で、1番目)の重み付け回帰直線からの距離に基づいて判定される。
【0061】
ステップ806は、重み付けされたデータ点のn番目のセットを使用して、n番目の(例えば、最初の反復で、2番目の)重み付けされた回帰直線を判定する。ステップ807は、さらなる反復が示されるかどうかを判定する。807の結果がはいである場合、処理はステップ805に戻り、nは再び増分される(例えば、第2の反復で、nは2から3に増分される)。
【0062】
ステップ807の結果がいいえである場合、ステップ808は、現在の回帰直線の傾きをクロストーク値として使用する。対応する標準偏差を使用して、クロストークマトリックスのDQ値の信頼性を評価できる。それを使用する1つの方法は、例えば、
図3の状況で上記に参照されたeDQ値を判定することであり得る。方法8000は、ステップ809で終了する。
【0063】
様々な既知の外れ値アルゴリズムまたは他の外れ値アルゴリズムは、
図8のステップ803または805において参照される「外れ値アルゴリズム」として使用することができる。外れ値アルゴリズムは、典型的には、外れ値を特定し、および/または潜在的な外れ値の重みを多少積極的に減らすように調整できる設定を有する。言い換えれば、最初の設定は、外れ値として識別されるか、および/または、さもなくばその重みが減少する前に、データ点が回帰直線からより短い距離を有するように要求することにより、「積極的に」外れ値を識別してもよい。一方、2番目の設定は、外れ値と特徴付けられるか、および/または、その重みが減少する前に、データ点の回帰直線からの距離がより長いことを要求することにより、より積極的に、外れ値を識別し/重みを小さくしてもよい。ある外れ値アルゴリズム(例えば、上記で説明したようなもの)は外れ値を識別し、それに応じて削減されたがしかしゼロ以外である重みを割り当てるが、上記に参照されたTalwar方法は、外れ値として識別されたデータ点が、「ゼロ」に効果的に設定されたその重みを有し、このデータセットから識別された外れ値点を完全に削除する、より特定のケースとみなすことができる。
【0064】
図8の方法8000の好ましい実施形態において、ステップ803において外れ値アルゴリズムの第1の設定が使用され、ステップ805の最初の反復またはステップ805の後の反復のいずれかにおいて、より積極的でない異なる設定が使用される。しかし、方法8000のいくつかの実施形態において、全体を通して同じ設定が使用されるか、または外れ値を識別する際の設定の積極性は、必ずしも、高レベルで開始してその後の反復で低下するわけではない。いくつかの実施形態において、ステップ803およびステップ805のすべての反復において同じ外れ値アルゴリズムが使用される。しかしながら、他の実施形態において、異なる反復に対して異なる外れ値アルゴリズムが使用される。
【0065】
図9は、既存の色素マトリックスが以前の較正から他の方法では入手できない場合に、
図3のステップ303の状況において説明された最初の既存の色素マトリックスとして使用される内部推定色素マトリックスを取得するための方法9000を例解する。
【0066】
方法9000はステップ901において開始する。ステップ902は、スペクトルスキャンデータを前処理して、必要に応じて、スパイク、プライマーピーク、レプテーションピーク、および/または他のアーチファクトを除去する。ステップ903は、前処理されたスペクトルデータを使用して、スペクトルスキャンデータに関連付けられた各スペクトルビン内の「エネルギー」についてのプロキシデータを判定する。この状況において、適切なプロキシデータは、各スペクトルについての強度データと合理的に相関する値である。いくつかの実施形態において、値は強度に等しいが、他の実施形態において、値は強度データと単に相関しているのみである。スペクトルエネルギーについてのプロキシデータの一例は、スペクトルデータ(または適切に平均シフトまたはメジアンシフトされたスペクトルデータ)の転置にスペクトルデータ(または適切に平均シフトまたはメジアンシフトされたスペクトルデータ)を乗算することによって取得される。
【0067】
ステップ904は、エネルギープロキシデータを処理して、活性色素の見かけの数を判定する。これは、スペクトルエネルギープロキシのピーク(最大)またはスペクトルエネルギープロキシの2次微分の負のピーク(最小)に関連付けられたスペクトルビンを判定することによって行うことができる。重要な最大値または最小値の数(2次導関数を使用する場合)は、必要に応じて、活性色素の数として識別される。重要な最大値または最小値(2次導関数を使用する場合)は、最大ピークまたは最大負ピーク(2次導関数を使用する場合)の小さいしきい値部分(通常約0.001~0.01)よりも大きい値である。
【0068】
ステップ905は、ステップ904において識別された各活性色素についての近似スペクトルにおいて初期推測を判定する。これは、スペクトルエネルギープロキシにおけるピーク(最大)またはスペクトルエネルギープロキシの2次微分における負のピーク(最小)に関連付けられたスペクトルビンを識別することによって行われる。これらの識別されたビンのそれぞれに関連付けられたスペクトルエネルギープロキシ値は、各色素についてのおよそのスペクトルにおける初期推定値であると取られる。
【0069】
ステップ906は、初期推測値の各スペクトルビンを再スケーリングして、各色素についての近似スペクトルを判定する。再スケーリング係数は、各スペクトルビンの最大エネルギー、またはエネルギープロキシマトリックスの対角線上のエネルギーの累乗である。使用される電力は、典型的には、1である。しかし、必要に応じて他の値を使用できる
【0070】
ステップ907は、それぞれが最大値1を有するように各近似色素スペクトルを正規化することにより、正規化された色素マトリックススペクトルを判定する。これは、各近似色素スペクトルをその最大値で除算することによって行われる(例えば、強度値または他のエネルギープロキシ値をその色素に関連付けられたピーク強度で除算する)。
【0071】
ステップ908は、ステップ907において判定されたマトリックスの各行から正規化されたスペクトルを取り、推定色素マトリックスを形成する。方法9000はステップ909において終了する。
【0072】
図10は、既存の色素マトリックスが他の方法では以前の較正から入手できない場合に、
図3のステップ303の状況において説明されたような初期の既存の色素マトリックスとして使用される内部推定色素マトリックスを取得するためのより詳細な方法10000を例解する。方法10000は、
図9の方法9000を実装する1つの特定の方法を示しているが、
図9に例解されている方法の多くの可能な特定の実装の1つのみを表している。
【0073】
方法10000の場合、次の定義が適用される:「scanData」は、
図3でスペクトルビンデータと呼ばれるものであり、サイズnumScans x numBinsのマトリックスに対応し、ここで、numScansはスキャン番号、numBinsはスペクトルビン数であり、これは、入力データがスペクトル的に離散化されている。このスペクトルデータは、最終的に、次の式により色素マトリックス(DM)を使用して色素データ(dyeData)に変換される。
dyeData=scanData
*inv(DM)(ここで、「
*」は行列の乗算を示す)。
この方程式の代替バリエーションには次のものが含まれる。
dyeData=k
*scanData
*inv(DM)、kは定数の倍数、
dyeData=D
K
*scanData
*inv(DM)であり、ここでD
Kは(異なる色素バランス)定数倍を有する対角行列であり、および色素バランスと色素レベルの偏りのための他の同様のスキームである。
【0074】
ステップ1002は、標準の信号処理技術を使用して、いかなるスパイク、プライマーピーク、レプテーションピーク、およびその他の同様の潜在的な処理アーチファクトが含まれないように、scanDataを前処理/クリーニングする。前処理されたスキャンデータは、「scanDataUse」と呼ばれる。
【0075】
ステップ1003は、次のように定義されたクロススペクトル「エネルギー」データ行列(crossData)を取得する。
crossData=scanDataUseT*scanDataUse
ここで、上付きのTは、行列の転置を示すために使用される(つまり、この場合、scanDataUseの転置にscanDataUseが乗算される)。
【0076】
ステップ1005は、scanDataUseの各スキャンについて、各スペクトルビンに関連付けられたトレースに沿ったすべてのスキャンの中央ウィンドウ平均(または中央ローリングウィンドウ平均)を取得する。言い換えると、ステップ1005は、中心のローリング平均(後述)を取得する。ウィンドウの長さ(ウィンドウ内のスキャン番号)をrollingWinSizeと称する。好ましいシステムにおいて、rollingWinSizeは約264(2×132)である。特定のスキャン番号を中心とした中央ローリングウィンドウ平均は、そのスキャン番号の前のrollingWinSize/2スキャンから、そのスキャン番号の後のrollingWinSize/2スキャンまでのウィンドウ内のすべてのscanDataUse値の平均である。
【0077】
中央のローリングウィンドウ平均は、各スペクトルビンに関連付けられたトレースに沿った局在化された平均値を提供する。各トレースにおけるピークのサイズは、典型的には、開始から終了まで下降傾向にあるという事実を反映するために、各トレースの全体的な平均値ではなく、この局在化された平均が使用される。
【0078】
ステップ1006は、scanDataUseにおける各スキャンについて、そのローリングウィンドウ化平均の一部(ステップ1005で計算)をscanDataUseから差し引く。これにより、わずかに平均調整された(シフトされた)scanDataであるscanDataUseMeanShiftedが作成される。好ましいバージョンにおいて、小部分は約0.0015である。代替的なバージョンにおいて、scanDataUseMeanShiftedは、各トレースの(全体的)平均の減算、各トレースの(グローバル)平均の一部の取得などによっても取得できる。
【0079】
ステップ1007は、以下のように定義されたこの平均シフトデータ(crossDataMeanShifted)のクロススペクトル「エネルギー」を取得する。
crossDataMeanShifted=scanDataUseMeanShiftedT*scanDataUseMeanShifted
【0080】
ステップ1008は、scanDataUseMeanShiftedのスペクトルビントレースのそれぞれにおいて有効な「エネルギー」を含むcrossDataMeanShifted(本明細書では「crossDataDiagMeanShifted」と称する)の対角ベクトルを取得する。
【0081】
ステップ1009は、crossDataDiagMeanShiftedの平滑化された中央化二次導関数を取得し、それが負であると計算する(本明細書では「negDerivs2」と称する)。標準的な数学的技術を使用して、これらの導関数が(前方導関数または後方導関数とは対照的に)中央導関数であることを確認できる。これらの導関数はまた、「平滑化」されて、その結果、例えば、2次導関数を計算するために使用される2次平滑化多項式を計算するために、3つ以上の点(すなわち、ビン)が使用される。これは、20個のスペクトルビンを有するシステム用である。平滑化曲線をnPtsToCalcSmoothingCurveとしての計算するために使用される点の数を参照する。nPtsToCalcSmoothingCurveについての推定値をnPtsToCalcSmoothingCurveEstimateと称する。したがって、約40個のスペクトルビンが存在する場合、nPtsToCalcSmoothingCurveEstimateは5になる。
【0082】
ステップ1010は、例えば標準的なピーク発見アルゴリズム(例えばMATLABのfindpeaks)を使用することにより、NegDerivs2のピークを発見する。ステップ1010は、これらのピークに関連付けられたビン位置をpeakLocs0に規定し、これらのピークに関連付けられた二次微分ピークアンプをpeakAmps0に規定する。crossDataDiagMeanShiftedのピークとは反対に、これらの平滑化された中央化された2次導関数(negDerivs2)のピークに関連付けられたpeakAmps0/peakLocs0を識別および処理することには、エネルギーの小さい/少ない色素に関連付けられたピークが明らかにさせる。
【0083】
一実施形態において、全てのpeakLocs0値は、このスペクトルデータ(scanData。)に関連する色素のセット(色素セット)のスペクトルのピークに関連するスペクトルビン位置として受け入れることができる。
【0084】
しかし、例解された実施形態において、negDerivs2データの平滑性に依存して、peakAmps0値(または絶対値)がしきい値(secondDerivNoiseThresh)を下回っている場合、ステップ1011は、peakLocs0の値の一部およびpeakAmps0の関連値を除外する。好ましい実施形態において、secondDerivNoiseThreshは以下によって与えられる:
secondDerivNoiseThresh=max(peakAmps0)*secondDerivNoiseThreshFraction
ここで、好ましい実施形態において、secondDerivNoiseThreshFractionは1.0e-3のオーダーである。
【0085】
好ましい実施形態において、選択されたpeakLocsおよび関連するpeakAmpsのセットは、それらの関連するpeakAmps0の絶対値がsecondDerivNoiseThresh以上であるpeakLocs0によって与えられる。peakAmpsおよびpeakLocsのセットを作成する他の代替方法には、(絶対値とは反対に)peakAmps0の値、peakAmps0の非ゼロ値などに基づくしきい値設定を含むことができる。
【0086】
次いで、ステップ1012は、peakLocs0およびpeakAmps0の値の選択されたセットを受け入れ、それらの選択されたセットは、本明細書ではpeakLocsおよびpeakAmps0として定義される。選択されたセット内のpeakLocs/peakAmpsの数は、scanDataを作成するために使用された色素セット中にあることが見出された色素の数を表す。
【0087】
例解された好ましい実施形態、好ましいバージョンにおいて、ステップ1013は、peakLocsによって与えられるスペクトルビンに対応するcrossDataの行を取ることによって、非正規化色素マトリックススペクトル(「unNormalizedDyeMatrixSpectra0」)を取得する。代替の実施形態において、非正規化色素マトリックススペクトルは、crossDataMeanShiftedの行を取ることによって取得されるか、またはcrossDataの代わりに、crossDataMeanとcrossDataMeanShiftedの何らかの重み付け組み合わせを使用する。
【0088】
ステップ1014は、unNormalizedDyeMatrixSpectra0の各要素を0.25と5の間の累乗まで上げて、unNormalizedDyeMatrixSpectraを取得する。好ましい実施形態において、累乗は1であり、したがって、好ましい実施形態において:
unNormalizedDyeMatrixSpectra=unNormalizedDyeMatrixSpectra0である。
【0089】
正規化された色素マトリックススペクトル(「normalizedDyeMatrixSpectra」)は、単に色素マトリックス(DM)(例えば、
図3のステップ303においてEDMとして使用するために取得されたIEDM)であり、unNormalizedDyeMatrixSpectra中の各行をその行の最大値によって正規化することによって取得される行である。これは、各行のピーク値が1である典型的な形を有する色素マトリックスを生じる。
【0090】
したがって、既存の色素マトリックスが他に入手できない場合、
図3のステップ303の状況で参照されるように、上記の方法10000が使用されて「EDM」としての使用のためのものを推定することができる。
【0091】
図11は、本発明の一実施形態を実行するための方法11000を例解する。方法11000はステップ1105において開始する。ステップ1110は、機器の1つのキャピラリー(または複数のキャピラリー)を溶液、例えばポリマー溶液で満たす。ステップ1115は、サンプル溶液を機器の1つのキャピラリー(または複数のキャピラリー)にロードする。ステップ1120は、電圧を印加して、機器の1つ以上のキャピラリーの陽極端と陰極端との間に電圧差を生じさせる。ステップ1125は、サンプルの実行が終了したかどうかを判定する。はいの場合、方法はステップ1199で終了する。いいえの場合、ステップ1130は、サンプルが検出ゾーン113を通過している間に検出ゾーン113からの発光を検出する。
【0092】
ステップ1135は、圧力、温度、および光信号のうちの1つ以上を含む1つ以上のシステムパラメータを測定する。いくつかの実施形態において、ポリマーバルブ位置、ポリマーバルブ圧力、バッファーバルブ位置、バッファーバルブ圧力、シリンジ位置、およびシリンジ圧力のうちの1つ以上を検出することにより圧力が検出される。いくつかの実施形態において、シリンジアクチュエータ(または他の関連要素)に加えられる合力が測定され、シリンジ圧力(または他の関連要素の圧力)を表すために使用される。追加的または代替的に、シリンジまたは他の関連要素の圧力は、例えば圧力変換器などを使用して、より直接的に測定されてもよい。いくつかの実施形態において、温度は、ポリマー冷却器温度(ポリマー冷却器は、カートリッジローダーサブシステムの一部であり、
図1には個別には示されていない)、キャピラリー温度、キャピラリー出口における気流温度、キャピラリー入口における気流温度、ヒートシンク温度(例えば、上記のポリマークーラーリファレンスの一部)、キャピラリーヒーター温度、バッファー温度、スナウト温度(スナウトは、検出ゾーン113を
図1の検出システム109に位置合わせするために使用される嵌合要素(図示せず)である)、機器の温度、およびレーザー(または他の照明装置)のヒートシンク温度のうちの1つ以上を検出することにより検出される。いくつかの実施形態において、機器の温度は、機器内の様々な場所で取られ、その後、それらが分析されて、しきい値を超えるかどうかが判定される。
【0093】
ステップ1140は、1つ以上の測定されたパラメータの値が信頼できる結果を得るための許容可能な操作範囲内にあるかどうかを判定する。一実施形態において、パラメータは、オフスケール値の所定量内にある場合、許容可能な操作範囲内にないとみなされる。例えば、測定された光信号のピークがオフスケール値の所定の量内にある場合(例えば、システムによって測定できるRFUの上限)、ステップ1140の結果は「いいえ」であり、パラメータ値は許容可能な操作範囲内にないとみなされる。ステップ1140の結果がはいである場合、この方法はステップ1125に進み、実行が終了したかどうかを判定する。ステップ1140の結果がいいえである場合、この方法はステップ1145に進み、測定されたパラメータ値に基づいて動作を実施する。追加的または代替的に、ステップ1145は、ステップ1125から1140の以前のサイクルで取得されたデータを使用することを含む。以下は、ステップ1140の判定が「いいえ」になる可能性があるパラメータ測定の判定のいくつかの例を示す。
●カートリッジが所定の位置に設定された時間(12分など)の後、ポリマークーラーの温度が設定値外のしきい値を超えている場合
●カートリッジの温度を管理するために使用される、カートリッジ上の気流のキャピラリー入口/出口温度の「いいえ」条件:
○カートリッジの入口における温度が設定温度にない場合、またはその温度の上下の事前に定義されたマージン内にある場合(または、一部の実施形態において、その温度の時間微分が設定量の所定のマージン内にない場合)
○カートリッジ出口における温度が設定温度ではない場合、またはその温度の上下の事前に定義されたマージン内にある場合(または、一部の実施形態において、その温度の時間微分が設定量の所定のマージン内にない場合)
○温度管理システムの入口における温度(または温度の導関数)と温度管理システムの出口における温度(または温度の導関数)の差が設定量よりも大きい場合。
●規定の範囲外の正規化されたキャピラリーヒーター電力
●所定の範囲外の供給電圧
●所定の範囲外のスナウトヒーター温度
●所定の範囲外の内部周囲温度
【0094】
上記の条件のいずれもが、ステップ1140で「いいえ」となるための初期設定(例えば、カートリッジの配置またはその他のセットアップ条件)後の特定の時間経過にさらに依存し得る。ステップ1145において、動作が実行される。ステップ1145で実行される動作の例には、以警告または条件フラグを設定または送信警告信号を送信すること、再サービス信号を送信すること、実行品質測定基準(例えば、緑色のフラグ、黄色のフラグ、赤色のフラグ、および/または実行に関連する特定の数値)を供給すること、色素マトリックス成分を変更すること、注入パラメータを変更すること、ポストラン分析または修正測定基準を設定または変更すること、プロセスを停止すること、所定の期間、プロセスを一時停止すること、プロセスの状態が所定の量だけ変化するまでプロセスを一時停止すること、1つ以上のキャピラリーをフラッシュすること、または、少なくとも2つのパラメータの1つ以上の値を記録することが含まれるが、必ずしもこれらに限定されず、これらの値は、検出の間に記録された分光データを修正または修正するために適している。動作には、前述の動作のいずれかを実行するサブルーチンを呼び出すためのプロセス呼び出しパラメータの設定もまた含まれてもよい。動作にはまた、チェックカートリッジ信号を送信すること、印加された圧力を維持すること、フラグを設定すること、警告信号を送信すること、サービスコール信号を送信すること、チェックカートリッジ信号を送信すること、圧力を下げること、圧力を上げること、容器とポンプとの間のバルブを閉じること、漏れをチェックすること、サンプル溶液の移動を中断すること、または実行条件を変更することが含まれてもよいが、必ずしもこれらに限定されない。動作には、前述の動作のいずれかを行うためのサブルーチンを呼び出すためのプロセス呼び出しパラメータの設定もまた含まれてもよい。実行条件の変更の例には、時間を調整すること、電流または電圧を調整すること、色素マトリックスの値の変更すること、または温度を変更することが含まれるが、必ずしもこれらに限定されない。
【0095】
ステップ1145において動作が実施された後、ステップ1150は、動作が有効であったかどうかを判定する。例えば、実行を継続または再開するのに十分な効果があったか。いいえの場合、ステップ1199は実行を終了する。はいの場合、処理はステップ1125に戻る。場合によっては、動作は単なる警告であってもよく、実行を終了するかどうかを判定するのはユーザー次第である。その場合、警告は単に発生し、例解された処理フローの目的のために、たとえ根底にある問題がさらなる注目に値する場合であっても「有効」とみなされてもよい。
【0096】
図12は、本発明の一実施形態を実行する方法12000を例解する。方法12000はステップ1205において開始する。ステップ1210は、機器の1つのキャピラリー(または複数のキャピラリー)を溶液、例えば、ポリマー溶液で満たす。ステップ1215は、サンプル溶液を機器の1つのキャピラリー(または複数のキャピラリー)にロードする。ステップ1220は、電圧を印加して、機器の1つ以上のキャピラリーの陽極端と陰極端との間に電圧差を作り出す。ステップ1225は、サンプルの実行が終了したかどうかを判定する。はいの場合、方法はステップ1299において終了する。いいえの場合、ステップ1230は、サンプルが検出ゾーン113を通過している間に検出ゾーン113からの発光を検出する。
【0097】
ステップ1235は、経時的に電流を測定する。これは、キャピラリー内またはキャピラリーを横切る1つ以上の位置で連続電流信号を検出することによって達成されてもよい。これはまた、複数の離散時間において複数の電流値を検出することによって達成されてもよい。
【0098】
ステップ1240は、電流値のノイズが所定のしきい値を超えるかどうかを判定する。これは、電流値についてのノイズ測定基準を判定することで実現できる。このような測定基準を判定する1つの方法は次のとおりである:電流値のために最適にフィットする滑らかな線を判定すること、残差(最適フィット線と複数の電流値の間のそれぞれの距離)を判定すること、範囲しきい値および標準偏差しきい値の既定値に対して残差の範囲と標準偏差を評価すること。範囲または標準偏差が所定のしきい値を超える場合、ステップ1245は修正措置を実行する。そうでない場合、処理はステップ1225に戻り、実行の終了であるかどうかを判定する。
【0099】
ステップ1245で動作が実行された後、ステップ1250は動作が有効であったかどうかを判定する。例えば、実行を継続または再開するのに十分な効果があったか。いいえの場合、ステップ1299は実行を終了する。はいの場合、処理はステップ1225に戻る。場合によっては、動作は単なる警告であり、実行を終了するかどうかを判定するのはユーザー次第である。その場合、警告は単に発生し、例解された処理フローの目的のために、たとえ根底にある問題がさらに注目に値する場合でも「有効」とみなされてもよい。
【0100】
図13は、本発明の一実施形態を実行する方法13000を示す。方法13000はステップ1305において開始する。ステップ1310は、機器の1つのキャピラリー(または複数のキャピラリー)を溶液、例えば、ポリマー溶液で満たす。ステップ1315は、サンプル溶液を機器のキャピラリーにロードする。ステップ1320は、電圧を印加して、機器の1つ以上のキャピラリーの陽極端と陰極端との間に電圧差を生じさせる。ステップ1325は、サンプルの実行が終了したかどうかを判定する。はいの場合、方法はステップ1399において終了する。いいえの場合、ステップ1330は、サンプルが検出ゾーン113を通過している間に、検出ゾーン113からの発光を検出する。
【0101】
ステップ1335は、光信号を分析する。ステップ1340は、光信号の分析が、取るべき行動にフラグを立てるかどうかを判定する。例えば、プライマーのピークをスキップして、真のデータの開始が識別される。ピーク幅は、事前に設定されたしきい値と比較される。ピーク高さは、事前に設定されたウィンドウにおいて平均ピーク高さと比較される。一実施形態において、すべての色素にわたって、幅および高さが事前に設定されたしきい値をトリップする場合、フラグが投入される。スパイクが検出されていること、スパイクが頻繁に発生する場合はサポートに連絡すること、および入力サンプルの汚染が原因である可能性があることをユーザーはアドバイスされる。
【0102】
いくつかの実施形態において、分析は、例えば、信号中のデータ点がスケール外であるか、スケール外の所定のマージン内にあるかどうかを分析することを含む。信号値が評価されるか、または現在のシステムが記録できる最大数値を超える場合、そのデータ点はオフスケールとみなされる。特定の数を超えるオフスケールが検出されると、フラグがトリガーされ、ユーザーに注入パラメータ、および/またはサンプル濃度を調整するようにアドバイスする。
【0103】
他の実施形態において、光信号の信号対ノイズ比が分析される。キャピラリー内のデータの信号対ノイズ比が低い場合、注入の失敗、検出されるサンプルがないこと、PCRの失敗、クリーンアップの低下、サンプル濃度の低下、短い注入などのいくつかの問題に関連する可能性がある。信号対ノイズ比(SNR)は、非ピーク領域から推定されたノイズと比較して、実験の特定の点までに見られたデータのピーク領域に見られた信号レベルの中央値を使用して計算される。値が事前設定されたしきい値を超えると、フラグが生成される。ユーザーは、有効なサンプルが検出されないことをアドバイスされる。ユーザーは、サンプル量が所定の量の最小値を満たしていることを確認し、必要に応じて注入パラメータを調整し、失敗が続く場合はテクニカルサポートに連絡するように求められる。
【0104】
いくつかの実施形態において、既存の色素マトリックスがあるかどうか、必要に応じて新しいものを推定できるかどうか、およびスペクトルデータが初期色素マトリックスを推定するために十分な品質であるかどうかが、例えば、
図9~10の状況において上記の手法を使用して判定される。
【0105】
ステップ1340が動作を実施するべきであることが示されていない場合、この方法は1325に戻る。ステップ1340の結果がはいである場合、ステップ1345は動作を起こす。ステップ1345において実行される動作の例には、警告または条件フラグを設定または送信すること、警告信号を送信すること、再サービス信号を送信すること、実行品質測定基準(例えば、緑色のフラグ、黄色のフラグ、赤色のフラグ、および/または実行に関連する特定の数値)を提供すること、色素マトリックス成分を変更すること、注入パラメータを変更すること、ポストラン分析または修正測定基準の設定または変更すること、プロセスを停止すること、所定の期間、プロセスを一時停止すること、プロセスの状態が所定の量だけ変化するまでプロセスを一時停止すること、1つ以上のキャピラリーをフラッシュすること、または、少なくとも2つのパラメータの1つ以上の値を記録することが含まれるが、必ずしもこれらに限定されず、これらの値は、検出の間に記録された分光データを修正または修正するために適している。動作には、前述の動作のいずれかを実行するサブルーチンを呼び出すためのプロセス呼び出しパラメータの設定もまた含まれてもよい。動作には、チェックカートリッジ信号を送信すること、印加された圧力を維持すること、フラグを設定すること、警告信号を送信すること、サービスコール信号を送信すること、チェックカートリッジ信号を送信すること、圧力を下げること、圧力を上げること、容器とポンプとの間のバルブを閉じること、漏れをチェックすること、サンプル溶液の移動を中断すること、または実行条件を変更することもまた含まれるが、必ずしもこれらに限定されない。動作には、前述の動作のいずれかを行うためのサブルーチンを呼び出すためのプロセス呼び出しパラメータを設定することもまた含まれてもよい。実行条件の変更の例には、時間を調整すること、電流または電圧を調整すること、色素マトリックスの値を変更すること、または温度を変更することが含まれるが、必ずしもこれらに限定されない。
【0106】
ステップ1345において動作が実施された後、ステップ1350は動作が有効であったかどうかを判定する。例えば、実行を継続または再開することは十分な効果があったか。いいえの場合、ステップ1399は実行を終了する。はいの場合、処理はステップ1325に戻る。場合によっては、動作は単なる警告であるかもしれず、実行を終了するかどうかを判定するのはユーザー次第である。その場合、警告は単に発生し、例解された処理フローの目的のために、たとえ根底にある問題がさらなる注目に値する場合でも「有効」とみなされる。
【0107】
図14は、本発明の一実施形態を実行するための方法14000を例解する。方法14000はステップ1405において開始する。ステップ1410は、機器の1つのキャピラリー(または複数のキャピラリー)を溶液、例えばポリマー溶液で満たす。ステップ1415は、サンプル溶液を機器のキャピラリー(またはキャピラリー)にロードする。ステップ1420は、電圧を印加して、機器の1つ以上のキャピラリーの陽極端と陰極端との間に電圧差を生じさせる。ステップ1425は、システムデータ構造を呼び出す。システムデータ構造の一例は、より前の図の状況において説明したような色素マトリックスである。
【0108】
ステップ1430は、サンプルの実行が終了したかどうかを判定する。はいの場合、方法はステップ1499において終了する。いいえの場合、ステップ1435は、サンプルが検出ゾーン113を通過している間に検出ゾーン113からの発光を検出する。
【0109】
ステップ1440は、1つ以上のシステムパラメータを測定する。システムパラメータの一例は、サンプル色素データにおける色素スペクトル間のクロストークである。他の例は上記に参照されている。ステップ1445は、システムデータ構造を更新するか、または可能な更新のためにシステムデータ構造を評価する。ステップ1450は、データ構造または更新されたデータ構造を分析する。一例において、データ構造を使用して生成されたデータを分析することによって、データ構造が分析される。一例において、データ構造を使用して生成されたデータは、検出サンプルに対応する色素データであり、データ構造は色素マトリックスである。ステップ1455は、システムデータ構造の分析が取るべき動作にフラグを立てるかどうかを判定する。
【0110】
いくつかの実施形態において、既存の色素マトリックスがあるかどうか、必要に応じて新しいものを推定できるかどうか、およびスペクトルデータが初期色素マトリックスを推定するのに十分な品質であるかどうかを、例えば、
図9-10の状況において、上記の手法を使用して判定される。
【0111】
ステップ1455は動作を実施する必要があることを示していない場合、この方法は1430に戻る。ステップ1455の結果がはいである場合、ステップ1460が動作を起こす。ステップ1460において実行される動作の例には、必ずしもこれらに限定されないが、他の図の状況で説明された動作が含まれる。一例において、動作にはさらにデータ構造の更新が含まれる。別の例において、動作には、システムデータ構造の分析に基づく警告メッセージの送信が含まれてもよい(システムデータ構造を使用して生成されたデータを分析することに基づく可能性がある)。上記のように、他の様々な動作が行われてもよい。ステップ1460において動作が実行された後、ステップ1465は、動作が有効であったかどうかを判定する。例えば、実行を継続または再開するために十分な効果があったか。いいえの場合、ステップ1499は実行を終了させる。はいである場合、処理はステップ1430に戻る。場合によっては、動作は単なる警告であり、実行を終了するかどうかを判定するのはユーザー次第である。その場合、警告は単に発生し、図示された処理フローの目的のために、根底にある問題がさらに注目に値し得る場合でも「有効」とみなされる。
【0112】
図15は、本発明の一実施形態を実行するための方法15000を例解する。方法15000はステップ1505において開始する。ステップ1510は、容器および溶液、例えば、ポリマー溶液を供給する。ステップ1510は、容器内の溶液に圧力を印加することにより、機器の1つ以上のキャピラリーに溶液をロードする。ステップ1520は、1つ以上の圧力値を測定する。いくつかの実施形態において、ポリマーバルブ位置、ポリマーバルブ圧力、バッファーバルブ位置、バッファーバルブ圧力、シリンジ位置、およびシリンジ圧力のうちの1つ以上を検出することにより圧力が検出される。いくつかの実施形態において、シリンジアクチュエータ(または他の関連要素)に加えられる合力が測定され、シリンジ圧力(または他の関連要素の圧力)を表すために使用される。
【0113】
一実施形態において、経時的な1つ以上の圧力値である。これは、連続的な圧力信号を検出することによって達成されてもよい。これはまた、複数の離散時間で複数の圧力値を検出することによって達成されてもよい。
【0114】
ステップ1525は、検出された圧力値を分析する。一実施形態において、分析は、圧力値のノイズが所定のしきい値を超えるかどうかを判定することを含む。これは、圧力値のノイズ測定基準を判定することで達成できる。このような測定基準を判定するための1つの方法は次のとおりである:目的の領域内の圧力値のために最適にフィットする滑らかな線を判定すること(例えば、ポリマーの装填の間)、残差(最適フィット線と複数の電流値のそれぞれの間の距離)を判定すること、およびしきい値の標準偏差に対して残差を評価すること。
【0115】
いくつかの実施形態において、圧力値を分析して、それらが目的の期間(例えば、ポリマー装填の間)を通じて最小要件を超えたままであったかどうかを判定する。
【0116】
圧力パラメータが要件を満たしていない場合(例えば、標準偏差が高すぎる、および/または目的の期間の間、圧力が最小要件を下回っている場合)、ステップ1535で修正動作が実行される。ステップ1535におけるパラメータ値が許容可能である場合、ステップ1598はサンプルの実行に進む。
【0117】
ステップ1535において動作が実行された後、ステップ1540は、動作が有効であったかどうかを判定する。例えば、溶液の装填を再試行するために十分な効果がありましたか。ステップの結果がいいえの場合、ステップ1599は実行を中止する。はいである場合、例解された実施形態において、処理はステップ1515に戻り、ポリマー溶液の装填を再試行する。場合によっては、動作は単なる警告であり、実行を終了するかどうかを判定するのはユーザー次第である。その場合、警告は単に発生し、例解された処理フローの目的のために、たとえ根底にある問題がさらに注目に値する場合でも「有効」とみなされる。しかし、例解されているフローの代わりに、適切な警告が送信されたと判定することの結果は、ステップ1598に進み、サンプルの実行を続行することである。次いで、システムまたはユーザーは、圧力分析または他のパラメータ分析の状況において、サンプル実行が信頼できる結果を提供するために十分な品質であったかどうかを評価できる。
【0118】
本明細書で説明されるシステム、装置、および方法は、プログラム可能なプロセッサによる実行のために、情報記憶媒体、例えば、非一時的な機械可読記憶装置で有形に具現化されるコンピュータプログラム製品を使用して実装され得、そして、
図2、
図3、
図8、
図9、
図10、
図11、
図12、
図13、
図14および/または
図15の方法のステップのうちの1つ以上を含む、本明細書に記載の方法のステップは、そのようなプロセッサによって実行可能な1つ以上のコンピュータプログラムを使用して実装され得る。コンピュータプログラムは、特定の活動を実施したり、または特定の結果をもたらすために、コンピュータにおいて直接または間接的に使用できるコンピュータプログラム命令のセットである。コンピュータプログラムは、コンパイルされまたは解釈された言語を含む、あらゆる形式のプログラミング言語で記述でき、スタンドアロンプログラムとして、またはコンピューティング環境における使用のために適したモジュール、コンポーネント、サブルーチン、またはその他のユニットとして、あらゆる形式で展開できる。
【0119】
図16は、コンピュータシステム16000の例を示しており、その1つ以上は、
図1の機器1000の1つ以上のコンポーネント、例えば(
図1の)データ処理システム110を提供してもよい。コンピュータシステム16000は、コンピュータプログラム製品1660(例えば、これは、
図1の実施形態のコンピュータプログラム製品111であり得る)に含まれる命令コードを実行する。コンピュータプログラム製品1660は、コンピュータシステム16000などの1つ以上のコンピュータに命令して、本明細書で参照される実施形態によって実行される例示的な方法ステップを達成する処理を実行してもよい、電子的に読み取り可能な媒体において実行可能コードを含む。電子的に読み取り可能な媒体は、情報を電子的に保存する任意の非一時的な媒体であり、例えばネットワーク接続を介してローカルまたはリモートでアクセスできる。代替実施形態において、媒体は一時的であってもよい。媒体は、実行可能コードの異なる部分を異なる場所および/または異なる時間に格納するようにそれぞれ構成された複数の地理的に分散した媒体を含んでもよい。電子的に読み取り可能な媒体中の実行可能な命令コードは、例解されたコンピュータシステム16000に、本明細書で説明された様々な例示的なタスクを実行するように指示する。本明細書で説明するタスクを実行することを指示するための実行可能コードは、典型的には、ソフトウェアで実現される。しかし、コンピュータまたは他の電子デバイスは、本発明から逸脱することなく、特定されたタスクの多くまたはすべてを実施するためにハードウェアで実現されるコードを利用できることを当業者は理解する。当業者は、本発明の技術思想および範囲内で例示的な方法を実施する実行可能コードに関する多くの変形形態が見出され得ることを理解する。
【0120】
コンピュータプログラム製品9060に含まれるコードまたはコードのコピーは、プロセッサ1620による実行のための永続的記憶装置1670および/またはメモリ1610の中でのローディングおよび保存のために、システム9000に通信可能に結合された1つ以上のストレージ永続メディア(個別に図示せず)に常駐することができる。コンピュータシステム1600は、I/Oサブシステム1630および周辺機器1640もまた備える。I/Oサブシステム1630、周辺装置1640、プロセッサ1620、メモリ1610、および永続的記憶装置1670は、バス1650を介して接続されている。永続的ストレージデバイス1670およびコンピュータプログラム製品1660を含んでもよい任意の他の永続的ストレージと同様に、メモリ1610は非一時的なメディアである(たとえ典型的な揮発性コンピュータメモリデバイスとして実装されたとしても)。さらに、本明細書で説明する処理を実行するためのコンピュータプログラム製品1660を保存することに加えて、メモリ1610および/または永続的記憶装置1670は、本明細書で参照および例解される様々なデータ要素を保存するように構成できることを当業者は理解する。
【0121】
当業者は、コンピュータシステム16000が、本発明の実施形態に従うコンピュータプログラム製品を実施することができるシステムのほんの一例を例解していることを理解する。代替実施形態の一例を挙げると、本発明の実施形態に従うコンピュータプログラム製品に含まれる命令の実行は、例えば、分散コンピューティングネットワークのコンピュータなどの複数のコンピュータに分散されてもよい。
【0122】
選択された実施形態
実施形態1:方法;プロセッサおよびメモリを備えたシステム;またはプロセッサ実行可能命令(非一時的なコンピュータ読み取り可能媒体にある命令);前述のいずれか1つは、色素標識サンプルについての色素データにおけるスペクトル誤差の自動補正のためのサンプル処理機器とともに使用するためのものであり、この実施形態は、以下を含む処理を実施するように構成されている:サンプル処理機器を通して実施される色素標識サンプルに対応する色素データを生成することであって、この色素データは、第1の色素で標識された第1のサンプルに対応する少なくとも第1の色素データ、および第2の色素で標識された第2のサンプルに対応する第2の色素データを少なくとも含み、第2の色素は第1の色素とは異なる、生成すること、少なくとも第1の色素データおよび第2色素データの非微分値を使用して、第1の色素データのスペクトル誤差と相関する相関データを取得すること、および相関データを使用して補正関数を適用して、補正された色素データを生成すること。
【0123】
実施形態2:補正された色素データのスペクトル誤差の測定値を取得することをさらに含む、処理を実施するように構成されている、実施形態1。
【0124】
実施形態3:補正された色素データのスペクトル誤差がしきい値量だけ第1の色素データのスペクトル誤差よりも低いかどうかを判定することをさらに含む、処理を実施するように構成されている、実施形態2。
【0125】
実施形態4:補正された色素データのスペクトル誤差が、しきい値量だけ第1の色素データのスペクトル誤差よりも低くはない場合、補正関数を調整するかまたは破棄する、実施形態3。
【0126】
実施形態5:補正された色素データのスペクトル誤差の測定値が、補正された色素データのスペクトル誤差と相関する第2の相関データを識別することにより得られる、実施形態2。
【0127】
実施形態6:第2の相関データを使用して補正関数を色素データに適用し、さらに補正された色素データを取得することをさらに含む、処理を実施するように構成されている、実施形態5。
【0128】
実施形態7:さらに補正された色素データが、スペクトル誤差を低減するための特定の性能要件を満たすかどうかを判定することをさらに含む、処理を実施するように構成されている、実施形態6。
【0129】
実施形態8:相関データが、色素標識サンプルを標識するために使用される色素セットに含まれる2つの色素間のクロストーク値を含む、実施形態1。
【0130】
実施形態9:相関データが線形回帰データを含む、実施形態1。
【0131】
実施形態10:線形回帰データが、第2の色素標識サンプルの蛍光に対してプロットされた第1の色素標識サンプルの蛍光を含むクロスプロットデータの線形回帰分析を実施することにより取得される、実施形態9。
【0132】
実施形態11:第1の色素データが、サンプル処理機器を通して色素標識サンプルを実行することから生成されたスペクトルデータに、既存の色素マトリックスを適用することにより取得される、実施形態1。
【0133】
実施形態12:相関データがスペクトルクロストーク値を含み、補正関数がスペクトルクロストーク値の関数に基づいて既存の色素マトリックスを修正することを含む、実施形態11。
【0134】
実施形態13:補正関数が、既存の色素マトリックスの値にスペクトルクロストーク値(またはそれらの値の一部)を加算するか、または、既存の色素マトリックスの値から、スペクトルクロストーク値(またはそれらの値の一部)を減算して、候補最適化色素マトリックスを取得することと、候補最適化色素マトリックスを使用して補正色素データを取得することとを含む、実施形態12。
【0135】
実施形態14:補正関数が、既存の色素マトリックスに対する変化の少なくとも一部を判定するためにランダム化関数を実行することを含む、実施形態11。
【0136】
実施形態15:補正関数は、スペクトルクロストーク値および/またはスペクトルクロストーク標準誤差値の関数に基づき、ランダム化関数の実行に部分的に基づいて、既存の色素マトリックスを修正することを含む、実施形態12。
【0137】
実施形態16:第1の相関値が、色素標識サンプルを標識するために使用される色素セットにおける第1の色素および第2の色素のスペクトルデータを含む、実施形態1。
【0138】
実施形態17:補正関数が、第1の色素および第2の色素のうちの1つについてのスペクトルデータの正または負の割合を、第1の色素および第2の色素のうちの別のものからのスペクトルデータに追加することを含む、実施形態16。
【0139】
実施形態18:サンプル処理補正関数がスキャン番号に基づいて変動する、実施形態1。
【0140】
実施形態19:スキャン番号に基づく補正関数の変動が、色素スペクトル対スキャン番号の線形回帰から取得される一次線形変動項を含む、実施形態18。
【0141】
実施形態20:スキャン番号に基づく補正関数の変動が、色素スペクトル対スキャン番号の線形回帰から取得される二次線形変動項をさらに含む、実施形態19。
【0142】
実施形態21:少なくとも第1の色素データおよび第2の色素データの非微分値を使用することは、そのような非微分値を使用すること、ならびに少なくとも第1の色素データおよび/または第2の色素データの一次および/または高次の微分値を使用することもまた含む、実施形態1。
【0143】
実施形態22:方法;プロセッサおよびメモリを備えたシステム;または、プロセッサ実行可能命令(非一時的なコンピュータ読み取り可能媒体にある命令);前述のいずれか1つは、サンプル処理機器によって処理された色素標識サンプル上の特定の色素の存在を識別する際に使用するためのものであり、この実施形態は、サンプル処理機器の実行時の間に、以下を含む処理を実施するように構成されている:光検出器を使用してスペクトルデータを生成することであって、このスペクトルデータは、光源から光検出器までの光路内の色素標識サンプルに対して経時的に実行される複数の光検出器スキャンのそれぞれについて、様々なスペクトルでの強度測定に対応するスペクトルデータを生成すること;最適化色素マトリックス(ODM)を判定するように構成されたプロセッサにおいてスペクトルデータを受信すること;プロセッサを使用して、実行時の間に少なくとも次の方法によってサンプル処理機器を較正または再較正すること:候補最適化色素マトリックス(CODM)およびスペクトルデータを使用して色素データを生成すること;色素データを使用して、色素標識サンプルの色素間のスペクトルクロストークに対応するスペクトルクロストーク値を判定すること;およびスペクトルクロストーク値およびCODMを使用してODMを判定すること。
【0144】
実施形態23:CODMが既存の色素マトリックスである、実施形態22。
【0145】
実施形態24:CODMが第1のCODMであり、実施形態は、第2のCODMを生成することをさらに含む、処理を実施するように構成されている、実施形態22。
【0146】
実施形態25:さらに、第2のCODMおよびスペクトルデータを使用して色素データを生成することと、第1のCODMを使用して生成された色素データが、第2のCODMを使用して生成された色素データよりもスペクトル誤差が少ないかどうかを判定することとをさらに含む、処理を実施するように構成されている、実施形態24。
【0147】
実施形態26:方法:プロセッサおよびメモリを備えたシステム;または、プロセッサ実行可能命令(非一時的なコンピュータ読み取り可能媒体にある命令);前述のいずれか1つは、複数の蛍光種のうちのある蛍光種で標識された複数のサンプルを処理するサンプル処理機器におけるスペクトル誤差を低減させる際の使用のためのものであり、複数のサンプルが少なくとも第1の蛍光種で標識された第1のサンプルおよび第2の蛍光種で標識された第2のサンプルを含み、この実施形態は、以下を含む処理を実施するように構成されている:サンプルの蛍光種を、励起源を用いて励起し、得られる蛍光を、光学系を用いて検出すること;少なくとも2つの異なる蛍光種の蛍光データからスペクトル誤差を判定すること;補正関数のパラメータ値を判定すること;および補正関数を蛍光に適用して誤差を低減すること。
【0148】
実施形態27:蛍光をモデルと比較することを含む、処理を実施するように構成されている、実施形態26。
【0149】
実施形態28:方法;プロセッサおよびメモリを備えたシステム;または、プロセッサ実行可能命令(非一時的なコンピュータ読み取り可能媒体にある命令);前述のいずれか1つは、複数の蛍光種うちのある蛍光種で標識された複数のサンプルを処理するサンプル処理機器においてプルアップ/ダウンを低減する際に使用するためのものであり、複数のサンプルは、第1の蛍光種で標識された第1のサンプルおよび第2の蛍光種で標識された第2のサンプルを少なくとも含み、この実施形態は、以下を含む処理を実施するように構成されている:サンプルの蛍光種を、励起源を用いて励起すること;得られる蛍光を、光学システムで検出すること;少なくとも第1および第2の蛍光種の蛍光データを使用してプルアップ/ダウンを検出すること;および生成されたデータからプルアップ/ダウンを削除すること。
【0150】
実施形態29:方法;プロセッサおよびメモリを備えたシステム;または、プロセッサ実行可能命令(非一時的なコンピュータ読み取り可能媒体にある命令);前述のいずれか1つは、蛍光種で標識されたサンプルを処理するサンプル処理機器中の蛍光種に関する事前の情報なしで蛍光種を識別する際の使用のためのものであり、この実施形態は、以下を含む処理を実施するように構成されている:励起源を用いてに蛍光種を励起すること;光学システムを用いて蛍光を検出すること、および蛍光種を識別するスペクトルデコンボリューション関数を判定すること;スペクトルデコンボリューション関数を判定することは、以下を含む処理により色素マトリックスを識別する:スペクトルスキャンデータからエネルギープロキシデータを取得すること;およびピーク解析を使用してエネルギープロキシデータを処理し、活性色素の数を判定し、そして特定された各活性色素の近似スペクトルの初期推定値を判定すること。
【0151】
実施形態30:初期推測の各スペクトルビンを再スケーリングすることにより各活性色素についての近似スペクトルを判定することをさらに含む、処理を実施するように構成されている、実施形態29。
【0152】
実施形態31:それぞれが最大値1を有するように各近似色素スペクトルを正規化することにより正規化色素マトリックススペクトルを判定することをさらに含む、処理を実施するように構成されている、実施形態30。
【0153】
実施形態32:方法;プロセッサおよびメモリを備えたシステム;または、プロセッサ実行可能命令(非一時的なコンピュータ読み取り可能媒体にある命令);前述のいずれか1つは、サンプル処理機器によって処理されたサンプルの分析されたトレースからスペクトル誤差を除去する際に使用するためのものであり、複数のサンプルのそれぞれは、複数の蛍光種のうちのある蛍光種で標識され、この複数のサンプルは、第1の蛍光種で標識された第1のサンプルおよび第2の蛍光種で標識された第2のサンプルを少なくとも含み、この実施形態は、以下を含む処理を実施するように構成されている:蛍光種を、励起源を用いて励起すること、蛍光種を、光学系を用いて検出すること;および第1の色素と第2の色素に対応する蛍光データを使用して、蛍光種間のスペクトル誤差を推定すること。
【0154】
実施形態33:方法;プロセッサおよびメモリを備えたシステム;または、プロセッサ実行可能命令(非一時的なコンピュータ読み取り可能媒体にある命令);前述のいずれか1つは、蛍光種で標識されたサンプルを処理するサンプル処理機器において蛍光種を使用する核酸検出における使用のためのものであり、この実施形態は、以下を含む処理を実施するように構成されている:励起源を用いて蛍光種を励起すること、光学システムを用いて蛍光を検出すること;および各蛍光種のスペクトル表示において蛍光種間の誤差を判定すること。
【0155】
実施形態34:サンプル処理機器のサンプル実行操作中に処理が実行される、実施形態1。
【0156】
実施形態35:サンプル処理機器のサンプル実行動作の間に処理が実行される、実施形態1。
【0157】
実施形態36:方法;プロセッサおよびメモリを備えたシステム;または、プロセッサ実行可能命令(非一時的なコンピュータ読み取り可能媒体にある命令);前述のいずれか1つは、サンプル処理機器において色素標識サンプルを処理することにより生成される第1の色素データと第2の色素データとの間の相関を判定する際に使用するためのものであり、第1の色素データは第1の色素で標識された第1のサンプルに対応し、第2の色素データは第2の色素で標識された第2のサンプルに対応し、この実施形態は、以下を含む処理を実施するように構成されている:第1の色素データの蛍光値対第2の色素データの蛍光値のクロスプロットデータのデータ点を含む第1のデータ点についての重み付けのない回帰線を判定すること;外れ値識別アルゴリズムを使用することによって、重み付けデータ点の第1セットを取得して、重みの第1セットを識別して、これを第1のデータ点に適用し、外れ値識別アルゴリズムは、重み付けのない回帰線からの距離に基づいて、重みを第1のデータ点に割り当てる、使用すること;第1の重み付けデータ点を使用して、第1の(n番目の)重み付け回帰直線を判定すること;(n-1)番目の重み付け回帰直線からの第1のデータ点の距離に基づいてn番目の重みのセットを判定する外れ値アルゴリズムを使用して、第1のデータ点にn番目のセットの重みを適用することにより、nを反復して増分させ、重み付けされたデータ点のセットの1つ以上のn番目のセットを判定すること;n番目の重み付け回帰直線の勾配を相関値として使用すること。
【0158】
実施形態37:外れ値アルゴリズムの第1の設定は、重みの第1のセットを判定するために使用され、そして外れ値アルゴリズムの第2の設定は、1つ以上の重みのn番目のセットを判定するために使用され、第1の設定は第2の設定よりも積極的に外れ値を識別する、36の実施形態。
【0159】
実施形態38:方法;プロセッサおよびメモリを備えたシステム;または、プロセッサ実行可能命令(非一時的なコンピュータ読み取り可能媒体にある命令);前述のいずれか1つは、サンプル処理機器によって処理された色素標識サンプルについての色素データにおけるスペクトル誤差の自動補正における使用のためのものであり、この実施形態は、目的の色素標識サンプルが、分析のためのサンプル処理機器によって処理される間に発生する処理を実施するために構成されており、この処理は以下を含む:第1の色素マトリックスを使用して、サンプル処理機器を通過する色素標識サンプルに対応する第1の色素データを生成すること、サンプル処理機器に接続されたメモリおよび/または他のストレージに、第1の色素マトリックスとは異なる更新された色素マトリックスを保存すること、および、更新された色素マトリックスを使用して、サンプル処理機器によって処理された色素標識サンプルに対応する第2の色素データを生成すること。
【0160】
実施形態39:第1の色素データのスペクトル誤差との相関を有する補正値を使用して、更新された色素マトリックスが判定される、実施形態38。
【0161】
実施形態40:方法;プロセッサおよびメモリを備えたシステム;または、プロセッサ実行可能命令(非一時的なコンピュータ読み取り可能媒体にある命令);前述のいずれか1つは、サンプル処理機器によって処理された色素標識サンプルについての色素データにおけるスペクトル誤差の自動補正における使用のためのものであり、この実施形態は、以下を含む処理を実施するために構成されている:電子ディスプレイ上に、サンプル処理機器によって処理された色素標識サンプルに対応する第1の色素データを表示すること、および電子ディスプレイ上に、サンプル処理機器を通過する色素標識サンプルに対応する第2の色素データを表示することであって、第2の色素データは、サンプル処理機器に接続されたプロセッサによって自動的に実行される補正処理の結果として、第1の色素データよりもスペクトル誤差が小さく、補正処理は、第1の色素データの表示と第2の色素データの表示の間に、ユーザーによって実行されることが要求される手動較正ステップなしで実行される、表示すること。
【0162】
実施形態41:方法;プロセッサおよびメモリを備えたシステム;または、プロセッサ実行可能命令(非一時的なコンピュータ読み取り可能媒体にある命令);前述のいずれか1つは、サンプル分離機器のサンプル分離機器を通過する色素標識サンプルについての色素データにおけるスペクトル誤差の自動補正における使用のためのものであり、この実施形態は、以下を含む処理を実施するように構成されている:サンプル分離機器を通過した色素標識サンプルに対応する色素データを生成すること、および補正関数を適用して補正色素データを生成することであって、補正関数の少なくとも1つのパラメータの現在値は、サンプル分離機器を通過する色素標識サンプルの現在の実行中に実行された、色素標識サンプルを分析するための光検出器スキャンの数に対応する現在のスキャン番号に少なくとも部分的に基づいて判定される、生成すること。
【0163】
実施形態42:方法;プロセッサおよびメモリを備えたシステム;または、プロセッサ実行可能命令(非一時的なコンピュータ読み取り可能媒体にある命令);前述のいずれか1つは、サンプル分離機器のサンプル分離機器を通過する色素標識サンプルについての色素データのスペクトル誤差の自動補正における使用のためのものであり、この実施形態は、以下を含む処理を実施するように構成されている:色素マトリックスを使用して、サンプル分離機器を通過する色素標識サンプルに対応する色素データを生成すること;およびサンプル分離機器を通過する色素標識サンプルの現在の実行中に実行された色素標識サンプルを分析するための光検出器スキャンの数に対応する現在のスキャン番号に少なくとも部分的に基づいて色素マトリックスを更新すること。
【0164】
実施形態43:サンプル処理機器が、サンプル分離機器を備える、実施形態1~40のいずれか1つ。
【0165】
実施形態44:サンプル処理機器は、キャピラリー電気泳動機器;CE-SDS機器;ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)機器;リアルタイムPCR機器;デジタルPCR機器;サンガーシーケンシング機器;パイロシーケンシング機器;ライゲーションによるシーケンシング用に構成された機器;次世代シーケンシング(NGS)機器;シーケンシング機器;質量分析機器;フローサイトメトリー機器;ゲル電気泳動機器;分光測光機器;または蛍光分光機器、のうちの少なくとも1つを含む、実施形態1~40のいずれか1つ。
【0166】
実施形態45:色素標識されたサンプルが、核酸分子;DNA分子;RNA分子;タンパク質分子;細胞分子;または糖分子、のうちの少なくとも1つを含む、実施形態1~44のいずれか1つ。
【0167】
実施形態46:色素標識サンプルについての色素データにおけるスペクトル誤差の自動補正における使用のためのシステムであって、サンプル処理機器、プロセッサ;および、上記の実施形態1~45のいずれか1つで参照される処理を実行するための命令でエンコードされたメモリを備える、システム。
【0168】
実施形態47:色素標識サンプルについての色素データにおけるスペクトル誤差の自動補正における使用のためのシステムであって、サンプル分離機器、プロセッサ;および、上記の実施形態1~45のいずれか1つで参照される処理を実行するための命令でエンコードされたメモリを備える、システム。
【0169】
実施形態48:色素標識サンプルについての色素データにおけるスペクトル誤差の自動補正における使用のためのシステムであって、複数のキャピラリーを備えるキャピラリー電気泳動機器、プロセッサ;および、上記の実施形態1~45のいずれか1つで参照される処理を実行するための命令でエンコードされたメモリを備える、システム。
【0170】
実施形態49:1種以上の生体分子を含有するサンプルを提供すること;サンプルに対してプロセスまたはアッセイを実施すること;プロセスまたはアッセイを実行しながら、検出ゾーン内の1種以上の生体分子を検出すること;検出前または検出中に、プロセスまたはアッセイに関連する少なくとも1つのパラメータを測定すること;および、少なくとも1つのパラメータの1つ以上の測定値に基づいて動作を実施することであって、少なくとも1つのパラメータは、検出ゾーン内の少なくとも1つの生体分子のスペクトルの検知値を示すパラメータ、プロセスまたはアッセイに関連する圧力の検知値を示すパラメータ、またはプロセスまたはアッセイに関連する温度の検知値を示すパラメータのうちの1つ以上を含む、実施すること。
【0171】
実施形態49.1:少なくとも1つのパラメータの測定値が所定量のオフスケール値内にある場合に動作が実行される、実施形態49に記載の方法。
【0172】
実施形態49.2:前記少なくとも1つのパラメータは、ポリマー温度;キャピラリー温度;キャピラリー出口における気流温度;キャピラリー入口における気流温度;ヒートシンク温度;キャピラリーヒーター温度;バッファー温度;スナウト温度;機器の温度;およびレーザーヒートシンク温度のうちの1つ以上を含む、実施形態49に記載の方法。
【0173】
実施形態49.3:少なくとも1つのパラメータは、ポリマーバルブ位置;ポリマーバルブ圧力;バッファーバルブ位置;バッファーバルブ圧力;シリンジ位置;およびシリンジ圧力のうちの1つ以上を含む、実施形態49または49.2に記載の方法。
【0174】
実施形態50:少なくとも1つのパラメータは、検出ゾーン内の1種以上の生体分子の検出中または検出後に生成される光信号を含む、実施形態49に記載の方法。
【0175】
実施形態51:少なくとも1つのパラメータの1つ以上の値を含むデータ構造を提供することと、検出中または検出後に、1つ以上の測定値に基づいてデータ構造を変更し、更新されたデータ構造を提供することとをさらに含み、動作は更新されたデータ構造に基づく、実施形態49に記載の方法。
【0176】
実施形態51.1:データ構造が色素マトリックスである、実施形態51に記載の方法。
【0177】
実施形態52:サンプルは様々な長さの生体分子を含み、この方法はさらに以下を含む:第1の端部、第2の端部、および検出ゾーン内に位置する部分を含む少なくとも1つのキャピラリーにサンプルを装填することと、第1の端部に電気的に連結された第1の電極、および第2の端部に電気的に接続された第2の電極とを供給することとを含み、プロセスを予備形成することが、第1の電極と第2の電極との間に電位を生成することにより、サンプル中の生体分子を分離することを含む、実施形態49に記載の方法。
【0178】
実施形態53:少なくとも1つのパラメータは、検出ゾーン内の少なくとも1つの生体分子のスペクトルの検知値を示すパラメータ、少なくとも1つのキャピラリーに関連する圧力の検知値を示すパラメータ、または、少なくとも1つのキャピラリーに関連する温度の検知値を示すパラメータのうちの1つ以上を含む、実施形態52に記載の方法。
【0179】
実施形態54:動作が、以下:警告または条件フラグを設定または送信すること;警告信号を送信すること;再サービス信号を送信すること;実行品質測定基準を提供すること;色素マトリックス成分を変更すること;注入パラメータを変更すること;プロセス呼び出しパラメータを設定すること;ポストラン分析または修正測定基準を設定または変更すること;プロセスを停止すること;所定の期間、プロセスを一時停止すること;プロセスの状態が所定の量だけ変化するまでプロセスを一時停止すること;1つ以上のキャピラリーをフラッシュすること;または検出中に記録された分光データを修正または変更するために適している値である、少なくとも2つのパラメータのうちの1つ以上の値を記録すること;チェックカートリッジ信号を送信すること;および実行条件または実行測定基準を変更すること、のうちの少なくとも1つを含む、実施形態49~53のいずれか1つに記載の方法。
【0180】
実施形態55:実行条件の変更が、タイマーの調整、電流の調整、電圧の調整、または色素マトリックスの値の変更のうちの1つ以上を含む、実施形態54に記載の方法。
【0181】
実施形態56:動作を実施することは、プロセス中の複数の異なる時間、所定の範囲外にある値を有するパラメータに基づく、実施形態54に記載の方法。
【0182】
実施例57:実行条件を変更することは、タイマー、電流、電圧、システムコンポーネントの温度、またはサンプルの温度のうちの1つ以上を調整することが含まれる、実施形態54に記載の方法。
【0183】
実施形態58:動作を実行することは、少なくとも2つのパラメータの1つ以上の値に基づく、実施形態49~53のいずれか1つに記載の方法。
【0184】
実施形態59:動作は、プロセスの品質についてユーザーに通知することを含む、実施形態49~53のいずれか1つに記載の方法。
【0185】
実施形態60:この方法は、機器によって実行された以前のプロセスの履歴データを含む機器を使用して実行され、動作は、測定された1つ以上の値に基づいてデータベースを修正することを含む、実施形態49~53のいずれか1つに記載の方法。
【0186】
実施態様61:様々な長さの生体分子を含むサンプルを含む容器を提供すること;ポンプを使用して、容器内に圧力を印加して、サンプルの少なくとも一部を少なくとも1つのキャピラリーに移動させること;圧力の検知値を示すパラメータを測定すること;および、測定されたパラメータの1つ以上の値に基づいて動作を実施することを含む、方法。
【0187】
実施形態62:ポンプはシリンジである、実施形態61に記載の方法。
【0188】
実施形態63:動作を実行することは、印加圧力を維持すること;フラグを設定すること;警告信号を送信すること;サービスコール信号を送信すること;チェックカートリッジ信号を送信すること;圧力を下げること;圧力を上げること;容器とポンプとの間のバルブを閉じること;移動を中断すること;または実行条件を変更すること、のうちの1つ以上を含む、実施形態61に記載の方法。
【0189】
実施形態64:実行条件の変更が、タイマーの調整、電流の調整、または電圧の調整のうちの1つ以上を含む、実施形態63に記載の方法。
【0190】
実施形態65:生体サンプル中の分子を分離する方法であって、様々な長さの生体分子を含むサンプルを、検出ゾーン、第1の電極に連結された第1の端部、および第2の電極に連結された第2の端部を備える少なくとも1つのキャピラリーに装填すること;第1の電極と第2の電極との間に電位を生成することにより、サンプル中の生体分子を分離することを含むプロセスを実施すること;プロセスまたはアッセイを実行しながら、検出ゾーン内のサンプルの異なる生体分子を検出すること;検出ゾーン内の少なくとも1つの生体分子のスペクトルの検知値を示すパラメータを測定すること;および、検出中または検出後に、測定されたパラメータの1つ以上の値に基づいてプロセスパラメータの値を変更することを含む、方法。
【0191】
実施形態66:生体サンプル中の分子を分離する方法であって、様々な長さの生体分子を含むサンプルを、検出ゾーン、第1の電極に連結された第1の端部、および第2の電極に連結された第2の端部を備える少なくとも1つのキャピラリーに装填すること;第1の電極と第2の電極との間に電位を生成することにより、サンプル中の生体分子を分離することを含むプロセスを実施すること;検出ゾーン内のサンプルの異なる生体分子を検出すること;検出ゾーン内の少なくとも1つの生体分子によってせいせいされる光学信号をデータチャネルの中で測定すること;少なくとも1つの生体分子が検出ゾーン内にないときに生成される光信号を測定することにより、光信号の信号対ノイズ比を判定すること;および、検出中に、信号対ノイズ比に基づいてプロセスパラメータの値を変更することを含む、方法。
【0192】
実施形態67:生体サンプル中の分子を分離する方法であって、様々な長さの生体分子を含むサンプルを、検出ゾーン、第1の電極に連結された第1の端部、および第2の電極に連結された第2の端部を備える少なくとも1つのキャピラリーに装填すること;第1の電極と第2の電極との間に電位を生成することにより、サンプル中の生体分子を分離することを含むプロセスを実施すること;検出ゾーン内のサンプルの異なる生体分子を検出すること;少なくとも1つのキャピラリーの1つ以上を通る電流の検知値を示すパラメータを測定すること;複数の測定にわたって少なくとも1つのキャピラリーを通る電流が所定のパターンに一致するかどうかを判定すること;および、所定のパターンの動作ベースの検出を実行することを含む、方法。
【0193】
実施形態68:1つ以上の生体サンプル分子を含有するサンプル溶液を提供すること;サンプル溶液に対してプロセスまたはアッセイを実施すること;プロセスまたはアッセイを実施しながら、1つ以上の生体サンプル分子を検出すること;検出中、検出が発生しているシステムの1つ以上の温度を測定すること;少なくとも一部のシステム温度測定値の分析を実行すること;および、動作ベースの分析を実施することを含む、方法。
【0194】
実施形態69:1つ以上の生体サンプル分子を含有するサンプル溶液を提供すること;サンプル溶液に対してプロセスまたはアッセイを実施すること;プロセスまたはアッセイを実施しながら、1つ以上の生体分子を検出すること;検出中、生物学的サンプルが電流により経時的に(または複数の離散時間で)移動している1つ以上のキャピラリーおよび/または媒体の電流を測定して、電流トレースを判定すること;電流トレースの分析を実施して、電流トレースにおける信号ノイズに対応するノイズ測定基準を判定すること;および、ノイズ測定基準の値に基づいて動作を実施することを含む、方法。
【0195】
実施形態70:1つ以上の生体サンプル分子を含有するサンプル溶液を提供すること;サンプル溶液に対してプロセスまたはアッセイを実行すること;プロセスまたはアッセイの実行中に、1種以上の生体分子を検出すること;検出前、第1のシステムパラメータを測定し、検出前および/または検出中に、第2のシステムパラメータを測定すること;第1のシステムパラメータの少なくともいくつかの測定値および/または第2のシステムパラメータの少なくともいくつかの測定値の分析を実行すること;ならびに、検出前および/または検出中に、分析に基づく動作を実行することを含む、方法。
【0196】
実施形態71:第1のシステムパラメータが圧力を含み、第2のシステムパラメータが温度を含む、実施形態70に記載の方法。
【0197】
実施形態72:複数のキャピラリーを提供すること;ポリマー溶液を提供すること;供給源に圧力を印加し、ポリマー溶液の少なくとも一部をキャピラリーの中に移動させること;圧力を印加しながら、経時的に(または複数の離散時間で)圧力を測定して、圧力値を取得すること;圧力値の少なくとも一部に対して分析を実施すること;および分析に基づいて動作を行うことを含む、方法。
【0198】
実施形態73:分析が、圧力値を表すトレース中のノイズレベルを判定することを含む、実施形態72に記載の方法。
【0199】
実施形態74:分析が、圧力が適用された期間の間に圧力値がしきい値を超えたままであったかどうかを判定することをさらに含む、実施形態73に記載の方法。
【0200】
実施形態75:1種以上の生体分子を含むサンプル溶液を複数のキャピラリーに供給すること;サンプル溶液が複数のキャピラリー内にある間、1種以上の生体分子を検出すること;検出中に、生体サンプルが経時的に(または複数の離散時間で)電流によって移動している1つ以上のキャピラリーの電流を測定して、電流トレースを判定すること;電流トレースの分析を実施すること;および分析に基づいて動作を実施することをさらに含む、実施形態72に記載の方法。
【0201】
実施形態76:分析は、電流トレースの信号ノイズに対応するノイズ測定基準を判定することを含み、さらに、分析に基づいて動作を実施することは、ノイズ測定基準の値に基づいて動作を実施することを含む、実施形態75に記載の方法。
【0202】
実施形態77:サンプル分析システムであって、ポリマー装填中であるがサンプルの装填および検出前に1つ以上のシステムパラメータを検出するための第1の複数のセンサ;サンプルの装填および/またはサンプル検出の間に1つ以上のシステムパラメータを検出するための第2の複数のセンサ;プロセッサ;プロセッサに接続され、第1の複数のセンサおよび第2の複数のセンサからのデータを分析して、サンプル検出の終了前に、動作を実施して、分析に基づいて、その動作を実施するかどうかを判定するようにプロセッサを構成するコンピュータプログラム命令を含むメモリを含む、サンプル分析システム。
【0203】
実施形態78:色素標識サンプルを分析する際に使用するためのシステムであって、サンプル処理機器;プロセッサ;および上述の実施形態49~76のいずれか1つで参照される処理の少なくともいくつかを実行するための命令でエンコードされたメモリを備える、システム。
【0204】
実施形態79:色素標識サンプルを分析する際に使用するためのシステムであって、サンプル分離機器;プロセッサ;および上述の実施形態49~76のいずれか1つで参照される処理の少なくともいくつかを実行するための命令でエンコードされたメモリを備える、システム。
【0205】
実施形態80色素標識サンプルを分析する際に使用するためのシステムであって、複数のキャピラリー;プロセッサ;および上述の実施形態49~76のいずれか1つで参照される処理の少なくともいくつかを実行するための命令でエンコードされたメモリを備えるキャピラリー電気泳動機器を備える、システム。
【0206】
例解された実施形態に関して本発明を具体的に説明したが、本開示に基づいて様々な変更、修正、および適合を行うことができ、本発明の範囲内にあることが理解される。現在最も実用的かつ好ましい実施形態であると考えられるものに関連して本発明を説明したが、本発明は開示された実施形態に限定されず、反対に、下記の特許請求の範囲によって記載されているような本発明の根底にある基本原理の範囲内に含まれる、様々な修正および同等の構成を網羅することを意図していることが理解される。
なお、好ましい構成態様として、本発明を次のように構成することもできる。
1. サンプルに対して実施されるプロセスの品質管理方法であって、
複数のキャピラリーを提供することと、
ポリマー溶液源を提供することと、
前記ポリマー溶液源に圧力を印加し、ポリマー溶液の少なくとも一部を前記キャピラリーの中に移動させることと、
前記圧力を印加しながら、圧力値を取得するために、圧力の検知値を示す少なくとも1つのパラメータを経時的に測定することと、
前記圧力値の少なくとも一部の分析を実施することと、
前記分析に基づいて動作を実施することと、を含む、方法。
2. 前記分析が、前記圧力値を表すトレース中のノイズレベルを判定することを含む、上記1に記載の方法。
3. 前記分析が、前記圧力が印加されていた間に前記圧力値がしきい値を超えたままであったかどうかを判定することを含む、上記1に記載の方法。
4. サンプル溶液を前記複数のキャピラリーに提供することであって、前記サンプル溶液が1種以上の生体分子を含む、提供することと、
前記サンプル溶液が前記複数のキャピラリー中にある間、前記1種以上の生体分子を検出することと、
検出する間、電流トレースを判定するために、前記生体サンプルが電流によって移動している1つ以上のキャピラリーの電流を経時的に測定することと、
前記電流トレースの分析を実施することと、
前記分析に基づいて動作を実施することと、をさらに含む、上記1に記載の方法。
5. 経時的に圧力を測定することが、複数の離散時間で圧力を測定することを含む、上記1に記載の方法。
6. 経時的に電流を測定することが、複数の離散時間で電流を測定することを含む、上記4に記載の方法。
7. 前記分析が、前記電流トレースにおける信号ノイズに対応するノイズ測定基準を判定することを含み、さらに、前記分析に基づいて動作を実施することが、前記ノイズ測定基準の値に基づいて動作を実施することを含む、上記4に記載の方法。
8. 様々な長さの生体分子を含むサンプルを含む容器を提供することと、
前記サンプルの少なくとも一部を少なくとも1つのキャピラリーに移動させるために、ポンプを使用して、前記容器内に圧力を印加することと、
前記圧力の検知値を示す少なくとも1つのパラメータを測定することと、
前記測定されたパラメータの1つ以上の値に基づいて動作を実施することと、を含む、方法。
9. 前記ポンプがシリンジである、上記8に記載の方法。
10. 前記動作を実施することが、
前記印加された圧力を維持すること、
フラグを設定すること、
警告信号を送信すること、
サービスコール信号を送信すること、
チェックカートリッジ信号を送信すること、
前記圧力を下げること、
前記圧力を上げること、
前記容器と前記ポンプとの間のバルブを閉鎖すること、
移動を中断すること、または
実行条件を変更すること、のうちの1つ以上を含む、上記1に記載の方法。
11. 前記動作を実施することが、
前記印加された圧力を維持すること、
フラグを設定すること、
警告信号を送信すること、
サービスコール信号を送信すること、
チェックカートリッジ信号を送信すること、
前記圧力を下げること、
前記圧力を上げること、
前記容器と前記ポンプとの間のバルブを閉鎖すること、
移動を中断すること、または
実行条件を変更すること、のうちの1つ以上を含む、上記8に記載の方法。
12. 前記実行条件の変更が、タイマーの調整、電流の調整、または電圧の調整、のうちの1つ以上を含む、上記10または11のいずれか一項に記載の方法。
13. 検出前または検出中に、少なくとも1つの温度を測定することをさらに含む、上記1~9のいずれか一項に記載の方法。
14. 前記少なくとも1つの温度が、
ポリマー温度、
キャピラリー温度、
キャピラリー出口における気流温度、
キャピラリー入口における気流温度、
ヒートシンク温度、
キャピラリーヒーター温度、
バッファー温度、
スナウト温度、
機器の温度、および
レーザーヒートシンク温度、のうちの1つ以上を含む、上記13に記載の方法。
15. 前記少なくとも1つのパラメータが、
ポリマーバルブ位置、
ポリマーバルブ圧力、
バッファーバルブ位置、
バッファーバルブ圧力、
シリンジ位置、および
シリンジ圧力、のうちの1つ以上を含む、上記8に記載の方法。
16. 1種以上の生体分子を含有するサンプルを提供することと、
前記サンプルについてプロセスまたはアッセイを実施することと、
前記プロセスまたはアッセイを実施している間に、検出ゾーン内の前記1種以上の生体分子を検出することと、
検出前または検出中に、前記プロセスまたはアッセイに関連する2つ以上のパラメータを測定することと、
前記2つ以上のパラメータの1つ以上の測定値に基づいて動作を実施することと、を含む方法であって、
前記2つ以上のパラメータが、前記プロセスまたはアッセイに関連する圧力の検知値を示すパラメータ、前記検出ゾーン内の少なくとも1つの生体分子のスペクトルの検知値を示すパラメータ、前記プロセスまたはアッセイに関連する温度の検知値を示すパラメータ、および前記少なくとも1種の生体分子を運ぶ媒体に関連する電流を示すパラメータのうちの2つ以上を含む、方法。
17. 前記2つ以上のパラメータのうちの少なくとも1つの測定値がオフスケール値の所定量内にある場合に、前記動作が実施される、上記16に記載の方法。
18. 前記2つ以上のパラメータが、
ポリマー温度、
キャピラリー温度、
キャピラリー出口における気流温度、
キャピラリー入口における気流温度、
ヒートシンク温度、
キャピラリーヒーター温度、
バッファー温度、
スナウト温度、
機器の温度、および
レーザーヒートシンク温度、のうちの1つ以上を含む、上記16に記載の方法。
19. 前記2つ以上のパラメータが、
ポリマーバルブ位置、
ポリマーバルブ圧力、
バッファーバルブ位置、
バッファーバルブ圧力、
シリンジ位置、および
シリンジ圧力、のうちの1つ以上を含む、上記16に記載の方法。
20. 前記2つ以上のパラメータのうちの少なくとも1つのパラメータが、前記検出ゾーン内で前記1種以上の生体分子を検出する間または前記検出した後に生成される光信号を含む、上記16に記載の方法。
21. 前記2つ以上のパラメータのうちの少なくとも1つに対応する1つ以上の値を含むデータ構造を提供することと、
検出中または検出した後に、更新されたデータ構造を提供するために、前記1つ以上の測定値に基づいて前記データ構造を修正することと、をさらに含み、
前記動作が前記更新されたデータ構造に基づく、上記16に記載の方法。
22. 前記データ構造が色素マトリックスである、上記21に記載の方法。
23. 前記サンプルが様々な長さの生体分子を含み、前記方法が、
前記サンプルを、第1の端部、第2の端部、および前記検出ゾーン内に位置する部分を含む少なくとも1つのキャピラリーに装填することと、
前記第1の端部に電気的に連結された第1の電極、および前記第2の端部に電気的に連結された第2の電極を提供することと、をさらに含み、
プロセスを実施することが、前記第1の電極と前記第2の電極との間に電位を生成することにより、前記サンプル中の前記生体分子を分離することを含む、上記16に記載の方法。
24. 1つ以上の生体サンプル分子を含有するサンプル溶液を提供することと、
前記サンプル溶液に対してプロセスまたはアッセイを実施することと、
前記プロセスまたはアッセイを実施している間に、前記1種以上の生体分子を検出することと、
検出前または検出中に、第1のシステムパラメータを測定することと、
検出前または検出中に、第2のシステムパラメータを測定することと、
前記第1のシステムパラメータおよび前記第2のシステムパラメータのうちの少なくとも一方の少なくともいくつかの測定値の分析を実施することと、
検出前または検出中に、前記分析に基づいて動作を実施することと、を含む、方法。
25. 前記サンプル溶液が、様々な長さの1種以上の生体分子を含み、前記方法が、
前記サンプル溶液を、検出ゾーンを含む前記少なくとも1つのキャピラリーに装填することと、
第1の電極と第2の電極との間に電位を生成することにより、前記少なくとも1つのキャピラリー内の前記生体分子を分離することを含むプロセスを実施することと、
前記検出ゾーン内の少なくとも1種の生体分子を照射することにより生成される第1の光信号を測定することと、
前記少なくとも1種の生体分子が前記検出ゾーンにないときに、前記検出ゾーンを照射することにより生成される第2の光信号を測定することと、
前記第1の光信号に対応する信号対ノイズ比を判定するために、少なくとも前記第1の光信号および前記第2の光信号を使用することと、
検出中、前記信号対ノイズ比に基づいてプロセスパラメータの値を変更することと、をさらに含む、上記24記載の方法。
26. サンプル溶液が、様々な長さの1種以上の生体分子を含み、前記方法が、
前記サンプル溶液を、少なくとも1つのキャピラリーに装填することであって、前記少なくとも1つのキャピラリーが検出ゾーンを含む、装填することと、
第1の電極と第2の電極との間に電位を生成することにより、前記少なくとも1つのキャピラリー内の前記生体分子を分離することを含むプロセスを実施することと、
前記少なくとも1つのキャピラリーを通る電流を測定することと、をさらに含む、上記24記載の方法。
27. 複数の測定にわたり、前記少なくとも1つのキャピラリーを通る電流が所定のパターンに一致するかどうかを判定することと、
判定の結果に基づいて動作を実施することと、をさらに含む、上記26に記載の方法。
28. 検出する間、電流トレースを判定するために、前記少なくとも1つのキャピラリーの電流を経時的に測定することと、
前記電流トレースの分析を実施することと、
前記分析に基づいて動作を実施することと、をさらに含む、上記26記載の方法。
29. 前記分析が、前記電流トレースにおける信号ノイズに対応するノイズ測定基準を判定することを含み、さらに、前記分析に基づいて動作を実施することが、前記ノイズ測定基準の値に基づいて動作を実施することを含む、上記28に記載の方法。
30. 前記第1のシステムパラメータが圧力を含み、前記第2のシステムパラメータが温度を含む、上記24に記載の方法。
31. 温度パラメータが、
ポリマー温度、
キャピラリー温度、
キャピラリー出口における気流温度、
キャピラリー入口における気流温度、
ヒートシンク温度、
キャピラリーヒーター温度、
バッファー温度、
スナウト温度、
機器の温度、および
レーザーヒートシンク温度、のうちの1つ以上を含む、上記30に記載の方法。
32. 前記動作が、
警告または条件フラグを設定または送信すること、
警告信号を送信すること、
再サービス信号を送信すること、
実行品質測定基準を提供すること、
色素マトリックス成分を変更すること、
注入パラメータを変更すること、
プロセス呼び出しパラメータを設定すること、
ポストラン分析または補正測定基準を設定または修正すること、
前記プロセスを停止すること、
所定の期間、前記プロセスを一時停止すること、
前記プロセスの状態が所定の量だけ変化するまで前記プロセスを一時停止すること、
1つ以上のキャピラリーをフラッシュすること、
前記プロセスの品質についてユーザーに通知すること、
前記少なくとも2つのパラメータのうちの1つ以上の値を記録することであって、前期値が検出中に記録された分光データを補正または修正するのに適している、記録すること、
チェックカートリッジ信号を送信すること、および
実行条件または実行測定基準を変更すること、のうちの少なくとも1つを含む、上記16~31のいずれか一項に記載の方法。
33. 前記実行条件または実行測定基準を変更することが、タイマーを調整すること、電流を調整すること、電圧を調整すること、または色素マトリックスの値を変更すること、のうちの1つ以上を含む、上記32に記載の方法。
34. 前記動作を実施することは、前記プロセス中の複数の異なる時間、所定の範囲外にある値を有するパラメータに基づく、上記24に記載の方法。
35. 前記実行条件または前記実行測定基準を変更することが、タイマー、電流、電圧、システムコンポーネントの温度、または前記サンプルの温度のうちの1つ以上を調整することを含む、上記32に記載の方法。
36. 前記方法が、機器によって実施された以前のプロセスの履歴データを含む前記機器を使用して実施され、前記動作が、前記測定された1つ以上の値に基づいて前記データベースを修正することを含む、上記16~31のいずれか一項に記載の方法。
37. ポリマーを装填する間であるが、サンプル装填および検出前に、1つ以上のシステムパラメータを検出するための第1の複数のセンサと、
サンプルの装填およびサンプルの検出のうちの少なくとも1つの間に、1つ以上のシステムパラメータを検出するための第2の複数のセンサと、
プロセッサと、
前記プロセッサに連結され、サンプル検出の終了前に、動作を実施するかどうかおよび前記分析に基づいてその動作を実施することを判定するために、前記第1の複数のセンサおよび前記第2の複数のセンサからのデータを分析する前記プロセッサを構成するためのコンピュータプログラム命令を含むメモリと、を備える、サンプル分析システム。
38. 色素標識サンプルの分析に使用するためのシステムであって、
サンプル処理機器と、
プロセッサと、
上記上記1~36のいずれか一項において参照される分析ステップを実行するための命令がエンコードされたメモリと、を備える、システム。
39. 色素標識サンプルの分析に使用するためのシステムであって、
サンプル分離機器と、
プロセッサと、
上記上記1~36のいずれか一項において参照される分析ステップを実行するための命令がエンコードされたメモリと、を備える、システム。
40. 色素標識サンプルの分析に使用するためのシステムであって、
複数のキャピラリーを備える、キャピラリー電気泳動機器と、
プロセッサと、
上記上記1~36のいずれか一項において参照される分析ステップを実行するための命令がエンコードされたメモリと、を備える、システム。
41. 色素標識サンプルについての色素データにおけるスペクトル誤差の自動補正のためのサンプル処理機器とともに使用するための方法であって、
前記サンプル処理機器を介して実行される、色素標識サンプルに対応する色素データを生成することであって、前記色素データが、第1の色素で標識された第1のサンプルに対応する第1の色素データ、および第2の色素で標識された第2のサンプルに対応する第2の色素データを少なくとも含み、前記第2の色素が前記第1の色素とは異なっている、生成することと、
第1の色素データのスペクトル誤差と相関する相関データを取得するために、少なくとも第1の色素データおよび第2の色素データの非微分値を使用することと、
前記相関データを使用して補正された色素データを生成するために、補正関数を適用することと、を含む、方法。
42. 前記補正された色素データのスペクトル誤差の測定値を取得することをさらに含む、上記41に記載の方法。
43. 前記補正された色素データのスペクトル誤差が、しきい値量だけ前記第1の色素データのスペクトル誤差より低いかどうかを判定することをさらに含む、上記42に記載の方法。
44. 前記補正された色素データの前記スペクトル誤差が、前記しきい値量だけ前記第1の色素データのスペクトル誤差より低くはない場合、前記補正関数を調整するまたは破棄することをさらに含む、上記43に記載の方法。
45. 前記補正された色素データのスペクトル誤差の前記測定値が、前記補正された色素データのスペクトル誤差と相関する第2の相関データを識別することにより取得される、上記42に記載の方法。
46. さらに補正された色素データを取得するように、補正関数を前記色素データに適用するために前記第2の相関データを使用することをさらに含む、上記45に記載の方法。
47. 前記さらに補正された色素データが、スペクトル誤差を低減するための特定の性能要件を満たすかどうかを判定することをさらに含む、上記46に記載の方法。
48. 前記相関データが、前記色素標識サンプルを標識するために使用された色素セットに含まれる2つの色素間のクロストーク値を含む、上記41に記載の方法。
49. 前記相関データが線形回帰データを含む、上記41に記載の方法。
50. 前記線形回帰データが、前記第2の色素標識サンプルの蛍光に対してプロットされた前記第1の色素標識サンプルの蛍光を含むクロスプロットデータの線形回帰分析を実施することにより取得される、上記49に記載の方法。
51. 前記第1の色素データが、前記サンプル処理機器を通して前記色素標識サンプルを実行することから生成されたスペクトルデータに、既存の色素マトリックスを適用することにより取得される、上記41に記載の方法。
52. 前記相関データがスペクトルクロストーク値を含み、前記補正関数が前記スペクトルクロストーク値の関数に基づいて前記既存の色素マトリックスを修正することを含む、上記51に記載の方法。
53. 前記補正関数が、候補最適化色素マトリックスを取得するために、前記既存の色素マトリックスの値に前記スペクトルクロストーク値もしくはそれらの値の一部を加算するか、または、前記既存の色素マトリックスの値から、前記スペクトルクロストーク値もしくはそれらの値の一部を減算することと、前記補正された色素データを取得するために、前記候補最適化色素マトリックスを使用することと、を含む、上記52に記載の方法。
54. 前記補正関数を適用することが、既存の色素マトリックスに対する変化の少なくとも一部を判定するために、ランダム化関数を実行することを含む、上記51に記載の方法。
55. 前記補正関数を適用することが、前記スペクトルクロストーク値およびスペクトルクロストーク標準誤差値のうちの1つ以上の関数に基づき、かつランダム化関数を実行することに部分的に基づいて、前記既存の色素マトリックスを修正することを含む、上記52に記載の方法。
56. 第1の相関値が、前記色素標識サンプルを標識するために使用された色素セットにおける第1の色素および第2の色素のスペクトルデータを含む、上記41に記載の方法。
57. 前記補正関数が、前記第1の色素および第2の色素のうちの1つについてのスペクトラデータの正または負の分数を、前記第1の色素および前記第2の色素の別のものからのスペクトルデータに加えることを含む、上記56に記載の方法。
58. 前記補正関数が、スキャン番号に基づいて変化する、上記41に記載の方法。
59. 前記スキャン番号に基づく補正関数の変動が、色素スペクトル対スキャン番号の線形回帰から取得される一次線形変動項を含む、上記58に記載の方法。
60. 前記スキャン番号に基づく補正関数の変動が、色素スペクトル対スキャン番号の線形回帰から取得される二次線形変動項をさらに含む、上記59に記載の方法。
61. 少なくとも前記第1の色素データおよび前記第2の色素データの非微分値を使用することが、そのような非微分値を使用すること、ならびに少なくとも前記第1の色素データおよび前記第2の色素データの一次および/またはより高次の微分値を使用することも含む、上記61に記載の方法。
62. サンプル処理機器によって処理された色素標識サンプルにおける特定の色素の存在の識別に使用する方法であって、前記方法が、前記サンプル処理機器の実行期間中に、
スペクトルデータを生成するために光検出器を使用することであって、前記スペクトルデータが、光源から前記光検出器までの光路内の色素標識サンプルにおいて経時的に実行された複数の光検出器スキャンのそれぞれについて、様々なスペクトルにおける強度測定に対応する、使用することと、
最適化色素マトリックス(ODM)を判定するように構成されたプロセッサに前記スペクトルデータを受信することと、
実行期間中、前記サンプル処理機器を、少なくとも、
色素データを生成するために、候補最適化色素マトリックス(CODM)および前記スペクトルデータを使用すること、
前記色素標識サンプルの色素間のスペクトルクロストークに対応するスペクトルクロストーク値を判定するために、前記色素データを使用すること、および
ODMを判定するために、前記スペクトルクロストーク値および前記CODMを使用すること、によって較正または再較正するために、前記プロセッサを使用することと、を含む、方法。
63. 前記CODMが既存の色素マトリックスである、上記62に記載の方法。
64. 前記CODMが第1のCODMであり、前記実施形態が、
第2のCODMを生成することをさらに含む処理を実施するように構成されている、上記62に記載の方法。
65. 色素データを生成するために、前記第2のCODMおよび前記スペクトルデータを使用することと、
前記第1のCODMを使用して生成された色素データが、前記第2のCODMを使用して生成された色素データよりもスペクトル誤差が少ないかどうかを判定することと、をさらに含む、上記64に記載の方法。
66. 複数の蛍光種のうちのある蛍光種で標識された複数のサンプルを処理するサンプル処理機器において、スペクトル誤差の低減に使用するための方法であって、前記複数のサンプルが、第1の蛍光種で標識された第1のサンプルおよび第2の蛍光種で標識された第2のサンプルを少なくとも含み、前記方法が、
前記サンプルの蛍光種を、励起源を用いて励起することと、
得られる蛍光を、光学システムを用いて検出することと、
少なくとも2つの異なる蛍光種の蛍光データから前記スペクトル誤差を判定することと、
補正関数のパラメータ値を判定することと、
前記誤差を低減するために、前記蛍光に前記補正関数を適用することと、を含む、方法。
67. 前記蛍光をモデルに対して比較することを含む、処理を実施するために構成されている、上記66に記載の方法。
68. サンプル処理機器によって処理されたサンプルの分析されたトレースからスペクトル誤差の除去に使用するための方法であって、前記複数のサンプルの各々が、複数の蛍光種のうちのある蛍光種で標識され、前記複数のサンプルが、少なくとも第1の蛍光種で標識された第1のサンプル、および第2の蛍光種で標識された第2のサンプルを含み、前記方法が、
励起源を用いて前記蛍光種を励起することと、
光学システムを用いて蛍光を検出することと、
前記第1の色素および前記第2の色素に対応する蛍光データを使用して、前記蛍光種間の前記スペクトル誤差を推定することと、を含む、方法。
69. 蛍光種で標識されたサンプルを処理するサンプル処理機器において、蛍光種を使用する核酸検出に使用するための方法であって、前記方法が、
励起源を用いて蛍光種を励起することと、
光学システムを用いて蛍光を検出することと、
各蛍光種のスペクトル表示において前記蛍光種間の誤差を判定することと、を含む、方法。
70. 前記処理が、前記サンプル処理機器のサンプル実行操作期間中に実行される、上記41に記載の方法。
71. 前記処理が、前記サンプル処理機器のサンプル実行操作間で実行される、上記41に記載の方法。
72. 前記サンプル処理機器がサンプル分離機器を含む、上記41~71のいずれか一項に記載の方法。
73. 前記サンプル処理機器が、
キャピラリー電気泳動機器、
CE-SDS機器、
ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)機器、
リアルタイムPCR機器、
デジタルPCR機器、
サンガーシーケンシング機器、
パイロシーケンシング機器、
ライゲーションによるシーケンシング用に構成された機器、
次世代シーケンシング(NGS)機器、
シーケンシング機器、
質量分析機器、
フローサイトメトリー機器、
ゲル電気泳動機器、
分光測光機器、または
蛍光分光機器、のうちの少なくとも1つを含む、上記41~71のいずれか一項に記載の方法。
74. 前記色素標識サンプルが、
核酸分子、
DNA分子、
RNA分子、
タンパク質分子、
細胞分子、または
糖分子、のうちの少なくとも1つを含む、上記41~71のいずれか一項に記載の方法。